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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨25] 第3章 同居人の恋人たち(3) 

 滲んでぼやけたようなネオンの文字、時々車の方を鬱陶しそうに見る目、夜通しあらゆる種類の騒音が通りを横切る。それでもこの新宿の街は、人混みで吐き気に襲われるというどうしようもない真の病気を、多少改善させたという不思議な治癒力を持っている。あまりにも飽和状態に詰め込まれた雑多なもの、喜びも苦しみも成功も失墜も、あらゆる幸福も不幸も、そういう全てのものに触れすぎた結果、真の心の苦しみを脱感作させていったのかもしれない。どこまでも全てを飲み込み隠すような町が、真の中の何かを庇っているのかもしれなかった。
 今日両親の元に帰った中学生も、明日幸せになれるかどうか分からない。家族は一緒にいるだけで幸福とは言えないことは、この仕事を始めてよくわかった。自分のような人間は少数だと思っていたが、そうではないのだろう。

 車を隣のビルの地下駐車場に入れてドアを閉めた時、風でうるさいから閉めるようにと書かれた張り紙が、ばたばたと音を立てていた。地下駐車場は二十台ばかりの車が停められるようになっていて、時々通りを吹き抜ける風がここまで入り込む。だが今日の場合は階段室の戸が開いているからだった。
 夜間なので、この階段を上がってもビル自体の玄関が閉まっている。それでも安全性を考えれば、まったく防犯の意識がないと言える。真はその扉を閉め、車の通ってきた通路を上がり、表に出て隣のビルへ向かった。

 調査事務所が入っているビルの階段にも風が舞っていた。真はふと息をついて、一気に階段を駆け上がった。階段の蛍光灯は切れ掛かっていて、時々妙な音を立てている。遠くはない彼方でパトカーか救急車のサイレンが奇妙な振動を残している。
 階段を上がりきったところで、目の前の状況に一瞬足が止まった。
 薄暗い廊下の明かりの中で、事務所のドアが開いているのが目に入った。
 明かりがついているならば違和感もなかったが、明らかに事務所の中は暗がりだった。真は物音がないことだけを確認して、事務所の入り口の電気を手探りでつけた。

 全く見事に荒らされている。
 一度そういうことがあった後で、個人情報が入ったようなものは奥のセキュリティのついた部屋に入れるようになった。だが、それも無駄と分かると、今度は場所を変えて本当に大事なものは、三階の宝田が寝袋を持って転がり込んでいる住居兼事務所の空き部屋の奥に入れるようになった。竹流の仲間の誰かがセキュリティを入れてくれたらしく、万が一破られても証拠が残るようになっている。尤も、最高のセキュリティは『貴重なものがあるようには見えない』ということだ。汚らしく一見何もないように埃に埋もれている部屋だけに、誰も大事なものがあるとは思わないだろう。
 しかし、今日の相手はそういうものには興味を感じなかったようだった。

 随分とひっくり返されている。ふと見ると、留守番電話のテープを入れる部分が空きっぱなしでそのテープが消えていた。何もないのでそんなものでも持っていったのかもしれないが、いくつかのどうでもいいフロッピーや他のテープ類、ビデオも消えていることがわかった。
 その時、階段を上がってくる高い靴音が響いて、事務所の前で止まった。真が振り返ると、立っていたのは、田安の店に出入りしている楢崎志穂だった。

 志穂は部屋を見回していた。
「ひどいわねぇ。よくもまぁ、こんなに引っ掻き回したものだわ。何か盗られたの?」
 この間澤田と深雪のことを聞いて真の気分を害したことなど、彼女はもう忘れているのだろうか。真が返事をせずに視線を外すと、楢崎志穂のほうも視線を外した。
「そんな顔しないでよ。この間は悪かったわ」
 それから彼女はもう一度事務所の中をゆっくりと見回した。
「何しに来たんだ?」
「別に。あなたがいたら謝ろうかと思って通りかかったら、電気がついてたから」
「謝る?」
 気分は害したが、別に謝られるようなことでもないと思った。
「私が悪いことを言ったとは思ってないけど、あなたは気分が悪かったでしょうから。留守電のテープがないの?」
 志穂は真の側までやって来てデスクの上を覗き込んだ。

