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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【天の川で恋をして】(7) 天の川・かささぎの橋を越えて 

【天の川で恋をして】最終回です。少し長くなってしまいましたが、切るところがないので、このままお楽しみください。これで、すべての謎の始末がついているはずですが…(あ、まだ一つ残っているかも)
それにしましても、まだPCが恐ろしく不調です。写真の縮小化やアップができません…(・・?
したがって今日も文字ばっかり^^;
楽しい記事が書きたいのに…(;_:)





 聞かれたくない電話であるようなふりをして、叶恵とゆうちゃんの側を離れた夏海は、あの日のようにどこに行けばいいのか分からずに、見覚えのあるようで、ところどころすっかり姿を変えてしまった景色の中を歩いていた。

 団地や家は、東京と違って低く、天野川の川近くにはまだ広い畑も残り、東京よりもずっと広い空が見えていた。その間を比較的交通量の多い道路が縫うように走り、大きな道路脇では歩道も整備され、家も新しくなっていた。それでも、少し古い町の中へ入ると道路は車がすれ違えないほど細くなり、古い民家が入り組んで建っている。随分と古くからある何かの工場、営業しているのかどうかわからない寿司屋やお好み焼屋の看板、錆びて傾いたような道路標識。民家の脇に置かれた鉢には、紫陽花の小さな花弁が揺れる心を映すように、青とピンクの間を行き来している。

 ごめんねも、ありがとうも、ちゃんと叶恵に言えなかった。
 ゆうちゃんの目をちゃんと見て話すこともできなかった。
 何より、あの日、さえちゃんに言いたかった言葉を、この身体の内側に押し込めたまま、さえちゃんに伝えることができずに、今日まで来てしまった。

 私はやっぱり駄目な子だ。みっちゃんは、私がいつも笑っていたと言っていたけれど、本当に言いたいことを言えないから笑ってごまかしていただけだ。今日で、この十年にけりをつけるつもりだったのに、何ひとつ前に進めない。

 お前に必要なのは時間じゃない。
 先輩は知っていたんだ。私の本当に駄目なところを。

 十年前、さえちゃんの死を聞かされてから、怖くなってお葬式にも行けなかった。雨の中をうろうろしていたために熱が出ていたのをいいことに、さえちゃんをちゃんと送ってあげることもせずに、何日も学校を休んだ。
 一週間後に学校に行ったら、何事もなかったような日常が待っていた。
 まるで、さえちゃんは始めからいなかったような、そんな日常だった。

 みんな、あまりさえちゃんのことは話さなかった。そもそも、夏海以外に誰もさえちゃんと特に親しくしていたわけではなかったのだから、思い出を語られることもなく、たださえちゃんがいつも座っていた図書室の窓辺の席だけが、いつまでもやって来ない主を待ち焦がれて、静かに光の中で悲しんでいた。
 そしてそのまま、夏海が風邪をこじらせて一週間学校を休んでいただけで、その短い期間の授業のブランクがそのままさえちゃんのいた六年間だったかのように、追いついた授業のノートとその先へ続いていった新しい生活が記憶を上塗りしていった。

 ほんの少しだけ、色合いを変えた夏海の学校生活の意味を、誰も気が付かないままだったろう。
 夏海は合唱部には復帰したが、歌うことができなくなった。もともと伴奏を手伝っていたので、誰が言い出したのか分からないが、自然に夏海はピアノ伴奏の係になっていた。
 両親に、将来のことを考えて大きな英語の塾に行きたいと言って、週末には京都に通った。大学受験は東京の外大を目指すと言って、予備校にも通い始めた。
 三年生になっても、夏海とゆうちゃんは別々のクラスで、顔を合わせることも少なくなり、一緒に河原を歩くこともなくなった。

 忙しくなっていったのは夏海だけではなく、周囲の皆も同じだった。周囲の皆も、ゆうちゃんも、将来のために忙しくなり、さえちゃんの不在はもう、不在という事実さえ消えていくようだった。
 たまに、理由も分からず悲しくなり、泣いている時がある。
 だが、その次の日にはまた当たり前の日常が巡ってきた。さえちゃんがいなくても、夏海の毎日は続いていて、当たり前に学校に行き、当たり前に家に帰り、当たり前にお風呂にも入って、時々は家族と笑いながら外食もした。

 一度だけ、ゆうちゃんとどこかで話したような記憶がある。
 東京の大学を受けることに決めた、とそれだけ言ったような覚えがある。
 その時、ゆうちゃんはどんな顔をしていただろう。何か言っただろうか。夏海には記憶がなかった。
 ただ思い出したくないだけなのかもしれない。

 交野駅はどっちだったろう。
 このまま、京阪に乗って京都に出てしまえば、もしかして最終の新幹線に間に合うだろうか。荷物はみっちゃんに送ってもらったらいい。休みは返上して、明日から普通に働いて、先輩とも以前のような普通の関係に戻って話をしたらいい。
 そしてまた、ゆうちゃんのこともさえちゃんのことも、この天野川のことも、忘れてしまっても、きっと生きていける。

 夕陽の名残の温度を含んだ風が、頬に触れていった。懐かしい景色は徐々に色褪せていく。
 十年前のように馬鹿みたいに泣くことはできなかったけれど、目の奥が痛くて、鼻が詰まって息苦しかった。
 久しぶりに履いた高いヒールで痛む足が、こんなにも悲しい理由だと思った。




 この町を離れた時は五歳だった。
 それでも、この機物神社の七夕祭りの宵宮あるいは本宮のにぎわいを肌が覚えていた。
 薄闇に染まる空を背景に、高く掲げられた笹の葉に揺れる五色の短冊、提灯や星、天の川や笹を象った色紙の飾り、浴衣姿の子どもたち、母親の手を借りて願い事を書く小さな手、露店で売られている林檎飴やチョコレートの甘い匂い。
 風が吹くと一斉に重なり合うざわめきのような音楽を奏でる笹の葉は、高い空から何かを語りかけてくるようだ。

