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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【迷探偵マコトの事件簿】ぼくをモノレールに乗せて!(2) 

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limeさんが描いてくださったマコトのイラストに寄せて書いた掌編・【ぼくをモノレールに乗せて!(1)】は「男の子バージョン」でしたが、今度は「マコトバージョン」で書いてみました。
視点が変わったのではなくて、取り残されるのがマコトに変わったわけですが、さて、タケルは迎えに来てくれるでしょうか。
白鷺城(姫路城)の公園内にある小さな動物園を舞台に、ちょっといじけいている小さなねこの物語、お楽しみください。
limeさん、イラスト、ありがとうございました(*^_^*)


【ぼくをモノレールに乗せて!(2)】

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青いお空の中に真っ白なお城。キラキラ光ってる。
ぼくは少し離れた公園から、高いお城を見上げてる。
お城よりも大きな鉄の塔みたいなのが見える。
さっきからちっとも変わらないみたいだけれど、ゆっくりゆっくり動いてる。
ここからだったら小さく見えるけれど、きっとものすごく大きいんだよね。
お城も、雲も、お空も。

タケルはずっとお城の中でお仕事してる。
タケルがあのお城からこっちを見ても、ぼくはちっさすぎて見えないね。

タケルは忙しいんだ。
ほんとはぼくをお城の中に連れて行ってくれたんだけれど、ねこはだめって言われて。
だからぼくはいい子でまってる。
ぼくはお城のそばの動物園に預けられた。
動物園の人はみんな優しいんだよ。
ばんしゅうべん?
最初はちょっと怒られてるみたいで怖かったけれど……
公園の中にはぼくより大きいねこさんもいっぱいいる。
でも、ねこさんたち、忙しそうだし。
……ぼく、やっぱりちょっとこわいし。

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動物園の中には乗り物もいっぱいあるんだよ。
大きな黄色い丸いねこみたいな乗り物とか、小さい車に乗ってぐるぐる回るのとか。
あとね、お空を動く電車!
モノレールって言うんだって!
うんと高い所を走るんだよ。

……でも、モノレールに乗るためにはお金がいるんだ。
ぼく、お金持ってないし。
それに、ねこはたいていのものを持つことはできないんだもの。

……みんな、楽しそうだね。
モノレールから手をふってる。
あれに乗ったら、きっとものすごく、お空が近いね。
あれに乗ったら、タケルのいるお城がもっとよく見えるね。
もしかして、手をふったら、タケルからぼくが見えるかなぁ。

でも、だれもねこをモノレールに乗せてくれない。
それに、ねこがモノレールに乗るなんて、考えてもいないと思うんだ。

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動物園の人は象の姫子さんにごはんをあげに行く。
ぼくはついていく。
姫子さんはにんじんが好き。
大きなお鼻で小さいにんじんをくるってつまみ上げて、ぱくん。
すごいねぇ。
あ、今度は大きいパンをまるのみ。
わぁ、ぼくもきっとひとくちで食べられちゃう。
(作者註:象は草食動物なので、ねこは食べません)

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今度はしろくまさんのところに行く。
しろくまさんはオリの中をぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる。
どうしてずっと歩いてるんだろう。
ほっきょくに帰ろうとおもっているのかなぁ。
でもね、あのね、きっとほっきょくはすごく遠いよ。

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それから、キリンさんにごあいさつ。
キリンさんの首は、お城の鉄の塔よりも長いんだよ。
(作者註:それは遠近感の問題で、クレーンの方がはるかに大きいです)
キリンさんは忙しそうに、お庭と家を行ったり来たり。
それから遠くを見つめたり。
あれくらい首が長かったら、お城の中も見えるかなぁ。
それどころか、あふりかまで見えるのかも!
キリンさんは遠くを見ていて、あんまり、小さいねこにはきょうみがないみたい。

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ピンクのトリもいっぱいいるよ。
あれ、首がないね。とれちゃったのかな?
もしかしてお化けになっちゃったの??
あ、動いたら首が伸びた!
なんだ、羽根の中にかくれんぼしてたんだね。
あ、ぼくを見て逃げて行っちゃった。
ぼくも羽根の中にかくれんぼしたいなぁ。
……でも、ねこのことはきらいみたい。

