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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨135] 第28章 恋歌(2)叶わぬ想い 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 その2です。
今回は、大和竹流を取り巻く人間たちが語り始めます。
竹流のためにと思う気持ちは一緒でも、今の真には誰一人、自分自身の味方はいないのかもしれません。
まずは、竹流の仲間の1人、そして竹流を想う気持ちを自分自身の中に押し込めながら生きている葛城昇の独白です。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



「澤田顕一郎が入院したってニュースで言ってるぞ」
 京都・岡崎の東海林家に辿り着き、珠恵に迎えられて座敷に行くと、昇が開口一番に言った。昇は、朝になってから真が戻ってきたことについては、何も言わなかった。
「入院?」
「過労だの、不治の病だの、実は収賄事件から逃亡しているんだの、あっという間に憶測が飛び交ってるみたいだ」

「面会の申し入れをしているが、全く連絡が取れません」
 真は昇の向かいに座った。直ぐに珠恵が湯呑みを運んでくる。
「澤田は誰かに狙われているのか」
「いや、よく分かりません。香野深雪との接点は濃厚だけど、澤田自身の都合までは」

 少しだけよそよそしげな真の声の調子を昇はどう感じたのか、しばらく真の顔を淡々とした表情で見ていたが、やがて湯呑に手を伸ばし、ゆっくり味わうように飲んだ。
 その手を見つめながら、真は寺崎昂司の言った言葉をもう一度思い返していた。

 香野深雪から預かっているもの、それを大事に持っていろ、と彼は言った。いずれ重要な担保になると。だが、一体、俺は深雪から何を預かっていた? 
 そして、澤田顕一郎に「恋人はまだ待っている」と伝えろと言われた。澤田の恋人、というのは、美和の話によれば、村野花だ。澤田が仕事を選んだことに耐えられず、澤田の秘書・村野耕治と寝た女。そして、寺崎孝雄と組んで、とんでもなく下劣で卑劣なビデオを作っている女。

 それから、必要な時には姐さんに伝えてくれとも言われた。「あの男はまだ昔の伝を頼っている」と。一体、必要な時がいつなのか、真には分からない。それに「あの男」とは誰のことなのか。珠恵は何かを知っているということなのか。
 だが、寺崎昂司の言葉を昇に伝えるわけにはいかないと思った。昂司は、真にだけ聞かせるつもりだったのだ。

 そして、それからどうなったんだろう。寺崎昂司に言われて、龍泉寺の場所を思い出し、タクシーでその場所へ向かった。それから……
 そのシーンを思い浮かべようとすると、身体中から冷たい汗が沁みだしてきた。真は意識を今に戻した。

「澤田顕一郎ってのは、昔、優秀な記者だったそうじゃないか。何でやめちまったんだ」
 珠恵が簡単な朝食を運んできた。ご飯と、焼き魚、漬物と味噌汁、他にお番菜が幾品か並べられた。珠恵は無言のまま、柔らかな表情を浮かべたまま、真と昇に食事を勧める。まるでもう何年もそうしてきたかのように自然な気配だった。
「澤田が書いた記事が元で、ある夫婦が自殺したんです。それが香野深雪の両親だった」

「良心の呵責ってやつか」
 真は首を横に振った。よくわからない、としか言えない。
「それで、澤田顕一郎は香野深雪の足長おじさんになっていたってわけか。ちょっとできすぎた美談だな」

 昇の表情があまりにも単調なのが気になった。
 昇は竹流の話題をあえて避けているように見えた。昇が寺崎孝雄や息子の昂司に対して、今どういう気持ちでいるのかも、聞き出したい気はしたが、昇の表情にはそういう質問を拒否するような気配がある。竹流が生きて戻ってきた、それだけで昇が満足しているのかどうかも分からなかった。
 少なくとも、チェザーレ・ヴォルテラのように、表から湧き出すような復讐のオーラを放っているわけではなかった。

 昇らしくない。だからずっと気になっていた。
 昇は途切れた会話をどうにかしようとはせずに、食事に取り掛かった。真も箸を取り上げ、昇の気配を窺いながら、味噌汁を一口、飲んだ。
 その途端に、真は思わず顔を上げた。傍にいた珠恵が問いかけるように真を見つめている。
 竹流が毎朝作ってくれていた味噌汁と、全く同じ味だった。

「京のお味噌汁はお口に合いしまへんか」
「いえ」
 真は、味噌汁の中に入っている幾つかの京野菜のほうに視線を向けたまま聞いた。
「珠恵さんがお料理を?」
 何を聞きたいのか、自分でも分からなかった。

