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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【雑記・小説】書きたいことがある 

今年最後の記事を一応ちゃんと書こうと思いつつ、例のごとく最低限の掃除を済ませるのに時間がかかってしまいました。年々、何かをするのに時間がかかるようになっている気がするのは歳のせい? それとも単に取り掛かるのが遅いだけかしら。大体決めたことの半分くらいしかできていない……

今年最後の小説のアップが、まるでカミングアウトみたいになってしまって、今更ながらドキドキしていますが、部分じゃなくて全体の姿を読み取って頂けるように書けていたらいいなぁと思います。
ということで(?)、年末大掃除中に発見した新聞の切り抜きとか捨てる雑誌などから、元気になる「応援ワード」を贈りたいと思います。

【本当にリアルなものとは】 (2014/9月のA新聞の対談から)
『よくこの本で何を伝えたかったのかと聞かれますが、一言で言えれば、1冊の本を書いたりはしません。まずは、ただ物語を楽しんでいただいて、主人公たちの生き様から、何かが胸に響けば、それでいいと思っています。』(上橋菜穂子さんの言葉)

上橋菜穂子さんと養老孟司さんの対談(『鹿の王』発売記念対談)において、上橋さんが、養老さんが「文章を書く時は最初からあまり考えずに書き始めます」と言われたのを受けて、「私もプロットを作らずに書き始めます。まず心がうずくシーンが浮かぶのです」と言っておられるのを読んで、私のキラキラシーンと一緒だぁと……(レベルは別次元ですが)。
物語の中のリアル、追求したいですね。他者の身に起こったことを、幸福も不幸も生も死も、自分のこととして想像できるから、物語は素晴らしいのですね。
そう、一言で言えるのなら、書かないんですよ、こんな長い話……

【ムーミンが教えてくれること】
『北風の国のオーロラのことを考えてたのよ。あれがほんとにあるのか、あるように見えるだけなのか、あんた知ってる? ものごとってものは、みんな、とても曖昧なものよ。まさにそこのとが、わたしを安心させるんだけれどもね』

今年はあちこちで「ムーミンから学ぶこと」的なコラムなどを見かけることが多かったような気がします。これは『ムーミン谷の冬』からおしゃまさん(トゥーティッキ)の言葉。
白か黒かはっきり色分けできることなんて、この世界にはない。物語の主人公は「いつまでも幸せに暮らし」たりなんかできない。でも近頃は世の中がデジタル化されていて、0と1で世界を書こうとするから、窮屈ですね。物語の中では精一杯、あいまいに、ファジーにいきたいものです。
私の書いている物語、大いに「曖昧」だけれど、その中に世界を書いていきたい。

表題の「書きたいことがある」というのは、これも新聞の文芸時評で見つけた言葉。物語のメタ構造の技巧的な成否には疑念があっても、本当に書きたいことがあって書いているかどうかが深い読後感に繋がるという内容の記事でした。
そういう意味では、胸を張っていようかな。

来年もゆっくり、しっかり歩いて行こう。
今年はまた大変お世話になりました。来年もまたよろしくお願いいたします(*^_^*)
だるま?
*こちら、来年予定の石紀行の東北おまけ篇・笠島の立石です。だるまに見えます? 目を書き入れて、縁起の良い新年を願いましょう! 来年も、【石紀行】もよろしくお願いします!
だるま目入り
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Category: 小説・バトン

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2014年12月のつぶやきコーナー 

<Twitter代わりのつぶやきとお知らせのコーナー>
通常の記事は、もうひとつ下から始まります
【石紀行】18.山形千手院・垂水遺跡~この奇岩のパワー~(12/11)
【石紀行】19.山形・峯の浦本院跡~もうひとつの山寺を語る巨石たち(とおまけの銀山温泉)~(12/24)
【石紀行】20.宮城丸森町・立石~日本一の道祖神~(12/28)

2014/12/30
あぁ、今年もあと2日ですね。大掃除がなかなか進みません……紙類ってどうしてこんなに溜まるんだろう。
一大決心で【海に落ちる雨】の第25章、アップしました。年明けに新たな気持ちで、とも思ったけれど、やっぱり年内にアップして先へ続けて行く方がいいなぁと思って。
結果的に書き直さず、何年も前に書いたままです。逆に今の自分には書けない濃厚さで、読み返してみて熱を感じました。18禁ですのであしからず。でも内容はほとんど格闘シーンだな。

年内にどこまでアップするかは……大掃除次第^^; さ、がんばろ!
年明けのマコトのご挨拶は紅白の嵐くんたちを見ながら書く予定。まさかの妖怪体操は踊らせないようにしなくちゃにゃ。
そもそもコロボックルと大はしゃぎ、って内容なので、まさに妖怪体操??
でもちょっと踊ってるマコトは可愛いかも……ヨーでる、ヨーでる
にゃはは(^^♪

癒し画像に、マコトとトモダチみたいな2匹です。

古いつぶやきは、続きを読むにあります。
-- 続きを読む --

Category: つぶやき

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【海に落ちる雨】第25章に向けて 

【海に落ちる雨】第4節第25章に突入します。

ここから2話分、試しに一定期間「公開限定記事」にしてみます。
皆さま(っても、ごくごく少数の方ですが)の反応をお聞きしてから、ほとぼりが冷めたら(?)普通の公開記事に戻そうかな、と。
このお話を書いていた頃、ある映画の原作本を読んで、何だか怒りに駆られていたのですね。
そのアドレナリンが妙な方向へ行っていて、「こんなのは許せない」という気持ちになっておりました。
この私の気持ちは、最後までくすぶっているので、最後に「神」が断罪しますが(この物語の神的存在はあの男しかいませんが、これはその断罪行為を肯定するものでもありません)、その是非もよく分かりません。
断罪するためには「罪」がなくてはならないので、主人公たちにはちょっと申し訳ないことになってしまいました。でも、これはある意味、背後にあるもっと許せないことをあからさまに書かないための手段でもあったので、彼らは「打たれ強い」と信じて書いていたのです。主人公はどんなに痛めつけられても死なない理論に乗っかっています。
でも、結果的には、彼らのうち一方は私の予想以上に打たれ弱かった。
ただ、詳しく書くかどうかは別にしても、このことが主人公たちの間の深い溝になっていくので、彼らがなぜベタベタ甘々の関係になり得ないかのヒントが隠されています。
真は……根本的に野生児ですから、そっちの方向にもどこかで野生、なのです。一方の竹流は、究極的には潔癖であろうとしていますから、野生と共に堕ちて行く自分は許せないのです。
「見なければ、知らなければ、良かった」ってことかな。

実はここからの2話分、始めはもう少しあっさりした内容だったのですが、ある時何かに憑かれたみたいに書き込んで、怒涛の内容になってしましました。「ある時」というのは、ほとんどこの物語を書き終えてからなのです。
主人公が第5節で怒りに駆られて復讐鬼になりかかります。通して読んだら、その主人公の感情の昂ぶりの根拠が弱かったのです。なぜこいつはこんなに怒っているのか。その根拠を書いておかないと、繋がらないことに気が付きました。

この部分を読まなくても話は繋がりますので、2話分、飛ばしていただいても構いません。ある程度覚悟して(って、意外に大したことないかも……)読んでいただければと思います。
えっと、これ、私の中では「格闘シーン」の位置づけです。
自分の中では下品ではないギリギリの表現かな、と思っています……目的は、主人公とと一緒に「怒っていただくこと」です。

パスワードは主人公の誕生日、4桁の数字です。
主人公の誕生日はこの記事の最後の方、【登場人物紹介】をご参照ください。
え? それって公開限定の意味があるの? って思われますよね。
はい、この面倒な手順を踏んでくださるだけで結構です……所詮、そんな大したものではないのです、きっと。
あ、今更ですけれど、18禁です。18Rでもあります。ん? どう違うんだろ。

<これまでのあらすじ>
新宿にある調査事務所所長・相川真の同居人・大和竹流。
ローマにある教皇庁と深い関係があるヴォルテラ家の後継者であるが、その立場を捨てて今は東京でレストラン・バーとギャラリーを経営する美術品修復師。

大怪我をして入院していた大和竹流の失踪。
その失踪に重なるように蠢いていた人間たちの影が、今となっては静まり返っていた。
代議士・澤田顕一郎、溺死した元傭兵の田安、内閣調査室の『河本』、『河本』の命令で動いている警視庁の女刑事・添島麻子(竹流の恋人)、米国中央情報局に雇われている真の父親・アサクラタケシ。

真はようやく竹流の失踪時、最も身近にいたはずの男に行き当たった。
澤田顕一郎の元秘書・村野耕治の息子・草薙。

竹流が失踪前に関わっていたのは、新潟の豪農・蓮生家の蔵から見つかったというフェルメールの贋作だった。
蓮生家の怪しげな面々、贋作の鑑定に関わったという弥彦の村役人・江田島、フェルメールのことで政財界の大物たちを脅迫したうえで自殺したとされる雑誌記者・新津圭一、口がきけなくなったその娘、新津の愛人で真の恋人でもあったバーのママ・深雪。

