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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨144] 第30章 巷に雨の降る如くに(2)境界線上のキス 

【海に落ちる雨】第4節・最終章(第30章)『巷に雨の降る如くに』 その(2)です。
長い章なので、5日おきくらいには更新しようと(でなければ、ぶちぶちと内容が切れてしまうので)予約投稿にしようと思うものの、手直ししながらだと、なかなか思うようには行きません。でも、がんばってみます。
意味深なタイトルになりましたが、今回は少し真面目です。
そう言えば「これは恋愛じゃない」って言ったみたり、「命を賭けるなら恋がいい」なんて言ったみたり。作者の私もあっち行ったり、こっち行ったりしておりますが、この章はもうはっきり言いましょう。……「これは恋」、多分。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



 その日、空は青くはないものの、梅雨の晴れ間で、白く霞みながらも厚みを感じさせる太陽の光が辺りを包んでいた。
 病院の前の公道は、中央分離帯を挟んで片道二車線の通りだが、すぐ先の役所で突き当りになっていて、行き交う車より路上駐車の車のほうが多く見られる。パン屋やレストランも向かいに数軒並んでいて、歩いている人の数も少なくない。
 後ろを北条の若い衆がついてきていた。美和が一度襲われてから彼らがピリピリしていることは、これだけの距離であっても伝わってくる。

「大丈夫か」
 美和は真の傍らを、ゆっくりと遊ぶような歩調で歩いていた。
「うん、そっちは大丈夫」
 真はちらりと美和の顔を見た。大丈夫なのは襲われたほうの話であり、大丈夫でない別の事情があるのだろう。後ろの北条の若い衆の手前、美和にあまり親しげに話しかけるのは気が引けたが、美和の気配は心に突き刺さるように感じていた。

「仁さんと何かあったのか」
「え? どうして?」
 美和はわざとらしい素っ頓狂な声を上げた。真は立ち止まり、美和もつられたように立ち止まった。
 向き合って見つめているうちに美和の目には涙が浮かび、真が思わず手を差し伸べると、そのままふわりと抱きついてきた。
 北条の若い衆の視線はこの際、放っておこうと思った。真は黙って美和を抱き締め、それからふと街路樹の高い欅の木を見上げた。大木の上の遥か彼方の空には、くぐもった光が溜まっている。白く煙った光の中では、空を覆う木々の若葉も真っ黒にくすんで見えた。

 目立っていることは何となく感じながらも、真は美和の気が済むまでこうしていてやろうと思った。この娘と恋人同士として向かい合うことはなくても、言葉にするのが難しいほどに大事な存在だということはしみじみと感じている。
 どうしたわけか、若い衆は黙ってこの状況を見逃してくれているようだった。
 美和が落ち着くのを待って、真は美和を向かいのベーカリーに併設された明るい喫茶室に誘った。昼時は過ぎていたが、広い店内のテーブルは半分以上埋まっている。若い女性と学生が目立った。

 美和は注文の時までは沈んでいるように見えたが、美味しそうなケーキが目の前にやってくると、いつもの屈託のない笑顔を見せた。
「事情を聞いたほうがいいなら聞くよ」
 真は無遠慮な言い方をしたな、と思いながら、美和がモンブランを口に運ぶさまを見つめていた。美和はふと、手を止めた。
「……もうだめなのかなって思ってる」
「もうだめって?」
「仁さんには仁さんの事情があるわけだし、やっぱり私だって極道の女にはなれないし。だから、もういいかなって」

 真は、店の外で怖い顔をしている若い衆をもう一度確認した。
「もういいっていう事態には見えないけど」
 美和も、若い衆をちらりと見る。
「仁さんは、この状況で私を見捨てて、私が襲われたりしたら、きっと寝覚めが悪いと思ってるだけなんだと思う」
 真はコーヒーの立ち上る湯気を見つめ、それから顔を上げた。

「北条の親父さんは、仁さんが堅気になってくれたらと今でも思ってるよ。君がそのきっかけになってくれたらきっと喜ぶだろう。君と仁さんがどう考えるか、だと思うけど」
 美和は返事をせずにモンブランを結構な勢いで食べると、傍を通り過ぎるウェイトレスにクラブサンドを注文した。
「なんか、モンブラン食べたら、急にお腹がすいてきちゃった」
 真はまだ美和を見つめたまま、コーヒーにも手をつけずにいた。美和はもう暫く、店の外に立っている若い衆を見つめ、それから真のほうに真剣な顔を向けた。
「じゃあ、先生は?」

