05 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 07

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

2015年6月のつぶやきコーナー 

<Twitter代わりのつぶやきとお知らせのコーナー>
通常の記事は、もうひとつ下から始まります

【8888Hitリクエスト・短編】人喰い屋敷の少年(8)歪み
【石紀行】27.栃木足利・名草巨石群~神の胎動を感じる巨石~(1)本殿巨石群
【石紀行】28.栃木足利・名草巨石群~神の胎動を感じる巨石~(2)奥宮巨石群
【石紀行・緊急特集】29.兵庫西宮・越木岩神社~磐座を守りたい~

応援中越木岩神社の隣地に残る磐座の保存活動
募集中【オリキャラのオフ会】参加者大募集中!
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 是非、ご参加ください! まだまだ募集中!

古いつぶやきは、続きを読むにあります。
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Category: つぶやき

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[雨130] 第26章 戻り橋(3)一縷 

【海に落ちる雨】第4節・第26章『戻り橋』の3話目です。
竹流が京都に囲っている「妻といってもいい女」珠恵(たえ)。祇園甲部の芸妓で、いつも静かに竹流が来るのを待っていた……のでしょうか。でも、彼女には何か少し事情があるようです。その事情は、まだここでは明らかになりませんが、竹流の消息については急展開が。
京都堀川一条の戻り橋は、晴明神社の向かいにあります。その場所へ、急いで行ってみましょう。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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【オリキャラのオフ会】また一緒に遊ぼうにゃ~! 

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また一緒に遊ぼうにゃ~!
あの言葉からわずかに2か月。静まり返っていた水面に、新たな一石が投じられた!


この記事の最後の方に、皆様の作品ラインナップを載せております。
発表順となっておりますので、ぜひご覧ください!



みなしゃん、こんちにわ~(=^・^=)
ぼく、ホッカイドウのじいちゃんに、にくきゅうでおてがみを書いたの。
そうしたら、タケルがフシギそうにおてがみを見るんだ。
やっぱり、ニンゲンにはよめない……?
でも、じいちゃんはよめるかも!
……だめ?

だから、ぼく、ちょっとおべんきょうしました!
ほらね!
マコトの手紙
どうしてぼくが、じいちゃんにおてがみを書いたかというと……
あのね、ことしの夏、タケルはおしごとで、とおくに行っちゃうの。
でも、なんべ~のじゃんぐるだから、ネコはつれていけないんだって。
だって、じゃんぐるではいつでも食事のジカンだから……(TDL?)
(タケル註:なんべ~って、ぬ~べ~じゃないんだから。南米の遺跡調査の手伝いです)
だから、ぼく、おるすばんすることになったの。
でも、ぼく、ひとりぼっちで何日もマンションでおるすばんはできないもん。
それでね、タマのおうちとホッカイドウとどっちに行きたい? ってタケルに聞かれたの。
あ、タマって、ねこのなまえじゃないよ!

タマのおうちには、シュクテキがいるんだ。
でもね、あのね、シュクテキとぼく、さいきん、けっこう上手くやってるよ。
イノチガケでオニごっこもするけど、シュクテキのおなかのよこでねたりもするの。
トモダチみたいにふわふわじゃないけど、ぼく、がまんしてやってるの。
ぼく、ちょっとおっきくなったから、シュクテキはもうぼくをいじめられないんだ!
ぼくがかんだりキックしたりしなかったら、おこらないもん。
(タケル註:マコト、おまえ、ボクサーに相手にされていないんだよ。あ、ボクサーというのはマコト曰く「シュクテキ」(シェパード)の名前です。まぁでも、以前に比べたら、トムとジェリーさながらに、仲良くやっているようです)

だから、タマのおうちでもいいんだけど、やっぱりホッカイドウに行きたいんでしゅ……あ、行きたいです。
ホッカイドウ、夏はとってもすずしいんだって! ぼく、暑いのキライ。
あれ? タケル、それなぁに?
あ、おうまさん!
ね、ね、なに、かいてあるの? にくきゅう文字にホンヤクして!

オフ会

というわけで、オリキャラのオフ会第2弾、ついに解禁!
何と幹事はうちのマコト!(大丈夫か、マコトで? 数も数えられないのに……)

オリキャラのオフ会とは?
第1回 オリキャラのオフ会in松江
要するに、オリキャラが集まって「どんちゃん」しようというだけの企画。
前回、幹事をしてくださった八少女夕さん(あるいは蝶子?)の説明をお借りしますと。
「オリキャラのオフ会」は、同じ日に特定の場所にオリキャラたちを集めて、それぞれの方が、小説・マンガ・イラスト・詩などを書くという企画です。当日、そこにいるとわかっているキャラたちと勝手にすれ違ったり、交流したり、ドロドロのドラマを展開してもいいというコンセプト。
と言っても、誰が行くかわからないと、交流のしようもないでしょうから、参加してくださる方は、この記事のコメ欄に予め「うちはこのキャラが行くよ」と申し出てくださるといいかと思います。また、早く発表した方のキャラはそこにいるということですから、勝手にすれ違ったり、目撃したりしてくださいませ。」

今回も同じコンセプトですが、スケジュールを少しアレンジしています(*^_^*)

今回のオフ会会場は北海道
北海道浦河の牧場経営者・相川長一郎氏プレゼンツ、8月13日帯広の勝毎花火大会に皆で集うという企画です。
あれ? ホタテ怪人の陰謀じゃなかったのか、って?
いや、そんなに毎回、貝のお化けが出てくるのもちょっとね。
でも、もしかすると、ホタテ怪人の陰謀が潜んでいるかも?
とは言え、美味しいものはどっさり! 盆踊りに花火大会! 宴会の限界に挑戦?


ルールは?
★ このオリキャラを参加させるよ~という表明をしてください。
  前回参加された場合、前回と同じキャラでも、また違うキャラでも構いません。
  初めてさんで、うちのキャラ、みんなに知ってもらっていないわ~という場合
   →コメント欄で自己紹介をお願いします。
★ 自力で北海道に来てください。
  時空を超えても構いませんが、現地までの交通費は各自持ちでお願いします。
  なお、集合~花火大会の全ての費用は、牧場での労働により相殺されます。
★ 浦河の牧場には8月10日夜までにご参集ください。
★ 集合までに北海道の観光地、どこかひとつを巡って、お土産を持ってきてください。
  お土産は食べものである必要はありません。
★ 書いていただく部分・回数に特に制約はありませんが
  北海道観光名所をひとつ入れて、買い物をしてきてください(お土産)。
  (北海道、広いけれど、名所は……なので、結構誰かと会うかも?)
  牧場のお仕事・宴会、盆踊り・花火大会なども、よろしければぜひお書きください。
  (一緒に働いたら、思わぬ恋の花が咲くことも?)
  お友だちのオリキャラの誰かと一度は絡んでください。
  (絡みの内容は問いません。目撃でもドロドロでも可)
★ 発表の時期は7-8月あたりを目途に、と思いますが、特に締め切りは設けておりません。
★ 大海は8月20日前後に、マコトの夏休み日記を発表します。
★ 皆様の作品にはリンクして飛べるように、こちらの記事でまとめさせていただきます。


スケジュールは?
8月10日夜まで 北海道の観光地を最低1か所回ってお土産ゲット!
8月10日夜 ウェルカムパーティー
8月11日朝 牧場で働く
    夜 盆踊り大会の練習=前夜祭
8月12日朝 牧場で働く
    夜 盆踊り大会
8月13日朝~襟裳岬を観光して、いざ帯広の花火大会へ
     (バスチャーター済み!)
要するに、毎日宴会だってことね。
なお、この後も牧場で働いてくださっても大いに結構!


皆様のオリキャラ出席予定は?(参加表明順・敬称略)
★ 八少女夕さんのところから
 山口正志白石千絵【君との約束 — 北海道へ行こう】より)
 レオポルドマックス【森の詩 Cantum Silvae - 貴婦人の十字架】より)
  人物紹介はこちら→オリキャラのオフ会in北海道の設定です

★ limeさんのところから
 ミツルナギ『NAGI』-北海道へ行こう―】『凍える星』パロディ漫画:『NAGI』】より)

★ ふぉるてさんのところから
 レイモンドリーザ詩人【ARCANA~アルカナ~】より)
  人物紹介はこちら→ARCANA登場人物紹介
  合流スケジュールはこちら→北海道オリキャラオフ会 特設?ページ

★ TOM-Fさんのところから
 春日綾乃【あの日、星空の下で】より)
  人物紹介はこちら→オリキャラのオフ会に、また行きます(メンバー紹介)

★ けいさんのところから
 鏡成太郎鏡一太郎【夢叶】より)
  人物紹介はこちら→鏡家御一行様

★ サキさんのところから
 コトリ【254】より)とダンゴ【H1】【H1A】より)
  人物紹介はこちら→オリキャラのオフ会に、また参加しようと思います。
  もしかすると、シスカも?

★ あかねさんのところから
 幸生←もとはフォレストシンガーズの三沢幸生、パラレルワールドに住んでいるユキは大学生です。
 ポチ←美月さんというブログ友達の方から養子にいただいた、魔法使い犬です。

★ ポール・ブリッツさんのところから特別に
 黒衣の女ノイズ(連作ショートショート)より)
 →その存在にはマル秘情報が含まれるため、マコトが目撃するのみの登場。
 (ポールさん、すこしだけお借りします!)

★ かじぺたのもっとデンジャラス(そうかも)ゾーンから特別に
 かじぺたさん兄貴たち(エドワード1世様とアーサー様)
 →大勢の参加者の食事の面倒は奏重さん一人では大変!
  というわけで大海が勝手に特別招集!

大海のところからの出席予定は?
★ 幹事:茶トラ仔猫・マコト
  (迷探偵マコトの事件簿より)
★ 牧場主:相川長一郎、その妻・民謡歌手の相川奏重⇒お世話係
  (海に落ちる雨より:登場人物紹介をご覧ください)
  こちら、お世話係なので、特に絡まなくても大丈夫です。
  あ、でも、ソーラン節の指導は、かなり厳しいと思われます。
  (三味線→長一郎、唄→奏重、踊り→村民一同)
★ ハリポタトリオ:富山享志・杉下萌衣・相川真+大和竹流
  (学院七不思議シリーズより)
★ もしかすると、あの婆さんとかあの爺さんとか??


オリキャラオフ会第2弾 in 北海道~また一緒に遊ぼうにゃ~!~
作品ラインナップ (準備記事含む/公開順)

 (オリキャラのオフ会)準備4コマ漫画&キャラの紹介(limeさん)
 夢叶 番外 ・ オリキャラのオフ会 in 北海道(前編)(けいさん)
 オリキャラオフ会2参加作品 696(パイロット国道)(サキさん)
 君との約束 — あの湖の青さのように(1)(八少女夕さん)
 オリキャラオフ会2参加作品 696(足寄国道)(サキさん)
 『背後霊』大海さんちのオリキャラオフ会/また一緒に遊ぼうにゃ~(あかねさん)
 (企画小説)オリキャラオフ会★前編:『能取岬と小悪魔ヒッチハイク』(limeさん)
 【浦河パラレル】(1)上野発夜行列車・パラレル札幌行 (大海)
 オリキャラオフ会 in 北海道 No.1(ふぉるてさん)
 夢叶 番外 ・ オリキャラのオフ会 in 北海道(後編)(けいさん)
 【小説】君との約束 — あの湖の青さのように(2)(夕さん)
 オリキャラオフ会★中編:『そして浦河の牧場へ』(limeさん)
 オリキャラオフ会 in 北海道 No.2(ふぉるてさん)
 【小説】君との約束 — あの湖の青さのように(3)(夕さん)
 牧神達の午後(サキさん)
 【浦河パラレル】(2)マコトの知床旅情(大海)
 シグナス・ルミナス ブルー ヴァリアブル Append 北海道の夏休み(前編)(TOM-Fさん)
 『花火の音は』(あかねさん)
 【浦河パラレル】(3)カムイミンタラの夕べ(大海)
 オリキャラオフ会 in 北海道 No.3(ふぉるてさん)
 シグナス・ルミナス ブルー ヴァリアブル Append 北海道の夏休み(後編)(TOM-Fさん)
 オリキャラオフ会 in 北海道 No.4(ふぉるてさん)
 【浦河パラレル】(4)あの列車に乗って行こう (大海)
 (企画小説)オリキャラオフ会★後編:『いつかまた』 (limeさん)
 オリキャラオフ会 in 北海道 No.5(ふぉるてさん)
 オリキャラのオフ会『出逢ったことが奇跡。そして、また逢おう』(かじぺたさん)
 【浦河パラレル】(5) I was born to love you(前篇)(大海)
 【浦河パラレル】(6) I was born to love you(後篇)(大海)
 オリキャラオフ会 in 北海道 No.6 (完結)(ふぉるてさん)
 いつかまた・・・(オリキャラオフ会)(サキさん)  
(特別番外)
 ノイズ(連作ショートショート)『ぱさ。』(ポール・ブリッツさん)


マコトが気にするお土産一覧
(親しみこめて、敬称略)
一太郎・成太郎→伏見の酒+日高の純米吟醸
正志→柳月 三方六セット
千絵→美瑛サイダー
レオポルド→マタンプシ(アイヌのハチマキ)
マックス→食われ熊
レイモンド・リーザ・詩人→ウニ(カニもついでに欲しいぞ~)
ナギ・ミツル→網走名物・マタタビカステラとマタタビ酒まんじゅう
ダンゴ・コトリ→クマ除けの鈴、清里じゃがいも焼酎(原酒5年)
幸生→大きな蕗の葉(コロボックルの傘)
綾乃→天然酵母パン
コンステレーションの親父さんから→日本酒「黒松剣菱」の一升瓶2本、届きました!
**漏れがあったらお知らせください!