それぞれがそれぞれの事情で事件に絡み、物事を複雑に見せている。
だが、事件の核心はただ一つだ。
「妙に大物が動く割には起こっていることが小さい」
絡み合う人間の欲望の泥沼の中から、真は彼を探し出せるのか。
そして、竹流が本当にしようとしていたことは何だったのか。
彼の本当の『敵』は誰だったのか。
[雨124]第25章佐渡に横たふ(1)悪魔の手

*【海に落ちる雨】登場人物紹介はこちら→【登場人物紹介】

Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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[雨124] 第25章 佐渡に横たふ(1)悪魔の手~18禁・R~ 

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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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【8888Hitリクエスト・短編】人喰い屋敷の少年・(5)役者は揃った 

limeさん
少し間が空いてしまいました。正月休みの間に集中連載、と思っていますが、何しろ普段できないことを片付けようと思ったら「普段できないこと」が多すぎて、まずは『MOZU』のseason2を見ることから始めちゃった^^;
さて、もう話を忘れられているかもしれませんが、もう細かいところはさておき、適当に、ついてきてください。←超無責任^^;
今回で、あれ、そう言えば、みんな怪しいじゃない、ってことに??
ちなみに第1~4話はこちら→(1)カグラの店(2)夫の死を願う女(3)人を喰らう屋敷(4)女の事情と猫を抱いた少年

登場人物
相川真>大学を中退し、唐沢調査事務所に勤めている私立探偵見習。子どもの頃の遊び相手はコロボックルという不思議青年。3年ほど前に崖から落ちて生死の境をさまよってから、ますます霊感に磨きがかかっているという噂もあり。
カグラ>真の上司・唐沢が出入りする三畳酒場の女主人。本人がホラーのような存在。
作家>カグラの店の常連。本当に小説家かどうかは不明。真を観察して小説のネタにしようとしているらしい。
教授>カグラの店の常連。何の教授か、本当に教授か不明。おっとりとした声で理屈を言うのでそう呼ばれている。
窓さん>カグラの店の常連。いつも酔っ払っているサラリーマン。
松岡綾>真の依頼人。夫・松岡圭吾の生死を知りたいという。
ルカ>「人を喰らう屋敷」で真が出会う、猫を抱いた少年。(なかなか会わないなぁ^^;)
唐沢>真の勤め先『唐沢調査事務所』の所長。戦時中は十代、その後アメリカにも長く住んでいた、傭兵あがりのおっちゃん。ギャンブルと酒と女が好き。ちゃらんぽらんだが、どこか憎めない。
田代>7年前、綾の夫・松岡圭吾の失踪事件を調査した班の元刑事。若くして警察に嫌気がさし、今は喫茶店をやっている。
真田>綾の夫・松岡の元同僚の刑事。松岡は、綾と真田の関係を疑っていた。



【人喰い屋敷の少年】(5)役者は揃った


 ……えから……抜け出したんだ?
 あの時。確かに誰か聞き覚えのある声がそう言った。

 絵から抜け出した?
 あの少年は誰かの知り合いだったか? あの時あの場所にいたのは「作家」だった。いや、彼は暗闇で見失ってしまった「教授」と「窓さん」を探しているように見えた。
 でもあの声は……

 理屈だけ考えれば、そもそも「作家」は何故あの場所を知っていたのだろう? 有名な『人喰い屋敷』だから? 彼はいつも小説のネタになることを考えている。だからそれに相応しい屋敷には興味があったのかもしれない。カグラの店には幽霊ネタ、怪奇ネタはつきものだ。そんな話を収集しては実地検分をしていたのかもしれない。
 そして、屋敷の中に誰かが隠れ住んでいた気配。
 さらに、一瞬だけ嗅いだ、香水か整髪剤のにおい。

 何かがちらちら見えているのに、全部が見えないもどかしさで、その日は一日中頭が重かった。その上、あの少年の絵が頭の隅にこびりついていて、離れない。
 白い猫を膝に抱いて椅子に座っている少年。しかも場所は幽霊屋敷だ。あの時見かけた少年が、実は絵から抜け出したと言われても不思議ではない。


 真は『人喰い屋敷』を出て、そこから最寄りの駅の近くにある不動産屋を訪ねた。
 三軒目が当たりだった。

 真の希望を聞いて、不動産屋の太った主人は眼鏡の奥から訝しげに真の顔を覗き込んだ。
「全く、世の中には物好きがいるもんだ。お客さんで二人目ですよ」
 真は驚いた顔をしてみせた。
「普通はヤクザと幽霊と自殺は避けるもんだけどね」
 言いながら、主人は台帳をめくる。

「ほら。これが門倉さんのお屋敷の裏の物件。あの屋敷の裏側と隣接している家は三軒ありましてね、うち二軒が貸家です。いや、随分と長いこと空いていましたけどね、つい数か月前に一軒は借り手がついた。お客さんと同じように、どうしても『人喰い屋敷』の隣に住みたいってね」
 主人の手は台帳を確認しながらめくり続けている。

「やっぱり僕のような物好きの学生でしたか」
 真は言葉の端々に北国の訛りを入れていた。北国から来た大学生という役どころだ。
「いや、あの雰囲気は役者か物書き、って感じでしたよ」
 多分大当たりだ。不動産屋の感性がそうそうずれているとは思わない。
「あぁ、これだ。残りの一軒がこちらです」

 物件を見に行きたいと言って、主人と一緒に歩いて『人喰い屋敷』の方へ戻った。道すがら、さりげなく世間話をする。
「どうして『人喰い屋敷』ってことになったんでしょうか」
「人を喰うってのは根も葉もない噂でしょうが、門倉さんちのご夫婦が相次いで亡くなられた後、息子さんが忽然と姿を消しましてね。小学校に上がる前だったかなぁ。いや、忽然と、というのは周囲から見た印象であって、実際にはどこかに引き取られたとか、ちゃんと事情があったと思いますがね」

「親戚かどなたかに?」
「さぁ。挨拶も何もなかったようですからね。何しろね」
 不動産屋の主人は声を潜めた。
「そもそも旦那さんは自殺したって噂でしたよ。あれ、そう言えばお嬢さんもいたかなぁ。いや、もう嫁いでたかな。誰も住まなくなった大きな屋敷ですからね、何となく気味が悪くなって、妙な噂話がくっついたんでしょうな。入り込んでる浮浪者がいるとか、いなくなったはずの少年が歩いてるとか、聞きますけどね」

 浮浪者が入り込んでいるのはともかく、いなくなったはずの少年が歩いているってのは同じレベルで語られることなのか、と思ったが、実際に少年を見た者としては、どちらも極めて現実的な話だった。
 そうだ。あの子は幽霊でも幻でもない。絵から抜け出したわけでもない。確かに存在していた。

 不動産屋が真を連れていったのは、潜り込んだときに通った狭い隙間の両隣にある家の、右側の更に隣だった。
 あの時、この隙間の両隣の家には明かりがついていたから、このどちらかが、最近「誰か」が借りた家なのだ。
 不動産屋が連れて入ってくれた貸し家の二階からは『人喰い屋敷』の敷地が見えていたが、少し斜めから覗く感じになるので、建物の屋根と、手入れがされていない木々が屋敷を覆っているように見えるだけだった。

 昼間なのに、今はひっそりと息をひそめている。
 少し考えます、と言って、現地で不動産屋と別れた。

 真は隙間の両隣の家を確認し、表札が出ていないほうの呼び鈴を押した。
 しばらく、何の気配もなかった。
 一歩下がり、二階の窓を見上げる。カーテンが引かれているが、少しだけ動いたような気がした。
 果たして出て来るか。

 たっぷり十分は家の玄関やら壁を介して、無言のやり取りがあったような気がする。もう一度呼び鈴を押してもいいが、真はただ我慢強く待っていた。
 だが結局その日は、玄関の扉は開かなかった。


「ふ~ん。人喰い屋敷ねぇ。そりゃほとんど音楽室のベートーヴェンの目が動くレベルの話だろ?」
 一旦夕方に事務所に戻ると、先輩探偵の三上司朗がパンをかじりながら報告書を書いていた。

 上から見下ろしてくるほどの長身で面長だが、相手に威圧感を与えることを気にしているのか、いつも少し身を屈めている。依頼人に対するときは勤めて柔らかい言葉で話しているので、ひとまずは取っ付きは悪くないが、時折目元に剣呑な影がある。
 後から他人から聞くことになったらお互い気まずいだろうから先に言っとくけど、俺には前科があるのだと、三上本人が話していたことがある。
 それでも真にとっては、三上は唐沢よりも数段まともな会話ができる相手で、三上も真を弟のように可愛がってくれていた。

 事務員のサクラがいないので、真は奥の流しで三上のために茶を淹れた。
「にしても所長の野郎、人使いが荒い上に、自分はまた競輪か」
 多分、と真は答えて、湯呑みを差し出しながら、三上の報告書を何気なく覗き込んだ。
 依頼人の欄には、かなえ養護施設とある。
「あぁ、これは俺らが施設にいた頃の仲間がまた同じような養護施設をやっているんだが、そこからの依頼なんだ。子どもを預ける親や親戚との揉め事やら、施設を卒業した子どもらがあちこちで起こす揉め事の仲裁やら、つまらない依頼ばかりだけどな」

