08 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 10

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【海に落ちる雨】登場人物紹介 

以前から予告しておりました、相川真シリーズの人物紹介のコーナーです。
レギュラー陣、そして【海に落ちる雨】の主要登場人物を挙げております。
ダイジェスト版と、ロングバージョンがあります。

お話を読んでいないわ、という方も、どんな人間たちが出ているのか、ちょっと覗いてみませんか(*^_^*)




このシリーズは、まだ少し迷いはあるものの、当初の予定通り古い時代の設定で書いています。
真の父親の立場とか物語の雰囲気とか、携帯電話があったらこわれてしまうので、そのままです。
違和感なく『津軽海峡冬景色』『わかって下さい』『アン・ドゥ・トロワ』なんかが流れている時代だったのですね。古き良き昭和の後半(?)かもしれません。
それもこれも、そもそも、息子の慎一の時代を現在に設定していたのです。でも、書き始めてずいぶん経ってしまって、今はもう息子の時代でさえ一昔前^^;

それでは、レギュラー陣からご紹介いたします。
主人公二人の長い解説は別のページにありますが、どちらかというと始章を読んでいただくと、かなりの情報がはいっております(*^_^*)
【海に落ちる雨】始章



【海に落ちる雨】(相川真シリーズ)人物紹介

ダイジェスト版

<レギュラー陣>
(この物語にあまり出てこないレギュラー陣も書いてあります。名前がしばしば登場するので…)

相川 真 27歳、新宿の調査事務所所長。あれこれあって、元家庭教師と同居中。
大和竹流 36歳、美術品の修復師。本名はジョルジョ・ヴォルテラ。真のもと家庭教師。
柏木美和 21歳、女子大生だが、真の事務所の共同経営者(本人は秘書と呼んでほしがる)。
北条 仁 37歳、真の事務所があるビルのオーナー。美和の恋人で、仁道組(ヤクザさん)次期組長?
高遠賢二 20歳、少年院上がりの青年、真の事務所に出入りしている。自称、真の弟子。
宝田三郎 23歳、ヤクザ志望だが気が弱い、真の事務所の掃除担当?
葛城 昇 竹流の仲間であり、ゲイバーの店長。
イワン・東道 竹流の仲間であり、ボクシングジム会長。
寺崎昂司 竹流の仲間の一人、逃し屋。現在、竹流失踪の鍵を握っていそうだが?
室井涼子 竹流の恋人の一人、ブティックを経営。
添島麻子 竹流の恋人の一人、刑事。
東海林珠恵 竹流の妻といってもいい女、祇園の芸妓。
井出幸之助 新聞記者、真をやたらと飲みに誘いに来る。
唐沢正顕 真の元上司。調査事務所を経営していたが、今は服役中。
三上司朗 唐沢の部下、真の先輩。事務所の爆破事故で下半身不随。
小松崎りぃさ 真のもと恋人(未満?)。自殺している。
高瀬 大和家の執事。竹流が絶大な信頼を寄せている。
名瀬 真の事務所を下請けに使っている弁護士。
斎藤 相川功(真の伯父)の親友で、循環器内科医。真の主治医でもある。
チェザーレ・ヴォルテラ 現ヴォルテラ家の当主。竹流の叔父。ゴッドファーザーですね。 

*真の親戚関係
相川(富山)葉子 真の従妹。真の親友と結婚している。
富山享志 真の自称親友。某貿易会社の御曹司。天然ボケ系。
相川 功 真の伯父、育ての親。脳外科医。失踪している。
相川武史 真の父親。某米国国家組織のスナイパー。
相川弘志 真の叔父。浦河で牧場を継いでいる。いかにも田舎のあんちゃん。
相川長一郎 真の祖父。剛健で頑固なじいちゃん。
相川奏重 真の祖母。そのじいちゃんを密かに尻に敷く、たくましき女性。民謡歌手でもある。

<【海に落ちる雨】登場人物>
澤田顕一郎 代議士。もと新聞記者。
香野深雪 真の恋人、銀座でバーを経営。
新津圭一 雑誌記者。深雪のもと恋人(不倫関係)。自殺と見せかけて殺されている。
田安隆三 ジャズバーの経営者。真に銃の扱いを教えるなど、怪しい面も。澤田の育ての親。第1節で水死体で発見される。
楢崎志穂 田安のところに出入りしていた雑誌記者。新津圭一の後輩。姉と慕う女性を探しているよう。
御蔵皐月 楢崎志穂の孤児院時代からの姉貴分。絵画の贋作者。竹流とも関係が。
『河本』/ 香月 内閣調査室長代理。真の父親・相川武史を知っているよう
江田島道比古 弥彦の村役人。美術愛好家で、フランスに留学していたこともある。
蓮生家 村上と荒川にそれぞれ屋敷がある古い名家。ロシア皇帝の末裔から色々預かり物をしていた?
 村上の下蓮生の前当主:ボケた爺さんで、子どもの頃に見た金髪の女の幻に苦しめられている。
 同現当主:いやらしいおっさん。
 荒川の上蓮生の当主:女性(千草)で、誇り高い女。実はロシア人女性の血を引いている。
村野耕治 既に死んでいるが、亡霊のような存在。澤田顕一郎の秘書だった。
村野 花 澤田の以前の恋人、村野耕治と結婚。
草薙謙二 村野耕治と花の息子。新宿のバー『シャッフルズ』のオーナー。
寺崎孝雄 寺崎昂司の父親で運送会社を経営している。主に美術品を運送する会社。
ビッグ・ジョー 六本木の外国人ヤクザの元締め。

このうち数人、まだ名前の出ていない人もいますが、存在はちらちらしているので、ここに載せました。
その他、名前が出てこない人、あまりにもワンシーンだけなので無視した人は多数おります。
あと一人、重要人物がいるのですが、この人はまたいずれ。

引き続き、ロングバージョンです。
特に相川家の面々の解説を見ると、物語の背景も含めて、確認できるかもしれません。
(でも結構長いので、適当に拾い読み・飛ばし読みしてくださいませ^^;)。
しかし、人物だけ並べたら、どんな話!?ということになりそうなラインアップですね……  




フルバージョン
(ロングバージョンです。お暇なときにどうぞ。)

相川 真
真250
生年月日:1952年11月17日(蠍座)。この物語の時点で27歳。出生地は東京だが、育ったのは北海道の浦河。中学からは東京(一時カリフォルニア (苛めのため避難))。
外見的特徴:父親は日本人(相川武史)、母親はドイツ人とのハーフだが、本人はあまり大柄ではない。痩せマッチョ系です。髪の毛は光に透けると茶色っぽく見える。目は右が碧色、左は黒。ちなみに血液型はAB型。
職業:もともと宇宙物理をやっていたが、事情があって大学を辞め、アルバイトで勤めていた調査事務所・所長の逮捕をきっかけに独立。現在、新宿で調査事務所を経営。事務所はある弁護士事務所の下請け的存在で、失踪人調査がメイン(犬猫も探す)だが、浮気調査も身元調査もすることはある。
特技:裸馬に乗れる、犬や馬と喋れる、もののけ・あやかしの類が見える、祖父の手ほどきで太棹三味線を弾く、星の名前をやたらと知っている。
趣味:強いて言えば、ランニング?  剣道(結婚してからはお寺に住んで、子どもに教えています)。疲れたら天文学・宇宙理論の本を読む。数字の羅列・謎の公式を見ると安心するらしい (無限を感じる?)。
嗜好:酒は基本的にほとんど飲めないが、同居人がうわばみのため、多少は付き合うようになった程度。煙草は好きでもないのに吸っている(北海道に帰ると全く吸わないようです)。
現在の生活状況:あれこれあって、元家庭教師・父親代わりの大和竹流のマンションに転がり込んでいる。基本的には色っぽい関係ではない。
作者のひとこと:とにかく私にも未だに分からない人。私が小学生の時にはもうそこにいた。何となく自分ともう切り離せない感じの人なのです。それなのに、昔イラストを描いていた頃にも、彼の絵はなかなか描けなくて……limeさんのイラストを頼りに……ありがとうございます、limeさん。
あ、そうそう。たまにネコになる?