Category: 番外編・オリキャラオフ会in浦河

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【石紀行・緊急特集】29.兵庫西宮・越木岩神社~磐座を守りたい~ 

マンション建設予定地
石の写っていない写真をトップに挙げてすみません。
こちらは兵庫県西宮市、阪急甲陽園の近くにある越木岩神社の隣地です。
今、ここにマンション建設が予定されており、越木岩神社では西宮市および建設業者への嘆願・保存活動をおこなっておられます。県内に住んでいながら、署名をした紙を送るだけでは何だか申し訳がないような気がして、先日神社をお訪ねして署名をしてきました。

折しも、明日は巨石ファンにとっての正月みたいな「夏至」。
各地で巨石のイベントがあったり、この日にこそと研究をされている方がいたりと、特別な日なのですが……私は仕事。
せめて、石たちのために何かしようと、記事を書いています。ちょっと長くなりますが、お付き合いください。

「越木岩神社並びに地域住民はマンション建設に反対している訳ではなく、天然記念物としての社叢をどのように近隣住民・越木岩神社・行政・開発業者として守っていくか、そのためには互いの協力が必要であると考え、建築主に対して計画を配慮して頂きたいこと、また、いずれ住まわれる住民の方々とも文化財を保護していくために事前の調整と協力を要請されてきましたが、全く考慮頂けていないのが現状であります。
 開発地内に今も残る三体の磐座(イワクラ)についても、元の所有者(夙川短期大学)は、越木岩神社の要望に応えて、その文化・歴史・宗教的価値を認め、磐座を保全できるように各棟を建設して頂いていましたが、この度の計画では破壊されるようです。越木岩神社から北山にかけては、奈良県の大神神社が鎮座する三輪山と同様に古代史研究において重要な地域であり、開発地内に鎮座する三体の磐座のもつ文化・歴史・宗教的資産価値は高く、破壊してしまう代償は計り知れなく大きなものと思われますが、全く配慮を頂けないようです。」

(嘆願書より)

他人様の土地に踏み込むわけにはいかないので、境内の貴船社の近くから覗いてみたのですが、更地の先に見える植え込みの中にも、壊されようとしている3つのうちの磐座のひとつがあるようです。
googleの航空写真で見ても、更地の中に植え込みがいくつか残されています。多分磐座のあるところだと思うのですが、要するに、そこは石が邪魔になって簡単には除けられない、ってことなんですよね。
もしもこれを除けるとなると、結構ダイナミックなこと(爆破するとか?)をしなければならないんでしょうか。

ここは六甲の山の斜面になっていて、きっとマンションが建てば、海まで見える最高の見晴らしの住まいになるでしょう。こちらは阪神地区でもかなり有名な高級住宅街。現地まで行ってみて、事情がよく呑み込めました。ここは学校が持っていた土地なので、この区域に相当に広い面積が今も手つかずで残っている、建設業界的には奇跡的に残された「聖地」みたいなものなんだな、と思いました。駅からここまで、かなり立派な豪邸が並んでいます。環境もよく、人気もあるのでしょう(坂だけど)。

つい最近経験したことなので、よく分かります。土地を売るときに、次にそこが何になるかで土地の値段が大きく変わります。最大の収益を上げるには一軒家ではなくマンションがいいに違いありませんから、「一軒家を建てる業者」に売るのと、「マンションを建てる業者」に売るのでは、土地の値段は大きく変わりますので、売る方としても、高い値段で買ってくれる業者に売りたいとなると、後者を選択することになるわけです。
我が家もそれで家族内でもめましたので(結果的には周囲の環境に配慮して、一軒家を建てる業者になりました)、売る側の窮状によってはやむを得ないこともあるのは分からないでもないです。背に腹は替えられない、ということもあるでしょう。
でも利潤だけでは人の心は離れていくと、松下幸之助氏も仰っておられたではありませんか。

確かに、建設業者の手に渡ってしまったら、そこからはもう「他人様の土地」。昨日まで自由に歩いていた自分ちの地面を歩くことは、不法侵入になるので、できません。何が建とうと、金銭的取引が終わった後では、何も交渉できません。
せめて良心に期待するしかないということなのでしょう。

もちろん、神社が学校に土地を譲った時と、経営難になった学校が建設業者に土地を売る事態となった今では、ずいぶん事情も変わっていると思います。
でも。もう少し慎重になったり、配慮したり、できなかったかと悔やまれます。
今は土地を所有していることが難しい時代になっていて、ちょっと持っていたら、相続の時に全部持って行かれるくらいの税金がかかって、土地を手放さなければならなくなります。古くから守られてきたものが、こうして別の人の手に渡った時、破壊されていくというのも運命ということでしょうか。

でも、それが国の定めた税制・方針ならば、せめて日本人として守るべきものは守るという取り決めは出来ないものでしょうか。
ヨーロッパの国では、街の景観を壊さないために建物の改修にも規制がかけられたり、遺跡的な建造物に人が住んでいることはあっても外観は変えないという法律があって、こうした国や都市の取り組みが根付いています。
そこに住む人は「遺跡に住み、歴史と伝統を守る」ことをステイタスにしています。
日本は、そういう点では残念ながら後進国としか言いようがありません。

この風光明媚な場所に住む人はきっとお金持ちでしょう。
この場所に住むためのステイタスを、「海が見える高級住宅街に住む」ことではなく、「古い文化・伝統を守り、日本人としての祈りの気持ちを持ち続ける」ことにしていただけないか、建設業者もそういう心で仕事をしていただけないかと、願うのです。
磐座を守りたいと主張する神社側の要求は(多分)、できればそのまま残してほしい、でもそれが無理ならせめて移動する、いや何より、ちゃんと調査をして欲しいってことです。門前払い(今のところ)というのは、ちょっと残念です。

そう言えば、この場所から六甲山頂上に向かう県道の途中に、有名な「道のど真ん中に残された巨石」があります。そこでは、道が二手に分かれています。地元では古くから、「動かすとたたりがある」と言い伝えられていたそうで、工事のために動かそうとした関係者が相次いで亡くなったという噂があり、2009年に県道の改修工事をした兵庫県西宮土木事務所は「ないがしろにできない」と、岩を避けて整備する異例の対応をされたといいます。

祟る、なんてことは石たちのイメージを悪くするので、ないほうがいいですし(もちろん、現実に「何かを封じ込めるために置かれた石」はあると思いますが)、もちろん、工事をする人々の安全を祈念していますが、でも「ないがしろにできない」という対応をしていただけないかと、せめて誠意をもって対応していただけないかと、心から思うのです。
越木岩神社の隣地に残る磐座の保存活動

さて、気を取り直して、越木岩神社をご案内いたしましょう。住宅街の斜面に残された、素晴らしい聖地です。
「当社は摂津国の一大霊場で、天然記念物の森に覆われた霊験あらたかな神社です。創立不詳と言われるぐらい由緒深く、甑岩を霊岩とし今なお全国的に信仰を集めています。
また古代信仰の磐境(いわさか)・磐座(いわくら)祭祀と呼ばれ学術上貴重とされています。今を去る千年前の延喜式神名帳に大国主西神社として記録されています。」

越木岩神社鳥居
この神社の入り口には「祭神は蛭子大神で『北の戎』と呼ばれ、ヒメユズリハを主体にした暖帯林の社叢(県指定天然記念物)が広がる境内は、昔懐かしい鎮守の杜を思い出させてくれます。」と書かれています。
本当に、小さいトトロになって森の中に住みたいと思えるような、素敵な「鎮守の森」なのです。
入っていきましょう。
越木岩神社参道1
参道も綺麗に整備されています。
越木岩神社参道2
両側に手洗い所があり、この右手には土俵と舞台があります。え? 土俵?
越木岩神社土俵
こちらは「泣き相撲」で有名な神社。赤ちゃんが泣き比べをする、あの「泣き相撲」です。
古い磐座、そしてこうした行事を通して、昔から現在までとても信仰を集め、浄められているのがよく分かります。大変明るい、素晴らしい場所です。階段を登ると拝殿です。
越木岩神社拝殿
「正保年間(1644年ごろ)に社殿が再建され、明暦2年8月16日(1656年)に円満寺の教順僧侶が「福神」の総本社西宮神社より蛭子大神を勧進し、蛭子太神宮と称しました。以後数回社殿は修復されましたが、現在の見事な片削破風流造のご本殿は昭和11年に、また拝殿は昭和58年に御造営となったものであります。」
越木岩神社本殿
横手の道から見える本殿です。拝殿・本殿の右手を進むと、くだんの甑岩(こしきいわ)に続いています。
甑岩へ
明るくて素敵な空気に満ちています。
土社
この道の左の脇に「土社」があります。 祭神は大地主大神。説明書きには「我らが立っている大地を祭る。土や地や住居や生成を守護す。地鎮祭の神でもある。」(隣の磐座も守ってくださると信じたいですね)
面白いですね。祠自体が石なのです。しかもまるで扉のようになっていますが……
土社2
開かずの扉です。横から見た方が分かりやすいかもしれません。
土社3
石を祠に模してあるわけですが、なぜ扉の形を描いてあるのか、石の形だけじゃだめだったのか、何だかちょっと面白いなぁと思ったのです。
甑岩正面鳥居
甑岩にたどり着きました。
甑岩社と磐座
すみません、何だか写真が斜めになっていますね……癖みたいなんです。写真を撮るとき気を付けている時もあるのですけれど、どうやらアドレナリンが出過ぎていて(いや、リラックスしているのですけれど、興奮状態?)今回は忘れっちゃってたみたいです。
というわけで、右下がり写真館、お楽しみください(って、なぜ開き直る?)。
祠の後ろに見えいてるのが甑岩です。甑(こしき)とは「日本酒の原料米を蒸すための、大型の(せいろのような)蒸し器」のこと。この岩の塊がその甑に似ている、とわけです。
祠があるので、真正面からの写真を撮っても、その迫力が上手く伝わりませんね。少し左手に行ってみましょう。
甑岩左2
こちらは左手から見た甑岩。幾つかの石が組み合わさったままの形で残っています。おそらくもともと大きな巨石だったものが、年月のうちに割れ目ができてきているものと思われますが、それにしてもすごい大きさです。
すぐそばが細い車道なので車が通る音が聞こえるのですけれど、ここはまるで異空間。この巨石が結界の真ん中にあるようです。
甑岩左3
これを見たら、ある人があることを考えそうですよね。……え? 何のことかと。
まずはこの磐座の周りを一周してみましょう。もちろん、磐座ですから、上には登れないのですけれど(上に登れる磐座と言えば……語っちゃいけないあの磐座。有難い)、周囲を回れるって素敵です。
甑岩左上る2
階段を少し登ると、背面から見ることができます。
甑岩後ろ1
左後ろから見たところ。
甑岩後ろ2
そして、ほぼ真後ろです。
真中の石、明らかに人為的な削り瘢があるのが分かりますでしょうか。鑿の瘢です。
この背後の山の中にもこんな石がありました。
甑岩近くにある穴の開いた石
これは石を割るときの方法だそうです。鑿を入れていって、穴を並べて最終的に割る、ということのようです。
あれ? 前回ご紹介した、足利の名草巨石群の石にもこんな穴が並んでいましたね……でもあの石、割って持って行くほどの大きさでもなかったと思うのですが……
一体誰がこんなことを? えぇ、こういうことを考えそうな人たちがいた時代。そう、戦国時代~江戸時代。もちろん、目的はお城の石垣です。
甑岩後ろ3
右後ろへ回っていきます。足元に注意しながら降りて行きます。
甑岩後ろ道2
そして、右手から見ると、今度は何やら奇妙な痕が。
甑岩右4
これは阪神大震災の時に崩れてしまった部分なのです。ここだけではなく、他にも崩れた場所があり、元の形にしようと思ったら1000万以上かかるというので、断念されたそうです。
修復の際には「ここは直したところだよ」というのが分かるように、わざと目立つように直すことも多くあります。これは後世の人に、ここは直したところでオリジナルではないということを明確に知らせるためです。金銭的な問題もあったでしょうが、こうして少し残念な姿を残すことで、一方で震災の凄まじさを思い出すきっかけになるのですね。
甑岩右3
甑岩の由緒を改めて読んでみましょう。
「祭神 甑岩大神 岩社祭神 市杵島姫大神
左前方にある高さ10メートル、周囲40メートルの花崗岩の岩は、その形状が酒を造る時の甑に似ているので甑岩と名付けられています。古代信仰の磐境、磐座なし霊岩とされ神が鎮まっていると、古来より言われています。
今を去る役1100年前(延喜年間)には、この岩より煙が立ち上り、茅沼浦(大阪湾)や戸田庄(西宮市戸田町・西宮神社が海岸で会った頃)入江のあたりの船からも見えたと伝承されています。
室町時代の俳諧の祖・山崎宗鑑(1464~1553年)が句を残しております。
照る日かな 蒸ほど暑き 甑岩」
甑岩右5
なるほど、甑というのは蒸し器ですから、こちらは形だけの問題ではなく、何かあったのかもしれません。火山というわけでないですから、煙・蒸気が出るのは何か電気的なものが発生するのでしょうか。含まれている元素に熱を発するものがあったのかもしれません。
甑岩右1
さらに、由緒の続きを読んでみましょう。
「この神の鎮まる霊岩を大阪城築城のために切り出そうと、村人達の制止の懇願にかかわらず、豊臣秀吉が石工たちに命じて割らせていたところ、今にも割れんとする岩の間より、鶏鳴し、真白な煙が立ち昇り、その霊気に石工達は、岩諸共転げ落ち倒れ臥し、如何にしても運び出せなかったと伝えられています。境内にある残石は申すまでもありませんが、この甑岩にも池田備中守長幸(松山城主6万5千石)の刻印があり、一部は搬出されたようです。
「安産の神」「殖産興業の神」「諸願成就の神」として崇拝され修験者が修行した霊験あらたかな岩です。」
甑岩社
確かに、この素晴らしい磐座も、歴史上破壊の危機にさらされたことは一度や二度ではなかったのでしょう。でも、今の私たちは歴史からも自然からも多くのものを学べる状態にあります。少なくとも戦国時代の人々より、はるかの多くの情報を手に入れ、そして考える手段を与えられているのです。
隣にマンションが建ったら、この磐座の向こうにマンションが見えるようになるかもしれませんね。残念です。
いえ、景観だけならまだいいのですが、マンションのような背が高く、しかも多くの人が住むような建物は、この鎮守の杜に何か影響しないのでしょうか。かなり心配です。
鎮守の杜2
ヒメユズリハを中心とした、県指定天然記念物に指定されている鎮守の森。巨木は少なめなので、比較的明るくて、実に気持ちのいい場所です。甑岩の右手を入っていく道を上がってみます。
ここを上がる途中で神社の敷地の端っこに行って、トップの写真を撮ったのです。
鎮守の杜3
近隣の人にとってはこんな場所が近くにあるって、素晴らしいことですね。六甲のこの辺りが高級住宅街になって、ちょぴっとお金持ちの人を惹きつけるのは、実は磐座パワーかって噂もありますが……座敷童に出会ったら運が開けるように運が開けるかどうかは、どれほど祈りの気持ちがあるかに依っているような気がします。
貴船社へ
もうひとつ、磐座が見えてきました。貴船社です。ご祭神は貴船大神・龍神。
貴船社2
ところで、このように他の石の祠はみんな扉がついているのですよ。土社だけ、どうしてああなっていたのか、今度宮司さんに聞いてみたいです。
貴船社の脇の石
この磐座を構成する石の一部です。こうして写真で見るとそうでもないのですが、私の背丈(158cm)よりも大きな石です。
この更に奥、林の中にも石が見えています。
貴船社の近くの石
これだけ石だらけだと、磐座なのか、ただの石の集まりなのか分からないし、そもそも六甲なんて石だらけなんだから、と思われる方もいるでしょう。確かにそうかしれません。でもそこに昔に人々が祈りを捧げた痕跡があるのなら、きちんと調査はしてほしいですよね。
貴船社3
貴船社の説明には「水に縁ある諸業守護し給う。災旱霜雨、豊作、海上安全。当社の奥宮は六甲山石宝殿であり雨乞いの霊験は特にあらたかである。」と書かれています。
そう言えば、この神社、水がわき出ているとこがあり、清水が流れています。
さらに登って行きます。もうひとつ、磐座があるのです。
境内図
神社の境内地図です。クリックで大きくなります。
北の磐座にのぼる
「北の磐座」と書かれた場所への階段。
北の磐座
こちらは、前に置かれたペットボトルからも分かるように、比較的小さめの磐座です。しかし、元の形はまた少し違っていたようで、震災のために姿を変えているのだとか。もともとはもっとはっきりと「陽石」を示す形だったようです。
北の磐座周囲の石
この神社では一番高い部分になるこの磐座。周囲にも多くの石が残されています。
お稲荷さん
もう一度、甑岩のとことまで戻ってきました。甑岩の右手には、お稲荷さんが2社、仲良く並んでいます。
遥拝所
遥か伊勢神宮を遥拝するお社もあります。
六甲山社
こちらは甑岩の左手にある六甲山社。西の方向を向いています。六甲山自体を神と拝するための社です。
こちらも、ちゃんと扉がありますよね。すごく拘っててすみません。先にご紹介した土社、やっぱり気になりますよね。
もしかして土社は未完成? それとも、地鎮祭の神様ですから、何か強い力(暴れるような)を封じるためにわざと扉がないんでしょうか(開けて出て来ないように?)。
不動明王と水神社
お不動さんと水の湧き出る場所をお社にした水社。どこも綺麗にしてあって、気持ちのいい神社です。
大阪城築城の残石
甑岩にも印が残っていますが、大名が切り出して運ぼうとしていた石が、境内に残されています。