「他には?」
「美和が帰らない」
「あなたの秘書?」
「共同経営者だ」
「彼女ならあなたが居候しているマンションに帰ったわよ」
「どうして知っている?」
 深雪や澤田のことならともかく、一体何故この女が美和のことまで知ってるのかということを理解できず、真は彼女を見た。
「ある男をつけてたら、たまたま彼女も同じ男をつけてたのよ」
「男? 誰だ?」
「さぁ。あなたの秘書に聞いたら?」

 真はしばらく考えを巡らせたが、ようやく質問に思い至った。
「まだ澤田のことをどうかしようと思ってるのか」
「あの男は仇だから」
 真は思わず楢崎志穂の顔を無遠慮に見つめた。
「どういう意味だ?」
「だから、香野深雪にどういうつもりか聞いて欲しいって言ったでしょ」
「君の言っていることは訳がわからない」
「あなたが味方をしてくれるなら話すけど」
 真はわざとらしく息をついた。
「訳が分からないのに味方にはなれない」
「でも、澤田に呼び出されたんじゃないの?」
 ますます理解できない事態になって、真は黙って志穂の勝気な顔を見つめた。
「どうしてそんなことを知っている?」
「いいじゃない、どうでも」

 一瞬部屋の中が静寂になると、外の車の音や何かの騒音が耳についた。宴会帰りの集団の叫びらしいものに被さるようにパトカーのサイレンの音が近付き、そのままスピードを緩めずに遠ざかっていった。湿った空気が古い建物の鉄の窓枠のわずかな隙間から滑り込んでくるように感じる。
 真はまだ志穂を見つめたままだった。志穂の幾分か厚めの唇が、外のネオンの赤を跳ね返して僅かに意地悪く笑った気がした。
「怖い?」
「何がだ」
「澤田があなたをどうしたいと思っているのか。そりゃあ、愛人を寝取った男に優しい言葉は掛けてくれないでしょうから」
 そう言ってから真の顔を見て、志穂はくすくすと笑った。
「冗談よ。澤田がその気なら、とっくの昔にあなたを叩きのめしてるでしょうから。特別に教えといてあげるけど、彼は自分の愛人の恋人に興味を持ったんじゃなくて、あなたの素性に興味を持ったのよ。それがたまたま自分の愛人の恋人だった」

「素性?」
「あなたは、おめでたく自分のお父さんが脳外科医だと思っているんじゃないでしょ」
 真はさすがに息を飲み込んだ。何故この女がそんなことを話しているのだろう。自分には縁もゆかりもない女だ。
「一体、そんなことを探ってどうするつもりだ?」
「別に探ってなんかないわよ。でも、あなたも気を付けたほうがいい。あなたの知らないところで、あなたの値段はつけられてるのよ。誰かがそれをどう料理するか考えている、あなたの意思なんか何も関係ない。だから、私の味方をしてくれたほうが為になると思うわ」
「俺の、値段?」
「そう、あなたの値段も、あなたの同居人の値段も」
 真は思わず志穂につかみかかった。
「どういうことだ。同居人って、彼に何かした奴のことを知っているのか」
 志穂は心底驚いたような顔で真を見つめていた。暫く見つめ合ってから、志穂はようやく納得のいったような顔で俯いた。
「誰が何をしたのかは知らない。でも、彼の値段は特別に高いと思うわ。特に、あなたにとってはね。澤田に会って確かめたらいいわ」
 真はようやく志穂を摑んでいた手を離した。

 志穂はまだ少しの間真を見つめていたが、鼻だけで笑うと、じゃあ、と短く挨拶をして出て行った。荒らされた部屋に一人残されると、気分がますます滅入ってきた。
 もしも、澤田が深雪と寝ている男としての相川真に興味を抱いているのではなく、楢崎志穂の言ったとおり、相川真の血筋に興味を抱いているのなら、それはもっと性質が悪い話だと思えた。
 だが、冷静に考えると、もし澤田が竹流の怪我に何か関わっているのなら、澤田からの食事の誘いは願っても無いチャンスだった。

