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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨142] 第29章 赤い糸(3)嵐の前夜 

【海に落ちる雨】第4節・第29章『赤い糸』 その(3)です。これで第29章は終わりです。
北条仁が京都の病院を訪ねてきます。あの人のことですから、当然、好き勝手なことを言って帰るのですが、会話の中で大和竹流の隠れた本心が垣間見えます。この男、まだ懲りていません……

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



 昼を過ぎてから、本当に北条仁が京都の病院を尋ねてきた。
 竹流はあまり歓迎したふうではなかったが、殊更に嫌がったようでもなかった。仁の事だからストレートにくるぞ、と真が構える余裕も与えず、仁は竹流の側に座り、単刀直入に切り出した。
「まだ、やる気か」

 真は驚いて仁を見た。この状況で竹流に何ができるというのかと思った。竹流のほうも仁が何を言っているのか理解できないというように、ただ曖昧で意思のつかめない表情のまま、天井を見つめているだけだった。
 仁が竹流を見据えている目には凄みがある。そのせいなのか、竹流は随分と緊張しているようにも見えた。真ではない他の誰かと話しているときのほうが、竹流は何故かまともに見える。
「忘れるのが賢いってこともある」

 物事が自分の思うように行っていない時に、そして自分の心の中にまだ何か秘め事がある時に、この男と正面切って本気で話さないほうがいいということを、竹流も知っているように真には思えた。
 それは北条仁がやくざだからではない、そのまっすぐな性格の故だった。このまっすぐさのために、思わず本音を引き出されたらたまらない。竹流はあえて仁と目を合わさないようにしているようだった。
 義理と人情というやつは、時に一般人が考えるよりもずっと浪漫に充ちている事がある。この男たちは、やはりどこか芯の部分で似通ったものを持っているのだろう。だからお互いに相手のやり方がわかりすぎてしまうのだ。

「俺が何を言いに来たか分かってるな。俺は、お前さんがひとりでまだ何かやろうとしてるんじゃないかと疑っている。理由はひとつ、寺崎昂司がまだお前の元に戻ってきていないからだ。お前は彼を見捨てたりしない。たとえ、現時点で彼が死んでいたとしてもだ。もし何かする気なら、俺に手を貸せと言え」
「北条さん」
 竹流が意外にもしっかりとした声で答えた。
「俺はもうそんな気はない。だから、今ここでそんな話をしないでくれ」

 そう言いながら、竹流が真のほうを見た。真は、この男が今初めて見せた複雑な視線に、明らかな強い意思を読み取った。
 手を出すな、と真に話しかけていた。
「お前の叔父という人が出てきたのは、戦争のためか」
「いいんだ、あの人に任せておけばいい。とにかく余計な心配です。有り難いけど、これに手を出さないでくれ」
 真は竹流の複雑な視線の中にあった別の何かを今、不意に感じ取った。

 あの時、訪ねて来たチェザーレ・ヴォルテラは竹流に、何かとてつもなく大事な重い言葉を投げ掛けたに違いない。真では決して口にはできない、成し遂げることもできない言葉を、竹流の耳元で囁き、竹流はそれに是と応えたのだ。
 そう、愛する息子に、全てを父親に任せて目も耳も塞げと、息子の罪も穢れも父親である彼が全て背負ってやろうという言葉を。そしてその結果は、竹流をこの国から、珠恵の傍らからも真の心からも引き離してしまうに違いない。

「俺が聞いているのは、お前が手を引くかどうかだ。こいつを」仁は真を指差した。「人殺しになんぞしたくないだろう。ここ暫くこいつがここで大人しくしてるからって、安心しないほうがいいぞ」
「仁さん」
 仁は昇から色々と聞きだしているに違いない。真は仁の言葉を止めようと、その腕を摑んだが、無駄だった。
「言っとくがな、俺はお前さんの勝手に怒ってる。お前は始め、絵を探していた。途中から何だって女の子を助ける羽目なんかになったんだ? とにかく、知っている事を洗い浚い話せ。寺崎孝雄がろくでもない野郎だってのはよく知っている。だが、こいつらが問題にしているのは、実際にお前をいたぶった奴が誰かってことと、今奴らがどこにいるかってことだ。お前が知っていることを俺に話せ。そうしたらこいつが妙なことをする前に、俺が奴らをぶっ殺してやる。お前は、こいつを人殺しにしたいのか」
 竹流は怖い顔をしたまま、答えなかった。

