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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【真シリーズ・掌編】じゃわめぐ/三味線バトル 

ようやく【掌編】三味線バトル、こと『じゃわめぐ』をアップいたします。
真シリーズを御存じない方でも、何の問題もなく、音楽小説として読んでいただけると思います。

これはもともと、limeさんから頂いたイラストのために書いた作品『幻の猫』が発端になったものです。
その中で、八少女夕さんのscribo ergo sumの中の人気作品『大道芸人たち』のArtistas callejerosの4人にご登場いただいたのですが、真が三味線で彼らと共演したのです(その時は稔はギター)。
そして、別れる時、稔と真が今度は三味線2丁で、と再会を約していたのですね。

scriviamo!2014用にとも思っていたのですが、『大道芸人たち』は人気作品だしきっと登場回数も多いだろうから、あえて『樋水龍神縁起』を選んだのでした。
なので、これは別枠としてお楽しみくださいませ。

三味線をメインにした作品というのは、実はものすごく書きにくいのです。
でも、このたび、ちょっと気分が乗っていたので書いてみることにしました。
ところが書き始めてみると、思ったよりも難産で、結局ほとんど書き直しました。
理由は、最初真視点で書いたのですけれど、すっきりしなくて、第三者を出してみたからなのです。
お楽しみいただけると嬉しいです。
ちなみに、予定外に長くてすみません^^; 前後編に分けようかとも思ったのですが、一気に読んでいただいた方がいいなぁと。

【登場人物】
相川真:この掌編では21歳になったところ。時系列では【清明の雪】の少し前です。大学生でロケット工学の勉強中。大学受験後の春休みに、家庭教師である大和竹流と彼の祖国・イタリアを旅している時、Artistas callejerosのメンバーに会う。
祖父・長一郎の手ほどきで太棹三味線を弾く。祖母・奏重は民謡歌手。
19歳の秋に故郷・北海道で崖から転落、逆行性健忘と、覚えていない期間に自分が何かとんでもないことをしていたのかもしれないという恐怖に苦しんでいる。
安田稔:詳しくはこちらのページをどうぞ→『大道芸人たち』あらすじと登場人物
成田美南:東京の清掃会社で働く女性、22歳。津軽・五所川原出身。もともと民謡歌手を目指していた。

ちなみに時代とかは気にしないでください。
実は大幅にずれているので(真の時代が古い)、あくまでもお話としてお楽しみいただければと思います。
追記に三味線豆知識があります(*^_^*)




その店は、東武浅草駅から浅草寺に歩くわずか数百メートルの道の途中にあった。
成田美南は、重く黒ずんだ木の扉の前に立っていた。扉には、重々しく透明度の低い硝子がはめ込まれていて、その向こうで灯りと闇のコントラストが揺らめいている。
重い扉は防音の役割を中途半端に担っているが、電車の音が途切れると、粉雪がちらつく冷たい空気の中、店内の喧騒がじわりと伝わってきた。

美南は暗い青色のオーバーコートのフードを頭から外した。数年前に青森の五所川原から上京した時に持って来て以来、一度も買い替えたことのないオーバーコートだ。田舎の街で購入した時からすでに野暮ったいデザインだったものが、今では既に博物館に並んでも良さそうなものになっている。
粉雪は時折風と共に扉に吹き付け、厚いガラスに当たって砕ける。

フードを外した耳を掠める風の中に、微かに伸びのいい女性の声が混じる。太鼓を叩くような響きが、扉の向こうから直接振動として胸に伝わってくる。
慣れ親しんだ太棹の、腹に食い込むような津軽の節だ。
美南は目を閉じた。扉の外からでも美南には分かる。よされの節だ。

一気に津軽の古い家の中に引き戻される。じっちゃの家の板敷の囲炉裏の間。爆ぜる炭の音。火に掛けられたけの汁の匂い。そしてじっちゃの撥の音。
みなみ、うたっこ、じょんずだぁのぉ。
じっちゃの声が風に巻かれて、東京の空高くへ消えていく。

「入らないの?」
美南ははっと顔を上げた。
霞む店内の灯りを薄暗く写し取った硝子に、美南の影と重なるように別の人間の影が映る。
「かに。ぼへらっ……」
美南は言葉を止めた。
「あ、いえ、すみません。ぼんやりしてて」
振り返ると、美南の後ろにギターを担いだ男が立っていた。美南よりは随分と年上のようだが、まだ若い。真っ黒で硬い髪に焦げ茶色の瞳、それに見ただけでちょっと人好きのする朗らかな気配。
男は軽やかな笑顔で、美南のために重い扉を開けてくれた。