 真は派手に荒らされた事務所をもう一度見回した。床に散乱した紙や本、ファイル、開けられて中身を引っ掻き回された机やキャビネットの引き出し。元にあった位置がわからなくなっている紙類や本はともかく、机や椅子が壊された気配はなかった。
 事務所の片付けは明日にしようと思った。こんな夜中にこれを片付けるのは気が滅入る。宝田に伝言をしておかないと朝びっくりするだろうが、彼は今頃鼾をかいて眠っているだろうから、起こすのも可哀想な気がするので、彼の驚く分は仕方がないと思うことにした。
 結局真は宝田が慌てる顔を想像しながら、事務所に鍵だけを掛けてマンションに戻った。

 地下駐車場に車を停めて直接部屋に上がると、薄暗いリビングの隅で内線電話のランプが点滅していた。受話器を上げてコンシェルジェに事情を聞くと、真は部屋を飛び出してエレベーターでロビーに下りた。ロビーのソファで美和は背を向けて座っていた。向かいに回ると、思い切り膨れ面だった。
「遅くまでどこ行ってたんですか」
 真は思わず娘を持つ父親の心境になっていた。
「君を捜しに行ってた。遅いのはそっちだ」
 美和はどうして、という顔をした。真は、住人のプライバシーには興味なさそうな上品なコンシェルジェに軽く頭を下げて、美和を引っ張ってエレベーターホールに向かった。
「私だって遅くなることくらいあるわ。遊びに行く事だって。もう子供じゃないんだし」
 美和の言葉が終わるか終わらないかでエレベーターの扉が開いた。中に乗り込んで、ドアが閉まってから真は美和の顔を見ないまま言った。
「女の子が夜遅くまでふらふら遊び歩くんじゃない」
「父親みたいに私に指図しないでよ。それに私、遊び歩いてたんじゃないわ。ちゃんと話を聞いてから怒ってよ」

 確かに自分が美和に怒る筋合いではないな、と思った。その真の表情を見たからか、美和はちょっと楽しげな顔になった。
「何か、口うるさいお父さんと一緒にいるみたい。先生の妹さんって大変だったでしょうね。夜、友達と遊びにも行けない」
 エレベーターを降り、部屋に入っても、真は話すべき言葉を上手く探せなかった。美和が時々、半分楽しそうに自分を見ている視線を感じる。居間に入って上着を脱ぐと、ソファの背に投げ出した。真が言葉もなく座ると、美和はべったりと横に引っ付いてくる。
「落ち込んだの?」
「悪かった。俺が怒る筋合いじゃないし」
「ちゃんと話も聞いてないし」
 そう言って、美和は真の顔を覗き込み、本当に身体ごと引っ付いてきた。

 生活とか態度は滅茶苦茶のくせに、美和は勘の鋭さと素晴らしくよく回転する頭を持っている。そのくせ、しゃべっている内容にどこまで本気でどこから冗談なのか分からない部分がある。やはり葉子に似ているとは思えなかった。葉子も確かに賢くて勘の鋭いところがあったが、こういう鉄砲玉のようにしゃべるけたたましさはない。
「誰をつけてたんだ?」
「どうして知ってるの?」
「ちょっとな」
 説明しがたいところだ。
「本当はね、先生が病院に行くって出て行ってから、私も病院に行って、そのまま一緒にマンションに帰ろうと思って追いかけたの。でも、病院には先生も涼子さんもいなくて、知らない男の人が面会に来てた」
「知らない男?」
「うん。見たことのない人。あんまり大柄じゃなくて、一見老けた感じだったけど、肌の艶からは四十は超えてないかな。何を話しているのかは聞こえなかったけど、敵って感じじゃなかった。でも大家さんの話し方や態度を見ていると、親しい人って感じでもなかったし。それで後をつけたの」
 真は何気なくそういうことを話している美和を見つめた。
「どうしてそういう危ないことをするんだ」
「いいじゃない。無事に帰ってきたんだから」
 真が言い終わらないうちに美和が言葉を被せるように言った。不意に美和が驚くほど顔を近づけてきたので、真は思わずひるんだ。
「それが途中で見つかっちゃったの。で、下手に関わると危ないから絶対に関わるなって。先生にもそう伝えろって」
「その男が言ったのか」
 美和は頷いた。