「仁さん」真はようやく仁を病室の外に引きずり出した。「何を言うんです」
 仁も怖い顔をしたままだった。
 病室の外の廊下には、声が聞こえる範囲には誰もいなかったが、随分先の詰所の近くで、看護師が何かの気配を察したように顔を上げてこちらを見ていた。もっとも、仁には他人の視線を構う気持ちなどなさそうだった。
「あいつ、意識はもう大分まともなんだろう。俺はやくざだがな、こういう反吐の出るようないたぶり方をする連中は許せねぇ。だがな、あいつの勝手なロマンチシズムにも腹が立つ。あいつの意識がまともになったら一番に言ってやろうと思って待っていた。邪魔するな」

 真は仁の必死さがただ有り難く、方法論の是非はともかく、この男は本当に義理と人情を通す任侠の世界を生きているのだと思った。それでも、その仁の真っ直ぐさを、今竹流は受け入れることができないだろう。
「駄目ですよ。あんまり彼を刺激しないで下さい。まだ時々脈絡のないことを言ってるし、どっちにしても、自分で動ける状況じゃない。しかも、何だって仁さんがそんなに怒るんです」
 仁は、真をしばらく見ていたが、突然大きな手で真の顔を摑むようにした。その指の力に思わずはっとする。
「美和が襲われた」
 真は暫く呆然と仁を見ていた。
「幸い大事には至らなかったがな」

「怪我は?」
「何もない。あいつも常にヤクザに周りをうろうろされて堪らなかったんだろう。それだけじゃない。美和の奴、京都から帰って、夜な夜なぐずぐず言ってやがった。こんなことは今までなかった。やれ、大家さんが心配だの、お前が心配だの。あの時死にかかってたあいつの姿見て、美和だってショックだったんだ。しかも、お前は覚えてもないだろうが、すっかり正気を無くして吹っ飛んでるお前を見て、あの日美和のやつ泣き通しだった」
 真は、彼女に謝らなければ、と思った。仁はようやく真から手を離した。

「済みません。でも」
「でももへちまもない。とにかく、ひとつだけ俺に約束しろ。一人で行くな。俺を連れていけ。わかったな」
「わかりました。だから、竹流にあんまり絡まないでください。もしも、彼がまだ何かしようとしているなら、絶対にしゃべるわけがない」
 仁は真の目を見つめ返していた。それから、思わぬ優しそうな仕草で、真の腕を叩き、病室に戻った。

 竹流は目を閉じたままだった。何も語らない頑なな彫像のように冷たく美しい顔を見つめて、真はどうあってもこれ以上この男の好きにさせるわけにはいかないと思った。これ以上、その身体の細胞のひとつまでも、傷つけさせるわけにはいかない。
 仁の言うとおりだ。寺崎昂司の安否を確認しない限り、竹流は事件が終わったと考えるはずがなかった。だがこの身体で、そしてこの時々歯止めが利かなくなって崩れるような感情の波の中で、この男に何ができるというのだろう。

 仁は、側の椅子に座り直した。
「怒鳴って悪かったがな、俺の本心だ。あんまりカッコつけるな。お前さんは多少、他人に頼った方がいい。こいつをいつも甘えさせてるくせに、自分は何故、こういう究極の場面になると頼ろうとしないんだ? そんなに他人はあてにならないか?」
 竹流は目も開けなかった。
「と、これはお前の仲間の心情でもあるようだぜ。奴等もお前にもっと頼って欲しいんだ。もっともっと究極のところでな」

