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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(1)始まりは露天風呂 

scribo ergo sumの八少女夕さん企画の【オリキャラのオフ会】、『島根県松江にて』、ついに開幕しています。
夕さん、さすが企画大臣、という楽しい企画、ありがとうございます。そしてサービス精神いっぱいの夕さんは、やはり露天風呂、外されませんよね。
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参加します!って名乗りを上げたものの、アップする段になって大事なお約束を忘れていたことに気が付きました。
そう、松江の観光名所をひとつ、入れなくちゃならないのです。でも私ったら、そもそもうちの高校生ハリポタトリオは何だってこんなところにこんな日に来てしまったのか? からスタートしちゃって、まだArtistas callejerosの4人組と出会った旅館から(正確には露天風呂から?)離れることができていません^^; 
ということで、プロローグですね。
何はともあれ、オッドアイの皆様から「御髪」を頂かなければならないのですよ!
そう、オッドアイ率が高いと聞いて、何とか絡みたい! と思ったので、こんなことになっちゃいました。高校生が会いに行ったら、気前よく御髪を1本、くださいませ。

なお、小説ブログ「DOOR」のlimeさんが参加を見合わされたのですが、キャラだけ勝手に引っ張り出しちゃいましたよ! だって、絡みたいんですもの。
よ、よかったかしら?(ドキドキ、limeさん、怒らないでね。)
春樹・リク・真300
(参考イラスト「バス停での出会い」左から、リク、真、春樹:著作権はlimeさんにあります。無断転用は固くお断りします)

なお、うちのキャラたちのオリジナルはこちらです⇒【学院七不思議シリーズ】



【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(1)始まりは露天風呂
~学院の8つ目の謎と闘え!~

「ね、『すごい美人』ってあの人のことじゃない?」
 美味しそうな海の幸・山の幸が並んだ座卓の向こうから、杉下が身を乗り出すようにして言った。食事処の隣の席には外国人二人と日本人二人、というかなり目立つ組み合わせのグループが座っている。日本人一人が女性で、他の三人は男性だ。そして、その紅一点が確かに『すごい美人』なのだ。
 流れるようなストレートの黒髪が浴衣の肩に落ちて、妖艶というのか、神秘というのか、思わずパンフレットに書いてあった露天風呂の光景を想像してしまった。
 僕も見惚れていたことは否定しないけど、と思いながら隣の席をもう一度ちらっと見たら、その『すごい美人』と目が合った。
 わ。どうしよう。
 と思ったら、『すごい美人』がにっこりと微笑んだ。

 ここは島根県玉造温泉の長楽園という高級旅館だ。
 たかだか高校生の僕たちがここにいるのには、のっぴきならない理由がある。僕たち、というのは、聖幹学院高等部二年生の『学院七不思議調査団』三人組だ。
 まずは、自分でも言うのもなんだけど、気のいい級長である僕、富山享志。そして、もうちょっとお洒落でもしたら可愛いはずの、眼鏡の似合う図書委員の杉下萌衣。最後の一人は、野生の山猫みたいに無愛想な僕の『親友(未満)』、相川真。
 もっとも『学院七不思議調査団』なんて、自分たちで命名したわけじゃなくて、いつの間にか新聞部に勝手に記事に書かれちゃっただけなんだけどね。

「もっと具体的に指示してくれなきゃわかんないよな。『すごい美人』とか『左右に異なる光を宿した瞳』とか『五百倍返しの正義貫く猫』とか、『マニア受けする可愛い三人姉妹』とか、曖昧すぎるよ」
 僕が言うと、杉下はきっぱりと首を横に振った。
「大丈夫よ。『神の見えざる手』が働くはずだから。だって、どう考えても高校生です~って私たちが、旅館に辿り着いた途端に『富山様ですね、お待ちしておりました』って案内されるなんて、これは下手なファンタジー小説か夢落ちに違いないわ。とにかく、古文書に書かれた指令通りに髪の毛を集めなくちゃ」
「そんな簡単に見つかるのかなぁ」

 大体、その古文書ってのが怪しすぎるんだよな。古文書の癖に『すごい美人』とか『マニア受けする』とか書いてあったんだから。古文書? いや、あれは『指令』か。
「そこは大丈夫。だって『左右に異なる光を宿した瞳』の持ち主の四分の一は既にここにいるし、それにどう見ても『すごい美人』はあそこにいるし」
 うん、それもそうかもね。杉下の言う通りだ。
 どんな事態になっても彼女は冷静で、的確な判断を下してくれるから安心するよ。いや、杉下だけじゃなくて、相川もこの展開に疑問を持っている様子もなくて、全く動揺していない。いや、彼の場合は動揺していても、外見からは分からないんだけどね。
 え? 僕はどうなのかって? そうだなぁ、まぁ、どんな展開でも相川と杉下が一緒にいたら、きっと楽しいと思うんだ。

 で、何だって僕たちがこんなところにいるのかというと、今僕たちの学院は、いつか映画で見た先負高校みたいに、時間のループに嵌まり込んでいるんだ。そう、僕らはもう何回も4月7日を繰り返していて、4月8日の始業式を迎えることができないんだ。でも、ループの中に嵌まり込んでいる僕たちの大多数は、そのことに気が付いていなかった。
 そのことに最初に気が付いたのは相川と杉下だった。

 何回目かの4月7日、入学式の後で休み時間にトイレに入ったら、相川が追いかけてきた。そして誰もいないのを確認すると、僕にそっと近づいて耳打ちしたんだ。
『級長、僕たちは時間を繰り返してる』
 ちょ、ちょっと距離が近いよ。僕はドキドキした。てか、何かニンニク臭くない?
 いや、これは絶好のチャンスかも。
『あ、あのさぁ、相川。もうそろそろ返事をくれてもいいんじゃないかな。ほ、ほら、親友になりたいから名前で呼び合おうって……え? 今なんて言ったの?』
『だから、時間を繰り返してるんだって。多分、杉下さんも気が付いてる。さっきすれ違った時、後で富山くんを連れて図書館に来てって言ってたから』
『と、時をかける少女、ってこと?』
『残念ながらラベンダーのにおいじゃなくて、ニンニクなんだけど』

 図書館に行ったら、床に大きな五芒星が描いてあって、杉下がその真ん中に座っていた。相川と僕を見ると、杉下は相川と目配せを交した。次の瞬間、彼女は五芒星の一角にそっと粉を吹きかけ、同時に相川が僕の腕を引っ張った。相川と僕は五芒星の中に飛び込んでいた。一瞬消えたように見えた五芒星の一角は、すぐに元の形に戻った。
 五芒星の中に入ってみると、外から見るよりもずっと広かった。しかもニンニクや唐辛子や胡椒、ヨモギ、それに見たこともないハーブらしきものがいっぱい敷き詰めてあって、かなりややこしい臭いがしていた。
『やっぱり、相川君も気が付いていたのね』
『五芒星か。考えたね。さっきの粉は胡椒とニンニクのブレンド? どうやら奴らは臭いもの、においのきついものは苦手のようだね。トイレの中だけは奴らの気配がないんだ。だから級長とも話ができた』
 相川ってそんなに長い文章が喋れたっけ? いや、感心するのはそこじゃないか。

『奴らって誰だよ?』
『それは分からない。でも学院に棲みついている『何か』よ。私たちを時間のループの中に閉じ込めようとしているの。実は昨日、というのか、昨日の今日というのか、図書室に来てみたら、この場所だけものすごいニンニクのにおいがしたのよ。で、これはもしかしてって思ってとにかく魔除けになりそうなものを持ってきて、五芒星を描いたわけ。で、今日の今日、ここにやって来たら、五芒星の真ん中にこの古文書みたいなのが落ちてたの』
 そう、その『古文書』っぽい巻物を広げると、いきなり陰陽師の話みたいに巻物が浮き上がって、声こそ聞こえなかったけれど、文字が光り始めたんだ。
 ……ニンニクの臭いと共に。
 内容はどこかからパクったんじゃないかと思うんだけどね。

「えっと、もう一回指令内容を確認しとくよ」
「さすが級長。確認は大事よね」
「違うよ。何だかまだ混乱してるんだ」
 こういう時に活躍するのは、相川のものすごい記憶力だ。一度見たものは、網膜に写真みたいに取り込まれちゃうんだって。
 相川は自分の出番だと気が付いたように、にらめっこをしていたのどくろから顔を上げた。
「おはよう、幹学院七不思議探偵団の諸君。今回の君たちの使命は、この学院を時間ループから救うことである。2015年4月8日の松江に往き、霊の宿りし髪の一筋を集めよ。左右に異なる光を宿した瞳の持ち主、四名の髪を束ね、性格はともかくすごい美人の髪の光る一筋で結べ。マニア受けする可愛い三姉妹と縁結び、五百倍返しの正義貫く猫に導かれて神籬を越え、御霊宿りし洞穴に納むべし」

 う~ん、やっぱり意味不明だ。しかも、古文書なのに『ループ』とか『マニア』とかって何だよ。しかも、締めくくりは、どこかからパクったとしか思えない台詞だったんだ。
「例によって君もしくは君の仲間が捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この古文書は自動的に消滅する」
 で、読み終わったら、本当に古文書もどきにぼって火がついたと思ったら、一瞬先には消えちゃったんだ。『殺されたら』って穏やかじゃないよね。
 でも、そんな具合だから、多分杉下の言う通り、超ご都合主義展開が待っているに違いない。

「問題は、どうやって『すごい美人』と四人の『左右に異なる光を宿した瞳』の持ち主の髪の毛を手に入れるかよね。四人のうち一人は相川君だとしても、あと三人もオッドアイの人間がこの松江に集まってるものかしら。しかも、『マニア受けする可愛い三姉妹』と縁を結ぶってどういう意味かなぁ」
「何よりも誰があの『すごい美人』に声かけるんだ?」
 僕が聞いたら、相川と杉下が同時に僕を見た。