……やっぱりすごい。
扉が開いた瞬間、美南は耳と目を奪われた。いや、扉を開ける前からわかっていたのだ。
比較的広い店内だが、カウンターもオープンな座敷にあるテーブル席も、ほとんど満席だった。奥に、一段高くなった小さな舞台がある。
その上で、どちらかというと小柄で細身、ジーンズ姿の若い男が三味線を叩き、年配で恰幅のいいスーツ姿の女性がよされ節を唄っていた。

唄は止め節に入ろうとしていた。一音が長く伸ばされると、若い男が間合いを測るように唄い手の女性の揺れる背中を見つめる。微かに笑みを浮かべているようにも見えるが、目と耳を研ぎ澄ませているのが分かる。
唄い手を見つめたまま、撥を打つ。重く叩きつける後撥に、押さえるような弱音の前撥、その節に誘われるように声が三味に絡み付く。三味も、応えるように唄に絡み付く。

じっちゃもいつもあんなふうに唄い手の背中を見ていた。
すごい、と思った。だが、美南も幾度も出場した大会の上位入賞者たちの上手さとは違う。唄も、三味線もだ。声には渋みがあり、地鳴りのようなうねりがある。テクニカルなものは何もないのに、津軽のリズムがある。泥臭く、腹に響く。唄い手の渋く重い響きに、三味線は見事に合わせている。

唄い手が最後の音を畳み込むと、店内からはやんやと拍手が起こった。唄い手の女性は深々と頭を下げる。
三味線を叩いていた若い男は唄を追いかけるようにして手を止め、唐突に今までと全く違う顔をした。ほっとしたような、子どもの様な柔和な顔だった。
だがその顔が、一瞬先に表情を変えた。

彼は、あれ、というような少し驚いた顔をしていた。
その視線の先に自分がいることに美南も驚く。
いや、彼が見ているのは美南ではない。美南の後ろに立っているギターを担いだ男だ。振り返るとギター男も軽く手を挙げて、舞台の上の男に挨拶をしていた。
唄い手の女性は店のステージから降りると客席に戻った。この店の専属歌手というわけではなく、客だったようだ。それなのにあの堂々とした歌いっぷりはどうしたものだろう。

三味線の男は三味線立てに楽器を戻し、舞台を降りると唄い手と言葉を交わした。
年配の、小柄でずんぐりした半被姿の男が、彼から撥を受け取る。ぽんぽんと彼の腕を褒めるように叩くと、マイクを持って話し始めた。この半被の男がステージを仕切っているのだろう。
「いんや、もう、じょんずだぁなぁ。どんだべ」
半被姿の男が問いかけると、客たちが改めて唄い手と三味線の男に向けて手を叩く。
半被の男は客席を見回し、また次の誰かに目を付けたのだろうか、やはり客らしい誰かをステージに上げた。
三味線の男は、そのまま真っ直ぐ美南とギター男の方へ歩いてきた。

「よっ。まさかどんぴしゃで会えるとは思わなかったよ」
「ミノルさん。いつ日本に?」
既に満席と思われる店内に、ミノルと呼ばれたギターを担いだ男と美南の席はなさそうだったが、店の従業員らしき男が近づいてきて、三味線の男に呼びかけた。
「マコトちゃん、知り合いか?」
「マコトちゃん」は頷く。
近くで見ると、髪の色は染めているかのように明るく、目は右目だけが碧が混じったように幾分明るかった。「ミノルさん」と「マコトちゃん」は背の高さもそれほど変わらないので、外見はまるで違うのに、兄弟のように見えた。

従業員は直ぐにカウンター席の客を詰めさせて、三人のためのスペースを作ってくれた。客は誰しも嫌な顔をせずに椅子を少しずつずらしてくれる。ただの居酒屋の客同士ではない、皆、同種の人間、あるいは同郷者だと感じているのだ。
「いえ、あの、私は……」
美南は連れではないことを言おうとしたが、ミノルさんに止められた。マコトちゃんがミノルさんに問いかけるような顔をする。

「あ、えーっと、こっちは……」
ミノルさんが言葉に詰まって、美南に目配せをする。
「あ、あの、美南といいます」
「そ、ミナミちゃん」
「ミノルさんの恋人ですか?」
「いや、今店の前で知り合った」
マコトちゃんはちょっと驚いたような顔をしたものの、それ以上は何も聞かなかった。

ふたりは物凄く親しい友人同士というわけではないようだ。差しさわりのない程度に近況を確認し合いながら、お互いの情報を探り合っているように見えた。
色々あったよ、とミノルさんは前置きをした。色々あったけれど俺は結構頑張っているよ、というように聞こえた。マコトちゃんは頷いた。
マコトちゃんも、自分も色々あって、と言った。何かに深く耐えているような声だった。今度はミノルさんが、慰めるような、励ますような気配で頷いた。
ステージでは、さっきの半被の男性の伴奏で、別の客がタント節を唄い始めていた。

