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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨86] 第18章 その道の先に(1) 

【海に落ちる雨】第18章です。
蓮生千草とのシーンですが、彼女はまだ事件の核心に触れてくれるわけではないようです。
しばらく謎解きをお休みして、古い一族の終焉を迎える、異国の血が混じった女のイメージをお楽しみください。

この次からは、真の長い回想コーナーです(多分3回に分けてお送りします)。
まともな文芸作品ならやってはいけないことをあれこれ、好き勝手にやっております。
ブログのありがたみを感じます。
回想コーナー、特に人物の来し方を感じられるようなエピソードはとても好きなのですが、本筋から離れるので鬱陶しいと思われる方もいるだろうと思います。
でも、この話は過去のあれこれの感情が今に繋がっているので、開き直って回想シーンを入れているのです。
そう、以前お断りした、ちょっと公開しにくいシーン(の一部)なのですが、引かないでやって頂けたら嬉しいです。
(あ、次回予告になっている)




 上蓮生家に着いて、門を潜りながら、真はふと屋敷の全景を見渡した。勿論、広すぎて見渡せるわけではないのだが、下蓮生家よりも敷地も広く、庭も大きい。ただ、手入れの行き届いた下蓮生と異なり、自然の風景、植物を生かしたままの姿が目立っている印象があって、英国の庭園を彷彿させる。

 建物と門だけは純和風だが、屋敷内は比較的垢抜けて洋風だった。
 当主の千草の好みなのかもしれない。調度は古いが、全体には機能的で現代的なインテリアも目立つ。
 千草が真と仁を招き入れたのは、以前に真と美和が案内された洋風の応接室だった。

 ソファを勧めるなり、千草が言った。
「お顔の色が優れませんわね」
「いえ、大丈夫です」
 真が返事をすると、千草は少し微笑んでみせた。信じていない、という顔だった。

「それで、親族会議とやらはどうなったんだ? あんたとこの跡目を決める会議だったんだろ」
 仁が遠慮なく聞いた。相変わらず、今日出会ったばかりの他人と交わす会話に相応しい口調ではないが、厭味でない印象は一体どこで身に付けてきたのだろう。
 千草は驚いた顔もせずに、僅かに唇の端を吊り上げるようにして笑ったように見える。
 誰が何を知っていても、何を言おうとも、彼女の存在は揺るがないというような凛とした気配が漂っていた。

「ま、部外者に話すことでもないだろうけど、あんたとこの絵のせいで、こいつにとって大事な人間が行方不明だ。少しはそっちにも責任がある話だからな」
「別に構いませんわ。弥生さんから何か聞きだされたのでしょう? 蓮生には時政の息子以外、他に親戚の男子はおりません。女子はおりますが、嫁いでいるか、あるいはまだ小さい子どもだけです。蓮生家の血を曲がりなりにも繋いでいくためには、時政の息子でなければならないと、一族の者はそういう考えなのですわ。でも、時政の息子が特殊な性の嗜好を持っていることを認めさせました。だから、養子にはできない、と」

 もっとも、千草は言外に、それは口実なのだという気配を漂わせていた。本当は性の嗜好など、彼女にとってどうでもいい理屈なのかもしれない。
 千草は仁に煙草を勧め、真にも差し出した。真はさすがに断った。千草は自分でも一本、煙草を咥えて火を点ける。
「しかし、そうなると、千草さんの後は誰もこの家を継がないのですか」

 千草は穏やかに微笑んだ。
「今では上蓮生に残るものはこの土地くらいなものです。でも、こんな田舎では二束三文ですわ。大した生業もありません。この家の歴史が終わるのも時間の問題でしょう。それが今であっても、問題にはなりません。もっとも、下蓮生にはあのろくでもない男がおりますし、今この時に、蓮生家が全て終わってしまうというわけではありません。好きに食いつぶして恥を晒していけばいいかもしれません」
「あなたは、蓮生家が滅びることを希望しているのですか」
 千草は煙草を吹かして、それから赤く艶のある唇で微笑んだ。

