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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(2)神の見えざる手 

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4月8日は過ぎてしまいましたが、オリキャラオフ会・ハリポタトリオ高校生編の第2話です。
本当は前後編で閉めたかったのですが、皆さんのエピソードを拾っていたら長くなってしまいました。
それにちょっと、私たちも「石倉六角堂」に寄ってみたかったのです。だって……以前夕さんが書いてくださった某雑誌のインタビュー記事に引っ掛けて、ちょっとお遊びをしてみたくなったのです。
→参考:その色鮮やかやかな、ひと口を -2

何はともあれ、この日の松江の町に居合わせたかったわぁ、と心から思う大海なのでした。
(だって、美形がいっぱい……(^^♪)


【学院七不思議シリーズ】番外編・松江ループ(2)神の見えざる手
~学院の8つ目の謎と闘え!~

 僕たちがチェックアウトしようとフロントに行くと、受付の女性が怪訝そうな顔をした。
「2泊3日で承っておりますが?」
 杉下と僕は顔を見合わせた。あれ? もう1泊するということ? つまり、指令を果たさずして松江を出るなってことなのか……。でも期限は4月8日、今日なんだよね?

 相川はあまり興味のないような顔で、旅館の入口の方を見つめている。
 そこには、ちょうど出かけようとしている4人組がいた。
 あ。『すごい美人』だ。と、今朝のことを思いだして僕は赤面してしまったが、なんと彼女が僕に気が付いて、にこっと笑いかけてくれた。
 あぁ。何だか今日はいいことがありそうな気が……

「あ、それから」
 受付の女性は営業用とは思えない爽やかな笑顔で追加した。
 僕は我に返る。美人に見惚れている場合じゃなかった。
「こちらの伝言をお預かりしておりますが」
 そう言って手渡された封筒を開けてみると、中に薄紫色の和紙が一枚入っていた。
 ……何も書いていない。

 これは例のふざけた指令の続きなのかもしれない。消えるとか浮き出るとか、そういう曖昧模糊としたのが好きな誰かが僕たちをからかっているとしか思えないのだ。
「蜜柑の汁で書いてあるとか」
 小学生の時、そんなのをやったなぁと思いながらつぶやいたら、ちらっと相川が僕を見た。えっと、ちょっと馬鹿にしてる? わけじゃないか。横顔が少し笑っているようにも見えた。その……嫌な感じじゃなくて。

「あるいは、水に浸したら字が出てくるとか」
 相川が追加する。
「これはやっぱり八重垣神社に行けってことよ」
 杉下の説明では、八重垣神社では、おみくじの紙にコインを乗せて沈めるという恋占いがあるのだそうだ。そのおみくじは薄紫色をしていて、水に浮かべたら文字が浮き出るのだという。

 そういうことなら早速神社に向かったほうがいいのかなぁと言いながら、地図と交通案内であれこれ確認すると、とにかく玉造温泉からは一旦松江に出なければならないようで、それなら先に松江城に行ってみうということになった。
 何よりもまず、オッドアイ探しだ。オッドアイは外国人なら結構いると聞いたから、外国人率が高そうな松江城は外せない。一人は猫としても……。
 でも、本当に猫ってことがあるのかなぁ?

 松江駅から松江城まではバスが出ている。ちょっと歩いてみる? なんて悠長な旅行気分を味わっている場合ではないのだけれど、当てもない人探し中なのだから、それもいいかもしれないなんて話になった。
 歩いている途中で、相川がいきなり足を止めた。僕と杉下が続いて立ち止まり振り返ると、相川はある和菓子屋の中を見つめていた。
 え? 彼の視線の先を追い掛けた僕も、驚いて相川を見た。
 ……まさか、そんなことがあるんだろうか?

