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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【迷探偵マコトの事件簿】(19) マコト、クリスマスパーティーに行く~誘拐犯をやっつけろ!~ 

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(イラスト:小説ブログ「DOOR」のlimeさん。著作権はlimeさんにあります。無断転用はお断りいたします。)
なんと、今見返してみたら、前回の【迷探偵マコトの事件簿】は5月でした。そんなにマコトを書かなかった? と思ったら、8月にオリキャラオフ会があったので、そこで散々書いていたのでした。カテゴリが違うとこになっていたのですね。
で、久しぶりにマコトの登場です。今回はようやく、ちょっとだけ事件簿的なお話? 何よりもクリスマスに間に合ってよかった!

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。大きくなったらヒョウになるつもり。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。
カンタ:水族館で誘拐されそうになった少年。
<用語解説>
半にゃライダー:日曜朝のヒーロー番組。半人前(半猫前?)の仔猫が般若のお面を被ったら強くなって、相棒の飼い主と一緒に世界征服をたくらむ怪人をやっつける物語。現在シリーズ『4』を放映中。神社で飼われている猫のヒデが禰宜の大国主水と一緒に、強大な悪と戦っている。マコトはこの番組の大ファン。君も応援してね!
<状況説明>
マコトは子どもたちにいたずらされているところをタケルが拾ってきたねこ。だから、今でもちょっと子どもがキライ。


【迷探偵マコトの事件簿】
(19)マコト、クリスマスパーティー in 水族館に行く~誘拐犯をやっつけろ!~

水族館

[scene1] マコト、今年はパーティーピーポーになる
にちようび。
ぼくは早おきして、タケルといっしょに半にゃらいだーを見るよ。
きょうのおはなしはね、こねこがショップ・ショッカーのカイジンにさらわれて、ヒデとモンドがたすけにいくおはなしだったの。
こねこはね、さらわれそうになったとき、メジルシにかじりかけのニボシを落としていったんだよ。だからヒデとモンドは、すぐにこねこをさがすことができたんだ。
あれ、かってにおっこちたんだっけ?
……よくわかんなかったけど、ま、いいか!

『いいか、マコト、お前もさらわれそうになったら、めじるしを落としていくんだぞ』
でもぼく、オイシクないから、きっとさらわれないよ。
それにニボシが落ちてたら、すぐにたべられちゃうとおもうんだ。

あ、タケル、ゆうびんやさんがオテガミもってきたよ。カキトメ~
ね、なんのオテガミ? 
……あ、ぼく知ってる!
しろヤギさんからオテガミついた~、くろヤギさんたらよまずにたべた~
チガウの? オテガミ食べちゃだめなの?
『申し込んでいたクリスマスパーティーのチケットがあたったんだよ』

……そうなんだ。タケル、今年もぱーてぃーに行くの?
ふ~ん、行くんだ。
いいもん、どうせ、ぼくはおるすばんでしょ。
『あ、いじけただろ。実は、ねこ同伴OKのパーティーなんだよ。今年は一緒に行こうな』
え? 今、なんて言ったの? ねこといっしょにくりすますぱーてぃ?

……ねこもいっしょ!
ぼく、ぱーてぃーぴーぽーになれるの?
わぁ~い!

そうなんだ。タケルがオモウシコミしてくれたぱーてぃーは、ねこもいっしょに行っていいんだって!
ばしょはすいぞくかん! おさかながいっぱいいるとこ!
わ~いい! ぼく、ぱーてぃーぴーぽーになる!!

それからぼくは、まいにちねる前にタケルに本をよんでもらったの。
ぼくは、手で本をおさえる。
ね、これは?
『えい』
これは?
『さめ』
これは?
『いわし』
じゃ、これは?
『ぴらにあ』
ぴらにあ、おいしい?
『たぶんおいしくないよ』
これもきっと、おいしくないね!
『いや、タコはうまいんだよ』
たこ? これタコ、なの? こんなにぐにゃぐにゃ~??
『そうか、お前、切り身しか見たことないもんな』
きりみ~? 

