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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

NEWS 2013/5/29 探し物/ いつか出会うはず 

サンタフェ
ずいぶん以前にサンタフェに行ったことがあります。目的はただインディアンの世界に触れたかったから。
(インディアン、が良いのか、ネイティヴアメリカン、が良いのか、どちらがより差別用語的であるかということで議論されているようですが、結果的にはどちらも起源的には差別的な用語。彼ら自身は長くインディアンと呼ばれてこれが普通になっているので、とある本に書かれていたので、ここではインディアン、とします。本来はそういう統括的な呼び名ではなく、それぞれ~族と名前を持っておられるので、それが正解では)
多分、明らかにモンゴロイドとルーツが同じ民族と思える。
世界観も、自分の感じているものにとても近い。

サンタフェに逗留して、インディアンの遺跡をいくつか見に行きました。
石の遺跡は崩れていて、当時の面影はないけれど、これはそもそも『残す』ことを考えていなかったから。
彼らは、その土地に住むメリットがなくなれば、新しい土地に移動していったので、何百年も形をとどめる建造物を必要としなかったからなのですね。
サンタフェ

ペトログリフの中には渦巻の模様がいくつもあって、これは移動とか流転とか、を表している。
マヤの太陽の暦もそうだけれど、巡るもの、という感覚が常にあるのです。
文明は直線的に右上がりだと思っていはいけない、常に元に戻るのだと、彼らは知っている。
言い出したらきりがない話だけれど、その中には、もしかしたら次の太陽は巡ってこないのではないかという恐れも含まれる。
マヤやアステカの残酷とも言える生贄の儀式は、次の太陽に活力を与えるためのもので、現代の私たちからすればナンセンスなのかもしれないけれど、次の太陽のためには当たり前の犠牲だったんだろうな。
そもそも、平均寿命は20代とか30代じゃないのだろうか?
病気や餓え、戦争、もしかすると他の生物との戦い。

巨大な建造物が現代にまで残る文明、文字を残し記録を残した文明、それが必ずしも偉大な文明であったかどうかは一概には言えません。
ケルトにもアイヌにも文字はないけれど、大事なことは伝承として伝わった。
どれほど文字を操り、どれほど巨大な塔を築いても、それを統べる知恵がなければ、何にもならない。

サンタフェ
だからこの遺跡を見ると、これで良し、と思う。
よく『消えた○○文明』というのがあるけれど、消えたのではなく、移動しただけ。
その血や教えは、脈々と受け継がれている。

インディアンの考えでは、自然界のすべてのものに精霊が宿っているといいます。
これはアニミズムと同じ。
その精霊の人形をカチナと言います。
実は、かの地に行った目的のひとつは、私の精霊、私のカチナを探すことだった。
きっと見つけたら、何か心にひらめいて、私には彼が・彼女が分かるはず。

残念ながらその時は見つけられなかったのですが、きっといつか出会うはずと思っている。
私の生涯の探し物です。

サンタフェ

……って、まるで白馬に乗った王子様を待つ姫じゃありませんか!
しかも、巨大な建造物を否定したのは、スカイツリーとか見ると心拍数が上がるからでしょ(高所恐怖症なので)、とか言われそう。
ま、それは事実であります。
多分生涯、私はスカイツリーには登らない^^;



ちなみに、私のスピリット(守護霊じゃなくて、魂の連れ合い)はトカゲ。
ヒーラーの方にそう言っていただいて、それまでずっとトカゲが気になったり、結構好きだったりした理由が分かった気がしたのも、この旅でした。

ココペリ
あ、この子はココペリ。有名なインディアンの精霊です。
豊穣の精霊、男女の交合や子宝の精霊、いたずら者だそうですけれど。
ちなみに、これはTDLで購入した人形^^;

きっと生涯ずっと探し続けるんだろうな、と思うものって、何かありますか?
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Category: 旅(あの日、あの街で)

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【幻の猫】(4) 街の光と影 

真250kuroneko250
さて、今度は竹流の様子を見に行きましょう(^^)
どうやら、あの妙齢の女性、クラリッサと一緒のようです(行方不明の少女・フィオレンツァの叔母)。
浮気現場を押さえるまで、探偵は目を離してはいけません。
証拠を掴んだら、言いつけてやりましょう!?