従業員がおごりだと言って、真鱈の昆布〆め、ばっけみそ、ニシンの切り込み、ホッケのすり身汁、そしてじょっぱりを運んできた。どれも懐かしい津軽の料理、そして酒だ。
ミノルさんの顔が明るくなる。美南ちゃん、遠慮せずに食いなよ、と勧めてくれる。

会話の中から分かったのは、ミノルさんは大道芸人で主にヨーロッパで4人組で活躍しているということ、今回は野暮用で日本に戻ってきたこと、またすぐにヨーロッパに戻ること、それだけだった。

マコトちゃんの方もミノルさんと同じように、自分のことを多くは話さなかった。ただ、聞かれるとぽつぽつと言葉を返した。大学生でロケット工学の研究をしていること、時間は比較的自由になるのでいくつかバイトを掛け持ちしていること、去年の秋に大きな事故に遭って今はまだ少しリハビリが必要なのだと言った。
身体自体はそんなに不自由ではないところをみると、リハビリというのは少し別のニュアンスがあるように聞こえた。

「それで、ミナミちゃんは?」
いきなり話を振られて美南は「え?」と声を出してしまった。ミノルさんに加えてマコトちゃんも顔を上げてじっと美南を見ている。
「ミナミちゃんてさ、青森の人?」
「ど、どうしてですか?」
「何となく、だけど」

その時、またステージを仕切っている男性がマコトちゃんのところにやって来た。
「マコトちゃん、リクエストだべ。小原、頼むわ」
今度はさっきとは違う女性がステージで彼を待っていた。ジーンズ姿の小柄で若い女性だ。マコトちゃんはちょっとミノルさんの顔を見て、それからゆっくりと立ち上がった。
「あいつ、意外に女にモテるんだなぁ」
ミノルさんが呟くと、空になったグラスにじょっぱりを継ぎ足しながら従業員が笑った。
「大概は年寄だけど」
ミノルさんは違いない、と言って笑った。素敵な笑顔だと思った。

「ここは誰でも演奏できるの?」
ミノルさんが従業員に問いかける。
「若手演奏家の修業の場ですよ。店長が気に入ったら雇ってます。今日のステージの第一部は終わったんで、今はああして客に遊ばせてるんです。客って言ってもびっくりするような演奏家が来たりもしますからね」
「彼も?」
「マコトちゃんはお祖母さんが民謡歌手なんですよ。小学生の時からお祖母さんの唄付けをしていたそうですし、高校生の時からここで弾いてた。店長がラブコール送っているんですが、大学も忙しそうで、まだ専属で雇われちゃくれないみたいです。でも若い唄い手も彼を知っていますからね、ああやって彼に三味線を頼みたがるんですよ。三味線が上手くても、あれだけの唄付けのできる若手はそういませんから」
従業員が言葉だけは標準語、イントネーションは見事に東北弁で話した。言葉にも微かに濁音が残る。

ステージでは、マコトちゃんが伴奏者を待っていた女性に話しかけてから、隅の方に置いてある丸い木の椅子に座った。本数を確認していたのだろう。三本の糸を二上がりから本調子に調弦している。唄い手はマコトちゃんを振り返り、顔を上げた彼に小さく会釈をした。
美南と同じ、二十歳過ぎくらいだろうか。小柄で控えめな印象の女性だった。
マコトちゃんが目を閉じて息をひとつ吐き、改めて糸合わせをして、前弾きを始める。

短めの前弾きだった。だが、美南はその撥の動きに釘付けになっていた。
三の糸から一の糸へ、四と六の勘所を滑るように移動する指。その指先から、不思議な色気が滲み出る。
小原節の一の糸は、じょんから節とは少し印象が違う。太く力強いのは同じなのだが、情けも何もかも断ち切るような女の潔さ、その中に潜めていた色気が、一の糸から零れ出す。
男の人なのに本当に不思議だと美南は思って、マコトちゃんの手をじっと見つめた。

じっちゃとよく似た手つきだった。後撥の柔らかな叩きも、前撥が三味線の胴の枠近くまでくっと近付き、親指を滑らせるようにして音を抑えるのも、そしてしなやかに、一方で力強く竿を滑り勘所を押さえていく左手も。
上手い、というレベルの問題ではない。この人は唄い手をよく知っている。
そして、弾き手によってわずかに異なる、リズムをとるタイミングまでもが、じっちゃとよく似ていた。

前弾きから太鼓の部分に差し掛かる時、マコトちゃんが顔を上げて唄い手を見た。小柄で穏やかな顔つきの女性は、恋人を見るようにマコトちゃんの三味線を振り返る。
タイミングを確かめ合った後は、女性は一歩前に出て、深く頭を下げた。店の中の客たちはこの子を知っているようだった。待っどったと一段大きな拍手が上がる。人気者なのだろう。太鼓を叩くのは、半被の男だ。唄が始まった。
美南は思わずその女性の唄い手の声に震えた。