あ! ライオンだ!
かっこいいねぇ。ぼくも大きくなったらライオンになれるかなぁ。
だって、ライオンはねこなんだよね。
(作者註:ねこではなくて「ネコ科」です。ねこは大きくなってもライオンにはなりません)
あの、こんにちは。
がお~!!
わ! 怒られた!
何だよ。怒らなくてもいいのに。

いいもんね。ぼく、大きくなったらヒョウになるんだもん。
(作者註:ヒョウにもなりません)
ヒョウになったら……あのお城まであっという間に走っていけるね。
ねこはだめだけれど、ヒョウなら入れてくれるかも。
(作者註:ヒョウはもっと入れないと思います)

……動物園、もうあきちゃったな。
みんな小さいねこには興味がないみたいだし。
それに、みんなオリの中にいるし。
ぼく、シマシマ馬のいる柵の中には入れるんだけど、入ったらけられそうになったの。
ペンギンはぼくのことキライみたいだし、キバタンはおはよー!ってうるさいし、サルはずっと動き回っていて、見ていたら目が回るし。


あ、ママ、またあのねこだよ! しましまねこだ!

男の子がぼくを見つけて走ってきた。
またあの子だ。今日でもう3日目。
ぼくはあわてて逃げる。

……にんげんの子どもはあんまり好きじゃないんだ。
だって、オリの中にいないから、ぼくのこと追いかけてくるし。
ぼくのこと、いじめるにんげんもいるし。

それにぼく、しましまねこじゃなくて、マコトって名前があるもん。

ぼくはおとこの子が追いかけてこないことをカクニンして、それからおとこの子のママを見る。
おとこの子のママはいつも遠くを見て、悲しそうにぼんやりしてる。
おとこの子もママを見て、悲しそうな顔になる。

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おとこの子はぼくのほうをちらっと見て、それからモノレールを見上げる。
ぼくも離れたところからモノレールを見上げる。
ぼくとおとこの子はちょっと離れて立って、毎日いっしょにモノレールを見上げる。

……きっと、あの子もモノレールに乗りたいんだね。
ぼくと同じように、モノレールに乗って遠くを見たいんだよ。
遠くにいる誰かを探したいのかもしれないね。

でも、ねこも子どももお金をもっていない。
……150円って、おさかな、何匹くらい分かな。
ねこの値段よりも高いや。

モノレールの一番前には、知らない子どもとその子のパパが並んで座っている。
ニコニコ笑って、下で写真をとっているママに手を振ってる。
ママといっしょに乗ってる子もいる。
みんなとっても楽しそう。
大好きなパパやママと一緒にモノレールに乗って、お空の中を走るって、どんな感じだろう!

……あのね、ぼくね、ほんとはタケルといっしょにモノレールに乗りたいんだ。
でも、タケルは忙しいんだ。
お城でお仕事してるんだもん。
だからぼく、お仕事おわるの、いい子で待ってるね。

おとこの子はうつむいて地面にすわりこんじゃった。
あの子だってきっと、ママやパパといっしょに乗りたいんだ。
だから、あの子とぼくはなかまなんだね。
いっしょに乗る人がいなくって、さびしい仲間なんだ。
……ちょっとだけ、よかった。
ぼくだけがひとりぼっちじゃないんだ。

マコト!

わ。ぼくを呼んでる!
もしかしてタケル??
でも、声がちがうよ。においも。
その時、おとこの子が立ちあがった。

パパ!

