[雨118] 第23章 喪失(5)
【海に落ちる雨】第23章その(5)です。
思えば、間が空いてしまったのに、少し言葉足らずでfollowできない状態になっていましたが、今更あらすじを書くのもなんなので、 よろしければ第23章 喪失(1)の前書きを見てくださいませ。超簡単なあらすじと、登場人物紹介へ飛ぶことができます。
さて、こちらは迷ったけれどRにはしないぞ!というある作家さん(皆様もご存じの(^^))のつぶやき(叫び?)に賛同し、Rにはしておりませんが、いささか際どいシーンがありますので、さらりとスルーしていただければと思います。
いえ、思い切り絡んでくださってもいいのですけれど。



「あの女、相当いかれてるぞ。お前もお前だ。どこぞの古代文明の生贄じゃあるまいし、自分を焼き殺そうとした女に対して、もうちょっと言う事があるだろうに」
村上に向かおうと車に乗り込んだ途端、草薙は助手席で息巻いた。
真は改めて不思議な気持ちで草薙を見た。
「何だ、その顔は」
「いえ。いかれた連中を飼い慣らしているあなたの言葉とは思えなくて」
ふん、と草薙は息を吐き出し、シートに深く身体を沈めた。
「ま、ようやく気が付いたようで良かった。ついさっきまで、あんた呼ばわりだった。人生の先輩に対する態度じゃなかったからな」
「あなたのような人に対してなら、警戒するのが普通だ」
真はキーを捻ってエンジンをかけた。ヘッドライトが浮かび上がらせた田舎道は、光の限界から先をまだ闇に落としている。
「千草さんは何十年、あるいは何世紀もこの家が背負ってきたものを肩に乗せて生きてきた。受け入れられない異分子でありながら、この家から出ていけないように閉じ込められてきたのは、彼女のお祖母さんだけじゃない」
「よく分かったよ。いかれてるのはあの女だけじゃなくてお前もだな。いいか。お前やお前の相棒はどっかずれてるぞ。生命への執着心が薄すぎるのか、自分の悪運を過信してるのか。お前らが、あの女やあの家にとってまれ人の役割を果たしたのは確かだろうさ。だからって殺されていいって話にはならないぞ」
「あなたは竹流がこの家の誰かに傷つけられたと思ってるんですか」
草薙が闇の中から真を見た。しばしの沈黙の後、答えが返ってくる。
「いや。それはないな。ここは通過点だ」
同感だった。真はようやくサイドブレーキを外した。
村上に着くと、下蓮生のお手伝いの吉川弥生が、待ち合わせた下蓮生の前で待っていてくれた。
彼女は、知り合いの旅館に頼んでくれたようで、ホテルではなく古い旅館の一室に泊まることができた。もっとも、この村ではほとんどの人間が知り合いなのだろうし、弥生のような明るいゴシップ好きのおばさんは、この町でも顔が広そうだった。
「下蓮生の御当主はどうしておられるんですか」
「えぇ、もう本当にお可哀想にね。徘徊して火をつけたりしては困るっていうんで、病院に入られましたよ。病院っていっても、牢獄みたいなもんですよね」
放火の責任能力の問題もあるだろうが、何より旧家の主が放火の犯人だということになるのは問題なのかもしれない。地方には地方の法律があり、何が正義であるかと問う場には、他所の人間は介入できない。
傍に立っている電信柱で、何かの広告が色褪せた赤い文字を歪めて、湿った音を立てていた。
竹流が聞いたら、ただあの老人を哀れに思うだろう。
「弥生さん、前に、弥生さんが娘さんだった頃、妙な雑誌があったって言っておられましたよね」
弥生さん、と呼びかけてから、これではまるで仁だな、と思った。
「えぇえぇ。それがどうか」
「それって、まだ持っておられませんか」
「えぇ、多分ありますよ」
吉川弥生はしばらく考えるような顔をしてから答えた。
田舎の人間はものを捨てない。真は、明日弥生の家に寄せてもらう約束をして、吉川弥生と別れた。
案内された旅館は古いとはいえ老舗のようで、部屋は無駄に広かった。床の間の花瓶では、紫陽花が幾らかくたびれたように俯きかけていた。
夕食は済ませていたので、内風呂に入り、それから草薙の勧めるままに日本酒を少しだけ飲んだ。さすがに新潟の酒は美味いな、と草薙が呟いた。部屋は二間続きで、隣の部屋には既に布団が敷かれていた。
「明日はどうする気だ? その雑誌とやらをひっくり返して何かが出てくると思うのか」
そう聞かれると、確信を持っているわけでもなかった。真は黙ったままお猪口を口に運び、それから空になった草薙の猪口に酒を注ぎ足してやった。
「竹流は佐渡に渡る前に山梨のアトリエの燃え跡に行って、そこで指輪を捨てた。それから、近くの農家に預けてあったものを取りに行った。多分、そこから新潟に来たんじゃないかと思う。彼はあくまでも絵のために動いていたんだし、まずは絵の行方を確認するはずだ。江田島道比古というのが、問題の絵と関わっている男なので、もう一度その男に会ってみるつもりです」
「それで埒があかなかったら?」
「もうひとつ、彼が気にしていたのが、新津圭一の娘、千惠子の身の上だった。寺崎昂司は新津千惠子を女に預けたと言っていた。女というのは、香野深雪じゃないかと思う」
「だが、香野深雪はどこにいるのかわからないんだろう」
「人間って隠れるとき、どこに隠れると思います? 特に保護しなければならないような弱者を連れているとき、あまりにも土地勘のないところには行きにくい。罪を犯して警察から逃げているのなら話は別ですが」
「なるほどね。それはそうだ」
「あなたは竹流が香野深雪と接触していたのも知っている。御蔵皐月や楢崎志穂のことだって調べたんでしょう。勿論、香野深雪のことも。あなたは糸魚川に行って、深雪の両親の自殺のことを調べたはずだ」
「やれやれ、お前さんが失踪人調査のプロだってことを忘れてたよ。どうりで鼻が利くわけだ。香野深雪の両親が自殺した後、彼女が預けられた施設は新潟だった。彼女は」
草薙は言葉を切って真を見つめた。
「お前さん、彼女のことは自分で調べたほうがいい。俺は現在その女がいる場所は知らんが、お前さんの言うとおり、彼女が土地勘のあるところにいるのなら、お前さんはそこに行って、彼女自身と話すべきだろうからな」
草薙は煙草を一本引き抜いた。
「あの男が言ってたよ。お前さんは多分気が付いていないが、いつかお前が本当に愛することになる女は、香野深雪のような女なんだろうってな。香野深雪を抱いて帰ってきた日のお前には、雄のにおいがするってな」
真は、机に戻したお猪口の底で揺れている透明な光から、思わず顔を上げた。
「何のことだ」
「お前さんは自分で気が付いていないことが随分あるってことさ。あの女には傷がある。それも深い傷だ。お前はその女の傷に惹かれる。お前にはその傷を癒すこともできる。何故ならお前にも傷があるからだ。お前は傷のない女には惹かれないんだよ。恋はできるだろうが、それにもしかすると、本当にお前が必要としているのは、傷のない女のほうなんだろうけどな。だが、お前は傷を持たない女の前で、本当の男になることはないんだろう。香野深雪はそういう意味で、お前にとって初めての女なんだろうよ。それに、あの男だって、香野深雪が複雑な事情を抱えていて、決して一筋縄ではいかない女だと知っていて、それでもお前が彼女のところに通うのを止めなかった。お前と香野深雪がお互い本気になる日がきたら、身を引くつもりなんじゃないかと、俺にはそんなふうに見えたけどな」
草薙は二つの猪口に酒を注いだ。真は黙ってその手元を見つめていた。よく使われている、骨ばった大きな手だった。
「それでも、誰かさんに操をたてるか」
真は顔を上げた。草薙がふと笑った気がした。
「お前さんは、女をちゃんと愛することができる男だ。俺はそう思うけどな。それでもあの男を選ぶというなら、その先は地獄かもしれないぞ」
真は息をひとつ吐き出した。
「覚悟はしている」
草薙は首を横に振るようにして、一気にお猪口を空けた。
「全く、付き合ってられんな。お前ら、インチキ占い師に赤い糸で繋がれてますって言われて、丸々信じるタイプだな」
「そうじゃない。俺が自分で結んだ糸だ。あいつは、自分の立場が分かっているから、時々その糸を解こうとする。離れたくないのは俺のほうで、耐えられないのも俺のほうだ。だから、三途の川でごねて引き返してきた」
俺にはわからん、と草薙が呟いた。
「あの男の国では、小学生からダンテの神曲を教えられるそうだ。どんな話か知ってるか? 死んだ妻が恋しくて、地獄まで迎えに行く男の話だ。ギリシャ神話のオルフェウスの物語が下敷きになっている。そんな教育を受けてきたからか、時々、お前をあの世から連れ戻してきたような錯覚に陥るってな。だが、あまりにも不安で、かえって振り返ることができないんだと。お前が消えてしまったらどうしようと、あの男は振り返りもせずに、お前の手を離すこともできないでいる。馬鹿馬鹿しい妄想だ」
手を離したら消える、それはその通りかもしれなかった。だから、さっさと帰ってきてこの手を捕まえないとどうなるか知らないぞと、そう伝えてやりたかった。
身体の芯で何かが音を立てている。
不意に、草薙に見つめられていることに気が付いて、真はその目を見返した。何だ、と問いかけるまでもなく、草薙のほうから言葉が継がれる。
「お前さん、これで何日眠れていないんだ?」
何を聞かれたのか、よく分からなかった。
「充たされていない睡眠に胃袋、ついでに性欲もだな」
それでも、草薙が何を言っているのか理解できず、真はただその目を見ていた。爬虫類のようhに抜け目のない目だった。
不意に、村野耕治という男はどういう目をしていたのだろう、と思った。親とは認められないような、ろくでもない人間であったとしても、明らかに血の繋がりはその身体のどこかに現れてくる。美和が見分けているのは、その僅かな類似点だ。
草薙と村野耕治、そして真とアサクラタケシの間には、どれほど否定しても内側から湧きあがってくる同じ種類のにおいがあるのだ。
「今のお前は野生の生き物みたいだ。ついこの間までは明らかに手元にあったはずのあらゆるものに、今は餓えている。そういうフェロモンを不特定多数の人間の前で撒き散らさないほうがいいぞ。相手にその気があれば、かなり危ない」
真は思わず、無遠慮に寛げかけていた浴衣の合わせをかき寄せた。その様子に草薙が微妙な笑みを浮かべる。
「誰かさんの腕の中じゃないと眠れない、って言われても困るけどな」
そう呟くと、草薙はいきなり立ち上がり、真の方へ回ってくると、腕をつかんだ。そのまま、真の身体は宙に浮くように立ち上がり、あっという間に布団が敷かれた隣の部屋に投げ込まれる。
全く抗う隙もなかった。何かの古武術の使い手でもあるかのように、一瞬に相手の気を砕くような素早さだった。真とて、それなりに真剣に剣道をやってきたわけで、こういう『気』の気配は理解できる。
「あんたと寝る気はない」
自分でも意外なほど冷静な声が出ていた。草薙の持つ気配の中には、性的な欲求を感じさせるものが何もなかったからだった。
「俺もそっちの趣味はない。だから期待されても困る。だが、お前さんの今の状況は随分際どく見えるけどな」
真が何かを言いかけたとき、草薙が骨ばった、身体に不釣合いなほど大きな左手で、真の口を塞いだ。そのまま、右手はあっさりと浴衣の裾から真の下着の中に入ってきて、まださっきの武術の型のひと続きの流れであるかのように、器用に次の行動に入っていった。
あまりにも自然な勢いに、真は逆らう気を完全に挫かれていた。
草薙の身体からは、夜の商売を生き抜いている人間に独特のにおいが滲み出している。拘束されているわけでもないのに全く動かない真の身体は、今はただ草薙の手の動きを貪るように受け入れいていた。自分でも息が荒くなってくるのが分かったが、喘ぎなど決して洩らさないようにと唇を引き結んでいると、草薙の手が口元から外され、そのまま頭を抱かれたようだった。
「お前さんは快楽には異常に素直だ。自分だって気が付いているだろう? そしてそのことに罪悪感を覚えている。だからそこに愛だの恋だの精神的なものを付加することを恐れている。身体の反応と、その素晴らしい精神世界は別のものだと思い込みたいんだろう。だが、そんなに簡単に切り離せるものじゃないぞ。誰かさんとの思い出だけは綺麗にとっておこうなんて無駄な努力はしないほうがいい。素直に声を出せ」
草薙の骨ばった指が唇に触れたとき、真はその指を求めるように声を漏らした。
不意に、いつか竹流が見せてくれた地獄の扉を思い出した。
ロダン自身だといわれている『考える人』が、背後から地獄へ吹き堕とされる人間たちを見つめて、人間の業について沈思している。二百体を超える彫刻の人間たちは、苦しみもがきながらも、地獄から逃れ、這い上がり、ある者は飢餓の苦しみのためにわが子を食らいながらも生き抜こうとしている。ロダンの傍らで、堕ちまいと必死にしがみついている男の姿が、闇の中で浮かびあがった。
俺もやはり、今はただこの地獄を生きぬいてやろうとしている。沈思する男でもなく、その男を悲しげに見つめている別れた恋人であり弟子でもあった女性でもない、この身はただ煉獄に放り込まれた二百体のひとつに過ぎないのだ。
生き抜くために、時には身体は快楽を必要とする。食欲も睡眠欲も性欲も、全てが細胞の機能を支えている。ひとつひとつの細胞こそ、生命に対する貪欲な渇望を表現している。分裂し再生し、時には異常な細胞を産みながらも、それでも生き続けようとする。
蠍座は人間にとってタブーとも言える死と性を司る星座で、蠍座の影響を受けた人はどこか超然としていて、磁力のような性的吸引力があります、と美和が星占いを読み上げていた。先生って一見はそうは見えないけど、どうなんだろう、と興味深げに真を見つめている。
その通りだ。真は美和に今、答えてやっている。そのどちらも、俺の中で深い渦を巻いている。一度死んでしまった俺がこうして蘇って地獄のようなこの世を歩いているのも、腹の奥底で誰かを求め続けているのも、全て星占いに書かれてある通りだ。
昨夜、自分で処理をしておけば、こういう気配をこの男に感付かれずに済んだのだろうと、頭の隅では冷静に分析していた。
不思議なことに、羞恥や嫌悪はまるでなかった。確かにこのまま身体の中に何かを溜め込んでいては、ろくなことにならないだろうし、それを目の前の他人が何とかしてくれようとしていることに、今はもう任せてしまいたい気持ちになっていた。その驚くほどに淡白で器用な手の運動に、身体は直ぐに合わせることができるようになり、真はそのまま目を閉じて感じるままの快楽を貪った。
意識は悠然と地獄を歩いていた。凍るような水と、焼けるような炎と、身体が千切れるような嵐の中を、苦もなく歩き続けていた。足もとの道は延々と続く針の道だった。一歩進むごとに、足の裏から甲に突き出す幾本もの針は、そのものが生きているかのように真の身体の血を吸っていた。明らかに強烈な痛みを感じるのに、恐れもなく歩き続けているのは、誰かの手が、冷たく凍るような真の手を握りしめていたからだった。
その温度は幻ではなかった。それに気が付いたとき、身体の芯で痒いような疼きが起こった。疼きは次第に大きくなり、やがて下半身から頭の先に向かって突き上げた。
草薙が布団を一組、隣の部屋に移している気配を感じながら、まだ真の意識は闇の道を歩き続けていた。やがて、ゆっくり休め、という声と共に襖が閉められ、隣の部屋の明かりが消えてすとんと心地好い闇が訪れた。
もしも迎えに来た男が不安になって振り返っても、自分のほうが手を離さなければいいと、真はそんなことを考えていた。