大変長くなりました。石紀行は、難しい研究は他の素晴らしい記事を書かれている先達にお任せして、私は感覚だけで巨石を崇めよう!というコンセプトで、文章は少なめにしているつもりなのですが、今回は文字まで多くなってしまいました。
でも、前後編にするわけにはいかないし(話題が話題だけに)、今アップしておかなくちゃ、と頑張って書いておりました。
もしも署名など何らかの形でご賛同いただけることがありましたら嬉しいですし、そうでなくても、あるいはお気持ちだけでも、心にとどめておいて頂けたら幸いです。そして、もしよろしければ、神社に足を運んでみて下さい。
とても素晴らしい空間です。

最後に、近くにある北山緑化植物園から、綺麗な花と、そして北山公園内の巨石の一部をお届けします。実は、この公園内にも素晴らしい巨石があります。マンション建設予定地のいくつかの磐座とも関連がある場所もあります。今回時間がなくて行くことができなかったので、7月にまた再度訪れてみようかと計画中です。
タチアオイ
長くなったので、記事を畳んでいます(*^_^*)


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[雨129] 第26章 戻り橋(2)そして京都 

【海に落ちる雨】第4節・第26章『戻り橋』の2話目です。
この章は戻り橋という名前の通り、竹流が帰ってくるはずなのですが、彼の状態は前話によると、風前の灯のような感じです。果たして真は間に合うのか……そしてキーパーソンとなるあの人は今?

新潟の蓮生家、そして弥彦の江田島のところに行き、竹流の手掛かりにもう一歩で手が届くところまで来ていた真。江田島が竹流を「誰かに売った」ことを知り混乱しています。
「あなたは竹流を誰かに売ったんだ。違いますか? 契約の手形は、あなたが世間に晒されては困る事実を伏せておくことだった」

新潟駅まで迎えに来てくれた北条仁からもたらされた情報と、真が突き止めてきた幾つかの情報を突き合わせてみれば、大和竹流が今、とんでもない連中の手にあることだけは分かったのです。
「やっぱりな。なぁ、真、どうやらこいつは随分ケチな話のようだぜ。ビッグ・ジョーにちょっとばかり脅しをかけたら、白状しやがった。お前をさらった時に、お前が犯されているところを撮影していたんだとな。ただ楽しむためか、あるいは後で憎っくき大和竹流に見せて、苦渋に歪む顔でも見たかったのか。それを高い値で買い取った奴がいる」
 真は仁の顔をぼんやりと見ていた。屈辱とか羞恥とか、そういう類のものは流れ出したまま、今、真の身体の内側にはなかった。
「寺崎孝雄」
 真はその名前を呟いた。自然に、忌まわしいという感情が声に擦れて絡んだ。
「そうだ。お前に、いかがわしいビデオを作っている連中のことを教えてくれと言われたろう。その業界じゃ最悪の部類のものを作っているのはあの男だと、誰もが口を揃えて言った。子どもを犯したり、生意気で活きのいい綺麗な顔をした女や男を、言うことをきくようになるまで犯りまくる、それも途中で死んだって構わないときてる。カメラは死ぬまで回ってるんだそうだ。それを見ながら新しい獲物をいたぶるようなパーティをする」
 真は仁の顔を睨み付けた。唇が震えて痺れていた。
「しっかりしろよ。大和竹流は、いや、ジョルジョ・ヴォルテラは彼らにとってまたとない獲物だ。あの雑誌の写真を見れば、綺麗な有名人好きの連中は、身代を持ち崩すくらいの金を積んででも、嬉々としてあいつを嬲るだろうよ。考えてみろ、あの高貴で綺麗な顔が苦痛で歪むのを見ながら、身体にありとあらゆる痛みを刻んで、許してくれと泣き叫ぶ姿を見ては、もっともっと痛めつけてやるんだ。お前にはあいつが切り刻まれて犯されてる姿なんぞ想像もできないだろうがな、本物のサディストにとっちゃ、たまらんだろうよ」

[雨127] 第25章 佐渡に横たふ(4)佐渡の天の川より)

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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【石紀行】28.栃木足利・名草巨石群~神の胎動を感じる巨石~(2)奥宮巨石群 

奥の宮への道2
引き続き、足利市の名草巨石群です。
「厳島神社」「名草弁天」がこの巨石群に鎮座している、と記されている通り、始めに巨石ありき、だったのです。こうした石たちは、仏教やら神道やらがその土地に根付くずっと以前からそこにあって、土地の人々の信仰の対象だったのでしょう。
どこかに大きな石があれば、そこに神が宿ると感じ、村や山で道しるべとなるような石があれば、そっと手を合わすこともあったでしょう。あるいは、農耕の際には、岩の割れ目を通る夏至や冬至の太陽が目印になったこともあるでしょう。

そんな場所には、人々が古代から祈りを捧げてきた気配が漂っているのですね。
そこに弘法大師がやってきたならば、その場所を祈りの場と定め、石に御仏も彫ったかもしれません。
イタリアでも、古いエトルリア時代の神殿の上に、ローマ時代の教会が建てられていたりします。
自ずと惹きつけられる場所には、時代が変わり、形が変わっても、人々が手を合わせたくなる「何か」があるのかもしれませんね。
それは石たちから「感じる」何かであって、言葉で語ることはとても難しいのですが、こうした場所に来ると自然に身体の内側からわき立つものなのです。

さて、奥宮巨石群を目指しましょう。上の写真のような道が、細い水の道に寄り添ったり離れたりしながら続いていますが、それほど困難な登りではありません。駐車場近くの赤い鳥居から本殿巨石群までの方が、よほどきつい坂でした。
そして、ほどなく、見えてきました。
奥宮巨石群1
大きな石が、ここに集まっているのです。
もともと巨大な花崗岩が節理に沿って割れて、沢になっていた場所に集まり、その後水の流れも手伝ってこのような形になったものと思われるのですが、この場所にだけこうして巨石が集まっていると、とても不思議な光景に見えます。
奥宮巨石群2
石が集まっているので、ここだけ木が少ないのです。そのために少し開けたようになり、ここにだけぽっかりと陽が射しているように見えます。前記事にも書きましたように、明るい感じがするのです。
巨石は結構な山の中にあったりするので、やや暗めのイメージの場所もありますが、ここはほんわりと明るい。
奥宮巨石群4
石を迂回するようにぐるりと歩いていくと、奥にも大きな石が重なっています。
そのひとつの上に小さな石の祠が見えますでしょうか。……ちょっとだけアップにしてみます。……あんまりアップじゃなかった……
奥宮巨石群3
御舟石です。実はこの少し手前の石のところに「御舟石」と書かれた小さな印の石が立っていたのですが……
御舟石しるし
「お舟石に石宮を建立したのが本宮である」と説明されていましたので、小さな石の宮が祀られている石が御舟石なのでしょう。
奥宮巨石群7
この石たちの中へ入っていくことができます。
まるで石の林の中を歩くようではありませんか。
奥宮巨石群11
一番低くなっている場所にはこうして石がいくつも重なって集まっています。
石宮
別の方向から石宮を見ることもできます。離れてみるとそうでもないようですが、実はかなり大きな石たちの集まり。
奥宮巨石群12
石たちの間を歩いていて、不意に思ったのです。「なんだかこの下には地球の子宮があって、そこから石が生まれてきているみたいだ」と。この石たちには陽のイメージがあると思ったのは、この場所の射し込む陽の光によるものでもありますが、地球と繋がっている、地下から湧き上がるパワーもまた、陽のイメージに繋がったのかもしれません。
奥宮巨石群8
写真では、大きさや広さ・奥行きが伝えにくいのですが、ずいぶんと広い場所なのです。周囲は杉(多分)に囲まれていて、おそらく植林されたものと思うのですが、この場所以外にはこれだけたくさんの石が顔を出している場所はなさそうです。多分、地中、木の下にはまだまだいっぱい埋もれていると思うのですけれど。ここは沢になっているので、水の流れがあって、土が洗われていったのでしょうね。でも、この景色はまるで……
そう、ここではぼこぼこと地球の割れ目から石が生まれてきたみたい! 地球の胎動を感じる、とタイトルにつけたのはそのイメージからだったのです。
窪地、洞窟、そういった場所に何かを祀るのは、やはり子宮のイメージが重なるからなのですね。 
奥宮巨石群9
御舟石の上方に回り込むことができます。そこから見下ろしたところにある石、何やら彫られているのが分かるでしょうか。
小さな四角が並んでいるのは、明らかに人為的なもののようですね。いつの頃に彫られたのかは分かりませんが、何かの目印だったのでしょうか。→これは、石を割ろうとした痕なのですね。
その左の方の石には丸い穴があいています。こちらの方は、もしかすると自然にこうなったのかもしれません。
熊本の天草にある矢岳ドルメンやその周辺の石にもこのような丸い穴があって、何やら棒を立てて儀式をしたらしいとか、日時計のようにして使っていたとか、言われています。
写真の右端、道になっていますが、この更に右手に、行き止まりになっていますが車道があります。キャンプ場から車で上がってくることができます。
奥宮巨石群10
降りて行きましょう。奥に見える道が、戻りの道です。
本殿へ帰る
来た道とは別のルートから本殿巨石群に戻ります。どの道も整備されていて、歩きやすくなっています。
そうそう、ご紹介するのを忘れていました。上の方(2枚目)の写真の左に、石から突き出したように生えている木があります。こちらは楓の木で「石割楓」と名付けられています。
石割楓
残念なのは、見たままの風景を私の写真の腕ではお届けできないことです。が、この「石がぼこぼこあって、なんか穴も空いてる不思議な石もあって、で、石の間を泳ぐように歩くこともできて、なんか幸せ~」な感じが少しでも伝わったら嬉しいです。
(結局、直感でしか何も伝えられないんですね……)