美南は、幼いころに三味線を弾く祖父の影響で唄を始めた。祖父も両親も小さな娘の唄の才能を喜んだ。美南は大好きな祖父が三味線を合わせてくれるのが嬉しくて、レコードを聴いては唄を覚えた。古いレコードからじりじりという雑音を押しのけて胸に訴えかける古い時代の津軽の唄い手たちの声が大好きで、岩木の山が見えるリンゴ畑が練習場所で、山からの風と雪解けの水、咲きそろうリンゴの花が先生だった。

小学生の時には大会にも出るようになり、いつも優勝もしくは準優勝を勝ち取った。中学生の時には民謡歌手になろうと決めていた。自分にとってその未来は必然だった。
周囲には同じように民謡や三味線をやっている子はいたが、それで身を立てようという者はいなかった。それだけで食べていけるのはごく一部の人間だと分かっていたからだ。
中学を卒業する前に、祖父が農作業中の事故で亡くなった。悲しくて胸が張り裂けそうだったけれど、それからは祖父のためにもっと頑張ろうと思った。

だが、高校生になり将来に向けて本当の実力が試される頃、五大民謡大会で優勝するようになったのは、美南ではなく、時々大会で顔を合わせていたひとつ年下の子だった。これまで入賞することも数えるほどだった彼女が優勝するようになったのは、名のある先生についたからだと聞いていた。
それからは何度大会に出ても勝てなくなった。自分の唄と上位入賞者たちの唄のどこに違いがあるのか、まるで分らなかった。違うのは後ろ盾があるかないかということだけだ。
結局はそういうことが大事なのだと思い知って、この世界に失望した。

唄はきっぱりと辞めてみたものの、大学へ行く準備はしていなかったし、地元に就職先はなかった。美南は地元の多くの若者と同じように、東京に出た。
東京には青森では考えられないような多様な仕事があり、先々のことは考えられなくても、少なくともその時を暮していくことができた。
ついこの間、本屋の店員を辞めて、小さな清掃会社の社員になった。気が付くと東京に出て二年が過ぎていた。冬になると少しだけ昔の傷が痛んだ。

本当は分かっていた。美南には後ろ盾となる先生もいなかったけれど、何よりも華やかさがなかった。美南を打ち負かしたあの子には外見の可愛らしさと同時に、声の中に華があった。艶やかで艶やかだった。声は山を駆けあがる風のように伸びやかだった。教えられたことを忠実に繰り返す素直さもあった。
美南の場合は結局、ちょっと唄の上手い子どもが、成長してみたらそうでもなかったというだけのことだったのだ。

今、目の前で唄う若い女性には、あの子と同じ伸びやかさ、艶やかさがあった。ちゃんと勉強もしているのだろう。きちんとした節で、聞いていると納まりがよく心地いい。
昔を思い出す唄は聴きたくないと思っていたのに、この頃仕事に疲れていたのかもしれない。会社の先輩が青森の人で、この民謡酒場のことを教えてくれた。
本当はあの扉の前で引き返そうしていたのだ。
でも、ミノルさんが扉を開けてくれた。

マコトちゃんが唄い手の背中を見つめ、その唄に合わせながら、撥のリズムを時折僅かにずらしている。初めての相手の唄に合わせるのは大変だろうけれど、そういうことに慣れているのか、あるいは敏感すぎる感性で自然に反応しているのか。
それとも、知らぬうちに自分のペースに唄い手を引き込んでしまうのか。
誰かの心の中に入り込んで、その心の一番大事なものをぎゅっと掴むような三味の音。
唄を引き立て、唄い手の声を引き出す魔法のような節と掛け声。
いつの間にか、声を出さないまま、咽喉の奥で唄っていた。

「あいつ、すごいな」
不意にミノルさんが呟く。美南ははっとして顔を上げた。ミノルさんを見ると、これまでとは違う顔だった。ミノルさんの中で火がつくのが見えた気がした。
唄の途中から美南の胸はどんどんと音を立てるように震えていた。三味線の皮を叩く音が響くからなのか、あるいはずっと昔に置き忘れてきたものが暴れはじめたのか。
隣でミノルさんが何かを問いかけるように美南を見ていた。

唄が終わって、喝采の中、マコトちゃんが半被の男性と何か言葉を交わした後、ミノルさんと美南のいるカウンターにやって来た。そしてミノルさんに撥と指摺りを渡して、ほんの少し微笑んだように見えた。
二人は目を見合わせただけだった。
「店長が田酒をおごってくれるって」
従業員の男がにこっと笑った。
「本当に?」
ミノルさんの声が弾んだ。

