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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

❄9 失物 幽霊 雨はいつか降る 

 夕食時になって問題が起こった。
 幽霊の掛軸と貢ぎ物が綴られた巻物を持って福井に発つ準備は整っていたはずだったが、肝心の幽霊の掛軸が忽然と消えていた。
 住職が夕食を済ませたばかりの彼らのところにやって来て、そのことを話した。
「掛軸が消えた? どういうことですか?」
「さて」住職は分からない、というように首を傾げた。「まぁ、急いで探しますので、お待ち下さい」
 真と竹流は、住職の去った後、呆然と互いを見ていた。
 大体、そんなものを盗んで、得をする人間がいるようにも思えなかった。しかも、この寺に外から人が入り込んだとして、金目のものならともかく、幽霊の掛軸だけを選んで盗っていく理由がなかった。宝のありかでも書いてあると思ったのだろうか。
「だけど」竹流が真を見た。その目には子どもっぽい悪戯好きの輝きが浮かんでいる。「これは内部犯行だな。な? 名探偵どの」
 からかわれたのには、真は睨み返しただけだった。
「俺なら、もっと金目のものを盗んで行くけどな。何で、幽霊の掛軸なんかわざわざ持っていったわけだ?」
「あんたに不動明王を探し当てて欲しくない誰かがいるってことだろう」
「そういうことらしいな」
「それとも、不動明王が本当に金でできていて、欲しくなったとか」
「誰も見たことのない、あるかどうかも分からない像だ。そりゃないだろう、多分」
 一昨日は自分でそのような事を言っておきながら、竹流は無邪気に否定した。
 取り敢えず今日の夜行で発つことは断念し、今日はもうここで寝ることにして、先に風呂に入りに行った。
 昨日は、いつもなら十日に二度ほどしか風呂に入らない寺の住人に悪いと思って遠慮したが、今日は掛軸の事を悪いとでも思ったのか、若い僧たちが風呂を沸かしてくれたので、遠慮なく湯を頂いた。真は、子どもじゃあるまいしと言って、別々に風呂に入ろうとしたが、そう言った矢先からちょっと不安な気分になった。どうしたのかとも竹流は聞かなかった。楽しそうに、そう言わずに一緒に入ろう、と言っただけだった。
 脱衣所で服を脱いでいるとき、ふと竹流が言った。
「おまえ、その脇の痣、どうしたんだ?」
 え? と思って見ると、事故の時に脾臓を取った左脇の手術創の横に、巨大な爪が食い込んだように赤くなっているところが、二ヵ所ばかりあった。思わず竹流の顔を見た。
 夢だと思っていた。
「ぶつけたの、かな?」
 いいかげんな事を言ってみたが、通用するはずもなかった。竹流は真の側に寄り、腕を上げさせて、その脇の痣を調べるようにした。
「何かに摑まれたみたいな痕だな」
「こけて、倒れたときにぶつけたんだろう。石かなんかに」
「いつ、どこで転んだんだ?」
「昼間、外の杉林で」
「寺を出ていたのか?」
「散歩してこいって言ったのは、あんただろ」
「何をむきになってる?」
 むきになっているつもりではなかった。変な体験をしたことをいちいち竹流に言うと、また怒られそうな気がしただけだった。だが、考えてみれば怒られる筋合いはない。それに、痛いとも何とも思わなかったのに、現実に瘢を見ると痛いような気がしてくるから妙なものだった。
「痛くないのか?」
 思わず優しげに聞かれて、真は怯んだ。
「でかい爪の瘢みたいだけど」さらりとそう言って、竹流は真を見上げた。「また、何か出たのか」
 冗談で言ったのか、真剣だったのか分からなかった。真は、複雑な気持ちをどう表していいのか分からないまま頷いた。
「龍にでも摑まれたか」
「そう、みたいだけど」
 そう言われて、その状況を思い出してみると、どうやらあの時は龍に救われたような気がする。もっとも龍の方では、美味そうな獲物がいたので、空から捕まえに来ただけかもしれない。
 もうこうなると黙っていても仕方ないので、素直に見たことを話した。
 風呂の中で竹流は黙ってその話を聞いていたが、それについての感想は言わなかった。五右衛門風呂の湯を両手ですくい、顔を洗うようにしてから、ただ、こう言った。
「俺の側から離れるな。この寺の中でも、一人でうろうろするんじゃない」
 真は返事をしないで、湯気の中でぼんやりとその言葉を反芻していた。


