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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨102] 第21章 わかって下さい(少し長い同居の経緯)(3) 

【海に落ちる雨】第21章(回想の章)その(3)(18禁)です。
前回の続きで、心も体も堕ちていく真ですが……りぃさという女性の存在の意味を少し掘り下げる回になっています。
彼女の言っていることは、少しばかり胸に迫るものがあるのですが、でも真にとっては危険な誘い。
この時彼は、心中するくらいの気持ちだったと思いますが……さて。




 二度目に会ったのが、偶然だったのか、真のほうがりぃさを探したからか、彼女が真を捜したからなのか、経緯ははっきりしない。
 それは、りぃさと初めてベッドを共にしたわずかに二日後だった。覚えているのは、唐沢調査事務所のビルの前で、変わった仕事してるのねと言った、りぃさの涼しげで感情の薄い声だけだった。

 りぃさが誘ったのか、それとも自分がそうしたいと思ったのか、あるいは成り行きなのか、その日は彼女の部屋で求め合った。
 りぃさの部屋は、あまり綺麗とは言いがたい細い川の側、坂道の登り際に建つ古い一軒家だった。表札には向谷と出ていたが、かなり年季の入った板は、もう文字が消えかかっていた。真がそれを見ていると、りぃさが言った。
「その人が誰だか知らない」
 つまり、この家の持ち主が誰だか知らないという意味のようだった。

 その日は特に差し迫った仕事があるわけでもなかった。真が引き受けていた仕事に最適の時間は夜だったし、昼間は好きにしていていいぞと所長の唐沢に言われていた。
 遠くのほうで、電話の呼び出し音と、子どもたちの叫ぶような声が混乱して聞こえていた。
 引き戸を開けて狭い玄関に入ると、左手に下駄箱らしいものがあって、その側に二階への階段があった。玄関の右側は一階の廊下で、暗くてその先のことはよく見えなかった。

「一人なのか」
 りぃさは真を見つめたが、何とも答えなかった。知らないのか、興味がないのか、まるで自分までもそこに住んでいるわけではないと言いたそうに思える。その後は、真のほうからも二度と同じ質問をしなかった。後で思い出してみれば、恐らくそこは貸家で一階と二階を別々に貸しているようだったが、ついに一階の住人には会わなかった。

 しかも、りぃさは全く鍵を掛けている気配もなかった。
 表の玄関は共有だからだとしても、階段を上がった彼女の部屋に通じる押し戸にも、入ってくる他人を拒む何ものも存在しなかった。もっとも、泥棒も遠慮しそうな古い建物だ。
 半畳ほどのたたきにはパンプスや運動靴、男物の革靴、それに赤ん坊の布製の靴までが、浜辺にうち捨てられた難破船の残骸の隅に溜まった廃棄物のように折り重なり、それぞれの相方を見つけるのは難しいし、第一そのどれもが何年も誰の足とも縁がなかったように投げ出されていた。埃や土は遺跡に降り積もる年月のように重く、引き戸を閉めて息を吸い込むと、かすかに乾燥した菌類の臭いがした。

 改めてよく見ると、右手にある一階の奥へ続く廊下も、左手にある階段も、太った人なら体を斜めにしてやっと通れる幅しかない。りぃさは面白そうに、建設会社は別の惑星からやってきた小柄な宇宙人に頼まれてこのアパートを造ったのだと言った。一階の廊下の天井には魂を抜き取られた骸のように電燈の笠だけが丸く残っていて、時折、特殊な宇宙波を受けて気配なく揺れる。
 二階へ上がるというのに、いつの間にか地底に下りて、果てしなく地球の核に近付いていくような感覚だった。二階の空気は湿って重く、身体を締め付けた。

 ふと、どこかから複雑な香りがした。白檀の煙とむせ返るような花の匂いだった。何の花なのか、高級菓子と香水が混じったような重く甘い匂いが鼻からも口からも入り込んできて、気管も食道も満たした。息苦しいほどの強く芳しい香りだった。
 二階には部屋が二部屋あって、恐らくはりぃさが一人でどちらも使えるのだろうが、彼女は一方の部屋だけを利用しているようだった。廊下の左手は壁と窓だけで、低い板の天井に薄暗い電球が一つきり、灯っている。

 襖を開けると、六畳の畳の間で、低いマットだけを敷いたようなベッドが左に、頭を窓側に向けて置いてあった。正面には小さな低いテーブルに座布団がひとつ、右手には隣の部屋への襖があった。その半分をパイプのハンガー掛けが塞いでいる。服の数も女の子にしては少なかった。台所があるのかどうかさえ分からない。もっともあったところで、彼女が料理をするようには思えなかった。手洗いだけは廊下の突き当たりにあった。風呂はないようで、彼女は銭湯を利用しているらしかった。

 学生ではないようだし、働いているようでもなかったが、住んでいる環境はともかくとして、それほど金に困っているようには見えなかった。少なくとも、あの富山一族の曲がりなりにも親戚なのだから、どこからか手に入る金もあるのだろう。
 窓だけは大きめで、膝あたりから頭の少し上くらいの高さまであった。カーテンというよりも大きな布地を目隠しにしているようで、アジアのどこかの町で知り合いが買ってきた布だとりぃさは説明した。赤を基調とした薄い布地は、窓の向こうの光をステンドグラスのように赤く染めて、古い畳やベッドの上に複雑な物語を紡いでいた。

