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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨139] 第28章 恋歌(6)復讐するは我にあり 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 その(6)、この章の最終話です。
先に【奇跡を売る店】をアップしようと思ったのですが、こちらのキリがいいので、先にアップさせていただきます。
徐々に竹流の意識は清明になって行きます。それと同時に彼の味わった恐怖が真にも直接に伝わってくる。そして、真と珠恵はついに共闘へ……
「復讐するは我にあり」、これは「俺が復讐してやる!」という意味ではなくて、復讐するのは神の仕事、お前たちは復讐など考えるのではない、という神の言葉です。今、真にはその言葉は聞こえないようです。そして、もしかして珠恵にも。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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2015年7月のつぶやきコーナー 

<Twitter代わりのつぶやきとお知らせのコーナー>
通常の記事は、もうひとつ下から始まります
【石紀行・緊急特集】29.兵庫西宮・越木岩神社~磐座を守りたい~
【石紀行】30.奈良山添村・岩尾神社~巨石に残された十字架~


まだまだ募集中【オリキャラのオフ会】参加者大募集中!
記事内に作品のラインナップを載せました
 offkai.png
ところで皆しゃま、おみやげ、忘れないでね~(と気にするマコト)……にゃ?

応援ありがとうございました
【奇跡を売る店シリーズ(1)サンタクロース殺人事件】
案の定、戦線はさっさと離脱してしまいましたが、応援のポチを下さった皆様、本当にありがとうございました! 引き続き、蓮たちをよろしくお願いします(*^_^*) 来年、作品を書きためて再チャレンジできたらいいなぁ。


古いつぶやきは、続きを読むにあります。
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Category: つぶやき

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[雨138] 第28章 恋歌(5)募る想い 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 その(5)です。
前回に引き続き、サービスシーン満載の回です。でも、今読んだら、何でか照れちゃうなぁ。だって、これって、壁ドンとかお姫様抱っことかに相当するお約束の○○○し……
今回も前回と同じく切り処がなくて、9000字くらいあるのですが、萌えどころも多い(はず)なので、するっと読んでいただけると思います。えっと、病院でこんなことしてたら、絶対怒られます。でも個室だからいいでしょう! え?
実はこの辺り、エピソード的に書いてあったシーンを流れに合わせて組み合わせたのです。多分、あの辛い章を書ききった後で、疲れていたのでしょう……微笑ましいような、そんなことしていいのかと悩むような、そんな中途半端な萌えを楽しんでいただけたらと思います(#^.^#)

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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【奇跡を売る店(2)】砂漠に咲く薔薇(1)~名前なき死体~ 

デザートローズ1
ふと、うちに転がってる石たちを見たら、「書け」と言われているような気がしたので、【奇跡を売る店】の第2話を始めようと思います。
これは京都を舞台に、『奇跡屋』という石屋で売られている石(貴石)たちがそっと誰かの人生に寄り添う物語です。
というと、流行のパワーストーンが絡むかっこいい話のように思えますが、実際には、失踪した伯父の探偵事務所の留守番探偵・蓮を主人公に、怪しい『奇跡屋』の婆さん(探偵事務所の大家)、蓮が面倒を見ている生意気な6歳児・和子(にこ)、そして、蓮がバイトをしているオカマバー『ヴィーナスの溜息』の愉快な面々、蓮の従弟で美青年だけど喧嘩っ早い舟、蓮の元婚約者で小児科医の海、蓮の元家庭教師で大原に住む仏師の凌雲、そのほか、かなり濃いキャラたちが京都狭しと動き回る物語であります。

私が『石紀行』でご紹介している、日本中を巡り歩いて出会う巨石たちとは大きさが違うものの、この物語でご紹介する不思議な石たちもまた地球のかけら。石たちの奇跡に出会っていただけるとうれしいです。

さて、今回のお話の石はデザートローズ。
スイーツみたいに美味しい薔薇じゃありません。dessertではなく、desert=砂漠のローズ・薔薇なのです。薔薇とっていも、植物ではなく鉱物。うちにあるのは3㎝位の小さなもの(上の写真)と9x6cm位の少し大きなもの。
この石にまつわる小さな事件をお楽しみください。
(1)のサンタクロース殺人事件を読んでいなくても、全く問題なく読めますので、よろしければ、お付き合いください。

(2016/9/14追記)
canariaさん主催の『carat!』に改めてこの作品を連載という形で載せさせていただくことにしました。
canariaさんの企画を目にしたとき、うちの石たちの話は「carat」にぴったりじゃない!と思ったんですが、何しろこちらは1話完結ものではないので、連載物は微妙かな~と思っていたのですが、この雰囲気だけでも楽しんでいただけたらいいなぁと。
シリーズなので第1話がありますが、読んでいなくても何の問題も無い作りになっていますので、京都の町の楽しいオカマバーを舞台に、あ、違った、探偵事務所と石屋を舞台に繰り広げられる物語、しばしおつきあいくださいませ。

bunner_carat.jpg

新作じゃなくてごめんなさい。でも放置しているものを救い出してやろうと(^^;)
今回の主人公(ヒロイン)は、栞那(かんな)。八少女夕さんの記事・『主人公とヒーローとヒロインと』に基づくと、こんなヒロインでいいのかって感じですが、彼女を軸に物語が進んでいきます。
ゆっくりの(3ヶ月に一度?)更新ですが、お楽しみいただけると幸いです(*^_^*)

登場人物などのご紹介は以下の記事をご参照くださいね!
【雑記・小説】自作を語るのはまだ早い(2)~奇跡を売る店~





「はるか、ねぇ、どうしたの?」
 栞那は友人の身体を揺すってみた。
 陽香は六畳間と台所の敷居を跨ぐように横たわっていた。手に伝わる肩の感触は、冷たくて硬い。まるで蝋人形のようだと栞那は思った。

 それとも栞那の手の方がおかしくなったのだろうか。そう言えば、冬の寒い日、病院に行っていつものように酸素飽和度を測ると、普段よりも五パーセントほども低い時があった。
 でも今はもう夏なのに。
 栞那はもう一度陽香の身体を揺すった。陽香はまるきり動かない。やっぱり硬い、と栞那は思った。

 陽香は朝見た時のままの恰好だった。着替える前だったから、ノーブラでピンクのキャミソールとブラウンのチェックのショートパンツだけ。ショートパンツからは白くて細くて長い足が伸びている。
 海に行って綺麗に焼きたいなぁと言っていた。どうして京都には海がないのとぼやいていた。

 え? 京都にも海はあるよ。
 琵琶湖のこと? あれは湖やん。
 違うよ。琵琶湖は滋賀。

 どうでもいいや、行けないもん、と言って陽香は綺麗に塗れなかったマニキュアに苛ついていた。自分の指を見て溜息をついていた唇も、今は渇いて黒ずんでいる。
 いつも綺麗に真っ赤な口紅を塗っていたのに、今日の自分の顔を見たら、陽香はがっかりするだろう。
 陽香はいつだって栞那の唇にも口紅を塗ってくれて、笑った。
 あはは。かんなは赤いの、似合わないなぁ。

 陽香は目を開けたままだった。薄暗くてよく分からないけれど、目は濁っていて、何も見えていないみたいだった。
 ぼんやりと死んでいるんだと思った。こういう時、普通の十八歳はどんなふうにするんだろう。きゃーって叫んで、慌てて携帯で誰かに連絡する? 病院? 警察? 親か友だち? どうしようとか、怖いとか、悲しいとか、もっと何かしなくちゃいけないことがあるはずなのに。
 でも栞那は何もせずに、陽香の見えない目が見上げている天井を、自分もただ見上げてみた。

 六畳一間と台所だけの古いアパートの部屋だ。その天井にぶら下がっている古くて四角い照明器具の傘には、薄いオレンジの布をかけてあった。ちょっと焦げたみたいに変色している。一応不燃性だって書いてあったから大丈夫、と陽香は言っていたっけ。
 こうしたら古くてぼろっちいのが見えなくなって、ちょっとお洒落なバーみたいじゃない? ゲンジツトウヒってやつ?

 本当だ。まるで何もかも、現実じゃないみたいだ。今この時も、これまでの数か月間も。
 一体、陽香は何から現実逃避していたんだろう。親とか、社会とか、そういう枠みたいなものから? それとも陽香自身から? そうだ、もしかして誰かに連絡したくても、例えば救急車を呼んだって、私は何て言えばいい? ゲンジツトウヒをしていた陽香なのだ。栞那は彼女のことをほとんど知らない。一緒に数か月間、同じ部屋で暮らしていたけれど。

 名前は?
 そう聞かれたら、陽香、としか答えられない。名字はアパートの表札に出ていたから矢野、というのだろう。誕生日は七月四日。この間一緒にお祝いしたから知っている。でもそれだけだ。年齢は栞那よりひとつ上だと言っていたから、十九歳。仕事は、よく分からないけれど、男の人にお金をもらっている。
 そうか、私は陽香のこと、何も知らないんだ。友だちだけど、それだけだ。

 扇風機が回る音が少しだけ煩い。風が時々こっちへ吹いてくる。陽香の着ているピンクのキャミソールが、風で皺の形を変える。
 陽香はいつもとてもお洒落な服を着ていたのに。それなのに、よりにもよって死ぬときにこんなつまらない格好で死ななくちゃならないなんて。五歳くらい年上に見られた方が、男の人に声を掛けてもらいやすいし、それに後からもうちょっと歳が若いのだと分かったら、たくさんお金がもらえることがあるんだ、と自慢げだったのに。

 栞那はふらりと立ち上がった。台所と和室の間の敷居に膝が当たっていたので、ちょっと痛いなぁと無関係なことを考えた。
 一畳分の押入れをクローゼット代わりにしていた。襖を外して、青い布を目隠しにして洋服や靴や、お洒落な小物を飾った。栞那自身のものはごく僅かだった。栞那が痩せっぽっちだということを除けば、二人の体格は大体同じだったので、陽香が服を貸してくれた。

 栞那はクローゼットから服を選んだ。陽香のお気に入りはこの淡い紫のワンピースだ。
 既に柔らかさを失った身体から服を脱がすのは、結構骨が折れた。
 ショートパンツは比較的容易に脱がせることができたが、陽香は失禁していた。そう言えばそんな臭いがしていた。病院生活が長かった栞那には、時には全く気にならない臭いだった。

 洗面器に水を汲んできて、下半身を拭き、下着を綺麗なものに着替えさせた。勝負パンツだと言っていた、Tバックの黒いレースのショーツにした。
 キャミソールを脱がすのは少し手こずった。面倒くさくなって肩のひもを鋏で切った。やはり、ワンピースは上手く着せてあげることはできなかった。腕が硬くて上手く曲がらなかったからだ。仕方がないので、少し肩のあたりを切って、安全ピンで留めた。
 ごめんね、綺麗に着せてあげれなくて。

 それから、鏡台から真っ赤な口紅を持ってきて、黒ずんだ唇に塗ってあげた。いつも化粧が下手だと陽香に言われていたけれど、我ながら上手くできたと思った。
 その時、ふと異質な臭いを感じて自分の手を見ると、乾きかけた血がついていた。身体にはどこにも怪我はなかった。栞那は陽香の頭を見た。頭の後ろに傷があった。
 頭を打ったのだろうか。

 ふと見ると、床に置時計が倒れていた。時代物の四角くて大きな置時計だ。この部屋には異質なものだったが、陽香は捨てなかった。こんなところに置いていたら危ないのに。
 そう考えてふと思い出した。

 今朝、陽香と喧嘩をしてこの部屋を飛び出した。その時、陽香は栞那の手を強く掴んだ。何か言われたような気がする。その言葉は鋭いナイフのように栞那の心臓を貫いた。栞那は思い切り陽香の身体を突き飛ばした。
 陽香は後ろへ倒れて、それから……大きな音がした。
 もしかしたら、私が陽香を殺しちゃったんだろうか。

 栞那は立ち上がり、狭い部屋を見回した。六畳の部屋の中にあるものは、二人で一緒に眠った低いベッドと、ラグの上の置いた小さな丸いテーブル、それに鏡台と、倒れた置時計だけ。白く丸いテーブルはどこかから友だちが拾ってきたと言っていたっけ。
 不意にものすごい違和感が襲ってきた。

