01 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.» 03

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【短編】明日に架ける橋(前篇) 

前後編で短編をお届けします。
題名が思い浮かばなかったので、適当につけました。
なぜこんなタイトルになったかということは、明日の後半の後で……

この話には元ネタがあります。
世界仰天○○という番組で、金持ちで脊髄損傷の男と、失業保険を手に入れるために判子だけをもらいに来たのに介護人として雇われてしまった男の友情物語をやっていました。あまりにも綺麗な話で、確かに仰天物語だったけれど、そんなにきれいにまとめていいのか、現実はもっと色々複雑じゃないの~??と思ったら、天邪鬼物語が生まれていました。

今日明日、ちょっと毛色の違う物語をお楽しみください。



 ムスタファは16の時に故郷のラバトからパリにやって来た。6人兄弟の3人目で、両親とは特別に上手くいっていなかったわけでもない。ただその年になって故郷で仕事を見つけることが難しいと分かったので、よくある話だが、都会に出れば生活は今よりもずっと刺激的で良くなるのだろうと信じて、知り合いの伝手を頼って来たのだ。
 だが、これもよくある話だが、ムスタファが求めるだけの報酬を得ることができるような仕事が、簡単に見つかるわけではなかった。

 始めこそ、それなりに志を持っていたムスタファも、20歳を越える頃には既に10以上の仕事を転々としていた。田舎と違って都会には驚くようなタイプの仕事があり、上を見なければ何とか生活ができた。結果として、故郷に自慢できるような財産もろくな人間関係も手に入れることはできなかったが、25を越える頃には悪知恵だけが見事に身についた。汗水たらして日銭を稼ぐことが馬鹿らしくなり、30を越える頃にはいっぱしの詐欺師になっており、雇い主や社会を欺きながら生きることに妙な自負心さえ感じていた。

 身長は180センチメートルを超えていて、肩幅も大きく、腕も太かった。肌の色は褐色で髪は縮れた黒、目の色はハシバミ色だった。20の時に勤めていた工場で、誤って万力で潰してしまった左手の小指だけが役に立たなかったが、それ以外は見事に健康だった。一見、如何にも恐ろしそうな外見でありながら、笑うと子どものように純真に見えた。少し付き合うと、恐ろしい外見は頼もしさと映るようになり、親しみを感じる頃には騙されている、という具合だった。

 ムスタファはビジネスのパートナー、つまり騙す相手として、身分があって、孤独で自尊心が強く頑固な老人を選んだ。何故なら、彼らは騙されたと気付いても、自分が騙されたことを世間に知られたくないので、警察に届け出たり裁判所に訴えたりする可能性がほとんどなかったからだ。結果、ムスタファの犯罪ともいえる詐欺が露見する可能性は極めて低かった。

 まず被害者となるターゲットに近付き、信頼を勝ち得て、時には慈善事業を持ちかけ、時には新しい信仰を勧めた。つまり健康信仰や長寿信仰といったものだ。
 しかも、ムスタファが被害者たちからせしめる金額は、彼にとっては数か月を遊んで暮らせるほど有意義なものだったが、被害者にとってははした金に過ぎず、財産がひっくり返るわけでもなかったので、腹を立つものの、ちょっと悪い夢を見たと思ってやり過ごせば済む程度だった。

 ムスタファにとって故郷は遠くなっていた。被害者たちから騙し取った金で故郷に帰るチャンスはいくらでもあったが、いつも賭け事や女に使い切ってしまった。そんな生活を不自由だとも惨めだとも思っていなかった。

 今度のムスタファのターゲットは、以前は有名な俳優だったセバスチャン・ティボーだ。長身でクールで甘いマスクの持ち主は、40代前半で芸能界から身を引くまでは女が切れることはなく、4度結婚して4度離婚していた。貴族の家系で、北アフリカで搾取した財産が唸るようにあり、離婚の度に相手に家屋敷を与えるほどだった。子どもはいなかったが、愛情を注ぐものは幾つも持っていた。バイクとスポーツカーとセスナを愛し、クルーザーを操縦し、羽振りのいい頃にはカジノを買い取ったという話もあった。

 だが、50歳を過ぎた今、セバスチャンはパリ郊外の広大な敷地にひとりきりだった。4度目の離婚の前に、スカイダイビング中に事故に遭い、脊髄損傷のため首から下が全く動かなくなっていた。
 もともと信頼できる人間に囲まれていたわけではない。華やかな世界に生きていたが、彼の栄光や財産のおこぼれに与ろうとする者ばかりだった。城のような家に住んでいたが、介護人なしでは生きていくことができなくなり、誰もが自分の財産を狙う悪党に見え、気難しくなり、他人を自分と同じ種類の人間とは思わなくなった。

 セバスチャンの介護人は1週間ごとに代わっていた。彼は秘書代わりに役所の福祉課の事務員をこき使った。ろくな介護会社を紹介しないと言って、唯一自由な口で相手を罵り倒した。やがて役所も彼を相手にしなくなった。
 そこで、セバスチャンは財産管理を依頼している弁護士を通じて介護人を募集し、1週間こき使っては解雇した。どれほど高額の給料で破格の待遇でもあんな職場はごめんだと、解雇された介護人は口をそろえて言い切った。

 ついに国中の介護人からそっぽを向かれ、セバスチャンの弁護士、ミシェル・ランボーも呆れ果ててしまった。
 ランボー家はミシェルの父親の代からティボー家の弁護士を務めてきた。父親の遺言もあり、まだ若い女弁護士としては随分と我慢強く、この偏屈な男の法的な援助をしてきたが、さすがに1週間おきに新しい介護人の斡旋をすることに疲れてきた。

 1週間ほどしか持たないのだから、介護士の資格を持っている必要はないと考え、面接をして適当に雇うことにした。四肢機能は全廃で、内臓にもしばしば障害を来たし、時には排尿障害で入院を余儀なくされるセバスチャンには同情の余地があると思ってきたが、正直なところ、彼の偏屈さと頑強さにはほとほと疲れ果てていたのだ。

「介護士」という縛りを外した途端に、もと有名俳優のセレブな生活を覗き見たいという有象無象の連中が面接にやって来た。彼の大ファンだったという女性も多く訪れたが、身体の全く動かないセバスチャンを世話するのに、女性は不適切だった。ためしに腕力のありそうな女性を数人雇ってみたが、案の定数日で腰を悪くした。結果として対象は男性ばかりになった。

 セバスチャンの介護は、住み込みで24時間の勤務だが、法律に則った休みは保障された。住まいは広大な敷地内にある本棟の隣の棟で、小さいながら豪華な別荘のようだった。掃除や洗濯、食事は他に女中がいるので、一切構わなくてもいいことになっていた。
 ミシェルは始めこそ、せめて人の好さそうな人間を選んでいたが、彼らが1週間後には傷つき疲れて、契約を白紙に戻したいと言ってくる姿に心を痛め、そのうちセバスチャンを踏みつけるほどの悪人を雇いたいと思うようになった。体格が大きく力がありそうなら尚良かった。

 そして、面接の席にやってきたムスタファ・ラムジを見た時、ミシェルは一目で彼を気に入った。身体は大きくて厳つく、いかにも腕力自慢で、ハシバミ色の目は優しそうだったが、多くの犯罪者を見てきたミシェルは、彼の剣呑さを嗅ぎ取ることができた。一応経歴を確認すると、その胡散臭さと言ったらこれ以上ないくらいで、大いに彼女を喜ばせた。そろそろ一度くらい、頑固で高慢ちきなセバスチャンが鼻を明かされるところを見たいと思っていた。

 ムスタファには介護の経験など全くなかった。セバスチャン・ティボーの介護人として雇われるには、財産管理人兼後見人となっている女弁護士を懐柔する必要があるだろうし、いささか手こずると思っていたので、いささか拍子抜けしてしまった。1週間ごとに介護人が首になっていることは聞いていたので、心を閉ざしてしまった哀れな元セレブ俳優の相手が勤まる「人徳者」がついに自分以外にはいなくなったのかもしれないと思って、ほくそ笑んだ。
 ムスタファには自信があった。悪事のためならどこまでも我慢強くなれる、ということに。

 初めて自分の住まいとして与えられる別棟に案内された時、ムスタファは小躍りした。
 こんな立派な屋敷を訪問することはあっても、住むことになったのは初めてだ。
 掃除も洗濯もしなくていいし、衣服も見苦しくないものを与えられた。食事に困ることは一切なかった。ベッドはアンティークで高級感漂う設えに、最高の寝心地を保障する最新のマットレスを置いてあった。一晩寝ると、数十年分の肩の疲れが取れたほどだった。枕の値段だけでも普通のサラリーマンの1か月の給料ほどもすると聞いて、驚くよりも呆れた。休みの日にはサンルームで一人で豪華な朝食を楽しむことができ、ゆったりと寛いだ後は、彼のために買ってもらったシトロエンで町に出ることも許されると説明を受けた。

 仕事のほうは噂通り最悪だった。
 セバスチャンは最低最悪の雇い主だった。24時間勤務とは言え、夜は自分のための別棟に帰ることができると聞いていたが、実際にはそういうわけにはいかなかった。セバスチャンが静かに眠っていてくれたらその通りになったかもしれないが、夜中に執拗に呼ばれ、やれ腕が痛い、足が痛い、腹が痛い、何とかしろと怒鳴り散らされた。もちろん食事は全介助が必要だった。車椅子で四六時中あちこちに連れて行くように命じられた。風呂に入れるのは重労働だったが、それを毎日求められた。ただの嫌がらせとしか思えなかった。動かないのだから毎日風呂に入る必要はないだろうと何度も言いそうになったが、呑み込んだ。

 最も苦痛な時間は、お茶の時間だった。
 本来ならこういう時間こそが相手を籠絡する良いチャンスだったが、セバスチャンには何ら効果を示さなかった。これまでムスタファは、この時間を利用して相手の話を聞いてやり、心を開かせるきっかけにしてきた。そして糸口を見つけると、自分の生い立ちや苦境を7割ほどのフィクションを加えて話し、相手の同情心を煽り、さらに社会に対する尊い奉仕精神を格調高く語ることを得意としてきた。ここまでくると、相手は自然に財布のひもを緩めていた。

