FC2ブログ
07 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 09

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

オリキャラオフ会 in 北海道@また一緒に遊ぼうにゃ~!【浦河パラレル】(2)マコトの知床旅情 

なかなかアップできなくてごめんなさい。でも鉄は熱いうちに打て。思ったりより長くなっちゃって、中途半端なのですが、幹事がさぼっていると問題がありそうなので、一応アップしようと思います。オフ会の2作目です。多分、こちらの事情はあと1作で、その先は皆様との宴会日記になると思われます。


オリキャラオフ会 in 北海道@また一緒に遊ぼうにゃ~!
【浦河パラレル】(2)マコトの知床旅情



8月8日
 タケルといっしょにしれとこにいきました。ぎょせんにのりました。タケルはつりをしました。ぼくは、ちっさいくまと、おっきいおさかなをみました。おっきいおさかなはおいしそうだったけど、ぼくよりずっと大きいので、ぼくがたべられちゃうかもしれません。でも、とってもたのしかったです。きょうはいるかほてるにとまります。

わ~、タケル~、くまさんだ~!! ちっさいね~
あ、もっとちっさいのがいる! 
おかあさんとこどものくま?
……べつにいいもん。ぼくはタケルといっしょだもん。
(明日までだけど)
あ、くまさん、おさかなとってるの?
わ~、あっち見て~! 水がおっこちてる!
おやま、おっきいね~
あ、あっちはおっきいおさかな! わ~、おしっぽがみっつも見えるね!
わ。とんだ! 
……むにゃむにゃ、にゃん。


 さて。
 俺は明日以降の打ち合わせのためのメールをいくつか送ると、パソコンを閉じた。明日、マコトを釧路まで連れて行って、弘志さんに預けたら、そのまま釧路空港から羽田へ飛び、成田へ移動する予定だ。そこから、まだまだ長旅になる。南米ペルーで新しく発見された遺跡の調査に同行することになっているのだ。
 マコトを連れていけたらいいのだが、さすがに南米のジャングルに箱入り猫を連れていくわけにはいかない。まかり間違って誰かのエサになったら大変だ。何しろ、ジャングルではいつでも食事の時間だから(って、東京ディズニーランドのジャングルクルーズで言っていたよな)。

 ここ、知床のいるかホテルはオホーツク海に面した宿で、部屋から海と知床連山が見えていた。しばらくマコトを放っておくことになるので、今日くらいは一緒に楽しく過ごそうと思ったのだ。
 今日、レンタカーでここにやって来て、漁船をチャーターし、一日ゆっくり海の上で時を過ごした。俺は久しぶりの釣りだ。マコトは船の上をあっちに行ったり、こっちに行ったり、ずいぶんと忙しそうだった。何かを見つけては、俺の方に向いてにゃあにゃあ言っていた。ヒグマの親子が崖を降りてきて、海辺でシャケを捕っていた。

 マコトに遠近感が分かるとは思えないので、もしかすると、小さくて可愛らしい生き物が動いていると思ったのかもしれない。でもな、マコト、あれは相当に凶暴なんだぞ。
 俺はそう教えてやって、また釣りに精を出した。カラフトマスとサーモンを釣り、船の上で早速捌いて、マコトにも分けてやった。マコトはいっしょうけんめい食べて、それから俺の方を見て「おいしいね、おいしいね」と言っていた(ような気がする)。
 羅臼の方に回ったら、イルカが泳いでいた。クジラも見ることができた。マコトは「おっきいおさかな~」と言いながら(多分)、くるくる回っていた。

 今、マコトは和室の隅っこに置かれたねこ用布団の上で丸まって眠っている。何やらむにゃむにゃ言っているのは、夢を見ているからなのかもしれない。今日は大興奮だったから、疲れたんだろう。
 それに、夢の中ではまだ、知床クルージングの続きなのかもしれない。

 お。マコトはまた「にくきゅう文字」で何かを書いている。
 最近、肉球にインクを付けてペタペタやるのがマイブームらしい。
 なになに? って、読めるわけはないんだが、何となく雰囲気が分かる。これはイルカのことかな。大きく肉球ラインが飛んでいる。
 マコト流夏休みの絵日記、といったところか。