 急に話の鉾先を向けられて、真は内容が理解できなかった。
「私にはよくわかんないけど、大家さんはいつかは自分の国に帰らなければならない人なわけでしょ。先生はついていく気持ちがあるの?」
 真は美和の視線を見返し、これは目を逸らすことのできない問いかけだと感じた。それとこれとは話が違うとは言えなかった。少なくとも、仁が竹流に対して示している同情感覚は、立場の類似性から来ているものだということは、理解できていた。

「あいつが本当に望むならそうする」
 真はそう言って、漸く冷めかけたコーヒーを取り上げた。
「でも、そうでもないようだ。実際に、昔の事は別にして、俺とあいつの関係には色っぽい事情なんてないし、そろそろ俺も親離れをしたほうがいいということらしい」
 美和は真の顔を見つめている。
「それで、先生は深雪さんを選ぶわけ? それとも別の人?」

「美和ちゃん」真は窘めるような口調で呼びかけた。「今、誰かを選ぶとかいうことは、俺には考えられない。混乱していることは認める。でも、深雪に対してそんな感情は持っていない」
「それは、先生にとって他の人がみんな『その人じゃない』からだよ。私のことだってそうでしょ。先生は葉子さんのことも大事にしてたと思うけど、あんな可愛い人が先生を諦めた事情はよく分かるよ。先生はちゃんと真正面から彼女を見てあげなかったんだよ」
 真は美和の責めるような視線を、今は黙って受け入れた。

「上手く言えないけど、君を大事な存在だと思う。多分これからもずっとそう思い続けるだろう。葉子の事も、今でも本当に大切だと思っている。誰よりも幸せでいて欲しいし、俺にできることは何でもしてやりたいと思う」
 美和は紅茶を全部飲み干し、それからやって来たクラブサンドに手はつけず、暫く考えていた。しばらくの間、美和は大きな窓の外の欅の木を見上げるようにして、それから真にはっきりとした視線を向けた。
「男ってずるい生き物よね。はっきりと君じゃないって言えばいいのに、まだ気持ちを繋ぎ止めようとする、そういう言い方は一番嫌い。心の中では別の願いがあるのに、それを自分自身にも誤魔化しているってのはもっと嫌い」

 そう言って、美和はクラブサンドをかなりの勢いで片付けた。そしてポットからなみなみと紅茶をカップに注ぎ、ミルクをたっぷり入れて飲み干し、きっぱりと言った。
「先生も分かってると思うけど、仁さんは絶対に堅気にはならない。あの人は、その点では覚悟を決めてるもの。私のことを思ってくれてても、そのために堅気になるって選択肢はないよ」
 力強く言い切ってから、美和は少しだけ涙目になった。

「本当はいっぱい悔しい。何が悔しいのか分からないけど、悔しい。自分に科した責務を果たそうと堅気に背を向ける仁さんも、その仁さんが私のことで惑っていることも、私がそんな人を好きになっちゃったことも、どこかで引き返せたかもしれないのに引き返さなかったことも、それなのにきっぱりと腹を括れないことも、私以外の誰かが仁さんのためなら命を張るって思っていることも。でも、何だか分からないけど、私だって、先生のことも大事だけど、やっぱり先生は仁さんじゃないんだもの。結局、自分の気持ちからは逃げられないよね。どこに行きつくんだとしても、私は仁さんから、先生は大家さんから、逃げられないんだよ」

 真には、美和は真と話しながら自分の感情を確かめているように思えた。浮き沈みしながらも前に向かおうとする美和の感情の強さを、真は少しまぶしい気持ちで見つめていた。
「さっきはごめんね。先生の顔を見たら、なんか、悔しいのとか哀しいのとか、自分に腹が立つこととか、一気に溢れてきちゃって」
 その後、美和は長い間俯いて黙っていたが、やがて不安そうな顔で真を見た。
「大家さんの顔を見てられない。辛そうで、哀しそうで。怪我のせいだけじゃないよね」

 美和はいつもこうして誰かにすぐ同情してしまう。この娘のいいところだと真は思った。多少直接的で身も蓋もない気がする時もないわけではないが、この娘は本音が優しい。恐らく子どもの頃から、ごく普通に穏やかな環境で愛されて育ったに違いない。
 真には望むべくもない、芯から湧き出すような真っ直ぐさ、暖かさ、そして仁のことでなくとも、不思議な母性に支えられた自然な愛情が、この娘にはあるのだ。だからこそ、仁は彼女に惹かれ、そして彼女もまた、断ち切れない想いに惑っている。