 それにしても、誰が掛軸を盗んだんだろう。
 不動明王が見つかって困る人間なんて、そうそういるとも思えない。しかも、外部から入り込んだ誰かがそれを盗んで得をする理由も見つからない。和尚は竹流に仕事を依頼してきたのだし、自分から掛軸をどこかにやってしまう理由がない。謎を解きたくなければ、依頼などしないはずだ。
 とすると、小僧の誰か?
 何でそんなことをする必要があったんだろう。だいたい小僧たちはあの鈴の音とやらを怖がっているのだし、さっさとこの事件を解決して欲しいと思っているはずだった。
 そう思いながらも、複雑なものをそれぞれに隠し持っているような若い僧たちの、敵意とも不安とも取れる目つきをひとつひとつ思い出した。怖がっている、と言ったのは住職だけだ。あの不遜な目を思い出すと、鈴の音くらいを怖がっているとも思えなくなってきた。
 竹流はさっきからまた昨日の書物の山の中に埋没していた。
 布団に入るまで一悶着だった。真は自分の布団に寝るつもりだったのに、強引に竹流の布団に引きずり込まれた。結局、掛け布団を二重にして、更に上から毛布を掛けてしっかり暖まるようにし、その中で寝るようにと強要された。
 竹流が過剰に心配しているのは分かっていたが、同じ布団で寝ていたからと言って、夢を見るのも意識が勝手に飛んでいくのも止められない。
 そう言いかけて、やめた。
 竹流は二年ほど前、何か得体の知れないもの、具体的には既にこの世のものではなかった飛龍という名前の馬が、あの世から真を迎えに来たと、今でもそう思っているのかもしれない。少なくとも、あの事故が真の病的な精神状態のせいで起こったのだとしても、その精神状態を引き起こしたのが、亡くなった馬かもしれないと考えていたのだろう。超常現象など絶対に信じないと言っている男が、唯一あの件だけは別だとでも言うように、過剰反応をするように真には思えた。もっとも、竹流自身、飛龍が化けて出るほど霊力のある馬だと信じたわけではなく、真が簡単にありもしない幻影に感情を取り込まれてしまうことを心配しているのだろう。手を緩めるとまた同じことが起こるとでもいうようだった。
 突き放しておきながら、時々異常なほど過保護になる、そのギャップが真を混乱させる。
 真は目を閉じた。
 でも今は、あの世から自分を迎えに来る飛龍の夢を見たりしているわけではない。馬ではなく、龍の夢だ。
 そう言えば、飛龍の名前はまさに『飛ぶ龍』だ。実際、あの馬は走っているというより、翔んでいるようだった。そのまま天空まで翔ぶような気がした。真が東京に出ていってからも、北海道に戻ると真っ先に姿を見せてくれていたのだ。
 確かに、あの馬の死が真の不安に纏わりついている。あるいは真の不安ではなく、竹流のほうの不安かもしれない。
 真が少し寝返りをうつようにして動くと、竹流とふと視線があった。
「寒いか?」
「いや」真は書物に視線を戻した竹流を見つめた。「熱心だな」
「うん。この伝承はよく読むと意味深でおっかないな、と思ってな」
 竹流は真を抱き寄せるようにして、真にもその書物が見えるようにしてくれた。
「伝承って、何処の国でも結構おっかない話が多いけど、例えばこれもそうだ。童子が神社の神聖なる木に小便を引っ掛けて、荒ぶる神の成敗を受けたって話だが、その童子の死によって涙を流した豊玉姫の霊力で、日照りの田に雨が降り、童子は神として祀られた。どこかで聞いた話だと思わないか?」
 真はしばらく竹流の顔を見つめていた。
 子どもは幾日も帰らない父親を探していたのだろうか。誕生日に贈られたという馬を曳いて、そして何かに驚いて馬は暴れだしたのだろう。水晶の珠は落ちて割れ、雨乞いの儀式は遮られた。子どもの眉間に振り下ろされた劔は、儀式を遮り不成功に終わらせた悪戯への成敗だったのか。一体誰がそれを命じたのか。
 振り下ろされた劔の向こうに子どもが最後に見たのは、父親の憤怒に満ちた顔だったのだ。優しい神様が子どもを哀れに思ってくれただろうか。子どもの怨念がこの世に残り、祟りをなさないようにと、魂を鎮めるために建てられた社。側頭葉の一番隅っこにある記憶の引き出しが少し開いている。そこから、僅かに光が漏れ出していた。
「神社も寺も、呪いや恨みを封じるために建てられたって話は珍しいことじゃない。例えば上御霊神社は、平安京に遷都した桓武天皇の弟御、早良親王の祟りを鎮めるためだし、北野天満宮も菅原道真公の祟りを、法隆寺は聖徳太子の祟りを、という具合だ。いや、むしろ日本人の宗教観は、全て祟りを恐れ、その厄災が我が身に降りかからないように祈り祀ることに繋がっているという気もする。平安時代以前の神を祀る場所、つまり神社というのは、全て祟りを鎮めるために建てられたものだったという説もある。日本で最大の神社のひとつ、出雲神社とて、現実の政から遠ざけられた大国主神の幽閉の場だった、とも言われている。祟りそうなものを祀る教会がその辺に溢れているなんてのは、西洋ではあり得ない話だけどな。伝承も、後ろめたい事があったときに、いや、実はこうだったんだ、と言い訳するのに便利だ。誰かの恨みを吸収するいい手段だったんだろう。全国各地に残る蘇民将来伝説もそうだろう」
「そみんしょうらい?」
「何処の家でも相手にしてもらえなかった汚い格好の旅人を、可哀想に思って招き入れた家が裕福になるって話さ。その旅人は実は偉いお坊さんだったとか、実は仏様の化身だったとか、そういうことになっている。もともとの故事はこういう話だ。素戔嗚尊が旅の途中に一夜の宿を求めたとき、裕福な弟の巨旦将来は迎え入れなかったが、貧しい兄の蘇民将来は、貧しいながら精一杯もてなした。それで、素戔嗚尊は蘇民将来に名乗りを上げて、今後疫病流行の折には、お前たちの子孫は腰に茅輪をつけて『吾は蘇民将来の子孫である』と名乗りなさい、必ず疫病を避けることができるだろう、と言ったそうだ。似たような話は日本のあちこちにあるが、実際には旅人から金品を巻き上げて殺していたという事実の裏返しだ、という説がある。祟りませんように、ってやつだ。もっとも、その当時は日本に限らず世界中どのような部族を見ても、それぞれが生きていくために外部からの侵入者を殺すなどということは当たり前のことだった。むしろそれを晴れがましい儀式として行っている部族もある。そう思うと日本人古来の感覚は不思議だよ。祟るかもしれないものに対して、神社やお寺に祀ったり伝承に残したりして、いつまでも忘れませんから、どうぞ安らかにお眠り下さい、っていうのが、日本の宗教の根底にある」
 真は竹流を見つめた。
「その、子どもは神として祀られたのか? どこに?」
「さぁ、伝承だからな。どこに、なんて具体的なことは書いてないな」
「でも、伝承通りなら、その子が死んで、雨は降ったんだ」
 竹流は、時々何かの拍子に見せる、たまらないほどの優しい微笑みを見せた。
「雨は、いつかは降るものさ」
 真は目を閉じた。
 子どもの魂が救われていればいいのに、と思った。
 でも、子どもの顔は消えそうに儚かった。それは、自分の眉間に突き立てられた劔の向こうに、信じていた父親の怒りに満ちた顔を断末魔に見たからなのか。子どもは壊してしまった珠が見つからなくて、やはり困っているのだろう。もしも珠が元に戻ったら、父親は子どもを許し、子どもは救われるだろうか。
 それとも真はただ幻を見ただけなのか。真自身のうちにある、父親という種類の生き物への不信、恐怖、そういったものがあんな不可解な幻を見せただけなのか。
「掛軸、どうするんだ?」
「まぁ、そのうち出てくるだろう。別に俺も龍が消えるのを見たくて切羽詰まってるわけじゃない。もしも本当にこの話が卵城伝説で、『城』が崩れるんなら、それは急いでやりたい気はするけどな」
 寝ようか、と言って竹流は布団を引き寄せた。その手で枕元の明りを消す。
 それからしばらくの間、真は緊張していた。だが、竹流はさすがに昨夜の頑張りが堪えているのか、欠伸をして、それから真の頭を撫でて、お休み、と言った。
 子ども扱いだなと思ってむっとしたが、何も言わなかった。竹流はすぐに眠ってしまったようで、規則正しい寝息を立て始めた。
 真はようやくほっとして息を吸い込んだ。微かに、風呂の湯気の匂いと体臭と、何か古いものの匂いとが交じり合って、鼻の粘膜の襞の中に入り込んだ。そのうちに、寄生虫のように体に入り込んでいた異質な念がぱらぱらと壊れていく。自分の身体の中の免疫細胞が活性化されて、アメーバのようにうごめき、その粉を取り込み浄化していくように感じた。


