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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【迷探偵マコトの事件簿】(15) マコトのカムイミンタラ(前篇) 

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(イラスト:limeさん)
お正月休み。今年もマコトはタケルと一緒に北海道のジィちゃんちです。
でも、今年はマコトに大冒険が待ち受けていました。
カムイミンタラ。「神々が遊ぶ庭」もしくは「ヒグマが沢山出るところ」? 
幸い冬なので、熊は冬眠中。でも、冬の森の中は危険がいっぱい。
小さなマコトの大きな冒険、お楽しみくださいませ(*^_^*)

<登場人物>
マコト:茶トラのツンデレ仔猫。怖がりだけれど、一生懸命。
タケル:ちょっぴりSだけど優しいマコトの飼い主。
ジィちゃん:ジィちゃんだけど、タケルの親友。北海道の浦河で牧場を経営している。
アイヌのジィちゃん:ジィちゃんのオトモダチ。


【迷探偵マコトの事件簿】(15)マコトのカムイミンタラ(前篇)

[SCENE1] マコトの冬休み
今年もぼく、タケルといっしょにホッカイドウ。
ホッカイドウはすっごくあったかいよ。
……おへやの中はね。
でも、ぼく、おそとも大好き。
だから、ジィちゃんがお出かけするときはいっしょについて行くの。
ジィちゃんのおしごとはお馬さんのおせわ。
だからお休みはないの。

でもね、ジィちゃん、今日はオトモダチのところにお出かけなんだって。
ぼくもついて行っていいの?
って、ジィちゃんをじっと見てたら、おいでって!
やった。
ぼくとジィちゃん、去年、いっしょに宇宙人をやっつけてから仲よしなんだよ。
ジィちゃんのエサシオイワケに、ぼく、オハヤシもできるし。
う~、にゃんにゃん!

今日お出かけするのはちょっとだけお山の中なんだって。
雪にうもれちゃう!?
ジィちゃんは、足につける、たいらなカゴみたいなのを出してきた。
カンジキっていうんだって。
これをはいたら、雪の中にしずまないで歩けるの。
ねこ用はないのかなぁ。
ねこだって、歩いたらしずんじゃうのに。
ウマ用はあるんだって! じゃ、ねこにも作って!

ジィちゃんのオトモダチはアイヌみんぞく、なんだって。
ねこにも、ぼくみたいなトラもようとか、ミケとか、ブチとかいるみたいに、ニンゲンも少しずつチガウ……みたい。タケルはニホンジンじゃないし。
でもねこはねこだし、ニンゲンはニンゲンだよね!
なんかよくわからないから、そういうこと!

きょうはさむいけれど、雪が止んだので、キラキラできれい!
まっ白なぼくじょうに、いっぱいちっさい太陽がおちてきたみたい!
ぼくはジィちゃんの服の中に入れてもらって、しゅっぱつ!
お馬さんのおせなかは、とっても高いね。
でも、ぼく、もうなれたよ。コワくないもん。

ぼくはジィちゃんの服からカオを出して、お外を見る。
キラキラ、キラキラ、まっしろで目がいたくなっちゃった。
あ! 何かうごいたよ!
ぼくはジィちゃんを見る。
マコト、あれはエゾシカだべ。この世に生きるものはすべてカムイだ。神さまだ。かみ、というのは「まれなるもの」という意味だ。あの小さなシカも、このウマも、お前も、みんな「まれなるもの」だべ。
カムイ。
何だかふしぎなヒビキだね!

あれ、ジィちゃん、これなに?
ジィちゃんの服の中のぽけっとに、何か入ってる。
ぼくはごそごそとのぞいて見る。
わ。
ちいさいカンジキが4つ!
これどうしたの、ジィちゃん?
ぼくが首を出して、ジィちゃんのカオを見たら、ジィちゃんはいつものこわいカオのままだったけど、ちょっとテレたみたいにとおくを見た。
これ、ねこのカンジキだよね!
ぼくのカンジキ? ジィちゃん、ありがと!!

