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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

❄2 五右衛門風呂 不動明王 消える龍 

 東京を出た時には昼を回っていたので、すでに夕方になっていた。
 この寺には若い僧が数人いるようだった。また別の僧が彼らを風呂に案内した。今度は随分と幼い子供のような風情で表情が乏しく、ただこれまで姿を見せた僧と、曖昧な不安の気配だけは共有している。その気配は真のどこかに引っ掛かる。
 竹流は何を考えているのか、一定線から出てこない。旅行先では旅館の仲居やレストランの給仕にやたらと話しかけ、食材や地域の情報を目一杯手に入れようとする、いつもの彼からすると珍しい気がした。
 寺では毎日風呂に入れるわけではないのだろうし、後で聞けば四と九のつく日にしか風呂は焚かないということだったので、その日は客人のためにわざわざ焚いたようだった。久しぶりに見る五右衛門風呂だった。
 一緒に入る必要はないけど、と真は思ったが、竹流は別々に入る必要もないだろうと言った。やはりさっきの『子ども』の話を気にしているのかもしれない。
 竹流は真の背を流してやると言ってきかなかったので、真は任せておいた。元から真の意見など聞いてくれる相手ではないし、真のほうでもこの保護者に逆らう気は始めからなかった。
 真にとって威圧的な存在には違いなかったが、簡単に崩れ落ちてしまう真自身の存在を根元で支えているのが、この男であることは分かっていた。
 何度かこうやって一緒に風呂に入ったことがある。父親代わりだった伯父の功が失踪する前、功は地方で学会があると、会期後のゴルフや他の付き合いもそこそこに、真と竹流を呼び出し、温泉に誘った。真が覚えている限りでは、異国人である竹流が裸と裸の付き合いに違和感を訴えたことは一度もない。
 あの頃、脳外科医だった功の個人的な秘書のような仕事をしていた竹流が、功に複雑な感情を持っていたことは何となく知っていた。功と竹流がどういう折り合いをつけたのか、あるいはつける必要がなくなったのか、真にはわからない。だが、今修復師として仕事をしているこの男が、大学医学部の研究室で手伝いをするに至った出発点が、功に対する敵意や疑惑であったことは確かだ。後で竹流は、誤解があったと説明しただけだった。功が失踪してから、残された功の娘と真の実質的な保護者を竹流が買って出てくれたのは、功に対する贖罪の気持ちだったのか、それ以外の何かだったのか、その辺りもやはりよく分からないままだ。
 伯父が何かと闘っている、という気配はずっと感じていた。
 功は温泉に行くと、真と竹流の背中を、今竹流がしてくれているように一生懸命力を込めて擦ってくれたのだ。目を閉じると、功がそこにいるような気がした。
 その自分自身の感傷を追い払うように、真は尋ねた。
「あの幽霊の掛軸は何なんだ?」
「一枚の紙を二枚、またはそれ以上に剥して、間に何か秘密の文書が記されているんだ。そこに、この寺の守護である不動明王像のありかが記されている、という言い伝えがあるらしい。誰も見たことのない不動明王像の在り処が、幽霊の下に記されているというわけだ」
「紙を、剥す?」
 相変わらず真には理解のできない仕事をしている竹流は、時々真には考えもつかない単語を並べる。
「そう、紙を薄く二枚に剥すことはかなり高等な技術だ。だが、そういう話は比較的どの国にも時代にもあってな、昔、紙が貴重品だったころには、上質の紙であればあるほど、そういう対象になった。特に日本の墨絵はもとの紙が薄いので、墨が紙の下まで染み込んでいる。それで、贋作作り、と言うよりは、もう一枚の真作を作りだすために、一枚の絵を二枚に剥いだりもしたわけだ。あの幽霊の掛軸は、紙を一度剥して、下の紙の方に何かを記して、もう一度貼り合わせてある。それをもう一度剥すのはかなり難しいし、下手をすると書かれた文字や絵だけでなく、紙そのものを傷つける」
「それができるのか」
 小気味良いリズムで竹流は真の背中を擦っていた。真はいつまで洗っているんだろうと思ったが、放っておいた。
「まぁな」
「不動明王像の何が問題なんだ? だって、今更その不動明王像のありかを探す必要なんてないんじゃないのか。ただの伝説かもしれないし、実際あったとしても、もう何百年か、そのままなんだろう。伝説に基づく興味本位の発掘なのか。それとも、鈴が鳴るっていうのが問題なのか?」
「和尚さんが、鈴が鳴るのは悪しき兆候だという言い伝えがあるって言ってただろう。俺が思うには、この話は卵城伝説だな」
「卵城伝説? ナポリの?」
 一瞬、背中の竹流の手が強くなった気がした。その瞬間、真のほうでも体に軽い電気でも流されたような緊張を覚えた。
