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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【迷探偵マコトの事件簿】(1)マコト、登場! 

真250kuroneko250

本編の主人公:真が猫になって大活躍?
どちらかというとしゃべるのが上手ではない真が、猫になったら結構饒舌だった??
数々の難事件(!?)に挑戦します。
暇つぶしにどうぞ。

【登場人物】
マコト:茶トラのツンデレ猫。冒険が大好き?? の割には、いつもひとりでマンションでお留守番。
タケル:ちょっぴりSなマコトの飼い主。いつもマコトをおちょくって遊んでいるけれど、実は……


【迷探偵マコトの事件簿(1)マコト、尻尾を追う!】

あ、しっぽだ!
ひまだから、追いかけよっと!

くるくる、くるくる……ぐるぐる、ぐるぐる……

あれ? 目が回る。

あ、自分のしっぽだった!

う、タケルと目が合っちゃった……

もちろん、ぼく、知ってたよ~
ちょうど、おせなかの毛づくろいするところだったんだ。


……だって、タケルが遊んでくれないんだもん。



【迷探偵マコトの事件簿(2)マコト、謎の影を追う!】

あ、どうろを迷走するあやしいやつ!
追いかけるぞ!

ばしっ!(っと片手で押さえつけて……)
ひら~っ????

あれ?
もういっかい!
ばしっ!(片手)
ひら~っ????

今度こそ、ばしっ!(両手!)

・・・・・・

(やっぱり)ひら~っ~~~

え~~~~?
途方にくれて見上げた空。


あ、ちょうちょ。

あ、タケルと目が合っちゃった……

もちろん、ぼく、知ってたもん。

ちょうちょ、空でふわふわ、気持ちよさそうだね。

ぼく? 影ふみしてただけなんだ。


……だって、ひまだったんだもん。


・・・・・・


ねぇ、あそんで。



あまりにも、ばかげているけれど、いつか漫画にしたかった猫バージョンのおバカなマコトくん???
でも、画力がなく、私に漫画は無理だったので、ちょっと文字にしてみました。

もちろん、その1は、本編の冒頭で尻尾を追いかけていることと呼応しております(^^)
竹流は、ネコにはなっていなさそう。
「お前、何やってるんだ?」と呆れた顔で見ているに違いないです。

しょうもな!
と自分で思いつつ載せてみました^^;



*この掌編(?)はもともと【幻の猫】のおまけとして始まったものです。その1で尻尾を追いかけているのは、【幻の猫】の冒頭と呼応しています。


*初めてこのブログを訪れてくださった方へ

相川真は私の拙いメイン小説の主人公(の片割れ)です。27歳の現在は、新宿の調査事務所の所長ですが、【幻の猫】では18歳。家庭教師兼父親代わりの大和竹流(ジョルジョ・ヴォルテラ)と、彼の故郷イタリアに、入試頑張ったご褒美旅行に来ています。
でも、来てみたら、竹流は旧交を温めるのに忙しいし、時々一人で、言葉もわからないのに放り出されてしまう。
しかも、真は霊感坊や。ただし中途半端な霊感なので、お化けとも意志疎通困難。
シエナの街で、尻尾しか見えない黒猫を追いかけて行ったら、どうやら少女のお化けに出会ったようです。

よろしければぜひ、お読みくださいませ(^^)




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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【猫の事件】迷探偵マコトの事件簿(2)…(・・? 

真250kuroneko250

これ、何だかやめられなくなってしまいました^^;
akoさんから頂いたコメントからさらに広がった妄想作品。
前回同様、極めてしょーもないのですが、何故か続いていく……


登場人物
マコト:ツンデレ猫。イメージでは茶トラ。もしかするとキジトラ。
タケル:その飼い主。趣味はマコトをおちょくって遊ぶこと。

さぁ、今日のマコトはどんな事件を解決するのでしょうか!?
タケルのお土産編、お楽しみください(*^。^*)



【迷探偵マコトの事件簿その3:マコト、呪いの尻尾に挑む!】

タケル、おそいなぁ。
ぼく、ひとりでおるすばん、キライ……つまんないんだもん。

……あ、かえってきた~(=^・^=)
でも、ぼく、あかちゃんじゃないから、うれしそうにおでむかえなんかしないんだ。

クールに言うの。
あ、お帰り、おそかったんだね。
あれ、それなに?

タケルが赤いふわふわのしっぽみたいなのを買ってきた。
しっぽには棒がついてるよ。
それに、マタタビのにおいがする~~
ふわふわ、ってタケルがぼくのお鼻のまえでくるくるする。

き、きになる……
あぁ、だめだ! だめだ!
ぼく、おこってるんだもんね。
タケルとあそんでなんてあげないもん。

ふりふり。
くるくる。
ほら、おいで、って。

ば、ばかにしないでよね。
ぼく、もう子どもじゃないんだからね。
それにそんなので、ぼくを放っておいたことをごまかそうなんて、甘いんだもんね。

ふりふり、ふるふる、こちょこちょ、……
ふん、知らないもんね。

ふりふり、ふるふる、くるくる、……
あぁ、もう、そんなへんなしっぽであたまをさわんないでよ。

こんどはソファのかげから、ふりふり……
あ、かくれた!
また、ふりふり……
ぼくはおもわずたたかうじゅんび。

あ、あやうく手を出すところだった。
ぼく、もうおやすみするんだ。ばいばい。

……でも。
うぅ。
マタタビ、いいにおいだなぁ……

ちらっ。

いやいや。
しらんぷりっ!

……
あ、あきらめてタケルがねたよ。

よし!
さっそく赤いしっぽのちょうさだ!

これはしっぽなのか?
しっぽではないのか?

どうして赤いの?

ちょん。
あ、かってにうごくよ?
あれ? うごかないよ?
う~ん、あなどりがたいやつだ!

えい、えい、えい!
このやろう!
こうしてやる、こうしてやる!

う~む。
つかみどころのないやつだ。
テキもなかなかやるな。

ちょっとうしろ足で立ち上がって、
ダ~イブ!っと。

わ、すべっちゃった。
いてて。

あ、タケルと目があっちゃった……

えーっと……しんだふり、しとこ。


それ、きっと、のろいのしっぽだよ。
ぼくとしたことが、まりょくでおどらされちゃった……



【迷探偵マコトの事件簿その4:マコト、新たな敵に挑む!】

タケル、おそいなぁ。
やっぱり、ぼく、つまんない。
あ、かえってきた。

あれ、またへんのものを買ってきたの?

…………

……それ、あたらしいネコ?


なんだよ、そいつ。
うごかないし。
しゃべらないし。
においもしないし。
ミルクものまないし。
ねこまんまもたべないし。

なにより、ぜんぜんかわいくないし。


なのに、なんだって、そいつといっしょにねるの?
なんで、よしよしとかするの?

……いいもん。
ぼく、ひとりでねるもんね。
もう子どもじゃないもん。

おやすみ。
べー、だ。


……
しーん。


みみをぴんとのばしてみる。
……
しーん。


タケル、ねたかな?


そーっと。
ぬきあし。さしあし。しのびあし。

つかまえたぞ。
えい、こいつっ!
まえあしでけりっ!

ちょっと、のいてよ。
そこ、ぼくのばしょなんだから。

くいっとおして、っと。
くいくい……

ふぅ。
やっと、すきまに入れた!


……よかった。やっぱりここがいや。
ねよっと。

……あ、タケルと目が合っちゃった。


だって、タケル、こんなにゃんも言わないやつ、つまんないでしょ。
あったかくないし。
においもないし。
ごはんもたべないし。
ぼく、タケルがさびしいかなぁと思って、来てあげただけだもんね。


……あたま、なでないでよ。
ぼく、もう、子どもじゃないんだからね。

でも、ま、いいか!


ぼく、もうねるね。
おやすみ。


……ちょっとだけ、しあわせ。



にゃんた



さて、このくだらない企画、続くのか? 続かないのか?
それはミステリーですね(^^)

ちなみに、この、ぬいぐるみを押しのけて間に入って寝る、というのは出典?があります。
実は私、パンダが大好きで、PCを持って初めてお気に入り登録したサイトは、中国にあるパンダ幼稚園のサイト。

ある日、たまたまテレビを見ていたら、その幼稚園を新庄剛志さん(元タイガース、そしてメジャーから戻った後は日ハム)が訪問して、パンダの飼育を手伝うという番組をやっていました。

パンダにも色々いて、1匹、まだ幼稚園に入りたてで、みんなとうまくやっていけない子がいたのです。
新庄パパ、赤ちゃんパンダたちと一緒に生活し、そのはみだしっこのことをいつも一番気にかけていた。
でも、それでもなかなかこの子だけは懐いてくれない。
他の赤ちゃんパンダたちはもう新庄パパ大好き!でいつも一緒に遊んでいる。
そしてある夜。
赤ちゃんパンダたちはみんな新庄パパのまわりで群がって、固まって寝ている。
はみだしっこパンダは、一番遠いところで寝ていたのですが……

みんなが寝静まったのを確認し、のっそり起きたと思ったら……
新庄パパにくっついている他のパンダをくいくい、くいくい、と押しのけて、自分が新庄パパの真横に!

新庄パパは萌えまくり。
もちろん、大海も萌えまくり。

それからは、はみだしっこパンダくん、新庄パパにくっついて遊ぶようになり、そのうちみんなにも打ち解けていったのです。 
もう別れのシーンでは、ぼろぼろ泣いていた大海でございました。

で、ちょっと使ってみました(^^)





お待たせいたしました。(って、待ってもらってるのかしら??)
次回はいよいよ、【幻の猫】最終回のアップですm(__)m

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【猫の事件】迷探偵マコトの事件簿(3) 

竹流
limeさんのイラストお礼第2弾!!
ついでに。まだちゃんと推敲していないのに、またまた載せてしまう……^^;
やっぱり、『竹流とマコト』と指名していただいたので、ちょっとシチュエーションは違うけれど、前回の『新たな敵=ネコのぬいぐるみ』編の別バージョンを。
これは、リア友と話していて、あ、そうだ、真はもっとブラックかも、と気が付いてこうなりました^^;

ちなみに、前作(1)(2)はこちらです(^^)
迷探偵マコトの事件簿(1)
迷探偵マコトの事件簿(2)


【迷探偵マコトの事件簿その5:マコト、新たな敵に挑む・ビヨンド】


タケル、遅いなぁ。
あ、帰ってきた。
(でも、この間変なネコ持って帰ってきたから、玄関お迎えになんか行かないもん)

え?
……また新しいネコ?

(ふて寝)
いいよ。別に興味ないし。
どうせ、また、その変な奴と寝るんでしょ。
僕、一人で寝るもんね。
お休み。

…………

…タケル、寝たかな?
……ちょっと様子、見に行ってこよ。

(そーっとベッドに登って…)
げ。こいつ、目開いたまま寝てる。

つんつん。
動かないなぁ。

つんつん。
タケルも動かないなぁ。

…………
(ちょっと辺りを見回して…って、誰もいるわけないか)
がしっと首根っこを咥えて。

ずるずる。
ぼてっ(ベッドから落とす)。
ずるずる。
はぁ、結構おっきい。

……ずるずる。
やっと玄関だ。

(三和土に)ぽいっ!
ついでに!
踏んづけてやる!
えい、えい!

がたん!?

?????

何の音?
こいつ?

逃げろっ!
(必死で走ってリビングに駆け込む!)
あ、ドア、閉めなくちゃ!
仕返しに来るかも!
(ドアには体当たりだよ!)

(しーん。音はしないね)
ほっ。


とりあえず、敵は片づけた。
……
別に僕、一人で寝れるんだけど。
……
きっとタケルが寂しいから、一緒に寝てやるか。


お布団に頭から潜って、と。
向き替えて、と。
ここでいいか。
タケル、寝てる?(そっと見る)

あ、タケルと目が合っちゃった。

え? あいつ?
僕知らないよ。

僕、ここ来たとき、もういなかったもん。
僕、意地悪もしてないよ。

ほんとだよ。

にこにこして頭、撫でないでよ。


でも、ここはやっぱり僕の場所。
うん、結構しあわせ…………………………多分ね。








Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【猫の事件】迷探偵マコトの事件簿(4) 

やっと雨が降りましたね!有難いです。
今日は24時間テレビ。O氏のドラマが楽しみな大海は、久しぶりにテレビをつけっ放しで待機中です。
今週は、雨が降った記念に?【海に落ちる雨】の続きをアップしていきます。
もちろん、【死と乙女】も進めます(^^)
お楽しみに!(とか言って、待ってくださっている方がいると嬉しいけれど……)

もうすぐ? 次のキリ番2222です。
踏んだ方、近い数字だった方、リクエストがございましたら、ぜひお願いします(^^)

さて、前出の記事
(→【雑記・生き物】どこかで見たような……)で触れた、孔雀と、ヤマネコならぬ豹。
コメントで頂いた、「逆にヤマネコが孔雀に襲われるかも」……に反応して、帰ってきました。
【迷探偵マコトの事件簿】

このシリーズは、本編の真と竹流の物語のパロディ版です。
相川真27歳、新宿の調査事務所の所長です。大和竹流は、真にとっては元家庭教師で、訳ありのイタリア人修復師です。
本編で進行中の【海に落ちる雨】では、真は色々あって、竹流のマンションに転がり込んでいます。
さて、年齢も9歳も違うので、いつも竹流に小僧扱いされている真ですが……
猫のマコトになっても、その関係性は変わらないみたいで……

その猫のマコトのお話、第6話です(^^)
さっそく、どうぞ!



迷探偵マコトの事件簿(6) マコト、豹になる
DSCN1508_convert_20130824190928.jpg
僕、さっきタケルに怒られちゃったんだ。
でも僕のせいじゃないんだ。
だって、タケルがオンナを連れてきんだんだよ。

そのオンナったら。
あら、可愛い子ネコちゃんね、って、この僕の頭を撫でるんだ。
僕、可愛い子ネコちゃんじゃないもん。
がぶっ!

……
香水の匂いとか、嫌いなんだ。
だから噛んでやったら、タケルに怒られちゃったんだ。

何だよ。僕よりオンナが大事なんだ。
ふん。
もういいんだ。

……

……寝よ。

DSCN1503_convert_20130824190834.jpg
目が覚めたら、僕はジャガーになってた。
わ、トラ縞じゃなくて文字通り、ヒョウ柄だよ。
手もおっきいし、からだもおっきい。

わ~、僕、おっきくなってる!
わ~、もうオトナなんだ。
もうタケルに怒られないんだ!
木にも登れるし、獲物だって自分で捕れるんだよ。

あ、さっそく見つけた! 孔雀だよ!
僕、初めて見たよ~
おっきいね~
あ、僕もおっきいんだった!

きっと捕まえられるよ。捕まえて食べてやる~
狙いを定めて……ジャンプっ!

……

あ、跳んだ! 木の上に行ったよ!
すごい長い尻尾。綺麗だね~
とか言ってる場合じゃないんだった!

よ~し。
僕、軽やかに木の上に登ったよ!
そろ~ッと近づいて、っと。

えいっ! わ、尾っぽ、捕まえた!
やった! タケル! 僕、やったよ!
(って、タケルに報告することでもないや。僕、一人で頑張れるもん)

あ、孔雀と目が合った……

……え、っと……睨まれた……?

え? 何だろ、このデ・ジャヴ。
この目、知ってるような……

DSCN1507_convert_20130824190738.jpg
あ、あ~~、尾っぽが手の下から抜けた……
あ~あ。
池の向こうに飛んで行っちゃった。
せっかく尻尾、捕まえたのに。

追いかけるぞ!
池を回って、走って行ったら……
あ、孔雀のやつ、オンナに色目使ってる。
うわ~、羽根、広げたらでっかい~。綺麗だな~。
なんて、感心している場合じゃなかった。

この隙に狙いを定めて。
ジャンプっ!
よし、羽根のはしっこ、捕まえた! やった! 食ってやる!

と思ったら!
うわっ!
孔雀、つえぇぇ~
結構、足、でかいよ~。僕もでっかくなったのに、足で押さえこまれちゃった!

な、何でだよ~
僕、強いはずなのに……ジャガーになったのに(;_:)
こ、この孔雀、つ、強い……

孔雀は僕に目もくれず、またオンナを追っかけ始めちゃった。
……しょんぼり。
僕はとぼとぼと孔雀に背を向けて歩き始めた。

せっかく、ジャガーになったのに……
獲物も捕れないんじゃ、餓えちゃうよ……

がお~っ!

何だよ、僕落ち込んでるんだから、うるさいってば。

がお~っ!!

あぁ、もう、うるさい!

と叫んだ途端、がしっと掴まれちゃった。
え~~!? なんで、なんで?
気がついたら僕、すごいでかいお化けみたいな、真っ黒のヒョウに襲い掛かられてた。

あれよあれよと首に噛みつかれて……
何するんだ! 放して!
あぁ、もうだめだ。僕……せっかくジャガーになったのに……

き~~~っツ!!

……え??
緑と青が混じったみたいな大きな羽根が僕の頭の上でバタバタ、まるで舞うみたいに、でもすごい勢いでデッカイ黒豹に襲い掛かっている。
これ孔雀? それとも、ダチョウの見間違い?

え?

DSCN1514_convert_20130824191040.jpg
僕と黒豹の間に、綺麗な大きな羽根が立ちはだかってた。
孔雀はすごい声で啼いて、黒豹を追っぱらってしまった……

あ、あの……
あ、ありがとう??

孔雀はちらっと僕を見る。
あ、やっぱりデジャヴ?
と思ったら、さっさとオンナのところへ戻っていった……

……

……

迪ォ繝槭さ繝茨シ狙convert_20130824193448
あれ?
手がちっさくなってる。
トラ縞だし。

トラ猫に戻っちゃったよ……
せっかくジャガーになったのに……
がっくり。

……もう、やめてよ。頭、撫でないで。
僕、どうせちっちゃくて、一人で何にもできない子なんだ。
でも、僕、怒ってるんだから。

……あれ、オンナは帰ったの?
もうタケルも寝るの?
いいよ、あっち行ってよ。どうせ僕なんて好きじゃないんでしょ。
結局、オンナの味方するんでしょ。


でも、あの孔雀、ちょっとだけタケルに似てたかも……

……

やっぱりココがいいや。タケルのとなり。

お休み……

次は、ライオンの夢を見よ……っと。
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【迷探偵マコトの事件簿(6)】 了


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さて、孔雀は孔雀明王として、古くから信仰の対象でもありました。
害虫を食うというところから、煩悩を食べる神聖な鳥と考えられていて、密教の明王のひとつとなりました。
竹流は菩薩のような人なんですけれどね、ちょっと厳しかったり、勝手をしていたり。
でも、いざという時は、助けに来るのだ!

ライオンの夢、ラストはちょっとだけ、ヘミングウェイをもじってみました(^^)
ライオンになったら、孔雀を取り押さえることができるのでしょうか。

【迷探偵マコト】また、不定期で登場します。……多分(*^_^*)
遶ケ豬√→迪ォ・狙convert_20130629232532
limeさん、挿入画、載せさせていただきました。ありがとうございます(^^)





Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【猫の事件】迷探偵マコトの事件簿(5) 

Stellaタグ →Stella/2013/9月号
月刊Stella 2013/9月号参加 掌編小説
2223Hit記念 八少女夕さんリクエストにお応えして……


遶ケ豬√→迪ォ・狙convert_20130629112022
(イラストは小説ブログ「DOOR」のlimeさん。limeさん、重ね重ねありがとうございます(*^_^*))

掌編小説ですが、今回はいささか力が入ってしまいまして、少し力作(長さだけ^^;)になってしまいました。
「竹流が性懲りもなく犬を連れてきた」というのが頂いたお題。
以前、猫のぬいぐるみを2回にわたり持ち帰り、マコトの怒りを買っていたタケルですが、今回は本物の犬を連れてきたようで……さぁ、どうする、マコト。

連作掌編ですが、これまでのものを読まれていなくても、なんの問題もありません。
さらに、あまりブンガク的なものでもありませんので、気楽に気楽に、お楽しみくださいませ。
なお、かなり地の文を端折っておりますので、想像力を駆使してご自由な世界でお読みください。

参考までに、これまでのお話は→【迷探偵マコトの事件簿】(1)~(4)

<登場人物>
マコト:一人前になりきれない、でもオトナだと言い張るツンデレ猫。大きくなったら豹になるつもり。
タケル:ちょっぴり(かなり?)Sなマコトの飼い主。趣味はマコトをおちょくって遊ぶこと。




【迷探偵マコトの事件簿その7.マコト、ちょっぴり切ない事件簿】

[Scene1] マコト、シュクテキに出会う

あ、タケルだ。お帰り!
……っと、ウカツにもお迎えに行くところだった。
ぼく、猫だもんね。それにちょっと大人になったから、もう嬉しがってお迎えなんかしないんだ!

知らん顔で寝とこ……ん? なんか、ニオイが……

ちらっ。(片目でチラ見カクニン……)

……?

……え?

え~~~~!?

ぼく、慌ててソファから飛び降りて、部屋の隅っこに逃げ込んだよ。
だって、タケルが、なんかでっかくて黒い化けものを持って帰って来たんだ!

う~~。

そいつ、なに?
何か、唸ってる?
何なの!? 睨んでる~~!

でも、タケルはそいつをヨシヨシしてるんだ。
そいつ、無茶苦茶目つきが悪いよ!
ね、タケル、そいつ、ぼくを狙ってるよ!

わん!

げっ!!
ぼくは慌てて逃げた!
タケルの後ろに回ったけど、そいつは追いかけてくる!
わ~~~、タケル、助けて~~

って、知らん顔ってどういうこと??

こ、こんな時に何だけど、こいつ、いわゆる犬ってやつ??
は、初めて見たよ~
時々、テレビで見る、ハンニン追っかけて捕まえる、あれ?
わ~、こ、こわいよ~~、追いかけてくる~~!!
ぼく、何もしてないよ~~~!

ぼくは必死で逃げ回んなくちゃならなかった……のに。
タケルったら、そいつを優しく抱き止めて、おフロに連れてった。
覗きに行ったら、綺麗に洗ってやってるんだ。
犬のやつ、ぼくに気が付いて、ギロって睨んだ~~!

その日から、ぼくと犬、いやシュクテキの戦いの日々が始まった!
タケルはいっつもそいつをヨシヨシって大事にするんだ。
サンポとかにもふたり(?)で行っちゃうし、ぼくは置いてけぼりだし。

夜も、タケルはそいつと寝るんだ。
なんだよ! あっち行けよ!

毛を逆立てて唸ったら、唸り返される。
飛びかかったら、捕まって、首を噛まれる。
ぼくはもがいて必死に逃げた!
タケル、ぼく、このままじゃ死んじゃうよ~

ついにぼくは切れて、そいつが寝てる時、胴体にジャンプして体当たり攻撃してやった!

と、思ったら!
わ~~~~~、追いかけてくる~~~~~!!!!!!!
怖い~~~~~~~~!!!!!!

あ……。

……う。

お、おもらししちゃった。

……

もう、子どもじゃないのに……
げっ。タケルが起きてきた。
ぼく、あわてておもらししたところを隠すべく、その上に座ってみたけど……

タケルに首根っこ、つままれちゃった。
……しゅん。
……ごめんなさい。

黒いお化け犬はまだ唸ってる。
タケルは犬の頭を優しくなでてやってる。
ぼくは首根っこ、掴まれたまま。

なんで、ぼくよりそのお化け犬、大事にするの?

ぼく、家出してやる。

……

……って、ぼく、自分でドアも開けられないんだった。

次の日。
タケルはそいつとサンポに出て行った。

……それで、タケルだけが帰ってきたんだ。


[Scene2] マコト、初めてのトモダチ

ぼく、ちょっと嬉しかった。
シュクテキがいなくなったんだもん。
タケルの横で寝れるしね。
あ、もう、おもらししないよ。

あ、タケルが帰ってきた。
……でも、お迎えは行かないもん。
ぼく、オトナなんだ。

……あれ?
また、変なニオイが……

ちらっ。

……

……

何だか、ずいぶんムードが違うけど、それも、やっぱり犬、だよね?

何だよ、また、別の犬、連れて帰ってきたの?

今度は、白、というよりちょっと茶色がかった汚い毛で、体に濃い茶色と、薄い茶色のブチのある、すごくおっきい犬。
タケルは、そいつをまたおフロで洗ってやって、それから毛をつくろってやって。
ごはん作ってやって。
何か、赤ちゃんのごはんみたいな、どろどろの。
それから、やっぱりヨシヨシしてやってる。

ぼくがいるのに。

……やっぱり、家出する~~~!
ぼくは玄関まで走ったけれど……あ、そうだった。
ぼく、自分でドアを開けられないんだった。
……家出もできないなんて。

……なんか、みじめ。

タケルが出かけてる間に、ぼくはそいつに唸ってみた。
でも、そいつは唸らないんだ。
チラって、ぼくを見て、それから寝ちゃった。

ぼく、そいつにちょん、って触ってみた。
でも、そいつはちらっと僕を見て、やっぱり寝ちゃった。

ぼく、そいつに飛びかかってみた。

わ、ぽわって、はねる。
ふかふかしてる!
ちょっとしょぼくれてて汚い毛だけど、あったかいよ。

そいつはちらっとぼくを見て、それからちょん、ってぼくの頭におっきな手を乗っけた。
ぼくはそいつのお腹の横に引っ付いてみた。
動いてる。
ふわんふわんだ。

今度は上に乗っかってみた。
わ、お腹が動いてる。
上がったり。
下がったり。
で、ぼくはその上でちょっと転がってみたり。

あ、落ちちゃった!

そいつはむくりと顔を上げてぼくをさがして。
それからぼくを見つけると、ちょっとほっとした顔をして……また寝ちゃった。

……
ぼくも眠くなっちゃった。
わぁ。タケルの横で寝てるみたいだね。

そいつはサンポに行かないんだ。
ほとんどずっと寝てるし、びょうきなのかな。
ごはんもあんまり食べないし。
ぼくのねこまんまの方がおいしいかもよ。
ちょっと分けてあげたけど……やっぱり、ねこのごはんはいらないみたい。

タケルはそいつのためにベッドを作ってやった。
ぼく、お手伝いしたよ。
タケルが木を切ってる上に乗っかって、押さえてあげたんだ!

タケルがいない間は、ぼくがそいつの毛づくろいをしてあげるんだ。
そのかわり、そいつはぼくをおっきな体の上に乗っけてくれる。
上がったり。
下がったり。

……上がったり。
……下がったり。

あ、落ちちゃった。

ぼくはよじ登る。
……上がったり。
……下がったり。

……下がったり。

……

上がったり……? しない?

……ね。
寝ちゃったの?

ぼくはそいつの顔を、おっきな身体の上からのぞいて見たんだけど……

……

……上がらないし、……下がらない!!

わ~~~~!!!!!
タケル、タケル、タケル、タケル!!!!!
どこ? どこ~~~!?!?
タケル~~、どうしよう、どうしよう、どうしよう!!!!

……

……それから、ぼく、あんまり覚えてないんだ。
タケルが帰ってきて、全然動かないそいつを大事に抱っこして、どこかに連れてった。
ぼくは、いっぱい引っ掻いちゃったドアのキズを見てた。
だって、ぼく、自分でドアを開けられないんだ。

開けることができたら、初めてのトモダチといっしょにおサンポにも行けたのに。
開けることができたら……もっと早く、タケルを呼びに行けたのに……

そうしたら、ぼく、トモダチともっといっしょにいれたのに。

……ぼく、……ぼくね……
あのね、タケル……、あのね……


[Scene3] シュクテキ、再び

またタケルとふたりぼっちになったよ。
もちろん、ぼく、うれしいよ。
ねこまんまもおいしいし。
夜寝る時は、タケルの横であったかいし。

タケルは一回だけ、でっかいぬいぐるみ(もうぼくはだまされないんだ! ニオイがなくて、動かないのはぬいぐるみ!)の犬を持って帰って来た。
でも、なんか、やなんだ。

色もよく似てるけど。
においはしないし……
上がったり下がったりしないし!

がぶっ!
がぶ、がぶっ! しゅぴっ!
ぼくは、なんかやっぱりイヤんなっちゃって、引きちぎっちゃった。

タケルは帰ってきて、不思議そうな顔してぼろぼろのぬいぐるみを見てた。

……トモダチ、いなくなっちゃったのに。
それなのに、よく似たやつがいるのはヤなんだ。
だから今日は、ねこまんま食べて。
オフロ入って。
それから、タケルといっしょにテレビを見るんだ。

いつも最後は崖にいく番組をやってる。
これ、けっこう好きなんだ。
海が映るから。お魚がいっぱいいる海。

……あ。
思わずむくって頭を上げちゃった。

シュクテキだ!
ぼくは戦闘態勢に入った!