 三上も唐沢も戦争で孤児になった。彼らは養護施設の先輩後輩の関係だ。彼らの憎まれ口はどこまでが本心か、真にはよく分からない。金にあざとい唐沢だが、つまらない依頼でも、養護施設からの依頼は絶対に断っていない。
「子どもがよく施設を抜け出すんだとさ。ま、子どもだって、いつも施設に閉じ込められて、大勢で揉み合って暮らしていたら、たまには一人で秘密基地に籠りたいこともあるだろうさ。犯罪に繋がらなきゃそれでいい。それでなくても、施設上がりの子どもへの世間の風は、あまり優しくはないからな」

 三上は安物のボールペンを置いた。彼自身の過去に重なるものがあったのかも知れない。
「で、その悪徳刑事の出入りしていた店を当たってみたのか」
「えぇ。でも、失踪に繋がりそうな際立った情報はありませんでした」
「何だ、その含みは?」
 三上は言葉の裏、人の表情を読むのが得意だった。

「つまり、怪しいと思えば何でも怪しい、そういうことか?」
「えぇ。単に仕事熱心だったとも取れるし、全てが行き過ぎだったようにも取れる。暴力団とも取引以上の関係にあったようですし、誰かが彼を殺して海に沈めていたとしても、驚きません。冤罪を生んでいた可能性もあるくらい、取り調べも辛辣だったようですし、金や暴力で色々なものを捻じ伏せていたという話でした。彼のことを良く言う人間はいなかった。生きているか死んでいるかを確かめるには、彼を殺したと誰かが名乗り出てくれない限り、無理そうです。つまり、生きていないことを証明できる確率は限りなく低い」

 三上は真の淹れた濃すぎる茶をすすった。それから、精悍な顔つきに似合わない犬のような目を細めて聞いた。
「じゃ、どうする? 金を返すか」
「もちろん、そのつもりですけど」
「まだ何か引っかかるのか?」
「何だか、騙されているような気がして」
「その美人の奥さんにか? さては、愛人と共謀して、実は彼女が夫を殺していた……で、あたかも自分は無関係だということを示したいがために、調査を依頼した、ってか」

 三上がにやにや笑って立ち上がり、机の向こう側から真の方へ回ってきた。
「どう思う? 役者は揃っているのか」
「多分。パズルがうまく嵌らないだけです」
 三上はまだにやにや笑っている。それから自分が作っていた報告書を真の目の前でひらひらさせた。

 その報告書に添えられた写真を見て、真は思わず三上の手から報告書を奪った。
「三上さん、これ……」
「さて、お前さんを騙しているのは誰だろうな」
 真はじっと写真を見つめた。横顔で分かりにくいが、確かに彼だ。
「行くか。キーパーソンはおそらくその女に間違いはないだろうが、まずは外堀を埋めるさ」


「おや、今日は保護者と一緒に飲みに来たのかい。相変わらずのねんねだね」
 古い木の床で椅子を引く音は、ガタガタと建物が揺れる音に紛れた。奥の小さな窓で、曖昧な黄色や赤が揺らめいているのも、いつもの光景だった。そこだけが、薄暗い店内で唯一色づいて見える。

 その一番奥の席から「作家」が軽くグラスを上げて、二人に挨拶をした。
「うちの弟をあんまり苛めないでくれよ」
 三上がカグラにそう言って、ウィスキーのロックと薄い水割りを注文した。
「ふん。飲めもしないのにちょろちょろされると目障りなんでね」

 今日は「作家」の他に、見知らぬサラリーマンらしき二人連れが座っていて、三上と真が座ると、六席のカウンター席は後一席を残すのみとなった。
「ところで最近、うちの所長は来てるかい?」
「あの詐欺師の顔なんぞ見たくもないね」
「ま、同じ穴のムジナって奴だからな。似た者同士はお互いをなかなか認められないものさ」
「けっ」

 カグラは煙草の灰をアルミの灰皿に落としながら三上を睨み付けた。
 派手で下手な化粧だと思うが、照明の下では舞台の登場人物のように際立って見える。
「で、また『人喰い屋敷』の話でもしに来たのかい?」
「どうやら『人喰い屋敷』には、老若男女問わず、人を惹きつけてやまない事情が色々とあるようだからな」

 それを聞いて「作家」が見知らぬサラリーマン二人に席を替わってもらい、三上の隣にやって来た。
「あなたも探偵さん?」
 丸眼鏡の奥から「作家」がいつものように相手を値踏みする視線を三上に送る。三上は軽く牽制するように、のらりくらりと躱す。
「えぇ、こいつの兄貴分です」

 あれ、と思った。「作家」と三上は初対面だったのか。
 この店には三上も何度も足を運んでいる。だが、確かに最近三上はここに来ていないし、思えば「常連」と認識していた連中も、よく考えてみたら、ここ最近よく見かける顔、ということだ。
 飲み屋は客の層が常に移り変わっている。変わらないのは唐沢くらいだ。

「それで、探偵さん、何か進展がありましたか。あなたの事件」
「えぇ。幾つか面白いことが。でも、まだ人を消す方法は分かりませんが」
「おや、そんな、最も簡単なところで躓いていましたか」
「簡単?」
「作家」はくつくつと笑った。
「探偵さん、自分を消したいと思ったことは?」

 一瞬、真はグラスを握った手に力を入れていた。氷の冷たさが硬質なガラスを通じて骨に沁みた。
「お前、本気で消え去ろうとした過去のある人間に聞くのは酷ってもんだよ。そうだろ」
 カグラがカウンターの向こうから真の方に身を乗り出した。肩にかかった黒いショールの上に、微かに暗い光が揺れている。
「おや、探偵さんにはそんな過去が?」

「おい、婆さん。あんまり余計なことを言うと、その鼻をへし折るぞ」
「おぉ、怖い。あんたは冗談じゃすまないから怖いよ」
 それでも、カグラは三上が前科者だとは言わない。知っていても最後の一線を越えないルールは守っている。
 真は黙ったまま薄い水割りを舐めた。カグラが作った水割りに更に三上が水を足してくれた、極薄だ。酒というよりも水に近い。

 脇腹の手術創とその時にぶつけた頭のどこかがぎりぎりと痛む。これを笑い飛ばせるようになれば、自分ももう少しこの世を上手く渡って行けるようになるに違いないが、あの事故と一緒に葬った何か大事なことがどうしても思い出せないまま、ぽっかりと空いた空洞を抱えて生きている。

「じゃあ、こう考えましょうよ。もし自殺以外の方法で自分の存在を消そうとしたら、どうするのが適切か」
「簡単さ。自分を知っている全ての人間との接触を断つ」
「さすが、アニキ探偵さん。その通りですよ。自分を何某と定めている全てのしがらみを捨てれば、自分は何某ではなくなる。誰も『あなたは何某ですね』と証明してくれなければ、それだけでいいんですからね。そして、ここでひとつ、疑問が生じる」

「作家」は言葉を切った。三上の大きな体を間に挟んでいても、「作家」の舌なめずりが聞こえたような気がした。
「なぜ、そうまでして自分を消さなければならなかったのか」
 三上がぐっとロックを飲み干した。
「大方、借金取りに追われてどうにもならなくなっていたんじゃないのか」
「おやおや、本当に、発想が貧困ですね。あなたはどうです。探偵さん」

 真は答えなかった。カグラがちらりと「作家」を睨み付けたような気がした。だが、「作家」は全く意に介さないようで、ゆったりとした芝居がかった声で言った。
「愛ですよ。愛ゆえに、人は間違いを犯す。自分の犯した犯罪を闇に葬るため、あるいはこれから犯すかもしれない犯罪から逃れるため、自分を消す人間だっているかもしれませんよ」
 真は思わず握りしめていたグラスから「作家」の方へ視線を移した。「作家」が幾分か身を屈めて真を覗き込んでいた。

 その時、丁度、最後の席を埋める客が扉を開けた。
 そして、その瞬間、真はあの『人喰い屋敷』の部屋で嗅いだ、香水のようなにおいを吸い込んでいた。

(6)白い猫を抱いた少年、に続く。



さて、見事に役者は揃いました。あとはだらっとお楽しみください。

Category: ★短編(1)人喰い屋敷の少年

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【石紀行】20.宮城丸森町・立石~日本一の道祖神~ 

立石2
さて、今年最後にご紹介する巨石になるでしょうか。おまけがもう1回分ありますが、こちらは年明けになりそうです。
今回の東北の旅では、凄すぎる陽のパワーを持つ4つの石に会ってきました。実は他にも幾つかの石を見ているのですけれど、あまりにもこの4つのパワーがすごくて、何が何だか分からなくなっておりました。
海外の美術館に行って、あまりにもすごい絵画を沢山見ていると、途中からお腹いっぱいになって、だんだん感覚がマヒしてくるのに似ているかもしれません。凄いものを見るときは、一気に見ない方がいいかもしれませんね……脳の受け入れる限界を超えている。
え? 4つ? 釣石神社の落ちない巨石と、垂水遺跡と、こちらの立石(たていし)。3つでは?
それがですね、もうひとつはご紹介できないのです。かの湯殿山神社のご神体です。「語るなかれ、聞くなかれ」と言いますので、語りません。でも、やっぱり一言。もしかして機会があれば、ぜひ、訪れてください。
ところで、私は石のパワーは信じていますが、パワーストーンを身につけてはいません。そういうものは持つ人、見る人の心次第でいいと思っているので……でも、今回見た巨石はどれも圧倒的なパワーを感じる陽石ばかりでした。陽石って、こちらがしっかりしていないと持って行かれそうな感じがします。そう考えると、陰石ってやっぱり必要なのですね。
そうそう、まだ宿題になっている、石紀行初めての18禁でまた語りたいと思います。