 そうして、真はやはり夢を見た。
 かなり過敏になっていることはよく分かった。誰かが夢を見せているのだとしても、身体に瘢を刻み込むほどに強烈な思念であっても、自分の方に受け入れる素地があるからこうなっていることは、よく分かっていた。
 その日は誰かに揺り起こされた。
 この部屋まで誰かが侵入してきたのは初めてだなと思った。
 彼らは竹流を恐れている、と思う。
 それは、竹流にはつけ入る隙がないからだということは分かっていた。この男が実は恐ろしく純粋で、物に魂や尊い美が宿ることを知っていて、それを尊び、決してないがしろにしない、高潔な魂の持ち主であることを、彼らはよく知っているのだ。竹流が信じていないのは、そういうものが形になって目に見える、ということであって、彼が抱いている尊い美に対しての畏敬の念は、他の誰よりもずっと強いものだった。しかも、この男にはドラゴンを退治した強力な守護聖人がついていて、いつも護られている。
 だから、竹流がそばにいるこの部屋にまで侵入してくるというのは、よほど相手の気が強いか、あるいは真がだいぶとち狂ってきていて、惹き付けているのかのどちらかだ。
 覚悟を決めて目を開けると、そこにいたのはあの子どもだった。
 どうしたの?
 子どもは返事をせずに、すっと部屋から出ていった。障子はさすがに開けなかった。やっぱり幽霊のようなもの、もしくは妖怪か物の怪の類なわけだから、と自分を納得させて真は起き上がった。
 子どもは前よりいっそうぼんやりとして見えて、顔の表情はますますよくわからなくなっていた。姿はかき消えそうなのに、その霊気のようなものは強くなっているのだろうか? それとも本当に切羽詰っているのだろうか。
 障子を開けて、縁側に出た。
 音はなく、静かな庭の景色が薄ぼんやりと浮かんでいる。
 その日は月明かりがほとんど見えなかった。ただ、もうこの庭は見慣れてしまったので、明りがほとんど無くても、木や岩の輪郭はわかるような気がした。あるいは、アイヌの老人が言っていたように、木も石も草も、昼間に取り込んだ光を微かに夜気の中に放出しているのかもしれない。
 枯山水の庭の奥のあの祠の辺りが、またぼんやりと光で浮かび上がっているように見えた。ふと見ると、もうほとんど薄暗い明りのようになっているばかりの子どもが、その祠の方へ飛ぶように駈けて行くのが見えた。そして、ふいに祠の手前でかき消えた。
 真はゆっくりと縁側から庭に降り、祠の方に歩いた。祠の辺りには、まだ導くような穏やかな光があった。
 祠が見えるところまで来ると、ぼんやりとした光の正体が分かった。
 それは、あの掛軸に描かれた幽霊だった。
 幽霊は絵のままの優雅な無表情でこちらを見ていた。絵で見るよりも美しい人だ。長い髪、切れ長の目、口元には紅の気配もないのにうっすらと赤く、細い身体の輪郭は白くぼやけて闇の中に落ちている。
 この絵の作者もあの絵師なんだろうか。とすると、この美しい幽霊は誰なんだろう。そういえば、子どもの母親はその時どうしていて、それからどうなったんだろう。
 考えているうちに、ふと幽霊がかき消えた。