大和 竹流/ ジョルジョ・ヴォルテラ
竹流330
生年月日:1943年4月23日(牡羊座)。この物語の時点で36歳。
背景:出身地はローマ。5歳の時に父親の双子の弟、チェザーレ・ヴォルテラに引き取られる。ヴォルテラというのは、教皇庁の広い意味での警護を請け負っている背後組織。その跡取り息子として育てられるが、16歳でローマを出奔。紆余曲折して、東京在住。詳しくは【海に落ちる雨】始章にて。
外見的特徴:180cmはある長身。髪は軽くウェーヴしたややくすんだ金、瞳は青と灰色の中間色。 血液型はB型。
職業:美術品の修復師。銀座でギャラリーとレストラン・バーを経営。若い頃はトレジャー・ハンター的なこともしていたよう。
特技:料理。とにかく食材にこだわる。5分で(というより見つめるだけで)女をその気にさせる。実はピアノが弾ける。年寄りに取り入ること(というより、単に腕に覚えのある年寄りと話すのが大好き)。人前で歌うことはほとんどないが、聞いた人によるとかなりの美声。
趣味:仕事が趣味と実益を兼ねている。背中に火傷を負うまでは、やたらと泳いでいた。ロッククライミングを楽しむ(これもトレジャーハンターとしての実益込み)。
嗜好:煙草は吸わない。旨いものの味が分からなくなるのが許せないから。酒はうわばみ。ついでに、恋人は複数いる模様。真は……息子? 飼い猫?
作者のひとこと:いつの間にか主人公の片割れに納まっている人。男前であらゆる意味でスマートな人だけど、心の中に鉛を抱えている、そういうところが美味しいのかもしれません。こちらもlimeさんのイラストをお借りしました(*^_^*) limeさんありがとうございますm(__)m

柏木 美和
この物語の時点で21歳。相川調査事務所の共同経営者。
本人は『秘書』と呼んで欲しがっているし、所長のことは『先生』と呼ぶ(何故ならハードボイルド的に格好いいから)。実際は女子大生で、将来の夢はジャーナリスト。
出身は山口県。家系は政治家を幾人か出している名家。屈託のなさは金銭的不自由をしたことがないからと思われる。童顔で、女子高生と言っても通る。気は強いが、涙もろいし、すぐ他人に同情してしまうところがある。意外に気が利く。でも、血液型は多分B型じゃないだろうか?
趣味はカメラ。中学・高校ではバスケットをしていた。
恋人は北条仁(ヤクザの跡取りで、16歳も年上)。相手の立場が立場だけに、将来には不安があるはずだが、若さの故にまだ現実味がない。所長=相川真に対しては恋とも、単なる興味とも思われる感情を抱いているが、多分生涯にわたって忘れられない存在で、そういう意味では恋だったかもしれないし、真の側からも同じだったのではないかと思う。
作者のひとこと:この子のお蔭で物語は進む。語り部として(インタヴュアーとして)最も重要な位置にいる。多分人間好きで何でも興味津々。自分たちが中学・高校時代にこうだったかな、という感覚で書いている。

北条 仁
この物語の時点で37歳。仁道組の次期組長。
生まれは満州で、両親の死で中国に取り残されていた。叔父の東吾が迎えに来てくれたのは、仁が9歳の頃。中国では金銭的・生命的危機はあったとしても、人間関係は恵まれていたようで、両親亡き後も中国人の養母に大事にされている。北条家はもともと華族だったが没落していて、東吾は闇市の元締めで這い上がった男。子どもを戦争で失い、甥の仁をとにかく大事にしていた。環境的には苦しい時代ながら、こうして大事にされてきた幼少時代が性格形成に大きく寄与したと思われる。
東吾の希望は仁が大学を出て堅気として生きていってくれることだったが、仁は24のとき覚悟を決めて、背中に彫物を入れた。
豪快で屈託のない面もあるが、他人に対してもかなり厳しい。しかし、イメージとしては江戸時代のめ組か大工の棟梁を想像してもらうとよさそう。義理と人情が大好き、他人の揉め事にやたらと首を突っ込みたがる、面倒見が妙にいい。ついでに両刀。多分、単純に人間とその営みが大好きなんだろうと思うし、セックスはその『大好き』の表現のひとつに過ぎないのかもしれない。でも意外に一途で、美和のことが本当に好き。実は純粋で曲がりのない性格なんだろうと思います。
特技は、芸能界からの誘いもあったというほどの歌。オールディーズ世代です。歌声は、外観の厳つさからは想像できない、甘い声なんじゃないかと思っています。
色恋ではないが、無理をしている男が大好き。 
今はまだ立場は安定していますが、それは父親の東吾が生きているから。今後父親の東吾が死んだら(実は抗争で殺される)、あまり明るい未来が待っているわけではない。
作者のひとこと:主人公にはならないけど、陰のドンはまさにこの人。主人公二人が時々ウザいので(ごめんなさい…)、すっきりしたい時にはいつも引っ張り出してくると、言いたいことを言ってくれるので、助かっている。私の言いたいことを誰よりもストレートに言ってくれる人。もしも自分のキャラで実際に会ってみたい人がいるとしたら、誰よりこの人。

高遠 賢二
この物語の時点で20歳くらい。少年院あがりで、生活のために工事現場で働いているが、このところ真の事務所に入り浸り。
父親は電気関係の企業の社長で、政治団体にも属しているようなお堅い金持ちだが、家庭内暴力で、できの悪かった次男の賢二を『躾』と称して殴り続けていたよう。母親は賢二を愛していたし大事に思っていたが、父親が捕まったり社会的に問題になるのは困る、と思っている気の弱い女性で、賢二を庇うことはなかった。賢二は中学生の時に父親を刺して少年院に入っている。
出所後の観察期間に、親元に帰りたくなくて相川真のところに行きたがったため、諸事情の結果、大和竹流のマンションに預けられていた。そこで初めて、自分を一人の人間として扱ってくれる大人の男に出会ったお蔭で、その後の人生は悪くなかったはず。真が自分を救い上げてくれたと思っているし、竹流のことは思い切り尊敬している(叩き起こされて大間に連れて行かれ、マグロを口に入れるまでは、ウザいオヤジだと思っていた)。
背が高く、真を見下ろすくらいだが、顔は比較的童顔。かっとなる面はあるが、根は優しく、一直線。捨て猫・犬を放っておけない。割と報われない恋をしてしまうタイプ。真が冤罪、というよりとち狂って殺人犯に間違えられて壊れてしまった姿を見て、何もできなかった自分が辛くて、本気で弁護士になる。
作者のひとこと:もうだめ、ということはない、と言ってくれるキャラだと思っている。真と竹流のマンションに居候していたわけで、おいしい位置に居ります。本当にあの二人が健全に?過ごしていたのか、私も教えて欲しいくらいです。

宝田 三郎
この物語の時点で23歳くらい。幼い時に両親に捨てられて、大阪の施設で育つ。しかもあまり環境のいい施設ではなかったようで、愛されたという記憶はない。大柄で横幅もありそうで、頭の回転は遅いほうだが、理解するとそのことをとても大事にする面がある。強くなりたいという一心で、ヤクザになろうと決めて上京したが、幸いというべきか、門を叩いたのが仁道組で、性格が向かないと不向きを指摘してもらった。その上、行き場がなかったため、め組の親分=仁のお蔭で相川調査事務所に雇われることになった。ちなみに給料を出しているのは真ではなく仁。
趣味は掃除? とにかくこの男のお蔭で事務所はいつも綺麗。将来は居酒屋とか食物屋をして、悩める少年少女のよき相談相手になるんじゃないかと思っている。これも真の影響かな。
作者のひとこと: いつの間にか調査事務所に「なくてはならない存在」になっています。いつも美和と真を心配しているのです。相川調査事務所にはこの人がいつもいて欲しい。掃除、という意味も含めて(多分、美和ちゃんはしない)。

葛城 昇
大和竹流の仲間の一人。ゲイバーの店長でもあり、本人もホモセクシュアルの人間。
いろいろ辛い過去はあるものの、竹流の仲間になってからは落ち着いているはず。この人の活躍、過去は本編でお楽しみください。実はかなり重要なキャラで、真に対しては嫉妬と一緒に、やっぱり守ってやらねばならないと思ってくれている節がある。仲間内では、情報担当かつメカに強いようです。バーは大物のその筋の性欲を満たしてくれるわけで、かなり儲かっているはず。
容姿は、細身のやや小柄だが意外に筋肉質、女顔ではないが目だけはちょっと色気が怖い感じではないかな、と思う。私の話では珍しく妖艶なタイプのはずだが、結構たくましい男でもある。

イワン・東道
大和竹流の仲間の一人。もとプロのボクサーで、今はジムを経営。無口で、言葉より手が出てしまうので、それを懸命に抑えているような剛直で融通のききにくいタイプのよう。仲間内では主に連絡係をしている。竹流に対しては、口には出さないが、俺がボスを守る、と思っている様子。