「いいえ。うちは、料理は得意やあらしまへんのどす。ここでは、和枝はんがお料理も、家の中のこともみな、してくらはります」
「姐さんは芸妓だぞ。台所仕事なんかして荒れた手でお客の前に出るわけにはいかんだろうが。ちなみに、お前が毎日食ってる料理のレシピの半分は、ここの和枝さんから来てるんだよ」

 昇はいい音をさせながら漬物を噛んだ。わざとらしいくらいに明瞭な音だった。真は、珠恵と合った視線をどこかも逃がすことができずに、暫く黙っていた。
「だから言ったろう。いちいちショックを受けるな、って。お前がその繊細な脳神経でいらぬ想像に苦しむ前にはっきり言っといてやるけどな、ここは竹流の家だ。珠恵姐さんは竹流の女房で、和枝さんは母親みたいなもんだ」

 真は黙ったまま自分も漬物を噛んだ。舌がよく知っている味だった。
「竹流は、お前には、京都の家のことは話せなかっただろうけどな」
「どういう意味です」
「自分で考えろ。お前の頭は、普段は脳細胞の突起が全部活動してるんじゃないかと思うくらい敏感なくせに、時々腹が立つほど無神経で鈍くなるからな。その鈍いほうの神経を働かせろって言ってるんだよ」

 真は何を答えていいのか分からなくて、ただ漬物を呑み込んだ。
 昇はしばらく沈黙した後で徐に箸を置いて、珠恵に向かって頭を下げるようにして言った。
「姐さん、朝飯頂いたら、東京に戻ります。あとのことはよろしくお願いします」
 真は驚いて昇を見た。珠恵は少しの間黙っていたが、やがて少し頷いたように見えた。

 竹流が自分たちの手元に戻ってきたことで、竹流の仲間は誰もかも納得したというのか。昇の様子を見ていても、一緒に復讐の算段をしよう、というような気配は微塵もなかった。
 始めに竹流が酷い怪我で戻ってきたときは、昇も東道も明らかに何とかしようと考えていたようだったが、今はすっかり様子が違っている。東道は早々に東京に戻って行ったし、その上、昇までも竹流の傍から離れようとしている。

 真は、ふとあることに思い至って顔を上げた。
「鈍い方も働いてきたか」
「何を言われたんですか」
 昇の言葉に被せるように真は言った。、自分でも語気が荒いと思った。昇は顔を上げて真を睨んでいた。
「俺にも仕事があるんだ。いつまでも付き合っていられない」

「何か言われたんですね」
 昇は取り上げかけていた箸を幾らか乱暴に置いた。
「お前も、何か言われたろう」
 昇は一旦息をついた。
「そういうことだ。チェザーレ・ヴォルテラに先を越された。復讐は彼の仕事で、お前らは一切口も手も出すな、っていうことだよ」
「それで黙って引き下がったのか」
 思わず、言葉が乱暴になった。

「馬鹿を言うな。けど、あんなになっちまってるあいつに、俺たちが何をしてやれるっていうんだ。少なくとも、竹流にとってあの男の傍は安全には違いないし、実際、あの男の竹流への愛情がどんなものか、悔しいけどよく分かっている。あの男は、お前らがついていながらこの体たらくは何だ、と怒っているんだ。あのイタリア人は復讐するなら、絶対に手ぬるいことはしない。腸が煮えくり返りそうだけどな、もう復讐の権利もあいつの未来も、全部あの男に持っていかれたんだ」

 真は浮かしかけた尻を、珠恵の視線の前でどうすることもできず、もう一度落ち着かせた。
「何で、そんなに簡単に諦められる?」
 昇は鼻先で笑った。真の言葉に笑ったというよりも、自分自身を笑ったような顔だった。
「俺みたいな人種は、いつも諦めながら生きてるんだよ」
 昇は机の上に放り出してあったマルボロの箱から一本引き抜いて、火をつけた。

 昇の指は男のものとしては華奢だったが、女のものともまるで違っていた。長い沈黙の間に、珠恵がそっと席を外した。
 暫く、空気は静かに漂っていた。古い木の匂いと、庭から吹き込んでくる風と、鳥の声が横切っていく。昇は煙草の灰を、二度ばかり灰皿の縁を叩くようにして落とした。細かな灰が、吹き抜けていく風にふわりと舞い上がり、またクリスタルの底に沈んだ。

