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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【旅2017・スペイン】(10)カタルーニャ音楽堂~ガウディのライバルが残した建築・その1~ 

前回までガウディの建築の数々をご紹介してきました。確かにガウディは天才で、彼の設計した建造物は特別な存在という印象はありましたが、そんなガウディだって時代の申し子だったのですね。19世紀末、それは私たちが一般的にフランス語の「アールヌーボー」という名前で知っている芸術様式が花開いた時代。スペイン語では「アルテ・ホベン」または「モデルニスモ」と呼ばれる新しい芸術の中心地は、スペインにおいてはこのカタルーニャ地方だったのですね。
ガウディという天才は決して突発的にわき出したわけではなく、この時代の中に生きた多くの芸術家たちの生み出したあまたの芸術のひとつの形だった、ということなのでしょう。

この時代の建築家のひとり、リュイス・ドメニク・イ・モンタネールも華やかで素晴らしい建築を残しています。ガウディよりも二つ年上、建築学校の教授にもなり、政治家としても活躍したそうで、当時はガウディよりも人気があったのだとか。
音楽堂外観1
モンタネールの建築をふたつ、ご紹介しようと思いますが、今回はまず『カタルーニャ音楽堂』です。
一見して、まるきりガウディの建築とは違っていますね。完成は1908年、オルフェオ・カタラン合唱協会の本拠地として建造されました。写真だと全体が収まらないので、この壮麗な建築物、そして豪華な装飾が全部一気に視界に飛び込んでくる感じをお見せできないのが残念。
これがまた前の道が狭いものだから、どれだけ引きで撮っても、収まりきらなくて。
音楽堂外観2
こちらの音楽堂の見学はガイドツアーになっていて、英語・スペイン語・カタルーニャ語(!)で行われています。人数制限もあるので、心配な人はネットで予約していきましょう。私たちもネット申し込みをして行って参りました。
ここは表玄関ですが、ツアーの入り口はぐるっと建物を回った裏側にありました。
ロビー階段
中に入ると、ロビーの豪奢な階段を上って、2階から見学開始です。
音楽堂内部
2階から見下ろした1階客席とステージ。
音楽堂内部2
縦長写真でもう1枚。天井、すごくないですか?
音楽堂天井
ステンドグラスのシャンデリアの天井。アップにすると、音楽の女神たちが。こうしてみると派手すぎる気もするけれど、ステンドグラスって光の色合いを柔らかくする効果もあります。これだけいろんな色が混じり合っていると、かえって光の鋭さは中和されて優しい色になるのかも。
音楽堂天井2
天井から窓へと視線をずらしていくと、これでもか、というくらいの装飾の中にクジャクの羽根? そこに音楽家たちの名前が書かれています。
ステージの天井
2階の客席、ちょっと暗いですが、窓のステンドグラスが何とも華やかなピンクです。
2階の客席
ここで色々説明を聞きながら、1階の他のグループが去って行くのを待ちます。
客席
ステージにも注目。真正面にパイプオルガン、そしてステージの両脇は彫刻が天井まで続いています。楽聖たちの胸像がいくつもあるのですが、カタルーニャでは知られた音楽家(でも世界的にはあまり知られていない……日本では「浪速のモーツァルト」的な? 「とれとれぴちぴち、かにりょうり~」では対抗できないか。すみません^^;)の胸像については、不勉強で知らなかった上に、その名前も覚えられませんでした。でも、ステージの右手の像は……遠目にも分かるもじゃもじゃ。
正面パイプオルガン
1階が空いたので、降りていきます。近づいてみたら、やっぱりベートーヴェン。特等席に鎮座されていました。うん、やっぱりベートーヴェンだよね、と一人納得して(はい、やっぱりベートーヴェンを愛しています)。決して、天然パーマ風もじゃもじゃ頭だから好きなわけではありません……
ステージのベートーヴェン
改めてステージを見ると……
音楽堂ステージ
ちょっと落ち着かないのは私だけ? と思ったら、解説のお姉さん曰く、やっぱりそういう意見もあるようです。つまり、音楽を聴きに来ているのに、この過剰なまでの装飾に目が行っちゃって、ゆっくり音楽鑑賞できないというクレームもなくはないようでした。嫌なら目を瞑って音楽を聴くしかないですね……ただ、夜、照明が柔らかくなっていたらもう少しいい感じなのかしら?
ステージの彫刻
ステージの奥の壁には音楽の女神たちの彫刻がならんでいます。それぞれ色んな楽器を持っているのですね。こんな女神たちに見守られて演奏するのは、幸せなのか、勇気をもらえるのか、それとも「まずい演奏をしたら祟られる」方向へ緊張しちゃうのか……
ところで、日本のホールって壁のでこぼこまで、残響時間を計算して作られているじゃないですか(あ、日本のホールだけじゃないんでしょうけれど)。そういう観点から見ると、このでこぼこ、どうなのかしら? まぁ、きっと、目指しているものがそれぞれ、なんでしょうね。
この華やかな装飾を意識から追い出せるほどの演奏が、演奏家には求められるのかも。そういう意味では、敷居の高いコンサートホールのように思います。
実は、ガイドツアーでは、多分学生さんのバイト?と思われるようなピアニストが何曲かステージ上のピアノを弾いてくれます。う~ん、と、内容については触れません。まぁ、私がステージ上で三味線弾くよりは良いかな、という感じで(失礼か……)。