「ね、ちょっと寄ってみない?」
 杉下の方は単純に和菓子に興味を惹かれただけかもしれない。それとも、彼女も客らしき男性の後ろ姿を見咎めたのかも。少しくすんだ金の髪といい、その長身のしっかりとした体つきといい、店の外からでも外国人であることは疑いようがなかったから。
 杉下はするっと僕らの脇をすり抜けるようにして和菓子屋の暖簾をくぐった。

 僕は相川を促して彼女の後を追った。
 和菓子屋の看板は「石倉六角堂」。中には客らしき金髪の外国人の他に、店の人と思われる男女がいて、その男性の方も明らかに日本人ではなかった。でも、どう見ても「菓子職人です~」って感じだけど……
 杉下が引き戸を開けた時、その金髪の外国人が振り返った。


 その少し前、「石倉六角堂」の和菓子職人・ルドヴィコはもう3回目にもなる質問を繰り返して、恋人(未満?)の怜子に咎められていた。
「本当にシニョール・ヴォルテラじゃないのですか?」
 ルドヴィコの手には「PREDENTIAL」というタイトルの雑誌が握りしめられている。
「えぇ。済みません。確かにその雑誌の人とは似ていると自分でも思いますが、期待に添えずに申し訳ありません」

 ルドヴィコは残念そうだった。できればこの雑誌にサインをしてもらいたかったのだ。
 その客が店にやって来た時、怜子が「あの雑誌の人が来た」と言って慌てて奥に戻ってきた。本人は3回目の否定をしたが、どこからどう見てもジョルジョ・ヴォルテラその人だ。何よりこんなそっくりの美形がこの世に2人もいるなんてことがルドヴィコには信じられない。

「済みません、私が最初に間違えちゃって」
 一緒になって謝る怜子にも、客は感じのいい笑みを見せた。
「いえ、それよりもすみません。店内に猫を連れて入らせてもらって。どうしてもこちらの和菓子を見たいと、こいつがうるさいので」

 タケル(名前まで一緒なんてことがあるんだろうか?)と名乗った「ジョルジョ・ヴォルテラ(和名、大和竹流)そっくりの」男性の腕の中で、にゃん、と茶虎の仔猫が鳴いた。仔猫は人間たちの会話などどこ吹く風、その視線はルドヴィコが作った『半にゃライダー』練りきりに釘付けだ。
「いいえ。今日はお城の『半にゃライダーショー』に持っていくので、ねこちゃん用和菓子も作っていたんですよ。ちょっと味見してみませんか?」

 ルドヴィコはまだ少し残念そうだったが、仕事のことになると自然と力が入るのか、すぐに気を取り直したようで、茶虎仔猫に新作・ねこ用和菓子の味見役を頼んだ。猫まっしぐら、を目指して力を入れて新作にチャレンジしたのだ。
 ねこ用和菓子皿に入れてもらったねこ用『半にゃライダー』練りきりを見て、最初はもったいなさそうにじっと見ていた仔猫だったが、くんくんと匂いを嗅ぐと、ものすごく嬉しそうな(多分)顔になってルドヴィコを見上げた。

 大男のルドヴィコが、「どうぞ」と言いながら小さい仔猫に最高の笑顔を見せたので、怜子は何だか自分も嬉しくなった。
 目の前のものすごい美形よりも、この笑顔の方が500倍も素敵。
 茶虎仔猫は最初は少し遠慮がちに舐めていたが、一口かじった後は、うまうま、と言いながら必死で食べ始めた。そして食べ終えると、ものすごく満足そうな顔をしてルドヴィコを見た。

「良かった。合格のようですね」
 ほっとした顔をするルドヴィコに撫でてもらって、茶虎仔猫はとても気持ちよさそうな顔をした。それを見てタケルが切り出した。
「この子はものすごく人見知りなのですが、あなた方のことは平気のようです。これから松江城の『半にゃライダーショー』に行かれるということですが、実は折り入ってお願いがあるのです」

 タケルは、自分はこれから出雲神社で仕事があるので、一緒に『半にゃライダーショー』に行ってやれないこと、ねこちゃん用観覧席のチケットは持っているのだが、一人で(一匹で)行かせるのは心配でどうしようかと迷っていたことを打ち明けた。そして、もし可能なら、お城にこの子をつれて行ってやってくれないかと頼んだ。
「そんな、お安いご用です。憧れのヴォルテラの御曹司のそっくりさんに出会えたというのも何かの巡り合わせですから。丁度、『半にゃライダー』の満沢さんやナオキくんたちに差し入れを持っていく予定でしたから」
 茶虎仔猫のオッドアイがキラキラ輝いていた。


 僕は何よりもまず相川の顔を見た。相川は呆然と目の前の男を見ている。男の方も、おや、という顔をしたが、それは僕たちのことを知っているという反応じゃなかった。
 背の高い外国人が松江の和菓子屋に二人もいる、という事態には驚くけれど、二人ともオッドアイの持ち主ではなかった。いや、そんなことはこの際もうどうでもいいんだ。
 この世界って、俗にいうパラレルワールドってやつなの? 僕たち、無事に元の世界に帰れるんだろうか?

