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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨138] 第28章 恋歌(5)募る想い 

【海に落ちる雨】第4節・第28章『恋歌』 その(5)です。
前回に引き続き、サービスシーン満載の回です。でも、今読んだら、何でか照れちゃうなぁ。だって、これって、壁ドンとかお姫様抱っことかに相当するお約束の○○○し……
今回も前回と同じく切り処がなくて、9000字くらいあるのですが、萌えどころも多い(はず)なので、するっと読んでいただけると思います。えっと、病院でこんなことしてたら、絶対怒られます。でも個室だからいいでしょう! え?
実はこの辺り、エピソード的に書いてあったシーンを流れに合わせて組み合わせたのです。多分、あの辛い章を書ききった後で、疲れていたのでしょう……微笑ましいような、そんなことしていいのかと悩むような、そんな中途半端な萌えを楽しんでいただけたらと思います(#^.^#)

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



「昇は帰ったのか」
 真が病室に戻って、開き戸に手をかけ僅かに開きかけたとき、竹流の声が聞こえた。
 真は手を止めた。竹流の声は明らかに真に対しているときよりもずっと明瞭で、まともに聞こえた。
 その声の調子に、真は扉を閉めることもそれ以上開けることもできず、しばらく固まっていた。
「それならいい。もう誰も、余計なことをしないほうがいい」

 真は息を殺したままだった。そのまま廊下に突っ立っていて誰かに声を掛けられても困ると思い、真はそっと身体を滑り込ませ、後ろ手で扉を閉めた。
 半分ほど引かれたカーテンの向こうに、竹流と珠恵の後姿が、もうすぐそこにあったが、ベッドから扉は死角になっているので、竹流には気が付かれないだろうと、頭の中で冷静に考えていた。珠恵は気付いているかもしれないと思ったが、もしかして気が付かれてもいいと、どこかで思っていた。

 彼らの作り出している気配は、他人に言われるまでもなく、慈しみ合う夫婦のように見えた。
「そんなら、あなたの想い人には、ご自分でそうおっしゃいませ」
 少しの間を置いて、竹流の声が不安な響きをもって伝わってきた。
「何を言ってるんだ」
「あなたのお相手に嫉妬したのは、初めてどす。今までもいくらだってそのようなお人はおりましたのに、嫉妬するような方はおりませんどした。あの方だけは、うちを不安にさせますさかい」

 その言葉を聞いて、真はこの場を離れろと自分に言い聞かせた。盗み聞きなど、恥ずかしいことだと思えた。
 それなのに、身体は強張ったまま動かなかった。
「けど、あなたのお相手を好きになったのも初めてどす」
 珠恵の言葉が、大らかに暖かく聞こえた。

 しばらくして呼びかけた竹流の声は、真がこれまで聞いたことのない、優しい声だった。
「珠恵」
「何どす」
「ごめんな」
 竹流は明らかに感情のこもった声で話している。つまり、真を前にしている時のようではなく、すっかりまともになっているように思えた。

「はよ、ようなっておくれやす。うちも昇はんも、あなたが見つかった時のあの方の様子を見て、気圧されてしもうたんどす。自分の立場やあなたへの気持ちさえも、その時に吹っ飛んでしもうた。あなたはちゃんとそれに応えてあげるべきどす」
 少しの間の沈黙で、真はやはり出て行くべきだと思い、後ろ手のままドアに手を掛けた。
「珠恵、俺は、この頃自分がどういう人間だか、少しだけ分かってきたような気がしているんだ」

 だが、結局出て行くこともできずに、真はそのまま目を閉じた。竹流の声は鮮明で、これまで真に対していた人間とは、全く別の人間の唇から零れ出ているように思えた。
「もし、今、自分自身に科してきた足枷をとってしまったら、腹のうちにある我儘を全部押し通してしまう。もしも、自分に将来与えられるかもしれない財力と権力を現実に今手に入れたら、大きな子どものように、それを喜んで行使してしまうだろう。俺は、きっと立派な暴君になる」

 また少し言葉が途切れた。その沈黙の間に、真は自分の呼吸の音が彼らに聞かれないかと思い、緊張して手掌に汗をかいていた。手が震えていることに気が付いて息を止め、目を閉じる。そしてその時、竹流はするりと、珠恵に告白した。
「あいつと、ただの一度も肌を合わせたことがないわけじゃない。だけど、俺はその時、俺がこいつをだめにしてしまうな、と思った。俺自身が、自分の醜い欲望を見続ける勇気もなかった。それで、自分の感情にも欲情にもけりをつけたつもりだった」
 この男は何を言ってるのだと、真は混乱した。

「俺はどうやら、あんまりまともじゃないなぁ。こんなことを、好きな女にしゃべっている」
「楽になるんなら、お話しやす。うちは聞くだけどす」
 少しの間を置いて聞こえてくる竹流の声は、今まで真が聞いたことがない種類の声だった。声は時々かすれて聞き取れなくなり、時々抑揚が噛み合わなくなった歯車のように軋みながら、それでも真の耳に内容だけはしっかりと届いた。

「もう自分は大丈夫だと思ってあいつと一緒に住み始めたのに、夜な夜な地獄のようだった。あいつは俺が馬か犬と同じだと思っている。あいつに対して何の悪意もなく、ただ懐に抱いて守ってやっている親のように善良な人間だと考えている。だから無防備に俺に擦り寄ってくるんだ。俺のほうは、昔あいつの身体に触れた奴のことを思うだけで、身体が火に包まれたようになっている。あいつの寝顔を見ていると、ふと首を絞めてしまいそうになる時があるんだよ。もう一度あいつに触れたら自分がどうなるのか、俺はよくわかっている。多少でも自分の思い通りにならなければ何をするか分からないし、二度と他の誰の手にも触れさせたくないと思う、その気持ちがエスカレートして、あいつを殺してしまうかもしれない」