 だが、セバスチャンはムスタファの話など聞こうともせずに、ひたすら他人の悪口を言い続けた。悪口の対象には事欠かなかった。これまで共演してきた大物女優、世界的にも有名な監督、学生時代の友人や恩師、自分の両親や親戚、病院の医師や看護師、雇った介護人や役所の人間たち、そして元妻たち。

「『禁断の恋』で共演したアリエル・ブラシェールはひどかった。演技なんてものじゃない。子どものお遊戯ほどのことしかできないくせに、あの大役を手に入れたのは枕営業のお蔭だ。清純そうな顔をしているが、下半身はどえらく下品だ。ベッドの上の声なんか聞けたものじゃない」
「ギュスターヴ・エモニエはカンヌで作品賞を取ったが、金に汚いコソ泥で、おまけにホモだ。あの注目を集めた『エスカルゴ街の人々』は盗作だぞ。学生時代に死んだ同級生が書いた脚本だ」
「俺がこんな体になったのはあの救急隊のボネって野郎のせいだ。最初に適切な処置をせずに俺を放置しやがった」

 明らかに出まかせの中傷だけでなく、よくもそんな細かいことを覚えているものだというほど過去の出来事をネチネチと語り、連中がいかに悪人かということを唾を飛ばして語り続けた。ムスタファが口を開くチャンスはまるでなかった。

 もちろん、セバスチャンは慈善事業にもまるで興味を示さなかった。自分の身体が不自由な分、様々な種類の助けを必要とする弱者の気持ちが分かる、何とかして助けたい、社会に貢献したいというような気持ちは皆無だった。さらに、民間信仰や民間医療といったものにも全く興味を示さなかった。
 ムスタファは自分が、今回初めてターゲットの選定に失敗したことを悟った。

 目的を達することができないと分かった後は、監獄のような生活だと感じられた。しかも運悪く、屋敷内の掃除・洗濯・料理を受け持っていた女中が、病に倒れて職を辞した。無口で働き者の彼女は、最後まで残っていたたった一人のティボー家の雇われ人だった。彼女の代わりは当然のことながら簡単には見つからなかった。こうして彼女の仕事はムスタファの仕事になった。

 掃除はすぐに諦めた。手を抜くのに最適な項目だったからだ。洗濯も溜め込んではまたセバスチャンの機嫌を大いに損ねた。料理だけは思ったほどに苦痛ではなかった。市場へ買い物に行くのはいい気分転換だった。
 市場の賑わいの中に身を置くと、そのままミシェルの事務所に行って、退職届を出そうかと考えた。林檎を齧りながら、ぼんやりと夕陽が街並みの向こうへ落ちていくのを見ていると、市場の隅で小汚い服装の子どもが数人固まって震えているのが目に留まった。
 今日だけはあの寝心地のいいベッドで寝ようと思った。

 もちろん、ムスタファがやられっ放しということはあり得ない。
 いつでも辞めてやるという気持ちになると、楽になった部分もあった。介護は乱暴になった。ベッドから車椅子にセバスチャンを移す時も物のように扱い、車椅子の上に投げ落とすようにしてやった。風呂も勝手に2日に1回と決めた。食事を口に運ぶのも、自分の食事を優先した。熱いスープに気が付かなかったふりをしてやった。

 どんなにセバスチャンが文句を言っても、彼が動けないことが分かっていたから、口だけの攻撃など屁と思えば屁だった。時には恨めしそうに自分を見るセバスチャンの前で、ゆったりと紅茶を味わったりした。セバスチャンの他人に対する悪口も、前衛音楽と思えば気にならなくなった。
 気分転換には、街に出かけて女を買ったり、賭博に行ったりした。決して少なくない額の給料は貰っていたが、1か月に1度、弁護士を通して支払われる給料日の前になると、ほとんど毎月底をついていた。

 星の数ほどの前任者が全て1週間ばかりで辞めていった中、こんなにも尽くしてやったのだから、いつかここから出ていく時には、少しばかり金目のものを失敬して行っても許されるだろうと思った。
 ムスタファは屋敷内の金目のものを物色した。絵画や装飾品の価値は分からなかったが、どれも見事なものに思えた。しかし持って行くには大きすぎると思われた。
 ミレーの『晩鐘』が暖炉の間に掛けられていたが、こんなところに本物があるわけはないし、どうやら模写のようだった。
 宝石類はセバスチャンの4人の元妻たちが全て持ち去ったのかもしれなかった。時計やタイピン・カフスなど、男性が身に着ける金目の小物は見つけられなかった。

 セバスチャンは、3日に1回様子を見に来るミシェルに食ってかかった。
「あんな男は即刻首だ。早く辞めさせろ。俺の言うことを全く聞こうとしない。最初だけ大人しい顔をしていたが、正体を現しやがった。あいつは詐欺師だ。ヤクザだ。クソだ。私を殺そうとしている」

 確かに詐欺師だ。ミシェルは腹の中で笑いつつ、真面目な顔で答えた。
「セバスチャン、何だかんだと言いつつ1年経つのよ。本当に辞めさせるとなると、彼には自分の雇用状況や解雇通告が妥当なものであったかを調べるよう当局に要求することができるわ。あなたの素行が健全とは言いかねることが白日の下に晒されたら、彼はあなたに慰謝料を要求することになるでしょうね」
「そんなことにならないようにお前を雇っているんだ。何とかしろ」
「ごめんなさいね。私、明日から休暇なのよ。1か月後にまた話を聞くわ」
 セバスチャンは、もしも手が動くならクリスタルの灰皿を投げつけやると思った。

 ムスタファはすっかり気持ちを切り替えた。
 そうだ、相手は口で何を言っても、手も足も動かせないのだ。哀れむには性質が悪すぎる男だ。これまで関わってきた全てのこと、他人から受けた親切に感謝の気持ちの欠片も持っていない。自分もろくな人間ではないが、あいつほどではないと断言できた。俺は少なくとも、これまで騙してきた哀れな老人たちには感謝している。セバスチャンは金がある分だけ、俺以上の悪人だ。

 ムスタファはセバスチャンを軽蔑し、軽蔑することで気分よく介護、いや半介護を続けた。
 気分が変わると、変わったことをしてみたくなった。敷地内に荒れた畑があることに気が付いて、苗を買ってきて植えるようにした。数か月後の予定を考えながら、新しい苗を買い揃えるのは楽しかった。故郷の畑を思い出した。オリーブに、オレンジ、ナツメヤシ、ジャガイモ、トマト。鶏も手に入れた。
 畑の作物のことを考えているうちに、1年が2年になり、また新しい年が巡ってきた。

スポンサーサイト

Category: 明日に架ける橋(ヒューマン)

tb 0 : cm 4   

[雨106] 第21章 わかって下さい(少し長い同居の経緯)(7) 

ソチ五輪も素晴らしい思い出を残して終わりましたね。
でも、今後冬のオリンピックはどうなっていくのでしょうか……
会場・設備投資費は半端ないそうで、しかもその会場を後で何かに利用できるとも限らないようで、開催国・都市の負担は大きいのだそうですね……
テレビで見ている分にはいいのですけれど。

オリンピックの裏側では、隣国ウクライナでの革命やら、日本でも大雪で孤立する集落があったり、世界も気候も大きく揺れ動く2月……時が過ぎていくのが速いですね。
私も日々のお仕事に忙殺されています。

さて、【海に落ちる雨】第21章(7)です。
勤めていた調査事務所の爆発事故で、先輩調査員の三上司朗が大怪我を負います。
真は、りぃさとの自虐的な恋愛にのめり込んでいる間に起こっていたであろう様々な事柄に、何も注意を払ってこなかった自分が許せないような気持ちになっています。
一方で、胃潰瘍で入院していた身体の方は、精神的な負担やらあれこれ積み重なってあまり本調子ではありません。
何かをきっかけに絡み付いたあれこれを振り切ることができるのでしょうか。
(この章は、真が25歳の頃の回想章になっています。今回を含め、あと5回分くらいあります^^;)

ちなみに、次回はちょっと掌編をアップしようと思っています(*^_^*)





 三上の怪我の状態がはっきりしたのは数日後だった。
 脊髄損傷の可能性は事故の当日に聞かされていたが、医師のあまり有り難くない予想通り、下半身不随という残酷な現実が、これからの三上司朗の生涯についてくることになった。

 真は警察署に出頭はしたが、あくまでも参考人としてであり、真本人には特に不明な点もなかったのか、比較的早くに解放された。取り調べ自体は主に事務所内の人間関係や仕事上のトラブルについてだった。
 警察からも用がないとなると、仕事場を無くし、状況的に女のところに行くような気持ちにもなれず、妹の居なくなった家に帰る気も起こらず、どこにも居場所のなくなった真は、何ができるわけでなくても、三上の入院する病院に顔を出すくらいしか思いつかなかった。
 しかし、つい先日まで五体満足だった男がある瞬間に失ったものの大きさは、結局、三上の顔を見る勇気さえ真から奪ってしまった。

 サーシャの提案で、彼女と竹流と真は、大和邸で一緒に生活していた。事態を飲み込んだサーシャが、真の危なっかしさを誰かが見張っている必要があると考えたからだった。
 真が三上の見舞いに行くときには、サーシャがさりげなく理由を作ってはついてきた。見舞いと言っても、真はただ三上の病棟の近くまで行って、そのまま帰るだけのことが多かった。真自身も、退院したとは言え完全回復とは言いかねたので、自分の通院が必要な日もあった。
 竹流のほうは、サーシャの夫のイコン画修復に相も変わらずのめりこんでいた。真を気遣っている気配は表に出さず、微妙な距離を置いたままだった。結果として、同じ屋根の下にいながら、真とはめったに顔を合せなかった。