 その話はそれまでだった。真は美和が風呂から上がってくるまで、居間のソファで煙草をふかしていた。
 澤田と竹流にはどこかに接点があったのだろうか。それとも深雪と? しかし、竹流の普段の態度から深雪と関わっている感じはなかった。竹流は真が深雪と付き合っているのは知っていたし、もしも何か危ない女ならそれなりの警告をしてきそうだ。では、やはり竹流と澤田に接点があったのだろうか。
 いや、そう言ったのはあの女、楢崎志穂だけだ。彼女の言葉を信じるなら、というだけで、まだ信じるべきかどうかさえわからない。踊らされては駄目だと思った。
 だが、澤田の秘書は事務所ではなく、このマンションに電話を掛けてきた。真の事務所ではなく、竹流のマンションに、だ。そこに真がいることを知っている。もっとも、考えてみれば全国誌で同居していることを話したわけだから、誰だって知っているといえば知っている。電話番号を調べることくらいは、その気になれば簡単な話だ。

 美和が考え事をしている真の向かいに座った。例のごとく短すぎるショートパンツだ。年寄りくさいが、腰が冷えるからもっと温かい格好をしなさいと言いたくなる。
「先生、私今日ソファで寝るね」
 考えてみれば、もう一部屋、賢二が以前ここに居候していたときに使っていた客間があるわけで、そこならベッドがないわけではない。しかし半階下になるような造りになっているその部屋は、ちょっと遠いところにあるようで、あまり普段は入ることもない。
「構わないから、ベッドで寝なさい」
「じゃあ、一緒に寝よ」
 真は、全くこの娘は、と思って美和を見つめた。






さて、ちょっとばかり秘書/共同経営者といちゃついているように見えますが、この二人はこれから先の生涯、男と女というよりも兄妹もしくはちょっとした運命共同体という形になっていきます。
ちなみにこの美和ちゃんは、そもそも私たち(友人たち含む)の学生時代、あれこれ興味津々だったころのイメージを形にしたようなもの。
時々、インタビュワーの役割も果たしてくれます。
だから真のことにも、あれこれ興味を持っちゃうのですね。

ちょっとしばらく、二人の気持ちの行き来をお楽しみくださいませ。
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Category: ☂海に落ちる雨 第1節

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【石紀行】7.交野:磐船神社(2) 

狭いお堂の中を巡るみたいな感じなのかと思っていたら、とんでもありません。
まさに岩場を降りたり登ったり。
所々川の水が流れる上を、岩と岩の間に木で橋が渡してあります。
ちなみにこの橋、かなり足場の悪いところに架かっており、斜めになっていたりで、結構怖いです。
いわふね4いわふね5
この岩に描かれた白い矢印に沿って行きます。広いところもありますが、狭いところもある。かなり体を捻って入り込みます。足がつくところの岩がつるつるになっていて(よく神社などで、撫でられた石の牛の頭とかがツルツルになっているのと同じことですね)滑ります。
いわふね16
上を見上げるとこんな風に空が見えるところも。そしてまた登ったり。
いわふね8いわふね6
下を見れば水の流れる不思議な空間があり、上を見れば、「これ、落ちないんでしょうか」というような岩が頭上にあったり。この岩の複雑な組み合わせ、阪神大震災の時にも崩れなかったということですが、長い時間の中で地震や川の増水などを経てがっちりと組み合わされ、もう崩れようがないバランスになっているのでしょうか。まさに石垣を組んであるようなもの……
いわふね9いわふね7
見上げるとこんなふうに空からの光が見えるところもあります。
いわふね10いわふね15
最後は登って、ようやく外に出ました。上から見ても岩がゴロゴロと川を塞いでいる感じに見えます。
水の力ってすごいものだと思います。この土地は生駒に続く峰になるのでしょうか、生駒の石と同じような質感、山の岩の重い質感が石から感じられます。
いわふね11
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外の山の中にも岩が多くあり、大きな岩には名前が刻まれています。神様の名前です。
また天岩戸と書かれた岩もあります。(宮崎にもありますが^^;)
いわふね12
御祭神は天照大神の御孫神、日本の国の中心である大和の国(奈良県)に入るべく天の磐船に乗り天降られたといいます。太古は淀川が現在の枚方辺りまで入り江になっていて、大和に至るにはこの入り江から天野川を遡るのが便利だったということ。
大昔の日本の地形、今とはずいぶん違っていたんですね。
そしてその場所に、古の日本の基礎がある。