「子どものときからずっと、女の子に惹かれることはなかった。中学のとき、そんなはずはないと思って、女の子と付き合ってみた。初めてその子を家に連れてきたとき、俺のものは全く役に立たなかったよ。彼女は失望したような安堵したような顔で、俺を哀れむように見ていた。それから、身体を鍛えようと思って入ったラグビー部で先輩に惹かれて、我慢ができなくなって告白した。その男は、気持ち悪いとも言わずに受け止めてくれた。俺はそいつの言うままに相手をしたよ。好かれているんだと思っていた。だが実際は、その男は女に振られたばかりで、溜まってるものを出したかっただけなんだ。そいつは俺をだしにいつも笑っていやがった。道具にするだけなら女のアソコよりずっといい、締まり具合がたまらない、妊娠させる心配もないから思い切り中で出せるし、しかも馬鹿みたいにもっと欲しいって腰を振りやがるんだってな。馬鹿にされていることが分かっても、悔しいというより、ただ哀しかった。暫くして親にもそういう性癖がばれて、父親に殴られ続けたよ。それから家を出て新宿に住み着いた」
 昇は少しの間黙って煙を吐き出していた。真は視線を逸らすことができずに、昇を見つめていた。

「あそこはいい街だ。どんな人間も生きていく権利があると教えてくれる。ついでに、死ぬのも平等だってこともな。俺のような人種はそれほど稀でもないし、みんな多かれ少なかれ、似たような過去を背負ってることもわかった。傍から見ればありふれた話でも、俺個人としては消化できないでじたばたしてたけどな。それから色んな男と付き合ったよ。騙されたり馬鹿にされたり、殴られたり蹴られたりしながら、身体を求められたら素直に足を開いた。どれほどの男のものを銜えて、ケツに飲み込んできたかわからない。それでも、もしかしたらいつか真実の愛とかいうやつに巡りあえるのかもしれないと、馬鹿みたいに何度も期待した。でも、結局俺はずっと一人だった。そのうち、未来には希望も楽しみもないということが、骨身に沁みてわかってきた」
 昇はまた少し笑ったように見えた。

「ある時、俺はプロのスポーツ選手と付き合っていた。そいつの親父は立派な代議士先生だったんだけど、そいつがはずみで人を殺しちまって、俺はそいつとそいつの親父に頭を下げられたんだ。お前はどうせ男に身体を売るしかできないんだろう、お前がやったことにしてくれって。自分の人生も何もかも、もうどうでもよかったからさ、目一杯金を受け取って代わりに出頭してやった。ところが、見たこともない男が俺の無実を証明して、俺を引き取りに来た」
 真は勧められた煙草を受け取った。火をつけて、目を閉じて、ひとつ煙を吐き出す。

 庭の方から、鹿威しの音が幾らか遠慮がちに響いてきた。今日は曇り気味の空ながら、太陽は鈍い光を地上に降り落としている。その暖かな光が、真と昇の座る座敷に、緩やかな温度だけを届けていた。
「それが大和竹流だった。俺を救いに来た事情はよく分からないけど、どうやら近くの店のママが何か頼んでくれたみたいだった。やってもいないことで人生を棒にふるな、と言われた。驚くような手際で、俺の無実を証明して、証拠と一緒に真犯人を警察に突き出してくれたよ。約束が違う、と言った代議士先生をぼろっかすにしてさ」

 何かを思い出したように昇が微かに笑みをこぼした。
「俺が大和竹流に一目惚れしたのは認める。けど、何だか悔しくてさ、それから、中学生みたいにますます荒れちまった。大和竹流が一番恐れていることは自分が悪人であると知ることなんだ、ただそれだけの理由で、あいつは俺を助けたんだ、俺はずっとそう思っていた。今でも、それは間違いじゃないと思うけどさ、ただあの男は、尋常じゃ考えられないくらい辛抱強いというのかしつこいというのか、中途半端に投げ出すこともせず、寸でのところでいつも俺を助けてくれた。無茶をして外国人のヤクザに殺されかけた時も、すっ飛んできてくれた。こいつも俺に気があるのかなって誤解しちまうくらいで、だんだん狂いそうな気持ちになってきた。苦しくてさ、ついに泣きついた」

 昇は息を継ぐように一旦言葉を切った。真は煙草を吸ったまま、昇を見た。どきっとするような妖艶な視線にぶつかって、真は思わずむせこんだ。昇は笑ったように見えた。
「女しか抱かないから、応えてやれないといわれた。だが、その代わり、自分がどういう人間か教えてやると言われたよ。俺は喜んで彼の協力者になると言った。あんたのために何でもすると誓った。いつか相愛の相手が現れるまでその言葉は取っておけと言われたけど、俺はいつだって、多分これからも、やっぱりあいつのためなら命を投げ出してもいい、と思っている」

