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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

☂[14] 第2章 同居人の入院 (1)(改)(あらすじ付) 

第1章 あらすじ

相川探偵事務所所長・相川真(27)は、もと家庭教師(?)かつ保護者である大和竹流と同棲を始めて2年半が経過している。大和竹流(=ジョルジョ・ヴォルテラ)(36)は美術品の修復師であるが、実はヴァチカンを支える裏組織ヴォルテラの跡継ぎであり、本人は望んでいないが、いずれローマに帰ることを期待されている。
このところ竹流が考え込んでいることが多くなっていたが、真は事情を聞きだすことができない。親であり兄であり、また教師でもある同居人がいなくなることが、実は不安でたまらなくて、考えたくないと思っている。
そんな時、竹流がしばらく留守にするといって出かけて行った。
ちょうどその頃、竹流が某経済・社会雑誌のインタビューに答えた記事が掲載される。オーナーとなっているレストランやギャラリー、修復師としての仕事について、そしてついでにプライベートにまで触れた記事には、同居人の真のことまで書かれていた。ふたりの関係をちょっと誤解されるような答え方で…
事務所のメンバー、共同経営者の女子大生・柏木美和、孤児施設出身のヤクザ志望・宝田三郎、バイトの主婦たち、その他事務所のある新宿で働く知り合いたち、などなど周りからインタビュー記事のことを面白がられている気配を感じて、いささか面白くない真は、恋人というよりも体の関係だけを続けている銀座のバーのママ・深雪に会いに行ったりしながら、竹流の帰りを待っている。深雪は代議士・澤田顕一郎の愛人という噂もあるが、実のところはよくわからない。
そんな時、自分の実の父親のことを知る老人・田安隆三の経営するジャズバーで、真は楢崎志穂という雑誌記者と会う。志穂は、澤田顕一郎のことを調べていて、真に深雪から澤田のことについて何か聞いていないかというのだが…

それでは、第2章【同居人の入院】、お楽しみください。
その前に、おまけ写真:遠からず登場予定のマルタ島の石の神殿。
マルタ1



「もしもし、相川調査事務所です。……え? はい、代わります」
 真が自分の机の上で鳴っている電話をしばらく放置していると、前を通りすがりに、いつも通りやたらと勢いのよい声で電話を取った『秘書』の柏木美和が、途中から真に目で合図を送るようにして露骨に嫌な顔をした。そして受話器の口を押さえもせずに真に渡した。
「刑事さん」
「刑事?」

 真は美和の手から受話器を受け取り、さて、何の話かと考えた。仕事上、時々警察がらみになることはある。しかし、今のところお世話になるような話はないはずだった。
「お久しぶり」
 真はその声に思わず受話器を握る手に力を入れた。添島刑事、本庁捜査一課の女刑事だ。
「何かありましたか」
「大ありよ。忙しい? ……わけはないわね。あなたが事務所に座ってるんだから」

 電話の向こうの声は爽やかに痛いところを突いて無駄なく響く。
 この女刑事は時々同居人の仕事の事で何かを嗅ぎ廻っているような気配があるが、実際に彼女のターゲットに同居人が入っているのかどうかもわからない。大体、竹流の仕事の裏のほうで多少は法に引っ掛かるかどうかの際どい部分があるのだとしても、捜査一課が関わってくる理由はなさそうだった。

 確かに一週間ほど前から閑だった。それまではあれやこれやと問題を持ち込まれ、名瀬弁護士からも手伝いを頼まれ、美和だけでなく自称『弟子』の高遠賢二まで走り廻ってくれていた。ところが季節労働者のようなもので、いきなり暇になる。こうなると浮気の調査でもいいや、と思ってしまう。

「とにかく来て頂戴。G医大病院の別館。玄関で誰か待たせるから」
「いきなり何ですか」
「用件は来てから話すわ」
 女刑事はそれだけ言って一方的に電話を切った。
 真がしばらく受話器を握りしめたままでいるのを、美和がまだ不愉快そうな顔で見ている。

 真とその女刑事の接点は、考えてみれば同居人しかいない。彼女は捜査一課で少年事件とは何の関係もないし、その女刑事と会うのも同居人のギャラリーでだけだった。どういう関わりかはともかく、その刑事が真を呼ぶとなると同居人絡みの可能性は高いが、どういうことだろう。

 同居人が出掛けてからすでに三週間は経っている。そんな時に掛かってきた本庁の女刑事からの電話は、あまり良い内容とは思えない。同居人の仕事がどこかで法に触れる可能性は十分にあるのだろうが、捜査一課となると随分複雑だ。
「出掛けてくる」

 美和が不満と不安をあからさまに顔に出して真を見ていたのは、刑事という職業の人間への警戒と、真が個人的にそういう種類の人間と関わっていることに対する負の感情のためだろう。そもそも、美和は極道の女で、この事務所は任侠一家の持ち物だ。
 真は言い訳する言葉を見つけることもできなかったので、そのまま事務所を出た。階段を下りてから、車で行くか電車で行くか迷ったが、結局電車を選んだ。


「半分わかってます、って顔ね」
「いつもこんな顔です。用件をおっしゃってください」
 玄関で誰か待たせると言いながら、待っていたのは添島刑事その人だった。ダークグレイのパンツスーツを着て、いかにもキャリアウーマンを印象付ける容姿で、女性にしては背が高い分、履いている靴のヒールは低い。長い間海外で仕事をしていたとも聞くが、いかにもスマートなムードの女だ。耳の下辺りで切り揃えられたストレートヘア、切れ長の直線的な目、やや吊り上がった眉、通った鼻筋と横にくっきりと結ばれた唇。気がきつそうで賢くて、それに十人並み以上には美人だった。

 午前中の大学病院の玄関は多くの人間が出入りする。その中を縫うように、添島刑事は病院の廊下を早足で颯爽と歩いていく。こういうタイプは苦手だと思いながら、真は何とか彼女の後をついていった。やがて添島刑事はエレベーターの前で立ち止まる。
 添島刑事はエレベーターの現在位置を示すランプを見上げたまま、真の顔を確かめるわけでもなく、肩を落とすようにひとつ息を吐き出して言った。

「あなたの相棒、死に掛かってたの」
 真は思わず無遠慮に彼女を見つめた。

「普通の人間ならまず死んでたわね。出血多量と敗血症でショック寸前、折れた肋骨はもうちょっとで肺を傷つけるところだったっていうし、あれでどうしてあんな生意気な口をきけるのか不思議だわ。それから」彼女は意味ありげな視線を真に向けた。「これは新しいものじゃないけど背中の火傷の瘢」
「火傷?」
 エレベーターは各駅停車をしているようで、なかなか一階に降りてこない。

 添島刑事は彼女にしては僅かに躊躇うような時間を置いて、3の数字で止まっているランプを見上げていた視線を、真のほうに移した。
「知らなかったの?」
 驚いたような顔だった。というよりも、真自身が理解不能という顔をしているはずだった。
「本当に彼ですか?」
「それはどういう意味? 驚いたわ。一緒に住んでるし、何でも知ってるのかと思ってた」
「別に裸を見せ合って喜ぶ間柄ではないので」

 エレベーターの扉が開いて乗り込み際、添島刑事はちょっと真を振り返り、意外にも非常に好意を感じさせるような微笑を浮かべた。
「そういう言われ方をすると余計に勘繰ってしまうじゃない」

 エレベーターの中に一緒に乗り込んだ五人ばかりの他人に遠慮したのか、添島刑事はそれ以上続けなかった。真は現実味を帯びていない彼女の話の内容を、別の頭で忙しく考えていた。
 背中の火傷? だが、この女刑事が彼を見間違うはずはない。

