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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【清明の雪】の世界へご招待 

新しく物語を読んでくださる方が幾人かいてくださって、本当にありがたいですm(__)m
そこで、この【清明の雪】の舞台をご案内するために用意していた写真をアップしようと思います。

志明院
撮影ができないので、お寺で分けていただいたお写真を掲載させていただきました。
咲いているのは石楠花です。雨に濡れる山門、この先に杉木立の中を階段が続いていて、本堂があります。
この階段(写真の山門をくぐって、かなり長い階段を上った本堂の前)で、真と竹流が座って、話をしていたのです。
(ところで通常ブログ画面で見たら、すごく左右から圧縮された写真になっていてびっくり…)

そうです、ここが岩屋山志明院です。
京都の地図を見ても、観光案内を見ても、多分普通には載っていないと思います。
鴨川の源流とも言われ、有名な歌舞伎『鳴神』の舞台でもあります。

初めてここを訪れたのは、もう何年前なのでしょうか。
歌舞伎が大好きだった私は(贔屓は中村橋之助さん、亀次郎さん改め猿之助さん。藤十郎さんも大好き。亡くなられた団十郎さん、勘三郎さんは、一番長く楽しませていただいた役者さんでした。基本、みなさんそれぞれ好きでして)、いつか訪れたいと思いながらも、あまりにも地図からはみ出ているのでどうしたらいいのか分からなくて…
京都を離れてから、通うようになりました。

初めてこの地を訪れた時、3月でしたが、途中で引き返そうかと思ったくらいの雪道でして。
その後も、なぜか雨の日ばかり。
私の記憶にある志明院はいつも雨の中です。
水の聖地ですから、これは天の配剤だったのかもしれません。
先日も行ってまいりましたが、その時、初めて雨も雪もなくて……
奥さんに「珍しいですね~、あなたが来られるときに天気がいいなんて(曇りだけど)」と言われました^^;
そう、【清明の雪】の400年の椿のエピソード、実際の奥さんのお言葉通りなのです。

この山門、階段、本堂のさらに上に上がると、飛龍の滝(龍神が閉じ込められていた滝壺)、上人の洞窟、そしてさらに先に登って鴨川の源流があります。
源流というより、山の岩から水が沁みだしているのです。山に川があるというわけではありません。しかし山門の脇では、岩からしみ出した水が束になり、細い流れになっていて、やがて下ると流れは太くなり、いずれ鴨川に至ります。

落葉樹を多く抱えた山があるということは、大きなダムがひつとあるのと同じこと、と言われています。まさに山から水が湧き出し滴っているのです。
聖水が滴る岩屋には、清水の舞台のような、小さな舞台が設えてあって、良い季節には楓の葉に光が照りかえります。
司馬遼太郎先生の『街道をゆく』にもこのお寺のことが書かれています。橋を渡ると、そこからは清浄な空気が漂い、本当に魑魅魍魎さんが普通にいるような、そんな世界です。
岩屋山
上は、志明院の入り口手前にある弘法大師の像。下は、その道です。
ちなみに、杉の木が無茶苦茶倒れていて、大変なことになっていた時期がありました。
大雪のせいで倒れたのです。それが道路に突き出していたのですね。
実は、ちらりと見えていますが、こんなものじゃなくて、場所によっては多くの倒木が今でも滑り落ちてきそうなくらいです。あまりにも人が通らないので、応急処置しかなされていないままなんですね。
それでも、だからこそ、ここには司馬遼太郎さんが訪問された時と変わらない空気が残っています。
岩屋山

そう言えば、先日、奥さんとお話をしていたら、息子さんが地質学者、つまり石博士だとおっしゃるのです。つくづく、縁を感じるお寺です。
もしもチャンスがありましたら、ぜひ、訪れてください。

そして、私がこのお話の発想を得たのは、実は一冊の本のあるページ。
いささかネタバレにもなりますが、万葉集の風景を写真でつづった本でした。
このページを見た時、京都という愛すべき町、怨念も優しい想いもみんな飲み込んでいるはずの空間に、この風景を描いてみたいと思った。
清明の雪