 それなら何故、と言いかけた真を制するように、昇の言葉は強く重く投げ掛けられた。
「けどな、チェザーレ・ヴォルテラだけは別だ。お前も分かってるんだろう? あいつはあれほどあの男と揉めたり喧嘩したり逆らったりしてるのに、絶対に完全に逃げ出そうとはしない。ヴォルテラの跡継ぎであるという紋章の指輪を、決して外そうとしなかった。どうしてだか分かるか。竹流は、チェザーレ・ヴォルテラが自分のことをどれほど愛しているか、よく知ってるんだよ。憎いなら断ち切れば済む。けど、愛されているのに、どうしてそれを捨てられる?」

 スラックスのポケットに入ったままの竹流の指輪が、重く熱くなっているような気がした。
「お前はヴォルテラの家がどういう家か、知っているか。表向きは法王庁の金庫番、警備係ってことになっているが、清く正しい法王庁を支えるために、その負の部分を全て請け負うために、もう何百年も前に作られた。邪魔者を消すことだって、神の御心に沿うものだと正当化される、そういう組織さ。その主人は、この世で教皇と同じ礼拝堂に入ることを許される唯一の人間で、その後継者は、定められたときから、教皇の祝福を受け続けるんだ。竹流は生まれたときから後継者に定められて、以来ずっと教皇の祝福を受け続けてきた、前例のないほど正統な後継者なんだよ。あの家は後継者と定められたものを半端なことでは諦めたりしない。竹流がどれほど逃れようと足掻いたって、逃れ切れるものじゃない。しかも、それは組織の残忍さによるものじゃない。あいつは、チェザーレ・ヴォルテラだけじゃなくて、あいつを慈しんでくれた教皇の愛情からも予言からも逃れられないことを、心の芯で嫌というほど知っているんだ。だからこそ、チェザーレ・ヴォルテラは、自分の後継者をあんな目に遭わせた奴の身体を、生きたまま裂く気だ。そいつらのしたことは、本人たちが知っていようがいまいが、ヴォルテラの組織自体への、ひいてはローマ教皇に対する挑戦でもあるからな。ついでに、後継者をローマに戻すためなら、躊躇いもなくお前をローマに連れて行く気だ。俺たちには、もう付け入る隙なんてないさ」

 真は目を伏せ、わけも分からず叫びたいような気持ちを押さえ込んだ。
「賢い選択をしろとは言わないよ。お前がその気なら、死ぬまであいつについていってやれ。チェザーレ・ヴォルテラは、後継者が望んだから、という理由だけで人を雇ったりはしない。お前を相応しいと認めたんだ」
 真はもう何も答えることができなかった。昇は、姐さんに挨拶したら行くよ、と言って立ち上がった。

 しばらく、昇は立ち上がったまま動かなかった。真は顔を上げた。
 昇は真に背を向けたままだった。
「なぁ、あいつはずっと苦しんでいたかもしれないけど、多分、苦しい状況を自分なりに受け止めて、やり過ごしていたんだと思うよ。それどころか、どこかでその苦しみを楽しんでいたかもしれない。お前を抱きたい時もあったろうけどさ、それよりも、もっと深いところでお前を大事に思っていたんだと思う。やらせてくれ、って何度か俺のところに来たけど、結局一人で勝手に飲み潰れて、子どもみたいに眠ってたよ。あいつの寝顔を見ながら、俺はそれでも幸せだった」

 昇はしばらくの間、言葉を切って庭園に落ちる光の先を見つめているようだった。
「その時、この男は俺に、寝首を掻いても構わない、命ならくれてやる、そう言っていると思った。だが、心はやれない、と」

 昇が出て行った後も、真は煙草を手にしたまま、ぼんやりと煙が立ち上るのを見ていた。
 昇がどれほど苦しんでいるかを、真は何も理解していなかった。自分ほどに苦しい者はいない、と思っていたわけではないが、誰かの苦しみを理解する余裕もなかったのだ。





実は葛城昇、次作【雪原の星月夜】ではかなり重要な役どころです。
真とは、反駁したり、寄り添ったり、やっぱり反駁したり。
そんなみょうちくりんな友情で結ばれているのかも、しれません。

<次回予告>
 その時、とんとん、と布団の上から誰かに叩かれたような気がした。一度は気の所為だと思いそのままにしていたが、明らかにもう一度叩かれて、慌てて布団をめくった。
 何か小さな影のようなものが部屋を横切って、隣の部屋との襖の陰に逃げ込んだように思えた。

あれ? コロボックルも登場?
次回は竹流の「女房」・珠恵のことが語られます。お楽しみに!
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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コメント