「わ、これ、今朝テレビでやってた『半にゃライダー』の練りきり?」
 さすがに杉下は目ざとい。僕の一瞬の不安をかっ飛ばすような元気な声だった。もちろん彼女だって不安だと思うけれど、そうだよね、相川と杉下がいればきっと何もかも上手く行くはず!
 と、次の瞬間、僕は杉下の『半にゃライダー』という言葉に「にゃ」と答えた声に驚いた。

 足元に猫? しかも……まさかのオッドアイ! これって、朝、旅館のロビーで美形の絵描きさんが描いていた猫じゃないか。うわ、こんな偶然ってある?
 相川の顔を見て「おや」という顔をした背の高い金髪の外国人は、足元の猫の顔を見て、あ、そうか、と得心のいった顔になった。
「いや、失礼、どこかでお会いしたかと思ったのですが、うちの猫の目とあなたの目がそっくりなんですね」

 猫とそっくりってのもちょっとどうかと思うけれど、それはみんなが思っていることだったから仕方ないか。その、顔や目のそっくりさと言うよりも、オーラが……
 当の相川は男の顔と猫の顔を交互に見て、それから納得したのかどうかは分からないけれど、それ以上は何も言わなかった。でも、猫とそっくりと言われても特に気分を害したわけではないみたいだ。
 猫はじっと相川を見ていたが、やがてそっと相川の足元に纏わりついた。そう、前世に縁でもあるみたいに、あまりにも自然な感じで。
 相川はしゃがみ込んで、そっと猫の背中を撫でた。

 それにしても、この金髪外国人さん、見れば見るほど大和さんにそっくりだ。そんなことってある? 何だか訳が分かんなくなってきた。
 あぁでも、それよりもこの練りきり。ものすごくよくできている。和菓子ってまず目で楽しむってのは本当なんだなぁ。
 へぇ、半にゃライダーって3まであるのか。歴代の半にゃライダーたちと思われる猫たちの顔がそれぞれ和菓子になっているみたいだ。他に登場人物、満沢デザインやトカゲ怪人デザインなんてのもあるようだけれど、そちらは凝りに凝っていて本人たちに差し上げるものらしい。

「そうだ、味見してみませんか? 実は新作ほやほやなんですよ」
 杉下も僕も全く異論はなかった。相川はちょっと甘いものは苦手、という顔をしていたが、勧められて一口食べると、美味しいと思ったのか、意外にもひとつ平らげた。僕と杉下は3種類のライダーを片づけた。モモタロウと名付けられたのは、純粋な小豆の味が楽しめる和風。ペーターと名付けられたのは、チーズ風味なんだけれど、これがまた意外に和菓子にマッチしている。そしてナオキという名前の練りきりには500という文字まで付いていて、上品なチョコの味がしていた。どれもすごく美味しい。

 杉下は和菓子を頬張りながら情報収集にも余念がない。『半にゃライダー』は他国でも放映されていてかなり人気があること、松江城は外国からも沢山観光客がやって来ていること、特に今日は「お城まつり」をやっているのでたくさん人が集まっているだろうということ、などを確認すると、とにかくお城ね、と僕たちに頷いてみせた。


「すごい人気なんだね……」
 松江城の特設ステージに辿り着いて、杉下が感心したように呟いた。
 そうさ、いつの時代にもヒーロー番組は子どもたちに必要なんだ。そこからたくさんのものを学ぶ。思いやりとか、強い心とか、正義とか。しかもこの『半にゃライダー』は人生には笑いが必要だということも教えてくれるみたいだ。それと、動物と人間が心を通わせて想い合うってことも。

「あ、見て。さっきの猫ちゃん」
 ほんとだ。って、猫用観覧席まであるのか。う~ん、やっぱり不思議だらけだ。
 僕たちはショーを見るというよりも、観客席をガン見していた。いや、僕は本当はショーも気になるんだけれど……
 と、どっちつかずで舞台と観客席を半分ずつ見ていた僕の服の袖を、相川が引っ張った。

 彼の視線の先には、ちょっと気になる4人組の女性たちがいた。僕たちよりは年上だと思うけれど、女性ばかりの4人組で、中の一人の白とも言えるプラチナの髪が目を引いた。
 目の色は? 距離がありすぎてよく分からない。でも相川は何かを確信しているようだった。って、オッドアイ同士の勘? まさかね。それとも相川ってアフリカの人くらいの視力があるの?