 大きな窓と濃い緑色のビロードのソファを背景にした異国の血を引く女性は、和装のままだったが、この世のものとも思えない空気を背負っている。もっとも、それは儚さからではなく、逆に、この世のうたかたを思えば、強く確かな根拠を持って存在しているように見えた。存在の確かさというものは、実在しているか幻であるかということを超えたところに、その根拠があるようだ。
「いいえ、私が希望しているのは、正しい生き残り方ができるかどうか、ですわ。あるいは正しい終わり方と言うべきかもしれません」
 この女性は実に誇り高い人間なのだと思えた。

「下蓮生のご主人にも、そう仰ったのですか」
「そうね、そのようなことを言ったかもしれません。あの男はボケたふりをしていますけど、なかなか強かな男です。蓮生の男は、ああいうタイプが多いのかもしれません」
 千草はそう言って、煙草の灰を落とす。微かに俯いた時、はらりと頬に髪が落ちた。
 和装に煙草。上層の人間には似合わない姿だが、何もかも千草の手にかかると悠然とした絵になる。

 その時、不意に、蓮生千草が北条仁に向けた視線に、真の方がどきっとした。明らかに女が男を誘う目だと思った。しかも、仁のほうもそれを受け止めている気配がある。
 美和は自分の女だと真に凄んでおいて、平気で別の女とこういう視線を交わす。それどころか、真にも五年で落とす、などと言いながら、その目の前でこういう露骨な態度を示す。やはり北条仁はわからないし、恐ろしい面がある。
 一緒に来てもらったのが正解なのか、不正解なのか、分からなくなってきた。

 応接室は決して狭いわけでもなかったのに、仁と千草が吸っている煙草の煙で気分が悪くなってきていた。自分も煙草を吸うのに、今はその煙が気持ち悪い。
 幾らか意識が曖昧になっているのは感じていたが、それをここで晒していいものかどうか、辛うじて保っている思考は、警鐘を鳴らしているようだった。

 千草がお手伝いの女性を呼んで、シャンパンを用意させていた。酒、という時点で、千草が今日真たちをここに泊める気であることを示しているのだろうが、それをどう考えるべきかわからなかった。
もしかして本当に蓮生千草のほうも、北条仁との一夜を求めているのだろうか。
「お食事、食べられますか?」
 穏やかな年配の女性が真の横から、心配そうに語りかけた。
「あ、いえ」
 どう答えるか、躊躇っていると、仁が口当たりのよい果物か何かないか聞いてくれた。

 まだ夕方になるかならないかだが、食事の準備ができたと言われて、座敷に誘われた。千草も一緒に席を暖め、いつの間にか日本酒を振舞われていた。
 仁と千草は、この場にそぐわないほどの朗らかな笑いを交えながら、世間話を淡々と続けている。真は何とか苺や甜瓜を口にして、あとは半分朦朧とした意識のままで何とか座っていた。

 話題は蓮生家の起源の話になり、源義経説や奥州藤原氏説や羽黒山山伏説が紐解かれていった。眉唾なのが面白い、と仁は笑っている。富山の薬売りとも交流が深く、色々な薬類が伝わっている、しかも薬の材料を大陸から仕入れて大もうけをした時代もあったようだという。龍の鱗とか、麒麟の鬣とか、河童のミイラとか、とにかくあり得ない薬の材料が蔵に眠っていた、とも。
「そう言えば、蓮生に古くから伝わる薬湯があって、万病の回復に効きますのよ」
 時々、仁が真の具合を気に掛けるからか、千草はそう勧めた。

 湯飲みに入った薬湯は、確かに身体には良さそうだが、口当たりは極めて具合が悪い代物だった。それを飲んだら精力がつくのか、と仁が千草に聞いている。そのようですわね、と千草が答えると、仁が、俺も貰おうかなと呟いている。あなたの場合は精力がつきすぎたら何をするか分からないからだめだ、と真が言うと、千草がくすくすと笑っている。
 千草にも、寛いで穏やかになっている気配があった。

