08 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 10

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【limeさんのイラストに物語を(2)】秘すれば花 

闊ャ闍・_convert_20140409201015霑ェ・ォ郢晄ァュ縺慕ケ晁肩・シ迢冂onvert_20130824193448_convert_20140414070547
(この絵の著作権は【小説ブログ「DOOR」】のlimeさんにあります)

今日は日曜日。ぼくは朝早く起きて、顔を洗って、タケルを起こして。
それからねこまんまを作ってもらって、食べて、うんちとおしっこも済ませて。
よし、準備は万端。

そう、ぼくね、最近お気に入りの番組があるんだ。
『半にゃライダー』
ぼくみたいに半人前のねこが、般若の面を被って、世界征服を企む悪の組織と闘うんだ!

わ~、タケル、始まるよ~
タケルはぼくに付き合ってくれるの。
……あれ?

「『半にゃライダー』の時間ですが、緊急特別番組をお送りいたします。『半にゃライダー』のモデルともなった能楽師・京極瑞月さんの兄、京極翔月さんは三年前、不審な死を遂げておられますが、この度新事実が判明したようです。奈良県の山深い村から実況中継でお送りいたします。なお、『半にゃライダー』はこのあと、十五分遅れて放送予定です」

え~~~。何だよ、つまんない。

テレビには、深い山の中、蛇行する道が映っている。
そして、桜を背景に学ラン姿で立つ少年。あ、ほんとだ。半にゃライダーのモデルの人だ。
大人しく待とうな、というようにタケルがぼくの頭を撫でた。
そして、緊急特別番組が始まった。




というわけで、limeさんの素敵なイラストに物語を、その2です。
出だしからマコトの登場となりましたが、これは【茜いろの森】のあかねさんと私のPCでは、「はんにゃ」と打ち込むと、最初に「半にゃ」と出てくる、というので、前回のSSに引っ掛けて遊んでしまいました(*^_^*)

さて、実はlimeさんの妖艶なる少年の学ラン姿を見て、最初に思いついた物語はこちらの方だったのです。
でも、お風呂でぼや~ん、と中身を練っていたら、多分、風呂場の天井辺りに住みついていたのでしょうか、関西の家には一家に一人はいる、座敷童「笑いの神」が降りて来ちゃったんですね。
で、あんなSSになってしまい……
でも、やっぱりこっちも放っておくのはかわいそうなので、【図書館…】は待たせて、先に書いちゃいました。

ちなみに、Rなシーンはありませんが、同性の恋愛が絡みます。
と言っても、BLというほどにはファンタジックな恋愛ではありません。
でも、苦手な人は、本文を飛ばして、最後に再登場するマコトに会いに行ってやってください。

お能……室町時代、為政者のスパイだったともお小姓だったとも言われる世阿弥ですからね、ありなのです。
【清明の雪】に登場する和紙職人さんの言葉を借りると。
「織田信長も三島由紀夫もそうだったというし、だいたいあちこちのお寺にゃ、いわゆる寺小姓というのがいたし、つい近年まで日本では衆道というのは恥ずかしいことでもなんでもなかった。お前さんの国辺りでも、アレキサンダー大王とやらも、ダ・ヴィンチやミケランジェロもそうだったというじゃないか、わしは驚かんが」
ってなことで、お許しあれ。

でも、コメント欄などを拝見すると、limeさんのイラストを見て、ちょっとこういう耽美な世界を思い描いたのは、私だけではなかったようで。
そしてちょっと設定が被っているのが、【scribo ergo sum】の夕さんが書かれた世界。
でも夕さんはさすが、ワールドワイドで設定が豊かで、そう来たかって感じで、淡々と書かれているのに耽美です。

また、先に述べましたように、『天河伝説殺人事件』の二次小説的な部分もあります。
物語の舞台は明記していませんが天川村です。神社のイメージもまんまです。
小説からは、お能の流派の設定を少し借りています。そして件の般若の面の名前、さらに舞台の上で次期宗家が亡くなるという点。
でも、他の登場人物や犯人などは、まるで違う世界です。
でも、私も物語の詳細を覚えていないところもあるので、何か粗相があるかもしれません。些細でもどんなネタバレも許せない人は、まず『天河伝説殺人事件』をぜひお読み(ご覧)ください。
映画は特に……榎木さんが素敵で……
あの映画、市川昆さんの映像美、やはりもう一回観ようっと。

では、お楽しみください。
limeさんのイラスト、やっぱり物語がわき出てきますね。
ありがとうございます(*^_^*)

そして、今回のBGMは安全地帯さんの『出逢い』。内容がまさに火曜サスペンス劇場ですから……

(2:00くらい~)この曲、大好きなんです。玉置さん、あれこれややこしい方のようですが、曲はほんとすごく胸に来ます。
あ、limeさんがピックアップされていた『二人静』はもう、まんま、物語に沿っているかもしれません……(*^_^*)
(テレビでなら『出逢い』、映画になったら『二人静』?)



愛しい人の生き血を吸って、雲が月を隠す十三夜に花が咲く。
闇を淡い白に染めゆきながら、叶わぬ恋の成就を誰に願うのか。
そのあまりにも無垢な色でしても、天幕のような闇を覆いきることは出来ぬというのに。
それでも、お前はただ命を限りに咲き尽くし、静かに終わりの時を待っている。

では私は、せめてお前を弔おう。
お前の真白な魂を、ひとひらたりとも逃さぬように、この手に抱こう。
お前とのひと時の悦楽のために、己の手を血で染めながら、彼方の闇へと堕ちてゆこう。




「榊原先生、来てくださったのですね」
その男は拝殿の階段に背を向け、静かに能舞台を見つめて立っていた。
拝殿を覆う屋根からは、神社のシンボルである五十鈴が釣られており、同じ屋根の下、能舞台が設えてある。松の背景も何もない、無垢な作りだった。

鳥居から続く階段から吹き上がって来た風が、白木の階段と能舞台の間を吹き抜けていく。
どこからか舞い込んだ桜の花びらが目の前を行き過ぎた。
「君の晴れ舞台だからね」
天との境を屋根で仕切られた空間の中、深く悲しい響きを残すバリトンの声が答えた。

榊原輝昭は室町時代の芸能史の研究家であり、ある私立大学の教授でもあった。数年前までは如何にも生命力の漲った顔をしていたが、三年ぶりに見るその姿はすっかり痩せて、背の高い分、際立って陰鬱に、悲しく見えた。
確か、来年五十になる年回りだったはずだが、髪はもう半分ほど白くなっており、眼鏡の奥の目は、三年前のあの日にこの場所で凍りついてしまった時を見つめたままだった。

瑞月が送った招待状に、この男が応えるかどうかは小さな賭けだった。
今回の舞台には深い意味がある。京極流の次期宗家となる瑞月の実質上の襲名披露であり、瑞月の兄、翔月の三回忌追善能でもあった。
「辛い思い出しかないこの地に、再び来てくださるとは思わなかったので」
「どういう意味だね」

こうなってもまだ隠し通そうとするのかと、瑞月は時折この男がいじらしく思える。榊原は二人の関係を墓場まで持っていくつもりなのだろう。今となっては永遠に叶うことのない恋となってしまったが。
「大学を辞めるそうだね」
「えぇ、もう隠れる必要はなくなりましたから」

「えらく若い宗家の誕生となったものだ」
「そうですね。確かに、本来なら兄が継いでいたはずですから。兄の死で宗家を譲る相手を一旦失った祖父も、さすがにもうあと一年、身体が持つかどうか」
「他人事のように言う。君が年齢とは無関係に並はずれた実力の持ち主であることは、多くの人が認めている」
「どうでしょうか。僕を殺してでも宗家になることを阻止したい人間だっているかもしれませんよ」

そう、その筆頭はあなたではありませんか。
瑞月はそっと榊原を見上げた。眼鏡の奥で榊原の冷たい瞳が、この場のどこにもない光を探している。
世界から途絶された奥深い場所で、風に嬲られた炎だけが真実を照らしていた薪能。シテの白い装束までもが紅に染まり、時に闇に沈み、儚い命を燃え立たせていたあの恋情。
あの影を求め彷徨って、この男はここにやって来たのだ。

「先生、今日はあなたのために舞いましょう。兄のための追善能なのですから。あなたはもしかしたらこの三年間の苦悩に答えを見出すことができるかもしれない」
あるいは、このまま苦しみ続けることになるかもしれない。
瑞月はそっと、榊原の胸に手を当てた。
どれほど心が病み苦しんでも、心臓というものは簡単に鼓動を止めないらしい。



「いやぁ、随分と山奥ですなぁ。よくぞこんな辺鄙なところで舞台をなさろうとするものだ。古典芸能の世界は、われわれには全く理解が及びませんわ」
階段を上ってきた小太りの男が、息を弾ませながら言った。まだ春も浅いと言うのに汗を拭いている。傍には、同じくスーツ姿の若い男を従えていた。