はぁ、おべんきょうって、つかれるね。

じゃ、こんどはこっちの本をよんで。
『サンタクロースはトナカイのソリに乗ってやってきます。良い子にしていたら、煙突から入ってきて、プレゼントを置いていってくれるのです』
ぷれぜんとって何?
『その子がほしいものだよ』
ほしいもの? ニボシ? ねこまんま?
『特別にうまいかつ節かもしれないぞ』
あ、でも、たいへんだ! おうちにエントツがないよ!
『大丈夫。サンタクロースは、いい子のところには、エントツなんかなくても、入って来れるんだよ』
さんたさんって、マホウツカイなの?
タケルはぼくのあたまをなでた。
『サンタさんに何が欲しいか、オテガミ書かないとな』

だから、ぼくはにくきゅうもじで、さんたさんにオテガミを書く。
さんたさん、ぼく、おねがいがあります。ニボシはいりません。ぼくをとなかいのソリにのせてください。
そうしたら、お空から、いっぱいおさかなが見えるでしょ。
タケル、ちゃんとオテガミ出しといてね。
あ。それから、サンタさんに、オテガミ食べちゃったらだめだよ、って言っといてね。

[scene2] 水族館に行こう!
今日は、すいぞくかんのくりすますぱーてぃーの日。
タケルはいつもよりちょっとオトコマエのかっこう。ぼくはいつものちゃとら。
でも、ちゃんとおふろにはいったよ!
それから、いっしょに車にのって、おでかけしました。

ぼくはジョシュセキからお外を見る。
きらきらきら。もう夕方だから、すこし暗くなってきた町に、たくさんきらきらが灯ってる。きらきら、きれいだね。びるにも、木にも、青とか白とか赤とか、きらきらいっぱい。

信号ですとっぷしたとき、首をのばしたら、となりの車のまどから誰かがのぞいてた。
ぼくはあわてて首をひっこめる。
びっくりした。目が合っちゃったよ。

もういっかい、そ~っと首を出してみる。
わ!
ぼくはもういっかい、あわてて首をひっこめる。
こどもが、こっち見てた。
ぼくはしょんぼり。

お外を見たいけれど、こどもはきらい。
タケルがぼくの方をちらっと見て、それからあたまをなでた。
『大丈夫だよ。あの子は君をいじめないから。それに、もしも誰かがお前をいじめたら、俺がいつだって半にゃライダーのお面を持って駆け付けてやるからな』
うん、ぼく、しってるよ。
でも、ちょっとだけ、やっぱりこどもはこわいんだ。

『みなさん、クリスマスパーティー in 水族館へようこそ。今日はねこちゃん同伴OKのパーティーです。館内は自由に移動していただいて構いませんが、外に出る時は必ずドアを閉めてくださいね。お外に行く時は、ねこちゃんとはぐれないようにしてください。もしもねこちゃんが迷子になった時は係員にお知らせくださいね。ねこちゃんと飼い主さんは同じ色、同じデザインのリボンをつけておいてください。ねこちゃんは首輪の後ろに、飼い主さんはブレスレットにしてね』

ぼく、クビワきらい。でも今日はしなくちゃいけないんだって。
『はい、マコトくんには青いリボンだね』
かかりいんの人がおリボンをくれた。
タケルはぼくのクビワに青いおリボンをむすんだ。青の中に白いお星さまがいっぱい、きらきらしてる。タケルもおんなじ、青いおリボンのブレスレット。
おほしさま、きらきら。
わ~い、おそろいだね。

まずはお外でイルカのショーをいっしょに見るよ。
わ~、イルカ、おっきい!
ざっば~ん!!
すごいね! イルカってお空を飛ぶんだね!
ざっば~ん!! ざっば~ん!!
こんどは二ついっしょにお空をとんだ!
わぁ、すごい!!
ぼく、となかいのソリじゃなくて、イルカのソリがいいなぁ~!!
イルカショー
イルカのショーがおわったら、次はすいぞくかんたんけんにしゅっぱ~つ!
わ。ひらひら~って大っきいはねがついてる! えい? エイ! あ、おいしそうなタイが泳いでるよ! こっちのすいそうは……おさかな、どこにいるの? あ、砂の中にめだま! かれい。こっちは、いわしがいっぱい、ぐるぐるまわってる~。わ~い。ぼくも目が回る~。こっちは何にもいないよ。あ、出てきた! ちんあなご~。ね、こっちにお星さまがある! チガウの? ひとで! えっと、ぴらにあは、こわいから、ちかづいちゃだめ。たこはぐにゃぐにゃ~。こっちは、イカだって! キリミは小さいけど、ほんとはおっきいんだね~。わ、しろいふにゃふにゃがいっぱい~。これなに? くらげ! ちょっとキモチワルイ~。
わ~い!

すいぞくかん、たのしいね~。
うわ! こんどはすっごくコワイ顔のおっきいのが来た~
じょーずだ~!
わ~、にげろ~~!!