寺崎 昂司
竹流の仲間の一人、というよりも協力者の一人。裏稼業は逃がし屋で、表稼業は特にない。
身長はありそうだが、やや痩せ型(真がビッグ・ジョーという外国人ヤクザにさらわれた頃はいい身体をしていたと思います。真が竹流と区別がついていなかったくらいだし)、顔つきは一見精悍で豪快なイメージがあるが、性質は幼少期からの悪影響で随分複雑なはず。
竹流とは仲間というより親友、というイメージだが、昂司のほうは、やはり竹流はボスだと思っている面もある(それは竹流が拭い去れないオーラを持っているから…)。一緒につるんで遊んでいるし、お互い何でも許せると思っているが、女を挟んでは一時三角関係にあった。竹流はあっさりと身を引いているが(というより初めからそんなにその女性に興味があったのかどうか? 才能には興味があっただろうけど)、そのごたごたの中で竹流が昂司を庇って背中に火傷負ってしまい、罪の意識がある。
この先、「実は…」の二連発くらいがあります。お楽しみに。

東海林 珠恵
珠恵と書いて『たえ』と読みます。祇園の芸妓で、竹流にとっては妻といってもいいような女。
出会いは結構印象的で、永観堂の前。竹流曰く、理想の女がそのまま立っていて、夢を見ているのだと思ったらしい。その後、置屋の女将が竹流に惚れた、というので出入りを許していた関係で再会。
もっとも珠恵は芸妓の中でも少し年上で、若い娘たちに遠慮していたふうでもある。竹流のほうは、興味のない顔を装いつつも、雨が降り出して男衆が出ていると聞けば、さっさと傘を持って珠恵を迎えに行くという、十代の学生みたいなことをしている。すぐ口説いてすぐベッドに誘う性格の男にはあり得ないほど、回りくどい口説き方をしていたことからも、相当惚れていたと思われる(今もだけど)。将を得んとすれば、のことわざどおり、珠恵が面倒を見ていた和枝(万引きの常習犯で、もともと東海林家のお手伝いをしていた。色々と不幸な結婚生活を送っていて、ストレスからか病気のように万引きをしていた)に取り入り、和枝の料理の腕がいいと知って、教えてもらうという名目で和枝と珠恵が住んでいた古い町家に出入りしていて、女将に怒られたり、大概お子ちゃまな口説き方をしていた。
珠恵は一度結婚して離婚しており、その後もう一度結婚の申し込みがあったが(これはいい筋から)、女将が珠恵の将来を案じて大乗り気だというのを聞いて大慌てをした竹流が、女将のところへ飛んで行った次第で、その時、結婚を渋る理由を問い詰める女将に、珠恵が「好いた人がおるんどす」と答えているのを聞いて、たまらなくなって部屋に飛び込んでいったという。実はそれまで珠恵も竹流も気持ちを打ち明けたこともなかったし、ましてや手を握ったこともキスをしたこともなかったんですが、瞬間に見つめあった目と目で、もう気持ちはわかった、ってなわけで、竹流は畳に頭を擦り付けるようにして、女将に「この人を生涯不幸にはしない」と誓ったのでした(チャンチャン)。
女将は、竹流のことはもの凄く買っていたけど、珠恵の相手としては問題だと思っていたようで、結婚に向いている男じゃないと一言(その通り!)。結婚はできないが、生涯大事にすると断言した勢いで、竹流はその意志表示のために、借金で人手に渡っていた東海林家の家屋敷を買い戻して改築したという。ついでに、和枝の面倒も見ている。意地を示しちゃったんですね。恋する男は本当に馬鹿、という典型。
もともと一人で生きていくと決めていた人だけに、我慢強くて、基本姉御肌。折られてもそのまま倒れることはない人でしょう。もの静かで一見強くは見えないけど、この人がいないと本当に大和竹流は駄目になっちゃうかもしれない。まだまだ感情の奥深くは書けないけど、もしかして強い想いは舞に秘めて、墓場までもって行きそうな人。
因みに、そうやって告白してものにしちゃったほとんど同時進行で、真と精神的蜜月だったわけで、本当にこの男(竹流)は信用ならん。

室井 涼子
竹流の恋人の一人。竹流は以前、ジゴロよろしく、金持ちで才能のある(金持ちだけでは付き合っていない、つまり自分の仕事にプラスに働く女性と、仕事込みで寝てたわけ)複数の女性と関係を持っていたが、その頃から、多分打算無しで付き合っていた数少ない女性の一人。
大企業の社長のお嬢さんだが、家を出ていて、可愛がってくれていた祖父に金を出してもらって小さなブティックを経営していた(その後かなり成功)。竹流のマンションの上の階に住んでいる。いい意味でも悪い意味でも『女』という気がする。
高校時代の先輩と不倫関係にあって、もう十年単位で続いている。竹流と知り合った頃はその男の事で苦しいときで、火遊びにはちょうどいい相手が現れたというだけだった。それがいつの間にか、竹流に本気になっていて、不倫相手のほうは精神安定剤になってしまっている。男がいなければ生きていけない女だが、それは経済的な意味ではなく、精神的に恋愛が必要なのかも。
真にとっては、ずっと眩しい大人の女で、一度だけ抱かせてもらったことがあったものの、このとき涼子は自分の気持ちを確かめていたよう。今後色々あって、竹流とは関係が続かなくなるわけなんだけど、多分ずっと好きだったんだろうと思う。真が何を思って涼子と定期的に寝るようになったのかは、今後の展開ということで(つまり、真は結婚していたので、はっきり言って不倫)。

添島 麻子
竹流の恋人の一人。30にはなっているはず。現在警視庁捜査一課の刑事。以前はICPOに勤めていて、盗難美術品の担当だった。故に、大和竹流としてではなく、ジョルジョ・ヴォルテラとして見ているからか、妙な期待を抱くことはない。ヴォルテラの家がどういう家で、どれほど竹流が逃げても跡を継ぐ人間は彼しかいないこともよく知っている。そういう意味で、竹流にとっては気を使わなくてもいいし、全てを知っているという意味で付き合いやすい女なのかも。
仕事と男と、どっちをとるかと言われたら、多分仕事を取る。仕事好きで刑事の仕事に使命を感じているという面もあるけど、叶わない恋をしている自覚があるので、仕事を辞めて自分が駄目になりたくないという根性が一番かも。
妹は二人ともちょっと素っ頓狂。すぐ下の妹はあまり儲かっていない映画制作会社に勤めていて、時々仕事か遊びか、海外に行っては暫く帰ってこない。一番下の妹は大学生だが、社会勉強と言ってホステスのバイトをしている。お姉ちゃんのアドバイスはただひとつ、客と寝るな、だけらしいけど。

高瀬
下の名前まで考えていなかった。もともと大和高顕の執事だった。竹流が大和の屋敷を譲り受けたのは、半分詐欺か脅迫に近い理由だったが、その時に竹流は『家も金も要らないから、高瀬を寄こせ』と言ったらしい。この一言で、高瀬は一生竹流に付いて行くと決めたという。とにかく、竹流は誰を信じなくなっても高瀬だけは信じるだろうというほど、絶大な信頼を寄せている。ついでに、真と竹流の関係を、いちいち全部知っているのは高瀬だけではないと思う。その上、いつの間にかチェザーレ・ヴォルテラとも繋がっている様子。ちなみに大和一家は、今北欧に住んでいます。
寡黙なくせに、自分の仕事を邪魔されるのはまかりならん、という無言の圧力があって、真は大和邸に行くと、自分でコートも脱げない(そう、ご主人様および真様のコートを脱がすのは彼の仕事だから)。そういう扱いを受け慣れていない真は、最近は車を降りた瞬間に脱ぐことを覚えた。
高瀬の奥さんは、竹流のマンションへ週に3回、掃除と洗濯に来ている。世話焼きの明るいおばさん。でもさすがに執事の奥さんだけあって、外に向けては口が堅い。だから、多分二人の生活について何を知っていても、喋らないだろうなぁ。聞いてみたいけど。
この正反対の性格の夫婦の日常は…多分会話は一方的だろうけど、それなりに楽しいのかも。

井出 幸之助
新聞記者。真とは事務所開設以前からの知り合いで、真が新宿に来てから親しくなった。半分以上趣味で真を飲みに誘いに来る。天然パーマと痩せ型長身のお調子者だが、色々と辛い過去もないわけじゃないようで。ルックスはそのまま、大泉洋を想像していただいたらいいです。実は、この話はともかく、将来については重要な人物。