更新、お疲れ様でした。

なんか、美味しそうな朝食です……って、そこかよ(笑)

真は全然おさまりがつかないようですけど、冷静に考えたら、昇の方が現実的な選択なんですよね。みんな、それなりに立場もあるし。

あら~、昇もなんか痛い人生なんですね。竹流との関係も、やはり単純じゃないし。
それにしても、竹流、あちこちで「ご活躍」だったんですね。活動範囲、広いわぁ。でも、京都の珠恵の家は、特別なんですね。なんだろう、隠れ家でもないし、心から寛げる「家」だったのかな。京都の町中にあるっていうのが、またなんとも粋ですね。

次話では、珠恵さんのお話が聞けるんですね。竹流の事実上の妻という立場の女性が、今回のことをどんなふうに考えているのか、ちょっと楽しみです。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2015/07/17 11:46 [edit]


なんだかなあ

こんばんは。

しみじみ考えちゃいましたよ。
いや、主人公な上、死にそうになった人に悪いんですけれど、罪作りすぎますよね。本人は誠実だからそうなっちゃうのかもしれないんですけれど、誰の事をも真剣に大事にする人って、結局誰の事も幸せにできないんだよな〜って、思いました。

真はいいとして、特別扱いの珠恵だって「うちはこれでしあわせなんどす」って言うかもしれないし、それがその瞬間の真実かもしれませんけれど、人間ってやっぱり「何があっても自分だけ」って心の奥底では願う生き物だから、竹流を好きになった人って、全員地獄だよなと思いました。この昇の告白は、ずっと思っていたこの感想をさらに強くさせるものでした。

真の「自分の手で」っていうの、想いはよくわかりますけれど、TOM-Fさんと同じく、昇の言う方が現実的だと思いますね。そりゃ、仁みたいにその手の世界に居るんならまだしも、ただの一般人がなんかしようったって、無理でしょう。どうせアサクラパパの手を借りるのも嫌なんでしょう? だったら、ちゃんと組織的に復讐(もしくは検挙?)しようとしている人たちの足手まといになると思うんだけれど。「いいじゃん、竹流に引っ付いていれば。そういう役目だってあるよ」と、いいたいけれど、いう事きかなそうです。

次回も楽しみにしています。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/07/18 04:14 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

おぉ、TOM-Fさん、朝食に反応していただき、ありがとうございます!
『清明の雪』でも、食べるシーンが妙に多いのは、憧れの池波先生の影響でしょうか。えっと、随所で食っているのです。真ってあんまりご飯を食べる姿が似合うキャラでもないのですけれど、それでも食わせている……どんなけ(作者が)食事シーンを好きなんだって話なのですが。池波先生のように、1-2行で、「それ食べたい!」って思わせるシーンを書きたいと、いつも思っております。
東海林家の朝ごはん、私も食べたい。あ、和尚さんのお寺の方でもいいけれど。

昇は、むしろわかりすぎるくらいに分かっているので、余計にこうとしか言えない、という状態だったと思うのですよね。真以上にチェザーレの立ち位置とその力、竹流にとってのチェザーレがどういうものか、知っているからこそ引かざるを得ない。彼は彼で、実はものすごく辛いんです。でもね、ここでごねたところで、チェザーレの一喝に敵わないのは分かっているので。
しかも、「何があってもついていく」のは自分じゃない。そしてチェザーレはもう「真を連れて行く気」らしい、と知ってしまったのではね……真は、連れていかれる気はありませんが……(現時点では)
この辺りの苦渋の彼の想いの結果はまた次作に引き継がれています。いつかアップする日には、また味わってやってください。

> あら~、昇もなんか痛い人生なんですね。竹流との関係も、やはり単純じゃないし。
おぉ、そうなんですよ。でも、ただかわいそ~ってんじゃなくて、その上で戦っている姿が描けたらなぁと思っています。あ、けっこう投げやりなところ、あるんですけれど。でも、真よりはオトナです。
竹流の「ご活躍」は、メインは若かりし頃なのです。多分、今彼にご執心の連中は、みんな付き合いは長い奴ばかり。だから、みんな、竹流がどんな人間だかよく知っていて、それだからこそ、離れられないんだろうなぁと。若い頃の彼(特に日本に単身やってきてから)、必死で生きていましたから……
そして珠恵は、その頃の彼にとって唯一、心の安らげる場所を作ってくれた人。もちろん、次回明らかになりますが、珠恵も珠恵でしんどい思いをしていたんですけれど、それだからこそ、こんな耐える女に……でも多分、珠恵は自分が耐えているとは思っていない、と思います。多分……
この章では、その辺の心の動きもまたお楽しみいただければと思います(*^_^*)
そうですね、きっと、みんな「なんだよ(`^´) でも……」って思っているんでしょうね。
竹流って実は一人で生きていけそうで生きていけない、「放っておけない坊ちゃん」だと皆に思われているのです。あ、生活上のことは何でもできますが、精神的にね。だってヴォルテラの家ではいっつもファミリーに囲まれていたんですもの。
そして真は、日常生活のことは何もできませんが、一人で生きていける(山の中なら?)……