 僅かに竹流の手が止まった気がして、交代するのかと場所を空けようとした途端、頭から湯をかけられた。何をするんだと思ったときには、今度はシャンプーが頭に降りかかってきた。
 思い出したくない過去というものがあって、竹流にとってあの旅がそうであるなら、仕方がないと考えていた。あの時は多分、二人とも箍が外れていて、その直し方も知らなかったのだ。
 頭の地肌をマッサージするように擦っている手が、そのまま性的な意味合いを含んでいるような錯覚に陥る。この大きな手はいつでも真を助けてくれるが、時々恐ろしく、時々どう扱うものか分からなくなり、そして時にはたまらなく官能的な色合いを帯びている。時に彼の手から薬品や油絵具の匂いがして、それが真を混乱させる。耳の後ろを洗う竹流の左手が、真の首を支えるように直接肌に触れると、気が遠くなるような感じがした。その肌の一部に、冷たい温度がはっきりと伝わる。竹流の左薬指に嵌められている指輪の感触だった。
 何とか身体の反応を鎮めていると、いきなり頭の上から湯をかけられた。
 真は代わって彼の背を洗った。
「お前に話したろう。前に、ナポリで」
 よく通る声は天井の高い風呂場に響いた。真は、竹流が話題を完全に避けなかったことにどこかでほっとした。
「城の基礎に卵が埋めてあって、その卵が割れるとき、城が滅びるって話だろう」
「あぁ」
「じゃあ、不動明王像の鈴が鳴っているのは」
「鈴が鳴るというのが普通では起こらないことで、もし本当に今この寺で鈴の音が聞こえているのだとしたら、多分、建物の基礎が傾くとか、何か不具合があると、不動明王像の立っている位置のバランスが崩れて、鈴が鳴る仕組みなんだろう」
「じゃあ、その像は下にあるのか」
「下とは限らない、上かもしれない」
「ていうか、それならこの建物は危ないってことだろう。不動明王像なんか探すより、建て替えたほうがいいんじゃないのか」
「そうは簡単にいかないんだ。何せ、府の文化財らしいからな。文化財ってのは厄介だ。保存はしなければならないが、金はない。それに、ただのネズミの悪戯かも知れない」
「だいたい、御先祖様は何だってご大層に、幽霊の下にその像の在りかを記したりしてるわけだ? このお寺にとってそんなに大事な話なら、堂々と本堂の正面の額にでも書いておけばいいのに」
「それは同感だ。だが、後世の人間を試しているのかもな。この世に、何百年先にも、彼らの挑戦を受けて立つ気概のある輩がいるかどうか」
 竹流はちょっと笑ったようで、肩が揺れた。真は精一杯の力を込めて、竹流の背中を擦っていた。
「まぁ、伝説だ。本当に幽霊の下に、不動明王像のありかが書いてあるかどうかはわからない。ただ、何かの音が聞こえて、住職いわく小僧たちが怖がっていて、その音の正体は、実際にあるかどうかも分からない伝説の不動明王が持っている鈴の音かもしれなくて、その不動明王の在り処は、伝説によると幽霊の掛軸の下に記されている。ちなみに、不動明王の鈴が鳴るのはこの寺が危機に瀕している時らしい、と。全部、伝説と『かもしれない』だ。だが、嘘にしても本当にしても、あの紙はもともとかなり立派な厚手の紙で、確かに何層かに裂かれているようだ。もしかすると不動明王の在り処なんかじゃなくて、秀吉の黄金とか、財宝の在り処が書いてあるかもしれないぞ。一説では、秀吉は息子のために、現代の一国の経済危機を救えるほどの財宝を隠したっていうじゃないか」
「不動明王像が黄金ってことか?」
 竹流は真の言葉にまともに感心したような声で答えた。
「それはいい発想だ。わくわくしてきたな。建て替えるための金銀財宝つきってわけか。それもありだな」
 何やら一人で納得しているらしい竹流の言葉を聞き流して、真は彼の頭から湯を掛けて、石鹸シャンプーを手にとった。それを竹流の頭の上で泡立てるように洗っていく。
 髪を洗ってあげるって、何だかとてもエロチックね。
 あまりそういう言葉を口にしなかった恋人が、照れたように小さな声で言ったのを思い出した。もっとも、正確にはもう恋人ではないのかもしれない。
 その時はあまり深く考えもしなかったが、こうして他人の髪を洗っていると、その意味合いがよく分かるような気がした。特別な相手だからそう思うのだろうか。そもそも特別の相手でなければ、床屋でもない限り他人の髪を洗うという行為には至らないかもしれない。
 細い銀糸は石鹸の白い泡と区別がつかない。真は一所懸命に竹流の髪を洗いながら、側頭葉が整理していたはずの記憶の引き出しが、ばらばらに開き始めているのを感じていた。
 目の前の保護者と、別れた恋人と、放り出してきた仕事と、その前に終止符を打った大学生活。自分自身を丸め込むような大学での三年間は、恋人との五年間と一緒に畳まれてしまった。その全ての原因と結果に、貼りつくようにこの男が存在している。
「お前、いつまで洗っている気だ?」
 風呂釜は、五右衛門風呂がふたつ並んでいた。どちらも小さくて、大人が一人やっと入れる大きさだった。真は右側の風呂に体を沈め、竹流は左の風呂に入った。予想外の温度に思わず声を上げそうになる熱い湯だったが、これも客人に対する心遣いかと思うと、有り難い気持ちになった。