さて、前置きが長くなりました。
実は今回の宮城県丸森町にはずいぶんと沢山の石があるようです。
丸森町ってどこ? と言いますと福島県との県境あたりになるでしょうか。そしてこちらには「日本一の道祖神」と呼ばれる大きな石が、山の中腹(天辺?)に立っているのです。
写真でどこまでこの凄さを表すことができるか……
立石3
こちらの巨石、周りにある石も十分大きいのですが、これが大きすぎて他が普通に見えちゃいます。
高さ12.5メートル、周囲25メートル(27と書いてあるものも)の花崗岩。
まわり25m
石に赤い字で「まわり25m」と書いてありました。丸森町の文化財に登録されているそうです。例のごとく、周囲から弥生式土器なども出土しているそうですから、やはり古い時代から信仰の対象であったようです。
やっぱり、大きさは人と比べてみないといけませんね。
人物比較
横に立っている人、分かりますでしょうか。これでこの石のど迫力、感じていただけたことと思います。
では、やはりこの石へのアプローチをご説明しなければなりませんが……実はよくあることですが、現地に行ってみたら、やっぱり異邦人には場所は分からないのです。当然のことながら「観光名所」ってわけでもありませんので。
というわけで、今回は行きつくまでの一部始終、皆様と一緒に再現してみたいと思います。
手がかりがなかったので、とりあえず町の詳しい地図でも見せてもらおうと考えて、公共の資料館らしきものに立ち寄って尋ねてみました。
「あの、立石に行きたいのですが……」
「え?」(絶句)……明らかに予想外の質問だったようです。
「行く」の意味がしばらく噛み合いませんでした。「行く」のは無理よ、って感じで……
「ちょっと前に(どのくらい前の話かは不明)木を切ったし、その前の道をちょっと行ったら見えるから、下から見たら? とても近くには行けないよ」
「いえ、行きたいんです。取りあえず登り口を教えてください」
ということで、地図に印を書いてもらいましたが…・・・・
「いや、一応登り口のあたりに適当に車は停められるけれど……え? どこから来たの? そ、そんな遠くから?」
と、また例のごとく驚かれ……
後でこそこそ「そんな遠くから人が来てくれるんだったら、もっと整備しとかな……」「いや、そんな宣伝していっぱい来てもらっても、車停めるところないし、困るで……」ってな会話をされていました^^;
でもね、ここまで来て山の下から見て納得する大海とその母ではありません。
稲穂
こんなのどかな景色の中、「羽入集会所」という暗号のようなキーワードを求めて車を走らせます。
う~ん。集会所?
立石への道2
思わず行き過ぎてから引き返しました。
立石への道1
角には小さな道案内が……
立石入口
う~ん。これは見えない。
さて、この道を行くと、突然道は途切れました。
立石への道3
途切れたところに民家があったので、丁度住人の方が軽トラで帰ってこられたとことを見かけて、尋ねました。
「すみません~。立石に行きたいのですけれど、この先って行けますか?」
「え?」(また一瞬沈黙)「少し先に車停めれるところがあるから。立石までは車でいけないよ」
はい。登山の準備はできています。
適当に駐車場
これ、テキトウに車を停めるところ、ですね。
火薬庫
前に「火薬庫」があるのです。ちょっと怖い……
馬頭観音
その傍には馬頭観音と書かれた石があります。
クマ出没注意
熊出没注意、の看板の横を入っていきます。
入口立札
かなり年季の入った看板ですね……でも、登山道、とは書かれています。
帰り道3
これは帰りに撮った写真ですが、こんなところを歩いて行きます。雨が降ったら絶対に近づけませんね。
帰り道
すると、写真の真ん中あたり、ぽっかり空いた穴のところに出てきます。
道?
確かに……木は刈ってあったようです。でも草がぼうぼうで、歩道は全く分かりませんでした。草の中に立札が! 足元の草を杖で掻き分け掻き分け、進みます。
登山道
草を抜けると、階段がありました!
この階段、崩れかけていて、かなり急です。登るのはいいけれど、降りるのが大変そう、と思いながら登ります。
階段
途中で少し開けたところに出ました。確かに、木は刈ったようです。
木を切った
そして、最後の登りです。ちらっと、木の陰に何か丸いものが見えていました。
最後の登り
こうして書いちゃうとあっけないですけれど、毎回、石に出会うまでは紆余曲折があります。でも、そもそも観光案内にも書いていないし、常に誰かに聞きながら行きつくのです(たまに、地元の人も知らないこともある^^;)。
さて、後はもう、立石をじっくりお楽しみください。
この石、ぐるりを1周すると、その間に少なくとも4つの違った顔を見せてくれます。
「顔」? えぇ、まさに顔があるのです。
(注:これは全てひとつの立石の、色々な面からの写真です。)
立石1
横顔に見えませんか? 目がありますでしょう。今度は顔を前から見ます。
立石5
中央真ん中あたりの凹みは鼻にも見えます。
立石11
花崗岩なので、剥がれ落ちた部分も少しリアルに見えます。この面は丸くて、柔和な感じがしますね。
立石9
くるりと回ってくると、今度はフクロウ?
立石8
いえ、猛禽類? それともモアイの顔?
立石7
背面は少し斜めに、真っ平らな面になっていました。
龍紋
まるで龍が走っているような紋様ですね。
立石10
こちらはより男性的なイメージです。
まわりの石
大きな石の傍にも幾つか石が転がっています。それぞれ小さくはない石なのですが、立石が大きすぎて……
おひるごはん
そのひとつに座って、お昼ご飯にしました。前泊した遠刈田温泉(蔵王の近く)の山風木(やまぶき)さんでは、出発時に焼き立てパンのお土産を頂きました。それと前の晩に食べきれなかったご飯でおにぎりを作っていただいていたので、一緒にお昼ご飯にしました。
お弁当
置いていたら、すぐに蟻に目をつけられて……急いで食べなくちゃ。
見晴
見晴らしもなかなかです。
周囲の石
顔の側から少し斜面を降りて行くと、他の部分にも石がゴロゴロ、ちょっと王蟲みたいな石が転がっています。
立石を中心にいくつかの方面へ道があるようで、登山口は他にもあるようでした。でも、少し行ってみましたが、どこも草ぼうぼうで、道なのか水の流れた後なのか……という感じ。
やっぱり巨石ファンでなければ、何を好んでこんなところにやって来るのか、って感じなのでしょうか。
でも、この石、ものすごく良い感じです。とにかく、お弁当を持って行きましょう! 最近、どこで遭難するか分からないので、一食分は持って山に入るのですが(だって、あまり人の気配がないので……)、このお弁当を食べるのがまた楽しいです。
そしてまた道なき道を草をかき分けて降りてきました。
丸森町の皆様、ありがとうございました。変な関西人がやってきてごめんなさい^^;
あ、最初に道を尋ねた方からは「立石よりもかかし街道を見て帰ってね」と勧められたので、かかし街道も行ってみましたよ。とってもユニークで楽しかったです。
かかし街道1
ずら~りと、かなりの距離に渡ってかかしが並んでいます。
かかし街道2
こんな可愛らしいのも。
かかし街道3
なんだか素朴で、いいですね。
かかし街道4
手が込んでいるものから、ちょっとオカルト風?マネキンまで、色々あって、面白かったです(*^_^*)
丸森町周辺の石はあと少し残っているので、また次回におまけコーナーでお目にかけたいと思います。
遠景2
そうそう、こちらが「道から見える立石」です。さすがに、あの大きさですから、ちゃんと下からも見えますね。山によくあるタンクなのかと思っちゃいます。

さて、丸森町の立石、如何だったでしょうか。
見る前は、このほかにもいっぱい石を見るつもりだったのですが、この石を見てしまったら、もうお腹いっぱい……大満足で、後は本当におまけになっちゃいました。
やはり整備をしてほしいような、このまま「行く気があるならおいで」風でとどまっていてほしいような。
でもこの石は、もう少し宣伝してもいいのじゃないでしょうか。巨石ファンは絶対楽しめる、パワーあふれる陽石でした。

さて、続きを読む、ではお待ちかね?本日のお宿コーナーです。
今年も石紀行にお付き合いくださいましてありがとうございました。
来年は丸森町周辺の石たちの他に、積み残した石たち、九州の18禁巨石、そしてマルタの巨石神殿もご紹介したいです。
来年の石紀行、予定は広島の宮島、そして前回積み残した岡山の石、そして大分の石リベンジも行けたらいいなぁ。

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【石紀行】19.山形・峯の浦本院跡~もうひとつの山寺を語る巨石たち(とおまけの銀山温泉)~ 