一緒に六段の三段目まで弾いて……という打ち合わせの声が聞こえた。
マコトちゃんが自分が使っていた三味線をミノルさんに渡す。トチが見事に巻いていて、照明で銀に照り返している。三と四の勘所は特に、摺れて光の跳ね返しが強い。マコトちゃんは別の三味線を手に取る。
二人は並んだ丸い木の椅子に座った。
客たちはおや、という顔をしていた。
ミノルさんも三味線を弾くのだ。美南はドキドキした。

六段やあどはだりはピアノのバイブルの様な基礎曲ではあるが、流派が違ってもほぼ同じ曲の流れなので初めて顔を合わせた同士でも合奏ができる。先生が十人いれば、同じじょんからの節でも、その中身は十人とも違う。これらの基礎曲も少しずつ細部が違うのだが、長さは同じようにしてあるので合わせることは可能なのだ。
基礎的といっても、簡単という意味ではない。

それは二人が顔を見合わせて掛け声を掛け合い、弾きはじめた時に明らかになった。
聞きなれた六段のはずなのに、客たちも「お」という気配で箸やグラスを止める。
美南はステージの上の二人に釘付けになった。
伴奏と独奏では全く印象が違うマコトちゃんの手は、じょんからの四枚撥のリズムも手伝って素朴で力強かった。いや、小原とじょんからの違いなのかもしれない。一方、ミノルさんの手はまた少しイメージが異なっていた。晴れやかで色々なニュアンスに読み取れた。

二人は一段目ではまだ互いのリズムを測り合っているよう見えた。
だが、二段目で再び掛け声を重ねた後は、互いの遠慮は不要になった。一瞬、また目と目を合わせて、二人の音は瞬間に主導権を譲り合いながらも、二重螺旋を描くように絡まり合った。音と音が叩きつけ合うように、しかし不意に優しさを滲ませて、絡まりながらどんどん高みに駆け上がる。
穏やかそうに見えるマコトちゃんの身体の中に熱い火の玉のようなものがある。同じように、朗らかそうに見えていたミノルさんの中でも、熱が高まるのが見て取れる。
「六段だべ?」
隣の男が感心したように呟いた。
美南はカウンターの上に乗せた右手をきゅっと握りしめた。

三段目終わりの捨て撥の勢いをそのまま引き継いで、始めに曲弾きを始めたのはマコトちゃんだった。ミノルさんは撥を止める。
一の糸は地鳴りのように重く、地面を踏みしめるようだった。心の内に渦巻く暗いものを断ち切るように、一音一音、撥に自らの魂を篭めるように皮を打つ。低い勘所から高い勘所へ、音は確実に北国の大地を踏み鳴らしていく。
本当に、唄付けの時とはまるで別人だ。音は強いが激しいというわけではない。むしろ大人しいくらいだ。でも物足りなくない。
「マコトちゃんの曲弾き、久しぶりだなぁ」
「いんや、いつもの彼じゃないべ」

そういうことだ。美南は、マコトちゃんの隣に座っているミノルさんを見る。ミノルさんは三味線を構えたままじっと目を閉じている。全く動かない。静かなのに、ふつふつと身体の内で熱情が湧き出していくのが見て取れる。
弾いていないけれど、ミノルさんも心で弾いている。

三味線には吹雪の音が混じる。足元から舞い上がり吹き付ける地吹雪の唸りだ。
一の糸から二の糸へ、三の糸へ、三と四の勘所を行き来する手は、徐々に聴く者の心までも震えさせる。三味線が鳴っている。三本の糸が共鳴する。津軽の言葉そのもののようにリズムが暴れる。暴れながら風になり、腹に食らいついてくる。
派手ではないのに、音は豊かだった。豊かだけれど、まっ白だった。

岩木お山の雄大な裾野、山の上から見下ろした津軽平野、雪で真っ白になった大地、北の果てに続く海岸線、冬に山から吹き降ろす山背風、リンゴ畑の中を惑う風、川を舐めていく春の雨、川面に散り積もる桜の花びら。
北国の自然が全て編みこまれたような二の糸、三の糸。
全てが確かに北国のリズムだった。生まれ育った津軽の大地が今、美南を包んでいた。

曲の半ばに、三の糸がふっと心を緩ませるように優しくなった。
美南は目を閉じた。冬の夜。しんしんと屋根に雪が降る音がする。降り積もり、包み込み、何かを守るように優しく語りかける。雪の子守歌だ。
北の国に生きる人の心、そしてマコトちゃんが心に秘めている想いが、自然の景色の中に浮かび上がった。真っ白で行き場を探している。答えのない世界に向かって呼びかけている。その言葉にならない想いが、直接心の深い場所に降りしきる。