 しばらくどちらも黙っていたが、遠くかすかに鹿威しの音が聞こえたのをきっかけに、竹流が聞いた。
「で、今度は何が見えたって?」
 真は、一瞬何を聞かれたのかわからずに、返す言葉を失って竹流を見つめた。湯気の向こうからでも、竹流の青灰色の目が、真の中の何かを見透かしているような気がした。
 整った目鼻立ちは、西洋人であるからという理由だけではないはずだった。それを差し引いても、優雅でいてしっかりとした頬から顎にかけてのラインも、ヨーロッパの南国の人間が持つ独特の意思を湛えた目の力も、母方の血であるという北の人種が持つ恵まれた体格も、それに何より、生まれの良さというものは滲み出るものなのだろう。初めて会ったときに何となく敵意を覚えてしまったのも、彼が功に対して向けていた悪意のようなものを感じ取ったからだけではなかった。
 真が接してきた世界には存在しなかった顔立ち。その向こうには、真自身が会ったこともない実の母親の姿が見えた。母親については、異国人との混血であるということ以外何も知らない。知りたいとも思わなかった。東京に出てきたその日まで、真の世界に存在していた人間は、朴訥な北海道海岸部の男たちと、かつては蝦夷と呼ばれていた老人だけだった。
 真は逃げ出すように視線を逸らせた。
 何より、霊媒師のように『彼ら』と交信したり、除霊できたりするわけではない。ただ、唐突に見えたり感じたりする。毎日というわけでもないし、自分の思うようにコントロールできるというものでもない。大体、これについては、精神科医から一応の医学的説明も受けていた。
 それでも、頭痛や腹痛の説明が難しいように、自分が感じている何かを他人に簡単にわかってもらうことはできない。同じように、長い時間をかけて心のうちに降り積もってきた重いものも、医学的に説明できる種類のものとは思えない。
「いや、何か、目の錯覚かな?」
 何を狼狽えてるんだろう、と真は思った。もう成人したのだし、自分の事は自分で責任を取れる立場であり、今でもこの保護者がいなければどうにも立ち行かないような頼りなさは消してしまいたいと、そう願っていたはずだった。
「何を言い訳しているんだ?」
「何か見えたとか言ったら、また怒るくせに」
「もうお前のその変な能力には慣れたつもりだったけど、久しぶりだし、今日はえらく新鮮な気がしたな。それに和尚も同じようなことを言ってたし、満更じゃないかもしれないぞ」
「怒らないのか?」
「怒ってはいない。気に入らないけどな」
 やっぱり怒っているのだと思うと、真は言葉を返せなくなった。『能力』という言葉自体、皮肉で言っているのだろう。
 真が時々この世にないものの気配を感じたり、それらと話したりする、というのを聞くと、あからさまに竹流は気分が悪いという顔をした。それはそういう能力や精神状態に対する気味の悪さではなく、それに縛られている心の弱さに対する憤りであろうということは、真もよく分かっていた。西洋人である彼には、精神は自己の抑制力で支配するものであり、それに振り回されるような弱さは克服すべき悪徳であると思えるのだろう。
 精神科医は、子どもの視覚の未熟性と人間の側頭葉の働きの混乱について、真や功、そしてこの保護者に説明して聞かせ、特に孤独な幼少期を過ごしたことが、真に妙な『錯覚』を植え付けたのだろうと説明した。それは恐らく大筋としては間違っていない。だから、真自身も自分に特別な能力があるとは思っていない。
 視覚や脳の処理能力の発達していない子どもが、網膜に映るものが理解できないために妖の類だと感じてしまうというような話だ。大人になれば処理能力が発達してきて、それが妖などではないと分かるようになる。その過程で、真はただ躓いてしまっただけなのだ。
 つまり、記憶が側頭葉に残される時に、寂しさや哀しさという脳にとってはショックな条件が加わって、情報の整理を間違えた、ということらしい。デ・ジャブにも同じようなメカニズムがあるという。説明を受けたとき、真は中学生になったばかりで、医者が何を言っているのか、ほとんど理解していなかった。後から分かりやすいように説明してくれたのは竹流だったはずだ。
 記憶の引き出しが無茶苦茶で、服を片付けたはずの引き出しに文房具が入っているようなものだ、引き出しに物を仕舞うときに、混乱するような出来事があって、ぼんやりとしているうちに違う引き出しを開けてしまった、そういう話だと。だから、後から開けてみたら、引き出しからまったく脈絡のないものが出てくる。いるはずのないものが見えるような気がするのは、情報処理を間違えてしまった脳の錯覚に過ぎないと。
 大人たちは真の様々な症状について、いちいち病名と説明を当てはめる。そして安心する。脳外科医だった功も、科学的証明を求めたのだろう。
