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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨80] 第16章 任侠の男(3) 

*本日は、旅行記「鏝絵劇場」も一緒にアップしています(^^)

世界体操を見ていたら朝。途中寝ていたけれど……
美しいっていいですね。難しい技ができるということも大事だけれど、実は、倒立でぴしっと伸びた足先とか、力の入った腕の筋肉の力強さとか、躍動感とか、そういう端々に光るものを感じます。
内村くん、加藤くん、金・銀、おめでとう(*^_^*)
ちなみに私は腕の筋肉が好き(って何だか変態みたい……^^;)。
関係ないけれど、三味線でも、本当に上手い人は簡単な部分で本当に上手いんです。
(って、何だか分かりにくい表現だな)
実は、根本的に差がつくのは、難しい技の部分ではなくて、シンプルな基礎的な部分での完成度なのではないかと、確かに思います。

さて、【海に落ちる雨】第16章・その3です。
ちょっと痛めつけられてふらふらの真、頼る相手もいないと思っていたところに降ってわいたのが、事務所のあるビルのオーナー、北条仁。
すごく前ふりをしてしまったけれど、ご期待通りじゃなかったらごめんなさい^^;
そもそもこの話には「ただカッコいい男」は一人もいないので(女も同じですけれど)、半分目を閉じてもらった方がいいかもしれません……
そうそう、美和といちゃついていたことを忘れてませんよね、真くん。仁はそんなに甘い男ではありません。
真と仁のちょっと際どいやり取り、2人の関係や、周囲との事情が少し見えるようになっていると思います。
2回に分けてお届けいたします。

ちなみに、このシリーズの登場人物紹介はこちら→→【真シリーズ:登場人物紹介】





「お前、ややこしいことになってるらしいな」
 左耳が聞こえにくいことに、このとき初めて気が付いた。
「北条さん、いつバンコクから戻ったんですか?」
「昨日だ。お前、今どこにいる? 会えるか?」

 一体、この車でどこまで連れて行ってもらえばいいのか悩んだが、取り敢えず大久保町一丁目の交差点に運んでもらうことにした。電話はともかく、いくら何でも、ヤクザの家に横付けは拙いような気がしたのだ。
 それに今、北条仁は屋敷のある高円寺ではなく、事務所のある新宿にいるようだった。

 雨は一段と勢いを増してきた。同時に、身体が沈んでいくような重さに潰される。目を閉じると、意識が半分飛んだようになった。
 気が付くと、車は停まっていた。運転手が大きな傘を差し掛けて、真の座る後部座席のドアを開ける。ドアの側に仁が立っていた。

 朦朧とした真の意識の直ぐ先に、仁のしっかりとした長身の体躯が、雨の中でもくっきりと浮かび上がって見えていた。相変わらずヤクザには見えない色気のある目元だ。顎の張った厳つい顔は、仁がわざと作り上げてきたものだが、さすがに睨み付けられると、誰もが竦み上がるほどの迫力がある。

 仁は真を助けて、抱き起こすように車から降ろしてくれた。そのまま、運転手の差す傘を屋根にして、すぐ後ろに駐車している仁のボルボに移る。
 ボルボのドアが閉まっても、『河本』の運転手は仁が運転席に納まるまでそこに立っていた。ボルボが走り出して直ぐに、視界は全く怪しくなり、バックミラーの中の運転手も乗ってきた車も見えなくなった。

 身体は、倒してもらった助手席のシートで、わけも分からず壊れそうになっている。
「とにかく、親父のところに行こう。大変だったな」
「どうして?」
「馬鹿たれ。俺の耳に、荒神組の奴らがお前を締め上げるって噂が、届かなかったと思うか?」

 仁のいかつく大きな手が額にあたったとき、何故かほっとした。美和の事は、この件が終わるまで目を瞑っていてもらおうと思った。
 仁がさっきの車の件を何も聞かないのは、運転手と仁が何か会話を交わしたからなのか。確認しようと思ったが、半分どうでもいい気分だった。仁のほうが気にしていなければ、どっちでもいい。

「お前、熱があるんじゃないか。一体どんなハッパを吸わされたんだか」
 外の雨のせいで、声は途切れ途切れに耳に届くばかりだった。
「北条さん」
「何だ」
「少し休んだら、車を貸してください」
「どうするんだ」
「行かなければならないところが」
「どこだ?」
「新潟」
「にいがたあ?」
 仁が素っ頓狂な声を上げた。