 そう言われてみれば、同居人の裸の背中を見たのはいつが最後だったのだろう。
 昔はよく伯父に連れられて温泉にも行ったし彼の背中を流したこともある。最後に見たのが正確に何時で何処だったのかも思い出せないが、同居してから確かに裸の背中など見ていないかもしれない。
 風呂上りの同居人を見ることはあっても、裸でうろうろしていることなどなく、一緒に風呂に入るわけでもないし、ベッドの中で彼の背中に触れるわけでもない。違和感なくそういうものだと思っていたし考えたこともなかった。

 ましてや、その背中に直接触れたのはもう九年も前のことだ。


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Category: ☂海に落ちる雨 第1節

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【Time to Say Goodbye:2】2年目の贈り物(SS:バレンタイン、キス、氷)(18禁) 

【カテゴリ変更で再登場・中身は変わっていません(#^.^#)】

前回、彩色みおさんの企画してくださっているSSに初挑戦させていただき、玉砕したのに、また性懲りもなく思いついてしまいました。
懲りないやつだな、と思われるのを承知の上で、つい妄想が走ってしまい……

みおさんの魅力?魔力?のせいでしょうか。
なぜか想像力を掻き立てられるというのか……
これもみおさんのあったかい作品やブログから立ち上る仄かな色気、に惹きつけられたからに違いありません。
素敵なブログや作品は、他の人を力づけて前に進ませるのだなぁ、と思う今日この頃です。
みおさん、ありがとうございます。

そう、色気なんですね。
皆様のSSを拝読させていただいてわかったこと。
私の作品には色気がないわ、と。
チャーミングな色気、男らしい色気、優しい色気、妖艶な色気、いろんな色気があるけど、場の雰囲気を作る、立ち上るような色気。

それが私がBLを書けない理由でもあるのですが……ついついドキュメンタリーのようになってしまうのです。
だからHシーンが苦手。
困ったなぁ。
BLの醍醐味のわかっていない私ですが、無謀にもまた思いついてしまったので、恥を承知で載せてしまいます。
実は、ちょっと渋めのものを書いた後は、必ず茶化してみたくなる、関西人の悪い癖が出てしまったのです。
でも今度は4500字あまり。
少しはSSに近づいたかも?

あ、前回の長いSS(って、変な感じ。短い長期休暇、寸足らずのスカイツリー、みたい)にはタイトルがなかったことについさっき気が付きました。
そこで、付け焼刃的につけてみました。
Time to Say Goodbye
愛するIL DIVOの曲から取ってみました。
外交官黒田……なんでしたっけ、とりあえず、アンダルシアのテーマ曲、今はアルファードのCMで使われている名曲。
恋人との別れなのか、これまでの自分と決別して恋人ともに旅立つのか、どうとも取れる歌詞がちょっとイメージだったので。


さて、今回はあれから2年。
宗輔(シュウスケ)・拓(ヒラク)の二人はうまくやっているのか……
今度は宗輔視点で書いてみました。




『2年目の贈り物』
拓medium (イラスト:竜樹さま)感謝m(__)m

 恋人がぶちのめされて倒れる瞬間を見るのは、気分のいいものじゃない。
 当たり前のことだと思うが、実際に目にするまで、そのことに気が付かなかった。
 宗輔はリングの方へ駆け寄りたい気持ちを振り切って、試合会場を後にした。

 忙しかったこともあるが、これまで拓の試合を見に行ったことがなかった。拓の方から試合見に来てくれよと言ってきたこともない。
 本当に馬鹿みたいにがむしゃらに拓は闘っている。リングの上だけではない、多分彼の人生と、時々は命も賭けているようにさえ見える。
 プロテストに合格するまでには時間がかからなかったが、そこから先は決して順調とは言えなかったようだ。勝ってなんぼではなく、いわゆるファイトマネーで金を稼ぐわけだから、頼み込んででも試合に出させてもらいたいプロはいくらでもいる。時には八百長まがいのことを持ちかけられることもあるようだが、拓はそんなことを宗輔には言わない。

 聞き出したい気持ちがないわけじゃない。
 だが、聞けば拓の自尊心を傷つけることもあるだろう。
 宗輔も、自分の仕事の幾らか汚い部分を、拓に知られたいとも思わない。

 試合会場の外に出たら、雪が舞っていた。
 明後日は2年目のバレンタインだ。
 少しは気持ちが通じ合っていると思ったあの日から、二人で過ごした時間が十分あったとは言い難い。恋人、などとは誰がどこから見ても思わないだろう。
 それでも、今夜拓が宗輔のマンションにやって来ることだけは間違いがない。

『その日』は、いつも宗輔は上等の肉を2kgも買い込む。仕事中毒で、普段まったく休みを取らない宗輔が、1年に何度か取る、まる2日の休みのわけを、秘書も役員の誰もが知らない。

「くそっ」
 リビングのドアを開けた途端に倒れ込んだ拓が、誰にというのでもなく悪態をついた。
 ぼろぼろのザックは玄関に放り出したまま、かろうじてここまでたどり着いたような危ない足取りだ。リビングのソファで焼酎を飲んでいた宗輔は、拓を助け起こすのでもなく、そのままキッチンに行き、冷凍庫のアイスボックスから氷を幾つかつかみ出し、ビニール袋に入れて口を縛った。

「ほら、冷やしとけ」
 会場を去り際に見た対戦相手のカウンターは、ものの見事に拓の左こめかみあたりに突き刺さっていた。案の定何の手当もまともにしていない拓のこめかみには、申し訳程度の絆創膏が貼られていた。
 絆創膏はほとんど血まみれで、鼻に詰め込んだ止血剤の入ったスポンゼルまで赤く染まっている。目の周りも腫れていて、明日あたりはとんでもない顔になっているに違いない。
 唇の端も切れて、膨れ上がっている。
 色気も何もあったものじゃない。
 拓はしばらく頭がはっきりしていなかったのか、対戦相手と間違えているかのように恨めしげに宗輔を見て、それから氷の入った袋を払いのけた。

 払いのけた勢いのまま、宗輔の首の後ろに両腕を回し、血のにおいのする唇を押し当ててくる。
 このキスがたまらなかった。
 口の中にも、まだ鉄臭い味が残っている。それを宗輔は舌と唇とでもぎ取るように無茶苦茶に吸ってやる。血と唾液が交じり合ったキスは、身体の芯に火をつけた。互いに腕で相手を締め付け、息苦しくて意識が吹っ飛びそうになるまで、舌を絡め、引きちぎるほどに求める。
 鼻も塞がっている拓が意識を飛ばすのも構わずに求め、やがて背中に回した拓の手が、むやみに宗輔を殴る。
「肉」
 もうちょっと可愛らしい言い方があるだろうと思うのだが、この単語だけの要求が宗輔にはたまらない。本当は押し倒してこのまま犯したいが、肉を食らっている拓を見ること自体もたまらない快楽なのだ。