 
 急に息苦しいような気がして真はそのまま目を閉じ、次の瞬間には布団の中で目を覚ました。
 首筋、腋の下にじっとりと冷たい汗をかいていた。目を開けた瞬間に、首に巻きついていた長いものがするりと抜けていったような気配がした。真は狭くなった気道を押し広げるように数回、咳をした。
 息ができないという夢は何度も見る。赤ん坊の時の記憶かも知れないし、あの窒息死したクルーたちの写真のせいかもしれない。夢の中身も比較的はっきりとした景色を伴っている。あまりにもはっきりとした景色だからか、かえって現実ではないような気がする。夕日のために橙に染められた窓枠に凭れた美しい女の夢は、その黒髪の色、窓枠のオレンジがあまりにも鮮明で、絵画のようでさえある。クルーたちの写真はセピアの色に染まっていて、恐ろしいはずなのに、夢の中の真は魅入られたようにその写真を見つめている。夢を見ている真は、夢の中の自分に必死で呼びかけている。そんな死体の写真を見てはだめだ。頭がおかしくなってしまう。だが夢の中の真は宇宙から帰還するはずだったクルーたちの死に恍惚としている。
 いつも目を覚ますと、身体が冷たくなっている。汗のせいですっかり体温が下がってしまったのだろう。目を覚ましてもしばらくの間は夢と現実の区別がつかず、まだ夢を咽喉の奥で味わっている。苦い、血のような甘く錆びた味が、咽から胃へと流れ込んでいった。
 今もまた、まだ夢の中なのかどうか区別がつかなかった。真は身体を起こし、呼吸を整えるように深い息をした。
 側で竹流は身じろぎもせず眠っていた。あまりにも静かなので、生きているのかどうか不安になり、あるいはこれはまだ夢の中なのかもしれないと思った。
 額にかかるくすんだ金の髪は、わずかな月の明かりを照り返している。頬には穏やかな光が宿り、その皮膚の内側に流れる血の色まで見えるようだった。その穏やかな光を見つめていると、昼間、大日如来の向こうに見えていた、神々しいまでのこの男の姿を思い出した。
 真の伯父、功が失踪したのは真が十四の時だった。その後、功の手伝いをしていただけのこの男がどう思って自分たち兄妹の保護者を買って出てくれたのか、その理由も気持ちも、真は敢えて確かめたことはない。真実を確かめ、それがもしも自分の望むようなものでなかったら、その事実に耐えられるのかどうか、自信がなかった。
 真は、もう一度息を整えるように吐き出した。手で首を確かめると、耳の下にあてた手は自分自身のものとは思えないほど冷たかった。この首だけが覚えている記憶は、本当の出来事なのか、混乱した引き出しの間違いなのか、もうよくわからなくなっていた。
 最初にけちのついた人生は、それから先も上手くいっていることなどほとんどなかったような気がした。
 人生のごく始めに実の両親に捨てられた。半分外国人だったという母親の記憶など何もない。思い出す素材がない。父親は今ワシントンに住んでいて、何か複雑な仕事をしているらしいが、誰も真に彼を会わせてくれようとはしない。祖父はやっとの思いで結ばれた恋人との最初の子どもである真の父を、まだ生きているうちから抹殺したように思える。父親自身ほとんど日本に帰ることはないようだし、帰っていたとしても真のところを訪ねてくることはない。彼の人生選択の岐路では、息子の存在は何の検討項目にもならなかったということなのだろう。
 捨てられた赤ん坊をやむを得ず引き取ってくれたのは、実父の腹違いの兄にあたる功だった。ただ、功は医師として忙しく、実際に引き取った子どもの面倒を見る破目になったのは功の妻だった。
 真にはその義理の母親に纏わる記憶に大きな染みがあった。赤ん坊の頃に、その女性に首を絞められたことがある。もちろん、記憶になど残らないはずの時期の出来事だが、これがいわゆる精神科医が言うところの、側頭葉が作り上げた間違った記憶の回路なのかもしれない。
 義理の母親がいわゆる育児ノイローゼで、自分の子どもでもない真を育てることについて随分と苦労したのだ、ということは何となく人の話から察することができた。自分が赤ん坊の頃、かんの強い子どもであったことは、今の精神状態から想像に難くない。それに実の父親と伯父と義理の母親の間には何か複雑な感情のもつれがあったようで、そのことが義理の母の精神状態を最悪の状況に追い込んだのだろう。真が北海道に引き取られた後も、彼女はその精神疾患と闘い続けていたらしく、自分の娘を道連れに家に火をつけたという。
 直情的な祖父の長一郎は後先も考えずに孫を北海道に引き取った。親戚一同で経営していた牧場の中で、決して不幸なばかりの子どもではなかったはずなのに、真はいつも何かに怯えていた。周囲の人間は朴訥で口は悪かったが、暖かい人たちだった。だが、両親のいない子供は真だけだったのだ。
 実の母親の血のために、真の髪の色はかなり明るい色が混じっている。年齢が高くなれば問題にならなくなったが、田舎町の小学生にはあるまじき髪の色だった。忙しい合間に、祖父母は真の面倒をよくみてくれたが、孫を教育する専門家ではなかった。それに子供の頃体の弱かった真は、しばしば扁桃腺を腫らして熱を出しては学校を休んだ。友達もいなかったので、学校の勉強からは遅れ始めた。長一郎の教育方針から、家にテレビは置かれていなかったし、世間の子どもたちがどんな遊びをして成長するのか、全く知らなかった。
 異質な子どもは学校からはじき出された。子供の頃の話し相手は、やはり社会からはみ出して暮らしていたアイヌ人の老人だけで、時々意識していないと、今でも日本語でない言葉が真の頭に浮かぶ。言語に混乱があり、他人と言葉でコミュニケーションを取り辛くなった。
 伯父の功は取り残された真を何とか庇おうとしてくれた。自分の妻が入院し、仕事も忙しかったはずなのに、既に学校という社会から弾き出されていた真を何とかしてくれようと東京に引き取ってくれた。功が優しい人だったという記憶はちゃんとある。一方で、彼が精神的に不安定な甥を持て余していると感じることもあった。真は結局、学校とも東京とも、ごく身近な人間以外の誰とも、いやある意味ではたった一人の人間を除いて、折り合うことはできなかった。
 真にとっての唯一の日本語は、周囲の大人たちが話す北海道弁だった。北海道内陸の言葉は標準語に近いが、真の住んでいた地域の住人たちは、海岸部の方言、つまりむしろ東北の言葉に近いイントネーションを持っていた。功に引き取られて東京に出てきてからは、その北海道弁が学校と真の障害になった。
 真は始めのうち、自分は東京の言葉が理解できないのだと思っていた。そのうち、早口でまくし立てる同級生の言葉だけでなく、学校で教師が何を言っているのかも分からなくなった。
 言葉がわからなくなると、学校にはほとんど通えなくなった。義務教育というのは有り難いもので、そういう状態でも自然に小学校を卒業していた。
 小学生の時には真自身が周りの状態を理解できず、ただ自分がそこに存在していることで精一杯だったが、さすがに中学生になり多少は知恵もついてくると、初めて苛めという状況を認識した。それは、精神的な圧迫だけではなく、体の成長と共に暴力という別の側面が顔を出してきたからだった。苛める側の体格は常に、どちらかと言えば小柄な真より遥かに大きく、彼らは思春期独特の残酷な一面で、性的な衝動や興味までも満たそうとした。
 体格も大きく力のある上級生に何度も呼び付けられて殴られた。彼らが自分の何を気に入らなかったのかはわからないが、真は小学生の時から苛められていたのと同じ理由だろうと思っていた。自分の髪と瞳の色が他の子供たちと少し異なっていたことと、もともと他人と話すのが苦手だった上に、東京に出てきてから言葉が上手く理解できなくなっていて、あまり他人と口を利いたり打ち解けたりしないので、生意気だと思われていたせいだろうと、そう考えていた。本当なら、長一郎が教えてくれた剣道が武器になるかもしれなかったが、人一倍厳しい長一郎は、喧嘩に使うことなど勿論許さないはずだった。もし殺されても相手に手を出すなと言いそうだった。それに真自身、子供の頃から唯一信頼し尊敬していた大人を失望させたくはなかった。
 だが、ある時我慢と恐怖の限界を越えてしまった。