唐沢 正顕
年齢不詳、経歴も不詳。だいぶ年なんじゃないかと思うけど、年をとらないタイプの人間。
真が大学生の時からバイト~大学を中退してから勤務していた調査事務所の所長。
かなり胡散臭いおっさんで、戦争が体質に合っていたのか、大戦後はアメリカの特殊部隊にいたとか、傭兵をしていたとかいう話。実際に各国の偉いさんに知り合いがいる模様。
酒好き、女好き、ギャンブル好きで、ちゃらんぽらんに見えるが、そして多分本当にちゃらんぽらんなのかもしれないが、戦争というような場面では恐ろしい動物的本能で生き延びるような人間。恐らく物凄く頭の回転が速くて、ひとつの事から十くらいの可能性がぽんぽん出てくる。頼りにしてはいけないタイプの人間だが、調査事務所長としては優秀な仕事をしていた理由は、顔の広さと勢いとこの想像力の賜物。真にとっては、調査事務所の仕事、社会を渡り歩く知恵を伝授してくれたという意味では唯一無二の師匠だったのではないかと思う。趣味は大物相手の詐欺?
何故、自分の事務所を爆破したのかは未だ不明。世間的には保険金詐欺、ということになっている。今、刑務所に入っているが、結構刑務所ライフを楽しんでるんじゃないかと思う。何でも自分のペースにしてしまう人間。
作者のひとこと:色気のあるちゃらんぽらんなおっさんが書きたい、という私の欲求を満たしてくれる人。底が深くて、もっとその奥を知りたいと思って覗いたら、何もなかったっていうようなタイプだけど、書くのが楽しい。真へのアドバイスがいい加減で面白い、と思っていただけたら…

三上 司朗
40台前半ってところか。この人も年をとらないタイプの人間。施設で育った時から唐沢正彰の弟分で、母親は米軍人相手に売春をしていたため、子どもの頃から苛めにあっていたようだが、唐沢(こっちは軍の偉いさんの息子だったらしい)にいつも助けられていた。唐沢が日本を離れていた間に、窃盗や傷害で何度か警察・刑務所の御世話になっている。最終的に、日本に戻った唐沢が出所日に迎えに来て、調査事務所を始める際に手伝いに入った。
環境さえ良ければ結構感じよく人生を送れるタイプの人で、どんな状況になってもしぶとく頑張る人。唐沢が事務所を爆破した時に、2階の窓から吹き飛ばされ、脊髄損傷で下半身不随になった。唐沢を恨んでもよさそうだが、そこはこれまでの恩義を無しにはできない様子。
入院中に知り合った看護婦と結婚して、結構幸せにしている。唐沢が刑務所から出てきたら、金の無心にきそうだけど、どうするんだろう? 
真に対しては、本当に良い兄貴分。でも、自分の事を真に話す人ではないため、真は三上のことは分かっているようで分かっていない。下半身不随になってからは、せめて電話ででも真の力になってやろうとしてくれている(あまり動けないので、どこかで繋がっていたいと思っているのは三上のほうかもしれない)。
真のほうは、事務所の爆破事件の前、唐沢と三上がよく喧嘩をしていたことに気が付いていたのに、りぃさのことに夢中で構っていなかったため、結果的に唐沢を止めることができずに三上を半身不随にしてしまった責任の一端は自分にもあると思っている。そういうことを言うと、三上に自惚れるな、と言われるのは目に見えているので、言わないが。
作者のひとこと:唐沢―三上の関係は、竹流―真の関係の二重構造なんですね、全くそれぞれのタイプは違うんですが、関係性に類似があって、でも違う運命を辿るというか。


…以下、真の親族関係は、解説だけで物語のあらすじ状態です^^;
お暇なときに、相川一族の物語をお楽しみください(*^_^*)
特に、私の大好きな? 兄弟葛藤の原点がここに……


相川 武史/ アサクラタケシ
真の実父。相川長一郎の次男。
長一郎にとっては初恋の女性との間の初めての子どもで、幼少時には無茶苦茶可愛がられていたと思われる。
しかし武史自身は、腹違いの兄・功がいつも家族の中で遠慮がちにしているのを、幼心には気にしていた節があり、いつの間にか大のお兄ちゃん子になっていた。
屈託なく、素直で、豪胆な面があり、多少の無鉄砲と論争好きという、長一郎と芸者一家の娘の血を間違いなく存分に受け継いでいた。
兄が逃げるように浦河(北海道)を出て行ったため、追いかけるように勉強して兄と同じ大学に入学、以後兄と東京で下宿をしていた。この頃から、単なるお兄ちゃん子は複雑な感情を持つに至って、兄が下宿の看板娘静江に恋をしていることを知ってから、ライバル心からか、兄を取られたくなかったからか、自分のほうが先に静江に手を出してしまった。兄はあっさりと弟に静江を譲って下宿を出て行ってしまう。
兄がいなければバランスを取れなかった武史の恋心は直ぐに消え霞んでしまい、そこへ現れたのがドイツから来たハーフの女性。
恐らく一目惚れで、情熱的で燃え上がるような恋をした。駆け落ちして、大学も辞めて、一生懸命仕事をしていたらしい。子どもが生まれた途端に、彼女はドイツ人の祖父(東ドイツの大物)に見つかって連れ戻される。
とにかく彼女を連れ戻したい一心で、何よりも力のある相手に頼ってしまった。それが兄が下宿を出て行った後でルームシェアをしていたアメリカ人。実は米軍の将校で、CIAの高官の息子だったが、武史の勢いと語学力 (日本語は凄い北海道弁だったというが)と身体能力(剣道では東京随一との噂があった)に惚れ込んで、米国にずっと誘っていた。半分は騙されたような形でCIAに投降。
もともと父親=長一郎は熊を撃つため銃の許可証を持っているような人で、武史も子どもの頃からこっそり教えられていたと言いう経緯もあり、直ぐにCIAの1,2を争うスナイパーに成長した。戦後処理のやばい仕事をかなりこなしたと言われるが、詳しいことは分からない。ソ連での生活も長く、科学アカデミーに属していたし、実際宇宙開発のプロジェクトにもかんでいたという話もある(勿論軍事目的の)。
生きるのに必死だったが、ある時点までは真の母親のことを諦めていなかった。ある時、幸せに暮らす彼女を見てしまい、声を掛けることもなく話し合うこともなく、そのままになった。声をかけていれば変わっていたかもしれない、という可能性はあるが、『タラレバ』は通用しないのがこの世界。彼が息子=真に対してどう思っているのかはよく分からないが、ある年齢までは本当に思い出せないくらい、心も物理的距離も離れてしまっていたんじゃないかと思う。
それだけに、息子のことは『今更自分が出て行く立場ではない』という思いと、贖罪の気持ちと、ないわけじゃない愛情と、まかり間違っても自分と同じような(簡単に言うと人を殺すような、あるいはそれをやむを得ないとするような)仕事はして欲しくない、という気持ちと、色々。
作者のひとこと:この人は、多分、もともと凄く素直な人なのに、深みに嵌って抜けられなくなったという経歴。真にとっては、最後の最後まで葛藤の対象でしかなかった父親ですが……

相川 功
真の伯父であり、育ての親でもある。脳外科医だったが、その後失踪。
相川長一郎の長男で、母親を3歳で亡くしている。
どちらかというと、何もかもを腹違いの弟たちに讓ってきたような性質で、強く主張をするタイプではなかったが、堅実で実直で我慢強い、北海道の沿岸部の男っぽい性質を根っこに持っている人。
父親が後妻を貰って、それがいい人だったため、逆に居た堪れないような気持ちを抱いていたようで(義母の奏重は、功を長男として立てていて、筋を通す女だったし、愛情も十分にもらったはず)、北海道の空だけが心の慰めだったようで、宇宙好きが高じて東京の大学の工学部に入る。北海道を出たかったというのが前提にあったとは思うが、まさか弟が追いかけてくるとは思っていなかったはず。しかし、当時宇宙開発が軍事目的という側面に気が付いてから、医学部に転向し、脳外科医になった。
それでも宇宙ものが大好きで、ドラマも映画も漫画も一通り押さえていたし、これが真にものすごく影響したようである。器用な人で、宇宙船の模型やプラネタリウムを作っては、真が学校に行けないときの慰めになっていた。
大学時代の下宿の看板娘・静江に恋をしていたが、弟に横恋慕?されて身を引いた後、剣道部の同級生に告白されて付き合っていた。それが真の通っていた私学の院長(【8月の転校生】に登場)で、息子(甥)・真が登校拒否だったのでカリフォルニアの留学から戻った際に、彼女なら、と思って真を託した経緯がある。彼女とは結婚するつもりだったし、武史が息子を育てられないで放り出したとき、甥の母親になってくれないかとプロポーズしていたようだが、結局静江が武史に捨てられたショックで精神的に不安定になっていたのを知って、静江と結婚した。
兄の功のほうも、結局兄弟の葛藤から逃れられなかった節がある。
静江が育児ノイローゼで赤ん坊の首を絞めたり、オムツも替えずに放置したりするようになって(愛した男が他の女との間に作った子どもということは知っていたはず)、赤ん坊の真は直ぐに浦河の長一郎に引き取られることになった。その後暫くは夫婦らしい生活をしていたが、娘(葉子)が生まれて育児ノイローゼが再発、家に火をつけて娘と一緒に死のうとしてみたり、で結局施設に入所した。以後は男手ひとつで(ほとんど親戚預かりやら御手伝いを雇ってで)娘を育てた。
甥の真がおかしい?(コロボックルを紹介された…)と弟・弘志に言われて東京に引き取る時も、色々と葛藤があったと思われるが、結局真にはいい父親だったはず。それでも時々、姿を消してしまった弟・武史の面影を見つけては、複雑な気持ちになっていた気配はある。真のほうはそれをどこかで敏感に感じ取って、功が父・武史を許していないから、結局自分を捨てていったのだと思っていたようである。
真が14歳、葉子が12歳のとき、失踪した。武史と何か関わりがあるようだが、よく分からない。カリフォルニアに留学中、武史に随分と接触を試みていた形跡があり、失踪は帰国後半年ごろだった。実は殺されているんじゃないかと(武史の仕事に絡んで)思う。
作者のひとこと:兄と弟、というのは大好きな葛藤のテーマで、この昭和レトロ時代を背景に、女の取り合い?から子どもを挟んでの葛藤はたまらない。本当に色々思っていたんじゃないかと思う。真が功に作ってもらったプラネタリウムを、りぃさの家から帰ってきた時に灯す、というエピソードはお気に入り。宇宙を介して、真には本当に『父親』だった。