 仁は、聞かないふりをしているらしい竹流にちょっと溜め息をこぼした。ヤクザでも困ることがあるんだな、と真が変に感心しながら仁の背中を見つめていると、唐突に仁が声のトーンを上げた。
「聞いてんのか。寝たふりしてるとキスするぞ」
 本当にこの男は、と思ったが、仁の気持ちはありがたかった。竹流がゆっくりと目を開ける。それはまるで人形が絡繰りの操作で開けたように、光ばかりを吸い込みながらも、感情の乏しい目だった。

 仁はその後、随分と長い間黙っていた。その背中を緊張しながら見つめたままだった真は、突然、仁が発したこれまでと違う柔らかい、優しい声に驚いた。
「辛いだろう」
 それは今まで真が聞いたことのない仁の声だった。 

 微かに何かが唸るような音が、地鳴りのようにずっと聞こえている。竹流は僅かにリクライニングを上げたベッドに横たわり、仁とも真とも目を合わそうとしないまま、まだ天井を見つめていた。
 綺麗な青灰色の瞳はぼんやりとにごって見えた。微かに形のいい唇が開き、何かを話すのではなく、ただ息が漏れ出したようだった。真は自分の左耳が奇妙な反響を繰り返していることに、今また気が付いた。何か鳥のような甲高い叫び声が、左耳の奥から突き刺さるように聞こえたような気がした。

 気が付くと、竹流のくぐもった瞳に蛍光灯の明りが揺れさざめいていた。随分と良くなっているとは思うが、時々崩れるように感情の歯止めが利かなくなっている。それを、竹流は他人に見せまいと努力しているようだった。それなのに今、仁の一言で竹流の頭の中は混乱し、ただその感情の捌け口は涙しかなかったかのように、僅かに震え、そして後は天井から視線を動かさないまま、ただ涙を流した。
 仁は心得たかのように黙って座っている。真は腹の奥に転がっている火の玉をそのままに、動くこともできずに突っ立っていた。
それから、徐に仁は身を乗り出すようにして竹流の肩を抱き、耳元に何か囁いた。真には聞き取れなかった。
 仁はそのまま一方の手で竹流の頭を抱いて撫でるようし、それからゆっくり身体を起こして立ち上がった。

「明日、お前たちのお姫様がここに来る」
 真は何のことか分からずに仁を見た。さすがに竹流も彷徨っていた視線を仁に戻した。
「事務所に連絡があった。美和も宝田も賢二も、あまりにも可愛らしいお姫様の登場に狼狽えてたよ。この状況を隠し通すのも無理そうだし、まぁ、お前さんの女なら知らぬ存ぜぬで通すんだが、そうもいかないようだったから、俺の一存でここを知らせた。勿論、向こうはお前さんらのややこしい状況は知らないで連絡してきたんだろうけど、お前らから姫君を取り上げた王子様は、何か困ったことでもあるふうだったからな。放っておくわけにもいくまい」

 仁は真のほうを振り返った。
「何せ、美和もこりゃあ叶わないと思ったんだろう。お陰ですっかりお前のことを諦めたかな」
「何言ってるんですか」
「用件は聞いてない。お前らが聞いてやれ」
 それから仁は真を促すようにして病室の外に出た。出掛けに真がちらりと竹流を見ると、もう目を閉じて半分眠っているように見えた。

「一体何のことですか」
「さぁ。だが、お前さんらを見張るには丁度いい人物が現れたってわけだ」
「見張る?」
「真、妙な気を起こすなよ。しつこいが、俺はヤクザだ。だがな、お前は堅気だ。絶対にそれを忘れるな。泥棒集団やヤクザの顔ばかり見ていると、復讐なんぞ大したことではないような気になってくるかもしれないがな、引き返せない通過点ってのがある。お姫様の顔を見て、目を覚ましたほうがいいぞ」
 真は仁に誘われて、喫煙コーナーまで降りた。
「葉子に会ったんですか」
「お前の妹とは信じられん、いい女だったな。旦那のほうも気に入った。ヤクザを見ても狼狽えないところがな」