 相手はいつも複数だったが、その時はいつもより人数も多く、何か新しい苛め方を思いついたのか、にたにたと笑っていた。コンテナのような造りのクラブの部室に連れ込まれて、あっという間に押さえつけられて裸にされた。
 日本人ではないようだから身体の隅々まで違いをよく調べてやると言って、彼らは真の足を開かせて前と肛門まで懐中電灯で照らして写真を撮り、真の身体に落書きを始めた。彼らの笑い声が卑猥で汚らわしく、内臓のあちこちで震え上がるような拒否の感情が湧き出し、真の身体を硬直させた。力強い幾人もの手で押さえつけられて、口だけは猿轡をかまされていたので、叫ぶことも噛み付くこともできなかった。
 もちろん、自由であったとしても声など出なかっただろう。
 女のものと一緒だ、と大笑いをしながら誰かが言った。そういう落書きを後ろの孔の周りにしていたようだった。それから、腹ばいにされて頭を床に押し付けられ、腰を抱えられて、いきなり何か硬いものを肛門に突っ込まれた。激痛と恐怖と屈辱と、そしてついに怒りとが一気に吹き上がった。突っ込まれたのは大人のための玩具だったようだが、彼らがそれを動かしながら何か卑猥な言葉を投げつけてきた間に、僅かに身体が自由になった。
 その瞬間、思い切り暴れて、手の届くところにあった長い棒を掴んだ。それが何だったのかはもう記憶にない。
 彼らを棒で何度も殴りつけたとき、殺しても平気だと思った。殺さなければ殺されるような気がした。あの時、もしも手に触れたのが野球のバットで、もしも給食の車が通りかからなければ、きっとそのまま殺してしまっていた。
 結局その事件で学校には行けなくなった。功は相手の親が何か言ってきたと学校から呼び出されたが、逆に完全に切れて、ようやく息子を苛めていたやつの正体が分かった、徹底的にそいつらと学校の責任を追及すると言って、知り合いの有名弁護士の名前を出して全面対決の構えを見せた。学校が事件を隠そうという姿勢に変わった時には、功は丁度アメリカに留学する話があったのに飛びついて、子どもたちを連れてカリフォルニアに移った。
 功は真を赤児のように抱き締めて一緒に泣いてくれていた。一年後日本に戻ったときは、結婚するつもりだったという昔の恋人が経営している私立の学校に真を編入させてくれた。そこからは、環境は随分と変わった。
 それでも時々、手の中にあの時彼らを叩き続けた感触が蘇った。被害者として殴られていた痛みを思い出しても震えるほどの恐怖がこみ上げてくるが、加害者として殴っていた時の感触はそれにも増して忘れようのないものだった。
 あの時、殴っている間に身体の芯から湧き上がってきたのは、赤ん坊の時の不気味な記憶だった。覚えのないアパートの部屋で、美しい女性が赤ん坊を抱いていたが、泣き出した赤ん坊を見ると、その人は形相を変えて小さな首を絞めた。
 今でも、あの狂気に満ちた目を記憶の引き出しにしまい込んでいる。どうしても捨てられないのだ。
 これまでも、夢の中で食い込んでくる指の気配で、何度も目を覚ましたことがある。
 それが本当の記憶なのか、誰かがそのような昔話をしているのを聞いて、自分の中で作り上げた幻想なのか、今となってははっきりしない。だが、殺さなければ殺されるという感情を真の中に残したのは事実だった。
 赤ん坊の時はどうすることもできなかった。だが、今は闘えるのだ、だから相手を殺してしまわなければならないと、手は別の生き物のように自分を庇い、相手を叩きのめそうとしていた。
 あの頃、功はよく宇宙の話を真にしてくれた。もともと理学部から医学部に転向した功は、学生の頃にはロケットを飛ばすつもりだったという。功が好んだ、異なる国や星の人類、いや人類と言えない生物までもが同じ宇宙船に乗って、遥か彼方の宇宙、人類に残された最後のフロンティアに探検に出る物語は、あり得ないと思いながらも、ちょっとばかり真の気に入っていた。
 帰国して転校してからずいぶん楽になったのは、転入した私立の学校が自由な校風で、交換留学生もいたため、真の外見についてとやかく言う人間がいなかったからだった。
 混乱した真の言葉を整理し、勉強の面倒を全て見てくれたのは竹流だった。ようやく、一人だけだったが、話のできる友人も持てた。普通の高校生になれるように、精一杯努力していたつもりだった。だから恋人もいた。北海道に、あるいは闘い続けなくても済むどこかに、帰りたい気持ちを抑えるように、東京の大学を受験した。功の果たせなかった夢を追って、宇宙に飛びたいと思っていた。
 しかし、結局は大学を続けられなかった。恋人からは別れを切り出された。何とか失ったものを取り戻そうと闘ってきたつもりだったのに、手元には何も残っていなかった。
 最後に会ったとき、無理矢理に美沙子を抱いた。自分の内側に潜む残虐性が、時折迸り出てしまって、それを抑えることができないということを思うと、恐ろしかった。普段押さえつけるだけ押え付けている感情が、予想もできないところで自分自身、手に負えなくなる。
 真は、静かに眠る竹流の髪に触れかけた手を、そのまま握りしめた。
 もしもこの男がいなかったら自分はどういう人間になっていたか、考えると空恐ろしい気がした。犯罪者にはならなかったかもしれないが、育ての母親と同じように精神を病んで病院に入っていたかもしれない。
 ふいに、自分の手を開いて見つめた。
 その皮膚の奥に残る、上級生を叩きのめした感触が蘇って、犯罪者にならなかったとも限らないと思い直した。竹流がいなかったら、今ごろはまともな社会生活など送れてはいないだろう。
 真が混乱しているとき、竹流はまるでどこかからそれを見ていたかのように、龍のように空から急に現れてあの高みへ真を連れ出し、そこからこの世界を見せようとしてくれる。
 人間の歴史などとるに足りない、だから、この世界が自分たちのものだなどとは思ってはいけない。ここには様々の生命が宿り、様々の想いが充ち、我々はその構成要素のただひとつにしか過ぎない。ここには善いものも悪いものも渾然と存在し、それが世界を構成している。いや、この世に善いものも悪いものもないのだ。それはそこにある。ただそれだけのことだ。存在していること、生きていることに哲学的な意味など求めるのは間違っているのかもしれない。だが、だからと言って、自分には価値がないなどと勘違いして、絶望してはならない。もう何十億年も前から、まだ小さな一個の細胞であった時から、生命の連鎖は綿々と繋がっている。お前もその螺旋の鎖の切れてはならない一部なのだということを、よく憶えておくことだ。存在するということ自体には、人間が望むほどの意味はないのかもしれないが、誇りを持っていなさい。
 真の勉強をみてくれていた時、竹流が本当に教えてくれたのはそういうことだった。この男の言葉にはいつも力があった。意味もわからないながら納得させられるような勢いで、それが時には恐ろしい気もしたが、もしこの男が悪いものでも、自分はこの男に魅かれただろうと、そう思った。
 この男を愛していると、腹の底から湧き出すように思った。
 それが恋愛感情かどうかは分からなかった。親に対する思慕といえばそうかもしれなかった。ただ、心の多くの部分を彼が占めていて、胸が締め付けられるような感覚だった。それでも、特に社会的な意味で、その気持ちを口に出すことは憚られた。しかも、自分の心の中でも、異性ではなく同性である相手に魅かれていることを、いや、そういうことではなく、誰かに対して、もしその人が側にいてくれなかったら、自分が自分でいられなくなるくらい不安だということを、認めることが苦しかった。
 そして何よりも、自分の心が相手を求めるほどに、相手が自分を思ってくれているか、それが自分が期待するほどでないときに、充たされない不満に潰されてしまうかもしれないと思った。
 ランプの精が現れたら、何を願うだろう。
 三つも願い事はない。ただ、もしもその時が来たら、この男と一緒に殺して下さい、とそう願うだろう。離れていることが、本当は不安で孤独でたまらないのだ。
 ふと俯いたとき、布団の端を握りしめていた手の甲に水滴が落ちて広がった。視界はぼやけて遠近感が失われた。それから、こういうことではまたどこかにつけ入る隙を与えてしまうなと思った。
 ただどこにも居場所が無く、自分がかき消えてしまうような心地だった。