 狼狽えていたのは真だけだったかもしれない。答えた珠恵の声は穏やかだった。
「羨ましいことどす。愛したお人にそのように想われたら、本望どすな。この世でこれ以上愛しようがないと思たら、殺してしまうしかおへん」
 彼女は花街の女だった。腹が座っているところは、まさに祖母と同じだった。真は、竹流のほうも、珠恵がそのように受け入れることをちゃんと分かっていて、答えを聞きたかっただけなのかもしれないと思った。
 目を閉じると、酔っているように頭の中が回っている。

「珠恵、俺はお前のためなら何だってしてやりたい」
 不意に、真の耳に、今まで聞いた事のない優しい竹流の声が聞こえてきた。そして、暫くの沈黙の後、珠恵の声が、三味線のさわりのような不思議な低い響きを伴って重なった。
「ほんなら、あの人を捨ててくらはりますか」

 それは願いといういうよりは、そんなことができるかのか、という疑問文のようだった。暫くの沈黙の後、竹流が子どものような、すがるような声で言った。
「珠恵、お前がいなければ俺は駄目になる」
「わかってますえ」
 真はようやく引き戸を開けた。甘えるような竹流の声が耳に残って、いつまでも消えなかった。


 真はぼんやりと京の通りを歩いていた。
 東海林家まで何度もタクシーで走っていて、道も分かっていたし、時間が惜しくなければ歩けない距離ではないことも分かっていた。どこか他にいくあてもない今の自分を心許無いと思った。
 すっかり暗くなった街に、車のヘッドライトとテールランプが入り乱れ、真の行く先をかき回しているようだった。

 それでも結局、他に行く場所を見つけられなかった。
 それに、ここで拗ねて岡崎の家に帰らなかったら珠恵に何かを、真の心の奥の非常識な欲望までも勘付かれるかもしれない、と思うと、妙な防衛反応が働いた。竹流が何を珠恵に話そうとも、あくまでも兄弟か教師と教え子のような同居人同士の関係を、周囲にも自分自身にも納得させるほうが、この場合はいいのだろうと思えた。

 東海林家に着いたとき、珠恵はまだ戻っていなかった。あのままお座敷に出たのかもしれないし、夕食を頂いた後も姿を見なかった。真はどこかでほっとして、用意された布団に横になった。
 電気を消すこともできずに、真は人工の灯りが作った丸い残像を手で遮るようにして、目を覆っていた。誰かがそっと、掛け布団を掛けてくれたようだった。和枝か、あるいは珠恵が戻っているのかもしれないと思った。

 どこにいるのか、生きているのかさえも分からないよりはましだ。生きていることが分かっていれば、それでいい。もし、彼がこのままローマに帰ってしまって、やはり真がついていくことができなくても、それでも生きてくれていたら。
 目の内が、熱く重くなっていた。

 ふ、と何かの重みを感じて目を開けると、『蕗の下の人』たちが真の周りに群がっていた。それで初めて、布団を掛けてくれたのが彼らだと分かった。そうなるとこの身体を温めてくれる布団も、現実のものではないのかもしれないが、心地よく暖かかった。
 彼らは、真と目が合うと、ワイワイと何か相談して、それから真に何か話しかけているように見えた。
 真は、ああ、そうか、と思った。

 昔子どもの頃は、彼らが見えただけではなく、彼らが話す言葉を全て理解できたし、真のほうも話すことができた。それがどんな言語だったのか、あるいは言語でさえなかったのか、今はもう分からない。今は彼らが見えるけれども、彼らの話す言葉はわからなくなっていた。真が人間の言葉を理解していくのと同じ速度で、彼らの言葉がわからなくなっていったのだろう。
 彼らにも取り残されていくような気がして、不安になった。

 だが彼らは、真が言葉を理解していないことを何となく悟ったようだったが、それについては失望した様子もなかった。まるで慰めるように真の周りに集まって、何やら歌を歌っているようだった。
 目を閉じて、うつらうつらし始めてから、その歌が言葉になって聞こえてきた。
 少しリズムが京訛りになっている気はしたが、懐かしいアイヌの恋歌だった。
 こういう場面は子守歌だろうが、と思ったとたん、彼らが歌をやめて、また何か相談しているひそひそ声が聞こえたと思ったら、今度は本当に、優しい子守歌が聞こえてきた。


 目を覚ましたのは、すっかりあたりが白み始めた時間だった。
 慌てて跳ね起きて辺りを見回したが、『蕗の下の人』たちの姿はなかった。側の畳に既にアイロンもあてられた真の服が置いてあったので、それに着替えた。着物を畳もうとすると、和枝が現れて、どうぞそのままで、と言った。
「お弁当をこしらえましたんで、旦那はんに持って行ってくらはりますか。きっと病院のご飯では食欲も出えへんことですやろ」

 真は礼を言って、甘えついでにブランディを持っていってもいいだろうか、と彼女に聞いた。別に和枝に許可をもらうことでもないはずなのだが、何となく竹流の母親代わりのように衣食の面倒を見てくれる女性が、今その決定権を持っているような気がしたのだ。
「へえ、そりゃあ、もう」
 和枝は、病人になんてことを、とは思わなかったようだ。それは妙案だとでもいうように、すぐに竹流のお気に入りだというコニャックを持ってきた。病院なのにいいのか、とも彼女は聞かなかった。
 小さなグラスがひとつ、ついていた。古そうだが、綺麗な光を反射する、よく磨かれたグラスだった。

 タクシーを呼んでもらって、病院まで戻った。知らず知らずにアイヌの子守歌を口ずさんでいて、あれ、俺はまだこの言葉を知ってるなあ、と思った。
 病院に着いたのはまだ六時前で、真は病室を出てきた珠恵と鉢合わせそうになり、思わず身を隠した。珠恵が戻って来ないことを確認してから、真はようやく病室に入った。まだ薄暗い病室の中で竹流は眠っていて、枕元の読書灯の明かりが小さくついているだけだった。

