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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【奇跡を売る店】サンタクロース殺人事件(5) 

【奇跡を売る店】(5)です。
わはは~ 多分、笑ってますよね^^; 長くてびっくりなので、2回に切りました。
クリスマスの話を来年に持ち越したくないので、今日中に2話分ともアップしますが、ゆっくり冬休みにでもお楽しみくださいませ……^^;^^;
実は、下書き(というのか推敲前本体)を書き起こした後で、ワンシーン加えちゃったのです。
それは笙子たち『華蓮』のライブシーン。しかも、ちょっと歌詞を書いてみました。
詩は学校の授業以来書いたことがないので、ダメダメですが、笑って読んでくださいませ。
あんまりロックな曲じゃないのですけれど。まるで演歌??
こんなことをしているから、長くなってしまっているのですね。

お正月には【迷探偵マコトの事件簿】マコトの冬休み:マコト、初めての北海道~X-fileをお送りします(*^_^*)
タケルと一緒にスキーだよ\(^o^)/
こちらもお楽しみに。





どうしても決められない時
あたしはあたしの中にいる
本当のあたしに聞いてみるんだ
あたしはどうしたいの
でもあたしは答えない
答えを知らないんだ
誰も教えてはくれなかったから
それなら
あたしは答えを探しに行こう
だからあたしは
あたしだけが知っている道を行く

 きぃーんと腹に食いついてくるサウンドだ。
 ボーイッシュに髪を刈り上げたギタリストの絃は暴れるヴォーカルに見事に絡みつく。そのもがく様なヴォーカルとギターの闘いを支えているベースの音は、海鳴りのようにも聞こえる。ステージまで距離があるにもかかわらず、正統派美人ベーシストのくっきりとした顔立ちは人目を惹く。
 そしてドラムを叩いているのが、セクシーダイナマイト系のリーダーだった。確実なリズムだが、ヴォーカルの癖を読んで揺らぐときには心地よく揺らぐ。このグループの曲を全てアレンジしているのはキーボードの優等生風美女だった。蓮も最近知ったのだが、音大のピアノ科の学生で、国内のコンクールで入賞したこともあるのだという。

 そして、彼らをバックにして、まるで高校生のような幼い顔をした笙子が立っている。登場した時も、熱狂する聴衆に目を合わせまいとするかのように、視線をちょっと下に向けていた。それなのに、ドラムのスティックが鳴った瞬間、きっと目を上げた笙子に蓮はびくっとした。

 彼女の咽喉から迸る声は、胸のど真ん中に飛び込んできた。音がはっきりと聞こえる。リズムやメロディーもいいが、この自己主張が強そうなサウンドの波の中で、笙子の声は明瞭に聞き取れた。
 高音が確かな高さに一気に駆け上がる。その音を聴きたいと願うところに、一瞬で連れて行かれる感じだ。そして、その高みで、彼女と同じ景色を見る。
 技術と言うよりも、これは天性のものだと思った。もちろん、何らかのトレーニングはしているのだろうが、人を惹きつける力は、やはり特定の誰かに与えられた天賦のものだという気がする。

 それにしても、西田幾多郎か坂本龍馬みたいな歌だ。『道』というタイトルだと紹介されていた。
 歌詞はすべて笙子が書いているのだと聞いた。曲はそれぞれが持ち寄るらしい。
 蓮はふと、スタンディングで身体を揺らしながら熱狂する聴衆を見回した。若い男女ばかりだが、中に明らかに異質な連中が混じっている。
 いかにも業界人らしい連中だ。『華恋』を吟味している。いや、あるいは既に争奪戦なのかもしれない。
 オールスタンディングのライブハウスは満員だった。外の寒さなど全く入り込むすきまがないくらい、ここには熱がこもっている。
「あたしこの歌好き!」
 誰かが近くで叫んだ声が聞こえた。叫ばないと聞こえない。いや、叫んでも聞こえない。

