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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【石紀行】11. 熊本:拝ヶ石、とおまけの古墳 

 
さて熊本市から海側(西)へ30分ほど行くと、金峰山という山があります。
熊本市を見渡せる展望台はなかなか良いそうで、夜景も楽しめるようです。
その周囲には夏目漱石にまつわる名所がいくつかあります。

『山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い。』

大好きな『草枕』の冒頭なので、たくさん載せてしまった。
この「山路」=鎌研坂があるのがこの金峰山の周囲です。
石畳の道というのがあって、草枕ハイキングコースと言われています。熊本と高瀬(玉名)の町を結ぶ往還(幹線道)で、当時の面影を残しているそうです。
時間がなくて、この道に行くことができなかったのですが、上の写真の道を石畳に変えて、そして道の両脇の木を竹に変えて想像してください^^;

DSCN2217_convert_20131102071140.jpg
路は途中からこんなふうに階段を上っていくことになります。
15分ばかりひたすら登り続けるのですが。
実はこの日、熊本の少し北にある山鹿温泉に泊まることになっていて、しかも熊本城で遊びすぎて(楽しかった熊本城→熊本城の記事)、時間が無くなっておりました。
でもここまで来たのだから、と必死で山の中へ。

書くのは簡単ですが、例のごとく「拝ヶ石」とナビに入れても、連れて行ってくれるわけではなく、地図を頼りに、後は動物的感で、工事中とか迂回しろという看板を潜り抜け、たどり着いたのはもう夕方。
迷っている暇はない、というので、その辺の山道の適当な場所に車を残し、この道を登って行きました。

ここほど、蚊の大群に襲いかかられた場所はありませんでした。
夕方、蚊の大群、条件が最悪で、結構写真のピントがぶれていますね……少し写真が見にくかったらごめんなさい。
DSCN2259_convert_20131102070945.jpg
この登り口さえ発見できれば、後は登るだけです。行きましょう!
途中、道から少し奥に入ったところに、ゴロン、と石がひとつ転がっています。
DSCN2255_convert_20131102082459.jpg←ちょっと道から離れている。
方位石』と言います。
DSCN2214_convert_20131102071349.jpg
説明文には以下のようにあります。
「この石は三の岳と拝ヶ石を結ぶ線上にある。表面にはレリーフ状の模様と、星座を思わせるペッキング穴があり、強烈な磁気異常もある」
DSCN2215_convert_20131102082415.jpg

さらに登って行きます。
DSCN2253_convert_20131102071854.jpg
路が階段に変わるところに杖が置かれています。
頑張って登るところは省略します(^^)
止まったら刺される!というのはここでも炸裂。頑張りました。既に夕暮れで、暗くなる前に降りなくちゃ!
というわけで、途中経過を省略します。
階段が途切れると、間もなく、拝ヶ石です。2連発でどうぞ。
DSCN2248_convert_20131102071809.jpg
DSCN2247_convert_20131102072619.jpg
小さな祠の右側には、このような、かの巨石パークの『龍の石』みたいな巨石が、山を這い登っています。
DSCN2224_convert_20131102071626.jpg
祠の左側には石が並んでいます。
DSCN2227_convert_20131102071557.jpg
ところで、この裏側に回ってみると……石がゴロゴロ。
DSCN2233_convert_20131102072014.jpg
DSCN2237_convert_20131102072655.jpg
DSCN2238_convert_20131102072123.jpg
本当ならこれらの石の上に座ってくつろぎたいところですが、蚊が……蚊が~~~!
というわけで、急いで山を降ります。

拝ヶ石巨石群。
説明文は以下の通り。
『巨石文明の遺跡ではないかという説もありましたが、その後の調査で中世の宗教遺跡ではないかと考えられています。最近、巨石の表面にペトログラフと言われる古代文字が刻まれていると一部の研究者の間で話題になったり、磁気異常が発見されるなど、神秘的なスポットとして注目を集めています』
DSCN2221_convert_20131102113531.jpg
上は、階段から石が見えた瞬間。