 葉子が結婚してからは、ごくたまに事務所に電話がかかってくることはあるが、会うことはほとんどなかった。富山家にしてみれば、『どこの馬の骨とも知れない』嫁を貰ったわけで、嫁を野放しにして、調査事務所などという怪しい仕事をしている兄のところにふらふらと会いに出るようなことをさせようと思わないだろう。享志のほうも気を遣って、葉子のいないところで真に会うことは避けているようだった。
 それに、富山の事業のことを考えても、享志が四六時中忙しくしていることは間違いがない。葉子があの家で孤独なのではないかという心配は常にあった。それでも、享志が葉子を守ってくれると信じたからこそ、嫁に出したのだ。

「お前らふたりに用があるふうだったよ。どうする?」
「どうって、今更どうともできないようにしてから聞きますか?」
 この状況で、竹流は葉子や享志に会いたいと思うだろうか。そう考えて多少不安になった。
 仁が真に煙草を勧めてくる。真は火をつけてもらって、それから暫くは黙って吸っていた。喫煙コーナーには珍しく他に誰もいなかった。

「ありゃあ、富山コーポレーションの御曹司だな。お前も、えらいところに妹を嫁にやったもんだ。しかも、御曹司は堂々とお前を親友と言ってたぞ」
「天然ボケなんですよ。他人の腹のうちに悪意があるとは思っていない」
「どっかの誰かさんと同じだな。ボンボン、ってのは多かれ少なかれそういうところがあるようだ」
「仁さんも、十分御曹司の範疇ですよ」
「だが、他人の腹のうちは真っ黒だってのは、よく知ってるよ」

 真は煙草が半分になってから、漸く気になっていたことを聞いた。
「元気そうでしたか?」
 仁は了解していたような表情で真を見る。
「健康状態が悪いようには見えなかったけどな」そう言って仁は何度か煙を吐き出した。「あんなご大層な家に嫁に行っちゃあ、健康な人間でも調子が悪くなるわな。あまりにも環境の違う家に嫁にやらんほうがいい、という話だろう」
 真はちらりと仁を見た。
「どういう意味で言ってるんですか」
「己の身に置き換えると、身につまされるってことだ」

 真はしばらく無遠慮に仁を見つめていた。それから、美和との間で何かあったのだろうと勝手に納得した。だが今となっては余計な口出しになってしまう。
 やがて仁は煙草を揉み消し、真を見た。
「だが、俺自身は後悔してるわけじゃない。それに俺が見たところ、お前の妹、お前らよりずっと腹が据わってるように見えたぞ。お姫様ってのはいささか常識から外れているものだが、筋金入りだな。過剰に心配して狼狽えてるのは多分、天然ボケの御曹司のほうだ」

 仁は、美和よりも自分のほうがむしろ狼狽えていると、暗にそう言いたかったのかも知れない。仁にしても享志にしても、自分自身のことなら腹が据わっている人間だ。だが対象が、自分が守らなければならない、しかも惚れた女となると、状況が変わってしまう。
 もっとも、美和と葉子では事情がまるで違う。美和だってヤクザの家に嫁ぐだけの覚悟ができているわけではないだろう。自分自身のことに置き換えてみれば、当然だと思えた。
「真、俺はお前らの話をしてるんだよ」
 真は自分も煙草を揉み消した。

「大和竹流が狼狽えてる事情ははっきりしている。あいつは、お前が奴らにとって最もおいしいターゲットだということをよく知ってるんだよ」
「俺はもう、簡単にやられたりしませんよ」
「馬鹿を言うな。奴らはスポーツマン精神に則って試合を挑んでくるわけじゃないぞ。繰り出してくるのは全て反則技だ。何よりお前は卑怯者になれない。そしてそれが一番始末に負えない。復讐も殺人も、イタリアンマフィアの御曹司のボディガードも、どれもお前には向かない仕事だよ」
 仁はそう言って、結局もう一本煙草を引き抜いた。真にも勧めてきたが、真は首を横に振った。