おとこの子は、大きな男のひとの方へ走っていく。
おとこの子のママも走ってくる。
……みんなうれしそう。

ぼくはひとりぼっちでモノレールを見上げる。
おとこの子はパパといっしょにモノレールに乗りにいっちゃった。
下から二人を見上げているママに向かって手をふっている。

……なんだ。
もう、モノレールに乗れない仲間じゃなくなっちゃったんだ。
ぼくは裏切られたような、おいてけぼりになったような気持ちだった。

……いいもん。
ぼく、ねこだから、へいき。
モノレールはにんげんの乗り物だものね。
だから、もういいんだ。
ひとりぼっちでも、モノレールに乗れなくても、ちゃんとタケルを待ってる。

……タケルは忙しんだもん。
だから、ぼく、怒ってないし。
動物園の人といっしょに、もう一回、姫子さんににんじんをあげにいかないといけないし。
そろそろフクロウさんも起きる頃だから、ぼく、ごあいさつしなくちゃいけないし。
だから、さびしくないもん。

……みんなが帰っていく。
もう動物園は、夜のお休みの時間になる。
モノレールも止まっちゃった。大きな黄色いねこも動かなくなっちゃった。
動物園の人がおいでって呼んでる。

……あのね、ぼく、タケルを待ってるの。
あの真っ白なお城の中にね、タケルがいるの。
いっしょうけんめい、お仕事してるの。
でも、暗くなったら、お城も見えなくなっちゃうね。

タケル、まだお仕事終わらないのかな。
あたりはどんどん暗くなっていく。
ぼく、もう3日も待ってるよ。
……ほんとは、モノレールになんか乗れなくてもいいんだ。
だから、早く迎えに来て……

マコト!

……………!!!!!!!!!!!!

マコト!!

……………(`^´)
ぼくはベンチの下に潜り込む。

ぼく、別に寂しくなんかなかったし。
それにぼく、今から、フクロウさんにごあいさつにいくし。
それに、姫子さんがぼくがいないと心配するかもしれないし。
ぼく、けっこう忙しくしてたんだ。
それに、それに、それに……

……おいで。


タケルの手。
……ぼくはかぷっと噛む。

お薬と鉄のサビと埃のにおいがする。

ぼくを抱き上げたタケルがパチン、って指をはじく。
突然、動物園に明かりがついた!

それから、タケルがぼくを抱いてモノレールの乗り口の階段を上った。

ぼく、ぼく、モノレールに乗ってもいいの?
ねこだけど、モノレールに乗れるの?
タケル、150円、はらってくれるの?
動物園の人がタケルと目を合わせて、それからぼくを見てにこにこ笑っている。

ぼくとタケルは並んでモノレールの一番前に座る。
しゅっぱつしんこう!
動物園の人の声がする。

そして……モノレールが動き出した。
今度は動物園の明かりがそっと消える。

わぁ…………

代わりに、お空にいっぱい、星の灯りがともった。


……あのね、モノレールは銀河の鉄道になったよ。
暗くてもうお城は見えなくなっていたけれど、タケルがここにいるからもういいの。
代わりに、お星さまがいっぱいいっぱい見えた。
ぼくとタケルはね、いっしょにお空を旅したの。

タケルはちょっと眠そうだった。
そうなんだ。
ぼくを早く迎えにくるために、お仕事、すごく頑張ってくれてたんだよね。


ちょっとだけ、怒っててごめんね。
あのね、タケル、えっとね。

……お仕事、ご苦労さま。





ちょっぴりいじけたマコト、宝来センパイ(【だぶはちの宝来文庫】)に教えてもらった「かぷっと」を上手く使えたのでしょうか。
そして……最後はちょっとクサすぎましたね。
明石海峡大橋のライトアップは普通の時間は白っぽいのですが、定時だけ色とりどりになるというので、橋の見えるレストランで定時に指を鳴らして「君のためにライトアップの色を変えてもらったんだ」って言ったらどうだろ(もちろん、告白のために)、なんて話をしていたのを思い出しました。
「動物園の人」、夜に勝手にモノレール動かして怒られるかもしれませんね。でも、マコトがずっとモノレールを見ていたのを知っていたのですね。超端役ですが、いい人のようです。
マコトは自分の値段を50円くらいと思っていたので(【マコトのみのしろきん】)、150円も出してモノレールに乗せてもらえるなんて思ってもみなかったみたいですが……(*^_^*)
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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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