 決定打を食らった後では、むしろ心臓の音は落ち着いていた。この男はあんなふうに女に甘えるのだな、と思った。だからこそ、女たちは皆、この男を自分のものだと思い、離したくないと思ってしまうのだろう。いや、それとも、東海林珠恵という女にだけ、竹流はあんなふうに甘えるのだろうか。
 どっちにしてももう同じことだと思った。竹流は、真には決して見せない心の重荷を、珠恵には縋るようにして打ち明け、分かち合って欲しいと願っているのだ。

 竹流は結局、午前中いっぱいは眠ったままだった。昼前に目を覚ましたので、和枝がお弁当を作ってくれたことを告げた。看護婦には断ってあった。食べにくくないようにいくらも工夫された食事は、料亭の食事にも勝るようだった。
 竹流は自分の料理の師匠のひとりはあの人なのだと言った。知ってるよ、と真は答えた。
 いつもろくに食べないでいた竹流が、かなりしっかり食べてくれたので、真は東海林家に帰ったら和枝に礼を言って、できれば毎日でも作ってもらって運ぼうかと思った。和枝はきっと喜んで料理の腕を振るうに違いなかった。

 真が傍にいる間、竹流はほとんど何も話さなかった。時々ぽつりと、身体の不調を訴え、そしてまた暫くすると眠りに落ちた。一度は、少しの時間眠った後で目を覚まし、越前和紙がどうのと、真に話しかけた。
 随分と躊躇ったが、夕食の後で、真はこっそり運んできた紙袋からもう一つの土産を出した。竹流は始め、ぼんやりと真とその土産を見比べていたが、しばらくすると久しぶりに本当に嬉しそうな顔をした。酒がスピリッツ、気付け薬とはよく言ったものだ。

「気が利くな」
「ほんの嘗める程度だぞ」
「意地悪だ」
 真は、ほんの少しだけ壜からグラスにコニャックを注いで、ふと竹流を見た。
 そう言えばまだストローでも必要な状況だったと気がついて、何の気なしに尋ねた。
「飲ませてやろうか」
「口移しなら歓迎だけど」

 さすがに酒を前にしてはいつもの冗談を言う竹流に戻るように思えた。
 いや、真がいる時はまだあまりまともでないように見えていたが、珠恵との会話を聞いていた限りでは、ほとんど普通の意識状態に戻っているようにも思える。あるいは、感情や意識の波が大きすぎて、ただ揺れ動いたままなのかもしれない。
 もっとも、本当にまともだったら、愛しい女にあんな話をするはずはない。一体、何を信じればいいのか、まるきり不安定な波に揺られている。

「手を貸してやるだけだ。それとも、ストローで飲むか」
「冷たいやつだな」
 一瞬、真は手元の綺麗なグラスに視線を落とした。琥珀色が濃淡を作って揺れさざめき、内側から甘い香りが上ってくる。
 その琥珀の中に深く沈んでいた想いは、突然真の身体の中の何かを刺激した。
 琥珀の中に揺れていたのは、東海林家の座敷の襖に照り返した光、珠恵の帯の上で微かに香っていた小さな花だった。

 真はグラスの中身を口に含んで、唐突に竹流の顎を摑まえて彼の口の中にコニャックを流し込んだ。
 竹流は驚いたような顔をしていたが、直ぐに左の手で真の頭を抱き寄せるような仕草をした。とは言え、竹流にとっては不意打ちだったこともあって、半分は上手く飲ませられずに着物を濡らせてしまった。
 竹流は笑いを噛み殺したような顔をした。
「へたくそ」
「うるさい」

 床頭台からタオルをとって零れたコニャックを拭こうとすると、いいよ酒だから、と言われた。看護婦にバレたら事だぞ、と言ったが竹流は取り合わなかった。
 それから、竹流が少し辛そうな顔を見せたので、リクライニングを上げてあったベッドを元に戻して横にさせた。見つからないように酒を仕舞い、竹流がうとうととし始めるのを黙って見ていた。少し顔が赤いかな、と思った。

 ここ二日くらい、熱は随分引いて、三十七度台後半で留まってくれるようになっていたが。
 何となく気になって額を触ると、かなり熱かった。まさか酒のせいじゃないだろうと一瞬気になったが、どちらにしても氷枕を取り換えようと思って、病室を出た。
 詰所に行って、氷を替えてもらった。
「熱があるみたいで」
「熱冷まし、いりますか」
「いえ、もし必要ならまた呼びます」

 丁度、竹流の主治医が当直だったのか、詰所に居合わせていた。医師は真が出てきたのをいいことに、ちょっとお話が、と言った。
 彼の身体から検出された麻薬の種類は今のところははっきりしないが、最近アジアのどこぞから流れ込んできているろくでもない種類の新種のようだと警察が言っていた、という話だった。量としてもかなり多く使われようで、生命が危険に晒されていたのも当然だし、いわゆる麻薬の心毒性による急性うっ血性心不全で、よく助かったものだと思われる、だが薬物によるフラッシュバックは酷く、あるいは何らかの遅発性の合併症があるかもしれない、と言われた。

 覚悟はしていたことだった。質の悪いものは大概そういうものだ。手や足の方は、身体がしっかりしたら早めにリハビリをしたほうがいいが、何しろ体力的にかなりきついので、まあゆっくりと、ということだった。足の方は、やっぱりちょっとしびれが残ったりするかもしれませんねえ、と医師は呟いた。手も、まあ、握れるようにはなるでしょうけど、細かい作業はどうでしょうかねえ、と。
 今は身体もあんな状態で気にならないかもしれないが、元気になってきたら、動かない手に対して竹流はどう思うのだろう。真はそう考えて、俯いて目を閉じた。