「先生」美和は真に呼びかけ、思ったよりもしっかりした声で続けた。「大家さんはきっと、今は先生に話したくても話せないことがあるんだよね。自分がどれほど傷ついてでも守りたいことがあったんだよね」
 美和の感じていることは正解だ。
 だが、真もまた、それを認めるのはやはり悔しかった。竹流が自分に話せないことで苦しんでいることも、彼が苦しむ理由を自分には酌んでやれないことも、そして何よりも、彼をあそこまで追い込んだ事情が自分以外にあるということも。

「でも、それを救ってあげるのは先生だよね?」
 真はしばらく美和の顔を見つめていた。
 彼を救えるか? 彼を苦しめる何か大きなことから、彼を開放することができるのか。そんな力は自分にはないのだ。そして、彼を丸ごと包み込める力を持っているのは、真ではなく別の人だ。
 そして、自分は今、別の感情に支配されようとしている。

「いや、そうでもないかもしれない」
 真はそれだけ言って、そろそろ戻ろう、とレシートを持って立ち上がった。
 今、美和に見つめられることが、急に恐ろしくなった。
 自分はこれからどこに向かおうとしているか、身体の奥の深いところで、未来は確かにどす黒い渦を巻いている。汚物に塗れたどぶ川のような悪臭が、腹の内側で湧き出そうとしている。背中を追いかけてくる美和の気配を感じないようにと、知らず知らずのうちに、心にブロックをかけていた。

 病室に戻った時、珠恵がお稽古とお座敷の合間に病院にやって来ていた。
 竹流は葉子と享志を彼女に紹介し、珠恵は何の異存もなく、彼らを今夜岡崎の屋敷に泊めることに同意した。珠恵を紹介された美和は、まっ先に真の顔を見て、それから丁寧に挨拶をした。竹流は美和にも岡崎に泊まっていくように勧めたが、美和は今日中に東京に戻ると言った。
 竹流は真にも、葉子夫婦と一緒に家に戻って食事をしてきたらどうだと言ったが、真はやんわりと断り、岡崎に向かう珠恵と葉子と享志を見送った。美和も東京に帰ると言うので、タクシーを拾おうと一緒に病院の玄関まで行くと、北条の若い衆が直ぐに近付いてきた。

「先生、事情は何となくわかったけど、私はやっぱり先生にしか大家さんを助けられないと思う」
 美和はそういい残して、タクシーに乗った。
 真は長い間そのタクシーの残像を見送り、それから喫煙コーナーに行って煙草を一本吸った。喫煙コーナーには早い夕食を終えた患者たちが幾人か煙草を吸っていた。身体に悪いといわれても、吸わずにはいられない事情もそれぞれあるだろうな、と思いながら真は彼らと会釈を交わした。

 病室に戻ると、竹流は出された夕食には手をつけないまま、目を閉じていた。あれだけの空元気を出したらさすがに疲れただろうと思ってその顔を見つめていると、竹流は暫くして目を開けた。
 言葉は交わさなかった。何か言いたい気もしたが、思い出せなかった。
 既に夕陽は窓を赤く染めていて、窓から窺える木々は黒く輪郭を沈めている。一時間ほども経ったのか、看護師が食事を確認しに来た。竹流は食欲がないと言って、盆を下げてもらい、それから熱を計ったり血圧を確認する看護師のするがままに任せていた。
 看護師が出て行くと、竹流はようやく真のほうを見た。

 竹流が葉子のためには何だってすることは分かっていた。葉子が嫁ぐ時、祖父の長一郎が戸惑うほどの嫁入り道具を揃えたのも竹流だった。彼女の後見人は自分であると、世間に明らかに示そうとしたのだ。彼が普段は敢えて出さないヴォルテラの名前を出したのは、ただ彼女のためだった。
 葉子を守ろうと思っていたのは真の方だったはずだ。

 遠い昔、伯父が何度も東京から北海道に来ていたのは、真を東京に引き取るためだと知っていたが、馬たちとも犬たちとも離れて暮らすことなど、絶対に不可能だと思っていた。ある時、伯父に連れられた葉子が初めて北海道にやって来て、真の前に立ち、白い帽子を取って可愛らしい笑顔を真に向けた。その時、多分それが初恋だったと、真は今も思っている。
 葉子が帰りの遅い医師の父をいつも一人で待っているというのを聞いて、自分がこのお姫さまを守るのだと思った。北海道を離れる決心をしたのは、天からお姫様を守る使命を授かったと思ったからだ。