 ここはどこだっけ?
 陽香の部屋? それとも私の部屋? 私たちの部屋? 大人たちに見つからないように隠れてきた秘密の居場所。
 それが突然、消えてしまった。

 この部屋には何も必要なものは残っていないと思った。陽香がいないのだから、ここは空っぽだ。栞那は何となく自分の仕事が終わったような気がした。
 ばいばい、はるか。
 栞那は部屋を出て、数か月前にもらった合鍵で施錠した。
 アパートの階段を降りると、湿気が地面から昇って来た。

 部屋の中では陽香の白く濁った目がまだ天井を見つめていた。
 木目の丸いテーブルの上に、小さな石ころのようなものが転がっていた。三センチくらいの土色の球体で、多数の白っぽい筋がでこぼこと色々な方向に走っている。
 天井のオレンジの灯りの下で、その石はまるで砂漠に咲いた薔薇の花のように見えた。

 

「はぁ~、蓮、のど乾いたわ~。ビール頂戴」
 ソノコさんが大きな体でカウンターに倒れかかってきた。カウンターのいつもの席に座っていた常連のゴロウちゃんが、笑いながら身体を少し引いて、ソノコさんの場所を作ってくれた。
「オシャカちゃん、水でええで。ソノちゃん、まだステージあるんやから」
「そうよ~、だからビールでガマンしてるわけなのよ~」
 野太い声でソノコさんがゴロウちゃんに返事をする。

 カウンターの内側にいた蓮は、小ジョッキに生ビールを注いでソノコさんの前に出した。
「え~、蓮、ちっさいわよ~」
 確かにソノコさんの大きな手に納まると、小ジョッキは小さなグラスのように見える。
「ゴロウさんの意見と俺の意見の折衷案です」

 蓮はソノコさんたちショーのステージに立つ「ホステス」たちの酒の量をそれとなく監視していた。誰かに言われたわけでは無い。ただ、蓮なりに、いつの間にか大きな家族のようになっている店の連中の身体のことを心配している。
 もちろん、一見誰よりも豪快そうでいて、よく周りを見ているソノコさんは、蓮のそういう気遣いにはちゃんと気が付いている。だから、それが水であっても、決して蓮の出すものを否定しないで受け入れてくれる。

「セッチュ~ア~ン。蓮、あんたはもう、どうしてそう難しいこと言うの~」
 そう言いながら、ソノコさんは小ジョッキを一気に空にして立ち上がり、それから気合いを入れるように両手でパン、と腹を叩いた。
「んじゃ、者共、であえ~」
 ソノコさんの掛け声で店中から拍手が起こった。メンバーは皆、客とハグを交わしたり、投げキッスを送ったりしながらステージ裏に引き上げていく。
 本日二回目のショータイムの準備だ。

 ここは四条川端の北東の角から二筋ほど入った場所にある、オカマショーパブ『ヴィーナスの溜息』だ。
 客は老若男女問わず、ホモセクシュアルであろうがバイであろうがヘテロであろうが、下品で悪質な客以外は誰でも受け入れる。働いている「オカマ」たちも、真面目なゲイもいれば、ただ女装してショーをするのが好きだというのもいる。ただし、芸のレベルは相当のところを求められるし、そのあたりのママの審美眼、演出能力はかなりのものだ。
 ショーのレベルは高く、近畿圏でも人気の店だった。

 ショーは、踊りあり、音楽と歌あり、漫才やショートコント、時に寸劇あり、手品あり、客との掛け合いありの約一時間。平日は一日二回、週末は一日三回のショータイムは満席だった。チークタイムもある。音大出身のユリウスのピアノ生演奏付きだ。それに、ママの手相とタロット占いはよく当たると評判だ。人生相談をしたいなら、店で一番頭の切れるシンシアや、人生酸いも甘いも知っている真正ゲイのミッキーがじっくりと話を聞いてくれる。

 釈迦堂蓮はこの店のホール係だ。
 前の仕事を辞めると同時に、女の子を引き取る破目になって困っていたところ、この店のママに雇ってもらった。蓮の以前の仕事のことは、ママと一部の人間しか知らない。もしもまだ知らない誰かが聞いたら、蓮のことを胡散臭い奴だと思うだろう。

 だが、この日、ショータイムまであと十分、ショーまでに酒の注文を済まそうとする客が多くてホールが最も忙しい時間に、蓮よりもさらに胡散臭い男二人が店のドアを開けた。
 二人の男はカウンターのママのところへまっすぐ歩いていき、何事かママに話しかけた。蓮は、いつの間にか筋肉が鍛えられた腕でトレイいっぱいのグラスを持ち、テーブル席に向かうところだった。
「失礼、釈迦堂蓮さんですね」
 男たちが見せたのは警察手帳だった。


 思い当たることならいくつもある。
 蓮のもう一つの顔は、釈迦堂探偵事務所の留守番探偵だ。
 本物の釈迦堂探偵、蓮の伯父である釈迦堂魁は失踪していて、行方が分からない。伯父はもと京都府警の刑事だった。

 何かの事件に巻き込まれた可能性は高いが、伯父は何の手がかりも残していなかった。警察も蓮も、捜索が行き詰まるとともに、自発的な行方不明ではないかと疑うようになっていた。もちろん、そう思う背景は別だ。
 警察はただ「日本には現実から逃げ出して身分を捨てて生きる人間はいくらでもいる」と考えるだけだが、蓮は別のことを考えていた。
 伯父は几帳面な性格だった。調査の記録や日誌は詳細につけていた。その伯父が失踪しあまりにも手がかりが無いということは、伯父が自分で手がかりを消したとしか思えないのだ。

 蓮は引き取った和子(にこ)という保育園児と一緒に、西陣にある昭光寺という寺に居候している。朝、無愛想で懐かない和子をママチャリの後ろに乗せて、保育園まで送り届け、そのまま四条河原町から東へ一本、高瀬川の手前を南へ下ったところにある『奇跡屋』の鍵を開ける。釈迦堂探偵事務所は『奇跡屋』の二階を間借りしていて、玄関を共有しているのだ。
 昼間は滅多に客の来ない探偵事務所の留守番をして、たまに客があれば依頼を受け、仕事をする。夕方は和子を保育園に迎えに行き、一度昭光寺まで送っていき、六時頃には『ヴィーナスの溜息』に出勤だ。

 どうしても蓮が探偵の仕事で店を抜けなければならない日は、ママが何とかやりくりを考えてくれている。始めこそ、あまりあてにされていなかった蓮だが、今や蓮は店にとって最高のホール係だ。蓮がいないと頭が爆発するわ~とママがぼやいてくれる。
 もっとも、釈迦堂探偵事務所が忙しいなんて日は滅多にないのだが、それでも時折、ややこしいことに巻き込まれる。

 その大半が、伯父の一人息子、つまり蓮の従弟にあたる舟のことだ。
 そんな言葉がもう似合わない歳ではあるが、有り体に言うと、グレている。あちこちで喧嘩をし、男女問わず「恋人」と切った張ったの揉め事を起こす。警察沙汰になったのも、一度や二度ではない。

 今日もまた舟のことだろうと思ったが、その日『ヴィーナスの溜息』に現れた刑事たちは、意外なものを蓮に見せた。
「これを見たことがありますやろ」
 それは、如何にも証拠品、というように小さなビニール袋に入れられていた。
 蓮は目の前にぶら下げられた小さな球体をひったくるように手に取り、じっと見つめた。

 このデザートローズは。
 どうしてこれをこの刑事が持っているのだ。

「覚えがあるんですな。石屋の婆さんが、自分は知らん、蓮が知ってる石やろと仰るんでね」
「店に同じような石がごろごろしてるから、そんなもん、見分けがつくんかと聞いたら、婆さん、あんたら、人間の顔はちゃんと区別がつくんか、と聞く。当たり前やと答えたら、石も一緒や、みんな顔が違うと言う。私らにはどの石も同じに見えますがな」
 蓮は、ビニール袋に入った石を刑事に返した。

「一体、何があったんです?」
「アパートの部屋で女性の変死体が見つかったんですわ。ところが、名前は偽名、アパート契約の保証人は保証人ビジネス、携帯電話の契約も同じく、部屋を調べても身元が分かるものは何もない。部屋の中で異質なものと言えばこの石くらいでしてね。刑事の勘、とやらを振りかざす上司に、石のことなら高瀬川の『奇跡屋』に聞いて来いって言われましてな」

「女性の変死体? 歳は?」
「心当たりがあるんですな」
「その女性の胸に傷があるなら」
 刑事たちは顔を見合わせた。
「ちょっと、署まで来ていただきましょか」




Category: (2)砂漠に咲く薔薇

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[雨137] 第28章 恋歌(4)燻ぶる 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 その(4)です。
今回は、竹流と真の会話、そして京都にやって来た添島刑事とのシーンです。サービスシーン満載の章だと言っておきながら、なかなかそんな場面は出てきませんでしたが、ようやく溢れんばかりのサービス精神でお贈りします(^^)
小説を読むとき、たとえばミステリーなら謎解きばかりのシーンだとちょっと残念。時には謎解き係の恋愛や人生の背景に関連したシーンを読みたいものですね。
少し長めなのですが、切り処がなかったのでお許しください。でも会話が多いのでするっと読めるかも。
前回、皆様をおののかせた?予告シーンも登場。えっと。18〇にしなくてもいいはず。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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[雨136] 第28章 恋歌(3)恋敵 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 その(3)です。
今回は、ようやく大和竹流の女房と言ってもいい女・珠恵(たえ)の事情が語られ、真の気持ちをかき乱してくれます。そして、実際に向かい合ってみると、恋愛小説の三角関係にありがちなことに、相手がいい人で引かざるを得なくなってくる。
この珠恵という女性は、実際には可愛く控えめな女ではありません。もう少し先にその事情が分かると思いますが、それでも真と珠恵、相容れない立場でありながら、お互い「こう思うかもしれない」「こう動くかもしれない」という気持ちを共有しているのです。
あ……別に真と竹流は恋愛関係というわけではないんですけれど、妙な前提で話してるなぁ、私。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
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【雑記・バトン】オリキャラバトン(30問) 

小説ブログ「DOOR」のlimeさんが拾ってこられたバトンを受け取りました(^^)
なるほど、作者が色んなキャラたちを思い出すのにはちょうどいいかもしれないですね。でも、うちの場合、あんまり主役級は多くはないので、ちょっと残念。何はともあれ、行きましょう!