次回もよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2015/07/18 08:15 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

夕さん、しみじみ考えていただいて、ありがとうございます m(__)m
そうそう、罪作りなんですよ。誰からも好かれる、というわけでもないのですけれど(そもそも、誰からも好かれていたらこんな目に遭っていませんから)、結果的に、少なくとも彼と深くかかわった人間には、深く想われてしまう、因果な人間です。そしてまた、この人は「誰かを大事にしようと思ったら、ここまでという限りはない」というヴォルテラの体質を最も色濃く受け継いじゃったんです。チェザーレに教えられたとおり、とことんまでやっちゃった結果がこんなことに。
で、この夕さんご指摘の、結果的に誰も幸せにできない、ってのはまさに周りの人間に何度も指摘されているのですけれど、この人の体質なので、どうこうできるものでもなくて。
主人(真)だけが思われていて愛されている、なんてのはあり得ないと思っている私としては、竹流が真だけを思っているわけではない(ように見える)というのは、けっこう大事なポイントではあるのですが……まぁ、「仕事を取るの? 私を取るの? 友だちを取るの?」の世界でしょうか。竹流は、其々みんな違うんだ!って言いたいかもしれませんが……
ほんと、因果な人ですみません。でも彼自身が一番、幸せではないかもしれませんよね。

> 真はいいとして、特別扱いの珠恵だって「うちはこれでしあわせなんどす」って言うかもしれないし、それがその瞬間の真実かもしれませんけれど、人間ってやっぱり「何があっても自分だけ」って心の奥底では願う生き物だから、竹流を好きになった人って、全員地獄だよなと思いました。この昇の告白は、ずっと思っていたこの感想をさらに強くさせるものでした。

あ。ちょっとドキッ。珠恵はその台詞を言ったりしませんが、まさに思っているかもしれません。
というよりも100%は始めから期待しない立場なんです。70%くらいでmaxだと思っていて、その70%は十分に満たしてもらっているので。その珠恵の立場については、次回また語らせていただきますね。
でもこの人、恐ろしくたくましく、冷静な面も持ち合わせている女性です。それもこれも、生立ちや、周囲の女性たちのままならぬ人生を見ているからかもしれません。
竹流を好きになった人はみんな地獄篇……うん、そうかも。この章では添島刑事もまた語りますので、そちらも聞いてやってくださいませ。女って、大変ですよね。お互いがお互いの一番になって結ばれたからって、それでよしってものでもないし。

> 真の「自分の手で」っていうの、想いはよくわかりますけれど、TOM-Fさんと同じく、昇の言う方が現実的だと思いますね。
わ~ん。えっと、本当に、その余計なことしなければいいのに、という「余計なこと」で成り立っている第5節(@_@)
ほんと、ヤマネコは本気になったら手を付けられません。真は「直接的に一番悪い奴には自分が……」という気持ちなので、まさにそこに向かって一直線です。周囲の人間は、一部それを煽ったり(意外な人が煽ったりするし)、止めようとしたり、火に油を注いだり。誰一人として同じ行動に出る人はいません。みんながそれぞれの立場と思いで、物事を前に進めちゃうというのか。
まさにそれがピタゴラスイッチ、なのですけれど。

パパの手だけは絶対借りる気はないでしょうね。でもパパはパパで、パパなりの想いがって動いています。これは最後に分かるんですが、でも、少なくとも「晴らせぬ恨み、晴らしてください」って金を積んで雇う、ってことにはなりませんよね。
あるいは、組織的に復讐しそうなチェザーレパパに「後は頼む」っていうのも手ですが……えっと……それじゃあお話になりませんしね^^; いや、真の存在意義が……う~ん。