 もう一度目を覚ましたとき、まだ辺りは薄暗かった。それでも、朝の早い寺の中では既に空気の動きが始まっていた。真は竹流が横で眠っているのを確かめて、身体を起こした。それから枕元の羽織を取って肩にかけ、袖を通して布団から出た。
 障子を開けると、まだ空気は冷たく、薄い藍の空には淡い光を漂わせた星も残っていた。
 縁側から沓脱石の上の履物に足を降ろすと、現実の草履は氷のように冷たかった。枯山水の庭を奥の方へ歩き、石の小さな橋を渡って、木々の陰になった祠まで歩いた。
 さて、祠の扉を開けたものかどうか、と躊躇っていると、ふと後ろに砂利を踏む足音が聞こえて、慌てて振り返った。
「これが祠か?」
 竹流が立っていて、興味深そうに祠を見つめていた。
「起きたのか?」
「お前が出ていったんで追いかけてきた。一人でうろうろするな、って言わなかったか?」
 自分の感情を持て余している真には、何とも返事のできない問いかけだった。
「で、今度は何だ?」
「幽霊が」
 真は言いかけて、俺、だいぶ危ないと思われるな、と思った。
「祠へお前を導いた、というわけか。全く、お前、その霊感をコントロールできたら、今の仕事やめて霊媒師になったら儲かるだろうに」
「そういうの、コントロールできて商売してるやつって怪しいんじゃないのか。そんなに都合よく出てくるわけじゃないし、こんなの毎日だったら、生活できない。それに、霊感ってわけじゃない」
「さもありなん、だな」竹流は祠を見つめていた。「もっとも、そんな仕事をさせるわけにはいかないけどな」
 それから竹流は、苔むした石の台の上に載せられた、大人の一抱えほどの大きさの木の祠のぐるりを廻り、しばらく何やら観察していた。
「さて、南無阿弥陀仏か南無妙法蓮華経ってところか。いや違うな、祓い給え清め給えの方か」
 竹流は呟いて、祠の扉に手を掛け、真を見た。
「開けても祟らないんだろう?」
 真は、こいつは何を言ってるんだと思った。竹流はちょっと笑んで、さっと祠の扉を開けた。
 そして、石の器、というよりも内の方がやや窪んだだけの古い石の台の上に載せられた掛軸を、丁寧に押し頂くように取り上げた。
 その時、奥の林の方で、がさりと音がして、慌てて走り去っていく足音が聞こえた。
 真は追いかけようとしたが、竹流の手がそれを留めた。
「放っておけ。本当は怖かったんだよ。でなければ、こんなふうに丁寧に、まるでお供えでもするように祠の中には置かない。ちゃんと畏怖の気持ちがあるってことだ。それでいいじゃないか」
 例のごとく、ロマンチストのこの男はそう言って、戻ってきた幽霊の掛軸を愛おしそうに見つめた。