 できるだけ高いところにこの短冊を飾ってあげたい。
 夜になれば神事で笹のお祓いがあり、夜遅くには人々の願いは天の川に流される。それに乗せて天に還してあげよう。

 この町を離れた十年前のあの日、車に乗り込む時に拾ったこの短冊には、大事な人へのメッセージが綴られていた。昨夜、小さな穴をあけて紙縒りを通し、もう一度言葉をかみしめてみた。あの悲しそうな長い髪の七月七日の幽霊は、この短冊と一緒に天野川に戻り、今日、空の天の川に帰ることができればいいのだけれど。
 この十年間、父親がいない中で頑張ってこれたのはこの短冊のお蔭だったかもしれない。

 笹のできるだけ高い位置に短冊を結びつけようと背伸びをした。
 もう少し高い所に。
 そう思った時、誰かの手がすっと短冊に触れた。
「できるだけ上の方がいいですよね」
「すみません」

 短冊を受け取ったその人は、あまりにも古い紙を不思議に思ったのかもしれない。ふと、手を止めたと同時に、呼吸を飲み込んだように見えた。
「あの」
 その人は黙って短冊に書かれた文字を読んでいた。

 背の高い、スーツ姿の青年だった。優しそうな顔立ちと、短く刈り揃えられた髪、しっかりとした身体つきはスポーツマンのように見えた。
 その人の表情が少しずつ変わっていく。悲しさと喜びと、苦しさと愛しさと、そして命や想いの不思議を噛みしめたような、色々なものを全部取り込んだような顔だった。
「あの」
 呼びかけると、青年は顔を上げた。
「すみません。これを、どこで」
 その瞬間、この人はこの短冊の幽霊を知っているのだと分かった。
「十年前の今日、雨の日に、この近くで拾ったんです。丁度この町を離れる時で、車に乗り込もうとしていた時に」

 私はまだ五歳で、ここに書かれた文字を読むこともできず、ただ短冊の美しい碧い色が濡れていくのが悲しくて、文字も泣いているように見えて、拾い上げて今日まで大事に持っていた。七月七日が近づくと、誰かが悲しそうに立っている気配を感じていたけれど、自分が幼くてこの言葉の意味を十分に汲んであげることができなかった。その気配は、始めはちゃんとした姿ではなかったけれど、今年現れたその人は、髪の長いとても綺麗な人で、私は今年こそ、ここに返しに来なければならないのだと思った。
 そう告げると、青年はしばらくの間じっと短冊を見つめ、やがて顔を上げて微笑んだ。
「僕たち三人はこれを待っていたんだ。ありがとう」
 



 足が痛くなって、もう歩けなかった。
 駅に向かおうとしていたのか、そもそも駅がどこなのか、こんなヒールで歩けるのか、混乱した記憶と流れた時間の長さで変わっていた街並みが、夏海を混乱させていた。
 どこに帰ったらいいのか分からない。
 夏海は橋のたもとでしゃがみ込んだ。
 ヘッドライトを灯し始めた車の流れが夏海の視界の隅をかすめていく。

 その時、アスファルトを擦るタイヤの音の中に、誰かが呼ぶ声が聞こえた。
 なつみっ。
 あの時、雨の中で聞いた声は、さえちゃんだったんだ。
 ごめんね、さえちゃん。あの時、もっと早くにさえちゃんを探していたら。
 夏海は両手で耳を塞いだ。
 ごめんね、さえちゃん。

「夏海」
 その時、奇妙なほどしっかりとした声が、頭のすぐ上から聞こえた。夢の声でも幻の声でもなく、確かに鼓膜に届く振動と同時に、耳を覆う夏海の両手を包み込んだのは、大きな暖かい手だった。
「夏海」
 顔を上げた時、周囲の景色に先に焦点が合った。
 歩道の橋の両側に笹の葉が立てられ、色とりどりの短冊が風に揺れている。
 そしてその真ん中に、ゆうちゃんの顔があった。真剣で優しい目だった。

「今日は、ちゃんと話を聞いて欲しいんだ」
 ゆうちゃんはそう言った。夏海は、化粧も剥げているし、気持ちもくちゃくちゃで、きっと今私はぶさいくだ、と思った。思ったけれど、どうすることもできなくて、ただ頷いた。

 ゆうちゃんは、足が痛いことにはすぐ気が付いてくれた。
「良かった。今日は荷物があったから、ツーリングバイクだったんだ」
 そう言って、ゆうちゃんはスーツの上着を脱いで、荷台のクッションにすると、夏海を支えるようにして立ち上がらせ、荷台に横座りにさせてくれた。そして自分は器用にバイクを支えながらサドルに跨る。
 くらりと揺れた時、すかさず、腰につかまって、と言う声が聞こえた。

 その時、ようやくここが逢合橋だと気が付いた。織姫と彦星が一年に一度出会い愛し合う場所という適当な伝説がくっついている橋だ。
 ゆうちゃんは川沿いの道をゆっくり、ツーリングバイクを漕いでいく。今年は蒸し暑くて息苦しいような七月の始めだが、こうしていると、吹き抜ける風が心地よかった。
 夏海はきゅっと、ゆうちゃんにしがみ付いた手に力を入れた。
 二人で、あるいは三人でよく川沿いを歩いたけれど、こんなふうにゆうちゃんの背中を感じたのは初めてだった。

 やがて、ゆうちゃんが軽くブレーキをかけ、ツーリングバイクが停まる。ゆうちゃんの片方の足が、地面を力強く支えていた。
 夏海は慌ててゆうちゃんから手を離そうとした。その時、ゆうちゃんの一方の手が、夏海に触れた。
「そのままで聞いて」
 夏海はゆうちゃんの腰に回した手を握り直した。ゆうちゃんがもう一度、夏海の手に重ねた手に力を入れた。
 向こう岸から風が渡ってくる。まるで誰かの想いを運んでくるようだった。

「中二の時、さえちゃんに、これからは先に夏海を送って欲しいって言われたんだ。俺、あんまり頭が回る方じゃなかったけれど、さすがにその意味は分かってた。さえちゃんも、さえちゃんのお母さんも周囲から色々言われてて可哀相だって、俺、何だか同情みたいな気持ちがあって。悩みとか、困っていることとか、色々聞いているうちに、俺もだんだん情が移ったってのか、それから何となく、手をつないだりキスしたりもするようになった」
 夏海は思わず手を離しそうになった。ゆうちゃんは、このまま聞いてと言うようにもう一度手に力を入れた。

