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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

2014/10/26 秋ですね 

ねこ
実家に帰ったらねこさんが歩いていたので、1枚、モデルをお願いいたしました。
美人さんのねこさんですが、多分のらさん。
満天星秋
秋なので、紅葉を観に行きたいなぁと思うけれど、毎週何か仕事があって身動きが取れないので、身近な紅葉を楽しむことにしました。
実家の満天星躑躅(どうだんつつじ)はずいぶん大株になっているので、塀の向こうで輝いて見えます。
花の時期も可愛いけれど、秋の紅葉はまた素晴らしいです。
つわぶき
今は石蕗(つわぶき)の黄金色がい美しい時期です。特に夕陽を受けて輝く様は、黄金に黄金を重ねたみたいです。
アメジスト・セージ
アメジスト・セージ。この旺盛な繁殖力はちょっと微妙なのですが(いつの間にか庭が占拠されそうに……)、秋の庭を艶やかに彩ってくれます。
お茶の花
お茶の花。椿にも似ていますが、少し清楚な感じがします。
やさい
野菜は……あら、微妙な姿に……
代々木蚊取線香
こちらは東京某所。代々木公園の近くでお仕事だったのですが、道を歩いていたら線香臭くて???
何だろうと思ったら、蚊取り線香の臭いでした。あちこちに大きな蚊取り線香が……
涼しくなったとはいえ、まだまだ蚊は飛び回っていますね。
お弁当新幹線
さて、以前、最近、新幹線 にもすぐに酔っちゃうんですよね~って書いたと思うのですが。
ひとつは、新幹線の中でお仕事をするようになったから、ってのもあるのかもしれませんが、普通に乗っていても酔うことがあって。
今週末は東京。また仕事をしながら行く羽目になったのですが(間に合わなくて^^;)、酔い止めを買うのを忘れてしまいました。
そうだ! いっそ、飲んじゃえ!(写真参考:お弁当の横にこっそり生ビール
……これが何故か奏功しまして、PCで仕事をしても大丈夫だったのですね。
でも、これは検証が必要ですね。次回から交互に飲んだり飲まなかったりして、確認しようっと。
確率的には山陽新幹線がだめなんですが(トンネルが多い?)……次は山陽で飲んでみよう!

おまけ。
東京土産はやっぱりこれですよね。
東京バナナ1
それがですね、このたび数量限定のストラップつきというので、ついつい手が出ちゃいました。
可愛いストラップ! なぜかちょっと軟らかいんですよ。
東京バナナ2
で、ここに書かれた文言が……改めて読んだら、何だかマコトみたいじゃありませんか。
マコトも、がお~のつもりなんだけれど、にゃお~なんですね^^;

あ、そうそう。帰りの新幹線。
お相撲さんがいっぱい乗っていました! 九州場所入り、だったのですね。
十両以上の力士さんたちはすでに巡業中で、今回は幕下の若手さんばかりだったそう。
でも、普通席では大変そうだったぁ~ 私、ちょっと手前の車両から乗ってしまったので、移動していたのですけれど、間の通路が結構大変で……(みなさん、やっぱり大きい!)
近くに座っていた人が、グリーン車を通ってきたら琴欧洲(親方)を見たというので、ネットで見てみたら引率係だったんですって。
若手力士さんたち、いつかグリーン車に乗れるように頑張れ! と心から思いました(^^)

そして。
日本シリーズ。五分五分に戻りましたが、今年こそCSの呪いを乗り越えていただきたい!
敵地に行っても頑張れ~~~!!!
(選手時代からの和田さんファンの大海でした)
参考文献(【D川の殺人事件】)
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Category: NEWS

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[雨121] 第24章 宝の地図(2)弥彦の美術愛好家 

【海に落ちる雨】第4節第24章(2)です。
竹流の姿が最後に目撃され、彼の身に何かとんでもないことが起こっていることを確認した新潟の地。
蓮生家と関わりを持つ人間の中に、この事件に関わった者がいるはずだった。
そして、竹流が姿を消す前に訪れていた村上の酒蔵で、竹流が「弥彦に行く」と言っていたことを聞いて、真はその人物を特定した。
ではご一緒に、弥彦に参りましょう。

その前に、真の独白にある「月が綺麗だと呟くシーン」を抜粋。
第1節の第1章に出てきた短い真の回想シーンでした。

 時々、真が気になってテラスに出ると、同居人は何も言わずに五角形の空を見上げている。そして、他人行儀な口調で、今夜は月が綺麗ですね、と言う。真が意味を理解できずにガーデンテーブルの向かいに座ると、同居人は木の椅子に深く背を預けた。ぎっと、木の合わせが擦れあった音がする。
『I love youって何て訳すか知ってるか?』
 また下らない薀蓄を話し始めるのだろうと、真は返事をしなかった。
『明治時代の日本では『愛している』という訳はなかったそうだな。夏目漱石は、月が綺麗ですねとでも訳すか、と言ったらしい。あなたなしでは生きていけない、と訳した詩人もいたそうだ』
 月が綺麗だなんて言われても、聞いたほうに想像力がなかったら聞き流してしまう、と真が言うと、同居人は真の方を見ないまま、僅かに微笑んだように見えた。
 珍しく真剣な恋でもしているのだろうか、それとも昔の叶わなかった恋でも思い出しているのだろうかと思ったが、追求してもまともな答えが返ってくるとは思いがたく、真は月を見上げる。
 五角形の空に、ひと際大きく、月が輪郭を浮きたてるように香っている。


何故今このシーン?
真は本当は「俺にだって多少の想像力はある」と思っていたんですよ(*^_^*)
でも、思えば夏目漱石の「月が綺麗だ」は使い古されてますね。ま、いいか。


【海に落ちる雨】登場人物紹介はこちら→【登場人物紹介】





 草薙とは新潟駅で別れた。さすがにこれ以上、あの店の危ない連中を放っておくことはできないということだろう。
 草薙は、あとは別の道案内人を捜せ、と言った。
「何遍も言うようだがな、自分の遺伝子がろくでもないなどとは思うなよ。大和竹流が見つかったら、一緒に店に飲みに来い。特別に手厚い出迎えをするように、店の連中に言っておいてやる。おまえさんはきっとナンニのいい話し相手になる」

 草薙が手を上げて、人ごみに吸い込まれていく後姿を見送りながら、真は、例の『手厚い出迎え』をかわせるほどに竹流が無事であってくれればいいと思った。

 深雪の行く先は気になったが、今は何より弥彦に行きたかった。真は心のどこかに居場所を作ってしまった香野深雪という女性の存在を行李の底に押し込めるようにして、今は素直に感情の求めるままの先を急いだ。
 一人になると、いつもあの男のことを考えていた。
 何を思い出したのかと言えば、ろくでもないことばかりだった。魚を捌く手つきや、器用に野菜の形を整える包丁の扱い、だしの味を確認している姿、なぜか料理をしている時の手元ばかりを思い出した。

『料理ってのは科学的計算と根底は同じだ。つまり、材料の比率が味を決める要素のひとつだ。匙加減だよ。お前はあれだけ細かい物理計算をしていたんだから、料理ができないというはずはない。つまりやる気がないってことだな』
 あんたが作ってくれるのに、何で俺が料理を覚える必要があるんだ、と言うと、それ以上、竹流は何も言わなかった。

 確かに、砂糖や醤油、塩を入れていく作業は、大学生の頃にしていた実験と変わらない気はした。だが、包丁捌きは全く別だ。あの器用な手つきだけは、真には全く真似のできないものだった。
 それに食材を見分ける能力。根本的に真にはそういう類の才能は備わっていない。それに実際は、味付けをしていく作業とて、季節の左右される人間の感覚や他の料理との兼ね合いで変えていかなければならないのだ。
 そんな微妙な舌は真にはない。

 弥彦までの道の半ばで、空は暗くなってきた。時刻のためもあったが、時計の針が進むよりも早くに雲行きが怪しくなっていたからだった。途中、車を道の隅に停めて、一本だけ煙草を吸った。
 深雪の過去を思い遣ってやらなかった後悔は確かにあった。しかしそれよりも、竹流が真と深雪の事を、寄り添うべき一組の男女として考えていたのだと知って、動揺していた。

 それなら何故、雑誌のインタヴューであんなことを言ったりしたのだろう。それに何故、月が綺麗だと呟いたりしたのだろう。俺にだって多少の想像力はある、と言ってやればよかった。そして何故、指輪を捨てたりしたのだろう。
 今、スラックスのポケットから指輪を出して見つめる気になどならなかった。捨ててしまいたい衝動は確かにあった。捨てるなら場所は決めてあった。大体拾ってきてしまったことに後悔がないわけでもなかった。

 煙草を吸い終わると、少しだけシートを倒して目を閉じた。昨夜はそれなりによく眠ったと思っていたが、身体は興奮したままだった。まだ夜にはなっていないものの、既にヘッドライトを灯した車の光が視界の隅を貫き、すり抜けるような振動が身体に響いた。アスファルトの地面にのめり込みながら転がっていく車のタイヤ音は、幾らか湿り気を帯びて聞こえた。

 もう遅いよ、と真は喉の奥で呟いた。俺は神と契約を交わしたのだ。
 草薙の父親も、寺崎の父親も、そして真の父親も、息子にとってはろくでもない親かも知れないが、あの男だけは違う。息子のために、時には戦争も厭わないだろう。そういう直接的なやり方が正しいかどうかは別の問題だった。
 あの男は息子を愛しているのだ。そしてその息子は、叔父だと信じている父親を、どのように思っているのだろう。

 休むことは諦めた。真はエンジンをかけて、弥彦への道を急いだ。くすんだ空から雨がフロントガラスへ振りまかれて音を立て、真は視界が保たれている間はワイパーで跳ね除けることもせずに、ただ光の行方を睨みつけていた。


 弥彦に着いたのは既に定時を二時間ばかり過ぎていたが、江田島道比古はまだ村役場に残っていた。
 真を見ると、特に表情を変えることもなく、もう少しで仕事が片付くので待っていてください、と極めて事務的な声で言った。真は役場の待合で、座り心地の悪い長椅子に身体を預けた。

 狭い役場には江田島の他には誰も残っていなかった。静かで、時折江田島が紙をめくる音だけが、空気に含まれる湿気の位置を変えているように思えた。

 以前、取材のふりをして江田島に会ったとき、会うまでは絶対にこの男が怪しいと思っていたが、実際に会うとただ実直な役人で、美術のことをこよなく愛している部分に関しては幾らか狂信的な面があったとしても、それほどの悪人には思えなかった。
 その後で、蓮生の親戚である時政家の息子と恋愛関係にあると聞いて、印象が変わった。そういう性的嗜好を持っていることが問題なのではなく、その相手が蓮生と関りのある人間ということで、再び疑いの気持ちが持ち上がった。
 だが、こうしてもう一度目の前に会ってみれば、それほど悪人でも善人でもないただの一人の男に見える。