そういえば、最近、前回2015年のショパン・コンクールのルポを読んだのですが、なかなか面白かったです。要するに、勝負って本当に音楽そのものの質だけで語れないものがあるんですね。ショパン・コンクールって5年に1度。オリンピックよりも間が長い。そこにターゲットを絞って出てくるって、モチベーションのほうが大変そう。何よりも、書類選考の時点で、演奏を録画する技術(!)で既に勝負が始まっている……
しかも、ピアニストはどうあるべきか、じゃなくて「ショパンはどうあるべきか」ってコンクールなので、主催者・審査員の「ショパンはこうあるべき」って基準が変わると、結果は大きく変わってしまうのですね。そもそも、ショパン・コンクールって「世界中から若者たちを集めてコンクールをする、そして世界にもっとショパンを知ってもらおう!」って始まった(1920年代)らしく、ピアニストとしてどうというよりもショパニストとしてどうかが問われるものみたいですね。

さらに脱線しますが、今年の5月と6月に、2015年のショパン・コンクールの優勝者・チェ・ソンジンと、第2位のシャルル・リシャール=アムランのピアノを聴きに行くのですが(別々の演奏会。たまたま続いていました)、本を読んでから第2位のアムランの方が気になっています。
チャイコフスキー・コンクールでは自分で曲をアレンジしたり、自分が作った曲を演奏してもいいそうで、保守的なショパン・コンクールでも、近年では自由な解釈が許容されてきているのだとか。こうなると、ただ「解釈」を研究するだけではダメ、そしてコンクールに勝ち抜くための傾向と対策を練るだけではダメ、なんでしょうね。
アムランはコンテスタントの中でも年長でしたが、彼の師匠は傾向と対策じゃなくて「自分自身になる方法」を教えてくれたそうで、彼はそのおかげで何も恐れず、何も心配せずに自由に音楽に向かい合えるようになったのだ、と。自分自身ではない何かに合わせ音楽をしようとすると、自分自身が空中分解してしまう……芸術とはなんと孤独な戦いなんでしょうね。だって、実は一番難しいのが「自分自身」そのもの、なんですから。
物書きもまたしかり、なのかもしれません。
そんな彼らがコンクールを勝ち抜いてから、どんなピアニストになっていくのかのほうに注目したいと思います。

あ、本当に、余談でした。
さて、ここからさらに余談。毎年のごとくぎりぎりのscriviamo!(八少女夕さん)参加ですが、舞台をこのバルセロナのグエル公園とカタルーニャ音楽堂にしました。ということは、必然的に音楽の話です(^^) あぁ、また自分で自分の首を絞める……

そして、スペイン旅行の次回は、モンタネールのもうひとつの建造物、サン・パウ病院です。諸事情により、病院見学は外せないと同行者たちが言うものですから……(ただし、建物自体は今は使われていません。側にある隣り合った敷地に現在機能している病院がある)
そう、この音楽堂から想像していただけるかもしれませんが、ちょっと落ち着かない外観の病院かも。
またお楽しみに!
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【旅2017・スペイン】(9)カサ・バトリョ~ガウディの建築を巡る・その5~ 