あ、看板。これは赤い鳥居を入って登っていく途中、階段になる手前に立っていたものです。
名草巨石群看板
名草巨石群、素晴らしい石たちに出会える場所です。是非ご訪問ください。
厳島神社2

さて、次回予告です。この山の斜面の赤い建物はなに??
磯山弁財天2
少し離れた道からも、緑の山の中腹に謎の赤い建物が見えていました。
もしかして千と千尋の神隠しか~、って感じのお伽噺ワールドに誘い込まれそうな不思議な存在感。
白蛇
しかも、また白蛇さん?(ちょっとコワイ?) 
次回は栃木石紀行のおまけ記事、こちらの謎の建造物?のご紹介と日光東照宮にご案内いたします。

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[雨128] 第26章 戻り橋(1)死の影/18禁 

【海に落ちる雨】第4節・第26章『戻り橋』のスタートです。
このお話はもう10年以上も前に書いたもので、それ以降何度か手を入れたり、文章を直しているのですが、まだまだ読みづらい部分も多くあります。幾分か目をつぶって頂かなければならないところもありますが、書いていた当時の熱はそのままお伝えできたらいいなぁと思っています。

戻り橋、というのは堀川一条に架かる橋のことです。平安時代、陰陽師・安倍晴明のお屋敷がこの辺りにあったとか。晴明が亡くなった父親を呼び戻したのだとかで「戻り橋」という名前がついているのですが……今や大通り・堀川の脇の、川とも言えない「溝」に架かる石の橋。その向かいにある晴明神社に、少し古い時代の橋が残されています。
平安のころ、ここは町から外れた藪の中、だったのでしょうね。

話を大方忘れてしまっている方も、もしかして途中から何とかついていけないかなんて思ってくださっている方も、こちらの記事でご確認くだされば、意外にあっさりついていけるかも……(でも、ちょっと身も蓋もなくなるけど^^;)
【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物

なお、公開限定記事にはしておりませんが、この回はいささかきつい18禁ですので、注意してお入りください。不快に感じられる方は、竹流の回想(もしくは夢)のシーンが終わったら、途中をかっ飛ばして、最後の10行くらいだけ読んでいただいてもよろしいかと……えぇっと、ハードボイルドですから、色気は「け」の字もありません。

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【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント 

辛い第25章が終わり、やっと落ち着くかと思ったら、第26章の冒頭でまだ続いていた!
よくぞこんな18禁でRなシーンを書いたものだと自分でも驚くけれど、読んでくださっている人はもっと驚いているかも……あの頃私も若かったと思うのですが、改定するにも、先だっての誓い(この熱はこのままお伝えしようという)があるので、今更ビビってもしかたがないと思い、勇気を出しての再開です。
第26章の章題は『戻り橋』……そう、死者が蘇るというあの橋です。

私の想いが錯綜するために、少ないとはいえ読んでくださっている方にご迷惑をおかけしております。
ここからは少し休憩も挟まっているようなふりをしていますが(2人のシーンが結構多いので)、終盤に向けてノンストップなお話になっています。
再び、よろしくお付き合いくださいませ。
ちなみに、この記事と登場人物紹介を読んだら、途中からでもついてこれるかもしれない……身も蓋もなくなるけど^^; ま、それはそれでいいような気もします。そう、このお話、前半はピタゴ○スイッチのような紆余曲折が延々と続いていて、今やっと核心にたどり着いたのです。
途中で放り出されていた球もみんな最後には拾いに行きますので、それ何の話だっけ?というのがあっても、何とかなるかも!(かな?)



再掲になりますが、簡単なあらすじと第4節のタイトルラインナップです。


新宿にある調査事務所所長・相川真の同居人・大和竹流。
ローマにある教皇庁と深い関係があるヴォルテラ家の後継者であるが、その立場を捨てて今は東京でレストラン・バーとギャラリーを経営する美術品修復師。

大怪我をして入院していた大和竹流の失踪。
その失踪に重なるように蠢いていた人間たちの影が、今となっては静まり返っていた。
代議士・澤田顕一郎、溺死した元傭兵の田安、内閣調査室の『河本』、『河本』の命令で動いている警視庁の女刑事・添島麻子(竹流の恋人)、米国中央情報局に雇われている真の父親・アサクラタケシ。

真はようやく竹流の失踪時、最も身近にいたはずの男に行き当たった。
澤田顕一郎の元秘書・村野耕治の息子・草薙。

竹流が失踪前に関わっていたのは、新潟の豪農・蓮生家の蔵から見つかったというフェルメールの贋作だった。
蓮生家の怪しげな面々、贋作の鑑定に関わったという弥彦の村役人・江田島、フェルメールのことで政財界の大物たちを脅迫したうえで自殺したとされる雑誌記者・新津圭一、口がきけなくなったその娘、新津の愛人で真の恋人でもあった銀座のバーのママ・深雪。

それぞれがそれぞれの事情で事件に絡み、物事を複雑に見せている。
だが、事件の核心はただ一つだ。
「妙に大物が動く割には起こっていることが小さい」
絡み合う人間の欲望の泥沼の中から、真は彼を探し出せるのか。
そして、竹流が本当にしようとしていたことは何だったのか。
彼の本当の『敵』は誰だったのか。

草薙に案内されて、真は、竹流がフェルメールの贋作を描かせていた女・御蔵皐月のアトリエの焼け跡に行き、そこで彼の指輪を見つけた。
竹流がヴォルテラの跡継ぎだというしるしの指輪。その自分の体の一部のように大事にしていた指輪を捨てたというのだろうか。

さらに竹流の足跡を捜して、彼らは再び新潟にやってきた。
蓮生家の火事の真相に近づいた真は、歴史に巻き込まれた蓮生家の過去を知ることになった。
ソ連から預かりものをしていた蓮生家。その宝は絵画や宝物ではなく、神聖な一族の血だったと。
その末裔である千草の決心を感じながら、さらに竹流の足跡を探す真。
そして……


第23章 喪失
 竹流と最後に一緒にいた男と彼の足跡を辿る真。山梨、そして再び新潟へ。
 蓮生家の事情と村野耕治が繋がります。
第24章 宝の地図
 真の『恋人』香野深雪の過去が眠る新潟。そこで真が出会うのは……
 そして、フェルメールに焦がれた男・江田島の事情とは。
第25章 佐渡に横たふ
 大和竹流……彼は今、どこに囚われているのか……

……ここまで公開済みです。あ、第25章の一部はあまりにも苦しいので一部限定公開になっていますが、そのうち外します。とは言え、パスワードは主人公の誕生日なので、ものすごく簡単に外れます。

第26章 戻り橋
 舞台は京都へ。竹流の女房とも言うべき芸妓・珠恵との邂逅。
 そして、ついに真の手は竹流に届くのか……
第27章 ずっとここに
 「ずっとここにいてもいい。東京にも、ローマにも帰らないで、ずっとここに」
 真のメッセージはただこれだけだったのです。
第28章 恋歌
 真と珠恵。実は壮絶なる三角関係? 想いの深さは比べられません。
第29章 赤い糸
 もう一組、恋に惑うカップルが。そう、ヤクザの北条仁と、女子大生の美和。
 二人の心の軌跡もお楽しみください。
第30章 巷に雨の降る如くに
 竹流の心の声が溢れだします。
 そして、怒りの収まらない真が選んだ道は……



以下も再掲になりますが、これまでの出来事を整理しています。

登場人物一覧はこちらのページを→→【海に落ちる雨】登場人物
登場人物もほぼ出揃っています。
重要人物はあと2人:竹流の女房・珠恵と怪しいおじちゃんがもう1人

<あらすじのおさらい・ポイント>
真の同居人・大和竹流が大怪我をして入院中だった病院から失踪。自分で出て行った?
 竹流は修復師・絵画など美術品のディーラー
 時々仕事でややこしいことに巻き込まれるが……

失踪前、竹流が雑誌のインタビューに答えていた。
 珍しく人前に身を晒し、修復師としての仕事について熱く語る。
 ついでに同居人(真)への「愛」を告白?
 竹流はローマのヴォルテラ家(教皇庁と深い関係あり)の後継者。本人はそのつもりはない。

真の周りでも不可解なことが起こり始める。
 真をいつも心配してくれていた元傭兵・ジャズバーの店長の田安の溺死。
 真の恋人(体の関係かも)で銀座のバーのママ・深雪が真に貸金庫の鍵を預けて姿を消す。
 アメリカにいる真の父親(某組織のスナイパー)が真を訪ねてくる。
  →いつもは息子のことは無視しているのに……真は父親に対しては不信感。
 事務所が何者かに荒らされる……「誰かが何かを探している」
  →これについては、後日、およその事情が判明。
   竹流が真に何かを預けたと思っている奴らがいる。
 代議士・澤田顕一郎(田安が父親代わり)が真を雇いたいと近づいていくる。
 田安のバーで知り合った女・楢崎志穂。「姉」を探している。

竹流の失踪について、情報を握っていそうな連中は?
 竹流と一緒に姿を消している、竹流の親友・寺崎昂司。
   大怪我をしている。楢崎志穂に姉の敵とつけ狙われている。
   彼も必死で竹流を探している模様。
   竹流が真に何かを預けたと思っていて、それを探していた→悪質なビデオ
 竹流の恋人・警視庁の女刑事・添島麻子。
   彼女を使っているのは、内閣調査室の「河本」(香月)。
 入院中の竹流を訪ねてきた男。九州に行った美和に「首を突っ込むな」と忠告。
 新潟の豪農の女主・蓮生(上蓮生)千草、あるいはボケた下蓮生のじいさん?
 新潟県庁に蓮生から寄付された絵画に携わった、弥彦町役場の江田島。
 姉・御蔵皐月を探しているという楢崎志穂。
   真は嵌められて、荒神組というヤクザのところで痛い目に合わされる。

竹流の失踪と新潟には繋がりがありそう。
 新潟県庁にある絵画(蓮生家から寄付)が関係?
   竹流は恋人の1人・御蔵皐月に贋作を描かせて、県庁の絵をすり替えようとしていた?
 御蔵皐月と寺崎昂司、竹流は三角関係だっという噂もあり。
 2年半前、深雪の元恋人(不倫相手)・雑誌記者の新津圭一が自殺している。
   「IVM」のことで複数の人間を脅迫していた模様。
   その娘・千惠子(当時8歳)は父親の死を目撃しており、ショックのため口がきけない。
   新津も深雪も新潟の出身。
 代議士・澤田顕一郎は深雪のパトロン(純粋に足長おじさん)らしい。
   澤田は元新聞記者だが、深雪の両親(翡翠仏を介した収賄事件関係者)の自殺を機に辞職。
   澤田には秘書で病死した男・村野耕治の影が付きまとう。
   澤田と村野耕治、村野の妻・花は三角関係だった(花は澤田の元恋人)。

最初、妙に絡んできた内閣調査室の「河本」は手を引いた模様。
 真の父親が出てきたので、何か大事が起こっていると先回りしていたはず
 代わりに、竹流の叔父・ヴォルテラの当主チェザーレが乗り込んできた。
   チェザーレは、始めから外国人「ヤクザ」と取引をしている→竹流と寺崎を探せと。
 佐渡にある竹流の隠れ家に、竹流のフェラーリが炎上。
   地下の礼拝堂、そこで竹流の身に何かとんでもないことがあった痕が……。

伏線は全て絡んできます。
 新潟の豪農・蓮生家の事情。
   日露戦争当時、ロシアから持ち込まれた絵画がある。
 フェルメールの幻の絵を手にしたいという欲望を持つ江田島。
 澤田と村野と花の三角関係。
   真の動きを見張っている澤田は、何かに気が付き、誰かを探している模様。

関係あるような、ないような。
 真の事務所の愉快な仲間たち……
   特に「秘書」の美和と仁道組の跡取り・北条仁の伏線ラブストーリーもお楽しみに。
   あ、美和ちゃんはちょっと真に傾いたりもしていたのですが。
   いや、そもそも仁が真に懸想している……
 竹流は真のことをどうしたいのでしょう?
   竹流がインタビューに答えた雑誌は……
    ヨーロッパでも姉妹社から同じ内容の記事が出るモダンな経済紙。
    そこで「ヴォルテラを継ぐつもりはない」と公言。
   添島女史から一言(予告編?)
   「それがジョルジョ・ヴォルテラの答えだったのよ。あなたはどう答えるつもり?」

   
ポイントは、添島麻子女史いわく。
「妙に大物が動く割には、起こっていることが小さい」
ここまで、みなが何かに「踊らされて」いたようです。
核心は結果的にもっとも近くにあったのかも。

さて、ローマからやって来たチェザーレ・ヴォルテラは真を「使う」つもりだったようですが……
真が日常に戻るために「河本」から出された条件は「大和竹流に関わるな」。
真はこれを条件に事務所に戻ることを許可されます。
「河本」は「もう1人のキーパーソン」と何か取引していたようですね。