タケルがまた不思議そうにぼくを見る。

あ、そうだった。この箱の中には誰もいないんだった。
ニンゲンも、イヌも、ネコも。
海も本物じゃなくて、お魚も泳いでないんだった。

……なんだ。ホンモノのシュクテキじゃないんだ。

……

……シュクテキ、どうしてるのかな。
トモダチと同じように、動かなくなって、遠くに行っちゃったのかな。

……

ぼくはその日、シュクテキに追っかけられる夢を見たんだ。
ぼく、必死で逃げて……おもらししちゃった。

次の日、タケルがぼくを抱っこして、真っ赤なクルマに乗った。
わ~、ドライブだ~~!
ぼく、ドライブ、好きなんだ~

タケルはもういっこ、ナワバリ、じゃなくて家があるんだ。
おっきい家だよ。
木がいっぱいあって、近くに大きい水たまりもあるんだ。
風が気持ちいいんだよ。

あ、家が見えてきたね!
……何か、黒いものが走ってくるよ!

って……
そこに見えるは……

わん!

わ~~、タケル、タケル、タケル!!
シュクテキと目が合っちゃった!

わ~~~~!!!!

わん、わん、わんわん!!

わ~~~~~~!!!!!!!

わんわん!!!

わ~~~~~~~~!!!!!!!!

わんわん、わん、……う~、わんわん!!!!!!

わ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!

……

その夜。
ぼくは鬼ごっこに疲れて、タケルがベッドにやって来る前にばたんきゅーだった。

シュクテキ、パワーアップしてた。

ぼくだって。
……明日は、ぜったい負けないぞ。

……

……

ねぇ、タケル。
ぼくはきっと、タケルより先にここからいなくなっちゃうと思うんだ。

……そうしたら、タケルはさみしい?

……ぼくね、今ね、ちょっとだけさみしいんだ。

夢の中なら、また上がったり、下がったり、ぼく、落っこちたり……
トモダチといっしょに遊べるかな。

……タケルがぼくの頭を撫でてくれる。
それから、ちょっとぎゅうって……
タケルの手、おっきくて、あったかいね。


……ぼく、もう寝るね。
今日はトモダチの夢を見るんだ。

……それから。
明日はまた、シュクテキとたたかわなくちゃ!





マコトは知る由もありませんが、タケルはおそらく保健所に連れて行かれる犬をもらってきたのではないかと思われます。
最初の犬は、シェパード。もとの飼い主に虐待されて、ちょっと尖っている設定。
マコトとウマが合わなかったので、タケルはマンションではなく奥多摩にあるヤマト邸の方へ連れ帰っていました。ここでは、執事さんがいるので、面倒をみてくれています。
次の犬は、もう老犬で、もうすぐ死にそうなのに、先に飼い主(多分一人暮らしのお年寄り)に死なれちゃったセントバーナードという設定。もうあとわずかで寿命なのに、死に場所が保健所というのは憐れに思い、もらってきちゃった設定。

マコトの事件簿にしては、ちょっと重厚だったかも?
(大したことはないけど^^;)

あ、そうそう。なぜか最後は崖に行く番組、とは2時間ドラマのことです。
(って、分かりますよね……^^;)
タケルが2時間ドラマ好きという情報はありません。
多分、タケルはマコトが崖のシーンを好きらしいと思っているようです。
で、きっと、この2時間ドラマの刑事もので、警察犬としてシェパードが出てきていたのでしょう。

テレビの中のシェパードを見てシュクテキと勘違いして、で、ちょっと心配するマコト……
少し大人になったと思うのですが、いかがでしょうか(^^)

なお、時代がいささか古く、多分テレビはまだアナログだったのかもしれません。
だから、箱^^;


お楽しみいただけたなら幸いです(*^_^*)




Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【猫の事件】迷探偵マコトの事件簿(6) 

【迷探偵マコトの事件簿】その8.魚釣り編 海の事件簿
このシリーズも単なるシーンから始まり、一応(?)ストーリーっぽくなってきました。8作目です(^^)
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(イラストは小説ブログ「DOOR」のlimeさん。limeさん、このイラスト、表紙にさせていただきますね(*^_^*)(*^_^*))

あまりにもリアル仕事が大変で、更新が滞っておりますが、掌編だけは書いてみました(*^_^*)
というよりも、ウゾさん(ブログ:百鬼夜行に遅刻しました)の記事のコメントにあった、「魚釣りをするバージョン」話題についつい反応していまい……
→→ウゾさんの関連記事

私が書いたということは、その後、ワトスン君も、limeさんちのナギ・ミツル兄弟も、魚釣りに行くかも??

*連作掌編ですが、これまでのものを読まれていなくても、なんの問題もありません。
 内容はあさ~く、なにより楽しむことを前提にしてありますので、気楽にお楽しみくださいませ。
 なお、ねこの一人称ですので、かなり地の文を端折っております。
 想像力を駆使してご自由な世界でお読みください。

<登場人物>
マコト:一人前になりきれない、でもオトナだと言い張るツンデレ猫。大きくなったら豹になるつもり。
タケル:ちょっぴり(かなり?)Sなマコトの飼い主。趣味はマコトをおちょくって遊ぶこと。




【迷探偵マコトの事件簿その8.マコト、海の事件簿】


[Scene1] マコト、海釣りに行く

今日はタケルとお出かけなんだ~♪
……別に、喜んでるわけじゃないけどね。

でもね、あのね、ナイショだよ。
この頃、ちょっとだけタケルが優しいんだ。
ドライブにも連れて行ってくれるし。
もういっこのナワバリにもよく出かけるし。
もちろん、シュクテキと運動会、じゃなくて、たたかわなくちゃならないけど。
ぼくもだいぶコツを掴んだんだよ。
だから、たまにシュクテキのしっぽを踏んづけてやることもできるんだ!

でも今日はふたりきり。
海釣りに行くんだよ。
釣り、楽しいんだ。
ぼくもちょっとだけお手伝いするの。
タケルが釣り上げたさかなが逃げそうになったら、捕まえて押さえとくんだ。
ちゃんとご褒美に、ぴちぴちのおさかな、もらえるし。

海の風、気持ちいいね。
タケルはさっそくナワバリを確保して。
エサのミミズ、くっつけて。
海に投げ込んだ糸が、キラって太陽に光ったよ。
キラキラ。
キラキラ。
……綺麗だね。

ぼくはおさかなが釣れるまでの間、かげふみ遊び。
タケルからあんまり離れないようにして、遊ぶんだ。

……今日は、他にもおさかな釣ってる人がいるよ。

向こうにいるのは男の人。
ねこに取り囲まれてるね。
キジトラだけど白いとこが多いねこ、ぼくと同じ茶トラだけどお腹は白いねこ、まっ白なねこ、真っ黒のねこ、三毛猫。
5匹もいる!
ねこたち、すごい、ガンミしてる。
さかな、寄こせ~~~って感じ?
男の人、汗かいているよ。大変そうだね。
あ、キジトラしろねこと目が合っちゃった。
タケルの後ろにかくれよっと……

あっちには男の子のきょうだいかなぁ。
でも、釣竿を持ってるのはひとりだけ。
もうひとりは、なにしてるんだろ?
じ~っと海を見てる。
あ、その子が見てるところで、とつぜんおさかなが跳ねた!
……あ、また。
今度はもっと飛び上がった!
え? え?
ね、ね、タケル、見た?

……見てないね。

ま、いいか。
ぼく、タケルの側でまってる。

あ、糸がぴーんって。
わ~、おさかなだね!
青い空で、糸が光って、おさかなが飛んでくる!
わ~い。

タケルが始めにぼくにくれた!
あ、向こうの5匹のねこがいっせいにこっち見たよ!
早く食べよっと!

タケルはぼくのあたまを撫でて、それからまた釣りを再開。
ぼくは、おさかな、いっしょうけんめい食べるんだ。

……本当は生のおさかなよりも、タケルのねこまんまのほうが好きなんだけど。
タケルがくれたからね。
食べられるところだけ。

ふがふが。
はぐはぐ。
あ、ほね。
ぺっと出して。
ふがふが。
タケルが捕ってくれたおさかな、やっぱりおいしいね。

ん?
何か視線が……

ピンクのリボンを付けたまっ白な毛の長いねこが、こっち見てる。
すごくきれいな女の子。
目が合ったら、つーんと目をそらした。
なんだよ。

側には、白いパラソルをさした髪のながい女の人。
……にっこり笑って、タケルに話しかけた。


[Scene2] 海のおさかながいい

タケルはいつもよりずっと早く釣りをやめちゃった。
お片付けしてる。
……どこか行くの?
白いパラソルの女の人と、まっ白な毛長ねこ。
いっしょにお出かけするみたい。

ぼくもついて行く。
どこ行くの?(にゃぁ?)
タケルの横を歩いて、聞いてみたけど、女の人としゃべってて、ぼくのことは無視。

……

パラソルの女の人に抱っこされた白い毛長ねこが、ぼくを見下ろしてる。
……暑いなぁ。

……

海辺のとてもおしゃれなレストランにやって来た。
白いパラソルの女の人は、お店の人と知り合いみたい。
タケルはずっと楽しそうに女の人と話してる。
女の人の足元には、ピンクのリボンを首につけた白い毛長ねこ。
目が合ったら、またツン、と目を逸らされた。

なんだよ。
女って、分かりにくいんだから。

タケルと女の人のところにごはんが運ばれてくる。
すごくきれいにお皿にごはんが並んでる。
お店の人は、ぼくと白い毛長ねこにも、ねこ用のごはんをくれる。

……ねこのごはんなのに、お皿にきれいに並べてある。
みるくのソースがかかったおさかな。
ちらっと見たら、白い毛長ねこは少しずつゆっくり食べ始めてた。

……ぼくは……

見上げたら、タケルは女の人の話をいっしょうけんめい聞いてあげてる。
すごくかっこいい笑顔で。
白いパラソル女、くちびるが赤すぎ。
お酒の赤い色みたい。

ぼくは、ぼくのお皿を見る。
きれい盛り付けられたごはん。
白いミルクソースのかかったおさかな。
ぼくはちらっと白い毛長ねこを見て、それからちょっとだけミルクソースを舐めてみる。

……

白い毛長ねこは少しずつ舐めながら食べてる。上品に。
あんな食べ方、おいしいのかなぁ?
白いパラソル女はタケルのほうに乗り出して来てる。

……

……これ、やっぱり、おいしくない。

さっき、タケルがくれた、ぴちぴちのおさかなのほうがいいや。

……

……なんか、つまんない。

ぼくは、お店のドアが開いた瞬間、そのドアをすり抜けて外に出た。


[Scene3] うちに帰ろう

外は明るくて、ちょっと暑い。
ぼくはとぽとぽ歩いてた。
さっきの海の近くに戻ろうかな。
他のねこもいたし。

……でも、ぼく、ひとりでお出かけしたことないし。
ここ、知らないし。
車の道、熱くて、足の裏が焼けそう。

きーーーっつ!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

耳の中を裂くみたいな音!

ぼくは一瞬、頭が真っ白になった……

……

……

あれ?

何だか体が浮いてる……
空を飛んでる?
ぼく、死んじゃったのかなぁ?

あったかい……
トモダチの上に乗っかってるみたい……

……

……

誰かが何かを叫んでる。
知らない人の声。すごく怒ってる。
……それから、タケルの声?
死ぬときって、いろんな声が聞こえるんだなぁ……

……

……

あれ?

ぼくは頭をふった。
タケルが珍しく、大きな声で話してる。
クルマの中にいる人も何か叫んでる。
やっぱり怒ってるみたい……
でも、タケルも、すごく怒ってるみたい。

そのうち、車の中の人がキレて、ドアをばん!と閉めて走り去った。

ぼく、車にひかれ掛けたみたい……
でも、どうしてタケルは怒ってるんだろう??
ぼくが勝手に出て行ったから?

それからタケルは、白いパラソル女と、白い毛長ねこのいるお店にもどって。
もちろん、ぼくを連れて。

でも、何か話をして、お金払って、すぐにお店を出た。
白いパラソル女と、白い毛長ねこを残して。
……ぼくだけを連れて。

タケルは何にもぼくに言わない。
でも、いつもよりぎゅっと、強くぼくを抱き締めてて……

あの。
……ちょっと苦しいんだけど。

ぼくはもがいてみる。
そうしたら、タケルはよけいに強くぼくを抱き締める。

……苦しいんだけど。

……ま、いいか。

タケルは海の側に戻って、くるまのドアを開けて。

もう帰るの?

……うん、今日はぼくもおうちがいいな。
崖のところに行くテレビ番組、見ようよ。

車の窓から外を見たら、5匹のねこはまだ並んでじーっと一人の男の人を囲んでいる。
ふたりの男の子は並んで海に向かってる。
その子たちの真ん前の海から、急にさかなが飛び出してきて……
きらっと光って……陸の上で跳ねた!

ね、ね、タケル、見た?
あの子、釣竿、持ってないんだよ!

ぼくはタケルを見て話しかけてみたけど。
タケルは気が付かないままで……

くるまが動き出した。

ぼくはタケルの横顔を見て、それから助手席のシートに丸まった。

……クーラーの中で、おさかなが跳ねてるみたいな音が聞こえる。
おうち帰ったら、それ、ねこまんまにしてね。


タケルの手がそっとぼくの頭を撫でた。




マコトはぼーっと歩いていて、車に轢かれかけたのですね。
でも、車を運転していた人も、彼女とデート中で前を見ていなくて、ちょっと危ない運転をしていた。
マコトが出て行ったのを追いかけてきたタケルがそれを見ていて……
マコトに怒って怒鳴っている運転手に、「お前の運転が危ない!」と怒っていたようで。

ま、マコトは分かっていないかもしれませんね。

limeさんの「メロメロに可愛がられるマコト」まではいきませんが、結構可愛がられているみたい…?
でも、ブラックでSなタケルがやっぱりいいかも……^^;


お楽しみいただけたなら幸いです(*^_^*)

週末なのに、今週末は平日みたいに働いている……
もちろん、平日のお休みはないまま……
庭掃除もできないまま……

でも、来週末は、初めて大阪にやって来る光一くんのSHOCKと、B'Zのライヴ!
さ来週末は、出張で熊本なので、ついでに(やっと)夏休みを数日とりました(*^_^*)
佐賀の巨石パークと、装飾古墳、大分のストーンサークルや巨石群を見に行く予定。
それまで頑張るぞ!



Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【猫の事件】迷探偵マコトの事件簿(7) 

【迷探偵マコトの事件簿】その9.マコト、行方不明になる

*前出・三味線記事へのコメント、ありがとうございます(*^_^*)
本日、演奏に行ってきます。帰ってきたらお返事しますね!

3333Hit記念企画、リクエスト編です。limeさんから頂いたリクエスト。
【海に落ちる雨】と逆パターンで、マコトがいなくなって慌てるタケルです。
遶ケ豬√→迪ォ・狙convert_20130629112022
(イラストは小説ブログ「DOOR」のlimeさん)

連作掌編ですが、これまでのものを読まれていなくても、なんの問題もありません。
内容はあさ~く、なにより楽しむことを前提にしてありますので、気楽にお楽しみくださいませ。
ただし今回は、それなりに力作(!)のため、やや長くなっています。
内容がないので、すぐ読めますけれど^^;

なお、これまで一貫してマコトの一人称で書いてきましたが、今回のお題の関係上、タケル視点などが初めて出てきます。お楽しみください。
また、かなり地の文を端折っております。想像力を駆使してご自由な世界でお読みください。
また、途中、マコトの思い込み、ネコの浅知恵的発言がありますが、さらりと読み流してください。

<登場人物>
マコト:一人前になりきれない、でもオトナだと言い張るツンデレ猫。大きくなったら豹になるつもり。
タケル:ちょっぴり(かなり?)Sなマコトの飼い主。趣味はマコトをおちょくって遊ぶこと。
オンナ:タケルの恋人のひとりらしい。
他、数名(お楽しみに!)



【迷探偵マコトの事件簿その9.マコト、行方不明になる】


[Scene1] ぼくにできること

タケルがびょうきなんだ。
なんかね、とおいトコロに宝さがしに行って、びょうきをもらって来ちゃったんだって。
それでね、うつったらいけないからって、ぼく、部屋から追い出されてるんだ。

ニンゲンのびょうきだから、ねこにはうつらないと思うのに……
だからイイガカリなんだ!
オンナが来て、タケルとふたりっきりでいたいから、ぼくを追い出すんだ。

でも……
いつもだったら、ちょっとくらいびょうきでも、タケルがぼくを中に入れてくれるのに……
きっととってもしんどいんだ。
ぼくは入れてもらえない部屋のドアの横で、ずっと丸まってる。

うん。ぼく、分かってるよ。
ぼくはごはんも作ってあげられないし。
おくすりの用意もしてあげられないし。
毛づくろい、じゃなくて、からだを拭いてあげることもできないし。

だから、ぼく、おとなしくまってるね。

……まってるね。

……

オンナが出てきた。
ぼくはちょっと顔を上げる。

オンナは食べ物とか飲み物とか持って部屋を出入りするとき、きっとぼくをにらむんだ。
あなたが入ったらタケルの病気がもっと悪くなるわって。
だからここでいい子にしてなさいね、って。
そう言って、ぼくの前に冷たいまんまのミルクを置いて行く。

ぼく、もうお子ちゃまじゃないから、ミルクなんていらない。
タケルのねこまんまがいいもん。
だから、タケルが元気になるの、まってる。

……

……つまんないな。

……早く元気にならないかな。

時々、部屋の中からタケルの咳とか、聞こえる。
ぼくは耳を立てて、それを聞く。
ちょっとしんどそうなんだ。
ごはんも、たくさん食べれないみたいで、オンナはため息をついて部屋から出てくる。

なかなかよくならないね。
……ぼく、何もできなくてごめんね。

……丸まって待ってるだけなんて。

あれ、オンナが部屋の中で怒ってる。
ケンカしたのかな。
あ、出てきた。
……すごい睨まれた!
帰るのかな。

そうだ!

ぼくは、帰っていくオンナの後について行って、ドアからすべり出た。

きっとおいしいもの食べたら、すぐなおっちゃうよ!
きっとオンナのごはんがおいしくないんだ。
だって、タケルのごはん、すごくおいしいんだもん。

ぼく、タケルが好きなもの知ってる!
ぼくが採ってきてあげるね。
ぼくはおさかなと海のにおいを追いかけて走った。

いつもタケルがお買いものに行くツキジは、すぐそこなんだ。

わ。
おさかな、並んでる!
一匹、ちょうだいね!

って、わ~~~~~!!
おじちゃんが追いかけてくる~~!
いつも、可愛いねこだねって言ってくれるじゃないか!

今度はあっちのお店で。
一匹、ください!

って、わ~~~~~~!!!!
今度は犬が追いかけてくる~~~!!

タケルがびょうきなんだから。
ね、おねがい! ……って言っても、通じないや……

とぼとぼ。
ぼくは海っぺりを歩く。
ぼく、釣竿持ってないし。
自分じゃおさかな、捕まえられないよ。

あ。
しっぽならどうかなぁ?
しっぽでおさかな、とれるかも。
ぼくは海の方におしりを向けて、水面へとしっぽを垂らしてみた。

……やっぱりぼくのしっぽじゃ、海には届かないや。もちろんおさかなにも。
もうちょっと伸ばしたら、届くかな。

よいしょ。
おしりをもうちょっと落として……

う~ん。
もうちょっと……かなぁ。
ぼくは振り返ってみた……

とたんに! ずりっ! ぐらりっ!

あれ!?
うわっ!?

……じゃぼん!!!!!
ぶくぶくぶく……

わ~~~~~~~~~、タケル、タケル、タケル!!!!!
あっぷ、あっぷ、あっぷ。
ばしゃ、ばしゃ、ばしゃ。
ぼく、泳げないよ!

助け……て……
……ぶくぶくぶくぶく……
何か、まっ白になってきた……

タケル……

……

……待ってて。ぼく、おさかな持って帰るから……

きっと、帰る、から……


[Scene2] 捜索願い

やれやれ。すっかり怒らせてしまったな。
全く、女というのは困った生き物だ。
猫と私のどっちが大事なのって、それを聞くのは反則と言うものだ。
それは答えられるような問いではない。
まぁ、そんなことをわざわざ聞く女という生き物は、それで可愛いものなんだが。
しかも、女は時々、現実的で的を射たことを言う。
猫なんて、何の役にも立たないじゃない。
……それは確かに当たっている。
でも、ちょっとあの拗ねたような、怒ったような顔を見たいんだ。

まだ熱っぽくて体がだるいが、マコトの顔を見て、この間買ったねこじゃらしでちょっとおちょくってみたら、気分もよくなるかもしれない。
そう思って、何とか起き上がって、リビングの方を覗いて見た。

……
マコト?

呼びかけてみたが、返事がない。

マコト?
俺はまだぼんやりとした頭と、動きの鈍い身体でマンション中を探してみたが、マコトの姿がない!

何でだ。
あいつは一人で、いや一匹で出かけることなどできないはずだ。
まさか。誘拐された?

俺は慌てて彼女に電話を入れる。
何よ! 私があんな可愛くないちびねこ、さらったとでも言うの?
冗談じゃないわよ! 熱で、ついに頭がおかしくなったの??
がちゃん!!!!!

俺は勢いよく受話器を叩きつける音に我に返った。
それはそうだ。俺としたことが、何を血迷っているのだろう。
彼女を疑うなんて。

何かの拍子にドアから出ていってしまったんだろうか。
あいつ、怖がりだし、一人で、いや一匹で遠くに行くことはないだろう。
俺はとにかく玄関のドアを開けて、廊下を覗いて見たが、やはりマコトの姿はない。

いったい、どこに行ったんだ。
この間も車に轢かれかけたし、ちゃんと前を見ていないし、危機管理がなってないし。
それに、なによりまだ仔猫だし。

俺はふらつく身体で外に出た。
だが身体がまるきり言うことを利かない。
倒れそうになって、また我に返った。
駄目だ、どうしても今、自分ではどうすることもできない。

俺は部屋に戻って、もう一度、押し入れの中までひっくり返して探してみたが、やっぱりマコトはいない。
そのうち帰ってくるだろうか。
少しだけ玄関のドアを開けて待ってみることにした。

少し動いただけでクラクラする。
俺はソファに横になり、少し休んだ。
その短い眠りの間に、奇妙な夢を見た。
マコトがどこか暗い所に沈んでいく……
俺は、自分の叫び声で目を覚ます。

駄目だ、じっと待っているなんてできない。警察だ。じゃなくて。
俺は電話帳をめくった。
ペットさがし専門探偵社。
あった。
……オフィス天道。


[Scene3] オフィス・天道

香月、お前ね。
天道さんは俺とこの子をじっと見ていたが、やがて溜息と共に言った。
いや、俺はさ、お前が趣味のひとつも持ってくれて嬉しいよ。
けどさ、釣りってのは普通、魚を釣るもんだぜ。それが猫を釣ってきてどうするよ。

ちょっと前、天道さんが、女を作るか、あるいは趣味のひとつも持ったらどうかと言った。
女はちょっと今はいいやと思うから、趣味に釣りなんかどうかな、と思ったんだ。
ぼ~っと暇つぶしもできるし、俺にぴったりだという気がする。
でも、行ったら釣れなかったんだよな。
ボウズってのも悔しいし、釣れたことにして築地の市場で魚でも買って帰ろうと思ったら。

はい、確かに猫を釣ってきました。
溺れてたんで、持っていた網で掬い上げただけなんだけど。

飼い猫かなぁ。
野良猫かなぁ。
病院、行かなくていいかなぁ。
お腹すいてないかなぁ。

ライナスとチップは、びしょぬれで怯えている猫に興味津々だ。
猫は震えながら俺にしがみ付いている。
犬が怖いんだろうか。

その時、電話が鳴った。
はい。
天道さんが電話に出る。

猫ですか。とりあえず事務所に来てくだされば……え? 来れない?
とにかく特徴と、いなくなった状況を教えてください。
え? 今いなくなったところ?
あなたね、それはもうちょっと待ってみたらどうなんです?
待てない? いや猫だってね、色々と忙しいものなんですよ。
いや、うちも商売ですからね、どうしてもというなら、すぐに探しに行きますけれどね。
いやいや、そんな高額の代金をせしめるつもりはありません。
まぁ、何か事情がおありなんですね。わかりました。
特徴をどうぞ。
茶トラ、オス、目は左が黒っぽい茶色、右が碧、いわゆるオッドアイですね。
額にマクドナルドの印みたいなМ、尻尾は長くて端までしましま。
脚も端までしましま。耳にちょっとキズあり。犬にやられた、と。
歳は1歳くらい。いなくなった場所は築地の近く?

天道さんはちらりと俺と猫を見る。

あの、お客さん、今目の前にそれとよく似た猫がいますよ。
いや、極めてそのものみたいな猫が……
うちの従業員が築地の近くで溺れそうなのを助けた……ちょっと、お客さん??

切れちゃったよ、えらく慌ててたなぁ。
そう言いながら、天道さんが猫をまじまじと見る。
確かに、耳にちょっとキズがある。

香月、お前すごいな。予知能力でもあるのか?
この依頼が来ることが分かっていて、魚の代わりに猫を釣ってきたのか?

いやいやいや、幾らなんでもそれはないでしょう。
それを言うなら、偶然にしても、うちに電話をかけてきたその飼い主の方にびっくりしてください。千里眼ですかね。
それから、さかなの代わりに猫を釣ったとか、いちいち言わないでください。

俺はそう言いながら、ずぶ濡れの猫を拭いてやり、温かいミルクを作ってやった。
けれども、猫はミルクには見向きもせずに、ライナスとチップを避けるように窓際の棚に上がってしまう。

猫は窓から外を見ている。
寂しそうに。心配そうに。……不安そうに。

その時、猫の耳がぴんと立った。
いっしょに窓の外を覗き見ると、タクシーから一人の男が慌てたように飛び出してくるところだった。
背の高い金髪の外国人だ。

猫は瞬時に棚を飛び降り、ドアに走り寄り、がりがりと引っ掻きだした。
開かないと分かると、俺の方を見て、にゃあにゃあ鳴く。
開けてやったら、転がるように飛び出していった。

車に轢かれたら大変と追いかけていったら、丁度金髪外国人が階段を上ってくるところだった。

マコト!
金髪外人が叫ぶ。

猫は転がり落ちるように階段を降り、途中でジャンプして、金髪外人の腕に飛び込んだ。
お見事。
金髪外人は猫をぎゅうっと抱き締めて、その頭をしきりに撫でている。

途端に、猫は何を思ったのか、我に返ったように、金髪外人の手にがぶっと噛みついた。
それから、いったん腕から飛び降り、そしてちょっと唸って、最後はちょっとしょんぼりして、結局金髪外人の足にくっついた。

その時。
金髪外人がぐらりと傾いて、階段に倒れ込む。
俺は慌てて駆け寄った。
猫がにゃあにゃあと悲鳴のように鳴く。

大丈夫ですか?
わ、すごい熱だ。

すみません。病み上がりで、ちょっとまだフラフラで。
金髪外人は流暢な日本語を話した。
病み上がりって、まだ十分、病の最中に見える。
そりゃ、自分で探しに行けないわけだ。
天道さんが下りてきたので、彼を助けて、とりあえず猫と彼をオフィスに誘う。
ソファに横になってもらって、それからしばらく休んでもらった。

猫は尻尾を海に垂らして、こんな感じで。
状況を説明してみると、この猫は魚を釣ろうとしていたような気がしてきた。
もしかして、病気の飼い主に美味い魚でも食わせてやりたいとか、思ったのかなぁ。
……まさかね。

やがて、如何にも時代がかった「執事」という感じのむっつりとした顔の男が、猫と金髪外人を迎えに来た。
何もしていないからと天道さんは代金を受け取らなかった。

でも、次の日、擦り切れてぼろぼろで穴も開いていたオフィス天道のソファは、素晴らしいすわり心地の新品にとって代わり、俺にはピカピカの釣竿セットが届いた。
某アイドルグループのリーダーも釣りが趣味だというし、お魚と戯れすぎてブログ更新もままならないブロガーさんもいるくらいだから、釣りってこれからちょっとトレンディかもね。

あの猫も、もう少ししたら、自分一人で、いや一匹で出かけるようになるだろうな。
そうしたら、たまに一緒に海釣りもいいかもしれない。
あるいは、もしかして、猫探しを手伝ってくれるかもしれない!
……なわけないか。
猫だし。

というわけで、しばらく「趣味」は釣りってことにしておこうと思う。


[Epilogue] When You Wish Upon a Star

……だって。
ぼくとしたことが、テンパっちゃって、タケルの胸に飛び込んじゃった……
まるで月曜日の夜9時からやっているドラマみたいだよね。
だから、ぼく、照れ隠しに、タケルの手、噛んじゃった。
……怒ってる?
……怒ってない?
タケルはまだしんどそうだけど、おうち帰ったら、ぼくのねこまんまだけは作ってくれた。
それから、一緒にお布団で眠るの。

……ぼくはタケルの横で夢を見る。
古いレコードから、音楽が聞こえる。

星に願いをかけるとき 君が誰かなんてことは関係ないんだよ
だから星に願いをかけてごらん 心から願えばきっと叶うから

うん……ぼくがねこでも、願い事をしていいんだよね。
だからぼくは星に願いをかけてみる。
タケルが早く良くなりますように。
オンナがぼくを苛めませんように。
ぼく、早くおっきくなって、いつかタケルのお手伝いができるようになるね。

……いつかきっと、豹になるぞ!






limeさん、リクエストありがとうございました。
お楽しみいただけましたでしょうか。

ペット捜し専門探偵社・オフィス天道についてはこちら→→オフィス天道
【凍える星】の物語はすごく悲しいことや苦しいことも含まれていますが、私はlimeさんの物語の中でも特別にいいなぁと思いました。構成も登場人物たちも、とても素晴らしいです。
まだ読まれていない方は是非に!

