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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【limeさんがマコトを描いてくださいました!】ぼくをモノレールに乗せて! 

繝槭さ繝・_convert_20140618010324
なんと、limeさんがマコト猫を描いてくださいました!!
事の発端は、【マコトが頑張って中継した姫路城公園のねこたち記事】に下さった八少女夕さんのこちらのコメント→『マコト、頑張ったね。きっとご褒美に、彩洋さん(とlimeさん?)がタケルとミニモノレールに乗せてくれるよ。(いい加減なことを言ってみる)』
超速攻でlimeさんが応えてくださるとは! それならば、私も速攻でマコトをモノレールに乗せてやりました!
あれ? このマコト猫は怒っているんじゃないか、って?
ちょっとだけ物語にお付き合いくださいませ。最後にもう一度登場するイラストで理由が分かります(^^)
DSCN4815_convert_20140614094343.jpg
ちなみに件のモノレールはこちら↑
「モノレール」と書いた屋根の下に停まっているのがミニモノレールです。
では、しばしお付き合いくださいませ。



「ママ、またあの猫だよ」
木のベンチに座っている小さな男の子が声を上げた。
でも、誰も答えない。
地面につかない足はぶらぶらと宙を彷徨っている。

隣には母親らしき女性が座っている。
男の子は母親の手を引っ張る。
でも母親は男の子を見ようとしない。
どこか遠くを見つめている。
男の子は悲しそうに母親を見つめ、やがてぴょこんと地面に降りた。

ここは小さな動物園。
大きな公園の真ん中に真っ白なお城があり、そのすみっこにある動物園だ。
男の子は一週間前に母親と一緒に東京からこの町にやって来た。
だから友だちもいない。
男の子は母親と一緒に毎日ここにやって来る。
でも、母親はずっとベンチに座ったままだ。
だから男の子はひとりで動物たちを見て回る。

ペンギンの小さなプール。
時々しか羽根を広げない孔雀。
オハヨーしか言わない白いオウム。
大きいキリンと小さいキリン。
でも小さい方が歳を取っている。
ライオンはこの時間はいつも裏の部屋に入ってしまっている。
シマウマの小屋は少し臭い。
サルたちはいつも忙しそうに動き回っている。
ホッキョクグマは檻の中をずっとぐるぐる回っている。
お気に入りは象の姫子の食事シーンだ。
ものすごくニンジンが好きみたいだ。
でも、ニンジンじゃなくて大きなパンを一気に食べてしまうところが好きだ。

動物園には観覧車やくるくる回るティーカップやブランコ、ゲームのコーナーもある。
本当は乗ってみたいけれど、男の子はおねだりをすることができない。
特に乗ってみたいのはモノレールだ。
1回150円。
でも値段よりも遥かに手の届かないものに思える。
だから、他の子どもたちがパパやママと一緒に乗りこんではしゃいでいる姿を、下でただ見つめている。

三日前から、男の子と同じように、一匹の猫がじっとモノレールを見ている。
茶色のしましまの猫で、長い尻尾もしましまだ。
近付くと逃げる。
あまり遠くまでは逃げないけれど、触らせてくれない。
時々、檻の中で動物や鳥が声を出すと、びっくりしたようにどこかに隠れる。
それからまたこっそり出てきて、じっとモノレールを見上げている。

きっとあのしましま猫もモノレールに乗りたいんだと男の子は思う。
でも、猫はお金を持っていない。
男の子もお金を持っていない。
一緒に乗ってくれる人もいない。

小さなモノレールに父親と一緒に座って楽しそうに笑っている子どもがいる。
父親は大きな体で照れ臭そうに小さなモノレールに乗っている。
下で手を振りながらカメラを構えているのは母親だろう。
男の子は自分の母親を振り返る。
母親はじっとベンチに座ったまま、やはり遠くを見つめたままだった。
傍を見ると、昨日よりも少しだけ近くにしましまの猫が寄ってきている。
猫はしょんぼりと足元を見ている。

「もう閉園ですよ」
モノレールが止まって、動物園の係の人に声を掛けられてから、男の子は母親と一緒にお祖母ちゃんの家に帰る。
しましま猫はいつの間にかいなくなってしまっていた。

