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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

連作短編【百鬼夜行に遅刻しました】夏・朝顔(後篇) 

<お断り>現実の出来事をいささか脚色しており、そのものの内容ではありません。あくまでもひとつのフィクションとして読んでいただければ幸いです。

夏ですから、そういう季節になってしまいました。
文字に起こしてみたら、予想以上に辛い話になってしまったような気がします。
ただ、主人公は鬼たちですから、どうしても人の生き死にが関わってきて、楽しい話にはならないもので。
ファンタジーですが、一生懸命のウゾくんを、どうか見守ってやってください。

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「そこの小鬼、何か用なの」
 突然呼びかけられて、仰向きに倒れたまま目を開けると、頭の直ぐ上に垣根を背にしてものすごい美人が立っていた。ウゾは跳ね起きた。

 青白い衣は、いわゆる天女の羽衣とでも言うのだろうか。すらりと背が高く、髪はいわゆる緑の黒髪だ。艶やかに、この世界のかすかな光をも集めて、内側から光を放っている。瓜実顔に三日月のような眉、切れ長の目。
「誰?」
「失敬な小鬼だこと。今日はもうこんな時間だから眠るところだったのに。明日の朝のために、闇を渡る風と月の露から鋭気をもらわなければならないのだから。休まなければ、また明日、美しい姿を見せられないでしょう。毎朝、皆が私を待っているのよ」
「誰か知らないけど、この人を助けてあげて!」
 美人の自慢話を聞いている余裕なんてなかった。

「いちいち失敬な小鬼ね。何より、お前、学校はどうしたの?」
「だって、この人が……」
 美人はふ、と息を吐いた。甘い花の香りがした。いや、きっとニンゲンには分からないだろう。ウゾにはわかる。
「朝顔?」
「呼び捨てはないわね、小鬼。学校の子なら、タタラを呼んで来たらいいでしょうに」
 ウゾはちょっとびっくりした。
「タ、タタラを知ってるの?」
「ほ。鬼が誰でもタタラを知っているように、花はみな、タタラを知っているわよ」

 その時、叫び続けていたグンソウがこと切れたようにがくんと跳ねて、動かなくなった。
「グンソウ!」
 ウゾは転がるようにグンソウに駆け寄った。
「グンソウ、しっかりして!」

「心配する必要はないわ、小鬼。死にはしない。おや、もう死んでるんだったわね。つまり、それ以上死ぬことはないし、苦しみは終わることはない。気を失うことはあっても。そして、夢の中にまで悲しみは入り込んでくる」
「何で!」
 ウゾは泣きながら美人、つまり朝顔の精を見上げる。
「それはその男が選んだことだからよ」
「自分で苦しむことを選ぶなんて、そんなことあり得ないよ!」
「お前はまだ子どもね、小鬼。何もわかっちゃいない」

 そして不意に顔を上げる。
「そうね、では、なぞなぞをしようじゃないの」
「なぞなぞ?」
「お前が、私の満足する答えをくれたら、その男に束の間、良い夢を見させてあげましょうとも」
 ウゾは、動かなくなっても唸るように血の汗を流し続けるグンソウの手を握った。ウゾの手も、グンソウが身体の内側から流し続ける苦しみで、真っ赤に染まっていた。
 ウゾはキッと朝顔の精を睨んだ。
「いいよ」
 ふふ、と朝顔の精は笑った。腹が立つけど、すごい美人が笑うと、すごく綺麗だった。
 仄かな香りが辺りに漂う。

「ある時、農民から成りあがった天下人と、彼に仕える茶人がいた。今や天下人の自由にならないことはない。多くの家来を持ち、黄金の茶室を作り、極楽に見立てた華やかな花見の宴を開いた。そして夏が来て、おや、当時としては秋だったのかしらね、茶人の家の垣根にそれは美しい朝顔が幾多と咲いた。垣根を覆い尽くすほどの美しい花々は世間の評判になった。天下人はその朝顔が見たいと茶人に所望し、茶人は天下人を家に招いた。でも、茶人は垣根の朝顔を全て切り捨てていた。どうしてだと思う?」
「知らないよ。でも一生懸命咲いている花を切り捨てるなんて」

 朝顔の精は、風のように笑った。
「いい答えね、小鬼。茶人はね、垣根の全ての花を切り落し、たった一輪だけ残して、その一輪を茶室に飾ったのよ。この一輪の美しさを際立てるために、そしてこれこそが武士道と示すために。天下人は激怒した。茶人の示す武士道が理解できなかったからよ」
 ウゾは黙ったまま、傍に立つ朝顔の精を見上げていた。
「天下人は言うことをきかない茶人を、やがては死罪に処した。でも、最後まで、許しを乞うてくるようなら許すつもりだった。だが茶人は、己の武士道を貫いて果てた。この朝顔の話は、天下人の傲慢と茶人の心意気を示すものとして語り継がれている」
「花は同じように見えて、どの一輪も同じ色じゃないし、匂いだって違う。どの一輪を残すかなんて、どうしてその茶人に決められるの」

 その時、朝顔の精はふと微笑んだように見えた。
 朝顔の精は滑るようにグンソウの傍に寄り、そっと衣で彼に触れて呟く。
「付け薬では、根本のところを癒すことはできない。自ら救われたいと願わない限りは。けれど、今だけはしばらく良い夢を見させてあげようじゃないの。小鬼、お前の手柄よ」

 しばらくすると、グンソウの息が静まり、表情は、今まで見たことのないくらいに穏やかになった。ウゾの手に伝わってきた苦しみの霧が、少しだけ晴れるように薄らいでいく。見上げると、ちょっと怖いと思っていた朝顔の精の横顔が、優しい母親のような光を纏って見えていた。
「お前は、そのまま自分の正しいと信じたことを貫くといいわ。おや」

 朝顔の精が顔を上げる。ウゾは彼女の視線の先を追った。
 涙でぼんやりと煙った暗い空に、大きな身体が浮かんでいた。うねる様な身体は、低い空の月の光を照り返している。長い尾と、鱗と、鬣、そして長い髭。
 本当に龍なの?
 ……タタラ。
 ずん、と振動がウゾにも伝わる。降り立ったタタラは、全然龍には見えない、ただのでかい鬼だった。

「久しぶりね、タタラ」
「アオイか」
「生徒には門番のことを心配するより、自分の心配をするように教えることね」
タタラは一瞬ウゾを見たが、いつものように怒鳴ったりぶん殴ったりはしなかった。
「うちの学校の門番を探しに来たのだ」
「そう。少し眠り薬を振りかけておいてやったわ。少しの間だけ、昔の良い夢を見られるでしょう。この男には私の娘たちを慈しんでもらった借りもあったから。あら」
 朝顔の精は再び顔を上げる。

 ウゾが見上げると、巨大化したヒタキらしき鳥が、もち姫を抱いたサクラちゃんを運んでいる。
 そうか、デツカイゾ術だ。サクラちゃんはすごい。完全にマスターして、より強力になっている。ヒタキのような小さな鳥を、小鬼とあっちの世界の猫を運べるぐらい大きくできるなんて。
 ヒタキはちょっと眠そうで、まっすぐ飛んでいなかったけれど。
 鳥目だし。

「おや、もち姫じゃないの。千客万来とはこのことね」
 朝顔の精はもち姫を見るなりそう言って、それからタタラを見、改めてウゾを見た。
「そうなの、じゃあ、この小鬼は……」