相川 弘志
真の叔父。相川長一郎の三男で、良くも悪くも両親の性質を全て受け継いだような田舎のあんちゃん。
浦河の牧場を、従兄弟たち3人で共同経営している。
実際の登場は少ないんですが、名前がやたらと出てくるので、合わせて紹介しておきます。
兄二人は浦河という田舎から東京大学(便利に使ってしまった)に出て行った、田舎の英雄だったわけで、歳が離れていたために、いちいち親戚からも近所の人からも学校でも『お兄ちゃんたちは…』と言われて育って、とにかく反抗しまくった。
豪快かつ繊細な面があって、多分ものすごく根の優しい人なんじゃないかと思う。赤ん坊の真が浦河に引き取られてきたときはまだ中学生で、目の色も髪の色も違う甥にかなり戸惑ったよう。とにかくこの子どもと接触するまいと、家を飛び出して、長一郎の兄のところに転がり込んでいた。
もっとも牧場の敷地内だったので、一人で遊んでいる甥をしばしば見かけていたわけで、本当は可愛いと思っていたらしい。弘志の感覚では、甥は日本人離れした外観ではみ出しもの、自分はできの悪いはみ出しもの、という同類感覚。高校のときは、無免許運転の友達の車で札幌まで遊びに行っては補導されるという、田舎の悪ガキそのものの生活だった。
ある時、真が疾走する馬の群れに巻き込まれたのを見て、危険を顧みず助けに行こうとしたが、結局馬たちのほうが一枚上手で、真には怪我ひとつなかった。それを見て感動したのか、急に真面目に勉強し始め北海道大学へ進学。田舎者だが結構ルックスは良かったと思うし、ラグビー部の花形で、女の子にはモテた。学年のマドンナとも付き合っていたし、かなり楽しいキャンパスライフを送っていたはず。
久しぶりに浦河に帰ると、父長一郎からぶっきらぼうに『真がお前の帰りをまっとった』と言われてちょっと可哀想になる。幼稚園・小学校前半の真にとっては唯一の頼れるお兄ちゃんだったわけで、弘志が札幌に出て行ってからは、それまで以上に一人ぼっちになっていたという。少し大きくなった甥は、多分本当に可愛かったはず。思わず札幌に遊びに来るか、と真を下宿に連れて行った、というエピソードが書きたいもののひとつ。
真は生まれて初めての都会に度肝を抜かれてパニックになっていて、大学のキャンパスでは弘志が結構人気者で忙しいのを見て寂しく思い、うろうろしていたら迷子になって、馬のにおいに引き寄せられて畜産部の厩舎へ行って、アイヌ人(そのときは本人は言わなかったけど)の女性に出会う。この人が弘志の嫁さんになったので、実はキューピッドは真だった。この女性、弘志を好きだったようだが、自分の出生の事で初めから全く諦めていた。弘志は強烈な人見知りの真が全く警戒せずに話しているのを見て、この女性に興味を持ったという経緯。後からアイヌ人と知ったけど、その時弘志が何の障害にも感じなかったのは、父親の影響でしょうか。子どもができたらどうするんだ、混血ということで子どもが苦しむぞ、と親戚に言われたとき、真を息子にする、と言ったとか何とか。結局は子どもが2人生まれるんですが。
真が『蕗の下の人(コロボックル)』を友だちだと紹介してきたので、こりゃやばい、と思って、功のところに行って、このままでは真がおかしくなる、と訴えて功に引き取らせた(その時まだ弘志は高校生)のもこの人。真が東京で馴染めなくて苛めにあっていると聞いて、俺が親になる、と思ったのもこの人。
とにかく、真にとっては大事な大事なお兄ちゃんだったわけです。
作者のひとこと:功・武史の兄弟葛藤からはみ子にされているようでいて、しっかり葛藤に参加している弘志さん。功は歳も距離も離れすぎていて、葛藤する対象としては実感がなかったかもしれないけど、武史に対してはかなり反発の気持ちがあったよう。何で息子を放り出したんだ、という一点でとにかく怒っている。実は私がある意味では最も気に入っているキャラの一人。『ひろし』という名前の人は『神』という私の謎の信念?に支えられているのかも。この人のテーマは、アイヌの人との結婚だったわけですが、ここには『願い』が込められている、つもり。真が混血、というのももの凄く影響していると思うし、長一郎が隔てなくアイヌ人と付き合っていたことも影響している。
超脇キャラなのに、気合が入ってしまった。

相川 葉子/ 富山 葉子
真の2歳年下の従妹。父は相川功、母は静江。
もっとも、静江は育児ノイローゼで家に火をつけたり、危険行為が多く、病院に入ってしまったため、赤ん坊の頃から親戚(母方)やお手伝いに預けられて、結構大人の顔色をうまく窺う子供に育っていたと思う。それが影響したのか、本当にうまく『お姫様』と演じていて、真と竹流という『騎士志向』の男どもを満足させることができたよう。
小学生3年生の時、初めて真に会って、実際自分の騎士だと思った(王子は別の人だしな)わけで、本当によく姫君の役割を果たしてくれました。兄が東京に来てくれて一緒に住むようになったとき、初めて同じ部屋で寝て、一人ぼっちじゃないと感動したわけで、それ以来兄にずっと恋をしていた。兄が変わり者で、ちょっと自閉症気味なのも分かっていたと思うが、真にとってもこの妹を守らねば、という気持ちが社会的適応を促した可能性が大きい。葉子が中学生になった頃の真は、「大人になる瞬間」にいたわけで、強烈なオーラがあったと思うが、うちの兄はどうなっちゃうの、とドキドキしていたようで、葉子の同級生も一緒になって入れあげていたという噂。
兄の親友、大企業社長の御曹司・富山享志と結婚したが、そもそもこの夫婦、北条仁に言わせると『お雛様』のような夫婦で(つまり生々しさがないってこと)、夫婦というより大親友の関係に近い。
兄に恋心を抱いていたが、大和竹流の存在で諦めたのは、本当の話。ついでに言うと、女友達は多いほうではない。親友はもしかすると大和竹流で、この親友関係、男と女の関係にはならないのに、真の死後も一生続いた。
音楽大学に進み、ピアノを専攻。職業としては役に立っていなかったが、実は先々享志と離婚(といいつつほとんど形だけ。しかも結局再婚する)してからは、ピアノの先生をする。この人が一時引き取っていた真の息子・慎一に与えた影響はもの凄く大きい。慎一がピアニスト(後、指揮者)になったのも、そもそも幼少期にこの人に育てられて、膝の上でいつもピアノを聞いていたことが影響したと思われます。
作者のひとこと:ちょっと特殊なムードの兄を持って、それが観賞対象としてぴか一だったら、という妄想を形にしました? それから、男が女に求めているのが『お姫様』というありえない理想で、女の子ってそれを知っているからお姫様を演出するに違いないというイメージ。結構素っ頓狂なところもあって、もしかして兄と家庭教師を引っ付けようとしていた疑いあり??