 掛軸が見つかったので、朝食を済ませると京都駅に向かった。
 住職も小僧たちも、寺の入り口の石段の前で、タクシーに乗る真と竹流を見送っていた。真がふと振り返ると、ひとりの背の高い年長の小僧がまるで手を合わせるようにして、自分たちのほうを拝んでいるように見えた。隣に座る男に何か言おうと思ったが、やめた。
 何か訳でもあったのだろう。それに、もしかしてただの悪戯に過ぎないかもしれない。

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Category: ❄清明の雪(京都ミステリー)

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コメント


NoTitle

消えた掛け軸を探すほんのわずかな時間に、また真という子の内面を、更に奥まで覗いたような気がします。
でも、覗けば覗くほど、その奥に扉があるような気がして、この子はいったいどんな宇宙を抱えているんだろうと、恐ろしくなりますね。

だけど、竹流が引き止めてないと、途端に霧散してしまいそうな危うさもある。
ああ、これは、最初に書いた感想と一緒だ・・・。
まだまだ、真と言う子を探求したくなります。

重い過去の中にありながら、ギリギリのところで救ってくれた功や竹流の存在が、読んでいて嬉しいですね。
薄皮一枚でつながっているという危うさは、多分にありますが。

影が深く思い分、今そばにいる竹流に思いを注いでしまうのが、とても良くわかります。
スキンシップや、何気ない会話が、うれしいです。

そんな人物像の描写と並行して進んでいく、謎の解明にも興味深々です。
真が見てしまう夢、霊。
現実と非現実の境がうまい具合に曖昧で、何が起こっても、すんなり受け入れられる世界観が、とても羨ましいです。
文学的な匂いが濃厚な大海さんの物語に、どう感想を書いても稚拙になってしまう気がするので、今日はこのへんで、諦めます(あきらめるのか!)
ちょこちょこ、中途半端なコメントを入れてごめんなさい^^;
ああ、こんな大人な物語を書きたい・・・と、思いつつ、やはり自分の書き方は、なかなか変えられないものなんですよね。
最近、悩んでばかりで、なかなか筆が進みません。
でも、ゆっくり、で、いいのですよね^^

lime #GCA3nAmE | URL | 2013/04/08 20:47 [edit]


limeさん、ありがとうございます!

コメントお返事が遅くなってすみませんm(__)m
昨日あまりの眠さに…(-_-)zzz
春眠暁を覚えず、どころか、宵も覚えず…あれ、なんか変だなぁ??
今日は一日書類仕事だったので、もう頭がおかしくなっているのかもしれません(;_:)
そう言えば、ふと気が付いたら、今年も清明の日(4月5日)が過ぎました。

何だかもったいないコメントを頂き、ありがとうございますm(__)m
たまに読み返すと、本当に粗が目立って恥ずかしい感じがしますね。あんなにも推敲したのに、まだまだ足りないのか…(>_<)…なかなか跳びぬけた境地には至りませんね…
文章力はなかなか進歩がありませんが、時を経て、書いている最中に自分の文章の癖を少し気にするようなになった…かもしれません(..) 進歩ってそんな程度?
でも、その時その時、一生懸命書いていた可愛いわが子、ってことなんですよね。うん、だから、イマイチでも愛しいのですね(^^)…ということにしましょう!
そう、お互い、ゆっくり頑張りましょうね!

この第9章が一番長くてつらいところだったのですが…読んでいただいて本当にありがとうございます。
もともとはもっと短かったんですが、何で長くなったのかというと、真の独白が長くなったからんですね…(;_:)
直したのは【海に落ちる雨】を書いてからだったので、後から言葉を補ったら、どんどん長くなってしまいまして…推敲すると延びるのが悪い癖です。
本当は、『この男を愛していると…』の一文だけでも良かったんだけど^^;
それでまぁ、伝わるだろう……いや、でもそれでは誤解されそうだし、いや誤解でもいいのか? 
とかあれこれ紆余曲折して、結果的に長くなったという…
きっとlimeさんなら、うまく端的に短い言葉にすっと押し込めて語られるんだろうなぁ…と羨ましく思います…(;_:)
ここから先はそれぞれの章はもう少し短くなるので、だいぶ読みやすいかもしれません…
でも、これからはもう、和尚さんをお楽しみいただければ????

limeさんは私があちこちに散りばめた(散りばめすぎた^^;)色々な思いを拾っていってくださるので、本当に嬉しいです。
この真の苦しさは、結局【雨】(【清明の雪】から6年後…ただ、過去の話もあちこち散りばめられております…高校生の真はかなり可愛いです(*^_^*))でも、【星】(【雨】からまた2年くらい後? 真は結婚していますが)でも続いていってしまっているのですが、もうこれは西洋的ストイックな聖なる世界と、東洋的混沌の野生的世界の闘いなので、どうにも決着がつきませんでして…

