【石紀行】20.宮城丸森町・立石~日本一の道祖神~

さて、今年最後にご紹介する巨石になるでしょうか。おまけがもう1回分ありますが、こちらは年明けになりそうです。
今回の東北の旅では、凄すぎる陽のパワーを持つ4つの石に会ってきました。実は他にも幾つかの石を見ているのですけれど、あまりにもこの4つのパワーがすごくて、何が何だか分からなくなっておりました。
海外の美術館に行って、あまりにもすごい絵画を沢山見ていると、途中からお腹いっぱいになって、だんだん感覚がマヒしてくるのに似ているかもしれません。凄いものを見るときは、一気に見ない方がいいかもしれませんね……脳の受け入れる限界を超えている。
え? 4つ? 釣石神社の落ちない巨石と、垂水遺跡と、こちらの立石(たていし)。3つでは?
それがですね、もうひとつはご紹介できないのです。かの湯殿山神社のご神体です。「語るなかれ、聞くなかれ」と言いますので、語りません。でも、やっぱり一言。もしかして機会があれば、ぜひ、訪れてください。
ところで、私は石のパワーは信じていますが、パワーストーンを身につけてはいません。そういうものは持つ人、見る人の心次第でいいと思っているので……でも、今回見た巨石はどれも圧倒的なパワーを感じる陽石ばかりでした。陽石って、こちらがしっかりしていないと持って行かれそうな感じがします。そう考えると、陰石ってやっぱり必要なのですね。
そうそう、まだ宿題になっている、石紀行初めての18禁でまた語りたいと思います。
さて、前置きが長くなりました。
実は今回の宮城県丸森町にはずいぶんと沢山の石があるようです。
丸森町ってどこ? と言いますと福島県との県境あたりになるでしょうか。そしてこちらには「日本一の道祖神」と呼ばれる大きな石が、山の中腹(天辺?)に立っているのです。
写真でどこまでこの凄さを表すことができるか……

こちらの巨石、周りにある石も十分大きいのですが、これが大きすぎて他が普通に見えちゃいます。
高さ12.5メートル、周囲25メートル(27と書いてあるものも)の花崗岩。

石に赤い字で「まわり25m」と書いてありました。丸森町の文化財に登録されているそうです。例のごとく、周囲から弥生式土器なども出土しているそうですから、やはり古い時代から信仰の対象であったようです。
やっぱり、大きさは人と比べてみないといけませんね。

横に立っている人、分かりますでしょうか。これでこの石のど迫力、感じていただけたことと思います。
では、やはりこの石へのアプローチをご説明しなければなりませんが……実はよくあることですが、現地に行ってみたら、やっぱり異邦人には場所は分からないのです。当然のことながら「観光名所」ってわけでもありませんので。
というわけで、今回は行きつくまでの一部始終、皆様と一緒に再現してみたいと思います。
手がかりがなかったので、とりあえず町の詳しい地図でも見せてもらおうと考えて、公共の資料館らしきものに立ち寄って尋ねてみました。
「あの、立石に行きたいのですが……」
「え?」(絶句)……明らかに予想外の質問だったようです。
「行く」の意味がしばらく噛み合いませんでした。「行く」のは無理よ、って感じで……
「ちょっと前に(どのくらい前の話かは不明)木を切ったし、その前の道をちょっと行ったら見えるから、下から見たら? とても近くには行けないよ」
「いえ、行きたいんです。取りあえず登り口を教えてください」
ということで、地図に印を書いてもらいましたが…・・・・
「いや、一応登り口のあたりに適当に車は停められるけれど……え? どこから来たの? そ、そんな遠くから?」
と、また例のごとく驚かれ……
後でこそこそ「そんな遠くから人が来てくれるんだったら、もっと整備しとかな……」「いや、そんな宣伝していっぱい来てもらっても、車停めるところないし、困るで……」ってな会話をされていました^^;
でもね、ここまで来て山の下から見て納得する大海とその母ではありません。

こんなのどかな景色の中、「羽入集会所」という暗号のようなキーワードを求めて車を走らせます。
う~ん。集会所?