「ね」
 今度は杉下が僕の服の袖を引っ張った。
「あっち。見て、白い猫を連れてる3人。よく似た感じでしょ。姉妹じゃないかな」
 本当だ。『マニア受けする』かどうかは分からないけれど、少なくとも結構可愛い感じ。

 何はともあれ、近づいて確かめようということになって、僕たちはまず4人組の女性を見失わないように追いかけた。彼らはショーを途中まで見ていたが、時計を気にしながらショー会場から離れていこうとしていた。3人姉妹らしき女性の方は、ショーをガン見していたし、猫連れだったから最後までショーを見ているだろうと相川が言ったのだ。
 僕らが4人の女性に追いついたのは駐車場だった。彼らは車に乗り込むところだった。

「本当に出雲神社はいいの?」
「だってここから結構遠いじゃない。時間はあるんだから、明日ゆっくり行こうよ。取り敢えず八重垣神社の『鏡の池』よ」
「で、今日は早めに玉造温泉に行って、温泉とお料理……楽しみだね」
 会話はそれぞれの扉が閉まる音で聞こえなくなった。

 八重垣神社、玉造温泉。いずれにしても僕たちとはまたどこかで接点があるかも知れないってことなんだ。
 運転席に座ったプラチナの髪の女性がエンジンをかけた。
 次の瞬間、安全確認をした彼女が僕らの方を見た。正確には相川の方を。
 あ、という顔をしたように見えたけれど、一瞬のことだった。
 確かに。左が明るいブルー、そして右が焦げ茶のオッドアイだ。彼女は何かを確かめるように、相川の方を気にしながら車をスタートさせた。

「運命の輪」
 杉下が呟いた。
「え?」
「なんかすごい力が働いている気がする。上手く言えないけど、輪っかがいっぱいくるくる回ってて、それぞれ別々の法則で動いているんだけれど、それが時々接触するの」
「いちいち追いかけなくても、輪っかはどこかで必ずすれ違う」
 相川が杉下の言葉を引き継いで呟いた。

「簡単に言うと、袖擦り合うも他生の縁?」
 僕がさらに続いたら、二人が僕を振り返った。えっと、また変なことを言ったかなぁ?
「そう、まさにそんな感じ。縁の国、出雲だもん」
 杉下がにこっと笑った。いつも真面目すぎる顔をしているけれど、笑うと眼鏡の奥の目が可愛いんだよなぁ。


 杉下の言葉はその後、誰か(出雲の神さま?)が何かを証明したいみたいに見事に現実となっていった。
 次の出会いは堀川巡り遊覧船の中だった。
 不思議なことにその頃には「指令をやり遂げなくちゃ!」というような追い込まれた気持ちはなくなっていた。何かに導かれているような不思議な感覚が強くなって来ていたんだ。ただ、それと同時に少し相川の顔色が悪いような気がして気にはなっていたんだけれど、話しかけてみたらいつも通りの無愛想な反応だったので、勝手に大丈夫かなと決めつけた。

 毒気を抜かれた僕たちがショーをやっている場所まで戻った時には、界隈はものすごい人で、とても人探しができる状況じゃなかった。遠くに猫ちゃん観覧席が見えている。猫たちはみんな一糸乱れぬ風で、舞台の「ナオキ」というヒーロー猫の動きを首の動きで追いかけている。
 あ、あれはさっきの「石倉六角堂」の人だ。帰るところなんだろうか。怜子さんと呼ばれていた女性の方が一人で先に帰るようだった。ルドヴィコと呼ばれていた大男のイタリア人は猫ちゃん観覧席に向かっている。

 僕たちは結局ショーを最後まで見て(結構面白かった)、3人姉妹が離れていく先を追い掛けた。天守閣から離れて堀川の方へ降りていく。
「遊覧船があるのよ」
 杉下の言う通りだった。3人姉妹は僕たちの随分前方でしばらく列に並んでいたけど、他に興味を覚えることがあったのか、列を離れていった。
 僕たちは一瞬追いかけるかどうか迷ったけど、実のところ彼らと「縁」があるのは八重垣神社と分かっていたので、そのまま列に並んでいた。