 警察署に呼び出された時の話の内容から、真には彼らが何に的を絞って捜査を進めているのか、およその見当はついていた。だから、探偵事務所の調査員でありながら、そして本来なら、恩人である三上をあんな目に遭わせた誰かを探し出すのは自分の義務であると考えるような性質であったが、今回だけは事務所の爆破事件の事情について自ら調べる事を放棄した。
 真実を知るのは怖かった。

 ある日大和邸に竹流の仲間であるゲイバーの店長、葛城昇が尋ねてきて、応接室で暫くの間竹流と話し込んでいた。
 しばらくして、真は彼らに呼ばれた。
 窓際の床に木漏れ日がいくつも重なって揺れていた。窓の向こうでは、錦の色に染められた木々が時折小さく震えている。窓で切り取られた光の世界と、壁で囲われた応接室は対照的だった。大正時代のものだという柱時計の振り子だけが、時間と空間を刻んでいる。

 竹流は大理石のテーブルを囲むソファの一方に座り、昇は別の一人掛けのソファに座っていた。自分を見た二人の気配に、真はついに向かい合うべきものが目の前に突き出されたことを察した。
「警察は、お前に何を言ったんだ?」
 真はドアの所から動かなかった。竹流も昇も厳しい顔つきだった。
「どうする? このまま関わらずに終わるか?」

 随分と長い時間、真はその場に突っ立っていた。やがて逃れられないことを知って観念した草食動物のように大人しく、竹流の向かいのソファに座った。
 一呼吸だけ置いて、自分でも滑稽なほどはっきりとした声で答える。
「事件の後から、所長が姿を消している、行先に心当たりはないか、と聞かれた」
「それで、お前には心当たりがあるのか?」
「わからない」
 真はそう言ったきり、ただ俯いた。

「お前はどうしたいんだ?」
 昇がいきなり切り込むように尋ねる。真はただじっとテーブルの上で跳ねる光を見ていたが、ようやく長い時間を置いてから顔を上げた。

「事件の前の日、三上さんが、事務所を辞めて名瀬先生のところに勤めを変わる気はないかと聞いてきた。理由を聞いたけど、名瀬先生が俺を欲しがっているからだと、それだけだった。でも、その話は以前にも言われたことがあって、その時にはっきり断っていたし、何故また同じことを言い出したのか分からなかった。事件の日、事務所で三上さんとちょっと言い合った。俺が入院している間に三上さんが何か言おうとしていることは感じていたんだ。それなのに、聞き損ねていたからだ。でも結局、もう済んだことだからって何も話してくれなかった。最後に、事務所を閉めることになるだろうから、今後のことを考えておくようにって言われた。それから、名瀬先生のところに使いを頼まれて、出掛けようとしたとき、二階から呼び止められて、瞬間に爆音が起こった」

 自分の声が身体の外から聞こえているようだった。真はそこまで淡々と話してから、また俯いた。
「でも、今となっては、三上さんに何も聞けない」
 今初めて、声が震え出した。自分の声と感情がようやく重なっていく。
「三上さんの事は聞いてない。お前はどうする?」
 今度は竹流が同じ事を聞いた。重く深く響く声だった。

「所長が三上さんを殺そうとしたかもしれない、って、警察に話せっていうのか」
「根拠があるのか」
「根拠なんてないよ。でも今考えてみれば、このところ二人はずっと言い争ってた。だけど、殺すほどの理由なんて」
「お前は女にうつつを抜かして、知ろうともしていなかったわけだ。だから、言い訳をしたいだけだろう」

 竹流の声が思ったよりも冷淡に聞こえたからか、さすがに昇も少しばかり真に同情してくれたようだった。
「そりゃちょっと言い過ぎじゃないかなぁ。本当のことって、はっきり言ってしまうと身も蓋もないんだからさ。こいつが一番よくわかってるよ」
 昇はそう言って竹流を制すると、真に向き直る。

「警察は重要参考人というよりも、容疑者扱いでお前んちの所長を探してるぞ。お前、心当たりがあるんじゃないのか」
 真は昇のほうを見た。竹流が本気で怒っているわけではないのは分かっていたが、彼の顔を真正面から見つめることはできなかった。
「野垂れ死んでなければ、もしかして田安さんが知ってるかもしれない。でも、三上さんが黙ってるのに、俺には何も言えるわけがない」
「三上ってやつは所長を売ったりはしないだろうな」
「わかってます。だけど、三上さんがどうしてそこまで所長を庇うのか、俺にはわからない」

 しばらくの沈黙の間中、昇の視線を痛いように感じた。
 やがて、一旦天井を仰ぐようにしてから、昇は徐に口を開く。
「もしも、竹流が人殺しだったら、お前、警察に売ったりするか?」
 意味が呑み込めなかった。竹流も同じだったのか、不思議そうに昇を見ている。
「もっとも、こいつも超一流の泥棒稼業には違いないけど。つまりさ、三上って野郎は、天と地がひっくり返っても唐沢の側という立場を変えないだろうよ」

「それは、三上さんが所長に恩義があるってこと、ですか?」
「へえ? お前が竹流に感じているのは、恩義なんていう程度のものなのか?」
 真は一瞬竹流の顔を見た。竹流は無表情に見えた。
「絶対離れられないってのは、理屈とは違うものだからな。お前だって、万が一、この男に殺されることになっても、黙って殺されるんじゃないのか」

 昇が何を言おうとしているのか、真は半分ほども理解していなかった。ただ、三上にとって唐沢という人間が、どうしようもなく離れがたい存在だということは、真にも分かっていた。
「三上さんの事を調べたんですか?」
「お前はちゃんと知っているのか?」
 真は思わず目を伏せた。病院で看護婦に三上のことについて尋ねられても、何も答えられなかったのだ。
 三上はこれまで何ひとつ、真に彼自身の人生や生活について語ったことはない。
「いいえ。何も」
 昇はちょっと肩をすくめたように見えたが、意外とも思わなかったようで、淡々と事実だけを羅列した。

「二人とも戦争孤児で、同じ施設の出身だったよ。三上の母親は米軍人相手に売春をしていた女で、三上はその事で随分苛めにもあっていたらしい。彼の父親もどういう素性の人間か定かじゃない。唐沢の父親の方は、身分のある軍人だったようだが、大戦の早い時期に亡くなっている。施設にいたのは、唐沢が中学生、三上はまだ小学校に上がる前で、どういう因果なのか唐沢はよく三上の面倒を見ていたようだ。その頃の三上にとって、頼れる相手は唐沢だけだったってわけだ。十六で唐沢が施設を出てからは、随分長い間離れ離れだったようが、どこでどう人生がもう一度交錯したのか、三上が傷害事件やら窃盗やらで刑務所に入っていたのを迎えに行ったのは、唐沢だったらしい。唐沢は大戦の終了と同時にアメリカに行って、特殊部隊に入っていたという噂もある。長い間傭兵をしていたのは本当のようだ。日本に戻ってきて三上を捜したのが気紛れだったのかどうかは分からないが、それからはずっと唐沢は三上の面倒を見続けている。今でこそあんなに従順だが、三上は刑務所を出た後も、何度も堀の中に逆戻りしかけたことがあるらしいし」

 昇はふっと竹流を見た。真はその時、竹流を見た昇の視線に心臓の上に何かが圧し掛かるような痛みを覚えた。竹流は黙って真の顔を見ている。
 昇の華奢な首筋が妙に色っぽく見えて、真は大理石のテーブルに視線を落とした。
「唐沢がどういうつもりだったのかはよく分からない。あの男が損得勘定抜きで誰かの面倒を見るとは思えないからな。それでも、この広い世の中で、三上を気にかけてやるのは唐沢だけだったんだ。だから三上にとって唐沢ってのは、どんなにどうしようもない人間でも捨てられない親のようなものだ」

 大理石の白の中にひび割れのような茶色の線が、濃淡を躍らせて複雑に絡み合っていた。
 今の三上からは、傷害だの窃盗などという気配は想像もできなかった。
 真は大概、愛想のない相棒だったと思うが、三上はいつも真のことを弟分のように気にかけてくれていた。人は何かのきっかけで変わることもあるのだろうし、あるいは三上の本来の性質は真っ当なもので、戦争がなければまるきり違った人生が彼にも開けていたのかもしれない。
 それに、人と人との間の事は、他の誰にも分からないものだ。唐沢所長と三上の間の事は、彼ら自身にしかわからない。

「それだったら、尚のこと、所長を探せない。三上さんにその気がないのに」
「それは三上の都合で、お前の事情じゃない。俺も竹流も、お前がどうしたいのか、知りたいだけだ」
 真は結局口をつぐんでしまった。
 昇は経営しているゲイバーの開店の時間だと言って、ほどなく帰って行った。

 その後も、真と竹流は同じ場所に座ったままだった。
 サーシャが心配して覗きに来てくれたときも、すっかり日が傾いて暗くなった部屋で、二人とも口を利かないまま座っていた。サーシャは腰に手を当てて大袈裟にため息をついた。
「ご飯にしましょう。あなた、ちゃんと食べないとまた具合がわるくなるわよ。ジョルジョも、ここのところあなたまでろくなものを食べてないでしょ」
 サーシャの勇ましい掛け声も、その日の彼らには上手く届かなかった。

 食事のあと、竹流はアトリエに篭ったままだったし、真はリビングのソファに座ったままレコードを聴いていた。
「マーラーね。好きなの?」
 サーシャが真の向かいに座りながら聞いた。
 そういうわけでもなかった。一番手近にあったレコードをかけてみただけだったし、それがマーラーだとも気が付いていなかった。意識すると、五番のアダージェットがそのまま力強く最終楽章に移る瞬間だった。
「というわけでもなさそうね。一体、あなたたちの微妙な距離は何なのかしらね。素直に甘えるとか、頼るとか、あるんじゃないの。邪魔してるのは何? プライド? 意地?」