 え? 僕? いや、それは無理だよ。
 すみません、その御髪、一本頂けますか? って? それって、変態じゃないか。
「女性はお風呂上りに髪を梳かすから、その櫛を狙ってもいいんだけれど……」
「あ、それいいね」
「何かあの人には通用しないような気がするのよね。コソ泥みたいな真似」
 相川は僕と杉下の会話には興味がないような表情で、隣の四人組をじっと見つめていた。

 翌朝。問題の4月8日。
 相川を誘ってもう一度露天風呂に行く。男女別の浴場もいいんだけど、朝の大きな露天風呂の解放感は何とも言えないよな。とにかく今日これからの作戦を考えなくちゃ。
 僕はちらっと相川を見る。相川は隣で大人しく湯船に浸かっている。
 夜は湯気のせいで、混浴露天風呂にやって来る人の姿形を確かめることなんてできない。いや、別に見たいってわけでもないんだけれど、じゃなくて、えっと女性に興味がないわけじゃないんだけれど、でも、何てのか、学生としての本分が……
 僕は結局相川から目を逸らした。
 華奢なのかと思ったら、結構しっかりした身体をしてるんだ。それもそうだ、毎日竹刀を振るっているっていうんだから。

 朝日が湯の面でキラキラとはねている。その光に照り返された相川の髪が、この世のものじゃないくらいに綺麗だった。
 う~ん、なんだかなぁ。僕ときたら、何をドキドキしてるんだか。いや、そんな趣味はないぞ、うん。
 と思ったら!
 なんと、一人で朝風呂に来たらしい『すごい美人』と目が合ってしまった。
 わわわ。
 僕は慌てて目を逸らして、今度は相川と目が合ってしまった。相川は何を狼狽えてるのと問いかけるような顔をしている。それからふと顔を上げて『すごい美人』の方を見た。
『すごい美人』はにっこりと微笑んですっと立ち上がった。
 僕は完璧にノックアウトされた。

 露天風呂から出て朝食会場に行く途中、ロビーで相川がふと足を止めた。
 相川が注目している先を見ると、一人の青年がソファに座って絵を描いている。時々コップの水に指先をつけて、その指先を筆代わりにしている。
 相川は何かが気になっているのか、じっと彼を見つめ、それからその青年の方へと歩き始めた。僕は慌てて後を追う。
 相川は青年の傍で立ち止まり、彼が描いている絵を覗き込んだ。
 青年は全く気が付いたようでもなく一心不乱に絵を描いている。その姿のほうが素晴らしく美しい絵のようだ。
 あれ? 
 僕も思わず絵を覗き込んだ。

 スケッチなのかな。でも、水彩色鉛筆でこんなに自由な色が生まれるなんて。まるで魔法だ。
 そうなんだ。そこに描かれていたのは、右目が碧、左目が黒。相川と全く同じ目の色をした、オッドアイのトラ縞の仔猫の絵だった。
「あ、『左右に異なる光を宿した瞳』の猫」
 思わず声を出してしまった。絵描きの彼が顔を上げる。
 へぇ、僕にとって『綺麗』と言えば相川のことだったけれど(これには賛否両論ありそうだけどね。その、普通の基準から言うと、相川は特に美形ってわけでもない。でもこっちをじっと見る山猫の目ってとっても綺麗だと思うんだ)、この絵描きさんは全くもって『美形』という言葉がぴったり当てはまる。

「この猫、どこかで見たのですか?」
「八重垣神社だけど」
 美形の絵描きさんは相川の問いかけに答えてから、少し不思議そうに自分の描いた猫と相川の顔を見比べた。うん、確かに見比べたくなる気持ちも分からなくない。
 とら猫と山猫? いや、そんなことじゃなくて、目の色が同じ。それに何となく雰囲気が似ている?

「リク」
 その時、フロントの方向から声がした。偉丈夫な女性と何だか情けないムードの男性が立っている。彼らは青年絵描きさんの方を見ていた。呼びかけられた青年絵描きさんは急いでスケッチの道具を仕舞った。そして、今描いたばかりの猫の絵をスケッチブックから千切ると、相川に差し出した。
「これ、あげる」
 そう言って立ち上がり、仲間の待つ方へ歩きかけてから急に立ち止まった。

「そう言えばどこかで会ったよね。……幻のバス停だったかな」
 相川を見たら、相変わらずの無表情で絵描きさんを見送っていた。
「知り合いだったの?」
「さぁ」
「でもさ、まさか四人の『左右に異なる光を宿した瞳』の持ち主のうち一人は猫ってことはないよね」
「かもね」

 朝食会場に行くと、ぶすっとした顔で杉下が待っていた。
「おそ~い。お腹すいちゃったよ」
「ごめん」「ごめん」
 僕と相川は同時に謝って、何となく顔を見合わせた。
 杉下はテーブルの上に観光パンフレットを置いていた。そしてその一ページを開いて、僕たちの前に差し出した。僕たちが露天風呂でのぼせている頃、勤勉な杉下は松江の観光情報誌を熟読していたようだ。

「八重垣神社よ」
「え?」
「縁結びって言うから出雲神社かなぁと思ったんだけれど、出雲市じゃない? で、調べてみたら松江市にも縁結びの神社があって、結構女性には人気なのよ。例の『マニア受けする可愛い三姉妹』と縁を結ぶ場所。三人も女性がいたら、絶対縁結び系の神社に行きたいって誰かが言うはず。それからね、神籬を越えたところに洞穴があるって、まさに神魂神社にそんなところがあるのよ。だから終着点はそことして、問題はどこで残り三人の『左右に異なる光を宿した瞳』の持ち主を探すかってことなんだけれど、オッドアイってやっぱり外国人に多いと思うの。ってことは、やっぱり外国人に会えそうな名所よね。松江城、宍道湖、堀川遊覧船、武家屋敷、小泉八雲記念館……でも外国人が喜ぶとしたら桜の名所かもしれないわね。『すごい美人』も外国人と一緒だったし、名所は押さえると思うのよ。ちょっと、富山くん、何デレデレしてるの?」

 露天風呂の彼女を思い浮かべて、ついつい目が宙を彷徨ってしまった。僕は慌てて咳払いをして、さっき手に入れた新しい情報を杉下に伝えた。
「でも、うち一人は猫かもしれないんだよね」
 相川が美形絵描きさんにもらった猫の絵を杉下に見せた。
「わ。びっくり。相川君そっくりね」
「猫だよ」

 それから僕たちはチェックアウトのために一旦部屋に戻った。
 時計代わりにテレビをつけたら、この時代に人気らしいヒーロー番組をやっていた。あまりの人気のために、平日にも毎朝、古いシリーズを再放送しているらしい。
 そして、今まさにクライマックスに差し掛かった画面から聞こえてきたのは……
『あなたには五百倍返しにゃ。それが私の流儀なんでにゃ』

 五百倍返し? 僕たちはテレビ画面にくぎ付けになった。
 そう、そこに映っているのは、まさに『正義貫く猫』とその相棒、真面目な顔なのに何となく笑っている風の不思議な男・満沢だった。そして、テロップには、にゃんと! じゃなくて、なんと!
「大人気の『半にゃらいだー3』の満沢とナオキが本日4月8日、松江にやって来る!」

 とにかく時間がないんだ。今日、4月8日中に、指令にあったことを果たさなくちゃ。
 いや、それとも、時間は永遠にあるのだろうか? このループから抜け出すことはできるのかな。



なんだか話をややこしくして墓穴を掘った感がなくもない……((+_+))
実は彼らが高校2年生というのは1968年なのです。そして筒井康隆さんの『時をかける少女』は1967年の作品。あの時代にあの作品。やっぱりいつまでも残る物語って、オリジナリティとセンスが半端ないのですね。

ところで……
皆さん、ご存知ですよね。『スパイ大作戦』……(一抹の不安が……あ、ミッションインポッシブルの方が知られてる? トム・クルーズだし)

ちなみに……
前書きのlimeさんのイラストに書かせていただいた掌編→『幻のバス停での出会い』掌編
コメキリ番10000を踏んでイラストリクエストをお願いしちゃったのでした(*^_^*) limeさん、その節はありがとうございます(*^_^*)(*^_^*)
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Category: 番外編・オリキャラオフ会in松江

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【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(2)神の見えざる手 

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4月8日は過ぎてしまいましたが、オリキャラオフ会・ハリポタトリオ高校生編の第2話です。
本当は前後編で閉めたかったのですが、皆さんのエピソードを拾っていたら長くなってしまいました。
それにちょっと、私たちも「石倉六角堂」に寄ってみたかったのです。だって……以前夕さんが書いてくださった某雑誌のインタビュー記事に引っ掛けて、ちょっとお遊びをしてみたくなったのです。
→参考:その色鮮やかやかな、ひと口を -2

何はともあれ、この日の松江の町に居合わせたかったわぁ、と心から思う大海なのでした。
(だって、美形がいっぱい……(^^♪)


【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(2)神の見えざる手
~学院の8つ目の謎と闘え!~

 僕たちがチェックアウトしようとフロントに行くと、受付の女性が怪訝そうな顔をした。
「2泊3日で承っておりますが?」
 杉下と僕は顔を見合わせた。あれ? もう1泊するということ? つまり、指令を果たさずして松江を出るなってことなのか……。でも期限は4月8日、今日なんだよね?