でもね、組織的に、って言っても、現実にはそんな簡単な話じゃないんですよね。
組織的にできることってのは人海戦術程度のことですが、とは言え、チェザーレにとってもここはアウェイ。的確にピンポイントで相手を炙り出すことができるのは、「今の奴の居所を知っている誰か」なんです。相手は逃げていますから、潜ってしまったらもう炙り出せません。……誰が知っているか。それは実はあの人からあの人への繋がりの中にありまして。
一部の人間は、少なくとも『河本』たち的には検挙するわけにはいかない相手達なのですが、この辺りについては……ゴッドファーザーの立場では、「その人たちは許してやれよ」ってのは通じないんです。
チェザーレが優しさや正義で動いているとは思っていないので、しかも、この復讐には真の手を汚さずに済ませてやりたい、とは実はちっとも思っていないんです。
あぁ、真って、ジュラシックパークにいるみたいですね。逃げ切ることができるでしょうか……

最後の最後までノンストップで畳みかけますので、大変かもしれませんが、この先もよろしくお願いします。
コメントありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/07/18 11:09 [edit]


そうかあ

今回改めて昇の想いというのをちゃんと聞けたようなきがします。
こうやって何も隠さず全部さらけ出せたのは、自分と近い位置で苦しんでいる真だから、でしょうね。

昇の考えは、今は一番大人で、正しい気がします。
きっとそこまで思い至るには昇も相当苦しんだんでしょうけど。
でもここで真が大人になってほしいかというと、読者はそうは望まないでしょうね。
チェザーレさんならきっとうまく処理して叩き潰してくれるとは思うんだけど・・・。
この後物語がどう動くのか。緊張しますね。

それにしても竹流。ここにきて本当につくづく、罪作りな男だなあと感じます。そのやさしさも賢さも包容力も愛情も。
それがある意味、竹流という人なのかもしれませんが。

それから、この京都の家は、真には辛いです。もう、ここは出たほうがいいよ><

lime #GCA3nAmE | URL | 2015/07/19 08:31 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

今回は昇の過去のお話でした。こんな過去があって、そして今の彼の想いがあるというのをどこかで説明しておきたかったのですが、う~ん、どうしても主人公以外の人のことって説明っぽくなっていけませんね。
あまりうまく説明できる方法がなくて、こんな形での表出になってしまいましたが、この時点で知らされたことには真にとっても「ただでさえ大変だけれど、自分だけがしんどい思いをしているわけじゃなくて、みんなが苦渋の決断を迫られている」と感じるに十分なことになりました。
真も放り出してもいいのですけれど、さすがに主人公がそれをやったらお話になりませんしね。しかもそんな人物は主人公にはなれませんしね。
昇の方でも、別に自分の過去を誰にでもべらべらしゃべるってわけでもないと思いますが、話をしながら自分のキモチの整理をつけていたのかもしれません。昇が納得して身を引いたかどうかは、このまま文字通り受け取れない面もあるのですけれど、竹流との付き合いが長い分、対チェザーレだけは別枠の感情・動きがあるようで、今回はもう身を引くしかないと思ったみたいです。
実はここで昇の立場が語られたことで、この先の物語にもつながっていくので、次作では彼はかなり中心で動く人物になっていきます。またお楽しみいただけたらと思います。

さて、真ですが……はい。もう読者さんの期待通り?「やっちゃったか……」になります。
ただ、彼の背後でも色んな人物が蠢いていますので、彼のキモチ=何とかして復讐したい、が成し遂げられるかどうかはまだ分かりませんが。
これからお話は「どうしたらピンポイントで相手の居所がつかめるか」ってことになるのですけれど、寺崎孝雄も自分の身がいささか危ないってことは分かっていると思うのです。でも、そんな危ないのに自分の身が安全だと思っている理由がひとつありまして。そこに穴があいたら居場所がばれちゃうというような部分ですが、一方で彼はヤバいことをやめる気なんて全くない、もう病気ですから、なんとしてでも「気に入らないものをとことんいじめちゃおう」な野郎なんですよ。そう、病気なんです。
で、病気な奴を裏で牛耳っている奴が……あらら。ここはまた先のお楽しみ、ということで。
チェザーレも、日本にいてはそれほどピンポイントで相手を探し出せるかどうかってなると、実はちょっと難しい。権力を使えるとしても、悪人ってのはそもそもその網の目を潜ることに長けていますから。むしろ下々の事情が強いかもしれません(^^)
えっと、何を言っているのやら。はい、この先は皆様に納得いただけるのかどうかは分かりませんが、誰かと誰かが共同戦線を張りますので、また先をお楽しみくださいませ(^^)

> それにしても竹流。ここにきて本当につくづく、罪作りな男だなあと感じます。そのやさしさも賢さも包容力も愛情も。
> それがある意味、竹流という人なのかもしれませんが。
あ。やっぱり、ここですよね。そうなんですよ。罪作りです。その罪作りな男の究極のシーンと私が思っている珠恵に甘えるシーン、この先でてくると、お前なぁ~と皆さまが思うのか、いや、こんなこと言われたらちょっと参っちゃうよな~と思っていただけるのか、怖いけれど楽しみです。