「困りますなぁ。京極瑞月さん。三年前の事件の失われていた証拠物件、見つかったそうじゃありませんか。それを警察に連絡もなしに、こんなところまで持ち出されるなんてね」
困ったことだ。つまり、これはいわゆる内部告発というわけだ。

京極流の中には、瑞月の襲名を快く思わない者がいる。いや、瑞月と現宗家、それに瑞月の母以外の全ての者が、この襲名には反対していたのだ。
理由はただひとつだ。瑞月は若すぎる。
だが、瑞月は幼少時からその才を認められていて、三年前、兄の翔月が襲名すると決まった時にも、瑞月が相当の年齢になるまでの中継ぎだろうと揶揄されたほどだった。

誰の目にも実力の差は明らかだった兄弟だが、仲は良かった。兄の翔月はどこまでも控えめで優しく、宗家を担うほどの舞の才能はともかくも、人柄では誰からも慕われていた。しかし、やはり実力がものを言う世界だ。病気での入院をきっかけに、宗家が次期宗家の指名を急いだ時、京極流の高弟たちからは随分抵抗があったと聞いている。
あの時、兄の翔月は宗家を継ぐことに対してどう思っていたのか、瑞月の記憶の中の翔月は優しく微笑むばかりだ。

その兄が、次期宗家と認められた証の般若の面をつけた舞台『道成寺』の最中に、急死した。他殺か自殺か、いずれにしても、服毒による不審死であった。
混乱を避けるために瑞月と翔月の祖父である現宗家は、次期宗家の指名を先延ばしにすることを宣言し、この三年間、老体に鞭打って宗家としての務めを果たしてきた。
彼ら兄弟の父親は若くして亡くなっており、他に宗家の認める後継者がいなかったということなのだろう。そう、まだ高校生だった瑞月の他には。

今回の異例の年若き宗家の誕生には、古典芸能の世界以外からの注目が集まっていた。金銭的に見合わないからと行政からの補助を打ち切られてしまう古典芸能もあるこの時代に、世間からの注目を集めることは死活問題でもある。
客寄せパンダで結構だと瑞月自身は思っていた。

だが、瑞月を知るものは、古の時代の年若き少年白拍子を彼の舞姿に重ねていた。
瑞月の舞には、この世のあらゆる辛苦や情念を吸い取り、己の内に溜め込んで、身体から仄かに香り立たせるような妖しさがあった。技術としては到底年かさの舞い手には敵わないとしても、彼には誰にも手の届かない何かがあった。
そう、例えば胸の奥に潜ませた懊悩。

「刑事さん、こんなところまで来ていただかなくても、この舞台が終わればお渡しするつもりだったのですよ」
「いや、それは困ります。今すぐにでも鑑識に回したいのですがね。般若の面など、幾らでも替わりをお持ちでしょう」
これだから素人は困る。
「追善能は今夜なのです。終わるまでお渡しすることはできません。あの『雨降らしの面』は京極流宗家を継ぐ印、代々当家に伝わってきた宝です。宗家となるものはこの面をつけ、大曲である『道成寺』を舞い切ってこそ、認められる、そういうしきたりです」

ちらり、と刑事が榊原を見上げた。榊原は相変わらずの冷たく感情のない目で瑞月を見つめている。
罪人というものは、どこまでも感情を殺せるか、それだけが肝心なのだ。

三年前、この能舞台の上で突然倒れた翔月を舞台袖に運び、救急車と警察が呼ばれた時、翔月の命と共に、現場からは宗家だけに許された般若面『雨降らしの面』が忽然と消えていた。翔月が倒れた時につけていたその面を外したところまでは皆の記憶にあったが、その後どうしたのか、混乱の中で証言は二転三転し、結局は見つからないままとなっていた。
それが、いつの間にか京極家の蔵の中、何年も前から大事に仕舞われていた定位置に戻されていたのだ。一体何時、この箱に再び面が戻っていたのか、誰にも分からない。

「よろしければ刑事さんたちにも特別なお席をご用意いたしましょう。しっかりとあの面と舞台を見張ってくだされば、こちらも心強いというものです」
「確かに、まるであの日の再現のような『道成寺』が見られるわけですからな。同じ場所、同じ季節、同じ流派の演目も同じ『道成寺』、そして同じ『雨降らしの般若面』、違うのはシテの舞手。私もあれから何度も『道成寺』を見ましたがね、いやはや恋に迷う女の情念、妄執は恐ろしいものですな」

「では、さしずめ、あなたは女の妄執を沈める法師の役割を担ってくださればいい」
「それではお言葉に甘えて。なに、内外で今度こそ名実ともに備わった傀儡ではない宗家の誕生だと、それはもう期待もひとしおと聞きますからな。実に楽しみだ」

瑞月は、ふわりと目の前を行き過ぎた桜の花びらを、視線だけで追いかけた。この神社の淡墨桜のものだろうか。まるで兄の情念が、恋焦がれる男の影を探して、この世にまだ住み着いているかのようだ。
もう六年も前になるのか、あの桜の下、抱き合う二人の姿を闇の中に見出したあの日、兄がこの能舞台で舞っていた『道成寺』の白拍子を見た時から、瑞月の時も永遠の業火の中を彷徨っている。



六年前のあの春の日、夕闇が完全な闇に呑み込まれていく時間。
音は上に向かって走るという。
瑞月が見上げた空へ昇った小鼓の音が、星の宿る真っ黒な天幕で跳ね返り、その余韻だけが長い階段の下に立つ瑞月に届いていた。
この山奥深くの集落では、このような時間に外を出歩く人影など一人もない。

瑞月は鼓の音に惹かれるように階段を上った。謡が聞こえる。
『花の外には松ばかり。花の外には松ばかり。暮れそめて鐘や響くらん。』
能舞台は拝殿に面している。つまり、神が降りる本殿に面している。
『道成寺』の長い乱拍子。シテと小鼓で演じられ、両者の息使いだけで間を合わせる難所。舞台が辛うじて見える闇の中で瑞月は立ち竦んだ。

白拍子の装束も近江女の面も身につけずに舞うのは、兄の翔月だった。装束や面などなくとも、瑞月には面と紛う恋を秘めた女の白い顔、壺折にした錦の唐織が見えていた。いや、そこにあるのは兄ですらなかった。すでにこの世に存在するものではないように、己の心髄を彼方に預けた魂魄だった。
それは、息を呑む美しさだった。舞う桜花、照る月、吹き惑う風、夜を覆う星、流れる清き水、そして燃える炎の心、そのすべてが見えた。
かつて瑞月が見たことのない翔月の舞姿だった。

そして、小鼓を打っていたのは榊原輝昭だった。闇の中だからなのか、榊原の小鼓もまたこの世のものではないかのように、神以外に誰も見る者のいない舞台に冴え渡った。

音が闇に吸い込まれる一歩手前、その境に瑞月は立っていた。
耳ではない、どこか別の感覚器が音を捉える。例えばこの肌。この唇。
瑞月はそっと自分の身体を抱き、唇に触れた。

シテと小鼓。翔月と榊原、向かい合い、二人だけにしか呼吸のできない世界を生み出し、その世界は一瞬先には闇に呑み込まれていく。
魂だけが恋焦がれる男を求める白拍子そのままに、この世で結ばれぬ二人は永遠の誓いをこの舞台に刻み付けている。

瑞月は兄の言葉を思い出した。
瑞月、京極流を継ぐのはお前だよ。僕には宗家にはなれない理由があるんだ。
だから瑞月には追いつけない振りをして、兄はその本当の力を決して誰にも見せようとはしてこなかったのか。
そう、翔月の本当の舞姿を知っているのは、この世でただ二人だけだった。
瑞月と、榊原輝昭と。

乱拍子の鼓が止まり、身体から魂が抜けたように翔月が倒れ込む。榊原は始めからそれが分かっていたかのように静かに歩み寄り、翔月を抱き上げた。翔月の腕が榊原を抱き寄せる。
闇に紛れ逃げるように去る二人の後を追いかけた瑞月は、恋人たちの哀しい逢瀬を知った。

毎年、はい、もう何年になりますやら。翔月様はいつもあちらの方と薄墨桜のところで待ち合わせておられました。お二人でだけで、神のためだけに舞を奉納したいと申されまして。
神主はそれ以上何も話さなかった。

打ち捨てられたような古い家の縁側、障子に影が揺れていた。十三夜の月が雲に隠れ、恋人たちの秘め事の逢瀬を隠す。息を潜める瑞月の耳に、恋人の名を呼ぶ低く悲しい男の声が闇を縫って聞こえてくる。
『翔月……』
『先生……』
答える兄の声は闇に吸い込まれるように儚い。魂は既にこの世を離れ、彼方を夢見ていたのか。

