FC2ブログ
07 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 09

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨119] 第23章 喪失(6) 

【海に落ちる雨】第23章最終話です。
これにて、蓮生家の話はいったんおしまいです。後日談が最後に少し出てきますが、それは後のお話として。
この蓮生家のエピソード、明治の終わりから大正にかけてのちょっとレトロな時代を引きずった、横溝正史か江戸川乱歩かって昭和なイメージを感じていただけたら、と思っております。

ここに、話好きのおばちゃん(でもどこかに排他的な内面も隠し持っている)が少女の頃に隠し読んでいた雑誌の話が出てきます。外見的イメージは竹久夢二の表紙絵だけれど、このエピソードのイメージは、退廃的・耽美的な世界を追及していたかの雑誌なのです。家の押入れの中に潜ませていたあの雑誌、などをイメージしていただければと思います。




 目覚めは境界線を明らかにしてやってきた。
 珍しく夢も見ずに眠ったようだ。隣の部屋で、草薙はまだ鼾をかいている。
 真は部屋から直接廊下に出て、風呂に行き、ゆったりと湯に浸かった。喉の奥で、会津磐梯山は宝の山よ、と歌ってみた。耳の奥に反響する声は、真自身の声ではなく、以前その歌を歌っていた男のものだった。
 真が部屋に戻った時、草薙は浴衣のまま煙草を吸って、テレビで天気予報を見ていた。
「久しぶりにいい天気のようだが、夕方にはまた降るらしい」
 その声には、複雑な要素は何も残されていなかった。

 朝食を済ませ、仁に倣って甘い菓子を買ってから、真は吉川家を訪ねた。
 草薙は蓮生の昔話になど興味がないといって、近くの酒蔵に日本酒を味見しに行ってしまった。
 その後姿を見送りながら、真は改めて、何故彼が自分に付き合ってここまで来たのだろうと不思議に思った。
 自分自身の父親のことには興味がないと言った。竹流の依頼を受けたことはあったにしても、損得を抜きにしてアフターケアをするなんてのは契約に入っていないとも言っていた。それなのに、あの男に簡単に死んでもらっては困ると言い直し、真に付き合ってここまで来た。
 こうして少しの時間だが共に過ごしてみると、真や竹流に対する敵意があるようには思えなかった。もっとも好意であるという保証もないのだが。

 不思議な男だと思った。人は細胞に刻まれた遺伝子の神秘よりも、己の力で生き抜いてきたというエネルギーによってこそ、姿も心も決まるものなのかもしれない。
 草薙は、ナンニという黒人の子どもを国に帰さずに面倒をみている。法に適ったことをするならば、その子どもを、本国へ強制送還された両親の元へ戻してやるべきだろう。だが、飢えて病気になって死ねというのか、と真に言った草薙の目には、深いところから込み上げる叫びが込められていたような気がした。
 親はあの子どもを日本に連れてきたものの、足手まといになったからか、見捨てたようだと言っていた。子どもは両親の元に帰るよりも、草薙の手元に残ることを選んだのだろうか。ナンニという少年の目には、あの違法とも思える暗いバーの闇の中でも、恐れがなかった。

 真が登校拒否でまともに学校に通えず、行ってもしばしば気を失ったり逃げ出したりしていた小学生の頃、叔父の弘志が真を養子にしたいと言っていることを聞いた。
 もともとは、真が『蕗の下の人』を弘志に紹介した時に、このままでは危ないと思った弘志自身が、真を東京にいる長兄のところへ送り込んだようなものだった。弘志は、その結果として真が慣れない都会暮らしにさらに心を病んでしまったのだと思い、責任を感じていたのだろう。
 アイヌ人の女性と結婚した弘志は、結婚当初は自分たち自身の子どもを持つことを躊躇っているような気配があった。彼ら夫婦の間にどのようなやり取りがあったのかは分からないが、彼らは自分たち自身の子供を持つよりも、真を養子にして北海道に引き取ることこそ、自分たちの役割であると決めたようだった。