城岩七岩
さて、前回の続きです。垂水遺跡からそのまま矢印に導かれて、ちょっとだけ細い道を辿っていってみることにしました。
ところで、こちらのような道案内は一応あるのです。しかもこの可愛らしいイラストは「山形県マーク」ですよね。
これからこの矢印にある城岩七岩方面へ向かいます。
烏帽子岩
山の細い峰を通ると途中に烏帽子岩と書かれた岩が、ちょっと行く手を阻むようにどでんと構えている。
あまり烏帽子には見えないけれど、確かに少し聳えているという感じ。
この脇を通り過ぎ、少し行くと『城岩七岩』の立札が見えます。
看板によると「向かいの所部集落から見てください」ってことですね。対岸から見れば「7つの岩、弓張り岩、盾岩、猿岩、鏡岩、塩岩、砦岩、兜岩が城壁のように並んで見える。山の頂は平らで、山肌が数段の階段状になっている。まさに中世の山城の様相」とのこと。イメージ図では、向かいの集落から見たらこんな感じだそうです。
城岩七岩の絵
灰色の■が岩だと思ってください^^;
実際にはこの岩の脇、上を歩いている感じになります。まずは弓張り岩。
弓張り岩
それぞれの岩の上に登れるわけではなく、いくつかの岩は崖っぷちだったり、木に埋もれていましたが、弓張り岩の上からの眺めは見事ですね。
弓張り岩2
ちょっと足元は怖いですけれど……見上げてみると。
城岩からの眺め
こうして今から写真を見ると、うん……単に断崖絶壁の上、という感じがするだけでしたね。
楯岩2
7つとも全て載せようと思ったけれど、よく見れば、全体像の見えない岩の写真は、何だか並べてもあまり面白くなさそうです。『猿岩』と『塩岩』……ね? どうとも反応ができませんよね。
猿岩
塩岩
木々に埋もれた岩もあり。一応歩道は草を刈ってあるようでしたけれど。
鏡岩
岩が途切れた先は、絶壁です。足元注意です。下は『兜岩』。
兜岩
ということで、ここまで来たら引き返しても仕方ない、前進あるのみ、ということになり、このまま道をゆくことにしました。
修験道場へ
歩道は一応確認できるような感じだったので、それほど危険感はなかったのですが、これまでかなりの山奥に入っていっても、誰か一人ぐらいは歩いていたのですが、今回ばかりは誰にも会わず……隣の山寺からの「やっほ~」とかいう叫びだけがどこからともなく響いてくる感じ。
修験道場へ3
そのうち、岩に挟まれた道のような道でないようなところに出て、岩の隙間を歩いて行くと……
修験場へ
大きな岩の脇から突然広々とした場所に出ました。こちらが修験場跡です。
修験道場
写真では分かりにくいのですが、岩に囲まれた相当に大きな広場です。
背景には2つの大きな屏風のような岩があります。この2つの岩はまるで広場を守っているようです。
雄岩2
木の奥にそびえるように見えるのは「雄岩」です。男石(男根)、つまり陽石です。
雌岩は少しわかりにくかったのですが、上の屏風のような岩の脇の奥にありそうです。
修験場の岩
足元の朽ちた落ち葉に埋もれた、半ば細い川のような亀裂を登っていくと、ありました。女石(女陰)、陰石です。
雌岩
何となく、産道から子どもが産まれ出るかのような神秘的な光景でした。
この広場に出る道の一方は雄岩、もう一方にも大きな岩が聳えていました。こちらは『毘沙門天岩』と命名されています。
毘沙門天岩
広場の立て看板には、このように陰陽の石、毘沙門天、屏風岩のような石が揃って、しかも広場のように切り開かれているところから、ここは円仁が訪れる前から古い庶民信仰のお祭り広場のようなものだったのだろうと書かれていました。
そう言えば、天草(熊本)の矢岳巨石群の近くにも「お祭り広場」と名付けられた場所がありました。あちらはまるで石たち自身がお祭りをしそうな空間でしたが、こちらは確かに人々の信仰の場であったような空気が流れています。
時代を超え、形を変えて、息づいているのですね。
修験場跡
広場を降りて行くと、胎内くぐり(産道)があると書かれているのですけれど……発見できませんでした。ちゃんと発見された方もおられるようなのですが、何しろこの修験場の下に天狗岩なども見られたのですが、周囲は草が多い茂っていて、とても踏み込めない感じ。
天狗岩
やっぱり天狗さん、いましたね。古峰神社の原型としての岩でしょうか。
仕方なく降りて行ったら、草がぼうぼうで、道がよく分からなくなっていました。
窟の脇
取りあえず進みます。道なき道の脇には窟がいくつか見られます。
窟
五輪塔窟、と名付けられ、幾つもの崩れかけた五輪塔が並んでいるところもありました。
五輪塔窟
しかし、以前にはもっと多くの塔が並んでいたのだとか。
発掘現場
さて、このあたり『峯の浦本院跡』と記されています。草ぼうぼうなのですけれど。
ここに発掘の様子が記された立て看板がありました。それによると、この辺りは昔から遺跡だと語り継がれていて、畑地であった時も人糞尿・家畜の糞尿を撒いてはいけないと言われていたそうです。
発掘現場立札
ここには、本院(阿弥陀屋敷跡)、薬師堂跡、即円寺跡、五輪塔窟、天狗岩、鬼岩、蓮池、荼毘場跡などの名称が残されていて、平成22年から3年間、ボランティアで発掘が行われたとのこと。その結果、縄文後期から14世紀南北朝、室町時代、江戸時代末までの長い時代にわたる遺物や遺構が出土したそうです。
座石
こちらは出土した座石のひとつ。
つまり、お隣の山寺よりも古い遺構で、一大寺院群があったと考えられ、しかもその信仰の大元は遥か縄文時代にまでも遡ると考えられる、まさに山寺の発祥の地、もう一つの山寺であったと言われる所以なのです。
旧街道
この辺りはまさに山の中の道なのですが、朽ちた小屋がありました。明治時代まではこの辺りは本街道で、この先の集落への生活道だったとのこと。道の脇には小さな石の祠がいくつか残されていました。ひとつは牛頭天王。祇園精舎の守り神で仏と集落を守るというので、集落の入り口にはよく祀られていたそうです。

現代では別の道が通されて、この道をゆく人はほとんどありません。
でも、ここは縄文時代から、確かに人々が生活し、祈りの場としてきたのですね。
その最初の「信仰・祀り」の形は、あの垂水遺跡の奇岩・巨石だったのではないでしょうか。
始めに石ありき。
あの迸るパワーは、まさに物語を始めるにふさわしい、漲る神秘のエネルギーなのですね。

さて、如何だったでしょうか。
この道の終着点は、現在の山寺の墓地(霊園)です。
つまり山寺側からも入ることができるのですが、多分、どこが旧街道への入り口か、霊園の中で見つけるのは難しそうですので、千手院から入ることをお勧めします。
……と言っても。
霊園から千手院まで、車道を歩いて戻っていたら、集落の住人と思しき、犬の散歩中のおじいちゃんに話しかけられました。
一体どこに行ってた? え? 垂水遺跡? 山の中、歩いてきたのか? いや、わしらでも子どもの頃行ったきりだ、草ぼうぼうだったんじゃないか、よく行ってこれたな、どこから来た? 大阪? なぜわざわざこんなところへ?……
というようなことを、東北弁で質問攻め。うちの母は「???」だったようですが、場所は違えど毎年青森県に行く私は、少しは慣れており(?)、何とかコミュニケーションさせていただきました。
うん、おじいちゃん、草ぼうぼうだったよ……
もう少し整備して、もっといろんな人が見たらいいのに、と思う反面、いつまでもこの神秘な気配を失わないでいて欲しいとも思ったのでした。
ガス灯
さて、ガス灯ですよ。何とも言えない暖かい色合いですね。
今年はLEDが大流行りですが、どこか単調で冷たい色合いの光とは違って、この光にはほんのりと温かみがあるようです。
続きを読むから、ぜひ、この日のお宿、かの銀山温泉の景色をお楽しみください。
また、次回の石は、宮城県丸森町の『日本一の立石』にご案内いたします。
本当に巨大な、まさに日本一の道祖神としての岩。しかしその表情は素晴らしく豊かです。
またまた道なき道を行きますよ(やっぱりなのね)!

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【迷探偵マコトの事件簿】(14) マコトのクリスマスプレゼント 

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(イラスト:limeさん。作中の「だっこ」のイラストもlimeさんが描いてくださいました(^^))
クリスマスにマコトから小さなプレゼントです。
お楽しみくださいませ(*^_^*)

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。飼い主のタケルに甘えたいけれど、どうしても甘えられない。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。マコトが甘えてくれたらなぁと思っている。


【迷探偵マコトの事件簿】(14)マコトのクリスマスプレゼント

ぼくはそ~っと寝ているタケルの近くに行く。
ベッドのよこには、おっきな毛糸のくつ下がぶら下がっている。
それをちらっと見てから、ぼくはタケルの手にちょっとだけあたまをくっつける。
す……
す……
タケルの手がちょっとだけ動く。
うわ~
ぼくはあわててベッドから飛び降りた。


くりすます?
何だかよく分からないけれど、タケルはとっても忙しそう。
お仕事も忙しいし、それに、いっぱいプレゼントを用意しなくちゃいけないんだって。
とおくにいる家族とか、ホッカイドウにいるジィちゃんとか、女の人とか、おそうじのおばちゃんとか、お仕事のおともだちとか、いっぱいいっぱい。

ぼくもジィちゃんに、にくきゅう文字でおてがみかいたよ。
ジィちゃん、またお正月に行くから、シャケとスケトウダラとホタテ、よろしくね!
タケル、ちゃんとお手紙、送っといてね。
……ジィちゃん、にくきゅう文字、読めるかなぁ?