 それからずっと、葉子を守る一番の騎士は自分だと思ってきた。自分たちが本当は従兄妹同士で、結婚することも不可能ではないと知っていたが、そうでなくても、自然に自分たちは何となくずっと一緒にいるものだと考えていたのだ。そこへ享志が現れ、自分以上に姫君を守る素質のある奴だとわかったとき、血縁の話は抜きにして、叶わないと思った。
 だが、享志のことを別にしても、伯父の功が失踪した時に真と葉子の保護者を買って出た竹流が、葉子を守るべき姫君として、真に負けないくらいに大事に思っていたとしても何の不思議もない。竹流にとって功は恩人であり、この国に来て初めて心から信頼した人物なのだ。それに、騎士としてなら、どの部分を取っても、真よりこの男の方がずっとふさわしいかもしれない。
 だから、こんなに苦しい状況でも、この男は義務を果たそうとする。真は複雑な感情を持て余し、結局、畳み込んだ。

「あのおばさん、あれほど釘を刺したのに、まだ嫁いじめしてるんだな」
 突然に竹流が呟くように言った。真は意味のある言葉を竹流が話しているのかどうか、いちいち確かめなくてはならなかった。
「お前、いっそ奪い返したらどうだ?」
 少なくとも筋は通っているな、と真は思った。しかし、これはお姫様や騎士や王子が登場する空想物語ではなく、現実には三文お茶の間ドラマのようなもので、嫁姑戦争や、下手をすると略奪愛まで盛り込まれた脚本なのだ。
「何馬鹿言ってんだ。彼らは本当に上手くやってるよ。そう見えただろ?」

 竹流は少しの間、混乱したような顔をした。それから確かめるように言う。
「お前、相変わらずだな。ちょっとは自分の気持ちを認めろよ」
「何の気持ちだって?」
 こんな会話は、葉子が結婚した当初は何度も交わされていた。だがこの期に及んでは、全て今更だった。葉子に対する真の気持ちなど、とっくにけりがついていることを、この男は知っていたはずだ。やはり混乱しているのだろう。

「やっぱり築地に帰ろう。葉子ちゃんを預かってやらないと」
 急に竹流が身体を起こしかけて、不自由で力の入らない足のためにバランスを崩した。真は慌てて竹流を抱きとめ、ベッドにもう一度横にさせた。
「葉子なら、珠恵さんが岡崎に連れて行ってくれたよ。享志も一緒だ。何を言ってるんだ。あんただって、東京よりここにいたほうが安心だろうに」

 嫌味で言ったつもりではなかったのに、真は思わず出てしまった自分自身の言葉に戸惑い、相手には立派に嫌味に聞こえたかもしれないと思った。案の定、竹流は困ったような、不思議そうな顔になった。
「何を言ってる?」
「ここには珠恵さんがいるし、食事も和枝さんがちゃんとしてくれるし」
 竹流は暫くの間、かなり真剣な目で真を見つめていた。真は、今この男は正気かもしれないと思って言葉を呑み込んだ。

「何か聞いたのか?」
「何も」
 真は被せるように返事をして、もうこの話は止めようという気持ちを込めて竹流を見たが、竹流のほうは真の複雑な表情を黙って見つめたままだった。
「珠恵が他の女と違うことは認める。でもお前にそんな顔をされる言われはないな」
「どういう顔もしてない」

「そうか? 彼女のいわゆる旦那が俺だって聞いてきたんだろう。否定はしない。あの人は俺にとって母親でもあり姉でもあり、永遠に恋人でもあり、そういう言い方が適当なら妻のようなものだ。だが残念ながら、彼女にとっての俺はあんまりいい旦那じゃない。そもそも他に好きな人がいるしな」
 真は、自分でふっかけておいて後悔した。そうか、妻のようなもの、とまで竹流に言わせるのは大抵の事ではない、と思ったのだ。しかも、竹流の最後の言葉は他にも女がいっぱいいる、と真には聞こえていた。

「聞いてるのか?」
 真は、竹流が何を確認したのか、分からなかった。
「聞いてるよ。そんな人が京都にいるとは、一緒に住んでても知らなかったけどな」
「馬鹿言うな。何でお前にそんな話ができる?」
「あぁ、必要のないことだよ」
「お前、何言ってるんだ」

 竹流は、目を合わそうとしないでいた真の腕に手を伸ばし、いつになく強い力で抱き寄せてきた。真は咄嗟に予防線を張った。
「看護婦が、偏見はないけど、気をつけろってさ」
「何をだ」
「病院だから」
「だから、さっさと東京に戻ろう」
「だから何を言ってるんだ。あんたの今の身体の状態で、どうすることもできないだろう。今だって時々無茶苦茶言ってるくせに。それとも、何か話したくないことがあって、わざとそうしてるのか。確かに、珠恵さんと話してる時は、あんたはずっとまともそうだよ。俺に何か言いたくないことがあるんだろう」
 真は声を低くした。
「俺は」