この岩窟巡りは、鳥居を潜り、階段を下りて深い過去へ遡るような暗い世界に入り、狭い道、危険な岩・橋を渡り、時に水を足元に感じ、時に広い場所に出て、また時々光射す天を見上げ、また登り、降り、そして最後に外の世界、現在へ戻ってくる。

日本の神様、日本人の祖の物語、紐解いていくと、どこに行きつくでしょうか。
私たちの祖先がどこから来たのか? それとも、どこへ行くのか?
『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』
(D'où venons-nous ? Que sommes-nous ? Où allons-nous ?)
ポール・ゴーギャンがタヒチで描いた絵(ボストン美術館蔵)の問いかけが、なぜか思い起こされました。


Category: 石の紀行文(写真つき)

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【石紀行】7.交野:磐船神社(1) 

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大阪府交野市の磐船神社にご案内いたします。
お社とその後ろに巨大な岩、この岩がこの神社のご神体です。道路からも難なく見えるこの巨大な岩、実は覗き込んでみたら、この下方へも後方へも一枚岩で、ものすごく大きい。
いわふね15
横から覗き込んでみると、こういう感じです。
後ろから見ると下のような感じで、実はまったく全体像が見えません。
いわふね13

道路に沿うように神社があります。傍には天野川が流れていますが、流れは人工的に変えられているようですね。
(もしもこの川の流れが二筋になっていなかったら、岩窟めぐりは不可能でしょう…)
神社を行き過ぎて少し行くと、川沿いに駐車場のようになったところがあります。そこに愛車(チリテレ君)を停めて、いよいよ神社へ参りましょう。
いわふね1
入り口に立った時は、普通に土地の神様にお参りするという以上の感覚にはならない、小さな神社なのですが…
岩窟に入ると世界が一変します。
ちょっと言い方が悪いとは思いますが、まるでゴロゴロ転がった大小の岩の間を抜けるアドベンチャーワールド、ちょっと危険なアスレチックという感じなのです。
足の悪い方、お年寄り(70歳のうちの母は大丈夫だったけど)、危険行動に走りそうなお子さんはやめておいたほうがよさそう。
行くときには、汚れてもいい格好で、靴もよく考えて行きましょう!
(私は、中津川の教訓を生かし、最近は石を見に行くときは登山靴^^;)
ちなみに、雨の日、雨のすぐ後、川が増水している時は入れません。
いわふね14
この川の流れの先、岩が見えていますが、その先にまだまだ岩が…

要するに、川が流れていて、その上にゴロゴロと石が積み重なって、水である程度浸食されて隙間ができて、その隙間を抜けて、岩を登ったり下ったり。木の橋が架かっているところもあって、落ちたらかなりやばそうな感じですので、ちょっと高所恐怖症の私は、部分的に足がすくんじゃいました(そんなに高くはないのですが)。
しかも、かなり狭いところもあり、身体の向きを考えないと動きが取れにくかったり。浸食されて、かつ何度も人が通ったので石の表面がツルツルのところがあって、滑りやすいので、要注意です!