 相川はあまり興味のないような顔で、旅館の入口の方を見つめている。
 そこには、ちょうど出かけようとしている4人組がいた。
 あ。『すごい美人』だ。と、今朝のことを思いだして僕は赤面してしまったが、なんと彼女が僕に気が付いて、にこっと笑いかけてくれた。
 あぁ。何だか今日はいいことがありそうな気が……

「あ、それから」
 受付の女性は営業用とは思えない爽やかな笑顔で追加した。
 僕は我に返る。美人に見惚れている場合じゃなかった。
「こちらの伝言をお預かりしておりますが」
 そう言って手渡された封筒を開けてみると、中に薄紫色の和紙が一枚入っていた。
 ……何も書いていない。

 これは例のふざけた指令の続きなのかもしれない。消えるとか浮き出るとか、そういう曖昧模糊としたのが好きな誰かが僕たちをからかっているとしか思えないのだ。
「蜜柑の汁で書いてあるとか」
 小学生の時、そんなのをやったなぁと思いながらつぶやいたら、ちらっと相川が僕を見た。えっと、ちょっと馬鹿にしてる? わけじゃないか。横顔が少し笑っているようにも見えた。その……嫌な感じじゃなくて。

「あるいは、水に浸したら字が出てくるとか」
 相川が追加する。
「これはやっぱり八重垣神社に行けってことよ」
 杉下の説明では、八重垣神社では、おみくじの紙にコインを乗せて沈めるという恋占いがあるのだそうだ。そのおみくじは薄紫色をしていて、水に浮かべたら文字が浮き出るのだという。

 そういうことなら早速神社に向かったほうがいいのかなぁと言いながら、地図と交通案内であれこれ確認すると、とにかく玉造温泉からは一旦松江に出なければならないようで、それなら先に松江城に行ってみうということになった。
 何よりもまず、オッドアイ探しだ。オッドアイは外国人なら結構いると聞いたから、外国人率が高そうな松江城は外せない。一人は猫としても……。
 でも、本当に猫ってことがあるのかなぁ?

 松江駅から松江城まではバスが出ている。ちょっと歩いてみる? なんて悠長な旅行気分を味わっている場合ではないのだけれど、当てもない人探し中なのだから、それもいいかもしれないなんて話になった。
 歩いている途中で、相川がいきなり足を止めた。僕と杉下が続いて立ち止まり振り返ると、相川はある和菓子屋の中を見つめていた。
 え? 彼の視線の先を追い掛けた僕も、驚いて相川を見た。
 ……まさか、そんなことがあるんだろうか?

「ね、ちょっと寄ってみない?」
 杉下の方は単純に和菓子に興味を惹かれただけかもしれない。それとも、彼女も客らしき男性の後ろ姿を見咎めたのかも。少しくすんだ金の髪といい、その長身のしっかりとした体つきといい、店の外からでも外国人であることは疑いようがなかったから。
 杉下はするっと僕らの脇をすり抜けるようにして和菓子屋の暖簾をくぐった。

 僕は相川を促して彼女の後を追った。
 和菓子屋の看板は「石倉六角堂」。中には客らしき金髪の外国人の他に、店の人と思われる男女がいて、その男性の方も明らかに日本人ではなかった。でも、どう見ても「菓子職人です~」って感じだけど……
 杉下が引き戸を開けた時、その金髪の外国人が振り返った。


 その少し前、「石倉六角堂」の和菓子職人・ルドヴィコはもう3回目にもなる質問を繰り返して、恋人(未満?)の怜子に咎められていた。
「本当にシニョール・ヴォルテラじゃないのですか?」
 ルドヴィコの手には「PREDENTIAL」というタイトルの雑誌が握りしめられている。
「えぇ。済みません。確かにその雑誌の人とは似ていると自分でも思いますが、期待に添えずに申し訳ありません」

 ルドヴィコは残念そうだった。できればこの雑誌にサインをしてもらいたかったのだ。
 その客が店にやって来た時、怜子が「あの雑誌の人が来た」と言って慌てて奥に戻ってきた。本人は3回目の否定をしたが、どこからどう見てもジョルジョ・ヴォルテラその人だ。何よりこんなそっくりの美形がこの世に2人もいるなんてことがルドヴィコには信じられない。

「済みません、私が最初に間違えちゃって」
 一緒になって謝る怜子にも、客は感じのいい笑みを見せた。
「いえ、それよりもすみません。店内に猫を連れて入らせてもらって。どうしてもこちらの和菓子を見たいと、こいつがうるさいので」

 タケル(名前まで一緒なんてことがあるんだろうか?)と名乗った「ジョルジョ・ヴォルテラ(和名、大和竹流)そっくりの」男性の腕の中で、にゃん、と茶虎の仔猫が鳴いた。仔猫は人間たちの会話などどこ吹く風、その視線はルドヴィコが作った『半にゃライダー』練りきりに釘付けだ。
「いいえ。今日はお城の『半にゃライダーショー』に持っていくので、ねこちゃん用和菓子も作っていたんですよ。ちょっと味見してみませんか?」

 ルドヴィコはまだ少し残念そうだったが、仕事のことになると自然と力が入るのか、すぐに気を取り直したようで、茶虎仔猫に新作・ねこ用和菓子の味見役を頼んだ。猫まっしぐら、を目指して力を入れて新作にチャレンジしたのだ。
 ねこ用和菓子皿に入れてもらったねこ用『半にゃライダー』練りきりを見て、最初はもったいなさそうにじっと見ていた仔猫だったが、くんくんと匂いを嗅ぐと、ものすごく嬉しそうな(多分)顔になってルドヴィコを見上げた。

 大男のルドヴィコが、「どうぞ」と言いながら小さい仔猫に最高の笑顔を見せたので、怜子は何だか自分も嬉しくなった。
 目の前のものすごい美形よりも、この笑顔の方が500倍も素敵。
 茶虎仔猫は最初は少し遠慮がちに舐めていたが、一口かじった後は、うまうま、と言いながら必死で食べ始めた。そして食べ終えると、ものすごく満足そうな顔をしてルドヴィコを見た。

「良かった。合格のようですね」
 ほっとした顔をするルドヴィコに撫でてもらって、茶虎仔猫はとても気持ちよさそうな顔をした。それを見てタケルが切り出した。
「この子はものすごく人見知りなのですが、あなた方のことは平気のようです。これから松江城の『半にゃライダーショー』に行かれるということですが、実は折り入ってお願いがあるのです」

 タケルは、自分はこれから出雲神社で仕事があるので、一緒に『半にゃライダーショー』に行ってやれないこと、ねこちゃん用観覧席のチケットは持っているのだが、一人で(一匹で)行かせるのは心配でどうしようかと迷っていたことを打ち明けた。そして、もし可能なら、お城にこの子をつれて行ってやってくれないかと頼んだ。
「そんな、お安いご用です。憧れのヴォルテラの御曹司のそっくりさんに出会えたというのも何かの巡り合わせですから。丁度、『半にゃライダー』の満沢さんやナオキくんたちに差し入れを持っていく予定でしたから」
 茶虎仔猫のオッドアイがキラキラ輝いていた。


 僕は何よりもまず相川の顔を見た。相川は呆然と目の前の男を見ている。男の方も、おや、という顔をしたが、それは僕たちのことを知っているという反応じゃなかった。
 背の高い外国人が松江の和菓子屋に二人もいる、という事態には驚くけれど、二人ともオッドアイの持ち主ではなかった。いや、そんなことはこの際もうどうでもいいんだ。
 この世界って、俗にいうパラレルワールドってやつなの? 僕たち、無事に元の世界に帰れるんだろうか?

「わ、これ、今朝テレビでやってた『半にゃライダー』の練りきり?」
 さすがに杉下は目ざとい。僕の一瞬の不安をかっ飛ばすような元気な声だった。もちろん彼女だって不安だと思うけれど、そうだよね、相川と杉下がいればきっと何もかも上手く行くはず!
 と、次の瞬間、僕は杉下の『半にゃライダー』という言葉に「にゃ」と答えた声に驚いた。

 足元に猫? しかも……まさかのオッドアイ! これって、朝、旅館のロビーで美形の絵描きさんが描いていた猫じゃないか。うわ、こんな偶然ってある?
 相川の顔を見て「おや」という顔をした背の高い金髪の外国人は、足元の猫の顔を見て、あ、そうか、と得心のいった顔になった。
「いや、失礼、どこかでお会いしたかと思ったのですが、うちの猫の目とあなたの目がそっくりなんですね」

 猫とそっくりってのもちょっとどうかと思うけれど、それはみんなが思っていることだったから仕方ないか。その、顔や目のそっくりさと言うよりも、オーラが……
 当の相川は男の顔と猫の顔を交互に見て、それから納得したのかどうかは分からないけれど、それ以上は何も言わなかった。でも、猫とそっくりと言われても特に気分を害したわけではないみたいだ。
 猫はじっと相川を見ていたが、やがてそっと相川の足元に纏わりついた。そう、前世に縁でもあるみたいに、あまりにも自然な感じで。
 相川はしゃがみ込んで、そっと猫の背中を撫でた。

 それにしても、この金髪外国人さん、見れば見るほど大和さんにそっくりだ。そんなことってある? 何だか訳が分かんなくなってきた。
 あぁでも、それよりもこの練りきり。ものすごくよくできている。和菓子ってまず目で楽しむってのは本当なんだなぁ。
 へぇ、半にゃライダーって3まであるのか。歴代の半にゃライダーたちと思われる猫たちの顔がそれぞれ和菓子になっているみたいだ。他に登場人物、満沢デザインやトカゲ怪人デザインなんてのもあるようだけれど、そちらは凝りに凝っていて本人たちに差し上げるものらしい。