舞台を京都に決めた時、私の中の京都の大きなテーマは水でした。
長く住んでいる時、京都の疏水や鴨川はいつも身近にあったものでした。京都の気候が、夏異常に暑く冬に異常に寒いのは、京都の地下には巨大な水瓶があって、このために底冷えしたり熱がこもったりするとも聞いておりました。
水瓶?と本気で地盤の下にたまった水を想像していた私は、それがいわゆる地下水脈を意味していると後で理解したのですが、地盤の下の水瓶のイメージが消えなかった。
そしてある時、テレビで、宮家に関係するお屋敷(もしかすると裏千家の宗家の関係だったかもしれませんが)のお庭に、ある泉があって、この京都の地下水の水が減ると水位が下がり、時には涸れることもある、というのを聞きました。その家は確か、地下の水が十分にあるのかどうかを確かめるというお役目を(天皇家から?)与えられていたような、そんな感じだったと思います。そして、その水位が近年、下がっている、時にほとんど水がなく涸れているのだと。
さらに、京都の町屋からお豆腐屋さん・湯葉屋さんが減り、その理由も清浄な地下水が得られなくなったからだというお話を聞いたとき、いつかこのことを書きたいと、ずっと思っていた。
古代のあらゆる都市で、水の問題は大きな問題だった。あのマチュピチュにしても、アンコールワットにしても、灌漑についての人智は計り知れないものがあります。イタリアのナポリやアルベロベッロもしかり。

そしてもう一つ。親が子を思う気持ち。
これもテレビ番組で恐縮ですが、鶴の北帰行をやっていて、群れの一羽が足をけがして飛べなかったんですね。そうしたら、群れがみんないつまでも飛ばない。
季節はもうギリギリ。これ以上待ったら渡れないというぎりぎりになっても、何回かトライしながらも怪我の具合が悪いうちはみんなで待っている。
しかも、オシドリってラブラブに見えるけど、『おしどり夫婦』はまやかしで、いつも相手を変えているそうですが、鶴は本当に添い遂げるそうで、どちらかが死ぬまで相手を変えないのだとか。
同じ鳥でもこんなに違うのね…と驚きつつも、もう頭の中はフル回転。
鶴ってすごい。親子愛もすごい。

【海に落ちる雨】に、真が某外国人マフィアに痛い目に遭わされた時、竹流が怒り狂って、周囲の迷惑顧みず戦争を始めそうになった…というエピソードが出てきます。
多分、親って、わが子が痛い目に遭ったら、なりふり構わず、周りの迷惑顧みず、守ってやるものだ、それは理屈じゃないぞ、という感じ。
だから、調査事務所の共同経営者、美和ちゃんは、この二人を見ていて『親子か兄弟か恋人か、どれがいちばん近いかというと親子』と言っていたのですね。実際は、どれも当てはまるような、あてはまらないような。

京都と水と龍。そして万葉集の風景。
もう詰め込んでしまえ!と思って出来上がったのがこの物語。
清明の雪 (参考文献一部)
ちなみに、この写真の中の本、『京都・水ものがたり』の表紙の写真、志明院の飛龍の滝です。

ついでに、眠れぬ夜の本『空海の言葉』から『迷悟』を引っ張り出してきて、物語は完成しました。
全文はこのようなものです。
『それ仏法遥かに非ず、心中にしてすなわち近し。真如、外に非ず、身を捨てて何くんか求めん。迷悟、我に在れば、すなわち発心すれば、すなわち到る。明暗、他に非ざれば、すなわち信修すれば、忽ちに証す。』(般若心経秘鍵)
この内容はもちろん空海のオリジナルではありませんが、空海がもっとも大事に思っていた言葉ではないかと思われます。

さて、現世に降りた、ちょっと俗世にまみれた聖僧のイメージが和尚さん。
和尚さんの言葉に、書きながら自分でも励まされていた気がします。
人はこれから自分がなっていくものにしかなれない、とか、人も神も10割の善はない、なればこそ善悪ある身を愛おしんで悪いことはございません、とか……
これはうちが浄土真宗で、いわんや悪人をや、の世界観がどっぷり身についているからなんでしょうね。でも、この和尚さんは禅宗のイメージですけれど。
二人を導く先導者の役割を担う、ちょびっとミステリアスな和尚さんですが、そのミステリアス度は次回にも持ち越されます。既に寝たきりになっておられますが、死に掛けた竹流の命を救うという……多分、三途の川で命のやり取りをしたに違いないと思われる……

哲学の道を歩く二人の『同行二人』のシーン、多分私の中でのクライマックスでしたが、やっぱり最後のキラキラシーンは見てほしいです。
本当に可能かどうか?
それはもう、あくまでも小説ですから(*^_^*)
でも、ここで、小説のタイトルと章題と内容が、全て溶け合って収束できていたなら、ちょっとは成功だったかな…(*^_^*)

さて、お暇なときに、少しずつでも、京都の水の物語、覗いて見ませんか?
あるいは、京都観光案内として読んでいただいても……嬉しいです(*^_^*)

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Category: ❄清明の雪(京都ミステリー)