「アオイさま、御無沙汰しております」
 もち姫がそう言いながら、するりとサクラちゃんの腕から降りた。
「そうね、もち姫。あなた、まだ姉さんの命令で息子の面倒を見ていたの」
「これが私の仕事ですから」
「あなたも苦労から解放されることはないわね。それが『知っている』猫の運命であり、喜びなのでしょうけれど。では、タタラ、もち姫、これにて失礼。お肌に悪いから、眠らなくては。明日出会う人を失望させるわけにはいかないの」
 朝顔の精は、垣根に伸びた蔓の先の蒼い蕾の中へするりと消えた。
 辺りに、ウゾと、多分もち姫だけが感じることのできる匂いが漂っていた。

 しばらく、誰も何も言わなかった。
 やがて、タタラともち姫が視線を合わせた。

 どういうこと? タタラともち姫も知り合いなの? もちろん、タタラのように力のある鬼が、特別な猫のことを知らないわけがないと思うけれど、交された視線は、もっと個人的で特別な印象があった。
「今日はウゾとサクラは病欠か。仕方がない。もち姫よ、宿題を届けてくれ」
 タタラの声は相変わらずでかくて、怖い。

 何のことか分からないウゾとサクラちゃんはぼんやりしたままだったが、もち姫は心得たように、眠るグンソウに近づいた。そしてグンソウの鼻のあたりに額を擦り付ける。もち姫の白い尻尾が微かに揺れている。触ってみて、と言われている気がして、ウゾはサクラちゃんと目を合わせた。
 二人で、そっともち姫の尻尾に触れる。
 その時、一度にたくさんの映像が、ウゾの頭の中に流れ込んできた。
 
 小さな家。竹垣に絡まる朝顔の蔓と瑞々しい緑の葉。青白い花が零れるように朝日の中で輝いている。花から落ちる露。もんぺ姿の優しい顔の女の人が、玄関から出てくる。足元に小さな女の子。サクラちゃんより少し小さいだろうか。
 お父ちゃん。舌っ足らずな声で呼びかけて、弾けるような笑顔を見せる。
 お父ちゃん、あさがお、きれいね。
 毎日、水をあげるんだよ。どの一つの花も、朝開いて、夕に萎むまでの短い時間、いっしょうけんめい咲いているのだからね。
 うん。
 蝉の声、庭の飛び石に跳ねる打ち水の音。

 しかし、やがて空は真っ暗になる。
 大きな爆音が響く。空が燃えている。燃える空の中を飛行機……いや、戦闘機が唸りを上げて飛んでいる。上空で何かが光る。あれは爆弾?
 地面が燃える。森の中に逃げ込んでいる兵隊たち。煤けた頬と涙と血。
 小屋の中。真っ暗で何も見えないが、何かがうごめいている。たくさんのニンゲンのようなもの。鬼よりも、ずっと苦しい姿をしている。暗闇の中で、紙をかしゃかしゃともみしだく音のように聞こえているのは、蛆が肉を食らう音だ。耳を塞いでも、目を塞いでも、そこには累々と死が積み上がっている。
 大きな暗い穴が見える。多くのニンゲンたちが見える。
 捕虜になるのは恥である。男は八つ裂きにされ、女は犯されて殺される。生きて恥を晒さぬように自決せよ。
 祈りの言葉を叫びながら、愛する家族の頸部に鉈を振り下ろす男。やがて残された男たちも、自らの手で焼夷弾を爆発させる。
 それでも命令を淡々と繰り返す声が聞こえている。自決せよ。
 振り返ると、後ろにあるのは黒く焦げた大地と積み上げられた死体と、そしてどす黒い何者かの影。
 裁判所だろうか。6月25日、すでに司令部は自決し壊滅していたにも拘らず、命令系統の崩壊した戦場で民間人に無益な自決を強いたのは大罪である。
 小さな女の子の死の上に、その女の子が愛した父や母の死が重なる光景が、心のうちを過ぎる。
 誰かが走っている。地面が揺れて、声が錯綜する。切れ切れの息。
 手に握られた一丁の拳銃。握りしめる手は真っ黒で震えていた。やがて揺れる視界の中で、真っ赤な閃光が煌めき、そのまま暗転した。

 暗転した闇の中に、青白く光るものがある。
 ぼんやりと光っていたものが、揺れながら形を成していく。
 朝顔の青白い花だ。重なるように小さな女の子の弾けるような笑顔。光の溢れた小さな庭。白い割烹着の裾が風に舞う。
 お父ちゃん。
 あさがお、咲いたよ。いーっぱい、咲いたよ。


 朝顔の精が、苦しい夢の上に、少しだけ温かい光の夢の雫を零してくれたのだ。
「これはまだ、ジョウブツしないと決めたものにとって苦しみの始まりに過ぎない。さて、後は自分たちで考えるといい。それが宿題だと伝えてくれ」
 動けないウゾとサクラちゃんの側で、タタラがもち姫に向かって言った。
 続いて、何かの術を、でっかくなったヒタキにかけた。するとヒタキの目が昼間のように開かれて、数度ばかり羽根を大きく振った。

 それからタタラは軽々とグンソウを抱き上げて、学校の方へ身体を向け、でかい声で独り言を言いながら歩き去って行った。
「病欠なら仕方がない。その代り、明日遅刻したら、おしり百ペンペンの刑だな」

 ……あれは痛いんだ。でも僕はともかく、サクラちゃんは女の子なのに可哀相だ。
 でも、もっとかわいそうなのは、グンソウだ。
 ウゾは唇を噛んだ。
 グンソウの見た景色は自分の罪の景色だった。上層部からの自決の命令を正しいと信じて、部下や民間人に命じたグンソウがどのくらいの罪になるのか、ウゾには分からない。戦場では、被害者になるだけではない、誰もがたった今、加害者にもなるかもしれない。
 それがグンソウの罪?
 でも戦争がなかったら、グンソウは優しいお父ちゃんだったはずなのに。たった一日で萎んでしまう朝顔の、どの一輪をも美しいと娘に伝えた、優しいお父ちゃんだったのに。
 それなのに、一体どこにグンソウの罪があったの?
 やむを得ず、あの時代に生まれてしまったこと?
 自分が許せないから、グンソウはジョウブツしないことにしたの?
 どんな苦しみを受けても、身体が消えるまで苦しみを絞り出すことになっても、それが毎日繰り返されても、どんなに痛くても、ひとりぼっちで哀しくても、ジョウブツしないで苦しみ続けることにしたの?

 ウゾはぎゅっともち姫の尻尾を握りしめた。
「ウゾ」
 拭っても拭っても涙が出てきた。
「サクラ」
 隣でサクラちゃんがわんわん泣いていた。

 そんなことを構っていないヒタキがひと声鳴いて、さっさと巣に帰りたいと訴えた。
「帰りましょうか。ヒタキも眠りにつく時間なのだから、もう巣に帰してやらなければ」
 もち姫を抱いたウゾとサクラちゃんは、ヒタキの足につかまって、一気に幾筋もの通りを越えた。ウゾとサクラちゃんの涙が、キョウトの町に雨を落とした。

 それでも、空を飛んでいる間に、少しだけ心が落ち着いてきた。
 どんなことが起こっても、時は流れて、人も猫もヒタキも、こうして生きているのだ。
 あ、ウゾは鬼だから死んじゃっているのだけれど、それでもある意味では生き続けていて、考え続け、答えを探しているのだ。

 キョウトのずっと北にあるもち姫の家にたどり着いたとき、サクラちゃんが、でっかいヒタキに向かって申し訳なさそうに言った。
「どうしよう。小さくする術を忘れちゃったんだけど」
 だが、言い終わらないうちに、ヒタキが急にキューン、と小さくなった。そして、あぁ疲れた、というように羽根をバタバタして、巣に戻っていた。
「心配しなくてもいいのよ。タタラはその辺、抜かりがないのだから。巣に戻るころにはまた鳥目に戻っているでしょうけれど」
 もち姫が囁いた。