「そうだ、味見してみませんか? 実は新作ほやほやなんですよ」
 杉下も僕も全く異論はなかった。相川はちょっと甘いものは苦手、という顔をしていたが、勧められて一口食べると、美味しいと思ったのか、意外にもひとつ平らげた。僕と杉下は3種類のライダーを片づけた。モモタロウと名付けられたのは、純粋な小豆の味が楽しめる和風。ペーターと名付けられたのは、チーズ風味なんだけれど、これがまた意外に和菓子にマッチしている。そしてナオキという名前の練りきりには500という文字まで付いていて、上品なチョコの味がしていた。どれもすごく美味しい。

 杉下は和菓子を頬張りながら情報収集にも余念がない。『半にゃライダー』は他国でも放映されていてかなり人気があること、松江城は外国からも沢山観光客がやって来ていること、特に今日は「お城まつり」をやっているのでたくさん人が集まっているだろうということ、などを確認すると、とにかくお城ね、と僕たちに頷いてみせた。


「すごい人気なんだね……」
 松江城の特設ステージに辿り着いて、杉下が感心したように呟いた。
 そうさ、いつの時代にもヒーロー番組は子どもたちに必要なんだ。そこからたくさんのものを学ぶ。思いやりとか、強い心とか、正義とか。しかもこの『半にゃライダー』は人生には笑いが必要だということも教えてくれるみたいだ。それと、動物と人間が心を通わせて想い合うってことも。

「あ、見て。さっきの猫ちゃん」
 ほんとだ。って、猫用観覧席まであるのか。う~ん、やっぱり不思議だらけだ。
 僕たちはショーを見るというよりも、観客席をガン見していた。いや、僕は本当はショーも気になるんだけれど……
 と、どっちつかずで舞台と観客席を半分ずつ見ていた僕の服の袖を、相川が引っ張った。

 彼の視線の先には、ちょっと気になる4人組の女性たちがいた。僕たちよりは年上だと思うけれど、女性ばかりの4人組で、中の一人の白とも言えるプラチナの髪が目を引いた。
 目の色は? 距離がありすぎてよく分からない。でも相川は何かを確信しているようだった。って、オッドアイ同士の勘? まさかね。それとも相川ってアフリカの人くらいの視力があるの?

「ね」
 今度は杉下が僕の服の袖を引っ張った。
「あっち。見て、白い猫を連れてる3人。よく似た感じでしょ。姉妹じゃないかな」
 本当だ。『マニア受けする』かどうかは分からないけれど、少なくとも結構可愛い感じ。

 何はともあれ、近づいて確かめようということになって、僕たちはまず4人組の女性を見失わないように追いかけた。彼らはショーを途中まで見ていたが、時計を気にしながらショー会場から離れていこうとしていた。3人姉妹らしき女性の方は、ショーをガン見していたし、猫連れだったから最後までショーを見ているだろうと相川が言ったのだ。
 僕らが4人の女性に追いついたのは駐車場だった。彼らは車に乗り込むところだった。

「本当に出雲神社はいいの?」
「だってここから結構遠いじゃない。時間はあるんだから、明日ゆっくり行こうよ。取り敢えず八重垣神社の『鏡の池』よ」
「で、今日は早めに玉造温泉に行って、温泉とお料理……楽しみだね」
 会話はそれぞれの扉が閉まる音で聞こえなくなった。

 八重垣神社、玉造温泉。いずれにしても僕たちとはまたどこかで接点があるかも知れないってことなんだ。
 運転席に座ったプラチナの髪の女性がエンジンをかけた。
 次の瞬間、安全確認をした彼女が僕らの方を見た。正確には相川の方を。
 あ、という顔をしたように見えたけれど、一瞬のことだった。
 確かに。左が明るいブルー、そして右が焦げ茶のオッドアイだ。彼女は何かを確かめるように、相川の方を気にしながら車をスタートさせた。

「運命の輪」
 杉下が呟いた。
「え?」
「なんかすごい力が働いている気がする。上手く言えないけど、輪っかがいっぱいくるくる回ってて、それぞれ別々の法則で動いているんだけれど、それが時々接触するの」
「いちいち追いかけなくても、輪っかはどこかで必ずすれ違う」
 相川が杉下の言葉を引き継いで呟いた。

「簡単に言うと、袖擦り合うも他生の縁?」
 僕がさらに続いたら、二人が僕を振り返った。えっと、また変なことを言ったかなぁ?
「そう、まさにそんな感じ。縁の国、出雲だもん」
 杉下がにこっと笑った。いつも真面目すぎる顔をしているけれど、笑うと眼鏡の奥の目が可愛いんだよなぁ。


 杉下の言葉はその後、誰か(出雲の神さま?)が何かを証明したいみたいに見事に現実となっていった。
 次の出会いは堀川巡り遊覧船の中だった。
 不思議なことにその頃には「指令をやり遂げなくちゃ!」というような追い込まれた気持ちはなくなっていた。何かに導かれているような不思議な感覚が強くなって来ていたんだ。ただ、それと同時に少し相川の顔色が悪いような気がして気にはなっていたんだけれど、話しかけてみたらいつも通りの無愛想な反応だったので、勝手に大丈夫かなと決めつけた。

 毒気を抜かれた僕たちがショーをやっている場所まで戻った時には、界隈はものすごい人で、とても人探しができる状況じゃなかった。遠くに猫ちゃん観覧席が見えている。猫たちはみんな一糸乱れぬ風で、舞台の「ナオキ」というヒーロー猫の動きを首の動きで追いかけている。
 あ、あれはさっきの「石倉六角堂」の人だ。帰るところなんだろうか。怜子さんと呼ばれていた女性の方が一人で先に帰るようだった。ルドヴィコと呼ばれていた大男のイタリア人は猫ちゃん観覧席に向かっている。

 僕たちは結局ショーを最後まで見て(結構面白かった)、3人姉妹が離れていく先を追い掛けた。天守閣から離れて堀川の方へ降りていく。
「遊覧船があるのよ」
 杉下の言う通りだった。3人姉妹は僕たちの随分前方でしばらく列に並んでいたけど、他に興味を覚えることがあったのか、列を離れていった。
 僕たちは一瞬追いかけるかどうか迷ったけど、実のところ彼らと「縁」があるのは八重垣神社と分かっていたので、そのまま列に並んでいた。

 僕たちの乗る屋形船は10人乗りだったけど、何故か5人だけを乗せて出発してしまった。先に乗り込んだ2人が外国人で、一人がかなりガタイのいい金髪の男性だったからだろうか。もう一人はプラチナというよりも白髪の髪の女性だったけれど、彼女は丁度影になる場所に座っていて、目の色までは確認できなかった。
 相川は気にしているのかいないのか、ほとんど黙ったまま流れゆく景色を見つめている。

「やっぱり一人は猫ってのは、何か合点がいかないよね」
 杉下がしみじみと呟く。
「うん。茶虎仔猫の毛って、今さらだけれどじっくり見るとかなり短いし細いよね。結ぶのは無理じゃないかなって気がするよ」
「髪の毛って霊が宿るって言うから、集めて束にして、そうしたら何かすごいパワーが生まれるのかなぁ。もっと文献を調べてきたらよかった……あ、見て。桜、きれいねぇ」

 本当だ。水辺の鳥も、花見をしているかのように桜の木の下を優雅にすべっていく。築城当時からほとんど変わらないという堀の姿を見ていると、時代を逆行する船に乗せられているような錯覚に襲われる。桜も、今と同じようにそこにあったんだろうか。あ、ソメイヨシノってそんな古い品種じゃなかったよな。じゃ、僕たちは「今」物凄くぜいたくな時間を漂っているんだ。
 桜の花びらが風に乗って白い髪に舞い降りた。金髪の男性がそっとその髪から桜の花びらを捕まえる。光の中で髪も桜の花びらも、光に溶けそうだった。
 恋人同士なのかなぁ。映画のシーンみたいだ。
 ま、でも。僕の「親友」だって、相当に絵になるけどね。

 遊覧船を降りる時。僕は足を滑らせそうになって、思ったよりも勢いをつけて船を飛び降りるような格好になってしまった。杉下の叫びで慌てて戻ってみると、白い髪の女性の上に杉下が乗っかかるような格好で一緒に倒れていた。
 杉下は小柄な方だし、女性とは言え外国人の体格は随分としっかりしていて、まるで杉下を抱きかかえているように見えたけれど、感心している場合じゃなかった。僕は直ぐに杉下を助け起こし、傍にいた相川が「ごめんなさい」と言いながら、白い髪の女性に手を差し伸べた。

 一瞬。二人はじっと見つめ合っていた。
 やがて女性は自然に、優雅に相川の手を取り、立ち上がった。
「すみません」
 僕が改めて謝ると、杉下と相川も一緒に頭を下げてくれた。
「気にするな。今日は特別な日だからな」
 
 特別な日。
 本当にその通りだ。すごく綺麗なお人形がふっと笑ったように見えた。ここにもまたすごい美人。ルビーとサファイアのオッドアイ、花柄の優しい色合いのワンピースが霞んでしまうくらいだった。
 次々に現れる「すごい美形」に「オッドアイ」。この町で一体何が起こっているんだろう?
「八重垣神社に行こうよ」
 僕は杉下の声で我に返った。


「それにしてもほんと、不思議な日。今日だけで3人もオッドアイの人に会うなんて。あ、猫も足したら4人。これってどのくらいの確率で起こることなのかしら」
 ルドヴィコと分かれて一人で八重垣神社にお参りに行くと、4人連れの女性たちに会って、店まで送ってもらった。その中の一人がまた綺麗なオッドアイだったのだ。
 朝、店に来た高校生、そしてルドヴィコの憧れの人のそっくりさんが連れていた猫、その後店にやって来た白髪の異国の美人。

 不思議なことが起こっているみたい。
 そう、何か大きな力が動いている。
 怜子は鏡の池で直ぐに近くで沈んだおみくじを思い出していた。
 神の見えざる手。それがいつか私たちをきっと結びつけてくれる。
 それも、そう遠くない未来に。




次回、最終回、八重垣神社と神魂神社に参ります。
そして最後はやっぱり宴会か!(*^_^*)
ハリポタトリオは無事に「ループ」を止めることができるのでしょうか?
お楽しみに!