富山 享志
真の中学時代からの唯一の友人。享志は周りに『親友』と言いふらしている。
富山コーポレーションの御曹司で、いいとこの坊ちゃんの屈託のなさをよくも悪くも持ち合わせている。性格は完全に天然ボケで真っ直ぐで、嫌味なくらい嫌味がない単純バカ。成績もいいし、スポーツもできちゃうけど、多分器用貧乏な面がある。何でもできるけど飛びぬけることはないという。
中学生の時、院長室に呼ばれて、事情があって特別な転入なので(精神的に不安定という意味で)よろしく、と院長と功に挨拶されたとき、自分のほうをちらっと見ただけの真に完全に虜になった、という点は、思い切り自覚している(その前に幽霊と間違えていたけど)。一番眩しい時期の真に(その後は何とも言えないので)会ってしまったため、功の「よろしく頼みます」という言葉を一生守った馬鹿な男。恋でもあり、友情でもあり、いい意味での哀れみでもあり、とにかく『真は俺が守る』『真の妹も俺が守る』という英雄精神に溢れた人なんですね。葉子にプロポーズしたとき、『君を一生守る』じゃなくて『君たち兄妹を一生守る』と言った馬鹿な奴ですが(発想は単純で、友達は歳をとると一緒にいる理由がなくなることがあるけど、葉子と結婚すれば真とは兄弟なのでいつでも会う理由がある、という)、受けた葉子のほうも『君たち』の部分に納得して喜んで結婚したという変わり者なので、似たもの夫婦です。一男一女の父親になります。
現実には、従姉の小松崎りぃさとのっぴきならぬ関係になっていた時期があるなど、心のうちは多少複雑なはずなんですが、それがどうも複雑に見えない、なれない辺りが困りものです。
作者のひとこと:『これは恋』の具現。馬鹿馬鹿、って何回も書いてごめんなさい。作者的には一人は欲しいキャラでもあるけど(戦隊モノでは赤の役割)、何より、いい奴にも色々あるんだよ、とこの先多少面白くなるはずです。お楽しみに。
*『これは恋』:つまり『走れメロス』。友情は確かに尊いのかもしれないけど、友情だけで代わりに殺されちゃっても許容するのか、いくら信じててもちょっとなぁ、と納得いかなかった天邪鬼な学生時代。でもある時ふと思った。そうか、友情だと思うと胡散臭いけど、これは恋なんだ。恋なら命を懸けるのはありだ、と納得。思春期独特の感じで、友人だけど愛しい、愛しくて独占したくなる、他の友人と口なんてきいて欲しくない、とかいう感じ? これは恋愛じゃないけど、愛の一種で、身体の関係はなくてもエロティックで、でもそれ以上は望まないし、しない、っていう不思議な感覚。大人になるとそういうのは昇華されてしまうもの。享志の真に対する感覚はまさにこの思春期の友情=愛のようなものなんです。だから思い出すのは照れくさいんですね。でも一生涯、享志はこの気持ち=親友が大事だという気持ちを貫いたと思う。

名瀬弁護士
相川調査事務所の親分筋に当たる法律事務所の筆頭弁護士。そもそもは相川功の友人だった循環器内科医・斉藤の高校時代の親友。事務所自体が儲かっているところを見ると、企業の顧問弁護士も引き受けているようだが、本人の希望はあくまでも少年事件。その縁で、賢二と真の間を取り持ったことになる。
真が独立した後、事務所が立ち行けていたのは、名瀬の法律事務所の下請け仕事もしていたからだが、名瀬自身は真の失踪人調査の才能を買っていて(唐沢に推薦されていたのもあり)、真を一時雇ってくれていたこともある。真のほうがエリート集団に馴染めず、北条仁に口説かれて独立してしまった。
この人はちょっと謎。お堅い人のはずだが、何故か唐沢正彰を気に入っているらしい。

斎藤医師
相川功の医学生時代からの友人。現在は某企業の病院の循環器内科部長。真の不整脈の主治医でもある。功の失踪後、真と葉子の保護者の一人を自任していた人。ちょっと報われない恋をしていた事情で結婚が遅かったこともあり、子どもがいないため、真と葉子をかなり気にしていた気配がある。
この人は、実は先々重要なキャラなんですが、今はこの程度で。

相川 長一郎
真の祖父。真には多大な影響を与えている。しかも、「大和竹流の大親友」と言ってもいい存在。
相川の一族は、もともと北海道開拓時代に東北から移ってきたようで、浦河で馬を使って農耕をしていたが、その後牧場に転向。長一郎はやはり男ばかりの三人兄弟の次男で、ちょっと異端の息子だったよう。父親は『少年よ、大志を抱け』に感化されて、西洋文化にかぶれていたような人で、クリスチャンだった。長一郎はとにかく若い頃から歩き回るのが大好きで、馬を津軽まで売りに行っては、唄会に顔を出して当時名人といわれたボサマたちの三味線を生で聴いていた。ついでにアイヌ・マタギとの交流もあって、それらに傾倒してしまったため、一時父親と確執があって、旅に出てしまっていた。その旅先、金沢で芸妓の家の娘に一目惚れ、告白したところで、父親が倒れたという知らせで浦河に戻る。以後、兄弟で牧場経営に精を出している。
地元の娘と結婚して功が生まれたが、妻は病死。ずっと心の中で思い続けていた女性に、やはり会いたいと思い、金沢に行って、他の男との縁談がまとまっていた奏重を奪ってきてしまったという大恋愛を貫いている。
頑固で、心を許した人以外にはあまり打ち解けない。しかし懐に入ってしまうともの凄く大切にする。そこには年齢・民族は関係がなく、弘志がアイヌ人の女性と結婚したいといった時も、周囲のもの凄い反対の中、意地でも認めねばならないと思ったような人。自分の理想・信念が、周囲の声や感情(相手の文化を認めることはできても、結婚となるとわけが違う、という感情は絶対なかったとは言えないので)で曲げられることはよしとしなかった。
真はこの祖父の強い性質が、自分に受け継がれなかったことに、もの凄くコンプレックスを持っていたはずだが、子どもの頃尊敬する大人がいたということは、将来的には大きな糧になっていたはず。
男は強くあるべきだと剣道をやりまくっていた時期があり、実は恐ろしく強い。マタギと暮らしたりしていたこともあり、猟もできる。江差追分が十八番(他は唄わない)。太棹三味線を弾く(叩く)。歴史好きで、そもそも学校で教える歴史は西からの一方的な歴史で、そこには蝦夷の歴史がないと怒っている。しかし、それと仕事以外は何も興味がなく、何もできないだろうなぁ。
真の死後は山に引き籠ってしまう。かなり長生きしたようだが、死期が近かった竹流(ジョルジョ・ヴォルテラ)が訪ねていって、酒を酌み交わし、ただ何も語らず三味線を叩いている、それを竹流が聴いているシーンが書きたくてうずうずするのであった。
作者のひとこと:こうやって見ると、真は家族にすごく恵まれているなぁ、と改めて思いました。竹流はこの家族ごと、真を愛したのかもなぁ、と。いえ、弘志の娘(真の従妹)が言っていました。「相川の一族と大和竹流には運命を感じる」と。特に長一郎と竹流の友情は、本当に深かったんじゃないかと思うのです。

相川 奏重
相川長一郎の妻、真の祖母。
金沢の芸妓の家に生まれて、民謡を生業とする家に養女に出されているが、芸妓の母との交流はあったようで、一時は芸妓になろうと仕込みに入ったこともあった。長一郎と会ったのはまだ15か16くらいのとき。旅の空の長一郎は多分小汚い浮浪者に見えていたはずだが、旅の資金稼ぎに叩いていた三味線に一目惚れ、ならぬ一耳惚れをしていた、という説もある。
好きだと言われたものの、若すぎてどうしようもなく、一旦別れがきた後、もう戻らぬ人と諦めて別の男と結婚することになったところへ、長一郎が現れて、結局浦河へ嫁ぐ。花街から一転、牧場の女になったわけだが、それは苦労があったことと思います。しかし、やはり気風の良さと腹の据わりはただ者ではない女だったようで、最終的には男たちの世話から馬・牛の世話までバリバリにやっていたようです。
民謡はほぼプロで、盆踊りはいつも唄っていたし、町の人気者になっちゃってたという人。伴奏は、子どもの頃から真にさせていた。一途な恋を貫いた辺り、実は女の情念も立派に持った人でしょう。
それだけに、真の多感な思春期の正体不明の恋心?も見抜いていたし、狼狽えなかったすごい人。もしも真が実は…と打ち明けてきたら、駆け落ちさせるつもりだったでしょうか?