「一度だけ、夏海にちゃんと説明した方がいいとか思ったんだ。けど、夏海は俺のこと友だちだって言ったろ? 夏海にそう言われてから、逆に自分の気持ちが分からなくなった。さえちゃんは頭がいいし、すぐに何か感じたみたいで、ゆうちゃんは優しいから私のこと可哀相だって思って付き合ってくれているんだよね、って。それから何となく、本当に自然に、前みたいに友だちに戻って行って、もう恋人同士みたいなことはしなくなった。それで良かったような、悲しいような、変な気持ちだった。夏海、俺、その時の自分の気持ちにはあんまり自信がない。さえちゃんのことが本当に好きだったような気もするし、本当はただの同情だったような気もするし」
 俺、何言ってんのかな、とゆうちゃんは呟いた。

「さえちゃんが交通事故に遭う少し前、彼女と話したんだ。ゆうちゃんはずっとなっちゃんのことが好きだったんでしょ、気持ちってちゃんと言葉にしなきゃだめだよって、そう言われた。俺は何だかまたよく分からなくなって、夏海のこともさえちゃんのことも大事だという気持ちもあったし。でもひとつは友情で、ひとつは違う意味だってことも分かってた」

「ゆうちゃんは分かってないよ。さえちゃんはずっとゆうちゃんのこと好きで、もう一度やり直したいって、それが言えなくてつらかったんだよ」
 思わずさえちゃんの描いた絵を思い出した。詳細は記憶の彼方に消えているのに、さえちゃんの想いだけは鮮明に蘇る。
 私がちゃんと手紙を渡していたら、二人は恋人同士に戻って、幸せにやっていけたかもしれないのに。分かってないのは私だ。ひどいことをしたのは私だけだ。

「夏海、俺、さえちゃんの気持ちはちゃんと知ってた。知ってたけど、どうすることもできないことも分かってた。だから俺、代わりにちゃんとした大人になって、人のためになる仕事をして、それで夏海ともさえちゃんともきちんと話したいって思ったんだ。今になって思えば、そんな優柔不断なこと考えている時間はなかったんだよな」
 少しだけゆうちゃんの声が厳しくなる。それからしばらくの間、ゆうちゃんは暗くなり行く空を見上げていた。星の伝説が多く残るこの町だが、都会の明かりは空の天の川を消してしまう。
 それでも、この町を流れる地上の川は、人の思いを乗せて、やがては海へ流れ着く。

「なんかうまく言えないけど、俺、いつだって夏海に何か話したかったんだ。二人きりになったら、全然どうでもいいことばっかり話してたけど、それで良かったんだ。さえちゃんが亡くなった後も、しばらくの間は、夏海に何か言える状況じゃなかったけど、せめて、ずっと俺が傍にいるからって、そう伝えようと思った時、夏海から東京の大学を受けるって聞いて」
 ゆうちゃんの背中がふと大きく息をついた。

「あの時、止めればよかったなぁと思ったけど、俺もちょっと意地になったりもしてさ、素直に気持ちを伝えられなかった。それから、ヒロタカからいろんな女の子を紹介してもらったけど、どうしてもうまくいかなくて、というよりも上手くいくようにしようという気持ちがなかったんだ」
 夏海はいつのまにか自然に、そっと頭をゆうちゃんの背中に預けていた。

「なぁ、夏海、俺、消防士になって、それから救急隊勤務になった時、交通事故の現場に行くことがあったんだ。その時、家族を一度に亡くして一人だけ生き残った男性がいて、その時自分が何言って何したのか覚えていないんだけど、一年たってその人が区切りだからって事故現場に花を供えに来られたんだ。その後で、消防署にも寄ってくださって、お礼が言いたいって言われた。その人は淡々と話していたけれど、帰って行く背中は何ひとつまだ乗り越えてなんかいないって語っているようだった」
 広くて大きなゆうちゃんの背中は、今、言葉を吐き出しながら少しだけ震えているように感じた。

「その時思ったんだ。悲しみに区切りなんてないんだ。この人は一生この悲しさや苦しさを抱えていくんだって。それは忘れることも捨てることもできないもので、他人から見たら、早く忘れて立ち直って欲しいって言ってあげたいけれど、それは間違いだって。大事な人を失ったんだ。悲しいままで、そのままでいいんだ。他の人間は、苦しみや悲しみを抱えて生きていくその人を、そのまま見守っていたらいいんだ。そう思った」
 夏海はゆうちゃんの身体に回した手で、今ようやく、ゆうちゃんを抱き締めた。

 するとゆうちゃんが、そのままつかまってて、と言って、再びツーリングバイクを漕いで、街灯のある場所にまで移動した。そして、また器用に夏海を座らせたまま、自分はバイクを降り、胸ポケットから折りたたんだ紙を出し、広げて夏海の手に持たせた。そのまま、バイクと夏海を支えてくれている。
 街灯の柔らかい明かりの下で、褪せた碧い短冊に書かれた文字は、懐かしく優しい形をしていた。
 夏海は文字の上に指を添え、まるで指で読むようになぞった。

 涙が溢れてきて、止めることはできなかった。
 十年も前に書かれた文字は、夏海の涙で濃く浮かび上がり、ひとつひとつの言葉の意味を静かに優しく、しかし力強く語りかけていた。
「夏海に、さえちゃんを忘れることはできないし、俺もきっとそうだと思う。だけど、それを抱えたままだっていいじゃないかって思う。一人では苦しくて悲しくても、一緒なら、きっとたくさんのものを抱えたままでもやっていけると思う」

 ゆうちゃんは大きく息を吐いた。そしてこれまで以上にはっきりとした声で言った。
「だから、戻ってこいよ。天野が原に」



 その声に重なるように、突然キッというブレーキの音が聞こえた。
 少し行き過ぎて停まったのは、薄暗がりの中でもはっきりと分かる真っ赤なGT-Rだった。チカチカと点滅するハザードランプに、夏海もゆうちゃんも顔を上げる。
 後ろから来た車が、急ブレーキに苛立つようにクラクションを鳴らして行き過ぎた。

 窓が開く。
「おい、ユウキ! 忘れものだ!」
 ゆうちゃんの手元に、何かが飛んでくる。ゆうちゃんは片手で器用に受け止めた。
「ちょっと萎れ気味だけど、どうせすぐに新しいの、作ってあげるでしょ!」