 タタラとはどんな知り合いなの、と聞きかけたけれど、もち姫は朝顔の精とウゾのやり取りを聞きたがった。そしてウゾから朝顔の精のなぞなぞを聞いたもち姫は、そうなの、と言ったきり黙り込んだ。
「あの朝顔の精は何を言いたかったのかな」
「アオイさまはね、自分勝手なところもいっぱいあったけれど人間臭いあの天下人が好きだったのよ。武士道で切られちゃ、花はかなわないと言ってね。そうよ、ウゾ、大義名分のためとやらで、たとえもともと儚い小さな命のひとつであっても、切り捨ててしまうなどということを、花たちは認めないからなのよ。世界が焼け落ちて、瓦礫の山になっても、また花は咲くわ。でも、いま生きている花を、どんなに傷ついている花でも、切り落として良いということにはならない。それが花の言い分よ。人には人の言い分があるでしょうけれども」

「朝顔の精はその茶人のことを怒っているの?」
「いいえ、そうじゃないわ。その茶人もまた、命を懸けたのだから。それぞれの立場で懸命に生きたのだから。アオイさまは、そのことはちゃんとご存じなのよ。だから恨んだり批判したりされているわけではないの。花とはそういうものだから。でも、ウゾ、人も鬼も、きちんと運命を選ばなくてはならないわ。いつか必ず決断を下し、前に進まなければならない日が来るのよ。そして選んだことに対しては、自分で責任を取らなくちゃならないのよ」

 ウゾはサクラちゃんと視線を交わした。
 サクラちゃんは目を真っ赤にして、ウゾと目が合うとまたわんわん泣いた。
「もち姫はあの人と知り合い?」
「そうよ、古い知り合いなの。そして、彼女はあのグンソウのこともずっと知っていたのよ。だけど、花の精であっても、彼には何もしてあげることはできないの。彼が自ら選びとった運命だから。そう、せめてひと時の良い夢を零してあげることくらいしか」

 それからもち姫は少し遠くの空を見上げた。すでに辺りはすっぽりと闇に包まれている。少しの間降った雨は、もう止んでいた。
「グンソウは自分でジョウブツしないことに決めたんだね。でも、ボクにはやっぱりよく分からないよ。グンソウのせいじゃない、グンソウのせいじゃないのに」
「そうね、ウゾ、サクラ」
 もち姫はそれ以上は何も言葉を投げかけてこなかった。ウゾは、グンソウの手を握りしめていた自分の鬼の手をじっと見つめた。

 その時、サクラちゃんが突然泣き止んで、もち姫に尋ねた。
「私たちはグンソウに何かしてあげられないの?」
 もち姫は優しく微笑んだ。猫だから、誰も微笑んでいるとは思わなかったかもしれないけれど。
「何も。ただ、明日からもいつものように、校門で待ってくれているグンソウに挨拶をしてあげなさい。できれば、グンソウが門を押さえなくてもいい時間に、学校に行くようにしてね」

 そうだ、小鬼には何もできないけれど、でも、学校の帰りに、あのお茶室の垣根に咲く朝顔を一緒に見に行こうって誘ってみよう。
 帰りの時間なら、きっと朝顔はものすごく綺麗に咲いているだろうから。
 そして、いつかきっと、ボクはグンソウの悲しみを吸い取ってあげられるような、立派な鬼になってみせる。

 ウゾはぐっと拳を握りしめた。


【百鬼夜行に遅刻しました】夏・朝顔 了




辛い話になってしまったことをお詫びします。
時期が時期で、どんどんそんな話に。始めは千利休の朝顔話だったのですが、どんどん違う方向へ流れ……
多くは語りますまい。
楽しいファンタジーじゃなくなっててすみません。
気持ちが入ってしまって……

そして、ウゾくん自身のことについては、またまた謎が振りまかれましたね。
その答えは、多分、冬に。

(気を取り直して)秋は、雨月物語です。
今度は恋物語なので、ちょっとはましかな。でも悲恋だけど^^;

ウゾさん、ごめんなさい。書いているうちにこうなってしまいました……(/_;)


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Category: 百鬼夜行に遅刻しました(小鬼)

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連作短編【百鬼夜行に遅刻しました】夏・朝顔(前篇) 

【百鬼夜行に遅刻しました】夏篇をお届けいたします。
この作品は、ウゾさん(→ブログ:百鬼夜行に遅刻しました)のブログタイトルからインスピレーションを得て、タイトルをまんま頂き、しかも主人公の名前にウゾくんを頂き、お人好しで優しい元気な小鬼になっていただきました。
1作で終わる予定が、大海の悪い癖で、謎を振りまいてしまいました。振りまくと収拾したくなるのも大海の癖で、続きができてしまいました。
花をテーマにしながら、春から始まり、最後は春で終わる予定です。
少しずつ、ウゾくんがなぜ百鬼夜行に遅刻してしまうのか、謎が解けていくといいなぁと思います。
1作目:【春・桜】はこちら

夏のテーマの花は朝顔です。俳句の季語では秋なのですが、やはり朝顔は夏休み前の花のイメージがあります。
今回、歴史ミステリーと銘打っておりましたが、ちょっと違う方向へ行ってしまいました。
いささか重めのテーマです。季節が季節ですから。
悩んで成長していく小鬼のウゾくんをお楽しみください。

そして今回、なんと遅刻仲間が……! まさか、あの子が……
実は少し長くなりまして、前後編でお送りいたします。
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 夏がやって来た。

 残念ながらウゾたち、鬼の百鬼夜行学校には夏休みはない。
 そもそも夏はかき入れ時だ。
 中には、ニンゲンのテレビ番組に出演するものもいる。夏によく放送されている『恐怖、今夜あなたの後ろに…!』みたいな番組にちょっと顔を出すのだ。

 もちろんニンゲンに出演を頼まれたわけではない。
 だから、当たり前のことだがニンゲンからは出演費が貰えるわけではない。
 学校が斡旋するバイトみたいなものだ。1回出ると、豪華トカゲとカエルの干物セット1週間分が貰える。
 最近、美味しいトカゲやカエルは少なくなっているから、結構人気の商品だ。

 ああいう番組のほとんどは、いわゆるヤラセなのだけれど、たまにはニンゲンに思い知らせておかなければというのが鬼界の理念みたいで、このチャンスにちらりと『ホンモノ』の気配を見せて釘を刺しておくのだ。
 放っておくとニンゲンは暴走するから、人智を超えたものがお前たちを見張っているぞ、と知らせておくのだという。
 もちろん、ウゾみたいな小鬼にその割のいいバイトが回ってくることはない。


 あぁ、また遅刻だぁ……

 ウゾはタダスの森に4本しかないというアキニレの木の下を住処にしている。ごそごそと地面から這い出て来て、アキニレの木に背中を預けたまま座って、ぼんやりとする。
 鬼だから暑いとか寒いとかはないはずなのだけれど、ウゾはやっぱりちょっと夏バテする。
 うだうだしているニンゲンの顔を見たり、盆地独特の熱気に干上がりそうな小川に足を踏み入れたり、何となく木々の葉っぱが元気がないのを見ると、気分だけでもばててしまうのだ。
 遅刻の言い訳をするのじゃぁないけれど。

「ウゾ、チコク」「マ・タ・カ」「チ・コ・ク」「チ・コ・ク」
 はやし立てるダンゴ達も、夏になるとなんとなくやる気がない。

 まぁ、いいや。二時間目に間に合ったら。
 既に長い夏の陽さえ沈んでいる。太陽が沈んでも、地面の温度が冷え切る前に次の太陽が昇ってくる。
 もちろん、この森の中はキョウトの町の中に比べたら、随分と気温も低いのだが、今年は湿気が半端ではない……らしい。
 あぁ、でも、サボってたらもち姫に怒られるかなぁ。
 