Q1 このバトンを回す人を指定してください。
あら、いきなりですか。もちろん、どちら様でも。

Q2 自分の書いている小説やマンガなどのキャラクターを1つ挙げて下さい。
富山享志。主人公にはならないと思っていたけれど、書いてみたら結構楽しかったので。

Q3 Q2で挙げた人物の中には、いくつの物語が混じっていますか? また、何と言う物語ですか?
【学園七不思議シリーズ】の主人公(語り手)でもあり、【相川真シリーズ】の登場人物でもあります。
真の中高時代の(自称)親友であり、誰からも頼りにされている=いいように使われている級長。とってもいい奴なので(だから女子からは「いい人なんだけれ……」)、彼が語り手だと毒がなくて書きやすい。楽しく七不思議を解き明かしてくれそうです。

Q4 自分として気に入っているキャラを3人まで挙げてください。
気に入っているキャラはいっぱいいるんです。特に、おっちゃん・婆さん・爺さんはお気に入りばかりです。
でも、ここはそういうんじゃないですね。
オーソドックスに、外せない2人は相川真と大和竹流。究極の2人ですから。
で、あと1人……は、やっぱりあの猫かな。ほら、陰に隠れてないで、出ておいで。

(ぐすん)
何、泣いてるの?
だって、おおみしゃん、ぼく、やっぱり選んでもらえないだろうなって。ねこだし、他にいっぱいおおみしゃんがだいじに思ってるキャラがいそうだし……でも、やっぱり気になって、ちょっとだけ来てみたの。もしかしたら、ぼくだったらいいなぁって。でも、やっぱりチガウかなぁって、思ってたから……(ぐすん)
あらら。何を言うの。君はうちの看板ねこなんだから。オリキャラオフ会の幹事もよろしくね!
うん、ぼく、がんばるね。

Q5 思い入れのあるキャラクターは誰ですか?
一番思い入れがあるのは真だけれど、彼はもう別格として、もう一人を挙げるなら、【奇跡を売る店】の留守番探偵・ショウパブのホール係・元小児科医の釈迦堂蓮。
理由は……今はちょっと言えないけれど。

Q6 名づけに苦労したキャラクターとかいますか?
みんな適当につけちゃうからなぁ。とにかく生まれ出たら、悪霊にさらわれないように先に名前をつける! つけていない人は最後までつけていない^^;

Q7 友達にしたいキャラクターは誰ですか? またその理由は?
それはもう、【学園七不思議シリーズ】のハリポタトリオの両翼・富山享志と杉下萌衣でしょう。
何でもやってくれそうな、情に厚い使い走り級長。そしてモデルがハーマイオニーの、頭の切れる図書係。

Q8 恋人にしてもいいと思えるキャラクターは誰ですか? またその理由は?
う~む。うちのキャラ、お勧めできるのが誰もいない……(酷い)

Q9 逆に、この二人をくっつけたらいい組み合わせだと思うのはありますか?
それはもう、相川真と柏木美和。でもいい組み合わせってくっつかない(それが小説だ!)。
そう言えば、柴田よしきさんが自己の小説の中で、村上緑子と麻生龍太郎はいい組み合わせなのにくっつかない、と言っておられたなぁ。作者も「くっついたらいいのに」って思うのに、くっつかない、と……(ま、麻生は練さまのものだからね!)

Q10 皆で無人島に流れ着きました。最後まで生き残ってそうなのは誰でしょう?
サバイバル方法をたくさん知っているのは、トレジャーハンターでもある大和竹流。
でもこの人、自己犠牲心が強いので、「俺を食ってでも生き延びてくれ!」って言いそう(あ、シュールでごめんなさい)。
もともと野生なので、結構生き生きと生き延びるのは、相川真かも。おじいちゃんの長一郎氏は最強かも。あ、2代目真も根性で生き延びる。
もしかすると、limeさんちの長谷川さんとうちの真で最強ペアかも。
猫のくせにすぐやられちゃいそうなのはマコト。箱入りだから。

Q11 【男子キャラのみ】バレンタインデー、チョコが多そうなのを3人挙げてください。
最強なのは、その昔バーを任されていた、まだ堅気だったころの北条仁。芸能界からもスカウトがあったというし、ものすごくモテたと思う。
2番目は、ロックバンドのヴォーカリスト・2代目の真。ファンが多いから。
義理チョコナンバーワンは富山享志。99%、義理だけど。
竹流は、みんなに敷居が高いと思われていて、レース後半は伸び悩む。

Q12 【女子キャラのみ】いい奥さんになってそうなのは?
う~ん。うちのキャラは女性陣もただでは転ばないようなのばかり。
でも、結婚していたら絶対良かったのに、と思うのは、篁美沙子(真の高校時代の彼女)。
杉下萌衣はいいお母さんになりそうだな。

Q13 頭が良いのは誰ですか?
知識量で言うなら、大和竹流に敵う人はいない。
臨機応変というなら、北条仁。勉強じゃないけれど、結構頭がいいのは葛城昇。

Q14 では、逆に勉強出来ないのは?
真の事務所の宝田三郎。そういう環境で育たなかった。
マコト……あ、それはネコか。数も数えられない。当たり前だった……

Q15 運動神経が良いのは誰ですか?
相川真。運動が得意、というのなら別の人だけれど、運動神経というのなら、間違いなくこの人。なぜなら、半分ヤマネコの血が混じっているから(うそです)。
もう一人は点野裕貴(【天の川で恋をして】)。消防士で救命士。

Q16 では、逆に運動できないのは?
苦手そうなのは葛城昇と宝田三郎。

Q17 魔法使えちゃうんじゃないかっていうキャラクターは?
ここは期待を裏切りません。
龍泉寺の和尚さん(【清明の雪】)→もののけ遣い(噂)。
奇跡屋の玉櫛ばあさん(【奇跡を売る店】)→怪しい石を操る(噂)。

Q18 一番のお洒落さんは誰でしょうか。
それはもう、大和竹流でしょう。でも、北条仁もいいところにつけている。
並んで歩いていたら、絶対誰も近づけないなぁ(ちょっと見てみたい)。

Q19 チキンなのは誰でしょうか。
チキンじゃなくてネコだけど、マコト。
富山享志と宝田三郎は怖がりだけど、やるときはやる。

Q20 逆に、大胆不敵で無鉄砲なのは誰でしょうか。
これも期待を裏切らず、相川真。あぁ見えて、相当に無謀。そもそも人間界での常識に欠けているし。

Q21 こんな容姿になりたい!というキャラクターはいますか?
え? う~ん、かっこいいと思うのは、添島刑事。男社会で無理して生きている。

Q22 貴方は学校に遅刻しそうです。あまりに間に合いそうにないので、食パンをくわえて走っています。曲がり角で誰かとぶつかりました。倒れこんだそこに、「大丈夫ですか?」と手を差し伸べてきました。さて、誰ですか?
「おい、姉ちゃん、気ぃつけろや。前みて歩かんかい」
「す、すみません、色々悩んでて……」(食パンくわえてるのに)
「そうか、まぁ、生きてたら色々あるわな。俺でよけりゃ話を聞いてやろうか?」
とでも言ってくれそうな北条仁。(あ、学校には遅れちゃうけど)
(……そんな話じゃない? 自分のキャラで会ってみたいNo1なので)

Q23 皆でバスに乗ってます。全員着席していて、もう席は空いていません。そこへ、明らかに腰の悪そうなおばあさんが乗ってきました。真っ先に席を譲るのは誰でしょう?
使命感に燃える点野裕貴。でも、そもそも空席があっても座ってないな(トレーニングのために)。
年寄りに一番親切なのは大和竹流かも。

Q24 お兄さん、お姉さん、妹、弟、お父さん、お母さんにしたいのは誰ですか?
お兄さん 北条仁(真シリーズ)、ヴィクトル(金持ちの音楽評論家、【死と乙女】
お姉さん 添島刑事(真シリーズ)
 和子(【奇跡を売る店】)、双子の妹なら美和(真シリーズ)
 ルカ(【人喰い屋敷の少年】)、ウゾくん(【百鬼夜行に遅刻しました】
お父さん 澤田顕一郎(【海に落ちる雨】。最後まで守ってくれそう)
お母さん サーシャ(真シリーズ。還暦の冒険写真家。肝っ玉母さん)

でも、みんなあてになるかなぁ? 仁はや~さんだし、ヴィクトルは変人だし、添島刑事やサーシャは仕事で家にいないし。和子もルカも手がかかりそうだし、ウゾくんは、そもそも見えちゃ困るし! 澤田パパも忙しそうだしなぁ。
そんな中、やっぱり美和ちゃんは役に立ちそうだな!

Q25 将来、グレてそうなのは?
「グレていた・グレている」のはいっぱいいる。最もグレ続けているのは、現在服役中の元探偵事務所所長・唐沢正顕(【人喰い屋敷の少年】他、真シリーズ)。

Q26 ドラえもんに助けられてそうなのは?
う~ん。意外にみんな自力で頑張っている。マコトでさえ、穴に落ちたコロボックルを助けようと奮闘したし。
助けを呼ばずに自力でやろうとしすぎて危ない奴はいる(もちろん、主人公No1の真)。

Q27 メイド服とか似合ってそうなのっている?
似合うかどうかは別だけれど、着てみたいと思っている連中は『ヴィーナスの溜息』(【奇跡を売る店】)にいっぱいいます。
(注)オカマショウパブです。

Q28 「おはよう、起きて、早くしないと遅刻だよ!」 枕元で誰かがささやいてます。誰でしょう?
そんな優しそうなキャラがいないのはなぜ? みんな蹴りを入れそうなのばかり。
でも、慎一(【死と乙女】)のピアノで目が覚めるってのは憧れます。

Q29 屋上からダイビングしても生きてそうなのは誰ですか?
タタラ(百鬼夜行学校の怖い教官。【百鬼夜行に遅刻しました】)……あれ? ニンゲンじゃないか。
じゃ、和尚さん。いや、それももう超越しているか……

Q30 お疲れ様でした! 最後に、それぞれのキャラに一言どうぞ!
ここはlimeさんと同じく、Sな作者にめげずに戦い抜いて、生き延びてください!


お疲れ様でした~。お付き合いいただき、ありがとうございました!!
【小説書きさんに100の質問】の時よりもましだけれど、思った以上に疲れました~
なんだか頭を使った気がする。
さて、これからTEAM NACSの【悪童】、観に行ってきます!!

Category: 小説・バトン

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[雨135] 第28章 恋歌(2)叶わぬ想い 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 その2です。
今回は、大和竹流を取り巻く人間たちが語り始めます。
竹流のためにと思う気持ちは一緒でも、今の真には誰一人、自分自身の味方はいないのかもしれません。
まずは、竹流の仲間の1人、そして竹流を想う気持ちを自分自身の中に押し込めながら生きている葛城昇の独白です。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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[雨134] 第28章 恋歌(1)復讐の権利 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 、スタートです。
大和竹流の意識が回復しています。しかし、まだ朦朧としている彼は、現実と夢の区別も上手くついていないようです。
でも、ただ一人、「あの男」だけは彼を正気に返す魔法を知っているようです。
ここからは、真の心は大波に揺られる小舟状態。
人間関係の妙をお楽しみください(って、大袈裟だった……)。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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【石紀行】30.奈良山添村・岩尾神社~巨石に残された十字架~ 

岩尾神社巨石
積み残してあった奈良山添村の巨石をもうひとつ、お届けします。
こちらは山添村の村役場から西へ向かい、さらに南に向かっていくと……と言っても、実はかなり見つけるのが難しい神社でした。まず、県道からの入り口が村役場側から行くと「そこ、急に言われても曲がれません」という感じの360度戻りカーブ。私も気が付かずに、行き過ぎてから戻りました。それだけではなく、その道が恐ろしく細い。向こうから車が来たら、多分すれ違えない、古い集落の中の道です。さらに、神社にたどり着いたものの、ここ、車停めてもいいですか? というような場所。
岩尾神社1
神社の入り口は民家の影になっていて、分かりにくい場所になっています。
でも、ここまで来たら、とにかく車の通行にならないようなごくわずかのスペースをお借りして車を停め、神社へ登って行きました。
岩尾神社鳥居
鳥居を潜り、階段を登って行きます。
岩尾神社鳥居階段
かなり急な階段です。山添村は文字通り山に囲まれていて、この山中にも多くの巨石があるようです。まさにこの神社は山への登山口のひとつにも見えますね。
岩尾神社狛犬
狛犬さんは、妙にカッコいい、イケメンさんです。
階段を登って行くと、トップの写真にあるように、2つの大きな石が迎えてくれるのです。
右に大きく写っているのが男石、陽石。右にある少し小さいほうが女石、陰石のようです。
岩尾神社拝殿内部
手前に拝殿があるので、のぞきこんで写真を撮らせていただくと、このように小さな祠が見えます。この祠がトップの写真で2つの石の間に建てられているものです。
拝殿は後から神様をお参りするために建てられたもので、ここには古くから巨石に対する信仰が古い時代からあったようですね。
岩尾神社裏
この2つの巨石の裏側に登って行くことができます。後ろから見ると、よく分かりますね。実は、前からだと、カメラアングル的に自分の目で見たようには2つの巨石が並んでいるところを撮れないのです。だからトップの写真のように横からの図柄になってしまいます。
岩尾神社巨石2
ね。何回撮っても、こんなアングルになっちゃうのです。でも、この右手の男石、何に見えますか?
私には陽石というよりも、船に見えるのですけれど……何だか宇宙から神様が降臨した時の乗り物、に見えませんか?
そう言えば、この神社のご祭神は岩尾大神。もともと神様が居なかったこの村に、村人がお社を建てて祈っていると、伊賀の方面から黒い雲が現れ、お社の上に覆いかぶさったと言います。祝詞が終わると、そこにこちらの神様(巨石)と、婿入り道具の長持一荷が置かれていたのだとか。
岩尾神社境内の巨石
神社の周辺には、このようにそこそこの大きさの巨石がゴロゴロ。これらがみんな神様のお荷物だと思うと、ちょっと嬉しくなるのですけれど……
岩尾神社境内の巨石3
巨石の後ろへ登って行っても、斜面には多くの巨石が見え隠れしています。
神様の家財道具。それぞれ名前もあるようなのですが、どれがどれか、よく分かりません。
岩尾神社境内の巨石2
さて、こちらの巨石の一番のポイントは、その大きさもさることながら、不思議なラインが描かれていることなのです。
岩尾神社巨石の十字
これは、右側にある男石を、向かって右側面から見たところです。この横のラインは、祠の脇を通って、後側にも続いています。後ろから見るとよく分かりますね。
岩尾神社背部からライン
一体なんだと思われますか?
伝説によると、これは長持ちを荷造りした時にかけた「石だすき」の痕なのだとか。
このライン、どこかで見ましたよね……そう、あの長寿岩にもラインがありました。
長寿岩のライン
こんな巨大な巨石を動かすのはもちろん無理だと思われるし、もし何か縄をかけて動かそうとしたのだとしても、こんな細いラインの縄では無理ですよね。
長寿岩のラインはまるで地球の経線、子午線みたいに見えましたが、こちらは見事に十字。どこか異国の宗教の名残でしょうか。
トップの写真を見ていただくと、実は女石の方にもラインがあります。こちらは十字にはなっていませんが、これを見た時、私はすごく現実的に「のり」かな、と思ったのです。こちらの石は花崗岩ですから、割れる時は節理に沿ってぱかん、と綺麗に割れます。この女石もあの部分で割れちゃって、落っこちてこないように、漆喰のようなもので糊付けしたみたいに見えたのです。
でも、男石の方のラインは、もう少し作為的なものを感じます。何かの象徴でしょうか。