いかにも、急いでいるような記事ですが、夕暮れで、妙な時間に山の中にいると危ないと思ったので、本当に急ぎ足になっちゃいました。
でも、ここ、パワーを感じます。確かに何か『中世的な』ムードが感じられるかも。
呪術とかしていたとしてもおかしくない感じで、あえて言うと、京都の貴船神社の原始版みたいなムードです。
行ってみると、何かの力を感じるかもしれません。
できれば、秋がいいですね! 夏は~~~(V)o¥o(V)

このさらに上の頂上にも石があるようですが、時間がなくて上がれませんでした。
またゆっくり、草枕の世界に浸りに来ることにしましょう。
いずれにせよ、熊本にはまた絶対に行くことになるのですから。


さて、おまけです。
九州には、装飾古墳と言われる古墳がものすごくたくさんあります。全国で800基ほどの装飾古墳のうち半数が九州にあり、しかも熊本県にかなり集中してあるようです。
古墳の内部の壁や石棺に浮彫、線刻、彩色などがあるものを総称してそう呼ばれているのです。
今回、昨年来たときには入れなかった(月曜日で博物館がお休みだったので)『チブサン古墳』を見てきました。
この古墳を見せていただくには、山鹿市立博物館に申し込みます。当日でOK。
1日に2回、指定された時間があります。その時間に行けば、案内してもらえます。
DSCN2007_convert_20131102073432.jpg
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この扉の向こうが、狭い石室に繋がっています。
もちろん、撮影は禁止なので、外にあるレプリカをご覧ください。
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目の前にあるわけではなくて、ガラス張りの向こうの遠くの方にあるので、クリアに見えるわけではないのですが、しかも天井が低くて屈んでいなければならないし、見える場所に立てるのは(座れる?)せいぜい一人。
大人数ならじっくり見ることは叶わないと思いますので、平日はお勧め。
この左端の方にあるのものが女性の乳房に似ているというので「チブサン古墳」と言われているのですが、わたしには目玉に見えます。
もちろん説は色々あって、それもまた楽しいですね。宇宙人みたいなのと星らしい丸も描かれています。
装飾古墳の中は赤く塗られていることが多くて、これは再生の色、つまり子宮の中の色をイメージしているようです。
同じように赤のイメージを再生に結びつけているのは、マルタ島の地下遺跡にも見られます。

九州では装飾古墳を巡るツアーが春と秋の季節のいい時に行われています。
すぐ人数がいっぱいになる人気のバスツアーで、この時しか公開されない古墳がたくさんあります。
妙な季節に開けると、中の装飾がダメになってしまうからのようですが、いつかこのチブサン古墳も、年に数回しか見られなくなるのかもしれません。

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九州の古墳には、周囲に石人と言われる石造彫刻が飾り立てられていたと言います。
埴輪のでっかいものみたいなのでしょうか。
阿蘇溶結凝灰岩を材料として作られているものが多く、もともとは彩色もされていたようです。
古墳を守る兵士です。中国の兵馬俑みたいですね。
これはもちろん、公園の目印に立てられている石人のオブジェで、後ろ姿ですけれど、風景に溶け込んでいい感じです。

ここは熊本県の菊水にある肥後古代の森です。
公園の中には古墳や、貝塚の遺跡、古民家の村などあれこれ雑多なものが。
そのうち、江田船山遺跡には入ることができます。
DSCN2022_convert_20131102073729.jpg
DSCN2021_convert_20131102073838.jpg
実は江田船山古墳って、皆さん、一度は目にしているはず。
江田船山古墳出土の大刀に象嵌された文字がわが国で最初の漢字使用例として取り上げられていて、教科書に出てきたはずなのです。
(今では、日本における漢字の歴史はもっと遡られています)
中はこんな感じ。勝手に扉を開けて入ることができます。
DSCN2014_convert_20131102073546.jpg
微かに、赤い色が残っているの、見えますでしょうか。
DSCN2016_convert_20131102073629.jpg
ほんの少しだけ残った古代の色。ちょっと感動的だと思いませんか。
やはり、古墳、石棺の中では、赤という色に再生への願いが込められていたのですね。