そう。この世のものと思えぬと人々に言われ称賛される瑞月の舞は、春の一日にだけ、この能舞台の闇の中で、ただ一人の人のためにだけ舞われる翔月の舞の再現だった。
あの舞に追いつくためだけに、瑞月は舞っていた。
そして、どこまでも追いつけないことを知っていた。
瑞月こそ、翔月の鏡だった。

鏡は永遠に真実の影でしかない。瑞月は、神と紛う兄の舞姿を永遠に閉じ込めてしまいたかった。誰の目にも触れぬように、翔月の魂を奪ったあの男の目からも、奪い去ってしまいたかった。あの男の目に、二度と何も映らないようにしてしまいたかった。
そう、今日、全てが闇に葬られる。誰も、何も知ることはできない。

瑞月は舞台に立つ前のひと時、一人きりの控えの間で目を閉じていた。
目の前に近江女の面と『雨降らしの面』。やがてそっと目を開け、『雨降らしの面』を裏返す。そして、舞人の唇が触れる部分をそっと撫でた。
三年前、兄の翔月が舐めたであろうその痕を。
翔月兄さん、ようやく、あなたに会える。



誰も、翔月の本当の舞を知らない。
榊原は拝殿の脇に佇み、目の前を通り過ぎていく人々を見ていた。
もしもあの世の者が蘇ることがあるというのなら、翔月こそ世阿弥の生まれ変わりであったろう。だがそのあまりの美しさのために、この世に留まることが叶わなかったのか……
彼の舞は、人間のためにはなかった。ただ神のためだけの舞だった。

榊原は己の手を見つめた。
いや、私は神に捧げられるべき魂を手折り、この手に抱いた。あの舞姿を私だけのものにしたいと願った。翔月は知っていたのか。だから、本当の舞姿を他の誰にも見せずに、ただ私と、この山奥にひっそりと姿を見せる神のためだけに真実の舞を捧げたのか。

「榊原先生、ちょっとよろしいですかな」
刑事は執拗だった。三年前も、針ひとつも見落とさないようにと京極家の周りを嗅ぎ回っていたが、肝心要の『雨降らしの面』が失われたことで、事件は始めから行き詰まりの感を拭えなかった。
翔月の死が自殺とはみなされていない理由は、まさにそこにあった。もしもあの面が現場に残っていたら、自殺の線が濃厚になっていたかもしれない。だが失われたことで、他殺の可能性が強くなった。
犯人以外の誰が、証拠の品である般若の面を持ち去るというのか、というわけだ。

「我々もね、三年間、何もしてこなかったわけじゃありませんでしてね。次期宗家の不審死。世間では宗家の座を狙う誰かが彼を殺したのだとも、あるいは己の実力を知るが故の自殺だとも言われて、憶測が飛び交いましたなぁ。しかし、トップの座を欲しいばかりに人殺しまでするなんてのは、テレビドラマや小説の中だけの話だ。本当の殺人はね、衝動と憎しみによって起こる。愛と憎しみは切り剥がすことのできない裏表の関係だ、ねえ、先生」

「おっしゃることが分かりかねます」
「あなたと京極翔月さんの関係ですよ。なるほど、翔月さんはあなたの大学の教え子だった。出会われたのは、あなたが古い能面の謂れを研究しておられた時、まさにあの『雨降らしの面』の伝説を聞きに京極家を訪ねられた時だ。あなたはそうおっしゃっておられましたなぁ。だが、本当はそれ以上の関係だった。誰にも知られないように相当気を遣っておられたんでしょうなぁ。だが、秘め事というものは、忍ぶれど色に出にけり……と言うじゃありませんか」
「私をお疑いですか」

火が入れられた。灯りが落とされ、ぱちぱちと木が炎に巻かれて爆ぜる音が、魂に突き刺さる。新しい宗家の誕生を今や遅しと待ち焦がれる人々が、この山奥のどこに隠れていたのか、あちこちから湧き出すようにして、鳥居をくぐり、階段を上ってくる。
刑事の顔を、炎と闇が半分に分かつ。おそらく榊原の顔もまた、光と闇に染め分けられているのだろう。光は既にこの世には留まっていない。

「いや、めっそうもない。疑うのが我々の仕事ですからね。例えば、翔月さんの出生にだって疑問が残る。彼の実の母親は、この村の人だそうですな。宗家の亡くなった息子さんが奉納舞のためにこの神社に来ていた時、世話をした村の娘と理無い仲になってしまい、できたのが翔月さんだ。本妻との間には子どもができなかった京極家が、必ず次期宗家として育てると言って、翔月さんをその母親から奪ってしまった。ところが、後になって本妻に子どもができた。瑞月さんだ。しかも後からできた瑞月さんの方に、類まれな天賦の才能があった。しかし約束は約束だ。翔月さんが宗家になると決まったら、瑞月さんの母親は、亡くなった旦那の浮気によってできた翔月さんを恨んだでしょうな」

「刑事さん、小説の読み過ぎですね。現実はそれほどドラマチックではない」
「いやいや、テレビドラマのようにくだらない理由での殺人はありませんが、現実の出来事はそれ以上に実にドラマチックだ。人の心の闇というやつはね。では、榊原先生、あなたはどうなんでしょうね。宗家ともなれば、今度こそ恋人は本当に手の届かないところへいってしまう。思いあまって……ということも考えられる」
「なるほど。そうして彼を永遠に私だけのものにした、そういう筋書きも悪くありませんね。ならば何故、私は愛しい恋人の後を追わなかったのでしょう」

そうだ、本当に何故、後を追ってやらなかったのだろう。いや、後を追えば、誰かが私たちの関係を疑う。長い月日に渡り秘めてきた恋に泥をかけられることだけは堪らなかった。死者となった彼の魂を辱めることは許せなかった。
だが、もう三年経った。三年、彼のいない世界に耐えてきた。十分だと思った。
招待状が舞い込んできたとき、ようやく終わりの時が来たのだと知った。だから、彼を失った悲しみのこの場所へやって来た。
何かが終わる瞬間を見届けるために。

「ほう、榊原先生、私はね、あなたが誰を疑っているのか、そのことに興味がありましてね。本当のところを教えて欲しいですな。あるいはこの三年間、ただ無駄に永らえただけの屍同然だったのでしょうかな。偉丈夫だったあなたが、こんなにもお窶れになって」
強く風が吹き抜けていった。魂は風になるのか、あるいは彼方からこの場所にも吹き込んでくる桜の花びらに宿っているのか。
「私は誰も疑ってはおりませんよ」

「それではやはり京極翔月さんは自殺でしょうかな。だが、先生、誰が『雨降らしの面』を隠し、また蔵の中に戻したのでしょうね。そんなことを怪しまれずにできるのは京極家の人間しかいない」
刑事というのは本当に厭らしい種類の人間だ。いや、彼らはそれが仕事なのだから、致し方ないのだろう。断罪することは榊原の仕事ではない。
「失礼。そろそろ席に座って時を待っていたいので」

「そうそう、面をつけた能楽師は謡うとき、面の裏側を舐めてしまうそうですな。そこに毒を塗っておけば、舞台の上で毒殺することは可能だ。あるいは自殺をすることも」
刑事はすっかり暗くなった空を見上げた。その顔が闇に消える。
「雲行きが怪しい。伝説の通りなら、『雨降らしの面』が舞台に現れると、雨が降るそうですな。まさに、伝説に相応しい日だ」



『道成寺』。
榊原の心を震わせ、怯えさせ、最も甘美な世界へ誘う曲。
前触れもなく、舞台が拓く。
紀伊の国、道成寺の境内で、春爛漫のある日、再興した釣り鐘の供養が行われることになった。女が訪ねて来ても入れてはならぬとのお触れがあったにもかかわらず、一人の白拍子が寺に入り込む。

榊原は舞台に現れた白拍子に息を呑んだ。
翔月……
思わず声に出して呟いていたのかもしれない。
薪以外の全ての光は落とされ、ただ幽玄なる世界の静寂の中に、謡と鼓の音だけが木霊のように響き渡る。神を揺り動かすような響きだ。一度その中に入り込んでしまうと、幻と知りながらも影を追い求めてしまうことになる。

『作りし罪みも消えぬべし。作りし罪みも消えぬべし』
罪は消えない。永遠に、お前を失った罪は、私の身体を削ぎ続けるのだ。
奉納舞を許された白拍子が、烏帽子を暫しと借り、拍子を進める。
足の動きひとつ、呼吸のひとつさえも、あの時の翔月をなぞっている。瑞月ではない者があの装束の下に宿っていた。