 親族会議からも、固執していた蓮生家の存続問題からも切り離されて、あるいは蓮生千草は久しぶりに一人の女として会話を楽しんでいるのではないかと、そう思えた。それを作っているのは、話術もムード作りも満点の北条仁だった。この男はヤクザでなければ、水商売にしっかり向いている。新宿でも、北条仁と寝たいと思っている女も男も数多いると聞いている。しかも、一度で捨てられてもいいから寝てみたい、というような話だ。

 世の中間違っていると思うが、そう思う人間がいるのは分からなくない。蓮生千草も、仁から特別なムードを感じ取っているのだろうか。それとも、本当にただ、久しぶりに土地のものではない人間と、しかも会話のテンポが非常に心地よい男と話して、打ち解けて癒されているのだろうか。

 真は勧められて風呂を使わせてもらった。仁が一緒に入ろうか、と言ったが、断った。今、仁が蓮生千草を口説くのに一生懸命で、自分に手出しをしないと思っても、仁と一緒に風呂に入るのはやはり困るような気がした。
 風呂場に行って、自分の選択が正しかったことを確認する。

 所謂、五右衛門風呂だった。狭いし、一緒に入るような場所でもない。真は、風呂の広さとは不釣合いな広い脱衣所で服を脱ぎ、全裸になってから改めて自分の身体を見た。
 薄暗い裸電球の脱衣所は、ゆうにそれだけで六畳はある。雨の日の物干しも兼ねているのだろうが、機能の割に広すぎる空間は薄ら寒い気がした。

 身体にはあちこちに痣がひどく残っていた。赤味がかった色が青く変わってきているが、まだ腹や足に腫れが残っているところもあった。あまり真剣に見ないほうがいいと思いながら、タオルを一枚手に洗い場に入る。
 風呂の中は一段と暗かった。桶に汲んだ湯を体にかけると、本当に飛び上がるほど傷が痛んだ。身体を洗って、試しに少しだけ湯舟に身体を沈める。

 あまりの痛みに強烈な熱さを感じたが、暫くするとそれも去っていった。思ったほど湯は熱くなかった。
 深い湯舟でぼんやりしていると溺れてしまいそうだな、と思い、何か気が紛れることを考えようとしたが、思いつかなかった。ふと、今日仁に触れられた自分のものを軽く握ってみた。軽く扱きかけて、何を馬鹿やってんだろうと思った。気が紛れるわけでもない。やはりあの薬湯くらいで本当に精力がつくわけでもないらしい。それどころか、逆に気だるい気分になってきた。溺れる前に上がったほうがいいと思って、立ち上がった。

 案の定立ちくらみがして、思わず湯舟の縁につかまる。それから、ゆっくりと洗い場に出て、固く絞ったタオルで身体を拭いた。
 脱衣所に出ると、バスタオルと浴衣が置かれていた。
 もう一度身体をバスタオルで軽く拭いて、浴衣を手馴れたように着ていると、お手伝いの女性が入ってきた。

 御手伝いしなくてもお上手に着る、と彼女は感心してくれた。祖母に教えられて、着物は一人で着ることができると言うと、お若いのに感心、と褒められた。
そのままその女性が離れに案内してくれる。

 離れは母屋からは少し歩かなければならなかった。母屋から渡り廊下が続き、一旦履物を履いて、飛び石を辿る。数十メートルは離れているようで、母屋の気配は何ひとつ伝わってこない場所だった。
 玄関と思われる扉の上に明かりが点っている。
 扉は引き戸で、小柄な年配の女性は力を込めて開けた。ごろごろという重いものを引きずる音がする。玄関のたたきは思ったよりも広く一間はありそうだった。そのままの広さの廊下が続き、右手に襖が並んでいる。