「ウゾくん、おはよっ」
 サクラちゃんが今日も迎えに来てくれる。
 サクラちゃんは例のナカラギの桜に住んでいる。そして、ただのクラスメートではなく、他の意味でもウゾの仲間になっていた。

 ウゾほどではないのだが、遅刻の常習者なのだ。
 なんか、寝過ごしちゃうのよね。というのか、夜って普通に眠いし、昼は寝れないよねぇ。これって昼夜逆転じゃないの。
 いや、昼夜逆転じゃないのだ、鬼としては。

 サクラちゃんのすごい所は、結構サバけているところだった。可憐な少女と思っていたら、とんでもなくスーパーな女の子だということが分かった。
 春のお花見では、新入生に対するいじめをあっさりと跳ね除けた。
 宴会中に髪の毛を切られて、サクラちゃんの方が切れたのだ。

 鬼の髪の毛には霊力が宿っているので、これを切ることは力を削ぐことになる。新入生の髪を切るのは、上下関係をはっきりさせるために、慣例として行っている、公認の苛めらしい。誰に公認かはよく分からないけれど。
 ウゾは自分がされた時のことを、もう忘れてしまっている。
 ところが、サクラちゃんは、怒った。
 髪は女のイノチなのよ! ふざけんじゃないわよ!

 ……ウゾはビビった。サクラちゃんは可憐な少女ではなく、逞しい少女だった。自分の道は自分で切り開く系なのだ。
 学校の成績は抜群で、技の習得も誰よりも早い。たとえば、花にシュリケンのように刃を忍ばせる術や、ヒタキのような小さな鳥を大きくする術も、先輩のウゾを追い越して完璧に身につけた。鬼についての情報も、あちこちで聞き込み、自分たちの将来をあれこれ考える、賢い女の子なのだが……
 ちょっと面白かったのは、サクラちゃんが切れた時、学校一怖い教官、前身はミドロガイケの龍だったという(みんな、疑っているけれど。だって、龍は鬼になんかならない。始めから鬼みたいなものだから)タタラが、目を丸くしてサクラちゃんを見ていたことだ。

 ちなみに、鬼になっても、ニンゲンの時と同じように、花見をする風習をそのまま引き継いでいる。
 ニンゲンたちを見下ろしながら、木の上で、正確には花の上で宴会をしているのだ。その日だけは、学校も休みだ。というより、花見は学校行事なのだ。
 ニンゲンには警告しておきたいが、花見の時に、不用意に桜の木の上を見上げたりしない方がいい。もしかして鬼が見えたら、ちょっと厄介なことになるかもしれないのだから。
 もっとも、夜の明かりの中で見上げる真っ白に浮かび上がる桜のさらに上にいる鬼たちが、簡単に見えるとは思えないが。

 もうひとつ、サクラちゃんの大胆なところは、たまに学校を平気でサボることだ。
 ウゾなんか、さすがにそこまでの勇気はない。遅刻して怒られながらも、行かなくて怒られるよりはいいに違いないと、さすがに思いきれない。
 もちろん、サクラちゃんを助けた時は、それどころじゃなかったのだけれど。

 で、サボる時はいつもこれだ。
「ね、もち姫のところに遊びに行こうよ!」
「で、でも、ガッコウ……」
「今日の授業は辻を曲がる時の角度についてでしょ。大丈夫、それ、この間、ツジドウロウに聞いたから、今度教えてあげる。それより、もち姫のところに行こう」
 ウゾはさすがに、こんなふうに確信犯にはなれない。

 ちなみに、ツジドウロウというのは、辻に置かれている灯篭のことだ。古い奴になると、たまにこっちの世界では生きているのがいる。毎日辻を通る鬼たちを見ているので、鬼の規則は分かっているらしい。
 サクラちゃんはどこかから灯油をちょっとだけ手に入れてくる。
「お、灯油やないか。最近は、もっぱらデンキやろ? これがまずくてさ」
 ツジドウロウは灯油を舐めながら、嬉しそうだったらしい。
「で、お嬢ちゃん、何が知りたいんや?」

 サクラちゃんがすごいのは、上手くギブアンドテイクを利用して、誰とでも、いつの間にか友だちになっているところだ。ウゾもあれこれ友だちは多い方なのだが、サクラちゃんの「ココロの掴み方」は特別だ。

 でも、もち姫のところに行こう、というのは魅惑的な言葉だ。
 ウゾだって、もち姫のところに行くのはとても楽しい。
 でも暑くなってきてからは、もち姫もしんどそうな時があるから、昼間は休んでいることも多い。本当ならウゾたちは眠っている時間だ。もちろん、ウゾはあまりよく眠れないのだが。
 ウゾたちが学校から帰る時間、太陽が昇り始める時間には、もち姫は幾らか忙しい。他の猫たちに色々と教えておかなければならないこともあるようだし、ウゾたちと遊んでばかりはいられないのだ。
 一番いいのは、ウゾたちが学校に行く時分、涼しい風が少し吹き始める時間帯だ。もち姫は一番気分が良さそうだし、他の猫たちも来ていない。

 だから、いっそウゾ達が学校を休んでしまえば、もち姫とゆっくり話ができる。
 もち姫はこの世(鬼の世界)とあの世(ニンゲンの世界)を行き来できる特別な「知っている猫」だから、沢山のことを分かっている。ウゾたちにもいろんなことを教えてくれるし、他の猫たちの先生でもある。

 でも何より、ウゾはもち姫と一緒にいることが楽しいのだ。別に話なんかしなくても。
 サクラちゃんは、知りたいことがいっぱいあって、もち姫に質問攻撃だ。もち姫は嫌がらずに答えてくれる。でも、本当にもち姫が忙しい時やしんどそうな時は、ちゃんとわかるみたいで、サクラちゃんも何も言わずにもち姫と一緒に縁側に座っているだけだ。
 そんなサクラちゃんを、ウゾも、多分もち姫も、結構好きなのだ。

 でもサクラちゃんだって、いつでもサボろうと考えているわけではない。女の子は結構合理的な考えを持っている。
「今日の授業は出とかないと! 元ニンゲン以外の鬼との付き合い方だよ。走ろう、ウゾくん」
「う……うん……」
 眠い。ゾンビになりそう。あ、そうだ、鬼なんだし、既にゾンビみたいなものだった。
 でも、サクラちゃんに手を引っ張られて走っているうちに、目が覚めてきた。
 そうなると、今度はウゾがサクラちゃんを引っ張ってあげる。そんなときのサクラちゃんは、ちょっとほっぺを赤くして、可愛らしい女の子に戻っている。


 学校の門を時間内に潜らなければ、ある一定時間は締め出される。
 ウゾたちはいつもギリギリか、遅れるかのどちらかだが、結構門番に融通をきかせてもらっている。
 タタラにばれたら、門番のグンソウも怒られると思うのだが、グンソウは表情を変えないまま、そっと門を押さえて数分くらいはウゾたちを待っていてくれる。

 百鬼夜行学校の門番兼用務員、グンソウは、いつも怖い顔をしている。
 鬼だから怖いのは当たり前なのだが、タタラのように怒鳴ったりもしないし、むしろ何も話さないので怖い、という印象なのだった。一度も表情を変えるのを見たことがない。
 兵隊さんみたいな恰好をしているので、グンソウと呼ばれているのだが、実は、正確に言うと、彼は鬼なのかどうかよく分からない。

 昔は百鬼夜行学校の生徒だったそうだが、ジョウブツする気持ちがないので、学校の門番になったのだという。
 もしかしたら、断トツ一番の遅刻最高回数、一万八百八回の記録の持ち主はグンソウではないかと思ったこともあるのだが、グンソウはもう随分始めのころからジョウブツはしないと決めていたそうで、そんな回数の遅刻をするほど試験は受けていないようだ。