 減量のため、試合前には食欲も性欲も抑え込んでトレーニングをこなしている拓は、『その日』馬鹿みたいに肉を食う。野菜も炭水化物も、もちろんデザートにも全く興味を示さず、ひたすら宗輔の焼いた肉を、まるで草原で獲物を食らうライオンのように貪り食う。
 食べている姿とベッドの上の姿には共通項がある。
 どちらも我慢ならない欲求を満たす爆発のような行為だ。
 だからその姿に宗輔の体の温度は上昇し、欲望が芯から突きあがってくる。
 犯して、追い込みたい。
 始めは焼肉屋に連れて行ったのだが、すぐに外で食べることは危ないと気が付いた。
 店を出た時から、ほとんど身体を擦り付け合うように絡めあっていた。いや、食べている最中から、危なっかしかったのだ。
 そして車に乗り込んでドアを閉めた途端、拓は宗輔にむしゃぶりついてきた。もちろん、宗輔の方も同じだった。
 暗闇の中、焼肉屋の駐車場、色気とは程遠い大蒜の入った濃厚なタレや肉の臭いが身体にも服にも染みついたまま、他人目があるかも知れないのに、どうにも我慢ができず、体を繋げて貪りあった。

 だからそれ以来、肉は宗輔が準備して、マンションで焼いて食わせている。
 そして『その日』からまる2日、肉を食っては求めあい、部屋からは一歩も出ない。拓の傷や腫れはその2日の間に多少引くかどうかで、とても素敵な睦事とは言い難いが、会わない時間の方が長い二人にはそんなことはどうでもよかった。

「宗輔……、宗輔……」
 普段、拓は名前を忘れてしまったのではないかと思うくらい、宗輔のことをあんただとかお前だとかしか呼ばない。だがこの時だけはうわ言のように宗輔の名前を呼ぶ。
 声は嗄れて、喘いで漏れる息遣いがどんどんエスカレートしていく。
 拓の身体が宗輔を受け入れて狂うようになったのは、この1年ほどの間のことだ。それまでは男になすがままにされることに我慢していたのか、痛みが辛かったのか、まだ感じるということがどういうことなのか分かっていなかったのか、耐えているという気配の方が強かった。
 だが今は違う。
 拓は宗輔の上に跨って、腰を叩きつけるように振る。踊る、というよりも、まさにサンドバッグを叩くような勢いだ。拓の胸の筋肉のひとつひとつが汗で光る。宗輔は拓の引き締まった細い腰をさらに自分へと引き寄せる。突き上げる宗輔のものは拓の身体を引き裂く。
 拓の唇がしどけなく開いて、喘ぎ声と唾液が零れ落ち、汗が宗輔の腹の上に落ちる。
「拓」
 呼びかけると、うるさいと言わんがばかりに拓の尻の筋肉が宗輔を締め付ける。
 たまらない。
 いつの間にか狂わされているのは俺の方か。それとも、こいつが俺に狂ってくれているのか。

 ぎーっつ、ぎー、ぎーっ
 もうちょっと可愛らしい音が出るように改良しろと言わなけりゃな。どうせなら音楽が鳴るとか。いきものがかりのじょいふる、とか、チョコレートっぽくていいじゃないか。
 だが、まあ、でこぼこで足場の悪いベッドの上を歩くってのは大したものだ。
 宗輔は恋人が眠るベッド脇の椅子に座って、そいつのいささか不器用な歩行を見つめていた。
「お菓子をどうぞ」
 声はまずまずだな。
 拓はびくともしない。時々思い出して氷を当ててやっていた左目の腫れは少し引いてはいるものの、青染みはひどくなってきている。ちょっと痛々しくて、愛おしい。

「お菓子をどうぞ」
 そいつはもう一度言った。さっきよりボリュームアップしている。
 それでも拓はびくともしない。微かに肩が呼吸で上下する。練習と減量で自分を追い込んで、やっと8ラウンドの試合をさせてもらえるようになり、試合の後狂ったように肉を食い、宗輔を求める。そしてこうして眠り続ける。
「おりゃあ、ええ加減に起きんかい! いつまで寝くさっとんのじゃ」
 ついに、そいつは切れた。
 すごい。そいつはクラブシノハラの今年の新作チョコレートが載った盆を頭の上に持ち上げて、袴を穿いた足を器用に、倒れることもなく振り上げ、眠り続ける拓に蹴りを入れた。
 そいつが掲げた盆の上で、チョコレートがバウンドする。

 拓が跳ね起きた。
「さっさと食わんかい! 腕がだるいやないけ!」
 拓は呆然と目の前のからくり人形、いや、元からくり人形のロボットを見つめている。お坊ちゃん頭のからくり人形は、可愛らしい顔のまま、無駄に口をパクパク動かしている。口の動かし方に滑らかさがない。まだ改良の余地ありだ。
「われ、まさかわしの出したもん、食えん、ちゅうんけ!」
 拓はベッドの上で毛布を身体に巻きつけ、跳ね起きた姿勢のまま、しばらくロボットとにらみ合っていたが、突然正座して両手をついた。
「いただきます」
 そう言って、拓はロボットが掲げた盆の上に載ったチョコレートを口の中に入れる。
 やっぱりこいつは基本、大阪の人間だ。ロボットからの突然の突っ込みにもまともに対応する。
「うめぇ」
 宗輔に半分背中を向けたまま、拓は指についた溶けかけのチョコレートをそのまま舐めとった。
 こいつ、意外に可愛い。
 と思ったら、いきなり拓が振り向いた。

「あんた毎年、よくもまぁ、しょうもないチョコレートの渡し方、思いつくな」
 可愛いは撤回だ。そもそも、愛し合う二人の図柄なら、俺がお前の指を舐める場面だったはずだ。
「俺は菓子屋だ。お客様の手元に可愛いわが子らを届ける方法も、売るための演出もあれこれ考える」
 拓ははてなの貼りついた顔をしている。
 ま、からくり人形は会議で没になったコマーシャルの絵面だとは言いにくい。クラブシノハラの次のコンセプトは、家族でちゃぶ台を囲んで味わうスイーツなのだ。『もう一度家族を楽しもう』的な。

「去年は頭の上から、ラジコン飛行機でチョコレート、爆弾みたいにばら撒きやがって、今年はなんだ、こいつ」
 拓はからくり人形仕立てのロボットの鼻先に指を突きつけた。
 がぶっ
 途端に、盆を頭の上に掲げたままのロボットが口を開き、拓の指に噛みついた。

 こんなことまでできるのか。宗輔も驚いたが、拓もまわりが腫れた目をますます見開いて、かぶられたままの自分の指を見ている。
「俺の親友はロボット工学の研究者でな、しかも子供好きで、ちび達を喜ばせるアイディアをあれこれ考えてるんだ」
「俺がガキだってのか」
 左目の腫れはまだしばらく残るだろうし、その腫れが引く前にまたこいつはトレーニングを再開し、次の試合に全てを懸ける。いつも鋭い目できつい顔をして、餓えたライオンみたいに獲物を睨み付ける。
 だがそうして拗ねる顔は、結構いけている。
 闘っているお前も悪くないが、たまにはそんな顔を見せてくれ。

 まる二日、抱き合った身体をようやく洗い流した拓が、ソファで新聞を読んでいる宗輔のところへやってきた。宗輔の手から新聞を取り上げ、両脚の間に立ち、ソファに片膝を預ける。そのまま、まだいささか不細工なままの顔を近付けて宗輔の顎を掴んだ思ったら、目を閉じ、唇を重ねてきた。
 狂ったように求め合う時はともかく、キスは照れ臭いと言って、普段はこんな明るい光の中でキスをすることなどない。だから、多分今も同じなのだろう。舌を絡めるのでもなく、ただ唇で触れて、まるでどうしたらいいのか知らない中学生か高校生のように唇で唇を弄っている。
 拓の微かな息が宗輔の唇の上で震える。
 宗輔の唇に触れたまま、拓の唇が躊躇うように閉じられた。
 かすかに、二つの唇の間に距離ができて、吐息だけが絡まりあう。歯磨き粉のミントの香りが鼻先をくすぐっていた。
「どうしたんだ」
「俺、バレンタインとか忘れてて」
 額だけをくっつけたまま、珍しく情けない声で拓が言う。
 宗輔は拓の腰を抱き寄せた。拓は素直に凭れかかってくることはなく、ちょっと逆らうように、宗輔の両肩に手を突っぱねる。そして、ものすごく真剣な声で聞いてきた。
「なんか欲しいものあるか?」

