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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【石紀行】18.山形千手院・垂水遺跡~この奇岩のパワー~ 

芭蕉の俳句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」で有名な出羽国(山形県)山寺。800段もの階段を登ってたどり着いた時の爽快感を味わったことのある方も多くいらっしゃると思います。
でも、山寺を少しだけ通り過ぎ、最上三十三観音二番札所・千手院まで行く人はほとんどいらっしゃらないようです。
本当にほんの少しの距離なのです。わずか1kmほどでしょうか。「この先には駐車場はありません」という、観光地によくある看板を無視して更に進み、単線の短い高架を潜り、本当にこの先に行って大丈夫かしらと思ったら、鳥居が見えます。
山寺千手院
車は道路脇に停めてもいいようになっています。鳥居をくぐって階段を登ると、その先に見えるのが千手院の本堂です。
さて、この鳥居と本堂の間、ちょっと見ものですよ。
千手院-鳥居
鳥居の手前に注意を促す立て看板が見えます。「キケン 列車に注意」って見えますでしょうか。
それもそのはず!
千手院-線路2
参道の途中を、踏切もなく線路が横切っています。つまりこれを横切らないと本堂には行きつかない。
千手院-線路
上から見るとこんな感じです。危なくないの? はい、キケンと書いてありますが、そのキケンな電車はめったに通りません。でも、もちろん、気をつけましょうね。
山寺千手院2
東北のお地蔵さんって、祠の中でこうしてみんな服を着せてもらっていますね。津軽のお地蔵さん・道祖神もこんな感じです。やっぱり寒いからなのかしら。あるいは、お地蔵さんを自分たちのより身近なものとして祀っておられるからなのかもしれませんね。
千手院地図
これが千手院の前にある地図です。下の方、左のお寺印が山寺、右のお寺印が千手院。千手院の横手を登っていくと、地図の右上に丸で囲われた部分が垂水遺跡です。
垂水遺跡まで行ったら引き返そうと思っていたのですが、母の「当然前に向かって進むべき」という言葉で、結局山道を2kmほどでしょうか(山道ですし、ついついあちこちで遊んじゃう私たちには1時間半~の行程)、地図で言うと凹の形みたいになっている道を歩きました。途中からは、「最近、ここ、人通ったのかしら」というような道でしたが……

それではまず、垂水遺跡をご案内したいと思います。
千手院-看板
千手院の脇に小さな看板があります。導かれるままに登っていきます。
垂水遺跡へ
垂水遺跡へ2
しばらく登ると、木々の陰に遺跡が見えてきます。
垂水3
これが木々の暗い緑の中から現れた瞬間、1200年以上前(天長7年=830年)に慈覚大師・円仁(比叡山延暦寺の最澄のお弟子さん)がここを聖なる場所と定め、天台宗の霊場を作ろうと考えたというのが分かるような気がします。
……思わず「わぁ!」と声をあげてしまうような景観なのです。
では、しばらくその景観をお楽しみください。
垂水8
岩自体は凝灰岩で、そこに含まれる硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムが水に溶けだし、このような浸食された岩となったようです。
垂水6
何しろ、屏風のように岩が並んでいて、写真で全体像をお見せするのはとても難しいのです。
垂水遺跡3
岩に向かって左手の方には「古峯神社」と書かれた石碑があります。
垂水こぶはら
……字は読めませんね。
ところで「古峯(こぶはら、ふるみね)神社」とは、栃木県鹿沼市の古峯ヶ原(こぶがはら)にある古峯神社が大元なのでしょうか。前回ご紹介した釣石神社の境内にも「古峯神社」がありましたね。
古峯神社のご祭神は日本武尊、また天狗信仰とも結びついています。もしかすると山の中ですから、天狗とは縁があるのかもしれません。
垂水9
この巨大な岩全体からものすごいパワーを感じます。
パワースポットという流行りものに流されるのは何となく癪ではありますが、今回山形や宮城で出会った巨石たちは、まさにパワースポットという言葉をそのまま体現しているように思いました。
垂水遺跡
こちらの鳥居は、中ほどにある(多分)稲荷神社。
何と、登ることができます。
垂水登る
岩にちょっとだけ階段状の足場が彫ってありました。
垂水鳥居
足元は崩れた凝灰岩で、結構滑ります。さらに登ると小さな祠があります。
垂水祠2
垂水祠
いつの時代に誰がここを見つけて、聖地と定めたのか。伝承に残る円仁以前にも、この岩、景観は存在していただろうし、名前も知られない誰かがここを祈りの場所としていたことは間違いがないと思うのです。
日本にしても、世界の他の国にしても、こういう自然の中にある「磐座」に相応しい場所には、逆らえない力が漲っているような気がします。
垂水鳥居2
さて、さらに岩に向かって右手の方へ進んでいきます。
垂水遺跡7
こちらの方は浸食は少なく、ごつごつした感じの岩肌が目立ちます。
垂水11
岩の裂け目には、垂水不動尊、不動明王が祀られていると……
垂水不動尊
ありました。よく見なければお姿を拝するのも難しい、小さなお不動様です。
……とはいえ、錆びた囲いがあるだけで、整備されているわけでもなさそうです。
垂水遺跡2
少し奥に行くと、円仁宿と書かれた洞穴があります。円仁はここに籠もって山寺開基構想を練ったのだと、千手院縁起に書かれています。
円仁宿跡
円仁はその後比叡山に戻って偉くなっているので、嘉祥2年(849)にこの東北の地を再訪して山寺立石寺を整備するなんてことが実際にあったのか、命令を下して誰かお弟子さんがやって来たのかは不明です。
実はこの道を山寺の方まで辿っていくと、峰の浦遺跡という場所(草ぼうぼうでした……)があり、マタギの首領・磐司磐三郎がこの辺りの土地を円仁に譲ったという伝承も残されています。
この垂水遺跡~峰が浦こそ「もとの山寺」とも言われているのです。
垂水12
さて、もう一度迫力の岩を見上げながら戻っていきます。
この辺りには、大正時代まで山伏の居住修行の姿があったと立札に解説がありました。
垂水7