 真はしばらく考えていたが、少ししてサーシャを見た。
「貴女は? 旦那さんに素直に甘えてた?」
 サーシャは、いきなりの真の巻き返しに少しばかり驚いたような顔をして、それから明るく笑い飛ばした。
「言うわね、おチビさん。そうね、簡単には甘えられないわね。でも、愛してるってことはちゃんと言葉で伝えたわよ」

 真はしばらくサーシャを見つめていた。愛している、という言葉はどこか安っぽい気もしたのに、彼女が言うと力強く心が籠もって響いた。
「でも、あの人はどうだったかしらね。私は自分の気持ちに夢中であの人の気持ちを聞いたことがなかったわ。あなたが恐れているのは彼の気持ちを知ること? それが自分の気持ち以上のものでないかもしれないということ?」
 真はこの人は何を知っているのだろうと不思議に思った。


 大和邸の主人の寝室のベッドはダブルベッドだ。おかげで、一人で眠っていると空白の空間は妙に大きく感じられる。無駄に広いというのは考えものだ。真は何度もその上で寝返りを打って、しまいには完全に目が覚めてしまった。
 真とサーシャがここに来てからも、竹流はずっとアトリエに篭りきりだった。おそらくあの部屋のソファで仮眠しているだけで、まともに眠ってなどいないのだろう。修復作業に入ると憑りつかれたようになって、食事も睡眠も、ついでに普段はそこそこ盛んな性欲までもどうでもよくなるらしい。

 本人は、修復作業というものは科学的で理性的な仕事で、芸術家の仕事とは内容が違うと言い切っている。もちろんその通りだろう。だが、あの魂の入れ込みようは、芸術家のそれと同じだった。本人曰、作家が訴えてくるので応えざるを得ない、ということらしい。
 あれこれ一人で考えていても落ち着かず、結局、真は起き上がった。
 仕事でもそうでないときでも、アトリエに他人が入ってくることを好まないのは知っていたが、それでもあれだけ根を詰めてしまわれると心配にもなった。

 アトリエにはいつものように、あの不可思議な気持ちに真を誘い込む油絵具の匂いが満ちていた。真が部屋に入った時、竹流はソファで仰向けに寝転んでいた。眠っているのかどうか、腕で目を覆っていて分からない。
 ソファの背に掛けられたタオルケットを取って掛けてやろうとしたら、竹流は寝ていたわけではなかったらしく、突然に真の腕をつかまえた。
「起きてたのか」
 真の腕をつかんでいる竹流の手は強く、何かを訴えかけるようだったが、その形のいい唇は閉じられたままで、青灰色の目がただ真を見つめている。真は頭の中を巡っている幾つもの言葉の中から、やっとのことで適切と思われる単語を並べた。

「こんなとこで寝てたら、身体に悪いよ」
「人に言う前に、自分の身体のことを考えろ」
 真はそれには返事をしなかった。竹流は真から視線を逸らさない。真はいつものように、その視線に絡み取られたまま、逃げ出すことなど到底できなくなっていた。逃げ通せる話題ではないのだから言葉にして確かめるべきだと、その視線は語っている。
「あんたが、あの人に三上さんの事を調べてくれるように頼んでくれたのか」
 竹流は、真が思っていたよりもずっと優しい表情をした。
「余計な御世話だったな」
「そんなことはないけど」
「どうすることにした?」
「所長のことか」

 竹流は黙って真を見つめている。真は自分が何を望んでいるのか、それが少しだけ世間常識からは外れていることも、よく分かっていた。
「三上さんがそう望んでいるのなら、このまま逃げ果せて欲しいけど、会って話はしたい」
「会ってどうする?」
「三上さんを、どうするつもりだったのか聞きたい」
「もしも、殺す気だったという返事だったら?」
 真は少しの間、黙っていた。やがて呟くように言う。
「俺、そういう、人の気持ちをどうしたらいいのかなんて分からない。所長の気持ちも、三上さんの気持ちも。三上さんが所長に殺されたっていいと思っていたんだとしたら、尚更だ」

 竹流はソファの上で身体を起こし、真が座るスペースを作ってくれた。真は、少し間を置いて、少しだけ距離を残して彼の隣に座った。
「三上さんの過去の事なんて何も知らなかった。とても、そんな人には見えないし」
「あの人は強い人だ、少なくともお前よりはずっと。お前が心配してやらなければならないようなことはないんだよ。けれども、人の内なる世界には、外見からは計り知れない激しさや暗がりや真実が隠されているのかもしれない。残念ながら、三上さんはお前にそれを見せたいとも知られたいとも思っていないだろうがな」
「あんたも」
 そうなのか、と聞きかけて、真は言葉を止めた。





この爆発事故(事件)の真相は書く気もなく、そのままになっています。
大方、怪しい所長・唐沢が何かを隠ぺいするために、あるいはむしゃくしゃして、あるいはいささか精神に異常をきたしていて、やってしまったのだろうと思います……世間的には保険金詐欺を狙ったことになっていますけれど。
唐沢の人生を書く気になったら、真面目に追及するかもしれませんが。
……元傭兵ですからね。時代も時代で。戦争から離れられなかった、中毒みたいな状態だったのかと思います。
三上と唐沢の間のことも分からないことが多いのですが、関係性は竹流と真とも似ている部分があります。
(他人には理解できない、入り込めない、って感じ?)

さて、次回はいよいよサーシャのエピソード最終回です。
サーシャの次に登場するのは、青森県は大間のマグロ漁師。
竹流って、実は、女よりも腕に覚えのある老人が好きなんですよね。
また、お楽しみに(*^_^*)

Category: ☂海に落ちる雨 第3節

tb 0 : cm 4   

【迷探偵マコトの事件簿】limeさんからイラストを頂きました! 

宝来くんとマコト400

先日アップした【迷探偵マコトの事件簿】(10)『ぼくらの秘密基地』にlimeさんが素敵なイラストを描いてくださいました。
『にゃんこ にゃんこ。』

宝来先輩とマコト、そして布団基地の素敵なイラストです。
宝来ママ(だぶはちの宝来文庫)も大海もとっても嬉しいツーショット(*^_^*)
宝来くんは(実はちょっとヘタレだけれど?)あくまでも先輩家ねこの威厳を保って凛々しく、マコトはその先輩を憧れの目で見上げている、そんな2人、いや2匹を優しく包む布団基地。

前回の作品で、宝来くんは始めとっても警戒していたのに、マコトが寂しそうで不安そうなのを見て、何とかしてくれようとしたのですよね。
マコトはそんな宝来くんをすっかり信頼しているのです。

というわけで。おまけ(*^_^*)



今日からタケルはまたちょっとだけお出かけなんだって。
でも、ぼくは平気!
(ほんとはちょっとだけ寂しいけれど)
宝来先輩のところで待ってるね!

わ~い! センパイ、来たよ~
ぼくは先輩に飛びつく。
先輩はちょっとだけため息。
またお前かぁ、って顔。
でも、最初だけなんだ。
きっと先輩もぼくが来て、うれしいはず! ……だよね?

センパイ、今日は何を教えてくれるの?
全く、お前はしょうがないなぁ。じゃ、今日は「かぷっと」を教えるぜ。
わ~い! ……で、かぷっと、ってなに?

宝来先輩はぼくの顔をじっと見て、もう一度ため息。

お前にはまだ無理かもしれないな…… 
どうして?
かぷっとには、どんな大きな相手にも怯まず、逆にどんな小さな相手でも気を抜かず、気持ちを込めて挑むという気概が必要なんだ……(遠い目)

そうなんだ……じゃ、ぼくにはまだ無理だね……
ぼくはちょっぴりがっかり。
でも優しい先輩はふっと目の前のキョロちゃんを見つめる。

仕方がないな。模範演技を見せてやるよ。
でもな、技ってのは教えてもらうんじゃなくて、盗むもんなんだ。おいらの背中をみて、学ぶんだぜ。

わぁ、すごい!
いつの間に箱にこんな穴が……
ほんとにカッコいいね!

ちなみに、これは相手がダンボールの場合のやり方なんだよ。
相手によっては、優しさも必要なんだぜ。

わぁ、それじゃ、ほんとに難しいんだねぇ……
でも、センパイ、いつかぼくも、きっと追いつくからね!


<用語解説・参考文献>
「かぷっと」=噛むこと。
かぷっとを侮るなかれ。この技術をすでに芸術の域まで高めている宝来くん。
「かぷっと」の応用編はこちらの記事を読んでね→『おいら、箱と野球する!?』

……タケルは今度は、家じゅうの色々なものに噛み痕を発見して、また「???」になるんでしょうね(*^_^*)

*ママさんのコメントを拝読して、「そうだ! かぷっとには優しさも必要だ」ということに気が付き、加筆いたしました(^^)……

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

tb 0 : cm 12   

NEWS 2014/2/22 やっぱり真央ちゃん(*^_^*) 

DSCN3083_convert_20140222123358.jpg
関西ではなかなか見られない景色が広がった2月……一方、オリンピックのソチでは熱戦のためかむしろ気候は穏やかだったと聞きましたが、それでも基本が寒い国。選手の皆さんが元気に帰国されるのを待ちたいですね。

ちなみに私は、ここのところ、強烈に忙しく、毎日夜中過ぎに帰ってきます。
オリンピックのせいじゃなくて眠れず、更新も皆様のブログにお邪魔するのもなかなかできていなくて、すみません m(__)m
今日はやっと少しゆっくりしています。でも、今から庭掃除です(^^)


さて、国民の一人として、私も真央ちゃんをずっと応援してきたのですけれど……
いい時も悪い時も、どんな時もみんなが応援したいという気持ちになる、不思議なお嬢さんですよね。
(って、年寄りみたいな言い方^^;)
そして、今回のオリンピックで改めて思ったことがあります。

そう、私たちは、真央ちゃんが表彰台に上る姿を見たかったのではなくて、真央ちゃんのあの笑顔を見たかったんです。それが表彰台の上だったらもっといいけれど、それはそれという気がします。
4年前のバンクーバーからずっと、真央ちゃんの笑顔は硬くて、勝っても負けても何かが足りなくて、ずっと心配だったのですよね。