ジィちゃんのオトモダチは、クマだった!
宇宙人のつぎはクマ??
ぼくはびっくりしてジィちゃんの服の中にもぐりこむ。
それからそっとカオを出してみた。
わはは。
クマがわらった!
じゃなくて、クマみたいにおっきなヒトだった。おひげもすごいの。

ぼくはあったかいミルクをもらう。
ジィちゃんとオトモダチはおさけ。
ねこはおさけをのんじゃだめだよ。
ぼく、お正月にまちがえてビール飲んじゃったら、ソーランぶしをおどっちゃった!
イロリでは小さなお魚を焼いてくれる。
ぼくは冷めるのを待って、はぐはぐ。

ジィちゃんたちは、時々ぽつぽつとお話をする。
ぼくはおうちの中をたんけん。
おっきなお魚がくろくなってぶら下がってる。
おっきな目玉のついた、お布団みたいな服がかけてある。
アイヌのもようはマヨケなんだって。
アクマが入って来ないように、ソデとかエリにもようを描くの。
でも、これ、布団基地にしたらかっこいいだろうなぁ。

ジィちゃん、ぼく、お外に行ってみてもいい?
ジィちゃんとぼくはイシンデンシン。
ジィちゃんがトビラを開けてくれる。
わぁ。キラキラ。オトモダチの小屋のまわりは雪だらけ。
お馬さんがじっとぼくを見る。
とおくに行っちゃいけないよって。
うん。ぼく、ちょっと見回りに行ってくるね!
あれ、ジィちゃんが呼んでる。なんだろ?
だいじょうぶ。ぼく、すぐ帰って来るから。

[SCENE2] イソポイリワク
ジィちゃんのオトモダチのおうちのまわりにはひろ~い原っぱと、後ろには木がいっぱい生えてる。大きいねぇ。ボクジョウみたいに広いよ。
まっ白でキラキラ。木の上にもキラキラ。
お空はとっても青い!
白と青、とってもキラキラ。

あ、何かうごいた!
しっぽふさふさの茶色いの!
あ、むこうには白いまるいのがいるよ!
あ、こんどはエゾシカ!
青いお空をトリがとんでる。
トウキョウのトリよりおっきい!
白い雪はいっぱいキラキラ光る。
みんな、カムイ!
茶色いふさふさも、白いまるも、エゾシカも、お空のトリも。
ぼくも、ちっさい太陽のキラキラも、みんなカムイ!

わ~い!
っと!!!

ずぼっ……!!!!!

あれ~~~??????????????

ぼくはいっしゅんまっしろになった。
まっしろ? まっくら?
あたまをぶるぶる振ってみる。

穴に落っこちたみたい!
わぁ、どうしよう!
タケル~、どこ~~~!?
って、今日はタケル、いなかった……

上を見たら、丸いお空が見える。
ジャンプしてみる?
じゃ~んぷ!
どて。
あとちょっとだけど、届かないよ!!

よし、もういっかい。
じゃ~んぷ!
どて。
……だめだ。
でも、足の下が、なんだかぶよぶよしてる。
ぼくは下を見てみた。

え?

……

ぼくは目をぱちぱち。
ぼくの下の目玉もぱちぱち。

いっかい目をつぶって、開けてみる。
……やっぱり、いる!
ぼくの下の目玉も、いっかい閉じて、また開いた。
うわ。生きてる!

ぼくの毛はぜんぶ逆立っちゃった!
おひげはキンチョーしてぴーん。
ぼくの下のおひげは……けむくじゃら!
アイヌのオトモダチみたいだ!

おい。

だれかしゃべってる!!
ぼくは上を見る。丸いお空しか見えない。

おい。

わ~。げんちょう、とかいうやつ???

ハラの上ではねたら、いたいべ!

え?

……

あ、あの。もしもし。もしかして……しゃべったの?

しゃべるも何も、ハラの上ではねるんじゃないべ。ただでさえ、あちこち痛くてたまらんに。

……えっと。どうしてここで寝てるの?

寝てる? じょうだんじゃないべ。落っこちただ。オレとしたことが……

そう言ってから、小さいヒゲニンゲンはじっとぼくを見た。
わ。ぼく、おいしくないよ! たぶん!!

おまえ、ひまだべ?