 風呂の熱い湯の中でも、自分の手が冷たくなっていくような気がした。
 孤独な幼少期という説明に、全て納得しているわけではない。
 積み上げられた藁の中で目を覚ますと、いつも真を見つめている漆黒の瞳がある。名前を呼ぶ声に、背中に負われて厩舎を出ると、頭の上に広がる大宇宙、果ての地平線に流れ落ちる銀河が真を包み込む。馬たちの嘶きが震えるように鼓膜に届くと、いつもとても安心していられた。
 もしも本当に孤独だったというなら、それは単に人間社会との折り合いの問題だった。
 目も髪の色もどこか日本人離れしていた真は、小さいときから一緒に遊ぶ友だちも作ることができず、いつも犬たちや馬たちと一緒にいた。真が育ったのは、浦河の近くにある競走馬の牧場で、周りに同じ年くらいの子どもはいなかった。一番近い年齢のはとこでさえ、真が赤ん坊の時に既に中学生で、小さい子供と遊んでくれるような相手ではなかった。ひとり遊びの多かった真は、叔父の弘志が札幌の大学に出て行ってしまうと、ますます一人でいるようになり、話し相手だったアイヌ人の老人が亡くなってからは、伝説の住人と犬や馬たちだけが遊び相手になった。
 真に『蕗の下の人』を紹介されて慌てた弘志が東京の兄、すなわち功のところに駆け込んだのは、真が十になった年だったようだ。ほとんど北海道に帰ることがなかった功が、しばしば実家の牧場に顔を見せるようになった。容姿と言葉数が少ないことが災いして、小学校で静かな苛めにあっていた真は、ほとんど学校に通うことができずにいた。
 真を引き取っていた朴訥な祖父の長一郎は平気で学校教育を批判したので、それも結果的には足を引っ張ったことになる。幼稚園に至っては、ただの一週間でやめてしまった。
 原因は桃太郎だった。
 幼稚園で初めて桃太郎のお伽噺を聞かされた真が、長一郎に、桃太郎はどうして鬼が島に鬼を退治しに行ったの、鬼はどんな悪いことをしたの、と聞いたからだった。翌日、長一郎は幼稚園に怒鳴り込みに行った。
 桃太郎を教えるなぞ、教育者としてけしからぬ。教えるなら教えるで、ことの善悪を分かるように教えるべきである。そもそも桃太郎はけしからぬ。宝は鬼の大事にして、主は鬼であるのに、主のある宝をわけもなく取りに行くとは盗人の所業と、福沢諭吉も言っておる。子どもに教えるべき話ではない。あの手の物語が、強きもの、勝ったものこそが正しいという間違った道徳観念を幼少時に植え付けるのだ。
 古い蝦夷の文化をこよなく愛していた長一郎の教育は、確かにかなり偏っていたが、今思い出してもそれほど間違っていたとは思わない。長一郎には桃太郎の物語が、大和朝廷が闘ってきた日本先住民族への差別であるように思えていたのかもしれない。しかし、社会生活を送る上で、長一郎の教えてくれたことがプラスになるかというと、そういうわけではなかった。
 その偏りを立て直すように勉強を教えてくれたのは、他ならぬこの保護者だった。もっとも、桃太郎の逸話は大いに竹流の気に入ったようで、竹流は真の祖父を師の一人と言って憚らない。
 それでも、真は今でも蕗の下に、懐かしい友人たちの姿を感じる事がある。
「じゃあ、もう、何も見ない」
 竹流は返事をせずに、真の頭にちょっと手を置いて、五右衛門風呂から上がっていってしまった。真はしばらくひとり五右衛門風呂に残っていた。
 湯気の中に色々な気配が形になりそうでならない。目を閉じると、今度は首筋に竹流の冷たい指輪の感触が蘇った。筋肉が解れるはずの湯の中で、身体全体が緊張する。それを振り払うように、真は音をたてて湯から上がった。
 脱衣所に出ると、着替えの着物が置いてあった。一枚は浅葱色の江戸小紋で雨縞、もう一枚は柿渋染の色合いで、柄はよく見ると鶴のようだった。このような寺にあるまじき贅沢な着物に思えた。
 真は、金沢の芸妓の家に生まれた祖母の奏重に教えられて、自分で着物を着ることができるので、竹流の着付けを手伝った。
 真の祖母は何を間違えて金沢から朴訥な道産子のところに嫁いできたのか、そして華やかな世界を捨てて、牧場の女として土と藁にまみれて生きていくことに抵抗がなかったのか、真にはよく分からない。竹流は長一郎から色々と聞き出していたようで、感動の面持ち言ったものだ。
 お前の爺さんは北前船に乗って大恋愛をしたんだ。
 奏重が長一郎にとって最初の恋人で二番目の妻であったことは、伯父の功と真の父親とが腹違いの兄弟であったことから、事情を何となく察していた。時代も時代で、土地も土地だったから、彼らの結婚がそれなりに大変だったことはうかがえる。それでも、彼らは想いを成就したのだ。
 そういう強い血が、何故自分の中に受け継がれなかったのだろう。
 浅葱色の小紋は、竹流の身体に、髪や瞳にもしっくりと馴染むような色合いだった。帯を締める時に、ふと相手の身体に腕を回して真は緊張した。中学生がまるで初めて恋人に触れたように緊張したのだ。
 その気配を、竹流の方は感じたのかどうか、何も言わなかった。