 真は両膝の上に肘をついて、組んだ両手に額を乗せ、自分の手が異様に冷たいと気が付いた。それともアドレナリンが分泌され過ぎて熱でもあるのかもしれない。睡眠不足の身体にありがちな、重さと浮遊感が纏わり付いている。
 いっそ、全て幻想であって欲しいと願った。もしかして今マンションに戻ったら、同居人はそこにいて、当たり前のように魚を捌いているかもしれない。真が台所に入れば、いつものように、帰ってきたんなら手伝え、と言うかもしれない。不意に、魚のにおいが運んでくる築地の海の匂いが蘇った。

 記憶の中の匂いなのか現実のにおいなのか、区別がつかない。記憶とにおいは脳の同じ部分に仕舞われて、それぞれが刺激となって幻影を呼び起こすのか。
 その幻影の彼方から、足音が近付いてきた。止まった時、現実に引き戻される。
「お待たせ致しました。夕食、まだではありませんか。私もこれからなので、おつき合いください」
 真が断る隙も作らせず、江田島はそう言って、先に歩き始める。

 真の車で駅前まで行き、一軒の料理屋に入った。駅前、と言っても申し訳程度に店がかたまっているだけで、九時も過ぎれば灯りは全て消されてしまうのだろう。江田島は書類鞄を空いた椅子に置いて、さて、と言うように真を見た。
「少し飲みますか?」
 真が断ろうとすると、江田島は、今日はもうフェリーには間に合いませんよ、と言った。真は、耳と脳の間でしばらくその言葉を行き来させなければならなかった。

「何故」
「寺崎昂司から連絡があったんですよ。あなたを案内しても構わない、と」
「どういう意味ですか」
 意味が摑めないまま、真は江田島の顔を見ていた。
 ここに来て、何故誰もが謎解きを始めたりしているのだ、と不愉快で気分が悪くなった。これまでは誰も真実を真に教えてなどくれなかった。今になって皆が真には処理しきれない情報を提供してくれようとする。それは、竹流の身がよくない状況にあるという意味ではないのか。

 真はやはりアルコールを断った。
「竹流は今どこに? あなたが、彼がフェリーで佐渡に渡ったときに、フェラーリに同乗していた男だったんですね。あなたは彼の仲間か、もしくは情報提供者だと言うんですか。それなら何故、僕が前にあなたに会ったときに、そのことを教えてくださらなかったんですか」

 江田島は注文をとりに来た年配の女性に、手際よくビールと料理を幾つか頼んで、ようやく真の顔を真正面から見た。
「矢継ぎ早に質問されると、どれから答えていいのか、困りますね。大和竹流と一緒に佐渡に行ったのは事実です。だが、私は彼のお仲間というわけではない。ただ、寺崎昂司とは父親を介して知り合いではあります。何故、あなたに教えなかったのか、というのは多少複雑な事情があって、うまく答えられません」

 真は江田島を睨み付けていることに、自分でもようやく気が付いた。江田島は運ばれてきた二杯のビールの一方を真に勧めた。真はそれには応える余裕などなかった。
「竹流が、今どこにいるのか、知っているのですか」
「いいえ。彼とは佐渡で別れました」
「佐渡に何をしに?」
「契約の手形を受け取りに行ったまでです」
「契約?」
 真は呟いて、それからようやく浮かしかけていた腰を椅子に戻した。

「一体、この一連の出来事の中で、あなたの役割は何なのですか」
「あなたの推理を聞いてから、お答えしましょう。全て話すのは面倒な部分もありますから」
 真はもう一度勧められて、今度はビールを口にした。固形の炭水化物よりは咽を通りやすいと思うことにした。

「あなたはパリに留学していた時に、フェルメールの本物がまだどこかにあるという噂を耳にしていた。それも、かなり具体的な話だった。持ち主はキエフの皇族血縁の元貴族の老人で、その貴重な本物は、割と簡単に贋作と判るような絵の下に隠されている、という。あなたはもしかしてキエフの老人を訪ねたのではありませんか。しかし、絵はそこにはなかった」

「そうです。日本人に売ったと。ガラクタのような絵ばかりだったので、高い金を出しそうな日本人に売ってやった、と言われました。だが、実際には売ったというほどの金を受け取っていないことが分かった。妙な気がしました。彼は売った先までは言いませんでしたが」
 真は、この男が『青い血』という秘密結社とやらを知っているのかどうか、フェルメールらしき同じ構図の絵が何枚もあることに気が付いているのかどうか判らなかったので、その話題を避けた。

 細長い店はテーブルが縦に並び、それぞれのテーブルの間には柱が立っていて、入り組んだ形の個室のように作られている。洒落たデザインを目指したのではなく、何やら建築上のやむをえない事情によって複雑な形になってしまっただけのように見える。厨房は少し奥になっていて、今真と江田島が座っている一番出入り口に近いテーブルの会話が他人に聞かれる可能性は低いように思えた。

「あなたはやむを得ず弥彦に帰って役所勤めをするようになってから、蓮生の家から鑑定を頼まれたんですね。蓮生には戦前も戦後も含めて、何度かソ連から絵が持ち込まれている。絵だけではない、蓮生はいつの間にか大事な預かり物をするようになっていた。今の下蓮生の当主の父親の代までは、自分たちの役割を知っていたかもしれませんが、今存命の蓮生家の人たちは、多分歴史の中で蓮生が果たした役割を知らない」
「そうでしょうね」

「あなたが欲しかったのは、面の絵の下に描かれているフェルメールの本物ですか」
「欲しい? それは少しニュアンスが違います。私という個人があのような素晴らしい絵を所有して何になりますか。私は夜毎自分のコレクションを眺めては満足しているような連中とはわけが違うのです。私は、いえ、私が、その絵を見つけ出したかった。もうフェルメールの本物は見つからないだろうと言われている、それをこの新潟で見つけたのが私だと、美術史に足跡を残したいと願っているだけです。そして、もうひとつ大事なことは、あの絵がこの日本から出て行くことを阻止したかった」

「功名心、ですか」
「何とでも。私には美術作品を生み出す才能もなく、あなたの同居人のように修復技術を持つわけでもない、だがこよなく愛したもののために生涯を燃焼させたいと願っていました。しかし、現実には父が死に、パリからこの田舎町に戻って来ざるを得なかった私のような人間に、そのような野心は全く絵空事でした。ところが、神はチャンスをくれた。この絵を世間に知らしめ、私の名を知らしめるのが、私の生涯の仕事と思えるようになったのです」

「蓮生家から鑑定を頼まれたとき、寺崎孝雄の会社に東京までの運搬を頼まれましたね。あなたは寺崎孝雄と親しかったのですか。あの男が、つまり悪い噂を持っていることをご存知だったのでは」
 江田島はビールをゆっくりとグラス半分ほど飲む間、何も語らなかった。
 真は辛抱強く待ちながら、もう一度店の中の気配を窺った。
 店内には数組の客がいたが、それぞれ自分たちの話に夢中のようで、やはり他のテーブルの会話に聞き耳を立てている気配はない。それでも、電車の通る音がはっきりと聞こえるほどに、辺りは静かだった。

「相川さん、寺崎孝雄の会社は美術品輸送のプロです。この業界では大変良い仕事をしている。悪い噂など問題にはなりません」
「だが、わざわざ関西に拠点を移していた会社に頼まなければならないものでしょうか」
 真が問い詰めると、江田島は微かに笑ったように見えたが、返事をしなかった。

「僕にはよく分かりません。あなたの功名心も、何がしたかったのかも、そのために寺崎孝雄のような男と手を組んだのも。第一、本当にあなたの言うとおりなら、あなたは正規の手順を踏んで鑑定の手配をしたはずです。あなたは、やはり絵を掠め取るチャンスを残しておきたかったのではありませんか。だが、実際には簡単にいかない事情があった。『フェルメールのような』絵は何枚かあった。あなたはどうしても東京に絵を運ぶ必要があったんです。どの絵の下に『貴重な本物』が描かれているのか、弥彦や新潟では調べることができなかった、もしくは調べるにあたって、あなたに都合のいいように事を運ぶことができなかったからです。だが、例えば赤外線で調べてみても、実際には『貴重な本物』はどのフェルメールらしい絵の下からも出てこなかった。絵は蓮生の若主人が一部を県庁に寄贈した後で、恐らくあなたが鑑定をした時には『貴重な本物』は竹流の手元にあった。あなたが蓮生の絵に興味を持っていることを知って、竹流があなたに接触してきた。もしくは、あなたのほうから竹流に近付いた。違いますか? 僕が初めてあなたにお会いしたとき、あなたは直ぐに大和竹流の名前を出した。確かに、彼の名前があなた方の世界でそれなりに有名であったからかもしれませんが、ただ修復師というなら、他にも、もっと表で仕事をしている立派な肩書きの人がいたはずだ」

 江田島は真が語るのを興味深そうに聞いているように見えた。真が、江田島の善良かつ実直そうな表情の向こうの何かを読み取ろうとしても、まるでそれを拒否するかのような鎧を感じる。
「さて、それで、私の非はどこにあるということになるのでしょう」
 真は息を継いだ。

 年配の女性が料理を次々に運ぶ間、真は次の会話のきっかけをつかみかねていた。江田島は真に料理を勧め、彼自身は淡々とした気配で食事に取り掛かる。真は箸を取り上げることもせずに、その様子を見ていた。
「あまり怖い顔をされていると、おかしな客だと思われますよ。ここは田舎町で、あなたのような人はただでさえ目を引くのですから」
 真はようやく箸を取り上げた。

(つづく)



さて、この江田島、もとから怪しかったと思いますが、やっぱり怪しかったですね。
でも、怪しさの正体は、もう少し別の事情があったようです。それは続きで。
このシーン、まだまだ続きます。そして、物事の核心に近づいていきます。

「私の家に来て、家捜しでもなさったらどうですか。もしかすると、大和竹流を匿っているかもしれませんよ。いや、彼を座敷牢にでも閉じ込めて、夜な夜ないたぶり尽しているかもしれませんからね」
え??

Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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NEWS 2014/10/22 悲しいお知らせ 

ほととぎす
ほととぎす 今を盛りに 競い咲き……
朝は特に光を浴びて美しいです。
お茶を習っている時に床の間に活けるお花(茶花)を庭に多く植えたので、今でもその名残があります。
花器には軸となるお花と足元のお花、せいぜい数輪が普通ですが(利休の朝顔は一輪でしたが)、秋は小さくて地味な花が多いので、この時だけは先生が多めのお花を活けてくださいました。
秋の小さくて控えめな花が、それでも目一杯咲き競う様は、風情がありますよね。

さて、タイトルで察してくださった方もいらっしゃると思うのですが……
そうなんです。キジバトさん。
やられてしまいました。
犯人は分かりません。
朝のキジバト
朝、木の陰からそっと望遠で写真を撮らせていただいて、「行ってきます」と出かけました。
雨の夜の卵
その日の夜、雨が降って。何となく鳩さんの気配がなかったので失礼して写真を撮らせていただきました。
たまごはちゃんと2つ、綺麗に並んでいたので……夜は温めないのかしら?と疑問に感じつつ……
たまご…
朝起きてみたら。たまご、ひとつは完全に姿を消し、もうひとつはこんな姿に。
巣の中に白い羽がひとつ落ちていました。キジバトさんが残したものかもしれません。
ねこさんでしょうか。
あるいはカラスも多いので、そっちかも。巣があまり破壊されていなかったので、鳥系の可能性が高そう。

……もう誰もいません。
自然界って厳しい。
うちの庭だけれど、ここはやっぱり野生のジャングル、なのね。

親鳥さんはずっと巣にいるわけじゃないんだね。
それとも、私がちらちら見ていたのが悪かったのかなぁ。
う~ん。お仕事してても、何だかもの悲しい秋の日なのです。

九州お菓子
気分転換に、九州のお土産お菓子。限定商品に弱いなぁ、私。
さつまあげ
さつま揚げは、フライパンで温めて、お饂飩に入れていただきました。

一昨日は半徹夜で仕事のプレゼン用の原稿をひとつ仕上げ、昨日からまたもうひとつの原稿と闘っています。
あす朝までに上げなければならないので、また半徹夜かしら。
寄る年波に勝てないので、朝方、眩暈がしたりくらくらするけれど、あともう少し、頑張らねば。
でも、明日・明後日と日常業務が終わってから夜も仕事の会があり、土曜日から東京入りして日曜日はまたお仕事。
今週、乗り切れるかしら。
悲しんでいる時間もない、悲しい秋の夜なのでした。

夜は寒いくらいですね。皆様、お身体、お気を付け下さいませ。

Category: NEWS

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[雨120] 第24章 宝の地図(1)村上の酒蔵 

【海に落ちる雨】第4節第24章の幕開けです。
今回から章題の他に、副題をつけました。
短編の連載中ですが、こちらも忘れそうなので、そろそろを覚悟を決めて←なんの?^^;
まずは少し空いていたので、思いだしがてらにあらすじを。

新宿にある調査事務所所長・相川真の同居人・大和竹流。
ローマにある教皇庁と深い関係があるヴォルテラ家の後継者であるが、その立場を捨てて今は東京でレストラン・バーとギャラリーを経営する美術品修復師。

大怪我をして入院していた大和竹流の失踪。
その失踪に重なるように蠢いていた人間たちの影が、今となっては静まり返っていた。
代議士・澤田顕一郎、溺死した元傭兵の田安、内閣調査室の『河本』、『河本』の命令で動いている警視庁の女刑事・添島麻子(竹流の恋人)、米国中央情報局に雇われている真の父親・アサクラタケシ。

真はようやく竹流の失踪時、最も身近にいたはずの男に行き当たった。
澤田顕一郎の元秘書・村野耕治の息子・草薙。

竹流が失踪前に関わっていたのは、新潟の豪農・蓮生家の蔵から見つかったというフェルメールの贋作だった。
蓮生家の怪しげな面々、贋作の鑑定に関わったという弥彦の村役人・江田島、フェルメールのことで政財界の大物たちを脅迫したうえで自殺したとされる雑誌記者・新津圭一、口がきけなくなったその娘、新津の愛人で真の恋人でもあった銀座のバーのママ・深雪。

それぞれがそれぞれの事情で事件に絡み、物事を複雑に見せている。
だが、事件の核心はただ一つだ。
「妙に大物が動く割には起こっていることが小さい」
絡み合う人間の欲望の泥沼の中から、真は彼を探し出せるのか。
そして、竹流が本当にしようとしていたことは何だったのか。
彼の本当の『敵』は誰だったのか。

草薙に案内されて、真は、竹流がフェルメールの贋作を描かせていた女・御蔵皐月のアトリエの焼け跡に行き、そこで彼の指輪を見つけた。
竹流がヴォルテラの跡継ぎだというしるしの指輪。その自分の体の一部のように大事にしていた指輪を捨てたというのだろうか。

さらに竹流の足跡を捜して、彼らは再び新潟にやってきた。
蓮生家の火事の真相に近づいた真は、歴史に巻き込まれた蓮生家の過去を知ることになった。
ソ連から預かりものをしていた蓮生家。その宝は絵画や宝物ではなく、神聖な一族の血だったと。
その末裔である千草の決心を感じながら、さらに竹流の足跡を探す真。
そして……

【海に落ちる雨】登場人物紹介はこちら→【登場人物紹介】




 吉川家を辞して、真は草薙が時間を潰しているはずの酒蔵へ向かった。
 三台ばかり停められるようになっている駐車場に車を置き、店の重い引き戸を開けて、土間になった店内に入る。店番の婦人が真の来訪の意を確認して、奥へ誘った。
 小さな間口だったが奥行きは随分あるようで、進んでいくと、木と麹の匂いが辺りを埋め尽くしていく。大きな樽が幾つも並んでいる天井の高い部屋に入ると、草薙が店の主人と思われる恰幅のいい壮年の男性と話していた。

 主人は真を見ると、あんたが相川真さんか、と言った。どういうことだろうと思って草薙を見ると、草薙は頭を掻いて、そもそもお前さんに協力する気なんかなかったのにな、俺も焼きが回ったらしい、と呟いて煙草をもみ消した。
「あんたの同居人が一度、新潟から電話をかけてきたって言ったろう。電話を借りているんで遠距離になるから掛け直せって言われてな、その番号を書いたメモが上着のポケットに残ってたんだよ。まるで呪いか執念じゃないか。ここに来てから、その電話番号の市外局番がこの町のものだって気が付いたんだ。調べたらこの酒蔵だったってわけさ」

 真は思わず店の主人の顔を見つめた。
 竹流には日本どころか世界中あちこちに知り合いや仲間がいることには、もう驚きもしないが、この村上となると、そしてそれが彼の失踪後の手がかりとなれば、話は別だった。
「竹流はここに来たんですか」
 主人は大きな酒樽の脇から真のほうへ歩いてきた。少し明るいところで見ると、短く刈った白髪交じりの髪に、同じ色合いの口ひげ、それに手の甲にも厳つい熊のような体毛が生えていた。
「何をしに」
「うちのばあさんに会いにきたんだ」

 主人は、俺と話しているよりもばあさんと話したほうが早い、と言って、真と草薙を更に奥へ誘った。
 大きな樽のある部屋の奥は、天井も普通の高さで、瓶詰め作業をしている数人の従業員が手際よく仕事をこなしていた。その先の引き戸を開けると中庭になっていて、急に視界が明るくなった。その向こうが家屋のようだ。
 縁側に赤ん坊を抱いた老人が座っている。
「うちのばあさんと十代目だ」
 主人は真たちにそう言って、老人のほうに歩いていった。
「ばあさん、深雪ちゃんの知り合いだそうだ」

 真は思わず自分の耳を疑った。竹流の知り合いや心を許した友人の中に老人の占める割合はかなり高いと思われるし、この老人もその一人だろうと思っていたのだ。
 竹流には老人に好かれる大きな美点がある。彼は老人たちと共に時を過ごし、彼らの話に耳を傾け、そして彼らの人生や、どんな些細なことであっても彼らが持つ技を手放しで賞賛する。多分竹流にとっても、彼らの傍らは居心地の良い空間なのだろう。それはもしかすると、彼が子どもの頃、敬愛していたという修復師の姿を重ねるからなのかもしれない。
 だが、主人は今、「深雪の知り合い」だと言った。

 その言葉に顔を上げた老人は、穏やかな優しい表情の女性だった。そのまま教会の絵の中に納まっていても不思議ではない、柔和な顔をしている。それもそのはずだった。
 老人は渡邊テレサ詩乃と名乗った。
「深雪は、ここに?」

 出された湯呑み茶碗を間に、詩乃と真は縁側に隣り合って座った。十代目はその母親が預かりに来た。草薙は、俺は酒蔵で主人とまだ話があるんだと、その場を離れた。どうやら幾分か飲んでいるようで、ここの酒が気に入ったと言って、商売の話でもあるような口ぶりだった。
「深雪を、いえ、深雪さんを探しているんです。居場所をご存知ですか」
 詩乃は首を横に振った。

「あなたは、大和さんのお知り合いだそうですね」
「えぇ。彼も行方がわかりません。ここに来たのは、つまり彼も深雪を捜しに来たんでしょうか」
「いえ、捜しに来たというより、深雪ちゃんが私のところに来たら、ここに匿ってやって欲しいと頼みに来られたんですよ。女の子を連れているだろうから、行き場所がなくて困るはずだからって」
 真が最後に深雪に会ったのは、竹流が病院から失踪した翌日だった。その後、深雪の行方は分からなくなっている。竹流は深雪が東京からいなくなったことを知ったのだろうか。

「竹流はどこへ行くか、あなたに話していませんでしたか」
 深雪のことを聞かなければならなかったが、頭が混乱していた。
「弥彦に寄ってから、佐渡に行くのだとおっしゃっておられました。深雪ちゃんとその女の子をここに匿うのは構いませんけど、その後どうするのだと聞きましたら、佐渡から戻ったら迎えに来るからとおっしゃいましたので」
「弥彦に寄る? 竹流は確かにそう言ったのですか」

 詩乃は頷いた。真は焦る気持ちを何とか押さえ込み、もう一度詩乃の顔を見つめた。
「あなたは、深雪が子どもの頃預けられていた施設の方なんですね」
「そうです。もうその施設自体はありませんけれど、深雪ちゃんは時々、私を訪ねてきてくれていました。小さな頃から本当に綺麗な子で、でも施設に来たのはご両親が亡くなられた後でしてね、可哀想に、心も身体も傷ついて、誰も信じることができないようでした。でもあの子は本当に優しい娘でしてね、愛情をもって育てられていたのがよく分かりましたよ」

「あなたは、澤田顕一郎をご存知ですか」
「はい。よく存じ上げております」
「澤田と深雪の家族の間にあったことも?」
 詩乃はまた深い穏やかな瞳で真を見つめて、ゆっくりと頷いた。
 高い空を、鳥が歌いながら横切ったようだった。複雑な影と光が、詩乃と真が座る縁側に模様を描いていた。

「澤田さんは、深雪ちゃんを私たちの施設に預かってほしいと連れてきた人です。いえ、そのずっと前から、私たちが心を病んでいる子どもたちを積極的に引き受けているのを知って、何度か取材にも来らおられました。記者というので始めは警戒していましたが、あの方は弱者には本当に優しい人でした。時々、義憤を感じると見境がなくなるようなところもありましたけれど、信念のある方でしたのよ。深雪ちゃんをここに連れてきたときに、病院に入れるのはあまりにも可哀想だと、全ては自分に責任があることだから、何とかこの子を助けてやって欲しいと、そう言っておられました。深雪ちゃんの学費も生活も、そして私たちのためにも、本当に多くの援助をして下さいました。けれども、深雪ちゃんが高校を卒業するまで、会うことも、名乗ることもなさいませんでした」
「深雪は、いえ、深雪さんは……」