「随分重そうな扉ですね」
「へぇ、何でも昔は蔵だったそうです。蓮生にはいろは蔵があったと言いますからねぇ」
「四十八の蔵ですか」
「そうです、ご存知ですか」
「民謡にそういうのがあります」
「あら、本当にお若いのに」
 年配者にそう言って褒めてもらうのは悪い気がしない。多分、自分がお茶のお手前ができることや三味線まで弾くことを知ったら、この女性はもっと感心してくれるのだろう。

 廊下の板敷きの先には手洗いがあると教えてもらった。その先が右手に折れて、階段になっている。
 先は真っ暗だった。廊下の手洗いの側だけ、出入りができるように勝手口あるいは掃き出し口になっているようで、引き戸になっていた。ガラス張りで一応外が見えているようだが、暗くて景色までは分からない。
 廊下には腰の高さよりやや低いところから頭の上までの程度の窓が並んでいて、外側に向けて、重い壁がそのまま切り抜かれた扉のような雨戸が開かれている。
「蔵でしたんで、二階に上がれるようになっているんですけどね、お蔵は空っぽだってことですよ。おっかなくて、誰も確かめませんけどね」

 案内された部屋は、蔵が改造されたにしてはきちんとした造りの和室だった。
 部屋には穏やかに電気が点っていて、暗くはなかったが、しっとりと沈むような色合いに見える。布団が二組敷かれていて、頭の方に寄せられた座敷机にポットのお茶と湯呑みが用意されていた。床の間もあり、きちんと季節の花が生けられているし、松の掛け軸も下がっている。

「ごゆっくりお休みください。枕ものとの電話はインターホンですから、御用があればお呼びください」
 旅館みたいだな、と思いながら、さすがに疲れていた真は直ぐに横になった。布団の中はヒヤリとして冷たく、気持ちがよかった。
 仁はここで寝ないだろうな、と思いつつ、隣の布団を見た。千草と仁が今夜をどのように過ごしても勝手なわけだが、何となく納得がいかない気もした。
 何より、仁は美和のことで真を随分脅したわけだし、その日のうちに他の女を真の目の前で口説いて寝るというのは、ひどい話に思える。

 美和は今頃どうしているのだろう。仁が帰ってきたことはまだ知らないだろうし、九州から帰ってきたかどうかも分からない。三上のところに連絡を入れていないことが気になったが、事務所に電話したときに美和が帰っていたなら賢二がそう言うだろう。
 考えてみれば、自分と美和の間の事は、決してけりがついたわけではない。仁に何と話そうとも、美和自身と話さない限りは、はっきりとこれからのことが決まったわけではないはずだった。美和はまた、犬猫じゃないから勝手に持ち主を決めるな、と言いそうだ。

 身体が重いのに、眠れない。本当に精力のつく薬湯だったのかも知れない。何度か寝返りを打った。だるいのに眠れないというより、だるすぎて眠れないという嫌な感じがする。アドレナリンが過剰分泌されているのだろう。
 電気を消そうかな、と思ったが、昔の癖で何となく天井の染みを見つめていたくなって、消さなかった。板の天井には染みはなかったが、木目の文様が水の流れのように、始点も終点もはっきりしないまま泳いでいる。

 彼がいなくなって一体何日経つのだろう。それほど経っていないのか、随分経ったのか、数えられない。何日、というレベルの話だろうに、もう次元が切り離されたくらい遠く感じる。それと同時に深くなっていく、この自分自身の存在の危うさは一体何だろう。
 あの男に支えられていた相川真の命は、支えがなくてもこの世に存在し続けられるほど堅固なものではない。彼が生きていなかったら、自分も消えてしまうような気がしていたが、離れているだけでも自分自身の姿がこの世から薄くなっていく。

 そう、明らかに、自分は一度死んだ身なのだ、と思った。





次回からの回想シーンは、真が大学の受験を控えていた時のエピソードです。
多分、予想されていてることだとは思いますが、主人公二人には特別な関係があります。
でも、よくあるその道のカップルのような、つまり男女関係に置き換えられるような関係ではありません。
それを言葉で説明するのは難しいです。