さて、どうせ変な秘境にトレジャーハンターに行っていて、熱出したんだろう。変な感染症じゃないのか、とか、それなのに、うろうろしていていいのか、とか、あれこれ思うのですけれど、自分じゃどうしようもないくらいしんどい、という設定に無理やり持って行ってしまいました。
ま、これはファンタジー(!!)ですから、細かいことは目を瞑ってくださいね!

読んでいただいて、ありがとうございます(*^_^*)

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(8)あけましておめでとう! 


明けましておめでとうございます!
ブログを始めて1年足らず、何とか挫折せずに年を越すことができました。
地味なブログですが、訪れてくださる皆様方のお蔭さまと、ひとえに感謝申し上げます m(__)m
ありがとうございます!!!!

あと1か月ほどでブログも1歳になります。
またその時にお礼を申し上げなくちゃと思うのですけれど、ここはひとまず、目出度い寿ぎ。
馬は翔けると申しますので、今年、皆様方が心で温めておられる様々な計画が良き発展を遂げられることを、心から祈願いたします。
今年も、よろしくお願いいたします。

まだお年始のご訪問ができていませんので、また後程皆様にご挨拶にお伺いしたいと思います。
が、その前に、うちのマコトから新年のご挨拶です。
ちょっと舌足らずですが、練習したので、聴いてやってくださいませ(*^_^*)



みなしゃま、あけましておめれとーございます。
(タケル、ちゃんと言えたよ!)
(さっさと続きを言いなさい。練習したろ)
きゅうねんちゅうは、えーっと、おせわしました!
(ちがう! しましたじゃなくて、なりました!)
あ、おせわなりました!
(ちょっと一文字抜けてるけど、ま、いいか。はい、続き)
ことしも、えーっと、えーっと、いーっぱい、おせわしてください!
(よろしくおねがいします!)
よろしくおねがいします!

タケル、言えたよ! スキー、行こ!
(だめ、先に皆さんに近況報告しなさい)
スキー~~~!
(後で連れて行ってやるから)
はい。じゃ、キンチョーホウコクしましゅ!
(じゃなくて、キンキョウ! それじゃ蚊取線香だろ)
あ、キンキョウホウコク……しましゅ!……します!

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(イラスト:limeさん:小説ブログ「DOOR」)

冬休み。タケルはちょっとだけお仕事がおやすみなの。
それでね、ぼくね、タケルの大シンユウのいるホッカイドウに来てるんだよ。
えっとね、タケルの大シンユウはすごいおっかないオジーちゃん。
めつきがシュクテキそっくりなんだ。
(今のところ、マコトはびびっています……タケル談)

それでね、それでね。
ここはヒタカコンニャク、じゃなくてサンミャクが見えるボクジョウです!
ボクジュウじゃないよ! 黒じゃなくて、白だから!
(マコト、面白くないよ。てか、お前、よくボクジュウ知ってたね
 え? テレビで見た? 顔に×とか描く? お前、いつの時代のテレビ見たの?)
今日は外野がうるさいでしゅ。……です。
あ、タケルがにらんでる……

とにかくね、ぜんぶまっ白なの!
朝はね、晴れたらキラキラなんだよ。くもってる日の方が多いけど。
でね、ふわっふわなの。
だからぼくみたいにちっさくても、歩いてたら……雪の中に沈んでくの。
ずぶずぶずぶ……って。

まわりが真っ白のような、青いような、キラキラに囲まれるみたいになってく。
マコト!っていつもタケルの声がするの。
だって、ぼく、まっ白の中に埋まっちゃうから、タケルには見えないの。
だから、タケルがぼくの小さい足跡をさがしてくれる。
さがして……ちょっとだけ掘って……
ばふっ! わは、タケルだ!
タケルに抱きついたら、真っ白になったぼくの頭を払ってくれる。

でね、ボクジュウ、じゃなくてボクジョウには、おっきいキョウリュウみたいな生き物がいっぱいいるの!
でも平気! ぼく、強いもん。
(嘘つけ。誰だ、目を回したのは。しかも、いい加減に覚えなさい。馬って教えたろ)
そう、お馬、えっとね、車くらい速く走るの。

そう言えば、今年は午年なんだって。
牛みたいな字なのに、ウマ? なんで?
馬さん、おめでとう!
(チガウの? 馬さんにおめでとう言うんじゃないの?)
でもね、おウマさん、すっごく優しいんだよ。
タケルがいないときは、ウマさんの小屋で遊ぶの。
おかーさんみたいに舐めてくれるよ。

それでね、ぼくね、タケルといっしょにお背中に乗っけてもらうの。
馬さんのお背中はすっごく高いから、すっごく遠くも見えるんだよ。
でも、ずっと向こうまで真っ白なんだ。
ほんとに真っ白。不思議な景色だね~
人間もねこも、とってもちっさくなった気がするの。
……ねこははじめっからちっさいけど……

あとね、犬もいっぱいいるの。
黒くてこわい犬(オオカミ犬のことかな、タケル談)と、白と黒のハンにゃ(にゃ?)みたいな犬(ハスキー犬のことらしい、タケル談)がいっぱい。
あと、でんわのコマーシャルに出てる犬もいるよ!
(でんわのコマーシャル? ……北海道犬のことかな? タケル談)

それからね、おうちの中ではね、こたつ!
こたつに、おみかんと、ねこ!
冬のひっすアイテムなんだって!
でも、ぼく、おみかんは食べないの。
でも、おみかん、ころころ、ころころ、ころころ……前足でキック!
上からばしっ! くるん! ころころ!
あ、遠くに行っちゃった……あ、タケルのシンユウのジーちゃんだ。
食べ物をそまつにしちゃいかん! って怒られるから、逃げよ。
ね、タケル、そまつにしちゃいかん、ってどういう意味?
(大事にしなさい、ってことだよ)
うん(ぼく、大事にころがしてるよ?)。

お昼にはおもちを焼くの。
おもちって、最初はぺっちゃんこなのに、アミの上で焼いたら……
おっきなお化けになるんだよ!
うぅ~~って唸ってたら、タケルが笑うの。
ぱん! ……あ、お化け、消えたよ??

それからね……あ、もうお山に行くんだって!
ぼくはタケルのスキージャケットの中に入れてもらうの。
わ~い、あったかい~
毎日、おうちの近くのふつうのお山みたいなところに行くの。
す~ってタケルが滑って、ぼくはちょっとだけ、顔を出すの。
風が冷たい~! でも、気持ちいい~~!
それで、もう一回お山の上に登るの。
もう一回すべるよ~
わ~い!
ぼくはもうちょっとだけたくさん顔を出す。
そうしたら、自分がスキーやってるみたいなんだよ。
かお、ちべたい~~~!

あ……!
うわ~っ!!!!
お顔、出し過ぎて、タケルのジャケットから飛び出ちゃった!
どすん!
ころんころんころん………
ぐるんぐるんぐるん~~~~~????

何にも見えない~
目が回る~
まくっらなような、まっしろなような……

ごつん! ごきっ!?
おみみ、つめたい~! ちんちんする~
がしゃがしゃがしゃ……掘ってる音??

ばふっ!!
明るくなった!
お空だ!
あ、タケルだ!
わーい。……っと、う、動けない……
からだが雪に埋まってる……
ぼく、ねこだるまになってる!
タケルが笑ってる~~
は、早く出して!

は~、ちめたかった!
それでまたタケルのジャケットの中にもどるの。

今日も疲れたね~
タケルのシンユウのおうちに帰って。
そうしたら、ごちそうが待ってるんだよ!!!!!!
スケトウダラ! ホタテ! カニ! イカ!
親子どんぶり! トリとタマゴじゃないよ! しゃけとイクラの親子どんぶり!
コンブだしのお料理もすご~くおいしいの! もちろん、ぼくはカニ汁!
たくさん食べた~。
はぁ~ お疲れちゃんです! ……もう寝るね。
(こら、ちゃんとあいさつを締めくくって。自分のことばっかり言ってないで)

あ、みなしゃま、ぼくは楽しくホッカイドウで冬休みしてました。
みなしゃまはいかがお過ごしでしたか。
まだまだ寒い日が続きますが、お体、お大事にしてください!
今年もとってもとってもよろしくおねがいしましゅ。
(よくできました。……というわけで、うちのマコトを、今年もよろしくお願いいたします。
 ちなみに、人間の方も、可愛がってやってください……マコトの飼い主のタケルでした。)

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(イラスト:limeさん:小説ブログ「DOOR」)

というわけで、今年もよろしくお願いいたします。
やっぱりねこに挨拶させると、ハチャメチャでしたね^^;
ご容赦ください。
皆様にとって、良き年でありますように。

さて、みなさん。ここから先はマコトの事件簿(10)マコトのX-file……何があったんでしょう?
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【迷探偵マコトの事件簿】(9)マコトのみのしろきん 

DSCN3076_convert_20140209220556.jpg
雪も陰に残るだけとなりました。
雪ウサギを作ってみようと思ったけれど、手が冷たくて(T_T)
子どもの頃は、平気だったのに、大人になると我慢が足りなくなるのかもしれません。

そんな、寒い夜、マコトの物語で少し温まって頂けたらと思います。
今日のお話は『マコトのみのしろきん(身代金)』……タケルとマコトの言葉を越えた交流をお楽しみください。
そう言えば、新美南吉さんはこれを『生存所属を異にしたものの魂の流通共鳴』と表現されていましたっけ。
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書きながら、自分でちょっとうるうるしてしまいました。
いえ、自画自賛じゃなくて……マコトに感情移入しちゃって……なんでだろ??
最近忙しくて、疲れてるんだわ^^;
オリンピックでも見て、元気を出そうっと。

上村愛子さん、メダルを逃したけれど、素晴らしい滑りでしたね。
あんなふうにインタビューで答えられるのは、これまで頑張ってきた自分に胸を張れるからですね。
感動をありがとう!
そして、これから登場の皆さんも、頑張って!
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【迷探偵マコトの事件簿】(10)ぼくらの秘密基地 

宝来くんとマコト
【迷探偵マコトの事件簿】第12作目『ぼくらの秘密基地』をお届けいたします。
これまでもこの作品には、幾度かブログのお友達のところからゲストをお招きしていたのですが……
今回、ゲストに来ていただきましたのは、『だぶはち宝来文庫』のスーパーアイドル、宝来くんです。
『だぶはち宝来文庫』さんはファンタジー小説を書かれる大和かたるさんの広報ブログ。
その看板息子がダブル八割れラッキーにゃんこの宝来くんなのです。
ママさんの愛息子への優しい視線、面白すぎるお写真、絶妙の語りに癒されない日はありません。

その宝来文庫の宝来ママさんにラブコールを送ったところ、『迷探偵マコトの事件簿』への出演を快く受けて下さり、宝来くんとマコトの共演と相成りました。
宝来くん、ママさん、大和さん、ありがとうございます(*^_^*)

<登場人物>
マコト:まだまだ半人前のツンデレ猫。大きくなったら豹になるつもり。いつも一人ぼっちでお留守番。
タケル:ちょっぴりSなマコトの飼い主。趣味はマコトをおちょくって遊ぶこと。お仕事は修復師兼ギャラリーのオーナー。
宝来くん:『だぶはち宝来文庫』の看板息子。頭の前後に八割れ模様を持つ大和かたる家の招き猫。
ママさん:宝来くんの飼い主(というより、まさにママ)。とっても優しい。


<参考文献>
*『アヤメさま、宝船に乗る』のポスター→→2013/12/30の記事
*NEccoSunさんの描かれた宝来くん像→→2014/2/2の記事
*布団基地→→2014/1/29の記事2013/12/9の記事

では、宝来くんを迎えての『迷探偵マコトの事件簿』、お楽しみください。
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【迷探偵マコトの事件簿】limeさんからイラストを頂きました! 

宝来くんとマコト400

先日アップした【迷探偵マコトの事件簿】(10)『ぼくらの秘密基地』にlimeさんが素敵なイラストを描いてくださいました。
『にゃんこ にゃんこ。』

宝来先輩とマコト、そして布団基地の素敵なイラストです。
宝来ママ(だぶはちの宝来文庫)も大海もとっても嬉しいツーショット(*^_^*)
宝来くんは(実はちょっとヘタレだけれど?)あくまでも先輩家ねこの威厳を保って凛々しく、マコトはその先輩を憧れの目で見上げている、そんな2人、いや2匹を優しく包む布団基地。

前回の作品で、宝来くんは始めとっても警戒していたのに、マコトが寂しそうで不安そうなのを見て、何とかしてくれようとしたのですよね。
マコトはそんな宝来くんをすっかり信頼しているのです。

というわけで。おまけ(*^_^*)



今日からタケルはまたちょっとだけお出かけなんだって。
でも、ぼくは平気!
(ほんとはちょっとだけ寂しいけれど)
宝来先輩のところで待ってるね!

わ~い! センパイ、来たよ~
ぼくは先輩に飛びつく。
先輩はちょっとだけため息。
またお前かぁ、って顔。
でも、最初だけなんだ。
きっと先輩もぼくが来て、うれしいはず! ……だよね?

センパイ、今日は何を教えてくれるの?
全く、お前はしょうがないなぁ。じゃ、今日は「かぷっと」を教えるぜ。
わ~い! ……で、かぷっと、ってなに?

宝来先輩はぼくの顔をじっと見て、もう一度ため息。

お前にはまだ無理かもしれないな…… 
どうして?
かぷっとには、どんな大きな相手にも怯まず、逆にどんな小さな相手でも気を抜かず、気持ちを込めて挑むという気概が必要なんだ……(遠い目)

そうなんだ……じゃ、ぼくにはまだ無理だね……
ぼくはちょっぴりがっかり。
でも優しい先輩はふっと目の前のキョロちゃんを見つめる。

仕方がないな。模範演技を見せてやるよ。
でもな、技ってのは教えてもらうんじゃなくて、盗むもんなんだ。おいらの背中をみて、学ぶんだぜ。

わぁ、すごい!
いつの間に箱にこんな穴が……
ほんとにカッコいいね!

ちなみに、これは相手がダンボールの場合のやり方なんだよ。
相手によっては、優しさも必要なんだぜ。

わぁ、それじゃ、ほんとに難しいんだねぇ……
でも、センパイ、いつかぼくも、きっと追いつくからね!


<用語解説・参考文献>
「かぷっと」=噛むこと。
かぷっとを侮るなかれ。この技術をすでに芸術の域まで高めている宝来くん。
「かぷっと」の応用編はこちらの記事を読んでね→『おいら、箱と野球する!?』

……タケルは今度は、家じゅうの色々なものに噛み痕を発見して、また「???」になるんでしょうね(*^_^*)

*ママさんのコメントを拝読して、「そうだ! かぷっとには優しさも必要だ」ということに気が付き、加筆いたしました(^^)……

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【8888Hitリクエスト第1弾】半にゃライダー危機一髪! 宿敵の魔の肉球迫る! 

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末広がり・8888Hitのリクエスト、今週から1つずつ消化していきます。
まずは、【scribo ergo sum】の八少女夕さんからのリクエスト、「半にゃライダー危機一髪! 宿敵の魔の肉球迫る!」です。


八少女夕さんは、本当に精力的に物語やエッセイを書いておられる、尊敬するブログのお友達。
もう私がここで敢えてご紹介する必要はありませんね(*^_^*)
夕さんの企画・scriviamo ! がいかに大変か、よく分かります。
発想力の豊かさと柔軟性と、そしてウィット。書くということに対する情熱と、他の人の作品をきちんと読み昇華する力。どれが欠けてもできない企画と思いました。
たった3つ書くのにこんなに足掻いている自分が悲しい((+_+))

さて、リクエストくださったタイトル。
これをどう料理できるか。
これを普通に書くと、できの悪い15分番組くらいのシナリオにはなるんだろうけれど、内容があまりにも陳腐になりすぎる。
そこで苦肉の策としてこのようにさせていただきました。


テーマは、生存所属を異にするものの魂の流通共鳴(またか!)
ちょっと新鮮な「あの人」の一人称、お楽しみください(*^_^*)

リクエストを下さった夕さん、ありがとうございます!!



半にゃライダーとは……limeさんのイラストに物語を書いた際に湧いて出た謎のヒーロー?
「はんにゃ」と打ち込んだら「般若」より先に「半にゃ」に変換されるという話題から生まれました。
詳しくはこちらを→【般若の面】【秘すれば花】 
【秘すれば花】の前書きに登場していますが、実は中身は全くない。
ただの番組名として登場しただけでした。これを如何に料理するか……

基礎知識は全く不要です。
猫と人間の心の交流?
独立した短編でもありますので、ぜひお楽しみください(*^_^*)


<登場人(猫)物>
マコト:まだまだ半人前の茶トラ猫。最近のお気に入りはヒーロー番組『半にゃライダー』。
タケル(語り手):ちょっぴりSなマコトの飼い主。『半にゃライダー』を一緒に見てやる優しいところも。

   
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【limeさんがマコトを描いてくださいました!】ぼくをモノレールに乗せて! 

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なんと、limeさんがマコト猫を描いてくださいました!!
事の発端は、【マコトが頑張って中継した姫路城公園のねこたち記事】に下さった八少女夕さんのこちらのコメント→『マコト、頑張ったね。きっとご褒美に、彩洋さん(とlimeさん?)がタケルとミニモノレールに乗せてくれるよ。(いい加減なことを言ってみる)』
超速攻でlimeさんが応えてくださるとは! それならば、私も速攻でマコトをモノレールに乗せてやりました!
あれ? このマコト猫は怒っているんじゃないか、って?
ちょっとだけ物語にお付き合いくださいませ。最後にもう一度登場するイラストで理由が分かります(^^)
DSCN4815_convert_20140614094343.jpg
ちなみに件のモノレールはこちら↑
「モノレール」と書いた屋根の下に停まっているのがミニモノレールです。
では、しばしお付き合いくださいませ。



「ママ、またあの猫だよ」
木のベンチに座っている小さな男の子が声を上げた。
でも、誰も答えない。
地面につかない足はぶらぶらと宙を彷徨っている。

隣には母親らしき女性が座っている。
男の子は母親の手を引っ張る。
でも母親は男の子を見ようとしない。
どこか遠くを見つめている。
男の子は悲しそうに母親を見つめ、やがてぴょこんと地面に降りた。

ここは小さな動物園。
大きな公園の真ん中に真っ白なお城があり、そのすみっこにある動物園だ。
男の子は一週間前に母親と一緒に東京からこの町にやって来た。
だから友だちもいない。
男の子は母親と一緒に毎日ここにやって来る。
でも、母親はずっとベンチに座ったままだ。
だから男の子はひとりで動物たちを見て回る。

ペンギンの小さなプール。
時々しか羽根を広げない孔雀。
オハヨーしか言わない白いオウム。
大きいキリンと小さいキリン。
でも小さい方が歳を取っている。
ライオンはこの時間はいつも裏の部屋に入ってしまっている。
シマウマの小屋は少し臭い。
サルたちはいつも忙しそうに動き回っている。
ホッキョクグマは檻の中をずっとぐるぐる回っている。
お気に入りは象の姫子の食事シーンだ。
ものすごくニンジンが好きみたいだ。
でも、ニンジンじゃなくて大きなパンを一気に食べてしまうところが好きだ。

動物園には観覧車やくるくる回るティーカップやブランコ、ゲームのコーナーもある。
本当は乗ってみたいけれど、男の子はおねだりをすることができない。
特に乗ってみたいのはモノレールだ。
1回150円。
でも値段よりも遥かに手の届かないものに思える。
だから、他の子どもたちがパパやママと一緒に乗りこんではしゃいでいる姿を、下でただ見つめている。

三日前から、男の子と同じように、一匹の猫がじっとモノレールを見ている。
茶色のしましまの猫で、長い尻尾もしましまだ。
近付くと逃げる。
あまり遠くまでは逃げないけれど、触らせてくれない。
時々、檻の中で動物や鳥が声を出すと、びっくりしたようにどこかに隠れる。
それからまたこっそり出てきて、じっとモノレールを見上げている。

きっとあのしましま猫もモノレールに乗りたいんだと男の子は思う。
でも、猫はお金を持っていない。
男の子もお金を持っていない。
一緒に乗ってくれる人もいない。

小さなモノレールに父親と一緒に座って楽しそうに笑っている子どもがいる。
父親は大きな体で照れ臭そうに小さなモノレールに乗っている。
下で手を振りながらカメラを構えているのは母親だろう。
男の子は自分の母親を振り返る。
母親はじっとベンチに座ったまま、やはり遠くを見つめたままだった。
傍を見ると、昨日よりも少しだけ近くにしましまの猫が寄ってきている。
猫はしょんぼりと足元を見ている。

「もう閉園ですよ」
モノレールが止まって、動物園の係の人に声を掛けられてから、男の子は母親と一緒にお祖母ちゃんの家に帰る。
しましま猫はいつの間にかいなくなってしまっていた。

次の日も、やっぱり男の子としましま猫はモノレールを見上げる。
男の子の母親は、今日もただベンチに座っている。
ちょっとだけ近くに行っても逃げなくなったしましま猫の目を見ると、片一方は黒くて、もう片一方は緑色だった。
猫の目は綺麗で、そして横顔は寂しそうだ。
「君もひとりぼっちなの?」
しましま猫は何も言わずにモノレールを見つめていた。
その時。

「マコト!」
男の子は思わず振り返った。
でも、走り寄ってくるのは、男の子が待っていた人ではなかった。
背が高くて金髪の、物語に出てくる王子様みたいな男の人だ。
王子様は男の子の近くまで走ってきて、しゃがみこんだ。
しゃがみ込んで、しましま猫の頭を撫でる。

ぷい。
しましま猫は知らん顔をする。
知らん顔をしてから、ちょっとだけ気にするように王子様を見る。
それからまた知らん顔。
「お城の仕事はやっと終わったよ。ごめんな。放っておいて」
しましま猫は聞いていないような顔で、モノレールを見上げる。

「モノレールか」
王子様が拗ねているしましま猫を抱き上げようとすると、しましま猫はちょっともがいて暴れ始める。
「よし、乗ろう」
突然王子様がそう言って、まだ暴れるしましま猫を抱いたまま、モノレール係のおじさんの方へ歩いて行く。

なんだ。しましま猫はひとりぼっちじゃなかったんだ。
男の子はちょっと裏切られたような気持ちになる。

ぼくはひとりぼっちなんだ。
どうしてママはパパと喧嘩しちゃったんだろう。
パパはどうしてママに出て行けって言っちゃったんだろう。
パパもママもどうして謝らなかったんだろう。
ぼくはやっぱりひとりぼっちなんだ。
しましま猫にも、モノレールに乗せてくれる人がいるのに。

王子様の足が止まって、男の子を振り返る。
「パパとママはどうしたんだい?」
男の子は突然話しかけられてびっくりする。
王子様の腕の中で、しましま猫もちょっと心配そうに男の子を見ている。
男の子は首を横に振る。
「君も乗るかい?」
男の子はもう一度首を横に振った。

モノレールには乗りたい。
でも、違うんだ。一緒に乗りたいのは……
男の子は俯き、ぽろっと涙をこぼした。
その時。

「マコト!」
男の子は涙を浮かべたまま振り返った。
王子さまみたいにはかっこよくなくて、ちょっと背も低くてビールでおなかも出ているけれど、大好きな人が走ってくる。
「パパ!」
ベンチの母親が立ち上がる。
それから、男の子の母親と父親は、お互いに何回もごめんねと言い合った。
ふたりは男の子にも何回も、寂しい思いをさせてごめんねと謝った。

男の子は青い空を見上げ、モノレールの一番前に乗った王子様としましま猫に手を振る。
王子様は無理矢理しましま猫の手を持って、振らせている。
しましま猫はちょっと迷惑そうだけれど、嬉しそうだ(たぶん)。

あのモノレールが一周回ったら、今度は僕がパパと一緒にモノレールに乗って、ママとしましま猫と王子様に手を振ろう。
それから、あの真っ白なお城と、真っ青なお空に向かって。

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タケルは修復師ですから、姫路城(の中の宝物)の修復をちょっとお手伝いしていたようですね。
この人のことだから、きっと夜を徹してやっていたに違いない。
マコトはタケルのお仕事が終わるのを待っていたのですね。
(公園のねこに襲われなかったかしら? ……いや、何より、マコトは3日も一人じゃなくて一匹ではいられないはずなので、お話ということで目を瞑ってください)
そして、まさかの同じ名前の男の子も、「待っていた」のですね。
そしてマコトも、頑張って待っていたご褒美に、無事にタケルと一緒にミニモノレールに乗れたみたいです(*^_^*)
さっきまではこんな感じだったのですけれど……
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limeさん、夕さん、ありがとうございました!!

……しかし、このモノレール、大人が乗って大丈夫なんだろうか?

