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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【物語を遊ぼう】15.名シーンを書きたい:北の国から'98時代 

キンケイギク

名シーン、と言われたら、皆さんはどんなシーンを思い浮かべますか?
実は、この季節、ある花が道のわきに、どこにもかしこにも咲き競っています。
黄色い花。金鶏菊という花です。
この花を見るといつも思い出すのが、【北の国から】のあるシーン。
そして先日、拙作【幻の猫】にご登場いただいた八少女夕さんちの大道芸人さんたち。彼らに演じていただいたパフォーマンスのテーマが『百万本のバラ』だったのは、ひとえにこの花のせいなのです。


【北の国から】は1981-2002年にフジテレビ系列で放映されたテレビドラマ、もちろん、知らない人はいらっしゃらない・・・でしょうね。一人の役者、特に子役からずっと大人になるまで、長い年月をかけて役者を変えずに撮り続けた倉本聰氏の発想はすごいと思うけれど、なかなか大変だったろうな、と思います。
(おかげで、途中からわが愛する?正吉君は姿を消し……役者さんが一般社会人になったので…)

このドラマにはもちろん、あれこれ名シーンや名セリフはあるのですが、『'98時代』で不倫相手の子どもを身ごもっていて、一人で生んで育てるという蛍に、幼馴染の正吉がプロポーズするためにオオハンゴンソウを刈っているシーンは秀逸です。
ワンカットで秀逸、と言えるシーンが切り取られている。

正吉にとっては、蛍や純は家族同然、五郎は父親とも思っている、家族が困っている時に助けるのも当然。
そこへ兄貴分の草太の追い討ち。「正吉、お前蛍が嫌いか?」「そんなことないけど」「そうだべ、好きだベ、ほんとは惚れとったべ」…そう、ほんとはずっと好きだったんだよね、もちろん妹のようでもあるし、恋人のようであるし、家族と言っていい。ま、草太のほとんど思い込み的押しもすごいけれど。

決心してプロポーズしたけれど、蛍も簡単にはうんと言わない。正吉は、離れて暮らしている母親・みどり(水商売)の店に行って、『百万本のバラ』の歌を聞く。
お前も男なら押しまくれ…とかなんとか言われたんじゃなかったっけ? いや、みどりさんは五郎に申し訳が立たないことをしてきたと思っていたから、馬鹿言うんじゃないよ、とか言ったんだっけ?(記憶が曖昧)

計算したら、100万本のバラを買ったら4億?5億?……計算器を投げ捨てる正吉。
けれど…心に残ったんでしょうね。ある時、仕事中に丘一面に咲き乱れるこの黄色い花(彼は名前は知らない)を見て、これなら自分にも何とかなる、と。
そして、仕事の後、休み時間に、ひたすらオオハンゴンソウを刈りまくり、刈った先から蛍に送り届ける。周りの人間(含む・純)が何をやっているのかと不思議に思って尋ねると、「俺の趣味だべ」(この返事がいい!)
蛍の部屋はもうまっ黄色になるほど花に埋もれている。花粉症にならないかしらと心配するくらい。だって、部屋はバケツから何から水を入れられるものには全て水を入れて、花を生けて、身の置き所もないくらい。
蛍ちゃんもまぁ、捨てないんだなぁ、と感心してしまう…^^;


そして……蛍ちゃんの押され負けですね。
おなかにいるのは自分の子だと、五郎に宣言し、結婚の許可を受ける正吉はやっぱりかっこいい!!

さて、この一生懸命オオハンゴンソウを刈っている正吉が、ふと夕陽の中で手を止め、夕陽で黄金に染まった空を見るシーンがあります。
夕陽に照らされた丘、咲き乱れる黄色い花がその夕陽に照りかえり、あたりは黄金の世界となっている。そして本当に自然に、彼はその世界に向かって、手を合わせるのです。
何を思っていたか、蛍のこと、彼自身の血のつながりのある家族・血のつながりはないけれど大事な家族、将来のこと。でも、きっとそんなのではない。ただ、この世界が美しいと、体の芯から、心の奥深くから感じて、湧き出すような想いに突き動かされて、ただ自然に手を合わせたのだと思えます。

まさにミレーの晩鐘のシーンです。


小説は分が悪いですね。
ドラマや映画は映像だから、いくらでも名シーンを思い浮かべられる。
映画のラストシーンなんて、心に残るように作ってありますものね。キスの嵐の『ニューシネマパラダイス』や、いきなりセピアの映像がカラーになってイコンを舐めるように映す『アンドレイルブリョフ』とか、もう反則だとか思う。
視覚というのはやはり強烈です。
小説は文字だから、そこに読者の想像にお任せ、という高いハードルがある。
文字で記憶に残るシーンを書きたくて、描写しても、描写しても、なかなか自分の描きたい感動を伝えられない。
でも、だからこそ、果敢に、心こめて闘うのですね。
ちなみに、力が入ると、文章が短くなるのって、不思議ですね。
一応頑張った私の名シーンならぬ、迷シーン、【海に落ちる雨】や【清明の雪】【雪原の星月夜(まだ仮題)】でお目にかけることができれば嬉しいですが。


キンケイギク

さて、振り出しに帰って。
え? オオハンゴンソウ? キンケイギクって言わなかった?

そうなんです。
実はうちの近くにはオオハンゴンソウがないのです。オオハンゴンソウ自体はもともと北米の花。日本に帰化し、北海道から沖縄まで自生している花で、あまりにも邪魔なので外来生物として引っこ抜かれたりもしている、どこでもよく見かけるのに、何故か近隣にはないのです。
ちなみに、オオハンゴンソウの写真はあちこちにいっぱい出ているので、見てみてください。
花は真中の芯の部分が全然違うし、葉も、そもそも種類も別物なんですけど…

で、『黄色くて、群生してたくさん咲いている(そこだけ一緒^^;)』花をみて、違うんだけど、『見立て』て楽しんでいる大海なのでした。
日本人だから、見立てが好きなのです(^^)
もちろん、毎日『百万本のバラ』を口ずさみながら。
季節もちょっと早いけれど。


名シーン、挙げたらきりがないけれど、心に残るシーンをふと思い出すとき、なんだかとても暖かい気持ちになりますね。
あんなシーンを書きたくて、頑張っている、と思うから。

おまけ。
ねこ
…キンケイギクの写真を撮っている時、目が合ったねこさん。
男前? 若猫を2匹連れていたから、お母さんかな。
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Category: 物語を遊ぼう(小説談義)

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