05 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 07

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨32] 第4章 同居人の失踪(3) 

*さて、これはラブシーンと納得していただけるかどうか…真夜中の電話。
 電話を盗み聞きしているような気持ちで読んでいただけると嬉しいです(実際に、美和ちゃんが盗み聞き^^;)




「随分飲んだんじゃないのか。すごい声になってるぞ」
 答えが出てこない。口を開いたら、さっきまで考えていたことの奥にある大事な何かが、そのまま零れ出てしまうような気がした。
「見張ってたのか」
「何を?」
「俺を。随分タイミングよく電話を掛けてくるじゃないか。もしかしたら帰ってこなかったかもしれないのに」
 話しながら真は、自分は何を言っているのかと思った。
「馬鹿を言うな。帰ったら美和ちゃんに泣きつかれただろう。随分な剣幕だったからな」
「それで、俺がここへ帰り着いて、彼女を慰める時間まで計算してたってわけか」

 竹流が少しの間向こうで躊躇しているように感じた。この小さな間が、永遠のように苦く感じるのは何故なのだろう。答えた竹流の声は穏やかで、どこか哀しげにも聞こえる。
 考えてみれば、捨て台詞を吐いて別れたきりだったのだ。
「そういうことにしてもいい」
「それで、あんたは俺に深雪を見張らせていたのか。それとも深雪に俺を見張らせていたのか」
「何のことだ」
「あんたと深雪の関係は何だ? 澤田とは?」
 真は自分でも何を言っているのかわかっていなかった。半分は澤田を問い詰めなかった後悔だった。半分は、あんな状態になっているのに、何も話してくれない同居人への怒りだった。

 怒り、というよりも半分は悲しみのようなものかもしれない。どうせ自分は、彼にとっては何の役にも立たない、少なくとも彼が自分に与えてくれていることの一割も返すことができないままでいる。
 竹流は多分、この真の問いかけに対して、無視してしまうか茶化してしまうに違いない、そう思っていた。対等の立場で語り合うことは難しいし、特に話題が、彼が触れてほしくない部分に及べば、まともな答えが返ってくるとは思い難かった。
 だが意外なことに、その問いかけに対して電話の向こうで同居人は押し黙っていた。
 真はその沈黙の間に、ますます混乱してきていた。なぜ頼ってくれないのかと情けなく思う気持ちと、あの病院の屋上で別れた時の怒りと苛立ちが咽喉元まで突き上げてくる。結局、やはり酔っているのだ。

「澤田に、自分の下で働かないかと言われたのか」
 長い沈黙の後、竹流が電話の向こうから穏やかな声で問いかけてきた。
 どういうことなのだろう。どうして竹流はそんなことを知っている? 知らないまでも、澤田がそんな申し出をすると予想できたというのだろう。頭の中がぐるぐると回って収拾がつかなくなっていた。
「よく知っているな」
「俺が奴の立場なら言うかもしれないと思っただけだ。それで、何と返事をした?」
 断った、と言いかけて、ちょっとばかり腹が立ってきたので曖昧な言い方をした。
「考えさせてくれと言った」
「そうか」
 だが、それに対しても竹流はあまりにもあっさりと返事をして、また長い間黙った。電話のことなので、長い間といってもそれほどでもなかったのかもしれない。
 真はその間を、何とも言葉を継ぐことができずに黙っていた。

「……お前、俺のところに来るか」
 突然、竹流がいつもと変わらない穏やかな声で言った。
 あまりにも予想外で唐突だったので、酔っている真の頭は、『会いたい』と言われているのだと誤解した。いや、会いたいと言って欲しいと思っていただけなのかもしれない。
「俺、酔ってるし、運転できない」
「馬鹿だな、そういう意味じゃない」
 じゃあ何だ、と言いかけて真は口をつぐんだ。これは、つまりある特異な申し入れなのだ。澤田と同じような言い方をすれば、自分のところで働かないか、というような。
「お前に、どんな形であれ、俺のような人間がすることに、あるいは将来しなければならないことに関わらせるつもりはないと、そう思ってきた。だが、お前がそれでは耐えられないというなら、俺のところに来い」