 浦河の牧場では、俺と離れている間のマコトが寂しくないようにと、じいさんたちが大宴会を企画しているらしい。猫一匹のために? 夏の忙しい時に、本当に申し訳ない。
 いや、あのじいさんもきっと何かを吹っ切りたいのかもしれない。でも、じいさんが亡くした孫の代わりのようにマコトを可愛がってくれるのは、本当に有難い。
 いや、亡くした大事な者の代わりに、マコトを大事にしているのは俺の方か。
 それでも、今はもう身代わりというわけではなく、この一生懸命に生きている仔猫のことを、心から愛おしいと思っていた。


8月9日
 きょうはタケルといっしょにおクルマでくしろに行きました。とちゅうで、ましゅうこに行きました。ましゅうこはとっても青くてきれいでした。イキオクレル~ってとなりでちょっと年をとったお姉さんがさわいでいました。ましゅうこで、変わったおにいちゃんとおねえちゃんと、おとこの人かおんなの人か分からないひとに会いました。ペンダントがしゃべりました。ペンダントにさわってみたかったけど、にげちゃったです。
 それからくしろに行きました。くしろでおじちゃんがまっててくれました。おじちゃんといっしょに、おばちゃんもまっててくれました。それから、まえに会ったことのあるおにいちゃんがいました。おにいちゃんはぼくを見て「あ」と言いました。ぼくも「あ」と言いました。なんだかおもしろかったです。
 タケルとはちょっとだけ、ばいばいです。ぼく、おるすばんがんばれます。
 クルマの中で、ホッケを食べて、起きたらボクジョウでした! つづく。


 翌日。マコトと一緒に道の駅に行き、シャケとカニを買い込んで釧路へ向かった。
 途中、摩周湖を通る。
 布施明の「霧の摩周湖」以前にはほとんど名前を知られていない湖だったと言うが、何よりもロシアのバイカル湖に続く世界第2位の透明度を誇る湖として、晴れた日の美しさは類を見ない(近年ではその透明度も随分と落ちてしまったようだが、それでも二十メートルはあるそうだ)。

 そのブルーは「摩周ブルー」と言われ、展望台から見つめていると、引き込まれ包み込まれるような青だ。
「霧の摩周湖」に出会えるかどうかは季節にもよるが、夏は比較的霧の日が多いと言う。今日の天気予報は曇りだったので、晴れでも霧でもない、いささか中途半端な景色かと思いきや、俺たちが展望台に上がった時だけ、突然晴れ渡ったのだ。
「摩周ブルーだ」
 思わず呟いたら、隣でそこそこ妙齢の女性四人組が「いき遅れる~」と賑やかだった。申し訳ないが、すでに十分いき遅れて……こほん。

「レイ、なんてことするんだ! 異世界の天気を操作するなんて!」
「いや、俺は何も……」
「リーザが摩周ブルーを見たいって言うからでsu~、レイの力が暴走したでsu~」
「そ、そうなのか?」
 その時、耳に入ってきたのは、男女の複数の声だった。いや、それは少し奇妙な感じだったのだ。彼らは確かに別の言語で話している。そして、その声に重なるように、少しばかり訛った感じの日本語が重なる。

 彼ら、というのは少し奇妙な三人組だった。俺とほとんど同じ背丈くらいの男性と女性。ということはかなり大柄だ。男性の方は「その時はその時です。熊に出会ったらそれまでです」と書かれたTシャツを、女性の方は「おつとめごくろうさまです」と書かれたTシャツを着ている。もう一人は、まるでゴルフ場のキャディーのような日除けのついた帽子を被り、長袖の袢纏のようなものを来た、少し背丈の低い、一見のところ男性らしい人物だ。

 最近、日本は外国からの観光客で溢れている。最も多いのは中国や韓国からの旅行者だが、どうしてその国からわざわざ日本へ? というような外国人も多く見かける。もっとも、俺も外国人なので人のことは言えないのだが。
 で、その三人組の話している言語は、世界のかなりの国を回っている俺も聞いたことのないものだった。彼らは俺と目が合うと、はっとしたような顔をした。
「ハゾルカドス、俺たちのプライベートの会話まで翻訳しなくていい!」