などとふざけている場合じゃありませんでした。
ほのぼのとした話を考えていたのに、だんだん雲行きが怪しいですね…
ついに、真実がおよそ見えてきます。まずはお読み戴けると嬉しいです。

そうそう、このお話、もしかして初めてこのブログにたどり着いてくださった方がいたら、なんのこっちゃと思われたかもしれません。

主人公の二人を改めてご紹介。

相川真:この時点では大学受験を終えたばかりの18歳。ちょっとした霊感もどきありの、理系っこ、将来の夢は宇宙に飛ぶこと(ロケットを飛ばすこと)。でも3年先には大学を中退して調査事務所の雇われ探偵。上のlimeさんによるイラストの彼が真です。
大和竹流:その家庭教師だった男、絵画修復師、27歳。実はイタリア人(名前はジョルジョ)で、このたび11年ぶりに、帰るつもりではなかったお国に帰ってきました。実はローマ教皇庁の裏番的存在・ヴォルテラの御曹司。
受験頑張ったご褒美に、竹流の故郷・イタリアを旅行中の二人のある1日に、ちょっとしたミステリーが。
舞台はシエナ。世界中で最も美しい広場(と私が勝手に思っている)・カンポ広場を取り巻きながら、ちょっと悲しくて優しい物語をお楽しみください。

ちなみに……ジョルジョがもう一人…いや、一匹(上の写真の黒猫がイメージ)。
霊感坊や・真は一人で取り残されたホテルの敷地内で、今はもうない天使の彫刻と、不思議な猫と、少女の幻を見る。一方、野暮用で出かけている竹流は昔の使用人・ベルナデッタを訪問中。彼女は『片羽根の天使協会』という行方不明者を探してくれるイタリア版教会附属婦人探偵団みたいな組織のメンバー。そこに逗留中の女性・グローリアの5歳(当時)の孫・フィオレンツァがちょうど1年前このシエナの街で姿を消したという。
さて、その真実は。そして関わる人々は、どうやって魂を開放していくのか…
どうぞお楽しみください。




シエナ
 竹流はクラリッサと一緒に町のはずれを歩いていた。
 大きなワインセラーがある、古い城の跡地の一角を路地の方に入っていく。
 古い街には何某か、こういう影の部分がある。町も人も、世界は何もかも光と影が織り込まれたタペストリーのようなものだ。そして、光と影の距離は、あまりにも近い。

 指輪を置いてきてしまった。自分を『ヴォルテラの後継者』だと示すものが何もないのは、正直心許ない気がするのだが、考えてみれば頼るものが自分しかいないのに一人で放り出されている真は、もっと心許ない気持ちでいることだろう。指輪を渡してやったのは、どれほど想ってやっているのかということを示すことでもあったが、何しろちょっと頼りない顔をされたので、その瞬間、ただ哀れで愛おしく思えたのだ。

 それならなぜ、一緒にいてやらなかったのだろう。考えてみれば、ここに一緒に来ても良かったはずだ。
 イタリアに戻ったのは十一年ぶりだった。試験が終わったらあんたの国に連れて行ってほしい、と真が言ったとき、竹流は受け流すつもりだった。
 だがどこかで気が変わった。

 永遠に帰るつもりがないのか、と聞かれたら、それはあり得ないと心から思う。この国を、あのローマの街を愛している。多分、どこの誰よりもだ。逆らえない郷愁に取りつかれて、そして真が言い出したからだという言い訳を利用して、十一年間一度も足を踏み入れなかったこの場所へ戻ってきた。
 ここに戻れば、突然、日本が遠くなった。生まれ育った国の空気は、長い期間の離別などまるきりなかったように、竹流の肌を完全な形で包み込んだ。ふと気が付くと、この懐かしい故郷の苦しいほどに眩い光の影に隠れて、あの国で狂うほどに愛しいと思ったことまでが夢か幻ではなかったかと思えてしまう。