こちらの神社では、夏に「石売り行事」という祭りがあるそうです。子どもたちが河原で拾ってきた石を、参拝者が買って、それを供えるというお祭りだそうです。子どもたちにはいいお小遣いですね。そうやって村で子どもたちを守っているようにも思えます。

境内の案内板の一文を載せておきます。
『山添村指定史跡 岩尾神社の神体石(吉田区) 昭和41年9月20日指定
大字吉田の氏神で、神社の名も岩尾(いわお・・・大きな石の意)と呼ぶように、巨大な二個の自然石をご神体とし、その間に祠を設けて岩尾大神が祭られている。
その昔、この地に神が降臨された際、持参されたと伝えられる襷の跡のある巨岩、馬の蹄跡のある石、一荷にして運ばれたという庭の石などがあり、箪笥、長持、葛籠石、鏡石などと名付け、巨石崇拝の伝承として極めて貴重な存在となっている』

山添村には、他にも多くの伝承ある石が残されています。
鍋倉渓の近くにあるのが大きな石にお地蔵様を彫った塩瀬地蔵。眼病に御利益があるとされています。
塩瀬地蔵2
もうひとつ、車道から少し斜面を降りたところに、大師の硯石があります。
大師の硯石2
え? どういう具合に硯石? という感じで、ほとんど地面に埋もれていますが、あのちょっとくぼんだ所が、こんなふうに凹んでいて、硯のようだとか。木の葉がいっぱいになっていますが、ここの水は枯れることがないのだとか。
大師の硯石1
村おこしでしょうか。こんな素敵なお店も近くにありました。母がおにぎりを持ってきていたので、戴きませんでしたが、茶がゆが食べられるようです。お茶が名産のようですね。
映山荘
店内にはまきストーブもあり、冬でも暖かそう。
まきストーブ
コーヒーと、手づくりのチーズケーキ(抹茶がけ)を頂きました。このチーズケーキ、本当にチーズケーキなんです。濃厚でチーズそのものみたいな、でもあまり臭みはなく、美味しく戴きました(^^)
チーズケーキ
山添村にはまだまだ多くの巨石がありますので、またぜひ訪れてみたいと思います。
そう言えば、何十年も昔、柳生の里に徒歩でアプローチした時も、多くの石に出会いましたが、そんなに遠くはない場所ですね。またいつか……


応援ありがとうごさいます(^^)

Category: 石の紀行文(写真つき)

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NEWS 2015/7/8 ついに冷蔵庫を買い替えた! 

久しぶりの、本当にどうでもいい記事、でも家庭ではかなりビッグなできごと……大型家電の買い替えです。
そう、今日、ついに意を決して冷蔵庫を買いました! 

実はうちの冷蔵庫は15年ほど(多分15年以上)頑張っている、今は無きSANYOの製品。
数年前から、冷蔵庫内部で「弱」にしても凍る、という事態にはなっていたものの、「まぁ使える」と思って使ってきたのですが、最近何となく買い換え時かなぁという思いに憑りつかれておりました。
こういうものは、思ったときが買い替え時。冷蔵庫だけは壊れてからじゃ遅いし……

先々週あたり、一度、近くの家電量販店に見に行ったのです。
その時は、外付けハードの接触が悪くてケーブルを買いに行ったのですが、なんとなくふらふら~と冷蔵庫のコーナーへ。
もちろんその時は買おう!なんてはっきりと考えていたわけではないのですが、どう考えても、うちの冷蔵庫、半端なく電気を喰っていると思われ、買い替えるだけでも年間数万円は電気代が安くなると考えられる代物。

もちろん、その時の私。ねこまっしぐら!でHITACHIに。
大野くんに心の声で「お宅の冷蔵庫、ほうれん草とパセリが降ってきても大丈夫なんだよね~」(「続きを読む」参照)なんて話しかけていたわけです。
そこへ、販売員のお兄さん登場。
「いや、やっぱりPanasonicでしょう」
あれこれ説得され、帰るときには「う~ん、やっぱり大野くんより西島さんなのかぁ。洋ちゃん(TOSHIBA)もあるけど、なんとなくTOSHIBAは通好み?」なんて感じで、気持ちは西島さんに傾いておりました。

その後、家電大好き人にインタビューしたり、ネットを少し調べたりして、今日はもう西島さんに決めて、お店に行ったのですが。
実際に行ってみたら、未練がましく、またふらふら~と大野くんの方へ。
そこへ、前回とは違う販売員さん登場。
「前はSANYOだったんですか。SANYOの冷蔵庫と洗濯機は良かったんですけれどね~(ええ、うち、実は洗濯機もSANYOです)、ブランド力が無くてね~。え、HITACHI、なかなかいいですよ!」
(ちなみにSANYOはPanasonicの完全子会社になったんですよね……今はAQUAという名前で地味に闘っているようです)

今度は何故か大野くんを勧められ。
そう、揺れる乙女心に、背中から後押しが……
親の勧めで見合いをしたものの、昔の彼が忘れられない状態の娘が、友だちの助言で、結局、昔の彼とよりを戻したみたいなことになり(←全然適切ではない例え)。
最後は、嵐さんたちのファイル(非売品プレゼント)に後押しされ、ついでに宣伝用の紙を1枚もらって、ご満悦で帰ってきました。値引きを狙って、ついでにこちらも15年以上頑張っている掃除機も買い替えて(サイクロンじゃなくて紙パックにしました)。
ひたち
↑戦利品。左は電話の上にぴらん~と貼って満足(*^_^*)、右はファイル。
とういわけで、今週末、この家に引っ越しする前から使っていた15年(+α)選手の冷蔵庫と分かれ、新しい冷蔵庫が我が家にやってきます。

しかも、初の500Lクラス。そんなでかいものいらん!と思っていましたが、400Lクラスだと野菜室がちょっと小さめだったのです。
省エネ的にはそんなに変わらないというし。

実はね。結果的に大野くんにしたのにはもう一つ理由があります。
かのテレビで宣伝している「ワンダフルオープン」(「続きを読む」参照)……あんなに開いたら、うちの台所の幅だと、通路で邪魔になっちゃうんですよ。台所はごちゃごちゃになりやすいので、リビングにいるお客さんから見えないように、と母の意見により、うちの台所はL字型にダイニングから入り込んでいて、細長めの空間。
ワンダフルオープンされちゃうと、私が流し台と冷蔵庫に挟まれちゃう(ちょっと大袈裟だけど)。
お店で見たら「いいなぁ」と思うけれど、お店で見るのと家で見るのとはちがいますよね。実際に、設置に来たものの、玄関を入らないとか、設置できないとかで、持ち帰ることもあるのだとか。
しかも、あの広めの野菜室にあれこれいっぱい入れたら、かなり重くなって、引き出すのが大変そう。
ごめん、西島さん。やっぱりワンダフルオープンは、うちには無用だわ。地味に開けることにします。

でもまぁ、あれこれ迷って分かったこと。
要するに、好みの問題、なのですね。
家を建ててから13年目です。家電は結構前の家から持ってきたものが多くて、かなりの年代物。
そろそろ一部のエアコンと洗濯機も、だよなぁ~(@_@)
今はもう、考えんとこう……シロアリ予防もしなくちゃ、だし。家ってほんと、金を食うなぁ……
でも、家電購入は、やっぱり萌えるわ~(10うん年に1回のイベントですものね)。
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Category: NEWS

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[雨133] 第27章 ずっとここに(2)生きていてさえくれたら 

【海に落ちる雨】第4節・第27章『ずっとここに』 (2)です。
病室に入った真が目にした竹流の姿、そして医師の説明。
真にはすべてがまだ現実ではないようです。それでも、今ようやく、目の前にその姿があるのです。
大和竹流、帰還です。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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連作短編【百鬼夜行に遅刻しました】秋(2)・立ち枯れの紫陽花 


月刊・Stella ステルラ 6.7月号参加 連作短編/不定期連載小説

ものすごく久しぶりにStellaに投稿することにしました。
そう、思い起こせば、この作品の第1作目はStellaに投稿したのでした。

本当はものすごく気になっているけれど、書くのにものすごくエネルギーがいる連載物が2つありまして、その1つがこの【百鬼夜行に遅刻しました】なのです。書き始めは軽い気持ちだったのですが、何しろ扱っているものが「死」だけに、文字数の割に使うエネルギーが半端なくて。
(もうひとつは【死と乙女】です。こちらはクラシック音楽への思い入れが強くて)

ウゾくんの本編は、あと「冬」と「春」でおしまいなのですが、今のところ秋の菊まで来ているので、ここで急に初夏の話に戻すことはできなかったため、苦肉の策に出ました。花は紫陽花。ただし、立ち枯れの紫陽花です。晩秋の話ですが、花が6-7月のものということで、季節がずれていることは赦してやってください。
あまりにも間があいているので、読んでくださっていた皆さまにも設定を忘れられているでしょうから、前半は少し説明がましい部分がありますが、これまでのことを忘れている/読んでいない場合でも、大体ついていけるように書いてありますので、さらりと流し読みしてくださればと思います。

いや、それでも書くほうとしては細かい設定を思い出すのが大変で、とりあえずこれまでのところを読み返したのですが、なんて話を書いてるんだ! 大海! と自分でツッコんでしまいました。
いや~、これ、けっこうしんどい話じゃありません? (自分で言うこと?) ファンタジーなのに、テーマが重い(@_@)
でも、気持ちはいっぱいこもっているかな? 思い入れは深いし、けっこういい話じゃない? なんて(また自画自賛か!)。
結構毎回ハードな部分が多いのですが、今回は、少し優しいお話になっています。

本編からは少し話が逸れている部分ではありますが、今回は私が大好きだったねこさん・もち姫さんへの追悼の気持ちで書きました。この作品は、そもそもウゾさんに捧ぐ、なんですけれど、今回はウゾさんともち姫さんに捧げます。
もち姫さん、これからも、ウゾさんの傍にいてあげてくださいね。ウゾくんの傍にも。
 ウゾさんの【百鬼夜行に遅刻しました】


<あらすじ>
ニンゲンが亡くなって上手くジョウブツできない時、いったん鬼になる。鬼になって、百鬼夜行に108回参加すればジョウブツできるのだけれど、ルールが沢山あって、試験に合格しなければ本物の百鬼夜行には参加できない。だからキョウトのゴショには、百鬼夜行学校があるのだ。
でも小鬼のウゾは、いつも試験に遅刻してしまって、これまでに3680回も試験に落ちている!
一体なぜウゾは遅刻してしまうのだろう? そして、ウゾはどうして小鬼になってしまったのだろう?
生と死の間で苦しむ人々を見つめ、花の精たちの助けを借りながら、ウゾは今日も……遅刻している!?
<登場人物>(名前のみを含む)
ウゾ:小鬼。遅刻の常習犯で、なかなか百鬼夜行本番参加のための試験に合格しない。
もち姫:ウゾが物心ついた時?には傍にいてくれた『知っている』猫。ウゾを見守っている。
サクラちゃん:バイクにはねられて死んでしまった少女の小鬼。イメージはハーマイオニー……
タタラ:百鬼夜行学校の教官。とにかくでかくて怖い。
ダンゴ:ウゾが住むタダスの森のダンゴムシたち。語彙は少ないが、少しずつ学習している?