 去年も拓は同じようなことを言っていた。
 だから、去年のホワイトデーには、拓がバイト先で貰ったという鉄材を使って、一昨年拓が持ってきたサンドバッグのために、はんだ付けの資格を持つ友人を連れてきて、一緒に鉄製の頑丈な吊枠を作った。
 拓はここに来たときには、感触を確かめるように叩いている。
 幸いなことに、今のところ、仕事でも、二人の関係でも、宗輔がサンドバッグを叩かなければやってられないような出来事は起こっていない。

 それだけで十分だった。進展もないけれど、壊れることもない。時々、お互いの存在を大事だと思いだす瞬間があったらいいと、今は思っている。
 氷でちゃんと冷やさずに抱き合っていたからちょっと不細工なままのボクサーが何だか妙に愛しくなって、宗輔は拓の頭に手を置いた。
 だから、今はこれだけでいいんだ。
「そうだな、来年のバレンタインも、その次の年も、俺にしょうもないチョコレートの渡し方を考えるチャンスをくれ」

~Fin~


おまけ
サンドバッグを殴りながら拓、ちょっと聞いてみた……
『ところで、あんたってホモだったのか?』
え? 今更聞く?
多分、そうじゃなかったら手出ししてないでしょうに。
拓は自覚なし、たぶん女でもよかったと思うけど、最初に男を経験してしまったので、そっちに流された系。
宗輔の返事など聞いているのかいなのか、ひたすら、矢田からもらった上等の服を切り刻んだぼろを詰め物にしたサンドバッグを打つべし、打つべし、打つべし!


お目汚しで、すみません。
結構、宗輔がいいやつで自分でもびっくりしました。
もう少し、いじわるかと思っていたんですが。

きっと七夕に毛が生えた程度しか会っていないとは思うのですが、無事に続いているようですね。
矢田氏とはどうなっているのか、わかりませんが……
それなりに幸せでよかった……

次回予告(があるってどういうこと?)
クラブシノハラ 意外な転換劇の裏側に密着?
高級菓子を売りにしてきたクラブシノハラが大きく客層を変える戦略。
篠原宗輔氏『やっぱりお菓子は子どもたちのもの』
親友のロボット工学者が語る『宗輔、お前、変わったな。いや、昔のお前に戻ったってのか』
……その後ろに、ちょっとお子ちゃまな恋人ボクサーの影ありか?
なんちゃって。


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Category: Time to Say Goodbye(BL)

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【SS:バレンタイン、キス、氷】 Time to Say Goodbye 

【挑戦:このページはBL絡みの記事につき、苦手な方はご遠慮ください←とはいえ、読んでみたらそれほどでもない、と言われそう。18禁の要素は、逆に情けないことに…ありません(..)】

ブログに時々お邪魔させていただいている、彩色みおさんが出して下さったお題つきSSに挑戦してみました。
私にはちゃんとした?BLが書けないのですが、本当に生き生きと頑張っておられるBL作家志望さんたちの応援団(今のところ団員2人、かのうさん、ありがとうございます!)として頑張ろうと思います。
そう、昔、阪神ファンのファンという先輩がおりましたが、そんな感じです。

ところで、チャレンジしてみたけど、結果的に長すぎ→SSではない、Hシーンがないし甘々でもない→BLとは言い難い、ということで見事!玉砕しました。私、やっぱり書けません……
でも、それでも読んでやろうという奇特な方は、ぜひお願いします。
何でこんなことになっちゃったのかというと、ただ、キスひとつするのに、すごい理由が必要なんです……私の場合。で、ついつい、人物の背景をやたらと書き込みたがるんですね。
そんなのSSではどうでもいいだろ~と思うのに。

えっと、つまり、ボクシングが書きたかったんかい、と思わないでくださいね。
ま、否定はしないんですけど。
『ボックス!』に憧れてるんです。あんなのが書きたい~と。

もちろん、BGMはロッキーでお願いします(#^.^#)

あ、ところで、彩色みおさんの小説『ミッドナイト・ガバメント』が、某出版社さんの入賞作品Webにて公開されています。ちょっと今更何言ってんのよ、って感じですけど。
詳しくはみおさんのブログをぜひ訪ねてあげてください(下の「みおさんのブログ」をクリック)
みおさん、おめでとう!

みおさんのブログ





Time to Say Goodbye
拓medium (イラスト:竜樹さま)感謝m(__)m

 今日こそ全てと訣別する。
 葛城拓(ヒラク)は肩のザックを担ぎなおした。

 高校生の時、クラブの指導者だった赤沢には、もう話を通してある。挨拶に行った時の赤沢ジムの連中の顔には、逃げ出した人間に対する侮蔑の表情が張り付いていた。その中には、当時拓よりも弱かった奴の顔もあった。だが、わずかなファイトマネーだけでこの道に専念しているハングリーな目には、今では拓のはるか前方を歩いている自信が宿っていた。
『セレブ奥様の下の相手してるような奴が、今さらボクシングだなんて、笑わせるよな』
 明らかにそんな声が耳に届いた。
 赤沢も半分は信じていないだろう。口元には、まぁ1週間持つなら考えてやるけど無理だろな、という笑いが浮かんでいた。
『お前、高校のアマチュアの大会で優勝したからって、軽く考えんな。もう4年離れてるんだろ。今の仕事を辞めちまわない方がいいんじゃないか、いつでも戻れるようによ。辞めちまったらなかなか戻れないってのは、よく知ってるだろうが』
 そんなつもりはない。半端な気持ちではないのだ。赤沢は、自分でトレーニングして2か月後に来い、試合を見て考える、と言った。

 その期日が明後日だ。
 あの時だって、辞めたくて辞めたんじゃない、と拓は拳を握りしめた。
 必ず見返してやる。
 もう一度あの世界に戻るためだけに、この2ヶ月、ハードなトレーニングと食事コントロールで身体を作り直した。体重を52kg台後半から49kg台まで落とした。バンダム級の連中相手では戦えないことが分かっていたからだ。アマチュアの時とは階級分けが違うが、もとのフライ級でなければ、とても赤沢に認めさせる試合ができない。

 拓はセレブ御用達のスポーツジム『シャングリラ』の従業員専用入り口に、認証カードをかざした。
 2か月前のこの身体も、体脂肪は5%ほどだった。一般的には十分に引き締まった体で、ジムに通う奥様、会社役員、芸能人達からは素敵だと憧れてもらっていた。165センチメートルという、男としては比較的小柄な体格だが、小顔のために全体のバランスが極めていいと言われるのは、身体が資本の業界では必要な魅力だった。

 パトロンの矢田は、ベッドの上では、もう少し柔らかい体がいいと言ったが、それならもう少し肉付きのいい小姓を探したらいいのだと思う。
『どないしたんや』
 体脂肪率を4%を切るところまで落とした体を、矢田は撫でまわしながら怪訝そうに言った。拓の決心などには気が付いていないのか、それとも何かを感付いていながら知らぬふりをしているのか。