「その体で新潟だと? 馬鹿を言うな」次の言葉を言いかけた真を仁が遮る。「どうせ行くと言ったらきかないのは分かってるからな。俺が連れて行ってやるから、とにかくまず親父のところで休め。どうせ安もんのハッパに決まっとる。荒神組の奴ら、けちだからな。性質が悪いぞ」
 本当のところ、そう言ってもらうことを期待していた。とても一人で動けるとは思えなかったし、仁という道連れは、望み得るうちで最高に有り難い存在だ。美和の事がなければもっといいのだが、それはもう止むを得ない。

 ボルボは高円寺に向かっていた。高円寺の屋敷に戻れば、仁は未だに坊ちゃんである。本人はそう呼ばれることを嫌っていて、あまり行きたがらないが、義理の父親である叔父の北条東吾を嫌っているわけではない。
 ボルボは大雨の中、大きな門を潜り、屋敷の玄関に横付けされた。さっと車のドアが開けられ、身長が二メートルはありそうな大男が、助手席の真を抱き上げた。

「これはこれは、荒神さんに可愛がられたってぇ」
 仁が直ぐに車から降りてきて、大男に真を預けたまま、自分は先に立って屋敷に入った。
 真は大男に担ぎ上げられるような形で、屋敷の中に入る。
「おかえりなせぇ」
 複数の若い衆の声が、躾けられたコーラスのように完璧に重なって、広い玄関ホールに響く。
 仁は頷いて、それから何やら手際よく命令をしていた。大男は真を抱えたまま玄関を上がる。
「酷え目におあいなすったね」
 労わるように大男は真の背をさすっている。
 ヤクザに労わられると、どうも見栄えが良くないが、大きな男の手は安心感を伝えてくる。

 北条東吾は、今日は出掛けているらしく、真はほっとした。
 東吾は昔気質のヤクザだ。どうやら真の事を可愛がってくれているようで、もしも今の真の姿を実際に見たら、荒神組にお礼参りをしないとも限らない。
 この世界では、面子を潰されることが最も怒りを買い、潰された面子をそのままに置くことは最も恥ずかしいことと考えられている。東吾にとっては、真は堅気とはいえ、店子のようなものだ。

 庭に面した長く広い廊下を通って、真を担ぎ上げたままの男は、奥の座敷まで進んだ。
 座敷では細面の役者のような顔をした若い衆が、布団を敷いていた。大男と役者面の若い衆は真を布団に寝かせると、自分たちの仕事は終わったというように部屋を出て行った。
 二十畳はある座敷のど真ん中に敷かれた布団の上で、立派な天井に横たわる梁を見上げて、真は場違いを感じながらも、もう抵抗する力もなく、目を閉じた。

 正直、限界だった。身体はこのまま自分のものではなくなっていくような気がした。それに、漸く落ち着くと、あちこち酷い痛みが襲ってきた。どこも自分の意思ではどうにもならないような気がした。
 後はほとんど朦朧状態だった。
 何度か人の出入りがあって、医者らしい男が自分を診察しているのと、誰かが着替えさせてくれたのは感じたが、夢か現実か分からない部分もあった。途中で怒鳴り声も聞こえていた。あの太い声は東吾だろう。

 朦朧とした頭は、それでもある部分だけが忙しく働いていた。例の側頭葉に残された映像の再編成能力だったのかもしれない。
 そこには新潟県庁で見た絵だけが、細部まで明瞭に浮かび上がっているようだった。
 レースを編んでいる女性の手元。繊細で想いのこもった作業。
 絵の中の女性のレースを編む手が、いつの間にか絵筆を握る手に変わっている。

 一筆に想いのたけを籠めるように、女の手がキャンバスに向かっている。その傍らに男が立っている。女の仕事を愛しむように、称え、褒め、そして女自身をも優しく包んでいる。女は男を振り返り、ご褒美をねだるように甘える。男は暖かい青灰色の瞳で女を見つめ、その肩に手を置き、優しい言葉を耳元で囁きかけ、そして求められるままに唇を寄せる。

