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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【イラストに物語を】亡き少女に捧げるレクイエム 

matamoya-angel.jpg
(イラスト:limeさん。著作権はlimeさんにあります。無断転用・転載はお断りいたします)

小説ブログ「DOOR」のlimeさんのお題・『またもや天使』にチャレンジしようと思ったのですが、皆さんがあまりにも素敵な掌編を書かれているのに、なぜかふざけたものしか思い浮かばなくて……考えても考えても笑いの方へ持っていきたくなってしまうので、これはもう、大阪人のDNAということで諦めました。
この脳内作品を文字にするかどうか悩んだのですが、limeさんにもお許しを頂いたので、さっそくoomi笑劇場へ……
あぁ、ほんとに、limeさん、ごめんなさい!!
(ぜったい怒られる……limeさんが怒らなくても、limeさんファンに怒られる……)
えっと、お口直しには、他のみなさまの素敵な掌編をお読みくださいね!(こそこそ)

・「続きを読む」以下もお楽しみください。


【亡き少女に捧げるレクイエム】


「おはようございます。Matamoyaテレビアナウンサーのミカエルです。本日の『日曜芸術館』は人気人形作家のガブリエル先生をお迎えして、先生の新しい作品を皆さんとご一緒に鑑賞したいと思います。先生、今回は蝋人形ですね。いつもの作風とは違いますが、聞くところによると、最近、愛するお孫さんを亡くされたとか」
 憔悴した姿を取り繕うこともなく、ガブリエルはうなずいた。
「彼女はまさに私の天使でした。あの子は外見が美しいだけではなかった。誰に対しても優しく、私のこともいつも心にかけていてくれました。そんな彼女をまるで生きている時のように蘇らせるのは蝋人形しかないと、そう思ったのです。私は深い悲しみを乗り越えるためにこの人形の製作に取りかかり、ようやく完成を見たのですが、見るごとに彼女の在りし日を思い出してしまって……」
 ガブリエルが言葉を詰まらせると、アナウンサーのミカエルも、そしてスタジオ中のスタッフや観覧席の視聴者も、涙を禁じ得なかった。
「皆さん、言葉は要りませんね。ご覧ください、この美しい少女を。人形とは思えない、お孫さんの魂の宿った姿を」
 少女の蝋人形は、まるで息をしているようだった。金の髪は虹色に光って見え、頬は微かに紅をまとい、唇は今にも言葉をこぼれさせそうだった。背景には、ガブリエルの作った人形を引き立てるように、緑の葉を繁らせた木のセット、そして天国で微笑む彼女を包む光のライトアップ。

 そこへどこからともなく、一羽の蝶が紛れ込んできて、ガブリエルの人形の側に近づいていった。天使となって天国に召された少女に生き写しの人形。その人形に、吸い寄せられるように近づいていく蝶。
 蝶がまるで何かを訴えるように羽をはためかせると、皆がその美しい光景に息をのんだ。
 やがて蝶は、ガブリエルがその人だと分かったかのように、まっすぐに彼の元へ近づいてきた。
「あぁ、蝶は魂を乗せているといいますもの。きっとお孫さんの魂が、先生に会いたくてこの世に舞い戻ってこられたのですわ」
 視聴者の一人の言葉に、スタジオは涙に包まれた。

 もしもここに、魂の声を聴く者があったなら、蝶に魂を乗せた少女の言葉を、彼女の死にうちひしがれて嘆くガブリエルに伝えることができただろうに……
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Category: イラストに物語を

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