十六の勘所でさらにぐっと弱音が増した。店中が静まり返っていた。さわりが響いて店中を埋め尽くしている。心地よく、震えるような反響。三本の糸が鳴り響き合い、震えながら、やがて無音になる。
雪が降り積もっていく。これは雪の音だ。
誰もが息をすることも憚られ、マコトちゃんが糸をはじく薬指をじっと見つめる。指は動いているはずなのに、止まっているようにも見えた。
あずましい。
美南はいつの間にか涙をこぼしていた。

無音の響きの中で、魂が微かに揺れていた。目を閉じると、深い雪の中、まっ白の景色の中で、暖かい手が身体を包み込んでくれる。優しさの中に深く傷ついた心が見える。その心を自らなだめるように音が傷を包み込む。
ミノルさんがふと目を開けて、労わるような気配で隣のマコトちゃんを見た。壊れそうなものを抱き止めるような、そして手を引いて解放しようとするような気配で。

息をのんだ客たちが拍手を送るのを忘れているうちに、マコトちゃんの指が竿の上、低音の勘所へ上がっていった。深く沈んだ哀切の先に、また扉を開こうとするかのように、歩みを止めない。まるきり先の見えない、どこまでも続く雪の中でも、夢中になって足を前へ進めようとする気持ちを、何とか先で待つ人に届けようとしている。
解放されたように唸る左手の動きに合わせるように、店内からは大喝采が起こった。うねるような拍手はしばらくやまなかった。

ミノルさんは喝采の中で糸合わせをしていた。マコトちゃんがミノルさんに節を譲って、ほっとしたように息を吐いた。
美南はミノルさんの手に釘付けになった。この人も半端じゃない。糸合わせだけでそれが分かる。マコトちゃんとはまた違う手だが、撥付けはやはり確実だった。弾くように強く打ちつける後撥、皮と糸に触れるように音を落とす前撥。
ミノルさんの演奏が始まると、客たちはまた静まり返り動かなくなった。

ミノルさんの撥も強く叩きつけているようでいて、その音は恐ろしくはなかった。胸に響くけれど、押し付けるような音ではなかった。
津軽の音というよりも、もっと深く豊かだと感じた。この人は沢山のものを見て、感じて、惑いながら、常に前を見て、何かを探しているのだと思った。
一の糸を高音から低音へ戻し、三と四の勘所で三本の糸を遊ばせる時に、それは美南の胸に直接響いてきた。

時には演歌の様に甘く切なく響き、ブルースのように泥臭く腹に響きを残し、時にはまるでジャズの演奏のように自由に踊りながら音を遊び、西洋の音楽のように音を確実に落とし、それでいて、どんな分野にも属さないミノルさん自身の音の流れを作り上げていく。
これはミノルさんの音だ。
ミノルさんの音には、ミノルさんの音だけで終わらない何かがある。

高い勘所へ、左手の人差し指がきっちりと角度をつけて竿を滑り降り、また滑らかに低い勘所へ戻る。優しくて綺麗な音だ。ミノルさんの音は大元が優しい。
その優しさは十六の勘所でちりちりとなる音の中に、泣きたくなるほどに温かく感じた。
マコトちゃんに負けないくらいにさわりが反響する。三本の糸が静かに震えて、小鳥が囀るような晴れやかな春が見える。

マコトちゃんの十六が降り積もって真っ白になっていく雪の世界なら、ミノルさんの十六は雪を解かす春の風のようだった。
マコトちゃんの音が、自らの内側を見つめ、蘇る想い出の景色を紡ぎ、やがて真っ白に染まっていく道程ならば、ミノルさんの音はそこから光を捜して、共に歩く誰かの手を探り、走り出す勇気だ。

すごい。二人の音は一緒に弾いていた時も、こうして独奏になっても、共鳴し合っている。
三味線を抱えたまま目を閉じていたマコトちゃんが、ふと目を開けて、じっとミノルさんの手元を見ている。ミノルさんの音から零れ出す何かを、ひとつたりとも逃すまいと願っているかのように。

弾き合っている者同士にしか分からない魂の交流があるのだ。言葉を交わす中では足りなかった想いを、二人は今、一節一節で語り合っている。
じっちゃと美南にもそれがあったように。
みなみ、うたっこ、じょんずだぁなぁ。じっちゃのためさ、うだっでけね。

やがて低い勘所へ指が移動しながら、撥が華やかにトレモロを奏で始めた。なんて綺麗なんだろう。三味線のトレモロが珍しいテクニックというわけではないのに、ミノルさんのそれはギターの音のように、よりたくさんの音が混じって聞こえた。
春、明るい海。光で七色に染まる海の色のように、共鳴し合いながら揺れさざめく。
美南は心が前に向かって坂道を登って行くような晴れやかな昂揚感を覚えた。
この先に何があるのだろう。それを見てみたいと思った。

マコトちゃんの演奏が「問い」なら、ミノルさんの演奏は「答え」のようだ。
確かな結論ではないけれど、答えにたどり着く道標のように感じられた。
マコトちゃんの節が懐かしい過去、自らの礎への回帰なら、ミノルさんの節は未来へ続く道のようだ。この坂を登れば見える景色を待ち望むことができる。