 広間に戻ると、夕食の準備ができていた。折敷の上に簡素な塗り物の腕が並び、客人に気を使ったのか、精進料理ながらひとつひとつは比較的ボリュームがあった。彼らが座ると、熱い茶と味噌汁が運ばれた。
「お済みになられましたらお呼び下さい。隣の間にお布団をご用意致します」
 また別の若い僧が尊敬のまなざしで竹流を見て言った。今度の僧は顔つきには柔らかい気配を持っていて、どちらかといえば頼りなさそうに見えた。だが、やはり目だけは漠然とした不満か不安があるかのように、奥に不可解な光を持っている。
 しかし、彼らの竹流を見る視線には、共通のニュアンスがあった。それは、幽霊と鈴の音を何とかしてくれる人だという期待の表れなのかもしれない。
 あれと同じような視線を、真自身が長い間、竹流に向けていた。言葉に出すことはなく、態度ではむしろ反抗しながら、それでもできるだけ遠くへ離れないようにして、ずっとメッセージを送り続けていた。
 いや、今でもそうなのかもしれない。
「ここに泊まるのか」
 風呂まで入らせてもらって今更だが、真は一応尋ねた。
「そうだ。明日の朝、龍が消えているかどうか、楽しみだな」
「龍が消える?」
 それは、幽霊の掛軸と不動明王の話とは別件なのだろうか。真はずっと気になっていながらも見て見ぬふりをしてきたものに再び出食わしてしまった気がして、天井の龍を見上げた。もちろん消えてなどいないし、第一、消えるような儚い姿をしていない。
「それが楽しみでここに来たんだ。春になると、朝、消えることがあるんだそうだ」
 頭の上に、相変わらず憤怒の形相を湛えた龍の目がある。真はその龍の上(あるいは下?)で跳ねていた子どもを思い出した。
「それも、仕事で?」
「いや、幽霊の掛軸を剥がす報酬に、龍の絵の謎を解く権利を与えてくれと言ったんだ。何しろ、観光地ではない寺の宝を目にするチャンスはそうそうあるものじゃない。この寺の天井の龍は知る人ぞ知る『消える龍』なんだ。何故消えるのか誰も知らない。だから俺のところに掛軸の依頼が来たとき、真っ先に龍の事を考えた。俺に龍の謎を解かせてくれ、ってな」
 真が敵わないと思うのは、この男の単純で明晰な願望と、それを叶えるために傾ける情熱と意志の堅固さだった。やるとなると、どういうことでも全く手抜きをしない。彼の母国にはあるまじき丁寧さと用意周到さに思えたが、どうやら幼少時に受けてきた教育の賜のようだった。もっとも、真の見る限り、女性を口説くときにも発揮されているようだから、民族の特質はしっかり持っているのかもしれない。
「じゃあ、金は受け取らずか」
「大寺院はともかく、観光地にはならない小さな寺が、そうそう金を持っていると思うか? 大体、寂れた古寺から金銭を受け取るような悪趣味はない」
「それ、慈善事業なのか?」
「そうではない。ちゃんとした報酬を受け取っている」
「謎解きの権利が?」
「それだけではない。龍の絵を調べるのに、幾日か寺に泊めてもらうことにしている。タダ飯にタダ風呂だぞ。さすがに申し訳ないんで、宿泊代の足しに本堂の仏具をいくつか修復することにした。だが、あの龍を見せてもらっただけで俺は半分は満足だけどな。見たろう? あのブルーブラックの墨。深い瑠璃のような色合いだ。引き込まれるような気がしたよ」
 時々、この男は驚くほど無邪気にハイテンションになる。対象は勿論、世界中にあふれている芸術品だ。彼が生まれた南国の人間の多くがそうであるように、楽しみの半分は女性かもしれないが、その手は数多の美術品を、女に触れる時よりも大事に抱く。
 それにしても、大概お節介な人間だと思っていたが、しかも、他人が何か見えるとか言うと怒るくせに、自分はどこまでもロマンチストなのだ。
「第一、この精進料理。一宿一飯の恩義は何にも勝るさ。明日は忙しいぞ。仏具も直さないといけないしな」
 木綿豆腐となめこの八丁味噌汁、油揚げと蕨の煮浸し、酢蓮根、百合根の梅肉和え、茶筅茄子と獅子唐素揚げ、胡麻味噌、それに白飯に沢庵が添えられていた。二つの膳に並べられた食事は、質素な食材についても、どこにも全く手抜きをされた部分がない。
 真は思い切って箸を置いた。
「それで、その楽しい仕事に俺を連れてきた理由は何なんだ? 大体、俺はあんたのアシスタントなんてできないし、何より仕事中だったんだ」
 竹流は返事を後にして、蕨の煮浸しを口に入れた。真は辛抱強く待つしかなかった。
「まずは食え。寺の住人は朝が早いんだ。お前の夕飯が遅いと迷惑だ」
 時々この男は、もっともなことを敢えて口にする。言われた真は逆らう隙もない。だが、十年ばかりの付き合いの中で、真のほうもさすがにこの男の機嫌を損なわずに済む方法を学んでいた。あまり気合を入れて逆らったことがないので分からないが、多分逆らうと半端でなくおっかないのだろう。
 暫くの間、どちらも無言のまま、料理を片付けた。
 ようやく箸を置くと、竹流は急須から二杯めのほうじ茶を湯呑みに注いで、真の方にも淹れてくれた。それから縁側とは反対にある奥の襖を開けて、よく通る声で食事が終わったことを知らせた。直ぐに膳が下げられて、新しい急須と湯呑みが座敷机の上に残った。
「仕事中、か。一体、何を考えている? あんな思いをして大学に入ったのに、唐突に退学届を出して、揚げ句の果てに浮気調査の手伝いなどしている。ただのバイトならと思って目を瞑っていたけど、正式に雇われたっていうのはどういう意味だ?」