Category: 番外編・オリキャラオフ会in松江

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【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(3)君を忘れない 

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すっかり遅くなってしまいましたが、オリキャラオフ会・ハリポタトリオ高校生編の第3話です。
ちょっと長いのですが、これをさらに2話に分けて引き延ばすのは忍びなくて、一気に12000字です。いや、もうさっさと終わらせろよ、ってことですね。
しかも、なぜあっさりと引き下がれなかったのか、あれこれと拘っちゃいましたよ。下手するとこの倍の長さになりそうでしたので、ある程度端折らせていただきました。
一応、大団円、ということで、お楽しみください(*^_^*)

Special Thanks to:夕さん、ダメ子さん、けいさん、TOM-Fさん、サキさん、ふぉるてさん、cambrouseさん、limeさん


【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(3)君を忘れない
~学院の8つ目の謎と闘え!~


 松江駅まで戻るのに、どうせなら宍道湖を見ていこうということになって、僕たちはまた歩き始めた。途端に「あ」と杉下が声を上げる。
「この近くに、シジミ丼のお店があるんだ」
「シジミ丼! なんて素敵な響きなんだろ」
「さっき3つも饅頭を食べただろう」
「相川君、あれは饅頭じゃなくて、練りきり」
 美味しかったら饅頭でも練りきりでもどっちでもいいんだけれど、という男子の意見には、杉下は納得いかないようだ。

「僕らって、育ち盛りなんだよ。だいたい、饅頭、じゃなくて練りきり、食べたのって随分前じゃない? もうお昼だし」
 そう、遊覧船観光を一時間近くも楽しんでいたのだから。でも、いつの間にか、指令とかそっちのけで松江の町を楽しんでないか、僕ら?
 杉下は旅館でもらった地図を広げて場所を確認すると、すたすたと歩き始めた。僕は相川を促して後を追う。スナック、食事処、居酒屋などが本当に何気ない町並みの中に溶け込んで並んでいる地方都市の商店街に、目的の店、『蔵』は直ぐに見つかった。

 僕らは小さな中庭が見える座敷に案内された。座敷と言っても個室というわけではなくて、後ろの席の人の背中がぶつかりそうなくらいなんだけれど、そんなことは宍道湖名物シジミをふんだんに乗っけた丼を前にしては、どうでもいいことだった。
蔵のシジミ丼
「すっごいシジミ」
 杉下が思わず声を出したのも頷ける。丼鉢の中には、ご飯が全く見えないくらい、これでもかというようにシジミが犇めいている。同時に「いただきま~す!」と叫んで食べ始めた杉下と僕を横目でちらっと見た相川は、一度ふと中庭の方を見て、それからようやくシジミ汁のお椀を取り上げた。
 まぁね、北海道育ちの彼には、今さら「特別な料理」なんてないんだろうけれど。

 でもシジミ汁を口にした相川は、あ、という顔をした。僕と杉下は何となく顔を見合わせて、自分たちもシジミ汁のお椀を取り上げた。
「あ、美味しい。こういう汁ものを頂くと、日本人でよかったぁってしみじみ思うよね」
 その意見には僕も賛成。相川は、と思って見ると、返事はないけれど、珍しく穏やかな顔でシジミ汁を味わっていた。
 でも、やっぱりちょっと顔色が悪いかなぁ? いつもこんな顔だっけ? 無愛想なのはいつものことなんだけれど。

「シジミ汁で思い出したけど、新学期から食堂のメニュー、ずいぶん変わるんだってね」
「あれ? 杉下さんっていつもお弁当じゃなかったっけ?」
「うん。でも、たまには食堂に行くよ。それにメニューにはちょっと興味があるの。こんなには美味しくないけど、シジミ汁、結構好きだったんだけど」
「野菜とか魚とかの具だくさん味噌汁に替わるんだっけ。シジミ汁って、なんか二日酔いのサラリーマンのためのメニューみたいだかからかな」
「成長期の若者には栄養バランスが大事ってことね。あぁ、でもこんなに美味しいシジミ汁だったら、毎日食堂に行くのに」
「でも、僕たちがこのループから抜け出せなかったら、新学期は来ないし、新しいメニューには出会えないってことだ」
 唐突に相川が身も蓋もないことを言う。ほんとに、デリカシーとかないんだから。
 ま、事実だけど。
 

「やっぱり、このお札、怪しまれてない?」
 支払いを終えた後、ぽつりと杉下が言った。
「うん。僕らが持ってるお札、古いみたいだ」
「別の人が払ってるお金見たら、伊藤博文じゃなくて夏目漱石だったね」
 しみじみと時代が違うのだということを感じて、僕らは少し黙り込んだ。

 うじうじ考えても仕方がないので、気分転換にちょっと遠回りして宍道湖を見ていこうということになった。
「うわぁ。やっぱり大きいのね」
 当たり前だけれど、向こう岸は見えない。日本で七番目に大きい湖、海とは随分距離があるけれど、いくつかの川で繋がっているので、汽水湖ともなっている。大きな自然の力みたいなものを感じる。ここはその宍道湖の東の端っこに当たる場所だった。

「あ」
 珍しく相川が声を出した。
「何?」
「いや、何か光ったみたいな……というより、何か落ちて来て水しぶきが上がったみたいな……」
「ほんとに? 見間違いじゃないの?」
 湖には光が照りかえる。水面は凪いでいて静かだ。相川は黙ったまま湖面で跳ねる光を見つめている。それから自信がなさそうな顔で僕を見た。
 あれ? その表情、さっきの猫に似ている? って、そんなこと言ったら怒られそう。

 しばらく僕たちは言葉を交わさずに湖を見ていたけれど、事前に調べておいたバスの時間に遅れるわけにはいかないので、慌てて松江駅に引き返した。
 湖から離れる時、近くの公衆トイレの外に取り付けられた水道で身体を洗っている妙な格好の人を見かけた。
 仮装大会でもあったのかなぁ? でもって、湖に落ちた? あれ? 相川が見た水しぶきって……
 ま、何はともあれ無事でよかった。
 でも、一体どこから落ちたんだろう?


 八重垣神社。
「ご祭神はスサノオノミコトとクシナダヒメ。スサノオノミコトはヤマタノオロチを退治した後、クシナダヒメの両親の承諾を得て正式な結婚をしたの。それが現在の結婚の原型だったんだって」
「え? もともとは違ったの?」
「伝説なんかじゃ、それまではほとんど親の反対を押し切って駆け落ちとか略奪婚とか、ちゃんと結婚って形をとっていなかったのよ」
「駆け落ちに略奪婚! なんか古代ってエキセントリックだったんだなぁ」
 相川はやっぱり無表情。

 僕たちは社務所に行って百円を払っておみくじとなる薄紫色の和紙をもらった。相川は「僕はいいよ」って言ったけど、杉下が強引に三枚貰ってしまった。拝殿の左にある門をくぐって奥に進むと佐久佐女の森がある。木の根っこが網の目のように地面をはっている。やがて目的地の「鏡の池」に到着。
 そこには先客がいた。
 そう、まさに僕たちが会いたかった『マニア受けする』三姉妹だ。僕たちが近付いていくと、一瞬、不審者を見るような視線が向けられた。
 い、いや、決して怪しいものでは……

「こんにちは」
 声を掛けると、三人はきまりが悪そうな表情で池の面を見た。
 あ、そうか……恋占いの最中だもんね。変なタイミングで話しかけっちゃったかなぁ。何かその先に会話になりそうなことを探しながら、僕は彼らが浮かべたと思しきおみくじの和紙を見て、あ、と思った。さて、何と伝えたものか……
 逡巡していると、いきなり僕の脇から相川がボソッと言った。
「一円玉じゃ、なかなか沈まないと思いますよ」

 あ、言っちゃった。そう、彼女たちは何を思ったのか、十円玉とか百円玉ではなく、一円玉でチャレンジしていたのだ。これはまさにチャレンジだよね。
「やっぱりね。だから言ったじゃない」
「だって、もったいなから一円玉でいいって言ったの、ダメ美お姉ちゃんだよ」
「いいのよ。どうせ私たちは縁遠いんだから」
「だから五百円玉でしようって言ったのに」
「五百円玉はありえないよ」
「せめて五円玉……」
「だって、五円玉、財布になかったもの」
「やっぱり縁がないのよ、私たち。だって、もう一時間以上待ってるのに」

 口々に言いたいことを言い合っている。なんかいいなぁ。僕には兄弟がいないから、何となく羨ましかった。彼女たちの占いの紙に浮き出た文字は「金運にめぐまれる縁・北と東・吉」「信念をもて願いかなう・西と北・吉」「静かに待て運開く・南と東」と、それなりにいいことが書かれているものの、恋愛に関する言葉はない。
「じゃ、これどうぞ、使ってください」
 そう言って杉下が可愛い巾着から五円玉を出してきた。何だってそんなに五円玉があるの?
「お祖母ちゃんが数珠状にしてくれるんだもん」
 なんか、杉下のお祖母さんって雰囲気ありそう……