二人は今、弾いているミノルさんも傍で目を閉じて聴き入っているマコトちゃんも、完全に一体になっていた。美南の心もそこに一緒にあった。
じゃわめぐ。
津軽の言葉で、震える、心騒ぐ、ぞくぞくする、というような意味だ。この意味の深さはこの言葉以外で表すことはできない。
その言葉は、今この瞬間のためにあった。

まだ道は繋がっている。まだ歩ける。隣には大事な人がいるのだから。
ミノルさんの音がどんどん駆け上り、フィナーレに向かって三味線が大きくうねるように鳴った。それと同時に店内の客も身体を揺らすように、彼の音を盛り上げるように大喝采を送る。
だが二人の演奏者は、もうすでに別のところへ進もうとしていた。目と目を見合わせ、呼吸を合わせて掛け声を交す。余韻を断ち切るように二重奏に戻って、拍手を押しのけるように一の糸を大きく響かせ、あどはだりの冒頭を演奏し始めた。

と思うと、いたずらを仕掛けるようにミノルさんの手が止まった。
マコトちゃんは弾き続けたままミノルさんの顔を見る。ミノルさんは、さぁ来い、という顔だ。マコトちゃんは少し微笑んだように見えた。
抑えていたテクニックを披露するように一の糸を薬指で擦り、音を縮めたり延ばしたりしてうねりを作る。
ミノルさんが頷いてマコトちゃんの音に重ねる。
マコトちゃんが今度は手を止める。

ミノルさんはマコトちゃんの手を真似しながらも自分の音へと変えていき、そのまま弾き続けて、三と四の勘所へ上がり、三本の糸を最大限に共鳴させながら、時に一の糸を叩き、時に三の糸を掬い弾き、撥を躍らせる。
今度はマコトちゃんがその音に重ねる。ミノルさんの手を忠実に真似て、そのまま自分の音へと引き継ぎ、今度は高い勘所へ滑り降りながら、長唄の手のような聞かせどころを作る。
ちらっと顔を上げてミノルさんを見る。
ミノルさんはよしきた、という顔をして、マコトちゃんを真似る。次はマコトちゃんが手を止める。

自由に、旧節、中節、新節の節回しを使い分けながら、お互い相手が次に何を仕掛けてくるか楽しんでいる。
二人の独奏の時には静まり返っていた店内も、いまは大盛り上がりだった。二人の演奏者の気分を盛り上げるように、一方に拍手を贈れば、もう一方がライバル心を燃やすのを確かめ、更に重ねてより大きな拍手を贈る。
それを繰り返しながら聴衆は一体となってこの三味線バトルを遊び始めた。
美南もいつの間にか一緒になって手を叩いていた。

三の糸を擦るくぃーんくぃーんという音をマコトちゃんが響かせると、ミノルさんが真似ながら、今度はより離れた勘所同士で擦りを見せる。マコトちゃんが重ねて、またより長く、更に長く、最後は二人で崩れそうになるまで擦りを見せる。
客たちは大受けして大喝采を贈る。
次はミノルさんのさっきのトレモロをマコトちゃんが真似る。
ミノルさんはにやっと笑って得意のトレモロを重ねる。マコトちゃんが手を真似るようについて行く。お互い譲らないというように音を重ねていく。

十六の聞かせどころでちりちりという音を二人が重ねた時は、もう店内の全ての客の心は、完全に二人の競演に魂を持っていかれていた。
ひとりの十六でもあれだけさわりが響いていたのだ。今や二丁の三味線、六本の糸が共鳴して、わ~んわ~んと空気を振動させていた。二人はお互いの手を見ながら完全に合わせていた。
すごい、ぴったりだ。これほど長く続けていても一部の狂いもない。
まっ白な雪原の風景と七色に輝く凪いだ海。重なり合い、ひとつの世界を生み出す。
息をのんで見守っていた客たちは、もう我慢がならないかのように惜しみなく拍手を贈った。

それを見て、二人のバトルは派手やかに左手で竿を駆けあがりながら、乱れ弾きに入った。音を折り重ねて大仰なまでにミノルさんが三味線を揺らして音を反響させると、ずっと綺麗な姿勢を崩さなかったマコトちゃんが、ちょっとだけ遠慮がちにミノルさんを真似た。
笑いを誘っておいて、ミノルさんとマコトちゃんは顔を見合わせた。
同時にはっと掛け声を合わせて一の糸を叩き、瞬間の無音を作った後、弱音で三・四の勘所でちりてれを繰り返す。その音を滑らかに、お互いの息を確かめ合いながら、徐々に徐々に大きくしていく。
客は立ち上がっていた。美南も立ち上がった。