 そこはりぃさを包む繭だったのだろう。
 真が仕事に戻る時間を確認すると、りぃさは直ぐにストッキングを脱いで、そのまま躊躇いもなくパンティも脱ぎ捨てた。スカートは履いたまま、彼女はベッドの上に横になって足を開き、あの綺麗な声で真を呼んだ。
「ね、来て」
 りぃさが真を受け入れようとするその場所は、光で赤と黒の色彩をない交ぜにしていて、深い洞窟の奥に誘い込むように見える。真は簡単に自分が反応するのを感じた。  

 どこか遠くの方で、車輪が転がるような音が聞こえていた。彼女の顔の上にも、聖なる光を宿した赤い模様が揺れていた。
 りぃさと一緒にいても、食事をしたり、買物に行ったり、映画を見たり、つまり普通に恋人同士のようなデートをすることは一切なかった。ただ彼女の部屋に行って、ただ求め合うだけだった。時々、映りの悪いテレビをつけたまま抱き合っていると、彼女は呟くように言った。
「地球って、だんだん暖かくなっているんですって。そのうち、北極の氷とかも溶けちゃうのよね。人間が二酸化炭素を出しすぎてるの」
 ある時、重なり合ってもう今にも絶頂にいきそうになった瞬間に、りぃさが言った。

「南極ではペンギン達が話し合ってるかもね。人間って増えすぎてるよな、なんとかしなくちゃならないな、って。人間は少し減ったほうがいいわ。特に、いわゆる先進国っていう国の人間が。だって、生きていれば当然、車に乗っちゃうこともあるし、物も使っちゃうし、今更止められないものね。毎年、ちょっとずつ間引きするの。私とあなたが最初に間引されるんだわ。みんなが笑いながら見てる。だからその瞬間まで、私はこうやってあなたのものを銜えてるの」
 その言葉を聞きながらも、真は彼女の中で動きを止めなかった。上になっている彼女の中心に向かって何度も突き上げながら、頭の片隅でその通りだと思っていた。

 時にはりぃさが集めているという写真を見ながら畳の上で抱き合った。写真はいわゆるセックスを写したものか、地球環境や生物の出てくるもののどちらかだった。
「ガラパゴス諸島はもはや秘境ではなく、観光客を迎えるリゾート地になろうとしています。周囲から隔絶されていたために保存されてきた種は、持ち込まれる外来種によって遠からず絶滅の危機を迎えることでしょう」
 写真に添えられた説明文を、もうすっかり暗記しているのか、りぃさが天使のように朗らかな声で読み上げる。それを聞きながら、真はりぃさの腟を指で弄り、りぃさは真の性器を扱き、時には後ろの孔までほぐしてくれた。その奥をりぃさに弄られると、身体がぶるぶると震え、真は狂ったように何度も射精した。

「人類だって、いずれ絶滅種になるわ。だって地球の歴史の中で、ずっと種が存続した生命なんて、ごく稀でしょう」
 りいさが微笑みながら言う。そのうちお互いの頭と足が逆になるように向かい合い、互いの欲望を舌と唇で吸う。くしゅん、とりぃさがくしゃみをする。酔っ払うと彼女はくしゃみが止まらなくなった。地球アレルギーなのだと彼女は説明する。視界の中にぼんやりと浮かぶ写真の上では、進化の別の枝を、亀がのったりと歩いていた。

 セックスの写真は普通に男と女が絡み合うようなものではなかった。りぃさはそれを真に見るように強制などしなかった。ただ目の前に広げられるだけだったが、五感のどこかはちゃんとそれを意識に届けている。縛られ、踏まれ、吊り下げられながら蹂躙され、時には複数の男に後ろからも前からも攻められているようなものばかりだった。時々、頭の隅で、陵辱されて悶えるその女がりぃさだと認識していた。男同士が絡み合うものもあった。
「経験、ある?」
 たまに並んで見ていると、りぃさは聞いた。まともなセックスの写真はなかったので、そういう特殊なセックスをしたことがあるのか、という問いかけだったが、特別に興味があって聞いているようではなかった。彼女自身は何でもやったことがあるように見えた。

「男の人とも、経験あるの?」
 それだけは真正面から聞かれたので、真はただ頷いた。痛かったか、と聞かれたが、返事はしなかった。りぃさは重ねて、じゃあ気持ちよかったの、と聞いた。そもそもよく覚えていなかった。全く初めての時も、愛されていると思った時も、完全にぶっ飛んでいた。私は結構好き、とりぃさは言った。アナルセックスのことを言っているようだった。望まれるままに、何度か試した。

 写真の中の陵辱行為は少しずつ、現実になっていった。
 りぃさは、低いベッドの隅に手を伸ばして、長く赤い紐のようなものを手繰り寄せた。本当に赤かったのか、それとも光のせいで赤く見えているだけなのかは、よく覚えていない。真には彼女の少し上を向いた上唇だけが、より赤く見えていた。
 微笑んでいるのか、泣いているのか、あるいはそのどちらでもないのか、やはりよくわからなかった。彼女はゆっくりと真の首にその赤い紐を掛けて、今にも昇り詰めようとしていた真の首をゆっくりと締めてきた。

 そういう自殺ごっこのような、あるいはSMごっこのような遊びは、徐々にエスカレートした。
 りぃさはどこから手に入れてきたのか、真に『気持ちよくなる薬』を薦めて、自分も一緒に使った。彼女の説明では、法律に触れるぎりぎりだけどセーフ、ということだったが、本当のところはよく分からなかった。確かに、その薬を使うようになって、セックスの感じ方は明らかにたまらなく良くなり、かろうじて最後に残っていた羞恥を完全に剥がし去った。
 りぃさは下半身で真を締め付けながら、真の首をも絞めてくる。それが脳の中に麻薬を撒き散らしているのではないかと思うくらいの快感だった。酸素が不足して意識が途切れる一歩手前の状態が、脳の中に特別な物質を分泌して、快楽と繋がっているのかもしれない。