(追記)
夕さんのコメントを読んで気が付きました!
「手」じゃなくて「前足」でしたね。擬人化マコトを見ながらだったので、何の違和感もなく「手」でした^^;
書き直さずにそのままです(*^_^*)
実は、マコトバージョンもあります。
またまたお楽しみに(*^_^*)

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【迷探偵マコトの事件簿】ぼくをモノレールに乗せて!(2) 

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limeさんが描いてくださったマコトのイラストに寄せて書いた掌編・【ぼくをモノレールに乗せて!(1)】は「男の子バージョン」でしたが、今度は「マコトバージョン」で書いてみました。
視点が変わったのではなくて、取り残されるのがマコトに変わったわけですが、さて、タケルは迎えに来てくれるでしょうか。
白鷺城(姫路城)の公園内にある小さな動物園を舞台に、ちょっといじけいている小さなねこの物語、お楽しみください。
limeさん、イラスト、ありがとうございました(*^_^*)


【ぼくをモノレールに乗せて!(2)】

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青いお空の中に真っ白なお城。キラキラ光ってる。
ぼくは少し離れた公園から、高いお城を見上げてる。
お城よりも大きな鉄の塔みたいなのが見える。
さっきからちっとも変わらないみたいだけれど、ゆっくりゆっくり動いてる。
ここからだったら小さく見えるけれど、きっとものすごく大きいんだよね。
お城も、雲も、お空も。

タケルはずっとお城の中でお仕事してる。
タケルがあのお城からこっちを見ても、ぼくはちっさすぎて見えないね。

タケルは忙しいんだ。
ほんとはぼくをお城の中に連れて行ってくれたんだけれど、ねこはだめって言われて。
だからぼくはいい子でまってる。
ぼくはお城のそばの動物園に預けられた。
動物園の人はみんな優しいんだよ。
ばんしゅうべん?
最初はちょっと怒られてるみたいで怖かったけれど……
公園の中にはぼくより大きいねこさんもいっぱいいる。
でも、ねこさんたち、忙しそうだし。
……ぼく、やっぱりちょっとこわいし。

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動物園の中には乗り物もいっぱいあるんだよ。
大きな黄色い丸いねこみたいな乗り物とか、小さい車に乗ってぐるぐる回るのとか。
あとね、お空を動く電車!
モノレールって言うんだって!
うんと高い所を走るんだよ。

……でも、モノレールに乗るためにはお金がいるんだ。
ぼく、お金持ってないし。
それに、ねこはたいていのものを持つことはできないんだもの。

……みんな、楽しそうだね。
モノレールから手をふってる。
あれに乗ったら、きっとものすごく、お空が近いね。
あれに乗ったら、タケルのいるお城がもっとよく見えるね。
もしかして、手をふったら、タケルからぼくが見えるかなぁ。

でも、だれもねこをモノレールに乗せてくれない。
それに、ねこがモノレールに乗るなんて、考えてもいないと思うんだ。

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動物園の人は象の姫子さんにごはんをあげに行く。
ぼくはついていく。
姫子さんはにんじんが好き。
大きなお鼻で小さいにんじんをくるってつまみ上げて、ぱくん。
すごいねぇ。
あ、今度は大きいパンをまるのみ。
わぁ、ぼくもきっとひとくちで食べられちゃう。
(作者註:象は草食動物なので、ねこは食べません)

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今度はしろくまさんのところに行く。
しろくまさんはオリの中をぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。
どうしてずっと歩いてるんだろう。
ほっきょくに帰ろうとおもっているのかなぁ。
でもね、あのね、きっとほっきょくはすごく遠いよ。

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それから、キリンさんにごあいさつ。
キリンさんの首は、お城の鉄の塔よりも長いんだよ。
(作者註:それは遠近感の問題で、クレーンの方がはるかに大きいです)
キリンさんは忙しそうに、お庭と家を行ったり来たり。
それから遠くを見つめたり。
あれくらい首が長かったら、お城の中も見えるかなぁ。
それどころか、あふりかまで見えるのかも!
キリンさんは遠くを見ていて、あんまり、小さいねこにはきょうみがないみたい。

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ピンクのトリもいっぱいいるよ。
あれ、首がないね。とれちゃったのかな?
もしかしてお化けになっちゃったの??
あ、動いたら首が伸びた!
なんだ、羽根の中にかくれんぼしてたんだね。
あ、ぼくを見て逃げて行っちゃった。
ぼくも羽根の中にかくれんぼしたいなぁ。
……でも、ねこのことはきらいみたい。

あ! ライオンだ!
かっこいいねぇ。ぼくも大きくなったらライオンになれるかなぁ。
だって、ライオンはねこなんだよね。
(作者註:ねこではなくて「ネコ科」です。ねこは大きくなってもライオンにはなりません)
あの、こんにちは。
がお~!!
わ! 怒られた!
何だよ。怒らなくてもいいのに。

いいもんね。ぼく、大きくなったらヒョウになるんだもん。
(作者註:ヒョウにもなりません)
ヒョウになったら……あのお城まであっという間に走っていけるね。
ねこはだめだけれど、ヒョウなら入れてくれるかも。
(作者註:ヒョウはもっと入れないと思います)

……動物園、もうあきちゃったな。
みんな小さいねこには興味がないみたいだし。
それに、みんなオリの中にいるし。
ぼく、シマシマ馬のいる柵の中には入れるんだけど、入ったらけられそうになったの。
ペンギンはぼくのことキライみたいだし、キバタンはおはよー!ってうるさいし、サルはずっと動き回っていて、見ていたら目が回るし。


あ、ママ、またあのねこだよ! しましまねこだ!

男の子がぼくを見つけて走ってきた。
またあの子だ。今日でもう3日目。
ぼくはあわてて逃げる。

……にんげんの子どもはあんまり好きじゃないんだ。
だって、オリの中にいないから、ぼくのこと追いかけてくるし。
ぼくのこと、いじめるにんげんもいるし。

それにぼく、しましまねこじゃなくて、マコトって名前があるもん。

ぼくはおとこの子が追いかけてこないことをカクニンして、それからおとこの子のママを見る。
おとこの子のママはいつも遠くを見て、悲しそうにぼんやりしてる。
おとこの子もママを見て、悲しそうな顔になる。

DSCN4814_convert_20140716235552.jpg
おとこの子はぼくのほうをちらっと見て、それからモノレールを見上げる。
ぼくも離れたところからモノレールを見上げる。
ぼくとおとこの子はちょっと離れて立って、毎日いっしょにモノレールを見上げる。

……きっと、あの子もモノレールに乗りたいんだね。
ぼくと同じように、モノレールに乗って遠くを見たいんだよ。
遠くにいる誰かを探したいのかもしれないね。

でも、ねこも子どももお金をもっていない。
……150円って、おさかな、何匹くらい分かな。
ねこの値段よりも高いや。

モノレールの一番前には、知らない子どもとその子のパパが並んで座っている。
ニコニコ笑って、下で写真をとっているママに手を振ってる。
ママといっしょに乗ってる子もいる。
みんなとっても楽しそう。
大好きなパパやママと一緒にモノレールに乗って、お空の中を走るって、どんな感じだろう!

……あのね、ぼくね、ほんとはタケルといっしょにモノレールに乗りたいんだ。
でも、タケルは忙しいんだ。
お城でお仕事してるんだもん。
だからぼく、お仕事おわるの、いい子で待ってるね。

おとこの子はうつむいて地面にすわりこんじゃった。
あの子だってきっと、ママやパパといっしょに乗りたいんだ。
だから、あの子とぼくはなかまなんだね。
いっしょに乗る人がいなくって、さびしい仲間なんだ。
……ちょっとだけ、よかった。
ぼくだけがひとりぼっちじゃないんだ。

マコト!

わ。ぼくを呼んでる!
もしかしてタケル??
でも、声がちがうよ。においも。
その時、おとこの子が立ちあがった。

パパ!

おとこの子は、大きな男のひとの方へ走っていく。
おとこの子のママも走ってくる。
……みんなうれしそう。

ぼくはひとりぼっちでモノレールを見上げる。
おとこの子はパパといっしょにモノレールに乗りにいっちゃった。
下から二人を見上げているママに向かって手をふっている。

……なんだ。
もう、モノレールに乗れない仲間じゃなくなっちゃったんだ。
ぼくは裏切られたような、おいてけぼりになったような気持ちだった。

……いいもん。
ぼく、ねこだから、へいき。
モノレールはにんげんの乗り物だものね。
だから、もういいんだ。
ひとりぼっちでも、モノレールに乗れなくても、ちゃんとタケルを待ってる。

……タケルは忙しんだもん。
だから、ぼく、怒ってないし。
動物園の人といっしょに、もう一回、姫子さんににんじんをあげにいかないといけないし。
そろそろフクロウさんも起きる頃だから、ぼく、ごあいさつしなくちゃいけないし。
だから、さびしくないもん。

……みんなが帰っていく。
もう動物園は、夜のお休みの時間になる。
モノレールも止まっちゃった。大きな黄色いねこも動かなくなっちゃった。
動物園の人がおいでって呼んでる。

……あのね、ぼく、タケルを待ってるの。
あの真っ白なお城の中にね、タケルがいるの。
いっしょうけんめい、お仕事してるの。
でも、暗くなったら、お城も見えなくなっちゃうね。

タケル、まだお仕事終わらないのかな。
あたりはどんどん暗くなっていく。
ぼく、もう3日も待ってるよ。
……ほんとは、モノレールになんか乗れなくてもいいんだ。
だから、早く迎えに来て……

マコト!

……………!!!!!!!!!!!!

マコト!!

……………(`^´)
ぼくはベンチの下に潜り込む。

ぼく、別に寂しくなんかなかったし。
それにぼく、今から、フクロウさんにごあいさつにいくし。
それに、姫子さんがぼくがいないと心配するかもしれないし。
ぼく、けっこう忙しくしてたんだ。
それに、それに、それに……

……おいで。


タケルの手。
……ぼくはかぷっと噛む。

お薬と鉄のサビと埃のにおいがする。

ぼくを抱き上げたタケルがパチン、って指をはじく。
突然、動物園に明かりがついた!

それから、タケルがぼくを抱いてモノレールの乗り口の階段を上った。

ぼく、ぼく、モノレールに乗ってもいいの?
ねこだけど、モノレールに乗れるの?
タケル、150円、はらってくれるの?
動物園の人がタケルと目を合わせて、それからぼくを見てにこにこ笑っている。

ぼくとタケルは並んでモノレールの一番前に座る。
しゅっぱつしんこう!
動物園の人の声がする。

そして……モノレールが動き出した。
今度は動物園の明かりがそっと消える。

わぁ…………

代わりに、お空にいっぱい、星の灯りがともった。


……あのね、モノレールは銀河の鉄道になったよ。
暗くてもうお城は見えなくなっていたけれど、タケルがここにいるからもういいの。
代わりに、お星さまがいっぱいいっぱい見えた。
ぼくとタケルはね、いっしょにお空を旅したの。

タケルはちょっと眠そうだった。
そうなんだ。
ぼくを早く迎えにくるために、お仕事、すごく頑張ってくれてたんだよね。


ちょっとだけ、怒っててごめんね。
あのね、タケル、えっとね。

……お仕事、ご苦労さま。





ちょっぴりいじけたマコト、宝来センパイ(【だぶはちの宝来文庫】)に教えてもらった「かぷっと」を上手く使えたのでしょうか。
そして……最後はちょっとクサすぎましたね。
明石海峡大橋のライトアップは普通の時間は白っぽいのですが、定時だけ色とりどりになるというので、橋の見えるレストランで定時に指を鳴らして「君のためにライトアップの色を変えてもらったんだ」って言ったらどうだろ(もちろん、告白のために)、なんて話をしていたのを思い出しました。
「動物園の人」、夜に勝手にモノレール動かして怒られるかもしれませんね。でも、マコトがずっとモノレールを見ていたのを知っていたのですね。超端役ですが、いい人のようです。
マコトは自分の値段を50円くらいと思っていたので(【マコトのみのしろきん】)、150円も出してモノレールに乗せてもらえるなんて思ってもみなかったみたいですが……(*^_^*)

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(12) トモダチのわすれもの 

『迷探偵マコトの事件簿』、事件を解決しているのではなく、いつも自分が事件を起こしているマコトですが、今回はお盆にちなんで亡き人を想う物語をお送りいたします。
登場人物は(いや、登場犬物かも)こちらをご参照ください→(5)ちょっと切ない事件簿
重要なアイテムとして登場するのはオニキス。石です。まるで『奇跡を売る店』シリーズのようですね。
オニキスオニキスペンダントトップ2
まっくろなオニキスが、こんなふうにアレンジされているものをイメージしています。

大事な人を想う時間となれば幸いです。

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったら豹になるつもり。飼い主のタケルがお仕事で忙しいので、いつもひとりでお留守番をしている。
タケル:ちょっぴりSなマコトの飼い主。でも本当はとても優しい。
トモダチ:亡くなった老犬。飼い主が死んでしまって取り残され、最期を看取るためだけにタケルが引き取っていた。



【迷探偵マコトの事件簿】(12)トモダチのわすれもの

[SCENE1] ぼくの「おもいでだま」

タケルは今日もおでかけ。ぼくはひとりでおるすばん。
でもね、ぼくこの頃ちょっとだけだいじょうぶなんだ。
タケルにはないしょだよ。
あのね、ぼく、宝物があるの。

このあいだ、ベッドの下で見つけたんだ。
銀の籠みたいな飾りの中に、まっ黒な、まあるい玉。
ころころ転がしてみたら、ふしぎなことが起こったんだ!

とっても懐かしい匂いがするんだよ。
会ったことないけど、ママの匂いってこんなのかなぁ?
ねこまんまを作ってくれてるタケルの後ろ姿がうかんだりもするの。
いっしょに『半にゃライダー』見てるような気持ちになったり。
モノレールに、ぼくとタケルがならんで乗って、お空に手をふってるとこが見えたり。
センパイといっしょに布団基地にもぐっている感じがしたり。
それからね、トモダチにも会えたんだ!
トモダチのおっきなお背中の上で、ぼく、上がったり、下がったり、落っこちたり。

これ、まほうの玉なのかも。
ぼく、タケルにも見つからないように、こっそりベッドの足のすみっこに隠してるの。
だって、もしこれを見たら、タケルもきっとほしくなると思うんだ。
でも、これはきっと、がんばってひとりでおるすばんしてるぼくへの神さまからのプレゼントだよね。

とくにきれい好きのおばさんにはみつからないようにしなくちゃ。
捨てられちゃったら大変だもの。
だからいっぱい転がしたあとは、またこっそりベッドの足のすみっこに、おばさんにぜったい見えないようにかくしておくの。

ぼくは今日もころころ、まあるい黒い玉をころがしてみる。
ころころ、ころころ、ころころころころ。
ころころ、ころころころ、ころころ。
そうしたら、ぼく、さみしくないんだ。
ママの匂い……タケルの匂い……布団基地の匂い……トモダチの匂い……

トモダチ、今はお空にいるのかな。
ぼくは前足でまっくろの玉をなでてみる。
なでてみたら、あったかいトモダチを思い出すよ。
トモダチのせなかで、上がったり、下がったり、下がったり、上がったり……
ぼく、これ「おもいでだま」って呼んでるんだ。

……あれ?
ぼくはびっくりして飛びのいた。
今、何か見えたね?
ぼくはじっと「おもいでだま」を見て、それから辺りを見回す。
なにもいない。

……ぼくはゆっくり近づいて前足でちょんちょんしてみた。
「おもいでだま」は、周りを囲む銀のかざりできらきら、きらきら。
きっと光がはんしゃしたから、何か変なものが見えたんだね。

でも……
いっしゅん、おじいちゃんと小さい女の子が見えたんだ。
もしかして、おばけ?
それとも、うちゅうじん?
でも、カッパ寿司のこまーしゃるに出てるのとはちがって、ふつうのおじいちゃんと女の子だったから、うちゅうからきたのでも、立体ほろぐらむでもないよね。

と、その時。
とつぜん、おへやのドアが開いた。

わ!
ぼくはあわてて「おもいでだま」の上に乗っかった。
おなかの下にかくして、知らん顔をする。

……タケルだ。
み、見つかったかな?
ぼく、おじいちゃんと女の子のおばけ?にびっくりしてて、タケルが帰ってきたの、気が付かなかったよ。

でも、時すでにおそし、だった。
タケルはぼくの首っこをつかまえて、抱き上げた。
ぼくは床を見下ろす。
床の上では「おもいでだま」がぽつん、と光っていた。
真ん中は黒く、まわりは銀できらきら。

……タケルに見つかっちゃった。ぼくの宝物。
ぼくはちらっとタケルを見る。
タケルは「おもいでだま」をつまみ上げる。不思議そうにそれを見つめて……ポケットにしまっちゃった!

ぼくはがっくり。
そうだよね、タケルだってやっぱり欲しいよね。
でも、ぼくの宝物だったのに……

それからタケルはぼくを車に乗っけた。車の後ろには釣り道具。
わぁ、海に行くんだね!
「おもいでだま」は取られちゃったけれど、海に行くのならいいや。
そのかわり、おさかないっぱいとってね!


[SCENE2] 大事な人が帰って来る日

でも、タケルは釣りに行く前に、花屋さんに寄って、お花を買った。
あれ? 海じゃないの? どこ行くの?
たどり着いたのは、海じゃなくて山。
四角い石がいっぱい並んでた。

いい匂いのする木を燃やしたにおい。
石の前には、お花とか、お菓子とか、おいてある。
タケルはバケツに水を入れる。
キラキラ、水が光ってバケツの中に落ちていく。
タケルはバケツを持って、たくさんの石の中のひとつに向かった。

ぼくはトコトコ、ついて行く。
タケルは石の周りの草を抜いたり、石のくぼみをきれいに水で洗ったりしておそうじをする。ぼくは小さな虫が飛んでいるのを見て追いかける。
マコト、おはかで虫をいじめちゃだめだ。
……おはか?
ぼくは言われた通り、虫を追いかけるのをやめて、タケルといっしょに草をぬくお手伝い。
それからタケルは、石のくぼみに水を入れて、お花を入れた。
きれいだね。
それから細いムラサキの棒に火をつける。けむりが風に流れる。
タケルは何も言わないで、じっと四角い石を見つめていた。
ぼくもよこに座って、タケルを見てから石を見上げる。
字が書いてある。ねこには読めないけれど、きっと大事なことが書いてあるんだね。

おぼん、なんだよ。
死んだ人が、帰って来てくれるんだ。だから、今日はお迎えに来たんだよ。
ふ~ん。
死んだ人って、お空に行っちゃって、もう帰ってこないのかと思ってた。

それからやっと海に行く!
海は「おもいでだま」の銀のキラキラよりももっとキラキラしてた。
風が吹いてる。太陽はとってもあつい。キラキラって海の上で光る。
いっぱいいっぱい光る。
海の上をお船がすべってく。
タケルはイスに座って、ぼうしをかぶって。でも今日はどうしたわけか釣りばりの先っちょにエサのミミズをつけないんだ。
エサがなくてもおさかながとれるのかなぁ。
タケルはエサの代わりに、ビンから水を海にこぼした。
おさかなが集まって来るのかな?
ビンには『田酒』って書いてあるよ。たんぼのおさけ?

いつも海に釣りに来たら、おさかなが釣れるまで、ぼくは待ってるの。
タケルからちょっとはなれたところで影ふみごっこ。
ぼくは自分のしっぽを追いかける。
それからトリさんの影を追いかける。
しっぽにも、トリさんにもぜんぜん追いつかない。
くるくる、くるくる。目が回ったらきゅうけい。

時々人が通りかかると、ぼくはあわててタケルのところへ飛んでもどる。
タケルのかげからそっと人が通り過ぎるのを確かめて、いなくなったらまたタケルからちょっとはなれて、くるくる、しゅわっ。くるくる、くるくる。
車の音が聞こえたら、またタケルのところへ飛んでもどる。
タケルのかげからそっと車の音が聞こえなくなるのを待つ。
海の音だけになったら、またタケルからちょっとはなれて、くるくる、くるくる。

でも今日は、タケルはつり針にエサをつけないで釣り糸をたれる。
それから、思い出したようにポケットからぼくの「おもいでだま」を出してくれた。
ぼくの前に置いてくれる。
わぁ、タケル、ありがとう!
ぼく、タケルが取っちゃったのかと思った。

だからぼく、今日は「おもいでだま」をころがす。
ころころ、ころころ、ころころころ。
海に落っこちないように、タケルから少し離れたところで、ころころころ。
人が通りかかったら、いそいで「おもいでだま」に乗っかって、見つからないようにかくす。
だって、だれかにとられちゃったらたいへんだもの。

ころころ。ころころ。ころころころ。
海の風がとっても気持ちいいけれど、ちょっと暑くなってくる。
タケルは釣りをしているというよりも、何か考えごとをしているみたい。
遠く遠く、海の向こうのほうを見てる。
ぼくはころころ、ころころ、ころころころ。

その時。

ぼくはあわてて「おもいでだま」の上に乗っかった。

……


[SCENE3] 探しびと・探しもの

またあのおじいちゃんと女の子だ。
女の子は、おじいちゃんとつないでいた手をはなして、ぼくのほうへ走ってきた。
ぼくは目をまん丸にして女の子を見上げる。
白いワンピースとむぎわらぼうし。風とははんたいの方向に、スカートがひらひらゆれている。
女の子は近付いてきて、じっとぼくを見る。

そして、がっかりしておじいちゃんのことろへもどっていった。
ぼくはじっと様子をうかがう。
あの人たちも「おもいでだま」が欲しいんだ。
これはぼくのだから、だれにもあげない。
おじいちゃんと女の子がいっしょにちかづいてきた。
ぼくはもっとしっかり、「おもいでだま」にはりつく。

……もし、その玉を見せてもらえませんかの。
おじいちゃんがぼくに話しかけてきた。
ぼくは目を合わさないようにしてうずくまる。

……おじいちゃん、この子はねこだよ。フジマルじゃないよ。ぜんぜんちっさい。
……しかし、わしがフジマルにつくってやった玉とそっくりだ。もしかしたら、フジマルの玉かもしれない。
ちがうよ。これ、ぼくのだ! フジマルのじゃない。
だいたいフジマルって、だれだよ!

……もし、ちいさいねこさん、実はわれわれはフジマルとはぐれてしまっておるのです。われわれはフジマルを迎えに来たのだが、見つからない。われわれとフジマルを引き合わせてくれる目印は、わしがフジマルに作ってやったオニキスの玉だけなのですよ。もしかして、フジマルをご存じじゃありませんかね。

フジマルなんか知らない!
これ、ぼくのだ。ぼくが見つけた「おもいでだま」。
タケルがいない時も、これがあったら、ぼく、さみしくないんだ。
ころころ、ころがしたら、タケルが近くにいるみたいだし、会ったこともないけれどママの匂いがするし、それに布団基地とかトモダチのこととか思い出して、ぼく、さびしくてもがんばれるんだ。
だから、神様からぼくへのごほうびなんだ。
だから、これ、ぼくのなんだ。

……フジマルはまだこの世をさまよっておるのです。いつまでもフジマルが三途の川にやってこないので、われわれはこの世にフジマルを探しに来たのですが、そばにいたとしても目印がなければ魂を見つけることができない。われわれはお盆の間しかこの世に来ることはできない。だから、時間が限られているのです。

何のことか分からないよ!
あっち行って!
ぼくの「おもいでだま」、取らないで!

タケルは今日、おさかなをつかまえるつもりじゃなかったみたい。
少しの時間、海を見たかっただけなのかも。
いつもよりもずっと早くに釣りはおしまい。
お盆だからね、殺生はいけないんだ。ちょっと海にご挨拶をしにきただけだよ。今日はお前も、缶詰でいいかな。
うん、ぼく、カンヅメもきらいじゃないよ。

タケルが作ってくれたカンヅメのねこまんまを食べて、ぼくは「おもいでだま」をころころしてから、タケルを見上げた。
タケルは「おもいでだま」をつまみ上げて、ベッドの上のぼくのお気に入りの場所に置いてくれた。
ぼくは「おもいでだま」を抱いてねむる。
今日はトモダチの夢を見るんだ。

…………

あれ。ここはどこだろ。
ぼく、夢の中かなぁ。
知らないおうちだ。
……誰かいる。……おうちの中を歩いてる。
おばけ?
あ、そうか。夢の中だもんね。
ぼくはまっくらな家の中を歩きまわっている影の正体を見ようと、じっと目をこらした。
何か探してるみたい。
くんくんと鼻先を鳴らすような音がしている。

……!

トモダチだ!
ぼくを上に乗っけてくれてた大きなからだが見えた!
ぼくはあわてて隠れた。
なんでだろ。ぼく、何だか見つかっちゃいけない気がしたんだ。
トモダチはずっとくんくんと音を立てながら、何か探してる。
それから顔をあげて、悲しそうな顔をした。

トモダチはいっしょうけんめい、おへやの中で何かを探して。
それから家の外に出て行った。
お部屋の中に黒い大きなハコ。いい匂いの木の燃えカス。
そのハコの前に写真がかざってある。
トモダチと、あのおじいちゃんと女の子。
……ここはトモダチの家だったんだ。
今はもうだれも、住んでいないみたい。

写真の中のトモダチはくびわをしていて、そこにあの「おもいでだま」が埋め込まれていた。
ぼくはトモダチを追いかけて庭に出てみた。
トモダチはお庭にある小さな小屋の中に入って、ごそごそ、中を探している。
……犬小屋なんだね。そこには、下手くそな字でなまえが書いてあった。

……ぼくは目をさました。
どきどきしてた。
タケルはすやすやと眠っている。
お部屋はまっくらで、ぼく以外、だあれもいないみたいだった。
ぼく、「おもいでだま」をぎゅっとにぎりしめた。
トモダチ、これを探してるんだ。
トモダチの名前は、フジマルっていうんだ。

でもこれ、ぼくが見つけたんだから、ぼくんのだ。
ぼく、これがあったら、ひとりでおるすばん、がんばるもん。
だから、これ、……ぼくんのだ。

ぼくは「おもいでだま」をベッドの足のうらにかくした。
だれにも見つからないように。
ぼくがころころしなくなったので、タケルはちょっと不思議そうだったけれど、何も言わなかった。

それから毎日、ぼくは探しものをしているトモダチの夢をみた。
トモダチは探しものが見つからなくて、とても悲しそうだった。
でもぼくは、やっぱりこれ、返したくないんだ。

それから何日かたって、タケルはもう一度、石のいっぱいあるところに行った。
今日でお盆はおしまいだから、お見送りに行くんだって。
ぼくはとぽとぽついて行く。
……ねぇ、タケル。ここにはタケルのだいじな人がいるの?
タケルは何も言わないまま、帰りにまた海に連れて行ってくれた。


[SCENE4] あったかいキモチ

タケルはじっと海を見ている。
それから思い出したようにポケットから何か出して来て、ぼくの前においた。
あ。「おもいでだま」。
かくしてあったのに、持ってきちゃったの?
見つかったら、取られちゃう! 
ぼくはあわてて「おもいでだま」の上に乗っかった。

周りを見たら、少しはなれたところでじっとぼくを見ているおじいちゃんと女の子と目が合っちゃった。
……やっぱり、あれ、フジマルのだよ!
女の子が言った。
ちがうもん! ぼくんだもん。……ぼくんのだ。
ぼくにポケットがあったら、うまく隠せるのに!
ぼくは「おもいでだま」を隠したおなかにきゅっと力を入れた。

……もし、ちいさいねこさん。われわれは今日でもうあの世へ帰らなければならないのです。もしフジマルに会ったら、われわれがずっと三途の川の向こうで待っていると、お伝えください。
ぼくは耳をふさいだ。

その時。ふいにタケルがぼくの頭をなでた。
……でも、俺にはまだお前がいるんだな、マコト。
タケルは遠く、海の向こうを見ている。
タケル、だれか大事な人をお見送りしたの?
その人はまた遠くへ帰っちゃったの?

ぼくをなでてくれるタケルの手があったかい。
ぼくはタケルといっしょに海を見る。キラキラ、キラキラ。
波は上がったり、下がったり、下がったり、上がったり。
まるでトモダチの背中みたいにぼくを運んでくれる。

……トモダチ、おじいちゃんと女の子が遠くに帰っちゃったら、ひとりぼっちなんだ。
ひとりぼっちで、ずっと探さないといけないんだ。
これがないと、おじいちゃんと女の子に会えないんだ……
ぼく、ぼく、トモダチの大事なものをとっちゃったんだ……
でも、ぼく……

……まだ間に合う?

ぼくはタケルに言った。
あのね、トモダチんちに行きたいんだ! それでね、ぼく、この「おもいでだま」をトモダチに返さなくちゃ! でないと、トモダチがね、だいじな人に会えなくなっちゃうんだ! ぼくのイジワルのせいで、トモダチが悲しんでるんだ! だから……!
今日でおぼんがおわっちゃうんだ!
トモダチの大事な人たちが、行っちゃうよ!

……でも、ぼく、ねこだから、タケルにうまく説明できない……

ぼくはいぬのまねをしてみたり、「おもいでだま」をころころしてみたり、あれこれやってみた。タケルはふしぎそうにぼくを見ていたけど、そのとき「おもいでだま」がきらって光ったんだ。
タケルはひかりの中をじっと見ていた。
そして、あ、という顔をして「おもいでだま」を拾い上げ、太陽にかざしてゆっくり回しながら何かを確かめると、ぼくを車に乗っけて走り始めた。

……そこは夢で見たとおりの家だった。
トモダチはひとりぼっちでさみしそうに家の庭にすわっていた。
タケルがぼくの前に「おもいでだま」を置いてくれた。
トモダチがぼくを見た。
……ごめんね。きっと怒ってるよね。
でも、ぼく、ちゃんとあやまって、これを返さなきゃ。

ぼくはころころと「おもいでだま」をころがして、トモダチの前に行った。
……あのね、ぼくね、えっとね……ぼく、ぼく……
ぼくはトモダチを見上げた。
……ほんとうにごめんなさい! これがあったから、ぼく、さみしくなかったんだ。だから、ぼくのものにしたかったの。言えなくて、かくしちゃってて、ごめんなさい!

……

おへんじがない。きっとトモダチ、怒っちゃってるんだ。
ぼく、わがまましてたんだもんね。

そのとき……

ぽん。
トモダチのおっきな手が、ぼくのちっちゃい頭にやさしく乗っけられた。
それから、その手は、そっと、とっても大事そうに「おもいでだま」の上に乗っけられた。

きらっ!!!
わぁ!
突然、「おもいでだま」から虹いろの光が飛び出した!
あたりは光色に染まって、太陽が落っこちてきたみたいだった。
フジマル!
ひかりの中からあの女の子が走ってくる! おじいちゃんもいっしょだ!
フジマル!
トモダチが立ち上がった。わん! って吠えて、大きなしっぽをせいいっぱい振った。

わん! わん、わん!
フジマル! フジマル!