 何を動揺しているんだ、と真は自分に言い聞かせた。そして、自分が本当に酔っているのか確かめようと、部屋の壁に架かる遺跡の絵を見つめた。それは多分シチリアのどこかにあるギリシャ時代の遺跡だろう。揺らいでいるのは思い出や懐かしさのせいではない、きっとやはりただ酔っているのだ。
 竹流の声は恋人に囁くように甘い。遠い昔、何度も耳元で聞いたはずのこのハイバリトンの甘い声に、真は女のように酔いそうな気分になって、受話器を持ったまま壁に背を預けて座り込んだ。
 だが、もう今更、女や子供のように扱われるのは真っ平だった。
「酔ってるんで、考えられない」
 半分は本当だった。頭の中は既に廻っていたし、幾分か気分も悪かった。
「それに、またあんな訳の分からないところについて行くのは御免だけど」
「訳のわからないところ?」聞き返して、竹流が少し笑ったように思った。「サウジに行った時のことか? だが、お前のお蔭であの時は助かったと、あれからアリがえらく感謝していたけどな」

 誰のことだかよく覚えていないが、多分あの時一緒に行動していたアラブ人のトレジャーハンターがそういう名前だったかもしれない。あの時は生きるか死ぬかのぎりぎりのスリルを何回も潜り抜ける破目になったし、確かに、裸馬さえ乗りこなせる自分の特技が、彼らの危機を救ったことは真も自覚している。
 あの時は、竹流の本当の仕事に疑問を感じていた真が、丁度行きたくなかった高校の修学旅行をサボって、竹流を脅すようにしてついていったのだ。いや、実際はただ何とかして傍にいたかったのかもしれない。
「いつもあんなことしてるんだろう。映画じゃないんだから、必ず助かるとは思えない」
「だから、一緒にいたいんじゃないのか」
 真はそういうことだ、と思ってはいた。素直にそうだ、とは言えなかったが。
「俺は、あんたの女たちとは違う」
「当たり前だ。女は連れて行かない」

 真はまた黙り込んだ。気分が悪くなってきた。この電話が切れてくれなければいいと、ただそう思っていた。向こうで竹流も黙っていた。
 どこから電話してるんだろうと、病院の中の光景を想像した。病室を出て、廊下の先の大きな窓が並んだ明るいロビーだろうか。あの窓から竹流は今どんな景色を見つめているのか。
 シロカニペ ランラン ピシュカン
 目を閉じると銀の雫の降る音が聞こえてくるようだった。言葉にならない想いは、心の中でどんどん重みを増していく。滴る雫にもならず、ただ地球の中心に向かって重力の命令のまま、果てしなく深く潜っていく。
 明らかに身体の奥深くで震えるような重みを感じながら、これではまるで恋人の電話を切りたくない女子高生みたいだと思った。全て酔っているせいだと思いたかった。
 あるいは、久しぶりに声を聞いた親からの電話も、こういう気持ちになるものなのかもしれない。
 親と電話で話す、という状況は真には想像の榧の外だった。実際に父親と電話で話したことがないわけではないし、親子と名乗りあって語らうというわけではなかったが、たまに日本に彼が帰ってくるときに会うこともあった。何年かに一度程度で、恐らく真の二十七年の人生のうちでも、片手で数えられるくらいのことだ。だが、懐かしいとも恋しいとも思ったことがない。
 そう思える土台が、あの父と自分の間に無いのだろう。
 真にとって親と言える誰かがいるとすれば、幼少の時は祖父と叔父が、その後は伯父と、そしてこの男だった。その中で全くの他人である同居人は、血の繋がりもないのに、何故何の見返りもなくずっと真を庇い続けてくれていたのだろう。