こちらは国立西洋美術館の前庭の地獄の門。よく見かける「考える人」は実はこんな不安定な状況で座っているのですね。
地獄に堕ちていく人間たち。必死にしがみつき、あるいは苦痛から逃れるために残虐な行為をする者もあり、ただ嘆く者もあり……その姿を見て沈思している。そもそもこれはダンテの神曲にヒントを得たロダンが、地獄に堕ちる(た)人々を審判官が見ているシーンを造ろうとしたもので、始めは沈思しているわけではなかったのかも。
扉に描かれた恐ろしい人間の世界(地獄?)をじっと見つめると、これは空想ではないのかもと思えてしまうけれど、フィレンツェのサン・ジョバンニ礼拝堂の『天国の扉』のキラキラを見て、気を取り直して希望を抱くことにします(内容は微妙だけれど)。
次回で第23章が終わります。
思えば、間が空いてしまったのに、少し言葉足らずでfollowできない状態になっていましたが、今更あらすじを書くのもなんなので、 よろしければ第23章 喪失(1)の前書きを見てくださいませ。超簡単なあらすじと、登場人物紹介へ飛ぶことができます。
さて、こちらは迷ったけれどRにはしないぞ!というある作家さん(皆様もご存じの(^^))のつぶやき(叫び?)に賛同し、Rにはしておりませんが、いささか際どいシーンがありますので、さらりとスルーしていただければと思います。
いえ、思い切り絡んでくださってもいいのですけれど。