……わぁ、よかった。
お盆が終わる前にみんながまた会えて。トモダチがひとりぼっちじゃなくなって。
おじいちゃんと女の子と、トモダチはお互いを抱きしめあった。
それからぼくを振り返る。
……ねこさん、ありがとう。
……ううん。あのね……ぼく、いじわるしてて、ごめんなさい。
……なに、こうして無事にフジマルに会えたのだから、もういいんだよ。ちいさいねこさん、本当にありがとう。
そう言って、三人でいっしょに光の輪の中へ歩き始めた。
ぼくはじっとその背中を見送った。

ばいばい、トモダチ。ばいばい、ぼくの「おもいでだま」。

と、その時だった。
光の中から、ころころころころころ……
あれ、「おもいでだま」だ!
ころころころころ、「おもいでだま」は転がってきて、ぼくの前で止まった。
ぼくは返ってきた「おもいでだま」をじっと見つめる。

……ありがとう、小さいともだち。これ、だいじにしておくれね。
「おもいでだま」から、トモダチの声が聞こえたような気がした。

あのね、ぼく、分かったんだ。
さびしくてもがまんできるのは、またちゃんとタケルがぼくのところに帰って来てくれるって分かってるからなんだ。
またちゃんと会えるから、なんだね。
だからぼく、ちょっとくらいさびしくてもがまんする。

ぼくは時々窓からお空を見上げる。
あ、ほら、トモダチがいるよ! 真っ白な雲になって、ぼくを見てくれてるんだね。

それでもやっぱりさびしい時は、ぼくは「おもいでだま」をころがす。
ころころ、ころころ、ころころころ。
楽しいこと、幸せなこと、だいじな人へのキモチ、そんなのがいっぱいつまってる。だからころがすたびに、あったかい場面が転がり出してくる。
ママの匂い、トモダチの匂い、タケルの匂い、それからぼくとタケルがいっしょにいる時のキモチ、トモダチのあったかいキモチ。

……ころころ、ころころ。ちょん、ちょん。
……ころころ、ころころ、ころころころ。ちょん。
転がしてから手を乗っけてみたら、ぼくはちょっとだけ強くなった気がした。



オニキス。その漆黒の色は迷いのない信念の象徴。
辛い時、苦しい時もあきらめず、前に進むための忍耐力や意思の強さを与えてくれる石。

(『迷探偵マコトの事件簿』(12)トモダチのわすれもの 了)


註) 『田酒』:青森県のお酒。
少しずつ、マコトもオトナになっていっているんですね。

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【迷探偵マコトの事件簿】(13) マコト、練習中。 

霑ェ・ォ郢晄ァュ縺慕ケ晁肩・シ迢冂onvert_20130824193448_convert_20140414070547(イラスト:limeさん)
マコト、今度は何を始めたのかな?

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったら豹になるつもり。謎のヒーロー番組『半にゃライダー』に憧れている。
タケル:ちょっぴりSなマコトの飼い主。でも本当はとても優しい。


【迷探偵マコトの事件簿】(13)マコト、練習中。

[SCENE1] まずはかっこよく

う~
う、う~~
うぅ~……
ぼくは手をつっぱって、おしりを下げる……うぅ~~
それから、前に出るいきおいで……にゃん!

あれ?
……もういちど。

手をつっぱって、おしりをさげて……うぅ~~
前に出る!……にゃお!

あれ?
……もういちど。

おしりをさげて……うぅ~~
前に!……にゃっ!!

だめだ……
ぼくはがっくり。

やっぱりかわいい声になっちゃう……
ぼく、がお~とか、ばお!とか、かっこよく吠えたいのに。
ちっともうまくいかないの。

しかたがないからテレビを見る。
ガラガラ声のおばちゃんが口の中に何かを放り込んだら、きゅうにいい声で「あぁ~~~♪」って歌いだした。



ぼくはタケルをふりかえった。

ね、あれ買って!

[SCENE2] キックは基本

来たな、かいじん!
ぼくはかいじんにたっくる!
あしをつかまえて……ねこきっく! ねこきっく! ねこきっく!

ふぅ。

でも、イスのあしじゃ、なんだかイマイチやっつけた気がしないなぁ。



ぼくはそ~っと、ソファでねちゃってるタケルのところにいって……
あしをつかまえて……
……ねこきっく! ねこきっく! ねこきっく!

わ! タケルが起きた! 

こ、このあいだ、ね、ねこのきもちってほんに書いてあったよね。
……あ、あ、あ、あいじょうひょうげんってやつ?
ふくざつな、ね、ねこごころにゃの……

か、かいじんだなんて、思ってないよ。

[SCENE3] 秘密兵器のがぷっとぉ!

来たな、かいじん!
こんどはにがさないぞ!
ぼくはがっしりつかまえて……

ぷっ!

あぁ、ちがうんだ。ぷって、おっきく噛みたいんだ!
今日は、宝来センパイに教えてもらった「かぷっと」じゃなくて「がぷっとぉ!」なんだ。

もういっかい!

がっしりつかまえて……

……かぷ。

……

口がつかれた……あごがおっきくあかない……

そうだ、きっと、だんぼーるばこのはしっこは、かみにくいんだ。
それにかいじんは四角くないもん。



ぼくはそ~っとおふとんで寝てるタケルのところに行って……
タケルの手をつかまえて……

がぷっとっ!!

……あ。

おもったより強くかんじゃった。

わ。かいじん、じゃなくて、タケルが起きた~~~
つかまった~~~~
わ~~~~~、ごめんなさい~~~

[SCENE4] 空も飛べるはず

きょうはイスとテーブルの間がいい感じ。
こねこのぼくにはちょっと遠いけれど、きょうはやれる気がする。

でもやっぱり遠いね。
ちょっと手をのばして。
ちょい。
きょりをはかって。

ちょい。
もういっかい、はかって。

……とおいなぁ。
ぜんじんみとうの大ジャンプだ。

もういっかい手をのばしてはかってみる。

……

おりんぴっくに出てたうちむらくんは言ってた!
イメージが大事だって!

そうだ。思いえがくんだ!
かいじんがむこうに逃げたと思えばいいんだ!

まて、かいじん!
ぼくはもういっかい下がって、おしりを引いて……

思いきって……じゃんぷ!



どてっ。

ころん。

……

……ひーろーになる道のりって、とおいんだね……


(『迷探偵マコトの事件簿』(13)マコト、練習中。 了)


そもそもこのお話、しょうもない頭休めが信条だったのに、最近複雑な話になっていたので、またまた初心に還って「しょうもなさ全開」で書いてみました。
それもなぜか昨日から、「吠える練習」をしているマコトが頭の中に陣どちゃって、書いて出してしまわないと、仕事にならない気がしまして^^;
しかも、自分で「かわいい声」とか言っている、結構、自意識過剰? ナルシスト?
ねこって、ナルシストだよね、うん。

最後のは、うちの猫がよくやっていたのですが、いつも落ちてました^^;
ちょっと後ろ足が弱かったからかもしれませんが……そんなに何回も測って、何で落ちる?
しかし、のど飴のコマーシャルを見たマコトに急に振り返って見つめられたタケル……なんだ?って思ったでしょうね。
しかも、のど飴なんてなめたら、余計に可愛い声になるだけかも。

でもね、マコト。
君の前に道はないけれど、君の後ろに道は出来るよ! きっとね。

面白かった~よりも、笑いながらしょうもな~~~って声を期待しちゃう大海でした(*^_^*)

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの特別ファイル】『展覧会の絵』事件~limeさん、イラストありがとう!~ 

小説ブログ「DOOR」のlimeさんがマコトのイラストを描いてくださいました!
お礼の代わりに物語風ご紹介を書かせていただきました。
limeさんには本当にお世話になっております。遠まわしにこそこそお願いしちゃったりして。そんな私の遠まわしリクエストを汲んでくださって、こうしてlimeさんのおかげでマコトもすっかり人気ねこに??(気のせい……)
ではどうぞ、お楽しみくださいませ(*^_^*)

イラストありがとう!【マコトの展覧会の絵】
limeさん-マコト1
<登場人(猫)物>
マコト:ちょっとだけ有名になった?茶トラ猫。
タケル:マコトの飼い主。ギャラリーのオーナー。
来夢:高校生イラスト作家。

マコトひょうになる
金髪の人間など、今時珍しくはない。
だが、染めているわけでもなく、そもそも日本人ではないし、何よりも相当の美形となると、かなり珍しい。
おかげで、彼が校内に入ってから、何となく周囲は騒がしくなっていた。
高い窓から落ちる陽は、淡い色合いのシンプルな文様のステンドガラスに染められて、石造りの廊下に秋の気配を描いていた。

その景色に溶け込むように、金髪の外国人は1枚1枚の絵を楽しみながら歩いていた。
彼の足元を、シマシマ茶とら模様の仔猫が歩いている。しっぽを立てて、置いて行かれないように一生懸命について行く。
仔猫は仔猫なりに周りに興味を惹かれるものがあるのだろうが、ちょっと足を止めては、遅れてしまわないように慌てて小走りになったりしている。

ここは某私立学校の講堂脇廊下。文化祭のイベントのひとつで、在校生ながらイラスト作家として知られている長谷川来夢の絵画展が開催されていた。
今回のテーマは「ねこ」。写実的な猫や擬人化された猫、いろいろな種類の猫が自由な発想で描かれている。
今日は前夜祭で、特別に招待されたのは、絵のモデルとなった猫たちとその飼い主だけだった。

「こんにちは」
イラスト作家・来夢は金髪外人と小さな猫に声を掛けた。
「やぁ、すみません。少し早く着いてしまって」
「嬉しいです。来てくださって。マコトくんもいらっしゃい」
仔猫の方は手を伸ばされて、慌てて飼い主である金髪外人・タケルの後ろに隠れた。

「お気に召すと嬉しいのですけれど」
「いや、こうして擬人化していただくと、なるほど、こいつはこんなことを考えているかもしれないと想像しながら、本当に楽しく見せていただいています」
「私こそ、1日マコトくんに密着させていただいて、色んなシーンを見て、あれこれ想像して楽しませていただきました」
「これなんか、本当にそんな感じのことがありますよ」
タケルはにんじんを嫌がっているマコトのイラストを指した。
マコトねこまんま
それから何かを決めたように来夢を見つめた。
「今日ここに来て、あなたの作品を見ることができて良かった。今度私のギャラリーで、ぜひあなたのイラスト展をやらせてください」
来夢はちょっと驚いたような顔をしていたが、やがてはにかんだ笑みを浮かべた。
「ミサキリクさんと同じ場所でイラスト展なんて、夢のようです。でも、まさか叔母が何か言ったわけじゃありませんよね」

タケルは来夢の勘違いをほほえましく思ったようだった。
「長谷川さんの? 確かに彼女は迫力ある女性で信頼のおける優秀な仕事仲間だが……私は他人の目に頼ることはしないし、何よりも彼女は自分の可愛い姪のためとはいえ彼女のポリシーに反することはしないと思いますよ」
「そうでした。失礼なことを言ってごめんなさい。でも私の絵が大和さんの目に留まるなんて思わなくて」
「何を言うんです。自信を持ってください。な、マコト」

仔猫のマコトは自分よりもずっと高い所に絵が掛かっているので、見えないなぁと思っているのか、タケルのほうに向けてちょっと背伸びをしているように見えた。それがまるで『だっこ』のイラストに描かれた姿のままに見えて、タケルも来夢も顔を見合わせて笑った。

仔猫は気まずそうな顔をした。人間が自分のことをどのように話しているのか、わかっているように見えた。
拗ねたのか、ぷいと他所を見て、とことこと2人から離れていく。
ぼく、別に抱っこなんてしてほしくないもん、と言いたげだった。

「そうだ、どれか1枚貰ってください」
「とんでもない。買い取らせていただきますよ」
少しの間、差し上げる、いや、買う、との問答が続いたが、結局、1枚の絵を飼い主に寄贈するということに落ち着いた。
タケルはどの絵にするか、かなり迷っていた。来夢がいっそ全部、と言いかけた時、タケルのほうから言った。
「この迷うのが楽しいんですよね。おい、マコト、おいで。どれにする? やっぱり、この『だっこ』かなぁ。これ、いいなぁ」

来夢がマコトを見た時、マコトの顔の横にははっきりと吹き出しが見えた。
 ぼく、赤ちゃんじゃないし、『だっこ』なんて言わないもん!
マコトだっこ

蛇足ですが……
ミサキリク:limeさんの小説「RIKU」シリーズの主人公。美貌の新進気鋭の画家。
長谷川女史:同じく、「RIKU」シリーズに登場の、美術雑誌『グリッド』の凄腕編集長。
来夢ちゃんは長谷川女史の姪御さんという勝手な設定をつくっちゃいました(*^_^*)
そして、さらに勝手に、リクがタケルのギャラリーで展覧会をやったことにしちゃいました。
いや、絵になるかも。美貌の新進気鋭の画家と、美形のギャラリーのオーナー。
それだけで『グリッド』の売り上げが…・・・・(うにゃうにゃ)

タケル、マコトに「だっこ」って甘えて欲しそうですね。マコトはぷい、って感じですけれど。
甘えん坊だけれど、素直になれないマコトなのでした。
その辺りは真といっしょですね。いえ、真は……甘えん坊ではありませんが。
そして、ニンジンの絵のマコトの耳だけが、他の絵と違ってちょっと伏せ気味だから、鬼さんのツノに見えるんですよね。
これって、わざと? とても感じが出ていていいなぁと。

limeさん、ご紹介とお礼が遅くなって、本当にすみません!
いつも本当にありがとうございます!!!!!!!

*イラストの著作権は来夢さん、ではなくlimeさんにあります。無断転用はお断りいたします。

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(14) マコトのクリスマスプレゼント 

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(イラスト:limeさん。作中の「だっこ」のイラストもlimeさんが描いてくださいました(^^))
クリスマスにマコトから小さなプレゼントです。
お楽しみくださいませ(*^_^*)

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。飼い主のタケルに甘えたいけれど、どうしても甘えられない。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。マコトが甘えてくれたらなぁと思っている。


【迷探偵マコトの事件簿】(14)マコトのクリスマスプレゼント

ぼくはそ~っと寝ているタケルの近くに行く。
ベッドのよこには、おっきな毛糸のくつ下がぶら下がっている。
それをちらっと見てから、ぼくはタケルの手にちょっとだけあたまをくっつける。
す……
す……
タケルの手がちょっとだけ動く。
うわ~
ぼくはあわててベッドから飛び降りた。


くりすます?
何だかよく分からないけれど、タケルはとっても忙しそう。
お仕事も忙しいし、それに、いっぱいプレゼントを用意しなくちゃいけないんだって。
とおくにいる家族とか、ホッカイドウにいるジィちゃんとか、女の人とか、おそうじのおばちゃんとか、お仕事のおともだちとか、いっぱいいっぱい。

ぼくもジィちゃんに、にくきゅう文字でおてがみかいたよ。
ジィちゃん、またお正月に行くから、シャケとスケトウダラとホタテ、よろしくね!
タケル、ちゃんとお手紙、送っといてね。
……ジィちゃん、にくきゅう文字、読めるかなぁ?

タケルが忙しいから、ぼくは「にくきゅうでタッチリモコン」でテレビをつける。
あのね、にんぎょうのお芝居をやってたの。
女の人が長い髪の毛を切って、お金をもらって、キラキラ光るクサリを買ったの。
で、今度は男の人がね、時計を売って、お金をもらって、くしを買ったの。
でね、男の人は女の人の短い髪を見て、びっくり。
ふたりはせっかく買ったプレゼントをどこかに仕舞っちゃった。
???

賢者の贈り物
「マコト、それは『けんじゃのおくりもの』だよ。プレゼントってのは、相手をおもう心がいちばん大切なんだ」
でもね、仕舞っちゃったよ?
くしもクサリもおいしくないのかなぁ?
「形じゃないんだ。あいてがよろこんでくれるかどうかなんだよ」

くりすますはだいじな人にプレゼントをするんだって。
ぼくもタケルにプレゼントする?
でも、ぼく、お金持ってないし。
毛も短いから、売れないし。

だいじなのはキモチ?
タケルは何が欲しいのかなぁ?
……

ぼくはいっしょうけんめい考える。
でもすぐ眠くなっちゃうから、すぐ忘れちゃう。


くりすますの前の日。
おばちゃんがきれいにおそうじして、タケルはにせものの木にいっぱい丸いのとかお星さまとか、きらきらとかぶら下げて、木の下にいっぱいプレゼントを置いた。
「マコト、できるだけ早く帰ってくるよ」
そう言って、タケルはおめかししてお出かけ。
パーティなんだって。

おばちゃんはぼくにねこまんまを作ってくれる。
「ほんとうに、あんなふうに人にばっかりプレゼントを用意して、自分は何にも欲しいって仰らないんだからね。でも、あの人は何でも持っているし、今さら欲しいものはないのかもしれないね」
うん。そうだね。
タケルが何をよろこぶのか、なんて分かんないよね。

マコトだっこ
……でも。
ぼくはちらっと壁にかかった絵を見る。
この間もらってきた『抱っこ』の絵。
いっつもタケルはこれを見て言うんだ。
お前もこんなふうに甘えてくれたらいいのになあ、って。

ぼく、タケルが寝てるときとか、あっち向いてるときだったら、ちょっと近づいてみたり、お布団のよこにちょびっとだけもぐりこんだりとかできるんだけれど、タケルが気がついたら逃げちゃう。
だからいつも寝る時は、タケルの足のよこらへんのお布団のうえ。

でも、ねこのカンヅメのこまーしゃるを見たら、灰色のねこが飼い主さんにすりすりして、とっても気持ちよさそうなんだ。
いいなぁ。
だから、ぼくもちょっとがんばってみることにしたの。
そうだよね。キモチが大切なんだもの。


……こんどこそ。
ぼくは寝ているタケルの手のよこに行く。
す……
すり……

もぞっ。
うわっ!
タケルが動いた。
ぼくはあわてて逃げる。
……あぁ、びっくりした。

ぼくはしばらく息をひそめて、じっと待つ。
タケルは眠っている。
柱時計の音がする。
くりすますの朝。
もう今日がきのうになっちゃう。

ぼくはもう一度ベッドによじ登って。
タケルのよこに行って。
す、す、すり……
もぞっ。
わ~、やっぱりむり~~~

タケルの手が動いて、ぼくのしっぽをつかみかけた。
ぼくはあわててじゃんぷ。
何かに爪が引っかかった。


あれ?
もぞもぞ。
ぼくはもがきながら引っかかりを外そうとした。

あれ~~
ぼそっ。
なんかにはまっちゃった。
落とし穴??
まっくらだよ。

ごそごそごそ。
……
ゆらゆらゆら。
……

なんか気持ちいいな。
ゆりかごみたい。
だっこしてもらったら、こんなかんじなのかなぁ?
……ま、いいか。ねちゃお。
「すりすり」はまたこんど、れんしゅうしよっと。


クリスマスの朝。
俺は伸びをして起き上がる。
夢の中で、何度も手にマコトのしっぽが触っていたような気がしたけれど、多分気のせいだな。
昨夜は少し飲み過ぎたようだ。

と思って、枕元の毛糸の大きな靴下を見たら……
あれ? 何だか、膨らんでいる?
まさか、本当にサンタクロースが来たのか?
って、幼稚園児じゃあるまいし、そんなわけないか。
二日酔いで、どこか頭のネジが緩んでいるのかもしれない。

と思って手を伸ばして靴下に触ったら。
がぶっ!!
いてっ!

なんだ、妖怪か怪獣のプレゼント?
俺は靴下の中を覗き込んだ。
にゃあ!

クリスマスの朝、プレゼントを待っていた靴下の中から、仔猫が飛び出した。
靴下とねこ

(『迷探偵マコトの事件簿』(14)マコトのクリスマスプレゼント 了)


最後のイラストはホームページ用イラスト素材無料配布サイト『素材大好き.com』さんからお借りしました。
飛び出てきたのはクロネコじゃなくてトラ猫だったけれど(*^_^*)
でもこれって、恋愛小説なら、「プレゼントはあ・た・し」ってやつですかね?
さて、マコトがタケルに「すりすり」できる日は来るのか??

皆様、素敵なクリスマスを!
次回は、マコトのお正月のご挨拶、例のごとくfrom HOKKAIDO、です。
ひつじ年に、まさかのジンギスカン??

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(15) マコトのカムイミンタラ(前篇) 

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(イラスト:limeさん)
お正月休み。今年もマコトはタケルと一緒に北海道のジィちゃんちです。
でも、今年はマコトに大冒険が待ち受けていました。
カムイミンタラ。「神々が遊ぶ庭」もしくは「ヒグマが沢山出るところ」? 
幸い冬なので、熊は冬眠中。でも、冬の森の中は危険がいっぱい。
小さなマコトの大きな冒険、お楽しみくださいませ(*^_^*)

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。怖がりだけれど、一生懸命。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。
ジィちゃん:ジィちゃんだけど、タケルの親友。北海道の浦河で牧場を経営している。
アイヌのジィちゃん:ジィちゃんのオトモダチ。


【迷探偵マコトの事件簿】(15)マコトのカムイミンタラ(前篇)

[SCENE1] マコトの冬休み
今年もぼく、タケルといっしょにホッカイドウ。
ホッカイドウはすっごくあったかいよ。
……おへやの中はね。
でも、ぼく、おそとも大好き。
だから、ジィちゃんがお出かけするときはいっしょについて行くの。
ジィちゃんのおしごとはお馬さんのおせわ。
だからお休みはないの。

でもね、ジィちゃん、今日はオトモダチのところにお出かけなんだって。
ぼくもついて行っていいの?
って、ジィちゃんをじっと見てたら、おいでって!
やった。
ぼくとジィちゃん、去年、いっしょに宇宙人をやっつけてから仲よしなんだよ。
ジィちゃんのエサシオイワケに、ぼく、オハヤシもできるし。
う~、にゃんにゃん!

今日お出かけするのはちょっとだけお山の中なんだって。
雪にうもれちゃう!?
ジィちゃんは、足につける、たいらなカゴみたいなのを出してきた。
カンジキっていうんだって。
これをはいたら、雪の中にしずまないで歩けるの。
ねこ用はないのかなぁ。
ねこだって、歩いたらしずんじゃうのに。
ウマ用はあるんだって! じゃ、ねこにも作って!

ジィちゃんのオトモダチはアイヌみんぞく、なんだって。
ねこにも、ぼくみたいなトラもようとか、ミケとか、ブチとかいるみたいに、ニンゲンも少しずつチガウ……みたい。タケルはニホンジンじゃないし。
でもねこはねこだし、ニンゲンはニンゲンだよね!
なんかよくわからないから、そういうこと!

きょうはさむいけれど、雪が止んだので、キラキラできれい!
まっ白なぼくじょうに、いっぱいちっさい太陽がおちてきたみたい!
ぼくはジィちゃんの服の中に入れてもらって、しゅっぱつ!
お馬さんのおせなかは、とっても高いね。
でも、ぼく、もうなれたよ。コワくないもん。

ぼくはジィちゃんの服からカオを出して、お外を見る。
キラキラ、キラキラ、まっしろで目がいたくなっちゃった。
あ! 何かうごいたよ!
ぼくはジィちゃんを見る。
マコト、あれはエゾシカだべ。この世に生きるものはすべてカムイだ。神さまだ。かみ、というのは「まれなるもの」という意味だ。あの小さなシカも、このウマも、お前も、みんな「まれなるもの」だべ。
カムイ。
何だかふしぎなヒビキだね!

あれ、ジィちゃん、これなに?
ジィちゃんの服の中のぽけっとに、何か入ってる。
ぼくはごそごそとのぞいて見る。
わ。
ちいさいカンジキが4つ!
これどうしたの、ジィちゃん?
ぼくが首を出して、ジィちゃんのカオを見たら、ジィちゃんはいつものこわいカオのままだったけど、ちょっとテレたみたいにとおくを見た。
これ、ねこのカンジキだよね!
ぼくのカンジキ? ジィちゃん、ありがと!!

ジィちゃんのオトモダチは、クマだった!
宇宙人のつぎはクマ??
ぼくはびっくりしてジィちゃんの服の中にもぐりこむ。
それからそっとカオを出してみた。
わはは。
クマがわらった!
じゃなくて、クマみたいにおっきなヒトだった。おひげもすごいの。

ぼくはあったかいミルクをもらう。
ジィちゃんとオトモダチはおさけ。
ねこはおさけをのんじゃだめだよ。
ぼく、お正月にまちがえてビール飲んじゃったら、ソーランぶしをおどっちゃった!
イロリでは小さなお魚を焼いてくれる。
ぼくは冷めるのを待って、はぐはぐ。

ジィちゃんたちは、時々ぽつぽつとお話をする。
ぼくはおうちの中をたんけん。
おっきなお魚がくろくなってぶら下がってる。
おっきな目玉のついた、お布団みたいな服がかけてある。
アイヌのもようはマヨケなんだって。
アクマが入って来ないように、ソデとかエリにもようを描くの。
でも、これ、布団基地にしたらかっこいいだろうなぁ。

ジィちゃん、ぼく、お外に行ってみてもいい?
ジィちゃんとぼくはイシンデンシン。
ジィちゃんがトビラを開けてくれる。
わぁ。キラキラ。オトモダチの小屋のまわりは雪だらけ。
お馬さんがじっとぼくを見る。
とおくに行っちゃいけないよって。
うん。ぼく、ちょっと見回りに行ってくるね!
あれ、ジィちゃんが呼んでる。なんだろ?
だいじょうぶ。ぼく、すぐ帰って来るから。

[SCENE2] イソポイリワク
ジィちゃんのオトモダチのおうちのまわりにはひろ~い原っぱと、後ろには木がいっぱい生えてる。大きいねぇ。ボクジョウみたいに広いよ。
まっ白でキラキラ。木の上にもキラキラ。
お空はとっても青い!
白と青、とってもキラキラ。

あ、何かうごいた!
しっぽふさふさの茶色いの!
あ、むこうには白いまるいのがいるよ!
あ、こんどはエゾシカ!
青いお空をトリがとんでる。
トウキョウのトリよりおっきい!
白い雪はいっぱいキラキラ光る。
みんな、カムイ!
茶色いふさふさも、白いまるも、エゾシカも、お空のトリも。
ぼくも、ちっさい太陽のキラキラも、みんなカムイ!

わ~い!
っと!!!

ずぼっ……!!!!!

あれ~~~??????????????

ぼくはいっしゅんまっしろになった。
まっしろ? まっくら?
あたまをぶるぶる振ってみる。

穴に落っこちたみたい!
わぁ、どうしよう!
タケル~、どこ~~~!?
って、今日はタケル、いなかった……

上を見たら、丸いお空が見える。
ジャンプしてみる?
じゃ~んぷ!
どて。
あとちょっとだけど、届かないよ!!

よし、もういっかい。
じゃ~んぷ!
どて。
……だめだ。
でも、足の下が、なんだかぶよぶよしてる。
ぼくは下を見てみた。

え?

……

ぼくは目をぱちぱち。
ぼくの下の目玉もぱちぱち。

いっかい目をつぶって、開けてみる。
……やっぱり、いる!
ぼくの下の目玉も、いっかい閉じて、また開いた。
うわ。生きてる!

ぼくの毛はぜんぶ逆立っちゃった!
おひげはキンチョーしてぴーん。
ぼくの下のおひげは……けむくじゃら!
アイヌのオトモダチみたいだ!

おい。

だれかしゃべってる!!
ぼくは上を見る。丸いお空しか見えない。

おい。

わ~。げんちょう、とかいうやつ???

ハラの上ではねたら、いたいべ!

え?

……

あ、あの。もしもし。もしかして……しゃべったの?

しゃべるも何も、ハラの上ではねるんじゃないべ。ただでさえ、あちこち痛くてたまらんに。

……えっと。どうしてここで寝てるの?

寝てる? じょうだんじゃないべ。落っこちただ。オレとしたことが……

そう言ってから、小さいヒゲニンゲンはじっとぼくを見た。
わ。ぼく、おいしくないよ! たぶん!!

おまえ、ひまだべ?

ひま……? ぼく、いつもけっこう忙しいんだ! 今だって……!
え~っと。何してるんだっけ? え~っっと、見回り!

ちょっと頼まれてくれねぇか。
ヒゲニンゲンはぼくが忙しいのもムシして、しゃべりかける。
……そりゃ、まぁ。聞いてあげてもいいけど。

じつは、じっちゃが病気だで、医者を呼びに行くとこだったベ。けど、あなぼこに落っこちてしまって、足を痛めたらしい。おまえ、おらの代わりに医者さ、呼んできてくれんか。

ジィちゃんがびょうき! いしゃ! えっと、あ、ぼくのジィちゃんじゃなくて、君のジィちゃん?
ぼくはちょっとあたまがぐるぐる。
うん、ぼく、呼んできてあげてもいいけど、でも、どこに?
それより、どうやって穴からだっしゅつするの??