美和曰く、「2人の関係を兄弟か親子か恋人かと聞かれたら、一番近いのは親子」という部分もあり、それ以外の感情ももちろんあり、ついでに言えば、敵対の気持ちさえもある。
したがって、ラブストーリーは期待しないでくださいませ。


*詳細はこちらの回の『追記』をご覧ください→カミングアウト
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Category: ☂海に落ちる雨 第3節

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【石紀行】11. 熊本:拝ヶ石、とおまけの古墳 

 
さて熊本市から海側(西)へ30分ほど行くと、金峰山という山があります。
熊本市を見渡せる展望台はなかなか良いそうで、夜景も楽しめるようです。
その周囲には夏目漱石にまつわる名所がいくつかあります。

『山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い。』

大好きな『草枕』の冒頭なので、たくさん載せてしまった。
この「山路」=鎌研坂があるのがこの金峰山の周囲です。
石畳の道というのがあって、草枕ハイキングコースと言われています。熊本と高瀬(玉名)の町を結ぶ往還(幹線道)で、当時の面影を残しているそうです。
時間がなくて、この道に行くことができなかったのですが、上の写真の道を石畳に変えて、そして道の両脇の木を竹に変えて想像してください^^;

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路は途中からこんなふうに階段を上っていくことになります。
15分ばかりひたすら登り続けるのですが。
実はこの日、熊本の少し北にある山鹿温泉に泊まることになっていて、しかも熊本城で遊びすぎて(楽しかった熊本城→熊本城の記事)、時間が無くなっておりました。
でもここまで来たのだから、と必死で山の中へ。

書くのは簡単ですが、例のごとく「拝ヶ石」とナビに入れても、連れて行ってくれるわけではなく、地図を頼りに、後は動物的感で、工事中とか迂回しろという看板を潜り抜け、たどり着いたのはもう夕方。
迷っている暇はない、というので、その辺の山道の適当な場所に車を残し、この道を登って行きました。

ここほど、蚊の大群に襲いかかられた場所はありませんでした。
夕方、蚊の大群、条件が最悪で、結構写真のピントがぶれていますね……少し写真が見にくかったらごめんなさい。
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この登り口さえ発見できれば、後は登るだけです。行きましょう!
途中、道から少し奥に入ったところに、ゴロン、と石がひとつ転がっています。
DSCN2255_convert_20131102082459.jpg←ちょっと道から離れている。
方位石』と言います。
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説明文には以下のようにあります。
「この石は三の岳と拝ヶ石を結ぶ線上にある。表面にはレリーフ状の模様と、星座を思わせるペッキング穴があり、強烈な磁気異常もある」
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さらに登って行きます。
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路が階段に変わるところに杖が置かれています。
頑張って登るところは省略します(^^)
止まったら刺される!というのはここでも炸裂。頑張りました。既に夕暮れで、暗くなる前に降りなくちゃ!
というわけで、途中経過を省略します。
階段が途切れると、間もなく、拝ヶ石です。2連発でどうぞ。
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小さな祠の右側には、このような、かの巨石パークの『龍の石』みたいな巨石が、山を這い登っています。
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祠の左側には石が並んでいます。
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ところで、この裏側に回ってみると……石がゴロゴロ。
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本当ならこれらの石の上に座ってくつろぎたいところですが、蚊が……蚊が~~~!
というわけで、急いで山を降ります。

拝ヶ石巨石群。
説明文は以下の通り。
『巨石文明の遺跡ではないかという説もありましたが、その後の調査で中世の宗教遺跡ではないかと考えられています。最近、巨石の表面にペトログラフと言われる古代文字が刻まれていると一部の研究者の間で話題になったり、磁気異常が発見されるなど、神秘的なスポットとして注目を集めています』
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上は、階段から石が見えた瞬間。