でも今回は、一生懸命やったことが自分の中で実る、その瞬間を見ることができて、本当に素敵なプレゼントを彼女の演技からもらった気がしました。
そう、これまでずっと、あなたのその笑顔と満たされた涙を待ってたんだよ!
例にもれず、私ももうトリプルアクセルを降りた瞬間から泣きに入っていました(T_T)

何回見ても泣ける演技、というのはまさに記憶に残る演技ですよね。
これまで私の中の真央ちゃんの演技の一番は、2008年の世界選手権、冒頭ですっころんだ後に立ち上がって完璧に演技を終えたあの姿でしたが、それ以上のものが生まれた瞬間でした。

更に泣けたのが、そのあとのフィギュアの選手6人そろってのインタビューの席でのこと。
そう、大ちゃん(高橋大輔くん)の涙です!
真央ちゃんの演技の話をするときのあの涙目と、心のこもった言葉。
仲間を思ってあんなふうに泣けるなんて、やっぱり彼はいい子だなぁと改めて思った次第で。
演技中の真央ちゃんを見つめながら、応援席でも泣きに入ってましたものね。
その映像にまたもらい泣きして、だだ泣き(T_T)(T_T)(T_T)
くっついたらいいのにと思うけれど(個人の感想です)、真央ちゃんのママ曰く、大ちゃんと真央ちゃんの会話は「女子会の会話」^^;
そう言えば、大ちゃんは苦しんでいた明子ちゃんにも優しい言葉をかけていましたものね。

そして、プルシェンコ氏のツイッターの言葉にまただだ泣き。
「君は真の闘士だ」
彼はやっぱり皇帝だわ。皇帝とはこういうものよね。
4回転に拘ってきた彼、アスリートとしての挑戦を何よりも尊いと感じる彼だからこその心からの言葉。
そう、美しさも大事だけれど、さらなる高みを目指して戦う姿をより尊いと思っている人。
今回は彼もああいう形で引退になったけれど、やっぱりカッコ良かったです(*^_^*)
そう言えば羽生くんはプルシェンコにべた惚れですよね。

はぁ~泣きすぎて疲れちゃった(T_T)(*^_^*)
他の選手の皆さんも、本当にお疲れ様。
羽生くんはおめでとう(*^_^*)
大ちゃんはお疲れ様(やっぱりあなたは舞台で映える男だわ)
町田くんは本当に頑張ったね(*^_^*)
明子ちゃんも精一杯頑張ったし、佳菜子ちゃんはまだこれからを感じさせたし……
ライバルのキム・ヨナ選手も本当に強さを見せてくれたし、新しいヒロインとなったソトニコワ選手も綺麗だったし(彼女は真央ちゃんのこと、憧れてくれてるんですね)、そして実は結構応援していたコストナー選手(彼女はいい人なんですよね~)も、みんなみんな素敵な時間をありがとう(*^_^*)

フィギュア以外もいっぱい楽しく見たけれど(仕事しながら^^;)、これ以上もう書けないわ^^;
中年の星、葛西さんには4年後も空を飛んでいる姿を期待したいです(*^_^*)

Category: NEWS

tb 0 : cm 4   

【迷探偵マコトの事件簿】(10)ぼくらの秘密基地 

宝来くんとマコト
【迷探偵マコトの事件簿】第12作目『ぼくらの秘密基地』をお届けいたします。
これまでもこの作品には、幾度かブログのお友達のところからゲストをお招きしていたのですが……
今回、ゲストに来ていただきましたのは、『だぶはち宝来文庫』のスーパーアイドル、宝来くんです。
『だぶはち宝来文庫』さんはファンタジー小説を書かれる大和かたるさんの広報ブログ。
その看板息子がダブル八割れラッキーにゃんこの宝来くんなのです。
ママさんの愛息子への優しい視線、面白すぎるお写真、絶妙の語りに癒されない日はありません。

その宝来文庫の宝来ママさんにラブコールを送ったところ、『迷探偵マコトの事件簿』への出演を快く受けて下さり、宝来くんとマコトの共演と相成りました。
宝来くん、ママさん、大和さん、ありがとうございます(*^_^*)

<登場人物>
マコト:まだまだ半人前のツンデレ猫。大きくなったら豹になるつもり。いつも一人ぼっちでお留守番。
タケル:ちょっぴりSなマコトの飼い主。趣味はマコトをおちょくって遊ぶこと。お仕事は修復師兼ギャラリーのオーナー。
宝来くん:『だぶはち宝来文庫』の看板息子。頭の前後に八割れ模様を持つ大和かたる家の招き猫。
ママさん:宝来くんの飼い主(というより、まさにママ)。とっても優しい。


<参考文献>
*『アヤメさま、宝船に乗る』のポスター→→2013/12/30の記事
*NEccoSunさんの描かれた宝来くん像→→2014/2/2の記事
*布団基地→→2014/1/29の記事2013/12/9の記事

では、宝来くんを迎えての『迷探偵マコトの事件簿』、お楽しみください。
-- 続きを読む --

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

tb 0 : cm 16   

[雨105] 第21章 わかって下さい(少し長い同居の経緯)(6) 

【海に落ちる雨】第21章その6です。
自殺願望のある女性・りぃさとの恋愛(?)に溺れていた真は、ついにぶっ倒れて胃潰瘍で入院中。
竹流は知人であるロシア人女性・サーシャの依頼でソ連に仕事でお出かけ中……
でも、ようやく帰って来たようです。

*ただ今出張で浜松です。すごい雪には遭わずにおりますが……ニュースでは大変そう。
帰ったらまた皆様のブログをご訪問したいと思います(*^_^*)




 真が入院して一週間目の夜に、竹流はソ連から戻った。夕方に主治医の斎藤のところに行き、真の病状を確認して、それから病室に行って外からそっとサーシャを呼ぶ。
 サーシャと頬と頬で挨拶を交わした後、竹流は彼女の肩越しに病室の中を見た。
 サーシャは竹流の視線の先を確かめて、小さな声で答えた。
「今眠ったところよ」
「じゃあ、丁度良かった」

 サーシャは呆れたような顔をした。
 それはそうだ。顔を合わせて言い訳をするのが面倒なのかと思われたに違いない。
 竹流はようやく眠っている真の傍に行き、随分長い間その顔をただ見つめた。サーシャはそっと病室を離れていった。
 竹流は扉が閉まる音を背中で確認してから、ひとつ息をつき、傍のパイプ椅子に座った。

 色々な思いが行き過ぎる。
 大事と言えば大事な存在だ。大事などという言葉では尽くせない。いつでも心配で、気にかかる。竹流にとっては生徒であり友人でもあり、ある意味では息子のようでもあり、弟のようでもある。だがその一方で、竹流にとって負の感情と大きく関わってもいる。支配しようとする感情、思い通りにしようという欲望、そして失う可能性への恐怖。
 そんな自分自身を見たくないから、その手を握る力を緩めてきた。
 これからどうするのか。いつも惑っている。

 竹流はやがて立ち上がり、一週間前よりはずっと見栄えの良くなった真の髪に触れ、恋人にするように目尻に口づけて、布団をかけ直してやった。
 竹流がロビーに行くと、サーシャがソファに座ったまま舟を漕いでいた。
「サーシャ」
 呼びかけると、彼女はすぐに目を覚ました。
「私はベビーシッターから解放されるのかしら」
「これを」

 竹流は、抱えていた厚い包みを彼女の膝の上に載せた。サーシャの顔がほころび、唇の形をひとつひとつ確かめるように言葉が零れてくる。
「ありがとう」
「それと、もう一つ、キャンバスに描かれた彩色画があったんだけど」
「スケッチブックだけじゃなかったの?」
 竹流は頷いた。その絵に描かれたものを説明をしようとして、思いとどまる。

「かなり傷んでいるんで、不用意に持ち歩けない。もし良かったら、あともう少しベビーシッターをしてくれるんなら、修復したいんだ」
「それはいいけど、でも、あの子の傍にいてあげなくていいの?」
「いや、今はちょっと」
 サーシャは暫く竹流の顔を見つめていた。その顔が少しばかり厳しげになっている。

「何をしたの?」
「ちょっと昔覚えたまじないを」
「まじない?」
「暗示をかけたんだ。かかるとは思ってなかった。いや、そんなことはないな。十分本気でかけた暗示だ。暫く禊のために籠もるよ」
 また連絡するからと言って、竹流はサーシャと別れた。


 悪いときには悪いことが重なるものらしい。
 竹流は、大和邸のアトリエに篭り切って二週間、ほとんど水分と野菜と果物程度の食事しかしなかった。
 本人が言ったとおり、禊のつもりだったかもしれないが、普段は楽しんでいる血の滴るような肉や、飛び切りの新鮮な魚も食べる気にはならなかった。
 竹流がスケッチブックと一緒に持ち帰った彩色画は、分類するならばイコン、すなわち聖像画だった。修復のほとんどは洗浄作業だったが、始めてみると思ったとおり最低でも一か月はかかる仕事だと思われた。

 布のキャンバスに描かれた絵画であろうとも、板に描かれたものであろうとも、たとえフレスコ画であっても、竹流には自分の技術において疑うところなどなかった。しかもイコンという分野において描かれる世界、製造過程や時代背景、地域による差異についても、この世界に自分ほどの知識や材料を持った者はおらず、他のどんな修復師も自分ほどに上手く早く仕事をこなせるとも思えなかった。

 だが、これは聖像画の顔をした別物だった。
 布のキャンバスの上に描かれた聖母マリア。
 聖像画の形状の多くは板絵だが、フレスコ画、写本挿絵、モザイク画も含まれる。教会に属するものであるために、このような布キャンバスに描かれることはほぼないだろう。
 イコン画家は神に属する。イコン制作はそれ自体が修道の道であり、世俗や肉体への執着を断ち切った場所で描かれる。イコン画家は自分の名前を絵に記すことはない。その絵は神のものであり、彼らは神の栄光のために働いている。
 このようにわが身に属する物として持ち歩くために描かれた絵は特異だった。