「あの女、相当いかれてるぞ。お前もお前だ。どこぞの古代文明の生贄じゃあるまいし、自分を焼き殺そうとした女に対して、もうちょっと言う事があるだろうに」
村上に向かおうと車に乗り込んだ途端、草薙は助手席で息巻いた。
真は改めて不思議な気持ちで草薙を見た。
「何だ、その顔は」
「いえ。いかれた連中を飼い慣らしているあなたの言葉とは思えなくて」
ふん、と草薙は息を吐き出し、シートに深く身体を沈めた。
「ま、ようやく気が付いたようで良かった。ついさっきまで、あんた呼ばわりだった。人生の先輩に対する態度じゃなかったからな」
「あなたのような人に対してなら、警戒するのが普通だ」
真はキーを捻ってエンジンをかけた。ヘッドライトが浮かび上がらせた田舎道は、光の限界から先をまだ闇に落としている。
「千草さんは何十年、あるいは何世紀もこの家が背負ってきたものを肩に乗せて生きてきた。受け入れられない異分子でありながら、この家から出ていけないように閉じ込められてきたのは、彼女のお祖母さんだけじゃない」
「よく分かったよ。いかれてるのはあの女だけじゃなくてお前もだな。いいか。お前やお前の相棒はどっかずれてるぞ。生命への執着心が薄すぎるのか、自分の悪運を過信してるのか。お前らが、あの女やあの家にとってまれ人の役割を果たしたのは確かだろうさ。だからって殺されていいって話にはならないぞ」
「あなたは竹流がこの家の誰かに傷つけられたと思ってるんですか」
草薙が闇の中から真を見た。しばしの沈黙の後、答えが返ってくる。
「いや。それはないな。ここは通過点だ」
同感だった。真はようやくサイドブレーキを外した。
村上に着くと、下蓮生のお手伝いの吉川弥生が、待ち合わせた下蓮生の前で待っていてくれた。
彼女は、知り合いの旅館に頼んでくれたようで、ホテルではなく古い旅館の一室に泊まることができた。もっとも、この村ではほとんどの人間が知り合いなのだろうし、弥生のような明るいゴシップ好きのおばさんは、この町でも顔が広そうだった。
「下蓮生の御当主はどうしておられるんですか」
「えぇ、もう本当にお可哀想にね。徘徊して火をつけたりしては困るっていうんで、病院に入られましたよ。病院っていっても、牢獄みたいなもんですよね」
放火の責任能力の問題もあるだろうが、何より旧家の主が放火の犯人だということになるのは問題なのかもしれない。地方には地方の法律があり、何が正義であるかと問う場には、他所の人間は介入できない。
傍に立っている電信柱で、何かの広告が色褪せた赤い文字を歪めて、湿った音を立てていた。
竹流が聞いたら、ただあの老人を哀れに思うだろう。
「弥生さん、前に、弥生さんが娘さんだった頃、妙な雑誌があったって言っておられましたよね」
弥生さん、と呼びかけてから、これではまるで仁だな、と思った。
「えぇえぇ。それがどうか」
「それって、まだ持っておられませんか」
「えぇ、多分ありますよ」
吉川弥生はしばらく考えるような顔をしてから答えた。
田舎の人間はものを捨てない。真は、明日弥生の家に寄せてもらう約束をして、吉川弥生と別れた。
案内された旅館は古いとはいえ老舗のようで、部屋は無駄に広かった。床の間の花瓶では、紫陽花が幾らかくたびれたように俯きかけていた。
夕食は済ませていたので、内風呂に入り、それから草薙の勧めるままに日本酒を少しだけ飲んだ。さすがに新潟の酒は美味いな、と草薙が呟いた。部屋は二間続きで、隣の部屋には既に布団が敷かれていた。
「明日はどうする気だ? その雑誌とやらをひっくり返して何かが出てくると思うのか」
そう聞かれると、確信を持っているわけでもなかった。真は黙ったままお猪口を口に運び、それから空になった草薙の猪口に酒を注ぎ足してやった。
「竹流は佐渡に渡る前に山梨のアトリエの燃え跡に行って、そこで指輪を捨てた。それから、近くの農家に預けてあったものを取りに行った。多分、そこから新潟に来たんじゃないかと思う。彼はあくまでも絵のために動いていたんだし、まずは絵の行方を確認するはずだ。江田島道比古というのが、問題の絵と関わっている男なので、もう一度その男に会ってみるつもりです」
「それで埒があかなかったら?」
「もうひとつ、彼が気にしていたのが、新津圭一の娘、千惠子の身の上だった。寺崎昂司は新津千惠子を女に預けたと言っていた。女というのは、香野深雪じゃないかと思う」
「だが、香野深雪はどこにいるのかわからないんだろう」
「人間って隠れるとき、どこに隠れると思います? 特に保護しなければならないような弱者を連れているとき、あまりにも土地勘のないところには行きにくい。罪を犯して警察から逃げているのなら話は別ですが」
「なるほどね。それはそうだ」
「あなたは竹流が香野深雪と接触していたのも知っている。御蔵皐月や楢崎志穂のことだって調べたんでしょう。勿論、香野深雪のことも。あなたは糸魚川に行って、深雪の両親の自殺のことを調べたはずだ」
「やれやれ、お前さんが失踪人調査のプロだってことを忘れてたよ。どうりで鼻が利くわけだ。香野深雪の両親が自殺した後、彼女が預けられた施設は新潟だった。彼女は」
草薙は言葉を切って真を見つめた。
「お前さん、彼女のことは自分で調べたほうがいい。俺は現在その女がいる場所は知らんが、お前さんの言うとおり、彼女が土地勘のあるところにいるのなら、お前さんはそこに行って、彼女自身と話すべきだろうからな」
草薙は煙草を一本引き抜いた。
「あの男が言ってたよ。お前さんは多分気が付いていないが、いつかお前が本当に愛することになる女は、香野深雪のような女なんだろうってな。香野深雪を抱いて帰ってきた日のお前には、雄のにおいがするってな」
真は、机に戻したお猪口の底で揺れている透明な光から、思わず顔を上げた。
「何のことだ」
「お前さんは自分で気が付いていないことが随分あるってことさ。あの女には傷がある。それも深い傷だ。お前はその女の傷に惹かれる。お前にはその傷を癒すこともできる。何故ならお前にも傷があるからだ。お前は傷のない女には惹かれないんだよ。恋はできるだろうが、それにもしかすると、本当にお前が必要としているのは、傷のない女のほうなんだろうけどな。だが、お前は傷を持たない女の前で、本当の男になることはないんだろう。香野深雪はそういう意味で、お前にとって初めての女なんだろうよ。それに、あの男だって、香野深雪が複雑な事情を抱えていて、決して一筋縄ではいかない女だと知っていて、それでもお前が彼女のところに通うのを止めなかった。お前と香野深雪がお互い本気になる日がきたら、身を引くつもりなんじゃないかと、俺にはそんなふうに見えたけどな」
草薙は二つの猪口に酒を注いだ。真は黙ってその手元を見つめていた。よく使われている、骨ばった大きな手だった。
「それでも、誰かさんに操をたてるか」
真は顔を上げた。草薙がふと笑った気がした。
「お前さんは、女をちゃんと愛することができる男だ。俺はそう思うけどな。それでもあの男を選ぶというなら、その先は地獄かもしれないぞ」
真は息をひとつ吐き出した。
「覚悟はしている」
草薙は首を横に振るようにして、一気にお猪口を空けた。
「全く、付き合ってられんな。お前ら、インチキ占い師に赤い糸で繋がれてますって言われて、丸々信じるタイプだな」
「そうじゃない。俺が自分で結んだ糸だ。あいつは、自分の立場が分かっているから、時々その糸を解こうとする。離れたくないのは俺のほうで、耐えられないのも俺のほうだ。だから、三途の川でごねて引き返してきた」
俺にはわからん、と草薙が呟いた。
「あの男の国では、小学生からダンテの神曲を教えられるそうだ。どんな話か知ってるか? 死んだ妻が恋しくて、地獄まで迎えに行く男の話だ。ギリシャ神話のオルフェウスの物語が下敷きになっている。そんな教育を受けてきたからか、時々、お前をあの世から連れ戻してきたような錯覚に陥るってな。だが、あまりにも不安で、かえって振り返ることができないんだと。お前が消えてしまったらどうしようと、あの男は振り返りもせずに、お前の手を離すこともできないでいる。馬鹿馬鹿しい妄想だ」
手を離したら消える、それはその通りかもしれなかった。だから、さっさと帰ってきてこの手を捕まえないとどうなるか知らないぞと、そう伝えてやりたかった。
身体の芯で何かが音を立てている。
不意に、草薙に見つめられていることに気が付いて、真はその目を見返した。何だ、と問いかけるまでもなく、草薙のほうから言葉が継がれる。
「お前さん、これで何日眠れていないんだ?」
何を聞かれたのか、よく分からなかった。
「充たされていない睡眠に胃袋、ついでに性欲もだな」
それでも、草薙が何を言っているのか理解できず、真はただその目を見ていた。爬虫類のようhに抜け目のない目だった。
不意に、村野耕治という男はどういう目をしていたのだろう、と思った。親とは認められないような、ろくでもない人間であったとしても、明らかに血の繋がりはその身体のどこかに現れてくる。美和が見分けているのは、その僅かな類似点だ。
草薙と村野耕治、そして真とアサクラタケシの間には、どれほど否定しても内側から湧きあがってくる同じ種類のにおいがあるのだ。
「今のお前は野生の生き物みたいだ。ついこの間までは明らかに手元にあったはずのあらゆるものに、今は餓えている。そういうフェロモンを不特定多数の人間の前で撒き散らさないほうがいいぞ。相手にその気があれば、かなり危ない」
真は思わず、無遠慮に寛げかけていた浴衣の合わせをかき寄せた。その様子に草薙が微妙な笑みを浮かべる。
「誰かさんの腕の中じゃないと眠れない、って言われても困るけどな」
そう呟くと、草薙はいきなり立ち上がり、真の方へ回ってくると、腕をつかんだ。そのまま、真の身体は宙に浮くように立ち上がり、あっという間に布団が敷かれた隣の部屋に投げ込まれる。
全く抗う隙もなかった。何かの古武術の使い手でもあるかのように、一瞬に相手の気を砕くような素早さだった。真とて、それなりに真剣に剣道をやってきたわけで、こういう『気』の気配は理解できる。
「あんたと寝る気はない」
自分でも意外なほど冷静な声が出ていた。草薙の持つ気配の中には、性的な欲求を感じさせるものが何もなかったからだった。
「俺もそっちの趣味はない。だから期待されても困る。だが、お前さんの今の状況は随分際どく見えるけどな」
真が何かを言いかけたとき、草薙が骨ばった、身体に不釣合いなほど大きな左手で、真の口を塞いだ。そのまま、右手はあっさりと浴衣の裾から真の下着の中に入ってきて、まださっきの武術の型のひと続きの流れであるかのように、器用に次の行動に入っていった。
あまりにも自然な勢いに、真は逆らう気を完全に挫かれていた。
草薙の身体からは、夜の商売を生き抜いている人間に独特のにおいが滲み出している。拘束されているわけでもないのに全く動かない真の身体は、今はただ草薙の手の動きを貪るように受け入れいていた。自分でも息が荒くなってくるのが分かったが、喘ぎなど決して洩らさないようにと唇を引き結んでいると、草薙の手が口元から外され、そのまま頭を抱かれたようだった。
「お前さんは快楽には異常に素直だ。自分だって気が付いているだろう? そしてそのことに罪悪感を覚えている。だからそこに愛だの恋だの精神的なものを付加することを恐れている。身体の反応と、その素晴らしい精神世界は別のものだと思い込みたいんだろう。だが、そんなに簡単に切り離せるものじゃないぞ。誰かさんとの思い出だけは綺麗にとっておこうなんて無駄な努力はしないほうがいい。素直に声を出せ」
草薙の骨ばった指が唇に触れたとき、真はその指を求めるように声を漏らした。
不意に、いつか竹流が見せてくれた地獄の扉を思い出した。
ロダン自身だといわれている『考える人』が、背後から地獄へ吹き堕とされる人間たちを見つめて、人間の業について沈思している。二百体を超える彫刻の人間たちは、苦しみもがきながらも、地獄から逃れ、這い上がり、ある者は飢餓の苦しみのためにわが子を食らいながらも生き抜こうとしている。ロダンの傍らで、堕ちまいと必死にしがみついている男の姿が、闇の中で浮かびあがった。
俺もやはり、今はただこの地獄を生きぬいてやろうとしている。沈思する男でもなく、その男を悲しげに見つめている別れた恋人であり弟子でもあった女性でもない、この身はただ煉獄に放り込まれた二百体のひとつに過ぎないのだ。
生き抜くために、時には身体は快楽を必要とする。食欲も睡眠欲も性欲も、全てが細胞の機能を支えている。ひとつひとつの細胞こそ、生命に対する貪欲な渇望を表現している。分裂し再生し、時には異常な細胞を産みながらも、それでも生き続けようとする。
蠍座は人間にとってタブーとも言える死と性を司る星座で、蠍座の影響を受けた人はどこか超然としていて、磁力のような性的吸引力があります、と美和が星占いを読み上げていた。先生って一見はそうは見えないけど、どうなんだろう、と興味深げに真を見つめている。
その通りだ。真は美和に今、答えてやっている。そのどちらも、俺の中で深い渦を巻いている。一度死んでしまった俺がこうして蘇って地獄のようなこの世を歩いているのも、腹の奥底で誰かを求め続けているのも、全て星占いに書かれてある通りだ。
昨夜、自分で処理をしておけば、こういう気配をこの男に感付かれずに済んだのだろうと、頭の隅では冷静に分析していた。
不思議なことに、羞恥や嫌悪はまるでなかった。確かにこのまま身体の中に何かを溜め込んでいては、ろくなことにならないだろうし、それを目の前の他人が何とかしてくれようとしていることに、今はもう任せてしまいたい気持ちになっていた。その驚くほどに淡白で器用な手の運動に、身体は直ぐに合わせることができるようになり、真はそのまま目を閉じて感じるままの快楽を貪った。
意識は悠然と地獄を歩いていた。凍るような水と、焼けるような炎と、身体が千切れるような嵐の中を、苦もなく歩き続けていた。足もとの道は延々と続く針の道だった。一歩進むごとに、足の裏から甲に突き出す幾本もの針は、そのものが生きているかのように真の身体の血を吸っていた。明らかに強烈な痛みを感じるのに、恐れもなく歩き続けているのは、誰かの手が、冷たく凍るような真の手を握りしめていたからだった。
その温度は幻ではなかった。それに気が付いたとき、身体の芯で痒いような疼きが起こった。疼きは次第に大きくなり、やがて下半身から頭の先に向かって突き上げた。
草薙が布団を一組、隣の部屋に移している気配を感じながら、まだ真の意識は闇の道を歩き続けていた。やがて、ゆっくり休め、という声と共に襖が閉められ、隣の部屋の明かりが消えてすとんと心地好い闇が訪れた。
もしも迎えに来た男が不安になって振り返っても、自分のほうが手を離さなければいいと、真はそんなことを考えていた。




こちらは国立西洋美術館の前庭の地獄の門。よく見かける「考える人」は実はこんな不安定な状況で座っているのですね。
地獄に堕ちていく人間たち。必死にしがみつき、あるいは苦痛から逃れるために残虐な行為をする者もあり、ただ嘆く者もあり……その姿を見て沈思している。そもそもこれはダンテの神曲にヒントを得たロダンが、地獄に堕ちる(た)人々を審判官が見ているシーンを造ろうとしたもので、始めは沈思しているわけではなかったのかも。
扉に描かれた恐ろしい人間の世界(地獄?)をじっと見つめると、これは空想ではないのかもと思えてしまうけれど、フィレンツェのサン・ジョバンニ礼拝堂の『天国の扉』のキラキラを見て、気を取り直して希望を抱くことにします(内容は微妙だけれど)。
次回で第23章が終わります。
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節
【真シリーズ・つぶやき】このお話はピタゴラスイッチ
久しぶりに【海に落ちる雨】を更新したので、ちょっと呟いてみたくなりました。
っても、140字じゃつぶやけませんけれど……
【海に落ちる雨】は私が色んな思いを詰め込んでいる小説なので、作りが一見とても複雑です。
とっつきが悪いことと言ったらこの上ないのですが、ひとつひとつのエピソードはかなり気合が入っていたりします。
そして、そのエピソードはそれぞれ独立しているようで、細い糸で繋がっている。
いえ、繋がっているというよりも、一瞬触れて、次の玉を転がすのです。
そう、まるでこんな装置みたいに。


昔、よくボストンに行きました(ちょっと事情があって)。一人で街をうろつくことも多くて、その時の私のお気に入りの場所は、ボストン科学博物館とハーバード大学の博物館でした。
科学博物館では、いつもこの装置(写真左)を長い時間眺めていたのを思い出します。
ちなみに、博物館、大好きなんです。今でも地方に行けば、まず博物館と名のつくところに行きます。その地方の古代からの発掘物とかが並んでいて、ついでに鉱物や植物が並んでいるから。
(あ、嘘だった。まず行くのは土地の神社。「お邪魔いたします」のご挨拶に)
そして、この装置のそっくりさんが神戸のハーバーランドにあります(写真右)。少し小ぶりのような気もするし、全く同じかどうかはよく分からないのですが。
私は「巨大なピタゴラスイッチ」と呼んでいるのですけれど、これ、本当はなんていう名前なんでしょう。
実は【海に落ちる雨】を書いていた時、いつもこの装置が頭の中にありました。
登場人物は皆、ある部分で係っているけれど、大きく係っているわけではない。
彼らは皆、彼ら自身の事情と欲望と、時には愛とか思いやりとかで動いていて、時に誰かを恨み傷つけ、一方で励まし助けたりしている。まさに「袖擦り合うも他生の縁」の世界です。
でも、どんなに小さな「接触・関係」であっても、事態は常に小さく、そして大きく動いていて、放り込まれた球も翻弄されながら彷徨う(実際には球の方も、最初から最後までひとつの球ってわけでもないのだけれど)。
全てを俯瞰できている者は誰もいない。
まさに、自然(じねん)という神のみ。
そんな話なのです。でもあれこれ詰め込みすぎて、ちょっと欲張っちゃったかなぁ。
さて、最初に転がった球は、実はあの○○○○ューだったのですよ。
それとも、日露戦争の時にロシアからやってきた姫君だったのかも。
いや、そもそもどこがスタートなんて確認できない、いつの間にか「最初に戻る」のかも。