 時々、りぃさは真にマスターベーションをするように命令した。羞恥の欠片もなかった。真が昇り詰めそうになると、りぃさは自分の中をかき回して濃い粘液を絡みつかせた玩具を真の肛門に挿入した。玩具で昇り詰めることができる、というわけではなかった。りぃさがあの猫のような目で見つめていることでたまらなく興奮していた。多分、薬のせいもあったのだろうが、言い訳だったかもしれない。りぃさは長い時間真の反応を確かめた後で、彼女自身は真の勃ち上がったものを自分の中に迎え入れ、一緒に昇り詰めていくようだった。自分の後ろの粘膜が玩具を締め付ける異常な興奮が、そのままりぃさの中にいる自分自身を狂わせていた。

「入れるのと入れられるのと、どっちが気持ちいいの?」
 時々、挑戦するような目をしてりぃさは聞いた。考えたこともなかった。
「じゃあ、死ぬのと、どっちが気持ちいいの?」
 死ぬのとどっちが気持ちいいか、という問いかけは、真が絶頂に達しかけたとき、しばしば繰り返された。答えたことはないが、比べるようなものには思えなかった。

 仕事には行っていたが、どこまでが仕事の時間だったのか、どこからが彼女と過ごしている時間だったのか、少しずつ分からなくなった。家に戻るのは風呂を使う時と、着替えをするときだけだった。彼女のところに泊まってくるわけではなく、セックスと薬を楽しむと、そこから眠らないまま事務所に行くか、どこか町の中で居場所を探し出していた。
「大丈夫か?」
 ある時三上が、心配そうに声を掛けてきた。
「お前、ちゃんと飯食ってるのか? えらく痩せちまって、顔色も悪いぞ」
 ちょっと不眠症みたいで、と適当な事を言っておいた。三上や唐沢が自分のその状況に気が付いていないとは思わなかったが、彼らは敢えて干渉してくることはなかった。第一、そういう付き合い方が人の目に留まらないかどうか、真はそれを気にする余裕もなかった。

 ある日、真が出張から戻ってりぃさの部屋に行くと、彼女は全裸のままベッドに横たわって、恍惚とした表情で空を見つめていた。その彼女の身体に、波打った不思議な幾何学模様が赤くゆらゆらと揺れていた。
 それがどういう状況かは一目瞭然だった。りぃさの細い両足の間のシーツは、白く濃い液体でぐっしょりと濡れていた。真は一瞬何かにかっとなって、人形のように横たわるりぃさを揺り動かしてみようとしたが、思い直したようにベッドの傍の畳に座った。

 考えてみれば恋人になろうと約束したわけでもないのだ。誰か他に付き合っている男がいても、自分にどうという権利もないと思った。
 唐沢が一度だけ、ありゃあ娼婦だぞ、金持ちの連中相手のエロビデオにも出てる女だ、と言ったことがあったし、彼女の行為は慣れた女のものだった。写真の中の女性がやはりりぃさだとわかっても、驚くこともなかったはずだった。

 第一、自分のほうこそ卑怯でとんでもないと解っていた。
 りぃさの寂しさを愛おしく狂おしく思う半分で、真は自分のしていることが葉子や享志への、そして誰よりもあの男への当て付けではないかと思っていた。しかし、思っていても、それを自分の感情に確かめることはできなかった。
 出張で仙台にいる間中、ほとんど眠れていなかった。もっとも、これまでもよく眠れていたわけではなかったが、りぃさと離れていることはたまらなく不安だった。自分がいない間にりぃさが一人で死んでしまったりなどしないかと思うと、焦りのような感情が湧き起こった。自分がやりたいと思っていることを、誰かに先を越されてしまった時の焦りに似ていた。それが死へ向かう行為だという内容についての疑念は消え去っていた。焦りは眠りを遠ざけた。
三上が何度も、休んでいろと言ってくれたが、そんな気分にもなれなかった。

 真はゆっくりと立ち上がり、部屋を出ようとした。
「真? 帰っちゃうの?」
 りぃさの声は、異国の伝説に語られているように、舟を漕ぐ人を波の底へと誘い込む、聞いてはいけない甘い囁きだった。
「明日、また来るよ」
 振り返ってりぃさを見つめる前にそう言ってしまわなければならなかった。
「ここにいて」
 だが、りぃさの言葉を拒否できるわけはなかった。結局、真は彼女の悲しい瞳を見つめてしまった。

 彼女のベッドの中で、何か懐かしい匂いがしていたような気がした。その匂いは思わぬ錯覚を真の脳の中に引き起こした。側頭葉の記憶の引き出しの混乱なのか、不意に、髪から項に降りてきたりぃさの指が、冷たい銀色の金属の感触を持っているような気がした。りぃさが指輪をしていないことは分かっていたが、違和感を覚えなかった。
 その瞬間に、自分の心が、他の誰かの手や唇の感触を探していることを思い出したのに、手は何も掴むことはできなかった。真は大事な何かをすっかり諦めた。

「私を、愛してる?」
 身体を重ねても相手の心が解るわけでもなかった。本当にひとつになれるわけでもなかった。真はただ頷いて、りぃさをさらに強く抱いた。
「ちゃんと聞かせて」
「愛してる」
「もっと強くして。そのまま殺して。あの人がしてくれたみたいに」

