【旅2017・スペイン】(4)コロニア・グエル教会~ガウディの建築を巡る・その1~
2017/8/17スペイン・バルセロナにおけるテロの犠牲者の方々のご冥福と、身体や心を傷つけられた方々の1日も早いご回復をお祈りいたします。
あのつい1ヶ月前には私も歩いた道です。人々が安心して歩けるはずの歩行者専用道路でした。
一体どこにこのようなテロ行為の根源があるのか、考えれば考えるほど根深い問題で、また恐ろしい事だと思えます。どこから何を始めればいいのでしょうか……
まさにバルセロナの景色をここにご紹介しようと思っていたところです。特にサグラダ・ファミリアは、予想していた以上に美しく感動的でした。せめて、心を込めて素晴らしい街の景色、建造物の数々をここにご紹介していきたいと思います。
「日本人観光客はガウディで忙しいからね」
これはバルセロナの夜のバルツアーで案内してくださった日本人ガイドさんのお言葉。
全くその通り、確かにガウディで忙しい!
実は行くまでは「ガウディ、何ほどのもの」と思っていました。サグラダ・ファミリアには興味はあるけれど、何が何でも観たいもの、というほどの勢いもなくて、むしろ私のスペインのイメージと言えばアルハンブラ宮殿!だったのですが……
観た後の感想は……「天才と何とかは紙一重って本当だ!」……あれ? ちょっと表現がおかしいですね。でも本当にそういう「一般人の脳の限界を超えたもの」を感じさせる宇宙でした。あれを頭にイメージしてそのまま形にするってのは本当に紙一重……
サグラダ・ファミリアのことは別の記事に書きますが、行く前まで一番楽しみにしていたガウディの建築は、実は今回ご紹介する『コロニア・グエル教会』でした。
行ってみて、確かに教会自体はとても良かったのですが……バルセロナに泊まっていたら、ちょっと行くのが手間で、あまり時間が無かったら、この教会を観るためだけにわざわざ行くのはちょっと大変、という感じでした。
私ですか? 大きな声では言えませんが、タラゴナからバルセロナ入りをする道すがら、コロニア・グエルとモンセラットに立ち寄りたかったので、時間を金で買っちゃいました。でもおかげさまで、良いものを見せていただきました。大人の旅行? 若いときにはできなかったやり方です。

教会に直行したら、チケットはここには売っていないと言われました。チケットは、教会から歩いて1-2分ほどのインフォーメーションで買わなくてはいけません。私が行ったのは日曜日だったので11時からミサがあるということで、インフォーメーションも早じまい。ゆっくりと情報を手に入れる時間は無くてさっさと教会へ戻ります。
入り口から見ると、上のような教会の姿が目に入ります。ガイドブックによるとここは「教会の地下部分」らしいのですが…・・建築途中で放棄されたため、ここが地下部分になるのかどうかはよく分かりません。ただ、教会は斜面に建っているので、入り口が坂の上に作られる予定だったということみたいですね。

入り口から見ると、さらに掘り込まれた半地下みたいなのがあって、ここは前室になるはずだったのでしょうか。

家の庭に欲しい。あ、いや、こんなのがあったら、家の庭がこれで終わってしまうか。
ガウディの建築や公園などで見られる、特徴的な斜めの柱。力を分散させて崩れないようになっているということなんでしょうが、これが緻密な計算の上になっているのかというと……答えがサグラダ・ファミリアの博物館にあるのですが、え~そんなざっぱな話でいいの? なんですね。天才と何とかは、と私が思ったのはまさにその「ざっぱな力学」なんですが……

入り口を通り過ぎて、この建物の奥へ行くと、いかにもガウディらしい廃品利用的自然形態の模倣な建物の気配が感じられます。とりあえず、中に入ってみましょう。

初めて目にしたガウディの建造物。その印象は、やはり「あ~たしかに全然違うわ」でした。居心地がいいかどうかは人それぞれなんでしょうけれど、少なくとも天井ひとつとっても、教会と言われたら教会だけど、恐竜博物館と言われてもそうかもと思う、何とも面白い造形(ただし、ここは、もともと教会の建物の地下部分で、教会本堂に使うつもりではなかった部分)。
この天井の感じは他の建造物にもあるのですが、まるで恐竜の背骨ですよね。気になるのは手前の方の柱がコンクリートの剥き出し状で、途中なのか、これで完成なのか……建物自体が未完成というからには、まだ手を加えるつもりだった部分があるのでしょうか。