そうそう、このシリーズが大河ドラマになった理由って、実は『源氏物語』なのですよ。
あの壮大なる物語、ただ女を漁っているだけの物語ではなくて、あの時代背景の中でままならぬ人生を生きた女たち、そして人生を謳歌したような光源氏が最後は年端もゆかぬ妻に裏切られて、因果応報を知って、紫の上にまで見捨てられて(出家したいっていわれちゃあね)、そして宇治十帖。
あの物語がすごいのは、宇治十帖があるからだと思うんです。
で、それがどう反映しているか?
え~っと、形の上では「落ちぶれてからの光源氏」の話が中心にあって、そこで活躍しているのは実は真の息子の慎一。でも、主人公はやっぱり真。
例のごとく(大好きな)多重構造で、自分でもよく分からなくなっちゃった。
え? いえいえ、真は絶対に光源氏じゃありません。
オンナ癖の悪いのは、あの人ですものね。この屈託のない、ある意味確信犯の甘え上手、第4節で全開です。
なんてったって、『彼』の『嫁』が出てきますので。

Scribo ergo sumの八少女夕さんが、このシリーズを「50年もののウィスキー」と言って下さったのは、とても嬉しかったです。
でも、それは実は「簡単には手を出せない」ってことかぁ……ですよね。
『山崎』の50年物、実は2011年の限定発売。
(150本限定、100万円!!! マコトがびっくりする)
普通に売っているのはmaxで25年。
あらら。「何も足さない、何も引かない」ですね。
で、マコトは「清涼飲料水」。なるほど! 言いえて妙です。
みなさん、とりあえず清涼飲料水をお楽しみください。
でもあの清涼飲料水も、時には南アルプスとか奥大山とか、出かけて行って汲んでいるのですよ(^^)

そして、「焼酎」のような『奇跡を売る店』シリーズもよろしく!
こちらは、彼らを現代に持ってきたお話ですが、設定などはもうまるきり違っています。
登場人物もさらにぶっ飛んでいますし。
でも、後味すっきり、翌日に残らないお話です(!?)(それもどうよ)
また時々、真シリーズ、呟こうかな。
あ、ツイッター、はじめました。
っても、140字じゃつぶやけませんけれど……
【海に落ちる雨】は私が色んな思いを詰め込んでいる小説なので、作りが一見とても複雑です。
とっつきが悪いことと言ったらこの上ないのですが、ひとつひとつのエピソードはかなり気合が入っていたりします。
そして、そのエピソードはそれぞれ独立しているようで、細い糸で繋がっている。
いえ、繋がっているというよりも、一瞬触れて、次の玉を転がすのです。
そう、まるでこんな装置みたいに。


昔、よくボストンに行きました(ちょっと事情があって)。一人で街をうろつくことも多くて、その時の私のお気に入りの場所は、ボストン科学博物館とハーバード大学の博物館でした。
科学博物館では、いつもこの装置(写真左)を長い時間眺めていたのを思い出します。
ちなみに、博物館、大好きなんです。今でも地方に行けば、まず博物館と名のつくところに行きます。その地方の古代からの発掘物とかが並んでいて、ついでに鉱物や植物が並んでいるから。
(あ、嘘だった。まず行くのは土地の神社。「お邪魔いたします」のご挨拶に)
そして、この装置のそっくりさんが神戸のハーバーランドにあります(写真右)。少し小ぶりのような気もするし、全く同じかどうかはよく分からないのですが。
私は「巨大なピタゴラスイッチ」と呼んでいるのですけれど、これ、本当はなんていう名前なんでしょう。
実は【海に落ちる雨】を書いていた時、いつもこの装置が頭の中にありました。
登場人物は皆、ある部分で係っているけれど、大きく係っているわけではない。
彼らは皆、彼ら自身の事情と欲望と、時には愛とか思いやりとかで動いていて、時に誰かを恨み傷つけ、一方で励まし助けたりしている。まさに「袖擦り合うも他生の縁」の世界です。
でも、どんなに小さな「接触・関係」であっても、事態は常に小さく、そして大きく動いていて、放り込まれた球も翻弄されながら彷徨う(実際には球の方も、最初から最後までひとつの球ってわけでもないのだけれど)。
全てを俯瞰できている者は誰もいない。
まさに、自然(じねん)という神のみ。
そんな話なのです。でもあれこれ詰め込みすぎて、ちょっと欲張っちゃったかなぁ。
さて、最初に転がった球は、実はあの○○○○ューだったのですよ。
それとも、日露戦争の時にロシアからやってきた姫君だったのかも。
いや、そもそもどこがスタートなんて確認できない、いつの間にか「最初に戻る」のかも。

そうそう、このシリーズが大河ドラマになった理由って、実は『源氏物語』なのですよ。
あの壮大なる物語、ただ女を漁っているだけの物語ではなくて、あの時代背景の中でままならぬ人生を生きた女たち、そして人生を謳歌したような光源氏が最後は年端もゆかぬ妻に裏切られて、因果応報を知って、紫の上にまで見捨てられて(出家したいっていわれちゃあね)、そして宇治十帖。
あの物語がすごいのは、宇治十帖があるからだと思うんです。
で、それがどう反映しているか?
え~っと、形の上では「落ちぶれてからの光源氏」の話が中心にあって、そこで活躍しているのは実は真の息子の慎一。でも、主人公はやっぱり真。
例のごとく(大好きな)多重構造で、自分でもよく分からなくなっちゃった。
え? いえいえ、真は絶対に光源氏じゃありません。
オンナ癖の悪いのは、あの人ですものね。この屈託のない、ある意味確信犯の甘え上手、第4節で全開です。
なんてったって、『彼』の『嫁』が出てきますので。

Scribo ergo sumの八少女夕さんが、このシリーズを「50年もののウィスキー」と言って下さったのは、とても嬉しかったです。
でも、それは実は「簡単には手を出せない」ってことかぁ……ですよね。
『山崎』の50年物、実は2011年の限定発売。
(150本限定、100万円!!! マコトがびっくりする)
普通に売っているのはmaxで25年。
あらら。「何も足さない、何も引かない」ですね。
で、マコトは「清涼飲料水」。なるほど! 言いえて妙です。
みなさん、とりあえず清涼飲料水をお楽しみください。
でもあの清涼飲料水も、時には南アルプスとか奥大山とか、出かけて行って汲んでいるのですよ(^^)

そして、「焼酎」のような『奇跡を売る店』シリーズもよろしく!
こちらは、彼らを現代に持ってきたお話ですが、設定などはもうまるきり違っています。
登場人物もさらにぶっ飛んでいますし。
でも、後味すっきり、翌日に残らないお話です(!?)(それもどうよ)
また時々、真シリーズ、呟こうかな。
あ、ツイッター、はじめました。
Category: ☆真シリーズ・つぶやき
NEWS 2014/7/27 どうやらアレルギー/今日の収穫

忘れちゃった方も、なんだそれ?な方も、ちょっと覗いてみてください。
今回は、地方の旧家のちょっと横溝正史チックなお話です。

アナフィラキシーにはなりませんでしたが、蜂に刺されたあとが腫れあがって、今指が曲がりません。
1日目は痛い+腫れる→2日目には腫れが引いて痛みもとれて楽勝モード→3日目には痒くなってきた→4日目~腫れてる??→本日は6日目。痒くて、腫れてて、曲がらない!
さすがに昨日、薬を出してもらいましたが、眠くならない抗ヒスタミン剤では効き目がイマイチ。
手をグーにすることもちょっと抵抗がある感じで刺された薬指のあおりをくらって、小指と中指の方まで腫れっぽい。
手の甲の関節が浮き上がりません(@_@)
やっぱり冷やすべきだ!と思ったものの、手って形が複雑だから冷やしにくい。
しかも、この暑さで、保冷剤なんかすぐにあったまってしまう(;_:)
以上、泣きごとでした。
しかも、今日は1日ゆっくり庭掃除の続きと執筆に、と思ったら、手帳に書き忘れていたけれど、大阪で研究会だった!
あぁ、休みだと思ってたのに、期待が裏切られた時の衝撃の大きさと言ったら。
仕方がないので、今朝の野菜たち。

ミニトマト、獅子唐ひとつ、万願寺ししとう。
焼きそばの具と付け合せになりました。

そして、またまたやってしまった、巨大化きゅうり。
美味しいのかどうかよく分からないけれど、冷やしたら水分補給にはなりそうだった。

こちら、実家に放置されていたスイカの苗をもらって植えていたのですが、ついに実がなり始めました。
これで3cmくらい。
弟が市場に行って買っちゃったのですけれど(うちの場合、卸市場なので、ケース買い)、みなの嫌われもので。
スイカって、スイカ農家はともかく、菜園などで植えたらカラスの格好の餌食。
カラスが寄ってくるから植えたくないって、みなに敬遠され、なぜかうちに2株。
どうせ、貧栄養の土だから大きくならないと思うけれど……う~ん。
さて、大阪に行ってきます。
あぁ、きょうはゆっくり執筆の予定だったのに(;_:)
皆様、今日は気温が体温。京都は体温越え。
くれぐれもお気をつけて。
水分を取っていても熱中症でやられます。風のない、暑い場所では要注意。
頭痛などがあれば、すぐに涼しいところに移動してくださいね!
って、もう出かけること自体、自殺行為に思えるこの気温。
ビール飲みたいけれど、この腫れた手……それこそ自殺行為、かも。
Category: NEWS
[雨117] 第23章 喪失(4)
【海に落ちる雨】第23章その(4)です。
竹流の行方を捜して新潟に再びやってきた真。
行先は、竹流が立ち寄った蓮生家(新潟の旧家)。斜陽する旧家には、明らかに異国の女性の血を引いている千草が待っていました。
この蓮生家の蔵を改造した部屋で、以前焼き殺されそうになった真。
その真相が語られます。

すっかり間が空いてしまいました。
もうあらすじなど忘れられているかもしれませんが、真は竹流を捜している、というだけ思いだしていただけたら、意外について行けるかもしれない構成になっています。たぶん。
ちょっと間が空いたら、マコト・タケルって変換されるので、困るなぁ