 窓から顔を見せたのは、今日の主役たちだった。花婿の顔の向こうから、覗き込むように花嫁が笑っている。
 彼らは、自分たちが企画したイベントは最後まで面倒を見ると決めているに違いない。
 ゆうちゃんの手の中に、真っ白のブーケがあった。花は部分的に散ったり萎れたりしているようだが、今日の諸々の出来事、あるいは十年以上前からの出来事をみんな吸い込んで、街灯の下ではより白く浮かび上がるようだった。

「ほら見ろ、機物神社か逢合橋だって言ったろう」
 根拠のない推理は、たまたま当たったらしい。いや、この二人なら、運など容易に引き付けてしまいそうだ。
「ヒロタカが絶対二人を探すってうるさくて。私たち、このまま関空なの。じゃあね、夏海、ゆうちゃん。来年の結婚式には呼んでね」
「いや、今年中かも知れないぞ」
 勝手なことをしゃべるだけしゃべって、今日の主役は手を振りながら走り去った。

「ほんとに、あいつら、バカップルすぎる。十年前に夏海を紹介しなくて良かったよ」
「え?」
「十年前の宵宮の日に、夏海に紹介したい奴がいるって言ったろう? ヒロタカだよ。ヒロタカには一度、夏海を紹介しておきたかったんだ。結果的に今になったけど、あの頃に紹介してたら、きっと引っ掻き回されてた」
 そう言いながらも、ゆうちゃんは嬉しそうに見えた。

 ゆうちゃんはしばらくじっと手に飛び込んできた白いブーケを見つめていたが、やがて、夏海にツーリングバイクから降りるように促した。夏海がゆうちゃんの前に立つと、彼は夏海の目をちょっとの間見つめ、やがて少し目を逸らして、いささかぶっきらぼうに夏海の手を取り、ブーケを握らせた。

 今宵、天の川にかささぎの橋が渡され、長い時に隔てられていた幼い恋と深い友情は、その橋を越えてようやくひとつになろうとしていた。




 なっちゃんと仲直りができますように。
 なっちゃん、ごめんね。たった一人の大事な友だちを試すようなことをしてしまったことを後悔しています。ゆうちゃんのことを苦しいくらいに好きだったけれど、あの手紙をなっちゃんに渡してから、私にとって、なっちゃんがもっと大事な人だと気が付きました。なっちゃんにはずっと笑っていて欲しい。
 だから、他には何も願いません。なっちゃんと、一瞬でも早く仲直りができますように。

 短冊の隅には、ピースをして思い切り笑う少女と、傍で静かに微笑む長い黒髪の少女の絵が添えられていた。


【天の川で恋をして】了





無事に、終了いたしました……良かった。7月中に終わって……
お付き合いくださいました皆様、ありがとうございました(^^)
さて、最後に残った謎。それはこれが何のホラーを下敷きにしてたのかということですね。
それは次回の後書きで(*^_^*)
併せて、この天野が原を発祥地とする、日本における七夕伝説をご紹介。
併せて、頭の中でヘビーローテーションしていたテーマソング(例のごとく、映画化するなら妄想^^;)もご紹介。




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Category: 天の川で恋をして(恋愛)

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コメント


不覚……

泣いちゃった。

そっか。迷っていたのはゆうちゃんも一緒だったんですね。そして、さえちゃんが夏海を怨んで嫉妬していたんじゃなくて、大事な友達としてのメッセージを、この大事な日に送って来てくれたことにほっとしました。

ずっと逢えなかった人が久しぶりに逢う、特別な場所で極上のロマンスが成就して、本当によかった。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2013/07/27 04:48 [edit]


良かったね~^^

最初の少女の話は、ここでつながるのですね。
そうだったのか~。ちょい役だけど、重要なポジションだったのですね。
そしてゆうちゃん、かっこいいじゃないですか!
これは絵になるラストシーンですよね。
男は優しくて不器用ゆえに優柔不断になるのでしょう。
でも結果的に、かっこよかった。
結局、さえちゃん、すごくいい子だったんですね。
綺麗で優しいのに、生きている間は辛いことばっかりで。
この短冊が出てこなかったら、本当に浮かばれなかったかも。
カササギが、橋をかけてくれたんですね。
悲しい記憶は抱えたままでも、あの頃の素直な気持ちと再開して、顔を上げて前進できる。
ホッとするラストでした。
やっぱりハッピーエンドの方がいいのかもしれませんね。恋愛ものって。
あとがきも、楽しみにしています。どのホラーなんだろう。(聞いてもわからないかな?)

lime #GCA3nAmE | URL | 2013/07/27 08:56 [edit]


夕さん、ありがとうございます!!

> 泣いちゃった。
え!?……(/_;) ちょっと、それをお伺いして、感無量です(;_:)
夕さんにそう言っていただけると、書いてよかったぁ、と思いました!
何やら勢いで始めてしまったので、この話面白いんかしら、と書きながら思っておりまして…
(面白くなかったら困るので、途中で『長老命名事件』なるお笑いを入れたりして)

あぁ、よかった。
ちょっと心配しながらアップしていたので、嬉しいです。
感動もの、苦手なので、ちょっとどうしようかとも思いつつ、しかし恋愛小説はハッピーエンドでなきゃ!という信念を貫いてみました。
でも、さえちゃん、いい人過ぎると思いませんか??
そうなんです、下敷きになったホラーでは……さえちゃんが化けて出るのです…(あぁ、怖い(;_:))
いえ、こんな過去の手紙事件などはなかったんですけれどね。
でも、この話もいささか幽霊が出てきてましたね……^^;
ただ、恋だけじゃなくて、友情も取り戻せる、そんな七夕だったらいいなぁと、思い切り理想の世界を書いてみました。世間では悲しい殺人事件とか起こっている中で、こんな一生懸命の若者もちゃんといるよね、と思いつつ。
最後までお付き合いいただいて、本当にありがとうございました。
後書きもお楽しみに。
実は、今から所用で件の土地に行ってまいります。また、あとがきでご報告を(^^)

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2013/07/27 11:23 [edit]


limeさん、引き続きありがとうございます(^^)