 一方で伯父の功は、真が北海道に戻ることに強く反対していた。牧場に戻れば真は再び自分だけの世界に閉じこもってしまう。馬や犬、目に見えない伝説の小人とばかり話し、社会と折り合うことを辞めてしまうと心配した。
 真は、自分が東京での生活にも学校という環境にも馴染めないことが原因で、東京の伯父にも、北海道の叔父にも迷惑をかけているのだと感じて、混乱した。
 夏休みに北海道の牧場へ戻ると、親戚たちが真のために色々と心配して、どうすればこの子どもに一番良いのかと話し合い、心を砕いてくれていた。だが、真は大人たちが心配すればするほど不安になり、自分が無力だと感じ、耳を塞いで蹲りたくなり、また一方でひどく苛立っていた。

 夏の終わりに、伯父の功に誘われた竹流が牧場にやって来た。
 竹流は例のごとく、巧みな話術で皆を引きつけ、初対面であろうとも誰に対しても優しく親しげに心を配った。問題児である真の処遇を巡って袋小路にはまり込んでいる大人たちは、ようやくほっとしたようだった。
 竹流は彼らを安心させる一方で、真の様子に対しても敏感だった。
『生きていたら、幸せなことと苦しいことと、どっちが多いの』
 牧場の端まで馬を駆って辿り着き、彼方に海の見える崖の近くで馬たちを休ませたとき、真は隣に立つ男にそう尋ねた。

 竹流は真の方を見て、至極当然、という表情で答えた。
『苦しいことに決まっているだろうが。俺が見たところ、人生の時間の九十パーセント以上は苦行に費やされるものだ。だが、自分でその道を決断し誠実に進むなら、幸福や喜びはどうとでも感じることができるはずだ。たとえそれが人生の一パーセントの時間であっても、無限の時間になり得る。お前が子どもだからといって、自分にとって本当に必要な道を選び取る能力がないなどとは思わない』
 竹流は、長一郎やおじ達が何を相談しているのかを知っていたのだろう。
 結局、東京で功と葉子と生活を続けることを選んだのは、真自身だった。選択した道はある意味では悲惨な部分もあった。それでも後悔していないのは、あの男がまだ子どもだった真の目を真っ直ぐに見て話してくれたからだ。

 ナンニという少年の目を見たとき、あてもない闇に取り残されたはずなのに、真っ直ぐに世界に視線を向けているのを感じた。それは、あの子どもが、あの時の真と同じように、信頼できる大人を常に身近に感じているからなのだろう。
 草薙という男は、人情に厚いとか優しいとかいう言葉は似合わないが、彼自身や他人が思うよりも人好きなのかもしれない。
 竹流が残した言葉を思い出した。彼は誰も信じるなと言っていたが、あるいは、信じる相手を間違えるなと言いたかったのかもしれない。信じなければ前に進むことができないことなど、彼自身はよく知っているはずだった。

「まぁまぁ、よくお越しくださいましたね」
 吉川弥生は本当に話好きの女性だった。真を座敷に通す間も、真が聞きもしないのに、あれこれと昨夜の旅館のことを話した。旅館の経営者は弥生の遠い親戚ということだが、真が聞いた印象では、血縁と言ってもほとんど無関係に近い縁戚のようだった。
 座敷の机の上には、古い雑誌が幾冊も積まれてあった。

 弥生が茶を淹れに席を離れている間に、真は古い座敷の中を見渡した。
 北前船を扱っていた蓮生家の番頭の家というのは、一般から見れば十分に格式のある家柄なのだろう。古いが、天井や床の間の柱に使われた木々にも風格が感じられた。欄間には、波を乗り越える千鳥があしらわれている。朝の光で、白い壁に小さな千鳥が細長い影となって写し取られていた。
「遠慮なさらずにご覧下さいね」
 弥生は、真が持ってきた菓子と茶を盆に載せて戻ってきた。