いかにも、急いでいるような記事ですが、夕暮れで、妙な時間に山の中にいると危ないと思ったので、本当に急ぎ足になっちゃいました。
でも、ここ、パワーを感じます。確かに何か『中世的な』ムードが感じられるかも。
呪術とかしていたとしてもおかしくない感じで、あえて言うと、京都の貴船神社の原始版みたいなムードです。
行ってみると、何かの力を感じるかもしれません。
できれば、秋がいいですね! 夏は~~~(V)o¥o(V)

このさらに上の頂上にも石があるようですが、時間がなくて上がれませんでした。
またゆっくり、草枕の世界に浸りに来ることにしましょう。
いずれにせよ、熊本にはまた絶対に行くことになるのですから。


さて、おまけです。
九州には、装飾古墳と言われる古墳がものすごくたくさんあります。全国で800基ほどの装飾古墳のうち半数が九州にあり、しかも熊本県にかなり集中してあるようです。
古墳の内部の壁や石棺に浮彫、線刻、彩色などがあるものを総称してそう呼ばれているのです。
今回、昨年来たときには入れなかった(月曜日で博物館がお休みだったので)『チブサン古墳』を見てきました。
この古墳を見せていただくには、山鹿市立博物館に申し込みます。当日でOK。
1日に2回、指定された時間があります。その時間に行けば、案内してもらえます。
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この扉の向こうが、狭い石室に繋がっています。
もちろん、撮影は禁止なので、外にあるレプリカをご覧ください。
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目の前にあるわけではなくて、ガラス張りの向こうの遠くの方にあるので、クリアに見えるわけではないのですが、しかも天井が低くて屈んでいなければならないし、見える場所に立てるのは(座れる?)せいぜい一人。
大人数ならじっくり見ることは叶わないと思いますので、平日はお勧め。
この左端の方にあるのものが女性の乳房に似ているというので「チブサン古墳」と言われているのですが、わたしには目玉に見えます。
もちろん説は色々あって、それもまた楽しいですね。宇宙人みたいなのと星らしい丸も描かれています。
装飾古墳の中は赤く塗られていることが多くて、これは再生の色、つまり子宮の中の色をイメージしているようです。
同じように赤のイメージを再生に結びつけているのは、マルタ島の地下遺跡にも見られます。

九州では装飾古墳を巡るツアーが春と秋の季節のいい時に行われています。
すぐ人数がいっぱいになる人気のバスツアーで、この時しか公開されない古墳がたくさんあります。
妙な季節に開けると、中の装飾がダメになってしまうからのようですが、いつかこのチブサン古墳も、年に数回しか見られなくなるのかもしれません。

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九州の古墳には、周囲に石人と言われる石造彫刻が飾り立てられていたと言います。
埴輪のでっかいものみたいなのでしょうか。
阿蘇溶結凝灰岩を材料として作られているものが多く、もともとは彩色もされていたようです。
古墳を守る兵士です。中国の兵馬俑みたいですね。
これはもちろん、公園の目印に立てられている石人のオブジェで、後ろ姿ですけれど、風景に溶け込んでいい感じです。

ここは熊本県の菊水にある肥後古代の森です。
公園の中には古墳や、貝塚の遺跡、古民家の村などあれこれ雑多なものが。
そのうち、江田船山遺跡には入ることができます。
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実は江田船山古墳って、皆さん、一度は目にしているはず。
江田船山古墳出土の大刀に象嵌された文字がわが国で最初の漢字使用例として取り上げられていて、教科書に出てきたはずなのです。
(今では、日本における漢字の歴史はもっと遡られています)
中はこんな感じ。勝手に扉を開けて入ることができます。
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微かに、赤い色が残っているの、見えますでしょうか。
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ほんの少しだけ残った古代の色。ちょっと感動的だと思いませんか。
やはり、古墳、石棺の中では、赤という色に再生への願いが込められていたのですね。

寄り道しましたが、次回は大分の安心院に参ります。
そう、鏝絵のあった村です。そこに、ストーンサークルがあるのです。

Category: 石の紀行文(写真つき)

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