上蓮生家の門には鈍い灯りが点っていて、上蓮生という文字が闇の中で道標のように浮かび上がっていた。
『蓮生』という表札に、文字以上の何かが宿っているように見える。
呼び鈴を押すと、真が来るのを知っていたかのように、間を置かずに蓮生千草本人が答えた。
千草は、三度目になる応接室に真を迎え入れ、またお連れさんが違いますのね、と言った。そして真の返事を待たずに、手伝いの女性にコーヒーを準備するように言って、真と草薙にソファを勧めた。真の連れ合いが誰であろうとまるで構わなという様子だった。
蓮生千草は真の内側の何かを確認するかのように、しばらく真の顔を黙って見つめていた。
やがて何かを納得したように、くっきりと紅を引いた赤い唇の表情を変えた。
「初めてあなたがここにいらっしゃった時、あなたという人はこの家に道を拓くために来られたのだと思いました。もう百年も昔からずっと、この家は行き場をなくし、進むべき道もなく閉塞していた。それを感じたのは、あなたの前に預言者というべき人が来たときでした」
「預言者?」
真は千草に不思議な印象を覚えた。初めて会ったとき、誇り高い旧家の主の風情を感じ、二度目に会ったときには、何を犠牲にしても欲しいものを手に入れようとする、情念を抱いた女を感じた。そして今、千草はまた別の人間に生まれ変わったように見えた。
「下蓮生の当主は、私に大天使が来たと言いました。あの老人はボケたふりをしているうちに、本当にボケてしまった部分もあったのでしょう。どこかで、あなたの探している人を本当に天からやってきたお迎えだと信じていた気がしますわ」
お手伝いの女性が、運んできたコーヒーを大理石のテーブルに置いた。その香りは、尖りきっていた神経を鎮めようとするようだった。
それからしばらくの間、皆がきっかけをつかめずに、あるいは何かを待つように沈黙していた。
玄関ホールの柱時計の音が時を告げた。それが合図であるかのように、千草が赤い唇を開いた。
「あなたを蔵と一緒に焼き殺そうとしたわけではありません。でも、もしもあなたがあそこで焼け死んでくださったら、この家の呪いが浄化されるような気がしていたのは事実です。あなたが犠牲になってくださったら、私もこの家の過去を許し、真実を葬ってしまってもいいと、そう思っていた。でも、あなたは死ななかった」
「おい、いきなり穏やかじゃないな。縁もゆかりもないこいつを焼き殺すだの、犠牲になるだの、ありえん話だ」
草薙が千草に食って掛かった。真はその横顔を意外な気持ちで見つめていた。
竹流にとってこの男は味方ではないはずだ。それでも、どこかで彼はこの男を信じていたのだろうか。だからサンタフェの話などをしたのかもしれない。そして、この男のどこかに、竹流にそうさせた何かがあるのだ。
千草は微かに唇の端で微笑んだように見えた。千草の目は、草薙ではなく、黙って座っている真を見つめていた。
「あなたがお連れになる方は、どなたも随分とはっきりものをおっしゃいますのね。でもあなたは黙っている。そして、誰よりも真実に近いところに立っている。しかも、あなたは自分が立っている場所を知らないのですね」
風が窓を叩くような震えが鼓膜に伝わってくる。微かに、テーブルの上に置かれたコーヒーカップの中の琥珀が揺らめき、シャンデリアの灯りを跳ね返していた。
自分の立っている場所が、危ういところだということくらいは知っている。
「蔵の中で眠っているとき、夢を見ました。金の髪の女性が枕元に座っていた。僕はその人に首を絞められて、目を覚ました。恐ろしい夢を見たのだと思っていました。でも、もしもその夢を見なかったら、僕は眠ったまま助からなかったかもしれないと思います。床の下から出てきたのは、その女性ですか。そして、あなたは知っていたのではありませんか」
千草は真の問いかけには答えずに微笑み、真に煙草を勧めた。そのまま草薙にも煙草を渡し、卓上ライターを灯して火をつけてくれる。
「下蓮生の当主が、お迎えが来たと怯え騒いでいたとき、私の中のもうひとつの血が、ついに復讐の時だと言っているような気がしましたの。あなたのお考えどおり、私には異国人の血が流れています。世間で噂されていたように、蓮生には異国の女性が預けられていた時期があったようです。その女性は子どもを産み、その子どももまた蓮生の男の子どもを産みました。それが私です。蓮生の男たちが戦争や病気で亡くなり、脇腹の子どもであった私がこの家の主になりました。下蓮生の当主は、いつも私のことを恐れていました。彼が下蓮生の蔵に火をつけたとき、始めは理由がわからなかった。でも、あなたの探し人が来られて、下蓮生の当主を慰めてくださった。その後から、当主は時々私を見て、自分は子どもだったから助けられなかったんだべ、許してくれ、と呟くようになりました。それで理解しました。下蓮生の当主は、蔵に閉じ込められていた私の祖母、異国の女の幻に怯えていたのだと、だから下蓮生の蔵に火をつけたのだと」
「でも、本当に女性が閉じ込められたのは、下蓮生ではなく、上蓮生の蔵だった」
「おっしゃるとおりです。親族会議の日の夜、当主をこの上蓮生に泊めたのは私です。あなた方がこの家に泊まった日ですわ。あの日、当主が奇妙にこの家を恐れていたので、私は気が付きました。この男は間違いに気が付いたのだろう、おそらくあなた方のお蔭で、と。私はただ、この頃亡くなった祖母が枕元に現れて泣いているのだと、当主に話しました」
そして、哀れな老人は、この家の因縁に縛られたまま、今度こそ子どもの頃から恐れていた女の幻を焼いて葬るために、蔵に火をつけたのだ。
「あなたは、蔵の下からその女性の骨が出てくると知っていて、火をつけさせたのですか」
「知っていたわけではありませんわ。全て伝承でしたから。でも、本当に祖母の骨が出てきた。もっとも、骨が出てきたところで、既に何の証拠も残されていない今、真実が明らかになるものでもありません。スキャンダラスな物語がまことしやかに語られて、世間が面白がるだけのことです。それでも、私は知りたかったことを知り、自分の来し方に幾らか納得ができた気がしていますの。私が死ねば、この上蓮生の家も途絶えます。私だけが過去の出来事の証拠なのですから」
真は黙って千草を見つめていた。千草の目には、真と同じように異国の血の色が揺れている。見つめ返してくる千草の強い瞳の光に耐え切れずに、真は視線を落とした。
真の瞳の左右の色が異なっていることを、千草は見つめているのだろう。異国の女性の血は、真の中で上手く溶け合うことができずに、こうして片方の瞳の上だけに拭えない刻印のように残された。
真はその瞳のゆえに自分自身を哀れんできたことを、千草の前で恥じた。千草は真と同じような運命を持ちながら、彼女自身を哀れむことはなく、別の形で答えを出そうとしている。
千草の手がすっと灰皿に近付き、優雅に灰を落とした。透明な厚いクリスタルの上に、砕かれた身体の欠片のように灰が散らばり落ちる。
「でも、祖母はあなたの枕元に現れ、そしてあなたを救ったのですね」
真はその千草の言葉を噛み締めるようにして、ようやく顔を上げた。蓮生の男たちの血で穢された高貴な血統の名残を千草の中に見出すことは、難しいことではなかった。
真は吸わないままだった煙草の灰を一旦落とし、ようやく銜えて、ひとつ吸い込んだ。
不思議と、千草にも蔵に火をつけた下蓮生の当主にも、怒りの感情は湧いてこなかった。どちらにしても、焼き殺されることはなかっただろうと信じたからだった。もしもあの異国の女性の幻が助けてくれなくても、飛龍は来てくれただろう。いや、あの異国の哀れな姫君は、どうあっても真を救おうとしたに違いない。
千草は不意に草薙のほうを見た。
「私は、あなたを知っていますわ。もっとも、私が知っているのは、あなたの父親と思われる人の写真だけですけど」
「俺は別に親父のことを聞きに来たわけじゃあない。こいつに付き合って来たまでだ。親爺がろくでもない人間だったことはよく知ってるんでね」
千草は何故か、ほっとしたように微笑んだ。
「私の母は、父の妾でしたの。子どもの頃、私は何度も、父と他の女と私の母とが同じ部屋で寝ているのを見ました。酷い有様でしたわ。蓮生の男たちは女に対しては獣のようなものです。母の身体には幾つも痣がありました。でも、私の母も黙って泣いているような女でもなかったようです。時々家に出入りする男衆がいると、篭絡していたようですから。村野という親子のことは、父から聞きました。母がその父親のほうとも、まだ中学生だった子どものほうとも関係を持っていたと。お前には淫乱の血が流れていると言われましたから。私の親も、二親ともろくでもない人間だったようですわ」
そんな親ならば、自分のようにいっそ捨られて二度と顔を見ないほうがましなのかもしれない、と真は思い、灰皿で煙草を揉み消した。
「絵のことですが」
真が口を開くと、千草は真に視線を戻した。
「あなたは鑑定に立ち会ったとおっしゃいましたね。それは、この新潟で、ですか。それとも東京で?」
「東京です。偉い先生に見てもらうのだと聞きました。別に興味はなかったのですが、時政の息子が興奮して、おばさんも是非行きましょう、というのでついていきました。その頃はまだ彼を養子にするつもりでしたから」
「絵を運んだ業者をご存知ですか?」
「えぇ。江田島道比古という役人が手配したようです」
千草がわざわざ江田島の名前をフルネームで言ったのには、それが親戚の若者の倒錯した恋の相手であるという嫌悪以上のものがあったのかどうか、真は量りかねた。
「江田島氏が手配を? それは京都の業者でしたか?」
「そうです。以前は北陸で仕事をしていたというので、江田島さんとはお知り合いのようでしたわ」
「寺崎運送という業者ではありませんか」
「いいえ、そんな名前ではありませんでした」
「同じ絵が二枚あったというようなことは?」
「どうだったかしら。もっとも、絵が出たのは下蓮生ですから、私もよくは知りません」
「もしかして、この上蓮生にも絵があったようなことはありませんでしたか」
千草はしばらく黙って真の顔を見つめていた。
それからもう一本、煙草に火をつけて、天井に向かって煙を吐き出した。
やがて徐に立ち上がり、今日はどちらにお泊りですの、と聞いた。村上まで戻ってホテルを探すつもりだというと、もう遅いですから、と言った。焼き殺されそうになった家で泊まるのはお嫌でしょうから、弥生さんにどこかホテルを探してくれるように連絡しましょう、と言って、千草は電話をかけはじめた。
草薙が意味深な目で真を見た。追求しすぎないほうがいいぞ、というような忠告に見えた。
上蓮生を出るとき、千草は穏やかな表情で、どうぞお気をつけて、と言った。そして、弥生さんは色々知っていると思いますから、どうぞ彼女に聞いてやってください、と続けて、妖艶に微笑んだ。




「それでも、誰かさんに操をたてるか」
真は顔を上げた。草薙がふと笑った気がした。
「お前さんは、女をちゃんと愛することができる男だ。俺はそう思うけどな。それでもあの男を選ぶというなら、その先は地獄かもしれないぞ」
真は息をひとつ吐き出した。
「覚悟はしている」
さて、次回は草薙とマコトの、じゃない、真のちょっと際どい会話をお楽しみくださいませ(^^)
おおみしゃん、ぼく登場するの?
いや、君の出番はないよ。
あぁ、びっくりした……(あのおじちゃん、ちょっと怖そうなんだもん)・・・・・じゃ、またね!
竹流の行方を捜して新潟に再びやってきた真。
行先は、竹流が立ち寄った蓮生家(新潟の旧家)。斜陽する旧家には、明らかに異国の女性の血を引いている千草が待っていました。
この蓮生家の蔵を改造した部屋で、以前焼き殺されそうになった真。
その真相が語られます。



すっかり間が空いてしまいました。
もうあらすじなど忘れられているかもしれませんが、真は竹流を捜している、というだけ思いだしていただけたら、意外について行けるかもしれない構成になっています。たぶん。
ちょっと間が空いたら、マコト・タケルって変換されるので、困るなぁ