ヒゲニンゲンはせまい穴ぼこの中で、よっこらしょと起き上った。
ぼくと、ヒゲニンゲンでいっぱいいっぱいのあな。
わ。小さいニンゲンだ。でもおジィちゃんみたい。

おらはトシヨリじゃないべ。ま、いいさ。おらの肩に乗るべ。

そっか。きょうりょくしたら、できるね!
ぼくはヒゲニンゲンの肩の上に乗っかった。
ちょっとじゃんぷしたら、穴から出れそうだよ。
それで、ぼく、どこへ行ったらいいの?

この先に森が見えるベ。入口からまっすぐ行って、29本目の木を右に曲がって、18本目の木を左に曲がって、まっすぐ行ったら、切り株があるべ。その切り株から3本目の木にのぼったら、インサンケカムイがくるべ。

い、いんさん? け?

ちびすけ、急いで行ってくれ。おらはイソポイリワク。イソポイリワクのジィちゃんがびょうきだと言えば、すぐ村へ飛んでくれるべ。はよ行け。

い、いそぽ。い、い、いりわく!
ぼくは穴から飛び出した。雪の向こうに森が見える。
歩きかけたらずぼって、はまりそう。
えっと、そうだ、カンジキ!
え? でも、いそ……いそぽ、はどうするの?
ぼくは穴にもどった。

ね、いそ……いそぽ! だいじょうぶ?

穴の中から声がする。
おらはだいじょうぶだべ。はやく!

う、うん。
ぼくはいちもくさんにジィちゃんのいる小屋にもどった。
ジィちゃん、ぼくのカンジキ!
でもにゃあにゃあ鳴いても、家の中のジィちゃんには聞こえない。
どうしよう。

その時、お馬さんがひひ~ん!っておっきい声でさけんでくれた。
トビラが開く。
わぁ、ありがと!
ぼくはジィちゃんにいっしょうけんめい説明する。
あのね、ジィちゃん、穴に落ちてね、それで、穴の中にヒゲニンゲンがいて、それでオイシャさんを呼びに行くからね、ぼく、カンジキ、いるの!

ジィちゃんはよく分からなかったみたいだけれど、ぼくの足にカンジキを4つ、つけてくれた。
うん、ジィちゃんとぼく、イシンデンシンだもんね!
それから、アイヌのジィちゃんが、ぼくにちっさい首輪をくれた。
あ。お布団とおんなじ、もようがついてる。
アクマゲキタイのもようだ。もうひとりのジィちゃん、ありがと!
ジィちゃん、ぼく、シメイがあるんだ! だから、行ってくるね!

ぼくはカンジキでイッショウケンメイ歩いた。
うんと、これもけっこう歩きにくいんだね。
でも沈まない。
いそぽ。待っててね!

森の入り口についた時、空が暗くなり始めた。
いそがなくちゃ!
1、2、3、……、8、9、10、20、1、2、……
29本目だね。
あれ? 右だっけ? 左だっけ?
……左!
18本目。
1、2、3、……、10、18!
あれ? 切り株なんてないよ?

……お空は真っ暗になっていた……

(つづく)[マコトのカムイミンタラ(後篇)]


マコト……数は数えられないのでした。
暗くなってきた寒い北海道の森の中で、迷子になったようです!
アクマが出るかも!
後篇お楽しみに!!

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(15) マコトのカムイミンタラ(後篇) 

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(イラスト:limeさん)
お正月休み。今年もマコトはタケルと一緒に北海道のジィちゃんちです。
北海道の雪原で遊んでいて穴にはまったマコトは、コロボックルのイソポイリワクに出会います。
イソポのじいちゃんが病気! 動けないイソポの代わりにマコトは医者を呼びに森の中へ。
でも、数は数えられないし道に迷っていまいます。そして、空は暗くなってきました!
マコト、どうなる?
【マコトのカムイミンタラ(前篇)】

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。怖がりだけれど、一生懸命。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。
ジィちゃん:ジィちゃんだけど、タケルの親友。北海道の浦河で牧場を経営している。
アイヌのジィちゃん:ジィちゃんのオトモダチ。
イソポイリワク:コロボックル。ウサギの兄弟/仲間、という意味。


【迷探偵マコトの事件簿】(15)マコトのカムイミンタラ(後篇)

[SCENE3] マコト、たたかう
さっきまでちっさい太陽がいっぱい、まっしろの雪の上でキラキラしてたのに、お空が暗くなったら、キラキラも消えちゃった。
早くいかなくちゃ。
でも、前に進まない?
う~ん。
せんぷうきがお空から降ってきたみたい。

ぶわっ。
ころん。
わ! 吹き飛ばされちゃった!
ころんころんころん・……
わ~~~~

止まったと思ったら、雪まみれ。
ぼく、またねこダルマになりかけてる。
おひげがびゅんびゅん、いってる。
め、目が開けられない……
雪がいっぱい、ふってきた。
ナイフみたいに雪がつきささる。
びゅん、びゅん。
上からも、下からも、横からも。
あ、歩けないよ……

切り株、切り株、きりかぶ、きりきり……

ぼくはよろよろと一歩だけすすむ。
風がびゅん!!
ぼくはころがる。
ぼくの前はまっしろのまっくろで、何にも見えない。

きりかぶ、きりかぶ、いんさんけ……

昨日、タケルが言ってた。
ホッカイドウはまいなす30度になるんだって……
……まいなす30度ってなんだろ?
こおるんだって。
……こおるって、なに?
ぼく、寒いのか、あったかいのか、わかんなくなってきちゃった……

でも、がんばらなくちゃ。
いそぽが、雪のあなぼこの中でぼくをまってるんだ。
ぼく、きりかぶ、いんさんけ、さがさなくちゃ!
きりかぶ、いんさんけ、どこ……

でも、もう歩けない……
ジィちゃん! たすけて! 
タケル……どこ?
ぼくはころん、ってころがって……また雪まみれになっちゃった。

……あれ? なんか、まっしろだね。
でもなんとなくあったかい。
それに、タケルの声が聞こえるね。ぼくを呼んでる?
わぁ。シャケとイクラとスケトウダラとホッケがならんでる~
ぼく、お馬さんのおせなかに乗って、ゆらゆら~
お馬さん、どこに行くの?
ぼく、ちょっとあったかいよ……
おいでって、お空の上から声が聞こえる……タケルが呼んでるの?

って、そんなはずはない!
だって、ぼく、今は森の中できりかぶをさがしてるんだから!
シャケとイクラとスケトウダラ……は、タケルんとこに帰ってから食べるんだ!
だから、あれはタケルの声じゃなくて、アクマにちがいないんだ。
ぼくはマヨケを持ってるんだぞ! だまされないよ!
いそぽ、待っててね!

ぼくはぶわんぶわんと雪を払った。
いっぱいいっぱいぶるぶるした。
それから、ころんころんしたけど、もいっかい、立ち上がった!
空のせんぷうきにも、よこからふってくる雪にも負けない!
ぼくはお空を見上げた。
あんまり見えないけど、せんぷうきは強くなったり弱くなったりして、時々お空が見えた。

だいじょうぶ。ぼく、毎日、半にゃライダーになるれんしゅう、してたんだもん。
ぼく、前よりずっと強くなってるもん。
ぼくはさけんでみた!

にゃ~~~~~~ん!!!!(いんさんけかむい~~~!!!!)
せんぷうきがぜんぶかき回していく。
でもぼくは、もういっかい、さけぶ。

にゃ~~~~~~~んんん!!!!!(いそぽを助けて~~~!!!!!)

し~ん。

にゃ~~~~~~~んんんん・……

ぼくの声がお空ではねかえってる。いんさんけ……に聞こえないのかな。
ぼくはもういっかい叫ぶために、力をこめた。

ぶわっつ!!

その時、お空がきゅうにもっとまっくらになって、すっごく大きな黒い天井が降って来た。
わ! わわわ!!!!
何かにつかまっちゃった!!!

ぼくはよこから来る雪の中、お空にういていた。
ぼくのからだは、おっきい足につかまれてる。
って、わ~~~~。
見上げたら、からだは黒くて、おしっぽだけ白い。
でっかいトリ???
でっかいトリって、ねこ、食べる??????
わ~~~~、どうしよう!!!! ぼく、食べないで~~~~!!!
あとでぼくのシャケとホタテとスケトウダラと……分けてあげるから!!!

でっかいトリはぼくを木の上につれて行った。
足でグイと押さえて、くちばしでつつこうとする!

わ~~~~!! ぼく、おいしくないよ!! たしかに、ホッカイドウに来てからオイシイものばっかり食べてたから、前よりちょっとオイシイかもしれないけど! じゃなくて、ねこはおいしくないって『ねこのきもち』に書いてあったよ! たぶん、書いてあったと思うよ! それに、それに、それに、えっと、ぼく、ぼく、いそぽのジィちゃんがびょうきだから、きりかぶを探して、いん、いんさんけ、かむいに会わなくちゃならないんだから~~~!!!

でかいトリはぼくのくびわをじっと見て、それからもういっかい、ぼくをくわえた。
空に飛びあがる。
わ~、いったい、なんなの~~???
空はまだまっ白のようなまっくろなようなかんじだったけど、いつの間にか雪は消えてた。

ぽて。

あれ?
ぼくは、どこか高いところに落っことされた。
いて。
木のえだにひっかかる。
ひらひらって、よこから雪が流れてくる。
ぼくは落っこちないようにヒッシに木のえだにつかまった。

つるっ!
わ!!! 落っこちる!!

と。
何かがぼくのくびわをひっぱった。

ほう。このちびすけはアイヌのくびわをつけている。

声がする。ニンゲンの声とちがって、ぼくにもことばが分かる。
ぼくは目を見開いた。今度はちょっとまるっこいトリ……
丸っこいトリがしゃべった。

カムイチカップ、これはなんだ?

拾ったのだ。食おうと思ったが、お前の名前を叫んだから、お前の知り合いかと思って持ってきた。それに、この首輪が邪魔で、どうにも食えんのだ。

わ。後ろにさっきぼくを食べようとしたトリもいる。

ほう。君はわしの知り合いか? 会ったことはないが。

ぼくはぶんぶん、首をふった。

でも、ぼく、いそぽのトモダチなんだ。穴に落っこちたら、いそぽがいて、いそぽのジィちゃんがびょうきで、えっと、いそぽがいたから、ぼくは落っこちた穴から助かって、えっと、おいしゃさんをよぶから、森の中の29本目の木と18本目の木ときりかぶで、えっと、いん、いんさんけ……かむい!

ふむ。わしがそのインサンケカムイだが、いそぽ、というのはイソポイリワクのことようだな。なるほど、イソポイリワクのじっちゃが病気。では、ちびすけ、少し待っていなさい。

そう言って、いんさんけ……さんは羽根を広げて飛び立った。
わ、羽根を広げたら、さっきの尾っぽの白いトリさんに負けないくらいおっきい。
と、まだその尾っぽの白いトリは、後ろでぼくをナゴリオシソウにじっと見てる。

高まるキンチョー!
だって、さっき、ぼくを食べようとしたって言ったよね?
やっぱり、食べようと思ってるんだよね。
わ。寄らないで。
じっと見てる。
だから、もしかしたらいつもよりちょっとオイシイかもしれないけれど、多分、あんまりおいしくなくて、えっと……『ねこのきもち』に……

と思ったら、またいきなりお空が暗くなった。
まっくらになって、またせんぷうきが降りてきたみたい。
また雪が来るの????
つるっつ!!!
わ~、落っこちる! 

と思ったら、いきなりまた大きな足につかまえられてた。
今度はなに~~~???? 
ぼく、おいしくないって!!

ちびすけ、名はなんという?

すごく太くて大きな声がした。

[SCENE4] マコトの役割
よく見たら、お空が暗かったのは、大きなはねが広がっているからだった。
白い尾っぽのトリよりも、いんさんけ……さんよりも、ずっとずっとずっと大きい。
ぼくはその大きなトリの足につかまえられて……大空を飛んでいた!

遠くを見たら、まっ白でまっくらな空に切れ目ができて、キラキラがのぞいていた。
わ。太陽だ。お帰り!
ぼくはちょっとだけ、ほっとした。

ぼ、ぼく、マコト。タケルがつけたんだ。

マコト、私はコタンコロカムイだ。アイヌは私をそう呼ぶ。倭人は……私のことを何と言ったかな、そう、シマフクロウ。さっき私を呼びに来たのは私の使いで、インサンケカムイ。私と同じフクロウだ。お前を食べようとしたのはカムイチカップ、倭人の言葉ではオジロワシだ。

カムイなのに、ぼくを食べるの?

ほう。ちびすけ、カムイをどのようなものだと思っている?

えっと……マレナルモノ!

ほほう。分かっておるじゃないか。そう、生きているモノは皆がそれぞれ稀なるものだ。生きているから食うのだ。冬には食べ物が少ないから、小さな動物は我らの大切な生きる糧だ。命はそうやってつながっているのだ。食べることは善いとか悪いとかではない。必然なのだよ。生きるものはやがて死ぬ。それも必然なのだ。カムイには善いも悪いもないし、生も死もカムイのものでありアイヌ(ヒト)のものでもある。

じゃ、ぼく、食べられた方がよかったの?

さて、それもまた生命の理だ。マコト、ただこれだけは確かなことだ。天から下ろされた全てのものには役割がある。食うことも食われることも役割だ。そして、お前の役割は、今は食われることではないらしい。イソポイリワクのじいさんが病気だと聞いた。私がエポタラクルの居所を知っている。つれて行ってやろう。

えぽた、たらくる?

マコト、この森の奥深くにエポタラクルが住んでいる。エポタラクルは森と共に生き、森の薬を研究し、あちこちの村を移動しながら病人を助けている。それが彼の役割だ。彼は常に学ぶために他のコロボックルが近づかないような森の奥深くに分け入り、また皆を助けるために移動しているので、どこにいるのか分からない。だから他のコロボックルたちは彼を探す時は私を頼るのだ。私は森のことは何でも知っている。

ころ、ころ。こぼろっくる?

コロボックル。蕗の下の人、という意味だ。彼らは森の住人だ。さて、マコト、私たちはエポタラクルを見つけたようだ。

えぽたらくる、は、森と共に生きる人。いそぽと同じように髭もじゃのちっさいニンゲンだったけど、本当はこぼろっくる、じゃなくてコロボックルって言うんだって。
えぽたらくるはカバンにいっぱい草をつめ込んだ。それから、ぼくとえぽたらくるは大きなフクロウにつかまって、一気に森の上を飛んだ!

キラキラ。キラキラ。
キラキラの後ろには暗い森。
森にも原っぱにも、いいことも悪いこともいっぱい。
みんな、いっぱい生きてる。
食べたり、食べられたり。びょうきになったり、しんぱいしたり。
けんかしたり、ゆずりあったり、たすけあったり。
キラキラ。キラキラ。
ここがカムイミンタラなんだね。

あ。アイヌのジィちゃんのおうちが見える!
あれ。お馬さんがいない? どうしたんだろ。
あ。トビラのところにアイヌのジィちゃんがいる!

ね。ぼく、いそぽをたすけなくちゃ! あのおうちの近くで降ろして!

大きなフクロウはぼくを降ろすと、アイヌのジィちゃんとあいさつした。
じっとカオを見合わせて、大きなフクロウもアイヌのジィちゃんもうなずいた……みたいな気がしただけだけど。
それから、えぽたらくるをつれて、大きなフクロウは大きな羽音を立ててもう一度空に飛びあがった。
急いでね! いそぽのジィちゃんをよろしくね!

コタンコロカムイ、シマフクロウの神さまは村の守り神。
カムイにもヒトにも、みんなヤクワリがある!

ね。アイヌのジィちゃん! いそぽがうまってるんだ!
ぼくはにゃあにゃあ鳴いて、いそぽのいるあたりまでジィちゃんをつれて行った。
ジィちゃんは雪をほってくれる。
あのね、いそぽのいる場所は、ぼく、お空からすぐに分かったんだ。
どうして、って、そこだけキラキラがいっぱいになってたの!

ほって、ほって、ほったら!
いそぽの頭の上の天井がぽっかりと空いた!
わぁ、いそぽ!!

ジィちゃんは心配してお馬さんと一緒にぼくをさがしに行ってくれていた。
また雪が降り始めていた。
帰ってきたジィちゃんと、アイヌのジィちゃんと、いそぽとぼく。
いっしょに小屋の中であったまる。
ぼくはあったかいミルク。
ジィちゃんたちはおさけ。
いそぽの前にもおさけ。

ボクジョウに帰る時、ジィちゃんはお馬さんにぼくといそぽを乗っけて、少しだけ遠回りした。雪でいっぱいの原っぱを通って、となりの森に。
森に着いたら、いっぱいいっぱいいっぱい、ヒゲニンゲン、じゃなくて、コロボックルが出てきた。1、2、3、……、たくさん!!! ヒゲじゃないのもいる!
中からもこもこの毛皮のような服を着て、頭にも、もこもこをかぶったヒゲじゃないコロボックルが走り出てきた。
イソポイリワク!
いそぽが走りよる。あ、きっといそぽのお母さんだね。

あぁ、心配したさ。お前、足は大丈夫だべ。
おらは大丈夫さ。じっちゃは?
あぁ、大丈夫さ。今日はエポタラクルがここにいてくれるようだ。さぁ、今日はまた夜これから、吹雪くかもしれないから、はよ家さ入るだ。

みんな、ぼくに手をふる。
いそぽも、ぼくに手をふる。
ぼく……ジィちゃんの服の中からカオを出してじっと見る。
だって、手をふれないし、しっぽは服の中なんだもん。
いそぽが大きな声でさけぶ。

新しい日が来て、晴れたらあそぼう! 
うん! あたらしい日、晴れたら、あそぼう!

かえりみち。
お馬さんのはいた息が、雲にかくれそうになる太陽の光で、そのままキラキラってこおる。
ダイヤモンドダストって言うんだって。
きれいだね。
ちっさいぼくのはく息も、キラキラこおる。
……何も言わなかったけど、ジィちゃんは分かってくれてたのかなぁ。
ジィちゃんはぼくの頭を何回もなでてくれた。

[Epilogue] ぼく、がんばったよ
夜。お外は雪が降っていた。
ぼくはおなかいっぱい、シャケとスケトウダラとホタテを食べた。
それから、いつものようにタケルのお布団の足元で丸まる。
でも。
ぼくはむっくり起き上がって、タケルが眠っている頭のよこを通って、窓のそばに行く。
外はまっくらでまっ白。雪が降ってるんだね。
森の中はいま、どんなだろう。
アイヌのジィちゃんのおうちは雪にうまっていないかな。
今日はとっても寒いね。
いそぽたちのおうちの中はあったかいかなぁ。

と思ったら! むんず、とつかまえられた!
ぎゃ~~~~! また、ワシとかフクロウとか!
……じゃなくて、タケルだった。
ぼくはムダナテイコウをしてみたけれど、ムダナテイコウはやっぱりムダだった。

……でも。
今日は寒いから。
ぼくはお布団の中で、タケルのうでに頭を乗っけて、タケルにくっついた。
今日だけ、おまけだよ。
タケルが寒いから、ぼく、あったかくしてあげるだけだから。

……

ね、タケル……もう、ねちゃった?
……
あのね、タケル、ぼくね、今日ね……アイヌのジィちゃんちでね、穴にはまってね、それで、いそぽとね、すごくおっきいトリのカムイとね、えっと……ワシとフクロウ? あした、本で見せてね。
それからね、あたらしい日、晴れたらね、いそぽとあそんでもいい?
……あのね、それでね……

……

ぼく……きょうね、がんばったんだよ。

……タケルの手も、ジィちゃんとおんなじ。
ぼくの頭を何回もなでてくれた。

(マコトのカムイミンタラ、おしまい)




(作者註1)『ねこのきもち』にそんなことは書いてありません。
(作者註2)北海道の家の中はとっても暖かいので、タケルは別に湯たんぽがなくても大丈夫。
(作者註3)小さいフクロウは、大きなシマフクロウの使いと考えられています。
(作者註4)ジィちゃんたちに、イソポが見えていたのかどうかは謎です。お酒はお供え?
    でも、ジィちゃんにはみえるのかな。たぶんね。神は感じるもの。


マコト、大したことしてないかも? せいぜい一生懸命叫んだことくらいかしら?
でも、いつもピンチの時には、みみせんせい(アンパンマン)が、生徒を指導していますよね。
「みんなで声を揃えて…・・・・あ~んぱ~んま~~~ん!!!」
そう、人を呼ぶ。これ、救命ABCの第一(じゃなくてゼロ)です??
あれ? でも、叫んだら、マコトを食べようとしたオジロワシが来たんだった……^^;

ダイヤモンドダストと言えば、やっぱり朝の光の中のイメージなんですけれど、理屈上はマイナス10度以下になると吐く息もそのまま凍ってしまう。冬、ばんえい競馬の馬たちが走るときに吐き出す息のキラキラ……北海道で見たい景色のひとつです。

コロボックルは「蕗の下の人」という意味ですが、すごく小さいと思っていませんか?
北海道の蕗って、秋田の蕗程じゃないかもしれませんが、結構大きいんです。ってことは、コロボックルも、そんなに小さくはないのかも??(自論)

エポタラクル(アイヌ語で医者)のイメージは、インディアンのシャーマンです。ある本に書かれていた言葉。今、多くの西洋医学・薬学の研究者が彼らのところに来るそうです。
「多くの人間が薬草について教えて欲しいとやってくる。だが、誰一人として、森と共に生きる方法を教えてくれとは言ってこない」
何かを忘れていないか。マコトの足りない頭では意味は分からないけれど、懸命に生きるものは全てカムイなのかもしれません。

カント オロワ ヤクサクノ アランケプ シネプ カ イサム
真シリーズ【海に落ちる雨】の全編で流れているイメージは、このアイヌの言葉です。マコトもまた、そんなことを感じてくれていたのかもしれませんね。数はかぞえられないけど。
「天から役目なしに降ろされたものは、ひとつもない」

シマフクロウもオジロワシも絶滅危惧種。
カムイではあともうひとつ、サルロンカムイ、すなわちタンチョウがいます。
(ツルじゃないよ~。タンチョウは渡らないのです。鶴は渡り鳥)
真冬の朝早く、釧路でタンチョウを見に行ったことがありますが、素晴らしい光景でした。
人とカムイ、そしてどのような民族も共に生きていける地球でありますように。

マコトの冒険にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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【迷探偵マコトの事件簿】(16) マコトのねっとさーふぃん 

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(イラスト:limeさん)
1月の始まりがマコトなら、1月最終日もマコト。
このところ少し話が複雑になっていたので、久しぶりに「しょうもないモード」全開で、短いお話をお届けいたします。どうぞ気楽にお楽しみください。

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。本当はタケルに甘えたいけれど甘えられない。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。


【迷探偵マコトの事件簿】(16)マコトのねっとさーふぃん

あのね。
『半にゃライダー』見てる時、こまーしゃるでねこが飼い主の女の人にごろにゃんしてるのを見て、タケルがうらやましそうにするんだ。
ぼくは知らんぷり。
でも、タケルったらライムさんがくれた『抱っこ』の絵を見ては、またちらっとぼくを見るし。

ぼく、あんまり他のねこのこと知らないんだ。
ねこって、やっぱりごろにゃんするのがふつうなのかな……
タケルはもっとねこらしいねこが好きかな……
ねこってふつうはどんなふうにするんだろ……

そうだ! ぼく、ねこのけんきゅうしよっと。
ゆーちゅーぶでねこの動画をみて、おんなじようにしてみたら、ねこっぽいかも。

え~っと。
なになに……
「ねこは、飼い主がパソコンを見てたら、じぶんにかまって欲しくてモニターの前にすわる。」
「しんぶんを読んでいたら、ちょうど読んでいるところにねころぶ。」
……なるほど!
よし! ぼくもやってみよっと!

えっと。タケルはおしごとのおてがみを書いてるとこ。
じゃ、ぼく、ゆ~っくり近付いて、てがみの上にすわってみよっと。
ぬきあし……さしあし……しのびあし~っと。
遶ケ豬√→迪ォ・狙convert_20130627015942
わ! タケルがこっち見た!

……しっぱい。

もっかい、けんきゅうしよっと。
え~っと。ゆーちゅーぶで、『かわいいねこ』をけんさく。
……
わ、これ、いいなぁ。
ねこが、といれっとぺーぱーをぐるぐるぐる~~。

ぼくもやってみよっと。
あ、トイレのドアがあいた!
よし、行ってみよっと。
わ~、といれっとぺーぱーってあんなに高いとこにあるんだ。
じゃ~んぷっ!
……あ、ぎりぎりとどいた!

くるくるくるくるくる~~~~~
しゅるしゅるしゅるしゅるしゅる~~~~~~

わ~~~~~~!!
おもしろい~~~~
くるくるくるくるくる~~~~~
わ~~~~、ねこってこんなんなんだ~~!!

あれ、あれあれあれ~~~~
ぐるぐるになっちゃった~~~
わわわ、しっぽに巻きついちゃった~!

がたっつ!
いてっ!

お~ほしさ~ま~き~らきら~~~☆☆
にゃはは~
☆がいっぱい飛んでる~☆☆☆
ぴよぴよぴよ~~~☆

って、トイレットペーパーがまるまま落ちてきちゃった!
あぁ、びっくりした~
あ、タケルが見てわらってる……
え~っと。
しらんぷり……

ふぅ。こんどは、かしこいねこのけんきゅうしよっと!
ゆーちゅーぶでけんさく。

あ。
これすごいね~。
ニンゲンのトイレでねこがうんちしてる~!
わ~、ぼくもやってみよっと。

えっと。べんきのはしっこに立って……
おしりをおまるの方に向けて……
う~ん、ときばって……

つるっ!
あ!!!!!

ぼちゃん。

……

……タケル、ごめんね。
タケルはぼくをお風呂につれて行ってくれて、ごしごし、ごしごし。
……ごめんね。
ぼく、お水キライだけど、このまんまじゃくさいもんね……

ごしごし、ごしごし。
……ごめんね。
ちらっとタケルを見たら……わらってた。

ドライヤーでかわかしてもらって、ぼく、ふわふわになったよ。
くんくん……あ、せっけんのにおいがする……
せっけんのにおい、ほんとはあんまりスキじゃないんだ。

でも。
せっけんのにおい、タケルのおふとんの中といっしょだ。
ぼくは、タケルの足の近くで丸まる。
それから、タケルがねむった後、ぼくはむっくり起きて、タケルのおふとんの中にもぐり込んだ。
……だって、さむいんだもん。

今日のぼくはふわふわ。
せっけんのにおいはあんまりねこっぽくなくて好きじゃないけど、今日のぼくはタケルのおふとんと同じにおいだから、タケルといっしょにいてもいいよね。

……わぁ、あったかいや。

あのね、タケル……ぼく、ねこらしくなくてもいいよね。
だって、やっぱりぼくにはむずかしいんだ。
だから、ごろにゃんもすりすりもできないけど……

……たまには、いっしょにねてもいいよね?




文中のイラストはlimeさん(小説ブログ「DOOR」)に頂きました。著作権はlimeさんにあります。無断の転用はお断りいたします。クリックすると大きくなります。

ネットであれこれ研究したものの、ずいぶんと勘違いもしているようですが、マコトは今日も一生懸命(^^)
でも、臭いお話でごめんなさい……
明日から2月ですが、今はタケルが買ってきたオニのお面に興味津々のようです……

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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(17) マコトの聖バレンタイン 

マコトのバレンタイン
(イラスト:小説ブログ「DOOR」のlimeさん。著作権はlimeさんにあります。無断転用は固くお断りします)
limeさんが素敵なイラストを描いてくださいました。バレンタインのプレゼンターのマコトです。
limeさんは本当に才能豊かな、尊敬するブロガーさんです。小説はもちろんですが、イラストでもこうして少しコミカルなものから、深い世界観の溢れるイラスト、それに面白いショート漫画! いつも楽しませていただいております。
そして……このイラストを見れば、やっぱりバレンタインネタで一つ、書くしかないですよね!
いや、間に合ってよかったです!!

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。本当はタケルに甘えたいけれど甘えられない。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。
お手伝いのおばちゃん:タケルが雇っている、ちょっぴり豪快なおばちゃん。


【迷探偵マコトの事件簿】(17)マコトの聖バレンタイン

今日は2月14日。
お手伝いのおばちゃんが、今日はバレンタインだって言ってたよ!
それ、どんなおさかな

「バレンタインはね、女の子が男の子にチョコレートを渡して告白するのよ。でも、もともとはなんだったかしら? たしかキリスト教の……」
なんだ、おさかなじゃないんだ。

おばちゃんはタケルにチョコレート、渡すの?
「私のは義理チョコよ。旦那にも義理チョコだけどね」
おばちゃんは大きな声で笑った。
ふ~ん。で、チョコレートって、どんなおさかな

でも、ギリは知ってるよ!
ちょっとコワいおじちゃんたちが言ってる!
ギリとニンジョウのギリ、だよね!
ギリチョコ? コワいおさかな?