「なぁ真、お前らがその気なら、どこへでも逃がしてやるぞ。宇宙以外ならな」
「何を言ってるんですか」
「あいにく宇宙船の船長の知り合いだけはいないからな」仁は上を仰ぐようにして煙を吐き出した。「ただし、その前に一回やらせろ」
「五年は待ってくれるんじゃないんですか」
 仁は笑いを噛み殺したような顔をした。

「お前も、腹が据わってくるとしっかり嫌味を言う奴だな」そう言うや、突然仁は真の腕を摑んだ。「いいか、しつこいが、絶対に一人で変な気を起こすな。お姫様の顔を見て、頭を冷やせ。それでもやる気なら、俺を必ず連れて行け。わかったな」
 真はそれには返事をせずに、仁の顔を見つめていた。
「竹流に、何を言ったんですか」
 仁の視線は突き刺さるようだった。暫く真の顔を見つめ、それからにやりと笑った。
「愛の言葉だよ」
「仁さん」
「身体が動かせるようになったら一回やらせろ、と言っただけだ。嫌なことは全て忘れさせてやるってな」

 仁は自分が吸いかけていた煙草を真の唇に咥えさせて、そのまま立ち去った。真は仁の姿が視界から消え去るまで見送り、やがてゆっくりと仁の吸い残した煙草を最後まで吸いきった。
 背を丸めて足を引き摺った常連の老人がやってきて、真に挨拶をし、堂々と煙草を一本引き抜いた。煙草をやめろと言われたら死んだ方がましだと言っていた病人だ。ポケットを探ってライターがなかったようで、訴えるように真を見た。真がライターで火をつけてやると、地獄で天使に会ったかように有難そうな顔をし、本当に美味そうにひとつ吹かした。
 地獄で出会う天使はきっと仮面を被った極悪人で、地獄を歩く人間はそのことをちゃんと知っているが、それでもその手には縋りつきたくなるものだと思った。

(【海に落ちる雨】第29章終わり→つづく)





さて、次回から第30章『巷に雨の降る如くに』です。
様々な人間の気持ちが絡み合う第30章、竹流の病状の悪化と共に、真の心に火が付きます。そして竹流の怒涛の独白が……
こうしてみると、天然ボケ級長(もと)の享志はやっぱり清涼剤かもしれません。

<次章予告>
 竹流は嘔気を覚え、ただ咽喉の奥に引っ掛かった異物を吐き出そうとするように、しわがれた声で唸った。
「真に、行かないで、ここにいてくれと、言ってくれ」
 言葉は一言一言がやっとだった。葉子はしばらく竹流をじっと見つめていた。そして、決意を表明するように、静かに諭すように呼びかけた。
「竹流さん」
「あいつを、行かせないでくれ」
「竹流さん」
 葉子はもう一度呼びかけた。そして、半分泣き声のような、しかし強い意志のこもった声でゆっくりと言った。
「駄目だよ。お兄ちゃんを止められないよ」

……お楽しみに!
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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コメント


仁~

仁の愛情は、本当に広く深く、ですね。
竹流に言った言葉の中には、竹流自身への愛も、真への愛も、そして真たちを心配する美和への愛もたっぷり含まれてる。
竹流はずいぶんと正気に戻ったみたいだけど、どんな気持ちで聞いていたんでしょう。もしかしたら、まだ自分で何かやろうとしてるのかな? いやもう絶対無理だって。
まだ真は少しは冷静に竹流を見守っているようですが、わるい方向に火が付くきっかけは、次章に出てくるんでしょうね。
葉子たちの登場は、それとは関係ないのかな? ここへきて享志たちが登場してきた理由が気になります。

仁、本当に二人をどこかに逃亡させちゃってくれたらいいのに。(一回やらせなきゃいけないけどそこはまあ我慢しなさい真)
でもきっと、このままに出来ない何かがあるんだろうなあ、竹流には。竹流の告白を待ちますね。

lime #GCA3nAmE | URL | 2015/09/04 18:59 [edit]