上蓮生家の門には鈍い灯りが点っていて、上蓮生という文字が闇の中で道標のように浮かび上がっていた。
『蓮生』という表札に、文字以上の何かが宿っているように見える。
呼び鈴を押すと、真が来るのを知っていたかのように、間を置かずに蓮生千草本人が答えた。
千草は、三度目になる応接室に真を迎え入れ、またお連れさんが違いますのね、と言った。そして真の返事を待たずに、手伝いの女性にコーヒーを準備するように言って、真と草薙にソファを勧めた。真の連れ合いが誰であろうとまるで構わなという様子だった。
蓮生千草は真の内側の何かを確認するかのように、しばらく真の顔を黙って見つめていた。
やがて何かを納得したように、くっきりと紅を引いた赤い唇の表情を変えた。
「初めてあなたがここにいらっしゃった時、あなたという人はこの家に道を拓くために来られたのだと思いました。もう百年も昔からずっと、この家は行き場をなくし、進むべき道もなく閉塞していた。それを感じたのは、あなたの前に預言者というべき人が来たときでした」
「預言者?」
真は千草に不思議な印象を覚えた。初めて会ったとき、誇り高い旧家の主の風情を感じ、二度目に会ったときには、何を犠牲にしても欲しいものを手に入れようとする、情念を抱いた女を感じた。そして今、千草はまた別の人間に生まれ変わったように見えた。
「下蓮生の当主は、私に大天使が来たと言いました。あの老人はボケたふりをしているうちに、本当にボケてしまった部分もあったのでしょう。どこかで、あなたの探している人を本当に天からやってきたお迎えだと信じていた気がしますわ」
お手伝いの女性が、運んできたコーヒーを大理石のテーブルに置いた。その香りは、尖りきっていた神経を鎮めようとするようだった。
それからしばらくの間、皆がきっかけをつかめずに、あるいは何かを待つように沈黙していた。
玄関ホールの柱時計の音が時を告げた。それが合図であるかのように、千草が赤い唇を開いた。
「あなたを蔵と一緒に焼き殺そうとしたわけではありません。でも、もしもあなたがあそこで焼け死んでくださったら、この家の呪いが浄化されるような気がしていたのは事実です。あなたが犠牲になってくださったら、私もこの家の過去を許し、真実を葬ってしまってもいいと、そう思っていた。でも、あなたは死ななかった」
「おい、いきなり穏やかじゃないな。縁もゆかりもないこいつを焼き殺すだの、犠牲になるだの、ありえん話だ」
草薙が千草に食って掛かった。真はその横顔を意外な気持ちで見つめていた。
竹流にとってこの男は味方ではないはずだ。それでも、どこかで彼はこの男を信じていたのだろうか。だからサンタフェの話などをしたのかもしれない。そして、この男のどこかに、竹流にそうさせた何かがあるのだ。
千草は微かに唇の端で微笑んだように見えた。千草の目は、草薙ではなく、黙って座っている真を見つめていた。
「あなたがお連れになる方は、どなたも随分とはっきりものをおっしゃいますのね。でもあなたは黙っている。そして、誰よりも真実に近いところに立っている。しかも、あなたは自分が立っている場所を知らないのですね」
風が窓を叩くような震えが鼓膜に伝わってくる。微かに、テーブルの上に置かれたコーヒーカップの中の琥珀が揺らめき、シャンデリアの灯りを跳ね返していた。
自分の立っている場所が、危ういところだということくらいは知っている。
「蔵の中で眠っているとき、夢を見ました。金の髪の女性が枕元に座っていた。僕はその人に首を絞められて、目を覚ました。恐ろしい夢を見たのだと思っていました。でも、もしもその夢を見なかったら、僕は眠ったまま助からなかったかもしれないと思います。床の下から出てきたのは、その女性ですか。そして、あなたは知っていたのではありませんか」
千草は真の問いかけには答えずに微笑み、真に煙草を勧めた。そのまま草薙にも煙草を渡し、卓上ライターを灯して火をつけてくれる。
「下蓮生の当主が、お迎えが来たと怯え騒いでいたとき、私の中のもうひとつの血が、ついに復讐の時だと言っているような気がしましたの。あなたのお考えどおり、私には異国人の血が流れています。世間で噂されていたように、蓮生には異国の女性が預けられていた時期があったようです。その女性は子どもを産み、その子どももまた蓮生の男の子どもを産みました。それが私です。蓮生の男たちが戦争や病気で亡くなり、脇腹の子どもであった私がこの家の主になりました。下蓮生の当主は、いつも私のことを恐れていました。彼が下蓮生の蔵に火をつけたとき、始めは理由がわからなかった。でも、あなたの探し人が来られて、下蓮生の当主を慰めてくださった。その後から、当主は時々私を見て、自分は子どもだったから助けられなかったんだべ、許してくれ、と呟くようになりました。それで理解しました。下蓮生の当主は、蔵に閉じ込められていた私の祖母、異国の女の幻に怯えていたのだと、だから下蓮生の蔵に火をつけたのだと」
「でも、本当に女性が閉じ込められたのは、下蓮生ではなく、上蓮生の蔵だった」
「おっしゃるとおりです。親族会議の日の夜、当主をこの上蓮生に泊めたのは私です。あなた方がこの家に泊まった日ですわ。あの日、当主が奇妙にこの家を恐れていたので、私は気が付きました。この男は間違いに気が付いたのだろう、おそらくあなた方のお蔭で、と。私はただ、この頃亡くなった祖母が枕元に現れて泣いているのだと、当主に話しました」
そして、哀れな老人は、この家の因縁に縛られたまま、今度こそ子どもの頃から恐れていた女の幻を焼いて葬るために、蔵に火をつけたのだ。
「あなたは、蔵の下からその女性の骨が出てくると知っていて、火をつけさせたのですか」
「知っていたわけではありませんわ。全て伝承でしたから。でも、本当に祖母の骨が出てきた。もっとも、骨が出てきたところで、既に何の証拠も残されていない今、真実が明らかになるものでもありません。スキャンダラスな物語がまことしやかに語られて、世間が面白がるだけのことです。それでも、私は知りたかったことを知り、自分の来し方に幾らか納得ができた気がしていますの。私が死ねば、この上蓮生の家も途絶えます。私だけが過去の出来事の証拠なのですから」
真は黙って千草を見つめていた。千草の目には、真と同じように異国の血の色が揺れている。見つめ返してくる千草の強い瞳の光に耐え切れずに、真は視線を落とした。
真の瞳の左右の色が異なっていることを、千草は見つめているのだろう。異国の女性の血は、真の中で上手く溶け合うことができずに、こうして片方の瞳の上だけに拭えない刻印のように残された。
真はその瞳のゆえに自分自身を哀れんできたことを、千草の前で恥じた。千草は真と同じような運命を持ちながら、彼女自身を哀れむことはなく、別の形で答えを出そうとしている。
千草の手がすっと灰皿に近付き、優雅に灰を落とした。透明な厚いクリスタルの上に、砕かれた身体の欠片のように灰が散らばり落ちる。
「でも、祖母はあなたの枕元に現れ、そしてあなたを救ったのですね」
真はその千草の言葉を噛み締めるようにして、ようやく顔を上げた。蓮生の男たちの血で穢された高貴な血統の名残を千草の中に見出すことは、難しいことではなかった。
真は吸わないままだった煙草の灰を一旦落とし、ようやく銜えて、ひとつ吸い込んだ。
不思議と、千草にも蔵に火をつけた下蓮生の当主にも、怒りの感情は湧いてこなかった。どちらにしても、焼き殺されることはなかっただろうと信じたからだった。もしもあの異国の女性の幻が助けてくれなくても、飛龍は来てくれただろう。いや、あの異国の哀れな姫君は、どうあっても真を救おうとしたに違いない。
千草は不意に草薙のほうを見た。
「私は、あなたを知っていますわ。もっとも、私が知っているのは、あなたの父親と思われる人の写真だけですけど」
「俺は別に親父のことを聞きに来たわけじゃあない。こいつに付き合って来たまでだ。親爺がろくでもない人間だったことはよく知ってるんでね」
千草は何故か、ほっとしたように微笑んだ。
「私の母は、父の妾でしたの。子どもの頃、私は何度も、父と他の女と私の母とが同じ部屋で寝ているのを見ました。酷い有様でしたわ。蓮生の男たちは女に対しては獣のようなものです。母の身体には幾つも痣がありました。でも、私の母も黙って泣いているような女でもなかったようです。時々家に出入りする男衆がいると、篭絡していたようですから。村野という親子のことは、父から聞きました。母がその父親のほうとも、まだ中学生だった子どものほうとも関係を持っていたと。お前には淫乱の血が流れていると言われましたから。私の親も、二親ともろくでもない人間だったようですわ」
そんな親ならば、自分のようにいっそ捨られて二度と顔を見ないほうがましなのかもしれない、と真は思い、灰皿で煙草を揉み消した。
「絵のことですが」
真が口を開くと、千草は真に視線を戻した。
「あなたは鑑定に立ち会ったとおっしゃいましたね。それは、この新潟で、ですか。それとも東京で?」
「東京です。偉い先生に見てもらうのだと聞きました。別に興味はなかったのですが、時政の息子が興奮して、おばさんも是非行きましょう、というのでついていきました。その頃はまだ彼を養子にするつもりでしたから」
「絵を運んだ業者をご存知ですか?」
「えぇ。江田島道比古という役人が手配したようです」
千草がわざわざ江田島の名前をフルネームで言ったのには、それが親戚の若者の倒錯した恋の相手であるという嫌悪以上のものがあったのかどうか、真は量りかねた。
「江田島氏が手配を? それは京都の業者でしたか?」
「そうです。以前は北陸で仕事をしていたというので、江田島さんとはお知り合いのようでしたわ」
「寺崎運送という業者ではありませんか」
「いいえ、そんな名前ではありませんでした」
「同じ絵が二枚あったというようなことは?」
「どうだったかしら。もっとも、絵が出たのは下蓮生ですから、私もよくは知りません」
「もしかして、この上蓮生にも絵があったようなことはありませんでしたか」
千草はしばらく黙って真の顔を見つめていた。
それからもう一本、煙草に火をつけて、天井に向かって煙を吐き出した。
やがて徐に立ち上がり、今日はどちらにお泊りですの、と聞いた。村上まで戻ってホテルを探すつもりだというと、もう遅いですから、と言った。焼き殺されそうになった家で泊まるのはお嫌でしょうから、弥生さんにどこかホテルを探してくれるように連絡しましょう、と言って、千草は電話をかけはじめた。
草薙が意味深な目で真を見た。追求しすぎないほうがいいぞ、というような忠告に見えた。
上蓮生を出るとき、千草は穏やかな表情で、どうぞお気をつけて、と言った。そして、弥生さんは色々知っていると思いますから、どうぞ彼女に聞いてやってください、と続けて、妖艶に微笑んだ。



「それでも、誰かさんに操をたてるか」
真は顔を上げた。草薙がふと笑った気がした。
「お前さんは、女をちゃんと愛することができる男だ。俺はそう思うけどな。それでもあの男を選ぶというなら、その先は地獄かもしれないぞ」
真は息をひとつ吐き出した。
「覚悟はしている」
さて、次回は草薙とマコトの、じゃない、真のちょっと際どい会話をお楽しみくださいませ(^^)



Category: ☂海に落ちる雨 第4節
【雑記・旅】京都・大船鉾150年ぶりの復活と戦利品

先日、京都時代の職場の同門会に行って参りました。
トトロが住んでいそうな、こんな大きなムクノキ。

こんな美人な猫さんにも会うことができて(in 下御霊神社)、久しぶりに歩いて楽しかったけれど……
あづい! 分かっているけれど、京都は暑かった!
そう言えば、神戸に来てびっくりしたこと。
暑いけれど、海からは風が吹いてくるし(たまに湿気と塩も)、冬も電気カーペット+炬燵でも寒い京都とは違って比較的寒さが気にならない。改めて京都のすごさを知ったのでした。
さて、行ってみたら、あれ? なんでまだ山があるの???
タクシーの運転手さんから聞いて初めて知りました。
49年ぶりに、前祭(さきまつり)に統合されていた後祭が復活したそうで、その復活の目玉が、これまた150年ぶりに復活した大船鉾。蛤御門の変で焼失したものの、文書が残っていて復元されたそうです。
前祭には鉾が沢山並ぶけれど、後祭はほとんどが山で、鉾はこの大船鉾のみ。
となれば、見に行かなくちゃ。
……人込みの中を行くと。

四条通を少し入って、見えてきました。

提灯も鮮やか。

駒形提灯の間から、ちらりと船の舳先が見えてきた。

あぁ、でも狭い道にあるので、この真横を見上げながら通る。
全体像はよく分からないけど鉾にしては横長。……船だからね。

演奏はちょっと休憩。
ちなみに、鉾と山の違いは、鉾の方が平安時代、山は室町時代から始まったもの。
鉾はてっぺんに、それぞれの鉾特有のシンボルが付いている(薙刀鉾なら薙刀、月鉾なら月)。山はてっぺんに木。
鉾のキラキラの飾りは、そこに疫病の原因=怨霊を呼び寄せて、集めて都の外に追い出そうしたもの。
山はもともと、人が担いでいたとも。しかもこちらはさすが室町時代。その上で楽しませるためにお芝居をしていたらしいです。

立ち止まらないでゆっくり進め、との警備員さんからのお言葉。でも、みんな止まって写真を撮るので、なかなか進みません。
しかも近すぎていまひとつ形が分かりにくい。と思ったら、大丸の中に模型が。