 そのまま言い淀んだ。竹流はしばらく真を見つめていたが、真剣な顔で何も言わずに突然真を抱き寄せた。真は思いも寄らなかった竹流の力に驚き、逃れようとしたが、結果としてはただ相手に身体を預けただけだった。
「真、俺が言ったことを覚えてるな」
「何を?」
「何もするな。俺はそのうち治る。だから、何もせずに、俺と葉子ちゃんと一緒にいてくれ」
 返事ができなかった。真は、何が自分を突き動かしているのかちゃんと知っていた。

 仁の言う通りだ。竹流は寺崎昂司が見つかるまでは絶対に手を引かない。今はじっと何かが通りすぎるのを待っているのだ。それなのに、彼が真に何ひとつ話してくれないことに、真は苛ついていた。
 竹流は真を抱き寄せていた手の力を抜いて、それから真の顔を大きな手で包み込むようにした。その右手にはまだ包帯が巻かれていて、包帯を通しても熱っぽさが伝わってくる。その手には思うように力が入らないようで、時折、意識とは無関係に震えた。それが今の竹流の心と身体の状態を明確に表していた。

「お前が何で怒っているか、分かっている。北条さんの言うことも全て尤もだということも。だが、お前には何も話したくない。お前に万が一のことがあったら、今度こそ俺は耐えられない。だから、何も聞かないで俺の言う通りにしてくれ」
 真は答えなかった。
 どう考えても、そんなことができるわけがなかった。この男は何を勘違いしているのだと思った。全てにおいて耐えられないのは真の方だ。こんな状況が許されていいはずがない。

 竹流はその真の心情を読み取ったのか、黙って真をもう一度抱き寄せた。竹流の身体からは彼自身の匂いと一緒に、包帯にしみ込んだ消毒薬の臭いも混じって、真の嗅覚と側頭葉のどこかを刺激した。
 真が知りようもない過去から続いているこの男の全てを、自分のものにしてしまいたいという欲望が、今はっきりと真の内に湧き起こった。それは女に対する色恋とは全く違っていて、この男に真自身の人生を重ねて同化してしまいたい、そのために命を差し出せと言われたら、それも厭わない、という感覚だった。

 真は今初めて、自分が、この男は自分のものだと思っている事に気が付いた。
 真は自分が一度死んでしまったことによって、この男の感情の深いところを支配していることを、つまりこの男を手に入れるために一度は死を受け入れたのだということを、思い出したような気がした。
 失うかもしれないという恐怖は、誰かの感情を強く支配する。それを利用して、今真はこの世にしがみついている。地獄の扉に彫刻された、今まさに煉獄に落ちようとする男が必死でしがみついている現世という別の地獄に。

 竹流の唇の感触が耳、そして頬に、苦しげな熱と一緒に伝わってきた。真は竹流の背中に回した手に力を入れた。この男を苦しめるものを全て許さないと思った。
 そして竹流が真の唇に触れた瞬間、それを捕まえたのは真のほうだった。
 唐突に襲ってきた、珠恵にも他の女にも二度と触れさせたくないという感情は、真の身体のうちに痛みと共に湧き起こった。竹流のほうも同じ気持ちだということを示すかのように、求めた真に対してそれ以上に狂いそうな勢いで舌を絡めてきた。

 これほどに苦しく相手を求めた口づけは、八年前のアッシジから一度もなかった。真はこの八年間、どれほどの思いだったかということをどうにかして相手に伝えたいと思いながら、竹流の身体の不自由も苦痛も構わずに、ただ貪るように求めた。息と唾液が混じり合い、愛おしさと苦しみも共に相手の身体の奥深くに送り出し、同時に相手の身体の内から苦痛と愛情の全てを捥ぎ取ろうとした。身体の芯が疼き、真は無我夢中で竹流の身体を求めていた。

 そしてやはりこれはきれい事かもしれないと真は思った。この男とキスをするという行為が、性的な欲望とは別の部分で、いつも深い記憶と繋がっている。それは真の脳の奥深いところに残っている、もしかすると太古に小さなひとつの細胞であった頃の記憶だった。
 宇宙に生れ落ちた瞬間の苦痛と期待、小さな細胞が感覚器や脳の発達を持つ以前に覚えたかもしれない生命のざわめき。それは説明のできない気配だった。天や自然の法則はすべて非情なものであると、中国の革命家が語った通り、この世の仕組みには感情の付け入る隙間はない。これはただ非情なざわめきなのだ。誰にも止めることはできない大きな流れだ。

 この時。今ならまだ引き返せる、とふたりともがある異なった事に対して思っていた。
 だが、このキスをきっかけに、結局どちらも引き返せなくなってしまった。

(つづく)