 大和邸執事の高瀬が、竹流が例のごとく根を詰めているのを見て、彼にしては珍しく心配を表情に出していた。
 普段なら滅多に感情を表情に浮かべることのない男だ。それに、主人に意見をせずに従う男だったが、どうやら何か特別な気配を感じてしまったらしい。
 珍しく、仕事中に声を掛けてきた。
「旦那様、少しお休みになられませんと」
「うん」
 竹流は顔も上げなかった。もっとも、竹流が自分の仕事において高瀬の意見など聞くわけもなく、高瀬のほうも聞いてくれるとも思っていないはずだった。

「トニー、帰ってきたか?」
 そう言えば、もう一人、いや、もう一匹、こんなふうに閉じこもる竹流を心配して目を光らせているものがいる。竹流にとっては親友と言ってもいい猫だった。
「昼間見かけましたが、またどこかへ行ったようです」
 竹流は目の前の彩色画に気持ちを戻した。

 その時突然、遠くのほうで電話の音が響いた。集中し始めた瞬間だったので、不快なものに邪魔されたような気になったが、一瞬のことだった。竹流は直ぐにまた絵に意識を戻した。
 高瀬は無表情のままアトリエを出た。

 電話をかけてきたのは、新宿でゲイバーを経営している葛城昇だった。
 昇は、竹流が篭っている時には電話にも出ないことを知っているが、その日は高瀬としばらく問答があったようだった。
 やがて高瀬はアトリエに戻ってきて、昇様から坊主の危機だと言え、と言われましたが、と電話を取り次いだ。
 昇が坊主と呼ぶのは真のことだ。

 竹流はふと手を止め、顔を上げた。結局竹流は、仕事の手を止めて電話に出た。
「テレビくらい置いとけ。六本木で爆発事故だ」
「爆発事故?」
「坊主の事務所だ」
「何だって?」
 竹流は聞きなおした。
「いや、でも、あいつは入院してると思うけど」
「いつの話だ」

 そう言われてみれば二週間も前のことだ。
 一度も連絡していないが、元気になっていたら、退院しているか、あるいは外泊しているかも知れない。
 真のことだから、そうなるとすぐにも事務所に行きそうだった。三上に申し訳ないと思って。
「少なくとも、誰か救急車で運ばれたみたいだぞ」
 竹流は受話器を置くと、真の入院しているはずの病院に連絡をしたが、数日前に退院したと言われた。サーシャがついているはずだと思ったが、竹流は彼女に連絡先も言わなかった。多少なりとも元気になった真が、サーシャにもう大丈夫だと言っていたら、彼女も納得して真から離れているかもしれない。

 とにかく六本木に走るしかなかった。そういう時に限って間合いも悪く、夕方の混雑の時間帯だった。
 竹流が真の姿を見ることができたのは、もうすっかり暗くなってからだった。
 事故のときは、大抵情報は混乱するもので、現場に行ってすっかり吹っ飛んだ事務所の光景は無残だったし、現場検証をしている捜査官達も救急車の向かった先までは把握していなかった。
 結局、消防署に問い合わせて、状況が分かったのは小一時間もたってからで、運ばれたのが真でないことだけは分かった。
 年齢や格好の情報からすると、怪我をしたのは三上のようだった。

 竹流はやっとの事でマンションに電話を入れるところにまで頭が回った。。
 マンションにはサーシャがいて、真が数日前に退院してから昨日と今日は仕事に行っていることがわかった。
「何かあったの?」
「いや、大丈夫。真はまだ帰ってない?」
「ええ」
「また連絡する」
 それだけ言うと、相川の家にも電話をしたが、当然のことだが誰も出なかった。
 三上について病院に行った可能性はある。そう思ってとにかく三上が運ばれたらしい病院に向かった。


 その時、竹流は病院の廊下の向こうのほうで、膝の上に拳を作った両手を載せて、古いソファに固まったように座っている真を見つけた。その姿を見て、もしかして、本人が怪我をしているよりも具合の悪い事態かもしれないと思った。
 竹流は真の横に座り、その固まった手に自分の手を添えて、真の手が氷のように冷たいのを知った。
 途端に、思わずその身体を抱き締めていた。

 真は意識があるような、半分心が身体から抜け出しているような状態で、身体を小刻みに震わせていた。触れた頬も耳も、生きている人間なのかと思うくらいに冷たい。竹流は思わずその耳に唇を触れ、頭を更に抱き寄せた。
 真は竹流の手の中で、意思も意識もない空洞のように固まっていた。

「失礼、相川真さんですね」
 そこへ話しかけてきたのは、ヤクザでなければ、どう見ても刑事と思われる類の人間だった。
「少しお話を聞かせていただきたいのですがね」
 竹流は反応のない真の代わりに、二人組の男を睨み付けておいた。
 抱き締めている手を緩めることもないまま、刑事に向かって言う。
「今は聞けそうにないことくらいお分かりになるでしょう」
「いえね、彼がその瞬間を目撃しているはずでしてね」

 真の身体が微かに反応する。竹流は、大丈夫から心配するなというように、そのまま真を抱く手に力を込めた。
「出直してください。どうせ今は何も聞けない」
「こういう事件は初動捜査が大事でしてね」
「だったら、さっさと現場に戻っては?」
「彼が関係者であることは間違いがありませんからね。疑うのは関係者からってのが、常道で」
 
 更に何かを言いかけた竹流の気配を、腕の中の真が、微かな身動ぎで制した。真は頭を上げて、それから竹流を見ないまま、刑事のほうを振り返った。
 冷めた、感情を読み取りにくい瞳だった。
「事務所を出て下の道を駅のほうへ歩きかけた時に、窓から三上さんに呼びかけられました。振り返って、途端に爆音がして、後はよく覚えていません」

 あまりにも淡々と真が話したので、刑事はいかにも怪しい人間を見つけだしたような顔をした。真の声は硬く、まるで書かれた文字をそのまま意味も分からずに読み上げているようだった。
「出て行く前に事務所で三上司朗とどのような話をされましたか。できれば、署まで御同行頂けると有り難いですが」
「三上さんの状態がはっきりしたら行きます」
 若い方の刑事が何か言いかけたのを、さっきから話している年配の刑事の方が制した。
「わかりました」

 刑事が去ったあと、竹流は真の無表情な横顔を見つめた。
「大丈夫か」
 その声でようやく真は竹流のほうを見た。頬には血の気がなく、唇の色も薄かった。右だけは碧を帯びている目だけが色を主張しているのに、そこには表情がない。
「三上さんはどうなんだ?」
 他の事はともかく、こいつにはそれが問題なのだろうと思った。
「処置室に入って、あとは分からない」
「意識は?」
「救急車に乗るまではあったと思う。話を、したと思うし」
 真自身が混乱しているのは仕方がなかった。
「他にけが人は?」
「分からない。所長も出掛けてたし、女の子は昨日から休みだったし」
「お前は?」
「怪我はしてない」

 真の声は冷たく無機質に響いた。こいつがこういう状態になっているのは、あまり歓迎できることではないと竹流は思った。極限になると、感情の域値を届かないほど遠いところへ上げてしまう。
「何があった?」
 真は首を横に振っただけだった。

 意地を張らずに傍に居てやればよかったと思ったが、やはり後悔は後でするものだった。しかも、いつもなら、後悔しないように善処することはできると言っている竹流のほうが、善処をせずに逃げていた。
 いや、これは予想外の出来事だと自分自身に言い訳した。
 それから随分と長い間、並んで何も話さずに廊下のソファに座っていた。
 処置室の扉はここからは見えず、真がどうして少し離れた場所に座っているのかは、何となく理解できた。生暖かく不快な空気が身体を押し包む。息苦しい。だが、真はまるで隣で息もしていないように静かだった。

 随分としてから、看護婦が廊下の曲がり角を曲がってきて、やっと真を見つけて、ほっとしたような顔をした。
「済みません、三上さんのお知り合いの方ですね」
 真は顔を上げた。
「ご家族の方と連絡はつきませんか?」
 真は一瞬、竹流のほうを見て、それから首を横に振った。
「こちらは?」
 看護婦は新たに登場した関係者に期待の目を向けた。
「家族ではありませんが、友人です」
 看護婦は困ったような顔をしたが、仕方ないと思ったようだった。

「意識は?」
「今は眠っておられます。もう少ししたらまたお呼びします」
 竹流はふと、真のほうを見た。
 真は看護婦が去って取り残されたような廊下を見つめたままだった。

「俺は、この何か月も女のところに入り浸ってて、事務所のことを何も分かっていなかった。三上さんが病院に運ばれて、住所を聞かれても、家族の事を聞かれても、あの人のことを何も知らない。あんなに心配してもらってたのに」
 竹流は、自分が横に居ても簡単には寄りかかってこない真に、少しばかり歯がゆい気分を覚えた。
 だが、真の気持ちは十分分かっていた。もう今となっては、高校生の頃のように頭を撫でて慰めてやるわけにもいかない。

 だが、少しばかり有り難いと思った。
 三上には申し訳ないが、この事件が真からりぃさの事を遠ざけてくれるきっかけになると思った。
 真はいつも、どうやってこの世に存在しようかと、その方法を探しているように見えた。
 いや、それは正確ではない。命としてなら生きていく意志も能力もあるのだ。だが、社会という場所、特にこの大きな街の中では、時々呼吸の仕方さえ忘れてしまうように見える。
 俺のしていることは、こいつを助けているのか?
 時々自らに確かめてみるが、いつも答えは出ない。

 アッシジで、真が風に紛れるように囁いた声。真にとってはおそらく最上級の告白を、俺はいい形で受け止めてやってはいないのだろう。
 あの小さな声は、今でも強い響きで竹流の耳の中に残っていた。
 医師が廊下を曲がってきて、彼らの方に視線を向けたとき、竹流は一瞬躊躇する真の腕をつかんで、促すように立ち上がらせた。

Category: ☂海に落ちる雨 第3節

tb 0 : cm 8   

【掌編】冬のプラネタリウム 

limeさんイラスト400

いつもお世話になっている小説ブログ「DOOR」のlimeさんの描かれたイラストに掌編を贈る、というのがトレンド?になっているみたいなので、流行には乗ってみようと、私もチャレンジしてみました(*^_^*)
limeさんの絵には想像力を掻き立てる何かがありますね(*^_^*)

掌編は苦手なのですけれど……^^;
書いてみたらやっぱり説明臭くて、皆様が書かれた、短いのにエッセンスをきゅっと詰め込んだような作品にはなっていませんが、よろしければご一読くださいませ。

この舞台の宿のモデルとしたお宿はこちらの記事でご紹介しています。
→→『熊本・天文台のある宿』
是非、一度お訪ねくださいませ。
あ、こんなことしている場合じゃない。書類準備をしなくちゃ!