【百鬼夜行に遅刻しました】秋(2)・立ち枯れの紫陽花

「ウゾ、チコク」「チコク、オコラレル」「ウゾ、オコラレル」「コワイ、コワイ、タタラ」
 ダンゴたちはまた語彙が増えている。一体、誰が教えているんだろう。もしかして、ウゾが魘されて寝言を言っているのかもしれないけれど。
「もう、うるさいなぁ」
 目が覚めちゃったじゃないか。今日はせっかくの休みだというのに。

 ウゾはもぞもぞと起き上がり、アキニレの木に凭れて、はぁと溜息をついた。
 秋は深くなって、落ち葉は下の方か湿って重くなっている。そこへまた新しい枯葉が落ちてきて、かさかさと音を立てる。もう風の温度はすっかり冷たくなっていた。
 ウゾはジョウブツを目指して勉強中の小鬼だ。

 普通、ニンゲンが死んだら、七日以内に魂はあの世に渡って行くはずなのだが、何かの事情でこの世に魂を残してしまうことがある。自分がなぜ死んでしまったのか分からない場合や、身体や心の一部がこの世に残ってしまっている場合などだが、特に強い感情を残した時はこの世に長く留まってしまい、七日を越えると簡単にはジョウブツできなくなる。
 こうした場合は鬼となってこの世をさまようことになるのだが、そのままでは鬼の人口の方が人間よりも多くなってしまって、鬼とニンゲンが接触する不幸なケースが増えてしまう。

 鬼が増えたら鬼に好都合かというと、そういうわけでもない。鬼はそもそも各自が自分自身の事情にこだわっているので、みなで力を合わせてニンゲンと張り合うなんてことはないのだ。だから、鬼が増えてしまったら、鬼たち自身にとっても大きな問題となる。
 何より「健康で健全な鬼」で居続けることは結構難しい。鬼としての健康が損なわれた場合は、大変な苦難が待っているのだ。
 中には、学校の門番をしているグンソウのように、自ら決意してその苦痛の道を選んだ者もいる。だが、普通の鬼たちにあんな苦痛が耐えられるはずもない。

 そこで、鬼たちにジョウブツに至る過程を教え、自分の死について知り、納得してあの世に行くために学ぶ学校があるのだ。ジョウブツに至るためには、百鬼夜行に百八回、参加しなくてはならない。百八回の百鬼夜行は、鬼たちに自分の死の訳を知る機会と、浄化の機会を与えてくれる。
 しかし、人間から見るといい加減にうろついているように見える百鬼夜行にも、気が遠くなるほどのルールがある。だから、この本番の百鬼夜行に参加する前に、教習所のようなところに行ってルールを勉強し、仮免許を貰わなければならないのだ。
 そして、ウゾはこの仮免許の試験にこれまで三千六百八十回、不合格となっている。そのほとんどの理由が遅刻だ。

 何故遅刻してしまうのか。鬼たちは普通夜行性だ。つまり、鬼たちの朝は、ニンゲンの夜だ。でも、ウゾはどうしても夜になったら眠くなるのだ。だから、鬼の朝に起きることができない。ウゾがねぐらにしているタダスの森から、学校のあるゴショまではそれほど遠い距離でもないのだが、それでもなかなか間に合わないのだ。
 学校は単位制なのだが、ちゃんと授業に出ていないと試験に合格することは難しい。それに大事な授業は結構、朝一番にあることが多い。もちろん、鬼の「朝の一番」だ。
 何故そうなっているのかというと、遅い時間にはバイトに行く鬼も多く(ニンゲンをビビらせるのは「夜」なので)、また深夜の丑三つ時には、本番の百鬼夜行のために教官たちは多忙だからだ。

 うまくないや。
 ウゾは葉っぱを一枚めくって、指先でダンゴを一匹つついた。ダンゴは丸くなり、コロン、と転がった。
 今年はあれこれ校則違反なんかを起こしてしまって、百鬼夜行学校教官のタタラから、罰則として、これから来るキョウトの寒い冬の間、町中の花の種と根の面倒を見るようにと言われている。救いはサクラちゃんもいっしょだということだが、それでも、ふたりにしたってキョウト中の花だなんて、絶対無理に決まってる。
 かと言って、いい加減にやったら、きっとタタラに怒られるんだろうし。

 タタラはもともとミドロガイケの龍だという噂のある、ものすごく身体の大きな鬼だ。とにかくおっかない。もちろん、龍が鬼になるなんて聞いたことがないから、きっと噂なんだろうけれど、ウゾはタタラがまるで龍のように空を飛んでいる姿を見たことがあるし、菊の精はタタラのことを「ミドロガイケの主」と呼んでいた。
 もちろん、気を失いかけていたから、見間違い、聞き間違いもしれない。

 大体タタラは僕に厳しすぎるんじゃないかなぁ?
 ウゾはふぅともうひとつため息を零した。
 もちろん、遅刻の常習犯のウゾが悪いのだが、物事には手加減というものがあってもいいはずだ。
 やっぱり、もち姫のところに行こう。この時間はもち姫にとっても都合のいい時間だし、休日なら学校のことを考えずに、久しぶりにゆっくりと一緒に過ごすことができる。
 それから、どうやったらキョウト中の花の状態を知ることができるのか、もち姫の知恵を借りよう。それに。
 ウゾは立ち上がった。
 他にも、もち姫には聞きたいことがいっぱいあるのだ。



「おや、ウゾ、学校はどうしたの。あら、そういえば今日は立冬のお休みだったわね」
 学校は二十四節季の日が休みと決まっている。今日は立冬の休みなのだ。
 これから冬になる。

 もち姫は『知っている』猫だ。だから、猫たちの先生であり、精神的支柱でもある。
 猫たちはニンゲンと違って『見える』ことが多いが、『知っている』猫は滅多にいない。もち姫は真っ白な猫で、あっちの世界(ニンゲンにとってはこの世)とこっちの世界のどちらの者とも話すことができる、稀有な猫だ。年齢は分からないが、ウゾが記憶している限り、ずっとウゾの傍にいてくれている。

 このところウゾは、勉強中の小鬼には解決できないような問題にぶち当たることが多い。
 よく考えてみれば、それは今年の春にサクラちゃんという、バイクにはねられた後、連れ去られて殺されてしまった女の子を助けてから……のような気がする。
 助けた、と言っても、何ができたわけではない。殺されて埋められた場所を見つけてあげただけだ。死の理由が分かったので、サクラちゃんはぎりぎり七日の期限に間に合ってジョウブツできていたはずが、病気のお母さんにナカラギの桜の花びらを届けていたために間に合わなくなって、ウゾと同じように鬼になってしまったのだ。

 もっとも、サクラちゃんは外見こそ儚げで可愛らしい少女だが、ウゾが思っていたように可憐な女の子ではなく、実に逞しく鬼ライフを生き抜いているようにも見える。もちろん、お母さんのことや自分の死のことは大きな問題だったけれど、課題を的確にこなし、利用できるものはちゃっかり利用し、友だちをたくさん作って、頑張って鬼をやっているように思えるのだ。
 逞しさと健気さ、強がりと泣き虫、理性と優しさ、そんな両面性がサクラちゃんの魅力だ。しかも、あんなに理知的なのに、ウゾと同じように遅刻の常習犯だ。

 ウゾは、ちょっぴりサクラちゃんが好きなのだ。まだ「ちょっぴり」と言っていいくらいだけれど。
 それに。
 ウゾはサクラちゃんのお母さんと約束をしたのだ。サクラちゃんを殺した犯人を見つけて、事情を聞きだし、ちゃんと罪を償わせるのだと。

 ウゾはきょろきょろと周囲を見回した。
「どうしたの」
「え、えっと……」
 もち姫はふっと息をつく。
「ウゾ、サクラなら花たちの図鑑を持って早くにやって来たわよ。これから花の精たちに事情を聞いて回るんだって」
 手伝いなさい、と言外に言っているのだろうけれど、ウゾはそっともち姫が身体を横たえている縁側に座った。

「ねぇ、もち姫。ぼく、その……」
 ちらっともち姫を見ると、その金銀の見透かすような瞳にじっと見つめられていた。でも、その瞳は何時も根っこのところがとても優しい。
「ウゾ、あなたが聞きたいことは分かっているわ。でもね、あなたは何もかも自分の手で掴みとらなければ。花たちに事情を聞くのはとても有益なことだわ。何しろ、あなたは鬼としては半人前だけれど、花たちを感じ、その声を聴くことができるのだから。それは誰にでも備わった能力ではないわ」

 これまで出会った花たちは、もち姫を「あの方の使い」と呼んで懐かしそうに話した。「あの方の息子の面倒を見ている」と。あの方って、ぼくのお母さん? もち姫は、お母さんのことを知ってるの? どうして花たちはみんな、もち姫のことを知っていたの?
 そう聞いてみたいけれど、やっぱりもち姫を見ると簡単には聞けない。もち姫はきっと答えてくれないと分かっているからだ。

 ウゾは母親のことを思い出せない。鬼になったのは、自分の死の訳を知らないからかもしれないが、親のことを思い出せないのは何故なんだろう。僕は生きている時、どんなニンゲンだったのだろう。少しくらいその記憶が残っていてもいいはずなのに、その記憶が少しもないのだ。これはつまり、キオクソウシツってやつなのかなぁ。

「ねぇ、ウゾ、あなたは自分で選ばなくてはならないのよ。あなたが三千六百八十回も試験に合格できないのには、なにか大きな力が働いているのかもしれない。私は、あなたがジョウブツできるのなら、それが一番いいと思ってきたけれど、与えられた運命が過酷であるかどうかを決めるのは、周囲の者ではなく、あなた自身なのかもしれないわね。さぁ、ウゾ、もう行きなさい。私は少し眠らなくては。今日は少し大変な夜になるから」

 もち姫がこの世に留まり、あの世とこの世を行き来しながら過ごしているのは、猫たちにたくさんのことを教えてやらなければならないからだ。でももう随分と歳をとった猫だから、その仕事をこなすためには、十分な休息が必要なのだ。
「まずは、花たちとよく話をすることだわ。そう、身近な花たちから始めなさい。根気よくね」



 ウゾは眠ったもち姫の背中を撫でながら、ぼんやりと小さな庭の光景を眺めていた。
 もち姫は住んでいる家は、カモガワをずっと遡ったところにあって、もう少し行けば水の湧き出す源流がある。家には年老いた夫婦が住んでいて、もち姫を大事にしてくれている。夫婦ともに、少し佇まいが悲しげだけれど、優しそうな人たちだ。
 その老婦人が、もち姫のことを神さまの猫、と呼んでいるのをウゾは聞いたことがあった。ニンゲンだけれど、もち姫が特別な猫であることを感じているのかもしれない。

 小さな庭には、竹の垣根と植込みがある。植込みには山で見かけるような、華やかではないけれど優しい花たちが植えられている。萩、撫子、朝顔、ホタルブクロ、ホトトギス、桔梗といった草花、それからレンギョウやミヤマツツジ、沙羅双樹や椿などの木の花たちも。
 その中には紫陽花もあった。