小松崎 りぃさ
富山享志の従姉。享志と葉子の結婚式で真と会い、関係を持つようになる。
いわゆるAVにも出ていた事がある、合法ドラッグの常用者で、自殺願望があった。もしかすると始めは本当に遊びのつもりだったのかもしれないが、いつからか『人間が地球に蔓延っているのは罪』、という信念で、死ぬことを考えるのが大好きになっている。真が事故で死に掛かったことがあるというのを聞いて、一緒に死ぬのに相応しい相手と思ったのかどうか、とにかく従妹の結婚と叶わぬ恋(かな、恋だよな)に喘いでいる真を死に誘いこむ女になっていた。結局、一人で自殺したが、その真相は本編(第4節)で。
絶対に、謎の女なんて書くものかという作者の信念を唯一曲げている女(村上春樹ちっくでどうも私好みではないんだけど)。

<【海に落ちる雨】登場人物>
ここからは、この物語に登場する人たちです。今後も絡むかどうかはわかりませんが。
なお、一部ネタバレがありますので、ご注意ください。


澤田 顕一郎
代議士。もともとブンヤだった。自分の取材で人を追い込んだという罪悪感から、ブンヤを捨ててしまったが、基本的な性質は極めてブンヤ向きだったことでしょう。政治家として頑張ってはいるものの、どこかで違和感を覚えているかもしれない。実は、真の父親・武史とは学生時代からの顔見知り。
出身は大分、妻は元某首相の縁戚の女性(息子を小さい時に亡くしたショックでほとんど郷里の山口に帰っている)。
両親が自殺した香野深雪にとっては足長おじさんだが、本当のことは言えないでいる。深雪は知っているかもしれないが。

香野 深雪
銀座のバーのママ。30台前半のはず。多分文句なしに綺麗な人でしょう。
新潟・糸魚川の老舗旅館の娘だったが、両親が収賄事件のあおりで自殺、新潟市内の施設で育っている。幼いときのトラウマで男に対して恐怖心があったはずで、新津圭一と知り合ったときは、それを乗り越えようとしていた辛い時期で、多分心からセックスを楽しんでいたとは思えない。それが、真と知り合ってから、身体が合っちゃったんでしょうかね…。これからこの人の物語が明らかになっていきます。

新津 圭一
雑誌記者。数年前、脅迫状を残して自殺した(実は殺された)。妻は事故の後遺症で長い間寝たきりで、香野深雪とは不倫の関係にあった。娘が一人いて千惠子というが、この子は幼女に対する性的虐待の犠牲者になってしまった。

田安 隆三
ジャズバーを経営している老人。実はその昔傭兵をしていて、唐沢とは古い知り合い。真に銃の扱いを教えたり、妙な面もあるが、基本的には真のことを心配している様子だった。澤田顕一郎の父親とは戦時中に上司と部下の関係で、生き残った自分が息子の顕一郎の面倒をみるという約束をしっかり守ってきた、妙に律儀な男。第1節で水死体で発見された。

楢崎 志穂
田安のところに出入りしていた雑誌記者。実は自分が香野深雪の妹であるとか、澤田顕一郎は両親の敵だとかわけの分からないことを言っていたが、結局は自分の出生もよく分からない孤児で、面倒をみてくれていた男に色々と吹き込まれていた。新津圭一を好きだったので、圭一をたらしこんだ(と志穂は思っている)香野深雪にはいい感情を抱いていない。

御蔵 皐月
楢崎志穂の孤児院時代からの姉貴分で、実際に母親は同じ。絵画の贋作家としての才能があり、特にフェルメールは得意としていた。寺崎昂司と大和竹流の両方と関係を持っていたが、本気で惚れていたのは大和竹流で、この男を何とか手に入れたいと思いながら、想いが叶わなかった。

『河本』/ 香月
本名は多分香月のほう。内閣調査室長代理で、いろんな後始末をさせられている立場の人間のよう。相川武史を知っていて、真の知らないところで色々と国同士の取引・駆け引きがある模様。真のことを気にしているが、それは多分アサクラタケシの息子を庇うことで、メリットが色々とある、という立場からの思い?
あるレールの上できちんと仕事をするタイプ。国を存続させるためには正しいレールが(正しい、というニュアンスには必要悪を含んでいる)必要と信じて疑わない。
何故か、微妙に気に入ってしまい、次作【星】にも登場……

江田島 道比古
弥彦の村役人。美術愛好家で、フランスに留学していたこともあるが、父親の死で田舎町に戻らなければならなかった。失われたフェルメールを見つけ出して、名前をあげたいと思っている野心家。かなり色々と事情があるらしい。修復師としての才能を持ち、何もかも恵まれて見える大和竹流にかなり嫉妬している気配もあり。

蓮生家
村上と荒川にそれぞれ屋敷がある古い名家。その昔は北前船で大もうけをしていた。日本海を挟んで大陸とも交易があった時代からの財産が、以前はごっそりあったようだが、今では落ちぶれた古い家。しかし日露戦争の後で、ロシア皇帝の末裔から色々預かり物をしていたというわけで、皇帝の血筋の女性を預かっていたという噂もあった。
村上の下蓮生の前当主は死に掛けのボケた爺さんで、子どもの頃に見た金髪の女の幻に苦しめられている。現当主はいやらしいおっさん。荒川の上蓮生の当主は女性(千草)で、誇り高い女。実はロシア人女性の血を引いている。

村野 耕治
既に死んでいるが、亡霊のような存在。死因は癌。以前、澤田顕一郎の秘書だった。もともとは澤田家と縁戚関係だが、確執があり、追われるように大分を出て、新潟の蓮生家の世話になっていたことがある。九州に戻って、澤田と同じ九州日報で働いていたが、密かに澤田への嫉妬心から刃を磨いていた様子。
村野耕治の父親は、戦時中の軍の阿片使用の民間協力者。相当の阿片・大麻を扱っており、息子の耕治も協力していた。戦後もそれをネタに日本国・米国・ソ連など大国幹部を強請っていた気配がある。
村野と澤田の物語は第5節でまた展開いたします。

村野 花
昔澤田の恋人だったが、仕事にかまけている澤田を待ちきれず、村野耕治と関係を持ち、結婚した女性。村野との間に子どもが一人、その後は財閥の大物と関係を持ち、子どもを作っている(それが楢崎志穂と御蔵皐月)。それをネタにこの財閥の大物を強請り尽くしていたらしい。強請りたかり夫婦だな。
かなり官能的で蠱惑的な女だったと思われる。
ついでに、自分の楽しみなのか、誰かへのあてつけなのか、残虐なビデオを作っていたらしい。

草薙 謙二
村野耕治と花の息子。とはいえ、本人はもう開き直っているため、出生についてはどうとも思っていない。新宿のバー『シャッフルズ』のオーナーで、他にも幾つか店を持っているよう。御蔵皐月の件で大和竹流と接触していたが、他にもいろいろ知っているよう。夜の世界を生きている人間、というイメージだが、行き場のない密入国者の子どもを引き取っていたり、奇妙な面もある。

寺崎 孝雄
寺崎昂司の父親で運送会社を経営している。主に美術品を運送する会社。裏稼業でとんでもないビデオを作っている(そのパートナーが村野花)。ビデオでは子どもを虐待するようなものや、死ぬまで人を痛めつけるようなものを作っているとんでもない男。その上、自分の息子までいたぶっていたというが…

ビッグ・ジョー
六本木の外国人ヤクザの元締め。その昔、麻薬密輸ルート欲しさに、大和竹流の持っている美術品輸入ルートに手を出そうと、深く考えもせずに相川真をさらって、結果として痛い目にあった。今も大和竹流にはいい感情を持っていないが、ビジネスはビジネス、というので、チェザーレ・ヴォルテラに協力している。

 
関連記事
スポンサーサイト

Category: ☆登場人物紹介・断片

tb 0 : cm 6   

コメント


こんばんは~

あの……凄いですぅ。
これだけたくさんのキャラクターをこれだけきちんと設定して描けるなんて、サキには驚き以外の何物でもありません。
すみませんが、この設定をすべてきちんと読んだわけではありません。でも、ザッと読み込むだけでこの物語【海に落ちる雨】とっても面白そうです。
でも、量が多そうなのでちょっと躊躇してしまいますね。サキは読み込むのに時間を必要とするので、あまり手を広げると自分の作品を作る時間を作れなくなるんですよ。
自分のペースをよく考えてからゆっくりとチャレンジしたいなぁ。と、この記事を読みながら思いました。
彩洋さんの緻密さに脱帽のサキと先です。

またまいります。

山西 サキ #0t8Ai07g | URL | 2013/09/30 00:01 [edit]


おお。

改めてこうやって登場人物を列挙されると、その多さと、緻密な設定に驚きます。
上のコメのサキさんとおなじく、脱帽と尊敬です。

でも、この人物たちがほぼ、誰なのかが分かるところが、嬉しい^^ちゃんと読めてるなあ~と。

このあとも、ちょっと記憶があやふやになったら、ここに来ておさらいします^^
ありがたいです。
しかし、これを書き出すだけで、すごい時間がかかったのでは・・・と。ふと。
もう、これだけでひとつの壮大な物語のようです。

lime #GCA3nAmE | URL | 2013/09/30 08:09 [edit]


サキさん、ありがとうございます(^^)

サキさん、再びありがとうございます。
ちゃんと設定しているかどうかは、実は「??」なのですけれど、書いているうちに増えて来ちゃって。
レギュラーのキャラクターだけでも、時代が進むとまだまだいるのです。
そもそもこの中には真の嫁も入っていないし……^^;
でも、それもこれもこの話が長いからなんですね。
それにもう長い期間、この物語の世界で遊んでいるので、自然に彼らがそこにいる感覚になっちゃっています。そうしているうちにさらに尾ひれはひれが引っ付いて、現在に至る、というわけで……
単に、年季の問題だけかもしれません^^;
年季とともに熟成したらいいのですが、それはどうかしら??