 そして、あの男も。
 拓は頭を振った。
 元々耳が隠れるほどに伸ばしていた髪を、昨日刈り上げるほどに切った。ピアスも2か月前からしていない。
 廊下の途中にある姿見で、拓は自分の顔を確かめた。
 元々目つきが怖い、野生的、などと言われていた顔だが、この2ヶ月でますますとっつきにくい顔になったのかもしれない。今まで営業スマイルを貫いてきたために隠れていた本来の顔が戻ってきたことには、拓自身は満足していた。

「おはようさん、髪、短すぎじゃないの」
 ジムのインストラクター仲間が肩を叩いていく。180センチはある長身で、赤く染めた髪に、エステで磨いている体は、インストラクターというよりもホストの様だ。赤沢ジムの連中が言っていたことはあながち間違いではない。
 セレブ達の下の世話、とまではいかなくても、恋愛ごっこの相手をしている。おかげで、身入りは悪くないし、中にはホストよろしく車やマンションを買ってもらったというインストラクターもいるらしいと聞く。
 拓に関しては、関西系の不動産会社社長がパトロンで、車もマンションもあてがってもらっている、という噂があるために、大きな贈り物をしようとするセレブはいないが、恋愛ごっこの相手は幾人か持っている。
 だが、それも今日で終わりだ。拓が1か月前に退職願を出していることを知っているのは、この『シャングリラ』の社長と銀座店の店長だけだ。何かと騒がれるのは真っ平だったし、店の方では拓の気が変わらないか、期待している節があった。

「明日はバレンタインですわね。お忙しいんでしょ」
「まさか。私は社長室に座っているだけですからね」
 着替えてトレーニングルームに出た途端に、よく響くバリトンの声が鼓膜を捉えた。
 このところ、ふわふわ食感のバームクーヘンで業績を伸ばしている製菓会社の社長、篠原宗輔(シュウスケ)だった。
 そもそもは小さな町の喫茶店で出していたケーキがあまりにも美味いというので話題になり、いくつかの一流ホテルに店を出すようになり、ネット販売を始めた時に日持ちのするバームクーヘンが大当たりしたのだ。もちろん、バレンタインが近くなれば、社長と秘書自ら現地に飛んで確かめたカカオだけで作っているという限定生産のチョコレートも大売れなのだろう。
 長身で、がっしりとした体格、誘うような低い声、甘いマスクにうねる様なウェーヴのかかった髪。毎週末にはジムに現れ、若い女性に囲まれる。元はその小さな喫茶店でケーキを焼いていた、いわゆるパティシエだったというが、確かに細くて綺麗な指をしている。もっとも今は金計算と書類に判を押すばかりで、その指でケーキ作りなどすることはないのだろう。あとは、拓の体を愛撫することくらいだ。いや、あるいはあのご婦人方の幾人かとも、同じようなことをしているに違いない。

 宗輔を取り囲んでいるのは、宝石商の女性社長とその娘、それにあれは某ホテルオーナーの奥様だ。少し離れて様子を見ているのは、この間デビューしたばかりのアイドルに違いない。
 今年32になると言っていた独身貴族の金持ちを、女たちが放っておくわけがない。
「私、クラブシノハラのトリュフを12ダース注文しましたわ。本当に、なかなか手に入らないんですから」
「それは申し訳ありません。うちは契約農場を持たないものですから、その年に基準を満たすカカオがどれだけ手に入るかわからないので、予約されても確約できないのですよ。契約しても、気候や土地の状態によって、その農場がその年に世界最高レベルのカカオを生産してくれる保証はありませんからね」
 ご立派なこだわりだと思うが、チョコレートひとつに千円近くも出すような世界とは、もう関係がない。たとえ、その男の手が先週末まで拓を抱いていたのだとしても。
「チョコレートではあなたの気を引けませんわね」

 ちらりと宗輔の切れ長の目が拓を捉えた。
 この甘い顔で、なかなかハードなセックスを要求する男なのだ。いや、ほとんど拷問に近いこともある。金曜日のレッスンの後、翌日の勤務開始時間が遅いことを知っているのか知らないのか、ほとんど立てなくなるまでやられる。
 まさにやられる、という言葉が適切だ。
 愛している、とか、可愛いよ、とかいう言葉かけは全くなしだ。キスさえも、滅多にしない。突っ込まれているときに興奮して求めることはあっても、愛おしむようなキスなど、もちろんしたことがないし、されたこともない。
 独身貴族を満喫する男だから、女と付き合ったら妊娠とか結婚とか、面倒くさいのだろうと拓は思っていた。
 で、欲望のはけ口が俺ってわけだ。
 そのハードなセックスがこの2ヶ月ほどの間にエスカレートしてきている。おかげでトレーニングに支障の出ることもあったが、この野郎、と思う気持ちが後押ししてくれるので、試合に向けて、気持ちはマックスだった。
 拓は大きく息をつき、わざとらしく目を逸らした。
 どれほど助平で鬼畜な野郎か、ご婦人方にばらしてやりたい。もっとも、ご婦人方の中にも大概な人がいるのだが。

 拓の受け持つスタジオトレーニングは格闘技を取り入れたシェイプアップのエクササイズだった。音楽に合わせながらシャドウを繰り返すような優雅なトレーニングとも今日でお別れだ。
 音楽の代わりに、ミットやサンドバッグを打つ激しく鋭い音が、すでに耳の中で反響している。あの熱い息遣い、飛び散る汗、そして血の匂いまでも、懐かしくてたまらなかった。
 ふと、ガラス張りのスタジオの向こうから視線を感じる。
 宗輔がランニングマシーンで軽快に走りながら、ただこっちを見つめていた。拓もしばらく、むしろ力を入れて見つめ返していた。

 スタジオレッスンの後、予約のあったプライベートレッスンを順番にこなしていきながら、拓は最後の名前にふとスケジュール表の上を滑らせていた指を止めた。
 一体、何の真似だ?
 宗輔は確かにもともと拓のプライベートレッスンの生徒だった。それが1年前、身体の関係を持つようになってからは、パブリックな場所での体の接触を避けたのか、予約を入れてくることはなくなった。別にそのことを宗輔に確かめたことはない。
「篠原さん、プライベートレッスンは久しぶりですね」
 他人の目があったので、何も言わないでトレーニングを始めると変に思われると感じて、当たり障りのないことを言った。
「そうかな」
 宗輔の返事はあっけなかった。
 いくつかのマシンを回る間も、目を合わせられなかった。がっしりとしたいい体格だが、ショルダープレスの時、少し右肩がひきつるように上がるのが癖だった。フランスに留学中、交通事故に遭って、右肩に大怪我を負ったらしく、大きな傷がある。腕を上げるとき、どうしても吊られるように肩が動いてしまう。
 その肩が上がらないように、彼の右肩に手を添えた瞬間、何とも言えない感情が襲いかかってきた。
 意外にも意識をしている自分に、今さらながらに驚く。
 もう決めたことだ。こいつとも今日を限りに別れる。
 ストレッチをする時には、その体に触れてももう何も感じなかった。少なくともそのようにふるまうことができていた、つもりだった。

「本当に辞めるのか」
 12時が過ぎ、ジムの掃除を終え、店長に挨拶に行くと、店長はため息をついて言った。
「はい。1か月前に言った通りです」
「結構、身入り良かったんじゃないの。そんなあてにならないファイトマネーだけで食っていけるのか」
「でも、今持っているのは俺の金じゃないですから」