 一瞬、何をりぃさが言ったのか解らなかった。解らなかったが、真の感情を混乱させて引っ掻き回したことだけは確かだった。真はりぃさの両膝を抱えるようにして、彼女の最も深いところまで何度も乱暴に突き、かき回した。りぃさがこんなに激しく声を上げて悶えたことは一度もなかった。
 ふいにりぃさの両の手が真の首に伸びてきて、細い指からは想像もできないほどの力で真の首を絞めてきた。真は、それに応えるように何度もさらに強く腰を打ちつけた。
 真がりぃさの中に自分自身を吐き出してしまっても、彼女は真を離そうとしなかった。それから真を自分の中に迎え入れたまま上になると、もう一度真のものが硬くなるのを待っているようだった。りぃさは腟を痙攣させるようにして真を締め付け、真はすぐにまた反応した。

 その途端に、りぃさは真の首に赤い紐を巻きつけてきた。そして、獲物を捕らえた後ではゆっくりといたぶるように、時間をかけて交差した紐を締めていった。下半身と首とを締め付けられて、真はゆっくりと意識をさらわれていった。
 ただ、そこには、何度彼女が彼を殺そうとしてくれても、あの岩棚から落ちたときのような懐かしい銀のイメージはなかった。そこはただ何もない、暗い闇だった。
 これは、そこに行ってはいけないという飛龍の合図なのだろう。りぃさの言うとおり、人間が生きて増殖していることが罪悪だとして、もしも間引きされる人間の候補が自分だとして、それでも、自分が本当にもう一度ちゃんと死んでしまえるチャンスがめぐってきたら、きっとあの馬は自分を迎えに来てくれると真は信じていた。

「ひりゅう」
 絞められた首で、笛のように言葉が引きつった。飛龍の名前を呼んだのか、ただの咽喉の唸りだったのか、真にもわからなかったが、その瞬間に首を締める力が緩んだ。
 途端に一気に必要以上の空気を吸い込んでしまい、むせこんだ。
 咳が治まると、真はりぃさを見つめたが、りぃさは感情のない表情で真をただ見おろしていた。あたりは静かで、遠くから子どもを叱りつけるような女の甲高い声と泣き叫ぶ子どもの声が聞こえている。
 咳き込んでいる真は、まだ生きようとしている、彼女とは別の次元にいる生き物のようにりぃさには思えただろう。

「りぃさ」呼びかけてから、初めてたまらなくこの女が愛おしいと思えた。「ごめん」
 まだ、りぃさは真より少しばかり遠いところを見ているようだった。
「ずっと一緒にいるよ」
 りぃさはやっと真に焦点を合わせた。
 それからずっと真は彼女を抱き締め、その髪を撫でていた。りぃさは眠ったのか、真の腕の中でことりとも動かなかった。

 愛しさの陰で、真は自分の言った言葉の中に、嘘を見出していた。
 どれほど愛おしいと思っても、半分は嘘だった。りぃさを抱き締めながら、真は何度も、心を病んだまま病院で死んでしまったあの女を思い出していた。
 りぃさの身体を抱きながら、ずっと意識の中では自分はあの女を犯していたのだと思った。そして真がりぃさの中に、穢らわしい欲望を吐き出してきた行為が、いつも病院の手洗いの個室や、帰ってから自分の部屋の布団の中でしていた行為と、何ら変わらないことだったのだと思った。その行為は、相手を愛おしいと思う行為ではなかった。ただ穢らわしい自分の中の血を吐き出すためだけの、排泄に近い行為だった。だからそこには相手はいなかったのだ。あの女もりぃさもそこには存在していないのと同じだった。

 そして、心ごと感じるまでに相手と向かい合い、愛し愛されたいと望み、身体も心も溶けるまでにひとつになろうとする欲望は、全く別の相手に向けられていたのだと、そういう行為はまったく別のものなのだと、嫌でも思い知らされような気がした。
 その夜真は、自分の感情がどこに向かっているのか、あまりにもはっきりと解ってしまったように思った。それが、りぃさの死への憧れとは全く違う次元で自分を生かしていることにも。

 それでも、あの夜、飛龍は真をこの世に残したのだ。
 北海道の牧場の暗い闇の中で、真を見つめていた飛龍の穏やかで哀しい濡れた漆黒の瞳。あの時真が選んだものを、飛龍は了解したのだろう。
 美しい声と命とを差し出して愛しい人を救った人魚姫の犠牲のように、お前にこれから起こる全ての悲しみと重荷に耐える勇気と覚悟があるのなら、いくらかの時間をお前に残してやろうと、あの瞳はそう語っていた。それはりぃさのために死を選ぶことを許容しているわけではなかったのだろう。

 誰かを愛するということは、その誰かの不在がたまらなく苦しいということと同義だった。りぃさをを愛おしく思っても、その不在を耐えられないということにはなっていないことを、真は叩きのめされるような気持ちの中で見出してしまった。
 それでも、そんな一方で、自分の卑怯な感情を許せない気もした。もしもりぃさが望めば、一緒に死んでやってもいいと、この今でも思っていた。何より、この女を救えないという事実を認めることが苦しかった。矛盾した感情は、混乱した真の中では、不安定な均衡を保ったまま両立していた。
 生きていたいと思ったわけではなかった。ただ、りぃさの存在で増殖してしまった真自身の不安は、行き場のない渦のようになって、どこかへ彼自身を飲み込んでつぶしてしまいそうになっていた。