【海に落ちる雨】は真の物語として、ブログでは2作目になります。
1作目の【清明の雪】は、大好きな世界をてんこ盛りにしてファンタジックなミステリーもどきになっていますが、【海に落ちる雨】の方は現実路線。丁度裏表の関係になっていて、陰陽物語、と自分の中では呼んでいます。しかも実はタイトルは気象シリーズとも言えるかも?
雪(清明の雪)→雨(海に落ちる雨)→星(雪原の星月夜)……以下……未定。

短編ですんなりとまとめられたり、あるいは流し読みができるように縦書きで本みたいにして読めたりしたら、きっと、もう少しとっつきやすいと思うのですが、長いとやっぱりとっつきが悪いですよね。
それで、短編として【幻の猫】(夕さんちの大道芸人さんたちも登場)みたいなものも書いてみました。
でも、本当にすぐ長くなってしまうんですよ。【清明の雪】はもともとの長さを3分の1くらいカットしてあの長さ……端的にまとめるって本当に大事だなぁと思う今日この頃です。

サキさんと同じように、私も手を広げ過ぎると大変だなぁと思うし、ブログを始めて実際に書く時間が減ったかなぁと思う時があります。一番の理由はリアル仕事なのですけれど。
でも、ブログを始めて、読むことで刺激も受けているし、交流も楽しいので、いいことの方が多いのですけれど。自分のペースを上手く作っていかなきゃですね。
コメントありがとうございました(*^_^*)

彩洋→サキさん #nLQskDKw | URL | 2013/10/01 05:10 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

いえいえいえ、これはもう、まとめる能力のないことを暴露しているようなものですね。
(一応、頭の中には流れはあるのですけれど…それでもこんがらがる。じゃあ、書きだしなさい!ってなものなのですが^^;^^;^^;)
limeさんのように緻密な設定を作っていないので、書いていくうちにカオス状態になっていくという、悪い例の典型になっております^^;
こんがらがる…・・まさにこれがこの物語のテーマでもあるけれど、一応、こんがらがった関係は最後には「何と何がつながっていて、連鎖していて、ここに至ったか」ということが解けるはずなんですけれど。
大丈夫かな??
もちろん、真のような下々には知らされないこともたくさんあると思うのですけれど。
 
> でも、この人物たちがほぼ、誰なのかが分かるところが、嬉しい^^ちゃんと読めてるなあ~と。
なんと、ありがたいことを仰って下さいます。
この人誰だっけ、というのが何となく分かってくださるだけでも大変と思うのですが、さすがにこれだけ伏線張って、人を絡めて、読者をけむに巻く作戦で挑んでも、物書きの人の頭はえらいものです……さすが、プロットを見事に組むlimeさんですね~
> このあとも、ちょっと記憶があやふやになったら、ここに来ておさらいします^^
はい、よろしくお願いいたします(*^_^*)

> しかし、これを書き出すだけで、すごい時間がかかったのでは・・・と。ふと。
> もう、これだけでひとつの壮大な物語のようです。
そうそう、本当にね、まともに読むのも大変ですよね。
もちろん、飛ばし読み、端折り読みで大いに結構なのですが……
これは実はもう何年も何年も前に書いたものですけれど、書きながら、相川家の歴史をおさらいしていたのです。何しろ、開拓時代に東北から移住してきたとかいう頃からの歴史を頭の中でころころ転がしているうちが楽しかったので(^^)
友人とコピー誌を作っていたころ、連載していたのは、武史と功の物語と、真亡き後のジョルジョと慎一の物語。なぜ父親の話と息子の話を書いて、主人公を避けていたんだろう!?
多分、大事すぎて手を出せなかったのかも……
こうして人物の方から書き出していくと、それぞれの関係が明確になっていいですよね。
特に、イチオシは、真の爺ちゃんの長一郎と竹流の関係。
何故か馬が合うらしく、一緒に飲みながら一晩中歴史談義ですから……
竹流って、実は、女といるよりも、腕に覚えのある年寄りと一緒にいるのが好きなんですよ。
変な人……^^;
このコーナー、実はインタビュアー・美和による突撃コーナーもあるのです。
またいずれ、ご披露いたしますね。
ちょっと際どいことをずけずけ聞いていますから(さすが美和ちゃん!)、なかなか出しにくいこともありまして^^;^^;^^;
お暇なときに、またつまみ食いしてやってくださいませね。
コメント、ありがとうございました(*^_^*)

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2013/10/01 05:48 [edit]


復習と予習^^ これは凄いですね。
大海さんの頭の中に収まっている分にはシナプスレベルの収納かもしれませんが、文字に起こすと本当に凄いです。

そして、これ以上のものがまたどこかに収まっていると想像すると、膨大ですね~~。人間の脳って、いや、大海さんの脳がものすごーいです。やっぱり見たい。

人って、それぞれにドラマがあるので、みんなのドラマを取りまとめている大海さんはホント・・・面倒見が良い・・・じゃなくて、なんだろ・・・謎の庭師。いや、表現できん(><)

なかなか大海さんの執筆の(アップの)ペースについていけなくてジレンマなのですが、しっかりと真(とみんな)を追って行きたいです。真がぐっすりと眠れる日が来るまで^^ ←こんな日、来ます?

けい #- | URL | 2014/04/29 21:10 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

すみません、こんなややこしい話で……((+_+))
これ、第3節まで見せた時に、友人が「登場人物が多すぎるからリストを作れ」と言ってくれて、書いたものです。確かに、名前のない人まで入れると、源氏物語ばりに登場人物が多いです。
けいさんが書かれているみたいに、相関図が書けたらいいのだけれど……

それにしても、limeさんと違ってプロットをちゃんと書かない私……もちろん大筋は決めてあるものの、細かい点は書いた後から枝葉・伏線・エピソードを拾いまくるのです^^; 
だから辻褄が合っていないところがまだ残っているのかも。
でも、現実って、こんな感じですよね。あれこれ絡まっていて、沢山の「どうでもいいこと」の中から「本当に関係しているもの」だけを抽出していく過程。もちろん、それぞれちゃんと絡まっているのですけれど。
だから、読んでくださっている方にはものすごく不親切ですよね。
反省しきりです。

> 人って、それぞれにドラマがあるので、みんなのドラマを取りまとめている大海さんはホント・・・面倒見が良い・・・じゃなくて、なんだろ・・・謎の庭師。いや、表現できん(><)
あぁ、そう感じてくださるのはとても嬉しいです。そう、みんなにドラマがある。
このお話はそもそも「出来事や人間関係にはそれぞれ緩い繋がりがあって、ちょっとした出来事が絡み合ってこんなことに……」みたいなお話なのです。
でも、「本気で悪い奴」も実はいる^^;

> なかなか大海さんの執筆の(アップの)ペースについていけなくてジレンマなのですが、しっかりと真(とみんな)を追って行きたいです。真がぐっすりと眠れる日が来るまで^^ ←こんな日、来ます?
アップのスピード、速すぎます?
う~む。何だか書きあがっている作品なので、逆にどういうテンポでアップすればいいのか分からなくて……
もうちょっとゆっくりにするかなぁ……でもこの話、あんまりだらだらしていると、だれちゃうという……
少々のことは目を瞑って、飛ばし読みしてください^^;
真がぐっすり眠れる日……来るかなぁ。
実は、ちょっとネタバレですけれど、このお話の後、一時的にイタリアでしばらく暮らすのですけれど、それでもなかなかぐっすり眠れなくて。ただ、ナポリである日、ちょっと幸せな日が……確かに「幸せな日」=「ぐっすり眠れている」!
不安の多い中、竹流のお兄ちゃん(チェザーレのもう一人の息子)とヴォルテラ家のお抱え医師(のんべぇ)と一緒にナポリにいる時……って、逆にそこまでないんかい!って話ですね^^;

ゆっくり、お付き合いくださいませ。
コメントありがとうございました(*^_^*)

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/30 20:36 [edit]

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://oomisayo.blog.fc2.com/tb.php/323-83d74213
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)