「そのままの意味だよ」
 竹流は大袈裟に溜息をついた。
「宇宙に飛ぶんじゃなかったのか」
 この男に分かるものかと思っていた。
 もちろん、竹流が今のように多少の名声を得て、望んだ仕事ができるようになるまで、どれほど努力をしてきたのか、それもある程度は知っていた。自分よりも遥かに年上の男が、自らの力で道を切り開き、ようやく自分の仕事に満足を感じるようになったからと言って、真の方に嫉む理由などないはずだった。それでも、現実には取り残されるようで不安になった。
 結局、真の方は何もかも上手くいかなかったのだ。大体、命さえも一度は失いかけた。そして、一番手に入れたかったものは、届きそうなところにあるのに届かない。
「真、俺はな、親父さんがいなくなって、何とかお前が身を立てていけるようにと思っていた。親父さんへの恩義を考えても、お前たちに対して責任のある立場だと思ってもいた。お前が学校で倒れることがなくなってからも、電車の中や人混みで辛い思いをしていたのは分かっている。だから、人と接触が少ない研究職に進むつもりだと聞いた時も納得した。お前がいつか宇宙に飛べるかなと言ったとき、手を貸してやろうと思った。もちろん、お前が簡単に何もかもを放り出してしまうような人間ではないと思いたい。俺が気に入らないのは、大学を辞める前にどうして俺に一言も言ってこなかったかということと、そんなに東京が辛かったならいっそ北海道に帰るという選択肢もあっただろうに、そのとんでもない仕事についても説明がなかったということだ。正直、保護者としては情けない気分だ」
 竹流の流暢な日本語の長い解説は、時々真を追い込んだ。
「ラブホテルの張り込みが悪いと決め付けるわけじゃないが、誰かが隠している顔を穿り返すような仕事をして欲しいとは思わないな」
「今日のはたまたまだ。前にも言ったけど、俺がしている仕事はほとんど失踪人調査だ。正確には、ガキの家出の面倒をみているだけだ。それに、俺はもう子どもじゃないし、いちいちあんたに許可を求める必要はないはずだ」
「いい大人は、物事の順序と他人への礼儀は弁えているはずだと思うけどな」
 説明できるくらいなら、こんなに何もかもが上手くいかないはずがない。
 真はしばらく顔を上げることもできずに、座敷机の木の模様の一点を見つめていた。第一、相談しようにも竹流はほとんど東京にいなかった。
 真が言い返す言葉もなく俯いていると、奥の廊下でほとほとと足音がして、こほん、という咳払いが聞こえた。竹流が立ち上がって、ようやく真は顔を上げた。
 やってきたのは住職で、袈裟の内からこっそり酒壜を取り出した。
「小僧たちは先に寝かせましたによって、心置きなく」
 真が拍子抜けしたように住職を見つめていると、住職はさらに袈裟の内からかわらけをふたつ取りだし、真の手を取ってひとつ持たせた。
「こちらに先にお注ぎしてよろしいですかな」
 住職は竹流にことわって、真の手の上の盃に酒を注いだ。続いて竹流にも盃を渡し、自ら注ぐと、あとはごゆっくり、と言って酒壜を置いて去っていった。
 まるで場の空気が固まるのを緩めるようなタイミングだった。竹流は気分を変えるようにひとつ息をつくと、一気に酒をあおって、これは美味いなと言った。そう言われて、取り敢えず真も後に続いた。日本酒というよりも濁酒のようで、かなりのアルコール度数のようだ。そもそも酒など飲みつけない真は、思わず顔をしかめた。
「寺で飲んでもいいのかな?」
 真が呟くように言うと、竹流は突然のありがたい振る舞いに機嫌を直したのか、さっきまでとは違う穏やかな声で答えた。
「昔からよく狂言や歌舞伎にあるじゃないか。水だと言って和尚がこっそり酒を置いている、なんて話がな。しかも、土器とは風流な」
 竹流が気に入ったのは酒だけではなく、素地のままのような色合いの酒盃もだろう。そう言われてみれば、土の手触りも心地よい土器を手に酒を飲んでいると、遥か古代の人と酌み交わしているような心地がした。
 その後は何か話すでもなく、縁側に出て月を見ながら、五合ほども入りそうな酒壜を空にしてしまった。もっとも、真はやっと数杯飲んだだけで、ほとんどは竹流が片付けた。日本人の真から見ると竹流の酒の飲み方は明らかに度を越しているように思えることがあるが、単に肝臓が持っている酵素量の民族的差異なのだろう。基本的には陽気な酒なので、住職が今ここに来てくれたことはありがたい限りだった。
 月はまだやっと、半月からわずかに丸みを帯びてきたところだった。酒の濁りが体に入り込んでいくと、少しずつ気分が透明に近付いていくような気がした。隣で竹流が何か呟いた。真が聞き返すと、竹流は最後の酒をかわらけに注ぎながら、よく通る声で答えた。
「何でもないよ。寝るか」
 竹流はかわらけを空にすると、次の間に入って、さっさと枕元の浴衣に着替え、敷かれた布団の一方に潜ってそのまま眠ってしまったようだった。
 真は、この酒壜どうしたらいいんだろうと思いながら、まあいいかと縁側に残したまま、自分も着替えて隣の布団に潜り込んだ。
 もう怒っていない、と言ってくれない限りは、やはり機嫌を直したわけではないのだろう。さしずめ、ご住職の計らいに免じて休戦、ということだ。