この御方は・・・

更新、お疲れ様です。

ちょ、北条の若旦那。喧嘩止めにきたんだか、煽りにきたんだか(笑)
でも、やっぱり漢ですね、仁は。ダークサイドは俺が……と、本気で思っているみたいだし。
カタギの人間はもう首を突っ込むな、ということなんでしょうけど、真も、そしてたぶん竹流も、聞く気はないみたいで(笑)
それにしても、竹流は、まだなにかやる気なんでしょうか。ヴォルテラのような家の血を受けると、誰かを助けるという発想はあっても、誰かに助けてもらうという発想には至らないのかもしれませんね。なんとなく、そういう気がします。

次話では、ついに真が覚醒? 切れるというか、動き出してしまうようですね。
また怒涛の展開になりそうで、楽しみです。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2015/09/04 19:37 [edit]


仁さん、良い人だあ。
ここで自分のできることをして、言えることを言ったのですね。
竹流の涙の答えを仁がどうくみ取ったのか。
でも、二人にはある種の共通理解があるように思いました。

真に対して念には念には念を入れて念押しする仁。
でも真はこの念には留まることができないのでしょうか。
それはもう少し先のことなのね。

葉子と享志がやってくる。どんなサミットになるのやら。
気になる気になる・・・

けい #- | URL | 2015/09/04 21:10 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

> 仁の愛情は、本当に広く深く、ですね。
あはは~、物は言い様ってのはまさにこのこと? 広く深く! って、ただの手当たり次第のすけべえってだけ(#^.^#)
美和もとんでもないのに惚れたものです。いや、惚れられたのか……
でもまぁ、仁はこの二人(竹流と真)のことは見守っているつもり、でもあり、真面目に惚れているのもあり、なんですよね。真に対しては唐沢に言っていた通り「まさにど真ん中のタイプ」だったらしく、なんだかんだ言いつつも正直「狙っている」らしいし、竹流に対しては高嶺の花的感覚? いやいや、そもそも「無理をしている男」が大好物な奴ですから(ん?)、はい、広く深くな人ということで(しどろもどろ)。

> 竹流はずいぶんと正気に戻ったみたいだけど、どんな気持ちで聞いていたんでしょう。もしかしたら、まだ自分で何かやろうとしてるのかな? いやもう絶対無理だって。
うぅ。そうなんですよ。この人、放っておいたらまた絶対何かやるという。よくあるヒーローものの主人公の特徴ですね。ぼろぼろになっているのに、まだ敵に突っ込んでいこうとする……でもご安心ください! 絶対動けないようにしばりつけておきますから! って、ここはですね、竹流が動いたら話がややこしくなるので、真に動いてもらうために結構お膳立てをいたしました。次回からの流れには、limeさんは作為を感じられるかも……(物書きの悪い癖、ってやつですね)
真の怒りに火をつけるのは……あんなことや、こんなことや。そちらもお楽しみに!
あ、葉子たちが出てきた事情は……え~っと、ここら辺は作為というより成り行き? 最後の方で享志に少し活躍してもらわなければならないので、それが唐突にならないように、ってのと、あとは美和の気持ちを少し揺さぶるためというのもあったかも^^;

> 仁、本当に二人をどこかに逃亡させちゃってくれたらいいのに。(一回やらせなきゃいけないけどそこはまあ我慢しなさい真)
あらら、さらりと仰いましたね^m^ そうそう、ただでは利益は得ることができないってやつでしょうか。何だか、仁にしても添島刑事にしても、なんでそんな過激なんだか……でもね、残念ながらどこにも逃げられないんですよね。
竹流の独白はともかく、なぜ彼が拘っていたのかは第5節で出てきます。といっても、あ~、ほんとにこいつは、何でそんなところで義理堅いんだよ、って思うだけかもしれませんが……でもそれぞれがそれぞれの事情で動いている、そしてそれが思わぬところで繋がっているこのお話、もう少しお付き合いくださいね。
いつもありがとうございます m(__)m