 男性は右が緑、左が青のオッドアイだった。色は違うが、オッドアイというのが懐かしく、またどこか哀しくて、俺の心を締め付けた。
「綺麗な色ですね」
 話しかけてみた。
「えっと、はい」
「どうしてこんなに透明度が高いかご存知ですか?」

『摩周湖は注ぎ込む川もなければ、出ていく川もない閉鎖湖で、生活排水や不純物が運び込まれることがありません。ゆえに、プランクトンや粘土などの浮遊物が極めて少ないので、透明度が高いのであります。摩周湖の水源のほとんどは雨です。雨で増加した水は、自らの水圧で地下水となり、それが湧き出してまた、湖へと流れ込んでいるのであります』

 俺は男性の胸にあるペンダントに驚いた。翻訳機らしいということは何となく分かっていたが、どうやら観光ガイドブックの役割も果たすらしい。俺はとりあえず自己紹介をした。
「ヤマトタケルと言います。あ、こいつはマコト」
 マコトは挨拶をするように「にゃあ」と鳴いた。もっとも、マコトの興味は完璧に男性の胸のペンダントにロックオンされている。心なしか、ペンダントがあたふたと逃げ出したいような気配を見せている。気のせいか?

「あ、レイモンドです。こっちはリーザ、それから詩人」
「詩人?」
「いや、ニックネームです」
『ハゾルカドスです』
「え?」
「いや、あの、この翻訳機の名前です。勝手にしゃべるな。あ、これは翻訳するな! あ、いや、なんでもありません」

 俺はなるほど、と頷いておいたが、ハイテクにしても随分と進んでいる。まるで生きているかのような……と思った途端、マコトが手を、いや前足を伸ばしてペンダントにタッチしようとした。
 瞬間、びゅん、とペンダントが揺れた。マコトはびっくり目になって俺を見上げた。
「あ、これはその、時計の振り子のようなもので、時間が来ると揺れるんです」

 いや、まさにこれは「生きている」。新しいロボットみたいなものなのか。彼らは一体どこの国からやって来たのか。俺は、そして多分マコトも興味津々になっていた。
「これからどちらへ?」
「実は明日の夕方までに浦河という町に行かなくてはならないのですが、どうやって行こうかと算段していたところです」
 そう言ってレイモンドと名乗った男性が、あるチラシを開いた。

 さすがに俺も驚いた。それは、浦河の相川牧場の『助っ人募集』チラシだったのだ。
「まさかこれに参加を?」「にゃ?」
 何と、驚いた。一体、じいさん、このチラシをどこにばら撒いたんだ?
「いや、これは奇遇です。私はこの相川牧場に縁の者なのです。もし足を確保されていないのなら、私の車で今日のお泊りの辺りまでお送りしましょう。実は、私はマコトを預けるために3時に釧路でその相川牧場の人と待ち合わせているのです。ちょっとお待ちください」

 俺は弘志さんの携帯に電話をかけた。弘志さんは直ぐに電話に出てくれた。
「あぁ、タケルさんか。今? フィッシャーマンズワーフで買い物中だ」
 俺は事情を話した。弘志さんは、丁度明日、釧路に帰省していた牧場のスタッフが浦河に戻るので、釧路で待ち合わせが可能ならその人の車に便乗して浦河に来てはどうかと提案してくれた。釧路~阿寒の辺りは移動もそれほど困難ではないけれど、この辺りから浦河までは車でも四時間はかかる、何より交通が不便だから、と。

 俺はレイモンドたちにその言葉を伝え、ひとまず彼らと一緒にレストハウスに入り、摩周ブルーをモチーフにしたアイスクリームを楽しむことにした。
 詩人が「翻訳機ハゾルカドス」にこの土地の伝説はないのかと聞いた。

「ございますです。遠い昔、ある地方に激しい戦いが起こり、一人の老婆が殺された息子の忘れ形見の孫を連れて逃げました。老婆と孫は野山を彷徨い歩きましたが、いつの間にか老婆は連れていたはずの孫を見失ってしまったのでございます。悲しみにくれ、疲れ果てた老婆が摩周湖のほとりにたどり着き、カムイヌプリ(摩周岳)に一夜の宿を頼むと、カムイヌプリは『いつまでも休め』といたわりの声をかけ、老婆を島に変えたのでございます。それがあの島です」
 摩周湖の空はまた鼠色に曇って来ていた。湖の真ん中にぽつんと取り残されたような島。それがカムイシュ(老婆の神)だ。