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Category: ❄清明の雪(京都ミステリー)

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コメント


お風呂の話から、わけありな二人の過去話へ。
なるほど。そんなこんながあって・・・まだまだありそうですね。

今は京都です。お寺で精進料理。良いなあ。
いやいや、幽霊と鈴の音ですよね。

紙をはがすのですか? 龍が消えるのですか?
いやいやまだ2話。慌てません^^

けい #- | URL | 2013/07/23 18:13 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

なんと、【清明の雪】に来てくださったのですね。
すごく嬉しいです。というより、これをアップした頃、ブログのなんたるかを全く知らず、やたらと字の詰まったブログにあるまじき体裁の話を載せてしまい、本当に読んでくださる方には苦痛を強いておりました。
でも、もう面倒くさくて、このままです^^;
字が詰まっていますが、内容も詰まっている…という、本当にイケていない話ですが、力を入れて書いておりますので、ゆっくりお楽しみいただければ嬉しいです。

わけあり、まさにわけありの二人です。
この話では真は21ですが、すでにあんなことやこんなことがあっての五右衛門風呂…じゃなくて、この京都に来ています。ただ、この話は、そういうことを抜きにしても楽しんでいただけるようにと書いております。
あとで、あ、あんなことの後のこんなことか、と全体の物語の中でこの話の位置を楽しんでいただけたらとも思って書いているのです。
何があって、こんなに緊張関係なのか…多分、【海に落ちる雨】のどこかに答えが……
それは置いといて。
そう、この話、実は食べ物が微妙にしつこく出てきます。
食事シーンが妙に多い。だから、「お寺で精進料理」シーンを楽しんでいただくのは大正解です。
後半には、料亭で豪勢な料理も出てきます(*^_^*)
ついつい、池波正太郎先生に心酔するあまり、自分もやってみたくなりまして…
龍が消えるのは……多分、かなり時間がかかります(*^_^*)

暇なときに、ちら見してやってくだされば嬉しいです(*^_^*)
ありがとうございます。

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2013/07/24 01:19 [edit]


なるほど、皆さんがコチラの作品を絶賛している訳がわかりました。
紙の本向きだといっている理由もね。

竹流と真・・・・・・なかなか複雑な関係ですね。
第三者から見ていると、興味深いです(←ひとごとです。笑)

真の不思議な能力や掛け軸の謎など、面白要素がびっしり詰まっていて読み応えがあります。

文字数が多いので、数回に分けて読もうかなと思っています。最後に辿り着くのに時間も掛かりそうですし、毎回、コメントを残すことはできないかもしれませんが、どうぞ、お許しくださいね。
足跡で「あっ、アイツ読みに来とるなあ」くらいに思っておいて下さい。スミマセン。

ヒロハル #- | URL | 2014/01/21 15:24 [edit]


ヒロハルさん、ありがとうございます(^^)

なんと、『清明の雪』、読み始めてくださったのですね!
ありがとうございます。本当に申し訳ないことに、ヒロハルさんやlimeさん、夕さん始め皆様方が発表されているような、読者思いでブログでもちゃんと読みやすく考えておられる作品とは違って、かなり自己満足の世界になっていて、本当にすみません m(__)m
「紙の本向き」の一番の理由は、「縦書きに読みたい」話だからですね。その理由は竹流です。竹流の説教は「立板に水」でさらりと流し読みたい=読み流したいのです(書いている方としても^^;)……縦なら、するする読み流せるのに、横だといちいち引っかかる→ちょっとウザい、ということに。
ウザくでも許してやってくださいませ(>_<)