 丁度あれは休みの日だったから、そう、6月の夏至の日だった。
 雨の日が多くなり、紫陽花の花が咲き始めていたから。
 休みの日にはもち姫のところに来るのがウゾの習慣だったから、ウゾはやっぱりあの日もここに来ていたのだ。
 あの時、ウゾはもち姫に尋ねた。
「ねえ、この紫陽花には花の精がいないね」

 そういうことは珍しい。この紫陽花には生命の匂いがなかったのだ。
 ウゾはもともと花の匂いから色々なことを感じる。匂い、と言っても、ニンゲンにも他の動物たちにも感じることができないくらいの微かな匂いだ。
 花の精たちは必ずしも顔を見せてくれるわけでは無い。ニンゲンの前に姿を見せることはまずないだろうし、そもそもニンゲンにはそのような能力がある者はいない。ウゾのように花たちと話ができる鬼だとしても、花たちに気に入られなければ、その声を聴くことはできない。

 花たちは、ものすごく気難しいのだ。
 それでも、その気配は、微かな匂いで感じることができる。
 この庭の花たちは、とても大事に手入れされていて、どの花からも素敵な匂いが香っていた。ただひとつ、紫陽花の花を除いて。
 もち姫はウゾの言葉にふと首をもたげ、じっと紫陽花の花を見つめ、それから何も言わずにまた眠りに落ちた。まるで、そのことは聞きっこなしにしなさい、と言うように。

 あの6月の雨の日。ウゾはその紫陽花の青い花にそっと触れてみた。
 それはとても不思議な感触だった。花に触れたのに、石に触れたように硬質な手触りだったのだ。
 鬼の手は人間の手とは少し違う。物質の感触ではなく、魂の在り方を触るのだ。

「石、みたいだ」
 ウゾは思わず呟いていた。
 その紫陽花が、暦が変わって立冬の季節になっても、色褪せ、立ち枯れたままとなっている。ウゾは庭に降り、枯れた紫陽花の花に触れてみた。
 やはり、その印象は、あの夏至の日と同じだった。

 紫陽花の花は、こうして手入れをされた庭ならば、花が終われば剪定されているのが普通だ。好き好んで立ち枯れの様を楽しむこともあるけれど、剪定しなければ紫陽花はかなり大きな株になっていくので、小さな庭ではあさましい印象となる。
 これほどにきちんと手入れをされている庭なのに、紫陽花だけがまるで生きていないかのように暗く感じる。そう、この紫陽花がニンゲンであれば、もうすっかり鬼になっているかのように。

 でも。この棲む精のいない紫陽花だって、何年も、何十年も一生懸命花を咲かせているうちに何かを思い出すかもしれない。だから、冬にはこの花の根の面倒も見てあげなければ。
 ウゾがそんなことを考えながら紫陽花の周りをぐるぐる回っていると、すっと縁側に面した部屋の障子が開いた。

「もち」
 この家に住む老婦人の声だった。青い浴衣を来て、髪を結いあげていたが、幾らかまとまりが悪くなって艶を失った髪は解れて肩に落ちていた。
「お前、この人の傍にいてやっておくれ」

 もち姫はゆっくりと立ち上がり、普通の猫みたいに少しお尻を下げて前足で伸びをしてから、老婦人の傍をすり抜けるようにして部屋に入っていった。
 老婦人が障子を閉めようとすると、中から弱々しい声が聞こえた。
「いや、お前、風が気持ちいいから、開けておいておくれ」
「十一月とは言え、もう立冬なのですよ」
「庭の景色を見ておきたいんだよ」
 ウゾは思わず紫陽花の影に隠れて、そっと気配を窺った。

 この家のご夫婦、つまりもち姫の飼い主のことは、ウゾも知っているようで知らなかった。
 そもそも、ニンゲンが鬼を見てしまったら、その人の死期に影響するとも言われているので、ウゾたち鬼は、事情がない限りニンゲンとの接触を避けている。もしも自分勝手に面白半分にでもニンゲンを脅かすようなことをしたら、そのことは鬼の規律を守るサイバン長に筒抜けていて、自分への厄災として降りかかってくるからだ。
 唯一許されるのは、特別なバイトの時だけだ。つまり、たまにふざけたニンゲンを脅しておくために「オバケ」を演じるバイトのことだ。それでも、そのニンゲンの死期には影響しないように最善の注意を払っている。

 だからウゾも、彼らに見られないように、慎重に振る舞う必要があった。特に死の床にあるニンゲンが鬼を見ると、その人の魂が吸い上げられてしまうというのだ。
 ニンゲンからは死角になるように、そっと障子の影に隠れて覗きこんでみると、この家の主人と思しき老人が、まさに死の床に横たわっていた。

 傍には老婦人が座っていて、黙ったままその人の手を握っている。どちらも老いて皺の多い手には、刻み込まれた年月の重さが宿っていた。
 もち姫は、死の床に就く老人のもう一方の手が届く辺りに、そっと横になって、静かに見守っていた。
「もち、この人のことを頼んだよ」
 そう言いながら、老人の手がもち姫の背中を撫でていた。

「お前はよくこの人のことを知っているから、間違いはない。私ももう決めているのだ。だから安心をしておくれ」
 それから老人は庭の方を見た。穏やかで優しい表情だが、静かな決意を読み取ることができた。

 その時、その老人の目がウゾを捉えた。
 しまった。
 ウゾは慌てて障子の影に隠れた。

 しばらくの間、一見のところは何の変化もなかったろう。だが、微かな変化はウゾの耳、ニンゲンのものではない鬼の耳にははっきりと感じることができた。
「さて、そこの小鬼よ。心配しなくてもよいから、こっちへおいで」
 ウゾはびくっとした。まさかこんなところで、死にゆく人に見られてしまうなんて。またどんな罰則がタタラから振りかかってくることか!
「ウゾ」
 もち姫の呼びかける声も聞こえた。

 ウゾは障子を背中にしたまま、一旦きゅっと目を瞑り、それから目を開けた。石のように静かに立ち枯れた紫陽花の花が、目に入った。
 ええぃ、もうままよ。
 ウゾは障子から顔を出した。

 老人はもち姫の背を撫でていた。その目はウゾと、ウゾの背中の先の紫陽花の花を見つめていた。老婦人は黙ったまま、感情をまるきり見せることもなく、死にゆく人の手を握りしめていた。ウゾのことは見えていないようだった。もち姫もまた、ウゾのことが見えないように振る舞っていた。

「そうか、小鬼が確かに見えるということは、私に時が来たということだろう。なに、心配はいらない。私は既に三途の川の渡し守と閻魔様に挨拶を済ませてあるのだよ。おそらく私が選んだことは、この先、私が成仏するためには差し障ることだろう。あるいは、その結果として、成仏を遂げることができなくなるかもしれない。しかし、これはもう覚悟の上のことなのだ。私はこの人を守るために、立ち枯れることにしたのだよ」

 ウゾはぽかん、としていた。意味が理解できなかったのではない。すでにそのような人を知っていたからだ。
「それはだめだよ。とても苦しむことになるんだから!」
 ウゾは思わず叫んでいた。
 しかし、老人は優しく微笑むばかりだった。
「小鬼さん、少し私の昔話を聞いてくれるかい」
 ウゾはちらりともち姫を見た。もち姫は小さく尻尾を動かしたが、ウゾには背中を向けたままだった。ウゾはそっともち姫の横に座った。

「本当に、障子を閉めましょう」
 老婦人が困ったように言った。十一月の風は、確かに、死にゆく人には冷たいだろう。
「いやいや、最期まであの花を見ていたいのだよ」
 老人はウゾを見ていた。そしてそのウゾの背中の先には、紫陽花が、何もかも失ってもなお凛とした姿で立ち枯れていた。

「私はこの人の夫ではないのだよ。そう、この人の夫は、この人を置いて戦争に行き、そのまま帰らなかったのだ。けれど戦死したわけでは無い。帰国したが、その時には別の女性と出会い、ここには戻らなかったのだ」
 老人は、弱々しく少し首を傾げて、老婦人の方を見た。それからまたウゾの方へ視線を戻す。

「私はね、小鬼さん、戦後のごたごたの中で、貧しく苦しかったために、ふとした過ちで人を殺めてしまい、逃げていたのだ。貧しさやひもじさが人殺しの言い訳にはならないことは分かっている。けれど、あの時は何とかして生き伸びようと必死だった。追い詰められた私を、この人は、戦争に行っていた自分の夫が帰ってきたと言って庇ってくれた。本当のご主人が帰って来るまで、という約束で、私はこの人の夫だと名乗ることになった」
 老人は穏やかな笑みを浮かべた。

「この人は笑うこともなく、いつも寂しげだった。ただ黙って日々の苦役をこなし、ただ黙って生きることの辛苦を耐えていた。誰を恨むこともできずに、ただ石のように時が過ぎるのを待っているように見えた。それでもこの人は、女一人で、強い風に向かって立っていた。その姿を見た時から決まっていたのだよ。私は死して屍になってもこの人を守ろうと。この人が、帰らぬ夫を待ち続けて心を石のようにしていたのだとしても、私はただ傍でじっと立って、強い風からも、冷たい雨からも、刺すような陽からも、この人を守ろうと。たとえ身体が朽ちても、この人の命ある限り、私はこの人を守るのだと」

 あ。
 ウゾは不意に振り返り、紫陽花を見た。そうか、だからあの紫陽花は、この老婦人の心のままに石となっていたのだ。
「でも、そんなことをしても、この人の命だって、もうそんなに長くないんだから。先にジョウブツしてあの世で待っていたっていいじゃないか」
 老人はまた、優しく微笑んだ。

「手を触れることもなく、同じ床に入ることもなく、六十年以上の時を過ごしてきたのは、ただこの人の傍にいたかったからなのだよ。この先も、ひと時も目を離したくないのだ。それがどんなに苦痛であっても」
「彼女は、本当のご主人が自分を捨てて行ったことを知っているの?」
「どうだろうね。それはこの人にしか分からない」
「あなたはこれでよかったの? この人生で」
 他人の身代わりとなり、愛する人に愛されることもなく、ただ傍にいるだけの人生。ウゾにはそれがどういうものか、想像もできなかった。

 もち姫を撫でていた老人の手が、そっとウゾの方へ伸ばされた。
 もち姫は、ウゾに対してもそうであるように、誰かの選択や想いを否定することも、自分の意見を押し付けることもなかった。ただ、静かに見守っていた。
「私の宝はこれだけだよ。これほどに悔いのない人生はなかったと確かに思えること」

 その時、老婦人の両手が強く、老人の手を握りしめた。強く、優しく、まるで彼女自身の命を共に重ねるように。
「風が強くなってきましたよ、あなた」
「あぁ、本当だねぇ」
 


 人には、それぞれの生き方があり、それぞれの死がある。
 ジョウブツしなくてもいい、とは思わない。でも、必ずしも、望ましく順風満帆な人生を送るわけでは無く、理想的な死を迎えるとは限らないのであれば、その人が自らをまっすぐ見つめて出した答えにこそ、意味があるのかもしれない。

「あれ? 花を切ったの?」
「えぇ、こんなことは私がここに来て初めてのことね」
 ウゾが次にもち姫の家に行った時、あの立ち枯れたままの紫陽花の花は切られて、木も短く切り戻されていた。
「これでいいのよ。切り戻した方が、来年またもっと綺麗な花が咲くでしょう」
 あ。ウゾはくんくんと鼻を鳴らした。紫陽花の匂いがする。花の精が戻ってきたのだ。

 その紫陽花の前に小さな石が置かれていた。石は、いつも誰かの手が撫でているかのように、つるりとしていた。その季節になれば、石の表面に紫陽花の花が映るかもしれない。
「お墓みたいだね」
「そうね。石には魂が宿るというから」
「あのお爺さんはどんな人だったの?」
「そうねぇ、いつもこの縁側に座って、煙草を吹かしていたわ。私が縁側にいる時は、煙草を遠慮して、私の背中を撫でてくれていた。手が器用で、歳をとっても、色んなものを自分で直していたわね。箪笥や椅子や、色々な道具を」
「おばあさんは元気?」
「えぇ。いつもと変わらないわ」
 そうなんだ。ウゾは何だか少し安心した。

「ウゾ、花守には少しだけ猶予があるのよ」
「猶予?」
「そう、花を守るものは、ひとつの祈念についてのみ、それが満たされるまでの一定期間であれば、この世に留まり続けることを許されるの。もちろん、他の誰かと話すこともできないし、その場所を動くこともできないなど、決まりごとは多いし、自分勝手な祈念は許されないけれど」
 そうなのか。ウゾはほっとした。あの人はそんなことは知らなかったと思うけれど、きっとエンマサマが認めたに違いない。

「ところでウゾ、お前、サクラひとりに仕事を押し付けているんじゃないでしょうね?」
「まさか。でもサクラちゃんの方が手際はいいし、それにすごいんだ。サクラちゃんって、虫とか鳥とかを思いのままにして、ネットワークも簡単にできちゃって。具合の悪い花がいたら、すぐに連絡が来るし」
「まぁ、やっぱり人任せにしているのね。サクラはあなたに迷惑をかけたと思っているから、一生懸命なのよ。全く、この子は……」

 それはもち姫の誤解だとウゾは思った。
 だって、サクラちゃんは本当にすごいんだ。
 ウゾはこの間、聞いてしまった。ヒタキがサクラちゃんのところにやって来て「姐さん、テツガクノミチのソメイヨシノがちょっと具合が悪いそうで、姐さんの応援を待ってるらしいですぜ」って言っているのを。
 あれってゴクドーのなんとかってやつじゃないの?