 真が言葉を詰まらせると、詩乃は優しく真の手を握った。皺が刻まれた乾いた手だが、暖かく優しかった。
「相川真さん」
 詩乃は噛みしめるように真の名前を口にした。
「私はあなたのお名前を深雪ちゃんから聞いていましたよ。先生、私はやっと人を愛する気持ちになったと、それは他人を信じて受け入れることだとやっと思えるようになったと、あの子はそう話していました。この愛は叶わないものだけれど、それも含めて受け入れることができるような気がするんだと。以前、あの子をそのような気持ちで愛してくれた人の想いを、あの子は受け入れることができなかった、その時のことを後悔しても始まらないけれど、その人が何をしようとしていたのか、今こそちゃんと知りたい、そんな気持ちになったのはあなたのお蔭なんだと、そう言っていたのですよ」

「やっぱり、深雪はここに来たんですね」
 真は自分の声が震えていることを感じた。
 深雪の想いを、全く知ろうともしていなかった。後悔しているわけではないが、ただ申し訳ないと感じていた。
「はい。私はもう、自分が老いて役に立たないのだと思っていましたが、あの子は私にもう一度女の子を預かって欲しいと言ってきたのです。うちの娘婿はあの通り、豪快な男ですから、事情も聞かずに引き受けました」

「じゃあ、千惠子ちゃんはここに?」
「ご心配には及びません。まだ大人の男性を怖がっているようなところはありますけれど、いずれきっとその心を癒す人が現れるでしょう。深雪ちゃんにあなたが現れたように」
「僕は……」
 真はそれ以上何も言うことができずに、詩乃から視線を逸らした。詩乃は黙って真の手を握っていた。その温度が、手の先から真の身体の奥へ滲みこんでいくようだった。

 この人の前で、自分の心が深雪にはないのだと言えなかった。だが、まるで真の心の内を読んだかのように、詩乃は穏やかな、しかし明瞭な声で言った。
「深雪ちゃんはあなたに応えて欲しいと思っているのではありませんよ。あの子は、あなたのお蔭で救われたけれども、あなたに見返りを求めてなどいないでしょう。あなたは、あなたが求める人をお捜しなさい。私たちはきっとあのお嬢さんをお守りいたしますから」

 真はもう一度詩乃の顔を見つめた。そして、相川真が香野深雪を一人の女として愛するかどうかということは、この女性にはひどく末端の事なのだろうと感じた。神に身を捧げた女性の視点からは、深雪に救いをもたらしたきっかけが大事なのであって、男女の愛が成就するかどうかは神の思し召しに過ぎない、といえるのだろう。そして、今真に救いをもたらしてくれるものは、全く別のものだということを、この女性はちゃんと分かっているのだ。

「深雪が今どこにいるか、見当はつきませんか」
「新津圭一さんをご存知ですね」
 真は頷いた。
「新津さんは、深雪ちゃんのことを知りたいと、私のところを尋ねてきた人です。何もかもお話しするわけには参りませんでしたけれど、その方が本当に深雪ちゃんを愛してくれているのはよく分かりました。深雪ちゃんは、その方が亡くなられたときから、ずっと自分が何をなすべきか、考えていたのかもしれません。あの子は私にどこに行くかは言いませんでしたけれど、今はただ、あのお嬢さんのためにも自分自身のためにも、成すべきことがあるのだと思っているのではないでしょうか。あなたがお捜しの大和さんは、深雪ちゃんに危険があってはならないから、ここに深雪ちゃんを引き止めてくれるようにおっしゃっていたのです。深雪ちゃんにはそのことを伝えましたけれど、深雪ちゃんは、これは私の仕事なのだと、そう言っていました。大和さんが深雪ちゃんのことを気遣って、何度かここに訪ねてこられたことも、あの子はみんな知っています。深雪ちゃんは、私にこう言いましたよ。逆なのよ、先生、あの人が真ちゃんの本当に大事な人なの、だから、あの人を巻き込むわけにはいかないのよ、と」

 真はまだ詩乃を見つめたままだった。
「相川さん、深雪ちゃんはあなたに会ってから、色んな事を私に話してくれるようになった。それまでは、訪ねてきてくれても滅多に自分の話をしない子だったんですよ。本当は、あの子はあなたに聞いて欲しかったのかもしれません。話せなかったのは、あなたの想う人が別にいて、もしもあの子があなたにあの子自身の苦しみを打ち明けたら、きっとあなたがそれを背負おうとしてしまうだろうと、そうなるとあなたは苦しむだろうと、あなたはそういう人なのだと分かっていたからだと思います。大和さんも同じでしたよ」

 家の奥から、十代目の泣き声が聞こえた。
 家族があり、家業があり、子孫が育まれている光景の中で、深雪も竹流もどんなことを思っていたのか。それを考えると、真は指の先が痺れてくるような気がした。
「竹流が、何を」
「何故、縁もないはずの深雪ちゃんを気遣ってくださるのかと尋ねたら、自分にはただ一人、本当に大事な人がいるが、これからの自分の行く末にその人を巻き込みたくはないのだと、そう話しておられました。そして、深雪ちゃんとあなたがお互いの心の傷を深く知れば、きっと求め合うに相応しい、お互いの傷を十分に癒せる存在になり得るだろうと、だから自分にとって香野深雪という女性の存在は大事なのだとおっしゃってくださったのです。そして、その二人なら、もしかすると千惠子ちゃんも救われるのではないかと」

 あの男は何を馬鹿なことを言っているのだと、途端に無性に腹が立ってきた。
 叔父夫婦の養子になっていれば、短い人生になったかもしれないが、真は北海道でそれなりに幸福に生きていけたはずだった。あの大宇宙と大地の間で、馬たちや犬たちの傍らにいれば、真には苦しみなどないはずだったのだ。そこでは、生も死も、つまり肉体を持っているかどうかは、大した問題ではなかった。真はいつでもあらゆるカムイたちと肉体も精神も同じにすることができたからだ。それを、人生には苦しいことのほうが多くて当たり前だといって阻止したのは、他ならぬあの男自身だ。

 不意に詩乃の手が強く真の手を握った。
「相川さん、深雪ちゃんは強い子です。いいえ、あなたのお蔭で強くなったのですよ。たとえ一人でも、あのお嬢さんを守って生きていくことでしょう。でも大和さんは違いますよ。私にはあの方のほうが、深い傷を抱えていらっしゃるように思えました」
「僕は深雪に何もしてあげていません。それどころか、知らずに彼女を傷つけていた」
「相川さん、何をなす必要がありましょう。あなたの存在があの子を救ったのですよ。神や人が誰かの救いになるのは、言葉によってでも行為によってでもありません、ただその存在に救われるのです」

 深雪を抱いていたときにだけ感じていた何かは、彼女の心の深いところに触れていたからだとでも言うのだろうか。もしそうなのだとしたら、そして相川真という人間を作り上げ、誰よりも真を知っているはずの男が、彼女こそ真が愛するべき女なのだと言っていたのだとしたら、真が感じていたのは、深雪に対する愛だったとでも言うのだろうか。
 愛という言葉が、自分の中で薄っぺらく感じてしまうのは何故なのだろう。
 俺は、深雪がいなくても生きていけるが、あの男がいなければ生きてはいけない。それは、呼吸する空気がないのと同じようなことだと、真は思った。

(つづく)




limeさんちに書いたコメントで頂いたお返事の中に「雨」はもっとハードだろうし、というのがあって……あわわ、となってしましました。この章が最後の穏やかなシーンかも。
まだあれこれ迷っていますが、結局もとのままアップするのかなぁ。
ほんと、少ないながら読んでくださる方々に引かれるだろうなぁと思いつつ。
主人公、今までかなり受け身でしたが、追い込まれていくと野生の本性を表すんですね。
見守ってやってください。

Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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NEWS 2014/10/18 福岡なう/ハトの卵その後 

めんたいラーメン
昨日から福岡にいます。
本当は会議(非公式の打ち合わせ)だったのに、飲み屋でやっちゃぁだめですね。
はい、お約束通り、みんなで出来上がり、ひやおろしさんたちを飲んだくれ……
このめんたいラーメンに行きつきました(^^)
汁の上に出ているのは氷山の一角、と申しましょうか。すごく大きな明太子です。
案の定、私はお腹を壊しています(~_~;)

さて、あの鳩さんですが、福岡に来る前に、朝の姿は……
キジバト1017朝
頑張ってるなぁ、と思って仕事に出かけ、夕方にいったん仕事先から戻って福岡に向けて出発したのですが。
あれ? いない……餌を探しに行ったのでしょうか。
で、チャンスとばかりに巣の中を覗いたら!
キジバト卵2つ
2個になってました! 調べた通りだったので、感激しました。

でもね、ちょっと心配なのです。
この巣の高さ、丁度私の頭の少し上あたり。
猫のジャンプ力を考えると、こんなところで大丈夫なのかなぁと思ったりします。
でも、人間様にできることは、とにかく見守り、ですよね。
さて、セミナーに行って参ります!
福岡での私の使命は、明太子の抱き枕を探すこと。あるかなぁ?

ところで、タイトルに書いてから思いましたが、「なう」ってもう古い?

Category: NEWS

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NEWS 2014/10/16 こんなことってある?~キジバト事件~ 

立て続きに大きな台風が日本を通過していきましたね。皆様の所は、大丈夫でしたでしょうか。台風・・・といえば、いろんなものが庭に飛んできます。(飛び去ってもいきます)もう6~7年も前になるんですが、台風の夜、外を見ると、庭の真ん中に奇妙な固まりが転がっていました。微妙に動いています。風雨の中外に出て確かめてみると、なんとキジバトの幼鳥でした。巣立ち間際の、大きな子です。雨で羽毛がぐっしょり濡れて、かな...
(雑記)台風の夜とハトの愛情


小説ブログ「DOOR」のlimeさんがこの記事をアップされた途端に……
我が家にも「キジバト」が舞い降りたのです! しかも、ただやって来ただけではありません。
……こんな偶然ってある??と思うような出来事。まずはその姿を激写!
キジバト
ね!
私、あまり鳥には詳しくなかったのですけれど、調べました。
これは間違いなくキジバト(ヤマバト)ですよね。
よく公園などで集団行動をして人を襲っているエサをたかっている鳩はドバト。ものすごく帰巣本能が強くて伝書鳩にされていたんだけれど、糞害の原因ともなってちょっと嫌われているんですよね。
ちなみにドバトはこんなの→ドバト

で、そのドバトと、こちらのキジバトは、首のところを見たら、違いはすぐに分かるんですって。
キジバトはこの写真にあるように首のところに青と黒のバーコード模様がある!
でね、この子、枝を咥えてるでしょ!