「おや、坊ちゃん、間に合いましたね」
 また誰かが彼を嬲りに来たのだ。彼は何とか目を開けようとした。抵抗のためではなかった。ただ、反射的に目を開けようとした。
しかし、目はアンモニアや他の腐敗臭で沁みて、もうほとんど本来の感覚器の役割を果たしていなかった。それなのに、耳だけは研ぎ澄まされたように、聴覚器としての義務を果たし続けている。死ぬ直前に最後まで残る感覚器は聴覚だと聞いたことがある。いよいよその時が来ているのだろう。
「こいつはもう駄目ですわ。呼吸がおかしくなってる。普通の人間だったらもうとっくにくたばっちまってるでしょうけどね、随分頑張ったもんだ。どうです、最後に逝っちまうまで突っ込んでおやりになりますかい。それとも指か歯を一本ずつ、落としていきますか。こうなってもまだ、恐ろしいくらい綺麗な手をしていやがる。すっかり血の気はありませんがね」


いよいよ、明日、公開! しかもいきなり18禁/R! お楽しみに(いや、そういう意味じゃなくて……)

ところで禁とRの違いは何? 禁はエッチな方で、Rは残酷な方? だったら両方かも、と思って適当につけております。でも、書き手としては(読み返しても)しんどいけれど、実際にはどうなのかしら。この程度、平気だよって人の方が多いのかなぁ。
いや、イタシテルだけなら下品だけれど、そこが目的じゃなくて、これを知った真がどんな突拍子もない行動に出るかという動機づけの意味合いを感じていただけたら、案外「それほどでもない」のかも。彼らの深層心理に触れていただけたら幸いです。そして、このことが竹流の今後に大きな影を落とすことも……(それはまだ少し先の話ですけれど)

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【石紀行】27.栃木足利・名草巨石群~神の胎動を感じる巨石~(1)本殿巨石群 

宇都宮市から高速に乗って車で約1時間余り。足利市と言えば、歴史で日本最古の学校「足利学校」を習ったおぼろげな記憶があるのみですが(しかも今回は素通り^^;)、日本地図=巨石マップになっている私の頭の中では「名草巨石群」がメインで記載されていたわけで……
さて、この名草巨石群は国指定の天然記念物なのですが、その場所に「名草弁天」と書いてあったり「厳島神社」と書いてあったり、一体その本当のところは何なの?と思いながらたどり着きます。
厳島神社
実は巨石の多くはナビに「○○巨石群」と登録されていることはないので、近くの目印になりそうなものを目指すことになるのです。で、時にはそこからが結構大変だったりするのですが、今回は名草キャンプ場が近くにあり、ここを目指してやってきました。イワナ釣りなどをしている人たちも多くいて、川沿いの駐車場には比較的多くの車が停まっていました。
その駐車場のすぐ山手に赤い鳥居があります。鳥居には「厳島神社」とあります。
厳島神社参道
比較的整備された道ですが、見た目よりもかなり急な坂道です。
厳島神社参道2
しかも坂道が終わったと思ったら、今度は階段です。巨石には簡単には巡り合えないようです。
厳島神社鳥居
階段の先に、もうひとつ、鳥居が見えてきました。ようやくたどり着いたようです。
足利市観光協会によると……名草弁天=名草厳島神社は足利七福神めぐり社寺の一つで弁財天<福徳財宝・家内和合>の神社、と書かれています。そして、「国指定天然記念物、名草巨石群鎮座している」と。
そうなんです。始めに巨石ありき、だったのですね。
『弘仁年間弘法大師空海によって勧請されたと伝えられ、江戸時代中期には別当である金蔵院によって巨石の上に石宮、 後に弁財天像(現在も金蔵院弁財天堂に祀られる)が造立されました。江戸時代の祭典の際には、弁財天を運び祭礼を行っていたましたが、明治維新の神仏分離により、 厳島神社となり平成元年新たに弁財天を造立しました。』
厳島神社鳥居2
鳥居のところからは、石の上に建てられた社と、ちらりと巨石の姿が見えています。
厳島神社境内1
鳥居を潜ると、まず左手に「弁慶の割石」があります。ぱっか~んと割れた巨石につきものの「弁慶が断ち割った石」という伝説付きです。単に節理に沿って割れただけなのですけれど、理屈が分かっていても、この割れの見事さに「弁慶が……」と言いたくなるのも分かります。
弁慶の割石
この石も写真に撮ると分からないのですけれど、かなり大きな石で、これだけでも巨石巡りの対象になってもいいくらいです。しかし、この先の巨石を見ると、すっかり小さく感じてしまうのです。
右手の階段を登って行きましょう。
本殿巨石群2
ここに立った瞬間、大きなものに包み込まれるような圧倒的なパワーが感じられます。しかも、そのパワーは妙に明るいパワーなのです。
実は私、最近捻挫を繰り返している右足が坂道では痛くなって(右足の片足スクワットができないのです)、山道などでは右足を庇っているうちに左足までもちょっと痛みを感じることがあるのですけれど、その痛みがす~っと消えていくような感じがしました。いえ、理屈では多分、多少違えていたスジ(腱)が何かの拍子に戻っただけだと思うのですが、何となくすっと身体が楽になったような不思議な感じがしました。
珍しいですよね。そう、巨石ファンの私ですが、「巨石から直接パワーをもらって御利益がありました」~なんてことを書いたことは一度もありません。それなのに、ここでは、そういう陽の力の生まれ出る何かが地下に埋まっていて、あたりを不思議な明るさで包み込んでいるように感じたのです。
(ちなみに、私にとって一番気持ちいい巨石は、今のところ尾道の岩屋巨石なんです。実は最初のころにご紹介しているのですが、もう一度行って、詳しいレポートをお送りしたいと思っているところです)
本殿巨石群1
弁天様が琵琶を奏でておられる像がありますね。この巨石、そんなに大きく見えないかもしれませんが、下に立つと本当に見上げるほどなのです。いつものように「大きさ比べの煙草役」の母に立ってもらいましょう。
本殿巨石群3
この一番大きな巨石の奥にある石たちも、其々がかなりの大きさのものです。
本殿巨石群4
特に、この赤く塗られた小さな橋の奥にある石、ちょっと卵の形みたいですが、水が流れ落ちていて、模様のようになっています。
本殿巨石群5
これらの巨石は花崗岩なのですが、そもそも非常に大きな塊であったものが、節理に沿って風化し、水に洗われていくつかの大きな石の累積になって残ったもの、と説明されています。いずれの石にも独特の顔があるようです。
本殿巨石群6
下から見上げると、この橋もちょっと怖いのですけれど(はい、高所恐怖症ですから……)、とりあえず上に登ってまいりましょう。
本殿巨石群8
橋を渡ったところから振り返った社ですが、後から思うと、これは拝殿に相当するものなのかもしれませんね。一応説明ではこちらの巨石の集合が「本殿巨石群」と書かれていましたが、この先、山の上にまだ奥宮があります。まだ秘められた場所、すなわち本宮があるわけです。
本殿巨石群9
今は土が載っていますが、このお社、まさに巨石の上に建てられているようです。
渡って行くと、その先に注連縄のかかった磐座のような巨石があります。この巨石、さきほど母が「大きさ比べ」をした写真の巨大な石の上に乗っている小さいほうの石なのです。
本殿巨石群10
このおにぎりのような石、人の背丈の倍ほどあります。いずれにしても、これまで写真で見たイメージよりもはるかに大きな石たちなのです。
さて、名草弁天の説明書きを読んでみましょう。
『名草弁天は、810年~824年、空海上人が水源農耕の守護として弁財天を祀ったのが始まりと伝えられている。
白い大蛇の道案内により、清水の流れる大きな石の前に出た大師は、岩の前に祠を建てられたという。
1693年、全蔵院住職が、領地検分の家来に弁財天宮の再建を願い出て、下附金三両でお舟石に石宮を建立したのが本宮である。明治の神仏分離令により、厳島神社となった。』
そうです。「お舟石に石宮と建立したのが本宮である」と書かれています。やはりここは拝殿なのです。
この注連縄のかかった巨石の傍に道標が立っていました。この先、『名草巨石群』と。
奥の宮への道
実は、名草巨石群はもう一か所、この上に『奥宮巨石群』という場所があって、そちらが本宮(元の宮)ということのようです。先ほどの弁慶の割石の手前にあった鳥居の少し手前にも奥宮に登る道があり、こちらのお社の脇にも細い道がありました。駐車場まで引き返して赤い鳥居の前の車道を登って行っても着くようです。
引き返すのは何だか残念なので、このままこの巨石の導くままにここから登っていくことにしましょう。実際にはここ『本殿巨石群』からわずか10分ほど、しかも比較的緩やかな道を登っていくだけなので、ここまで赤い鳥居から登った勾配を思えば、何てことはありません。もちろん、登り始めはいつも思うんです。
「この先、どうなってるんだろう?(また、道なき道?)」

ところで、何か忘れていますよね。そう、上の方の巨石の写真に、看板があって『胎内くぐり』って書いてありますよね。実は、先にこの奥に登っていってしまったので、胎内くぐりをしたのは戻ってきてからだったのですが、本殿巨石群の記事の中に収めておきたいと思います。
胎内くぐり入口
最も巨大な石の下はこのようになっていて、結構広い洞窟への入り口のように見えます。
胎内くぐり1
しかし、一歩中に入ると、急に狭くなっています。
胎内くぐり3
一番最後は、屈んで通らなければなりません(背中のリュックがひっかかる感じ)。上の写真の右側は潜り終えたところの出口を反対側から見たところです。
『胎内くぐり』をコトバンクから拾ってみると。
「各地の山岳や霊地の行場で、狭い洞窟や割れ目を通り抜ける場所に付けられた名称。修験者や行者、ないしはそれに率いられた信者たちは、山岳や霊地を他界または胎内とみて、その中を巡歴して修行し、いったん死んで生まれ変わる擬死再生の行を行ったが、胎内くぐりによってその観念を象徴的に実践して確認した。これによっていっさいの罪穢を捨て、肉体と魂を浄化し、新たに生まれ変わるという考え方を行動で示したのである。この考えの背景には、洞窟が一方では他界への入口とみなされ、他方では霊魂のこもる活力を復活する場として、神聖視されたことが関連している。」
生まれ変わる最後の部分が産道と同じで、一番苦しいところなんですね。

さて、それでは次回、いよいよ本宮をご紹介いたします。
神の胎動を感じる、とタイトルにつけたのは、この奥宮のイメージからなのです。

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【石紀行】26.宇都宮・大谷寺~日本最古の石仏~ 

大谷資料館入り口前
大谷資料館に入っていく道を、「大谷景観公園」から振り返るとこんな感じです。
そう、地下の採掘場の上部はこんなふうに岩また岩、の世界なのです。どうしてこの部分の地質がこうなったのか、兵庫の高砂でもそう思いますが、特異な性質の岩が立ち並ぶ景色は圧巻です。
大谷景観公園全景
大谷景観公園。公園と言っても何もありません。少し車を停めるスペースがあって、こうしてただ岩が並んでいます。
大谷景観公園
地上にある大谷石の岩肌はこんな感じで、彫刻するのも比較的たやすい、柔らかい石のようです。
さて、大谷資料館からわずかに車で数分、景観公園からは1分程度。もちろん、歩いてもすぐの場所にあるのが坂東19番札所・大谷観音です。
大谷寺7
この小さな門をくぐったら、その先には素晴らしい祈りの場所がありました。
大谷寺1
少し長くなりますがが、大谷寺で頂いたパンフレットに書かれた縁起を記載しました。
「その昔、この辺り一帯は大小の岩がまるで屏風のようになっていて、その中は広く平らに広がり、大谷と呼ばれていました。岩下からは水が湧き出して川となり、自然が作った城のようでした。この中には毒蛇が住んでいて、時々毒水を流し出し、鳥獣虫魚がこれに触れると、たちまち死んでしまったため、ここを地獄谷と呼んでいました。
人間がこの水に触れると病気になり、最悪の場合は死に至り、五穀は枯れ、草木もしぼみ、人々は苦しみ、この地を捨てようとしていました。
時に大同、弘仁(810年~)のころ、弘法大師が東国巡錫の折、この話を聞き、里人の憂いを除こうと毒蛇の谷に入っていきました。人々はこれを聞いて喜びました。十余日の後、谷から大師が出てきて、毒蛇を退治したと告げて立ち去っていきました。
人々が谷の奥に入り中の様子を見ると、高い岩山に千手観音が光り輝き、その脇立ちには不動明王と毘沙門天が彫ってありました。
この三尊の光明は山谷を一面金色に変えました。人々は弘法大師の不思議な力に感謝し、大師の修行を貴み、観世音に帰依して仏教を信仰するものが増えました。これが大谷寺の始まりです。
今、池の中央に弁財天が祭られています。かの毒蛇が心を入れ替えて白蛇となり、お仕えしています。」
大谷寺3
どこへ行っても弘法大師、ですが、その信憑性はともかくとして、この岩を見たら祈りたくなります。大迫力の岩、巨石、いや、地球の一部、です。思えば、ぜんぜん規模は違うけれど、グランドキャニオンやウルルだって、地球の一部の姿なんですよね。岩というよりも地球。
でも、この感じ、どこかで見たような?→【石紀行】18.山形千手院・垂水遺跡~この奇岩のパワー~
大谷寺5
お堂の右にはこのように小さな石仏が並んでいます。
大谷寺2
このお堂の上(というより背部)の岩、もちろん大谷石ですが、ここに千手観音が彫られているのです。
右わきからお堂の中に入っていくと、一瞬、息をのみます。
もちろん、今は、縁起に書かれたような黄金の観音さまではありません。金箔は今ではすっかり剥がれ落ち、また火災に遭ってしまっために表には一部すすけた部分もあります。巨大なお姿ではありませんが、それでも、ものすごい迫力です。
大谷寺絵葉書2
中は撮影禁止なので、購入した絵葉書をお目にかけています。
先ほどの写真の、お堂の背後の岩に直接彫られており、その前を覆うようにお堂があるのです。
よく見ると、葵の御紋が目に入らぬか~って感じですよね。江戸時代の初期、徳川家康の長女・亀姫が、時の大谷寺の住職・伝海僧正による中興を援助して、今の大谷寺の基礎を作ったのですが、伝海僧正は徳川家の菩提所・上野の寛永寺の開山であるため、大谷寺は寛永寺に属することになり、徳川家の保護のもとに繁栄したそうです。日光東照宮を訪れる際の中継地点ともなっていたようです。
大谷寺絵葉書5
こちら絵葉書なのですが、上空から見たお堂の左側にはまだ何やら建物が続いていますね。
こちらも背部の岩に十躰の石仏が彫られているのです。
またまた絵葉書からお借りしましょう。
大谷寺絵葉書4
西の大分は臼杵の磨崖仏と並んで大変貴重なものとして特別史跡・重要文化財(国指定)となっています。
大谷寺絵葉書3
実はこの石仏の下、洞穴のようになっているのですが、ここには古くから人が住んでいたようで、地層の最下層からは約1万年前の土器、さらに縄文最古という屈葬された人骨が見つかっています。小さな資料館があって、その人骨を展示してあります。
大谷寺6
あ。白蛇!
そう、こちらが縁起にも記された弁天池です。この白蛇の頭を撫でるとよいらしく、この橋を渡って、弁天さんにお参りです。
(分かりにくいので解説。この弁天さんのお社には小さな橋を渡って行きます。池の中州になっていて、上の白蛇さんは中州にいます。実はこの赤い祠の右横、橋の欄干の上あたりの白いひも状のものが、上の写真の白蛇さんなのです)
大谷寺弁天
この先には御止山という(江戸時代には松茸狩りをする宮様御用山で一般の立ち入りが禁止されていた)大谷石奇岩群を赤松の景色が楽しめるそうです。しかし、まだこの先足利市まで行かなければならなかったので、登山は断念。
大谷寺のすぐ横にはこんなものもありました。
平和観音
御丈88尺(26.7m)の平和観音です。第二次世界大戦の戦死者を敵味方なく悼み、世界平和を願うべく彫刻されたものです。横まで登ることができるのですが、はい、まだこの先長いので、下から祈らせていただきました。こちらも大迫力です。
すぐ近くですので、大谷資料館だけで帰ってしまわずに、大谷景観公園を通って、ぜひこちら、大谷寺と平和観音にもお立ち寄りください。というよりも、この大谷町の中だけでこれだけ濃厚な見どころあり! ですから、1日かけてゆっくり大谷石巡りをしてみるのもいいですよね(いや、私はまだこの先、足利市に……)。
大谷石のトトロ
あ、トトロも待っているようです(*^_^*)
大谷寺チケット
骨も、待ってるそうです(*^_^*)
最後に。漢字だけになると忘れそうだけれど、「おおたに」じゃなくて「おおや」ですので、お間違えのないように。