『花の外には松ばかり。花の外には松ばかり。 暮れそめて鐘や響くらん』
小鼓が白拍子の向かいに移る。
ここからのおよそ十五分間。
榊原は息を詰め、心を身体の内、奥深くに小さく固めて押し込めた。
そうしなければ心が嗚咽となり、零れてしまいそうだった。

それでも視界は徐々に曇り、謡と床を踏みしめる音と鼓の響きの奥底で、微かに燃える薪の音が鼓膜を震わせる。
乱れ打つ鼓の手は、いつの間にか榊原自身の手になっていた。
鼓とシテだけの世界。乱拍子の足は、魂を床に刻み付ける。
一年に一度、春の闇に隠れて、この場所で会う。それが二重にも三重にも道ならぬ恋に身を焼いた恋人同士の取り決めだった。神に捧げる舞は禊だった。そして、二人は狂おしい想いに身を焼いた。

世界にはもう誰もいない。翔月と榊原だけが、この能舞台で神と対峙していた。
いや、対峙していた相手は神ではない。己の心だった。
……翔月。お前を死に追いやったのは私なのか。

『入相の鐘に花ぞ散りける。花ぞちりける。花ぞ散りける』
お前が望んだ世界へ、私が躊躇うことなく連れ出してやれば、お前は死ぬことはなかったのか。私は永遠にお前を忍び、お前を失ったことを悔い、この世に永らえて苦しみ続けなければならないのか。そのために、お前はこの世界を見限ったというのか。

『思へば此鐘恨めしやとて。龍頭に手をかけ飛ぶとぞみえし。ひきかづきてぞ失せにける』
一体、榊原の懊悩を誰が知っていただろう。
何度、これで終わりにしようと、翔月に告げたことだろうか。
だが、それは自分に告げた言葉だったのだ。

先生、僕が宗家になることだけを頼みに、子を奪われながらも耐え忍んで生きてきた母のために、ただ一度『雨降らしの面』をつけ『道成寺』を舞います。そうしたら、僕をこの世界から連れ去ってください。あなた以外には、僕は舞う理由がないのです。
……京極家をどうするのだ。
瑞月がいます。僕の魂は瑞月が舞の中に吸い取って行ってしまった。あの子は僕の全てを奪っていく。僕は恐ろしいんです。あの子には全てを見透かされている。去ろうとする僕を、彼は許さないでしょう。だから、逃げなくてはならないんです。
……何から逃げると言う。
瑞月から。いえ、僕自身から。あの子は僕であり、僕はあの子でもあるから。

白拍子は舞いながら鐘に近づく。鐘後見が鐘の綱を手放す。瑞月の足が舞台の床を蹴る。そして、そのまま落ちてくる鐘の中へ飛び込んでいった。
永遠の死の世界へ。

翔月。
思わず榊原は腰を浮かした。誰かが窘めるような声を出す。
舞台上では、ワキが道成寺にまつわる恐ろしい物語を語り始めた。

昔、真砂の荘司の娘が、毎年立ち寄る熊野詣の客僧の戯れの寵愛を、幼心に誠と思い込み、ある時つれて行ってくれと頼むが、そんな気持ちなどなかった客僧は夜に紛れて逃げ出した。客僧は道成寺に逃げ来て鐘の中に隠してもらうが、女は一念の毒蛇となって隠れた男を恨みの炎で鐘と共に焼き殺してしまったという。
恋情の執念、未だ消えやらずと知った僧たちが、祈祷を始める。

榊原の身体中から汗が噴き出していた。
まさか。
まさか、瑞月。

『東方に降三世明王。南方に軍荼利夜叉明王。西方に大威徳明王。北方に金剛夜叉明王。中央に大日大聖不動』
地謡に合わせて、鐘が揺れる。鐃鈸が鳴る。鐘の中にいるシテが、自らの手で装束を壺折にした唐織を脱ぎ腰に巻く。そして、近江女の面を、般若の面、京極家に伝わる『雨降らしの面』につけ替える。
そうだ、まさか、瑞月がそんなことを考えるはずがない。
瑞月には理由がない。あの子は三年前、次期宗家には相応しい器とはいえ、ただ素晴らしい舞手というだけの高校生だったじゃないか。

『動くか動かぬか索の。曩謨三曼陀曰羅赦。旋多摩訶遮那。娑婆多耶吽多羅干。聴我説者得大智慧。知我身者即身成仏と』
先生、今日はあなたのために舞いましょう。
榊原は顔を上げた。鐘が上がる。

『引かねど此鐘躍るとぞ見えし。程なく鐘楼に引きあげたり。あれ見よ蛇体は。現れたり』
鐘の内から現れたのは、妄執に身を焦がしのたうつ毒蛇。閉じ込めていた懊悩を、今解き放ち、煩悶する醜き心の後ろには、ただひたすらに愛を求め続けた純な魂が燃えていた。

魅せられた観衆が、三年ぶりに人々の目の前に現れた『雨降らしの面』と、魂が迸るような舞に息を詰めているのが分かった。
張り詰めた闇の中で、瑞月が舞い続ける。激しく、悲しく、引き千切られた魂が叫びをあげるように。

瑞月の傍らで翔月が舞っている。二人は重なり舞い続ける。瑞月の足のひと踏みにも、翔月が宿る。
……先生。
私は幻を見ているのか。それともこの世界がすでに幻なのか。
榊原は床机を倒して立ちあがった。


観衆の叫びの中、榊原は舞台の上に倒れて動かない瑞月、いや、蛇体となった鬼を見つめていた。燃える木が炎の中で爆ぜた。『雨降らしの般若面』は、瑞月の涙と魂を、誰の目にも触れることのないように、包み隠していた。

深い山に閉ざされた神の庭に、今、静かに雨が降り始めた。


(『秘すれば花』了)




人がいっぱい映ってる。大きな声を出してたり、走ったりしてる。
それからいきなり画面が砂の嵐になったの。
あれ、タケル、テレビが変だよ。

タケルがテレビに近付き、バン、って叩いた。
あ、ついた。

半にゃライダーがいつの間にか始まってる。
「遅かったか……」
半にゃライダーが呟く。

え? え? いつもと違うよ。なんか、大変なことになってる!
半にゃライダー、負けてるよ?
どういうこと?
あ、世界征服を企む悪の組織のボスが~~

そんな、仔猫の夢と希望を裏切る番組なんて、あんまりだ!

あ、また砂嵐。
タケルはもう一度バン、って叩いたけれど……
今度はもう何も映らなかった。

……テレビ、壊れちゃったのかなぁ?
きっと壊れたから、変な番組が映っちゃったんだね。
新しいテレビ、買おうよ。最近のはね、でじたるなんだって。

……ね、タケル。でじたるって、なに?


*思いだしました。かじぺたさんとサキさんのコメントで……
 そうそう、桃さん、時々(しょっちゅう?)間に合ってませんでしたね。
 何だか記憶がかなり曖昧で、すみませんでした。
 というわけで、今回は使ってみました。「遅かったか……」
 では、かじぺたさんのひとこと。
 言ってる間に走れ!
*最近のテレビは、叩いただけでは直りません。
 でも、昔は叩いたら画面が綺麗になったり、ついたりしたんですよ。ね?(誰に?)



<後記>
この兄弟の名前、読み返してみると、目に入る文字として非常に分離しにくい……
名前を変えようとも思ったのですが、ある意味、それがこのお話の真実なのかも、と思い、そのままにしました。
読みにくくて、分かりにくくてすみません。
(それもまた狙い?)
さて、自殺だったのか他殺だったのか、あなたの推察はいかに?
関連記事
スポンサーサイト

Category: イラストに物語を

tb 0 : cm 20   

コメント


うわーーーーー。

もう、本当にのめり込んで、じっくりじっくり噛みしめて読んでしまいました。これ、・・・2時間ドラマにしませんか!!
本当に力入っちゃいました。なんという掌握を書いちゃうんですか。
うーーん、素敵だ。いや、私のツボです。
これを熟読したあと、あの絵を見たら自分の絵なのにこの世界の絵に見えちゃいまして、どきっと。
この薪能の神聖でどこか淫靡な舞台と、その裏で燃え上がる情念と増愛と・・・って、なんか本の帯みたいな感想になっちゃうのが辛いけどとにかく、・・・あのね、美しい世界でした。(あもう、limeさんたらきっとこれ好きだろうとか思われたでしょう。いいんです。好きです。)
前半、瑞月視点だったときはふしぎと瑞月の心の奥深くの情念は見えてこなかったのに、視点が榊原に移ったあと、じわじわと湧き出してきましたね。瑞月の内面の熱さと冷徹さ。この切り替えがさすがです。映像的な演出にも似て。だからかな・・・ほんと、2時間ドラマにしませんか。
私としては、やはり翔月を殺したのは瑞月だと思うんです。なぜって?そのほうが美しいから(いいのか、そんなので)
静かなまなざしで、苦悩し嘆く榊原を見つめる3年間の瑞月を想像するだけで、ゾクゾクしますね。
そしてこのラストですもん。参りました。
いやーーー。楽しかったです!