神様の懐を巡るという心で、お参りする、そういう場所ですね。
ちなみに、この川は天野川といいます。天の川…なんだかロマンチックですね。
所用で時々枚方のこのあたりを通るのですが、『天の川で恋をして』…なんて小説を書こうかしら、と思ったくらい、名前だけでインスピレーションが刺激されるような…

この岩の下が岩窟めぐりの神所です。
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ここを下りていきます。
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長くなりそうなので、続きます(その2へ)。

Category: 石の紀行文(写真つき)

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【石紀行番外編】世界遺産:フランス・カルカソンヌ 

さて、少し間が空いてしまいましたが、石紀行の番外編をお届けします。
フランスの城壁都市、世界遺産のカルカソンヌです。
全然関係ありませんが、こういう名前のゲームがあるんですね。しかも、まさしく都市を造るという。
むかし、シムシティというゲームがあったなぁと思い出していたんですが(古すぎる?^^;)、それ以来、ゲームには全く嵌ったことのない私には、まるで未知の世界……
街の全体像はどこでも見られると思いますので、割愛します(いつも大局は割愛^^;)。
でも、二重に城壁に囲まれた空からの写真は一見の価値あり。
守りが堅かったから、カール大帝も諦めたんでしょうね。

先に少し感想を。この町は、トゥールーズを拠点に旅をした、フランス南西部の美しい村々からすればずいぶん大味な印象。都市自体は大きく、近くに新市街があって、こじんまりとした旅をお望みの場合にはちょっとイメージに合わない町かもしれません。モン・サン・ミシェルに次ぐ世界遺産・観光都市というだけあって、人は沢山いるし…田舎好きの人には強くはお勧めしません。

しかし、世界遺産は世界遺産。
多分、夜、この城壁都市を外部から見たらすごくきれいなんだろうな…旅行案内とか見ていると…
カルカッソンヌ3
こんな汽車のような乗り物で、城壁の外を巡ることができます。
しかも、この汽車、優れもので、何か国語もヘッドホンで解説が聞けるようになっていて、日本語もありました。
外回りだけなのですが(3km)、歴史の解説もあり、よくできています。
カルカッソンヌ1
上は、城壁の外側からの景色。下は二重の城壁の間。
カルカッソンヌ2
城壁都市の中での見どころは、お城(コンタル城)と教会でしょうか。

お城からの眺めはなかなか良いです。でも、旅行案内書にありがちな写真よりも、最近は町の中のちょっとした景色を撮るほうが楽しい気がしています。
ただ、後で見て、どこの町だったか思い出せないこともあるのが難点。
必ず、目印になる写真も一緒に撮っておかないとなりませんね。
カルカッソンヌ8
カルカッソンヌ9
こうして町の屋根や、こっそり見える住まいの断片を見ていると、物語が生まれそうです。
八乙女夕さん(scribo ergo sum)の書かれる『大道芸人シリーズ』とか、こんな町のひとつひとつの小さな角で起こる物語が紡がれている……その光景を想像しながら写真を見つめちゃいます。

しかし、教会は素敵でした。
以前に、モン・サン・ミシェルのシンプルな、色を極力抑えた素敵なステンドグラスをお目にかけましたが、こちらはいかにもフランスの大きな教会の煌びやかなステンドグラス。
神様の世界を表すには、キラキラも必要不可欠。
【清明の雪】(拙作…すみません^^;)で竹流つぶやいていますが、そもそも仏教のお堂も極彩色のキラキラだったわけで、それは天国や極楽はたぐいまれなる美しさであるという人間の憧憬の気持ちが、この艶やかな色の中に込められているのですね。
足元、床に落ちた色彩の豊かなこと、これはもう言葉には尽くせません。
カルカッソンヌ5
カルカッソンヌ7
カルカッソンヌ6
カルカッソンヌ8