 僕たちの乗る屋形船は10人乗りだったけど、何故か5人だけを乗せて出発してしまった。先に乗り込んだ2人が外国人で、一人がかなりガタイのいい金髪の男性だったからだろうか。もう一人はプラチナというよりも白髪の髪の女性だったけれど、彼女は丁度影になる場所に座っていて、目の色までは確認できなかった。
 相川は気にしているのかいないのか、ほとんど黙ったまま流れゆく景色を見つめている。

「やっぱり一人は猫ってのは、何か合点がいかないよね」
 杉下がしみじみと呟く。
「うん。茶虎仔猫の毛って、今さらだけれどじっくり見るとかなり短いし細いよね。結ぶのは無理じゃないかなって気がするよ」
「髪の毛って霊が宿るって言うから、集めて束にして、そうしたら何かすごいパワーが生まれるのかなぁ。もっと文献を調べてきたらよかった……あ、見て。桜、きれいねぇ」

 本当だ。水辺の鳥も、花見をしているかのように桜の木の下を優雅にすべっていく。築城当時からほとんど変わらないという堀の姿を見ていると、時代を逆行する船に乗せられているような錯覚に襲われる。桜も、今と同じようにそこにあったんだろうか。あ、ソメイヨシノってそんな古い品種じゃなかったよな。じゃ、僕たちは「今」物凄くぜいたくな時間を漂っているんだ。
 桜の花びらが風に乗って白い髪に舞い降りた。金髪の男性がそっとその髪から桜の花びらを捕まえる。光の中で髪も桜の花びらも、光に溶けそうだった。
 恋人同士なのかなぁ。映画のシーンみたいだ。
 ま、でも。僕の「親友」だって、相当に絵になるけどね。

 遊覧船を降りる時。僕は足を滑らせそうになって、思ったよりも勢いをつけて船を飛び降りるような格好になってしまった。杉下の叫びで慌てて戻ってみると、白い髪の女性の上に杉下が乗っかかるような格好で一緒に倒れていた。
 杉下は小柄な方だし、女性とは言え外国人の体格は随分としっかりしていて、まるで杉下を抱きかかえているように見えたけれど、感心している場合じゃなかった。僕は直ぐに杉下を助け起こし、傍にいた相川が「ごめんなさい」と言いながら、白い髪の女性に手を差し伸べた。

 一瞬。二人はじっと見つめ合っていた。
 やがて女性は自然に、優雅に相川の手を取り、立ち上がった。
「すみません」
 僕が改めて謝ると、杉下と相川も一緒に頭を下げてくれた。
「気にするな。今日は特別な日だからな」
 
 特別な日。
 本当にその通りだ。すごく綺麗なお人形がふっと笑ったように見えた。ここにもまたすごい美人。ルビーとサファイアのオッドアイ、花柄の優しい色合いのワンピースが霞んでしまうくらいだった。
 次々に現れる「すごい美形」に「オッドアイ」。この町で一体何が起こっているんだろう?
「八重垣神社に行こうよ」
 僕は杉下の声で我に返った。


「それにしてもほんと、不思議な日。今日だけで3人もオッドアイの人に会うなんて。あ、猫も足したら4人。これってどのくらいの確率で起こることなのかしら」
 ルドヴィコと分かれて一人で八重垣神社にお参りに行くと、4人連れの女性たちに会って、店まで送ってもらった。その中の一人がまた綺麗なオッドアイだったのだ。
 朝、店に来た高校生、そしてルドヴィコの憧れの人のそっくりさんが連れていた猫、その後店にやって来た白髪の異国の美人。

 不思議なことが起こっているみたい。
 そう、何か大きな力が動いている。
 怜子は鏡の池で直ぐに近くで沈んだおみくじを思い出していた。
 神の見えざる手。それがいつか私たちをきっと結びつけてくれる。
 それも、そう遠くない未来に。




次回、最終回、八重垣神社と神魂神社に参ります。
そして最後はやっぱり宴会か!(*^_^*)
ハリポタトリオは無事に「ループ」を止めることができるのでしょうか?
お楽しみに!
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Category: オリキャラオフ会@松江

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