 その時、一瞬、サビに移る前に、笙子が歌を止めた。
 歌詞を忘れたのかと思った。
 聴衆はあれ、という気配を見せた。
 だが、メンバーはそのまま、まるで促すように演奏を続けている。あるいはそういうアレンジだったのかと思った途端、笙子の声がいきなり高い所から振り下ろされるように胸に飛び込んできた。
 あたしだけが知っている道を行く
 後で、笙子に坂本龍馬のファンかどうか、聞いてみようと思った。

 それにしてもおかしなことになっている。
 蓮は隣に立っている海を見る。
 海の外観には特別目立つところはない。化粧気もないし、特別優れたところなどない。忙しくなってくると、私って不細工になってるよね、とよく彼女は言っているが、確かにいささか険しい顔をしていることがある。ただ、笑うと可愛らしい。
 海の目は笙子に釘づけだった。この店に入った時は、周囲を見回して、自分の服が地味だ、絶対浮いてるよねと心配していた海も、今ではもう何も気にならなくなっているようだ。

 海の向こうに舟が立っている。曲の合間に舟が海に何か囁いている。
 周囲のざわめきで蓮には聞こえない。この二人、こんなに仲が良かったか。
 確かに、蓮と海が付き合ってた頃、舟には紹介してあった。
 初めて会ったとき、可愛い子だね、と海は言った。可愛いなんてとんでもない。中学生の時には既に女を経験していた。男の方はいつが初めてだったのか知らない。

 笙子に連絡をして会って話したいことがあると言ったら、ライブに来て欲しいと言われた。しかも、舟を連れて来てほしいと言う。
 無理な注文だと思いながらも、朝、事務所で別れた舟に連絡をしたら、普段は滅多に電話に出ないやつなのに、珍しく出た。海ちゃんと一緒ならいいよ、と妙な提案をされた。
 海は忙しいから無理だろうと言ったが、一応連絡してみたら、海も珍しく二つ返事だった。
 問題なのはむしろ蓮のほうだった。この年末の忙しい時期、急に休みをくれと言って休めるだろうか。と思ったら、ママはあっさりOKしてくれた。

 蓮、あんたは働き過ぎよ。
 確かに、普段のシフトでは蓮の休みは日曜日だ。にこと一緒にいる時間を作ってやろうと思ったのと、寺は日曜日が何かと忙しいので、手伝うためだった。日曜日は観光客は多いが、探偵事務所の依頼者は少ないし、丁度良かった。いや、にこは休みだと言っても、蓮を無視して一人遊びしているし、依頼者は日曜日でなくても少ないのが実情なのだが。
 この十二月、蓮は自ら休みを返上して働いていた。

 時々、うねる様な音の波の中で、海の身体が蓮に触れる。だが、こうしてすぐ側で身体が触れても、蓮はもう何とも思わなくなっている自分を感じる。学生時代はちょっと手や腕が触れるだけでドキドキしていた。海も同じなのか、婚約を解消してからの方が、現実の身体の距離はずっと近い。二人がよく通っている行きつけの飲み屋でも、皆が不思議がる。逆にベッドを共にすることがなくなってからのほうが、居心地は悪くないのだ。
 三人はステージから離れた扉の近くに立っていた。客席側は暗いので、笙子が自分たちに気が付いているかどうかは分からなかった。

「みんな、調子はどうだい?」
「絶好調!」
「まだまだ行けるかい?」
「どこまでも!」
 聴衆は声を揃えている。この掛け合いはお決まりらしい。
『華恋』のMCは笙子ではなく、正統派美人、ギタリストの夏菜が務めている。笙子は、歌うのはともかく、こんなところで器用に話すのは無理だということらしい。
「じゃあ次は、クリスマスにちなんで、恋の歌をお贈りするよ。と言っても、ちょっと切ない歌なんだ。だからクリスマスイヴには歌わないから、今日が今年の聞き納め。みんな、ラッキーだったね」

 皆が笑っている。だが、ギター一本のイントロが始まった瞬間、聴衆は静まり返る。俯いていた笙子が顔を上げた。
 その時、笙子の目は真っ直ぐに蓮たちのいる方向を見ていた気がする。
 見ていたのがそこではなくても、何かがすとん、と笙子の中で腑に落ちたというのか、変わったような気配があった。笙子は、始めてステージの前方へ歩いてきた。歩いてきて、まるで目の前の誰かに語りかけるように歌い始めた。