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/09/05 03:10 [edit]


おやおや

こんばんは。

うん。たしかにちょっと煽っているかもしれないけれど、でも、やっぱり仁が一番ちゃんと見ているように思いますね。表も裏も含めた世間の事がわかっているから覚悟も違うというのか。

真のは、心情はわかるけれど、世の中って、想いの強さだけで物事が解決できるわけじゃないですよね。とくにこういう、ウルトラ汚いヤツらの世界では。ちゃんと仁のいう事はきいた方がいいと思うけれど。きっと、きかないんだろうな。

っていうか、真はともかく、竹流ったらまだ自分で何かをするつもりだった?
それは無理だよ、寺崎昂司を見捨てられないとかそういう問題ではなく、君がそんな状態で動いたら、飛んで火にいるどころじゃない……。もしかして、この二人って全然違うようで、そういうところはかなり一緒?

仁が竹流に何を囁いたのか、やっぱり氣になりますね。

そして予告編。葉子さん、すごいことを言い放っていますが、どうなるのでしょうか。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/09/05 03:15 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

うんうん、仁はやっぱり、なんでお前ら素人が「ヤクザな話」に首ツッコんでるんだ、と思っているわけなんですよ。仁はヴォルテラがおっかない組織であることは何となく分かっていると思うのですが、その御曹司が「ヤクザなこと」に手を染めるようなことはないと思っているみたいで、しかも竹流は御曹司っても出奔しているので、仁からしたら「素人さん」なわけで。
それなのに、言うことを聞かないこのふたり。仁にしたら「そりゃお前らが人の言うことを聞かないのは知ってるけどな、相手をみてからやれ」って気持ちだと思われます。そもそも仁にしたら、「あいつらはまともなヤクザじゃないので、できれば相手にするな」って言いたいでしょうし……
多分、美和が巻き込まれるのでなかったら、仁はこの世界の事情は分かっているので「手を引け」って思っていたと思います。でも、美和は巻き込まれるかもしれないし、真と竹流は言うこと聞きそうにないし、放っておけなくなりましたね(^^)

> それにしても、竹流は、まだなにかやる気なんでしょうか。ヴォルテラのような家の血を受けると、誰かを助けるという発想はあっても、誰かに助けてもらうという発想には至らないのかもしれませんね。なんとなく、そういう気がします。
わわ。ありがとうございます。うんうん、そうなんですよ。この人、女には甘え上手なんですけれどね~。組織のボスって、良くも悪くもお山の大将。自分の懐に来た者に対しては責任があって、何が何でも守ってやると思っている。でも、自分を助けてもらうなんてプライドが許さないんですよ、きっと。ほんと、こまった人です。
でも大丈夫! 彼が動くともう収拾がつかなくなるので、作者がしっかり病院に縛り付けておきます!(いいのか、そんなことで?)

> 次話では、ついに真が覚醒? 切れるというか、動き出してしまうようですね。
> また怒涛の展開になりそうで、楽しみです。
ありがとうございます。真って、怒ったら怖いですから……なんというのか、切れたら冷めちゃう。冷めているのに切れている(=余計にこわい)……でも、まずはみんなの気持ちの動きをお楽しみいただければと思います。
怒涛の展開、お楽しみに!
いつもありがとうございます(*^_^*)

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2015/09/05 03:23 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

この時、かなり書くほうとしては煮詰まっていまして(古い記憶なのですが)、というのも、これからどうやって怒涛の展開を書ききるかという助走みたいな状態で、うだうだの真と竹流じゃ話にならん!と思っていたら、仁が「じゃ、おれが一言言ってやろうか?」って言ってくれたので……じゃ、若、よろしく頼みます!ってことになったのです。
竹流はまだ意識としては行ったり来たりなんです。この人、本当に弱さを見せるのが苦手。甘え上手ではありますが、それは計算している範囲であって、自分の優位性を譲ることがものすごく苦手なんだと思います。負けを認められない……だからそれが打ちのめされている現状、まさか、身体的苦痛に屈するなんて思わなかったと思うので、それが叩き壊されているんですものね。気持ちはあっち行ったりこっち行ったり。
だから「辛いだろう」なんて言われたらね。そして仁はそのあたり、よく分かっちゃっているんですよね。
> でも、二人にはある種の共通理解があるように思いました。
うん、どこか似ている、かもしれません。