 真は礼を言って、雑誌を取り上げた。
 A五版サイズの雑誌の表紙には、昭和の始めを思わせるレトロな少年や少女の絵が描かれている。元々は抑揚のない派手やかな色だったのだろうが、今ではセピアに沈んでいた。いずれもまだあどけない子どもたちが、時には猫や鳥といった愛玩動物と一緒に描かれている。
 試しに一冊を広げてみると、中は意外にも小さな文字が詰まっていて、印刷の擦れも手伝って、極めて読みにくいものだった。

「今だから平気で広げられますけどね、子どもの頃は恥ずかしかったですよ」
 真は意味が分からずに弥生を見た。
「恥ずかしい?」
「大人の世界をのぞき見るっていうんですかね。ちょっといけないものを読んでいるという興奮があって、夜こっそり布団の中で電気をつけて読んだものでしたから。嫁に来るときにも、実家に残して誰かが見たら恥ずかしいんで、長持の奥に忍ばせて持ってきたんですよ。捨てるのも惜しい気がしましてね」
 弥生は、平然とした顔で艶話をしていた北条仁と真を同類と思っているのだろう。無遠慮に楽しげに話している。

 表紙からは子ども向けの本に見えるが、実際には何かをカムフラージュしていたのかもしれない。どの時代にも、特定の時期の子どもたちの成長に何某かの意味合いを添える種類の本があるものだ。
「でも、ここに書かれているのは、民話や伝承だと言っておられませんでしたか?」
「伝承って、結構艶っぽいものが多いんですよ。夜這いの話も随分入っていましたからね。昔は、どこそこの子どもは土地の違う血が入ってるなんて、当たり前みたいに噂になっていたりもしましたしね。ここに書かれた話が、誰か知っている人の話だとか想像すると面白かったものですよ」

 確かに、盆踊りもそもそも夜這文化の一つの表れだともいうし、民謡も色気のある唄が多いのは事実だ。夜這文化の中には、夫婦二人の子どもを残すということよりも、村という集団の中に強い血を入れることのほうが重要だと考えられた可能性が示唆されているともいう。現代と違って、人の行き来が困難であった時代には、生物学的な種としての生存の可能性を真剣に探る必要があり、古い時代の人間たちはそういう必然を、本能的に選び取ってきたのだろう。
 こうした物語の中に、蓮生家の話がゴシップ的に混ぜこまれていたのだろうか。

 真は雑誌をめくり、所々にある挿絵を頼りに物語の内容をつかんでいった。
 挿絵は、表紙の可愛らしい少年少女の絵とは、趣が違っていた。あまり漫画風ではなく、時にはかなりホラーがかった絵も混じっていた。それに、ポルノとまでもいかないが、幾らか際どい絡みの絵まである。挿絵の幾つかはかなり手が抜かれていたが、一部には奇妙に丁寧に描かれたものがあった。そうした写実的な絵のほとんどは、怪奇的なものか艶っぽいものだ。
 子どもというものは、こういう際どい何かを少しずつ自分の中に取り入れて、消化していく必要があるのだろう。学校で教えられる表向きの学問とは別に、人生を渡って行くための指南が必要なのだ。

 ふと、自分の心も体も持て余していた中学生の頃を思い出して、背中が冷たくなった。愚かなことに身売りまでしてやろうと思ったのは、つまり男が女や子どもを買うという事実を知ったのは、真を呼び出しては殴っていた連中のたまり場で見た写真や雑誌だった。彼らは真にその本を見せて、お前もこういう格好似合うんじゃないのか、お前なら男を誘えるんじゃないか、とからかった。屈辱的だと思う半分で、そういう本が存在しているということ自体には幾何かの興味を感じたのも事実だった。