思わず行き過ぎてから引き返しました。

角には小さな道案内が……

う~ん。これは見えない。
さて、この道を行くと、突然道は途切れました。

途切れたところに民家があったので、丁度住人の方が軽トラで帰ってこられたとことを見かけて、尋ねました。
「すみません~。立石に行きたいのですけれど、この先って行けますか?」
「え?」(また一瞬沈黙)「少し先に車停めれるところがあるから。立石までは車でいけないよ」
はい。登山の準備はできています。

これ、テキトウに車を停めるところ、ですね。

前に「火薬庫」があるのです。ちょっと怖い……

その傍には馬頭観音と書かれた石があります。

熊出没注意、の看板の横を入っていきます。

かなり年季の入った看板ですね……でも、登山道、とは書かれています。

これは帰りに撮った写真ですが、こんなところを歩いて行きます。雨が降ったら絶対に近づけませんね。

すると、写真の真ん中あたり、ぽっかり空いた穴のところに出てきます。

確かに……木は刈ってあったようです。でも草がぼうぼうで、歩道は全く分かりませんでした。草の中に立札が! 足元の草を杖で掻き分け掻き分け、進みます。

草を抜けると、階段がありました!
この階段、崩れかけていて、かなり急です。登るのはいいけれど、降りるのが大変そう、と思いながら登ります。

途中で少し開けたところに出ました。確かに、木は刈ったようです。

そして、最後の登りです。ちらっと、木の陰に何か丸いものが見えていました。

こうして書いちゃうとあっけないですけれど、毎回、石に出会うまでは紆余曲折があります。でも、そもそも観光案内にも書いていないし、常に誰かに聞きながら行きつくのです(たまに、地元の人も知らないこともある^^;)。
さて、後はもう、立石をじっくりお楽しみください。
この石、ぐるりを1周すると、その間に少なくとも4つの違った顔を見せてくれます。
「顔」? えぇ、まさに顔があるのです。
(注:これは全てひとつの立石の、色々な面からの写真です。)

横顔に見えませんか? 目がありますでしょう。今度は顔を前から見ます。

中央真ん中あたりの凹みは鼻にも見えます。

花崗岩なので、剥がれ落ちた部分も少しリアルに見えます。この面は丸くて、柔和な感じがしますね。

くるりと回ってくると、今度はフクロウ?

いえ、猛禽類? それともモアイの顔?

背面は少し斜めに、真っ平らな面になっていました。

まるで龍が走っているような紋様ですね。

こちらはより男性的なイメージです。

大きな石の傍にも幾つか石が転がっています。それぞれ小さくはない石なのですが、立石が大きすぎて……

そのひとつに座って、お昼ご飯にしました。前泊した遠刈田温泉(蔵王の近く)の山風木(やまぶき)さんでは、出発時に焼き立てパンのお土産を頂きました。それと前の晩に食べきれなかったご飯でおにぎりを作っていただいていたので、一緒にお昼ご飯にしました。

置いていたら、すぐに蟻に目をつけられて……急いで食べなくちゃ。

見晴らしもなかなかです。

顔の側から少し斜面を降りて行くと、他の部分にも石がゴロゴロ、ちょっと王蟲みたいな石が転がっています。
立石を中心にいくつかの方面へ道があるようで、登山口は他にもあるようでした。でも、少し行ってみましたが、どこも草ぼうぼうで、道なのか水の流れた後なのか……という感じ。
やっぱり巨石ファンでなければ、何を好んでこんなところにやって来るのか、って感じなのでしょうか。
でも、この石、ものすごく良い感じです。とにかく、お弁当を持って行きましょう! 最近、どこで遭難するか分からないので、一食分は持って山に入るのですが(だって、あまり人の気配がないので……)、このお弁当を食べるのがまた楽しいです。
そしてまた道なき道を草をかき分けて降りてきました。
丸森町の皆様、ありがとうございました。変な関西人がやってきてごめんなさい^^;
あ、最初に道を尋ねた方からは「立石よりもかかし街道を見て帰ってね」と勧められたので、かかし街道も行ってみましたよ。とってもユニークで楽しかったです。

ずら~りと、かなりの距離に渡ってかかしが並んでいます。

こんな可愛らしいのも。

なんだか素朴で、いいですね。

手が込んでいるものから、ちょっとオカルト風?マネキンまで、色々あって、面白かったです(*^_^*)
丸森町周辺の石はあと少し残っているので、また次回におまけコーナーでお目にかけたいと思います。