さて、次回からは真がここから抜け出していく過程です。
この裏で進行していたことは、第4節の最後、竹流の独白までお預けになります。
今はただ、時間の流れの中で何が起こっていたのか、お楽しみいただければと思います。

りぃさ、という女性は、多分このお話の中でもちょっと特殊なキャラだと思います。
好き嫌いも分かれるだろうし……書いている私は、実は「無感情」です。
彼女には何の感情も湧いてこない、というべきなのか、警戒して何も思わないようにしながら書いているのか。
いずれにしても、透明というのか真っ白な気持ちで書いています。
ただ、真の心の中に「何か」を残してしまったのは確かのようですね。

崩れているマコトの心を、じゃなくて、真の心を取り戻すのは、もちろん、あの人の仕事です。
(気を許すと? 「マコト」に変換される……^^;)
あの人、「もう大人なんだから、過保護にしてちゃいけない」と突き放す方針にしていたのですけれど、あれだけ過保護にしておいて、今更突き放してもねぇ……
さて、この章には、主人公以外のキーパーソンが幾人か登場しますが、次回からは、素敵なロシア人女性・サーシャの登場です。一気に、明るい方へと物語は動きます。
……心には何かを残したままで……
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Category: ☂海に落ちる雨 第3節

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コメント


う〜ん

このりぃさって女、かわいそうな人だなあ。
「一緒に死んでくれることでしか」愛されていることを確認できなくなっちゃうなんて。真だけでなくて、通り過ぎた全部の男たちにとってのナンバーワンにはなれなかったのでしょうね。性交や薬みたいな過激な刺激に溺れていくのって、感情的な飢えが満たされることがなかったからだと思うのですよ。で、本当に死ぬまで満たされないまんまだったのかしら。

メチャクチャやっている場合ではないっていう(貧乏で働かなくちゃいけなかった、というような)現実に立ち返れる要因もなかったから、行き着くとこに行っちゃったんでしょうかねぇ。

責任を取る義務はないけれど、確かに、近づいちゃダメな人だったんでしょうね。こういう人には「愛している」「一緒に死んでやる」なんて言うよりは、二つ三つひっぱたいて「ちゃんと地に足をつけて生きろ」という方が愛情でしょうが、それがわかるには真もまだ若かったんでしょうね。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2014/01/20 03:57 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

> このりぃさって女、かわいそうな人だなあ。
うん、私もそう思います。夕さんのおっしゃる通り、彼女の本当に求めていた相手は、まるきり手に入らない相手だったみたいですし。自分は満たされていないと思うことで、さらに満たされない状況へ自分を追い込んで行ったのかもしれません……
時代もあったとは思うのですけれど……70年代、不思議な熱に若者が浮かされていたような気がします。
これよりも一昔前は、若者にとって死とは文学的であったような気がするけれど、この頃は観念的な死。そして今はもっと社会的な印象があります。
前に向かう強い気持ちはなかなか手に入らなくても、せめて今の自分を見つめる勇気があれが良かったのですけれど……
真の側(真自身ではなくて、彼の周囲)から見ると、もう「トンデモナイ」なのですね。
で、真は究極に追い込まれる前に……なんと、入院しちゃう……^^;
次回からはりぃさはしばらく放っておいて(!)、真の再生への過程になっていきます。
りぃさの件は、もう少し後で、また回答編があります。あ、何も救いにはなっていないかもしれませんけれど。
この話、思えば、本当にどろどろどろ~なのですけれど、その中でそれでも一生懸命に足掻いている真を応援してやってくださいませ^^;

> 責任を取る義務はないけれど、確かに、近づいちゃダメな人だったんでしょうね。こういう人には「愛している」「一緒に死んでやる」なんて言うよりは、二つ三つひっぱたいて「ちゃんと地に足をつけて生きろ」という方が愛情でしょうが、それがわかるには真もまだ若かったんでしょうね。
本当に、近づいちゃダメでした。タイミングが悪かったですね。それに、特に真のような性質の人間は、相手に共感してしまうので、ダメなのです。
でも、ひっぱたいてやっても、分かる人と分からない人がいますよねぇ……りぃさの場合は、後々竹流が言っていますが、これはもう病気なのですね。

何にせよ、次回からは一歩前に進む予定ですので、ちょっと安心して読んでいただけるかなぁ(^^)
いつもありがとうございます(^^)

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2014/01/21 00:08 [edit]


色彩が・・・

真がりぃさにのめり込んで、一緒に堕ちていく過程、とてもすんなり入ってきました。
真にとっては、逃避させてくれる存在だったのでしょうか、りぃさの悲しみに共鳴しだしたらもう、離れられないですよね。

でも自分がなぜりぃさに惹かれるか、溺れるかを、どこか冷めた部分で見つめている。
ここが、まだしも救いでしょうか。
・・・それでも、境界を越えてしまうのは、いとわないんだろうな。とにかく、・・・なんでしょうね、真って。快楽に溺れてくほどに透明度を増す、不思議な人です。淘汰されるというより、神に連れていかれる感じがする・・・。

りぃさに対する感情は、彼女の視点がないせいか、私の中でもまだ無色です。
でも、真に影響を与える上では、とても興味深くて強烈な人物ですよね。いまはりぃさによってかき乱される真に目が行ってしまうんですが、きっとまた別の思い入れが出てくるように、大海さんが仕掛けてくるのでしょうね^^