ついでに、お墓。城壁の外にあります。
カルカッソンヌ4
そう言えば、ヨーロッパに行くと、お墓って結構観光しますね。
(日本でお墓を観光すると言えば…変な感じだけど、高野山では結構お墓さがししたなぁ…徳川家康とか豊臣秀吉とか、別にそこに眠っておられるわけじゃないけど)
著名人のお墓を見たいからでもあるけれど(作曲家とか作家とか)、お墓のあり方が本当に『死者が住んでいる家』であり『死者と語り合うため』の場所みたいで…これは火葬と土葬の違いもあるのでしょうか。
日本では、私のお墓の前で泣かないでください~って歌詞がいかにもぴったりだけど、こういうお墓を見ると、そこにいらっしゃるって感じがすごくする。
お墓と言えば、ヴァチカンのヨハネパウロ2世のお墓詣りにも行きました。
そこは、その人と語りたい、という人々の気持ちがひしひしと伝わってくる場所でした。

Category: 石の紀行文(写真つき)

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NEWS 2013/4/7 台風クラブ 

桜も、北山杉も、百日紅も、モチノキも……根元から揺り動かされるような風です。
うちは海からの風が直接吹き込んでくるようなところに建っているので、雨が降らないままで潮風が運ばれてくると、木々が痛んでしまうので、心配。
何年か前の塩害を思い出します。

こんな風の日に思い出すと言えば『台風クラブ』。
…調べてみたら、1985年の作品でした(相米慎二監督)。
今朝、あまりにもシャッターががたがたいうので目を覚まして、ふと思い出した映画。
その時私は○歳で^^;したが、この映画にはかなり衝撃を受けたことだけ覚えていて、風の強い日にはしばしば思い出すのです。

台風襲来の日、学校に閉じ込められてしまった(担任:三浦/友一がいい加減な先生で…)生徒たちが一晩、学校で痴乱騒ぎをする。一方で東京にプチ家出をした生徒もいてナンパされたり…ラストで学校のグラウンドの木が倒れたり、素っ裸で踊ってたり…記憶の中にある場面は全て一見ハチャメチャなんだけど……
この思春期の危うい少年少女たちを描いた世界。鬱屈した日常を台風襲来という非日常の中で爆発させる……危うさと脆さと、そして若さゆえのしたたかさと。ついでに大人の身勝手さも。これがもし普通の日常の状況で描かれてたら、ちょっとついて行けない話だったかもしれないけれど、突然やってきて短い時間で去っていく台風という巨大で逆らえない何かと絡めて描かれたのが、本当にすごいなぁと。
大好きだったのですが、多分今放映されたらRとか禁とか言われそうな部分も多々あり…
でも、バービーボーイズの歌も良かったなぁ。

風の音を聞いたら、いつも思い出すので。


でも、近頃の災害は、日本の弱い所を狙ってくるような気がしてしまいます。一度災害に遭われた地域にまた襲ってくる…本当に、ニュースを見ていると心が痛みます。

今年はやっぱり変な気候ですよね。
せっかく満開になったうちの桜も一晩ですっかり、半分禿ちゃったみたいになり(いつもなら、4月の第2週くらいに一週間はだらだらと満開風景を楽しめる枝垂れなんですが)、山吹まで芽吹き始め、ついでにハナミズキのつぼみまで膨らみ始めている。
花の咲く時期の変化はちょっとしたことに過ぎないかもしれないけど、この季節に台風みたいな低気圧……

『台風クラブ』が公開された頃は「通り過ぎる」という印象の台風が、近年は随分しつこく感じる。
爪痕を残すという意味では、昔も今も同じなのだけど……
どうなるんだろう。
地上の一部分に立っている自分は、この風を感じてざわざわと不安になる。
地球規模で描かれた気象図を見ると、本当に地球は大きなひとつの球体で、風や雲がこんなに大きく渦巻いているのかと驚く。
対岸の火事は、他人に降りかかった不幸では済まないことが、身に染みる今日この頃。

はなみずき
庭のハナミズキ。もうつぼみが開き始め。この花、つぼみは本当に小さいのに、大きくなるのが不思議。
植物ってある意味、動物よりしたたかでたくましいと思える。
つぼみをあげよう…庭のハナミズキ…って、このつぼみ、もらってもあんまり嬉しくないかも^^;
どうだん
そして、併せて、ずいぶん早くに開き始めた満天星躑躅。
うーん、順番にゆっくり、咲いていってほしかった。一気に梅雨→夏になるのでしょうか?

Category: あれこれ

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