 真はおそらく、その竹流の心の動きを、言葉や行動ではなく気配で、あるいは重ねた手や肌の微かな温度から、つながった心や身体のどのような部分からも、敏感に察知していることだろう。海から上がってきてからは、真は少しずつ、口数が少なくなってきている。彼にはあり得ないほどに素直で無邪気な顔を見せる瞬間もあるが、見ていないところでは不安な表情をしている時の方が多くなってきていた。それに気が付いていないふりをし通している。
 今朝も、一人で町でも歩いたらどうだと言ってやった時、何か言いかけて口をつぐんでしまった。その時の表情が、網膜の上から消えてくれない。
siena

「シニョール・ヴォルテラ?」
「え? あぁ、失礼。ちょっと考え事を……」
 クラリッサ、失われた少女の叔母にあたる女性の、燃えるような赤い髪が竹流の腕に触れていた。そしてはっきりと光を宿す緑の瞳が、竹流を捕えている。いや、それでも、彼女の中にもやはり、小さな不安と不信の影が見える。
「聞いておられなかったんでしょうね」
「えぇ、すみません、シニョーラ。何か?」
「なぜ私を連れ出したのかとお尋ねしたんです」

 竹流はクラリッサをしばらく真正面から見つめていた。
 二人が歩いていた路地は、すでに最後の扉を残して行き止まりになっている。狭い路地には、午前中の最後の時間、あともう少しで天蓋の頂上に太陽が昇り詰めるまでの時間では、まだ朝を迎えていないのと同じ闇が残っていた。
 扉には重く黒い鉄のノッカーが付いていて、暗がりの中では悪魔の顔のように見える。

「グローリアやベルナデッタのいるところでは、話しにくいことがあるのではないかと思ったのです」
 クラリッサは答えなかったが、竹流の目をまともに見返している。強い分だけ脆くもある女が、鎧の内側を垣間見せる時、竹流はいつも女たちを本当に愛おしく思うのだ。
「なぜ、そんなことを?」

「始めから少しだけ疑問があった。行方不明の女の子を探す家族がすることは、悲しむことじゃない。気がふれるのは、確実にその子に残酷な運命が訪れたと知ってからでいいはずです。そして、何故、一年なんです? つまりもしもその子が行方不明なら、時間が経てば経つほど、探すのは難しくなる。時間との闘いのはずだ。だが、あなたたちは、彼女がいなくなって『丁度一年だから』と言ってやってきた」
 クラリッサはまだ強い瞳で、睨み付けるように竹流を見つめていたが、やがて肩を落とし、息をついた。
「あなたは怖い人だわ」
 そう言って、路地の行き止まりにある扉へ視線を移す。

「ここに何があるの?」
「多分、あなた方が思い出したくない真実が」
 竹流はクラリッサを見つめたまま、ノッカーに手をかけた。クラリッサが何か拒否的なことを言う、もしくは真実を告白するのかと思ったが、彼女は意外な表情を見せた。
 ほっとしたような、張りつめたものが緩んだような顔だった。
「いいわ。一緒に真実を見ましょう」

シエナ
 扉の向こうには、すっかり白くなった前髪で目を半分隠し、鷲鼻の下にある乾いた唇を厚い舌で何度も舐めている男が待っていた。小柄な体を革の上下で包み、杖をつき、足を引き摺りながら、竹流とクラリッサが立つ扉にやって来る。
「あんたがヴォルテラの御曹司だと、どうして信じる?」
 だみ声で、男はせせら笑うように聞いた。竹流はこの土地の言葉で答えた。

「事情があって指輪を置いてきた。信じてもらうしかない」
 竹流が言った途端に、男は杖を振り上げ、地面を突き刺していた端を竹流の咽喉元に突きつけた。
 クラリッサが息をのんだのが分かる。

