【雑記・本】『色の名前』/ 脳はわがまま


本当は小説をアップしたいのですが、手直しをする時間がなくて m(__)m
推敲というほどのものでもないのですが、何度やっても粗ばかり目につくのです。
始めから完成度の高い文章を書かれる方が羨ましい……
とは言え、推敲しても、いくらでも粗が目につくのですけれど。

何はともあれ、このところ日常業務に加えて、大きな会合に向けての準備があれこれ重なって、更に小さなイベントの準備もあって、落ち着きません。推敲だけでも、その時間、お話の中に埋没しないとできないのです。
不器用なもので。
……というわけで、本日もまた雑記に逃げております。

今日は、『名前シリーズ』の本を少しご紹介。
この本を読むと(見ると?)、どんなものの名前でも数限りなくある、ということが分かります。
例えば『色の名前』の中身を少し、ご紹介しますね。
本を開くと、「ムーンライトブルー、ミッドナイトブルー、ミストグリーン、時雨色、水縹、ウォーターブルー、オーシャングリーン、サーフグリーン、アイスグリーン……」
……自然界にあるもの、人工的に作られたもの、すべてのものの数だけ色の名前がある。

例えば『薔薇色』……どんな色なんでしょう。どの薔薇の色なんでしょう。
きっとこのひとつの言葉を聞いても、頭の中に思い浮かべる色は、十人いれば十人とも違う。
それどころか、一人の人でも、その時々の気持ちによって違う色を思い浮かべているかも。

こちらの本のコラムのコーナーには「本当の色ってなに?」って問われています。
背景の色によって、あるいは周囲の明るさによって色は違って見える。
色彩の研究では、照明の強さ(あるいは日照条件)、見る角度などの条件を決めていると言います。
そうしなければ、推理小説じゃありませんが、「黒い車」という証言が、実は赤い車だった、なんて話になるわけです。
そう考えると、色って本当に微妙なものですね。

そしてさらに、記憶によって色は現実の色とは違う形で頭の中に保存され、変容する。
「その物の色の特徴をより強調する方向に変化させて、つまり色みをより鮮やかにして、より純粋な色として記憶する」、「明るい感じの色はより明るく、暗い感じの色はより暗めに記憶する」そうです。
私たちは、色を美化して脳の中に記憶しているのですね。


色見本には1500~2000くらいの色が収められていると言います。頑張って揃えてみても10000色が限度。
一方で人間が見分けることができる色の数は1000万色だとか。
「アメリカの学者が以前、新聞・雑誌・小説などに出てくる色名の統計をとったところ、合計4416回登場した色名のうち、92%がわずか12語(多い順に、白・黒・青・赤・灰色・緑・ブラウン・金色・黄・ピンク・銀・紫)で占められていた」
そんなにたくさん見分けられるのに、表現するときはこんなに貧弱になってしまうのですね。

かと言って、「紅梅色、ローズ・ピンク、ロータス・ピンク、桜色、ナデシコ色、シクラメン・ピンク」などと一生懸命区別して表現してあっても、その微妙な違いを思い浮かべることは難しい。
しかも、それを読んだ人が頭の中に思い浮かべる色はまたそれぞれ。
もちろん、同じピンクでもこんな風に素敵な言葉で表現してあると、楽しくお話を読めたりするのですけれど。


……というと、このところ話題の?「キャラは麗しい方がいい?」って話にも通じるものがあるような。
見る人によって、読む人によって、まるきり違うものを想像している。
しかも、その人なりの基準で「より美形へ」想像して楽しんでいる。
でも美形の基準が違うので、他の人から見ても美形とは限らない。
この多様性と変容が面白いんですね。
脳って、本当に自由でわがまま。

でも、世界は本当に素敵な色、素敵な名前で満たされているのですね。
……この本を眺めていると、世界ってなんて美しい、と思うのでした。
それを少しでも言葉で描くことができたら、やっぱり素敵ですね。
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Category: 小説・バトン
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