 それから、肝機能もなかなか元に戻りませんねぇ、薬のせいだとは思いますが。それに少し感染症があるのか、炎症反応が上がっているので、気をつけています。
 医師は最後に付け加えた。

 酒、やっぱりまずかったかな、と思った。
 比較的長い説明を聞き終えた真が病室に戻って、扉を閉めた瞬間だった。
 何かが、それは苦痛の叫びのようだったが、真の聞こえにくい左の耳を刺激した。
 真は慌ててベッドの側に駆け寄るように近づき、呼びかけた。
「竹流」
 呼びかけて揺り起こそうとした。
「竹流」

 もう一度強く呼びかけると、ようやく竹流は目を開けたが、まだ何やら分からない顔をしていた。
 真に対する態度がどうであれ、竹流の意識が少しずつまともな方へ向かっていて、それを快方と単純に喜べる状況でないことは明らかだった。竹流の身体を色々な意味で麻酔していた質の悪い薬の有り難い作用が抜けていくということは、これから明らかになっていく意識の中で、竹流が与えられた恐怖をひとつずつ思い出していくことに他ならなかった。

 真がもう一度竹流の名を呼び、手に力を入れたとき、竹流は一瞬何か分からないようで真から逃れようとした。真が無理につかまえると、かなりの力で抗った。恐怖に耐えるように歯を食いしばり、何かから逃れようとして、震えながら真を突き放そうとする。
「頼む、目を覚ましてくれ」

 そのまま、真が竹流の身体を抱きしめると、竹流は真の腕に噛み付いてから、突然力を失って諦めたように抵抗を止めた。
 暫く、竹流は真の顔を見ていた。焦点が定まっていなかった。ようやくそれが真だとわかったのかどうか、少ししてからぼんやりと真の目に視点が合ってきた。それでも、その目に自分が映っているのかどうか、真は疑っていた。
 真は彼の額に手を触れた。
「熱が出てきたんだ。それで悪い夢を見たんだよ」

 竹流は何も言わなかった。言わなかったが、代わりに今度は竹流のほうから真を抱き寄せた。
 意外にも強い力だった。竹流の身体は熱く、それがただでさえ弱っている彼の体力を奪っていくように見えた。
「ごめん、一人にする気はなかったんだ。ずっとここにいるから」
 氷枕を取り換えようとほんの少し離れようとしたときも、竹流は真の腕を摑んではなそうとしなかった。
「ここにこい」

 言葉は明瞭だったが、一瞬、何を言われたのか分からなかった。青灰色の目からは感情を読み取りにくく、真は今この男が正気なのかどうか、どうやって確認しようかと考えていた。
「ここへ来い」
「いるよ、ここに。先に氷枕、取り換えよう」
「そうじゃない」

 竹流は自分の言葉が伝わらなかったことにいらつくように、強い語調で言った。真は相手が何を望んでいるのかよく分からずに、しばらくぼんやりとしていた。
 その時、竹流の手がまた真の身体を抱き寄せようとした。
「ここ、病院だぞ」
「うるさい」
「竹流」
「気になるならカーテン閉めてこい」

 扉は勿論鍵がかからないので、入口から丸見えにならないようにベッドと開き戸の間に仕切りのカーテンが吊ってあったが、何の役にも立つわけがなかった。
 個室だし他に誰もいないし、看護師は気を利かせて検温にさえ来なければ、恐らく呼ばないかぎりは来ないだろうが、公共の場で抱きあうような事はできない。
 そう思ったが、逆らいきれないような気配と、何よりもどこへ持っていけばいいのか分からない感情の捌け口を求めていた真自身の心が、その言葉に従いたいという結論に辿り着かせてしまった。

 真はカーテンを閉めて、熱があるくせに随分強引な男の言うがままに一緒に布団に潜った。竹流はそのまま真を抱きしめてきた。
 病院のベッドはどう考えても作りがいい加減そうだけど、大の男が二人で寝ていて壊れないんかな、と妙に現実的なことを思った。多分寝ているだけなら大丈夫だろう、妙なことをしなければ。真はそう考えて、ふと、やはりこの男はだいぶおかしいんだな、と思った。

 いくら人をからかうのが好きだとしても、これはちょっとやり過ぎな感じがする。
 それでも、こうやって求められること自体は嫌な気がしなかった。むしろここ何週間かの真自身の感情を思えば、待ち望んでいたような瞬間だったが、どうやらこの男はまだ普通ではないのだろう。そう考えて、真は自分をたしなめた。
 竹流の着物から、さっきこぼしたコニャックの匂いがした。しかも、熱のせいか、着物はすっかり濡れているようだった。
「竹流」
「うるさい」
「着替えたほうがよくないか」
「うるさい」
 どこにこの力が残っていたのか、竹流は真を抱きしめて離さなかった。
 真は諦めて、彼の背に手を回して、それからその背中のことを考えた。

 火傷のあと。竹流自身はこう言うだろう。身体の傷は大したことじゃない、と。その通りだ。だが、心の傷は、痛めつけられた恐怖は、どうなのだろう。医師の言っていたフラッシュバックが、どんなものかは真も知っていた。あの時の真の何倍も彼はこの後苦しむのかもしれない。心に負った傷は、多分、真よりも深いに違いなかった。

 夜中に何度も目を覚ました。その度に、この熱で竹流が死んでしまうのではないかと思って恐怖にかられた。竹流は、真が何度か呼びかけようとしたのを知ってか、その度に腕に力を入れてくるようだった。
 竹流の身体は時に細胞が壊れるのではないかと思うくらいに熱くなり、時々悪寒のために小刻みに震えていた。その身体の温度はそのまま真の体温になり、汗はそのまま真の肌を流れた。真が僅かに身動きをしようとすると、竹流はそのまま絞め殺そうとするかのような力で真を抱いた。肺は呼吸の仕方を忘れたように喘いで、心臓の音は悲鳴のように真の身体に振動として伝わってきた。
 真は今度こそ、この男が与えられた恐怖をそのまま身体で感じた。