さっそくにありがとうございます!
はい、最初の少女の話はここに繋がりました。
10年前の短冊が無傷で残っているためには、誰かの手が必要だったので、霊感少女に手伝っていただきました。名前も何も出てこないこの子。どこかでまた使ってやりたい気はするのですが、余裕があれば……
多分この子にとっても、10年ぶりの故郷へ、かささぎの橋を渡ってきたのかもしれませんね。
これがトレンディドラマなら、この子がゆうちゃんに恋をして、どろどろに~~
とか、あれこれ、頭の中で余計なことを考えていた大海でした^^;

ゆうちゃん、そう、バカ正直で真面目な男だけど、微妙に頭の回転は遅め?
消防士(もう、ある程度年数がたってるから、士は卒業したかな?)なので、いつも走っているか、遠くてもどこまでも自転車=バイクで出かける、いささか面白みには欠ける男ですが。
中2の時のさえちゃんとのことなんか、きっとドキドキ話だろうな、とか思ったりして。
優柔不断な男子が、女の子から迫られて、ちょっとほだされて……ですからね。
(これが真なら、そのまま危険なことへ……^^;)
そう、恋愛小説は、絶対にハッピーエンドですよね。
大体、他で意地悪なことを書いているので、恋愛くらいはね!
それに、悲恋は、後味が悪くて……^^;

> 結局、さえちゃん、すごくいい子だったんですね。
そうなんです。でも、下敷きになったホラーでは、さえちゃん、化けて出ます(;_:)
あぁ、それはまた、今日の夜か明日にでも。

> 悲しい記憶は抱えたままでも、あの頃の素直な気持ちと再開して、顔を上げて前進できる。
はい、これ、本当にこの年になって、やっとしみじみと分かるようになりました。
竹流が、真の死後20年近く影を追い求めて苦しんで、最後に自分の中の空洞はこの世にある何ものによっても埋められないことを悟って、安心して亡くなるのですけれど、自分でこの台詞をどこかに書きとめたのは20年ほどまえ。実は意味が分かっていなかった。でも今、そうだよね、そのままでいいんだ、と思えるようになっています。
そのことを、ちょっとゆうちゃんに代わりに語ってもらいました(*^_^*)
2人で、前向きに歩いていってほしいです。
もしかしてさえちゃんが化けて出ていても、気が付かないままで……^^;
あ、あの元気なバカップルが一緒なので(多分、どこまでもついて回るヒロタカとカナエ)、大丈夫ですね!
(イメージは、田舎の金持ちのボンボン。でも、ユウキより策士で頭がいい設定のヒロタカ…実は夏海を結婚式に呼びつけた張本人で、多分、名前を誤解して来るようなら脈ありと思っていた、確信犯と思われます(^^))
では、今から、くだんの交野に行ってきます(所用で)。

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2013/07/27 11:44 [edit]


と~っても遅くなりましたが、「天の川で恋をして」を読ませていただきました。
物語の前半は、ライトなタッチの恋愛再生ストーリーかなと思いながら軽い気持ちで読んでいました。しかし、過去編になってからは、読み進めるにつれて胸は痛むわ、目頭は熱くなるわで、もう大変でした(笑)
夏海という名前に相応しくない、なんだかうじうじした性格に、「ええいもう」ってなったり、さえちゃんがいい子すぎて、亡くなったときには(なんとなく予感はあったのですけど)へこんだり。中学生や高校生くらいのときって、友情やら恋愛やら同情やらが入り混じって、その人への自分の感情の正体もわからないままで、突っ走っていたような気がします。
心理描写も情景描写も話の運びもすごく上手くて、作品にどんどん引き込まれました。なかでも、雨の宵宮の夜、河原で濡れた手紙を破いて川に流すシーンは圧巻でした。
ラストは、落ち着くところに落ち着いたハッピーエンドで、ほんとに良かったなって思います。それにしても冒頭の霊感少女、いい仕事しましたね。あの短冊、キーアイテムだったんですね。
すごく素敵なお話を読ませていただいて、ありがとうございました。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2013/08/15 17:56 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

なんと、【天の川で恋をして】、読んでくださったのですね。
いえもう、恋愛小説を書くのが初めてだったので、ちょっとエンジンがかかりにくくて、最初のほうは遊んでしまいました。新郎友人一同が女装して披露宴でヘビーローテーション、ってのは実際に後輩の結婚式であったのですが、さすがに旧家の結婚式なので、披露宴でそれはないし、絶対この新郎は自分もやる気満々だし、二次会にしました。
始めはもっと短い話の予定だったので、後半部分だけのイメージだったのですが、重すぎて、書くのが疲れそうだったので…^^;

でも楽しんでいただけて良かったです。軽く読み始めていただいて、最後にちょっとうるうるしてほっとしていただけたら、と思っていましたので、とても嬉しいです。
頭の中でさえちゃんの幽霊が出ませんように…と祈りながら書いておりまして^^;
これもともとは、「さえちゃん」の幽霊話が下敷きなので、本当は「私の男に手を出すな~」的に蘇り、最後は確か男をさらっていったんじゃなかったかと思います(記憶違いかも。怖すぎて、最後のほうは覚えていない…^^;)。
本当に、夏海のうじうじは書いていて私もちょっとイライラ^^;
けど、解決しないまま抱えていてしんどかったんだろうな、と。
で、いささか天然のゆうちゃんの存在が必要なのですね、きっと。
2人だけだといささか心配なカップルになりそうですが、勢いのあるバカップルが傍にいるので、きっとこれからも大丈夫でしょう(^^)

> 中学生や高校生くらいのときって、友情やら恋愛やら同情やらが入り混じって、その人への自分の感情の正体もわからないままで、突っ走っていたような気がします。
ありがとうございます! まさに、そういう感じを出したかったので、それを感じていただけたら、もう100%自分の中では成功?です。あの頃のそんな感じを思い出して書いていたので(何せ、今は歳を取りすぎて…^^;)、あの青さがでるかなぁと心配していたのです。
> 心理描写も情景描写も話の運びもすごく上手くて、作品にどんどん引き込まれました。なかでも、雨の宵宮の夜、河原で濡れた手紙を破いて川に流すシーンは圧巻でした。
本当にありがとうございます。もったいないお言葉です。いえ、もう、TOM-Fさんの幻想的なシーンには追いつけませんけれど、ちょっと雨のシーンは気合が入っていました。手紙を破くかどうかは最後まで迷ったのですが、きっと、気持ちが昂ったら破るだろうな、と。
そして、霊感少女。杯、トレンディドラマだったら、彼女がまたゆうちゃんに恋をして、ややこしくなるところですが、ここではメッセンジャーのお仕事をしていただきました(^^)
短冊がキーアイテムだったとおっしゃって下さって、嬉しいです。そうなんです。実は七夕のお題小説みたいなもので、小道具を使うってのを自分で勝手に決めておりましたので…
う~ん、さすがTOM-Fさん。