 刃の切っ先が微かに咽喉を切った。ほんの少し、血の匂いがしていた。だが竹流は、まったく動じなかった。
男はそのまま杖を戻し、唇だけを動かして答えた。
「なるほど、騙ったところで得をするわけでもないことに命を懸ける馬鹿はおるまい。御曹司、こっちへ来い」
 男が足を引き摺り、杖が地面を痛めつける音が鈍く、両側から圧迫する壁に木霊する。もう一つの扉を開けると、その先に小部屋がある。竹流はクラリッサと共に男について行った。

 小部屋はぼんやりとした照明が灯されているが、明るいというわけではなかった。男はもう一度竹流の顔に目を近付ける。そして改めてチェザーレと同じと言われる青灰色の目を見つめ、がさがさの節くれだった手で頬や鼻、唇を撫で回し、最後に耳を確認し、いいだろうと言った。
「確かにチェザーレの息子だ。何が聞きたい?」
「この女性の母親が、丁度一年前の今日、五歳になる孫娘と一緒にこの街にやってきた。孫娘はここで行方不明になったという」

「ふん」
 妙な声を出して、男は今度はクラリッサをじろじろと見つめた。さすがにクラリッサは顔をしかめたが、怯んだ様子はなかった。
「それで、この街の誰かが娘を掻っ攫って、幼い子どもの身体を欲しがる悪趣味な金持ちの老人に売ったとでもいうのか」
「そういうことなら、あんたたちの目や耳に入らないことは絶対にないはずだ」
 男はくくく、と笑った。

「そんな話は聞いたこともない。一年前にばあさんが娘がいなくなったと大騒ぎしていたのは知っている。異常に騒いでいたからだ。だが、俺たちは知っている。ばあさんは一人でこの街にやってきた。娘っこなんぞ連れて来ていない」
 竹流はクラリッサの反応を見ていた。クラリッサはやはり怯む気配なく男を見返していたが、ほっと息をついた。
「そう、あなたのおかげでようやくパズルが嵌ったわ」

シエナシエナ
「ここに来るのを言い出したのはあなたですか? それとも母上?」
 竹流が扉を閉めて直ぐに、内側から施錠する重い音が聞こえた。丁度天頂に上がった太陽が、今この路地を僅か数分だけ、光の箱の中のように真っ白に染めていた。
 竹流の質問にクラリッサは質問を返した。
「その前に、いつ、母の話を疑ったの?」

「始めは、可愛そうな女性だと思っていた。だが、私が疑ったのは、あなたのお母さんではなく、ベルナデッタです。彼女なら、子どもを失う悲しみは誰よりもよく知っている。そして、私の叔父の力を借りれば、この国で分からないままになることなどほとんどないことも知っている。もしも彼女が、本気でグローリアのためにフィオレンツァを探す気なら、躊躇わずに叔父の所に相談に行ったはずなのです。だが彼女はそうしなかった。考えられる理由はひとつだけだ。ベルナデッタが何かを知っていて、誰かを、おそらくはあなたの母上を庇っている、つまり真実に目を瞑ることにしたのではないかということです」

「ベルナデッタは私たちに良くしてくださったわ。何も聞かずに、ただ母を見守ってくれている」
 クラリッサは少し考えさせて、と言って、ようやく光に満ち溢れた路地から先に出て行った。竹流は黙って後を追った。

シエナ
 路地から出て大きな通りへ戻ると、街は賑やかになっていた。そう言えば今日は日曜日なのだ。あちこちの暗がりから町の人々や観光客が吐き出され、ところどころでかたまって、当てのない今日の予定を生み出そうとしている。ドゥオーモの近くまで戻ると、空気の色合いまで華やかなものへと変わっていった。

『片羽根の天使協会』へ戻り、ベルナデッタの部屋をノックしたが、留守だった。取次の女性が、ジョルジョとクラリッサを見かけて声をかけてきた。
「ベルナデッタなら広場に出かけたんじゃないですかね。この時間はいつも広場のバールだから」
「母は?」
「あら、御一緒ですよ」