「でも、今さら、人からもらったお金を追加するなんて」
 次女って感じのちょっとかわいい子が(でも、多分年上だよね)遠慮がちに言った。
「金運にめぐまれる縁、ってそこに書いてあるからいいんじゃないでしょうか?」
「それにこちらにもメリットがあるんです。ぜひ、お願いします。多分これ、縁結びだから」
 杉下が追加した。あ、そうか。『マニア受けする三姉妹と縁を結ぶ』……指令にあったよね。なるほど、五円玉で縁結び、ってわけか。逆に、そんな程度でいいんだね……

 とか言っている間に、彼女たちの運命を占う和紙はいろんな方向へ動き始める。あっち行ったりこっち行ったり、これまで一時間の間にも随分彷徨ったのだそうだ。沈まないままで。
 すると、相川が五円玉三枚を杉下から受け取り、立て続けに見事なコントロールで三姉妹の占いの紙の上に五円玉を投げ重ねていった。
 紙は見事に沈んでいく。
 相川って、マジシャン?
 後からこそっと「すごいね、どんなコツがあるの」と聞いたら、「もうずいぶん経ってたから、紙は十分に水を吸っていたし、あとちょっとの刺激で沈むところだったんだ。だから特別なことは何もしていない」と事もなげに言ったけれど、いや、僕が言いたいのはコントロールのコツだよ。

「そう言えば、同じ旅館でしたよね?」
 あ、気が付いていたんだ。
「それだけじゃなくて、実はお城まつりの『半にゃライダーショー』の会場でもお見かけしました。あれ、そう言えばねこちゃんはどうされたんですか?」
「ヘブンは、あ、猫の名前ですけど、ねこちゃんファンの集いに参加してます。後で旅館まで送り届けてくださるそうで、しかも夜はナオキと満沢さんも同じ旅館に泊まられるそうですから、宴会になるかも……」

 そのうち彼女たちが興味津々で僕たちの占い用和紙を見た。あ、僕たちの占いが残ってるんだ。
 そんなガン見されたらやりにくいんだけど……と思いつつ、僕たちは注目を浴びながら、占いの紙を「鏡の池」に浮かべることになった。
 え? 結果はどうだったか? 杉下の紙には「開運のきざしあり」と出た。和紙は結構遠くへ行って、そこそこ時間が経ってから沈んだ。まぁ、高校生の紙がさっさと沈んだりしたら、それこそどうなのよって感じだと思うけれど。でも、僕のは「信念を持て、願い叶う」とあって、すぐ近くで、杉下のよりもかなり早くに沈んだ。

 えっと……相川の視線がちょっと怖い。
 実は、僕は彼の妹と仲がいいんだ。勉強を教えてあげたり、相談ごとに乗ったりしている。世間的に言うと、付き合っているということになるのかなぁ。噂は結構広まっているから、横で杉下が「ふ~ん」と意味深に僕の顔を見た。シスコンの兄貴に殴られないようにね、と言っている顔に見えた。

 で、問題の相川のは……
「あ、あれってイモリ!」
 本当だ。ちょっと季節が微妙だから出てこないのかと思ったのに、まさに相川の浮かべた紙の傍にやって来て、しばらくつついているように見えた。この池でイモリを見ることができたら、幸運が訪れるって話なんだ。
 浮き出た文字は「待ち人来る、大切にせよ」。
 彼は、誰を待っているんだろうか。ま、占いなんて、いいように解釈するだけなんだけれど。

「なんか、イモリが遊んでるみたいね」
 何が気になったのか、イモリが相川の紙を弄んでいるように見えた。そのせいかどうか、短い時間に紙はあっちいったりこっちいったりで、しかも驚いたことに、相当の短時間で沈んでいった。しかもかなり近いところで。
 相川は隣で無言。杉下も僕もあっけにとられていて、三姉妹は何か感心したように僕たちの方を見ていた。
 僕にはイモリが引きずり込んだように見えた。
 なんてのか、「こいつは誰にも渡さないぞ」的な外力をイモリに感じたのだ。考えすぎかな。

 夜の再会を約束して三姉妹とは別れた。
 杉下が気を取り直したように咳払いをして、あの「伝言の紙」を取り出した。今朝、ホテルのフロントで渡された紙だ。手触りも何もかも、さっき浮かべた紙と同じだった。
 杉下は僕たちの顔を見て、それから池に浮かべた。
 浮き出た文字は……ねこなわけないがや。
 な、なに? それだけ?

「どういう意味?」
「ねこのわけがない、ってことかな」
「あ、四人目のオッドアイのことかも。やっぱりそうか。じゃ、もう一人、オッドアイの人がいるってことかぁ。私たちが四人目は猫? なんて言ってたから、注意してくれたってわけ? なんか馬鹿にされてるみたいだけど」
「旅館再会率高そうだから、戻ってみる?」
 杉下と僕があれこれ計画を話し合っている時、相川がふら~っと僕らの傍を離れていった。杉下と僕は顔を見合わせ、慌てて後を追いかける。


「相川君、どこ行くの?」
 話しかけても返事がない。いつも通り無表情な感じで、ちょっと見たところいつもの相川なんだけど、意識がここにないみたいに見える。そう言えば、昼前から少し顔色が悪かったような気がしていたんだ。
「ね、バスの時間に遅れちゃうよ」
 それでも相川は僕たちの言葉を無視して歩いていく。
 神社の敷地を出て、集落の家々の間の細い道を、まるでよく知っている場所を歩いているようにすたすたと進んでいく。少し進むと道は農道のようになり、周囲の景色は畑や低い山並み、それに少し曇った空が手の届く場所のように見えた。
松江1
 杉下と僕はもう開き直っていた。僕たちの占いの紙に書かれた「吉」の方角は全て東。相川はその東の方向に向かっていた。道は車も通れないような道になり、やがて池の脇を通って、また少し集落の建物が見えてくる。杉下は冷静に地図を分析している。彼女は珍しく「地図の読める女」なんだ。男の僕の方が、むしろ勘に頼っている。
「神魂神社に向かってるのよ」
 距離にして約二キロメートル、二十分ほどで僕たちは問題の神社の入り口に立っていた。
松江2
 相川は立ち止まることなく参道の鳥居をくぐり、高い木々に覆われた階段を上っていく。僕たちは相川の後を黙ってついて鳥居をくぐった。口も利かないし、何かに憑りつかれているようにも見える相川だけど、ちゃんと手水舎で作法通り手と口をゆすいで身を清めた。


 神魂神社。かもす、って読む。本殿は現存する最古の大社造で国宝に指定されていて、伊弉冊大神(イザナミ)と伊弉諾大神(イザナギ)を祀る神社と言われているけれど、中世末期ごろからのことで、それ以前の祭神は不明だそうだ。
 この神社を造ったのは、大国主命に出雲大社祭祀をするようにと命じられた天穂日命と言われているけれど、『出雲風土記』にも『延喜式神名帳』にも神魂神社についての記載はないんだそうだ。隣にある出雲国造家の私的な斎場だったという説もあるし、もしかするともともとは土着の古い神様を祀る場所だったのかもしれない。

 観光スポットというわけでは無いようだけれど、その本殿は、いわゆる瑞垣に囲まれているわけではないので、すぐ傍に行って見ることができる。古い木で、よく朽ちることもなくここまでもっていたのだと思う。
 相川が作法通りにお参りをする傍で、僕たちも同じようにお参りをした。そう、少し相川の様子を心配しながら。
 横顔は白っぽく、唇だけが赤く見えている。耳にかかる髪が光で震えているようで、僕は思わず見とれてしまう。手の届かないものを遠くから見守っているような気持ちで、僕は手を合わせた。
 ずっと、友達でいれますように。

 その時、杉下が僕をこついた。
「何?」
「あのね、さっきからつけられてるのよ」
「え?」
 振り返りかけた僕を、杉下が鋭く制する。
「振り返っちゃダメ」
 僕は小声で確認する。
「どんな人か見たの?」
「ううん。何か視線を感じるんだけど……」

 と言っているうちに、相川が本殿を離れて境内の中をすたすたと歩いていく。見失っては事と、僕らはとにかく後を追いかけた。
 小さな社の奥に、不思議な場所がある。二本の木の間に竹と注連縄のようなものが渡してあって、結界を作っているように見えた。その中には、一段高くなった石の囲いの中に竹で編んだようなものがある。
「神籬だ」
「ひもろぎ?」
「うん。指令書にあったでしょ。神様が降りてくる場所」
「神籬を越えて、正義貫く猫に導かれて、洞穴に納める……」
 確かに指令書にはそう書いてあった。僕たちは顔を見合わせた。確かに奥の方に小さな洞穴がある。
「でも私たち、まだ納めるためのものを何も持っていないよ」

 杉下がそう言った途端だった。
 相川の身体が足元から崩れ落ちた。身体から力が抜けおちていく様子がスローモーションのように、僕の網膜に映っていた。
 僕が駆け寄ろうとしたその瞬間。
 僕たちの脇を突風が吹きぬけたみたいだった。大きな影が相川の方へ駆け寄り、彼を抱き止める。
「あ」
 思わず杉下が声を上げた。
 それは、「石倉六角堂」で会った、大和さんそっくりの金髪外国人だった。
 

 そして、四月八日夜。
 僕たちは玉造温泉に戻って、湯之助の宿・長楽園の宴会場にいる。一体何が何でここに至り、誰と誰が繋がってこうなってるのか、僕たちはほとんど訳が分からない。でも、何だか大盛り上がりなんだ。
 宴会場の金屏風の前には、大壺に活けられた桜の大きな枝。金屏風には、少し曇っていて見えにくかった月も、見事に写し取られている。

 注目すべきは、この宴会場にも猫用の席が設けられていることだ。一体どうなっちゃってるんだろう?
 最も態度のでかそうな目つきの悪い猫が、その席のボスのようだ。まるで牢名主のように見える。ああ見えて、意外にこの席を楽しんでいるのかもしれない。

 その中に「石倉六角堂」で出会った、相川そっくりの茶虎仔猫もいる。隣にいるのは『半にゃライダー』の役者猫・ナオキだ。やっぱりスターには風格がある。彼が被っているのはにゃんキャップ。スターであることを隠すためのお忍び用キャップだろうか。それに三人姉妹が連れていた白い猫。
 白い猫と茶虎仔猫は、番組スタッフから贈られたらしい半にゃライダーの半にゃ面を被らせてもらって、すっかりご満悦のようだ。
 友達ができて良かったな、と僕は茶虎仔猫を見つめる。その時、茶虎仔猫がこっちを見て「にゃん」と鳴いた。え、っと。まさかね、通じた?