> すごく素敵なお話を読ませていただいて、ありがとうございました。
こちらこそ、読んでくださって、本当にありがとうございます(*^_^*)

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2013/08/16 07:01 [edit]


最終回

ゆーっくりでしたが、最終回にたどりつきました。
ゆうちゃんもなっちゃんもさえちゃんも、いい子ですね。
いい子たちの気持ちがすこしずつすれちがい、わかっているようでわかっていなかったりもして、そうしてドラマが生まれるんだなぁ。青春っていいなぁ。しみじみ。

今さらですが、大海さんは本当に文章がお上手ですよね。
私が言うには僭越ですけど、やっぱり書きたくなってしまいました。読みやすくわかりやすくて綺麗な文章、素敵です。

私がリンクさせてもらっている小説ブログの作家さんたちは、さすがにみなさま、文章がお上手ですが、よそにはもひとつな方もいらっしゃるようで(^^

プロの作家でも、文章下手とか、リズムが合わなくて波長が合わなくて、この人の作品は読まない、と決めたりする、生意気な私ですので、文章が駄目だと読めないのです。
大海さんの文章はもちろん、とても気持ちよく読ませてもらえます。

もちろんストーリィやキャラも大切ですが、小説の基本は文章ですよね。大海さんの小説をひとつ、全部読ませてもらって改めてそう感じました。
私は自分で読み返していて、「リズムが悪い」と思うこともよくあるので、もっと精進しなくちゃ。

ホラーの件はあとがきでですね。
私はまったくわかりませんでしたから、知らない映画なのでしょうか、なにかな、なにかな。

あかね #- | URL | 2013/09/11 00:42 [edit]


あかねさん、ありがとうございます(^^)

何だか書いた自分がこそばゆいような物語を読んでいただき、ありがとうございます。
改めてちらちら読み返すと、結構恥ずかしいものがあります。
そもそもお伽噺風の「いつまでも幸せに暮らしました」←それはない!っていう天邪鬼な私ですので、恋愛モノって一生書かないと思っておりましたが、なぜか地名に触発されて書いてしまいました。
みんないい人ってのはないよな~と思ったり、でも、若い時の恋って、ちょっとこういう純粋な面もあるんじゃないかと思ったり。半信半疑で書いていたので、皆様の感想は結構気になったりもしました。
えぇ、もちろん、こんな純粋な恋物語なんて、私の範疇にはないって気はするのですけれど
だから、書き終わってから、あとがきにも書きましたが、あれこれ天邪鬼なことを考えたりもしていました(^^)

> 今さらですが、大海さんは本当に文章がお上手ですよね。
> 私が言うには僭越ですけど、やっぱり書きたくなってしまいました。読みやすくわかりやすくて綺麗な文章、素敵です。
いえいえいえ、とんでもありません!!
自分で後から読み返しても、本当に語彙は少ないし、比喩も苦手だし、語順は時々自分でもあれ?って時があるし、いくら推敲しても終わりのない、って感じです。
でも、そう言っていただけるのは、とても有難いです。
書いていた時代によって、あれこれと影響も受けているのですが、このごろは出来るだけシンプルな文章を書くように心がけてはいるのですが……
本当に言葉って難しいですね。

> プロの作家でも、文章下手とか、リズムが合わなくて波長が合わなくて、この人の作品は読まない、と決めたりする、生意気な私ですので、文章が駄目だと読めないのです。
これはよく分かります!
私も、よくこういうことがあります。悪いとかいいとかではなくて、単に合うか合わないかの問題と思うのですが……音楽と同じですよね。妙に波長の合う曲想と、そうでないものがある、という感じ。
だからあかねさんのおっしゃることはよく分かります。
引っかからずにすらすら読める文章は、大体あまり奇をてらっていないような気がします。もちろん、引っかかりながら解読していくスタイルもあるとは思うのですが……
「読者が読み取ってくれる、などど期待しない方がいい、読者には書いたことしか伝わらないと」とはよく言われることですが、 きちんと書くって、本当に大事なことですね。
あかねさんの書かれる文章も、奇をてらっていなくて、すとんと入ってくるので、とても読みやすいです。
リズムが悪いという印象はあまりないのですけれど……

> ホラーの件はあとがきでですね。
> 私はまったくわかりませんでしたから、知らない映画なのでしょうか、なにかな、なにかな。
はい。っても、あまり期待していただくようなものでもないのですけれど……^^;
ただ、元の話に従うなら、さえちゃんは夏海を呪って、最後はゆうちゃんをあの世に連れて行ってしまう、ってな話になるのでしょうか……^^;
怖いですね。ホラーはやっぱり書けそうにありません^^;
でも、最後まで読んでくださって本当にありがとうございましたm(__)m

彩洋→あかねさん #nLQskDKw | URL | 2013/09/12 01:10 [edit]


素敵でした☆

彩洋さん、こんばんは~♪

今回も素敵な小説を読ませていただきありがとうございましたm(__)m
一気読みするのはあまりにもったいないので、昨夜から今夜に渡ってじっくりお話の世界に浸らせていただきました。読後の今は、何とも言えない至福の余韻を楽しんでおります。ええ、まさに小説における吟醸酒をいただいたような法悦を味わせていただいておりますよ(*´∀`*)

「天の川で恋をして」というこのタイトルからして素敵ですね。幼馴染の女の子二人と男の子一人が成長するにつれて微妙な三角関係となっていく、というのはお話としてありがちな設定なんですが、彩洋さんの手にかかるとこんなにも瑞々しく情感溢れる作品になっていくのですから、これはもうお見事というしかありません。