 奴ら。
 イタリア人が周到に復讐を遂げるであろう事を真はよく知っているし、それを強く望んでいた。
 だが、できるなら、この手で切り刻んでやりたい。

 目を覚ますたびに、竹流の力は強くなっていくようだった。真は不意に、この男のものが固くなっていることに気がついた。強い恐怖でもそのようになることは聞いていたが、まさしくそれなのだろう。これが単なる情欲ならばいくらでも相手をしてやるものを。
 どうしていいのか分からずに、真はただ彼を抱き返すしかなかった。





少しずつ、竹流の意識と病状は改善してきています。それと同時に、彼は与えられた恐怖と闘わなければならなくなります。真がそれを平気で見ていられるわけが……ないのですが、この先、まだ決定的な状況が降りかかってきます。
真と珠恵、そもそも始めから「許せない」と思っていた彼ら2人はついに行動に出ます。
次回で第28章、終了です(次は短めかな)。第29章は、真を取り囲む色々な人間たちが登場します。もちろん仁と美和のカップルも、そしてあの【学園七不思議シリーズ】の主人公、真の自称親友・富山享志と、真の妹(従妹)・素っ頓狂娘の葉子の夫婦が、なぜか真を止めることもせずにけしかける?

<次回予告>
「うちには色々な御贔屓がおります」
 珠恵は一瞬、何かを躊躇ったような顔をしたが、あえてその先をはっきりとした声で続けたように見えた。
「寺崎の家がどういう家かもよう知っとりますし、あの男はんがどういう人間かも、よう分かってます。うちは多分、寺崎孝雄の行き先を誰よりも先に探しだすことができます」
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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コメント


まああ

こんばんは。

彩洋さん、弾みがついたのかしら、作品発表の頻度がぐんとあがりましたね。
続きを早く読めて嬉しいのですよ。もっとも、感想が追いついていなくてごめんなさい。

今回は、うん、納得でもありますけれど、ちょっと哀しくもあるかなあ。
珠恵のことお母さん扱いしてますよね。それだけの度量のある人なんだろうけれど、それを言うのは酷だよなあと。紫上でも明石の上でもなくて、花散里だったか。あとで子供を預けるなら、まさにそんな感じですよね。ううむ。

さて、後半も、やっぱり納得でありつつ、哀しい。
竹流が言うようにいい意味の「馬」同然で、ただ安心できる相手のように認識していた竹流のことをこの失踪でもっと別の存在として意識するようになった真にとっては、本来ならばこの状況は「想いが叶う」に近い形だけれど、全然そんな場合じゃなくて、何をしてあげる事もできない、その悔しさがよく伝わってきます。

体の怪我はどんどん治っても、心の方はそう簡単にはいかない。その怖さがじわじわと伝わってきます。

だけど、だけど。復讐はパパに任せておいて、側に居てあげる方がいいと思うけれどなあ〜。でも、真も珠恵も……聞いていませんね。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/07/28 05:19 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

あれ? 夕さんからのコメントで気が付きました。頭の中では、この部分の公開はもう1日後だったはずなのに……予約投稿時に1日間違えちゃったのですね。本当だ、小説が連日アップになっている……す、すみません。
小説が2日連続アップになると、確かに読んでくださる方も困りますよね……
っても、それは夕さんがこうして丁寧にみんな読んでくださっているからなのですけれど……だから、コメや感想などは追いつかなくても気になさらないでくださいね。私など1週間遅れのコメなんてざらでして(すみません(>_<))。

あ、【海に落ちる雨】の方は、1週間に2回、と一応決めて、ある程度は予約投稿にしたのです。1週間に1回でもいいのですけれど、この先、まだまだ随分あるのですよ。このままじゃ終わらない!と思いまして。このブログ不向きの作品、1回で進むシーンが、相当短いので、ほんと、真の復讐まであとどれくらいあるのか……アップしながらも気が遠くなる^^;
私が生きている間に? 次作までたどり着かなくちゃ! と思ったりしていたのです。

そうそう、今回は……実はじっくり読むと、哀しいのですね。「萌え」とか明るく書いておりましたが、実は暗い。夕さんはきっとその辺り、気が付いてくださるだろうなぁと。
この先で竹流が言っておりますが、「あの人は妻であり、母であり、姉であり、恋人」……珠恵はその全ての姿になって竹流を慰めてくれちゃうのですね。そうか、花散る里か……イメージではちゃんと紫の上だったのですけれど(光源氏にとっても、紫の上はそうだったのかな、と思っていたのです。あ、ついでに「わが子」と言ってもいいですよね。育てた……でも手を出した……)。う~む。
慎一は京都で暮らすわけではないので、預けられたわけではないのですが、最後までちゃんと珠恵の面倒を見ました。離れていたのですが、親子みたいな交流があったと思います。そして珠恵も、実は「真への恩義」を返す意味もあって(それはこの先の展開で明らかに)、慎一を大事にしていた。う~む。でも、これもまた、やっぱり……
いや、言い訳しても、竹流の立場はよくならないか……でもね、竹流はもう珠恵には全幅の信頼、です。
そう言えば、【清明の雪】のカットした部分に、置屋の女将さんが夕さんと全く同じ指摘をしているところがありました。「珠恵ちゃんが旦那はんにとって女じゃなくなるのは納得がいかない」って。この女将さんは二人共のことをとても大事に思っていたけれど、珠恵が竹流のものになるのはすごく反対したのです(少し、彼女の嫉妬もあったかもしれませんが。まさに龍馬とおりょうを見ていた寺田屋の女将さんみたいだな)。旦那はんは女を幸せにする男じゃないって。でも珠恵は「それも分かっている。でもそれでいい」と言ったので、彼女は自分の決心を後悔したくなかったのかもしれません。
ううむ。男と女、人生、本当に色々で、難しい。