タケルが忙しいから、ぼくは「にくきゅうでタッチリモコン」でテレビをつける。
あのね、にんぎょうのお芝居をやってたの。
女の人が長い髪の毛を切って、お金をもらって、キラキラ光るクサリを買ったの。
で、今度は男の人がね、時計を売って、お金をもらって、くしを買ったの。
でね、男の人は女の人の短い髪を見て、びっくり。
ふたりはせっかく買ったプレゼントをどこかに仕舞っちゃった。
???

賢者の贈り物
「マコト、それは『けんじゃのおくりもの』だよ。プレゼントってのは、相手をおもう心がいちばん大切なんだ」
でもね、仕舞っちゃったよ?
くしもクサリもおいしくないのかなぁ?
「形じゃないんだ。あいてがよろこんでくれるかどうかなんだよ」

くりすますはだいじな人にプレゼントをするんだって。
ぼくもタケルにプレゼントする?
でも、ぼく、お金持ってないし。
毛も短いから、売れないし。

だいじなのはキモチ?
タケルは何が欲しいのかなぁ?
……

ぼくはいっしょうけんめい考える。
でもすぐ眠くなっちゃうから、すぐ忘れちゃう。


くりすますの前の日。
おばちゃんがきれいにおそうじして、タケルはにせものの木にいっぱい丸いのとかお星さまとか、きらきらとかぶら下げて、木の下にいっぱいプレゼントを置いた。
「マコト、できるだけ早く帰ってくるよ」
そう言って、タケルはおめかししてお出かけ。
パーティなんだって。

おばちゃんはぼくにねこまんまを作ってくれる。
「ほんとうに、あんなふうに人にばっかりプレゼントを用意して、自分は何にも欲しいって仰らないんだからね。でも、あの人は何でも持っているし、今さら欲しいものはないのかもしれないね」
うん。そうだね。
タケルが何をよろこぶのか、なんて分かんないよね。

マコトだっこ
……でも。
ぼくはちらっと壁にかかった絵を見る。
この間もらってきた『抱っこ』の絵。
いっつもタケルはこれを見て言うんだ。
お前もこんなふうに甘えてくれたらいいのになあ、って。

ぼく、タケルが寝てるときとか、あっち向いてるときだったら、ちょっと近づいてみたり、お布団のよこにちょびっとだけもぐりこんだりとかできるんだけれど、タケルが気がついたら逃げちゃう。
だからいつも寝る時は、タケルの足のよこらへんのお布団のうえ。

でも、ねこのカンヅメのこまーしゃるを見たら、灰色のねこが飼い主さんにすりすりして、とっても気持ちよさそうなんだ。
いいなぁ。
だから、ぼくもちょっとがんばってみることにしたの。
そうだよね。キモチが大切なんだもの。


……こんどこそ。
ぼくは寝ているタケルの手のよこに行く。
す……
すり……

もぞっ。
うわっ!
タケルが動いた。
ぼくはあわてて逃げる。
……あぁ、びっくりした。

ぼくはしばらく息をひそめて、じっと待つ。
タケルは眠っている。
柱時計の音がする。
くりすますの朝。
もう今日がきのうになっちゃう。

ぼくはもう一度ベッドによじ登って。
タケルのよこに行って。
す、す、すり……
もぞっ。
わ~、やっぱりむり~~~

タケルの手が動いて、ぼくのしっぽをつかみかけた。
ぼくはあわててじゃんぷ。
何かに爪が引っかかった。


あれ?
もぞもぞ。
ぼくはもがきながら引っかかりを外そうとした。

あれ~~
ぼそっ。
なんかにはまっちゃった。
落とし穴??
まっくらだよ。

ごそごそごそ。
……
ゆらゆらゆら。
……

なんか気持ちいいな。
ゆりかごみたい。
だっこしてもらったら、こんなかんじなのかなぁ?
……ま、いいか。ねちゃお。
「すりすり」はまたこんど、れんしゅうしよっと。


クリスマスの朝。
俺は伸びをして起き上がる。
夢の中で、何度も手にマコトのしっぽが触っていたような気がしたけれど、多分気のせいだな。
昨夜は少し飲み過ぎたようだ。

と思って、枕元の毛糸の大きな靴下を見たら……
あれ? 何だか、膨らんでいる?
まさか、本当にサンタクロースが来たのか?
って、幼稚園児じゃあるまいし、そんなわけないか。
二日酔いで、どこか頭のネジが緩んでいるのかもしれない。

と思って手を伸ばして靴下に触ったら。
がぶっ!!
いてっ!

なんだ、妖怪か怪獣のプレゼント?
俺は靴下の中を覗き込んだ。
にゃあ!

クリスマスの朝、プレゼントを待っていた靴下の中から、仔猫が飛び出した。
靴下とねこ

(『迷探偵マコトの事件簿』(14)マコトのクリスマスプレゼント 了)


最後のイラストはホームページ用イラスト素材無料配布サイト『素材大好き.com』さんからお借りしました。
飛び出てきたのはクロネコじゃなくてトラ猫だったけれど(*^_^*)
でもこれって、恋愛小説なら、「プレゼントはあ・た・し」ってやつですかね?
さて、マコトがタケルに「すりすり」できる日は来るのか??

皆様、素敵なクリスマスを!
次回は、マコトのお正月のご挨拶、例のごとくfrom HOKKAIDO、です。
ひつじ年に、まさかのジンギスカン??

Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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【雑記・旅】北海道、今年もありがとう! 

札幌ドーム
北海道から帰ってきました。写真は雪に埋もれた札幌ドームです。
ARASHIさんのコンサートが主目的の旅でしたが(そのために夏休みを残しておりました^^;)、今回はチケットが本当に取れなくて、逆に時間を持て余すくらいだったので、結果的に北海道満喫の旅に……?
満喫、と言っても、見事に寒波に見舞われ(爆弾低気圧の直前で、まだ良かったのですけれど)……寒かったです。
クリスマスツリーサンタ
ホテルのロビーにもクリスマスツリーが。そしてサンタクロースはシロクマに乗ってやってくる? ツキノワグマバージョンもありました。
クリスマスツリー2
こちらはサッポロビール園のクリスマスツリー。サッポロビール園に行ったのは何十年ぶり? でもジンギスカンコーナーは昔の記憶のままでした。
ジンギスカン
でも、服も髪も鞄もすごい臭いになりますけれど……
サッポロビール園
さて、今回は本当によく雪が降る中、強行軍で小樽にも行ってきました。って、毎年行くのですよ。
目的は? お寿司とお菓子です。
お寿司
お寿司、本当に美味しいですね。そして、いざ、大好きな北菓楼へ。
小樽2
こんな雪の中、北菓楼、LeTAO、ROYCEなどを巡り歩き、小樽駅では突然鉄子ちゃんに。
小樽駅
雪の中の列車連結作業に盛り上がっていたら、危うく列車に乗り遅れるところでした。
一方、大通では、やはりクリスマスのイルミネーション真っ盛りで、ミュンヘン・クリスマス市なるものを開催中でした。
ミュンヘンクリスマス市
色々なクリスマスグッズを売っている屋台が並んでいるのです。
ミュンヘン・クリスマス市2
歩くだけでもクリスマス気分を味わうことができますね。
スノードーム
真中のスノードームは今回購入したもの。ひと目ぼれしたので、お買い上げしちゃいました。
スノードームっていいですよね。小さな幻想の世界が閉じ込められているみたいで。
周囲を列車が走っているんですよ。……あ、動きませんけれど。
はがき
こちらはクリスマス用のはがき。何故かセキセイインコがカップケーキに?
大通4
イルミネーションもとても綺麗で、テレビ塔も賑やかに色を変えていました。
でもやっぱり、北海道はグルメですよね。
スープカレー
……こちらは海鮮スープカレー。
えびそば
……こちらは今回初めて食した「えびそば」。スープがまさに海老の味がします。
全部飲んだら食塩過剰摂取になりそうだけれど、美味しい……
牧場に行けば牛さんや羊さん、道産子くんたちがうろうろ……
うし
どさんことひつじ
市場に行けば、毛ガニもタラバもごっそり……
たらば毛ガニ
牧場では、ソーセージとバターも作ってみました。
牧場
修学旅行生たちが雪合戦を楽しむのを横目で見ながら……
手作りソーセージ
ちょっと不細工だけれど、牛100%のソーセージ。でも、普段ポークのソーセージに慣れているからか、ちょっとうまくいかなかったハンバーグみたいな感じでした。
バター作り
こちらはバター作り。左の大きな入れ物でハンドルをぐるぐる回して油脂と水を分離して、右の方の板でさらに水分を絞りだしたら、こんな感じに。
バター作り3
塩分控えめで美味しくいただいています。
バター作り4
おうちに帰ったら、お土産のイクラと時鮭で贅沢な親子丼。
親子丼
こちらは札幌の自然素材の石けんのお店で購入した、手作りのハマナスの模様の蝋燭と、ローズ石鹸。
ろうそく
寒かったけれど、また来年……も行きたいものです。チケットが取れたら……(゜-゜)
あ、荷物用のそり、便利そうでした……(*^_^*) 歩道はいわゆる床暖房状態で、一部はこうして歩きやすくなっているのですけれど、さすがに大きな道の一部だけでした。
荷物運びのそり?
爆弾低気圧で被災された方々には心からお見舞い申し上げます。何はともあれ、この季節ですから、お身体を大切にしていただきたいです……
そして皆さま方も、クリスマスまであと少し、仕事納めまでもあと少し、お互いに頑張りましょうね。
私は思わぬ風邪でぶっ倒れてしまいましたが、皆様もお身体、ご自愛くださいませ。
大通2
クリスマス市と小樽のガラス細工のお店で購入した小物たち。
雪だるまをだっこしているトナカイがとっても可愛い。
こものお土産