 大阪の難波にある祖父の代から続いていた小さな喫茶店を受け継いだとき、母にのしかかってきたのは遺産ではなく借金だった。父親は元プロボクサーだったが、パンチドランカーになって認知障害、暴行を繰り返すようになった。母親がその父を刺し殺し、執行猶予が付いたとはいえ犯罪者になって、結果的に喫茶店は地上げ屋に持っていかれてしまった。高校を出て、大学でもボクシングを続けようとしていた拓に、辞めてほしいと泣いてすがった母は、不動産会社社長の矢田の愛人になっていたが、拓が高校を卒業する前に亡くなった。矢田の人脈のおかげで優秀な弁護士が付き、母の裁判が有利に進んだのだが、裁判で言われたような正当防衛などではなかったことを拓は知っていた。
 おそらく、矢田も知っていたのだろう。
 母が亡くなって、今度は拓が矢田の愛人になった。矢田の口利きで『シャングリラ』に勤めるようになり、矢田が満足している限りは、矢田が立て替えたはずの篠原家の借金のことは何も言われなかった。
 矢田は拓の交友関係には無頓着だった。拓に対して、特別に執着心があるわけではないのだろう。それでも、そこから抜け出せるのかどうかは、今もまだわからない。
「わかんないなぁ。何に餓えてんの? せっかくいい暮らししてんのに」
 その言葉を背に、拓は『シャングリラ』を後にした。

 12時を過ぎているから、もうバレンタインだ。
 拓はセレブしか住んでいないというマンションのコンシェルジェに挨拶をして、1012号室を呼び出してもらった。毎週の来客である拓には、すでにコンシェルジェも慣れてくれていた。
 とは言え、拓の背中の手製のサンドバッグと、ごみ袋にはいささか目を見開いている。しかし、さすがに、十分に金を払ってくれる住人の客に対して、失礼な言葉はかけてこなかった。
 そもそもどういう関係と思っているのだろう。ちょっと聞いてみたい気もしたが、それも今日までだから、もう今さらな気がした。

 1012号室の鍵は、例のごとくかかっていない。
 拓はドアを開け、サンドバッグとゴミ袋を担ぎ直す。だだっ広いリビングのドアを開けて、多分優雅にブランディグラスなどを揺らせているはずの宗輔にサンドバックを投げつけようと思ったら、宗輔はそこにはいなかった。
 ふわふわの白い絨毯、ゆったりとしたソファー、アクリルの低いテーブル、酒の棚、柔らかい音楽はサティだ。
 拍子抜けして、そのままリビングにサンドバッグにゴミ袋を放置して、キッチンの方へ移動する。何か、削るような音が小気味よく響いてきていた。

「遅かったな」
 宗輔はアイスピックで氷を丸く、それもかなり小さく丸く、形を整えているように見えた。宗輔の長い指が、器用に小さな氷を扱っている。
 十分いい男だけど、俺も別に男好きってわけでもないし、たとえ乱暴なセックスをする男でなくても、まぁこれが潮時だよな。
「何か飲むか?」
 へえ、そんなお優しい言葉は初めてだ、と拓は思った。
 いつも、こっちの準備ができてようといまいと、お構いなしに突っ込んでくるのだ。おかげで、さすがに拓の方も自分で準備をするという技を覚えた。今日も、『シャングリラ』のシャワールームでしっかり準備をしてきている。明後日の試合に響かせるわけにはいかない。もちろん、朝までやられるのは仕方がないとは思っているから、せめて被害を最小限に留める努力をしているわけだ。

「さっさとやろうぜ。前置きは面倒くさい」
 宗輔はからん、とアイスピックをキッチンテーブルに放り出した。拓の顔を見ないまま、息をひとつついたように見える。
 ご婦人方にはあんなにつらつらと滑らかにしゃべっているのに、拓に対してはまるでその話術が発揮されたためしがない。おかげで、拓の方もそれに慣れて、この男相手に会話など無駄だと思うようになっていた。
 テーブルの上には小さなグラスが置いてあって、宗輔はさっき削っていた氷を放り込むと、そのグラスを持って拓の方へやってきた。そしていきなり腕を摑むとリビングの方へ引っ張り込む。

 結局、いつも同じだよな。
 絨毯に押し倒された形になった拓は、諦め気分で不意にアクリルテーブルの上に宗輔が置いたグラスの光を見つめた。グラスの中に幾つかの氷が、不思議な光を跳ね返している。白、ピンク、オレンジ、琥珀色、そして。
 拓は自分からベルトを外し、ジーンズを下着ごと脱ぎ掛けた。こいつとやる時には、とりあえず下半身さえ脱いだらいいと、そう思っていた。
 その拓の手に、いきなり、宗輔の手が重なる。
 拓は宗輔が自分のものを弄ぶつもりなのだろうと、下半身に目をやったが、その手はただ拓の手を押さえただけだった。

 何だよ、と思って顔を上げた時、宗輔はグラスの中の氷をひとつ取り、ちょっと光にかざすように見つめていた。
 氷の中に、黒っぽいハートのようなものが見えている。
 何だ、と思ったとたん、宗輔がそれを自分の口に放り込み、そのまま拓にかぶさるようにキスをしてきた。
「何す……」
 唇に触れる熱は、宗輔の唇から零れる氷の温度で冷やされ、拓が唇を開きかけると、宗輔も唇をわずかに開いた。
 二人の熱の間に、氷が踊っている。
 溶け出す氷の雫が唇の端からこぼれる。時折、氷と一緒に宗輔の唇が触れる。冷たくて、温かい唇は、氷の先の拓の唇を探しているようにも思える。
 拓は唇と舌で互いを隔てる氷を転がしながら、その冷たさにたまらなくなった。
 その向こうの熱が欲しいと、宗輔の唇から氷を奪い取る。
 氷を自分の舌の上に受け取って、拓はそのまま宗輔の体を抱きしめて、熱い唇と舌と、そのさらに奥にあるものを求めた。
 まだるっこしかった。キスよりも、この身体が欲しい。

 宗輔の手を自分のものへ引き寄せようとしたとき。
「え?」
 口の中にいきなり甘みと、少しの苦みと、それから不思議な温度が広がった。
 その瞬間、拓は初めて宗輔のたまらないほどの笑顔を見た。
「何だよ」
 飲み込んでしまってから、悪態をついてみたが、遅かった。

「いや、久しぶりにクラブシノハラの初代天才パティシエが創作チョコレートを作ってみようかと思ったんだ。温度が難しい」
「温度?」
「チョコレートを氷の中に入るように凍らせて、それから氷の中でチョコレートが偏る位置になるように氷を削る。チョコレートが凍ったままじゃ、口の中で味が広がらないだろ。だから口の中で半分溶かして、それからお前に」
 解説なんかするな、と思って、拓はまた宗輔を引き寄せた。
 宗輔は始めこそ珍しく躊躇っていたようだが、やがて拓の体を強く抱きしめ、時には確かめるように、そして時には強く、そしてまた時に慈しむように唇を合わせ、舌を絡めてきた。
 舌の上に、まだチョコレートの味が甘く残っていた。
 これ、例の最高級のカカオなんだろうか。
 いや、そんなことはどうでもいいや。きっと宗輔が氷の中に閉じ込めた時に、このカカオは最高級のものになったのだろう。
 時折、宗輔の大きな手が拓の短く刈ってしまった髪を撫でる。
 拓は目を閉じた。
 キスの時、目を閉じたのは初めてだった。多分、相手を疑っていて、何をされるか警戒して、キスに溺れていたことがなかった。いや、そもそもキスなど、こんな風にまともにしたことはなかった。
 キスって結構いいものなんだ。
 そんなことを思ったのは初めてだった。大体男同士で愛し合うなんてのは、つまり欲望が満たされればいいわけで、愛だの恋などの感情は別のものだと思っていた。だからキスは余分な手順で、それこそ下半身だけで十分だと思っていたのだ。少なくとも、相手はそうなのだと思っていた。
 そんな無味乾燥な無茶苦茶なセックスをしてきたのに、今夜はただキスだけで十分だなんて、本当にどうかしている。
 聖バレンタインの気まぐれなのかもしれない。いや、どんなおっさんか知らないけど、まさか男同士の初本気キスを応援する破目になろうとは思っていなかったに違いない。