……あれ? タケル? どこ?

[scene3] 迷子の仔猫
タケル、どこいったのかな。
あの~、青と星のおリボンの人、しりませんか~?
ぼくはとことこあるく。
でも、すいぞくかん、とっても広いんだ。それに、今日は人がいっぱい。ねこもいっぱい。ぼくとちょっと似たねこだって、いっぱいいる。
でも、タケルもきっと、ぼくをさがしてるよね。

ぼく、つかれちゃった。すいぞくかん、つまんない。

あ。
すみっこの暗がりで、つかれてすわってたら、おとこの人とおんなの人がやってきた。
かかりいんの人かな?
『どうして逃がしちゃったのよ。こんなにたくさん猫がいたら、何が何だか分からないじゃない。せっかく似たような猫を見つけておいたのに』
『お前がちゃんと捕まえておかないからだろ。あの猫であの子どもを誘いだす計画だったのに。おや、この猫、飼い主とはぐれてるんじゃないか』
『あら。私たちの猫とよく似てるじゃない』

あの。かかりいんの人ですか? ぼくね、タケルとはぐれちゃったの。
タケルは、ぼくとおんなじ青とお星さまのリボン、してます。
タケルのところにつれてって。
『よしよし。こっちにおいで』
かかりいんの人がぼくをだっこした。
『あ、子どもが来たわよ』

……あ。あの車のまどからのぞいてたこどもだ!
わ~、ぼく、こどもきらい~。
『あ、にゃんた!』
こどもがぼくとかかりいんの人のほうへ走ってきた。

『おや、これは君の猫かい?』
『でも、君は青と星のリボンをつけてないわね』
『僕の猫じゃないけど、そっくりの猫なんだ。僕のにゃんたは死んでしまったけど、ここに来たらにゃんたにそっくりな猫に会えるかもって、お母さんが』
『そうなんだね。でも、この猫ちゃんには飼い主さんがいるんだよ。はぐれちゃって、可哀相だよね。一緒に探してあげないかい?』
『うん!』

『そう言えば、さっき、このねこちゃんと同じリボンの人を外で見かけたわ』
『じゃ、外を探してみよう』
かかりいんの人がぼくを抱っこして、子どもといっしょにあるきはじめた。
あれ? お外に行くの? だって、ぼく、タケルのところに行くんだよ~!
お外にはかい主のひとといっしょでないと、行っちゃいけないんだよ~!
わ~~~~!!!!

ぼくはあばれた。だって、お外に行っちゃいけないんだ!
がぶって、かんだら、かかりいんのおとこの人がぼくをぎゅっとつかまえた。
『にゃんた、おこってるの?』
『うん、飼い主さんと離れて不安なんだね。君が抱っこしてあげてくれるかい』
『うん!』
いやだ~!!! こどもきらい~!! やめて~~!!

ぼくは思いきりあばれた。でも、ちっさいぼくがあばれても、大したことがなかっんだ。
こどもの手にかみつく前に、かかりいんの女の人がぼくをタオルみたいな布でくるんとまいた。
そのしゅんかん、ひらり、とぼくの首から何かがおちた。
そして、何にも見えなくなった。

『早く飼い主さんを見つけてあげないと。不安だから暴れるのよ。ほら、君も一緒に来てあげて』
『うん!』
ちがうんだ~、タケルはぼくをおいて、お外になんか行かない~!!

[scene4] マコト、誘拐犯とたたかう
でも、後の方で、お外に出るドアがばたん、と閉まる音がした。
わ~~~、ぼく、どこにも行かない~~~!!
『駐車場の方へ行ったのかしら。車、見に行きましょう。寒くない?』
『うん。にゃんたの飼い主さん、帰っちゃったのかな』
タケルはぼくをおいて帰らないよ! それに、ぼくはにゃんたじゃない~!!

ぼくは布にくるまれてて、何にも見えなかった。
車のドアが開く音がする。
『ね、ちょっと君、ねこちゃんが逃げないように抱っこしていてあげてね。ねこちゃんを車に乗せてから、飼い主さんを探しに行こう』
『うん』
『でも、寒いから、君もいっしょに車に乗って、ねこちゃんといっしょに待ってて』

ぼくは車にのっけられた。ばたん、と車のドアがしまる音。
その時、ぼくは布から飛び出した。
こどもがびっくりして、ぼくを見てた。
『やっぱり、にゃんただ! にゃんた!』
だから、ちがうって!
ぼくはにげた。でも、車のドアはしまってる。子どもは大きな車の中でぼくを追っかけてくる。
『にゃんた、あそぼうよ!』
ぼく、にゃんたじゃないし! こども、きらい!!