昨日から、ぼくのお気に入りのソファのすみっこは「コワいおさかな」が入っていると思われる、リボンのついたハコでいっぱい
それがこの数日でどんどん増えていくんだ。
ぼく、そこで丸まって寝たいのに……

でも、チョコレートってどんなおさかな、なのかな?
ちょっと開けちゃえ!

リボンの端っこをくわえて……
あ。このリボン、タケルのオンナと同じニオイがする……
う~、このやろう!
ぼくは引っ張ったリボンでぐるぐるになりながら、ハコのフタのはしっこをかじって、開けてみた。

……なに、この黒いの? おさかなじゃないね。
ちょっと なめてみよっと。
ぺろり、ぺろぺろ・……
??????

うえっ。ちっともウマくないや。
こんなまずいもの、タケルにあげるなんて……
これはきっと、くろいアクマの食べものにちがいない!
これを食べたら、タケルがアクマになっちゃうかもしれない!
(半にゃらいだーで、そんなの、あったよ)

えぇい。ぼく、半にゃらいだーのお面持ってるんだぞ!
このやろ、このやろ、このやろっ!
ぼくはコワいおさかな、じゃなくて、くろいアクマをハコから追い出した。
よし、ニンム完了!

あ、このハコ、ちょうどいいなぁ。
ゆーちゅーぶでね、ナベとかティッシュのハコとかにねこが入っててね、カワイイの。
ぼくもハコに入ったら、カワイイかも!

前足から入って……よいしょ。
あれ? ちょっと小さい?
うんしょ、と丸まって……ぎゅっと……
あれ? やっぱり、おしりだけはみ出しちゃう。それから、しっぽも……

う~ん。おしり、はみ出てるけど……、ま、いいか!
眠くなってきちゃった……
タケルが帰って来るまでねちゃお。


それにしても、女というのはどうしてこうもイベントが好きなんだろうか。いや、決して俺もサプライズは嫌いなわけじゃないし、友人、従業員、恋人、家族の誕生日には皆にプレゼントを贈るんだが、それを選ぶのも楽しみのひとつではある。
けれど、国中が騒ぐことでもないような気がする。いや、正直なところ、俺の商売にも御利益があるので、有難いと思わなければならないか。
でも、大体、こんなにたくさん貰ってもどうすることもできない。明日には知り合いの養護施設に持っていくのだけれど。

帰ってみたら、積み上げてあったチョコレートの箱の山が崩れていた。
え? マコト?
俺にとってはちょっとだけ大事な女がくれたチョコレートの箱をこじ開けて、その中にマコトが入っていた……いや、正確には頭と身体の半分は入っているが、おしりとしっぽははみ出ていた。
しかも、開ける時にリボンを引っ張ったらしく、そのリボンが身体に巻きついたままだった。

「こら、マコト!」
マコトはびくん、と頭を上げた。
「他人様が下さった心の籠ったプレゼントになんてことをするんだ!」
マコトはきょとん、として、それから俺が怒っていることを察したのか、跳ね上がるようにして逃げていった。
「食い物を粗末にしちゃいかん、って、じいちゃんも言ってたろ」

その日はちょっとだけ怒っていることにして、わざと目を合わさないようにしてやった。
まぁ、正直、チョコレートを全て食べる気もなかったのだが、やっぱり中身をくちゃくちゃにするのは善くない。甘えさせてはいけないと思い、わざと知らんぷりした。
マコトはそういうことには敏感なので、離れたところから時々俺の方を窺い、しょんぼりしている。
俺は、マコトが箱から放り出したチョコレートを拾い上げ、ブランディを傾けながら美味そうに食ってやった。うん、美味い。

翌日。俺はソファの上のチョコレートを段ボール箱詰めしてもらい、うちの執事に養護施設に届けてもらった。さて、仕事に出かけるか。
マコトはソファの陰から、そっと出かける俺を見送っていた。
しばらく、お灸をすえておくことにしよう。

しかし。
俺はマコトに背を向けてから、思わずにやけてしまった。
おしりははみ出していたけれど、箱に納まったマコトは妙に可愛かった。
しかも、リボンでぐるぐる巻き。
あれはもしかしたら、「プレゼントはあ・た・し」って奴だったのか? よりにもよって彼女からのプレゼントをどんぴしゃで開けたってことは……あいつなりのライバル心かも。
いや、にやけている場合じゃない。

それよりも、動画に撮っておかなったのは失敗だった。
ゆーちゅーぶに投稿し損ねてしまったな。


ぼくはしょんぼり。
タケルはぼくより、オンナのくれたくろいアクマのほうがいいんだ……
でも、ジイチャンも言ってたもんね……
ぼく、食べものをソマツにしちゃったね……

「おや、今日は何だか元気がないわね」
お手伝いのおばちゃんが買い物から帰ってきた。
うん。ぼくね、タケルに怒られちゃったの。

あ、いい匂いだね。わ、新しいニボシだ! ツキジのお店で買ってきたんだね。
……そうだ! おばちゃん! ぼくにそのニボシを1匹ください!
おばちゃんは「???」という顔をしていたけれど、ニボシの袋に向かってぼくがにゃあにゃあ言っていたら、そのうち、ぽんと手を叩いて、ニボシを1匹くれた。

ここのニボシ、おいしいんだよ。ニンゲンはこれをダシにするんだけれど、ぼくはちゃんとみんな食べるよ。食べもの、ソマツにしないもん。

でも、今日はぼく、ニボシを食べないでガマンすることにした。
ぼくはニボシをくわえて、タケルのお仕事机の上にとびのる。
それから、机の上にニボシをそっと置いて。
……だって、くろいアクマより、こっちのほうがずっとおいしいよね。
それから……にくきゅうで、ごめんねのたっち。

それからぼくは、おばちゃんにねこまんまをもらって、おなかがいっぱいになったら、ねこのドアからベランダに出た。
あ、雪だ。……今日はとっても寒いね。
……タケル、早く帰ってこないかな……

今日は寒いから……
特別にいっしょに寝てあげてもいいよ。


「ただいま」
帰って来ても、いつものことだが、マコトは迎えに出てこない。しかも今日はちょっとしょんぼりしているかもしれないし。
俺はプレゼントに、マコトの大すきな猫まんま用特注煮干しを買って帰ってきてやった。ま、よく考えたら、猫に怒るのも大人げないし。

マコトの姿が見えない。まさか、いじけて家出??
いや、もしかすると。俺はいじけている時のマコトがいつも隠れているベッドの下を覗き込んだ。
やっぱりここだ。マコトは、以前少しの間引き取っていて亡くなった大型犬のフジマルが残してくれた丸い玉を、大事に抱いて眠っていた。

……今日は無理矢理、ぎゅ~っとしてやって眠るか。

荷物を置きに仕事部屋に入ったら、机の上に煮干しが1匹、置いてあった。
何でこんなところに煮干しが?

マコトの奴……
……思わず口元が緩んでしまった。
俺は、硬いけれど抜群に美味い煮干しをかじりながら、1日の疲れを癒すべく寝室に向かった。



チョコレートが何かわからなくても、「義理」は知っているマコト^^;
チョコレートはマコトにとっては美味しくないけれど、じいちゃんの言葉「食べ物を粗末にしちゃいかん」を思いだして反省するマコト。
そしてタケルは、なんと、ゆーちゅーぶにマコトの動画アップを狙っているようですね(#^.^#)

猫さんや犬さんを飼っている皆様。
何でこんなところに○○が? という時、それは可愛い彼らからの愛のメッセージなのかも?
(時と場合とモノにもよりますが^^;)

最初に浮かんだのが、煮干しをつまみあげて不思議そうにしているタケル。
マコトにとっては目一杯最高のプレゼントだったようです。って、タケルが買ってくれてるんだけれど^^;
そして、「プレゼントはあ・た・し」も使ってみました。
皆様にも素敵な1日でありますように!
バレンタイン2
出張先でもらったバレンタインのプレゼント。左は高校生のお客さん(というのか……)手作りのクッキー。右は後輩がくれた昔ながらのマドレーヌ。
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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】番外編・桜の夢 

2015桜6
【迷探偵マコトの事件簿】、今回のゲスト主人公は、マコトではなく真のようです。
春の陽気に誘われて、何やら夢の世界に遊んでいるようです。これぞまさに「逍遥遊」の世界?

<登場人物>
真(俺):新宿で調査事務所を営む(多分)名探偵。
同居人(大和竹流):真を居候させている、もと家庭教師。
マコト(ぼく):茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったらヒョウになるつもりだけど、タケルとお話もしたい。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。


【迷探偵マコトの事件簿】番外編・桜の夢

あれ?
明け方、何となく手で顔をこすって、その感触の違和感に一気に目が覚めた。

眠り始めはベッドの端っこにいるのだが、眠っている間にいつの間にか、温いところを探して、反対側の端っこで寝ている同居人にくっついていることがある。同居人はにやにやしながら、絶対に俺のことを愛してるだろ、というが、まさかそんなわけがない。これは動物の眠りの習性みたいなものなのだ。
で、そのくっついている状況が、かなり妙な感じだった。
同居人が俺をぎゅ~っと無理矢理抱き締めている。
しかも、にゃんとなく、……じゃなくて、なんとなく、俺、ちっさくないか?

くっきり目が覚めた俺は、自分の手を見た。

……

気を取り直して、もう一度じっくり手を見る。
指四本と、掌、それからその下にももうひとつ……って、これ、どう見ても人間の手じゃない。
つまり、にくきゅうって奴じゃないのか?
俺はとにかくベッドから抜け出そうともがいた……つもりだったが、同居人の手がますますぎゅーっと俺を捕まえていて、動けない。

「にゃ、にゃう~(おい、放せって)」

……にゃ?
……じゃなくて、え~っと。

多分ゆゆしき事態が起こっている、と思う。俺はもう一度じっと手を見つめた。それから足の方を見たら、しましまだった。正確には、茶色のしましまの毛むくじゃらだった。ついでに、しっぽもついている。
……茶色のしましまの。

俺は試しにしっぽを振ってみた。……動く。それから手で頭を撫でてみた。耳は頭の上の方に付いている。鼻の横からは髭が伸びていた。

そうこうしているうちに、同居人が目を覚ました。
「おはよう」
彼は俺に無理矢理キスをして、それからベッドから出て伸びをすると、そのまま洗面所に行ってしまった。

それだけ?
……あの、俺、どう見ても猫になってるんだけど、もうちょっと驚くとか、ないのか?

とは言え、騒いでも仕方がないので、俺はとりあえずベッドを飛び降りた。
ドアの隙間をすり抜けて、廊下からダイニングの方へ向かう。
多分、腹が減って糖分が足りないからシナプスの結合がおかしくなっているのだ。
あるいは、夕べちょっとだけ飲んだ酒がまわっているのか。
でも、腹が減っても、酒を飲んでも、DNAまでは変わらないよな……とは言え、ヒトとネコのゲノムは99%ほど同一に違いないから、ちょっとしたことですり替わるのかもしれない。

やがて同居人が、何やらキャッチ―で気持ちの昂る曲調の歌を鼻歌にしながら、朝食の用意を始めた。
まさかとは思うが……思った通り、俺の前に「ねこまんま」が差し出された。
冗談じゃない。
本日の焼き魚、海の香りのするわかめ入り味噌汁、鰹節をまぶしたお浸し、それにほかほかのご飯、そういうものを食わせろよ。

……
俺はちらっとねこまんまを見た。まぁ、だいたい「そういうもの」が入っているか。
胃の中に入ってしまえばみな同じ。だから、別にこれでもいいか。
俺は諦めてねこまんまを食った。
うまい。
……俺の同居人はねこまんまでも手を抜かないんだな、と妙なことを感心しながら有難く頂戴し、それからどうしようもないので、猫用トイレで用を足すと、ソファの上で丸まった。猫ともなると、やたらと眠いものらしい。

「半にゃライダー、見ないのか?」
そう言いながら同居人がテレビのスイッチを入れ、俺の頭を撫でた。
なんだ? 半にゃらいだーって?

さっき同居人が鼻歌で歌っていたのはこのテーマ曲らしい。
半人前の猫とその相棒が、世界征服を企む悪の組織と闘うヒーロー番組のようだ。
『次週、ついに半にゃライダー4がスタート。神社で飼われるヒデと禰宜の大国主水が強大な悪と戦う! お楽しみに!』

……結構、面白い。でも俺は何だか眠くなってきた。
「いい天気だな。約束通り、花見に行くか」
同居人はそう言って、車にバーベキューの道具と俺を乗せた。
俺たちは確かに夕べ、花見に行く約束をした。もちろん、人間の俺と同居人が、だ。
同居人は俺が猫になってることにちっとも動揺している様子はないし、何よりも気が付いていないのではないかという気もしてきた。
……ま、いいか。

奥多摩にある大和邸の近くに、あまり有名ではない公園があり、そこそこの数の桜が植えられている。執事の高瀬さんが一等席の場所取りをしておいてくれているはずだった。
同居人が知り合いから貰ったという、桜の花びらや葉っぱが漬けられた焼酎・桜酒もお供をする。
今日は絶好の花見日和だ。満開の桜と青い空、それに気持ちのいい風。
俺のために猫用のベッドも用意されている。

俺はくんくんと空の匂いをかぐ。桜って、匂いがあったっけ?
どうやら、バーベキューの匂いの方が魅力的だ。
俺は料理が出来上がるまで、猫用ベッドで眠って待つことにした。

……魚、焼けたら起こせよ……


わ~。あしたはお花見なんだって~。おはなみ、おはなみ~
で、お花見ってどんなおさかな? ……ちがうの? 
「サクラ、見に行くんだよ」
見るだけ? 食べないの?
サクラってどんなおさかな?

何だかよく分かんないけど、タケルといっしょにお出かけ、うれしいな。
でもね、ぼくがニンゲンだったら、タケルはもっと楽しいだろうなぁ。
いっしょにおさけ飲んだりもできるし、お話したり、それからキャッチボールもできるし(?)。
ぼくはねる前にお空を見た。あ、流れ星!
ニンゲンになれますように、ニンゲンになれますように、ニンゲンになれますように!
……間にあったかなぁ?

翌朝、起き上がったぼくはびっくりした!
わぁ、ニンゲンの手になってる~!!!
何より、ぼく、おっきくなってる!!!!
「おはよう。いい天気だ。約束通り、花見に行くか」
ほんとに、ほんとに? じゃあ、いっしょにお酒が飲めるね! お話もできるね! ぼく、バーベキューの用意のおてつだいもできるね!

ぼくは声を出してみた。
「おはよう(にゃん)」


これぞ、まさしく胡蝶の夢。果たして、真がマコトなのか、マコトが真なのか。この世はすべて、夢なのか……桜が見せた妖しい幻なのか。
何はともあれ、満開の桜に酔いしれる春のひと時、暫し世俗を去り、幽玄に遊ぶべし。




【参考文献】 『胡蝶の夢』

昔者荘周夢に胡蝶と為る。栩栩然として胡蝶なり。自ら喩しみて志に適えるかな。周たるを知らざるなり。 俄然として覚むれば、則ち蘧々然として周なり。知らず、周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを。周と胡蝶とは、則ち必ず分有らん。此を之れ物化と謂う。

(以前のこと、わたし荘周は夢の中で胡蝶となった。喜々として胡蝶になりきっていた。自分でも楽しくて心ゆくばかりにひらひらと舞っていた。荘周であることは全く念頭になかった。はっと目が覚めると、これはしたり、荘周ではないか。ところで、荘周である私が夢の中で胡蝶となったのか、自分は実は胡蝶であって、いま夢を見て荘周となっているのか、いずれが本当か私にはわからない。荘周と胡蝶とには確かに、形の上では区別があるはずだ。しかし主体としての自分には変わりは無く、これが物の変化というものである。)

でも、もちろん、DNAが変化するわけではありませんよ、真?(゜-゜)
*『半にゃライダー4』予告の猫の名前をイザナギからヒデに変えちゃいました。主水に皆様が反応してくださったので……(*^_^*)

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(18) マコトの歳時記~風薫る5月~ 

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(イラスト:limeさん)
本当は5月5日に間に合わせるつもりだったのに、少しだけ遅れてしまったけれど、5月のマコトをお届けします。
そう、マコトも男の子ですから、端午の節句にちょっぴりファンタジックな物語を(^^)

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったらヒョウになるつもり。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。


【迷探偵マコトの事件簿】(18)マコトの歳時記~風薫る5月~

おそとの風が気持ちよくなってきた~
ぼくはねこのドアからベランダに出て、風のにおいをかいでみる。
海のにおいがするよ。
それにね、つきじの方からときどき、おさかなのにおいもするの。
ぼくはベランダの手すりのむこうをのぞきこんで、くんくん。
あれ?

ぼくはふと、せのびをして下の方をみおろしてみた。
タケルがね、ぼくが落っこちないように、でもちょっとだけ遠くが見えるように、ねこのタワーを置いてくれてるの。
そのてっぺんから見たら、したのほうで、何かひらひらしてる。
くろいのと、あかいのと、あおいの。

わ~!! タケル~~~!!!

ぼくはあわててねこタワーを飛び下りて、ねこのドアから家の中にもどる。
タケルはおべんきょうの本を読んでいるとこ。
ぼくはソファの下から、にゃあにゃあ呼んでみた。

あのね、タケル、あのね! おさかなが下のお空でおよいでる~~!!

タケルはふしぎそうにぼくを見た。
ぼくがうしろをふり返りながらベランダに行くと、タケルがついてくる。
ぼくはねこのタワーにのぼって、てっぺんでにゃあにゃあ。
「あぁ、あれはこいのぼりだ。そうか、おまえも男の子だったな」

こいのぼり?
それ、おいしいの?

それでね! タケルはぼくにもこいのぼりを買ってくれたの!
わ~、ぺっちゃんこのひらひら~。目がおっきい~!
くんくん。
……においはないね。
かぷっと。
……おいしくないね。

「食べるものじゃないよ。これは男の子が元気に大きく育つようにって、おまじないみたいなものだから。よし、これでいい」
マンションのベランダだから、ちょっと小さいめなんだって。
ねこにはちょうどいいよね。

くろいのと、あかいのと、あおいの。
3匹ならんでひらひら~
てっぺんでカラカラカラ~ってかざぐるまが回ってる!
わ~いい! ぼくのこいのぼり~!!
おっきくなるおまじない~!

「ちまきは食べられないから、そうだ、せいくらべをしようか」
……せいくらべってなに?

タケルは今度はおしごとのえのぐを持ってきて、まっ白いカベにお絵かきをはじめた。
ちゃいろと白。ちゃいろと白。ちゃいろと白。
わ、耳! それから小さいあたま、おせなか、おしっぽ!
……これ、ぼく?

それからタケルはぼくを絵のよこに並ばせて、しっぽの長さをはかった。
それから、しっぽの絵の上に、数字を書いた。
「これは今日の日付。少し大きくなったら横に並んでみる。そうしたら、どのくらい大きくなったか分かるだろう?」

ぼくは毎日、こいのぼりを見上げる。
低いお空で風にひらひら~
ときどきツキジのおさかなのにおい。

夜中になったら、ぼくはそうっと起きて、ベッドから飛び降りる。
ぼくはまだちっさいから、ベッドのすみっこのおふとんにつかまりながら、だけど。
それから、リビングのカベに行って、昨日のぼくと並んでみる。
しっぽをまっすぐに伸ばして。
う~っと伸びてみて、後ろをふり返ってみる。

わ。
ぼく、昨日のぼくより、1ミリくらいおっきくなってるよね!
ぼくはとってもまんぞく。
1日に1ミリ。3日で3ミリ。365日で365ミリ。
そうしたら、ぼく、ヒョウになれるね!

ぼくはねこのドアからこっそり外に出てみる。
<やぁ、マコト、今夜も来たね!>
大きいお父さんのコイがぼくに呼びかける。
うん、ぼく、来たよ!
大きいお父さんがぼくを背中にのっけてくれる。

しゅっぱつしんこう~!
ぼくは、お星さまがいっぱいのお空にまいあがる。
お母さんのコイと、子どものコイもいっしょにお空をさんぽ。
わぁ、おそらにも、地上にもお星さまがいっぱい!
お空から見たら、海もキラキラ光ってる! おさかなが光ってる!

あのね、お父さん、ぼく、今日1ミリだけおっきくなってたよ!
365日くらいしたら、ぼく、ヒョウになってると思うんだ。
ヒョウになったら、もうお父さんのおせなかに乗れないけど、ぼくね、おっきくなってヒョウになったら、タケルをおせなかに乗っけてあげて、いっぱい走るんだ。

お父さんは<がんばれ!>というように、大きくしっぽを動かした。
ぼくも1ミリだけおっきくなったしっぽをふってみた。
おそらには風のにおい。
海からは、まほうみたいにキラキラがのぼってくる。
おおきな風はまあるいちきゅうをぐるっと回って、またぼくのところにかえってくる。

ぼくはいつの間にかすやすや………
ねる子は育つから、ぼく、いっしょうけんめいお休みするね。

かぜかおる5月。
ぼくはちきゅうみたいにまあるくなって眠る。
ヒョウになって、タケルをのっけて、地平線のずっと向こうまで走っていく夢をみながら。




イラストはlimeさん(小説ブログ「DOOR」)に頂きました。著作権はlimeさんにあります。無断の転用はお断りいたします。

ちょっとファンタジーな物語をお送りしてみました。
というのも、なぜか頭の中で「せいくらべ」の歌詞がぐるぐるしていまして。
猫ってどうやって背比べするのかな? なんて間の抜けたことを考えていたら、こんな話に。
えぇ、何の捻りもありません^^; 
ちなみに、猫の大きさは「体高」(前肢 肩付近の高さ)、「体長」(横から見て胸から尻まで)、「全長」(横から見て頭部の先端から尾の先端までの長さ)で測るようですが、なんか尻尾を測ってるのが可愛い気がして。
よく考えたら、尻尾だけ測っても何の役にも立ちそうにありませんが、ま、どうせ、昨日と比べて1ミリ伸びてるとか言っている(しかも、ちょっと背伸びしてるし)マコトには、体格測定なんて何の意味もありませんが^^;

参考歌詞:「せいくらべ」「365歩のマーチ」??
歌の通りなら、「3歩進んで、2歩下がる」……(マコト、ショックで寝込みそう)

ちなみに「せいくらべ」の2番って、壮大な歌詞だったんですね。

童謡って時々、最後まで聞いたらすごい歌詞ってのがありますよね。「ぞうさん」も2番まで聞いたら、あぁ、これってすごい親子愛の歌だったのね、と思うし。

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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(19) マコト、クリスマスパーティーに行く~誘拐犯をやっつけろ!~ 

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(イラスト:小説ブログ「DOOR」のlimeさん。著作権はlimeさんにあります。無断転用はお断りいたします。)
なんと、今見返してみたら、前回の【迷探偵マコトの事件簿】は5月でした。そんなにマコトを書かなかった? と思ったら、8月にオリキャラオフ会があったので、そこで散々書いていたのでした。カテゴリが違うとこになっていたのですね。
で、久しぶりにマコトの登場です。今回はようやく、ちょっとだけ事件簿的なお話? 何よりもクリスマスに間に合ってよかった!

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったらヒョウになるつもり。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。
カンタ:水族館で誘拐されそうになった少年。
<用語解説>
半にゃライダー:日曜朝のヒーロー番組。半人前(半猫前?)の仔猫が般若のお面を被ったら強くなって、相棒の飼い主と一緒に世界征服をたくらむ怪人をやっつける物語。現在シリーズ『4』を放映中。神社で飼われている猫のヒデが禰宜の大国主水と一緒に、強大な悪と戦っている。マコトはこの番組の大ファン。君も応援してね!
<状況説明>
マコトは子どもたちにいたずらされているところをタケルが拾ってきたねこ。だから、今でもちょっと子どもがキライ。


【迷探偵マコトの事件簿】
(19)マコト、クリスマスパーティー in 水族館に行く~誘拐犯をやっつけろ!~

水族館

[scene1] マコト、今年はパーティーピーポーになる
にちようび。
ぼくは早おきして、タケルといっしょに半にゃらいだーを見るよ。
きょうのおはなしはね、こねこがショップ・ショッカーのカイジンにさらわれて、ヒデとモンドがたすけにいくおはなしだったの。
こねこはね、さらわれそうになったとき、メジルシにかじりかけのニボシを落としていったんだよ。だからヒデとモンドは、すぐにこねこをさがすことができたんだ。
あれ、かってにおっこちたんだっけ?
……よくわかんなかったけど、ま、いいか!

『いいか、マコト、お前もさらわれそうになったら、めじるしを落としていくんだぞ』
でもぼく、オイシクないから、きっとさらわれないよ。
それにニボシが落ちてたら、すぐにたべられちゃうとおもうんだ。

あ、タケル、ゆうびんやさんがオテガミもってきたよ。カキトメ~
ね、なんのオテガミ? 
……あ、ぼく知ってる!
しろヤギさんからオテガミついた~、くろヤギさんたらよまずにたべた~
チガウの? オテガミ食べちゃだめなの?
『申し込んでいたクリスマスパーティーのチケットがあたったんだよ』

……そうなんだ。タケル、今年もぱーてぃーに行くの?
ふ~ん、行くんだ。
いいもん、どうせ、ぼくはおるすばんでしょ。
『あ、いじけただろ。実は、ねこ同伴OKのパーティーなんだよ。今年は一緒に行こうな』
え? 今、なんて言ったの? ねこといっしょにくりすますぱーてぃ?

……ねこもいっしょ!
ぼく、ぱーてぃーぴーぽーになれるの?
わぁ~い!

そうなんだ。タケルがオモウシコミしてくれたぱーてぃーは、ねこもいっしょに行っていいんだって!
ばしょはすいぞくかん! おさかながいっぱいいるとこ!
わ~いい! ぼく、ぱーてぃーぴーぽーになる!!

それからぼくは、まいにちねる前にタケルに本をよんでもらったの。
ぼくは、手で本をおさえる。
ね、これは?
『えい』
これは?
『さめ』
これは?
『いわし』
じゃ、これは?
『ぴらにあ』
ぴらにあ、おいしい?
『たぶんおいしくないよ』
これもきっと、おいしくないね!
『いや、タコはうまいんだよ』
たこ? これタコ、なの? こんなにぐにゃぐにゃ~??
『そうか、お前、切り身しか見たことないもんな』
きりみ~? 