次回は、ここから城岩七岩、修験場跡、そして元山寺の遺跡(峰の浦)、さらに本日のお宿・銀山温泉へとご案内いたします。

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Category: 石の紀行文(写真つき)

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コメント


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# |  | 2014/12/11 15:57 [edit]


こんばんは

北海道を楽しまれている所でしょうか。いいなあ。

この線路、危険。でも、どうせなら、この前に駅を作ってくれると便利ですよね。そう言う問題じゃないのかしら。

天狗が出てくるといっても納得だし、修行したらいい悟りが開けそう。今の光景で、現在に行きている私でも思うんだから、昔の方がこの光景を見たらさぞ圧倒されたでしょうね。

円仁か……。日本の偉いお坊さんは、神出鬼没すぎ。どれが本当にご本人がいらした所なのか。偉い方が来なくても、すごい所はすごいんですけれどね。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2014/12/13 04:18 [edit]


はいは~い、山寺立石寺でセミの声を聞いたあと、山頂からの眺めにびびって引き返したクチです。
うわぁ、あの近くに、こんなすごいところがありましたか。
この線路、JR仙山線ですよね。山寺に行ったとき、仙台から乗ってきたんだけどなぁ。気が付かなかったぞ、これ。
あのスポンジみたいな岩、どうやって出来たんだろう。なんか、海の中にあったみたいな感じですよね。

これから、銀山温泉ですか。ホントにいいところに行ってらっしゃいますね。私も行ってみたい温泉なので、レポート楽しみにしていますね。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2014/12/13 19:41 [edit]


面白い岩肌ですね。
自然の芸術みたいです。
昔活火山とかあったのかな・・?

ペチュニア #- | URL | 2014/12/17 21:25 [edit]


うわあ!!

すごい奇岩ですねえ~~!!!
大昔は海の底だったのかなあ~???
これはすごい!!!!!
どこを見ても神々しいです・・・・・・・

かじぺた #- | URL | 2014/12/18 21:33 [edit]


鍵コメH様、ありがとうございます(^^)

コメントのお返事が大変遅くなってすみません!
ようやく旅から戻って、ついでに風邪で起き上がれないという状況からも脱しました。
石紀行、いつも読んでくださってありがとうございます。今回の石(岩?)はかなりパワーのある石で、この画面に収まらないのが何とももどかしい感じなのですが、少しでもお伝えできていたなら嬉しいです。
とにかく、今回触れた東北の石たちはどれも大迫力。まさに陽のパワーが迸るような石たちでした。
でも…・・次回は少し大人しく、そしてかの銀山温泉もお届けしますね(^^)
いつもありがとうございます。
あ、腱鞘炎は……薬の飲みすぎで何だかよく分からなくなっちゃいました^^; 痛いのは痛いのですけれど……
またHくんに会いに行きますね!
コメントありがとうございました!!