 グンソウは鬼のような風体をしているが、どちらかというと、まだニンゲンに近い。
 ジョウブツしないままこの世に残ると、だんだん苦しくなっていくという。その苦しみはものすごいのだというけれど、それがいつその鬼の身に起こるのか、どんな苦しみなのか、誰も知らないらしい。
 そう、この世に未練があったり、上手くジョウブツできない者が鬼になるのだが、それでも最終的にジョウブツするために一生懸命やっている、それが鬼だ。
 だから、グンソウがなぜ、その苦しみのほうを選んで、ジョウブツを諦めたのか、ウゾはずっと疑問だった。

 今日も、グンソウは何も言わず、怖い顔のまま、ウゾたちをそっと通してくれるだろう。
 それに、サクラちゃんが来てから、少しだけグンソウの表情が柔らかくなった気がしていた。何か、懐かしいものを想うような顔をする時がある。そんなふうにウゾには思えるのだ。

 あれ。
 ウゾがいきなり足を止めると、サクラちゃんがつんのめってウゾの背中にぶつかってきた。
「ウゾくん、急に止まらないで」
「グンソウがいないよ」
 サクラちゃんも足を止めた。
「ホントだ」
 門はまだ開いていた。だが、グンソウがいない。

 授業よりも気になる。そういうところはサクラちゃんと波長が合う。
 門の内側を覗いてみたが、どこにもいない。用務員室も見に行ってみたが、やっぱりいない。今度は門の外に出てみたら、ウゾとサクラちゃんの背中で門が閉まってしまった。
 ウゾとサクラちゃんはゴショの中をあちこち探してみることにした。

 うろうろしていると、どこかから唸るような声が聞こえてきた。
 誰かが苦しんでいる。
 ウゾの耳が反応したということは、ニンゲンではない誰かだ。
 ウゾはサクラちゃんと目を合わせ、一緒に走った。

 その時、見たものを、ウゾもサクラちゃんも忘れられない。
 ゴショの隅っこにあるお茶室の脇で、グンソウが、地面をのたうちまわりながら、鬼としてかニンゲンとしてか、あるいはもうすっかり別の生きものとしてなのか、苦しみもがいて咽喉から絞り出すような声を上げ、血を吐いていた。
 もちろん、ニンゲンではないのだから、身体の中に赤い血が流れているわけではないのだが、身体の内側にある得体の知れないものを吐き出しているように見えた。
 苦しくて、辛くて、悲しくて、どうしようもないような姿だった。

「グンソウ!」
 ウゾとサクラちゃんはグンソウに駆け寄った。
 もしかして、いよいよジョウブツしない鬼の苦しみが始まってしまったのだろうか。
 グンソウは、鬼の形相をもっと鬼にして、真っ赤に血走った目で見えないものを見て、そこにないものを掴もうとしているように見えた。

 ウゾは本当はちょっと怖かった。でも、今はそれどころじゃない! 何とかしなくちゃ! 
「もち姫を呼んできて!」
 小鬼のウゾにはとてもグンソウを運ぶことはできない。サクラちゃんと力を合わせたとしても無理だ。
 サクラちゃんは、ウゾが言うが早いか、駈け出した。

「グンソウ! しっかりして!」
 グンソウは怖い顔をしているけれど、本当は優しい人だと思っていた。だって、ウゾたちのために門を押さえてくれているのだから。
 でもどうして! ちゃんとジョウブツしたら苦しまなくて済むのに! そりゃ、試験に合格するのは難しいけれど、それはウゾがチコクばっかりしているからで、普通の鬼なら千回以内で合格するのに。

 もち姫のいる場所は近くない。それに、もち姫の身体でここまで走ってくるのは大変だ。
 サクラちゃんが意外に力持ちだったとしても、あっちの世界にある身体は、ウゾたち鬼にとっては結構な重さだ。
 グンソウがばたんと身体を回転させ、うつ伏せになって、地面を引っ掻いている。正確には、地面の様なやわらかい土ではなくて、目に見えない何かもっと硬そうなものをひっかいているのだ。爪が剥がれ落ちて、血が噴き出している。
 鬼なのに! ニンゲンよりも強いはずなのに。
 それは血というよりも、グンソウの中のココロのようなものなのかも知れない。ウゾには見えないが、グンソウには見えている何かだ。グンソウは身体から吹き出す何かを見てはのたうち、泣き叫んでいる。

 どうしよう。
 もち姫、ボクはどうしたらいいの。
「グンソウ!」
 体に触れようとしたら、グンソウの腕がウゾを跳ね飛ばした。ウゾは転がって、何かに身体をぶつけた。

 転がったままふと見上げると、ぼんやりとした視界の中で蒼い光のようなものがいくつも見えた。
 ウゾがぶつかったのはお茶室の脇の垣根で、そこに絡まるように朝顔のつるが伸びていて、蒼い花を咲かせていた。
 いや、正確には、朝顔はもう萎れていた。
 夕闇の中で、蒼い光が消えていく。
 グンソウが苦しみ、叫びをあげている。

 僕には何もできない。誰か、グンソウを助けて。
 ウゾは涙を流して、大きな暗い空を見上げ、目を閉じた。





さて、小鬼のウゾくんにはどうすることもできない問題が起こっているようです。
後篇も、頑張るウゾくんを応援してあげてください。
今夜、日付が変わる頃に(変わってからかも?)、またお目にかかりましょう。

Stella、間に合うのかなぁ? 締め切りは過ぎていますが……
今夜続きをアップしてから考えます。
イラストレーター募集したくなってきちゃった。





Category: 百鬼夜行に遅刻しました(小鬼)

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NEWS 2013/8/4 朝ごはんブログ/野菜ジュースの顛末 


久しぶりに『朝ごはんブログにチャレンジ』コーナーです。
メニューは
①アカシア(青森県産)の蜂蜜を塗ったパン(ちょっと焼きすぎちゃった…)
②単なる目玉焼き
くだんの野菜ジュース
④コーヒー:本日の珈琲はモンターニャ・ベロニカ(ペルー。夏にぴったり、中煎りですが、比較的濃厚な味わい)

さて、以前、記事にも書きましたように、人生初ミキサーを手に入れた私。
あれから3日坊主!と自分でも思っていましたが、意外に続いています。
そして、あれこれ試行錯誤の結果、最近のレシピは(コップ2杯分です)……

小松菜 一株分
レタス 1~2枚
パセリ 適宜
グレープフルーツ 1/4個
バナナ 1/2本(小さいものなら1本)
豆乳 好みの量で
リンゴジュース(もちろん青森県産(^^)) 適量
驥手除_convert_20130804122044驥手除繧ク繝・繝シ繧ケ_convert_20130804122107
始めはリンゴを切って入れていたのですが、あまりにも水気が少ないからジュースに変えました。
初期のあの、どろどろはこれで解決しました。面倒くさくないし、一石二鳥です。
リンゴジュースは、もちろん、GWに青森で買ってきたジュース。
豆乳は苦手なのですが、タンパク源の補給のために入れてみました。豆乳っぽくなくないし、野菜のえぐみも消えるし、いいような気がします。
忙しい朝は、目玉焼きはありません(^^)
グレープフルーツはレモンでもOKで、柑橘類の爽やかさが、朝にはよさそうです。面倒なら市販のレモン汁もありです。

手間は……作るのはそんなに面倒ではありません。切るのはグレープフルーツだけですし。
でも、いつも帰りが22時を回る私には、新鮮な野菜を数日ごとに手に入れるのが一番の問題かもしれません。

というわけで、3日坊主にならずに続いていますよ(*^_^*)