 レースを編む女性が描かれたキャンバスに、重なる影が揺らいでいる。
 レースはベッドの天蓋から揺れていて、その中で男と女は愛しみ合う。男は女を慈しみ可愛がり、女はその思いに応えるようにキャンバスに筆を重ねる。

 額縁。
 丁寧な細工に濃淡が浮かび上がっている。
 十七世紀のオランダのものに相応しいと彼が言っていた額縁。彼はその額縁を、ルネサンス期の天使の絵画から外し、丁寧に磨いていた。彼が作業をする大きな机の上で、いつもは彼の左手の薬指に嵌められている指輪が光っている。
 女が彼の仕事を覗いている。その向こうで、他にも誰かがその作業を見守っている。

 何故、贋作なのだろう。寺崎昂司は「本物はない」と言った。それは、一体どういう意味なのだろう。しかも、絵は二度、日本にやって来た、と。
 竹流や御蔵皐月という女、寺崎昂司、江田島。彼らが関わっていたのは贋作だ。しかし、新津圭一や澤田顕一郎、村野耕治、それに『河本』や朝倉武史が関わっているのは別の何かだ。それが何かで絵に繋がっている。結びつけているキーワードは、地名だ。

 新潟。
 新津圭一の事件は、新潟を出発した何かから発せられているのだ。絵、フェルメールの贋作、贋作としてだけの値段では計れない何か。新津は記者だ。もしも彼が本当に金銭に困って強請りを働いたのだとしても、記者として真実を掴みたいという興奮や欲望に勝てただろうか。新津が欲しかったのは、金ではない、真実なのではないか。そして、そこに澤田や村野という政治畑が介入してくる。

 誰かが何かをすると、勝手に繋がるようになっている僅かな相関関係。それが物事を複雑に見せているだけだとしたら、それぞれにはそれぞれの、小さな理由があるのだ。
 新潟に行こう。やはりそこに答えがあるのだ。竹流は、あの記事から新潟というキーワードを期待したのだろう。しかも新津圭一は新潟の出身なのだ。
 そして、蓮生家のボケたという当主。蔵を焼いた理由は何だろう。彼は何かを知っていて、口をつぐんでいるのか。蓮生千草は、彼がボケたのは蔵が焼けてからだと言っていた。

 不意に唇に生暖かいものが触れた。そのまま、苦い液体が口の中に広がる。
「飲み込め」
 聞こえにくかった左耳のほうで声がしたので、認識するのに時間がかかった。
「なん、ですか」
 喋ったのかどうか自分でも分からなかった。しかし、喋ろうとした咽や口の動きで、苦い液体は食道の方へ流れ込んでいった。朦朧としたまま苦しくて咳き込むと、また暖かいものが唇に触れた。逆らう理由は何もなかった。
 隣の部屋からか、カスケーズの『悲しき雨音』が聞こえていた。

 北条仁に初めて会ったのは、オールディーズの曲を聴かせるライブバーだった。
 仁はヤクザの倅だが、大学を出ている。東吾はもともとヤクザ家業を終わらせるつもりで、義理の息子に教育を受けさせていた。
 東吾自身も戦後の混乱でヤクザ家業に身を落としたが、豪胆で武士道を貫くような性質で、当時関東一円でシマを張っていた大手のヤクザ組織の親分に可愛がられ、盃を受けて、良くも悪くも大成してしまった。

 大学生の頃、北条仁はライブバーでアルバイトをしていた。店の飲食の裏方から、バーテン、そして時には自慢の喉を披露して、そのライブバーを彼自身の経営学で大繁盛させていたという。店に来る女の子も、そして男も彼に夢中になっていた。芸能界からの誘いもあったと聞いている。

 仁が初めての待ち合わせにその店を選んだのは、真に警戒心を抱かせないためだったのだろう。この店に来るときは、女は抜きで来るのだと言っていた。美和を連れてきたこともない、と。
 それが北条仁から自分への誘いだということは、その部分で勘の鈍い真でも理解できた。
 真がその気はないことを告げると、仁はそれ以上しつこくは絡まなかった。