心理描写、情景描写ともに素晴らしく、読み手を物語世界に糸を手繰るように導いていかれる筆力もまた非凡なものを感じました。人物描写に至っては、もう凄いな、と唸るしかありませんよ(^_^;)
主人公の夏海をはじめ、さえちゃんやゆうちゃん、そして周囲を固める友人たちにキーパーソンになった少女、どの人物も実に生き生きと描かれていて、読んでいると彼らの息吹さえ感じてくるようでした。

ラストに向かって章が進むごとに、夏海たち三人のそれぞれの想いがリアルに伝わってきて、最終章では胸がジンと熱くなって涙しそうになってしまいました。
まさに珠玉の小説だったと、今も静かな感動を引きずっております。

本当に素晴らしい小説でした。こんなにも美しいお話を読ませて下さり、本当にありがとうございましたm(__)m

あっと、最後に余談なんですが、実は私、子どもの頃は四條畷に住んでいたんですよ(^_^;)
畷高校の近所です←ローカルすぎるやろって(笑)
そんなわけで、こんなところにも共通点がある!……って、一人で喜んじゃいました(笑)

三宅千鶴 #- | URL | 2013/11/06 23:41 [edit]


千鶴さん、ありがとうございました(^^)

千鶴さん、お返事が遅くなり申し訳ございません!
時々予定外にリアル仕事がパニックるので(私の対処能力の低さのせいですが)、何かを書くパワーがそがれてしまうのです……
でもこそっと『雨のリグレット』の続きを読ませていただいております(^^)
またコメントを書きに行きますね!

さてさて、すみません、こんな駄作に、超モッタイナイほどありがたいコメントを下さいまして、本当にありがとうございます!!
コメントを拝読していると、照れ照れになってしまいました。
そんなにおだてられちゃうと、木に登ってしまいそうです。
千鶴さん、褒め上手ですね。きっと褒めて育てるタイプですね……(誰を??)

いえいえ、これは、あるホラー映画が怖すぎて頭の中に残ってしまったので、設定の一部を借りて、化けて出てた女の子(この話ではさえちゃんにあたる)を「いい子」に変えて、化けて出ないように封じた、つまり結界を張った物語?という位置づけです。魔物封じのランプみたいなもの?
でも、もしかして生きていたら、夏海とゆうちゃんの恋を邪魔していたかも~

いつも思うんですよね。『タッチ』で和也が死ななかったら、たっちゃんと南はくっついていないよなぁとか。
(実は天邪鬼な私は、和也贔屓でした)
そんな感じで、これも、自分で書いておいて、実はこの後やっぱりさえちゃんは化けて出たりして、とか、ゆうちゃんは優柔不断という設定なので、女の子に言い寄られてはふらふらしたりして、とか、あれこれ天邪鬼なことを考えていました。
「いつまでも幸せに暮らしました」ってのがちょっと苦手なんです。

実はこのお話、「天の川で恋をして」というタイトルが先にあったのです。
ブログ内で、ある時モノの弾みで、時々通りかかる交差点の名前が「天の川」というので、「天の川で恋をして」なんてタイトルでお話を書いてみたりして(実はその気はなかった)……なんて書いていたら、それを読んでみたいと言って下さった方がいて、でも何も発想が浮かんでこなかったのです。
それがある時、不意にこのホラー映画のことが降って湧いて…お話がまとまりました。
先にタイトルがあるのも微妙ですね。お題小説、キライじゃないのですけれど。

人物は……私にしてはものすごくあっさりで、書きこんでいないのですが、逆にこのくらいの方が想像の余地があっていいのかもしれませんね……
ちょっとヒロタカとユウキで遊びすぎちゃった^^;
短冊を拾った女の子を主人公にして、また一つくらい書いてみようかしたと思ったりもしていたのですが、あれこれ放っているのを先に書かなくちゃ。
最後……楽しんでいただけて良かったです。ちゃんと落ちるところへ落ちているのか、書いている本人はあまり手ごたえがなかったものですから、ちょっと不安だったのです……
> ラストに向かって章が進むごとに、夏海たち三人のそれぞれの想いがリアルに伝わってきて、最終章では胸がジンと熱くなって涙しそうになってしまいました。
そんな風に言っていただいて、本当に嬉しいです(^^)

そして、あら、そうなんですね!
いや、この辺り、実は不思議な縁で時々訪れているのですが、このあたりにゆかりのある方々がこのお話を読んでくださるのって、ちょっと照れくさくて、そして嬉しいです(^^)
コメント、とても嬉しかったです。ありがとうございます(*^_^*)

彩洋→千鶴さん #nLQskDKw | URL | 2013/11/08 19:27 [edit]


時間が掛かりましたが、最後まで読ませてもらいました。

冒頭に出てきた少女と三人の過去がリンクしている辺り、とてもよく考えられていて面白かったです。

三角関係……難しいですよね。絶対に誰かが傷つくものですから。まあ、私の場合、そういう素敵な関係は一度も経験しなかったものですから、やはり憧れが……多分、最後にフラれるポジションに……泣。
それはさておき。

これから先、裕貴と夏海がくっついても、さえちゃんはきっと怒らない。むしろ、それを望んでいるんでしょうね。

最後に出てきた短冊に書いた願い事、とても良かったです。ここでお話がぐっと切なさや温かさが強くなって、更に心地よい読後感に繋がった気がします。
ありがとうございました。

P.S.私もタッチ世代です。笑。
原田君が好きでしたねえ。
何気にぽっと言ったセリフが結構ぐっと来るんですよ。












ヒロハル #- | URL | 2014/01/16 22:39 [edit]


ヒロハルさん、ありがとうございます(^^)

ありがとうございます! ちょっと恥ずかしい、私にしては妙にストレートな恋愛小説で、何を思って書き始めちゃったのか、いまだによく分からないのですが……そう、何だか自分以外が書いたみたいな変な感じなのです。でも、楽しんでいただけたなら、とても嬉しいです。

このくらいの長さなら、頭の中で構成を崩さないままに書き続けられるので、少ない伏線を無事に絡められたのですけれど……これ以上になると、すごくこんがらがった毛玉になります^^;
でも、もともとその毛玉を解く楽しさに嵌ってしまう人間でして……ついつい伏線張りまくる癖が……^^;