Category: 旅(あの日、あの街で)

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【石紀行】18.山形千手院・垂水遺跡~この奇岩のパワー~ 

芭蕉の俳句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」で有名な出羽国(山形県)山寺。800段もの階段を登ってたどり着いた時の爽快感を味わったことのある方も多くいらっしゃると思います。
でも、山寺を少しだけ通り過ぎ、最上三十三観音二番札所・千手院まで行く人はほとんどいらっしゃらないようです。
本当にほんの少しの距離なのです。わずか1kmほどでしょうか。「この先には駐車場はありません」という、観光地によくある看板を無視して更に進み、単線の短い高架を潜り、本当にこの先に行って大丈夫かしらと思ったら、鳥居が見えます。
山寺千手院
車は道路脇に停めてもいいようになっています。鳥居をくぐって階段を登ると、その先に見えるのが千手院の本堂です。
さて、この鳥居と本堂の間、ちょっと見ものですよ。
千手院-鳥居
鳥居の手前に注意を促す立て看板が見えます。「キケン 列車に注意」って見えますでしょうか。
それもそのはず!
千手院-線路2
参道の途中を、踏切もなく線路が横切っています。つまりこれを横切らないと本堂には行きつかない。
千手院-線路
上から見るとこんな感じです。危なくないの? はい、キケンと書いてありますが、そのキケンな電車はめったに通りません。でも、もちろん、気をつけましょうね。
山寺千手院2
東北のお地蔵さんって、祠の中でこうしてみんな服を着せてもらっていますね。津軽のお地蔵さん・道祖神もこんな感じです。やっぱり寒いからなのかしら。あるいは、お地蔵さんを自分たちのより身近なものとして祀っておられるからなのかもしれませんね。
千手院地図
これが千手院の前にある地図です。下の方、左のお寺印が山寺、右のお寺印が千手院。千手院の横手を登っていくと、地図の右上に丸で囲われた部分が垂水遺跡です。
垂水遺跡まで行ったら引き返そうと思っていたのですが、母の「当然前に向かって進むべき」という言葉で、結局山道を2kmほどでしょうか(山道ですし、ついついあちこちで遊んじゃう私たちには1時間半~の行程)、地図で言うと凹の形みたいになっている道を歩きました。途中からは、「最近、ここ、人通ったのかしら」というような道でしたが……

それではまず、垂水遺跡をご案内したいと思います。
千手院-看板
千手院の脇に小さな看板があります。導かれるままに登っていきます。
垂水遺跡へ
垂水遺跡へ2
しばらく登ると、木々の陰に遺跡が見えてきます。
垂水3
これが木々の暗い緑の中から現れた瞬間、1200年以上前(天長7年=830年)に慈覚大師・円仁(比叡山延暦寺の最澄のお弟子さん)がここを聖なる場所と定め、天台宗の霊場を作ろうと考えたというのが分かるような気がします。
……思わず「わぁ!」と声をあげてしまうような景観なのです。
では、しばらくその景観をお楽しみください。
垂水8
岩自体は凝灰岩で、そこに含まれる硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムが水に溶けだし、このような浸食された岩となったようです。
垂水6
何しろ、屏風のように岩が並んでいて、写真で全体像をお見せするのはとても難しいのです。
垂水遺跡3
岩に向かって左手の方には「古峯神社」と書かれた石碑があります。
垂水こぶはら
……字は読めませんね。
ところで「古峯(こぶはら、ふるみね)神社」とは、栃木県鹿沼市の古峯ヶ原(こぶがはら)にある古峯神社が大元なのでしょうか。前回ご紹介した釣石神社の境内にも「古峯神社」がありましたね。
古峯神社のご祭神は日本武尊、また天狗信仰とも結びついています。もしかすると山の中ですから、天狗とは縁があるのかもしれません。
垂水9
この巨大な岩全体からものすごいパワーを感じます。
パワースポットという流行りものに流されるのは何となく癪ではありますが、今回山形や宮城で出会った巨石たちは、まさにパワースポットという言葉をそのまま体現しているように思いました。
垂水遺跡
こちらの鳥居は、中ほどにある(多分)稲荷神社。
何と、登ることができます。
垂水登る
岩にちょっとだけ階段状の足場が彫ってありました。
垂水鳥居
足元は崩れた凝灰岩で、結構滑ります。さらに登ると小さな祠があります。
垂水祠2
垂水祠
いつの時代に誰がここを見つけて、聖地と定めたのか。伝承に残る円仁以前にも、この岩、景観は存在していただろうし、名前も知られない誰かがここを祈りの場所としていたことは間違いがないと思うのです。
日本にしても、世界の他の国にしても、こういう自然の中にある「磐座」に相応しい場所には、逆らえない力が漲っているような気がします。
垂水鳥居2
さて、さらに岩に向かって右手の方へ進んでいきます。
垂水遺跡7
こちらの方は浸食は少なく、ごつごつした感じの岩肌が目立ちます。
垂水11
岩の裂け目には、垂水不動尊、不動明王が祀られていると……
垂水不動尊
ありました。よく見なければお姿を拝するのも難しい、小さなお不動様です。
……とはいえ、錆びた囲いがあるだけで、整備されているわけでもなさそうです。
垂水遺跡2
少し奥に行くと、円仁宿と書かれた洞穴があります。円仁はここに籠もって山寺開基構想を練ったのだと、千手院縁起に書かれています。
円仁宿跡
円仁はその後比叡山に戻って偉くなっているので、嘉祥2年(849)にこの東北の地を再訪して山寺立石寺を整備するなんてことが実際にあったのか、命令を下して誰かお弟子さんがやって来たのかは不明です。
実はこの道を山寺の方まで辿っていくと、峰の浦遺跡という場所(草ぼうぼうでした……)があり、マタギの首領・磐司磐三郎がこの辺りの土地を円仁に譲ったという伝承も残されています。
この垂水遺跡~峰が浦こそ「もとの山寺」とも言われているのです。
垂水12
さて、もう一度迫力の岩を見上げながら戻っていきます。
この辺りには、大正時代まで山伏の居住修行の姿があったと立札に解説がありました。
垂水7

次回は、ここから城岩七岩、修験場跡、そして元山寺の遺跡(峰の浦)、さらに本日のお宿・銀山温泉へとご案内いたします。

Category: 石の紀行文(写真つき)

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【雑記・あれこれ】久しぶりに本屋に行ったら…… 

本屋さんで
ものすごく久しぶりに街に出たので、本屋さんに寄ってみた。
以前はあれこれ用事があって街に出ると、必ず本屋さんに寄ってしまって、帰りにはすごい荷物を抱えて帰る破目になっていたのだけれど、最近は何よりもまず街に出ない、その結果、本もネットで買うことが多くなってしまって(重くないし……)、すっかり本屋のわくわく空間から遠のいておりました。

神戸の某町の某本屋さんは私のお気に入り。
「立ち読み」ならぬ「座り読み」を許可してくれる有難い本屋で、書棚と書棚の通路にベンチが並んでいる。でもなかなか人気が高くて座るところを確保できないんですよね。
しかも、本のラインナップが何となくマニアック。
奥まったところにある自然科学コーナーと歴史・民俗コーナー(日本・世界)は私の聖地でもあります。

入り口近くはやはりベストセラーが並んでいるのですが……
ぱっと見て、何だか様変わりしたな~と思いました。
表紙がすっかりイラスト、しかも人物が漫画・アニメ調に描かれたものがずいぶん増えましたよね。
何となくポップな感じというのか、はっきりした色彩というのか、目を引くものが多くなったように思います。
文学作品の表紙も様変わりすると、確かにちょっと手に取って読み直してみようかな、と思ったりするんでしょうね。

そう言えば、夜中の番組も、昔は深夜映画やドラマが多かったのに、今はアニメですね。
しかも結構マニアックなものをやっていて、なぜかオジサン世代も見ていたりする。
日本人ってやっぱりポップなものが好きなんだろうな。
ゆるきゃらにしても……ルーツは既に江戸時代の百鬼夜行漫画にあったみたいですし。