寄り道しましたが、次回は大分の安心院に参ります。
そう、鏝絵のあった村です。そこに、ストーンサークルがあるのです。

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Category: 石の紀行文(写真つき)

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コメント


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# |  | 2013/11/02 11:05 [edit]


鍵コメH様、ありがとうございます(^^)

わぁ、モッタイナイないお言葉! 痛み入ります。嬉しいです。
巨石に関しては、日本に数人、本を出している方々がいて、私もそれらの本を参考にさせていただいて石を巡っているのです。
もっとも、すごく詳しく書かれているわけではないし、沢山の石のことが書いてある本は内容が薄かったり、比較的詳しいものは載せてある数が少なかったりで、結局は地図や現地の観光案内とにらめっこ。
場所とか地図とか、正確なことは、大概行ってみるまで分からなくて、しかも現地の人に聞いても分からないこともあったり……で、つねに冒険混じりなのですが。
本とかネット情報ではなかなかつかめないことがあるのだなぁと思うのですが、もう慣れちゃったのです。
思えば、最初の大冒険は、イタリアである映画監督が作品中に使った教会を見たくて、イタリアの大きな地図を取り寄せて、とにかく、一番近い駅まで行ってみたら何とかなるだろう!というので田舎の聞いたこともない駅に降り立った時でしょうか。英語も全く通じない、日本人皆無の田舎町。人々の優しさに支えられて、たどり着いた感動が忘れられません。
求めよ、さらば与えられん??

でも何より、この拙い記事で、楽しんでいただけるのが嬉しいです!!
石たちも無茶苦茶喜んでいるに違いありません。
九州の石紀行、まだまだ続きます。実はイチオシのすごい石があるのです。
そこは天に開けた場所だったので、蚊はあまりおらず、トレッキングの必要もなく(車で行ける)、でもあまりにも辺鄙なのか人はあまりいない(犬の散歩の人とかはいたけれど)、素晴らしいところでした。
乞うご期待!
いつも読んでいただいて、ありがとうございます!

彩洋→鍵コメH様 #nLQskDKw | URL | 2013/11/02 12:05 [edit]


そういえば、方位を示すような石もあるでしょうね。
意図をもつということでは、人のものですが。
そういうことの思いが込められている石もあるのが良いですよね。
その先に北極星があるとか。

LandM #- | URL | 2013/11/02 17:49 [edit]


 こんばんは。
龍の石がーーーー なにか ツチノコの集団のようで可愛いと思ってしまった…
磁気異常かぁーー 肩こりが取れるとか 馬鹿な話は置いといて。
湯治の様に この場所に数日いると体調がよくなるとかありそう。
うん 凄く基本的な疑問だけど 巨石文明って何処から来たものなのだろう。
学校で教える歴史では あまり触れない部分ですからね…
何処からきて 何処へ消えたのか 結構日本各地に残っていますからね 不思議です。

チブサン古墳 面白いですねーー 凄い大胆で可愛い絵。
おおっ 次はストーンサークルですか 楽しみです。

ウゾ #- | URL | 2013/11/02 18:56 [edit]


LandMさん、ありがとうございます(^^)

いつもありがとうございます。
それが、方位石とは書いてあるのですが、どう方位なのか、イマイチよく分からないのです。
でもこの石には妙に線刻らしきものがあります。自然の造形なのかもしれませんが、もしかするとカレンダー的なものだったのかしらと思ったり。
確かに、天体とは関係しているのかも知れないですね。
北極星、ありかも!
この石、本当に周りに何もないところにぽつん、とあるのです。
意図的な気がするのは、大きさもあります。
あまり大きくないので、十分に移動可能であったと思うのですね。
当時の地形はどうだったんだろうと、不思議な気持ちになりました。
次回は、大分のストーンサークルです。またよろしくお願いいたします(^^)

彩洋→LandMさん #nLQskDKw | URL | 2013/11/03 01:09 [edit]


ウゾさん、ありがとうございます(^^)

本当だ! ツチノコと言われたら、ツチノコっぽいです。
妙に可愛らしいというのも分かります(^^)

> 磁気異常かぁーー 肩こりが取れるとか 馬鹿な話は置いといて。
実はこれ、私もいつも考えるのです!
私もすごい肩こりで、磁気異常とか書いてある度に、どのくらいいたら肩こり治るのかしら、とか考えてしまう…でも、今のところ治った例はありません。ちなみに、今回は蚊の大群に襲いかかられていたので、時間制限が^^; 写真撮るのも、蚊を払い続けながらという過酷(?)な状況でしたので……^^;
そうか、今度近くに泊まって、毎日通ってみたらいいのかしら???