その時。うんてんせきとじょしゅせきのドアが開いて、かかりいんのおとこの人とかかりいんのおんなの人が車に乗ってきた。
エンジンがかかる。ドアがロックされるカシャ、という音。
ぼくの耳が、ぴんと伸びる。あれ? なんか、おかしくない?
子どもがぼくをつかまえた。
車が動き始める。

子どももぼくをだっこしたまま、フシギそうにかかりいんの人を見た。
どうなってるの? どこ行くの? 
車がおおいそぎでうごいてる。カーブをまがる。
ちゅうしゃじょうのゲートが近付いてくる。
『急いで!』
おんなの人がさけんだ。

も、もしかして、これって、ゆうかい~????
このあいだ、半にゃらいだーで見たのとおなじだ~~!!!!
わ~、ヒデとモンド~、たすけにきて~~~~~!!!!
じゃなくて、タケル~~~~~~!!!!!

その時、ぷぷぷ~って大きな音がして、ぱぁ~っとものすごく明るい光がましょうめんからぼくたちをつつみ込んだ。
かかりいんのふりをしていたおとこの人が、アクセルをふみこんだ。ゲートをつきやぶろうとしてる。でもすぐに、がくん、と急ブレーキでとまった。
おとこの人がうんてんせきから後ろのざせきにやって来て、ポケットから何かを出した。
きらって光るのは……ナイフだ!
『なにするの!』
おとこの人は、ぼくを抱っこしている子どもをつかまえようと手をのばす。
『大人しくしろ!』
わ~~~~!!!!!
びっくりしたぼくは、思い切り爪を立てて、ねこキックをかました。
『にゃんた!!』
つぎはパンチ! ぼくは目をつぶって思い切りシャってひっかいた。

ぎゃ~~~~~、いたぁい~~~~~~!!!!

そのとき。
がしゃん! と大きな音がして、窓ガラスがわれた。

[epilogue] 君はいつだって俺のヒーロー
「感謝状。大和マコト殿。あなたは犯人逮捕のために素晴らしい活躍をして、カンタくんを誘拐犯から守りました。よってここに、特製カツブシ1年分を贈ります。おい、マコト、嬉しくないのか?」
っても、猫には関係がないか。しかも、今はそれどころではないのだ。

マコトは今にも「びえ~っ」と泣きそうな顔で俺を睨む。
火事場の馬鹿力というのか、本人としては必死で逃げようとしてねこキックとねこスクラッチをかました時に、肉球を傷つけてしまったのだろう。それほど深い傷ではなかったが、ナイフで切られてしまった。マコトの剣幕に驚いた子どもが犯人に噛みついたと同時に、駆け付けた俺と水族館の警備員が車の窓をたたき割ったのだ。
誘拐されそうになったカンタくんは海産関係の大きな会社の社長令息で、誘拐犯はその家のことをよく知っている人間だった。カンタくんが可愛がっていた仔猫のことも知っていて、その猫とそっくりな猫を捕まえて来てパーティーに参加し、カンタくんを油断させて連れ去ろうとしたのだ。

薬をつけるのを嫌がるので、マコトの肉球は腫れている。猫の分量の抗生剤を飲ませようと、ねこまんまに混ぜたら食べない。
タケル、ねこまんまに毒を入れた~、とでも言いたそうな顔で俺を見る。
むりやり手を摑まえて薬を塗ろうとしたら、思い切り引っかかれてしまった。
マコトは自分が引っかいた俺の傷を見てびっくりしたようになり、そのまましょぼんとして、俺から離れて丸まってしまった。

やれやれ。
俺は、マコトのために動物病院でもらった薬を出してきた。マコトがびくっとして俺を見る。絶対塗らせないぞ、という顔だ。
俺は鼻歌で半にゃライダーのテーマ曲を歌いながら、自分の手の傷にマコトの薬を塗った。それから包帯を巻く。
そして、猫用にもらって来た抗生物質を3つほどまとめて自分のご飯にかけ、マコトの前で美味そうに食ってやる。

おくすり、しみない? おくすり、にがくない?
今にもそう問いかけてきそうな顔で俺を見ている。
「薬、ぬってみないか?」
マコトがべそをかきながら、ちょっとだけ俺の方へ手を出してきたような気がした。