はぁ、おべんきょうって、つかれるね。

じゃ、こんどはこっちの本をよんで。
『サンタクロースはトナカイのソリに乗ってやってきます。良い子にしていたら、煙突から入ってきて、プレゼントを置いていってくれるのです』
ぷれぜんとって何?
『その子がほしいものだよ』
ほしいもの? ニボシ? ねこまんま?
『特別にうまいかつ節かもしれないぞ』
あ、でも、たいへんだ! おうちにエントツがないよ!
『大丈夫。サンタクロースは、いい子のところには、エントツなんかなくても、入って来れるんだよ』
さんたさんって、マホウツカイなの?
タケルはぼくのあたまをなでた。
『サンタさんに何が欲しいか、オテガミ書かないとな』

だから、ぼくはにくきゅうもじで、さんたさんにオテガミを書く。
さんたさん、ぼく、おねがいがあります。ニボシはいりません。ぼくをとなかいのソリにのせてください。
そうしたら、お空から、いっぱいおさかなが見えるでしょ。
タケル、ちゃんとオテガミ出しといてね。
あ。それから、サンタさんに、オテガミ食べちゃったらだめだよ、って言っといてね。

[scene2] 水族館に行こう!
今日は、すいぞくかんのくりすますぱーてぃーの日。
タケルはいつもよりちょっとオトコマエのかっこう。ぼくはいつものちゃとら。
でも、ちゃんとおふろにはいったよ!
それから、いっしょに車にのって、おでかけしました。

ぼくはジョシュセキからお外を見る。
きらきらきら。もう夕方だから、すこし暗くなってきた町に、たくさんきらきらが灯ってる。きらきら、きれいだね。びるにも、木にも、青とか白とか赤とか、きらきらいっぱい。

信号ですとっぷしたとき、首をのばしたら、となりの車のまどから誰かがのぞいてた。
ぼくはあわてて首をひっこめる。
びっくりした。目が合っちゃったよ。

もういっかい、そ~っと首を出してみる。
わ!
ぼくはもういっかい、あわてて首をひっこめる。
こどもが、こっち見てた。
ぼくはしょんぼり。

お外を見たいけれど、こどもはきらい。
タケルがぼくの方をちらっと見て、それからあたまをなでた。
『大丈夫だよ。あの子は君をいじめないから。それに、もしも誰かがお前をいじめたら、俺がいつだって半にゃライダーのお面を持って駆け付けてやるからな』
うん、ぼく、しってるよ。
でも、ちょっとだけ、やっぱりこどもはこわいんだ。

『みなさん、クリスマスパーティー in 水族館へようこそ。今日はねこちゃん同伴OKのパーティーです。館内は自由に移動していただいて構いませんが、外に出る時は必ずドアを閉めてくださいね。お外に行く時は、ねこちゃんとはぐれないようにしてください。もしもねこちゃんが迷子になった時は係員にお知らせくださいね。ねこちゃんと飼い主さんは同じ色、同じデザインのリボンをつけておいてください。ねこちゃんは首輪の後ろに、飼い主さんはブレスレットにしてね』

ぼく、クビワきらい。でも今日はしなくちゃいけないんだって。
『はい、マコトくんには青いリボンだね』
かかりいんの人がおリボンをくれた。
タケルはぼくのクビワに青いおリボンをむすんだ。青の中に白いお星さまがいっぱい、きらきらしてる。タケルもおんなじ、青いおリボンのブレスレット。
おほしさま、きらきら。
わ~い、おそろいだね。

まずはお外でイルカのショーをいっしょに見るよ。
わ~、イルカ、おっきい!
ざっば~ん!!
すごいね! イルカってお空を飛ぶんだね!
ざっば~ん!! ざっば~ん!!
こんどは二ついっしょにお空をとんだ!
わぁ、すごい!!
ぼく、となかいのソリじゃなくて、イルカのソリがいいなぁ~!!
イルカショー
イルカのショーがおわったら、次はすいぞくかんたんけんにしゅっぱ~つ!
わ。ひらひら~って大っきいはねがついてる! えい? エイ! あ、おいしそうなタイが泳いでるよ! こっちのすいそうは……おさかな、どこにいるの? あ、砂の中にめだま! かれい。こっちは、いわしがいっぱい、ぐるぐるまわってる~。わ~い。ぼくも目が回る~。こっちは何にもいないよ。あ、出てきた! ちんあなご~。ね、こっちにお星さまがある! チガウの? ひとで! えっと、ぴらにあは、こわいから、ちかづいちゃだめ。たこはぐにゃぐにゃ~。こっちは、イカだって! キリミは小さいけど、ほんとはおっきいんだね~。わ、しろいふにゃふにゃがいっぱい~。これなに? くらげ! ちょっとキモチワルイ~。
わ~い!

すいぞくかん、たのしいね~。
うわ! こんどはすっごくコワイ顔のおっきいのが来た~
じょーずだ~!
わ~、にげろ~~!!

……あれ? タケル? どこ?

[scene3] 迷子の仔猫
タケル、どこいったのかな。
あの~、青と星のおリボンの人、しりませんか~?
ぼくはとことこあるく。
でも、すいぞくかん、とっても広いんだ。それに、今日は人がいっぱい。ねこもいっぱい。ぼくとちょっと似たねこだって、いっぱいいる。
でも、タケルもきっと、ぼくをさがしてるよね。

ぼく、つかれちゃった。すいぞくかん、つまんない。

あ。
すみっこの暗がりで、つかれてすわってたら、おとこの人とおんなの人がやってきた。
かかりいんの人かな?
『どうして逃がしちゃったのよ。こんなにたくさん猫がいたら、何が何だか分からないじゃない。せっかく似たような猫を見つけておいたのに』
『お前がちゃんと捕まえておかないからだろ。あの猫であの子どもを誘いだす計画だったのに。おや、この猫、飼い主とはぐれてるんじゃないか』
『あら。私たちの猫とよく似てるじゃない』

あの。かかりいんの人ですか? ぼくね、タケルとはぐれちゃったの。
タケルは、ぼくとおんなじ青とお星さまのリボン、してます。
タケルのところにつれてって。
『よしよし。こっちにおいで』
かかりいんの人がぼくをだっこした。
『あ、子どもが来たわよ』

……あ。あの車のまどからのぞいてたこどもだ!
わ~、ぼく、こどもきらい~。
『あ、にゃんた!』
こどもがぼくとかかりいんの人のほうへ走ってきた。

『おや、これは君の猫かい?』
『でも、君は青と星のリボンをつけてないわね』
『僕の猫じゃないけど、そっくりの猫なんだ。僕のにゃんたは死んでしまったけど、ここに来たらにゃんたにそっくりな猫に会えるかもって、お母さんが』
『そうなんだね。でも、この猫ちゃんには飼い主さんがいるんだよ。はぐれちゃって、可哀相だよね。一緒に探してあげないかい?』
『うん!』

『そう言えば、さっき、このねこちゃんと同じリボンの人を外で見かけたわ』
『じゃ、外を探してみよう』
かかりいんの人がぼくを抱っこして、子どもといっしょにあるきはじめた。
あれ? お外に行くの? だって、ぼく、タケルのところに行くんだよ~!
お外にはかい主のひとといっしょでないと、行っちゃいけないんだよ~!
わ~~~~!!!!

ぼくはあばれた。だって、お外に行っちゃいけないんだ!
がぶって、かんだら、かかりいんのおとこの人がぼくをぎゅっとつかまえた。
『にゃんた、おこってるの?』
『うん、飼い主さんと離れて不安なんだね。君が抱っこしてあげてくれるかい』
『うん!』
いやだ~!!! こどもきらい~!! やめて~~!!

ぼくは思いきりあばれた。でも、ちっさいぼくがあばれても、大したことがなかっんだ。
こどもの手にかみつく前に、かかりいんの女の人がぼくをタオルみたいな布でくるんとまいた。
そのしゅんかん、ひらり、とぼくの首から何かがおちた。
そして、何にも見えなくなった。

『早く飼い主さんを見つけてあげないと。不安だから暴れるのよ。ほら、君も一緒に来てあげて』
『うん!』
ちがうんだ~、タケルはぼくをおいて、お外になんか行かない~!!

[scene4] マコト、誘拐犯とたたかう
でも、後の方で、お外に出るドアがばたん、と閉まる音がした。
わ~~~、ぼく、どこにも行かない~~~!!
『駐車場の方へ行ったのかしら。車、見に行きましょう。寒くない?』
『うん。にゃんたの飼い主さん、帰っちゃったのかな』
タケルはぼくをおいて帰らないよ! それに、ぼくはにゃんたじゃない~!!

ぼくは布にくるまれてて、何にも見えなかった。
車のドアが開く音がする。
『ね、ちょっと君、ねこちゃんが逃げないように抱っこしていてあげてね。ねこちゃんを車に乗せてから、飼い主さんを探しに行こう』
『うん』
『でも、寒いから、君もいっしょに車に乗って、ねこちゃんといっしょに待ってて』

ぼくは車にのっけられた。ばたん、と車のドアがしまる音。
その時、ぼくは布から飛び出した。
こどもがびっくりして、ぼくを見てた。
『やっぱり、にゃんただ! にゃんた!』
だから、ちがうって!
ぼくはにげた。でも、車のドアはしまってる。子どもは大きな車の中でぼくを追っかけてくる。
『にゃんた、あそぼうよ!』
ぼく、にゃんたじゃないし! こども、きらい!!

その時。うんてんせきとじょしゅせきのドアが開いて、かかりいんのおとこの人とかかりいんのおんなの人が車に乗ってきた。
エンジンがかかる。ドアがロックされるカシャ、という音。
ぼくの耳が、ぴんと伸びる。あれ? なんか、おかしくない?
子どもがぼくをつかまえた。
車が動き始める。

子どももぼくをだっこしたまま、フシギそうにかかりいんの人を見た。
どうなってるの? どこ行くの? 
車がおおいそぎでうごいてる。カーブをまがる。
ちゅうしゃじょうのゲートが近付いてくる。
『急いで!』
おんなの人がさけんだ。

も、もしかして、これって、ゆうかい~????
このあいだ、半にゃらいだーで見たのとおなじだ~~!!!!
わ~、ヒデとモンド~、たすけにきて~~~~~!!!!
じゃなくて、タケル~~~~~~!!!!!

その時、ぷぷぷ~って大きな音がして、ぱぁ~っとものすごく明るい光がましょうめんからぼくたちをつつみ込んだ。
かかりいんのふりをしていたおとこの人が、アクセルをふみこんだ。ゲートをつきやぶろうとしてる。でもすぐに、がくん、と急ブレーキでとまった。
おとこの人がうんてんせきから後ろのざせきにやって来て、ポケットから何かを出した。
きらって光るのは……ナイフだ!
『なにするの!』
おとこの人は、ぼくを抱っこしている子どもをつかまえようと手をのばす。
『大人しくしろ!』
わ~~~~!!!!!
びっくりしたぼくは、思い切り爪を立てて、ねこキックをかました。
『にゃんた!!』
つぎはパンチ! ぼくは目をつぶって思い切りシャってひっかいた。

ぎゃ~~~~~、いたぁい~~~~~~!!!!

そのとき。
がしゃん! と大きな音がして、窓ガラスがわれた。

[epilogue] 君はいつだって俺のヒーロー
「感謝状。大和マコト殿。あなたは犯人逮捕のために素晴らしい活躍をして、カンタくんを誘拐犯から守りました。よってここに、特製カツブシ1年分を贈ります。おい、マコト、嬉しくないのか?」
っても、猫には関係がないか。しかも、今はそれどころではないのだ。

マコトは今にも「びえ~っ」と泣きそうな顔で俺を睨む。
火事場の馬鹿力というのか、本人としては必死で逃げようとしてねこキックとねこスクラッチをかました時に、肉球を傷つけてしまったのだろう。それほど深い傷ではなかったが、ナイフで切られてしまった。マコトの剣幕に驚いた子どもが犯人に噛みついたと同時に、駆け付けた俺と水族館の警備員が車の窓をたたき割ったのだ。
誘拐されそうになったカンタくんは海産関係の大きな会社の社長令息で、誘拐犯はその家のことをよく知っている人間だった。カンタくんが可愛がっていた仔猫のことも知っていて、その猫とそっくりな猫を捕まえて来てパーティーに参加し、カンタくんを油断させて連れ去ろうとしたのだ。

薬をつけるのを嫌がるので、マコトの肉球は腫れている。猫の分量の抗生剤を飲ませようと、ねこまんまに混ぜたら食べない。
タケル、ねこまんまに毒を入れた~、とでも言いたそうな顔で俺を見る。
むりやり手を摑まえて薬を塗ろうとしたら、思い切り引っかかれてしまった。
マコトは自分が引っかいた俺の傷を見てびっくりしたようになり、そのまましょぼんとして、俺から離れて丸まってしまった。

やれやれ。
俺は、マコトのために動物病院でもらった薬を出してきた。マコトがびくっとして俺を見る。絶対塗らせないぞ、という顔だ。
俺は鼻歌で半にゃライダーのテーマ曲を歌いながら、自分の手の傷にマコトの薬を塗った。それから包帯を巻く。
そして、猫用にもらって来た抗生物質を3つほどまとめて自分のご飯にかけ、マコトの前で美味そうに食ってやる。

おくすり、しみない? おくすり、にがくない?
今にもそう問いかけてきそうな顔で俺を見ている。
「薬、ぬってみないか?」
マコトがべそをかきながら、ちょっとだけ俺の方へ手を出してきたような気がした。

諦めたのか、自分が引っかいた俺の傷を申し訳ないと思ったのか、おとなしく薬を塗られて包帯を巻かれ、猫の分量の抗生剤を飲む。ちょっといや~な顔をしたけれど、我慢しているみたいだった。
そして、疲れたのか、布団基地に丸まって眠ってしまった。
ぼく、まだおこってるんだからね。そんな顔をしている。

はぐれてしまって、悪かったよ。他の迷子の猫に気を取られていたんだ。
俺はマコトの小さな頭を撫でながら、カンタくんが描いてくれたマコトの似顔絵を見つめた。
ずいぶんとかっこよく描いてくれている。それもそのはずだ。
なぁ、マコト、お前は知らないだろうけれど、あの時、お前はカンタくんのヒーローだったんだぞ。

あの後で、カンタくんのお母さんが連絡をくれて、何回もお礼を言ってくれた。
『怖かったでしょ、って言ったら、『にゃんた、じゃなくて、マコトが面白かったから、ぼく、全然怖くなかったよ』って。にゃんたというのは、死んでしまったあの子の猫なんです。にゃんたが死んでしまってから、あの子、学校にも行けないくらい落ち込んでいて。あの子が学校に行っている間に死んじゃったものですから。だから少しでも気持ちが晴れたらって、猫たちが集まるというパーティーに参加したんです。マコトくんにお礼を言っておいてください。何よりも、また猫を飼ってもいい? ぼく、ちゃんと学校に行くから、って言ってくれたのが嬉しくて。早速、茶虎の猫を探しに行きます。お礼に夫の会社の最高級ニボシを送ります』

俺はマコトの包帯の上に、ピンチの目印にマコトが落としていった青と星のリボンを結んだ。
このリボンが駐車場に近いドアのところに落ちていたから、すぐに探すことができたのだ。
いっしょに見た半にゃライダーの話を覚えていた……わけではないだろうけれど、結果的に、感謝状をもらえるくらいの大活躍につながったのだ。
そんなことを知らないマコトは、情けない顔で、肉球が痛い~、クスリは嫌~、なんて顔をして、夢の中でもぐずっている。

なぁ、マコト、もうひとつ、お前が知らないことを教えてやろうか。
感謝状をもらうような大活躍をしなくても、情けない顔でめそめそしていても、こうしてここにいるだけで、俺にとってお前は世界一のヒーローなんだよ。
そう、きっと、お前は気が付いていないだろうけれど。
俺は自分の包帯の上にも青と星のリボンを結び、同じリボンを結んだマコトの手の上に自分の手を重ねた。
さて、最高級ニボシとカツブシ以外に、一体何をクリスマスプレゼントにしてやったらいいのだろう。そんなことを考えながら。


りんりんりん、って鈴がなってる。ぼくはむっくりと起き上って、窓から外を見る。
あ! となかいのソリだ! じゃなくて、イルカのソリだ!!
ソリがぼくの窓のまえで止まる。ソリにはサンタさんが乗ってる!
とんとん、って、窓をノックするサンタさんの手に、ほうたいと、青と星のリボン。
窓を開けようと、のばしたぼくの手にも、ほうたいと、青と星のリボン。
窓が、じどうドアみたいにひらく。
『メリークリスマス! マコト、行こうか!』
サンタんさんのタケルだ! じゃなくて、タケルのサンタんさんだ!
わ~い!! ぼくはイルカのソリにとびのった。

見上げると、お星さまの海には、ヒトデも、エイも、タイも、カレイも、タコも、イカも、イワシも、ピラニアも、サメも、クラゲも、いーっぱい! 
『さぁ、お星さまの海に出発!!』
クリスマスイブの夜、イルカのソリが星の海にかけあがった。

マコトから愛を込めて、Merry Christmas !!!


何とかクリスマスに間に合いました(*^_^*)
読んでくださって、ありがとうございます。
次はお正月。いつも北海道で美味しいモノ三昧のマコト。来年のお正月は、初めての沖縄で海に潜っちゃおうかな? タケルが猫用潜水服を特注してくれた、みたい?

<追記>
先日テレビでアマゾン川流域の人々の暮らし、という番組をやっていて、ピラニアは美味しい!って言っていました(^^) そうかぁ、美味しいのか……タケルは結構世界各国を旅していそうだから、実はピラニアくらい食べていると思うけれど……^^; しまった。

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【迷探偵マコトの事件簿】(20) マコト、ねこねこ検定に挑戦する 

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(イラスト:小説ブログ「DOOR」のlimeさん。著作権はlimeさんにあります。無断転用はお断りいたします。)
久しぶりのマコト、今回はちょっとお勉強をしてみることにしたようですが、おバカなのに根拠なき自信で、自分を過大評価しているようです。タケルが箱入りで育てているので、猫の本質が分かっていないようです。

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったらヒョウになるつもり。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。

<用語解説>
にくきゅうたっちリモコン:ねこのために開発されたテレビ用のリモコン。肉球でタッチすることができるので、猫が自分でテレビを見ることができる。有名なヒーロー番組『半にゃライダー』に猫のファンが多いことから、開発された。
半にゃライダー:日曜朝のヒーロー番組。半人前(半猫前?)の仔猫が般若のお面を被ったら強くなって、相棒の飼い主と一緒に世界征服をたくらむ怪人をやっつける物語。現在シリーズ『5』を放映中。半にゃライダーが大道芸人の一座に誘われて、ヒーローであることよりも一匹の猫としての幸せを追及するべきかどうかで悩んでいる。マコトはこの番組の大ファン。君も応援してね!
かんぬしさん*:飼い主のことだと思われる。
NNN:ねこねこネットワークの略号。その活動の全てが明るみには出ていないが、時々迷える仔猫を上手く人間のところへ送り込んでくる。どうやら、ネットライブテレビの放映部門もあるようだ。

【迷探偵マコトの事件簿】
(20)マコト、ねこねこ検定に挑戦する


タケルはこのごろ、おべんきょうでいそがしいの。
ニンゲンっておべんきょうしなくちゃならないんだって。
本をいっぱいよんで、ときどき考えて、ノートにたくさん文字をかく。
おべんきょう中にかんぬしさん*にあそんでほしいからって、本の上にねころがったり、おひざの上によじのぼったり、ねこってふつう、そんなことをするものらしいけど、ぼくはしないよ。
ちゃんといい子でまってるもん。

でも、タケルがおべんきょうにむちゅうになって、ぼくのねこまんまを忘れたときは、しっぽだけ、タケルの見えるか見えないかのぎりぎりくらいででぱたぱたしてみる。
「あ、もうそんな時間か」
タケルがあわててぼくのねこまんまをつくってくれる。

時間をわすれちゃうくらい、おべんきょうっておもしろいのかなぁ。
ぼくはこっそりしらべてみる。
タケルが買ってくれた、にくきゅうでタッチリモコンがあたらしくなって、こんどはテレビもたっちぱねるになったんだよ。
ぼくは、たっちぱねるのねこのマークをぼちっとする。
『NNN ねこといっしょ~ねこによる ねこのための ねこのばんぐみ~』

「さぁ、みんな! きょうもいっしょにおべんきょうしようね! 番組のさいごに『ねこねこ検定』のもんだいを出すから、答えをにくきゅう文字で書いてそうしんしてね!」
ぼくだって、『半にゃライダー』ばっかり見てるんじゃないんだよ。
ちゃんとおべんきょうもするんだ。
「全国のなかまたち! おべんきょうはもくひょうを決めてやることが大事だよ! まずは、自分のじつりょくを知ろうね! じゃ、『ねこねこ検定』のもんだいをだすよ!」

じつりょくか!
ぼくは『ねこねこ検定』のもんだいにちょうせん。

もんだい①ねこのからだについて
つぎにあげるからだのぶぶんが、ねこにとってどうしてだいじなのか、りゆうを書きなさい。また、いちばん大事だと思うものに、まるをしなさい。
(1) ひげ、(2) はな、(3) にくきゅう、(4) しっぽ


なんだ! かんたんだね!
(1) ひげ→ぴょこぴょこうごかしてあそぶとおもしろいから!
(2) はな→はながなかったら、へんなかおになるから!
(3) にくきゅう→にくきゅう文字を書くから! あとね、りもこんぽちっとするから!
(4) しっぽ→しっぽおにごっこをするときにだいじだから!
いちばんだいじなのは……(3)のにくきゅう!

もんだい②ねこのことわざについて(ニンゲンがねこのことをどう思っているかについて)
つぎのことわざ・かんようくを使って、文をつくりなさい。
(1) ねこのひたい、(2) ねこにこばん


これしってるよ!
(1) ねこのひたいには、ぼくのマークがある!
(2) ねこにごはんをあげたら、とってもよろこぶ!

わ~いい。できたよ。とってもかんたんだった!
おべんきょう、がんばったらおなかすいちゃった。
タケル、ねこまんま、わすれてないかなぁ?

* * *

マコトがつけっぱなしにしたねこねこPCが通信を開始した。
『ヤマトまことさま。ねこねこ検定に挑戦していただき、ありがとうございます。残念ながら、あなたは今日の検定に不合格でした。もっとねこについてお勉強してくださいね。これからもがんばりましょう。番組では次の挑戦をお待ちしています。』

まことのひたい2

NNN、恐るべし。猫の番組まで放映して洗脳中??
こちらの番組は、猫のための『おかあさんといっしょ』みたいなものでしょうか。
あ、「ねこのひたい」についての解説。
茶トラ猫の額には「M」のマークがありますね。マコトはこれを「Makoto」の「M」で、ヒーローのマークみたいに思っています(*^_^*)
次回は、マコトが病気に? 思春期、いや、そろそろ巣立ちの時なのかもしれません。

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【勝手にコラボ企画】【迷探偵マコトの事件簿】(21) タケル、緑色のあの人になる 

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(イラスト:小説ブログ「DOOR」のlimeさん。著作権はlimeさんにあります。無断転用はお断りいたします。)
本当はいったんマコトの物語を括ろうと思って少し大人になる物語を書こうと思っていたのですが(もちろん、番外はいくらでも後から出すんだけれど)、ちょっと気が変わって。

気まぐれで時々やってみることにした【勝手にコラボ企画】
limeさんに許可を頂いたので、いや、正確には許可を頂く前に、さっそく新幹線の中で書いちゃいました。
(ただいま東京。帝国劇場のSHOCKに浸ってきました。夜の部はその日のうちに帰れないのが痛いけど、余韻に浸るにはよいかも。大空が美しい、それはきっとそうさ、僕らがいる大地があるから~♫ ヘビーローテーション中)

アマゾンプライムの宣伝で、赤ちゃんが大きなゴールデンリトリバーに泣き出してしまうのがありますよね。
両親に見守られながら、ライオンのぬいぐるみには怖がらずに手を伸ばす赤ちゃんと、その家族の暖かい光景を遠くからしょんぼりと見つめているリトリバー。
優しそうなお父さんが彼をちらっと見て、うん、と頷き、スマホをぽちっ。
お父さんが買ってくれたのは、ライオンのたてがみのかぶり物。リトリバーがそれをつけて赤ちゃんの元にやってくると、赤ちゃんはそっとリトリバーに手を伸ばす。

大概のCMの時間ではここまでなのですが、実はこの先があるんですよね。
そこでは、リトリバーがなんだか鏡に写った自分に納得していないような微妙な顔をしている。確かに、犬にしてみたら、俺、ライオンじゃないんだけど、ですよね。
そうすると、お父さんがリトリバーからかぶり物を取って、鏡の前に立ち、自分がこっそり着けているんです。

これはどう解釈するのかしら? 
かぶり物なんか着けちゃってすまないね、ってわんこに対して思ったのか。
あるいは、今度はお父さんが「ママがいい~」とかって赤ちゃんに泣かれちゃったのかしら?
でも、この長いバージョンの方が私は好きだなぁ。

このマコトバージョンは、そのCMからイメージを得て書いてみました(*^_^*)
勝手にコラボ企画、お相手は緑色のあの人(お名前だけですけれど……)
何のことか分からなくても大丈夫。
お楽しみくださいませね(*^_^*)

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったらヒョウになるつもり。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。


【迷探偵マコトの事件簿】
(21)タケル、緑色のあの人になる



ぼくはさいきん、とっても気になることがあるんだ。
あのね、どうしてタケルにはおしっぽがないの?
それからね、どうしてお耳はそんなふうによこっちょについてるの?
あとね、お手てに、にくきゅうがないのはどうして?

タケルがねてるとき、ぼくはタケルのかみの毛のなかをさがしてみる。
でも、あたまのてっぺんの方には、お耳はないんだ。
おかしいなぁ?
こんどはお手てをなめてみる。
でもやっぱり、ぼくみたいな、ぷにぷにのにくきゅうはないんだ。
それからね、ときどき、おしりにかぷっとしてみる。
でも、やっぱりおしっぽは生えていないんだ。

にんげんとねこはちがうの?
……なんかつまんない。

しかたがないから、ぼくはおふとんにもぐりこんで、ゆめを見る。
タケルとぼくはならんで、にくきゅう文字のオテガミを書く。
タケルとぼくは、いっしょにおしっぽをぐるぐるする。
それからときどき、いっしょにおみみをぴ~んとのばしてとおくの音を聞く。
ぼくとタケル、おんなじだったらいいのに。


最近、寝ている時に、マコトが俺の手を嘗めてみたり、髪の毛の中を何か探すみたいにほじくったり、ついでに尻に齧り付いたりするんだ。一体どういう意味なんだろう。
せっかくこの間、ねこ検定に合格したのに、まだまだ猫は謎がいっぱいだ。
でもある時、ネットで本を注文しようとして、ふと思い立った。

俺は「ナイルぷらいむ」のホームページを開く。
検索ワードは「猫ぐっず」。
あった、これだ。

「みどりねこプロジェクト」が販売しているホームウェア。
大人用、子供用、猫用もあるのか。
うん、こいつはいい。
猫耳、肉球、もちろん尻尾もついた全身つなぎの着ぐるみ。
色は、黒、白、三毛、とら、それから、水色、緑、黄色、ピンク、藤色。
俺は大人用を選んで、身長を入力し、カラーは「とら」を選択する。
それから「OK」のボタンをポチッとした。


ぴんぽ~ん。
あ、タケル、しろねこさんからオテガミ来たよ。
タケルはげんかんに出て行って、はんこをぺたっと押す。
あれ? オテガミよりうんと大きいね。
わ~い、だんぼーるだ~。タケル、あとでぜったいちょうだいね。

がさごそ、ごそごそ。
タケルが包みをあける。ぼくはだんぼーるにロックオン。
タケルはなかみを出すと、ぼくにだんぼーるをくれた。
それから、ちょっと待ってろ、と言って出て行っちゃった。

ぼくはさっそくだんぼーるにだ~いぶ!
はしっこをかじかじ、たまにがぶっ!
それからおさえこんで、れんぞくねこき~っく!
わ~いい、だんぼーるだいすき!

そうしていると、すぐにタケルがもどってきた。
「どうだい、マコト」
あとにしてくれる? ぼく、いま、だんぼーるでいそがしいんだ。
「ちょっと見てくれよ」
もう、うるさいんだから!
って、え? え? えぇ~?
タケルがおっきい茶トラねこになってる!!

タケルもぼくも、お耳はあたまのてっぺん。
長いおしっぽもいっしょ。いっしょにぐるぐる回して、ふたりでしっぽおにごっこができるんだ。
それから、にくきゅうハイタッチ!
日曜あさは、ぼくとタケルはならんで半にゃらいだーを見る。

ねぇタケル、タケルはどうしてぼくのきもちが分かったの?

それから、ぼくたちはいっしょにネットショッピング。
なになに。
「みどりねこプロジェクト・いちおくそうねこかさくせん」?
あ、これがタケルがぽちっとして買ったねこの服だね。

わ~、これ、ねこ用のもあるんだね。
ねぇねぇ、タケル、こんどはぼくにも水色のねこ用の、かって!
でね、タケルはみどり。
それでね、いっしょにおさんぽにいくの!

「言っとくけど、マコト、さすがにこれで外に散歩には行かないからな」

(【勝手にコラボ企画】featuring with 緑色のお友達(from 小説ブログ「DOOR」) 了)


(あ、親ばかタケルにも一応理性は残ってたのね^^;)
「いちおくそうねこかさくせん」→一億総猫化作戦はやはりNNNの仕業でしょうか? てことは、緑猫企画の背後にはNNNが……
ちなみにNNNって「ねこ検定」の練習問題に出てるんですよ。どうなん、それ?

でも後から見たら、水色ネコも緑色のお友達も、手のところは出してた(ちゃんと5本指)^^;
これはきっと、よくある取り外し可、というのか、くっついてるけど、かぶせたり、手を出せたりするようになっているに違いない。
で、もしかして、これって、緑色さんの手縫いだったりして!(どんな内職?)

しかもタイトルは誇大広告だった。タケルは緑じゃなくて、とらの服、買ってた^^;
まぁ、動物にかぶり物や服は(寒さに弱くて散歩行くときに必要な子もいると思うけど)どうかと思う部分もありますが、どうせマコトは買ってもらってもお布団代わりだろうな。タケルは緑ネコの着替えができて満足かも。

……「ナイル(ぷらいむ)」は「アマゾン」に比べると何だか品薄なイメージですね。
命名、イマイチかぁ。もっとジャングルっぽいところ……?


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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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