このエピソードは次作『雪原の星月夜』に譲るのですが、そして少しオリキャラオフ会でも出てきましたが、真は19の秋、浦河で崖から落ちて死にかかっています。いえ、多分一度は三途の川を渡りかけたのではないかともいます。
そこから引きずり戻したのは竹流ですが、この時の裏事情については、真には記憶がありません。つまり、何故崖から落ちたのか、事故なのか自殺未遂なのか、真の記憶からは抜けてしまっているのです。逆行性健忘です。
ただ、この事件が、竹流の気持ちを強く揺さぶったことだけは確かです。

<次章予告>
 医師の説明は、だからどうなるのだ、ということまでは明言してくれなかった。だが享志が食い下がると、ようやく核心に触れるような言葉を言った。
「いつどういうことになるかわかりません。つまり急に悪くなるということもあります。しばらくはどなたかが必ず院内にいらしてください」
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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コメント


おお~

更新、お疲れ様です。

美和ちゃんと真の久しぶりのデートだ。やーさんの監視付だけど(笑)
今回も、美和ちゃんの可愛らしさにきゅんきゅんしました。美和ちゃん、真に気づいて(振り向いて)ほしかったんのかなって気がします。なのに……。この二人も、くっつきそうでくっつかないカップルですよね。つか、男って、ほんとにズルい(爆)

そして、噛み合わない会話、ですね。
なんだろう、この会話にあるいちゃいちゃ感は……。付き合い始めて間もないカップルが、相手の異性関係を気にして言い合いしてるような感じがします。竹流がそこまでぶっちゃけても、絶対に別れ話にはならないという安心感があるからかな。萌える、というより、背中がこそばゆくて悶えそうです(笑)

意味深なサブタイトルの意味が、最後の最後にわかりました。
ああ、いま、一線を越えたな。そういう感覚って、そのときにわかったり、あとでわかったりしますが、まさに戻れないところに踏み込んでしまったということなんですね。

次話も、楽しみにしています。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2015/09/15 09:05 [edit]


うん

今回のお話は、やっぱりどこを切りとっても、恋・・・ですね。
どっちも、交差しちゃって、こじれていそうで。
でも、ちゃんと本心では「この人!」と決めた人のことで悩んでて。

美和と真のぎゅっ、を、お付きの男たちに見られてるのがなんだか残念な><
もっと遠慮して隠れてくれたらいいのにw

美和も、仁とのことで、気持ちはいっぱいいっぱいのはずなのに、真と竹流の事は別腹で心配できちゃうところが、ある意味強さですよね。
真にはこんな、守ろうとしたら逆に守られてしまう的な女の子が必要なのになあ~~。

そして竹流と真ですよ。
うん。 痴話げんかですね! とても重いはずなのに、なんかすごくかわいい痴話げんかに見えてしまうところが(笑)

でも、珠恵さんの話題を振って、その反応を聞いちゃった真の動揺が、可愛いし、哀しいですね。
やっぱり勝てないと思ってるんだろうなあ。
竹流、そんな風に言うところが、まだ100%回復してない証拠なんでしょうね。

ああそうか。うん、それでこのサブタイトルかあ。
何か、真の中ではじけてしまった・・・というか、あふれ出してしまったんですね。
ここからどんどん、内側からあふれ出してきちゃうのかも。
次回は、もしかしたら竹流の容体が・・・?
気になります。

lime #GCA3nAmE | URL | 2015/09/15 22:47 [edit]


美和ちゃんが気丈で健気。この歳でこれはよくできた子だね。
(って、どっかのばあちゃんみたいだ><)

線上のなんとかはどれも危うげな雰囲気なのですけれど、これも・・・
相手を理解したい、わかりたい、けれどもその前に、自分を?
真がだんだんと自分なりに自分を理解してきているような・・・
理解しきった時、どうなってしまうのでしょうか。
じっくりと追ってまいります。

けい #- | URL | 2015/09/16 21:53 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

> 美和ちゃんと真の久しぶりのデートだ。やーさんの監視付だけど(笑)
ほんとだ、やーさんの監視付き^^; でも、一応デートの認定を頂きありがとうございます(^^)
美和ちゃんと仁さんについては、真と竹流のイジイジな感じを吹き飛ばして「言いたいことを言ってもらう」というのが一番の(作者から見た)役割なので、うん、ここでは「男ってずるい」って言ってもらわないといけませんからね(*^_^*)
美和ちゃんもあれこれ辛いのですが、このお話では主役二人を押しのけて、読んでくださる人に癒しをお届けするのもお仕事。癒されていただいてきゅんきゅんしていただいて、ありがとうございます(^^)
美和は真に振り向いて欲しかったのもあるのですが、どちらかというと、真を見ていると、いつの間にか立場が逆転するのも彼女らしいところですよね。何てのか、「もう、しっかりしろよ!」って気持ちになるのかもしれません。くっつきそうでくっつかないけれど、これからもしっかり「尻に敷いて」いただこうと思います。