実はですね、以前、「うちの庭の木に誰かさんの巣があるけど、誰もいない」って、ちらりと記事(【これは誰のもの?】)に書いたのですが、その主がこの子だったのです!

今朝(いや、もう昨日の朝)、ホトトギスの写真を撮っていたら、背後でバタバタっって、羽ばたくような音が……
あ、写真を撮っていたホトトギスは、鳥じゃなくて花のホトトギスです。ちょうど朝日が当たって綺麗だったのです。
ホトトギス2
で、あわてたような羽根音に振り返ると、そこは例の「無人だった鳥の巣」……
キジバト巣
実はこの複雑な木の状態、9月の台風の時にこうなっちゃったんですね。北山杉とジャカランダの木はもう少し独立して立ってたんですが、ジャカランダの幹が倒れ掛かっちゃって……
直しようがないので、どうしようと思っていたのですが、これがまたうまい具合に巣の安定感を増す結果となっていて。丁度ジャカランダの木の股のところに巣があって、それが北山杉でさらに支えになったという。
で、巣を確認したら、なんか白いものが見える!
キジバトたまご
え~! キジバトさんのたまごですかぁ

で、またまた調べたのです。
キジバトは数日開けて2つ卵を産むんですって。で、2つ目の卵を産んでから本格的に卵を温めはじめるそうで。
ということは、まずひとつ産んだ後ってことなのかしら。
キジバトのつがいはとっても仲良しで、鶴といっしょで、基本的に生涯パートナーは変えないそうですね。オシドリ(浮気者)とは違いますね~
今日は1羽しか見なかったのですが、どこかにもう1羽、いたのかしら。
それから、このあまり密ではない巣も、キジバトの巣の特徴なんですって。
未完成か完成かは不明だけれど、まだ枝を拾っていたから、もう少しちゃんとするのかな。
それに、ドバト程じゃないけれど、やはり帰巣本能が強いので、毎年同じところに帰ってきて卵を産むのだとか。
ついでに、鳥獣保護法に守られているので、卵のある巣を勝手に取り除いちゃいけないんですって。

ちょっと心配なのは、私ったら、喜んで卵の写真などを撮ったりしてて。
もしかしてキジバトさん、危険を感じて2つめを産むのを止めたりしないかしら。
……これからはそっと見守ろうと思いました。
しかし! 家の壁の真脇なんですよ^^; 見まいと思っても、見ちゃうなぁ。

実は偶然の連鎖はこれだけではなかったのですよ。
その1:夕さんの50000Hit記念の作品【D川の殺人事件】を書こうかどうか迷っていたら、その日が、まさに事件の起こった10月16日だった!……CSさんの呪い、じゃなくて「書け」という声だと思って、書きました(撃沈しました)。
その2:私がつい先日アップした石紀行:生石神社。その直後、10月15日のテレビ番組(歴史秘話ヒストリア)で、飛鳥の巨石の特集をやっていて、その中で斉明天皇が石の古墳を作ろうとして高砂から石を運ばせようとしたが、重すぎて運べなかった……というので紹介されていました!
そして、留めがこのキジバト。limeさんの記事を拝読した翌朝の出来事でした。というわけで、トラックバックしちゃいました(*^_^*)

私の興味津々状態をキジバトさんがどう思っているのか心配ですが、またレポートしたいと思います!

追記
10月17日早朝。ちゃんと巣であっためているっぽいキジバトさんを激写。良かったぁ。
あたりを見ても、今のところお一人様しか見かけないけれど。
あ、今朝はもうばっちり望遠でず~~むいん!しました。(たった3mほどの距離だけど^^;)
背後の北山杉の傷が痛々しい……(ジャカランダにやられた)
キジバト1017
数週間もしたら、limeさんの記事にあるようなもふもふが見れるのかしら(#^.^#)

Category: 生き物

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【掌編】D川の殺人事件~夕さんと乱歩に挑戦?~ 

八少女夕さんのブログ、scribo ergo sumでは50000Hitという大きな記念樹をうちたてられました!
長編から短編まで揃えた個性的な小説、そして多岐にわたる雑記、夕さんの世界の広さを感じる素晴らしいブログの大きな記念の数字に、まずは心からお祝い申し上げたいと思います!

さて、そのキリ番リクエスト?と思ったら、夕さんからの挑戦状?が届きましたね。
(詳しくはこちら→scribo ergo sum 【50000Hitのリクエスト】
何か普通に掌編を? とも思いましたが、やはり何か一つ捻りたい。
というわけで、折しも「その季節」がやってきて、気が付いてみたら日までどんぴしゃ。もう書くしかないな、と思い、無理矢理書き上げました。
書き上げてみたら、とてもお返事をいただくには申し訳ない出来だったので、とりあえずアップはしますが、夕さん、こちらはもう無視してください!
またもう少し洗練された作品をいずれ書きたいと思います……m(__)m

さて、タイトルにお約束の地名がないじゃないか、と思われますよね。
はい。ないんです。でもあるんです。
あ、もちろん、江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』をもじりました。内容は全く関係ありませんが……あれはまだ明智小五郎が素人探偵だった設定、しかも「私」に犯人と疑われてましたっけ? 
ともかくも、さらりと流していただければ幸いです^^;
いやこれ、だめですよね。駄作だなぁ。一応ミステリー……?


【D川の殺人事件】

私は真っ暗な水底で、あの日の出来事を思い出していた。
一体何故あんなことになったのか、私は何故殺されたのか、今でもよく思い出せない。
私は殺されて沈められた。暗く不穏な水底で身体はばらばらになり、虚しい骸となった私の記憶は時の移ろいと共に徐々に薄れて行った。
……一体私が何をしたというのだろう。

あの当時、殺人の時効は15年。
だが、時間の感覚は既になかった。その15年がもう過ぎてしまっていたのかどうかさえ分からなくなっていた。
黒い水底の泥の中には、何か得体の知れないものが蠢いていた。
それが何であるかなんて、説明できない。コントロールできない衝動、不可解な熱、最も原始的な脳の部分に刻まれた不気味な遺伝子情報だ。

あの日。
街は夕刻から微熱を帯びていた。何十年に一度という祭りの日だったのだ。
夜はもう寒いほどの気候だったが、私はいつものように店の前に出て、賑やかで楽しげな客を出迎えていた。
時間と共に街を歩く人の数は増えていった。男も女も、老人も若者も、子どももいた。微熱は明らかな熱気に変わり、見慣れたネオンの明かりさえもかき消す人の波となってゆく。
……祭りの時間が始まっていた。

あの時、私はまだ自分の運命を知らなかった。
リオのカーニヴァルにも勝るほどの異常な興奮に包まれ、私の冷えた身体まで熱く火照っていた。
だが身体の内側では奇妙で不穏な何か得体の知れないものが膨れ上がってゆき……
そして、あの時間がやって来たのだ。

運命の時間。午後十時前。
……一体私の身に何が起こったのだろう。
私は突然の出来事に相手を確かめる余裕もなかった。気がついた時には、足は地面から離れ、もみくちゃにされながら運ばれ、やがて冷たく暗い水の底へと沈められ、水死体となった。

おそらく犯人たちは以前から私を狙っていたのだろう。私は彼らの視線にもっと敏感であるべきだった。だが、仕事柄、あの街で1日に何千人、時には何万人という人を見る中で、悪意のある顔だけを見分けることは難しい。
いや、あれは悪意ではなかったのかもしれない。
そう、祭りの衝動だ。
何故なら、凶行は隠れた場所ではなく、公衆の面前で行われたが、目撃者たちはそれが殺人事件だとは思っていなかったのだろうから。

警察はちゃんと捜査をしてくれていたのだろうか。
いや、彼らは私の亡骸を見つけることさえできなかった。死体がなければ殺人罪は適応されないだろう。
あぁそうだ。毎日あの場所をジョギングしていたあの若者なら、犯罪を目撃していたかもしれない。もしかすると、犯人の顔を見ていたかもしれない。

だがどうやって彼を捜せばいい? 彼の存在を警察に教えたらいい? この暗い場所でどれほど叫んでも、私の声が彼らに届くことはないだろう。
では、私はこのまま虚しく朽ちていくのか。
それではあまりにも悔しく悲しい。
せめて身体の一部でも、あの水面に届きさえすれば……

…………

 続きがあります)
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Category: その他の掌編

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【石紀行】15.兵庫高砂・生石神社~石が浮いている!~ 

浮石浮いて見える
どうでしょうか? この巨大な石、浮いて見えませんか?
こちらは高砂の生石神社、「おうしこ」と読みます。この「鎮の石室」、通称「浮石」は日本三奇のひとつです。

順番では岡山の楯築遺跡、さらに山形・宮城の素晴らしい石たちをご紹介する予定でしたが、単発で兵庫県の石をひとつ、ご紹介させていただこうと思います。
高砂、と言っても兵庫県の人にしかピンとこないと思いますが、神戸と姫路の間、姫路寄り、といったところでしょうか。
仕事で定期的に姫路に行くのですが、バイパスから見える山の景色は、最近の災害から考えると不穏な姿に見えてしまいます。
周囲の岩山
これがバイパスから見える岩山です。近づいてみたらかなりがっしりした岩なのですが、崩れるときはあっさり崩れそうに見えます。逆に割れやすいからこそ、加工されて使われているのでしょうし、じつはこの不思議な浮石も生み出されたのだと思うのです。