そうそう、こちらが「道から見える立石」です。さすがに、あの大きさですから、ちゃんと下からも見えますね。山によくあるタンクなのかと思っちゃいます。
さて、丸森町の立石、如何だったでしょうか。
見る前は、このほかにもいっぱい石を見るつもりだったのですが、この石を見てしまったら、もうお腹いっぱい……大満足で、後は本当におまけになっちゃいました。
やはり整備をしてほしいような、このまま「行く気があるならおいで」風でとどまっていてほしいような。
でもこの石は、もう少し宣伝してもいいのじゃないでしょうか。巨石ファンは絶対楽しめる、パワーあふれる陽石でした。
さて、続きを読む、ではお待ちかね?本日のお宿コーナーです。
今年も石紀行にお付き合いくださいましてありがとうございました。
来年は丸森町周辺の石たちの他に、積み残した石たち、九州の18禁巨石、そしてマルタの巨石神殿もご紹介したいです。
来年の石紀行、予定は広島の宮島、そして前回積み残した岡山の石、そして大分の石リベンジも行けたらいいなぁ。

比較的新しいオーベルジュでしょうか。前回の鄙びたムードとは違って、少しモダンなお宿でした。
遠刈田温泉、という蔵王の傍にある温泉にある平屋造りのお宿です。働いている方々も皆お若い。
でも「明日は丸森町に石を見に行く」と言ったら、すぐに調べて来て「すごい石があるんですね、近くの町の出身だけれど知りませんでした」なんて言って会話を繋いでくださったりして。

館内にはこんな共有スペースがあって、ゆったりと時間を過ごせます。

小さな図書室からは本も借りることができます。
そうそう、以前はもう夕方目いっぱいまで観光してましたが、最近は出来るだけ早く(と言っても5時にはなっちゃうのですけれど。山歩きは疲れます)旅館に入って、ゆったり温泉ライフを楽しむ事ができるように、と思っています。歳、かしら?

ワインやお菓子、コーヒーや紅茶なども置いてくださっています。

宿泊したお部屋のサンルーム。

ベッドルームも寛げそうですよね。
そして、やっぱり楽しみはご飯ですね(*^_^*)