 ポルノ雑誌とはその後しばらく縁がなかったが、唐沢調査事務所には、食傷気味になるほどにその手の雑誌が積まれていた。時に真が事務所のソファで寝ていると、唐沢が雑誌とティッシュケースを真に渡して、若い男が健全に寝ているなんて勿体ない、社会勉強だからちゃんと読んで正しく使用するようにと言った。
 少年の頃にあった羞恥は、大人になってしまうとほとんど消えてしまったが、あるいは形を変えて心の中に居座っているのかもしれない。
 今、この雑誌を見ていると、そういう羞恥のようなものが、つまり子どもが大人になる瞬間に味わった痛みのようなものが蘇ってくる気がした。

 そして、真の手は、思わぬ挿絵のページで完全に停止した。
 その挿絵は、怪奇ものでも艶絵でもなかったのに、奇妙に精巧に描かれていた。もちろん、精巧だから手が止まったわけではなかった。それが、幾度も見た絵と同じ構図で同じ女性が描かれていたからだ。
 線のみで描かれた少女は、レースを編んでいた。手は丁寧に描かれ、まるでそこだけが実際に生きて動いているようにさえ感じられる。真は思わず息を飲み込み、その挿絵の物語の最初のページを探した。
 文字は古い字体で、随分読みにくいものだった。

「あら」
 弥生は真の手元を見て、それから少し間を置いてから付け加えるように言った。
「それは面白いお話でしたねぇ」
「覚えておられるんですか」
「娘の頃は、そういうありそうな陰謀物語に惹かれましたからね。女学生の頃は、こういうものを読みながら大人に近づいた気がして、友達同士で哲学者や作家気取りになったこともありましたっけねぇ」
 最初のページには物語の題名が、本文よりも幾らか大きめの字で書かれていた。
 真は思わず弥生の顔を見た。弥生はその真の顔を、説明を求めているのだと思ったようだった。

「日露戦争の後、ロシアは革命の時代になりましたでしょう。殺されたはずの皇帝一族や有力な貴族たちの末裔が、いつかは自分たちの繁栄を取り戻そうと願いつつ、虎視眈々とチャンスを窺いながら生きながらえているなんて話は、ワクワクするものでしたからね。ほら、源義経がジンギスカンになって生きていたなんて話みたいで」
『青い血』
 題名にはそうあった。これがどういう取材の元に書かれた物語なのか、少なくとも弥生やその時代の少年や少女たちは、これがただのお話と思って読んでいたことだろう。いや、今でさえ、ありそうな歴史小説のひとつとして捉えているのかもしれない。

「皇女の一人が遠い異国に匿われていて、必ずその血を存続するようにという使命を与えられていた。お姫様が国を逃れたとき、一枚の絵を持っていたんですよ。その絵にはレースを編んでいる女性が描かれていて、その女性が編んでいるレースの模様に光を当ててよく見ると、宝の地図が浮かび上がるっていうんですよ。いつか自分たちが再び権力を握る日のために、財宝のありかを書いた地図を潜ませた絵が世界中あちこちにあるんだってことでしてね。でもお姫様は故郷や家族が懐かしくてずっと泣いていて、しかもお国のほうはもう大変なことになっていて誰も彼女を迎えになどやって来ない。お姫様を匿っていた人は、お姫様の相手になるような人をたくさん連れてきて、血を残そうとするんですけどね、お姫様はずっと使命を果たせなくて、結局異国人の子どもを産んで、そのまま亡くなってしまって、古い家の地下に埋められてしまう。お姫様が持ってきた絵は、そのままどこかに消えてしまうんですけどね、物語の最後ではその絵が隠されている場所から、時々、すすり泣くような声が聞こえるんだっていうんですよ」