次回は、栃木県足利市の厳島神社・名草巨石群へご案内いたします。

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【雑記・花】花菖蒲競演と我が家のヒメシャラ 

須磨離宮公園
またまた満開の薔薇を外してしまった大海です。我が家の薔薇を見ていても、丁度一番花が終わったところで、二番花にはまだもう少しというのに、何も考えず時間があるからと行ってきました。須磨離宮公園です。向こうには大阪湾が見えています。本当はこの噴水の周囲には薔薇が咲き乱れているはずだったのですが、見事に切り戻され、まだ咲いている部分も色が褪せてきているところ。二番花の見ごろは6月20日頃だそうです。
薔薇4
こちらは道路沿いの薔薇です。開ききっていますが、やはり薔薇は見ごたえがありますね。実はこうした花弁の数の少ない薔薇、結構好きなんです。ゴージャス感はあまりありませんが……
薔薇2
名前は忘れちゃったけれど、誰か女優さんの名前がついていたような。
次回は満開の日をちゃんとリサーチして行きたいと思います。
しかし、さすがに春~初夏は他の花も盛りの時期。今回は少しだけ見ごろを越えていたものの、菖蒲(正確には花菖蒲)の花を楽しむことができました。今年は気候の関係で、例年よりも早く見頃になってしまったようです。

追記:八少女夕さんから頂いたコメントで気が付きました。漢字で書いたらどちらも「菖蒲」になるショウブとアヤメですが、別の花(似てるけど)。それは理解していたのですが、よく考えたらショウブとハナショウブも別ものなんですね。『しょうぶ園』と名うってあるのでボンヤリしていましたが、ショウブと言えば正確にはしょうぶ湯に使う、全然花っぽくない花がつく植物なんです。私たちがショウブ園という場所で見る「ショウブ」は正確には「ハナショウブ」。ハナショウブとアヤメは葉っぱの形が違うのと咲く時期が微妙に違うので分かるのですが、もっと分かりやすいのは咲く場所。このショウブ園のように、半湿地に咲いているのがハナショウブ。アヤメは陸地に咲きます。ちなみにカキツバタは湿地です。詳しくはこちらをどうぞ→アヤメとハナショウブとカキツバタの見分け方

菖蒲6
実に多くの種類があるのですね。もういちいち名前を覚えておりませんが、和風から洋風まで、多くの種類が植えられていました。
菖蒲3
こちらは『紫の上』。もちろん、源氏物語にあやかってつけられたものです。
菖蒲12(明石)
『明石』……明石の上の花は白です。
そう言えば、光源氏が女性たちに襲色目をあてはめていくエピソードがありましたが、紫の上は紫ではなく「こうばいのにほい」。「紅梅のいといたく文浮きたるに葡萄染(えびぞめ)の御小袿今様(こうちきいまよう)色のすぐれたるはこの御料」 。ちょっと臙脂っぽい赤系色があてられているのですね。
明石の上は「むらさきのうすやう」でした。「梅の折枝蝶鳥飛びちがひ 唐(から)めきたる白き浮文に 濃きがつややかなる具して明石の御方に 思ひやりけだかきをうへは目ざましう見給ふ」 とありますので、ぱっと見は白っぽい印象。
さて、光源氏は、というと。
菖蒲11(光源氏)
花が終わりかけていたので少ししょぼくれていますが、ゴージャスな紫でした。隣に『薫の君』もあったのですが、似たような花で少し小ぶりだったかな。
終わりかけの『光源氏』の花……私が『源氏物語』でかなり好きな下りは中年になってからのパート。権勢は誇りながらも満たされないまま幻を追い続ける憐れな男の末路に萌えてしまうのです……(あ、だからうちの某主人公のモデルは光源氏なのですけれど)
この花を見ながら、ゴージャスながらもしおれていくさまが何とも風流だと、しみじみ眺め入ってしまいました。
さて、後はもう名前も分からない(覚えていない)、でも美しい花菖蒲のギャラリーです。
菖蒲1
菖蒲4
菖蒲10
菖蒲(しつこいけど正確には花菖蒲)はサトイモ科の常緑多年草。原産地は日本です。花言葉は「やさしい心」「あなたを信じます」「忍耐、あきらめ」……耐え忍ぶ女のイメージなのですね……あ、男も耐えるだろうけれど。
菖蒲13
菖蒲9
菖蒲8
菖蒲2
この黄色いのは東寺にも咲いていたなぁ……ちょっとお気に入りの色ですが、でもやっぱり菖蒲(花菖蒲)は紫がいいかなぁ。
そうそう、紫系の多いこの花を撮っていて思ったのですが、どうもうちのデジカメでは紫の色目が出にくくて、青っぽくなってしまうのです。もっと紫なんだけどな~ということがしばしば。ギャラリー上から2つ目の青っぽい花、写真になってしまったら、こんなものだったかな、と思ってしまうのですが(記憶って曖昧)、実際はもっと紫っぽい色だったのです。
見た目の色を再現するのって難しいですね。でも、カメラの場合は極端だとしても、何よりも、自分が見ている色と他の人が見ている色が同じという保証もないし、そもそも同じものを見ていても全く同じかどうか分からない。視覚、それを分析する脳の仕組み、本当に不思議ワールドですね。
ソフトクリーム
薔薇を外しちゃって悔しかったので、ソフトクリームは「薔薇」にしました。味ですか? うん、ほんのりと薔薇の香りがしていました。
ヒメシャラ3
さて、最後に地味に「我が家のヒメシャラ」です。
ヒメシャラ(姫沙羅)はツバキ科ナツツバキ属の落葉高木。ナツツバキに似ていると言われますが、花も葉も小ぶりです。ナツツバキと言えば「沙羅双樹」ということになっていますが、インドにあるほんまものの沙羅双樹の花は赤くて、枝振りもダイナミックなイメージ。日本人の感覚には合わなかったのか、白くて清楚なイメージのナツツバキが代用にされているようです。ナツツバキが緑の苔の上に落ちている様がまさに詫び寂びの世界、もののあわれの世界なのですね。
ヒメシシャラ
このヒメシャラは、ナツツバキよりも更にひっそり感漂う花。花はナツツバキよりもずいぶんと小さいです。
実は我が家にはナツツバキも植えてあったのですが、枯れてしまったのです。さらに、ヒメシャラも、庭木で植える時は大抵、何本かまとめて植えるのですが、4本立ちで植えたうちのヒメシャラ、今は1本しか残っていません。でも残った1本は見事に育ってくれています。
毎年、いつの間にか咲いて、いつの間にか終わっている地味な花なのですが、今年は例年になくよく花がついてくれて、玄関脇でちょっと自己主張しています。いつも地面に花殻が落ちているのをみて、「あ、咲いていたのか!」って感じだったのですが……
ヒメシャラ4
ということで、実は今年の我が家の庭の主役大賞はヒメシャラにあげちゃおうかな、と思っている私です。ええ、枝垂れ桜はね、毎年素晴らしいんですけれど(あぁ、でも咲いたらやっぱり桜が一番、と思うのが桜、ですね)。
ヒメシャラ5
でも今は、玄関を出るたびに「姫」に声を掛けてしまう大海なのでした。
実はヒメシャラ、庭の木を選ぶときに「絶対植えたい!」と主張した花木。ナツツバキが枯れてしまった跡に、今ピンクのヒメシャラの苗を植えてあるのですが、さて、無事に育ってくれるのかどうか……
紫陽花1
これからは紫陽花の季節ですね。また紫陽花たちもお目にかけたいと思います(*^_^*)

Category: ガーデニング・花

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【8888Hitリクエスト・短編】人喰い屋敷の少年・(8)歪み 

limeさん
【人喰い屋敷の少年】第8話です。すっかり1か月に1話のペースになっている……何とかスピードアップしたいです。
しかも、今回もあんまりサービスシーンがないなぁ。でも、唐沢のおじちゃんを書く楽しみに、私自身は満足です(^^)
今回は少しだけ時間が巻き戻しです。かなえ養護施設から戻った真が「作家」と対峙するまでの間……さて、物語は少しずつ解けていっています。
*冒頭のイラストの著作権はlimeさんにあります。

登場人物
相川真>大学を中退し、唐沢調査事務所に勤めている私立探偵見習。子どもの頃の遊び相手はコロボックルという不思議青年。3年ほど前に崖から落ちて生死の境をさまよってから、ますます霊感に磨きがかかっているという噂もあり。
カグラ>真の上司・唐沢が出入りする三畳酒場の女主人。本人がホラーのような存在。
作家>カグラの店の常連。本当に小説家かどうかは不明。真を観察して小説のネタにしようとしているらしい。
教授>カグラの店の常連。何の教授か、本当に教授か不明。おっとりとした声で理屈を言うのでそう呼ばれている。
窓さん>カグラの店の常連。いつも酔っ払っているサラリーマン。
松岡綾>真の依頼人。7年前に失踪した夫・松岡圭吾の生死を知りたいという。
ルカ>「人を喰らう屋敷」で真が出会った、白い猫を抱いた少年。
唐沢>真の勤め先『唐沢調査事務所』の所長。戦時中は十代、その後アメリカにも長く住んでいた、傭兵あがりのおっちゃん。ギャンブルと酒と女が好き。ちゃらんぽらんだが、どこか憎めない。
三上>真の勤め先『唐沢調査事務所』の先輩。真のいいアニキ。
田代>7年前、綾の夫・松岡圭吾の失踪事件を調査した班の元刑事。若くして警察に嫌気がさし、今は喫茶店をやっている。
真田>綾の夫・松岡の元同僚の刑事。松岡は、綾と真田の関係を疑っていた。



【人喰い屋敷の少年】(8)歪み


 その日の午後、いったん三上と一緒にかなえ養護施設から事務所に戻った真は、ソファで高鼾の唐沢所長を叩き起こした。
「お前ね、可愛い顔して何て乱暴なんだ。もうちょっと優しく起こそうって気はないのか」
 そんな気持ちは全くない。しかも真の顔が可愛いなどという言い方自体が嫌味だ。いつも「お前、ほんとに野生の山猫だね、そんな怖い顔をすると運が逃げてくぞ」などと言うくせに。

 大体、この男の手際が良すぎる時は、何か裏があるのだ。これまでだってずっとそうだった。何ひとつ関与していないふりをしながら、唐沢が裏で糸を引いているなんてことは日常茶飯事だ。
 もっともこの男の「糸を引く」やり方は「何気ない一言を言う」というだけだ。それはほとんどの場合一種の脅迫で、唐沢にとっては何気ない一言が、相手の腹には相当食い込むことが請け合いなのだ。しかも、相手は、その一言を放った唐沢がその後何のフォローもしてこないことに、更に不気味な気配を感じて動かざるを得なくなるのだ。ところが、言った唐沢は十中八九、そのことを本当に忘れている。
 気の毒だと思うが、乗ったあんたが悪いよ、と真は同類相憐れむ気持ちになる。