この冒頭の霊感少女を主人公にしてまた別の話を書く目論見もあるのですけれど、多分……他に書かなければいけないことがいっぱいあって、それどころじゃないですね。
三角関係、って、多かれ少なかれ存在しますよね。どんな恋愛にも。でも、視野を広く持てば、また別の関係に見えるのかも(もっと多重関係だったりして^^;)。
中学生とか高校生の頃の想いって一直線ですものね。それが不幸につながるか、それとも未来への扉になるか、道半ばの時はなかなか気が付かない、そんな気がします。でも、多分、これからもユウキと夏海は周りに助けられながら生きていくんだろうな。それが大阪っぽい。
……でも、もとにしたホラー映画はさえちゃんが化けて出る話だったので、ホンモノのさえちゃんに呪われないか、心配^^;
あぁでも、短冊の願い事、ヒロハルさんに褒めていただいて嬉しいです。
こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます(*^_^*)

タッチ……世間ほどのめり込んだわけじゃないのですけれど(どうもあの会話の丁寧語にイラッとすることもしばしばあって…… ^^;)、でもやっぱり名作ですね。
コメントありがとうございました(*^_^*)

彩洋→ヒロハルさん #nLQskDKw | URL | 2014/01/17 21:28 [edit]


良いお話でした(;w;)

切ないけれど癒される
とても不思議なお話でした(;w;)
きっと二人は結婚して
一生さえちゃんの供養をし続けるんでしょうね・・・
でも、それは辛い事や大変な事では無く
2人で半分こに共有できるいたみで癒し・・・
さえちゃんもそれを望んでると思います。
郷里の幼馴染たち・・・
みんな良い仲間ですねv-238
ほんのり癒される素敵な物語を
どうもありがとうございましたm(^v^*)m

かじぺた #- | URL | 2014/02/06 23:28 [edit]


かじぺたさん、ありがとうございます(^^)

わぁ、かじぺたさん、『天の川で恋をして』、読んでくださったのですね!!!
とてもとても嬉しいです m(__)m
悲しい部分もちょっとあるけれど、過去の悲しさとか後悔とか、そういうものを乗り越えて未来に繋がっていくお話を書きたかったので、それをくみ取っていただいて、本当に嬉しいです。
そうそう、きっと二人で分ければ、悲しさも後悔も半分になりますよね。
もともと下敷きにしたのが「さえちゃん」が化けて出る話だったので、ちょっと怖かったのですけれど^^;
そうそう、そして、故郷の賑やかな友人たち。ちょっとありがた迷惑な?従兄夫婦。
こういうハッピーな話は、書いていても気が楽でしたが……逆にオーソドックスすぎて面白いのかしらと不安になったりして。
あぁでも、かじぺたさんにそう言っていただいて、本当にホッとしました。
とてもとても嬉しかったです。ありがとうございました(*^_^*)

彩洋→かじぺたさん #nLQskDKw | URL | 2014/02/09 09:00 [edit]


おおおー!!素敵ですー。
思わず泣いてしまいましたー!!

さえちゃんとってもいい子ですねー。ちょっと嫌いとかって思ってて悪い事をしました・・・。

でもやっぱりさえちゃんはその家の人だったんですね。少女の夢枕はまあ、少女の方にも霊感があったからにしても、そこにユウちゃんがやってきたのは絶対に呼ばれたからですね!!すごい、さえちゃん!!!

でも突然親しい人が亡くなるのってどうしても心が付いていきませんよね。私も後輩がある日突然事故でなくなった時、なんで当たり前のように次の日が来て、みんな当たり前のように生活していくのか、なんだかそれが酷く残酷な事のように思ったのを思い出しました。
今でも命日には必ずその子の事を思い出します。
まあ私の場合はそんなものすごく親しかったわけでもなかったんですけどね。

さえちゃんの最後の想いがちゃんと伝わり、夏海ちゃんとユウちゃんが二人でさえちゃんの想い出と共に進んでいく、素敵なラブストーリーでした♪

というか、最初はギャグで、途中ホラーで、最後がラブストーリー。一度で三度おいしい物語をありがとうございました!満足ですー(笑)

ぐりーんすぷらうと #- | URL | 2014/02/19 16:59 [edit]


ぐりさん、ありがとうございます(^^)

ぐりさん、ありがとうございます!
そして楽しんでいただけたようで、ほっとしました。

さえちゃんはもともにしたホラー映画では化けて出る役だったので、このお話ではいい子にしてしましました(*^_^*)
だって、あのままだと怖かったんですもの(T_T)
そう、七夕の日にみんなを結び付けていったのは、さえちゃんの心だったのかもしれませんよね。
でも、実は……やっぱりまたどこかで化けて出たりして^^;とか思ったりもして……

> でも突然親しい人が亡くなるのってどうしても心が付いていきませんよね。私も後輩がある日突然事故でなくなった時、なんで当たり前のように次の日が来て、みんな当たり前のように生活していくのか、なんだかそれが酷く残酷な事のように思ったのを思い出しました。
> 今でも命日には必ずその子の事を思い出します。
そうなんですね……・ぐりさんにもそんなことが……
だから夏海の心をくみ取って下さったんですね。ありがとうございます。
どんなに悲しいことがあっても、誰かがいなくなっても、時間は前にしか流れていきませんものね。無情だけれど、それが当たり前で……残ったものはやっぱり前を向いていかなくちゃならないんですよね……
色々あるけれど、夏海が前を向いて歩きだせるような物語を書きたかったのです。
うん、きっと、ゆうちゃんと夏海と二人で、さえちゃんや周りの人たちの気持ちを大事にしながら生きて行ってくれるんじゃないかなと思います。

> というか、最初はギャグで、途中ホラーで、最後がラブストーリー。一度で三度おいしい物語をありがとうございました!満足ですー(笑)
こちらこそ、読んでくださってありがとうございます!
そうそう、この何でもありみたいなごった煮系物語^^; どの局面も楽しんでいただいて嬉しいです。
そして何より、三連続ジャンプならぬ三連続コメントもありがとうございます!!!
私もまたぐりさんの素敵なラブストーリー味わいにお邪魔させていただきます!

彩洋→ぐりーんすぷらうとさん #nLQskDKw | URL | 2014/02/21 03:26 [edit]

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