 竹流はベルナデッタの机に歩み寄り、彼女の家族の写真が入ったフレームを手に取った。
 ま新しいフレームだ。今朝これを見た時、違和感を覚えたのは、写真が古い割にはフレームが新しいものだったからかもしれない。
 竹流は何かが気になって後ろの留め金を外し、写真の裏を見た。

 ベルナデッタとアウローラ、エドアルドより。

 アウローラは病気のために五歳で短い一生を終えた。ベルナデッタは、それを自分のせいだと手紙に書いていた。抗癌剤の影響の残る身体で恋をして、子どもを宿した。この子を諦めたら、年齢からももう子供を産むことはないだろうと思ったので、無理を承知で出産したのだと。相手は妻子ある男性で、ベルナデッタの主治医だった。
「去年、写真をみんな捨ててしまわれたんですよ。辛いからと言って。その写真は、最近アウローラの父親にあたる人が亡くなって、その家族が遺品から出てきたと送ってきたんですよ。さんざん嫌味な手紙つきでね。ベルナデッタは、これも何かの思し召しなのだろうって、また写真を飾るようになって」

 アウローラは頭の上でライラック色のリボンを結んでいた。見覚えのあるこのリボンは、竹流が日本から贈ったものだった。ベルナデッタからの手紙には、足長おじさんからのプレゼントだと言って、アウローラがとても喜んでいると書かれていた。
 竹流は丁寧に写真をフレームの中に戻した。
 
 傍らで、写真にいるもう一人の失われた少女を見つめいていたクラリッサが、写真を見つめたまま、意外にもはっきりとした声で言った。
「お話した通り、行方不明なのは、フィオレンツァだけではなく私の姉も、なのです。姉の夫は異性関係がだらしなくて、姉はそのことで不安定になっていて、フィオレンツァを虐待していた。私は一年前のあの日、母と姉とフィオレンツァに何があったのかは知らないのです。ただ、私は、本当のことを知るのがずっと怖かった。このまま見て見ぬふりをしようとも思っていました。けれど……このところ、ジョルジョが落ち着かなくなって、奇妙な鳴き方をするようになったのです。ジョルジョはフィオレンツァが可愛がっていた猫でしたから」

 竹流はクラリッサの腕をそっと支えた。気丈に話しているが、彼女の声が震えているような気がしたからだ。
「それは、あなたも辛かっただろうに」
 そう言った途端に、クラリッサの身体から力が抜けたようになり、竹流に凭れかかってきた。竹流はクラリッサの身体を柔らかく抱きとめ、しばらくの間抱きしめてやっていた。燃えるような赤い髪はしっとりと沈んでいたが、優しい香りがした。もしかしたら重大な真実を隠しているかもしれない母親に付き添ってきて、ずっと心が不安でいっぱいだったのだろう。頬を零れ落ちる涙にそっと唇で触れ、どちらからというのでもなく、唇にも触れかかった時だった。

黒猫200
 いきなり真っ黒な塊のようなものが、ベルナデッタの机に飛び上がり、フィオレンツァとアウローラの写真立てを倒した。
 驚いて見下ろすと、猫のジョルジョの黄金の目が、同じ名前の浮気者の顔をじっと見つめている。
 クラリッサがようやく少し微笑んだ。
「だめみたいね」
「確かに、猫の祟りは怖いからね」
 ジョルジョはとん、と軽く机から飛び降りた。そして部屋を出ていきかけて立ち止まり、ついて来いというように、扉の所で振り返る。
「行こうか。ジョルジョと一緒に、真実を確かめに」
「えぇ、そして母とベルナデッタを救いに」



浮気はもう一人(一匹)のジョルジョが許しまへん^m^

次回、一応物語は解決いたします。
そして、ちょっと色々な人がカンポ広場を行き交います。
なだれ込みでエピローグがありますので、また併せてお楽しみください。



Category: ☀幻の猫(シエナミステリー)

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