ただ、多分、お互いに、本当に愛おしいのだろうと思います。
理由は全然違うけれど、ちょっと春樹くんと美沙さんみたいかも…
触れたいけど触れれない、というのが……(いや、一緒にするなって怒られそうです…すみません^^;)
こちらは、表向きは同性ということが一番の問題にも見えるのですが…根はかなり深いかも……
何より、竹流のほうが本当に『最後の審判』を恐れているからでもあり、数年前、一度箍が外れてしまった経験から自分が実は深い闇を抱えていることを知っていて、その闇に戻るわけにはいかないと思っているからでもあって……真のほうはそれでもいいと思っているんですけど、竹流にとってはその真の『それでもいい』が余計に困る、という、堂々巡りでして。

大事なものって、本当に触れて壊したくないものなんでしょうね。
こういうテーマを、Keep Outは本当に旨く表していると思います。
テーマを形にするの、本当にlimeさんはうまく世界を作られているなぁと感心しています。

文学的…なんてとんでもないですよ!
わたしからすると、limeさんのように入り込みやすくて、分かりやすくて魅力的、何より愛されているお話を書きたいです。
やっぱり登場人物がどいつもこいつもひねくれているのが悪いんだわ…と最近思ったりして^^;

大海彩洋 #XbDIe7/I | URL | 2013/04/09 23:06 [edit]


そうそう。雨は降るんですよね。そして流してくれる。
雨が降らないと、待ってばかり。
真と竹流の関係も、どっちかがどっちかのいろいろを大事にして待っているような。(イミフですみません)

真のこと、また少し知っちゃいました。良いのかな。
覚えているような夢ばかりを見ていると、深く眠れなくて、疲労がずっと残るんですよね。
せめて竹流のそばでぐっすりと眠れますように。
龍は誰? 幽霊は誰? 稚児は誰? と勝手に首をかしげつつ、ちょっとづつ進みます。

けい #- | URL | 2013/08/15 20:20 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

> そうそう。雨は降るんですよね。そして流してくれる。
はい、本当に、最近もまったく降りませんね。本当に干上がりそうです。

> 真と竹流の関係も、どっちかがどっちかのいろいろを大事にして待っているような。(イミフですみません)
けいさん、何やら大筋に触れることをさらりとおっしゃって下さいましたね(*^_^*)
この二人、これからもずっとこの綱引き状態です。一方が一方をより強く思ってしまってバランスが崩れる。また一方が引いて立て直す、でもまた偏る。その繰り返しで。
大事なだけに、苦しいこともあれこれあるようです。
4代先には家系は結ばれるので、いいことにしてあります^^;

> 真のこと、また少し知っちゃいました。良いのかな。
この章は重かったですね。多分このエピソードは、真の中の要で、この「人殺しになっていたかもしれない」感覚が、次作にも繋がっています。
> 覚えているような夢ばかりを見ていると、深く眠れなくて、疲労がずっと残るんですよね。
> せめて竹流のそばでぐっすりと眠れますように。
そうですね。ありがとうございます。
でも、これは本人も言っています。確かに、竹流以外の人と一緒にいて、寝てませんね、この人。
うん、けいさん、鋭い。これもまた、次作の【海に落ちる雨】で真のところの秘書の女の子が突っ込んでいます。大家さん=竹流と先生=真の関係に興味津々の女子大生です。

> 龍は誰? 幽霊は誰? 稚児は誰? と勝手に首をかしげつつ、ちょっとづつ進みます。
ありがとうございます(^^)
この過去の幽霊?たちは、実は正体が明かされるというわけではないのですが、心の解明はされると思います。
最後のキラキラシーンに向かって、ゆっくり読んでくださいませ。
ありがとうございます(^^)

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2013/08/16 07:10 [edit]


暗い過去を背負った真。親しい人の教えを守り、自らを律し、ぐっと堪えるところがあるようですが、一線を越えて爆発してしまうと怖いですね。
そのためにも竹流のような保護者が必要な気がしました。

掛け軸を隠したのは誰なんでしょう。
謎を解かれては困る者がいるということでしょうか。

ヒロハル #- | URL | 2014/02/16 01:16 [edit]


ヒロハルさん、ありがとうござます(^^)

いつもありがとうございます m(__)m
まさに、ヒロハルさんのおっしゃる通り、この人は性質上は狩猟民族なので攻撃なところがあるんですね。
竹流の方はそれを理性で抑え込むことができるのですけれど、真は特に幼少時期にあまり社会性を教えられずに来ていますから、まさに「一線を越えてしまうと爆発するもの」はあるのです……
う~ん、やっぱりヒロハルさんは鋭くていらっしゃいますね。
この『清明の雪』は結構そのあたり、オブラートに包みこんでいるのですけれど……今アップしていっている『海に落ちる雨』はまさにその攻撃的な部分が表に出ていきます。

> そのためにも竹流のような保護者が必要な気がしました。
はい。まさに、キーパーソンですね。
でも竹流も人間。彼の抑制力とて強い時も弱い時もあって、弱い時には残念なことになったり。
この二人の関係は必ずしもプラスの感情で成り立っているわけではないのですね。
ものすごく濃厚で親密ではあるけれど、それが逆に反発する力になったりもして。
もう少し万人受けする主人公を想像すればよかったなぁと思う今日この頃^^;

> 掛け軸を隠したのは誰なんでしょう。
> 謎を解かれては困る者がいるということでしょうか。
ありがとうございます(*^_^*)
掛け軸は……あまり本筋ではないのですけれど、色々な人間の気持ちが織り交ざってのことなので、その部分もいずれお楽しみいただけたなら、幸いです(*^_^*)
コメントありがとうございます(*^_^*)
また私も続きを拝読に参りますね!

彩洋→ヒロハルさん #nLQskDKw | URL | 2014/02/16 10:00 [edit]

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