 だから、僕は僕で、サクラちゃんを殺してしまった犯人を見つけ出さなくちゃ。
「じゃ、もち姫、また来るね」
 ウゾはもち姫に挨拶をして、垣根を潜った。

 垣根を潜りかけた時、ふと、視界の隅に、この家の主人だった老人が、紫陽花の前の小さな石に腰かけているのが見えた。
 老人は煙草を吹かしながら、切り戻されて花も葉もひとつもない紫陽花の木をじっと見つめていた。
 静かに微笑みながら。
 風が吹いて、花も葉もない紫陽花の木から、命の優しい香りがウゾに届いた。

連作短編【百鬼夜行に遅刻しました】秋(2)・立ち枯れの紫陽花 了
~ウゾさんともち姫さんに捧ぐ~



わざわざ解説することはないのですけれど、ウゾくんとご老人の会話はもち姫には聞こえていますが、老婦人には聞こえていません。……あ、余計でしたね。

次回は、今度こそ、冬に『忍冬(すいかずら)』でお目にかかりましょう。
サクラちゃんの死の真相に、ウゾくんが迫ります!

……あやうく【死者の恋】のネタバレ話を書くところだった……

Category: 百鬼夜行に遅刻しました(小鬼)

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[雨132] 第27章 ずっとここに(1)集中治療室 

【海に落ちる雨】第4節・第27章『ずっとここに』 (1)です。
6年前、竹流と一緒に「消える龍と不動明王の鈴の謎」を解くために訪れた京都・東山連山の北の限りにある龍泉寺。その場所で、ついに竹流を見つけ出した真ですが、彼の生死ははっきりとはしていません。
しかし、次に真が目を覚ましたのは……
この章は短いので、2話限りです。竹流の消息を確認してください。そして、滅多に見られない、ちょっと可愛い?真を見ることができるかもしれません。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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【石紀行番外編】7.栃木・佐野七福神の弁財天と日光東照宮 

【石紀行】巡りで訪れた栃木県。本当は長岡百穴古墳にも行こうと思っていたのですが、時間がなくて車から見ただけになっちゃいました。宇都宮の人たちいわく「遠足で行くところ」だそうです。次回は私も遠足したいと思います。
さて、栃木石紀行のおまけコーナーは『出流原弁財天(佐野七福神の弁財天)』と『日光東照宮』です。
磯山弁財天2
前回アップした記事(【28.栃木足利・名草巨石群~神の胎動を感じる巨石~(2)奥宮巨石群】)のラストに載せたこの不思議な建造物。これは真下から撮った写真なのですが、かなり遠方の県道からも見えています。緑の木々の中に赤い不思議なものが……目に入った瞬間、あのアニメを思い出しました。
そう、『千と千尋の神隠し』か~?と思うような存在感なのです。

というわけで、まずは出流原弁財天(磯山弁財天)にご案内いたします。
出流原は「いずるはら」と読みます。足利市のとなりの佐野市の観光案内にすぐ出てくる「佐野七福神」の弁財天がこちらになります。名草巨石群から車で半時間足らず、立ち寄ってみたいと思ったのは、このインパクトある景観ゆえだったのですが、図らずも結果的に弁財天巡りになった今回の旅でした。
白蛇さん
さすがに『名草巨石群』には白蛇さんはいませんでしたが、白蛇は弁財天にお仕えしているんですね。大谷寺にある弁財天の場合は、縁起にありましたように、弘法大師によって心を入れ替えた毒蛇が白蛇になって弁財天さんにお仕えしているというお話ですし。出流原弁財天の方の白蛇さんは何だかリアルで迫力があるんですが……
磯山弁財天
道沿いにわずかにある駐車スペースに停めて、道側から見上げると、このように雰囲気のある山門?があり、潜って行くと。
磯山の大蛇
いきなり、白蛇ならぬ大蛇のお出迎えがあり、その先には、かなり頑張る系の階段があります。
磯山弁財天階段1
ちょっと頑張って登って行ってみましょう。途中で曲がり角があり、左手に折れてさらに登って行きます。
磯山弁財天階段2
見えてきたのが、千と千尋の神隠し風、インパクトのある出流原弁財天です。ちょっと下の方を覗いてみたら、その舞台の設えがよく分かります。
磯山弁財天8
写真では2層になっていて、以前訪れた方のブログなどを拝見すると、上の層にも登れたようなのですが、私が行ったときは上への階段の扉が閉まっていました。
磯山弁財天5
お参りをして、ここからの眺めを楽しんで、さて、裏に回って行ってみましょう。
磯山弁財天9
石紀行に相応しいものが出てきました。何か説明があったわけではないのですが、この岩場を守るように舞台の設えがあって、社殿が建てられているというのは、しばしば見かける形です。
しかも、丁度真裏に当たるところに、気になる穴がありました。
実は先ほど下から見上げた場所に(「磯山の大蛇」のあたり)、風穴があったのです。ということはどこかから風が流れてきているわけですが、それがこちらの穴かもしれません。穴と言えば、蛇または龍のお住まい。そして、太古の昔から、「カミ(稀なる力を持つ、奇しきもの)」が住まう場所。
こちらを降りていく途中に、銭洗い弁天があります。小さな洞窟のようになっていて、やはり蛇さんがいらっしゃいました。そしてその前に小さな洗い場があって、ここで銭を洗って、半分を神様に、残り半分を持ち帰ると、願いが叶うそうです。
銭洗い
この弁財天の下には湧水の美しい弁天池があります。どうでしょう、この透明さ。
弁天池
次は、御利益を頂戴いたしたいと思いますので、ぜひ佐野七福神めぐりをしてみたいと思います。
そうそう、結果的に弁財天オンパレードになって思ったのですが、実は弁財天さんがおられる神社(お寺)は複数の呼び名があって、一体どの名前を目指していけばいいのか、迷ったりしました。これは、もともとあった神社・お寺に弁財天など七福神さんが合祀されていたりして、もともとの名前と弁財天の名前と、どちらも併記されていたりするからなんですね。
そう考えたら、やっぱり日本って面白い。とにかく求めるものは「御利益」! 何でも乗っかっちゃえ! この体質、けっこう嫌いじゃありません。

さて、今回の旅のお宿は、日光のほてるとく川さん。中庭の景色も素敵ですし、ちょうど池の上のベランダの部屋付き露天風呂(思わず、排水を心配していた母と私。多分、少量の温泉水が流れていっても問題がないのでしょう。洗い場の排水は多分別)は、なかなか良い雰囲気でした。
ほてるとくがわ
そして、翌日はお昼から仕事絡みの用事があったので、午前中に日光東照宮へ行って参りました。
日光東照宮と言えば!
三猿
やっぱりこちらですね。ストラップとか、お土産も三猿絡みがいっぱい。
ところで、この三猿、どんなところにいるかって、知っているようで知らなかったりして(私だけ?)。
猿の居場所
こちらは神厩舎、つまりお馬さんのいる場所。行くたびに、あぁそうそう、って思いだすのに、また忘れちゃうんですよね。シナプスの回路って本当に、使ってないとすぐ切れちゃう。そしてここに、こんなふうに「猿の一生」が順番に語られているのです。
猿2
始めはこのシーンから。ここには子猿を連れた母猿がいますが、この格好は「子どもの未来を見通そうとする」姿だそうです。見通したとき、良い未来が子供に巡ってくると確信ができない今の世の中、ちょっとはっとさせられるものがあります。
三猿は2番目です。「見ざる・言わざる・聞かざる」。幼少時期の子猿に対する教えとして、「悪を見るな、悪を聞くな、悪を言うな」と諭すものですね。あるいは、そのように大人がしなければならないという教えかもしれません。
猿3
ちょっと面白いのはこちらでしょうか。青年期、悩みが多く落ち込む友人を慰めている猿が描かれています。こうしてみると、三猿もしみじみ語りかけるものがあるのですね。ぜひ、一回り、猿の一生を人生に重ねながら見てください。
大海
そうそう、日光東照宮は3回目なのです(多分)。小さい時に行ったのですが、この写真の後に、華厳の滝が写っている写真があるので、多分これもどこかその辺。それから、埼玉で仕事をしていた時に一度行ったのですが、その時もあるものを見て「ちっちゃ!」と声を出してしまったのです。そして、また今回も思わず言っちゃったんですよね。「ちっちゃ!」(小さい)
思わず口に出てしまうくらい、ちっさいんですよ。何がというと……
ちっちゃ!
見た感じの印象そのままの写真です。これを見る(+家康公の墓所を見る)のにもう一度お代金を払わなけれはならないのですが、世界遺産ですから払いましょう!
これがかの有名な国宝「眠り猫」です。でも、本当にちっちゃいんです。周りでも口々に「ちっちゃ!」と……
アップにしてみましょう。
眠り猫2
どこかから見ると、薄目を開けているようにも見えるそうですが、何しろここは通路なんですよ。すごい人通りで、狭い場所なので、じっと立って見ているわけにもいかず。
眠り猫1
確かに見る方向によって表情が変わるみたいです。
さて、この日光東照宮。表門、陽明門に向かって登る階段の急なこと! しかも手摺もありません。短い階段ではありますが、お年寄りはちょっと登るのが難しそうです。これもおそらく、敵襲に備えてわざとなんですよね。
日光東照宮1
表門を入ると、まず、左に三神庫、右に神厩舎(三猿のいるところ)。三神庫には象がいます。
日光東照宮2
本当に、キラキラですね。とにかく豪華絢爛、他に類を見ない素晴らしさです。いや、いつも石のような地味なものしか見ていないので、目が疲れちゃいました。
ぞう
この豪華絢爛を維持するのは並大抵ではないようです。これらの素晴らしい彫刻は、木に漆を塗り、箔を押し色彩をつけてあるのですが、もともと木であるために、50年ほどたつと傷んで来ます。建物は指定建造物だけでも40棟。修理修復には1棟1年以上かかるので、一通り終わったらもう次の修復周期です。
日光東照宮7
気が遠くなるような話ですが、茅葺屋根と同様、ある周期で順番に修復することで、この職人技術が受け継がれていっているのですね。神社仏閣とは、歴史のメモリー、そして技術の保存場所でもあるのです。
残念なことに、ただ今、メインの陽明門が修復中。でも、いつもどこか修復しているわけですから、また巡り来るタイミングを待ちましょう。
日光東照宮5
そしてこちらが唐門。この奥に拝殿・本殿があります。
日光東照宮4
唐門は白が基調なのですが、金と白だけというのもまた贅沢ですね。そして、ど真ん中にどう見ても「印籠」が……いや、印籠ではありませんが、葵の御紋に「はは~っ」と条件反射しそうです。
日光東照宮6
くるりと回り込んで拝殿まで入っていくと、名調子の解説を聞くことができます。残念ながら中は撮影禁止なのですが、ここで、ついついお本殿でしか買えないお守り(写真左)などを買ってしまうわけですね……
日光おみやげ
そして、大きな神社に行くとこれがありますね。前回明治神宮の記事でもアップしましたが、この一斗樽の並びを見ると、なぜかワクワクしちゃいます^^; ビールも「さても見事に積み上げた~♪」(あ、これは俵積み唄でした)
一斗樽
ビール
なぜ、酒で終わる? という話ですが、これにて目出度く栃木の石紀行、お開きです。
陽明門の修復は平成31年3月までかかるそうです。あと4年。素晴らしい豪華絢爛がよみがえる日を楽しみに待ちましょう。
孔雀
次回、奈良の山添村に積み残した石がありますので、近畿に戻ってきます!
石紀行の今年の予定は……夏休みに足摺岬、そして秋には福島を計画中。まだまだ続く石の旅、ぜひお楽しみに!