とにかく、りぃさの部屋、生活環境の描写が秀逸で、色彩豊かで、どこか蜷川実花の映画を見ているような感じがしました。
私もいつか、ブログ小説としてではない物語で、とことん描写してみたいな・・・なんて、思いました。

余談ですが、もしりぃさと出会ってたのが春樹だったら、きっともう一夜で終結していたような気がします・・・。
ああ、この世は危険がいっぱいだよ、春樹(´゚∀゚`;)

lime #GCA3nAmE | URL | 2014/01/21 23:02 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

優しいコメント、ありがとうございます(^^)
ここは多分、いわゆる情景描写が必要な流れだから気合が入ったわけではないのですけれど、たまに描写に気合を入れてみたりしています。映画とかドラマなら、ワンシーン・ワンカットで済むところですけれど……でも小説でこれをあまりやりすぎると、話がちっとも進まなくなるし、文学の先生でもない限り、退屈されるに違いないのですよね^^; だから、たま~に、気が向いたら……です。
バランスって難しいですよね。ほとんど物語の流れしか書いていない小説もあるし、やたら情景描写の多い小説もあるし。どちらもそれぞれ悪くないんですけれど、どちらが勝りすぎても何だか物足りない。退屈しない程度に上手く配分できたら最高なのですけれど。

ここでは真の視点で、少し異世界の感じが出たらいいなぁと思っていました。
そうなんですよ。真は実は冷めているんですよね(醒めている、とも言う?)。
さすがlimeさんです。私がここでこの情景をやたら描写していたのは……真がただのスケベにならないように気を使ったわけではなくて(それもちょっとあるけど^^;)、異世界観を書くことで、真の精神状態がちょっと異質な状態にあったことが伝わったらいいかなぁとも思ったのでした。
で、真はその異質な自分を観察している。逆に、完全に自分が我も忘れて溺れるのがどういうシチュエーションかもよく分かってるし。
ただ、この性的に溺れやすいところってのも、真の「ある一面」には違いないんですよね。
それは実は純粋な面でもあって……ありがとうございます。そこのところ、上手く伝わったらいいなぁとも思っていたので、嬉しいです。自分でも上手く言えないのですけれど……
そうそう、恋愛に透明過ぎるリクと、結構欲望には溺れちゃう一面もある真がどこか似ているのは、その表現型が違うだけで、中身が一緒だと思うから、で、どこか似てる、と思ったのかなぁ??

りぃさの方は……どうでしょう。第4節にちょっとその答えが出ているかもしれません。
またお楽しみに(*^_^*)
そうそう、春樹だったら……大変でしたね。こんな女のものすごいマイナスのオーラを喰らったら大変なことに……真の場合は「おっかない守り神」がついていますからいいんですけれど……春樹の守り神は、今のところちょっと頼りないですからね^^;
コメント、ありがとうございました(*^_^*)

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2014/01/22 20:53 [edit]


うわ

何だかお恥ずかしい……この禁18を読んでくださったのですね。いえ、もう、なんと申し上げて良いのか……(何を照れるのやら)
とは言え、私の書く禁18シーン、一部の友人たちからは「実況中継」と言われておりまして……湿っぽさがないそうです。濡れ場、という言葉にそぐわないようで、完全に乾きもの^^;
真ってこんなやつではありますが、決してイヤラシイ人間では…・・ないと思いたい。またお付き合いくださいませ^^;
この話、ちょっとこれから大変なことになっていきますが、泥の中に蓮が咲くような話でありたいと願っています。
コメントありがとうございます。とても嬉しかったです。

彩洋→拍手コメK様 #nLQskDKw | URL | 2014/01/22 22:45 [edit]


耽美!

彩洋さん、こんばんは♪

ようやく「海に落ちる雨」の連載に追いつくことができましたよ~ヽ(*´∀`)ノ

昨日、第21章「わかって下さい」を8まで通しで読みました。
で、この章は、りぃさという魔性の女が亡くなる前と後で内容が大きく分かれていきそうなので、彼女が出番を終える今回で一度コメントさせていただきますね。

まず、りぃさ。
この女性はずいぶん前から名前が出てきていましたし、真のその後に大きな影響を与えた存在だったようでしたので、どのような人物なのかその登場をすごく楽しみにしてきました。
そしてその期待は、見事に裏切られることがなかったです。

こういう「死にたがり」で第一次欲求だけで生きているような人物は、中途半端に描くといやらしいだけなんですが、極めて書くと哲学的な風合いすら漂わせることができると思っています。
彩洋さんの筆力は、まさに彼女を倒錯的でありながら虚偽でないものを追い求めた生の女性に描き出されていたと感じました。

りぃさと真の交情シーンなど、まさに谷崎潤一郎の耽美な世界を観ているようで魂が震えそうになりました。また、りぃさの住む繭のような部屋の描写は息を呑む程美しく、このような文章を紡げる彩洋さんのセンスに参りました。
本当にすごい、の一言です。

個人的な好みでりぃさは一押しの女ですが、相手が真では彼がかわいそうですね。真、ボロボロのかたなしになるはずですよ(笑)
彼女にはもっと生きて阿修羅の如き凄まじい人生を歩んでいって欲しかったのですが、物語の進展上ここでお役御免はしょうがないですね~。

さあ、ここにきてようやく姿を現した竹流ですが、どうやって真に「生」を取り戻させるのでしょうか?ロシア人女性、サーシャの存在も大きかったようですが、やはりここで役に立たなければ男じゃないです。
竹流の今後の健闘に大いに期待しております!