そして、がるる……(じゃなくて)「噛み合わない会話」
悶えてくださってありがとうございます。前後を読んでも大した内容はないのですが、もう「なんなんだよ!」って突っ込んでいただいたらそれでいいかなぁと。ここはもう、本当に「お前ら、勝手にやってろ」で十分でございます(^^) 背後ではすごく大変な話になっているのですが、それを少しだけ忘れていただければと思う会話でもあります。
でも、実はこのあたりは書きながら足掻いていたのですよね。うぅ、このままでは前に進まない! って。放っておいたら、このままいちゃいちゃし続ける話になっちゃいそうで、心の中では「復讐は~??」って叫びながら書いていたという。
でも、いよいよ次回くらいから徐々に復讐に向かって進むはず……かな??
何はともあれ、お楽しみに!(って、またとんでもない展開になるけど、目をつぶってね!)

> 付き合い始めて間もないカップルが、相手の異性関係を気にして言い合いしてるような感じがします。竹流がそこまでぶっちゃけても、絶対に別れ話にはならないという安心感があるからかな。
これはまた、いい得て妙! そうそう、まさに付き合い始めて間もないカップル。そしてぶっちゃけても別れ話にならない! とうとう、誰ともこじれないという妙な自信がこの男にはあるんだな~(根拠のない自信だけれど^^;)

> ああ、いま、一線を越えたな。そういう感覚って、そのときにわかったり、あとでわかったりしますが、まさに戻れないところに踏み込んでしまったということなんですね。
うん。「あ、ここだ」と思う境界線。そこで少しだけ立ち止まればよかったのにね。でももう、越えちゃったんですよね。あ、別にいちゃいちゃの関係に進んでいくという境界線ではありません。そもそも、もともといちゃいちゃなので? ここで越えたのは別の境界なのです……
次回からまた少しだけ過去の話が混じっていきますが、お楽しみになさってくださいませ(*^_^*)
いつもありがとうございます!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2015/09/16 23:27 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

> 今回のお話は、やっぱりどこを切りとっても、恋・・・ですね。
うん……もうここは解説が難しいので、認めちゃうことにしました。というよりも、まぁ、言い訳するだけ無駄?
思えばこの人たち、昔の人たちで、つまり感情の多様性が現在ほど複雑ではなかったのかもしれません。感情も、することも、思うことも、きっと今よりはずっと単純で直接的だった時代。今のように溢れかえる情報もなくて、ただ一筋に誰かを(何かを)求めることができたのかも。でも、だからと言って簡単かというとそうでもなくて、中身は深かったかもしれませんね。やたらめったら自殺未遂を繰り返した某有名作家をみていても、恋の内容も生死についても、とてもシンプルで、そして深い。
だから、まぁ、この二人のことも、恋愛かと言われると「う~ん」なんだけれど、今回はもう「恋でいいか!」……と、またマコト化してしまいました^^;

> でも、ちゃんと本心では「この人!」と決めた人のことで悩んでて。
あ、そうか! うん、そうかもしれませんね。決めてるんですけれど、認めたくありませんよね。いや、性別の問題がなくても、もう「滅相もない」ってお相手ですから。いや、これ、もしかして男女だったら、絶対に速攻で身を引くだろうな~。詩織とロレンツォの時代になったからこそ、「好きだから一緒になろう」って言えるのだけれど。
えっと、いや、その前に、真が「こんな面倒くさい男、やっぱりやだ」と思ってるな、きっと。(だから、そんな色っぽい話じゃないんだって!)

> 美和も、仁とのことで、気持ちはいっぱいいっぱいのはずなのに、真と竹流の事は別腹で心配できちゃうところが、ある意味強さですよね。
> 真にはこんな、守ろうとしたら逆に守られてしまう的な女の子が必要なのになあ~~。
うふふ。美和はですね、まさに「生涯一ミーハー」(わが友の名言)です。つまり、自分の恋も大事だけれど、自分が誰かとくっつくことよりも、より魅力的なカップリングを見守っていたいという親心の持ち主?(いや、だから、そんな話じゃないって!)
この子は何だか、時々、物事をすごく俯瞰しちゃうんですよね。渦中にいるけれど、不意に「作者目線」に近くなったりして。それがまたおいしいのですけれど、でも、つまり、(作者が登場人物たちに愛情を注ぐように)愛情にあふれているのでしょう! うん!!