カサバトリョ外観5
ガウディの建築を巡る・最終回はカサ・バトリョです。繊維業を営む裕福なバトリョ家が増改築をガウディに依頼し、1階と2階を改築、6階と屋根裏が増築された邸宅です。テーマは海。カサ・ミラと同じく曲線が見事に外観を飾っています。
隣の建物と比べてみたら、その違いがはっきりと分かりますね。隣の建物も十分変わったデザインとも言えるような気がしますが、それでも線はまっすぐ。ガウディの建築との違いがよく分かります。
カサ・バトリョ外観2
でも、実はこの建物も、ガウディと同じモデルニスモ、すなわちアルテ・ホベン(=新しい芸術、アールヌーヴォー)の建築の担い手のひとり、ジュセップ・プッチ・イ・カダファルク氏が改装したカサ・アマトリェール。実は、ガウディの方がこの隣の建物を意識してカサ・バトリョを改装したみたいですよ。
しまった、行ったときは全く意識していませんでした。カダファルクさん、ごめんなさい。
気を取り直して、カサ・バトリョです。
バルコニーが奇妙な形をしていますね。別名「あくびの家」とか「骨の家」とか呼ばれているようです。
カサバトリョ外観3
骨にも見えるけれど、なんだか顔が並んでいるみたい。やっぱり鉄仮面軍団? 壁の文様は海面の揺らぎを表している、というコンセプトなんですね。
さて、こちらの建物、ガウディの建築物の中では最近、カサ・ミラを越える人気のようですよ。その理由は多分、ちょっぴりハイテクにあるのでは? って言ってもすごいハイテクではないのですが、観光内容に少し工夫があって面白いのです。
建物の中に入る=海の中に入って行く、というイメージで楽しみましょう。
カサ・バトリョ入り口2(light)
受付を済ませると、イヤホンガイドとスマホの様なものを渡されます。ちなみにこちらの入場料は22.5€(カサ・ミラは20.5€:2017年7月)。バルセロナの観光って本当に高くつきます。あ、でもこちらはイヤホンガイド+スマホもどき込みの値段です。
私が訪れたのは日曜日の夕方。人出はまずまず多かったけれど、長蛇の列と言うほどではありませんでした。しかも例のごとくファストパスを持っていた私は列を交わしてするすると。
妙ちくりんな花瓶みたいなのが並んだ入り口の脇の階段が面白いんですよ。
カサ・バトリョ階段1
これこそまさに怪獣の骨? じゃなくて、海の中だからさしずめ巨大なサメの骨と言ったところでしょうか。どうやらガウディは骨好きだったみたいですね。もちろん、例のごとく、自然の形態を模して作られたガウディワールドです。
カサ・バトリョ階段2
それでは、階段を上って「海の中へ」潜っていきましょう。
そうそう、この手すりも人間工学的に使いやすい形態になっているそうですよ。
(以下、写真が多いので記事を畳んでいます。海底に潜るよ~)
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【旅2017・スペイン】(8)カサ・ミラ~ガウディの建築を巡る・その4~ 

カサ・ミラ外観long
ガウディの建築を巡るシリーズも、残すところあと2つ。教会や公園といった公共の建造物から、少しプライベートな建物に対象を移します。2つの「Casa(家)」のうち、今回ご紹介するのは、高級アパート「カサ・ミラ」、別名「ラ・ペドレラ」です。
石を積み上げたような外観から石切場=ラ・ペドレラと呼ばれるようですが、石切場はこんなにくねくねしてないですよね。このくねくねは、当時としては異質なもので、街並みの統一性を欠くものとして物議を醸したとのこと(「ごりごり」の次は「くねくね」、ね)。バルセロナで初めて地下に駐車場が作られたりもしたそうです。
異質なおかげで、グラシア通りを歩いていたらすぐに発見できます。
もう1軒の「カサ・バトリョ」は個人の邸宅として建てられたもので、そちらは「海」を、こちらは「山」をテーマにしているようですが……山? 
カサミラ外観
ひとまず、中に入ってみましょう。
私は日本で日付指定のチケットを買っておいたので、ファストパス的にするするっと当日券の人たちの脇をかすめていけたのですが、それでもカサ・ミラはなかなか人気のスポットで結構な人出でした。ただ、当日券でもいける程度。
私はこの日、朝からサグラダ・ファミリアに行って、サン・パウ病院に行って、カサ・ミラに来て、最後は夜のタパス・ツアーに行ったという、頑張った1日でした(月曜日)。
中から見上げる
建物の中はこんな吹き抜けになっていて、光の加減で色んな表情を見せてくれます。
カサミラ中から見上げる2
カサ・ミラは現役のアパートなので、公開されている場所は限られています。
入ったらすぐに屋上まで上がるエレベーターの方へ誘導されます。あ、階段を上ってももちろん構わないのですが……エレベーターに並んでいると、自販機があって、カサ・ミラのネーム入り水が売られていました(どこかに写真があったはずなのでお土産コーナーで、いずれご紹介)。

そして、屋上へ!
テーマは山ですよ。まずは、そう思いながら御覧くださいね。
カサミラ模型
こちらは、建物の中に展示されているカサ・ミラの模型。これからこの屋上に上がっていきます。
屋上になんだか怪しいものが並んでいます。あれは?
というわけで、トカゲに続く登場シリーズ、今回は鉄仮面の登場です!
(写真が多いので記事を畳んでいます。てっかめ~ん!)
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