久しぶりに本屋に行ってみたら、結構人がいっぱいいて、すっかりネット書籍に押され気味だと思っていた「本」も頑張っているなと思えて、ちょっとほっとしました。やっぱり本は、ページをめくって、紙で読むのがいいなぁ。
とはいえ、ネットのおかげでこうして自由に書いたものを発表できているのですけれど。
そして、重いものを持たずに済んでいるのですけれど。

でも、本屋はやっぱり危険区域でもあります。
一度入ったら、出て来れない…・・・・^^;
本屋さんで2
あれこれ脈絡なく買いこんでしまいました。
おかげで重い荷物を持って、ますます腱鞘炎が悪化したのかも……
MasterKEATON……私のバイブルです(*^_^*) 新刊、嬉しいなぁ。

Category: あれこれ

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【雑記・小説】キャラのコンセプト~花と女性編~ 

キャラ話に夕さんが絡んでくださったので(→夕さんちの【うちのキャラを花にたとえてみました】)、また絡み返し(?)の記事となりました。
私も、「うちのキャラを花に例えてみる」をやってみたのですが、これってかなり難しいですね。

花言葉ってあるじゃないですか。そのイメージと、自分がその花に持っているイメージが違っていたりして……
しかも一言で表すのが難しいので、いちいち「二言」になってしまいました。花まで2つ書いたりして。
ぴたってひとつに決まる人と、迷う人がいますね。
真はかなり迷いました。曼珠沙華、ハマナス、クロユリ……でも、曼珠沙華で決まりかな。
白か赤かは決められないのだけれど。
マコトは、タンポポかレンゲかで迷いました。似たような系統ですね。畔や田んぼに咲いている。
蓮は迷いませんでした。
根は一緒なのに、みんな違う。
真シリーズは全体に白が多い。物語のイメージの花も白い→忍冬(スイカズラ)。
マコトシリーズは明るめの色。
奇跡を売る店シリーズは全体的に青。
シリーズのイメージが色に表れたのかも。

ちなみに花言葉を調べていてびっくり。
君にもあったのか! 花言葉……→「しいたけ=疑い」……なんで?
*写真は大海自身が撮ったもの、フリー素材からお借りしたものです。

【真シリーズ】
◆相川真
 長所:思い遣り深い、実は打たれ強い
 短所:孤独に慣れすぎる、都合の悪い記憶を封印する
 花:曼珠沙華/ハマナス(単に北海道の県花?)
曼珠沙華2
 薬にも毒にもなる、という感じ。でも、意外に白い方かも。
 ハマナスは棘が彼らしい……

◆大和竹流
 長所:天から二物も三物も与えられた上に努力家、まめ
 短所:細かいことに拘る、実は打たれ弱い
 花:薔薇(外見的には黒っぽい赤、もしくは青。中身は白)
白バラ
 木の花のイメージがありますが、やっぱり薔薇は譲れないですね^^;

◆柏木美和
 長所:共感力が強い、インタビュアーにはまり過ぎ
 短所:何にでも首を突っ込みすぎる
 花:菜の花
菜の花2
 ひまわりと迷ったけれど、何だか田舎の景色に似合いそうで。

◆東海林珠恵(たえ)
 長所:思慮深い
 短所:短所がなさそうなところ(意外に執念深いかも)
 花:利休梅(芸妓の紋)/ヒガンザクラ
りきゅうばい
 竹流の実質上の嫁、祇園の芸妓です。

◆北条仁
 長所:親分肌で豪快
 短所:すぐに口説く、言いたいことを言い過ぎ
 花:こぶし
こぶし2
 全く迷いなく決まった。コブシの花言葉は友情。

【迷探偵マコトの事件簿】
◆マコト
 長所:一生懸命
 短所:怖がり
 花:たんぽぽ
タンポポ2
 マコト=黄色くて小さい→……皆まで言うまい。

◆タケル
 長所:優しい
 短所:意外に計画性がない
 花:グロリオサ
グロリオサ
 大和竹流よりも優しいイメージのタケル……

【奇跡を売る店】
◆釈迦堂蓮
 長所:誠実
 短所:優柔不断
 花:リンドウ
りんどう
「政夫さんはリンドウのような人だわ」って、つい思い出してしまう……

◆大和凌雲
 長所:器が大きい
 短所:あまりにも何も言わない
 花:蓮(はす)
はす
 蓮(れん)と繋がる……

◆和子(にこ)
 長所:我慢強い(病気のせいもある)
 短所:懐かない、可愛げがない
 花:フクジュソウ/レンゲ
フクジュソウ
 冬の雪を割って咲く、そんな強い子でいて欲しい。
 あるいは、田んぼいっぱいに蔓延って欲しい。

◆釈迦堂舟
 長所:柔軟性に富む
 短所:誰とでも……(以下略)^^;
 花:水仙
すいせん
 水仙しか思いつかないよね。

◆如月海
 長所:理想・正義に忠実であろうとする
 短所:外に向けては思い切りがいいのに、内面はうじうじ
 花:ヘブンリーブルー(宿根あさがお)
ヘブンリーブルー

◆玉櫛(石屋の女主人)
 長所:人をよく観察している
 短所:趣味は意地悪
 花:クチナシ
くちなし

【おまけ】
◆大海彩洋
 長所:一生懸命
 短所:迷う(決められない)、終わったことにうじうじする
 花:山茱萸
さんしゅゆ
 希望だけど……花言葉は「永遠」。自分のことじゃなくて、書く物語の中に込めた思いを花にしました。


さて。「キャラのコンセプト」第2弾、女性編です。
結果論だけれど、私のお話の主人公は男性の方が多い。
多分、女性を主人公にして書くと、生々しくなっちゃって、書いている途中で自分で共感できなくなっちゃうので、今はまだ書けないのかな……
でも、大事に温めている、いつか書きたい時代小説は女性が主人公。それが書ける日まではまだかかるかな。
その女性のコンセプトは「秘めた愛は決して表に出せない、自分の使命と信じたものに向かっていく」という、私にしては珍しい王道。花のイメージはアカシア。「秘めた愛」の相手は、かの織田信長。でも、信長は彼女がまだ少女の時にもう死んじゃってるんですけれど。

なんて鬼が笑う話は置いといて。
真シリーズにはたくさん女性が出てきます。そして、主人公二人は男性だけれど、バリエーションはやっぱり女性のほうが豊富かもしれません。

一番賑やかで楽しいのは美和ちゃん。主人公が「放っておくと自分からは何もしない」タイプなので、語り部となる人物が必要だったのです。彼女のコンセプトは「インタヴュアー」!
モデルは「自分たち」……書き手であり読み手である自分と友人と読んでくださる人たちみんな。ミーハーで興味津々で、物語の車輪を回してくれる。

そして……コンセプトは「大和撫子」。男が倒れたら代わりに戦場にも立つ、でも普段はじっと耐え忍んでいる。
この超理想的な女性は、東海林珠恵。彼女がこのようになったのは、その過去が大きく絡んでいるのだけれど、どこからどう見ても大和竹流の好み。

実は、当初、このタイプの女性として、真の嫁を想定していたのです。というよりも、真の嫁タイプには候補が2つあって「大和撫子」か「悪妻」。「大和撫子」を据えてみたら、何だか書けなくなっちゃって。それで、イメージを「悪妻」にしたら、妙に嵌ってしまった。
大和竹流の嫁とイメージが被るのも鬱陶しいし、しかも真は「悪女に嵌るタイプ」。
というわけで、コンセプトは「二面性のある悪妻」……さて、どんな嫁なのか、いつかご紹介する日が来ると思います。
実は花のイメージはデイゴ。沖縄の花。真は北海道のハマナス。すごい戦いが展開しそうだ……^^;

大和竹流の女たちにも色々なタイプがいます。
女刑事。男に流されたくない一心で仕事に生きている。花はアマリリス(花言葉はプライド)。
金持ちのお嬢様でブティックの女店主。経済的にはいらないけれど、男が居なければ(恋をしていなければ)生きていけない。でも常に報われない。花はヘリオトロープ。

真の方では、妹の葉子はマーガレット。葉子の旦那で真の親友の亨志(学院七不思議シリーズ)はカモミールまたはノースポール。高校生の時に付き合っていて振られた年上の彼女・美沙子はスズラン。自殺願望があって、真を巻き込んで死のうとした短期間の恋人・りぃさはクロユリ。銀座のバーのママで身体の関係だけだとお互いに思っていた深雪はナツツバキ。

こうして花に例えると、確かにコンセプトもはっきりして、イメージ作りにはいいのかも、などと思ったのでした。
あ、でも、必ずしも花言葉をイメージしているわけではありません。
例えばマコトなんて、トラ猫→黄色→たんぽぽ、って感じですし。

そうそう、女性は特に、コンセプト的には「誰かとの組み合わせ」で考えることになりやすいかもしれません。そもそも女というのは人間関係で生きていますから。

はぁ……これ、結構大変ですね。でも、懲りずに次は「パワーストーン編」をやろうかな(*^_^*)

Category: 小説・バトン

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