ひま……? ぼく、いつもけっこう忙しいんだ! 今だって……!
え~っと。何してるんだっけ? え~っっと、見回り!

ちょっと頼まれてくれねぇか。
ヒゲニンゲンはぼくが忙しいのもムシして、しゃべりかける。
……そりゃ、まぁ。聞いてあげてもいいけど。

じつは、じっちゃが病気だで、医者を呼びに行くとこだったベ。けど、あなぼこに落っこちてしまって、足を痛めたらしい。おまえ、おらの代わりに医者さ、呼んできてくれんか。

ジィちゃんがびょうき! いしゃ! えっと、あ、ぼくのジィちゃんじゃなくて、君のジィちゃん?
ぼくはちょっとあたまがぐるぐる。
うん、ぼく、呼んできてあげてもいいけど、でも、どこに?
それより、どうやって穴からだっしゅつするの??

ヒゲニンゲンはせまい穴ぼこの中で、よっこらしょと起き上った。
ぼくと、ヒゲニンゲンでいっぱいいっぱいのあな。
わ。小さいニンゲンだ。でもおジィちゃんみたい。

おらはトシヨリじゃないべ。ま、いいさ。おらの肩に乗るべ。

そっか。きょうりょくしたら、できるね!
ぼくはヒゲニンゲンの肩の上に乗っかった。
ちょっとじゃんぷしたら、穴から出れそうだよ。
それで、ぼく、どこへ行ったらいいの?

この先に森が見えるベ。入口からまっすぐ行って、29本目の木を右に曲がって、18本目の木を左に曲がって、まっすぐ行ったら、切り株があるべ。その切り株から3本目の木にのぼったら、インサンケカムイがくるべ。

い、いんさん? け?

ちびすけ、急いで行ってくれ。おらはイソポイリワク。イソポイリワクのジィちゃんがびょうきだと言えば、すぐ村へ飛んでくれるべ。はよ行け。

い、いそぽ。い、い、いりわく!
ぼくは穴から飛び出した。雪の向こうに森が見える。
歩きかけたらずぼって、はまりそう。
えっと、そうだ、カンジキ!
え? でも、いそ……いそぽ、はどうするの?
ぼくは穴にもどった。

ね、いそ……いそぽ! だいじょうぶ?

穴の中から声がする。
おらはだいじょうぶだべ。はやく!

う、うん。
ぼくはいちもくさんにジィちゃんのいる小屋にもどった。
ジィちゃん、ぼくのカンジキ!
でもにゃあにゃあ鳴いても、家の中のジィちゃんには聞こえない。
どうしよう。

その時、お馬さんがひひ~ん!っておっきい声でさけんでくれた。
トビラが開く。
わぁ、ありがと!
ぼくはジィちゃんにいっしょうけんめい説明する。
あのね、ジィちゃん、穴に落ちてね、それで、穴の中にヒゲニンゲンがいて、それでオイシャさんを呼びに行くからね、ぼく、カンジキ、いるの!

ジィちゃんはよく分からなかったみたいだけれど、ぼくの足にカンジキを4つ、つけてくれた。
うん、ジィちゃんとぼく、イシンデンシンだもんね!
それから、アイヌのジィちゃんが、ぼくにちっさい首輪をくれた。
あ。お布団とおんなじ、もようがついてる。
アクマゲキタイのもようだ。もうひとりのジィちゃん、ありがと!
ジィちゃん、ぼく、シメイがあるんだ! だから、行ってくるね!

ぼくはカンジキでイッショウケンメイ歩いた。
うんと、これもけっこう歩きにくいんだね。
でも沈まない。
いそぽ。待っててね!

森の入り口についた時、空が暗くなり始めた。
いそがなくちゃ!
1、2、3、……、8、9、10、20、1、2、……
29本目だね。
あれ? 右だっけ? 左だっけ?
……左!
18本目。
1、2、3、……、10、18!
あれ? 切り株なんてないよ?