天井をアップにしてみます。見て分かるように、何とも写真を撮りにくい空間なのです。といっても、写真はどれも空間の一部の切り取りなので、素人には難しいのですが、何というのか、ガウディの建築を一言で表すと「変容」ですよね。常に動いている空間と向き合っているような感じで、どうやって微分してやろうかと……(表現が既に変^^;)

光の加減によって空間はまた色合いを変えます。サグラダ・ファミリアはあのすごい色彩に圧倒されるのですが、こちらは窓のガラスに色彩はあるものの、内部の他の色彩は本当にシンプル。それでもこの影の出来具合で見事に空間が色を変える。

ガウディは家具のデザインもたくさんしているのですが、この椅子もまた面白いですね。階段の手すりなど、人間の身体の構造に気を配って作られたと言いますが……この椅子、座り心地がいいわけでは……まぁ、お説教中に寝たらだめだから、寝にくい構造になっているのかも?

祭壇部分はシンプルで、キラキラはあまりありません。その祭壇脇を上っていくと、少し高いところから空間を見ることができます。こちらは、聖歌隊などが立つところなのでしょうか。

この日は日曜日だったのですが、観光客はあまりいませんでした。ミサの都合もあって一般公開時間が短いからでしょうか。

すでにオルガニストがミサの準備を始めています。名残惜しいですが、一般観光客はそろそろ退散です。

退散前に、教会の内部で最も色鮮やかな窓について、ご紹介するのを忘れてはいけませんね。
これ分かるかなぁ? 写真奥の窓は閉まっていて、手前の方は開いているのですが、蝶の羽根みたいに開く(閉じる)のです。

編み目が見えているのは窓の外側。これを建物の外から見ると……

最後に、教会の脇から上の階に上ってみましょう。

といっても、ただの広場です。先ほどの教会空間の真上。屋上ではなく、本来はここが教会の1階だったはずなんですね。さて、ガウディはここにどんな空間を演出するつもりだったのでしょうか。
コロニア・グエル教会があるのは、サンタ・コロマ・ダ・サルバリョ市で、ガウディのパトロンだったグエルが1890年にこの地に工業コロニーを作ったとされています。繊維工場を中心に、教会・学校・劇場などを含む従業員のための住宅街を作ったのですね。
1898年に教会建設の依頼を受けたガウディ、着工は1908年。「そんなざっぱな力学?」の模型を作るのに10年もかかった上に、作り始めて6年後にはサグラダ・ファミリアに専念して、こちらを放置しちゃったそうで。
今教会となっている部分は、もともと講堂になる予定だったそうですが、放置されたので仕方なくグエル氏はこれを教会に転用したのだとか。それでも、この教会をガウディの最高傑作とする建築家も多いそうで、何でも未完成の方が魅力的という事かもしれません。サグラダ・ファミリア然り、そしてミラノにあるミケランジェロのピエタも……でもミラノのピエタは、ミケランジェロにとっては「もうこれ以上彫れない」というところに来ていたといいますから、あれが石の最終的な「本来の姿」なのかもしれません。
そして、くだんのサグラダ・ファミリア。ついに完成の時が近づいていると言いますが(日本の○林建設が手がけたら、もうできあがってるな)、さて、どんな姿となり、どんな印象を私たちに与えてくれるのでしょうか。案外あの工事の器機がなくなったら、つまらない景色になるのかもしれませんね。
次回はそのサグラダ・ファミリアに参ります。そうは言っても、これは「観るべきものだ」としみじみ感じました。
街の中にある、当時を忍ばせる建築物がいくつも点在しており、インフォメーションで案内図をもらって、街巡りを楽しむこともできます(狭いのでそんなに時間はかかりません)。