「真、お前、ちゃんと上、着てるか? また熱を出すぞ。それから、登紀恵さんがレモンを持ってきてくれてただろう? 切るくらいできるだろう」
 同居人はくどくどと二日酔いの対策について一演説ぶって、真は時々相槌を打ちながらそれを聞いていた。聞いていたのは彼の声だけで、クエン酸がどうだのという内容はほとんど理解できていなかったが、そんなことはどうでもよかった。何となく何かが不安で、たまらなくこの声が愛おしく、ただこの電話を切りたくなかった。
「さっきの話だがな、急いで答えを出す必要はない。それに、いずれにしてもこの件が終わってからのことだ。それから、澤田も、他の誰でも、お前の利用価値を知っている。お前の遺伝子の値打ちと、おまえ自身の値打ちと。だから」
 竹流は暫く言葉を選んだようだった。
「誰も、信じるな」
 真の頭の中で、何か特殊なものが弾けた。

 それから、今度こそ随分と長い間、二人ともが黙っていた。こんなときに、電話線だけは随分と儚く頼りなく、それでも何かを繋いでいるように思えた。耳元に伝わってくる振動で相手の感情が解ればいいのに、と何度も思う。
 背中の壁の冷たさが不意に身体の芯にまで伝わるような気がした。
「雨だな」
 その儚い電話線の向こうで同居人が呟くように言った。このマンションの居間からは、ブラインドを下ろしてしまえば、廊下ともう一枚のガラスの向こうの外の気配は分からなかった。竹流は病院のロビーの大きな窓の並びから外を見つめているのだろう。
 真は自分が静かなコンクリートの箱の中に座っていて、その箱に銀の滴が降り注ぎ、雫は僅かな隙間から零れ出し、やがて穏やかな湿度が身体に滲みこんでくるのを感じた。竹流もまた、別の箱の中で静かに立っていて、銀の滴を感じているだろう。

「もう、切るぞ」
 うん、と返事をしたつもりだが、声が相手に届いていたかどうかは分からなかった。しばらくの沈黙の間に、恋しい気持ちが身体の中心から湧き上ってくるような気がした。
「そっちが切れよ」
 やがて同居人が優しげなハイバリトンの声で、囁くように言った。
 十代の恋人同士の電話じゃないのだし、そっちが切れ、と真は思った。それから、彼も電話を切りたくないのだと思った。わけもなく、泣きたいような心地だった。黙っていると、突然名前を呼ばれる。
「真」

 本当のところ、座り込んだところから立ち上がることも、腕を伸ばして受話器を置くこともできないような気分だった。ただ名前を呼ばれた不意打ちに、思わず言葉を捜した。
「明日、午前中にはそっちに行くよ」
 言葉は何でもよかった。向こうで同居人は暫く黙っていたが、あぁと短く返事をした。
「何かいるものは?」
「いや、別に何も。お前が来てくれるなら、それでいい」
 そう言ってからきりが無いとでも思ったのか、同居人はじゃあなと言って電話を切った。

 真はそれでもそれから長い間、受話器を持ったまましゃがみこんでいた。酔っているな、と思った。考えのまとまらない頭の中で、今何時だろうと思った。この空間に自分ひとりなら、時間など気にもせず迷わず今会いに行ったかもしれない。
 だが、電話を切って間もないのに会いたいと思うなどと、女のようだと思って直ぐに打ち消した。不意に、また穏やかなサテンのシーツに包まれる感覚が肌に蘇り、不思議な油絵具の匂いが嗅覚の中に浮き上がってきた。降りしきっていた銀の滴は薬指のリングに結晶し、真の肌に触れた。真は振り切るように立ち上がり、ようやく受話器を置いた。
 それから、真はのったりと部屋を見回し、ソファの方に回って、帰ってきたときに脱ぎ散らかした上着とネクタイとベルト、それから靴下を片付けて、ガウンの紐を結んでから、ソファに座ってテーブルの上の煙草を取り上げた。
 そうとも思ってはいなかったが、ライターをつけようとして自分の手が震えていることに気が付いた。
 この時何故美和を置いてでも会いに行かなかったのか、後から真はどれほど後悔したか知れなかった。