> 真に対して念には念には念を入れて念押しする仁。
いや~、これはですね、念押ししている理由は「こいつは絶対黙っていないから、とにかく一人で動かないようにしなくちゃ」ってことですよね。真は表面では「分かった」なんて言っていますが、こいつほど信頼できない奴はいません。
暴走まであと少し。お待ちくださいね(^^)

> 葉子と享志がやってくる。どんなサミットになるのやら。
あはは~、えっと~、ほんと、このKY夫婦、あれこれ引っ掻き回してくれちゃいます。
ところで、けいさん、スポンサーサイトが顔を出していますよ~~~!!
お忙しいことと思います。でもこうしてコメントを頂き、恐縮です。
そっちは寒いんでしょうかね~。こっちは雨ばっかりで、水をやらなくていいのはいいけれど、野菜が日照不足で高い!のが困りものです。
お互いに季節と仕事を乗り切ってがんばりましょう! コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2015/09/05 13:29 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

> うん。たしかにちょっと煽っているかもしれないけれど、でも、やっぱり仁が一番ちゃんと見ているように思いますね。表も裏も含めた世間の事がわかっているから覚悟も違うというのか。
うん、ほんとです。だって、真ったら単なる素人だし、竹流は素人ではないけれど、根っこがお坊ちゃま。どうやら世の中の仕組みが分かっているようで分かっていないというのか、自分が「やられる」「負ける」ってことは想定していないみたいです。その辺り、仁は「悪いやつはどこまでも悪い」「そんな奴らとは正面切って話し合っても無駄」「あるいはツッコんでいっても根絶するのは無理」「適当なところで手打ち」ってことがよく分かっていると思うのです。でもね、「それでもやるなら、つきあうしかないか」ってのも仁の流儀でして。
真はもう、素人丸出し。でも、素人を侮ったら怖いことに……この人、思った以上に根深い体質。はい、きっと聞きません^^;
でもまぁ、「そうだよね」って聞くような奴ならお話になっておりませんしね。この辺りはもうほうっておいて、先を進めることにいたしましょう!(って、なんて無責任な……)

竹流はね~、もし体の自由がきくなら、何とかしたいと思っていたでしょうね。うん。でももうここはね、ヴォルテラパパが「あとは俺に任せろ」って言ったんだとしたら、聞くしかない状況なんですよね。でも、そこが解決されるまで引き下がる気はないでしょうけれど、彼自身には今どうすることもできませんし……で、自由だったら何するか分からないので、そこは作者の「ご都合主義刀」を振りかざして、ちょっとやそっとでは起き上がれないようにしときますので、ご安心を!(って、それはそれで安心できないか……)
> もしかして、この二人って全然違うようで、そういうところはかなり一緒?
うん、まさにその通りです。だから周りが放っておいたらあぶない!と思ってくれるのかもしれません。いや、逆に煽っているのが何人かいるのが問題だけれど。

> 仁が竹流に何を囁いたのか、やっぱり氣になりますね。
いやいや、もったいぶっちゃったけれど、大したこと言ってません。まさに愛の言葉ですね。
> そして予告編。葉子さん、すごいことを言い放っていますが、どうなるのでしょうか。
あ。この娘、本当に素っ頓狂というのか、常識の範囲が分かっていないというのか、だいぶ壊れているところがありますので、気にしないでくださいませ^^; でも、この人がいて、物語はここまで来たという立役者でもありますので、時々現れては物事を根底からひっくり返して、じゃなくて、進めてくれます(*^_^*)
コメントありがとうございました。夕さんは休暇なんですね。ゆっくり楽しんできてくださいね!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/09/05 14:40 [edit]

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