後半の真と竹流の下りも……あ、萌えどころじゃありませんでしたね……(>_<)
うん。壁ドン(もしくは角ドン)かお姫様抱っこ(こちらはTOM-Fさんちに出てきましたね)、そしてもうひとつは口○○○ってやつですよね。この辺りを書いたのはもうかなり前なので、恥ずかしげもなく書いている^^; 私も若かった。
今書いたならなら、こういうシーンにならないなぁ、きっと。真が「自分で飲め」と言って、ストローをさしたコップを渡すだけ^^; それじゃあ、萌えないですよね。萌えを書くには照れと老い?は敵だなぁ。

そして。この先、真がまた化けて行きます。一度、竹流の拷問の痕を見た後で、仁が「化けやがった」と言っておりましたが、それがまさに現実のこととなっていくのです。真にとっては、もう野生の本能の赴くままに、になってしまう。そして二人を知る人間は、ある意味「分からんでもない」と思っている。それは周囲の人間にとっても「覚悟」なんだけれど。
せっかく彼を取り戻すことができて、(病院のベッドだけれど)少し距離が近づいても、竹流の精神はまだものすごくとおくにあるままなのですね。まだ真の手の中には帰ってきていない。
このシーンは、夕さんの仰る通り、真がそのことに直接的に(体に伝わる振動のように)感じる場面なのでした。
あ、やっぱり萌えてる場合じゃないか……次回から、本格的に珠恵と真が手を組みます。お互い微妙な気持ちでしょうけれど。珠恵もきっと、彼女なりに「これはいつもの旦那はんやない」と辛く思っているはず。

> だけど、だけど。復讐はパパに任せておいて、側に居てあげる方がいいと思うけれどなあ〜。でも、真も珠恵も……聞いていませんね。
聞いていませんね(>_<) しかも珠恵は「誰よりも自分があの男への伝手を知っている」と考えています。ただし、相手は珠恵からの呼出には応じません。警戒していると思いますから。
というわけで、次回でこの章はおしまいです。いつもありがとうございます。この先もよろしくお願いいたします(*^_^*)

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/07/28 07:49 [edit]


じわじわ

最初の病室でのシーン、真的には本当に心臓に悪いですよね。
(読者的にはとてもおいしいのですが)
珠恵の前では竹流の意識レベルが92%になってる(勝手に測定)
でも、珠恵に真への想いを話しちゃってる時点でやっぱりマイナス8%なんですよね。
それを聞いてる真・・・。
生殺しです。
でももしかしたら、初めてストレートに竹流の本音を聞けたシーンだったのでしょうか。

珠恵って、実は少し真に嫉妬してたんですね。ここ、嬉しかったです。
完璧に見えてもやっぱりどこか弱い部分もあるんですよね。
だからあのセリフも出て来た!
私ッたら前回の追加コメで勘違いしました。
珠恵が真に嫉妬するはずないから、この「あの人」はチェザーレさんか?とか。
でもそれって大胆すぎますよね。すみません。

真でよかった^^
そして、その質問をスルーする竹流~!

竹流の甘える声がすごく聞こえるようでした。
真への愛情と珠恵への愛情はきっと別物なんだろうけど、なんでそんなにたくさん愛の格納庫をもってるんだ、と、今回はちょっと悲しかった。

今回の萌えは・・・やっぱりコニャックですね。
へたくそ。うるさい。
いいなあ~~(笑)
でも最後のベッド。看護婦さんが入って来ちゃったらどう言い訳するんだろう・・・。そんなシーンを思い浮かべて、ちょっと一人で焦ってしまいました。
このあとついに二人が動くのですね。別々に・・・・ですよね。
珠恵と真。仲良くしてほしいような、やっぱりどこかライバル視していてほしいような、微妙な関係ですね。


lime #GCA3nAmE | URL | 2015/07/29 08:52 [edit]


きましたね

更新、お疲れ様でした。

竹流と珠恵の会話は、なんだか年季の入った夫婦みたいでした。しっとりとした雰囲気のなかに、お互い気心を知り合った者同士のやりとりという感じで、ここには割り込めないよなぁと真でなくても思っちゃいそうです。
キター、予告にあった珠恵さんの爆弾発言。
いやぁ、『俺はお前のためなら何だってしてやりたい』『ほんなら、あの人を捨ててくらはりますか』から『お前がいなければ俺は駄目になる』『わかってますえ』のくだり、たまりませんねぇ。お互いへの信頼があってこそ成立する、丁々発止な掛け合い。オトナの男と女の会話だなぁ……。
真、コロボックルに子守唄リクエストしてるし(笑) それに応える彼らも、なんかいいですね。
それにしても、手作り弁当にお酒って、なんだか見舞いじゃなく花見みたいですね。口移しで、とかノロけてるし。ほんとに、この二人は(笑)
竹流に触れることになると、やはりその「傷」を直視しちゃいますからねぇ。真の火がどんどん大きくなっていきますね。真の暴走が楽しみ……いえ、心配です。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2015/07/29 18:53 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