ではでは、またお邪魔させていただきますね♪
いつも心躍る小説を読ませてくださり本当にありがとうございます(*^_^*)

三宅千鶴 #- | URL | 2014/03/16 19:43 [edit]


千鶴さん、ありがとうございます(^^)

千鶴さん、ありがとうございます!
ついに追いついてくださったのですね!
本当に一生懸命読んでくださって、そしてこんなスピードで追いついてくださって、感謝に堪えません。
読者も数えるほどのこの物語、少ないながらも強力な読者さんのおかげで続けております。
これからも(ずうずうしく)よろしくお願い申し上げます。

りぃさ、というのは、実は原型がありまして。
大昔、中学校の時、ノートに書いていた真シリーズの原型というべき小説のひとつに、真を気に入って現世に現れた幽霊のリサというのがいたのです。
これ、後から思えばホラーだった気がしますけれど^^;(ホラー、嫌いなのに(;_:))
実はノートはまだあるものの、あまりにも突飛でばかげているので怖くて読み返せませんが、真には確か綺羅という名前のアイヌ人の恋人がいたような?(恋人だったか、その話の中で知り合っただけだったか……)
いやぁ、まさに黒歴史です^_^;
でも、そのリサのイメージが強烈で、これが巡り巡って、真を死に誘うイメージだけが残ったのでした。
ただ、このりぃさ、竹流の回想シーンではある事実が……またいつか、事情説明があるので、ご期待くださいませ。
このエキセントリックさは、村上春樹さんの小説を比較的集中して何冊か読んでいたころの頭の中から出てきたものなのかもしれません。別にハルキストではありませんし、エキセントリックな女はどちらかという苦手です。でも、書く分には意外に楽しかったような気がします。
そして、ちらり、と彼女の悲しさみたいなものが出ていたら、嬉しいです。
そう、本当は……ただ好きな人に振り向いてほしかった(もしくは一緒に死んでほしかった)可哀そうな女だったのかもしれませんね……
結果的には、真は役不足だったのです。
感化され過ぎで、どうしようもなくて……でも、そんな彼を放っておかない人がちゃんといました。
しかも二人も……。竹流、ちょっと恐ろしいことをしています。
「禊のために籠る」とか言っておりましたけれど、この人、実は怖い人です……^^;
> 彩洋さんの筆力は、まさに彼女を倒錯的でありながら虚偽でないものを追い求めた生の女性に描き出されていたと感じました。←←これはほめ過ぎですけれど^^;

> りぃさと真の交情シーンなど、まさに谷崎潤一郎の耽美な世界を観ているようで魂が震えそうになりました。また、りぃさの住む繭のような部屋の描写は息を呑む程美しく、このような文章を紡げる彩洋さんのセンスに参りました。 ←←これもほめ過ぎです^^;
でも、この辺は結構楽しく書いたところです。
お褒め頂いて、嬉しいです。ありがとうございます(*^_^*)

> さあ、ここにきてようやく姿を現した竹流ですが、どうやって真に「生」を取り戻させるのでしょうか?ロシア人女性、サーシャの存在も大きかったようですが、やはりここで役に立たなければ男じゃないです。
うふふ。なぜかちょっと竹流には厳しい千鶴さん^^;
このあたり言い訳しますと、竹流は、できるだけ真を遠くから見守る人間になりたいと思っていたのですね……その心は……近づきすぎると、思いどおりにならなくてイライラしちゃうし、自分に逆らったらことごとくいたぶってしまいそうだし^^;
でも、今後の展開にご期待ください(*^_^*)

> いつも心躍る小説を読ませてくださり本当にありがとうございます(*^_^*)
こちらこそ、いつも暖かいお言葉有難うございます。
これからもよろしくお願いいたします(*^_^*)

彩洋→千鶴さん #nLQskDKw | URL | 2014/03/18 02:17 [edit]


一字一句を流してしまうのが惜しくてさらにゆっくりペースです(^^;)
まずは100話! 来ましたねえ。私も100記事目、100話目、のときは、う、が来ました(←イミフ -_-;)

そして、経緯話まで来ました。
出会って、すっと惹かれてしまったのですかね。
言葉とか考えとかなく、感情も危うく・・・

りぃさは何かあきらめてしまっているような感じを受けます。
それでいて負ではなく付でもなく、不みたいな感じ。はい、イミフ(-_-;)
この出会いが真に残してしまったことがまた大きいのですね。

誰かと関わることは自分と関わることでもあるわけで、また真、眠れない日々を送っているのですね。体に悪そ。
りぃさとの関係の中に何を見、どう進んでいくのか大いに気になるところです。

けい #- | URL | 2015/02/28 14:39 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

こちらにもありがとうございます!
けいさんのおかげで少し振り返りができてうれしいです。いや、もう何度も見直しているのはずなのに、今読むともう恥ずかしいような文章だったりする……読みにくくて本当にすみません。でもありがとうございます!!
そして、はい、100話目ですね。『雨』は長すぎるので、いつも切り処を悩んでいます。だから200話といってもいいくらいの長さのような気もするし、私としては、本当は1章分は一気に読みたい分量だったりもするし、でもブログではあり得ないし、みたいなジレンマです。だから数字にはあまり意味はないと思いつつも、切りのいい数字は何だか嬉しいですよね!