 弥生が物語のあらましを話している表情を、真は緊張して見つめていた。
 弥生の頭の中で、この物語が蓮生家の蔵の下から見つかった白骨死体と結びついていない、とは言えないだろう。もしも、『絵』というピースが彼女の想像の中でかみ合ってしまえば、物語が真実であったい可能性を詮索したくなるに違いない。
 だが、真の緊張を察したのかどうか、弥生は話好きで気のいいのおばさんの域に留まっていた。
 彼女にはあくまでもこれは『物語』なのか。この女性が、県庁の会議室にかかっている絵を見るチャンスは、恐らく生涯ないだろうから、彼女が真実に気付く可能性は薄いのかもしれない。

 いや、この女性は知っているのかもしれない。
 蓮生家の歴史は吉川家の歴史と重なっているのではないか。昨日真が雑誌の話を持ち出したとき、弥生は一瞬返事を躊躇ったような気配だった。彼女は歴史の証言者となることを拒否しているのかもしれない。
 仁ならば上手くかわすか、それともあっさりと相手の内側に入り込んで、弥生の気持ちを聞きだすのだろう。だが、そういうことは、真にはできそうにもなかった。
 弥生は『青い血』の物語からあっさりと離れていき、他の面白そうな物語を紹介してくれた。
 真は話を合わせながら彼女の心情を読み取ろうとしてみたが、一見開け広げに見える女性の内側はまるで次々と打ち寄せる波のようで、核心は全く見えなかった。

 そして何冊目かの本を広げたとき、黄ばんだ古い新聞記事が押しつぶされるように挟まっているのを見つけた。もう二十年近くも前の記事だ。
 弥生もそれには確かな記憶があったわけでもないようだった。真と一緒に記事を覗き込み、複雑な顔をした。
 日露戦争勝利の裏で密かな取引、さる新潟の旧家と軍部、ロシアの関係、と見出しされた小さな記事。ロシア皇帝から託された宝はある家の蔵に隠されたが、事実は闇に葬られようとしている。
 詳しいことは何も書かれていない。そしてもう一枚はその一か月後の小さな訃報だった。

 下蓮生の当主の焼身自殺。
 この記事に書かれた、自殺をした当主というのは、年齢からは恐らくあのボケた老人の父親なのだろう。「父親が何か四角いものを預かっていた」と老人が話していたその人は、火に焼かれて死んでいた。
 あの老人は、もしかして自分の父親を焼いた火を見ていたのだろうか。父親の死で語り手を無くして隠された蓮生家の秘密。だから、今回もまた、蓮生が封じ込めているものを、火の力で焼き払ってしまえると思ったのか。

 想像力豊かだった少女の弥生の頭の中で繋がっていたかもしれない二つの新聞記事。
 しかし、彼女はそれを記事としては残しても、記憶の中には残さなかったのか、あるいはこれは継げていはいけない符号だと感じて、静かに雑誌のページの中に閉じ込めてしまったのかもしれない。
 弥生はその二つの記事については何も言わず、お茶が冷めましたね、と言って席を立った。真はその後姿を見送り、その日付をもう一度確かめた。どちらも、澤田が記者を辞めた後のものだった。
 途中で何冊かの雑誌の最後のページを見た。
 奥付けの編集者の名前の中に、村野耕治の名前があった。真はまるで親しい知人の名前を新聞記事の中に見つけた時のように、しばらくその名前に見入っていた。

(第23章 了)






<第24章予告>
「竹流が、今どこにいるのか、知っているのですか」
「いいえ。彼とは佐渡で別れました」
「佐渡に何をしに?」
「契約の手形を受け取りに行ったまでです」
「契約?」
 真は呟いて、それからようやく浮かしかけていた腰を椅子に戻した。
「一体、この一連の出来事の中で、あなたの役割は何なのですか」
「あなたの推理を聞いてから、お答えしましょう。全て話すのは面倒な部分もありますから」

いよいよ竹流の足跡に近づく真。
その前に、もしかして忘れられているかもしれない、もう一人行方をくらましている真の恋人(一応)・深雪の足跡も明らかになります。
核心に近づく第24章『宝の地図』、お楽しみに!
スポンサーサイト



Category: ☂海に落ちる雨 第4節

tb 0 : cm 8