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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【迷探偵マコトの事件簿】(18) マコトの歳時記~風薫る5月~ 

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(イラスト:limeさん)
本当は5月5日に間に合わせるつもりだったのに、少しだけ遅れてしまったけれど、5月のマコトをお届けします。
そう、マコトも男の子ですから、端午の節句にちょっぴりファンタジックな物語を(^^)

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったらヒョウになるつもり。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。


【迷探偵マコトの事件簿】(18)マコトの歳時記~風薫る5月~

おそとの風が気持ちよくなってきた~
ぼくはねこのドアからベランダに出て、風のにおいをかいでみる。
海のにおいがするよ。
それにね、つきじの方からときどき、おさかなのにおいもするの。
ぼくはベランダの手すりのむこうをのぞきこんで、くんくん。
あれ?

ぼくはふと、せのびをして下の方をみおろしてみた。
タケルがね、ぼくが落っこちないように、でもちょっとだけ遠くが見えるように、ねこのタワーを置いてくれてるの。
そのてっぺんから見たら、したのほうで、何かひらひらしてる。
くろいのと、あかいのと、あおいの。

わ~!! タケル~~~!!!

ぼくはあわててねこタワーを飛び下りて、ねこのドアから家の中にもどる。
タケルはおべんきょうの本を読んでいるとこ。
ぼくはソファの下から、にゃあにゃあ呼んでみた。

あのね、タケル、あのね! おさかなが下のお空でおよいでる~~!!

タケルはふしぎそうにぼくを見た。
ぼくがうしろをふり返りながらベランダに行くと、タケルがついてくる。
ぼくはねこのタワーにのぼって、てっぺんでにゃあにゃあ。
「あぁ、あれはこいのぼりだ。そうか、おまえも男の子だったな」

こいのぼり?
それ、おいしいの?

それでね! タケルはぼくにもこいのぼりを買ってくれたの!
わ~、ぺっちゃんこのひらひら~。目がおっきい~!
くんくん。
……においはないね。
かぷっと。
……おいしくないね。

「食べるものじゃないよ。これは男の子が元気に大きく育つようにって、おまじないみたいなものだから。よし、これでいい」
マンションのベランダだから、ちょっと小さいめなんだって。
ねこにはちょうどいいよね。

くろいのと、あかいのと、あおいの。
3匹ならんでひらひら~
てっぺんでカラカラカラ~ってかざぐるまが回ってる!
わ~いい! ぼくのこいのぼり~!!
おっきくなるおまじない~!

「ちまきは食べられないから、そうだ、せいくらべをしようか」
……せいくらべってなに?

タケルは今度はおしごとのえのぐを持ってきて、まっ白いカベにお絵かきをはじめた。
ちゃいろと白。ちゃいろと白。ちゃいろと白。
わ、耳! それから小さいあたま、おせなか、おしっぽ!
……これ、ぼく?

それからタケルはぼくを絵のよこに並ばせて、しっぽの長さをはかった。
それから、しっぽの絵の上に、数字を書いた。
「これは今日の日付。少し大きくなったら横に並んでみる。そうしたら、どのくらい大きくなったか分かるだろう?」

ぼくは毎日、こいのぼりを見上げる。
低いお空で風にひらひら~
ときどきツキジのおさかなのにおい。

夜中になったら、ぼくはそうっと起きて、ベッドから飛び降りる。
ぼくはまだちっさいから、ベッドのすみっこのおふとんにつかまりながら、だけど。
それから、リビングのカベに行って、昨日のぼくと並んでみる。
しっぽをまっすぐに伸ばして。
う~っと伸びてみて、後ろをふり返ってみる。

わ。
ぼく、昨日のぼくより、1ミリくらいおっきくなってるよね!
ぼくはとってもまんぞく。
1日に1ミリ。3日で3ミリ。365日で365ミリ。
そうしたら、ぼく、ヒョウになれるね!

ぼくはねこのドアからこっそり外に出てみる。
<やぁ、マコト、今夜も来たね!>
大きいお父さんのコイがぼくに呼びかける。
うん、ぼく、来たよ!
大きいお父さんがぼくを背中にのっけてくれる。

しゅっぱつしんこう~!
ぼくは、お星さまがいっぱいのお空にまいあがる。
お母さんのコイと、子どものコイもいっしょにお空をさんぽ。
わぁ、おそらにも、地上にもお星さまがいっぱい!
お空から見たら、海もキラキラ光ってる! おさかなが光ってる!

あのね、お父さん、ぼく、今日1ミリだけおっきくなってたよ!
365日くらいしたら、ぼく、ヒョウになってると思うんだ。
ヒョウになったら、もうお父さんのおせなかに乗れないけど、ぼくね、おっきくなってヒョウになったら、タケルをおせなかに乗っけてあげて、いっぱい走るんだ。

お父さんは<がんばれ!>というように、大きくしっぽを動かした。
ぼくも1ミリだけおっきくなったしっぽをふってみた。
おそらには風のにおい。
海からは、まほうみたいにキラキラがのぼってくる。
おおきな風はまあるいちきゅうをぐるっと回って、またぼくのところにかえってくる。

ぼくはいつの間にかすやすや………
ねる子は育つから、ぼく、いっしょうけんめいお休みするね。

かぜかおる5月。
ぼくはちきゅうみたいにまあるくなって眠る。
ヒョウになって、タケルをのっけて、地平線のずっと向こうまで走っていく夢をみながら。




イラストはlimeさん(小説ブログ「DOOR」)に頂きました。著作権はlimeさんにあります。無断の転用はお断りいたします。

ちょっとファンタジーな物語をお送りしてみました。
というのも、なぜか頭の中で「せいくらべ」の歌詞がぐるぐるしていまして。
猫ってどうやって背比べするのかな? なんて間の抜けたことを考えていたら、こんな話に。
えぇ、何の捻りもありません^^; 
ちなみに、猫の大きさは「体高」(前肢 肩付近の高さ)、「体長」(横から見て胸から尻まで)、「全長」(横から見て頭部の先端から尾の先端までの長さ)で測るようですが、なんか尻尾を測ってるのが可愛い気がして。
よく考えたら、尻尾だけ測っても何の役にも立ちそうにありませんが、ま、どうせ、昨日と比べて1ミリ伸びてるとか言っている(しかも、ちょっと背伸びしてるし)マコトには、体格測定なんて何の意味もありませんが^^;

参考歌詞:「せいくらべ」「365歩のマーチ」??
歌の通りなら、「3歩進んで、2歩下がる」……(マコト、ショックで寝込みそう)

ちなみに「せいくらべ」の2番って、壮大な歌詞だったんですね。

童謡って時々、最後まで聞いたらすごい歌詞ってのがありますよね。「ぞうさん」も2番まで聞いたら、あぁ、これってすごい親子愛の歌だったのね、と思うし。

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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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