 そのまま絨毯に座って、何故か手をつないでソファに凭れていた。こんなふうに手に触れるのも初めてかもしれなかった。宗輔の手の大きさ、温度も、指の形も、今ようやくはっきりと確かめることができる。
「新手のチョコレートの渡し方だろ」
「意味わからん。なんで急に乙女チックなことするかな。それより、するならさっさとしようぜ」
 どう言えばいいのか分からなくて言ってみたが、さすがに迫力がなかった。
 宗輔にはしっかり照れ隠しに聞こえただろう。
「明後日、試合なんだろ」
 今日は一体、なんなんだ、と思った。
「何で知ってるんだ」
「矢田さんに聞いた」
「何で矢田が知ってるんだ。ていうか、何で矢田を知ってるんだ」
「有名だろ。お前が矢田さんの愛人だって」
「そうか……ってそれもよくわからないんだけど」

 結局、あれこれと空回りしているのは自分だけなのか。
「俺、世の中のことも、俺自身のことも、どうしようもない、仕方がないことばかりだと思ってたから」
「お前の様子がおかしいと思って、矢田さんに会いに行ったんだ。そうしたら、矢田さんが、あいつまたボクシングをやるつもりらしいと。お前が身体絞ってんの見て、気が付かないわけないだろ。親父がパンチドランカーでどうしようもなくなったのに、それだけは母親に頼まれてたのに、だが決心したなら仕方がないってさ」
「何で矢田に会いに行ったんだ」
「お前、無茶苦茶減量して、身体絞ってたからさ、目つきも変わってたから、心配で。いや、つまりお前のことがもっと知りたかったのと、必要なら矢田さんと決闘しようかとか、色々考えて」
「なんだ、それ。俺、別に矢田のものじゃないし。借金の分を体で払ってるくらいなもんで……でもそれも言いわけで、本当はただ、流されるままここまで来ただけだ」
「矢田さんは、お前をボクシングから遠ざけようとしてたんじゃないかな。あの人なりに、お前のことが心配で」
「どうだか。そんな善人じゃないぜ、あのおっさん。商売のやり方もあくどいし」
「そう、人はさ、良いことをしながら悪いことをし、悪いことをしながら良いことをするんだ」
「分かったようなことを言うんだな」
「そりゃ、お前より10年は余分に生きているからな」

 傍で宗輔が頭をソファに預けた。
「でも、多少長く生きてきたからって、どうしていいのか分からないこともあるんだ。この2ヶ月、どうやって切り出そうかと思っていた。ボクシングなんか辞めて、俺の愛人になれ、とか言ってみようかとか」
「で、あんなに乱暴だったのか。もうちょっとやり方考えろよ」
「やかましい。お前があまりにも何考えてるのか分からなかったからだ」
「それ、こっちの台詞だよ。あんた、何にも話さないし。だから、俺、嫌われてるのかと思ってた」
「お前が俺を嫌ってんたんじゃないのか」
「そうなのかな。今日は何が何だかもうよく分からない」
 混乱してしまっているのだ。
 でも、と拓は続けた。
「嫌いなら、ここに来てなかったんだろうな。あんなに酷い扱いされてたんだし」

 不意に、宗輔の腕が拓の頭を抱きしめた。強い、大きな手だった。
「やめろって言ったらやめるか」
「やめない」
「……だろうな」
「俺は優しい親父をあんなふうにしたボクシングに復讐してやりたいんだ……あんなになったからって親父を刺し殺した母親にも復讐してやりたい。そう思ってたんだけど……でも、何だか、今分かった気がする」
「何が」
「ボクシングが好きなんだ。サンドバックを叩く刺すような音、ストレートが相手をぶちのめすまでのわずかな時間に空を切る音、目が腫れちまって血の中で何にも見えなくなっても、相手の息遣いを追いかけながら、ゴングが鳴るまで闘い続けるのが。親父が試合に勝ったとき、俺を肩車してくれて、あの時リングの上から見たあの景色が」

 宗輔は長い時間、黙っていた。そして、今度はもう一度拓の頭を抱きしめ、それからそっと離した。
「わかった。じゃあ、俺はここから黙ってお前を見守っている」
「そこ、俺もまたパティシエとして新作にチャレンジするよ、とか言う場面じゃないのか」
「馬鹿、もう俺にはそんな若さも才能もないよ」
 顎で示された先、アクリルテーブルの上では、氷が溶けた水の中で、色々な種類のチョコレートが間の抜けた感じで沈んだり浮かんだりしている。
「それに、経営が面白いんだ。今にクラブシノハラをもっとでかくしてやる。そう思っている。ま、お前のためにまたしょうもないチョコレートの渡し方は考えてやってもいいけど。それより、お前、これ何なんだ」
 宗輔が絨毯の上に放り出されたサンドバッグとゴミ袋を指す。

 改めて見ると、何だか俺ってバカっぽい、と思った。
「え……っと、つまり、バレンタインプレゼントだ。菓子屋にチョコレート渡すの、バカだろ。その、普段の俺へのやり方見てて、あんたはサンドバッグが必要なのかと思って。俺と別れた後、殴るものがいるかな、と。で、殴っているうちに中の詰め物が減ってくるから、後から足す詰め物もいるかと……それ、矢田からもらった上等のコートとかスーツとか、切り刻んだぼろなんだ。もういらないし」
 宗輔が呆れたような顔になったが、意外にもまともなことを言った。
「サンドバッグ吊るための枠は? 頑丈なものがいるだろ」
 確かに、そこまでは考えていなかった。サンドバッグだけ渡されても、どうやってつりさげるかのほうがはるかに問題だ。
「じゃ、とりあえず、蹴っとけよ」
 宗輔は笑いをかみ殺すようにして、拓の短い髪になった頭を撫でた。
 こいつ、意外に笑うんだ。知らなかった。
「しばらくサンドバッグは使うことはないさ。プロになって賞金稼いで、いつかお前がこのごついサンドバッグの吊枠を買ってくれ。そのうち、俺にも本当に殴らずにはいられない時がくるかもしれないからな」
「自分で買えよ。金持ちのくせに」
「お前が責任とれ。俺の気持ちをさんざん惑わせたんだからな」

 どっちがだよ、と思ったけれど、何だか今夜は喧嘩を売っても買ってもらえないようだった。
 それに、今は何となく気分がよかった。いつの間にか二人の間にある距離が愛しくて、絨毯に置いた手に手が重なる。長い時間、手と手をただ重ね合わせ、重ね合わせていることを忘れるほど時を過ごした。
 時々、お互いの手の温もりを思い出すのだが、わざと忘れているかのように心を鎮め、いつか離さなければならない手だと知りながらも、この一瞬が続いてくれるようにと思った。
 もうどれくらいの時間がたったのかもわからなくなってから、宗輔がぽつりと言った。
「言いそびれてたけど、その髪、似合うよ」
 バリトンの声が耳に心地よかった。心地よいだけに、この声を聞いていてはいけないとも思った。