りぃさのシーンは、そもそも独立したお話(エピソード)だったのです。それを組み込んだので、妙にブンガクを気取っている辺りが恥ずかしい^^;
りぃさの本心は、第4節の最後で竹流視点と享志の独白である程度はっきりすると思いますが、りぃさ自身が語るわけでもないので、本当のところはどうだったのか、まさに分からないままです。
真って女を見る目がないんですよ。いや、多分、この女なら大丈夫(自分にあっている)っていう女はちゃんと分かっていると思うんですよ。でもなんでかそういう女を避けている……?
今でも、作者が言うのもなんですが、「どうして美和ちゃんとくっつかなかったんだろう?」「なんで美沙子(高校の時から付き合ってた彼女)とそのまま結婚しなかったんだろ?」って感じなのです。あ、このお話の中のカラダの関係の深雪も、実は結構いい女なんですけれど……竹流は認めていたみたいですし。
りぃさの場合は、外力によって引き裂かれなかったら(竹流の独白をお楽しみに! このエピソードの竹流視点がが出てきて、そんなことだったのか!が明らかに……)、一緒に死んでいたかも……

りぃさだけは、今もって作者にとって「全く理解できん女」という位置づけです。
ただ、彼女の言葉には、どこかに自分自身の声が混じっている気がします。でも全体としては理解できん女です。
> りぃさは何かあきらめてしまっているような感じを受けます。
> それでいて負ではなく付でもなく、不みたいな感じ。はい、イミフ(-_-;)
おぉ、そうですね。う~む。けいさん、鋭いかもしれません。
彼女がなぜ「あきらめてしまった」か……やっぱりこれは竹流の独白をお楽しみに!
真が彼女を支えたいと願ったこと、彼女を救えなかったことは、真にとっては大きなことでしたが、彼女にとっては「一番」ではなかったのでしょう……

> 誰かと関わることは自分と関わることでもあるわけで、また真、眠れない日々を送っているのですね。体に悪そ。
> りぃさとの関係の中に何を見、どう進んでいくのか大いに気になるところです。
おぉ、いつも真の睡眠時間を気にしてくださってありがとうございます。
ちなみに、真の睡眠に関しては、本人がサバンナの野生動物(草食動物)と同じだと思っているようです。ぐっすり寝たら食べられちゃうので(ディズニーランド的に言うと「ジャングルではいつも食事時間」ってやつですね)、超短時間寝るのを繰り返している……
で、この先は、かなり明るい展開になります(そのはずです)。新しく登場する女性が真を救う??
お楽しみに!!
コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2015/03/01 02:13 [edit]


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# |  | 2017/08/23 10:11 [edit]


鍵コメCさま、ありがとうございます(^^)

あぁ、なんと言っていいのか……りぃさ、という人物は、未だに謎なのです。謎というのか……小説の登場人物に自分を反映するかどうかって話、時々交わされますよね。私の中ではNoなのですが、Yesではない、とも言い切れない感じなのです。
100%自分の何かを投影することはないけれど、1%くらいは投影していることもなくはない、みたいな。
だから、りぃさが語っている言葉の中には1%くらい、時々自分が極論を考えるときに頭を過ぎることが含まれているような気がします。ただ、その考えを自分が肯定したり、指示しているということではありませんが……でも、世の中の危うい考えを100%否定はできないというのか、そういう考えがあることについて、人間というものの中に潜んでいる何かを考えてしまうことはあります。そして、自分はたまたまその考えに捕らわれなかったけれど、捕らわれる可能性については考えることがあります。
私は高所恐怖症ですが、高いところに何かの事情で上がったとき、怖いんだけれど、一瞬「落ちたらどうなるんだろ」と思わずにはいられない時もありますし……そういう「あかんやろ、ってところに近づく」って性質、そこに恍惚を見いだすかもしれないって感覚、分からんでもないのです。
が、りぃさと私は重なるところ、ほとんど無いと思います……それは考え方や感覚は少し重なっても、行動に出るかどうかの部分が人の在り方としては大きいと思っているからかもしれません。
でも、こういう人を書いた時点で、彼女のような在り方を認めているんですよね。きっと。まぁ、周囲には迷惑な話なんですけれど。特に、彼女の存在は竹流の怒りに火を付けちゃいますし。

同じように「分からん」存在でも、唐沢を書くのは楽しい。でもこれ、性別の問題もあると思うのですよね。りぃさは女性なので、共感しすぎると、生々しくなってしまって、小説書きとしては危ういものになってしまうという危機感もちょっとあるのかなぁ……
なにしろ、自分でもよく分からないんですよ。よく分からないという部分では村上春樹の小説に出てくる人物、私の中ではほとんどこういうイメージです。共感する部分がものすごく少ない……次元がズレてる感じがするってのか。
でも、彼女はこの世界を構成している大きな要素なのです。彼女の存在の意味は「世界を揺り動かした」ところ。人の心は、不安定で揺れ揺れで、それは存在をどれほど危うくするかという、そんな感じを彼女に投影していたかもしれません。そして真の存在に直接触れたのは、竹流以外では、彼女(と彼女に重なった、真の「母」=義理の母、功の嫁)しかいなかったかも。
彼女の事を愛しいような切ないような、と感じていただいてありがとうございます。多分、私も同じような感覚を持っているのでしょうけれど、書いている時はやはり無感情だったのです。それは何かなぁ~上手く言えませんが、描写するに当たって、この存在についてはこうでしかあり得ない、読む人にもこの不明で不安定な存在をそのまま感じて欲しい、と思っていて、だから私の感情や意味づけは敢えてシャットアウトしたというところかもしれません。
とても嬉しいコメントでした。ありがとうございますm(_ _)m

彩洋→鍵コメC様 #nLQskDKw | URL | 2017/08/26 17:55 [edit]

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