諦めたのか、自分が引っかいた俺の傷を申し訳ないと思ったのか、おとなしく薬を塗られて包帯を巻かれ、猫の分量の抗生剤を飲む。ちょっといや~な顔をしたけれど、我慢しているみたいだった。
そして、疲れたのか、布団基地に丸まって眠ってしまった。
ぼく、まだおこってるんだからね。そんな顔をしている。

はぐれてしまって、悪かったよ。他の迷子の猫に気を取られていたんだ。
俺はマコトの小さな頭を撫でながら、カンタくんが描いてくれたマコトの似顔絵を見つめた。
ずいぶんとかっこよく描いてくれている。それもそのはずだ。
なぁ、マコト、お前は知らないだろうけれど、あの時、お前はカンタくんのヒーローだったんだぞ。

あの後で、カンタくんのお母さんが連絡をくれて、何回もお礼を言ってくれた。
『怖かったでしょ、って言ったら、『にゃんた、じゃなくて、マコトが面白かったから、ぼく、全然怖くなかったよ』って。にゃんたというのは、死んでしまったあの子の猫なんです。にゃんたが死んでしまってから、あの子、学校にも行けないくらい落ち込んでいて。あの子が学校に行っている間に死んじゃったものですから。だから少しでも気持ちが晴れたらって、猫たちが集まるというパーティーに参加したんです。マコトくんにお礼を言っておいてください。何よりも、また猫を飼ってもいい? ぼく、ちゃんと学校に行くから、って言ってくれたのが嬉しくて。早速、茶虎の猫を探しに行きます。お礼に夫の会社の最高級ニボシを送ります』

俺はマコトの包帯の上に、ピンチの目印にマコトが落としていった青と星のリボンを結んだ。
このリボンが駐車場に近いドアのところに落ちていたから、すぐに探すことができたのだ。
いっしょに見た半にゃライダーの話を覚えていた……わけではないだろうけれど、結果的に、感謝状をもらえるくらいの大活躍につながったのだ。
そんなことを知らないマコトは、情けない顔で、肉球が痛い~、クスリは嫌~、なんて顔をして、夢の中でもぐずっている。

なぁ、マコト、もうひとつ、お前が知らないことを教えてやろうか。
感謝状をもらうような大活躍をしなくても、情けない顔でめそめそしていても、こうしてここにいるだけで、俺にとってお前は世界一のヒーローなんだよ。
そう、きっと、お前は気が付いていないだろうけれど。
俺は自分の包帯の上にも青と星のリボンを結び、同じリボンを結んだマコトの手の上に自分の手を重ねた。
さて、最高級ニボシとカツブシ以外に、一体何をクリスマスプレゼントにしてやったらいいのだろう。そんなことを考えながら。


りんりんりん、って鈴がなってる。ぼくはむっくりと起き上って、窓から外を見る。
あ! となかいのソリだ! じゃなくて、イルカのソリだ!!
ソリがぼくの窓のまえで止まる。ソリにはサンタさんが乗ってる!
とんとん、って、窓をノックするサンタさんの手に、ほうたいと、青と星のリボン。
窓を開けようと、のばしたぼくの手にも、ほうたいと、青と星のリボン。
窓が、じどうドアみたいにひらく。
『メリークリスマス! マコト、行こうか!』
サンタんさんのタケルだ! じゃなくて、タケルのサンタんさんだ!
わ~い!! ぼくはイルカのソリにとびのった。

見上げると、お星さまの海には、ヒトデも、エイも、タイも、カレイも、タコも、イカも、イワシも、ピラニアも、サメも、クラゲも、いーっぱい! 
『さぁ、お星さまの海に出発!!』
クリスマスイブの夜、イルカのソリが星の海にかけあがった。

マコトから愛を込めて、Merry Christmas !!!


何とかクリスマスに間に合いました(*^_^*)
読んでくださって、ありがとうございます。
次はお正月。いつも北海道で美味しいモノ三昧のマコト。来年のお正月は、初めての沖縄で海に潜っちゃおうかな? タケルが猫用潜水服を特注してくれた、みたい?

<追記>
先日テレビでアマゾン川流域の人々の暮らし、という番組をやっていて、ピラニアは美味しい!って言っていました(^^) そうかぁ、美味しいのか……タケルは結構世界各国を旅していそうだから、実はピラニアくらい食べていると思うけれど……^^; しまった。
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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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