私もずっと、白拍子を描いた短編なんか書いてみたいなと思っていたけど、もうこれ読んで満足したからいいです^^

実は私、気づいたんですが『天河伝説殺人事件』を、見ていなかったようです。(たぶんホラーだと思ったから・・・)だから、改めて予告を見て、能楽師の絡んだ物語だと知って…驚きました。少年に般若を持たせたのは、この曲を思い出す前でしたし。
なんか、やはり桜って般若のイメージなんですかねえ。

でも般若は、半にゃには、なりませんから(笑)
この妖艶な物語の前説とラストにマコトを持ってくるとは・・・。
やっぱり大海さんだなあ^^

ああ、もう、コメ書きすぎちゃった。
本当に、堪能させていただきました。

lime #GCA3nAmE | URL | 2014/04/14 21:50 [edit]


幽玄の美♪

彩洋さん、こんばんは♪

久しぶりのご訪問となってしまい申し訳ありません!
実はうちのパソコンが絶不調になってしまい、なかなか長時間の使用が厳しくなっているのですよ(T_T)
こちらの「秘すれば花」もフリーズの恐怖を感じながら読ませていただいたので、短編とは思えないほどのどえらい内容だっただけに(笑)普通にな
い心悶えるような臨場感を感じてしまいました(笑)

さて、妖艶なまでに美しいイラストから生まれたこちらの作品は、さらにまた言霊の美しさが半端なく、読んでいて背筋がざわつくほどの感動を覚えました。紡がれる一言一句が、本当に珠玉のようでしたよ。

お話は短編ならではの早い展開と、独特の間を持つ能楽とそれぞれの心理を重ね合わせた揺蕩うような語りのリズムが素晴らしい対比をなしていて、溜め息が出るほどに美しかったです。
内容にしても過去と現在を交錯させる構成が効けてて、物語の主流をなす人間の愛憎劇が見事に描き出されていたと思います。
また、登場人物たちがそれぞれに個性を彩る花を持っていて実にいいですね~!
おっさん好きな私のイチオシは榊原教授♪いや、こんなおっさんも弟までも狂わせた翔月さんが最高のキャラだったかもしれませんね。

それにしても、こんなにどえらい小説を読まされた日には、もう自作に取りかかる勇気も(笑)意欲も失うというものです。今夜だけは、彩洋さんの描かれた美しくも切なく哀しい物語の世界に浸りきって終わりたいと、本心から思いました。

妖しく幽玄なる物語世界にすっかり魅了されたまま、今夜はこれにて失礼いたします。
実にお見事としか言いようのない素晴らしい小説でした。読ませて下さり、心より感謝申し上げます(*^_^*)

三宅千鶴 #- | URL | 2014/04/14 23:17 [edit]


更新、お疲れ様でした。
笑劇のSSとはうって変わって、こちらは幽玄という言葉がぴったりな小説ですね。
能を題材にしただけあって、あの世とこの世の境目で舞う美しい兄弟の姿と、心裡描写が相まって、思わず没頭してしまいました。もう少しで電車を乗り過ごすところでしたよ(笑)
「天河伝説殺人事件」ですか。懐かしい映画ですね。ストーリーはよく憶えていないのですが、映像美は印象に残っています。
さてさて、事件の真相ですか。これは、難しいです。とてもよくできたミステリー作品なので、いろんな可能性が考えられますね。「よぉし、わかったァ」と膝を打つおっちょこちょい刑事なみのヘボ推理ですが……犯人は、瑞月だと思います。家元争いや榊原の手によって、醜く汚れていく翔月を見たくなかった、そして翔月の舞を永遠の時に封じ込めてしまいたかった。そんな動機でしょうか。それと、ミステリーの構造としても、一連のスジを実行できたのは瑞月しかいないと思いますので。
いやぁ、ほんとうにすごい小説を読ませていただきました。ありがとうございました。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2014/04/15 11:50 [edit]


わあ!!!!!

すごかったですーーーー!!!
人というのは恐ろしくも
可愛らしい生き物で
自身の心に囚われると
生き死にをも自分の心という狭い範囲で
司ってしまう。
情念と幽玄が混在する心世界は
狭い様に見えて広いのかもしれず・・・・

切なくも美しいお話をどうもありがとうございました。
マコトったら、可愛い~~o(^^*)ov-238

桃さん、つい先日ちょうどご本人がテレビで仰ってたんですけど
始めの方は”殺さず”のお話だったので
回ごとのゲストも、それほど悲惨な目には遭ってなかった様なんです。
桃さんはクライマックスで悪人を峰打ちにして
「これ以上悪行を続けるようなら切る!!」
って・・・・・
すると悪人は逃げて行って無事解決!!!
って流れだったんだけど
当の高橋秀樹さんがストレスが溜まっちゃって
「切りたい!!!」って脚本家の方とかに直訴!!
その所為で後半は、とにかく回ごとのゲストは
ほぼ全員悪人に殺され
桃さんは「しまった!!」→「間に合わなかったか」→「許さん」
→「ひと~~つ・・・退治てくれよう・・・桃太郎!!」
→100人切り(爆)
の流れになったんだそうです(^0^;)\

悪人は全員根絶やしにするストーリーだから
相当悪いこともしなければならず
罪もない町娘や町人、浪人親子なども全員殺される羽目に!!!
それを視てるこちらは
「桃さん!!なんでいつも間に合わないんだ!!」
ってストレスを溜めていたけど
なんと!!そのストーリー展開は
高橋秀樹さんの『切りたい!!』ってストレスから来てたとは(^^;)
分かんないもんですよね~~(笑)

かじぺた #- | URL | 2014/04/15 17:38 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

何だか勿体なくも嬉しいコメント有難うございます!
というのか、何よりもこの素敵なイラストのおかげで、あれこれ妄想させていただきましたので、こちらこそ感謝です。楽しく書かせていただきました。
渡る世間ではBLへの風当たりがきつい時もありますので、いささか躊躇っていたのですけれど、この絵ときたら、これですよね!(って、何の自己主張??)
limeさんは決して拒否反応は示されないだろうと、高を括っておりました(^^) はい。

女性がお能をすることはあるけれど、やっぱり歌舞伎もお能も基本的には男の世界。
(そして宝塚は女の園~(*^_^*) あれもまたよし)
極めるものを極めたら、性別はもうどうでもいいのですけれど、やはり女が鬼になる物語を演じるにあたって、女の役者がやるとただ生々しい。でも男性の役者だから、「女」の余計な部分をそぎ落として、その魂だけが残るので、幽玄になりえるのかも、と思うのです。
玉三郎さんや秀太郎さんがいつも言っている……「作られたものだから、女以上に女なのだ」

ということで(?)、今回は男でありながら男ではないもの、その作られた世界にどっぷり浸かっていただけたら、と思って書いておりました。そういうイメージをこのイラストが湧きださせてくださったのですよね。だって、この青年、性別を感じさせない何かがあります。ある意味では、年齢も。
作り物だからこそ、本物以上に感じられる、魂のお話。

2時間ドラマになったら……妖しいほどに美しい男を二人も探してこないといけませんね……^^;
あ、刑事は是非、蟹江敬三さんに……亡くなっちゃったけれど。

視点も、本当にいいところを指摘していただいて、嬉しいです。
そうなんです。これはいわゆる本歌と返歌の関係にしてあるのです。
短いものを書くときは、結構起承転結にこだわるのですけれど(長いのは、もう考えていられないので適当……^^;)、このお話では、二部構成にしようと思っておりまして。
後半が榊原視点になったので、謎が残る、というようにしたかったのです。
ただ、その中で「前半、瑞月視点だったときはふしぎと瑞月の心の奥深くの情念は見えてこなかったのに、視点が榊原に移ったあと、じわじわと湧き出してきましたね。」というふうに感じていただけたのは、ちょっと自分でも意外で、そして嬉しかったです。
ありがとうございます(*^_^*)

> 私としては、やはり翔月を殺したのは瑞月だと思うんです。なぜって?そのほうが美しいから(いいのか、そんなので)
いえ、いいです(*^_^*) この話はそこが大事です。美しい方を選ぶ!
瑞月が犯人、と念じながら書いてはいたのですが、でも、私の中では、自殺幇助じゃないかという疑惑も残っています。翔月は分かっていたんじゃないかって。あるいは本当に自殺だったのに、知っていた瑞月が止めなかったのかも。
でも、本当はどうなんでしょうね。実はやっぱり、榊原、お前か! みたいな。