* * *

 目を覚ましたのは、電話の音よりも、隣の居間にいる男の気配のためだった。
 美和はしばらくの間、途切れ途切れの話し声を、聞いてはいけないものを耳にしてしまったような気持ちで、随分遠くの音として留め置いていた。それでも気になって身体を起こし、開いたままの居間の扉のほうに行って、その陰からやはり薄暗いままの居間の様子を隠れるように覗いた。
 さっき身体を重ねたばかりの男は、今全く別の次元にいる生き物のようだった。
 受話器を持ったまま床に座り込んで壁に凭れ、その男は電話の向こうの誰かに見えもしないのに相槌を打っているように見えた。その上、泣いているようにさえ見えた。

 美和は思わず唇を噛み締めた。
 そういうことは分かっていた、と思った。
 どれほど関係を否定されても、上司である真とその同居人の間柄は親密以上のものだった。それが単純に恋人同士の関係には思えないが、それだけにもっと悪かった。美和の恋人の北条仁は、女の方が好きだと言いつつ、世間にもバイセクシュアルであることを公にして憚らなかったが、時々美和に解説することがある。
 男同士の関係は長続きしない、と。
 それは単に肉体的な繋がりの難しさを言っているのか、法的に守られないからか、世間的に理解を得られないと思われているからか、いずれにしても自然の摂理から外れた関係を続けることは困難なのだろうと美和も思っていた。いや結局は、男女であっても肉体的な繋がりだけでは長続きしないということなのかもしれないし、それ以上に、男性同士は愛しいという感情を相手に抱きにくいものなのかもしれない。男女なら、肉体的な強い欲求が消えても、家族への義務的で自然摂理にも見合った愛情や、社会的な枠組みが守ってくれる。
 だが、目の前にいる真と同居人はまるで気配が違う。

 二人が恋人に見えるか、兄弟に見えるか、親子に見えるか、と問われたら、内情を知っていれば、実際最も近いのは親子ではないかと思えた。真の同居人は真を時々子供のように扱っているし、普段は反抗的なことを言いながらも真の方もそれに甘えている気配が見えないわけではない。年も十歳近く離れているようだし、ちらりと聞いた話では、真が子どもの頃勉強の面倒を見てくれていたのはその同居人だったという。つまり、真にとって、子供時代、もしくは最も多感な思春期の人格形成の一時期を、ほとんど全てあの同居人に預けていたのだろう。
 その上で、もしも仁の言うとおりなら、恋人同士であってもおかしくない距離にいる。
 他人の恋愛事情として妄想だと言いながら突っ込んだが、本当は事実に近かったのかもしれない。何かの拍子に驚くほど近い身体と身体の距離は、一度も関係を持たなかった人間にはあり得ない距離だと、仁が言っている通りに思えた。むしろ、実際には肉体的な関係を辞めてしまったのに、身体も心も尚更相手を求めているような、そんな気配だった。

 美和はそっとベッドに戻った。
 さっき狂うほどに求め合ったばかりだ。今もまだ、真が自分の中で果てた時の気配と拍動を、身体の芯が覚えていて疼いていた。美和の内側は真が中に出したものを、一滴も零したくないように収縮して飲み込もうとしていた。意識してのことではなかったが、衝動にしても心からこの男の子供を身籠ってもいいと思った。その欲求が性的な結びつきの快楽と切り離せないことも感じた。