多くの建築を、ガウディの助手たちが手がけたと言うことで、ある意味、ガウディ派の村と言ってもいいかもしれません。

あのつい1ヶ月前には私も歩いた道です。人々が安心して歩けるはずの歩行者専用道路でした。
一体どこにこのようなテロ行為の根源があるのか、考えれば考えるほど根深い問題で、また恐ろしい事だと思えます。どこから何を始めればいいのでしょうか……
まさにバルセロナの景色をここにご紹介しようと思っていたところです。特にサグラダ・ファミリアは、予想していた以上に美しく感動的でした。せめて、心を込めて素晴らしい街の景色、建造物の数々をここにご紹介していきたいと思います。
「日本人観光客はガウディで忙しいからね」
これはバルセロナの夜のバルツアーで案内してくださった日本人ガイドさんのお言葉。
全くその通り、確かにガウディで忙しい!
実は行くまでは「ガウディ、何ほどのもの」と思っていました。サグラダ・ファミリアには興味はあるけれど、何が何でも観たいもの、というほどの勢いもなくて、むしろ私のスペインのイメージと言えばアルハンブラ宮殿!だったのですが……
観た後の感想は……「天才と何とかは紙一重って本当だ!」……あれ? ちょっと表現がおかしいですね。でも本当にそういう「一般人の脳の限界を超えたもの」を感じさせる宇宙でした。あれを頭にイメージしてそのまま形にするってのは本当に紙一重……
サグラダ・ファミリアのことは別の記事に書きますが、行く前まで一番楽しみにしていたガウディの建築は、実は今回ご紹介する『コロニア・グエル教会』でした。
行ってみて、確かに教会自体はとても良かったのですが……バルセロナに泊まっていたら、ちょっと行くのが手間で、あまり時間が無かったら、この教会を観るためだけにわざわざ行くのはちょっと大変、という感じでした。
私ですか? 大きな声では言えませんが、タラゴナからバルセロナ入りをする道すがら、コロニア・グエルとモンセラットに立ち寄りたかったので、時間を金で買っちゃいました。でもおかげさまで、良いものを見せていただきました。大人の旅行? 若いときにはできなかったやり方です。

教会に直行したら、チケットはここには売っていないと言われました。チケットは、教会から歩いて1-2分ほどのインフォーメーションで買わなくてはいけません。私が行ったのは日曜日だったので11時からミサがあるということで、インフォーメーションも早じまい。ゆっくりと情報を手に入れる時間は無くてさっさと教会へ戻ります。
入り口から見ると、上のような教会の姿が目に入ります。ガイドブックによるとここは「教会の地下部分」らしいのですが…・・建築途中で放棄されたため、ここが地下部分になるのかどうかはよく分かりません。ただ、教会は斜面に建っているので、入り口が坂の上に作られる予定だったということみたいですね。

入り口から見ると、さらに掘り込まれた半地下みたいなのがあって、ここは前室になるはずだったのでしょうか。

家の庭に欲しい。あ、いや、こんなのがあったら、家の庭がこれで終わってしまうか。
ガウディの建築や公園などで見られる、特徴的な斜めの柱。力を分散させて崩れないようになっているということなんでしょうが、これが緻密な計算の上になっているのかというと……答えがサグラダ・ファミリアの博物館にあるのですが、え~そんなざっぱな話でいいの? なんですね。天才と何とかは、と私が思ったのはまさにその「ざっぱな力学」なんですが……

入り口を通り過ぎて、この建物の奥へ行くと、いかにもガウディらしい廃品利用的自然形態の模倣な建物の気配が感じられます。とりあえず、中に入ってみましょう。

初めて目にしたガウディの建造物。その印象は、やはり「あ~たしかに全然違うわ」でした。居心地がいいかどうかは人それぞれなんでしょうけれど、少なくとも天井ひとつとっても、教会と言われたら教会だけど、恐竜博物館と言われてもそうかもと思う、何とも面白い造形(ただし、ここは、もともと教会の建物の地下部分で、教会本堂に使うつもりではなかった部分)。
この天井の感じは他の建造物にもあるのですが、まるで恐竜の背骨ですよね。気になるのは手前の方の柱がコンクリートの剥き出し状で、途中なのか、これで完成なのか……建物自体が未完成というからには、まだ手を加えるつもりだった部分があるのでしょうか。