 だが、仁の話術はかなり巧みだった。豪快で、頭の回転の速い男で、豪胆な割には他人の感情を敏感に汲み取る鋭さを持っていて、時には鋭過ぎて相手に突き刺さることもあるのだろうが、周囲の人間が彼と話したがっている気配や視線を、しばしば感じた。
 音楽の趣味を聞かれて、洋楽はさっぱり分からないと言うと、音楽の半分以上を知らないと諭された。
 妹がクラシックをしているので、それは多少分かると言うと、延々とロックンロールやジャズ、ブルースの解説を聞くはめになった。何か楽器をするのかと聞かれて、祖父に指導を受けていて、太棹三味線を弾くというと、それにはえらく興味を示してきた。

 そういう流れのどこで騙されたのか、いつの間にか、仁の持つビルの一室で調査事務所をすることになっていた。
 北条仁が両刀だということは、事務所の開設準備の時には周りから伝わってきた。
 実際誘われたこともあって、真は驚きもしなかったが、別に不快にも思わなかった。そういう人種を目の前に見たのは初めてではなかったし、性の嗜好の問題のうちで、悪いほうに属しているとは思わなかった。
 多少心配したのは、美和のことだった。

 美和は、知ってる、と言っただけだった。男の子に泣きつかれているのを見たことがあるとも言っていたが、もともと自由恋愛、という形をとっている美和と仁の間に、例えばSM趣味があるとか言うわけでもなければ、足枷になる性の嗜好ではないのだろう。
 美和がどう思っているのかはともかく、北条仁はいい男だった。切れ味は鋭く、厳つさを持っているが、竹を叩き割ったような性質は、厭味な部分が少ない。身体も鍛えられていて、気持ちのいい逞しさを持っている。顎の張った厳つい顔つきは、この業界でやっていっているうちに出てきた特質で、飲んで陽気になるとむしろ人懐こい部分さえある。
 
 だが、あくまでヤクザだ。彼らの基準で許せないものは許せない。そこには融通などというものはない。
 一体どのくらい熱にうなされていたのか、目が覚めると、雨音は少し穏やかになっていた。あたりは静かで、音楽はただ雨の音だけになっている。

「気分は?」
 仁に覗き込まれて、真は何とか身体を起こそうとした。仁の手が真を支え、そのまま抱き締められるのではないかと思うくらいの力を感じる。実際には、真の身体がまともに動いていないだけのことだった。
「夜ですか」
「腹は空かないか」
 真は首を横に振った。
「ずっとここに?」
「いや、そうでもない。どうかしたか?」
 聞きかけてやめた。妙な自意識過剰だと自分でも思った。熱に浮かされていたのだろう。

 いつか唐沢に面会に行ったとき、唐沢が真に言った。
『北条仁には気をつけろよ。いつかお前を口説き落とす気だぞ。口説かれてその気になって、ってのなら、まぁ仕方がないけどな。お前の『彼氏』と血塗ろの争いになったら、お前さんだって困るだろ? もっとも、あぁ見えて、あの男は強姦をするタイプじゃないからな、それに酔っ払わせて襲うという手も使わない。何故なら、ちゃんと気持ちもモノにしないと納まらないタイプだからよ。お前さんの方から足を広げて誘うように、じわじわ攻めて来るんだよ』
 そういうことを、刑務所の面会で、方向は異なるが怪しいことにかけては北条仁にも引けを取らない唐沢に言われても、どう信じればいいのか、と思う。

「さて、夜のうちに抜け出すか。明日になって親父がお前に話を聞きたがる。聞いたら最後、お前を舎弟の一人のように思っている親父は報復に出る。そうなると、ややこしいからな。今から出れば、朝には新潟に着く」
 仁に助けられて立ち上がった。ふらついたが、支えてもらっていれば、何とか身体は動いていた。

 不思議に思うのだが、例えばこうして支えられて歩くときにも、仁には完全に身体を預けてしまえるような何かがある。ヤクザにそういうものを感じるのはどうかと思うが、唐沢が北条仁に気をつけろと言った意味が、こういう部分では納得がいくのだ。そういう相手の身体の反応を、恐らく仁は感触で嗅ぎ分けている。
 自分がしっかりしているときはいいが、こうやって弱っている時には、確かに危ない。

 玄関口では、あの大男が待っていた。
「お気をつけて」
「親父には上手く言っといてくれ」
「わかっとります」
 阿吽の呼吸で会話を交わすと、大男は仁にボルボの鍵を渡した。真は大男に支えられて、再び車に乗り込むことになった。




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Category: ☂海に落ちる雨 第3節

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【雑記・旅】大分・安心院・鏝絵劇場 


安心院と書いてあじむ。
大分の宇佐市にあります。古代には渡来人の阿曇族が住んだ国。
そして、隠れてパワースポット、古代の息吹を感じさせる霊地として松本清張氏が戦前から何度も訪れていたということです。

その町には謎のストーンサークル・佐田京石があり、古事記や日本書紀にも記されている足一騰宮を祀る妻垣神社があり、そして鏝絵があります。周囲には石橋や滝がたくさんあり、
併せて、ここのJAで買った葡萄がものすごくおいしかった!