さて、今我が家にあるジュース。
DSCN1417_convert_20130804125819.jpg
両端が、青森のジュースです。斜陽館の前で売っていて、毎年必ず大量に購入してあちこちに送ります。
色んな所でリンゴジュースを試飲しますが、ここのジュース、各種類のリンゴ別のジュースを売っていて、それぞれ味が濃厚で、とてもおいしいのです。私は、酸っぱい紅玉が好きですが、好みの味がきっと見つかります。
そして、もうひとつがポンジュース。
かの愛媛県のミカンジュースですが、その高級版?でしょうか。
愛媛の知人が送ってくださいました。底にミカンの粒々が沈殿する濃厚なジュース。
ちなみに、愛媛には、パウチに入った各種ミカンのゼリーが売っていて、これがすごくおいしいです。

というわけで、ミキサーによる自家製野菜ジュース、結構続いています報告でした(*^_^*)

Category: NEWS

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[雨67] 第13章 街の色(2) 

自分でも忘れてしまいそうなので、ちょっと間が空きましたが、更新します。
【海に落ちる雨】…長い話で、なかなか入りにくいように思われるかもしれませんが、逆に長いので、どこからでも途中参加してくださいませ。

ダイジェストは→第5章までのあらすじ
これ以降もまた、あらすじのアップをいたしますが、実は、なぞなぞはこの5章までに大体出揃っていて、後は、行方不明の同居人を主人公が探してうろうろ、という状態です。

そして今、今度は六本木の飲み屋で、竹流の行方を捜しているらしい外国人ヤクザの情報が耳に入った。
これまで、新潟の豪農の屋敷から出てきた絵画、政治家絡みの収賄・脅迫事件、内閣調査室の絡みなど、物事が少し高い次元にあるような気がしていたのに、いきなりヤクザが絡む理由は……?
外国人ヤクザと、ちょっとわけあり関係がありそうな真の会話の緊張感をお楽しみください(いずれ、理由は出てきます)。
真、六本木を走っています。





 六本木の街は走りにくくできている。単純に、走っている人間が目立つからだが、それでも、真は今日は走った。人の視線も気にならなかった。
 行き先は狭い路地の地下にあるディスコだった。階段を駆け下りてドアを開けた途端、悲鳴のような音楽が耳を劈いた。身体ごと吹き飛ばされるような振動だ。

 背の高い黒人がさっと前に立ちふさがった。真からすれば岩のような体つきの男だった。
「ビッグ・ジョーに会いたい」
 黒人は怪訝な顔で真を睨み付けた。
「彼に言ってくれ。相川真が会いたいと」

 その名前に黒服の黒人が何かを思い当たったとは思えないが、彼は暫く無表情に真を見下ろしてから、受付のカウンターの内に戻り、手元の電話を取った。
 もしも、ビッグ・ジョーが竹流を探しているのなら、相川真の名前には反応するはずだ。
 真も黒人もお互いから視線を逸らさなかった。相手の行動を無意識に警戒している。

 直ぐに男は電話を置いて言った。
「ビッグ・ジョーがお会いになるそうです」
 ビンゴだ。

 迎えを待つ間、中にいるように促されたが、この店内に落ち着いて座っていられる気はしなかった。もっとも、それについてどう言えばいいものか分からなかったので、黙ったまま突っ立っていると、半ば強引に店の中に連れて行かれた。
 入り口に立っていると邪魔だという意味なのだろう。さっきの店とは違って、早い時間にも関わらず、店の中はもうかなりの人出だった。

 暗い店内で、ナイフのような光線が絡み合うように空間を切り刻む。浮かび上がる人間は、皆外国人ばかりで、身体つきも真よりひとまわり、あるいはふたまわりも大きい。広いディスコラウンジの周りにテーブル席が秩序無く並べられて、酒と一緒に何やら怪しげな臭いも混じっていた。

 真は緊張したまま、周囲を用心深く見張っていた。ラウンジからもテーブル席からも、値踏みするような興味深い視線が自分に向けられているのを感じる。男も女も、今日の相手を探しているのだ。
 音と光線が炸裂する爆弾のように、身体の深くに突き刺さる。不意に、目が合った大柄な男が立ち上がった。真は思わずびくっとした。
 男は真のほうに歩いてきながらポケットの中を探っていた。どこかへ飛んで行っている目で真を見ている。

 思わず咽が引きつったようになり、冷や汗が出てきた途端、肩にずん、と何かが乗った。振り向くと、大きな黒い手だった。
「どうぞ」
 さっきの黒服の黒人が、真を店の表に連れ出した。

 店のドアが閉まってから、ようやく息をつく。呼吸を忘れていたような気がした。
 俺は何を怖がっていたのか。こんなことで怯えていては先が思いやられる、と思ったとき、黒服は立ち止まり、通りに路駐している大きな白い車の後部座席のドアを開けた。

 真は一瞬躊躇したものの、ここまで来ては乗るしかないと諦めた。後部座席に納まってバックミラーの中の運転手を見ると、深くニットの帽子をかぶった黒人と目が合ったような気がした。暗くて表情や人相まではわからない。

 その瞬間、まさに既視感に襲われた。
 あの時も依頼主に呼び出されて、こうして迎えの車に乗った。
 ニットの帽子を被った黒人が運転手だった。
 勿論、この運転手だったという確証があるわけではなかった。だが、車の中の微妙な臭い、汗と体臭と芳香剤の微妙なブレンドが、あの時の思い出したくない記憶を彼方から引き摺り下ろしてきた。
 においが記憶と最も強い結びつきがあるというのは、生物がかなり昔の種から保存してきた特性だ。

 ビッグ・ジョーが何故自分に会う気になったか、相川真という名前が彼の気に入ったわけではないのはわかっている。本来なら、向こうも自分に会いたくないのではないかと思っていた。
 そう、ビッグ・ジョーの方でも、あの時に受けた報復については思い出したくはないだろう。

 彼は自分の持っていた香港やバンコクからのルートを幾つか潰されて、その上、店はほとんど全て手入れを受けた。うち三割は営業停止になったと聞いている。
 ビッグ・ジョーに屈辱的な報復を下したイタリア人の怒りは半端ではなかったし、あるいはビッグ・ジョー自身もその男が仕掛けた戦争に乗ってもいいくらいに怒っていたかも知れないのだ。その程度で済んだのは、誰かが『仲裁』に入ったからだ。

 だが、真にとっては一切知らされず伏せられた出来事で、勿論思い出したくも聞きたくもないので、それ以上のことはわからない。
 覚えているのは身体の芯に残る鈍く重い痛みだけだった。それがどういう種類の痛みなのか、具体的に考えたくはなかった。ただ、はっきりしていることは、あれが実際にあった痛みだということだ。

 精神的苦痛ならいくらでも受けてきた気がしていた。子供の頃の苛めにしても、心の深くに潜めているこの重い感情も、いつか帰れるはずだった穏やかな銀の宇宙も、全て心の痛みを伴う何かだったが、あれは明らかに身体の痛みだった。

 崖から落ちて死にかかったときでも、身体が痛いと思う余裕さえなかったのか、『痛い』という思い出はない。だがあの記憶は、心ではなく、明らかに身体に刻み込まれている。
 心の痛みのほうが辛いだろうと思っていたが、意外にも下腹部に錘を打ち込まれた重い痛みは、今まさに蘇ってきた。
 じっとりと冷や汗が吹き出してきた。あの時、もしも怪しい薬を仕込まれていなかったら、もっと明確な記憶が残されていたのかもしれない。

 野良犬に咬まれたようなものだ。忘れろ。
 竹流は一言、そう言っただけだった。怒っているのか、以来一切その話題を口にしない。怒っているのだとして、それが何に対してなのかもよくわからない。ビッグ・ジョーに対してなのか、怒りを途中で放棄させた外力に対してなのか、無防備に誘いに乗って車に乗り込んだ真に対してなのか。