 その傍にいるのは、今度医療系ドラマに主演するスター、『半にゃライダー』の満沢さん、こと、Dr.真田こみかど倫太郎さん。黙っていても笑っているような顔を変えることもなく、番組内では敵対する役の役者やスタッフと一緒に和やかに飲んでいる。
 あ、猫たちがナオキに連れられて満沢さんたちの方へ移動する。みんなにちゃんと紹介するってことかな。

 もちろん、ふてぶてしい猫はそのまま席に残っている。何故か残された彼のところへ、お酌をしに一人の男が寄っていったが、睨まれてすごすごと戻っていった。あの人、茶虎仔猫の絵をくれた美形画家さんの連れの人だ。
 お酌って……ミルクか何かな?

 三姉妹と杉下は何となく話が合うのか、合わないのか、割と仲良く話しているようだ。一番下の子が高校生で、僕たちと同い年っぽいから、話が合いやすいのかも。
「シジミ汁、美味しいね」
 何故か、地味にシジミ汁の話に花が咲いているようだ。

 そうそう、確かに、酒にシジミ汁って合うのかもね。いわゆる宍道湖七珍と言われる魚介類がふんだんに振る舞われていて、僕はもうお腹いっぱいになっていた。そう、特にこの季節はシジミとシラウオが旬で、抜群に美味しいんだって。
「うぅ、シジミ汁、飲み過ぎた」
「分かる。なんか、シジミの呪いみたいに『食ってくれ~』光線がでてるんだよね」
 相川はあまり食欲はないみたいだけれど、シジミ汁だけは美味そうに口にしていた。

 僕はまた宴会場を見回す。
 向かいに、お城で会った四人組の女性がいる。その中の一人は車を颯爽と運転していた、白髪に近いプラチナの髪の女性。オッドアイチームの一人で、敷香と名乗った。時々相川の方を見て、少し心配そうな顔をしてくれる。いい人なんだろうな。それにみんな仲が良さそうだ。

 その隣には、アメリカから来たと言っていた四人連れ。そのうちの一人と目が合って、僕は赤面して下を向いた。さっき露天風呂で見るともなしに見てしまった彼女のナイスバディを思い出してしまったのだ。それに今も、浴衣の袷から谷間がちょっと……
 ちらっと別の席の四人組の方を見ると、あの時僕に「ラッキーだぜ」サインをくれた稔さんが、もう一度僕に「俺たちほんとラッキーだよな」サインをくれた。

 アメリカからの四人連れの中に一人、男性がいる。日本人の女性の旦那さんらしいけれど、尻に敷かれている感じ。
 僕も結婚したら、あんな感じなのかな。鏡の池の占いでは、それはそんなに遠い先じゃないみたいな感じだったけれど。
 そうかぁ、葉子ちゃんと結婚したら、相川は僕の「お兄ちゃん」になるんだ。それも悪くないな。親友で義兄。うん、悪くない。って、気が早いか。まだ親友になってってプロポーズの返事ももらってないし。

 二組の四人組の中から女性二人が、妙に気が合ったみたいで、酒がものすごく進んでいる。あんなふうに、自然に友情を感じ合えるっていいなぁ。それに、女性って、やっぱり強いんだなぁ。あ、なにって、お酒だよ。
 それから、堀川巡り遊覧船で同舟だった、絵になるカップル。カップルなのかどうかわからないけれど、でも絶対、指輪を探しに行く映画とかに出ていそうなんだ。女性の方はオッドアイチームの一人になるわけだけれど、こちらもまた見事な白髪で、時折、ちらっともう一人の白髪女性を見る。オッドアイ同士、魅かれるものがあるのかも。
 あれ? 女性同士か。

 さらに、やや年配で上品な、でも時代がかった感じの異国の男女。どこか面差しが似ているから兄妹なのかな。静かに日本の風情を楽しんでいるようだ。あんなふうに歳を重ねられたらいいなぁ。
 そして、何と大収穫があった。もう一人、オッドアイの人がいたのだ。
 確かに「ねこなわけないがや」だよね。
 その人、言語は妙に訛っているのだけれど、日本語っぽいものを喋っている国籍不明なんだ。日本酒を飲んだら日本語が分かるようになったという話をしていたけれど、それってすごいなぁ。
 でも、いつかそんな時代が来るのかもしれない。いろんな国の人がちゃんと理解し合えるようなツールができて……でも酒の力となると、ちょっと怪しいけどね。

 美形の画家さんの隣にいるのは大柄で「かっこいい」という感じの女性。柔道でもやっていたのかな。すごくお酒が強そうだ。猫にお酌をしに行ってすごすごと戻ってきた男性も一緒に、何となく不思議な距離感で宴会を楽しんでいる。美形の画家さんは、小さなスケッチブックに何か描いている。
 なんか、ちょっと不思議だけれど、いい感じだなぁ。くっつかない三角関係、っていうのかな。
 で、僕らは? うん、多分、僕らだって結構いい感じの高校生トリオのはず。愛とか、そういうのにはまだ遠いけれど、恋したり、友情を感じ合ったり、そして仲間を思いやったり、そんな気持ちは沢山あるから。

 そして、湯上りの浴衣姿がまたたまらなく素敵な『すごい美人』の蝶子さんが、ふと相川の方を心配そうに見てから、僕に視線をくれた。
 ちゃんと守るのよ、と言われている気がした。
 僕は頷いて、そして手元にある髪の束を見つめた。四人のオッドアイを持つ人の神聖な髪。髪には霊力が宿るという。それを清められた和紙で包み、『すごい美人』の髪で結わえてあるのだ。
 問題は、ナオキに頼んで一緒にまた神魂神社に行って、あの神籬を越えて洞穴にこれを供えなければならないってことなんだけれど、どうやってナオキに頼めばいいんだろう?


 実は、僕たちを宴会に呼んでくれたのは蝶子さんだった。
 あの時、神魂神社で僕たちを、というのか相川を助けてくれたのは、茶虎仔猫の飼い主のタケルさんだった。なんか違和感があるけれど、相川の保護者である大和さんのそっくりさんだ。

 もしかして、僕らのことをつけて来ていたのかと思ったけれど、そういうわけじゃないみたいだった。
 神魂神社で僕らを見かけて声を掛けようとしたら、相川が急に倒れたんだって。彼は神社仏閣にある色々なものを修復する仕事をしていて(やっぱりこれって、おかしくない? 大和さんとあまりにも合致する要項が多いよ)、今日から出雲大社に行く予定だったみたい。今日は夕方から、出雲の方で打ち合わせと称した宴会があって、時間的に際どかったんだけれど、茶虎仔猫・マコト(こっちまで何で名前が一緒なんだ)をお城まつりの『半にゃライダーショー』に連れて行ってくれる人が見つかったので(「石倉六角堂」の人たちだね)、空いた時間を利用して、日本最古の大社造の本殿を見るために神魂神社にお参りに来たところだったんだって。

 本当のことを言うと、僕が相川を助けようと手を差し伸ばしたのに、彼が横から掻っ攫って行ったみたいな、変な気持ちだったんだ。
 そっくりな人にも僕は敵わないのかと、ちょっと悔しくて。
 でも、何はともあれ、意識を失っちゃった相川と僕たちを、松江の町まで車で連れて戻ってくれた。救急病院に行って、ただの脳貧血でしょうという診断を受けて、相川が気が付くまで付き合ってくれて、それから玉造温泉に送り届けてくれた。

 そこで、夜桜見物帰りの蝶子さんたちとばったり会ったんだ。
「あれ、どうしたの?」
 まさか向こうから声を掛けてくれるなんて。蝶子さんはタケルさんから事情を聞いて、すぐに旅館の人を呼んでくれた。
 タケルさんは、出雲の約束の時間には遅れたと思うけれど、明日は早朝から忙しいみたいで、旅館の入り口で茶虎仔猫と再会した時も、猫に向かって「明日夕方迎えに来るよ」と言って慌てて出ていった。
 猫はちょっとさびしそうに彼を見送っていたけれど、仲間ができたし、スターのナオキも一緒だったので、すぐに気を取り直したようで、ナオキ御一行様の看板を見て誇らしげに顔を上げた。

 蝶子さんはすぐにでも宴会に行きたかったに違いないのに、少しだけ僕らに付き合ってくれた。部屋まで僕らを送り届けてくれて、さらに旅館の人に布団を敷いてと頼んでくれたけれど、相川は大丈夫だから、と言った。
「ちょっと横になってた方がいいんじゃない?」
「いえ。本当にもう大丈夫です。それより、あなたに折り入ってお願いがあるんです」
「え? 私?」
 蝶子さんは僕らの事情を黙って聞いてくれた。もちろん、説明したのは杉下だ。一番理路整然と物事をまとめて話すことができるのは彼女だから。

 でも、この『すごい美人』が、まさかこの荒唐無稽な話を信じてくれるなんて、僕はその時全く思ってもいなかった。
「そうか。何だか妙なことが起こっていると思ったのよ。時代も、微妙に変だし」
 蝶子さんの理解と受け入れは無茶苦茶に早かった。宴会のメンバー、いつの間にか芋づる式に集まっているから、その中にオッドアイメンバーは沢山いるはずだし、私が頼んであげるわよ、とあっさりだった。
「だから、もちろん、あなたたちも参加よね?」
 まさか、単に宴会メンバーを増やしたいだけ、とも思われたけれど、こういうのを「渡りに船」って言うんだよね?