【冬のプラネタリウム】

私は小さな箱のようなプラネタリウムの中にいる。
木造の二階建ての宿、小さなフロントの脇にある小さな扉。
押し開けてみると、二十席ほどしかない小さなプラネタリウムがあった。
深い茶色の木で組まれた部屋の中、隅にある黒くて小さな無骨な装置。
座ると軋む木の椅子に凭れて見上げると、頭の上には白い小さな天蓋。

今日は午後から雨になり、夕方には止んだものの、空にはまだ厚い雲が残っていた。
大きな天体望遠鏡で星空を見ることができる、というのがこの宿の売りだったが、今日ははずれだったようだ。
空を見ることができない日には、こうしてプラネタリウムでつくりものの空を見る。
今日の宿泊客は私以外にもう一組だけで、随分と歳を取った夫婦だった。
その夫婦が約束の時間に遅れているというので、私はひとり、ここに座って待っている。

よくあることだけれど、私は傷心旅行の最中だった。
私の失恋は失業と一緒にやって来た。もともとセットだったのだから仕方がない。
自分なりに年下の彼との将来を夢見て慎ましく暮らし、こつこつと貯金をしていたものも、尊敬できる部分を一生懸命に探しながら関係を築いてきた仕事仲間も、何だかすべてが馬鹿らしくなった。
かといって、命をどうこうするほどの絶望感も思い切りもなかった。

私は大丈夫。これまでの人生だって、それほどうまくいっていたわけではない。
ずっと一人で生きてきたのだし、心から甘えることのできる相手がいたわけでもない。
たまたまこの数年が順調だっただけで、元に戻っただけなのだ。
ただ、ぽつんとひとり、彼のものがなくなってしまった狭い部屋に座り、何もすることがない時間をテレビ番組と共に過ごしていると、訳もなく真っ白になってくる。
今日私には話をする人もいない。出かける場所もない。
仕事もないし、十年後も二十年後もこうして一人ぼっちかもしれない。
気が付いたら、涙が零れていた。

携帯が鳴ったのはその時だった。
私にはまるで無縁の市外局番からの電話だ。それがどんな町なのか、想像もできない番号。
間違い電話かいたずら電話に違いないと思ったけれど、私は電話に出た。
他に、今日はすることもなかったから。

雄大な山を望む遠い町から電話をくれたのは、星のコンシェルジュだった。
そうだった、別れる前、彼と旅行の約束をしていたのだ。
一緒に星空を見ようねと言って、天体望遠鏡のある宿の「星空を独り占め」というプランを選んだ。
……キャンセルするのを忘れていた。

あらかじめ、ご案内する星のご希望をお伺いしようと思いまして。
その声は、星の彼方から聞こえてくるような優しい声だった。
宿泊のキャンセルを言い出せず、私は星の説明を聞く。
この季節ですから、冬の大三角、アルデバラン、昴、そして銀河も美しく見えるでしょう。
気が付けば半時間、私は冬の星空を思い描きながら、星のコンシェルジュの声を聴いていた。

同行の友人が急に行けなくなったということにして、何かに縋るような気持ちで私はこの宿にやって来た。
でも生憎の雨。頭の上には、白く何もない丸い天井。
私は、固まった自分自身の心と同じように、こうして小さな部屋に閉じ込められ、幻を見る。
私は一人で待っている。
もう一組の宿泊客を? それともここに映し出される幻の星空を?
あるいは、失ってしまった何かが帰ってくることを?

目を閉じると、頭の上に広がるのは冷たい星空。
私の心はひとりその星空の下にうずくまっている。
ふと身体を起こし、あたりを見回せば、私を取り囲むのは冬の星々。
頭の上も、足元も、何もかも埋め尽くして、星が青白く、あるいは赤く、煌めいている。
空にはこんなに星があるのだ。
あの場所から見たら、私のいる場所、私の存在は何て小さいのだろう。

ふと気が付くと、私のすぐそばに痩せた人影が横たわっている。
まるで自分自身を庇うように身体を縮めて、何もかも拒否するように顔を背けている。
私はそっと手を伸ばし、その髪に、そしてその手に、触れる。
氷のように冷たい白い手は、とても生きているもののようには思えなかった。

これは私を拒否した彼? それとも私の失った愛? 私が落としてしまった未来?
あるいは、凍りついた私自身の心?
この幻の星空の中に埋もれて、世界から忘れられてしまった私と一緒にこのまま凍っていくの?

「有生さん、お待たせしてすみません」
電話と同じ、暖かい温度のある声が星空の彼方から聞こえてきた。
声は現実の振動となって、私の鼓膜を震わせた。
「行きましょう。ご案内します」
「あの、ご夫婦は?」
「お疲れなので、今日はもうお休みになるそうです」
「でもいったいどこへ?」
「晴れたんですよ」

背の高い星のコンシェルジュの声は、まるで彼自身がこれから初めて満天の星空を見る少年のように弾んでいた。
小さな暗い箱のようなプラネタリウムを出て、星の本を閉じ込めた図書室を横切り、小さな木の扉を開ける。
深く濃い色の木の螺旋階段を上ると、足元の木が軋む。息が真っ白になる。
アイアンの手すりを掴むと、氷のように冷たくて驚いて手を引っ込めると、そのはずみで足を滑らせてしまった。

「危ない」
星のコンシェルジュの手が、倒れそうな私の手を掴む。

私ははっとした。
……人の手というものは、何て暖かいのだろう。
その何気ない人の温もりが、掌から直接入り込み、私の血液の中を駆け巡る。
凍った細胞が息を吹き返す。
あのプラネタリウムで見た幻の中で、私自身の心のように冷たかった白い手とは全く違う温もり。

「すみません。僕が急がせてしまった。この空を一刻も早く見て頂きたくて」
彼が最後の扉を開けて、私を最上階に導いた。
私は一歩を踏み出す。

ドームの天井は宇宙に向かって開いている。
その中心で、誇らしげに天に向かう天体望遠鏡の無骨な影さえも、暖かく優しく心穏やかな闇の中に浮かんで見えていた。

私の頭の上いっぱいに広がるのは、閉じ込められた幻の星空ではなく、まさに今ここある現実の宇宙。
降り注ぐ満天の星々。横たわる銀河。
冬の大三角。どこか懐かしいオリオンの雄姿、彼の肩で赤く燃えるペテルギウス。そして青白く輝くシリウス、優しく白いプロキオン。ふり仰げば、サファイアのようなリゲル、牡牛の赤い目、大きなルビーのようなアルデバラン、天頂で煌めくぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のカストルとポルックス。
星を繋げれば、冬の夜空にダイヤモンドが浮かぶ。アルデバランの北東には昴の小さな煌めきの集い。
星の囁く声まで聞こえてきそうな静寂の中、小さな星々で埋め尽くされた暗い空は、まっ白に光り輝いていた。

「さぁ、星への旅を始めましょう」




ちょっとクサかったかも^^;
こけかけて手を差し伸べてもらうって、恋愛の王道みたいですが……
決して、このコンシェルジュさんと「私」に恋が芽生えるわけではありません。
これは「袖擦り合うも他生の縁」→そのまんま「多少の縁程度」という世界に違いない(*^_^*)
しかも、女性の一人称で書くのって、生れて初めてかもしれません。

私がlimeさんの絵から受けた印象は「何かに閉じ込められた/閉じこもった世界」だったので、そこから外へ出ていくお話にしたかったんです。そうしたら、あの宿を思い出しました。
あぁ、この季節に南阿蘇に行きたいなぁ。
きっと素晴らしい星への旅が待っていることでしょう。

Category: イラストに物語を

tb 0 : cm 24   

【迷探偵マコトの事件簿】(9)マコトのみのしろきん 

DSCN3076_convert_20140209220556.jpg
雪も陰に残るだけとなりました。
雪ウサギを作ってみようと思ったけれど、手が冷たくて(T_T)
子どもの頃は、平気だったのに、大人になると我慢が足りなくなるのかもしれません。

そんな、寒い夜、マコトの物語で少し温まって頂けたらと思います。
今日のお話は『マコトのみのしろきん(身代金)』……タケルとマコトの言葉を越えた交流をお楽しみください。
そう言えば、新美南吉さんはこれを『生存所属を異にしたものの魂の流通共鳴』と表現されていましたっけ。
DSCN3078_convert_20140209220621.jpg

書きながら、自分でちょっとうるうるしてしまいました。
いえ、自画自賛じゃなくて……マコトに感情移入しちゃって……なんでだろ??
最近忙しくて、疲れてるんだわ^^;
オリンピックでも見て、元気を出そうっと。

上村愛子さん、メダルを逃したけれど、素晴らしい滑りでしたね。
あんなふうにインタビューで答えられるのは、これまで頑張ってきた自分に胸を張れるからですね。
感動をありがとう!
そして、これから登場の皆さんも、頑張って!
-- 続きを読む --

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

tb 0 : cm 15   

NEWS 2014/2/8 雪~猫は人間を大きい猫と思っている 

大雪ですね。昨日、夜中に仕事から帰宅したときは、ただ雪が降っている……という感じだったのですが。
DSCN3064_convert_20140208100426.jpg