さて、神社を訪ねてみましょう。
生石神社鳥居
駐車場からは石の鳥居が迎えてくれます。
この脇の車道をもう少し行くと、別の登り口もあります。
生石神社山門2
少し急な階段ですが、この石と木で作られた山門?のような造りが素晴らしいですね。
最後の部分では背の高い人は下を潜るとき、屈まなければならないかも。
生石神社山門潜る
こちらの門の先にさらに門があって、奥に拝殿があります。
拝殿へ
この門をくぐると……
生石神社拝殿
不思議な造りですね。まるで第三の門のように拝殿の下を潜ることができて、御神体を直接拝することなるわけです。
この辺りから、カメラが役に立たないことを感じます。御神体は大きく、周囲は岩の壁に囲まれいているので、御神体から離れることができないため、全体像は人間の目にはともかく、写真には納められません。
アクセスは簡単なので、ぜひ、神戸や姫路にお越しの際には立ち寄って確かめてください。
とは言え、この記事の目的は、直接目にすることのできない皆様に、できる限り感動をお裾分けすることですから、何とか頑張ってみました。
まずは拝所で手を合わせましょう。
浮石拝所
しかし、手を合わせる前から、もう気になって仕方がなくなるんですね。
噂通りです。浮いて見えます。ついつい声が出ちゃいます。おぉ~、すごい。
生石神社浮石2
有難いことに、この浮石の周りの池には石の橋というのか、道が作ってあるので、ぐるりと一周することができます。
周囲を歩ける2
略記に書かれた文言は以下の通り。
『鎮の石室は三方岩壁に囲まれた巨岩の殿営で池中に浮く東西に横たわりたる姿である。その容積は三間半(約七メートル)四方で棟丈は二丈六尺(約六メートル)である。この工事に依って生じた屑石の量たるや又莫大であるが、この屑石を人や動物に踏ませじと一里北に在る霊峰高御位山の山頂に整然と捨て置かれて居る。池中の水は霊水にして如伺なる旱魃に於いても渇することなく海水の満干を表はし又万病に卓効有るものと云われて居る。』
浮石全体?
何とか全体が画面に入るようにと思いますが、見上げてもやはり無理でした。
浮石後ろ
石の背面にはこんな突起があるのですが、いったいこれは何のためなんでしょう? 謎です。
生石神社浮石裏側
そして、御神体となる石は、略記にある通り「三方は岩壁に囲まれて」います。その岩壁をみあげるだに、ただ圧倒されます。
浮石後ろの岩
再び、石の通路を辿って前の方へ戻っていきます。
周囲を歩ける
もう一度、なんとか全体が写真に納まらないかと努力してみましたが……
浮石全体3
難しいですね。でも、この迫力、何とか伝わっていたら嬉しいです。
……と、大きさよりも何よりも、浮い見えることですよね。別の側面で見ても、やはり浮いて見えますが……
浮石浮いて見える別側面
いえ、結果は分かっているのですけれど、そして手品のタネなど知らない方がいいのですけれど、やっぱり下を覗いてみましょうか。
生石神社浮いている
ちなみに、この池の水は神の水です。鯉が泳いでいるそうで、お金など入れないようにしてくださいね。
もうひとつおまけ。
生石神社浮石
いつごろからこうしてここにあるのか、既に風土記には記述があるとして、6~7世紀ごろにはあったのではないかとも言われていますが、記述には矛盾があり、風土記が広く知られるようになった江戸時代まで、この石室についての文献はないそうで。もっとも、江戸時代にしてもすごいですし、この岩山を見てここに神在りしことを感じた人々がいたことは納得できますね。

さて、この神社のいいところはここで終わらないことです。
拝殿から向かって左手に進むと、この鎮の石室を上から見ることができます。というよりも、この神社あるいは御神体の在り方を体感することができます。
では、登山口と書かれた階段を登りましょう。
生石神社登る
ご覧いただいた通り、なんと山自体が岩なのですね。
そして階段はその岩を掘って作ってあります。この右手に鎮の石室があります。
覗いてみましょうか。上から見ても、浮いているように見えますね。
浮石上から
石の上を見ると、細かい石や土のようなものが置いてあるように見えます。
そう、先ほどの略記にあったように、おそらくこの石の形を掘り出したときに出た屑ですね。屑とはいえ、神様のお身体の一部と考えたのでしょう。人に踏ませまいとしてこうして石の上にあげてあるようです。
真後ろまで来ました。
拝殿後ろから
ここから見ると、この石の形が本当によく分かります。まさにエチオピアのあの教会と同じですね。岩山を掘り下げて作られているのです。そしてこの周囲の岩と併せて、ひとつの姿です。掘り出された石はその一部に過ぎないように思えます。
さらに登って行きます。
生石神社登山口
振り返ったら、神社に石があるというよりも、山自体が神社という感じが一層伝わるでしょうか。
生石神社後ろから
岩山の天辺は比較的平坦な地面になっていて、空や周囲の山、高砂の町がよく見えます。
生石神社登山
東屋もあります。
山の上休憩所
採石場も見えています。事故がありませんように。
裏山採石場
山を下りて拝殿の脇を見ると、岩が置いてあります。
「霊岩」と書かれていますが、鎮の石室が掘り出された時の分石、という感じのようです。この石を目一杯押して、具合の悪いところをその手でさすると良くなるとのことです。
生石神社霊岩

最後に、この神社の縁起を載せておきます。
『神代の昔大穴牟遅(おおあなむち)少毘古那(すくなひこな)の二神が天津神の命を受け国土経営のため出雲の国より此の地に座し給ひし時 二神相謀り国土を鎮めるに相應しい石の宮殿を造営せんとして一夜の内に工事を進めらるるも、工事半ばなる時阿賀の神一行の反乱を受け、そのため二神は山を下り数多神々を集め(当時の神詰現在の米田町神爪)この賊神を鎮圧して平常に還ったのであるが、夜明けとなり此の宮殿を正面に起こすことが出来なかったのである、時に二神宣はく、たとえ此の社が未完成なりとも二神の霊はこの石に寵もり永劫に国土を鎮めんと言明せられたのである以来此の宮殿を石乃寶殿、鎮の石室と構して居る所以である。』

おまけに、エチオピアのラリベラの岩窟教会、ベテ・ギョルギスはこちら。写真はユネスコ世界遺産HPからお借りしました。
エチオピア岩窟教会岩窟教会
似ていると思いませんか?
でも、日本のものはより自然のまま、という感じで、御神体の上に載せた小石や砕けた土の上に生えた木々もそのままです。ここに宿る木もまた神の一部なのですね。
日本の神社や巨石は自然の景色に溶け込むように作られ、キリスト教などは自然を取り込む、もしくは支配しようとしているようにも見えます。
アニミズムと一神教の違いなのかしら。

Category: 石の紀行文(写真つき)

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【迷探偵マコトの特別ファイル】『展覧会の絵』事件~limeさん、イラストありがとう!~ 

小説ブログ「DOOR」のlimeさんがマコトのイラストを描いてくださいました!
お礼の代わりに物語風ご紹介を書かせていただきました。
limeさんには本当にお世話になっております。遠まわしにこそこそお願いしちゃったりして。そんな私の遠まわしリクエストを汲んでくださって、こうしてlimeさんのおかげでマコトもすっかり人気ねこに??(気のせい……)
ではどうぞ、お楽しみくださいませ(*^_^*)

イラストありがとう!【マコトの展覧会の絵】
limeさん-マコト1
<登場人(猫)物>
マコト:ちょっとだけ有名になった?茶トラ猫。
タケル:マコトの飼い主。ギャラリーのオーナー。
来夢:高校生イラスト作家。

マコトひょうになる
金髪の人間など、今時珍しくはない。
だが、染めているわけでもなく、そもそも日本人ではないし、何よりも相当の美形となると、かなり珍しい。
おかげで、彼が校内に入ってから、何となく周囲は騒がしくなっていた。
高い窓から落ちる陽は、淡い色合いのシンプルな文様のステンドガラスに染められて、石造りの廊下に秋の気配を描いていた。

その景色に溶け込むように、金髪の外国人は1枚1枚の絵を楽しみながら歩いていた。
彼の足元を、シマシマ茶とら模様の仔猫が歩いている。しっぽを立てて、置いて行かれないように一生懸命について行く。
仔猫は仔猫なりに周りに興味を惹かれるものがあるのだろうが、ちょっと足を止めては、遅れてしまわないように慌てて小走りになったりしている。

ここは某私立学校の講堂脇廊下。文化祭のイベントのひとつで、在校生ながらイラスト作家として知られている長谷川来夢の絵画展が開催されていた。
今回のテーマは「ねこ」。写実的な猫や擬人化された猫、いろいろな種類の猫が自由な発想で描かれている。
今日は前夜祭で、特別に招待されたのは、絵のモデルとなった猫たちとその飼い主だけだった。

「こんにちは」
イラスト作家・来夢は金髪外人と小さな猫に声を掛けた。
「やぁ、すみません。少し早く着いてしまって」
「嬉しいです。来てくださって。マコトくんもいらっしゃい」
仔猫の方は手を伸ばされて、慌てて飼い主である金髪外人・タケルの後ろに隠れた。

「お気に召すと嬉しいのですけれど」
「いや、こうして擬人化していただくと、なるほど、こいつはこんなことを考えているかもしれないと想像しながら、本当に楽しく見せていただいています」
「私こそ、1日マコトくんに密着させていただいて、色んなシーンを見て、あれこれ想像して楽しませていただきました」
「これなんか、本当にそんな感じのことがありますよ」
タケルはにんじんを嫌がっているマコトのイラストを指した。
マコトねこまんま
それから何かを決めたように来夢を見つめた。
「今日ここに来て、あなたの作品を見ることができて良かった。今度私のギャラリーで、ぜひあなたのイラスト展をやらせてください」
来夢はちょっと驚いたような顔をしていたが、やがてはにかんだ笑みを浮かべた。
「ミサキリクさんと同じ場所でイラスト展なんて、夢のようです。でも、まさか叔母が何か言ったわけじゃありませんよね」

タケルは来夢の勘違いをほほえましく思ったようだった。
「長谷川さんの? 確かに彼女は迫力ある女性で信頼のおける優秀な仕事仲間だが……私は他人の目に頼ることはしないし、何よりも彼女は自分の可愛い姪のためとはいえ彼女のポリシーに反することはしないと思いますよ」
「そうでした。失礼なことを言ってごめんなさい。でも私の絵が大和さんの目に留まるなんて思わなくて」
「何を言うんです。自信を持ってください。な、マコト」

仔猫のマコトは自分よりもずっと高い所に絵が掛かっているので、見えないなぁと思っているのか、タケルのほうに向けてちょっと背伸びをしているように見えた。それがまるで『だっこ』のイラストに描かれた姿のままに見えて、タケルも来夢も顔を見合わせて笑った。

仔猫は気まずそうな顔をした。人間が自分のことをどのように話しているのか、わかっているように見えた。
拗ねたのか、ぷいと他所を見て、とことこと2人から離れていく。
ぼく、別に抱っこなんてしてほしくないもん、と言いたげだった。

「そうだ、どれか1枚貰ってください」
「とんでもない。買い取らせていただきますよ」
少しの間、差し上げる、いや、買う、との問答が続いたが、結局、1枚の絵を飼い主に寄贈するということに落ち着いた。
タケルはどの絵にするか、かなり迷っていた。来夢がいっそ全部、と言いかけた時、タケルのほうから言った。
「この迷うのが楽しいんですよね。おい、マコト、おいで。どれにする? やっぱり、この『だっこ』かなぁ。これ、いいなぁ」

来夢がマコトを見た時、マコトの顔の横にははっきりと吹き出しが見えた。
 ぼく、赤ちゃんじゃないし、『だっこ』なんて言わないもん!
マコトだっこ

蛇足ですが……
ミサキリク:limeさんの小説「RIKU」シリーズの主人公。美貌の新進気鋭の画家。
長谷川女史:同じく、「RIKU」シリーズに登場の、美術雑誌『グリッド』の凄腕編集長。
来夢ちゃんは長谷川女史の姪御さんという勝手な設定をつくっちゃいました(*^_^*)
そして、さらに勝手に、リクがタケルのギャラリーで展覧会をやったことにしちゃいました。
いや、絵になるかも。美貌の新進気鋭の画家と、美形のギャラリーのオーナー。
それだけで『グリッド』の売り上げが…・・・・(うにゃうにゃ)

タケル、マコトに「だっこ」って甘えて欲しそうですね。マコトはぷい、って感じですけれど。
甘えん坊だけれど、素直になれないマコトなのでした。
その辺りは真といっしょですね。いえ、真は……甘えん坊ではありませんが。
そして、ニンジンの絵のマコトの耳だけが、他の絵と違ってちょっと伏せ気味だから、鬼さんのツノに見えるんですよね。
これって、わざと? とても感じが出ていていいなぁと。

limeさん、ご紹介とお礼が遅くなって、本当にすみません!
いつも本当にありがとうございます!!!!!!!