竹流と真の関係は、男性の読者さんには受け入れにくいのだろうなぁと思ったりすることもあります。
でも環境によっては「ほかに完全に信じられる・頼れる人がいなかったら」こうなるのかしら、とも思ったりします。真はもともと自分からはしゃべらない子で、アイヌ語とコロボックル語は分かるけど(!)、日本語は微妙、みたいな子で、北海道から出てきたとき東京の人間の言葉など「全く何言ってるか分からない」状態でした。魂で話されると分かる系→竹流が何言ってるかだけは分かった、というような感じで。竹流が世界の半分以上を占めていて、彼が教師になってくれなかったら、人間社会で生きてこれなかった子でありました。
昔、懲役になった北海道の某S衆議院議員さんが父親から、「秘書になるなら、先生のケツを拭けるくらいまででなきゃならん」と言われたとかで、文字通りの意味と抽象的な意味と両方あった的なことを読んだ記憶があって、なるほど、そういう濃厚な関係なら性別関係なくありそう、と思ったのでした。(余談です^^;)
でも、言い換えてみたら、マザコンにも通じるものがありますけれど^m^
> 第三者から見ていると、興味深いです(←ひとごとです。笑)
ぜひ、これからも他人ごとで見守ってやってください(笑)
この二人の関係がどうであっても、物語は進むので……(大笑)

うちの真にも、limeさんにの春樹みたいにものすごい能力があるなら物語も面白いのですが、そちらはお粗末で……かな~り中途半端で役に立たない能力です。ただ、物の怪が出てきて見えるだけ、みたいな^^;
もしかしたら地面の磁力のゆがみみたいなものだったりして。暗闇ではシーツも幽霊に見える、とか。
でも、物語は結構楽しく進んでいくはずですので、文字数にめげずに(すみません!)お付き合いいただけたら嬉しく思います。

> 文字数が多いので、数回に分けて読もうかなと思っています。最後に辿り着くのに時間も掛かりそうですし、毎回、コメントを残すことはできないかもしれませんが、どうぞ、お許しくださいね。
> 足跡で「あっ、アイツ読みに来とるなあ」くらいに思っておいて下さい。スミマセン。
わぁ、もう、本当に返す言葉もありません(T_T)
時間をかけていただくことに大変恐縮しますけれど、ラストのキラキラシーン(これに向けていつも書いています)をぜひ、見てやってくだされば、嬉しいです(*^_^*)

嬉しいコメント、ありがとうございました(*^_^*)

彩洋→ヒロハルさん #nLQskDKw | URL | 2014/01/22 09:04 [edit]


2話拝読しました

お寺の中で五右衛門風呂。なんかすごく風情を感じます。
そして竹流との交流。
背中を流す描写が、独特の雰囲気を醸し出し、神秘的に感じます。
外国人の男と日本人の若い男の交流、ドキドキします。

内容はかなり難解ですね。達者な筆さばきだと思いました。
純文学風なので、じっくり読まないと頭に入ってきません。
でも、どこか惹かれますので、ゆっくり読み進めて行きますね。

さやか #QOvcH0So | URL | 2015/05/23 11:26 [edit]


さやかさん、ありがとうございます(^^)

さやかさん、コメ返遅くなってすみません! そんな間にさやかさんも金沢の旅、行ってこられたんですね! 金沢は私にとって学生時代(京都に住んでいました)の奥座敷。実はこの【清明の雪】にちらりと福井のことが出てくるのですが、モデルになった場所は金沢なのです。
何よりも拙作を読んでくださって本当にありがとうございます。ブログ小説にあるまじき「空白のなさ」というだけでも読みにくいのに、まさかの膨大な長さで、本当に読んでくださる方には申し訳ないと思いつつ、勢いでアップしたものです。
ただ、私にとっては想いの詰まった大事な作品なので、こうして読んでくださる方がいるというのは本当に本当に有難い限りです。ありがとうございます。

五右衛門風呂……いや、これをリアルタイムで知っている世代(子どもの頃、家は普通に五右衛門風呂だったので)ってどうなんだ?と思いつつ、残しておかなければならない日本の風景?かしら、と思って登場させました。「五右衛門風呂って、底は熱いけど周り(側面)は熱くないよね。でも子どもの体重じゃ底板を上手く沈めるのが難しくてね~」なんて話をしてもついてきてくれる人はもう滅多にいない……^^;
そんな五右衛門風呂、雰囲気が出ていたでしょうか。ありがとうございます。
この「背中を流す」「髪を洗ってあげる」というシーンが色っぽい、というのは友人と話題になっていまして、触れるような触れないような、というのがいいよね~なんて話していたのです。彼女が挙げた例は『ニューヨーク恋物語』でしたが……(ふ、古い……)

内容、やっぱりそうですか。う~む。確かにかなりこまっちゃくれたことを書いているかもしれません。本人はすごくエンタメのつもりで書いていたのですが、後から読んでみたら、確かにかなり「日本文化とは!?」みたいなお話になっているかもしれません。
でも、最後に素敵にキラキラシーンをご用意していますので、ぜひ、楽しんでくださいませ。本当にゆっくり、お時間のある時で、ご無理のないように……
コメント、とても嬉しかったです。ありがとうございます(*^_^*)

彩洋→さやかさん #nLQskDKw | URL | 2015/05/26 20:44 [edit]

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