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コメント


彩洋さん、こんばんは^ ^

彩洋さん、こんばんは^ ^
『清明の雪』GWに読ませて頂きます^ ^
去年の秋の大阪出張の帰りに京阪でふらっと京都に立寄って、上賀茂神社にお参りして来ました。
上賀茂神社の脇の小高い丘から市内を眺め、鴨川でぼーっとして、また京都に行きたくなりました^ ^
読むの楽しみです(*^_^*)

高橋月子 #- | URL | 2013/04/26 21:07 [edit]


月子さん、ありがとうございます

上賀茂神社、私も好きです。下賀茂神社の近くに住んでいたことはあるのですが、どちらも好きで、特に上賀茂神社はあの少し都会から離れた静謐さが好き。一方で下賀茂神社のほうは、何だかちょっとおどろおどろしい感じがあって…実は、【百鬼夜行に…】の子鬼のウゾくんが住んでいるのは下賀茂神社なんです(糺の森)。
京都、ゆっくり散策してくださいね……
夏こそ、北の果ての鞍馬や貴船、そして雲ケ畑(志明院)へ。

でも、PCが復活して良かったです(^^)
そして、月子さんがお元気であることが確認できて良かったです!!
【清明の雪】きっと目が疲れると思うので、無理なさらずに…
私はGWは青森に三味線の大会に行きます(^^)
【死者の恋】のロケハンも兼ねて…??って、もう何回行っていることやら…
お仕事もお互い頑張りましょうね。
そして、また、素敵な詩や小説を読ませてください。
さっき、いい詩だなぁと思って拍手して、そのまま戻ってきてしまいました。またゆっくり感想も書きたいです(^^)

大海彩洋 #XbDIe7/I | URL | 2013/04/26 21:18 [edit]


素敵な連休となりますように^ ^

彩洋さん、おはようございます^ ^
度々すみません。
上賀茂神社、穏やかな場所ですよね、のんびり出来るかなぁといつも四条からバスに揺られて行く事が多いです。
京都ってやっぱり不思議な場所ですよね。空気がパキッと変わる瞬間があったり、ビルとビルの隙間や路地の奥に小さなお寺や神社があったり、
小鬼のウゾ君、下鴨神社ですか^ ^ うわぁ^ ^
そうそう、彩洋さんに二次創作作品のご許可を頂きたいと思っていて、【百鬼夜行に…】なんですが…また詳しくメッセージ送らせて頂きます^ ^
鞍馬や貴船、そして雲ケ畑(志明院)ぜひぜひ行きたいです^ ^

お三味線の大会頑張ってくださいね(≧∇≦)
記事、楽しみにしています!
ロケハンいいですね!
仕事、頑張りましょう!
あぁ…あの詩はバラバラ降って来たのをまとめただけなので…(汗)
彩洋さんに楽しんで読んで頂ける言葉と文章紡いていきますね^ ^
PS 仏女の友人と高野山に行った時(東京からだと6時間近くかかりました…)、別世界に迷いこんだなぁ、って思いました。

高橋月子 #- | URL | 2013/04/27 07:46 [edit]


月子さん、ありがとうございます

そうなんですね。京都って、間口が狭くて、中に入ったら奥行と広さがある、この中に何があるのかは覗いた人にしかわからない、という町でして。
それがとっても私の性質に合っているようで、この町に嵌っていたのだと思います。
高野山も、和歌山の山奥、四国の山の中、東北の田舎、こういった場所に行くと、いつもあの世とこの世はなんて近い、と思います。あの世、と言っても必ずしも死んだ人の世界と言うわけではないのですが。
もちろん、本当に近いのか、人の心が近いのか、それはわかりませんが…だから、きっと私たちはそういうところに行ったら、不安になったり、逆に安心したり、つまり魂に触れるような気がするのかもしれませんね……

最近、ロケハンはマイブームです。
東京の友人と一緒に、新宿(真の事務所)、白山(真が結婚後住んでいたお寺がある)、築地(竹流のマンション)、神楽坂~江戸川橋(真とちょっとゆかりのある人が出没する)を歩いたり、京都はもうロケハンと言うより好きで歩いているだけで(と言うより住んだ)、北海道も東北も、時々真剣にロケハンのために行ったりしています^^;
でも東北は…やっぱり三味線メインですけれど。

二次創作、なんでもしてくださいませ!
というより、そもそもあれ自体が二次創作みたいなもの。
皆さんに遊んでいただけたら、これ以上の喜びはありません(^^)

大海彩洋 #XbDIe7/I | URL | 2013/04/27 10:03 [edit]

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