*イラストの著作権は来夢さん、ではなくlimeさんにあります。無断転用はお断りいたします。

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【雑記・あれこれ】三味線の楽譜の話 

scribo ergo sumの八少女夕さんが、自習にて練習中のギターの話を記事にされていた(『ギターの話』)ので、トラックバックしてみました。

「楽譜が読めない」……私も多分、一般人としては楽譜が読めるけれど、音楽人としては楽譜が読めないです。つまり、たとえばピアノなら、楽譜を見ながら指をその音の鍵盤の上に正しく置くことはできるわけですが、楽譜を見ただけですでに頭の中で曲が鳴っているようなことはありません。
指揮を勉強しているある人が、楽譜を見たらオーケストラが鳴っていなければならない、と言っていたけれど、それはその曲を何度も聴いていて知っているだけじゃないのって思っていた不届きものです。
はい、本当に初見で楽譜を見る=音楽が頭の中に聞こえる、ってことなんですよね。えぇ、分かっています。

でも、楽譜を見て、何はともあれ一音一音鍵盤の上に指を置くことができて、それがフレーズとして繋がって、やがて繰り返しているうちに暗譜をして、楽譜を見なくても曲を奏でることができるようになる、ってことは、努力さえすれば大多数の人ができることなんじゃないかと思うのです。
する気があるかどうか、という部分では大きなバイアスがかかりますが。
これだけでは音楽家にはなれませんけど、音を楽しむことはできるようになる、かな。
多分、この曲が弾きたい、こんなふうに弾きたいというイメージさえあれば、結構頑張れるのかも、と思ったりします。

さて。
楽譜を読む話が出たので、便乗して三味線の楽譜について。
そもそも三味線は唄の伴奏をする楽器ですから、唄に合わせて弾くわけですね。
まずは、唄の方の楽譜から。
民謡の楽譜ってすごいんですよ。……何も書いてない。
黒田節楽譜
便宜上、五線紙に書いてあるだけで、その音の高さを歌うというわけではありません。この5本の線を消してもいいくらいです。お経と一緒で、上がるとか下がるとか、前の音より低いとか延ばすとか、こぶし回すとか、そのくらいしかわかりません。あとは先生次第ですね。教える人が変われば、唄い方は変わります。
右上にこっそり、男3~4本、とか書いてあるのが、伴奏する三味線などの調弦の高さ(3本の糸をどの高さに合わせるか)で、これも唄い手によってはもっと低かったり高かったりします。
要するに、絶対音感は何の役にも立ちません(いや、何かの役には立つかもしれませんが、少なくとも要りません)。

こんな民謡の伴奏の楽器ですから、三味線も自由です。要するに「唄い手の声に合っていたらいい」わけです。
御存じのように三味線は、古くは目の見えない人が生活の生業として覚えたものですから、楽譜などなかったのですね。耳で聞いて覚えて、自分なりにその音を出す。
唄う人に合わせて呼吸を数えながら、唄い手が「あ~~~」とかやたら延ばしたら、それに合わせて三味線もアドリブで「あ~~~」の部分を長く弾かないといけない。と思ったら、唄い手は急にぶちっと延ばすのを辞めたりするし。

前弾き、つまり唄の前奏の部分が長くなって、ついに三味線が独立し、曲として発展したのが曲弾きです。
吉田兄弟さんとかが三味線だけでやっているのは、さらに時代が進んで発展させた現代的な曲弾きです。
全ての(多くの)三味線弾きが自分の曲弾きを持っています。同じ曲は一つとしてありません。
ギターも同じだと思いますが、三味線には色んな技があって、技を組み合わせて曲を作っていくのです。
もちろん「節」なので、調子とリズム、そしておよその流れには決まりがありますけれど。
だから、結果として無数の「じょんから節」があるのです。

でもそれでは教える時にあまりにも不自由なので、楽譜に起こしたのがこれ。
三味線スコア
要するに、3本の線が3本の糸を表しています。上から三の糸(一番細い)、二の糸(二番目)、一の糸(一番太い)です。線の上に書いてある数字はツボ(左手の指で糸を押さえる所、いわゆる勘所……そう、勘所、なんですよ。「勘」^^;)の位置を表しています。
三味線ツボ
「ハ」ははじく=左手の指で糸をはじく、「ス」はすくう=右手に持った撥で叩いた後糸をすくう。他にもスリ(糸の上で指を滑らす)などの印があります。
そしてここには表れないのが、三味線の微妙な「間」。
例えばじょんからは叩く時、後の方で2回、前で2回(すくいが入ることが多い)、4拍子みたいなリズムです。
この後ろから前に撥を動かすときに、独特の間ができます。
この間が……難しい。この間が……命です。間がないと、のぺっとした曲になります。「津軽民謡」にはなりません。津軽っぽい「間」……それは方言を話すようなリズムらしいのですが……

コメントでの夕さんとの会話にお応えするべく……三味線の楽譜の紹介でした。
ほんとに、どんな楽器にも独特の歴史や世界観があり、奥深いですよね。

ところで、この記事は夕さんの記事へのトラックバックなので、ついでに、先日ちょっと有名になっていたらしいハプニングの映像を。
これを見て、蝶子を思いだしちゃいました。いえ、単にフルートと蝶、というだけのことなのですけど。

ついでに、すごい三味線奏者さんのじょんから節(旧節)。木下さんは茨城の人で、お前の三味線は茨城くさいと(青森県人に)言われたと本に書いておられた。

掛け合いもどうぞ。
 

Category: あれこれ

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【雑記・小説】バトン・あなたにとって小説とは 

あぁ~~~、世界体操(団体)、残念でしたね~~~悔しいなぁ。
色々言いたいことあるよね、うん。でも言わないでいいよ。
ほんとうに、あのアウェイ感の中でみんな頑張りました!
内村くん、うちのマコトはどうやら君のファンみたいだから、これからも頑張って! まだ個人の前人未到の連覇継続が残っているのだし。でも、団体の金が欲しかったんだよね……やっぱり悔しい。
悔しいけれど、中国の最後の鉄棒の選手、意地・根性・執念でしたね。
うみねこ
というわけで(?)、人相が悪いウミネコさんです。
ちなみに私、ウミネコとカモメの違いがよく分かっていません。専門的なことはググってくださいませ。
でも、ウミネコはにゃあにゃあ鳴く、というのと、同じカモメ科で「大きいカモメ」というあたりでいいのではないか、と。
そう、こちらは旅行記の予告でした。忘れないうちに書きたいのですが、日常業務のプラスアルファにまだ仕事の書きものが残っていて、なかなか進まない日々、さらに今週末は三味線の神戸大会なのです。
大会が終わったら書きたいなぁと思っています。石紀行も、小説も。

では、TOM-Fさんから受け取ったバトンをいってみたいと思います(*^_^*)

1. 物書き歴を教えてください。
一見長いけれど、中身はスカスカ。
初めて小説らしいものを書いたのは小学校の中学年くらい。中高~大学生が一番あれこれ書いたように思います。
以後は現実の仕事に追われて、時間のある時に書く感じです。
これからも集中して書くような時期は一生来そうにないなぁ……余命宣告されたら「書くだけ」の生活をしてみたい(すぐ飽きるかしら)。

2. あなたが小説を書く「手順」をくわしく説明してください(ストーリー構成・世界観・登場人物・書き出し・伏線・エピソード・台詞・エンディング・推敲・テンポ・タイトルの決め方等)。
当たり前ですが、短編・長編では作り方が違います。

掌・短編は何よりも一番に世界観があって、登場人物は風景の中に存在しているだけ、という感じです。例えば【センス】【さくら舞う】なんかは世界観だけで書いています。

長めの短編~中編くらいになると、ストーリーが一気に浮かんでいることが多いです。ファーストシーンからラストシーンまで、紙芝居みたいな感じです。それでも登場人物はやはりストーリーを支える駒的な印象。人物像を必要以上に掘り下げることはしません。これをやると、私の場合、即刻「長編=大河ドラマ」になってしまいます。

長編は説明しがたいですが、始めにあるのは「キラキラシーン」。つまり「このシーン(エピソード)を書くために私はこれを書く」というシーンです。必ずしもラストシーンとは限らないのですが、ラストの方に来ることが多いです。
もちもちのき
(写真は私が目指しているキラキラシーン:『モチモチの木』のラストシーン)
「キラキラシーン」は映像的に浮かんでいる場合もあるし(「清明の雪」のラストシーン)、ただ台詞の一言だったりもします(「海に落ちる雨」はラストの竹流のたったひとつの言葉を書くためだけに書きました。そういえば、大泉洋ちゃんに「愛してる~!」って叫ばせるためだけに物語を作った、ってある舞台作家さんが言ってましたが、そんな感じ)。このシーンに行きつくために何が必要かを考えながら書き始めます。
はい。それだけなんです。困るのは書き出しだけです。書き出したもの勝ちです。

章ごとのカードを作るという方法もいつかはちゃんとやりたい、と思っているのに、実際に書くこともなく、歳を取って来ております^^;
でも、ある程度大きな川の流れは決まっているので、大きく迷走することはありません。エピソードなどの肉づけは書きながら必然のように湧いてきますので、湧き出したらとりあえず書いていって、後からどんどんエピソードを拾っていきます。時々忘れそうになるけれど、大方頭の中では何度も反芻しているので、大きなエピソードを漏らすことはあまりないです。
思いついたアイディアやセリフは、思い出し帳みたいな落書き帳に書いておきます。スティックメモなどを貼ってあったりもしますが、後からちゃんと読んでいないことも……

こういう書き方なので、尾ひれはひれでどんどん膨らんでいって、大河ドラマになってしまうのですね。
必然的に推敲は何年もかけてやっています。時間を置いて読みます。読み手になって、楽しいかどうかを吟味。書き終えた時は力尽きているし、自分では満足しちゃって、何が拙いのか分からないので、何年もかかるのですね。推敲が一番時間がかかっている。
細かいエピソードを拾い忘れて、推敲の段階で慌ててこっそり拾っていることもあります。逆にあまりにも複雑になりすぎて、捨てたエピソードもたくさんあります。本来ならこれを下書きの段階でするべきなのでしょうが、私の場合、書いてから捨てることが多いです。
無駄なんだけれど、また次の話のきっかけになる可能性があるので、いいかぁ、と。
いつまでも手元に置いて可愛がっている、まるでレオナルドのモナ・リザ状態?(そんないいものじゃないです、はい)