和風からフレンチ風までバラエティ豊かな夕ご飯でした。野菜のバーニャカウダ風、美味しかった。素材がいいですものね。日本酒によく合うのです。

ご飯は松茸ごはん。余ったものをおにぎりにしてくださいました。
デザートまでみっちりおいしくて、旅行の最終日はいつもちょっと豪勢なお宿を選んでいるのですが、今回も大満足な旅でした。お土産のクロワッサンも美味しかった(*^_^*)
やっぱり、食べ物の話題は華やぎますね!
最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
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コメント
迫力
今年最後の巨石写真も、パワフルでした。
一番最初の黒っぽい25Mと書かれた巨石と、後半の立石は、別の石なのですね?
上のは、どうしてもゲゲゲの塗り壁に見えてしまって・・・。
でも、ものすごく巨大なのが、人物比較でわかりました。
それにしても、やっぱり地元の人の反応が面白い。
「なんで、ここに?」的な空気感がすごく伝わります。
でも、分かるんですよね。
私の実家も名勝天然記念物の滝のそばにあって、「なんでこんなところに遠くから観光に来るんだろう」と思っていましたから。
旅のお宿も、雰囲気があっていいですね。
そして何より、お母様とそんな時間を楽しめることがうれしいですね^^
lime #GCA3nAmE | URL | 2014/12/28 17:58 [edit]
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# | | 2014/12/28 18:19 [edit]
これはまた、いろんな意味ですごい巨石ですね。
地元の人しか知らないような雰囲気の巨石ですけど、大海彩洋さんは、どうやってこんな石を見つけてくるんですか?
そして、困難な道でもそこにたどりついてしまうところもすごいです。
それにしても、この石もたいがいなオーパーツですよね。なんでこんなところに鎮座しているのやら。
そして、遠刈田温泉。う~ん、いいお宿ですね。大人の隠れ家って感じが漂っています。お料理もおいしそう。
なんか、私も久しぶりにこういう旅に出てみたくなりました。
TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2014/12/29 00:42 [edit]
limeさん、ありがとうございます(^^)
石紀行も楽しんでいただけて、何よりでした(^^)
今年最後の巨石、こちらも大迫力でお届けできてよかったです。そうそう、これもそれも人物比較、マッチ棒役のうちの母のおかげでしょうか。横に立った時の迫力をお伝えできればと思って頑張っております。
来年もまたすごい巨石に出会いに行きたいものです。
あ、その前に禁18の巨石をアップしなくちゃ。
そして、実は、今回お見せした巨石、全てひとつの石『立石』なんですよ。そう、ひとつの巨石が見る方向から色んな顔になる、というものすごく魅力的な石なのです。どう見ても「目」がありますよね、この石。ほんと、モアイみたいだわと思いながら見上げておりました。
そして、あ、確かに塗り壁に見えますね~。この後ろ側?から見るとかなり直線的なイメージなのですが、反対側は丸い感じ。ほんと、面白い石です。これは宣伝してほしいような気もするけれど、地元の人にしたら「なぜ??」なんですね^^;
limeさんの御実家の近くの滝も、そうなんですね。そうそう、滝も、結構いつも身近にあると気が付かないけれど、結構遠くから人が見に来ますよね。かくいう私も埼玉に住んだときに袋田の滝を見るためだけに行ったことがあります。好きな人には魅力的、それがマニアの面白いところなんでしょうか。
コメントありがとうございました!!
彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2014/12/29 14:17 [edit]
鍵コメH様、ありがとうございます(^^)
今回は行程も一緒に楽しんでいただこうと、石の写真だけでなく草ぼうぼうの写真もアップしてみました。でも、石の写真が並んでいても何も面白くないかもしれない上に、草ぼうぼうの写真を並べても何だかな~と思っていたところ、楽しんでくださったとのことで、とても嬉しいです。
これは多分、近所の裏山に登るって感じなんだろうな、と思いました。有名な巨石パークのようなところはまだいいのですけれど、今回のは本当に「なぜそこに観光客?」って感じで……^^; きっと地元の人にしたら「???」なんでしょうね~。でもどこまでも行きますよ、巨石に近づくためなら!
たどり着くのが大変な石と、道路の脇にぽんと立っている巨石と、色んな石があるのですが、こうして少し苦労があった方が感動もひとしおで思い出深いです。
そして、マッチ棒的役割のうちの母も貢献できてよかったです。今回の石は見た目の大きさもすごいのですけれど、本当に孤高な感じで感動しました。傍に立って触れる、このイメージだけでもお伝えできていたら嬉しいです。
はい、そして旅館ですよね。石ばかりじゃ見る方もつまらないと思い、やっぱり食べ物のお話は必須、と思いながら載せています。色んな日本の素敵なお宿をご紹介できたらいいなぁ。私の泊まるところ、かなりピンキリなのですけれど、其々が面白いと思っています。
また来年もぜひ、お楽しみください。いつもありがとうございます!!
彩洋→鍵コメH様 #nLQskDKw | URL | 2014/12/29 14:26 [edit]
TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)
巨石は、やっぱり同じように巨石ハンターなる先輩たちがいて、その本を見たり、またいろんな方のブログを見て、リサーチしています。結構地元の山登りをしている人とかのブログが参考になることもあります。新聞記事とかでも見つけることがあって、つまり常にアンテナを張っている? で、旅行先とか出張先の近くにある石をまず確認してから、旅館とかを繋げて旅程を決めています。まさに「石中心に旅を決める」ですね。以前はまず「遺跡」「古墳」を捜していたのですけれど……あ、今も古墳も外しませんよ(^^)
ただ、そうなんですよ。行ってからも場所が分からないことはいつものこと。そもそも地元の人も知らない、ってのはよくあることで、頼りない地図と曖昧な住所、あちこちで聞きながらの旅です。でもそれが面白いのかもしれませんね(^^)
> それにしても、この石もたいがいなオーパーツですよね。なんでこんなところに鎮座しているのやら。
う~む。確かに、この巨石、ひとつだけでん、と居座っていますよね。山のてっぺんにこれだけ残っている。オーパーツですか。何とも言い得て妙です。
> そして、遠刈田温泉。う~ん、いいお宿ですね。大人の隠れ家って感じが漂っています。お料理もおいしそう。
> なんか、私も久しぶりにこういう旅に出てみたくなりました。
毎回旅程を組むときに、ホテルから旅館、古いところとか新しいところとか、高いところとかめっぽう安いところとか組み合わせて楽しんでいます。最後の日はちょっといいところ、と決めています。やっぱり寛げる旅館はいいですよね(^^)
TOM-Fさんの楽しい旅の記事もまた期待しています(*^_^*)
今年もありがとうございました!! 来年の石紀行もよろしく!
彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2014/12/29 14:59 [edit]
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