 トレーニングに入ったら、きっとしばらくは会えないだろう。
 いや、まずは明後日の試合に勝ちたい。赤沢とジムの連中に、葛城拓が本気であることを見せたい。
 そして4年間のブランクを埋めなければならない。誰かに甘えたらそこまでになってしまう。今までのように流されるのではなく、今度こそ自分の手で何かを掴み取りたい。
 そしてそれが分かっているに違いない宗輔は、ただ重ねた手をそのままに何も言わなかった。
 それでも、口の中に、あの冷たい氷の感触と、甘いチョコレートの味と、そして熱い宗輔の舌の感触が、いつまでもいつまでも残っていて、今はただそれを忘れたくないと願っていた。




あぁ、だめだ。私って、本当に、あまのじゃく。
これって別れ話なのかも……しかも、ますますこのブログのジャンルが不明になってきた…

しかも出来上がってみたら、ただのボクシング馬鹿の話。
書く前に頭ん中にあるときは、もう氷でキスのシーンがでーん、と。
で、出来上がったら、キスシーンはちーん、と、小さく収まっているだけ。
休みの日はこれに没頭する!と決心して(石旅行を断念し…ただ渋滞が嫌だっただけだけど)頑張ったのですが。

人生2作目のBLにするぞ、と思ったんですけど、ほんとに難しいなぁ。
(1作目は……友人の許可があれば、いつか、お目にかかるかも…でもそれを書いて、私は玉砕しました。私には無理だわ……と)

しかも、宗輔ときたら、まるでみおさんちの暁さんみたいなこと言ってるし。
お前のことが知りたいとか、何とかかんとか。
いけません、また直前に読んだお話に流されてしまった……
みおさん、ごめんなさい。
ついつい、みおさんと、ヘタレ攻め好きが似ていたために……

そういえば、昔、トルストイの『戦争と平和』を読んだとき、大変なことになっていました。
思えばあの時、ヴォルテラの家(ローマ教皇の背後組織)の仕組みが出来上がったのであった。
あのころの作品、ヨーロッパ風大河ドラマでしたから……

なお、本当にチョコレートでこんな氷詰ができるのか、確認していません。
キスでうまく溶けるのかも、もちろんわかりません(^^)
妄想ですから。

これを考えた時、ベースにあったのは、敬愛するO・ヘンリーの『賢者の贈り物』
でも、「相手を思うあまり、お互いに身を切る」まではいかなかった。
現代風にしたら、せいぜいこんなところでしょうか。
贈り物が割と役立たずってところだけ一緒^^;

ついでに、男が二人出てくると、どうしても組合せパターンがこうなってしまう。
ずいぶん年下のくせに生意気で一筋縄ではいかない、はっきり言って性格も可愛くない受け
態度は偉そうで社会的立場も立派だけど、どこか情けないところがある、いささかヘタレな攻め

という感じでしょうか。
BL書いたことないので、表現が正しいのかどうか、わかりませんが……

しかし、本当に、SSって難しいですね。
一体何をどこまで書けばいいのか。
これまで皆さんが書かれたSSは、余計なことをさらりと流して、それでも物語の完成度とか世界はちゃんとできていて、ものすごく勉強になったんですけど、いざ自分が書くと、学んだことが役立っていない……(>_<)
いや、なによりBLが難しい。
みおさんのBL論読ませていただいて、なるほど、そうなのか!と思って、目から鱗だったんですけど……

自分の書いているものの所属するジャンルが分からなくて、結構困ったりしていました。
で、帰属先を考えて、さまよったのですが……
はっきり言えているのは、『長い』『物語は何でもミステリーが信条』という2点のみ。

ということで、やはりジャンルは『長編小説』?
でも、ジャンル分けって本当に難しいですね。
この間も、どなた様かのブログを訪ねさせていただいて、みなさん、同じようなことで悩んでおられるんだなぁ、と。でも探すほうは、キーワードがないと探せないし……

かのうさまにも、男二人が出てきて、できてたらBLでいいんじゃないの、と爽やかに力強く言い切っていただきましたが、そういう意味では、うちの二人(真と竹流)はできている、とも言えるので、BL?
お伽噺(人魚姫)をベースにした大河風ミステリー的BL
でも、本筋が恋愛じゃないところが痛い。
しかも、最も問題なのは、女性と絡むほうがはるかに多い……
女性の登場人物もやたらと多い……(しかも、たいがい強い…?)

参考までに
パンチドランカーというのは、頭を殴られたりしているうちに脳に障害が起こってしまった人で、頭痛を認めたり、認知障害、酷いときには人格障害を引き起こしてしまいます。
通っているボクシングジムでお会いした、あるプロ(っても色々な方がおられます)の人が言ってました……
本当にぼわーってしょっちゅう脳震盪みたいになるんだって。
それって、どうなんだろう。医学的には、本当はよくないですよね。
で、プロになれるのは32歳までと決まっています。
ちなみに突然の脳出血などは40歳代から増えます。
本当に、プロボクサーの方々には体を大事にして、頑張ってほしいです。

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Category: Time to Say Goodbye(BL)

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心機一転! カテゴリ追加 

拓

注:このカテゴリはBL・18禁要素が含まれます。苦手な方は引き返してくださいね。
  でも、あまり迫力?はありませんので、逆に期待もしないでください…(..)


彩色みおさん(BL作家に五里霧中!)ご企画のSSにチャレンジさせていただいて生まれた二人の物語を、独立カテゴリにしました。
きっかけは…な、なんと!
竜樹さんが拓(Hiraku)のイラストを描いてくださったんです!
それが上の素敵なイラスト。竜樹さんのご許可をいただきましたので、貼らせていただきました。
本当にありがとうございますm(__)m 竜樹さんのブログはこちら→萌えろ!不女子(click)

感謝感激雨嵐!です。
ちょっとびっくりして、で、興奮して、嬉しくて、でもどうしたらいいのかしら、と思いながらじたばたして。
取りあえず独立カテゴリにしよう!ということにしました。
そして、頑張って続きを書いて、お礼にしたいと思います。
(同窓会が終わったら…(>_<))
もう、妄想は2作先まで走っているのですが……実は、Hシーンがない…
あんまり得意ではないのですが、何とかねじ込みます!
お楽しみに!!

ちなみに本来はSSなのに、やたらと長くて、しょっぱなからSSではありませんm(__)m
かといって、あらすじ、というような上等なものもありません。
おおざっぱに言うと、高級菓子製造会社の社長・篠原宗輔(Shinohara Shusuke)とボクサー・葛城拓(Katsuragi Hiraku)の恋物語?
ということにしておこう。
第3作目からは、お茶の水博士と拓が呼ぶ、ロボット工学者・斎田アトムも登場予定。年寄りではなく、宗輔の親友。
気楽に、読み始めてやってください。

勢いで誕生したふたりですが、たまには私もHappy Endにしてやろうという親心を持ちました。
(キャンディ・キャンディの呪縛から逃れて…参考→【物語を遊ぼう】7
いえ、不幸にしてやろうなんて思っているわけではありません。
でも何だか苦しんでいる本編の二人を書いていると、たまには…ね。

ちなみに、葛城、という名字、本編にも出てきます。
葛城昇……新宿2丁目のゲイバーの妖艶な店長。竹流が信用している仕事仲間の一人。
ま、時代が違うのですが、もしかして、姪の子ども、程度の親戚だったりして。

一応BLの仲間に入れてください。
でも、正直、あまり恋愛度は高くないかも。
萌え度も低いかも。
18禁シーンなんて、本当に色気がないかも。

でも、変な萌えはあるかも?
(焼肉とエッチ、とか)

ということで【小ネタ出し】から引っ越ししました。
本編のようにのんべんだらりと長くならないよう、SSではないけど、MMくらいのサイズまでで、頑張りたと思います。
改めまして、よろしくお願いします(#^.^#)

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