本当に、あまり視点を移動しないようしているので、ここはまだ竹流が語る場面じゃなくて、一方的に真が聞いているシーンになっているからこそ、ちょっと心臓に悪いですよね。タヌキ寝入りとか、こそこそ盗み聞きとか、視点が移動しないようにして書くと、微妙な小手先の技を使わないといけないので、実はちょっと大変^^;
でもその分、竹流の心情は全く見えてこないので、余計に真の複雑~な気持ちが表に出てきました(多分)。
そうそう、読者的にも書き手的にも、かなりおいしいです(^^)
そして、limeさんの%表示、今日もいただきました! ありがとうございます。☆3つ!じゃなくて、92%ですね。
2%アップしてる……^^; そうそう、きっとちょっと「確信犯」的な面が出てきましたね。実はこれ、私、珠恵は真がいることに気が付いていたのじゃないかと思うのです。書いていませんが……竹流はまぁ、ボケてますね^^;
いや、でも、分かりませんね。竹流にしたら、2人が出会わないようにかなり気を使ってきていると思うのです。まぁ、気配は察知されているのだとしても、聞くと見るとでは大違いだから。でも、自分の与り知らぬところでもう2人が出会っちゃったとなると、いっそ「ぶっちゃけたほうがいい」と思っていたりして。
真は、この竹流の言葉を、自分の立場が優位だとも取る事だってできたのですが、どうやら、このムードに参っちゃったみたいです。つまり、これはもう割り込めない夫婦の会話に聞えたと思うので。
何だよ、おれ、何を勘違いしてたんだ……ってわけですね。

あ、うんうん。珠恵は真にはかなり嫉妬していると思いますよ。自分の方が先に出会ってて、お互い必要なのは分かっているのに、何だか旦那はんのよこにコジャリがいるみたいなものですから。しかも、始末の悪いことに、コジャリは自分の優位性を分かっていないし。
ただ竹流にとっての真は「愛の対象」なのか「支配の対象」なのかは、やっぱり微妙だったりします。でもそんな思いを全てひっくるめて、必要で大事でどうしようもない対象で……そう、だから、そんなことはちゃんと分かっている珠恵は、ちょっと言ってみたかったんですね。「ほらね、できないことを言うんじゃありません」って。
珠恵の様々な想いは、まだこの先に少し出てきます。ただ、事実関係は話すけれど、珠恵は自分の腹の内はやっぱり言わないような気がするのです。最後の最後まで……
あ、limeさんの勘違いの対象はチェザーレでしたか! あ~、それはありだな~、あるある。でも、真よりももっと捨てられないかも……そこはもう、珠恵にはアンタッチャブルだなぁ。でも、もしかすると、真はただ一人、チェザーレに近づいた「馬の骨」かもしれません!

> そして、その質問をスルーする竹流~!
わはは~。そうそう、そうなんですよ。気が付いてくださいましたか! スルーしてる!^^;
都合が悪いと聞えない振りするという……もうほんと、どんな甘え方なんだよ!って皆さんに思っていただけたら、このシーンはまずまず成功だったかな。
うん。まさに竹流にとっては、どちらかを選ぶなんて、ということなんだけれど、まぁ、今回は……ラストをお楽しみに!!

> 今回の萌えは・・・やっぱりコニャックですね。
> へたくそ。うるさい。
> いいなあ~~(笑)
えへへ~(#^.^#) 書いちゃいました。いや、もうこれ10年以上前に書いているので、いや、もう今の私には書けませんね。照れちゃう。あのときの私だから書けた……今回アップするにあたって久しぶりに読み返したら、自分でツッコみを入れちゃってました。
どんなにいちゃついてるんだ、君ら!
> でも最後のベッド。看護婦さんが入って来ちゃったらどう言い訳するんだろう・・・。そんなシーンを思い浮かべて、ちょっと一人で焦ってしまいました。
あ、これは次回、実は看護婦のツッコミが……いやいや、気が付いていないわけないでしょ。ね~

> このあとついに二人が動くのですね。別々に・・・・ですよね。
> 珠恵と真。仲良くしてほしいような、やっぱりどこかライバル視していてほしいような、微妙な関係ですね。
ありがとうございます。この先の展開は、ちょっと、なんてこと! と思うかもしれませんが(えへへ~)、それはそれで受け入れてやってください。二人の関係の微妙さの結果の人身御供ってやつかも? 二人は、はい、微妙な距離感で共闘します。
いつもありがとうございます。そしてコメントありがとうございました!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/07/29 23:37 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

引き続き、ありがとうございます!
はい、この夫婦の会話。真ったら盗み聞きしておりますが……本当に完全に年季の入った夫婦の息のあった会話です。実は内容的には決して真にとって悪い話じゃない部分もあるのですけれど……だって、旦那が女房に「実はオレ、好きな子ができちゃったんだ」って告白しているんですものね。あ、でも、旦那がそう言っても「そうですか」って奥さんが聞き流したら、まぁ、日本では通常、離婚までは行きつかないことが多いですよね。奥さんが仕事でも持ってて、別にこんな男がいなくても生きていけるわ、ってことなら別だけれど。いや、珠恵は竹流がいなくても、このお屋敷は維持できないにしても、生きては行けると思うので、「そうですか」と聞き流したのは、「そんなことは始めから分かってる」というニュアンスだったのかな。

でも、そうそう、TOM-Fさんの仰る通り、真は二人の会話の言葉の内容よりも、その親密なムードにやられちゃったんですよ。会話の中では、「ごめんな」とか言っているし。でも、真にはもうそのムードだけで大打撃? いや、やっぱりそうだよな、オレ、何を勘違いしてたんだ、って気持ちだとは思いますけれど。

> いやぁ、『俺はお前のためなら何だってしてやりたい』『ほんなら、あの人を捨ててくらはりますか』から『お前がいなければ俺は駄目になる』『わかってますえ』のくだり、たまりませんねぇ。
はい、このお話の中で、好きな会話の流れのひとつなんです。そこをTOM-Fさんが取り上げてくださって、嬉しいです。
limeさんも書いてくださいましたが、ポイントは珠恵の問いかけをスルーする竹流^^; しまった、珠恵に反撃されてしまった、スルーしよう!という男の狡さ、そして、その狡さを受け流してくれる珠恵。うん、夫婦だ。