 そう、唐沢の「何気ない一言」に乗ってこの事務所でバイトを始めたのが、真にとっては運の尽きだった。そもそも真の伯父の失踪に関係してアメリカから『私立探偵』などと言う輩がやって来なかったら、そして伯父の親友である斎藤が、友人の名瀬弁護士を介して唐沢を紹介してこなかったら、真にとって探偵業は永遠に無縁の仕事だったはずだ。
『お前の伯父上のことは俺がちゃ~んと調べてやるから、とりあえず、お前、うちでバイトしねぇか?』
 唐沢が真面目に伯父のことを調査している気配はなかった。真はそれについてはもう追求していない。真自身が結論を知っているからだ。そして、恐らく唐沢は始めから、真の実父のことも伯父の消息も知っていたに違いない。もちろん、唐沢は真を傷つけまいとして何も言わないわけではない。そんなお優しい男ではないのだ。

 今こうして、擦り切れて穴が開いているシャツの裾をたくし上げて脇腹を掻き、大あくびをしている唐沢を見て、誰もこの男が、優秀な米国特殊部隊の戦士という過去があり、誰からも恐れられた傭兵部隊の最も優秀な兵士であったとは思わないだろう。
 しかも、事務員の女の子がいない時は、ズボンさえまともに履いていないことがあるのだから、始末に負えない。
「隠し事は無しにしてください」
「何のことよ」
「どうして三上さんがルカという少年の件に関わっていたんですか?」
「そりゃお前、偶然とか、天の配剤とか、あれこれあるだろ」
「この世に偶然の出来事がないとは言いません。でもこの事務所の関わる事件で偶然が起こる確率は限りなく低い」
 あなたが所長である限り。真はその言葉を呑み込んだ。

 そもそも、松岡綾の夫、松岡圭吾のことを確認するのに江戸川区の警察署に乗り込んでいく手際からして怪しかったのだ。いや、もちろん、唐沢にはそういう突拍子もなく鋭い「勘働き」があるので、あの時点では必然なのか偶然なのか掴みかねた。だが、三上の仕事内容を知った時、頭の隅で小さく引っかかっていたことに合点がいった。
 唐沢がじっと真の目を見つめる。見ようによっては色気のある目だ。そういう女たちの言葉をもう幾度聞いたことだろう。だがこいつは多分恐ろしく頭の切れる悪党だ。そして、その悪事の底は空洞なのだ。何かありそうだと深い井戸の底を覗いているうちに、ある日堪らなくなって底に降りてみたら、何もなかった。唐沢とはそういう男だ。
 そして、「無」ほど「真実」に近いものはこの世にないのかもしれない。

「お前は本当に可愛いねぇ」
 そう言いながら唐沢は今度はパンツの後ろから手を入れて、尻を掻き出した。意外にも毛の薄い素足を組んで、もう一つ大きな欠伸をすると、今度は真剣な顔で真を見上げた。
「もっと教えて欲しいなら、手付金を払いなさい」
 ニタニタ笑いながら掌を上にして右手を差し出してくる。真はため息をついた。引き出しに仕舞ったはずの百万、綾が置いていった「手付金」がまだそこに無事に残っている確率は低そうだった。

「誰とグルになっていたんです? 始めから松岡綾さんにこの仕事には百万ほど掛かるって伝えてあったんですね。どうせ『うちの従業員は、多すぎるとか言って受け取らないだろうけど、その場合はこそっと置いていきなさい』とか何とか言ってあったんでしょう」
「いや、全く、お前は鋭いね~」
「冗談じゃありません。吹っかけ過ぎです」
「その代わり、万が一殺人が絡んでいても目を瞑りますよ、と言ってやったのさ。口止め料としては安いだろう?」

 真は思わずかちん、ときた。全くこの男は、冗談でも言っていいことと悪いことがあるし、本当のことなら尚更、触らずに置いておくべきこともあるのだ。しかも、この男に対しては口止め料など在って無きが如しだ。
 もっとも、この男は市井の薄幸な女性を脅してみみっちい口止め料をせしめるような人間ではない。そんなはした金には興味がないし、何かの間違いで誰かを死なせてしまったという次元の問題に固執するとは思えない。多分、松岡綾が人に知られたくない秘密を持っていたとして、それを唐沢が知ったとしても、聞いてから一日で忘れてしまうに違いない。彼にとっての重大事項ではないからだ。

「松岡綾さんのこと調べてあったんですね」
「死者の口寄せができる探偵なんて限定がついてみろ、お前しかいないだろうが。あぁ?」
「もう何度も言いましたけど、僕は霊能力者でもイタコでもありません。死者と話もできません。そういういい加減な宣伝をしないでください」
「お前ね、この商売は九十九パーセント、ハッタリなのよ」
 それはそうかもしれない。真は大袈裟に溜息をついて、テーブルを挟んで唐沢の前に座った。

「誰かがあなたと口裏を合わせて、この事務所に松岡綾さんを寄越したんですね。たまたまじゃなくて、必然的に僕しかいない時間を指定して。あなたは依頼料を伝え、彼女をそれを持ってやって来た。松岡綾さんについて、既にある程度下調べをしてあったあなたは、彼女が少なくともその額を払えるかどうかは知っていたということです」
「お前は、普段は口が利けないのかってくらい無口なくせに、誰かを追い込むとなるとよく言葉が出てくるもんだな。そうさ、俺ぁね、お前のそこが気に入ってるんだ」

「どうでもいいですから、あなたが彼女について知っていることを話してください」
「何くれる?」
「もう十分に松岡綾さんからせしめたでしょう。返す返さないはもう好きにして構いませんが、正直に話してください。彼女の依頼にはちゃんと答えを出してあげたいですから」
 依頼料を既に払った綾の方でも、まさかその一部でも返って来るとは思っていないだろう。その金額が高すぎると思ったならば、探偵社を替えれば済んだのだから。

「そんなことをしたら、お前さんがつまんないだろう? 謎解きっていう極上の甘い蜜を吸えなくなるんだから」
「僕は金田一耕助でも明智小五郎でもありません。謎解きを楽しんでいるわけじゃなくて、依頼人を困らせたくないだけです」
 唐沢はニタニタ笑って真を手招きした。仕方なくテーブルを回って唐沢の方へ行くと、ソファの隣に座るように促される。真はエロ雑誌を机の上に乱暴に移して、その場に座った。唐沢が真の肩に手を置いて、耳元に囁きかけるように言う。

「あの女の旧姓は門倉ってんだ」
「かどくら? って、じゃあ……」
 真の頭の中で、パズルがひとつ、カチッと嵌る音がした。

 門倉の『人喰い屋敷』の中に忍び込んだとき、白い猫を膝に抱いた、ルカとそっくりの少年の絵を見た。あるいはルカをモデルに描かれたものかもしれない。それと同じ印象をどこかで感じたことを、今、思い出した。
 唐沢と一緒に訪ねた、綾の夫・松岡圭吾の失踪を調べていた田代という元刑事の経営する喫茶店の中で見た絵。グランドピアノに頬杖をつく天使の絵だった。あの絵から全く同じ印象を受けたのだ。
 真の網膜に写し取られたその絵は、今写真のように鮮やかに記憶の底から蘇ってきた。絵にはサインがあった。Aya.Kという控えめなサインが。つまり、門倉綾のサインだったのだ。

「そうよ。あの『人喰い屋敷』のお嬢様だったのさ」
 唐沢は真から顔を離すと、にっと笑って「以上」と言った。
「以上、じゃないでしょう。他には?」
「お前、人から謎解きの結果を何もかも聞かされたら、がっかりしない?」
「しません。何度も同じことを聞かないで、さっさと白状してください」
「じゃ、あと一つだけ教えてあげよう」
 少し茶目っ気のある声で言ってから、唐沢は更に真の肩を強く引き寄せて、耳元に囁きかけた。
「あの女の通っている病院を教えてあげるよ」


 その病院は線路沿いにあって、白い漆喰が塗られた壁には、少し傾き始めた西陽が強く照り返っていた。
 駅からは少し歩くことになるので、人通りはそれほど多くない場所に、三階建ての四角い建物が周囲に溶け込むように建っている。街の中でもなく、かといって人里離れた場所でもない、その中途半端な立地がその病院の性質を物語っているようでもあった。診療所ではなく病院で、少ないながらも入院病室を備えているようだ。

 真は診療時間を確かめた。夜診の時間までそれほど間は無いようだ。硝子戸を押し開けると、ぎぃと大きな音がして、一瞬にして古い映画のワンシーンに紛れ込んだような気がした。
 入ってすぐに受付らしい窓口があった。カーテンが引かれていて、今は誰の気配もない。いや、まだ診察時間まで半時間はあるはずだが、すでに一人の患者が待合の椅子に座っていた。明かりは最低限しかなく薄暗い上に、あまりにも静かで気が付かなかった。顔を伏せ、入ってきた真に全く興味を示す様子もなく、床を見つめている。

 真はふと身震いした。その患者はまるきり動くこともなく、真っ黒な塊のようだった。ふと奥を見遣ると、外観からは細長い建物という印象はなかったが、油を引いた黒い木の廊下は随分と長く見えた。奥が暗いためにそう見えるのかもしれない。
 インターホンを押すと、少し遅れて中で物音がして、受付のカーテンが動いた。

 看護婦らしい中年の女性が顔を出す。今にも「まだ受付前ですよ」と喋り出しそうなその口が動く前に、真は切り出した。
「先ほど、電話で院長に面会をお願いした相川というものです」
 看護婦は表情を変えなかった。一旦カーテンを閉め、別のドアから出てきて、真を二階の院長室へ伴った。

 物部と名乗った院長は唐沢よりは幾分年上の印象で、大柄な男だった。太っているというわけでもなさそうだが、どっしりとした体格で、どこか唐沢と似たものがあった。その目の中に、相当の野心家だと思わせるものと、この世を見限って諦念している気配が同居していた。後ろへ撫で付けた髪が蛍光灯の灯りで黒々と照り輝いて見えた。

「断っておきますが、私は患者のことを探偵などというよからぬ輩に話す気などありませんよ。それは我々の倫理にも関わる問題ですからね」
 それはそうだろう。だが、この男は唐沢の電話ひとつで面会には応じたのだ。もちろん、例の唐沢流のやり口だ。
「結構です。ただ、僕の話を聞いてくだされば」
「五分だけです。もう診察の準備を始めなくてはならなりませんからね。つまり、精神統一です。君も分かるだろうが、こうした仕事は患者の話を聞いて同意してやりながら、聞き流す能力も必要なのですよ。でなければ私の方が『持っていかれてしまう』。何しろ、この仕事はこちら側と向こう側の壁が結構薄くてね、同業者で自殺者と病人が多いのもやむを得ません」

 真は返事をしなかったが、その意味は理解できた。少なくとも、中学生のころの自分を思い出せば、まさにその壁は無きに等しかったのだから。いや、あるいは今も。
「松岡綾さんはあなたの患者さんだと聞きました。彼女は、自分は誰かを殺したと相談していませんでしたか」
 もちろん、物部院長が何か答えるわけはない。無表情のまま真を見ている。

 だが、真には確信があった。唐沢が適当に「殺人の口止め料」などと言うはずがない。あの男がそう言うのには、何らかの根拠があるのだ。そして松岡綾は、何かに怯えているかもしれないが、自分が全く狂っているわけでは無いことを知っている。
 あの目は狂気の目ではない。赤ん坊だった真の首を絞めた義母の目とはまるで違っていた。義母は真を見ていなかった。だが、綾の目には真が映っていた。彼女は真に彼女自身を確かめようとしていた。

「ただし、彼女がその告白を警察ではなくあなたにしているという点から、彼女自身もそれが事実かどうかよく分かっていない、つまり妄想だと思っている可能性が高い。確信は無くても、どこか冷静に自分自身を見ている彼女もいるんです。さらに、彼女が『自分の罪』をあなたに告白して、それが警察沙汰になっていないことから、あなたの方でもそれが妄想であろうと考えている」
「確かに『私は人を殺しました』と患者が言ってきたとしても、ほぼ九十七パーセントは嘘でしょうね。君の言う通り、罪の告白をするならもう少し適切な場所があるからですよ。そして本当に隠したい者は、何も言わない。但し、残り数パーセントの人間は、法的に自分を裁くことのない誰かに罪を打ち明けておきたいと考える。とは言え、私は警察に『私の患者が人殺しのようです』とは言いに行きませんけれどね」

「彼女が夫の暴力に苦しんでいたことは分かっています。しかし一方で、彼女は夫を愛していた。それも恐怖からでも依存心からでもなく、あの人にとっては暴力よりも愛情の有無の方が重大な問題だったからです。いえ、彼女は愛していたのではなく、愛されていることを実感したかっただけだ」
 物部院長は初めて表情を変えた。変えたというよりも、真に興味を示したように見えた。真の中の何かを見透かしたのかもしれない。
 真はこの病院に入った時に思わず身震いしたように、身体をわずかに硬直させた。
 標榜科を見た時に、引き返してもよかったのに。いつの間にか掌にじっとりと冷たい汗をかいていた。

「彼女の描いた絵を見たことがありますか?」
「君は見ましたか?」
「はい。天使の絵と少年の絵を」
「何を感じました?」
「……贖罪を」
 その言葉を吐き出した瞬間、真は立場が逆転したことを感じた。
 この医者が真を追い詰めている。