華やかに街の灯りが揺れる夜
誰かに呼び止められた気がして
ふと足を止める
振り返っても誰もいないことは
知っているのに
氷の上に落ちる雪は
そのまま氷になる
あなたに届かないこの心と同じ
あたしには分からない言葉がある
愛とか恋とか、まるで異国の言葉のよう
ただあなたを想うと
この胸は苦しくて切なくて
どうしようもないのに
心の中には真っ白な別の世界があるように
充たされている

 曲がサビに入る前に、ふいと舟が出ていった。海が気が付いて、一瞬ステージと蓮を見てから追いかけていく。
 蓮は歌詞に後ろ髪を引かれるような思いで、少し遅れてから二人の後を追った。
 ライブハウスのざわめきは扉一枚で非現実となる。狭くて暗い廊下には誰の影もないが、階段を上った先から街の灯りと賑わいが降ってくる。階段に二人の脚が、まるで寄り添うように見えいていた。
「後、頼むね、海ちゃん。やっぱり、あぁいうの、苦手なんや」
 蓮は階段の方へ歩きかけて足を止めた。

「舟くん、私、舟くんが来るって言うから、来たんよ」
「分かってる。ねぇ、海ちゃん。俺、今誰よりも信頼してるの、海ちゃんなんや。だから、蓮にも何も言わんといて。またいつか、自分から話すから」
 じゃあ、という舟の声と階段を上っていく足音が聞こえた。
 思わず、蓮は冷たい壁に背中を引っ付けていた。
 しばらく止まったままだった海の脚が階段を引き返してくる。

 海は蓮に気が付いてぴたりと足を止めた。
「何の話や」
「知らん」
「海」
 珍しく海は怒ったような顔をした。蓮もはっと言葉を呑み込んだ。
 婚約を解消してからはずっと、釈迦堂君、如月さんと苗字で呼び合っていた。始めは意識していたが、今では少し慣れてきたところだった。もっとも滅多に名前で呼びかけることはないから、蓮の心の中では、まだ海は海だった。
 恋人同士だった昔には戻らないよ、とでも言うように、海がはっきりと蓮に呼びかける。
「釈迦堂君はいつも、自分でいっぱいいっぱいやもんね。私も帰る」
 いつの間に、海と舟が個人的に会話を交わすようになっていたのだろう。しかも、蓮にも話せないような大事なことを分かち合う間柄だということなのか。

 蓮はライブハウスの中に戻る気がしなくて、そのまま冷たい廊下で立ちすくんでいた。ライブハウスの熱を持ち出していたから、身体はまだ火照っていた。それでも十二月の暮れの空気は残酷なまでに冷たい。
 このまま凍りつくかと思った頃に、熱狂していた聴衆が何人か出てきた。
「今日のショウコ、いつもに増してキンキンやったね」
「スカウトがいっぱい来とったからとちゃうん?」
「ショウコ、吹っ切れたみたいやな」
「そうそう、あの子、歌はすごいけど、あんまりステージの前の方に出てこんかったのに、ラストなんて、自分でカウント取っとったやん」
「やっぱり、メジャーになること、意識したんとちゃうん?」
「メジャーになるんかなぁ」
「なるんやろねぇ」
「なんか、京都以外の人間に知られんの、悔しいわ」
「何や、それ」
「誰にも知られたくない隠れ家的ランチのお店、みたいなもん?」
 いくつかの声が重なり合いながら、蓮の前を通り過ぎていった。

 キンキンの意味は不明だが、その理由は分かる。彼女はスカウトではなく、舟を意識していたのだ。そして、ファンらしい彼らの耳は、ちゃんと何かを聞き分けていたのだ。彼らの言葉は結構的を射ているのかもしれない。
 苦しくて切なくてどうしようもないのに、まっ白な別の世界があるように、充たされている
 笙子の歌詞の言葉に、蓮はどこか心の奥が震えるのを感じていた。