> 私もずっと、白拍子を描いた短編なんか書いてみたいなと思っていたけど、もうこれ読んで満足したからいいです^^
え~~。それはぜひ書きましょう。カミングアウト的に……(何の?)
でも、limeさんのお話、時々(しょっちゅう?)妖艶なる世界と怪しいタイプのおじちゃんとか出てきていますものね(後者は関係ないな^^; どの方向に怪しいんだって話ですが)。
私が一番はっとしたのは、雨猫の某シーン……(あぁ、ここでは語りにくい……)

> 実は私、気づいたんですが『天河伝説殺人事件』を、見ていなかったようです。(たぶんホラーだと思ったから・・・)だから、改めて予告を見て、能楽師の絡んだ物語だと知って…驚きました。少年に般若を持たせたのは、この曲を思い出す前でしたし。
何と、そうでしたか。それはすごい、インスピレーションというのか、連想ゲームの醍醐味みたい。
でも、ホラーじゃないから^^; ぜひ観てください。
私は単に榎木さんが好きで見たのですけれど、綺麗な映画でお気に入りです。
あ、原作を読むべき? 光彦さんシリーズ、全部は読んでいないので何とも言えませんが、一番お勧めかも。
でも、映画が好き。天川村の光景が綺麗で……

> でも般若は、半にゃには、なりませんから(笑)
おかしいなぁ^^; なんでだろ。ウゾさんとこみたいに、何かに狙われている?
> ああ、もう、コメ書きすぎちゃった。
私もお返事書きすぎちゃった^^; ありがとうございました!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/15 20:49 [edit]


千鶴さん、ありがとうございます(^^)

こちらこそ、すみません。コメントが、遅くなっていて……
あれこれ忙しく、寝落ちすることもしばしば……
それなのに、素敵なコメントをいただき、本当にありがとうございます!
しかもそんな、過酷なパソコン状況でのご訪問、本当に嬉しいです。そして、何より、読みにくさでもどえらいお話を読んでくださり、ありがとうございます!
ちなみに、パソコン、大丈夫ですか? それは、Xpの呪い、とかじゃありませんよね。
さすがにもう世代が違うか……
でも、この臨場感の演出のために一時的に不調になってくれていたのかも??
読み終わったら直ってた、ってことはないかしら? なんにせよ、お見舞い申し上げます。
パソコンのトラブル、耐え難いですものね。良くなっていることを願います。

お話のほうですが……美しいと言っていただき、嬉しいです。
こういう世界はかなり扱うのが難しくて、普段書いている「できるだけ現実っぽく」というお話ではなくて、「できるだけ作り物っぽく」書くようにしてみたのです。
それは、この場合、作り物のほうが心・魂のお話として際立つのじゃないかなぁと思ったのですね……
そう、例えば横溝正史とか江戸川乱歩とか、ちょっと現実離れした感があるのに、人間劇としては際立っている感じ……(ちょっと大層な言い方でした、すみません^^;)
limeさんの絵も、それにお能の世界も、天川村自体のイメージも、少し現実から離れたような世界観があったので、それも後押しになりました。
私も嫌いじゃないんです。こういう妖しい感じのお話。でも普段はなんだか書きにくくて……
何より、現実離れしすぎると、白けちゃわないかが心配で。
でも、こうしてコメントをいただくと、あ、大丈夫だったんだとホッとしました。
読んでくださって、そして楽しんでくださって、本当にありがとうございます(*^_^*)

お、そして、おっさんキャラにも言及していただき、ありがとうございます!
私の一押しは実は、刑事?? いや、この人がいるから、話が引き締まると思ったりしています。
犯人と刑事が会話するシーンって、ドキドキしますよね。実はこの刑事、この事件をきっかけに結構お能にはまっていて、瑞月のファンにもなっていて、あれこれ煩悶していたりして、とか。でも、容疑者は容疑者というので心を鬼にしていたりして。でもちょっとゴシップ的興味も捨てきれなくて……ってな感じで、書きながら楽しんでいました。
榊原先生はもうひたすら苦悩しといてくれ、と。そうそう、瑞月の死で、もっと苦しむんですよ……
もう永遠に、真実は分からないわけですから。
自分で書いておきながら、何が真実なのか、何が起こったのかは分かっても、なぜこういうことが起こったのかは分からない、という感じが残っています。人の心って、きっとそういうものなんですよね。

いつも勿体ないコメントをありがとうございます。
楽しんでいただけたみたいで、嬉しいです(*^_^*)
パソコンさんの復活を祈ります(*^_^*)

彩洋→千鶴さん #nLQskDKw | URL | 2014/04/15 21:35 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

わ、ありがとうございます!
はい、本当は、こちらの方が先に頭にあったのです。詳細を練っているときに、突然我が家に住み着く座敷童「笑いの神」が下りて来まして、先にライダーを書け、と言うものですから……^^;
そして、電車を乗り過ごしそうになってくださってありがとうございます(あれ、なんか変なお礼だな?)。
以前は時々、お能を観にも行ったのです。途中から狂言にはまってしまいましたが。
でも、薪能の世界はいつまでも忘れられなくて、あの世界観が出たらいいなぁと思いながら書いておりました。
幽玄と言っていただいて、ちょっと嬉しくなりました。ありがとうございます。

「天河伝説殺人事件」……そうなんですよ。実は、榎木孝明さんが好きだったのと、天川村に行ったことがあったので、懐かしくて観た映画なのですが、結構よくできていて、市川監督の映像美冴える映画だったと思います。それに榎木さんの飄々とした感じ、今でも最高の光彦さんだと思っているのです。

そして、事件の真相もあれこれ考えてくださって、ありがとうございます(*^_^*)
そう、基本的にどう見ても瑞月ですよね。私も瑞月と思いながら書きました。
でも、瑞月は何をしたのでしょうか。毒を塗ったのか、毒を塗ったのを見ていたけれど何もしなかったのか、現場からお面だけを隠したのか、そもそも放っておけば自殺で片づけられた可能性もあるのに、わざわざお面を隠したから殺人かもってことになって、……書き終えてから、逆に分からなくなっております。
「家元争いや榊原の手によって、醜く汚れていく翔月を見たくなかった、そして翔月の舞を永遠の時に封じ込めてしまいたかった。そんな動機でしょうか。」←これはいいですね。榊原も敵! そう、それは本当にそう思っていたと思います。
うん、そうなんだ(もらったコメントで、後から納得する作者って……^^;)

> いやぁ、ほんとうにすごい小説を読ませていただきました。ありがとうございました。
いえ、こちらこそ、本当にありがとうございました!
実は、これを書きながら「言の葉の庭」を観ていたのですよ。同時進行と言うよりも、休憩時に。
頭がぱんぱんになりました^^;
コメント、ありがとうございました!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/15 21:53 [edit]


かじぺたさん、ありがとうございます(^^)

わぁ、かじぺたさん、読んでくださったのですか!
ありがとうございます。うぅ、こんな目の腐るような、長ったらしい、しかも分かりにくい話を。
何よりも、瑞月と翔月が見分けにくいのに……^^;
ついでに、作者も本当は誰が犯人で、誰が何をしたんだと、書いてから迷っているというのに……
しかも、あのおバカなSSの後で……^^;^^;^^;

でも、マコトはすっかり「半にゃライダー」を気に入ったようで・・・…
そう、この子は、3歳くらいの子どものイメージで書いているのですけれど、いや、結構変なところで律儀と言うのか、こだわってて。テレビをちゃんと見るために、うんちとおしっこも済ませておこうというあたり、自分でちょっとツボっていました^^;

> 人というのは恐ろしくも
> 可愛らしい生き物で
> 自身の心に囚われると
> 生き死にをも自分の心という狭い範囲で
> 司ってしまう。
> 情念と幽玄が混在する心世界は
> 狭い様に見えて広いのかもしれず・・・・
う~ん。かじぺたさん、詩人です。やっぱり、時々お話、書いてください!
散文詩のような世界、とても素敵でしたもの!

そして何より、桃さんの詳細かつ素晴らしい情報をありがとうございます!
そうだったのか、桃さん!
そんな闇の事情が~~~
いやぁ、すっかり、仕事人と張り合ったのかと……
> すると悪人は逃げて行って無事解決!!!←これじゃぁ、まるで「ばいばいき~ん!」^^;
> 桃さんは「しまった!!」→「間に合わなかったか」→「許さん」
> →「ひと~~つ・・・退治てくれよう・・・桃太郎!!」
> →100人切り(爆)
(爆)x100!
いやいやいや、ほんと、裏話、堪能致しました(*^_^*)
桃さん、も一回見たくなっちゃった。

ものすごく薀蓄に富んだ情報満載のコメント、ありがとうございました!