 宴会が始まるや否や、蝶子さんは僕らを連れてオッドアイチーム巡りをしてくれた。事情を説明しても、誰も「そんな馬鹿なことがあるか!」とは言わなかった。
 やっぱり、ここ自体がかなりおかしいんだな。そして、みんなおかしいと思っているってことなんだ。でも、少しの不安を抱えながらも、みんなこの時を楽しんでいる。
 そう、時々触れ合う不思議な『運命の輪』を。


 と、その時。また余興が始まったようだ。
 大道芸人メンバーが、各参加者から余興出演メンバーを募っている。稔さんが三味線を二丁、担いできて、相川を連れて行ってしまった。
 え? どうして相川が三味線弾けるって知ってるんだろ?
 太鼓役はさすがに素人には無理というので、旅館の仲居さんにお願いする。

 連れて行かれた踊りのメンバーは、大道芸人のヴィルさんとレネさん、アメリカから来たポールさん、猫に睨まれていた玉城さん、『半にゃライダー』キャスト・スタッフはみんなノリノリだ。手ぬぐいで頬かむりをして、鼻に五円玉で作った鼻当てをつけ(五円玉はもちろん、杉下の提供だ。どんなけ持ってるんだ?)、魚籠を腰に、ざるを頭に被って、中腰で尻を突き出しての登場となった。
 稔さんと相川の三味線が乗ってくると、踊りもノリノリになっていく。女性陣とにゃんこたちまで飛び入り参加だ。そしていつの間にか、三味線に重なるカラオケは、『半にゃライダー』のオープニングテーマ。相川と稔さんの三味線も、安来節からメドレー式に『半にゃライダー』テーマへ移っていた。

「きゃ~!」「きゃ~~!」
 はっと気が付くと、シジミ怪人に扮した小和田常務(あ、これは役名だった)が安来節の列に乱入、踊りに参加していたキャシーさんと洋子さんを人質に取ってしまった。
『半にゃライダー』ごっこの始まりだ。
 怪人の用心棒は、侍の被り物が似合うような似合わないようなヴィルさん。そこへ、にゃんこ親衛隊に囲まれたナオキが登場してシジミ怪人と闘う。

「シジミ怪人! お前の望みはなんだ!?」
 満沢さんが叫ぶ。
「全国の食堂の味噌汁を全てシジミ汁に替えてやるのさ! いーひっひ」
「なぜ味噌汁と共存できないんだ?」
「予算の都合だろう! とにかく、シジミはシジミ汁が一番なんだ!」

 あれ……?
 僕と杉下は顔を見合わせた。あ、僕はドジョウ掬いの恰好のままで、杉下はシジミ汁を口に運びかけたところで。
 どこかで聞いた話だ。
 僕たちの学校の食堂は、ずっとシジミ汁だったんだ。それが四月九日、つまり新学期から味噌汁になる(多分、シジミは入っていない)。
 相川の方を見たら、三味線を叩きながら、僕をじっと見つめていた。

 風が吹いたのか、地震のような地鳴りなったのか、一瞬視力が奪われたと思った後、ふと見ると、国籍不明のレイモンドさんと名乗った人と上品な感じの男女が消えていた。
 大きな風のようなものが宴会場を通り抜けていく。耳が引っ張られたみたいな気がする。
 その時だ。金屏風が巨大シジミになって、いきなり口を開けた。
 え? これ、なんかの演出? 撮影? 宴会の余興にしてはお金、掛け過ぎだよね。

「こっちにゃ!」
 その時、ナオキの声が聞こえた。杉下さんが弾かれたような顔をして、みんなから貰ったありがたい髪への、じゃなくて神への捧げものを掴んで、僕らのいる舞台の方へ走り寄って来た。僕は杉下さんと手を繋ぎ、相川の腕を取って、ナオキの声のするままに巨大シジミの中に飛び込んだ!


 ……まさかの、どこでもドア・シジミ版……?
 それとも、誰かが噂していた「龍王様の根の道」?
 そこはあの神魂神社の神籬の後ろの洞穴だった。というよりも、その時には僕たちはすでに洞穴の中の暗闇にいて、ぐらぐらに振り回され、何かに吸い込まれていっていた。
 シジミと神社が繋がっていたんだ……
 そして、もしかしたら、過去の僕たちの学院とも……
「またいっしょにあそぼうにゃ~!」
 最後に、茶虎仔猫マコトの声が聞こえたような気がした。


「それで、結局、食堂のシジミ汁はたった三日で復活したってわけ」
「予算の都合は?」
「うちの学院、島根県松江市にある学校と姉妹校になるんだから、きっと新しくパイプができるのよ。誰の口利きか、分からないけど」
「確かに、そうなれば食堂のメニューから松江の郷土料理を外すわけにはいかないものね」
「まさか、これって、シジミ汁の陰謀だったの?」
「え? シジミ汁が何をしたの?」
「メニューから外されるのが嫌で、学院をループの中に閉じ込めた。メニューから外される四月九日が来ないように。でも、復活が決まったので納得した……」
「えっと、夢を見てたんだよね。まさか、シジミ汁に意思があるなんて……」
「何言ってるの、富山くん。ここに戻って来た時、ドジョウ掬いの恰好だったじゃない」
「二枚目の指令書、どうして島根弁なのかと思ってたんだ」
「え~、シジミが手紙をくれたのかぁ~。しかも宍道湖のね。一通目は普通の文章だったよ」
「一通目もあんまり普通じゃなかったけどね。つまり、最初の指令書は頑張ってみたけれど、次までは緊張感が持たなかったという、小説によくありがちな『尻すぼみ』ってやつよ。気が緩んだら方言が出ちゃったのね」
 なんじゃそりゃ。

 そう、あの宴会の最中、シジミ版どこでもドアを介して、僕たちは突然、学院の食堂に戻ってきた。
 そして、食堂のメニューからシジミ汁が削除されているのを見て、僕たちはあの美味かったシジミ汁の味を思い出した。
 ダメもとで食堂係の先生(なんと小和田という名前なんだ)に掛け合ったら、僕たちの話を聞いてくれた。そこで、丁度姉妹校の話があってね、……なんてことになったのだ。

「そう言えば、八重垣神社で相川君、急に変な感じになったでしょ」
「うん。何かに呼ばれているような気がしたんだ。あの神籬の前に立った時、この場所を記憶して、よく頭の中に留めておくようにって、そういう声が聞こえた。多分、イメージがなければ、その場所に繋がらなかったんだと思う」
「シジミのどこでもドアが?」
 相川は少し微笑んだように見えた。
 そう言えば、あの人、大和さんに本当にそっくりだったね、と言いかけて僕は口を噤んだ。
 相川の恋占いのことも少し気になったけれど、あまり追求しないことにした。
 誰かを想っている。その気持ちは誰にも止められないから。

 でも、オッドアイの髪の毛は何の関係があったんだろ?
 そうか……『袖擦り合うも他生の縁』を繋いでくれたんだよね。やっぱり、人と人は胃袋(と温泉)で繋がっているのかもしれない。
 どこかから、茶虎仔猫の声が聞こえてきた。


 またいっしょにあそぼうにゃ~。

(オリキャラオフ会in 松江 了)



無事に閉幕いたしました、オリキャラオフ会。多分私がラストバッター、ですよね?
細かい点はもう無視してくださいませ。だって、真面目にプロットを立ててもいないし(あ、それはいつものことか)、辻褄が合わないところがそこかしこにあるに違いない。
えぇ、何だかわちゃわちゃと楽しかったということで、許してくださいませ。
いや、久しぶりに、行く先を考えずに「取りあえず書き始めて、次々にハチャメチャな展開にする」というリレー小説を思いだしました。皆様の書かれた部分に抵触しないように気を付けたつもりですが、何だか間違っていたらごめんなさい!

で、これは一体何の話だったんだ??
シジミの呪い?
だって、ループものですからね。うる星に倣えって感じです。
真ったら、シジミに憑りつかれてたのですね。リクの金魚といい勝負だ。
リクが今度、シジミに憑りつかれた少年の絵を描いていたら、それ、きっとこの時のスケッチに違いありません。
いや、もしかすると、イモリと化して見張りに来た某保護者に憑りつかれていたのか……
じゃ、リクがイモリに憑りつかれた少年の絵を描いていたら……(゜-゜)
でも、この鏡の池でイモリに出会えたら、ラッキーなんですって!

松江の『蔵』は以前に行ったことがあったのです。でも、松江の町自体の観光はせずに、レンタカーで通りかかってお昼ご飯を食べただけ……今度はぜひ神魂神社と八重垣神社に行ってみようかな。
風景は、Google mapから頂きました。
それから、よく考えたら、この旅行は「龍王様のツケ」で行けたんですね。ハリポタトリオ、ついつい財布を出しちゃいましたよ。でもまだ1万円札が福沢諭吉に変わっていることは気が付いていないかも。

「また一緒に遊ぼうぜ~」
チェッカーズのコンサートのラストは、いつもこの言葉でした。あぁ、本当に懐かしい。
夕さん、とても楽しい企画をありがとうございました!!

Category: 番外編・オリキャラオフ会in松江

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