 物部の目には感情がなかった。感情を表にすれば、『彼の方が持っていかれる』からなのだろう。だからこの男はただ患者の前で鏡であろうとして、そのことに成功してきたのだ。
 綾もまた、ここに来て物部という鏡に写った自分の姿を見つめ、何かを振り落すように絵を描いていたのかもしれない。彼女が罪を犯したかどうかは問題ではない。自分が罪を犯したかもしれないと思っていることが問題なのだ。

「これは一般論ですが、多くの人間は自分自身の中にいくつもの歪を抱えている。歪が小さければ大抵の場合は問題にならないが、大きくなった歪はやがてその人間自身を歪めてしまう。やがてその歪は自分自身の中では収まらず、人間関係や社会の中での歪になる。だから人はその歪を何かで埋めようとする。愛情、信念、仕事、芸術、時には犯罪……彼女の場合はたまたまそれが絵だったというだけのことです。だが、芸術の才能に恵まれた者はいい。歪を埋めることのできる何かを天から与えられたのだから。さて、君は自分の歪みを何で埋めているのでしょうね」

 物部はちらりと壁の時計を見た。
「時間です。君は私の患者ではないが、最後に忠告しておきましょう。君は彼女のことをよく分かっているようです。それはつまり、君自身がより『向こう側』に近いということですよ。繰り返しますが、壁は薄い。残念なことに、埋めたはずの歪はすぐにまた地盤沈下を起こす」
 そう言って立ち上がり、真にもうここを出ていくようにと促した。真はもう一言何かを言おうと思ったが、言葉が浮かんでこなかった。のこのことここへやって来た自分が悪かったようだ。

 院長室を出て行きかけた真に、物部が声を掛けた。
「ところで、唐沢は元気にしていますか」
「え?」
「たまには顔を見せるようにと伝えてください」
「どういう意味ですか?」
「これは彼への嫌味ですよ。君に私の患者のことを話したのですから。そう、彼もまた私の患者です。いや、患者だったというべきか。病気かどうかは本人が困っているかどうか、それだけですからね」
 真はしばらくじっと物部の顔を見ていたが、相変わらず表情を殺した目に丸裸にされたような気がして、目を背けるようにして頭を下げた。


 そして今、真は『人喰い屋敷』に隣り合う貸家の二階にいる。カグラの店で出会った「作家」が借りている家だ。小さな丸いテーブルの上に置かれたスタンドが作る丸い光の輪を挟んで、しばらくの間「作家」と睨み合っていた。オレンジの光の輪の中には、蚊取線香の匂いと一緒に、今しがた「作家」が放った「あの男を見張っていた」という言葉の余韻が漂っていた。
 真がじっと「作家」を見つめていると、「作家」はふふと合点がいったように笑った。

「おや、探偵さんは私が怪しいと思っていたわけではなかったのですね。私のところへはそのうち辿り着くだろうとは思っていたのですが、まさにあなたを見くびっていました。『あの男』を疑う理由は?」
「匂いです。『人喰い屋敷』の中で嗅いだにおいと、あなたの言う『あの男』がつけている整髪料の匂いが同じだった。偶然だろうとも思いましたが、あの後、三上さんと一緒にカグラの店に行ってあなたと話している時、その匂いがして『あの男』が店に入ってきた。同じにおいを何度も嗅いでいるうちに記憶が明確になってきた」
「匂いは直接記憶と結びついているといいますからね。最も原始的な感覚だ」

「それで、初めに一緒にあの屋敷に行った時のことを思い出したんです。あの時、誰かとルカ、つまりあの屋敷で目撃された少年が、言葉を交わしていたのを闇の中で聞いた。『えから抜け出したんだ』とそう聞こえた。その後で僕はあなたとぶつかった。てっきりあなたがルカと話していたのだと思っていましたが、幾ら思い出してみてもあの声はあなたの声じゃなかった」
「そう、聴覚もまた、胎児から死の瞬間まで、最初から存在し最後まで残る感覚だと言われていますね」

「それでふと思い当たったんです。あなたも彼らの会話をこっそりと聞いていたんだと。あの場所に、僕たち四人とルカ以外の人間がいた可能性は否定しませんが、そんなに都合よく大勢の人間がいたとは思えない」
「『えから抜け出した』……かの少年が幽霊なら、絵画から抜け出した、というニュアンスでしょうかね」
「いいえ。あれは質問だった。『どうやって抜け出したんだ?』……ルカが抜け出していたのは養護施設で、その名前は『かなえ養護施設』と言うんです。もちろん、あなたはご存じだと思いますが」
「作家」はにやにやと笑いながら何度も頷いた。

「それに、そう考えてみたら、あなたは僕の仕事に興味を示すふりをしながら、最初から『あの男』から何かをあぶり出そうとするような会話をしていた。あなたたちは人間が存在するということはどういうことかという話をしていた。そこに『いる』のに『無』と見なされるにはどうなればいいのか、と」
「探偵さんは実によく人を見ている。いや、それがあなたの才能というものでしょう。やはりカグラが見込んだだけのことはある」
 カグラ? 一体何の脈絡だ?

 そう思った瞬間だった。
 開け放たれたままの窓の向こうで、何かが倒れるような大きな物音がした。何事かと窓の方を見た真の目に、一瞬、閃光が射しこみ、消えてしまったと思ったら、再び何かが割れるような鋭い音が響いた。と同時に、聞き覚えのある声が、風で嬲られる木々のざわめきと一緒に耳に飛び込んできた。
 やめて!!
「作家」と目を合わせた瞬間に、真はもう部屋を飛び出し、階段を駆け下りていた。

 ルカ! どうして今、そこにいる!?

【人喰い屋敷の少年】(9)に続く。



*現在、看護婦という言葉は使われず「看護師」ですが、この時代には一般的ではないので、あえて「看護婦」という言葉を使わせていただいております。

さて、時を同じくして、ルカは隣の屋敷に忍び込んでいたのですね。一体そこで何が?
ルカの身に何か危険が迫っているでしょうか?


Category: ★短編(1)人喰い屋敷の少年

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【石紀行】25.宇都宮・大谷資料館~アートな石切り場~ 

大谷景観公園前
今回は石紀行でも少し異色の「石」をご紹介したいと思います。
『大谷石(おおやいし)』、Wikiってみると「軽石凝灰岩の一種。栃木県宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される石材。柔らかく加工がしやすいことから、古くから外壁や土蔵などの建材として使用されてきた。」と説明されています。大谷石なんて知らないわ~という方でも、実はその辺りの家の壁で見ているかもしれない、という石なのです。
場所は宇都宮の市街から車でわずか20分ほどの距離。今回、日曜日に宇都宮で少しお仕事の予定だったので、土曜日から出かけて「名草巨石群」に行こうとしてたら、宇都宮の方に「石というからてっきり大谷資料館かと思っていました」と言われ、「ん? 聞き捨てならぬ」と思って調べたら、「これ、テレビで見たことがある! 最近外国人に人気のスポットって言ってた!」
近くまで行って寄らない手はないと訪ねてみることにしたのです。この時点では石紀行に入れるつもりではなかったのですが、資料館までの道を走っていて、あるカーブを曲がったら……
上の写真は道の脇なのですが、道はもうまさに石だらけの中を走っているのです。
ご想像通り、瞬間湯沸かし器のようにテンションが一気に急上昇。
「うっわ~、景色自体が石だ~。地盤そのものなのね~」
→やっぱりWikiってみましょう。「大谷町付近の大谷石の分布は、東西8km、南北37kmにわたり、地下200〜300mの深さまであることが確認されており、埋蔵量は10億トンと推定されている。」
そんな中、こんな地味な入口から『大谷資料館』に入っていきます。
大谷資料館入り口
現在進行形ではこちらで採石されているわけではないようですが、石を切り出した生々しい痕が、資料館の入り口前にあったりします。
大谷資料館入り口前
「資料館」というと、展示物が並んでいるようなものを想像します。少しだけ展示物コーナーもありましたが、こちらの資料館の本体は「地下採掘場」。つまり採石場自体が展示されているという訳です。
地下坑内入口
地上に出ている部分はこの小さな入口のある建物のみ。
中に入ると、坑内は寒いので毛布をどうぞ、なんて貸し出されていたり。
では、いよいよ階段を降りて地下の世界へ入っていきましょう。
大谷資料館2
階段を降りてすぐのあたりですが、坑内の気温8度というのでとてもひんやりしています。
大谷資料館1
奥を見やるとこんなふうに神秘的な空間が続いています。
採掘の方法などは【大谷資料館HP/大谷石採掘方法】をご参照ください。要するに、平場掘り(下に掘っていく)と垣根掘り(横に掘っていく)を組み合わせて掘っているのですね。この大きな坑内の天井には所々地上と繋がった場所があります。地上での位置がどの辺りになるのかを確認するためのものだそうです。
大谷資料館7
それにしても巨大な空間です。このような大きな通路がいくつか交錯しているのです。外と繋がった場所もあり、トラックなどで入って来れるようになっています。
大谷資料館3
何やら青い光が見えてます。
大谷資料館4
表に回ってみたら「假屋崎省吾作」と書かれたオブジェが。この前で吉田兄弟(津軽三味線)が演奏されたことがあるようです。
大谷資料館パネル2
そうなんです。この空間、今や採石場ではなくアートな空間になっているのです。中には教会(非公開)もあり、結婚式も行われています。様々な種類のコンサートが催されたり、歌手の方々がミュージックビデオを撮影したり、映画などの撮影が行われたり。
【撮影実績】のページを覗いてみると、ミュージックビデオではX-JapanからB'zから三代目J Soul Brothersまで、映画では古くは『セーラー服と機関銃』から、最近では『るろうに剣心』まで、多くのアーティストや演出家を魅了しているようですね。
大谷資料館パネル3
エンヤさんもこちらで歌われたことがあるそうです。こんなふうに坑内にパネルがずらりと並んでいて、これまでここで撮影された様々なシーンを見ることができます。それだけではなく、こんなものまで!
大谷資料館ドンペリ
ドンペリです。確かに、ここはワインやシャンパンの貯蔵にはもってこいですね。
大谷資料館5
さて、石に戻りましょう。壁のあちこちに、こうした採石方法を知ることができる痕が残されています。崩れてこないようにこうして五一(ぐいち)になるように採石していくみたいですね。
大谷資料館6
切り出された石はこのような大きさになって運ばれていくようです。
1960年ごろまでは手掘りで行われていた採石。五十石(5寸×1尺×3尺)の大きさの石を一本掘るのに4,000回もつるはしを振るい、1人の1日の採掘量は10本だったそうです。機械化されて1日50本。どちらにしても大変です。
大谷資料館パネル採掘
最後に、【大谷資料館HP】によるこちらの地下採石場の解説を載せておきますね。
「1919年(大正8年)から1986年(昭和61年)までの約70年をかけて、 大谷石を掘り出して出来た巨大な地下空間です。その広さは、2万平方メートル(140m×150m)にもおよび、野球場が一つ入ってしまう大きさです。 なお、坑内の年平均気温は8℃前後で、地下の大きな冷蔵庫といった感じです。 戦争中は地下の秘密工場として、戦後は政府米の貯蔵庫として利用され、現在では、コンサートや美術展、演劇場、 地下の教会として、また写真や映画のスタジオとしても注目を集めています。」
大谷資料館パネル4
戦後、軍事工場として用いられたこの坑内を進駐軍に案内しているシーンが、展示室に写真で残されていました。このような歴史を抱え込んで、大谷資料館は1979年にオープンしたそうです。
予告にも書きましたが、これ、ナポリの地下遺跡と同じだなぁと。古い遺跡を戦時中には水の貯蔵庫としたり防空壕として使用したり。歴史はこうした場所に深く刻み込まれているのですね。
大谷トラック
入口に放置された(いや展示された?)古いトラックにも歴史が降り積もりますね。
宇都宮は東京から1時間弱。あるいは日光東照宮を訪ねる時にでも、この不思議な空間にも立ち寄ってみませんか。
現実の世界に引き戻される階段
ん? 地下から昇るところにこんな文言が……(^_^)/~
現実の世界に帰ってきた後、きっとこんな場所からはインスピレーションを受ける芸術家も沢山いらっしゃるのでしょうね。地下から繋がっている別の世界。そんな始まりの物語もありそうです。そう言えば、この空間にもあちこちに立ち入り禁止の場所があって、迷子になったら知らないよ~的なことが書いてありました。ナポリの地下遺跡にもそんな部分がいっぱいあったなぁ……
もうすでに物語が始まっているようです。

さて、大谷町の石紀行、これで終わりではありません。
大谷石の歴史は遡れば6-7世紀に切石積横穴式石室を持つ古墳に用いられ、その後700年代には下野国分寺・下野国分尼寺の礎石、地覆石、羽目石に使用されているそうです。そして、810年、次回ご紹介する大谷寺の本尊(大谷観音)が完成しました。よくあるお話で弘法大師が掘り出したそうですが(それは例のごとく眉唾?)、まさに最初に示した写真にあるような岩に磨崖仏を掘り出してあります。大分臼杵の磨崖仏にも引けを取らぬ、見事な仏様でした。
その後、1922年にフランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテルに使用されて再び脚光を浴びました。その玄関部は今は愛知県の明治村に保存されています(そうか、昔見たわ、と記憶が繋がっていくのでした)。

次回は、地下ではなく地上の大谷石に触れてみましょう。大谷寺、そして平和観音にご案内いたします。

Category: 石の紀行文(写真つき)

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