> うん 凄く基本的な疑問だけど 巨石文明って何処から来たものなのだろう。
> 学校で教える歴史では あまり触れない部分ですからね…
> 何処からきて 何処へ消えたのか 結構日本各地に残っていますからね 不思議です。
う~ん、どうなんでしょうね。
こういう石って、そもそも石が加工された、あるいは祀られた年代が分かるわけでもないですものね。
山岳信仰は中世に多くみられたようですから、山の中に入ってこれらの石を発見したのなら、そういう時代と関係しているのかもしれません。山に入ってみたらでかい石が~、ありがたや~、ということになったとか。
あるいは、石と石の隙間から夏至や冬至の太陽が……という石も多いので、農耕や狩猟と関係していたものもあるのかもしれませんが、その場合はまるきり不明ですよね。
暦がちゃんと作られたのは江戸時代ですから、それ以前ならいつもでありということになる。江戸時代かもしれないし、もしかすると弥生、縄文、あるいは先史時代かもしれないし。
世界のものは、もう少し以前のものと分かっているものもあるし、意外に新しいものもあるようです。
学校では出てきませんね……^^;
あまりにも分からないこと過ぎて、どちらかというと宗教みたいで……^^;

> チブサン古墳 面白いですねーー 凄い大胆で可愛い絵。
でも、どう見ても目玉に見えませんか??
ただ、再生=子宮と関係しているのはお乳、と言われたそうかもしれないのですけれど。
目玉って魔よけじゃないですか。だからお墓の中に魔よけのつもりで描いたのかなぁと。
でも、何であっても、愛嬌があっていいですよね!

> おおっ 次はストーンサークルですか 楽しみです。
はい。ストーンサークル、お楽しみに! っても、多分結構あっさりかも……^^;
その後の大分の某山の石にもご期待ください(*^_^*)

彩洋→ウゾさん #nLQskDKw | URL | 2013/11/03 01:26 [edit]


今度は「熊本」の「拝が石」なんですね。
名前で現されるように、やはり「信仰」とむすびついているのでしょうかねえ?
ちょっと高い見晴らしの良い所に有るみたいなので、お天道様もよく見えるのかな?
此処に登って、古代人はお天道様と巨石を拝んでいたのかしら・・・なんて想像しています。
もちろん「豊穣」を願って・・・。
お正月なんかに登ったら、厳かな気持ちになれるのか。

ペチュニア #- | URL | 2013/11/03 18:31 [edit]


ペチュニアさん、ありがとうございます(^^)

そうですね、そう言えば、この石の命名は誰がいつつけたんでしょう??
いかにも、って感じの名前ですよね。
中世の宗教遺跡というので、山岳信仰の一部なのかと思っていました。
この石のあるところは、ただの山の中みたいで、あまり見晴らしがよくないのですが、もう少し上がったら見晴らしのいいところもあるようです。金峰山自体ではないので、ずいぶん低いような気はしますが……
> 此処に登って、古代人はお天道様と巨石を拝んでいたのかしら・・・なんて想像しています。
そうですよね、多分、巨石の一部って暦とか天体観測とは関係していると思うのですよね。
でも、ただ大きいだけで、神が宿っているような気がするからなのかな。
お正月に登る、確かにそれいいかもしれません!
九州には本当にいい石がありますよね~。羨ましいです。
コメントありがとうございました(*^_^*)

彩洋→ペチュニアさん #nLQskDKw | URL | 2013/11/04 00:51 [edit]

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