後ろにあるのは、前祭で登場してすでに仕舞われている薙刀鉾の模型。てっぺんの薙刀が写っていなくてごめんなさい。
本当は粽(チマキ:厄除け)が欲しかったんだけれど、午前中に売り切れたそうで。
仕方がないので、近くのお店で写真を撮らせてもらいました。

なんと、額に入っていた。ちょっとガラスが反射して、綺麗じゃないのですけれど。
粽の代わりに、復元記念のお菓子を買いました。柚子と山椒の味の不思議なお菓子。

こちらは、粽の写真を撮らせてもらったお店で購入したお弁当。ちょっと割高だった。
お祭り期間だから仕方ないけど……ま、縁起物ということで。

さて、150年ぶりの復活!も観たので、今年はいい年になるかしら?
(休みを下さい)
後半は、お約束の?京都土産物大会。
そう、毎年この同門会の日は、京都お買い物DAY。
昔よく行ったお店を散策したり(にしては暑いけど)して、久しぶりに散財です。

まずは、毎年お決まりの京都俵屋旅館の石鹸。
とてもいい和の香りがします。小ぶりですが、1個200円と、普通の化粧石鹸よりはリーズナブルなお値段。
テルテル坊主は、同じく俵屋さんの匂い袋。
ちなみにこちらの旅館、泊まろうと思ったら1泊1人50000円は下らないはず。
……えっと、ま、200円の石鹸でいいかな(ちょっと、マコトの気分)。
縮緬ケース(カードケース)は別のお店のものですが、あまりにも猫さんが可愛くて購入。
丁度名刺入れが欲しかったので。

次は、錦市場の中の雑貨屋さんで手ぬぐい購入。

まずは、猿の置物。玄関に置きました。

パンダの手ぬぐい。超かわいい~~~

そして、上の写真の真ん中の「猫のこと」は、綴じ本みたいになっていて、開くとこんな感じ。
もちろん、綴じ糸をほどいたら1枚の手ぬぐいになります。

ちょっとボケていてすみません。学生時代からよく行っていた寺町通りの紙屋さん(柿本)で面白い便箋を発見。
お題は「きもだめし」・・・・・・・

そして、ラムネと飴と、京都と言えばこの「日本一小さい金平糖」。世界一小さい金平糖もあるのですけれど、とげとげがちょっと微妙な気がするので、こっちの方がお気に入り。
他には、柚子の乾燥粉、山椒味しっかりの七味、京都と言えばお番茶、鱧の煮つけも購入。
さらに大好きな扇子を購入。
この端っこが丸い扇子、ちょっと小ぶりでお気に入りです。今年は朝顔にしてみました。

ということで、1年に1度の京都小物散財ツアー? お開きです(*^_^*)
あ、そうそう。
そう言えば、この日、新神戸から京都まで新幹線してしまいました。
帰りに、京都の地下鉄に乗ろうと思ったら、スマートICOKAとEX-IC(新幹線用)の入ったパスケースがない!
喫茶店に入り、荷物をひっくり返してみたけれど、やっぱりない。
神戸~京都を移動しているので、どこで落としたか、どこでもありそうな……
諦めて紛失連絡(悪用されないように使用停止)をしようと思って、新神戸の駅でみどりの窓口に寄ろうと思ったら、すごい人が並んでいて。
家に帰ってから電話しようと思い、地下鉄の駅へ……
思えば、今日最後にパスケースを見たのは? 新神戸で地下鉄から新幹線に乗り換える前……
もしかして。
地下鉄の駅員さんに聞きました。
「スマートICOKAとEX-ICの入った白地に花柄のパスケースを落としたんですけれど……」
「いや~、そんなものは届いてませんねぇ~(ガサゴソ、リスト確認)。あれ? えっとお名前は?」
「オオミサヨです」
「あ」
……私って、日ごろの行いがいいのかしら?
それとも、大船鉾の御利益?
こうして、8時間の時を経て、無事に戻ってきました。
パスケース、あの猫さんとお魚のに替えようと思っていたのだけれど、この古いパスケースは縁起物、かも。
暑い日々が続きますが、皆様、お身体お気を付け下さいね!
あ、こんなことしている場合じゃない。お仕事の原稿書かなくちゃ!
Category: 旅(あの日、あの街で)
NEWS 2014/7/20 やられた…(>_<)

ようやく家で過ごせる日がやってきました……もちろん、そうなればすることはひとつ。
庭掃除です。
草木は茂るだけ茂っていて、本当に今やらねばいつやるの、状態。
今日しかチャンスはないというので、雑草抜きと木の剪定を頑張っていたら……
刺されました(;_:)
土佐水木の木の中です。
瞬間でよく分からなかったのですが、激烈で、毛虫の痛さではなかったし、くっきり刺し口があったので、蜂と思われます。
でも、実は庭仕事用手袋をしていて、脱いでも針とかよく分からなかったし、飛んで行った「虫」もよく確認できなくて、しかも怖くて後からも見に行っていないので……本当は何かよく分からないんです。
水で洗って、毒を絞り出し、ステロイド縫って、冷やして安静に……・
でも、何より気持ちがブルー(;_:)
ハチに刺されたのは子どもの時以来で、確かにものすごく痛かった……
やられたのは左手の薬指第1関節あたり。
痛み自体は30分ほどで少しましになりましたが、1時間後には腫れあがって、曲げられなくなってしまいました。
しかも、時折、激烈な痛みが襲ってくる……
左手が重い……
あぁ~、パソコン打ちにくい……(;_:)
三味線が弾けない……(;_:)
(左手の薬指、弦をはじくのに超大事)
何より、ブルー(;_:)
というわけで、ブルーの朝顔をお届けいたしました(;_:)(;_:)
あぁ~私も「人間界を出たい~~」
ダイアゴン横丁に行ったら、こんなのすぐ治してくれる薬が売ってそう。

茄子は大きくならなかったけれど、獅子唐が収穫できました。
さて、次回は「センス~闇の声~(後篇)」です。
あぁ、痛いよぉ……
Category: NEWS
【迷探偵マコトの事件簿】ぼくをモノレールに乗せて!(2)

limeさんが描いてくださったマコトのイラストに寄せて書いた掌編・【ぼくをモノレールに乗せて!(1)】は「男の子バージョン」でしたが、今度は「マコトバージョン」で書いてみました。
視点が変わったのではなくて、取り残されるのがマコトに変わったわけですが、さて、タケルは迎えに来てくれるでしょうか。
白鷺城(姫路城)の公園内にある小さな動物園を舞台に、ちょっといじけいている小さなねこの物語、お楽しみください。
limeさん、イラスト、ありがとうございました(*^_^*)

【ぼくをモノレールに乗せて!(2)】

青いお空の中に真っ白なお城。キラキラ光ってる。
ぼくは少し離れた公園から、高いお城を見上げてる。
お城よりも大きな鉄の塔みたいなのが見える。
さっきからちっとも変わらないみたいだけれど、ゆっくりゆっくり動いてる。
ここからだったら小さく見えるけれど、きっとものすごく大きいんだよね。
お城も、雲も、お空も。
タケルはずっとお城の中でお仕事してる。
タケルがあのお城からこっちを見ても、ぼくはちっさすぎて見えないね。
タケルは忙しいんだ。
ほんとはぼくをお城の中に連れて行ってくれたんだけれど、ねこはだめって言われて。
だからぼくはいい子でまってる。
ぼくはお城のそばの動物園に預けられた。
動物園の人はみんな優しいんだよ。
ばんしゅうべん?
最初はちょっと怒られてるみたいで怖かったけれど……
公園の中にはぼくより大きいねこさんもいっぱいいる。
でも、ねこさんたち、忙しそうだし。
……ぼく、やっぱりちょっとこわいし。

動物園の中には乗り物もいっぱいあるんだよ。
大きな黄色い丸いねこみたいな乗り物とか、小さい車に乗ってぐるぐる回るのとか。
あとね、お空を動く電車!
モノレールって言うんだって!
うんと高い所を走るんだよ。
……でも、モノレールに乗るためにはお金がいるんだ。
ぼく、お金持ってないし。
それに、ねこはたいていのものを持つことはできないんだもの。
……みんな、楽しそうだね。
モノレールから手をふってる。
あれに乗ったら、きっとものすごく、お空が近いね。
あれに乗ったら、タケルのいるお城がもっとよく見えるね。
もしかして、手をふったら、タケルからぼくが見えるかなぁ。
でも、だれもねこをモノレールに乗せてくれない。
それに、ねこがモノレールに乗るなんて、考えてもいないと思うんだ。

動物園の人は象の姫子さんにごはんをあげに行く。
ぼくはついていく。
姫子さんはにんじんが好き。
大きなお鼻で小さいにんじんをくるってつまみ上げて、ぱくん。
すごいねぇ。
あ、今度は大きいパンをまるのみ。
わぁ、ぼくもきっとひとくちで食べられちゃう。
(作者註:象は草食動物なので、ねこは食べません)

今度はしろくまさんのところに行く。
しろくまさんはオリの中をぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。
どうしてずっと歩いてるんだろう。
ほっきょくに帰ろうとおもっているのかなぁ。
でもね、あのね、きっとほっきょくはすごく遠いよ。

それから、キリンさんにごあいさつ。
キリンさんの首は、お城の鉄の塔よりも長いんだよ。
(作者註:それは遠近感の問題で、クレーンの方がはるかに大きいです)
キリンさんは忙しそうに、お庭と家を行ったり来たり。
それから遠くを見つめたり。
あれくらい首が長かったら、お城の中も見えるかなぁ。
それどころか、あふりかまで見えるのかも!
キリンさんは遠くを見ていて、あんまり、小さいねこにはきょうみがないみたい。

ピンクのトリもいっぱいいるよ。
あれ、首がないね。とれちゃったのかな?
もしかしてお化けになっちゃったの??
あ、動いたら首が伸びた!
なんだ、羽根の中にかくれんぼしてたんだね。
あ、ぼくを見て逃げて行っちゃった。
ぼくも羽根の中にかくれんぼしたいなぁ。
……でも、ねこのことはきらいみたい。
あ! ライオンだ!
かっこいいねぇ。ぼくも大きくなったらライオンになれるかなぁ。
だって、ライオンはねこなんだよね。
(作者註:ねこではなくて「ネコ科」です。ねこは大きくなってもライオンにはなりません)
あの、こんにちは。
がお~!!
わ! 怒られた!
何だよ。怒らなくてもいいのに。
いいもんね。ぼく、大きくなったらヒョウになるんだもん。
(作者註:ヒョウにもなりません)
ヒョウになったら……あのお城まであっという間に走っていけるね。
ねこはだめだけれど、ヒョウなら入れてくれるかも。
(作者註:ヒョウはもっと入れないと思います)
……動物園、もうあきちゃったな。
みんな小さいねこには興味がないみたいだし。
それに、みんなオリの中にいるし。
ぼく、シマシマ馬のいる柵の中には入れるんだけど、入ったらけられそうになったの。
ペンギンはぼくのことキライみたいだし、キバタンはおはよー!ってうるさいし、サルはずっと動き回っていて、見ていたら目が回るし。
あ、ママ、またあのねこだよ! しましまねこだ!
男の子がぼくを見つけて走ってきた。
またあの子だ。今日でもう3日目。
ぼくはあわてて逃げる。
……にんげんの子どもはあんまり好きじゃないんだ。
だって、オリの中にいないから、ぼくのこと追いかけてくるし。
ぼくのこと、いじめるにんげんもいるし。
それにぼく、しましまねこじゃなくて、マコトって名前があるもん。
ぼくはおとこの子が追いかけてこないことをカクニンして、それからおとこの子のママを見る。
おとこの子のママはいつも遠くを見て、悲しそうにぼんやりしてる。
おとこの子もママを見て、悲しそうな顔になる。