まるで違う音色の二人が、互いにちょっとライバル心を燃やし、一方でお互いを尊重し、音を認め合いながら次の音を探していく。その過程を見守っていた美南も客たちにも、あるいは演奏家たちにも、一緒に音を作り上げたような満足感が漂っていた。
ここでは客席にいる者も確かに音作りに参加していた。
大会や演奏会のように、ステージと客席の間の垣根はなかった。
美南の唄を聴いていたじっちゃがそこに一緒にいたように。

忘れていた。こんなふうに唄えばよかったんだ。
大好きな唄を諦められるはずはなかったのに。いや、ただ唄を、民謡を楽しめばよかったのだ。大会で勝ったり負けたりするのは一つの出来事に過ぎない。ここにいて、この場所で、今この時に、誰かと一緒に音を確かめ合いながら、響かせ合いながら、心を通わせればよかっただけなのだ。
もう一度唄いたい。
もう一度三味の音に合わせて、このじゃわめぐ心を唄に籠めてみたい。
美南は今、心から強く願っていた。

二人が手を繋いで、というよりもミノルさんがマコトちゃんの手を無理やり掴むようにして、二人で手を高く上げて挨拶をする。
当然のように客たちはアンコールを要求した。美南も嬉しくなって手を叩いた。
一緒に来たわけではなかったけれど、まるでもう十年も前から知っている人たちのようだった。

ステージ上ではミノルさんがマコトちゃんにそっと耳打ちする。
マコトちゃんがちらりとこちらを見て頷く。客たちが二人の気配に、アンコールを期待して静まり返る。
その時、ミノルさんが美南を見た。

美南を手招きしている?
美南は自分じゃないのかもしれないと辺りを振り返ったが、他にミノルさんの視線の先にいる者はない。
連れだから演奏家仲間だろうと思ったらしいカウンターの隣の客が、美南の腕をそっと押した。半被の男が美南をステージに手招きする。まだ昂揚感の余韻でわけのわからないうちに、ステージに押し上げられていた。

「何本?」
「あの……」
「小原を口ずさんでたでしょ。じょんからはいけるよね」
「え……でも……」
「大丈夫。僕らが支えるから」
マコトちゃんはもう座っていた。もうほとんど疑いのないような顔で美南に問いかける。
「五本? 六本?」
マコトちゃんって、意外に押しが強いんだと思った時には言葉が出ていた。
「……六本で」

ミノルさんは頷き、マコトちゃんの隣に座る。二人は顔を見合わせて、打ち合わせもなく互いの手を見て、頷き合う。ミノルさんが顔を上げて、美南に優しく微笑む。
糸を合わせる音。さわりを確かめ、もう一度顔を見合わせ、糸合わせを始める。三の糸の音をもう一度顔を見合わせて確かめた後は、捨て撥をせずに十の勘所に左手を置いた。
竹山の手だ。一の糸を合わせた後は、短いけれども見事に絡まり合う乱れ弾きで十六の勘所にまで持っていき、先に低い勘所へ辿り着いたマコトちゃんがミノルさんを待ち、やがて二人で申し合わせたように美南を見た。
二人は一枚岩のようにぴったりと息を合わせていた。
まるで一本の三味線の音に聞こえる。いや、今はマコトちゃんの節にミノルさんが合わせている。

みなみ、じっちゃにきがせでけね。

美南は二人に向かって頭を下げた。顔を上げた時、二人とも美南を見ていた。
一緒にやろう、と言っていた。心が想うままに、ただ君の心に唄を乗せてくれたらいいんだよ、あとは僕らがついて行くから、と。
美南は客席を振り返った。
客たちはすでに、ミノルさんとマコトちゃんが作った音を楽しむという世界に浸っていた。その余韻のままに、温かい視線を美南に向けていた。
上手下手はいいんだよ。一緒に唄を、津軽の節を楽しもうと言っていた。

「けっぱれ」
誰かの声がした。美南は答える代りに微笑んだ。微笑んでからふと気が付いた。
ここ数年、私はこんなふうに笑ったっけ?
三味線は重なって新節の太鼓の部分に入る。
半被の男が太鼓を叩き始めた。客たちも太鼓を真似て、机や手を叩いていた。
美南は深く、客席に向かってお辞儀をした。再び顔を上げた時、美南の前には大きな海が見えた。春を迎えた津軽の海。岩木お山の上から見た津軽平野の霞む緑の大地。
そして、まだ見たことがない遥か遠い国の、あるいは遥か遠い未来の海が。

今日、粉雪の中で出会った人が開けてくれた扉の向こうには道があった。
どこへ向かっているのか、今はまだわからないけれど、胸を張ってこの道を歩いていこう。





さて、物語には追記があります(*^_^*)
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Category: ☆真シリーズ・掌編

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