 恋人である北条仁には、確かに男女問わずに相手がいる。任侠の世界に生きている男は比較的女関係には堅いと聞いていたが、仁はむしろ粋で遊びを楽しむタイプの人間だった。だが、遊びは派手だと噂されていた割には、美和に対して無謀な振舞いをしない。
 美和も郷里の山口で付き合っていた相手がいなかったわけではない。真には偉そうに言ったが、修学旅行でも、それ以外での友達とのおしゃべりの中でも、男女の恋愛については耳年増になるばかりで、実際に初めてちゃんとセックスをしたのは東京に出てきてからで、相手は北条仁だった。今でもその行為に完全に慣れたというわけではない。感じる、ということはちゃんとできていると思っていたが、どこかでいつも何かが引っ掛かっていて、昇り詰めるという次元にまではいっていなかった気がした。本当のところ、『いった』のは今日が初めてなのだ。そして、頭の芯が痺れ、子宮も腟も痙攣し続けるような感覚に、初めてこれが絶頂なのだと知った。子どもを産む痛みに女が耐えることができて、それでもまたセックスをしたいと思うのはこの快感が女にだけ与えられているからだとも、女は男よりも七倍は気持ちいいのだとかいうのも、会話の中では楽しんでいたが、実際に自分の身体で感じたのは初めてだった。
 北条仁は、美和の初めての相手が自分であることを知っていて、時々ベッドの中で、他の男とも寝てみたほうがいい、と勧めた。冗談なのか本気なのかよくわからなかった。具体的に誰、と言われたわけではない。もっとも、ベッドの中では仁と他にも色々な話をする。行為そのものよりも、話をするほうに時間を使っている。それはとても楽しく、不思議なことに暖かい時間だった。
 多分、北条仁は状況をしっかり理解しているのだ。それはつまり、この状況で万が一にも美和が子供を生むということになれば、美和自身にも美和の家族にも北条一家としても簡単な話ではないことを、いかにも勝手で強く自信家の男がけじめをつけたがっているということだった。それは仁が自分を大事にしてくれているからだということは、よく分かっていた。だが、快楽というものは、そういう理屈を重ねると薄れるものかもしれない。

 だが、万が一自分と真が恋人になって、その上で真とその同居人の関係を許容できるだろうか。自信がなかった。自分の恋人が身体で他の誰かを求めている事も許せないが、それよりも心で他の誰かを求めているとしたら、それはとんでもなく重いことのように思う。
 仁さんは他の男と寝てもいいって言うけど、そんな簡単なことじゃないわ。
 美和は恋人の言い分がやはり納得できなかった。
 仁の言うとおり、ちゃんと付き合っている相手がいて、その相手に許されて他の誰かと寝ることは、ある種類の人間からは羨ましいとさえ思われている。だが実際にしてみると、ややこしくてやってられないと思った。
 本当の恋人との行為のほうがずっと良くて、それを思い出してしまってもややこしい。逆に刹那の恋人との行為のほうが良くて、離れられなくなってもややこしい。
 身近な相手を選ぶんじゃなかったな、と思った。顔を合わせるということは、離れにくいということだ。

 真は寝室に戻ってくる気配はなかった。夜を他人と一緒に過ごせないと言っていたし、女の人のところに泊まってくることもないと話していた。あくまでも、真にとって大和竹流という男は別格なのだ。
 まぁ、でも考えても仕方がないか、と思い直した。
 大体、真と同居人の関係は始めからわかっていた話だ。そこに割り込もうと思っているわけでもない。
 あんなに切ない顔をされるのは、ちょっと意外だけど。
 美和は布団に深く潜りなおした。お尻がいくらか冷たいのは、きっと自分がかなり濡れていた跡のためだろう。本当にびっくりするくらい濡れちゃったな、と思った。感情はともかく、関係を続けるのは悪くないかもしれないが、そういう割り切りが自分にできるかどうか、やはりわからない。
 裸のまま布団に包まっているのは、結構気持ちが良かった。とにかく眠ってしまおうと思った。





次回、第4章最終回です。今回は短かった。
美和ちゃんの回想(真と初めて出会った時の…)あり、その中には真の意外な顔が…お楽しみに(^^)
関連記事
スポンサーサイト

Category: ☂海に落ちる雨 第1節

tb 0 : cm 0   

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://oomisayo.blog.fc2.com/tb.php/164-83dfa81a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)