「摩周湖に霧が多いのは、島に姿を変えた老婆が孫を思って泣くからだと言われている」
 俺は付け加えながら、傍らのマコトの頭を撫でていた。マコトは、そんな感傷はどこ吹く風、ただただ興味津々で翻訳機ハゾルカドスが喋るのをじっと見つめている。やはり気になって仕方がないらしい。

「霧の摩周湖にha、悲しい伝説があるのですne~」
 さすが詩人というニックネームが伊達ではないらしく、詩人はふぅと深い悲しみの溜息をついた。彼の長袖の袢纏の下に覗くTシャツの文字は「脱獄犯」だったけれど。

 霧の摩周湖の悲しい伝説。
 この湖を見るたびに、その伝説の老婆と同じように深い悲しみに包まれていた俺にも、こうしてマコトが現れ、ずっと傍にいてくれる。
 そして、今また不思議な縁に導かれた出会いがあったのだ。彼らが何者か、どんな国から来たのか、その不思議を噛みしめるのも悪くない。


「あいつは十九の時、事故で死んじまった」
 その話を聞いてからきっかり三分は黙り込んでいた真が、急に弘志さんに車を停めてほしいと言った。牧場に戻りたいというのだ。弘志さんは無言で車を脇に寄せた。真の気持ちを推し量っているのか、しばらく弘志さんも無言だった。歩いて戻るという真に、ここからだと歩いたら一時間以上かかるから、と弘志さんは引き返そうとしたけれど、真は断った。
「少し景色を見て歩きたいんです」

 道は一本しかないし、迷いようはない。それに、多分、真には土地勘がある。
 僕は弘志さんと真を交互に見詰め、それからかじぺたさんと目を合わせた。かじぺたさんは、そっとしておいてあげたほうがいいわよ、と言っているように見えた。
 結局、真を降ろして、弘志さんと僕とかじぺたさんは釧路漁港へ向かった。リアウィンドウの中で小さくなっていく真を見送っていると、僕も少し不安になったけど、でもこの土地に息づいている何かが彼を守ってくれると信じていた。

 そう、この出来事は全くの偶然なんかじゃない。僕は弘志さんとかじぺたさんに僕たちの事情を話した。
「じゃあ、君たちは過去から来たってこと?」
「僕たち、少なくとも皆さんが使っているスマホという蒲鉾板みたいな電話、今まで見たことがありません。杉下さん、じゃなくて萌衣が今朝、かじぺたさんにいくつか質問したでしょ」
「歴史のこと?」

「はい。共通する過去の大きな事件や出来事は一致しているから、全く違う世界ではなそうです。てことは、真は自分も十九になったら死んじゃうんじゃないかと思ってしまったかもしれない」
「そうか。それは気がつかんかった。迂闊だったべ」
 弘志さんがしまった、というように顔をしかめた。僕は、真のことも心配だったけど、今はとにかく、弘志さんとかじぺたさんが、少なくとも僕の突拍子もない言葉を信じてくれたことに感動した。

「いや、あの、過去から来たなんて簡単には信じてもらえないと思って、言わなかった僕たちが悪いんです。それに、さっき計算したら、今が2015年だとして、色々計算は合わないんですよ。つまり弘志さんも長一郎さんも、僕たちの元いた世界の続きなら、若すぎるというのか」
「じゃあ、時間だけじゃなくて内容もちょっと違うってことかもしれないわね。つまり彼が十九でどうこうなんて、分かりっこないってこと」

 僕たちはあまり自信がないままに会話を打ち切った。少なくとも、真の育った牧場は観光牧場的なことは一切していなかったというし、弘志さんが北大で講師をするなんてとても考えられないという。だから、僕は信じている。
 ここは時間も違うけれど、きっと僕たちの人生も別物だ。