ただ、これはブログを始める前なら通用したけれど、っていう書き方なんですよね。ブログで継続的に書くためにはlimeさん夕さんのような物語の作り方ができなきゃなぁと思っているところです。推敲を楽しんでたらいつまでたっても進みません。
きっと誰の参考にもなりませんね。こんな時間のかけ方をしていたら、次作なんていつになるのって話ですから。

3. 小説を書く際に心がけていることは何かありますか?
う~ん。やっぱりこれは、TOM-Fさんやサキさんと同様、自分が楽しむこと、ですね。
それから、自分の文章が少し読みにくい語順になる癖があるのを知っているので、一文を書いたら読み返して直すようにはしているのですが……たまにそのままになっていて、後からこそこそ直していることも。

4. あなたの小説のなかでの「風景描写:心情描写:台詞」の比率を教えてください。
え? えっと……ものによるので、一概には答えられません。でも、台詞が少なめになりやすいので、注意しています。

5. 影響を受けた作家さんは居ますか?
テーマとか世界観を教えてくれたのは、やはり竹宮恵子さんでしょうか。
ジルベスター←これを目指している『ジルベスターの星から』
あとは、えぇ、江戸川乱歩ですね(何だかちょっと恥ずかしいけれど、少年探偵団。ちょっと妖艶な世界も好き)。
目指しているのは池波先生の世界だけれど、影響を受けたというわけではなく、憧れているけれど届かない世界。

6. そもそもあなたが小説を書き始めたきっかけは何ですか?
え? えっと……真がいたから?
あるいは、子どもの時におじいちゃんの手作りの本を見たからかな?
おじいちゃん

7. あなたが小説を書くときの環境は?
書き始めは音楽がかかっていたりテレビがついていたり。そのうち集中し始めると何も気にならなくなる感じです。でも、あまりこだわりはない。
環境として憧れるのは、ハリー・ポッターみたいに、このカフェで書きましたっていうの。絵的にいいなぁと思うのは蔦の絡まる煉瓦造りの図書館で書いている姿。
……妄想です。

8. 小説を書くときの必需品等はありますか?
PCとコーヒー。

9. 作成ツールはケータイ派? PC派? それとも紙と鉛筆派?
PCです。

10. あなたの文章に、こだわりや特徴と言えるものはありますか?
こだわりは何もありません。特徴は……自分ではわかりません。
昔は「空白を作らない」なんて遊びをしていたこともありますが……
(ノートの空白がもったいなくて^^;)……^^;

11. ズバリ、あなたの小説は面白いと思いますか? その理由も教えてください。
う~む。

12. 「小説」において最重要事項は何だと思いますか? また、その理由も述べてください(文の精巧さ、面白さ、ストーリー構成、等々)。
一番は、読む人が面白いかどうか。
それから、どんなに不幸な話でも、読み終えた時に希望が残っていること。
細かい点では……文章やストーリーは勢いがある方がいいけれど、あまりにもかっ飛ばしていると疲れる。綺麗な日本語を使ってあることは理想。

13. あなたが「読みたくない」と思う小説はどんな小説ですか?
偉そうなことを言える立場ではないので控えさせていただきます。
でも……妙に奇をてらったものと、エッチでも残酷でもいいけれど、「ただ下品」なものは苦手。

14. あなたの小説で、読む際に読者に注意してほしい点や見てもらいたい点はありますか?
所々で(わかりにくく)かましている大阪人ギャグ? というのは冗談です。
たまにいいことを言っているところ? これも冗談です。

15. これからも小説は書き続ける予定ですか?
私の心の中に「彼」がいる限り。(ネコじゃありません^^;)
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(イラスト:limeさん。この真はお気に入り(^^) ありがとです)

16. あなたにとって小説を書くこととは?
最高の娯楽。幸い人生を掛けなくてもいいというのは有難いことだと思っています。
ノート

お粗末さまでした(*^_^*)
あぁ、じわじわと悔しくなってきた!(冒頭の話題に戻る)

Category: 小説・バトン

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【雑記・旅】旅に出ます 探さないでください。~2014宮城・山形ダイジェスト~ 

松島Tシャツ
出張後に夏休みをくっ付けて、今回は宮城~山形を巡ってきました。
もちろん、メインは石巡りですので、要所要所で石を挟んでの旅行ですが、ほとんどトレッキングをしていたような……
短い日程なので、強行軍(何しろ、東北は移動距離が長い!)
……それでもずいぶん頑張りました。
まだ今週末までお仕事が忙しくて、じっくり記事を書けそうにないので、今回は予告編だけなんですが、お楽しみください(*^_^*)
旅の詳細は後日にしっかり記事にしたいと思います。もちろん、石紀行がありますよ!

あ、上の写真は松島のお土産物屋さんで見かけたTシャツ。

さて、今回の1日目は仕事明けの休日のお昼から行動を開始。
仙台→松島→釣石神社→南三陸(ホテル観洋)
まずは松島の美しい海を……
松島海
松島って、写真にとっても、よく観光案内で見かけるような写真にはならないですね^^;
海の中に点々と島……約50分のクルージング、楽しみました。
松島釣り人
釣り人さんたち。手を振ってくださいました。
この日の目的は、地震・津波でも落ちなかった釣石神社の不思議な石。
釣石神社
どうなっているのか? それはまたじっくりお見せいたします。
かなり飛び出しているんですよ。
ちなみにここは海からはとても近い場所でした。

2日目はホテル観洋さんの『語り部ツアー』で震災・津波の跡地→山形県・山寺千手院奥の垂水遺跡→銀山温泉
震災の跡地……今は更地になっていて、ほとんどが原っぱ。でも、もとは町がちゃんとあった場所なんです。
いまはただ、所々盛土や道路の跡があって、震災の遺構が2つばかり残されているだけです。これも倒壊の危険があるので取り壊すかどうか、ということで問題にもなっているようです。
でも、これがなくなったら、津波の怖さを教えるものがなくなってしまうんですよね。
志津川病院あと
白い建物はホテル観洋さんが管理している遺構。実は中はかなりなことになっています。
そして、隣の盛土は、志津川病院の跡地。あの白い建物の屋上からは、入院患者さんが流されていくのが見えたのだと。
……このツアーのこともご紹介しますね。

そして今度はひたすら走って山形県へ。かの有名な山寺・立石寺を目指します。
といっても、目的は山寺ではありません。山寺のすぐ横の山寺千手院の裏の山。
そう、この山の中に、こんなものが。
垂水遺跡
垂水(たるみず)遺跡と言います。この山の中をさらに進んでいくと砦のような岩が並んでいたり、修験道の行場があります。古い、もともとの山寺だったのではないかと言われています。
山の中を歩くこと2時間、立石寺の霊園に出てきて道を引き返していくと、地元のおじいちゃんに出逢い……
どこさ行ってた? なんと、わしらでも2回ほどしか行ったことのない山の中だべ。草、ちゃんと刈ってあったべか? 歩けたべか? どっから来た? 兵庫県??? てなことを東北弁で……半分くらいしか聞き取れませんでした^^;
確かに、道はもちろん整備もされていない山の中、草をかき分けて行くところもあり、でした。
最近、親子の会話……「いつもこうだよね~」(道なき道を行きながら……)
石紀行でこちらの山の中もじっくりご案内いたしますね。

そして、この日の泊りはあの銀山温泉。
銀山温泉
大正ロマン漂うお宿に泊まりました(*^_^*)

3日目は羽黒山→湯殿山→蔵王近くの遠刈田温泉。
羽黒山、いや~、すごい階段登っちゃいました。金毘羅さんよりも1000段も多い、2200以上もある階段。
羽黒山五重塔
この国宝の五重塔までは良かったんですけれど、この先に……
羽黒山のぼる
こんな世界が。これで山頂の羽黒山本宮へ。
実は他に道があって、車でも行けるんです。でも、何だか頑張っちゃいました。
帰りは……もう降りるのがしんどくて、バスに乗っちゃいましたよ。
そして、湯殿山へ。
湯殿山
「語るなかれ 聞くなかれ」というわけで、語れませんが、すごい。
御神体だけでなく、山全体にものすごいパワーを感じます。
そこからは温泉にあるオーベルジュへ。こんどはかなり新しめのお洒落な宿に泊まりました。

4日目は丸森へ。福島県との県境くらいにある、すごくたくさんの石があるところです。しかもメインの石が素晴らしい!
「あの、立石(たていし)に行きたいんですけれど」
「え?」
地元のふるさと館で聞いたら驚かれちゃいました。
「下から見たら? 見えるから」
と勧められましたが、いや、そんな訳にはいかないのです。
だって。
立石遠景
見えますか? 確かに山の下からこんなに見えてるんだから、大きいのは分かるけれど、巨石ファンが下から見て満足するわけ、ないですよね。
でも、行ってみたら……確かに、草ぼうぼう。半分道が埋もれている。一応、最近上の方は木を刈ったそうで。
この立石。日本一大きな道祖神、ということになるんでしょうか。
丸森立石
大きさは写真では分かりにくいので、横に小さく人がうつっているのをご確認ください。
(マッチ棒代わりのうちの母^^;)
この石、四方からすべて表情を変えます。こちらもお楽しみに。
他ももう一か所、町の中のキャンプ場近くにある大きな石を見てきました。
笠島立石
こちらは隣の角田市にある笠島の立石。畑の中の小さな小高い繁みの中に突然に立っています。
他人様の畑の畔の奥にあるので、傍には近づけないかったのですけれど。
だるまさんに見える?

丸森はかかし街道で紹介されたこともあるようでして。
丸森かかし街道
丸森かかし街道2
この丸森町は石だらけ。まだまだ見切れなかった石が沢山あるので、また訪ねたいです。

さて、もちろん、グルメ情報も満載?
ホテル観洋あわび
上はホテル観洋さんのアワビ。生きてます。いまから焼くとこ。
yamabuki土瓶蒸し
上は遠刈田のオーベルジュ・山風木さんの松茸土瓶蒸し。
牛タン弁当
帰りの新幹線では牛タン弁当(あ、こちらは仙台牛も入ってた)。
ホテル観洋かもめ
ホテル観洋さんのウミネコ……あ、これは食べれない^^;
ちょっと窓を開けたら、いっぱい集まってきて、じ~っとこっちを見るのです。怖い^^;

ダイジェストだけでも盛り沢山ですが、またまた本記事もお楽しみに!!
さて、しばらくお仕事、がんばります!!

Category: 旅(あの日、あの街で)

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