 まさに、今の自分は無防備だ。武器もない、誰も相川真がビッグ・ジョーに会いにいこうとしていることを知らない、あの時助けてくれた竹流も寺崎もいない。
 突発的に行動してしまった。もう少し待てば添島刑事に会うことになっていたのに、彼女が助けてくれたかもしれないのに、考えもなしに何をしているのか。

 焦っているのだ。それは自分でもわかっていた。

 ビッグ・ジョーは都内にいくつものマンションを持っていて、そのどこにいるのかはわからない。今日はたまたま近くのマンションにいたのだろう、それほど離れたところまで連れて行かれたわけではなかった。
 地下の駐車場に入るにも、カード式の身分証明が必要なマンションだった。停められている車は外車ばかり、住んでいる人間も、多分とんでもない人間達なのだろう。その上、何もなくやってきたのではホールにさえ入れない造りで、運転手は自動車電話で連絡を取り合って、ホールのドアがやっと開いた。

 エレベーターで十四階に上がって、二つしかないドアの一つを運転手がノックした。
 少しの間を置いてドアが開けられると、運転手は挨拶だけを交わして、真を別の男に預け、自分は黙って後ろで立っていた。
 ドアを開けたのは、大柄な黒人で上品な白いシャツを着てはいたが、その長袖のシャツの向こうの腕の筋肉の厚さは十分に感じられた。片手でも真の顔ぐらい潰せてしまうほどの大きな手と腕だ。

 後悔しても仕方がない。
 真はその男について、広い部屋を横切り、次の間に入った。
 次の間にも男が待っていた。一人はやはり黒人で、もう一人は小柄なアジア人のようだった。国まではわからない。

 広く明るいリビングルームのような部屋で、中央に大きな黒い革張りのソファが置かれていて、ビッグ・ジョーがそこに座っていた。ごつい身体は三人掛けのソファも小さく見えるほどだった。
「久しぶり、だ」
 ビッグ・ジョーが言った。低い、海の底から響くような声だった。真は何とも答えなかった。

「私が、あんたの連れを捜しているのを知って、来たのか」
 一言一言を区切って重々しい声で話す。ビッグ・ジョーの日本語は、新宿のボス、ゴッドと呼ばれている男の日本語に比べると遥かに聞き取りやすい。
「そうです」
「あんたは何か知っているのか。数日、いなかったな。ゴッドがあんたを捜していた」
「意外です。珍しくゴッドと仲良くしているのですか」

 ビッグ・ジョーは一瞬不快な表情をした。
「これはビジネスだ」
「あなたの取引の相手は、警察関係ですか? あるいは公安」
「警察?」ビッグ・ジョーはさらに怪訝な顔をした。「馬鹿な。取引をしたのは、イタリア人とだ」
「イタリア人」思わず反復して、真は息を飲み込んだ。「彼を、捜せと?」
「そうだ」

 高瀬は国元への最も太いパイプだと、昇が言っていた。その高瀬が幾日か留守をしていて、あっさりと協力的になった。彼は上からの命令がなければ動かない種類の人間だ。竹流が行方不明で、その身に何か良くないことが起こる可能性があるとわかった時点で、高瀬の取るべき行動はただ一つだ。
 軍隊の命令系統のようなものだ。彼が単独で判断して行動することは許されない。
 イタリア人は身内が受けた傷に対して、それ以上の傷を相手に要求するだろう。

「もう一人、捜していますね」
 ビッグ・ジョーは頷いた。
「二人を捜せ、といわれた」
「寺崎昂司、ですね。写真でもあれば、見せて欲しい」
 ビッグ・ジョーは側に立っていたアジア人に何か命じた。直ぐに男は隣室に消えた。

「寺崎昂司は、運送屋の息子。京都の運送屋。父親、関西では名の知られた男。自分の私生児、何をしていても、庇うだけの力と金、ある。寺崎の息子は、美術品専門の運送会社、しているね。半分商売になっていない。彼、金ある。気にしないね。私の友達も助けてもらったこと、ある。女も、彼が好きだ」
 真は、ビッグ・ジョーが寺崎昂司に対しては好印象を持っていることを知った。

「イタリア人と、もう一度、取引をしたのは、友達が受けた恩義のためも、ある。昂司はあんたに私たちがしたこと、怒っていた。それは、悪かった、と思っている」
「もう一度?」
 真は妙なところで引っ掛かって、それを反芻した。
「イタリア人と、取引をするのは二度目、だ」

 真だけではない。ビッグ・ジョーもまた、あの時の事は思い出したくなかったのだろう。
「あの時、仲裁に入ったのは、チェザーレ・ヴォルテラだったのですか?」
「仲裁?」
 ビッグ・ジョーは繰り返した。言葉の意味が分らなかったようではなかった。しばらく真の顔を、大きな身体と顔の割には小さめの目で見つめていた。

「あの時、イタリア人、自分の息子が何をしようとしているか、知っていた。何より、彼が判断能力に、欠けていたということ、を。イタリア人はそう言って、私に別の提案、した。私はそれ、呑んだ。それだけのことだ」 
 隣の部屋からアジア人の男が戻ってきて、写真をビッグ・ジョーに見せ、それから真のところに持ってきた。
「寺崎昂司。いい男だ」

 真は暫く写真に釘付けになっていた。
 写真には寺崎昂司の斜め向かいからの顔が写っていた。
 本人は写真を撮られたことに気が付いていない様子だった。筋の通った額から唇までの鼻のライン、ややしっかりした顎の角度、切れ長で男らしい色気のある目、薄いが意思の強そうな唇、ややウェーブのかかった髪。やや太目ながら色気のある首と、しっかりした肩を持っている。

 この男なら知っている。竹流のギャラリーで何度か見かけたことがあった。あの時、自分を助けてくれたのが彼だという確信はなかったが。
「あんた、知っている男かと、思っていた」
「ええ」真は曖昧に返事をして、写真を返した。「何か手がかりがあったのですか」
「分からない。消えてしまった」

「彼の父親は?」
 チェザーレ・ヴォルテラが『息子』を心配したように、寺崎の父親も庶子とは言え、息子を心配しているだろう。普通ならば。
「寺崎の父親には、会っていない。今は、必要、ない」
「寺崎昂司は、隠れ場所として父親を頼りませんか」
「隠れ場所?」

 ビッグ・ジョーは暫く、黒い肌に囲まれたやはり黒い目を真に向けたまま、黙っていた。やがて、重い静かな声で言った。
「寺崎と父親、絶縁状態、だ」
「絶縁? でも、あなたはさっき、息子がなにをしていようと庇うだけの金と力がある、と」
 ビッグ・ジョーは真から目を逸らさなかった。あの時も、こうやって自分を見ていた。
 だが、今日の目つきは獲物を見る目ではなかった。

「昂司に仕事のやり方、教えたのは父親。もし、昂司が捕まれば、父親にも被害、ある。『芋づる』だ。父親、昂司が捕まるの、困る。だが、良い息子、とは思っていない。それに、昂司は後継者、ではない」
「後継者ではない?」
「チェザーレ・ヴォルテラが息子、大事にするのは、後継者だからだ。彼は、それを阻止するもの、全て抹殺する、ね」
 真は思わず息を飲み込んだ。

 阻止するもの。それは何もジョルジョ・ヴォルテラの敵とは限らないのだろう。
 そう考えれば、最も邪魔な人間は、あるいは自分かもしれない。もしも今、彼が極めて危険な状況にあるとあの男が思っているなら、もうこれをタイムリミットと考えてもおかしくはない。