……お空は真っ暗になっていた……

(つづく)[マコトのカムイミンタラ(後篇)]


マコト……数は数えられないのでした。
暗くなってきた寒い北海道の森の中で、迷子になったようです!
アクマが出るかも!
後篇お楽しみに!!
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Category: 迷探偵マコトの事件簿(猫)

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コメント


みんなカムイ

いいなあ~、北海道のマコト編。
じいちゃんのそばで、いっぱい大切な事を学んでるんですね。
みんなカムイ。稀なるもの。
生きてるものみんながキラキラして見える、魔法の言葉ですね。

それにしても、大事な使命を受け取ってしまいましたよ、マコト。
ねこのかんじきは無事つけてもらえたけど、お医者さんって、わかる?
29本目とか18本目とか、マコトにはむりだ~。
でも、頑張って!!

lime #GCA3nAmE | URL | 2015/01/10 14:32 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

はい! 毎年北海道には(嵐さんのコンサートで)お世話になっていますし、それ以前に真の故郷。
大好きな競走馬の産地の物語を本当はたくさん書きたいけれど、じもぴーではないので、控えめです。
でも、素晴らしい世界ですよね。
マコトとジィちゃん、地球防衛軍仲間ですから(って、宇宙人はホログラムの勘違いだったのに、マコトったら、すっかりやっつけたつもりです)、北海道に来たら、マコトはタケルが焼くくらいジィちゃんっ子です。
マコトは多分、カムイが何だか分かっていませんが、それでも感じているのかも。

はい、そして! そうなんです。今回はマコトが初めて「人(?)助け」をするんですよ。
まさに初めてのおつかい! マコトの成長ぶりをお楽しみくださいませ!!
あ、お医者さんはわかってませんね、きっと^^;
でも、びょうきは分かっていると思いますので、なんか大事なことだということは分かっているらしい^^;
数は……1,2、沢山、と数えている可能性が高いけれど、大きな数字だったので、ややこしいことに……
でも、がんばってくれるでしょう!

本当は沖縄篇にして、マコトのスキューバダイビング(もちろん、タケルが特注でねこ用ダイビングスーツと酸素ボンベを作ってくれる)ってのを予定していたんだけれど、先日北海道に行ったら、やっぱり北海道を書きたくなって。沖縄は次に取っておきます(^^)
後篇もお楽しみに!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/01/10 20:27 [edit]


著しく不安(笑)

こんばんは。

10のあと18って、そりゃダメかも〜。
右と左はわかっているかしら?
カンジキじゃなくてお馬さんを貸してもらった方がよかったかも。
でも、そんな会話できないもんね……。

でも、コロボックルのおじいちゃんといそぽが待っているから頑張って!

で、マコト、いつもけっこう忙しいんだ……。知らなかったよ、ごめん。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/01/11 00:01 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

そうそう、一応かしこぶって数を数えてみているのですけれど、根本的に何か間違っているマコトでした。右と左は分かってるのかな? 記憶違いなのか、テキトウなのかも分かりません……ほんと、どこへきてしまったのか。
今回の物語は、日本で人気の番組(多分人気)「初めてのおつかい」と絵本「モチモチの木」の合体編みたいな感じです。「初めてのおつかい」は子どもが初めてひとりでおつかいに行くという、なんとも涙ぐましい番組で、笑いあり、涙ありの感動もの。で、最後はママの「ぎゅ~っ」があるのですよね。「モチモチの木」も最後はじっちゃに甘えん坊さん。
ということは、マコト、ついにごろにゃん!かも!?

> カンジキじゃなくてお馬さんを貸してもらった方がよかったかも。
あはは~。でも、マコトに馬は操れなさそう。あ、おうまさんが賢いかもね。
でも、馭者がだめだめなので、やっぱり役に立たないかなぁ……
はい。でも頑張りますよ、マコト。ようやく人の役に立つ日が来たようです。

> で、マコト、いつもけっこう忙しいんだ……。知らなかったよ、ごめん。
あはは~(2)。そうそう、本人はとっても忙しいつもりです(^^)
モノレールの時もね、ぼく忙しくしてたって言ってましたものね。
ねこなりに、やること、いっぱいあるのですね。特に寝なきゃならないし……
半にゃライダーになる練習もしなけりゃならないし。
というわけで、後半お楽しみに!(って、何の捻りもないのですけれど……^^;)
コメントありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/01/11 00:53 [edit]

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