彩洋→かじぺたさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/15 22:29 [edit]


能の世界をほとんど知らないサキにも充分に楽しめました。
limeさんの絵からこんな物語ができあがるのですね。
サキの頭の中には何も出てこないので(今のところですが…)羨ましいです。
でもこれだけミステリーの展開なのに、はっきりとした種明かしが無いのが唯一残念ですが……。
あの刑事さん2人に怯むことも無くドンドンと切り込んでなかなか仕事熱心な方なんでしょうね。
面に毒を塗ったんだろうか?誰が?自分で?それとも……。
でもこれも彩洋さんの意図的なものなんだろうなと思っています。
榊原と翔月の関係、瑞月と翔月の関係、複雑でとても面白かったです。
『道成寺』に乗せて描かれる、理性ではどうにもならない人間の深層心理、登場人物に被さって恐いくらいでした。
結局この3人それぞれの胸の内をはっきりさせないままになってしまいましたが、最後、瑞月はどうなってしまったのでしょうね?
彩洋さんの書かれた文章から妖しい情景が頭の中に浮かび上がってくる、とても素敵なお話しでした。

ね!「遅かったか……」ってとてもやりきれないけど、だんだんそれを待つようになるんですよ。

山西 サキ #0t8Ai07g | URL | 2014/04/15 22:44 [edit]


あっちのやつ、けいさんです・・・のけいです。

物語、脳内で映像になります。ためいき・・・
このお話の神は大海さんのお宅のどちらに。
いえ、大海さんが神なのかも。

犯人はですねえ・・・最初は、翔月の自殺にしたかった。
榊原との関係を榊原のように強く持って行く自信がなくて。瑞月は翔月が舞台で命を絶つつもりであると事前に知っていた。けど、自殺なら、面が誰かに隠される理由がない。で、ボツ。

次に考えたのが・・・
瑞月が翔月と榊原との関係を知っている、ということを、翔月は知っていた。そして、いつか何がしかの方法で自分を殺して欲しいと翔月は瑞月に頼んでいた。そのときがあの時で、方法もこう来るだろうと翔月は予測していた。知っていて受け入れた。うーん?

それから・・・
瑞月は奇跡的に一命をとりとめ(若かったからかな。たぶん)、全てのことに口を閉じ、宗家能楽師として大成する。

その後、
プライベートで瑞月が大の猫好きというところから、キャット関係のCMに出演することとなる。半にゃライダーの合間に流れるこのCMを見たマコトがめっちゃファンににゃる。

けい #- | URL | 2014/04/16 00:33 [edit]


鍵拍手コメPさま、ありがとうございます(^^)

ご訪問ありがとうございます(^^)
いえいえ、本当に来てくださるだけでもうれしいです。
ほんと、すみません。読みにくい話をまた書いてしまいまして。
これもきっと4回くらいに分割して載っければよかったんだろうなぁと思いつつ。自分が話を一気に読まないと気持ち悪いほうなので、ついついやってしまいました。物覚えが悪いほうなので……でもこれが読みにくい、と言われるゆえんではありますが……
またお気が向きましたら読んでやってください。でも気が向かなかったら放置で(^^)
また桜の写真も登場予定なので、そちらをお楽しみにしてくださいませ(*^_^*)
何よりお気遣いくださいまして、ありがとうです(^^)

彩洋→鍵拍手コメP様 #nLQskDKw | URL | 2014/04/16 01:31 [edit]


う〜む

題材は似ていても、これだけ違うとなあ……。
まあ、較べる人もいないでしょうが。

彩洋さんの小説は、「死と乙女」でも思うのですが、題材にとても真剣ですよね。余計なもので誤摩化したり、あいまいに逃げたりしないで、その題材に正攻法で挑んで勝っている、そういう小説だと思います。

名前一つでもそうだと思うのですよね。実は私の方、兄弟の舞台上の名前を一度考えたのですがやめたのです。(苗字は観世でした)「殺人事件だけに差し障りがあるとまずい」と思って。それに私の方のストーリーだと、舞台の上の事はまったく不要な設定なので、名前もいらんだろうとバッサリ捨てました。でも、彩洋さんのストーリーは、芸そのものが話の主役なのでないわけにはいかないですよね。

limeさんもご存じなかったと知ってホッとしましたが私も『天河伝説殺人事件』は小説も映画も一切知らないので、二次創作的とおっしゃっているのがどの部分なのかわからないのですが、非常によく練られたストーリーとトリック(?)だなあと感心いたしました。

しかし。なぜ私が愛を書くと生臭くなり、彩洋さんが書くと綺麗になるんだろう。ま、いっか。

P.S. ヴォルテラの御曹司が、テレビを叩いて直すなんて、昭和で庶民なテクニックを使っちゃダメ!

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2014/04/16 06:28 [edit]


サキさん、ありがとうございます(^^)

きっとこれはlimeさんのイラストの力と、そしてlimeさんが『天河伝説殺人事件』の話をされていたおかげですね。でも、これはちょっと普段の自分の書くものとは少し毛色が違って、ある意味では楽しみながら書きました。何だか、お芝居の台本のあらすじを練っているみたいな気分で……

> でもこれだけミステリーの展開なのに、はっきりとした種明かしが無いのが唯一残念ですが……。
お、そうですね!
すみません。これは幽玄の世界なので、種明かしは……そう、あえて書いていないのですが、ちょっといらっとしますよね。分かります!(なら、書けよって気もしますが^^;)
でも、頭の中では、ばっちり犯人は翔月を殺したのは瑞月で、瑞月は自殺、と思っていたのですけれど、書き終えてみたら、あれこれ違う可能性が幾通りも浮かんできて、かえって自分では面白くなっていました。
ミステリーなら本当は種明かしをしなければならないんですよね。
でもこれは、お芝居の世界みたいな感じなので、色々に解釈して楽しんでいただけたら、と思います。
(って、丸投げでいいのか……すみません……)

> あの刑事さん2人に怯むことも無くドンドンと切り込んでなかなか仕事熱心な方なんでしょうね。
そうそう、この刑事さん、自分では結構気に入って書いていました。
靴を何足も潰してきた叩き上げの刑事さんで、ねちっこいタイプ。でも結構、舞台とか見ているうちに、お能には詳しくなっちゃってて、結構ファンにもなってたりして。
しかし、容疑者は容疑者、そこは心を鬼にして……なんて勝手に思いながら書いていたのです。

> 榊原と翔月の関係、瑞月と翔月の関係、複雑でとても面白かったです。
> 『道成寺』に乗せて描かれる、理性ではどうにもならない人間の深層心理、登場人物に被さって恐いくらいでした。
> 結局この3人それぞれの胸の内をはっきりさせないままになってしまいましたが、最後、瑞月はどうなってしまったのでしょうね?
本当だ、どうなってしまったんでしょうね。でも、まぁ、兄さんに会える、とか言ってましたから……
『道成寺』自体がものすごい世界観なので、これに負けじと現実を作り出すと、こんな三つ巴、いや三すくみ、みたいな話になってしまいましたが……そうですね、『道成寺』の語り、本当にここにぴったり沿っていました。

> ね!「遅かったか……」ってとてもやりきれないけど、だんだんそれを待つようになるんですよ。
本当ですね!
決め台詞じゃないけれど(いや、決め台詞か?)、水戸黄門の印籠なみの力があるかも^^;
コメント、そして読んでくださいまして、ありがとうございます!

彩洋→サキさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/16 07:02 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

あ、やっぱり、けいさん。よかった。
そして、脳内映像にしていただいてありがとうございます!
きっと天川神社の力ですね。本当にものすごい山奥だったのです……いや、近畿圏にもまだ遭難しそうなところがあるんだ、と思ったくらいの……だから、イメージが強烈に残っているのかもしれません。
もう頭の中には、耽美な兄弟とおっさん、という図式があって、これが動かなくて……
limeさんの絵の力ですね(^^)
神は……え~っと、笑いの神なら時々ツボ押しに来るのですけれど……(^^)

> 犯人はですねえ・・・最初は、翔月の自殺にしたかった。
> 榊原との関係を榊原のように強く持って行く自信がなくて。瑞月は翔月が舞台で命を絶つつもりであると事前に知っていた。けど、自殺なら、面が誰かに隠される理由がない。で、ボツ。
うん、これはありですね。だって、瑞月は兄が自殺したとは思われたくなかったかも。
自殺なら、理由が必要で。それが榊原との関係でも、次期宗家として自信がないということでも、やっぱりマイナスな話になってしまうから。
だから、自殺説は大いにあり得るのですよね……