次の日も、やっぱり男の子としましま猫はモノレールを見上げる。
男の子の母親は、今日もただベンチに座っている。
ちょっとだけ近くに行っても逃げなくなったしましま猫の目を見ると、片一方は黒くて、もう片一方は緑色だった。
猫の目は綺麗で、そして横顔は寂しそうだ。
「君もひとりぼっちなの?」
しましま猫は何も言わずにモノレールを見つめていた。
その時。

「マコト!」
男の子は思わず振り返った。
でも、走り寄ってくるのは、男の子が待っていた人ではなかった。
背が高くて金髪の、物語に出てくる王子様みたいな男の人だ。
王子様は男の子の近くまで走ってきて、しゃがみこんだ。
しゃがみ込んで、しましま猫の頭を撫でる。

ぷい。
しましま猫は知らん顔をする。
知らん顔をしてから、ちょっとだけ気にするように王子様を見る。
それからまた知らん顔。
「お城の仕事はやっと終わったよ。ごめんな。放っておいて」
しましま猫は聞いていないような顔で、モノレールを見上げる。

「モノレールか」
王子様が拗ねているしましま猫を抱き上げようとすると、しましま猫はちょっともがいて暴れ始める。
「よし、乗ろう」
突然王子様がそう言って、まだ暴れるしましま猫を抱いたまま、モノレール係のおじさんの方へ歩いて行く。

なんだ。しましま猫はひとりぼっちじゃなかったんだ。
男の子はちょっと裏切られたような気持ちになる。

ぼくはひとりぼっちなんだ。
どうしてママはパパと喧嘩しちゃったんだろう。
パパはどうしてママに出て行けって言っちゃったんだろう。
パパもママもどうして謝らなかったんだろう。
ぼくはやっぱりひとりぼっちなんだ。
しましま猫にも、モノレールに乗せてくれる人がいるのに。

王子様の足が止まって、男の子を振り返る。
「パパとママはどうしたんだい?」
男の子は突然話しかけられてびっくりする。
王子様の腕の中で、しましま猫もちょっと心配そうに男の子を見ている。
男の子は首を横に振る。
「君も乗るかい?」
男の子はもう一度首を横に振った。

モノレールには乗りたい。
でも、違うんだ。一緒に乗りたいのは……
男の子は俯き、ぽろっと涙をこぼした。
その時。

「マコト!」
男の子は涙を浮かべたまま振り返った。
王子さまみたいにはかっこよくなくて、ちょっと背も低くてビールでおなかも出ているけれど、大好きな人が走ってくる。
「パパ!」
ベンチの母親が立ち上がる。
それから、男の子の母親と父親は、お互いに何回もごめんねと言い合った。
ふたりは男の子にも何回も、寂しい思いをさせてごめんねと謝った。

男の子は青い空を見上げ、モノレールの一番前に乗った王子様としましま猫に手を振る。
王子様は無理矢理しましま猫の手を持って、振らせている。
しましま猫はちょっと迷惑そうだけれど、嬉しそうだ(たぶん)。

あのモノレールが一周回ったら、今度は僕がパパと一緒にモノレールに乗って、ママとしましま猫と王子様に手を振ろう。
それから、あの真っ白なお城と、真っ青なお空に向かって。

DSCN4742_convert_20140618010658.jpg
タケルは修復師ですから、姫路城(の中の宝物)の修復をちょっとお手伝いしていたようですね。
この人のことだから、きっと夜を徹してやっていたに違いない。
マコトはタケルのお仕事が終わるのを待っていたのですね。
(公園のねこに襲われなかったかしら? ……いや、何より、マコトは3日も一人じゃなくて一匹ではいられないはずなので、お話ということで目を瞑ってください)
そして、まさかの同じ名前の男の子も、「待っていた」のですね。
そしてマコトも、頑張って待っていたご褒美に、無事にタケルと一緒にミニモノレールに乗れたみたいです(*^_^*)
さっきまではこんな感じだったのですけれど……
繝槭さ繝・convert_20140618012548
limeさん、夕さん、ありがとうございました!!

……しかし、このモノレール、大人が乗って大丈夫なんだろうか?

(追記)
夕さんのコメントを読んで気が付きました!
「手」じゃなくて「前足」でしたね。擬人化マコトを見ながらだったので、何の違和感もなく「手」でした^^;
書き直さずにそのままです(*^_^*)
実は、マコトバージョンもあります。
またまたお楽しみに(*^_^*)
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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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