> それから、この京都の家は、真には辛いです。もう、ここは出たほうがいいよ><
うん。辛いけれど、真はあんまり居場所もないし、ここにいるメリットもあるので(ここは竹流の状態にしてもその他の情報にしても入ってくるキーポイントでもあり。昇は東京に帰ると言っても、ここに真がいれば連絡もつけられるし、というので)。
そして、実は真も、本当は珠恵に興味があるんですよ。まずは敵を知れ? かも。
複雑な人間関係、まだまだ続きます。お楽しみいただけたらと思います(^^)
コメントありがとうございました!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/07/19 11:06 [edit]


敵わぬではなく、叶わぬなのね、としみじみ。
一人の人間にスポットを当てると本当に深い。
一人一人の物語がこうしてこの大河物語を作ってきているのだということを改めて証明してくれるようなエピソードです。
主人公だけでなく、まわりを掘り下げていくことでより主人公を浮かび上がらせる。
物語がものすごく豊かになりますね。
ここで昇のことを知ることで、昇に詳しくなるのはもちろんのこと、竹流にも詳しくなるし、竹流を見る目もまた少し変わってくる。二重の効果(?)
そのすべてのエピソードが真にインプットされるわけで、すべてを受け入れるのも大変だよね、と。(いちいちショック^^)
ホント、事件や出来事を追うお話ではなく、登場する者の人生・心を追うお話を堪能中。
そして次もまたもう一人の大御所について語られるのですね。
また竹流を見る目が変わるかな。ふふ。続く。

けい #- | URL | 2015/08/04 21:59 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

> 敵わぬではなく、叶わぬなのね、としみじみ。
うんうん。昇はね、叶わぬ想いを胸に秘めていますから。あ、秘めてるんじゃないか。竹流も知っていますしね。「敵わぬ」のは、真に対してかもしれないけれど、想いは「叶わぬ」のです。だから、竹流は昇が自分のために命を投げ出さないように、かなり気を使っている。その辺はね、お互い分かっていると思うのです。愛としては実らないけれど、お互いにちゃんと気にし合っている、そういう関係もいいかなぁと。
実は、この昇のエピソードは次作への布石でもあります。

> 一人の人間にスポットを当てると本当に深い。
> 一人一人の物語がこうしてこの大河物語を作ってきているのだということを改めて証明してくれるようなエピソードです。
> 主人公だけでなく、まわりを掘り下げていくことでより主人公を浮かび上がらせる。
> 物語がものすごく豊かになりますね。
はい。ありがとうございます(#^.^#)
うん、このお話、長い分、主人公以外の色んな人間の人生や感情も、多数交錯しています。事実関係だけではなくて、気持ちもね。全部書くとものすごくうるさいお話になるので、適当に裏設定は端折って書いておりますが、主人公に関わる人たちのことは、かなり詳しくかいてしまったところもあって。
はい。昇視点からも竹流を楽しんでいただけたらと思います。この男はただの八方美人じゃない、いったいどれだけの引き出しと懐の深さがあるんだ、って思わせるエピソード。そんな人間いるわけない、というくらいの人徳と技量?がヴォルテラの当主には求められるわけで……真はもう完全に「馬の骨」ですよね(裸一貫、じゃなくて、えっと……)。だからこそ、まだまだ生きてくるエピソードもあるのです(多分)。
真はこうしてあれこれ聞くと、ますます「俺なんて……」と思っちゃいますよね。そう、いちいちショックで……ま、実際には真も昇が思っているほど繊細かどうか……繊細かつ大胆、が彼ですから。
でも、終盤で机に突っ伏して言っております。「ローマになどついていけるわけがない」って。あらら。そうだよね~、そんなに簡単にお城にお嫁に行けないよね~(だから、嫁じゃないって)
さて、この二人の運命やいかに、なのですが……^_^;

> ホント、事件や出来事を追うお話ではなく、登場する者の人生・心を追うお話を堪能中。
> そして次もまたもう一人の大御所について語られるのですね。
> また竹流を見る目が変わるかな。ふふ。続く。
ありがとうございます。どんどん変わっていってくださいませ。そして、交錯した皆の人生、想いを抱きつつも出せない辛さ、そしてそれでも(愛じゃなくても)寄り添っている人間たちのドラマをお楽しみくださいませ。
コメントありがとうございました!! 引き続きよろしくお願いいたします。

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2015/08/06 07:38 [edit]

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