 僕たちはあれこれ引っかかりながらも、色々な会話を重ね、釧路にたどり着いた。
 弘志さんは競走馬牧場の仕事について教えてくれた。
 朝、といっても、それはまだ夜中の続きのような四時には起き出して、夜間放牧させていた馬たちを集めて小屋に戻したり、逆に日中放牧する仔馬たちを小屋から出してやる。その間に寝藁の掃除をし、集牧した馬たちの手入れをして体調に問題がないかチェックする。午後からは、朝放牧した仔馬たちの体調チェック。セリに出す1歳馬たちのセリ馴致もある。夜は日中放牧している馬たちの夜飼い(夕食)。

「きつい仕事なんですね」
「そうだなぁ。そうかもしれねぇけど、それが当たり前だからなぁ」
「逃げ出したくなったことはないんですか?」
「あるある。オレは高校生のころ町さ行って悪さして、何度か補導されたこともあるべ」
 弘志さんは豪快に笑い飛ばした。
「けどなぁ、オレ達がいなきゃあいつらは生きていけねぇ。オレたちはあいつらがいなきゃ、生きていけねぇ。単純なことだ。支え合っているから、苦痛だなんて思ったこともねぇ」
 かじぺたさんが頷きながら微笑んだ。あいつら、というのは馬たちのことだ。

 僕は道の両脇に広がる森を見つめた。この土地を切り開いてきた先人がいる。そしてその子孫たちが精一杯生きている。馬たちもまたここへ連れてこられて、彼らと共に生きてきた。夏はこうして過ごしやすい素晴らしい場所だけれど、冬の厳しさは僕らの想像を超えているのだろう。
 それでも、一所懸命生きている。

 釧路に辿り着いたのは昼をとっくに回っていたので、とにかくお腹がすいてしまっていた。弘志さんの知り合いのお店に行って、いきなりの海鮮丼。うわ、真と萌衣にちょっと申し訳ない気がしたけれど、有難く頂く。今度は夜おいで、炉端焼きのいい店に連れて行ってやるから、と言われた。

 漁港や市場を回って、頼んであったという山のような食材を車に積み込んでいく。車にはクーラーボックスというよりも、ほとんど冷蔵庫のような入れ物がいっぱい。それがどんどん満杯になっていく。さんま、さけ、いか、かれい、などなど。夏なので少し種類が少ないけれど、帰りの道すがら、豚肉や鶏肉、それにこれぞ北海道というような野菜類が積み込まれると、車が重さで沈んでいくのに反比例するように、かじぺたさんの意気は上がっていくようだった。

「待ち合わせてるんだ」
 そう言って立ち寄った釧路フィッシャーマンズワーフで、真と萌衣にお土産を買った。萌衣にはアイヌの魔除けのペンダント、真には悩んだ結果、モモンガのぬいぐるみにした。「誘っているようで目を逸らしている」モモンガと目が合った時、あ、これ、真にそっくりじゃん、と思ってしまった。

 まだ買い物を続けているかじぺたさんと弘志さんに断って、トイレに行くと、入口の角のところで、出てきた人といきなりぶつかってしまった。
「わ、すみません!」
 叫ぶようにして顔を上げると……僕は思わず口を開けたまま固まってしまった。
「大和さん?」
 僕がぶつかってしまった長身の外国人は不思議そうな顔をした。
「あれ、どこかでお会いしましたか?」
「え……と、多分」

 僕の頭の中はフル回転だった。ここはパラレルワールド、でもこの人とはどこかで会ってる! どこだっけ? ……もしかして……松江?
 その時、僕は「大和さんそっくりのヤマトさん」の腕の中にいる茶色いものに気が付いた。
「あ」と僕が声を上げた時、その茶色いものも「あ」という顔をしたように見えた。

 いや、猫なんだから、まさかそんな顔をするわけはないんだけれど。耳鳴りが「また一緒に遊ぼうにゃ~」と唸っている。
 そう、弘志さんが待ち合わせていたのは、デジャヴ感満載のこの人とこの猫だった。
 うん、あの時の猫だ、間違いない。やっぱり、今度はシジミならぬホタテの呪いなのかもしれない。

 と、その時、店が並んだショッピングフロアの方から何やらざわめきが聞こえてきた。大和さんそっくりのヤマトさんが、あ、という顔をしていきなり僕に茶虎猫を預けて、走っていった。
 残された僕と茶虎猫はまた顔を見合わせた。

(つづく)
スポンサーサイト



Category: オリキャラオフ会@浦河

tb 0 : cm 12