天井をアップにしてみます。見て分かるように、何とも写真を撮りにくい空間なのです。といっても、写真はどれも空間の一部の切り取りなので、素人には難しいのですが、何というのか、ガウディの建築を一言で表すと「変容」ですよね。常に動いている空間と向き合っているような感じで、どうやって微分してやろうかと……(表現が既に変^^;)

光の加減によって空間はまた色合いを変えます。サグラダ・ファミリアはあのすごい色彩に圧倒されるのですが、こちらは窓のガラスに色彩はあるものの、内部の他の色彩は本当にシンプル。それでもこの影の出来具合で見事に空間が色を変える。

ガウディは家具のデザインもたくさんしているのですが、この椅子もまた面白いですね。階段の手すりなど、人間の身体の構造に気を配って作られたと言いますが……この椅子、座り心地がいいわけでは……まぁ、お説教中に寝たらだめだから、寝にくい構造になっているのかも?

祭壇部分はシンプルで、キラキラはあまりありません。その祭壇脇を上っていくと、少し高いところから空間を見ることができます。こちらは、聖歌隊などが立つところなのでしょうか。

この日は日曜日だったのですが、観光客はあまりいませんでした。ミサの都合もあって一般公開時間が短いからでしょうか。

すでにオルガニストがミサの準備を始めています。名残惜しいですが、一般観光客はそろそろ退散です。

退散前に、教会の内部で最も色鮮やかな窓について、ご紹介するのを忘れてはいけませんね。
これ分かるかなぁ? 写真奥の窓は閉まっていて、手前の方は開いているのですが、蝶の羽根みたいに開く(閉じる)のです。

編み目が見えているのは窓の外側。これを建物の外から見ると……

最後に、教会の脇から上の階に上ってみましょう。

といっても、ただの広場です。先ほどの教会空間の真上。屋上ではなく、本来はここが教会の1階だったはずなんですね。さて、ガウディはここにどんな空間を演出するつもりだったのでしょうか。
コロニア・グエル教会があるのは、サンタ・コロマ・ダ・サルバリョ市で、ガウディのパトロンだったグエルが1890年にこの地に工業コロニーを作ったとされています。繊維工場を中心に、教会・学校・劇場などを含む従業員のための住宅街を作ったのですね。
1898年に教会建設の依頼を受けたガウディ、着工は1908年。「そんなざっぱな力学?」の模型を作るのに10年もかかった上に、作り始めて6年後にはサグラダ・ファミリアに専念して、こちらを放置しちゃったそうで。
今教会となっている部分は、もともと講堂になる予定だったそうですが、放置されたので仕方なくグエル氏はこれを教会に転用したのだとか。それでも、この教会をガウディの最高傑作とする建築家も多いそうで、何でも未完成の方が魅力的という事かもしれません。サグラダ・ファミリア然り、そしてミラノにあるミケランジェロのピエタも……でもミラノのピエタは、ミケランジェロにとっては「もうこれ以上彫れない」というところに来ていたといいますから、あれが石の最終的な「本来の姿」なのかもしれません。
そして、くだんのサグラダ・ファミリア。ついに完成の時が近づいていると言いますが(日本の○林建設が手がけたら、もうできあがってるな)、さて、どんな姿となり、どんな印象を私たちに与えてくれるのでしょうか。案外あの工事の器機がなくなったら、つまらない景色になるのかもしれませんね。
次回はそのサグラダ・ファミリアに参ります。そうは言っても、これは「観るべきものだ」としみじみ感じました。
街の中にある、当時を忍ばせる建築物がいくつも点在しており、インフォメーションで案内図をもらって、街巡りを楽しむこともできます(狭いのでそんなに時間はかかりません)。

多くの建築を、ガウディの助手たちが手がけたと言うことで、ある意味、ガウディ派の村と言ってもいいかもしれません。

スポンサーサイト
Category: スペインの旅2017
| h o m e |