「舟、やっぱり帰っちゃったんですね」
「ごめん。約束通りじゃなくて」
 笙子はそんなことは分かっていたから、と言う顔をして、ポケットからあの天河石を出してきた。
 笙子の掌の上で、天河石は今はもう沈黙している。
「この石をポケットに入れてたら、気持ちが少し変わった感じがしました。昨日までは何だかこの石が怖くて、持っていられなかったんですけど」
 二人はライブが跳ねた後、寺町通りを四条までゆっくりと歩いていた。

 明日はもうクリスマスイヴだ。街は何かの予感と期待に震えながら、この寒さの中で色とりどりの光を灯している。通り過ぎていく人々に、それぞれたくさんの想いが詰め込まれているのだと思うと、その想いが明日、すべて満たされてあの空に昇って行けばいい、とふと願う。
「……追いかけられているような気がするって……」
「え?」
「私、何かに追いかけられているような気がするって言ってたでしょ」
「そうだったね」
「あれ、比喩じゃなかったんです」
 笙子は歩を緩めた蓮には気が付かずに歩いている。蓮は半歩だけ遅れながらついて行く。

「何だか思い出せそうで、思い出せなかったんです。私あの日、サンタクロースが埋められているのを見た日、何かに追いかけられているような気がしながら、早く家に着きたくて、近道しようと神社の境内を通ったんです。でも、誰かに確かに追いかけられていたと思う。今日、『道』を歌っている途中で、急に思い出したんです」
 あの、歌の途中で、急に止めた時か。
 笙子は立ち止まり、蓮を振り返った。
「逃げろ、笙子、って、お父さんが」
 蓮はしばらく笙子の顔を見つめていた。

 天河石は、一体何を笙子に見せたのだろう。
 いや、ただ笙子が、ここから抜け出すことを願ったのかもしれない。
 それからは無言で四条通を歩いた。風が四条河原町の角で舞っている。信号待ちの人たちも、皆が身体をゆするようにして寒さから逃れようとしている。
「警察から連絡がありました。あの遺体、父だったって」
 やがて青信号に、勢いよく人が流れ出す。蓮はポケットに手を突っ込んだ。手袋を持ってこなかったので、指の先まで凍るようだった。笙子はマフラーを押さえた。

『奇跡屋』の重い木の扉を開ける。玉櫛婆さんはもう店を閉めていていなかった。蓮は笙子を促して、二階の事務所に上がった。
「寒くてごめん」
「大丈夫。慣れてるから。うちも古い家だから、隙間風がすごくて」
 申し訳程度の電気ストーブをつけて、笙子を接客用のソファに座らせる。何となく気が引けたが、昨日自分と舟が寝ていたベッドから毛布を取ってきて膝掛けにしてもらった。
「歯型で分かったって。奇跡的に、お父さんがかかってた歯医者さん、もうおじいちゃん先生で、五年前に閉めた医院がカルテや写真ごとそのままだったそうです。蓮さんは、あれが父だと思っていた?」
「多分そうじゃないかと思っていた。ただ、お父さんは確かに穴を掘っていたんだよね」
「穴の中から、サンタクロースの衣装に包まれるようにしてお酒の瓶が何本か見つかったみたいです」
「お父さんはよくお酒を飲んだの?」
 笙子はしっかりと蓮を見つめて、頷いた。顔つきまで変わって見えると蓮は思った。いつもおどおどと人を窺っているように見えていたのに。

「不思議ですね。何も思い出せなかったのに、ちょっとしたものを見たり聞いたりすると、記憶が繋がっていくみたい。カラオケボックスに行った時も、飲みすぎちゃって、時々従業員の人と喧嘩になってた。家では、いつも優しかったけれど、お酒を飲むとちょっとわけが分からなくなってて。暴力と言うほどのことはなかったのかもしれませんけれど、結構乱暴になって。私には手を上げませんでしたけど、母は……」
 蓮は笙子の前に叔父の調査報告のページを開いて見せた。笙子はしばらくその依頼主の名前をじっと見つめていた。
「お母さんと、おじいちゃん?」
「君のお父さんがいなくなった最後のクリスマスイヴの夜、それは何年だったか分かる?」
「私が小学校に入る前の年やったから、1999年?」
「でも、ここに書かれた依頼の日付は2000年の3月になっている」
「どういうことですか?」
「もう君のお父さんが君たちの前から姿を消した後で、わざわざ依頼が来ている。そして叔父は、まるきり何も調査せずに報告書を書いている。君のお父さんが女を作って君たちを捨てたという報告書を。でも、叔父はちゃんと調べもしないで適当な報告書を作る、そんな人じゃないんだ」