おとこの子はぼくのほうをちらっと見て、それからモノレールを見上げる。
ぼくも離れたところからモノレールを見上げる。
ぼくとおとこの子はちょっと離れて立って、毎日いっしょにモノレールを見上げる。
……きっと、あの子もモノレールに乗りたいんだね。
ぼくと同じように、モノレールに乗って遠くを見たいんだよ。
遠くにいる誰かを探したいのかもしれないね。
でも、ねこも子どももお金をもっていない。
……150円って、おさかな、何匹くらい分かな。
ねこの値段よりも高いや。
モノレールの一番前には、知らない子どもとその子のパパが並んで座っている。
ニコニコ笑って、下で写真をとっているママに手を振ってる。
ママといっしょに乗ってる子もいる。
みんなとっても楽しそう。
大好きなパパやママと一緒にモノレールに乗って、お空の中を走るって、どんな感じだろう!
……あのね、ぼくね、ほんとはタケルといっしょにモノレールに乗りたいんだ。
でも、タケルは忙しいんだ。
お城でお仕事してるんだもん。
だからぼく、お仕事おわるの、いい子で待ってるね。
おとこの子はうつむいて地面にすわりこんじゃった。
あの子だってきっと、ママやパパといっしょに乗りたいんだ。
だから、あの子とぼくはなかまなんだね。
いっしょに乗る人がいなくって、さびしい仲間なんだ。
……ちょっとだけ、よかった。
ぼくだけがひとりぼっちじゃないんだ。
マコト!
わ。ぼくを呼んでる!
もしかしてタケル??
でも、声がちがうよ。においも。
その時、おとこの子が立ちあがった。
パパ!
おとこの子は、大きな男のひとの方へ走っていく。
おとこの子のママも走ってくる。
……みんなうれしそう。
ぼくはひとりぼっちでモノレールを見上げる。
おとこの子はパパといっしょにモノレールに乗りにいっちゃった。
下から二人を見上げているママに向かって手をふっている。
……なんだ。
もう、モノレールに乗れない仲間じゃなくなっちゃったんだ。
ぼくは裏切られたような、おいてけぼりになったような気持ちだった。
……いいもん。
ぼく、ねこだから、へいき。
モノレールはにんげんの乗り物だものね。
だから、もういいんだ。
ひとりぼっちでも、モノレールに乗れなくても、ちゃんとタケルを待ってる。
……タケルは忙しんだもん。
だから、ぼく、怒ってないし。
動物園の人といっしょに、もう一回、姫子さんににんじんをあげにいかないといけないし。
そろそろフクロウさんも起きる頃だから、ぼく、ごあいさつしなくちゃいけないし。
だから、さびしくないもん。
……みんなが帰っていく。
もう動物園は、夜のお休みの時間になる。
モノレールも止まっちゃった。大きな黄色いねこも動かなくなっちゃった。
動物園の人がおいでって呼んでる。
……あのね、ぼく、タケルを待ってるの。
あの真っ白なお城の中にね、タケルがいるの。
いっしょうけんめい、お仕事してるの。
でも、暗くなったら、お城も見えなくなっちゃうね。
タケル、まだお仕事終わらないのかな。
あたりはどんどん暗くなっていく。
ぼく、もう3日も待ってるよ。
……ほんとは、モノレールになんか乗れなくてもいいんだ。
だから、早く迎えに来て……
マコト!
……………!!!!!!!!!!!!
マコト!!
……………(`^´)
ぼくはベンチの下に潜り込む。
ぼく、別に寂しくなんかなかったし。
それにぼく、今から、フクロウさんにごあいさつにいくし。
それに、姫子さんがぼくがいないと心配するかもしれないし。
ぼく、けっこう忙しくしてたんだ。
それに、それに、それに……
……おいで。
タケルの手。
……ぼくはかぷっと噛む。
お薬と鉄のサビと埃のにおいがする。
ぼくを抱き上げたタケルがパチン、って指をはじく。
突然、動物園に明かりがついた!
それから、タケルがぼくを抱いてモノレールの乗り口の階段を上った。
ぼく、ぼく、モノレールに乗ってもいいの?
ねこだけど、モノレールに乗れるの?
タケル、150円、はらってくれるの?
動物園の人がタケルと目を合わせて、それからぼくを見てにこにこ笑っている。
ぼくとタケルは並んでモノレールの一番前に座る。
しゅっぱつしんこう!
動物園の人の声がする。
そして……モノレールが動き出した。
今度は動物園の明かりがそっと消える。
わぁ…………
代わりに、お空にいっぱい、星の灯りがともった。
……あのね、モノレールは銀河の鉄道になったよ。
暗くてもうお城は見えなくなっていたけれど、タケルがここにいるからもういいの。
代わりに、お星さまがいっぱいいっぱい見えた。
ぼくとタケルはね、いっしょにお空を旅したの。
タケルはちょっと眠そうだった。
そうなんだ。
ぼくを早く迎えにくるために、お仕事、すごく頑張ってくれてたんだよね。
ちょっとだけ、怒っててごめんね。
あのね、タケル、えっとね。
……お仕事、ご苦労さま。



ちょっぴりいじけたマコト、宝来センパイ(【だぶはちの宝来文庫】)に教えてもらった「かぷっと」を上手く使えたのでしょうか。
そして……最後はちょっとクサすぎましたね。
明石海峡大橋のライトアップは普通の時間は白っぽいのですが、定時だけ色とりどりになるというので、橋の見えるレストランで定時に指を鳴らして「君のためにライトアップの色を変えてもらったんだ」って言ったらどうだろ(もちろん、告白のために)、なんて話をしていたのを思い出しました。
「動物園の人」、夜に勝手にモノレール動かして怒られるかもしれませんね。でも、マコトがずっとモノレールを見ていたのを知っていたのですね。超端役ですが、いい人のようです。
マコトは自分の値段を50円くらいと思っていたので(【マコトのみのしろきん】)、150円も出してモノレールに乗せてもらえるなんて思ってもみなかったみたいですが……(*^_^*)
Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)
NEWS 巨石紀行 in 吉備・予告編

またこんなところへ来てしまった(石に会いに行く時は、大体こういう道を行くんだよな~)……
と思ったのですが、この後、道はどんどん怪しくなり、半ば獣道化したところを歩いているうちに、怪しい小さな廃屋(作業小屋)が現れるに至って、道に迷っていることに気が付きました。
というわけで、またまた波乱万丈な?石紀行です。
雨が降りそうだったので、冒険は辞めて引き返し、民家の人に道を尋ねてようやくまともそうな場所にたどり着きました。

こちらは岩屋寺というお寺の入り口あたり。そうそう、これを目指していたのに、どうして迷子になったのかしら?
しかしこの小さな山、実は私たちの他にも迷子さんがいたので、そもそも迷路状態。
所々に標識があるのですが、また同じところに出てきたり、何回も同じ行先標識で惑わされたり。
山が人間を食おうとしている??
さて、今回のお目当てはこの石。

『鬼の差し上げ岩』と申します。
石紀行本編では各アングルから迫力ある岩の姿をお見せいたしますね。
そう、岡山県と言えば『桃太郎』……しかし、宿泊したお宿の支配人さんによれば、「(岡山の人は、あるいは岡山の総社の人にとっては)桃太郎は人気がない。むしろ温羅(「うら」、つまり鬼)が好きだ」
そうそう、福沢諭吉も言っておりました。ついでに、真のじいちゃん(長一郎さん)も言っていました。
桃太郎は鬼の宝をかっぱらいに行った盗人だ、と。
「鬼」というのはまつろわぬ人々、つまり大和朝廷に従わない人々。総社の「鬼」つまり「温羅」はそもそも朝鮮半島からやって来た人々だとも言われていますが、太古の総社の集落の人々から慕われていたそうです。
それもそのはず、彼らは大陸から宝をもたらしたのですね。白米、鉄、塩。
さて、桃太郎の物語、よくよく紐解いてこの吉備の国の遺跡を巡れば、大和朝廷と闘った「鬼」の歴史が見えてきます。
吉備の国にはその鬼が作った城もあるのです。
こちらの岩はその城(鬼ノ城=きのじょう)の近くの山の中にあって、鬼が持ち上げたという岩。
山の中には他にも大きな岩がゴロゴロしています。

こちらは八畳岩。本当に八畳はありそうです。
他にもたくさんの岩があるので、またご紹介しますね(^^)
さて、吉備地方、遺跡・古墳がそこかしこと転がっています。

こちらは日本のストーンヘンジ?楯築遺跡。
実はこの小さな祠の中に収められていた石が、ケルトとかインディアンの文様にもある渦巻模様。
世界は結構繋がっている!(渦巻には再生のニュアンスが。インディアンの世界では移動のニュアンス)
そして、この楯築遺跡の石たちの下には、古代の墓が見つかっています。
そもそもこの場所、公園になっているのですが、小さな古墳の集合体。
でも、誰のお墓かはもちろん不明。
この地域の周辺にはあまり大事にされていないのか、古墳の中の棺にも触れるところがあったり。

そんな古墳のひとつ・造山古墳(日本で4番目に大きい前方後円墳)に登る道。
え~っと。普通車以上は通り抜けできないってことは、軽しか無理ってこと?
確かに狭い道でした。
そしてこちらは桃太郎、すなわち吉備津彦命の神社の回廊。

これはまた素晴らしい回廊で、神社も古いけれど相当に立派。
やっぱり権力者側の遺跡(神社)は違いますね。
さて、鬼につくか時の権力につくか。
そんな吉備路の石紀行、登場は少し先になりますが、またまたお楽しみに!
(大海はやっぱり鬼? だって、鬼さんがいないと、石が……)
(以下、つぶやき……)
本当は小説をアップするつもりだったのですが、あれこれ忙しいと頭が回らなくなってしまって、またまた雑記になっております。週末には皆様のブログにコメ書きに行きます~~(読み逃げになっていてすみませんm(__)m)
あぁ、でも、日曜日にはまた休み返上の会議が……(@_@)
来週末にもまた講演業務が(@_@)
何も準備ができていない(@_@)

こんな時に限って、あれこれ妄想が……
こちらは岡山の石屋さんで見つけた貴石、「砂漠のバラ」と言われています。
巨石だけではなくて『奇跡を売る店』の妄想が湧く石を手にしちゃいました^^;
でも、やっぱり癒されるのは花かしら。

我が家の一番遅れて咲く紫陽花です(*^_^*)
Category: NEWS
NEWS 2014/7/5 岡山なう…なぜかマグロ解体ショー

きっとあまり岡山との因果関係はないと思いますが……マグロ解体ショー in OKAYAMA。
しかも、別にマグロと仕事は関係ないのですが、しばらくお楽しみください(*^_^*)

半分に切られて、片身が外されようとしています。

このマグロで1000人分くらい?


トロです。下はマグロつけ丼(^^)

というわけで、1年で最も忙しい出張 in 岡山です。
会議、打ち合わせ、懇親会、シンポジウム、打ち合わせ、会議、協議会、名前を変えながらひたすら続く……で、まるまるこの3日間、朝から夜まで缶詰状態です。
最もエキサイトした瞬間がこのマグロ解体ショー??
コメントのお返事、皆さまのブログ訪問もゆっくりになっていて(しかも携帯からぽちぽち…)、すみません(>_<)
帰ったらゆ~っくりお返事させてくださいませ(*^_^*)
今日で仕事イベントは終了ですが、今日から山奥に籠もり、明日は岡山の岩を観に行く予定。
そう、久しぶりの巨石紀行です!
お楽しみに!!
来週からは通常業務に戻れるはずなのですけれど……通常業務しながら、後始末と、また小さなイベントの準備が(゜゜)
次から次へと降りかかるのでした……
というわけで、頭もお腹も食べ過ぎの毎日を過ごしている岡山から中継でした(*^_^*)

何故か、くまもんバッグとアシタカ~。ホテルに帰って仕事の後始末中。
下は岡山の某お店で購入した財布? カード入れ?

ねこさん、ならんで魚を物色中。ファスナーは青い魚。可愛かったので衝動買いしちゃいました^^;
暑くなってきておりますが、皆様もお体にはくれぐれもお気を付け下さいね(*^_^*)
Category: NEWS
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