朝、起きてみたら、家の前の道は、普通タイヤでは運転できない道になっていました。
ついでに、どん、どん、と時々家に響く音は……(-"-)
2階の屋根から1階の屋根に雪の塊が落ちて来る音でした。
雪国でもないので、慣れない音にびびっているのですが……
DSCN3072_convert_20140208100702.jpg
小さい天窓があるのですけれど……雪が見える……

DSCN3073_convert_20140208100452.jpg
灯篭も雪をかぶり……

DSCN3056_convert_20140208100540.jpg
先日せっかく開き始めたマンサクも、今は雪を被っています。

今週は、仕事が忙しくて、毎日午前様状態になっていたので、すっかりご訪問もコメントのお返事も、もちろん記事もすかり遅くなっていて申し訳ありません。
今日は三味線のお稽古の日ですが、バスも止まっているような気配で、ぼんやりと窓から外を眺めています。

仕方がないので、ナショナルジオグラフィックの面白い研究記事(?)を。
犬は「自分と人間は違う」ということを認識しているが、「猫は人間と猫が違う生き物だと思っていない」というお話。
言われてみれば、なるほど、です。

今朝、某番組の「土曜日のにゃんこ」でも、保護された時から自分の面倒をみてくれたお兄ちゃん猫(14歳・オス)を大好きな保護猫(11歳・オス)。
別の同居猫(13歳・メス)がお兄ちゃん猫に構ってじゃれると、すごい嫉妬して大ゲンカ。ついでに、飼い主がお兄ちゃん猫を構うと怒る(飼い主に対して嫉妬)。お兄ちゃん猫を独り占めしたくてたまらないと。
……ネコもニンゲンも同じレベルで嫉妬の対象なのね。

→→ナショナルジオグラフィックの記事:猫は少なくとも人間を人間と思っていない。大きい猫と思っている?

そして、最後は今日の萌え画像……?
仔猫が、トカゲのしっぽをちょんちょんしていたら……後ろのトカゲに注目。


トカゲの一言「え? ぼく、何もしてないけど……」


あ、【恋愛小説大賞】への応援、本当にありがとうございます(*^_^*)
100位以内にいることがびっくり、みたいな程度の志ですが、読んでくださる人がちょっと増えて、嬉しいです。

でも、実は、今こっそり
ブログ村の第2回読み切り短編小説トーナメントにも出していて(掌編『センス』)、それもあるのかな?
小さいトーナメントですが、放っていたら準決勝戦まで生き残っていました。
あらら、びっくり。ここまでと思いますが^^;

いずれにしても、応援くださった方々、新しく読んでくださった方々に感謝申し上げます m(__)m

Category: 生き物

tb 0 : cm 14   

【雑記・あれこれ】子どもパンダ・萌える~! 

パンダ好きです。
以前に書きましたが、PCを持ってネットを繋いで、初めて登録したサイトは中国のパンダ幼稚園のサイトでした。
その幼稚園に、元タイガース・日ハムの新庄剛志さんが行った時のエピソードを『迷探偵マコトの事件簿』((マコト・新たな敵に挑む))の記事の最後の方に書かせていただいています。

いや~、癒されます。
「どうしてこんなに白黒はっきりしてるの~?」というレベルですでに萌え……
このいっぱい固まって、もふもふしているのが可愛すぎて……おしりも……
どう見ても、ぬいぐるみが動いているようにしか見えない(^^)
……でも、実は、獰猛な熊、なのですけれど。

ということで、今日は短く、癒されてください。



そういえば、検索ワードを見ていたら、「あぁ、マコトの生きる道」というのがあったのですが、いったい元ネタは何??
とても気になります^^;

Category: あれこれ

tb 0 : cm 12   

NEWS 2014/2/2 恋愛小説大賞に参加  

交野3
アルファポリスの恋愛小説大賞【天の川で恋をして】で無謀に参加してみました。
ダントツびりは覚悟の上ではありますが、ちょっとでも読んでくださる方が増えたら嬉しいなぁと。

【天の川で恋をして】は、私が初めて書いた純愛ものです。あらすじは……

ずっと好きだった幼馴染の結婚式の招待状を受け取った夏海。
気持ちを切り替える決心をして、故郷の町、天野が原に帰ってきます。
さて問題の結婚式……そこで夏海を待っていたのは、驚きの事実。
青春時代の三角関係の切なさ、ずっと受け入れられなかった恋心、そして友人を失った悲しみ。
故郷の過去に眠っていた想いは、夏海のところに届くでしょうか。

大阪某市に実在する川・天野川を舞台に、素敵な恋物語をお届けします。
→→【天の川で恋をして】を読む

もしもよろしければ、応援してやってくださいませ m(__)m



実は、某ホラーを下敷きにしているのですが、このお話自体はホラーでも何でもありません……
そう言えばそのホラーの原作者さん、先日お亡くなりになられました。
ご冥福をお祈りいたします。あの映画が無かったら、生まれていない物語でした。

下は舞台となった機物神社です。普段は静かな誰もいない神社です……
交野2

あ、それから、そうこうしているうちに、拍手とコメントが仲良く並んで2000を越えました(*^_^*)
コメントは半分自分なのですけれど……^^;
ひとつひとつの記事の拍手とかはほんと、少しなのですけれど、拍手してくださる方が1人でもおられると、頑張ろうって思えます。ありがとうございます。特に【海に落ちる雨】は……拍手のお蔭で続けていられます^^;

それでも、読者が友人1人だったころを思うと、ものすごいことです。
その友人の「もっと読んでもらいなさい」の励ましの言葉が無かったら、このブログは今ここになかったんですね。
ありがとう、sayaさん。

いつかはもっと沢山の皆さんに楽しんでいただける記事が書けたらいいなぁと思ったりするのですが。
色々な方々のブログをお訪ねしては、皆さん工夫されて読みやすいブログで、しかも読みやすいすっきりとした文章を書かれていて……いちいち凹んでいます。
反省はするのだけど……でも、やっぱり、自分流でしか書けないだろうなぁ……
ほんと、ブログで読めないような小説ですみません……(T_T)

ただ、少ない人でも、その人の心のどこかで記憶に残るようなお話が書けていたら、何よりうれしいです。

Category: NEWS

tb 0 : cm 25   

NEWS 2014/2/1 イラストの原型 


冬は花が少ない……けれど、うちで冬に咲く第一人者はこの寒菖蒲です。
冬の日射しが似合っていて、薄紫が映えます。

先日ご報告したクリスマスローズ。
DSCN3052_convert_20140201094306.jpg
こんなふうに地植え状態なのですが……まだ植えきれていないうちに……
DSCN3053_convert_20140201094230.jpg
蕾が膨らんじゃって……そうか、もう2月ですものね。
この時期はいったん蕾が膨らんで、咲くのか、咲くのか……と期待していたら、雪が降ったり無茶苦茶寒くなったりしていったん凍えて……本格的に咲くのは毎年3月になってからのような気がしますが、その年の気候で少しずれたりします。
クリスマスローズは紫陽花と同じで、咲いたまま花が立枯れて、ドライフラワー状になるので、ついでに種を飛ばしてくれて、色褪せた後(あるいは、枯れた後)まで楽しめます。

早く残りを植えなくちゃと思っていたら……ここしばらく仕事は書類の束で、あれこれ締切が多くて、夜中まであれこれ……さらに風邪をひいてしまい、よれよれ~~な日々でした。
それなのに、今週末は、実家の用事とプチ出張。頑張れ私。

先日アップした八少女夕さんのscriviamo!への参加作品・【奇跡を売る店】龍王の翡翠で公開したイラスト。
実は、普通に取り込んだらこんな感じで、淡い色になったので……
奴奈川姫2
これは見えないわ、と思い、お絵かきツールで色を濃くしてアップしました。
螂エ螂亥キ晏ァォ_convert_20140201093133
でも実際には、そのどちらでもない感じで、一部をアップにしてデジカメで撮ったらこんな感じ。
DSCN3025_convert_20140126201205.jpg
う~ん。何かが違う……イラストを描くのも何十年ぶりで、あれこれ戸惑っていたのに、世の中のデジタル機器を使いこなせないことに気が付きました^^;

ほんと、慣れないことはするもんじゃないわと、しきりに思ったのでした(*^_^*)

お話の方は「何だかなぁ」になっておりますが、夕さんワールドの強烈な(?)怪奇現象の一部をお借りしたいなぁ、と思って書きました。
何だか暴投になってしまって申し訳ないのですけれど、夕さんが打ち返して丸く収めてくださるに違いないと期待しております。(とにかく他力本願 m(__)m)

これは、世界に転がっている「呪いの○○」って、本当はどうなのかなぁ、って考えながら書いておりました。
よく物語には取り上げられていて、ついつい手を出したくなる素材ではありますけれど。
それから、少しだけ、和子(にこ)のご紹介を兼ねております。
よろしかったら、ちょっと覗いてやってくださいませ。

次回の【奇跡を売る店】がいつになるかは定かではありませんが(来年かな)、蓮と和子の物語になります。
蓮が医師を辞めた理由、もともと患者だった和子を引き取ったわけ、和子の病気に対する蓮の想い、今も難しい現場で頑張っている蓮の元フィアンセの小児科医・海のこと、そしてやっぱり玉櫛ばあさんや凌雲、舟、そして蓮が住んでいるお寺の人々のこと。
またいつかお目にかかる日まで。

次回作は…・・ちょっと締切書類に追われていてどうなるか分かりませんが、地道な【海に落ちる雨】の更新と、それから【死と乙女】の続きを頑張ろうと思っております(*^_^*)
あ、マコトのお話は『マコトのみのしろきん』です。今回も、皆様を萌えさせます!(ほんと?)
ウゾくんも、近々登場、のはず!

乞うご期待!(ほどほどのご期待で、お願いします^^;)

Category: 小説・バトン

tb 0 : cm 2