> 真、コロボックルに子守唄リクエストしてるし(笑) それに応える彼らも、なんかいいですね。
そうそう、真は言葉が分からなくなったと思っていますが、実はそうでもないみたいで。というよりも、コロボックルたちはちゃんと分かってるし。「なんか、ちがうみたいだべ?」「んだ」「んだ」「らぶそんぐじゃないべ」「んだ」「んだ」「じゃ、こっちか?」……なんて、話し合ってくれたんでしょうね(^^) 
このお弁当の下りも好きなんですよ。和枝は、まぁ、真にはちょっと意地悪だったけれど、旦那さんにとか言われたら俄然頑張ってくれちゃう。実はあれこれ揉まれてきた人生でしたから、今の安住の地を失いたくないんですよね。何よりも、旦那さんとお嬢さんのことは私が守る(食で)と思っておられるようです。で、花見? 常識からはずれておられるようで……^^;

TOM-Fさんが御姫様抱っこを書かれていたので、ちょっとほっとしたんですよ。いや、これ、後から読んだら、私ったらなんて恥ずかしいシーンを書いていたんだ!と思ったのですけれど(萌えるのか、いや、ただ恥ずかしいのか)、あのお姫様抱っこを拝読して、よし、ありだ、アップしちゃおう!となりまして。

> 竹流に触れることになると、やはりその「傷」を直視しちゃいますからねぇ。真の火がどんどん大きくなっていきますね。真の暴走が楽しみ……いえ、心配です。
うん、この医者の言葉が現実になっていく日が、もうそこまで来ています。真の暴走を楽しみに心配しながら見守ってあげてきただけますと、嬉しいです。
いつもありがとうございます。そしてコメント、ありがとうございました!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2015/07/30 08:14 [edit]


わ~い、ありがとうございます!!

ぼや~っとしてて、拍手コメを見逃しておりまして、「あれ????」と同時に「うわぁ~~~~」となりまして……大感激です! わ~ん、ありがとうございます!! まさか引き続き読んでくださっていたなんて、とてもとてもとても感激しています!! で、一気読みしてくださったと!(笑)
うぅ、とてもお優しいA様に、この内容はきつかったのでは、と思われるところ満載の大盛りなのに、本当に本当に本当にありがとうございました! いや、あまりにも内容がひどすぎて、「大海、お前、どうするつもりやねん」と多くの方々が思っておられたと思います。でも、途中で読むのを辞めたら寝覚めが悪そうな展開だったので、我慢して読んでくださったのかも……うん、ようやく竹流も生還しました。これも陰に日向に応援してくださる皆様のお蔭です。
あのしんどい場面はもう10年以上も前に書いたところで、今の私にはもう書けない内容ですが、それでも迷いながらアップしておりました。で、ひと山越えて、少し間を開けたら何だかすっきりしてほっとしたので、ここからはクライマックスに向かって上り詰めてまいります。ますます絡み合う人間関係と、その中で展開する事件の解決(にはなっていないけれど)をぜひ、お楽しみになさってくださいね!
本当に暑いですけれど、御身体、大事になさってくださいね!! そして……私の懸案だった【死者の恋】も前に進めることができそう! 連絡しなくちゃ~と思っていたのですよ。よかった! うんうん。何はともあれ、まずは彼らの行く末を見守ってやってくださいませ! コメント、本当に嬉しかったです(;_:) 有難うございます!!

彩洋→鍵拍手コメA様 #nLQskDKw | URL | 2015/07/31 18:11 [edit]


愛してる。お前だけだ。この線上にあるシーンかなあと。
竹流と珠恵さんはもう出来上がっていて何があっても不変。読者としては妙な安心感が。何をしていても、何を話していても納得してしまいます。
けれども、竹流と真は違う。何をしていても何を話していてもギューしてもチューしても不安だらけ。

竹流は珠恵さんに本心を見せられる。けれども、真が本心を見せられる者は・・・
ここがなんかフェアではないような。
一緒にねんねしてても、どうしたら良いのよ、大海さーん!?

けい #- | URL | 2015/08/08 21:23 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

この章は、竹流がボケているおかげで、あれこれ美味しいシーンが見られます(=切ないシーンとも言う)。このボケボケが正気ならいいのですけれど、どうでしょうね。
珠恵に対しては、多分普段からそう変わらないのじゃないかと思うのです。まぁ、真の話は敢えてしていなかったようですが、それは多分、竹流の側からも「知ってるだろうな。あえて言うことでもないし、ま、いいか」的なことで。
竹流と珠恵は、うん、そうですね。もう離れることも分かれることもない、連理の枝・比翼の鳥、という例え通りです。でもこれが純粋な恋愛の域を越えちゃっている点では、少し「女」としての寂しさはあると思うのですけれど。
真との間に横たわっている溝は、性別もさることながら、実は求める先のものが違うからなのかも。それに、竹流の方からしたら、文化や民族の歴史や宗教や、自分を形作ってきた背景をみんな否定することにも繋がりかねないことですものね。真は、まぁそのへん、野生の子なので、自分を変えるなんてそもそもできない相談で、竹流が真のところへ降りてくるしかない。それがね、簡単にいかないのですよね。彼なりのプライドもあるし、それに背負ったものの大きさを彼自身が一番よく分かってもいる。だから今回、一大決心をして「捨てた」んですけれどね。捨てた後から、誰かが拾って来る…・・・・(指輪に関しては、KYな真自身^^;)

> 竹流は珠恵さんに本心を見せられる。けれども、真が本心を見せられる者は・・・
う~む。多分、昴とか飛龍とか、北斗とかルナとか……(馬と犬の名前)
でも、ま、それがあるから「物語」になるということで。
> 一緒にねんねしてても、どうしたら良いのよ、大海さーん!?
え? え~っと。もう少しこんなグダグダをお楽しみくださいませね!(と逃げ出す^_^;)
でももうほぼ追いつかれちゃうところですね。引き続きよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2015/08/09 11:27 [edit]

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