 それは京都府警の刑事だったころから変わらない。人に馬鹿にされるくらい、くそまじめな人だった。だから出世とは縁遠く、重傷を負って辞めた時は警部補だった。
 それから、と蓮は言いながら、その報告書の前後のページを見せた。
 笙子はしばらく意味が分からなかったようだった。
 前のページは1999年12月18日、後ろのページは1999年12月28日。
「この依頼が初めて来たのは1999年12月18日と28日の間だ。それも多分、君のお母さんから。君のお母さんが何を依頼したのか、それを知っているのは彼女だけだよ」

 笙子はじっと黙ってそのページを見たまま、返事をしない。
「どの道を選ぶにしても、君はちゃんとお母さんと話をするべきじゃないのかな」
 笙子の家の事情は蓮には分からない。伝統を担う家の重みのようなもの、そしてそれを伝えようとする母親の切実な願い、道を選ぶときに惑う子どもの心も。それでも、笙子は選ばなければならないはずだった。
「君は本当は、僕に依頼に来るよりも、お母さんと話をしたかったんじゃないのかな。お母さんはきっと君よりも多くの事情を知っているはずだ。だけど君はきっかけが掴めなかった。もうずっとお母さんと話していないんだよね。昔のことだけじゃない、これからどうするのか、どうしたいのか、お母さんに言いたいし相談もしたい。そのお母さんが病気で、もしかするともう長くないかもしれない。今しかチャンスがない。だから、舟に話したんだ。違う?」

 笙子は顔を上げた。
「どうやって話したらいいのか分からない。だって、母は、私に笙の稽古をしてくれるだけで、厳しくて。今だって、病院に行っても会話にならないし。どうして練習しないんだって」
「お母さんも、きっかけが掴めなかったんだろうね。僕は、君のお母さんの笙を直接は聞いたことはないけれど、日本でも数少ない雅楽の演奏家だ。その人が継いでいこうとしたものが何かは、少しは分かるつもりだ。でも、お母さんだって、自分の気持ちを貫いて、君のお父さんと一緒になったんじゃなかったかな。君の今の迷いや気持ちは分かってもらえると思うけれど」

 本当は舟に頼みたかったのかもしれないが、舟は話をシャットダウンしてしまったのだろう。笙子が自分に気があることを知っていたからこそだとは思うが、それが舟の気まぐれなのか、優しさなのかは分からない。
 ふと、舟と海の会話を思い出した。
 二人は何か秘密を共有している。そのことが奇妙に胸をざわつかせる。
 笙子はやっと顔を上げた。
「私、本当は何て依頼をしたらよかったんでしょうか」
「お母さんのところに一緒に行ってもらえませんか、かな」








参考文献?

西田幾多郎:明治~昭和の哲学者。京都の『哲学の道』に碑があります。
『人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を 吾は行くなり』
(哲学の道はあの界隈に住んでいたころ、私の散歩道でした。
というよりもあの疏水沿いを散歩道にしたくて、界隈に住みました。)

坂本龍馬の句(これは辞世の句ではありません。辞世の句を詠む暇なかったもんね)
『世の中の 人は何とも 云はばいへ わがなすことは われのみぞ知る』
(確かにあなたはアスペルガー……でも実は、私は坂本龍馬友の会の隠れメンバー^^;です。
脱藩の道(複数説あり)も何度か歩きました……四国の山奥で行き倒れるかと思いました^^;)

ついでに吉田松陰、辞世の句
『身はたとえ 武蔵の野辺に くちぬとも 留め置かまし 大和魂』

もひとつついでに高杉晋作、辞世の句
『おもしろき こともなき世を おもしろく』
(後の人が下の句を「すみなすものは 心なりけり」と詠んだけれど、無い方がいいなぁ
……この余韻がいいのですね)


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Category: (1)サンタクロース殺人事件(完結)

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