今回はその中で鏝絵をご紹介。
とは言え、JAの葡萄に時間を取られて、鏝絵の全てを見ることは出来なかったので、一部です。
街に集まっているところもありますが、結構民家も点在しているので、見て歩くには少し時間が必要ですね。
まずは観光協会(と言っても、とても小さな平屋の建物)で情報を集め、近くの本町通り鏝絵通りへ。

鏝絵というのは、土蔵や家の戸袋などの平らな面に塗られた漆喰の壁面に、鏝を使って盛り上げた彩色漆喰で描いた絵のこと。
一般に広まったのは江戸時代、全国に見られるようですが、ここ安心院では明治時代から盛んになったようです。
ただ、もともと色々な町で見られた鏝絵も、古い建物の取り壊しなどで、実際に見られる場所は少ないようですね。
漆喰に細かくした麻や藁を混ぜ、練り上げたものを材料にして、赤・黄・青などの色は大和絵に使う岩絵の具を使うのだそうです。その他、龍などの目にはガラスの内側に金や銀の紙を貼ったり、髭には銅線、釣竿に竹、などいろいろな素材も利用しています。

というわけで、鏝絵劇場。お楽しみください。
あ、この街の案内看板。
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ここには、「うなぎえ」ではありません、「こてえ」です、と書かれていました^^;
確かに、魚偏と金偏の違いで、ぼ~っと読んでいたら間違えちゃいます。

さて、冒頭の家は重松家別邸ですが、1階にはどかんと富士山です。そして2階には虎。
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こちら、アップにしてみましょう。
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盛り上がった漆喰の上に重ねられた岩絵の具がよく見えます。製作過程が見えるので、ちょっと面白いですね。
こちらの家の脇にはこの龍が。
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全て明治時代につくられたものです。

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こちらも明治時代のもの。三番叟のパロディ?
大黒と恵比寿と鯛。

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またこんな風に、古い家の軒先に……
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まるでギャラリーみたいに古い鏝絵が並べられていました。
もしかすると、もともとどちらかの家にあったものが、家屋の取り壊しなどでこちらに置かれているのでしょうか。この招き猫などは、人間と同じくらいの大きさがあります。
文様のようなものもあるし、絵画のようなものもあります。左官さんの意気込みが感じられますね。
これらは、左官さんが家を完成させるまでにお世話になったお礼としてその家の人にプレゼントしたものから、施主さんが左官さんに招福避邪を願って依頼したものの両方があるようです。

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一富士二鷹三なずび。富士は、光の加減で見えにくいのですが、枠にあります。なすびは鷹の足元にぶら下がっている。
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竹に虎。別の方の家からもらいうけて、使っておられるものもありました。

そして、こんな風に家の職業をユーモアとともに表したものも。
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大黒様とクボタエンジン。ちなみにある農機やさんの仕事場の壁です。
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印刷屋さんの鼠とインク。干支のものは、その家の御主人の干支を表していたりするようです。
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こちらはある旅館のもの。滝と鯉とすっぽん。
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こちらは洋服屋さん。平成の作品で、若い作家さん、そしてお弟子さんの鏝絵作品も展示されています。

まだまだあちこちに点在しているようで、写真集を買いましたが、結構バラエティに富んでいて、ユーモアもあって、工夫もあって、そして何よりも古い時代のものから、最近の作品まであることが素晴らしいですね。
美術館にあるものではなくて、そこにあるもの。
それが魅力的なのかもしれません。

どこかで見かけたらぜひ、じっくりとご鑑賞ください。

さて、次からはいよいよ、石紀行に参ります。
まずは、佐賀の巨石パークをご紹介する予定です。

Category: 旅(あの日、あの街で)

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