> 次に考えたのが・・・
> 瑞月が翔月と榊原との関係を知っている、ということを、翔月は知っていた。そして、いつか何がしかの方法で自分を殺して欲しいと翔月は瑞月に頼んでいた。そのときがあの時で、方法もこう来るだろうと翔月は予測していた。知っていて受け入れた。うーん?
お、これもありですね。なるほど、これは妖しい兄弟の契り、みたいな世界で、また別の耽美な物語が書けそうです。こういうちょっとありえないような設定をいかに違和感なく書けるか、ちょっと冒険だという気もしますが……
そう、あれこれ理由を書くと嘘っぽくなるので、ついつい、ミステリアスに放置したのかも^^;
なんだかイケていない話だったのですね、きっと。

> それから・・・
> 瑞月は奇跡的に一命をとりとめ(若かったからかな。たぶん)、全てのことに口を閉じ、宗家能楽師として大成する。
これもいいかも。この後の事情聴取で刑事とのやり取り、むちゃ楽しそう。
いえ、作者として楽しいということで……刑事と容疑者の緊迫したやり取り、たまりません。
でも、上手く書けないだろうなぁ。

> その後、
> プライベートで瑞月が大の猫好きというところから、キャット関係のCMに出演することとなる。半にゃライダーの合間に流れるこのCMを見たマコトがめっちゃファンににゃる。
あははははははは~~~~~
これ、お大受けです!
マコト、本当だ、きっとこのCMが始まったら最敬礼で見てるかも。
ねこじゃらしのCM? キャットフード? あぁ、でもタケルのねこまんまのほうが……
実は、猫が般若のお面をかぶってバイクに乗っているイメージが頭から離れなくて……どんな番組なんだ、『半にゃライダー』!

あれこれ楽しい(?)推察ありがとうございました!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/16 07:17 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

いえ、本当に違いが出て面白いですね。
能、殺人(もしくは自殺)、現場から持ち去られる証拠品かもしれない面、能楽師の青年(これはイラストに描かれていたからだけど)……
夕さんのお話を拝読して、一番ドキッとしたのは、現場から持ち去られる面、というところだったのです。
この対比は結構面白かったです。
だって、ヴェネツィアですよ。この話をどうやったらイタリアへ持って行けるんだろう!
さすが夕さん、ジャンプの仕方がワールドワイド?で、しかも違和感がない!
お面、カーニヴァル、そして秘められた恋と殺人事件(もしくは心中)。
私の方は、かなり閉じられた世界の話になっていましたが、夕さんの場合は飛び越えていきましたね!
この辺り、すごく学ぶものがありました。

題材に真剣というのか……こだわりすぎてきつい時があります^^;
これって性格なんでしょうか。もう少し自由に転がしたい……のですけれど。
自分の仕事についての小説が絶対書けないし、その手のドラマが見れないのは、職業倫理的なことではなくて、もうあれこれ気になってストーリー自体を楽しめなくなるから、なんですね。

だから実は、夕さんみたいに題材に取り上げながらも、少しカーブを投げて、しかも違和感がなく世界を構築して書ける才能が欲しいと思います。すごいと思うのです。だって、ほんと読んでいて違和感ないですもの。
それは稔の三味線シーンで思いました。ツボるところをきちんと外しておられるんですもの。細かく書くと嘘っぽかったりしますから……
それでいて、世界観はちゃんと成立している、それがすごいですし、それが物語なんだと思うのですね。

でも、この話も、かなり舞台上のことをごまかしごまかし……(よく知らないので)
どちらかというと、イメージを最優先して、書いておりました。
でも、ほとんど、ちょっとタブーの恋愛に触れた話というだけで、かなり妖しくなったような気がしますけれど^^;
夕さんとは内容違いながら「道ならぬ恋」の話になったのも、偶然なのか、このイラストの世界観からは必然なのか、ほんと興味深い繋がりでした!

> 彩洋さんの小説は、「死と乙女」でも思うのですが、題材にとても真剣ですよね。余計なもので誤摩化したり、あいまいに逃げたりしないで、その題材に正攻法で挑んで勝っている、そういう小説だと思います。
う~ん、勝ってるのかなぁ。だといいのですけれど……
そうそう、「死と乙女」、途中になっててすみません!
あれって、555のキリ番リクエストだったのですよね!
あの話、確かに結構毎回生みの苦しみが……ちょっと真面目にやりすぎちゃって……
でも、書いていて楽しいのでのめりこんじゃう危険があるのですよね。それですごい暇なときにしか、細部を書き込めなくて……
でも、図書館が終わったら、書きますね!

『天河伝説殺人事件』、チャンスがあったらご覧ください。
あの舞台(天川村)だけでも、一見の価値があるかも。ほんと、すごい山奥で……素晴らしい映像になっていたと思います。あ、榎木さんも素敵で……(なんだ、単なるミーハーか^^;)
でも実は、細かいことを覚えていない……

> しかし。なぜ私が愛を書くと生臭くなり、彩洋さんが書くと綺麗になるんだろう。ま、いっか。
え、え、全然そんなことないですよ!
オラトリオなんて、綺麗すぎて、どうしようと思ったのに。
生臭いのに蓋をして綺麗なふりをしているんですよ、きっと!
どこまで書くか、の話だけで……榊原と翔月のシーンだって、単語を増やしたら即生臭くなる……とか思いながら、思い切りさらりと流して書いておりました。
ちなみに、真シリーズだったら、ぐでぐでと詳細に書きます。だって、そもそも生臭い人物しか出てきていないし^^;

> P.S. ヴォルテラの御曹司が、テレビを叩いて直すなんて、昭和で庶民なテクニックを使っちゃダメ!
あはははははは~~~~
いやぁ、この御曹司、こういうこと大好きなんですよね~~
もう、叩いて直るとなれば、叩き方を研究していそうです。なんでもこだわるから……
いやもう、猫が般若のお面をかぶってバイクに乗っているイメージが頭から離れなくて……どんな番組なんだ、『半にゃライダー』

コメントありがとうございました!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2014/04/16 07:39 [edit]


管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

# |  | 2014/04/16 21:36 [edit]


鍵コメHさま、ありがとうございます(^^)

わぁ、こんな長ったらしい異質な世界を読んでくださったのですね!
ありがとうございます m(__)m
多分……こういうのは、めったに書かないだろうなと思われる、まさに幻想の世界ですね^^;
limeさんのこのイラストにはピッタリな感じなので、たまにはいいかなぁと思いまして。
そして『半にゃライダー』……^^;^^;
自分で嵌ってどうする、なんですけれど、どんな番組なのか……
アニメ画像ですが、ねこが般若のお面をかぶって悪人退治……決め台詞はやはり桃さんで……
Hくんとマコト、並んで見るかもしれませんね~
コメントありがとうございました(*^_^*)

彩洋→鍵コメHさま #nLQskDKw | URL | 2014/04/17 06:24 [edit]


ポールさんへ(^^)

スマホ、どうですか? 
新しすぎて(機能が多すぎて)難しいとか??
私はまだガラケーです(^^)
早く克服して、スマホにぎゃふんと言わせてください!
(拍手、ありがとうございました(^^))

彩洋→ポール・ブリッツさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/17 23:32 [edit]


はんにゃ

「はんにゃ」って、ひとつの言葉で、いろいろと想像できますよね。
半人前のにゃんこライダー、可愛い。

猫のマコトくんが、「般若ライダー」を「半にゃライダー」と聞き間違えて期待して、なんだ、ちがうんだ、こわーい、となったりするのも可愛いかな、なんて想像してしまいました。

犯にゃ、反にゃ、藩にゃ? とか、はんにゃ、誤変換シリーズも面白そうです。

あかね #- | URL | 2014/04/18 18:22 [edit]


あかねさん、ありがとうございます(^^)

はい、「はんにゃ」……あの掌編~短編を書いたら、少しの間だけちゃんと「般若」と変換されるようになりましたが、すぐに「半にゃ」に戻りました^^;
頭の中では、ねこが般若のお面をかぶってバイクに乗って、怪人のいるところへ駆けつける姿を想像してしまいました。絵が描けるなら、描きたいところなのですけれど。

> 猫のマコトくんが、「般若ライダー」を「半にゃライダー」と聞き間違えて期待して、なんだ、ちがうんだ、こわーい、となったりするのも可愛いかな、なんて想像してしまいました。
あ、それもいいですね!
まことは拘って見たいテレビ番組があるみたいだから、きっとリストアップしていたのに、がっかりするマコト……可愛いかも(*^_^*)
何でも一生懸命なのがこの子のいいところ。ねこだけに、たまにずれているけど(^^)
あかねさんのSSの「にゃ」も可愛かったですよね。
コメントありがとうございました!

彩洋→あかねさん #nLQskDKw | URL | 2014/04/19 07:55 [edit]

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://oomisayo.blog.fc2.com/tb.php/444-425eda68
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)