「チェザーレ・ヴォルテラが来ているのですか」
 思わず、自分の声が上ずったように思った。そのことをビッグ・ジョーに知られるのはまずいように思ったが、どうしようもなかった。

 ビッグ・ジョーは返事をしなかった。真は答えがないので、思わず顔を上げてビッグ・ジョーを見た。
 その時、ビッグ・ジョーが真に向けていた目は、敵意ではなく、まるで同情か憐憫のように見えた。

「昂司の父親、息子が死ねば、それでもいい。いや、その方がいい。そう、思っている、かもしれない。いや、そうでもないのかも、しれない」
 ビッグ・ジョーは慎重に最後に自分の想像であることを強調したように見えた。それとも、何か他の事情でもあるかのような口ぶりだ。

「手を、組もう」
 真は顔を上げて、もう一度ビッグ・ジョーを真正面から見た。
「イタリア人は、何をしてくれると言ったのですか」
「それは、言えない。あんたは、堅気、だ」
「では、手を組めません。しかし、彼らを見つけた手柄を、あなたが立てるのは邪魔しません」

 真が帰ろうという素振りを見せると、ビッグ・ジョーは部下に何か目配せしたようだった。
 一瞬、無傷でここを出ていけるのかと緊張したが、杞憂だった。

 帰り際に、ビッグ・ジョーは真を見つめて、ゆっくりと言った。
「昂司の父親、大した男でない。金はある、が、人物としては小物、だ。それに、変な趣味、持っている。良い息子、持っているような男には、見えない。残念、だ」
「変な趣味?」

 真は暫く、今の彼の言葉の意味を考えていた。それを自分に教える意味はなんだろう。
「ワタシは、あんたに警告、している」
 そういう意味か、と思った。自分たちも大概変態のくせに、よく言ったものだ、と思ったが、勿論口にも態度にも出さなかった。






変な趣味って何?とか突っ込まないでくださいね。でも、話の大筋には関わってきますので、いずれまた。
このお話、1980年前後なので、少し風俗の内容など時代がかっています。
さらりと読み流してくださいませ。
え? 政治家とか絵画とか、高尚な話じゃなかったの? ということろですが、真もかなり翻弄されています。
次回、添島刑事も同じ疑問を持って、彼女の知っていることを真に語ってくれます。
大和竹流の女の一人である彼女。立場は微妙です。

Category: ☂海に落ちる雨 第2節

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NEWS 2013/8/3 渾身の一枚!? 

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わが町の自慢、ではありませんが、明石海峡大橋の夕陽です。
たまたま明石出張の帰り、夕陽タイムになり、ちょっと寄ってみたら、あたりにはカメラ小僧ならぬカメラおじちゃんがいっぱい。みんな最高の一瞬を撮るために、ひたすら待っているのです。

写真は一瞬を切り取る芸術だけれど、一瞬を切り取るためには、そこに至るまでの膨大な時間があるのだろうな、と思いました。

わずかな時間の間にも、こうして船の影が横切ったりすると、少し光の印象が変わります。
気がついたら、私も、いつの間にかその一瞬を求めて、1時間以上もその場所に留まってしまっておりました。
譏守浹豬キ蟲。螟ァ讖祇convert_20130803014320

朝日は活力を与えてくれる気がしますが、夕陽もまたいいですね。
夕陽の光の中には、自然な「ありがとう」という感謝の気持ちが漂っているような気がします。
今日も1日、無事に過ごせたことへの感謝です。
だから、ミレーの晩鐘の世界になるのかも。私の大好きな『北の国から』の場面にもなるのかも(物語を遊ぼう15)。
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さて、今週末の予定を少し。
【百鬼夜行に遅刻しました】(あ、ウゾさんのブログじゃなくて、ブログ名からお借りした小鬼のウゾくんの物語)の夏編をアップします。ちょっとSlella 8月号のしめ切りを過ぎちゃうのですが……^^;
後は、野となれ山となれ。

おまけ。
前回、青森旅行の記事の時に、アップする予定だったのを忘れていた写真。
JAあおもりの宣伝ですが……
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なるほど、よくできています(^^)

Category: あれこれ

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NEWS 2013/7/31 学園もの 



ウゾさんから頂いたリクエストのお蔭で、久しぶりに「学園もの」を書いたなぁとちょっと満足し、ふと思い出して本棚を探ってしまいました。
え? あれは学園ものだったの? ホラーもどきじゃなくて? とか聞かないでくださいね。

学園もの、っていう分野があるのかどうかはよく分かりませんが、つまり青春もの?
今私がイメージしているものは、舞台が学校というだけのものなのですが、何か、現代の青春もの・学校ものとはイメージが違うんですよね。
ザッツ青春! 汗が飛び散る! なんてのではなく……

私が漫画から多くの影響を受けた時代、つまり中高生の頃は、学園と言えば、ヨーロッパの香り漂う「ギムナジウム」(ギムナジウムですから、ドイツですね)
そもそもギムナジウムなんて言葉を知ったのは、萩尾望都さんの漫画からでした。
いったいどんな耽美な世界なのか、ちょっと憧れたりもしましたね。
(そして、ついでにヘルマン・ヘッセも読んでみた、懐かしいあの頃)

で、ギムナジウムと言えば、何か事件のにおいが。それもやっぱり耽美な事件が。
『トーマの心臓』は今でも何かが引っかかって、咽喉のへんにつっかえているような物語。
『オルフェウスの窓』は、途中からロシア革命まっしぐらの、最後はもうどう救われるの(救われてないのか)という話ですが、スタートはレーゲンスブルグの音楽学校。ちょっとギムナジウムとは違うけれど、世界観は近いかも。
そう言えば、『オルフェウスの窓』に心酔してしまい、生れてはじめての海外旅行で、わざわざ、ウィーンから一人でレーゲンスブルグに一泊旅行に行きました。

ちなみに、ギムナジウムの語源は古代ギリシアのギムナシオン(gymnásion)…若い男性が身体や知性を磨くための場所とのこと。ちなみにそこでは体育がやはりメインで、なぜか全裸でトレーニングが行われたとか。
「裸で体操をする」"gymnázesthai"からギムナシオンという施設名になったらしいので、かなり肉体派的イメージ。
耽美というより、実はマッチョな世界だったのかも……

で、こうしたギムナジウムの背景には、キリスト教の精神も張り付いていて(少なくとも小説や漫画の中では)、そこに通う学生の年齢(10-19)からくる葛藤・人間関係の複雑さがあり、不思議な印象を私たちに与えてたような気がします。
私もクリスチャンスクールに通っていましたが、底辺に流れる理念があって、その上で学生を育てて行こうとする信念のようなものが、学校の中に漂っていた。あれは、独特な雰囲気だったような。

しかも多感な年ごろ。あれやこれやの葛藤が常にあって、そのころ友達と交わしていた長い長い手紙の束がこの間出てきて、これはもう燃やした方がいいなと思ったりしました。
やっぱり、どんと焼きかしら。

いずれにしても、独特の世界観のイメージを、「ギムナジウム」という単語だけで、ある世代に植え付けてしまった作品たち。
私もその影響をもろに受けた世代ですから、あおりを喰らって、ちょっと今回の学園ホラーもどきは、いささか現実感を欠いた、ミステリアスな学園の物語になってしまったかも。
……七不思議だからいいか。

え、あと6つ書くのかって?
書きませんよ~。あれだけでも書きながら、結構怖かったんですから。
でもね、実はちょっとネタが浮かんでしまったのですよね。
来年の夏かしら?(そんなにブログが続いているかしら? この続きを書くかどうかはともかく、頑張ろうっと)

しかし、学園もの、楽しいなぁ。
味しめちゃったけど、青春の汗飛び散る系の(スポ根?)は書けないなぁ……


Category: 小説・バトン

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