Category: 紀行文・エッセイ

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[雨131] 第26章 戻り橋(4)命の還る場所 

【海に落ちる雨】第4節・第26章『戻り橋』の第4話(最終話)です。
晴明神社は堀川通りという大通りに接するようにあり、もっとオドロオドロしい場所を想像していた観光客をちょっぴり拍子抜けさせてしまうのですが、平安の頃にはこの場所はどんなふうだったのでしょう。
私にとっての京都の町は二重構造。現在目に見えている町と重なるように、次元の違う世界が張り付いている。何かの拍子にその世界が見えてしまうのです。例えば、御所の堀の角、道が十字に交わるところ、橋を渡ったところ。結界と言われる見えない境界が、ほら、そこにも。
この町で、真が見たものは一体なんだったのでしょう。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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お知らせ~アルファポリスさんミステリー大賞にエントリーしました&【終わらない歌】そのうち連載開始~ 

アルファポリスさんのミステリー大賞にエントリーしました。
東寺2
それも、昨日、ぎりぎりに(締切が嵐さんの宮城コンサートの申し込み締切と同じ日だったので、勢いで……?(*^_^*)?)。
何だかまるきり的外れって気もしていますが、後から読んでみたら結構自分でも楽しめたので(そんな自画自賛でいいのか!)、少しでも多くの人に読んでいただけたらいいなぁと思い、エントリーしてみました。
【奇跡を売る店】シリーズ、とりあえずは第1作目の『サンタクロース殺人事件』です。

ミステリーとしての出来栄えはともかく(いや、そこが大事なんだけれど、さっさとギブアップ)、私の最も得意とするカテゴリー(?)・「なんちゃってミステリー」で挑んでいます。
(大海、なんちゃってミステリー大賞、じゃないよ?)
でも、キャラたちは結構魅力的なんじゃないかと……(だから、自画自賛はだめだって!)

元小児科医で、叔父の事務所の留守番探偵・釈迦堂蓮。
探偵事務所を間貸ししている石屋の怪しい女主人。
蓮が引き取っている生意気な保育園児・和子。
蓮の従弟で、ヤクザな世界にも足を突っ込んでいる妖艶な魅力を持つ舟。
失踪している舟の父親・元刑事で探偵の釈迦堂魁。
蓮の元婚約者で小児科医の海。
蓮が働いているショウパブの愉快なオカマさんたちと個性的な客たち
そして、蓮の元家庭教師で大原に住む仏師・大和凌雲。
怪しい石屋の婆さまが売りつける石たちが、奇跡の物語を紡いでいく。そんな世界を、慣れ親しんだ京都の不思議な魅力と一緒に描けたらいいなぁと思っています。そう、京都中を走り回ります……ママチャリで(たまにマウンテンバイクで)。

そして、このシリーズのもうひとつの主役は石たち。
【奇跡を売る店】は「貴石・奇石」と「奇跡」をかけていますが、シリーズのタイトルも気に入っています。
始めに浮かんでいた物語は、主人公の留守番探偵・釈迦堂蓮が訳あって引き取っている心臓病の子ども・和子(にこ)が主軸の物語ですが、こちらはまだ構想の中にあるだけです。多分、2作目に登場するはず。
まずはシリーズの1作目・【サンタクロース殺人事件】は軽く、人物紹介のつもりで書きました。今後も続いていく彼らの物語のスタートを応援してやっていただければ、とても嬉しく思います。

ところで、この物語は、人物造形や設定の一部が相川真シリーズに被っています。そもそものコンセプトが「ちょっと大変だった真の人生をもう少しライトにハッピーにしてやろう」というもの。でも、書き始めたらまるで違った世界になって、実はほっとしております。
そうそう、真シリーズはあくまでも「昭和なお話」、蓮のシリーズはやっぱり「平成なお話」。何が違うって、携帯電話が出てこないのが真シリーズ!(え、っと、そこだけ?)
でも、携帯のあるなしで、小説の中に漂う世界が大きく変わりますよね。
……余談でした。
【サンタクロース殺人事件】……読んでいただいて、応援いただけるととっても嬉しいです。


【終わらない歌】シリーズ、ついに解禁?
そして、もうひとつのお知らせ。この期に及んで、新しい作品のご紹介です。
とはいえ、チラ見せはしていたので、真新しいというわけではありません。
実は、【海に落ちる雨】のコラムコーナーに沈んでいた記事を拾い上げてきました。
八少女夕さんがなさっていたのと同じ「何十年も前に構想し書いた物語を何とか表に出せないか」企画です。
夕さんが見事に大仕事を成し終えられたので、私も続こうと気合いを入れてみることにしました。それにKさんとKさんにそそのかされたのもあって……

設定は甘々で、ロックに特に詳しいわけでもない大海がバンドの物語? って自分でも驚くのですが、当時(1988年の作品。歳はきかないで!)は相当に楽しく一生懸命書いていた物語。アップはもう少し先になるとは思いますが、宣伝だけしてしまおうっと。

実は結構な枚数の手書きの元原稿があるのです。
ある日のこと。バカな大海は、きっと手書きを読み込むようなソフトがあるに違いないと、量販店に行って店員さんに聞きました。
大海『手書きの原稿をデジタルの字に変換してくれるソフトとか、ありませんよね~?』
店員『? PDFにですか?』
大海『(いや、それはいらん)読み込んでテキストに置き換えて欲しいんです。……いえ、忘れてください』
店員『……そんな研究もされていると思いますが…(遠い目)』

主人公の名前が、面倒くさいことに『相川真』です。
実は、1代目の相川真の曾孫になります。血縁はあるけれど、物語には因果関係はありませんので、全く別の新しいお話として読んでいただけるものです。こちらでは、初代ジョルジョと初代真は『あの○○』扱い、つまりシーラカンスかオオサンショウウオといった感じです。
1代目のお話は、一応ミステリーが土台。2代目のお話は、青春まっしぐらです。

昔、紹介用に描いたキャラ達。もう、今は絵を描くことはできそうにありませんので、古い絵でごめんなさい。
Breakthrough.jpg
Breakthrough2.jpg
さすがに文字は読めませんね……いずれしっかりご紹介いたしますが、まずはさわりだけ。
ヴォーカル・相川真。基本的に人前で楽器は弾かないけれど、実はクラシックの指揮者(もとピアニスト)の祖父が大好きでピアノを弾く。割と直情的で、すぐに物事をややこしくするトラブルメーカーでもある。
ギター・遠山一。高校時代から真、山辻とら組んでいたバンド、BIG BAD BABY BASTERSでもリーダー。ギター馬鹿で、外見はクールなのに、中身は超真面目で熱血漢。戦隊モノでは赤。
ベース・橋本隆二。元は敵対していたバンド、BEAT ODESSEYのベーシストで、しかも遠山の彼女・千尋を奪って行った(あげくに別れた?)いわくつきの男だったが……古いアニメで必ず一人は出てくる、庇髪でチームになじめない青役。
ドラム・山辻哲也。マルチな才能と独特の雰囲気を持つ、不思議な人物。何故か市民オケでチューバも吹いている。山ちゃんあってのこのバンド。
キーボード/アレンジャー・神坂伸二。いわゆる天才で、躁鬱病気味。何を隠そう、イメージはモーツァルトなのです。

実は、もともと学生時代にちょっとファンだった軽音部のバンド・BLOW OUT FRACTUREの名前を借りて、物語を書いていたのです。でも、これって実は『眼窩陥没骨折』というような意味なんですよ^^; そのまま行こうか思っていたのですが、せっかくのブログデビューなので、もう少しカッコいい名前にしました。BREAKTHROUGHです。いや、BOFも気に入っていたんだけれど……


そして、物語の中身は?
え、っと、どこかで聞いたタイトルばかりですが、気にしないでね!


1.終わらないSun Set :バンド仲間の自殺、自身の自殺未遂というスキャンダラスな事件から、バンドを解散し大学に行こうとする真だったが……

2. BEAT ODYSSEY :バンドのリーダー・遠山の彼女である千尋を奪っていったのは敵対してきたバンドのベーシスト・隆二だった……一方、真は曾祖父の代からの付き合いであるヴォルテラ家の次男・ジョルジョと不毛な関係を続けていた。自分の未来については何の希望も持てないでいたが、ついに別れを決意する。

3.Serenade~熱情 :暴走族(なんているのかなぁ、この時代)の抗争の場に居合わせた真は大怪我をして入院、警察沙汰に。しかも大事な友人である族のリーダー・庄司は鑑別所に行くことに。荒れている真を慰めたのは、クラシックの指揮者である祖父の慎一だった。

4.Bleus of IF :解散ライヴが決まる中、抜けるキーボードの代わりが見つかり、そして隆二が加わり、一緒にロンドンに行こうという話が持ち上がっている。遠山は真にヴォーカルはお前にしかとらせないと宣言する。そして解散ライブの日がやって来た。

5.星屑のステージ :新たなメンバーで再出発したバンド・Breakthrough、ロンドンで貧乏生活を続けながらライブハウスで演奏する日々が続いていた。そんなある日、真がクリケットの試合の帰りにアナという名前の女の子を拾ってくる。さらにセイラと名乗る生意気な少女が現れ……悲しいけれど優しい少女たちの物語。

6.Blue Rain :ロンドンでデビューが決まったBTHだったが、迷いを断ち切れない真。だが、鑑別所から出て交通事故を起こした庄司から、俺がどこにいても聞こえるところで歌ってくれと言われて決心する。そんな中ジョルジョとの再会……しかし、ジョルジョは何か隠しているようで、真はジョルジョと女優・笈川小百合の関係を心配する。

7.Long Load :真は高校時代の野球部のマネージャー・えみかと再会した。えみかには結婚を考えている恋人がいたが、刑務所に入った庄司とその彼女・貴子との付き合いの中で、えみかの気持ちは少しずつ真に傾いていく…

8. I Love Youからはじめよう
9.Door for the Next
10. Quatre Saisons
:真の母親・れいなが結婚する。しかも相手は高校生の息子がいる売れない映画監督(8~10は義理の弟となるその高校生・由貴の一人称で物語が進みます)。心疾患を持つ由貴の不自由、日本で再デビューしながらも不安を抱えるBTH、そして発覚するジョルジョの死病。やがて、ジョルジョの危篤の知らせが日本に届いた…


あ。実は真、何故か高校時代、野球部に所属していたんですよ。真面目に甲子園を目指していたことも……その頃のバンドは息抜きだったんです。真の恋人となる「えみか」というのは、実は、初代・真の従妹・葉子と、初代・真の永遠の恋人・美和(多分、そうだと思う)との縁戚にあたるんですね。余談ですけれど。
そんなこんなで、7月1日。気分転換に宣言をしてみました(*^_^*)
書く書く詐欺、という声も聞こえますが、まずは7月半ばまでは面倒くさい仕事が多いので、それを乗り切ってからだなぁ~
長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!!

Category: 小説・バトン

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