彩洋→鍵コメH様 #nLQskDKw | URL | 2014/12/20 09:50 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

北海道、楽しく行って参りました。コメントのお返事が遅くなってすみません。しかもこそこそと拝読しつつ、コメを残さないままですみません。明日、やっとこ家に籠もる休みなのでまとめてコメ書きに回りたいと思います!
そうそう、なんだかこういう「なんでこんなことに?」って建造物ってありますよね。多分、電車なんてたま~にしか通らないから、いいかってことになったのでは……。集落はこの先、もう少し離れた場所にあるので、こんな何もないないお寺のところに駅を作っても仕方ないってことになったんでしょうね。
関西にはあんまり「古峰神社」のお社が他の神社の中に作ってあるのは見ないけれど(よくあるのは、やっぱり菅原道真公所縁の天満宮でしょうか)、関東以北の神社にはよくあるのかしら? 少なくとも今回の旅中に二つ見たので、分家?は天狗?なんて思いつつ楽しんでいたのでした。
昔の修験者さんにしても、あるいは市井の人にしても、きっとどこかに自分の祈りの場所を持っていたのでしょうね。ここは本当にそれに相応しい場所だと思いました。木々の間に突然出てきたときは、とっても感動ものでした。あ、石って、大概そんな感じなのですけれど(^^)

> 円仁か……。日本の偉いお坊さんは、神出鬼没すぎ。どれが本当にご本人がいらした所なのか。偉い方が来なくても、すごい所はすごいんですけれどね。
あはは~、そうですよね~。空海や行基、役行者なども、どこでもドアかタケコプター使ってました?って感じですものね。これってつまりブランドもしくは偽ブランドなのかしら? こちらも、一度は円仁さんはいらっしゃったようですが、二度目は怪しいそうで。

コメントありがとうございました!
やっと復活の兆し。またいっぱいコメも書きに行きたいので、お邪魔しますね!(たまってる……)

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2014/12/20 10:31 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

コメントのお返事がすっかり遅くなってすみません m(__)m
ようやく少し復活しました。TOM-Fさんのルミナリエの記事にも反応しつつ、コメを書けないままだったので、また今週末に参りますね~
さて! 山寺ってやっぱりあの階段でかなりの体力を消耗し、上に着いたら、ありゃ~(怖い~←高所恐怖症)って感じでおののきますよね。私も記憶はずいぶんと古いのですけれど、そして今回もできれば山寺も、と思っていたのですが、羽黒山に登るかもと思っていたので、2日続けて階段を延々と登るのは無理!というのと、意外にも垂水遺跡界隈で楽しく過ごしてしまったので、時間も切迫していて早々に温泉に向かうことを選びました(^^)
そうなんですよ。私も以前山寺に行った時は、こんなすごいものが真横にあるなんて知りませんでした。でも、あんまりガイドブックとかには載せずに、こっそり口コミにしておいてほしいです。でも、山寺とは明らかに背中合わせくらいの距離で、この垂水遺跡からの散策道の終着点は山寺の墓地なんです。
お、さすがにTOM-Fさんは線路にもお詳しいですね。私は最近山奥に行くことが多くて完全にレンタカー派なのですが、鉄道の旅もいいなぁ……
この岩は、雨で岩の中の硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムが溶けてしまって穴が開いたんですって。風化じゃなくて、まさに浸食って感じなんですね。
そして、次回は、お待たせの?銀山温泉です。石紀行、なぜか必ずグルメと温泉情報ももれなくついてくる??
コメントありがとうございました!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2014/12/20 10:48 [edit]


ペチュニアさん、ありがとうございます(^^)

コメントのお返事遅くなってすみません!
やっと復活の兆しです。ほんと、人間って寄る年波には勝てませんね……
さて、この岩! そうなんですよ。そもそも凝灰岩なので、古代の日本界隈の地理を見てみたら面白いのかもしれませんね。そしてそれが陸上で、雨のためにナトリウムが流れ出して穴が空いちゃった。
それにしても本当にすごい迫力なのです。目の前にで~んとそびえ立つ巨大な屏風みたいで。
なかなか写真ではその迫力が上手く伝わらないのが残念ですが、もしかして今後山寺に行かれることがあったら、一足延ばしてみてください。ほんとに隣なんですよ! 誰も行かないけれど……^^;
次回はかの銀山温泉にご案内いたします!またお楽しみに!
コメントありがとうございました!

彩洋→ペチュニアさん #nLQskDKw | URL | 2014/12/20 11:03 [edit]


かじぺたさん、ありがとうございます(^^)

コメントのお返事が遅くなってすみません!
北海道に行く前からバタバタで、やっと帰ってきたら忙しくて、併せて爆弾寒波に合わせて爆弾かぜをひいてしまいました。かじぺたさんのパワーを分けて欲しいです~。いや、もしかしてかじぺた家のわんちゃんになったら……??
なんてことはともかく。すごい岩なんですよ。大昔の地形はどうだったんでしょうね。この辺りは大きな山もありますし(出羽三山や鳥海山)、古代まで思いを馳せると楽しいですよね。
この岩からはすごいパワーを感じます。前に立つだけで何かを感じるというのか。
今回の旅では陽のパワーを感じる岩ばかり見てきました……また引き続きアップしていきますね(^^)
コメントありがとうございました!!

彩洋→かじぺたさん #nLQskDKw | URL | 2014/12/20 11:19 [edit]

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