> そして竹流と真ですよ。
> うん。 痴話げんかですね! とても重いはずなのに、なんかすごくかわいい痴話げんかに見えてしまうところが(笑)
はい。こっちはもう、放っておきましょう! そもそも、本人たちは大まじめでも、何だか滑稽に見えてしまうところがまた何とも……ですよね。多分、本人たちは何の気なしにじゃれ合っている(マコトとタケルのレベルだ)んでしょうけれど、事が事だけに結構重要な話になっていても、何だかはぐらかし合っている感じで核心になかなか近づけない状態。で、思わず、あらぬところで本音が出たりして。竹流は……どうでしょう。まだからかっているのかもしれません。

境界線上の……は、ね。いや、本当にここを書いている時、「あれ? このままだと復讐に行きつかないじゃん!」と焦っていたのです。だって、だんだん竹流が回復して、何となく日常が返ってきて(三角関係のもつれはあるけれど)、穏やかに痴話げんかしてんじゃないよ!って私はじりじりしておりまして。
だからここで、最後に煽ってくれる悪人キャラを登場させる破目に。真の複雑な感情の中でくすぶっていた火に、思い切り油を注いでくれます。彼らが引き返せない境界が、色恋の話なら良かったんですけれど……次回第5節の立役者(またもやオッチャンだけれど)をお楽しみに! 

> 次回は、もしかしたら竹流の容体が・・・?
> 気になります。
あ。はい……これもまた、作者としてはやむを得ない措置。これ以上竹流が何もしないように、ベッドに縛り付けておくためでして……^^;^^; あ~、もうほんと、limeさんにはあれこれ小技を見抜かれているんだろうな~^^;
でも、次回もぜひ、お楽しみに! コメントありがとうございました!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/09/17 00:48 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

> 美和ちゃんが気丈で健気。この歳でこれはよくできた子だね。
> (って、どっかのばあちゃんみたいだ><)
うふふ。そうそう、美和って、本当に時々急に「お母さん役」になっちゃうんですよね。いや、真も何でこの子とくっつかなかったんだか……彼女がお母さんになっちゃう理由が、彼女のコンセプトが「私たち(書き手であり、読み手であり)」だからかもしれません。何かに巻き込まれつつも、いつも少し離れたところからも見ていて、私たち(書き手=読み手)を置いてけぼりにしない、という役割(だって、真と竹流なら、あまりにも「おい!」な連中なもので、普遍な子が必要だったのですよね)。
とは言え、この先(次作になりますが)、彼女にも大きな試練がありますが、今回は清涼剤として、彼女が登場する場面ではご心配なく、読んでいただけることと思います(^^)

> 線上のなんとかはどれも危うげな雰囲気なのですけれど、これも・・・
うんうん。ありがとうございます。「好きだ!」「俺も(私も)!」ってシーンではありません。はい、本当のところは「あぁ、気が付いちゃったか。君はそもそも野生なんだよ。群れを守るためなら火の中水の中な人間。相手をどこまでも追い詰めちゃう。それは実は敵に対してだけではなく、味方に対してもそうなのかも!」という感じで。
相手のことを理解するよりも、もう丸ごと奪ってしまおう(食ってしまおう)、という心かもしれません。
次回からまた、少し回想シーンが混じって行って……竹流の本音も炸裂。ぜひともお楽しみください!
コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2015/09/17 00:59 [edit]


ようやく戦線復帰

こんばんは。

お、彩洋さんがようやく認めたぞ。そりゃこのシーンで「これは恋じゃありません」と言われてもなあ……。というのは、さておき。

美和は、若くてもちゃんとまっすぐに見ていますね。
「男ってずるい生き物よね。はっきりと君じゃないって言えばいいのに、まだ気持ちを繋ぎ止めようとする、そういう言い方は一番嫌い。心の中では別の願いがあるのに、それを自分自身にも誤魔化しているってのはもっと嫌い」
って、このセリフ、よく言った! 真はこうやって言ってくれる美和がいるけれど、竹流は珠恵さんに甘やかされているなあ。まあ、それを選んでいるのもまた珠恵さん自身なんだけれど。

北条の若い衆、無粋ではあるけれど、邪魔をしないところがチンピラとは違って、いい人たちじゃないと感激してしまいました。周りがいい人たちでも、たとえボスが立派でも、やっぱりヤクザはヤクザだから、美和はそれでも仁に付いて行けないと思うのかなあ。うん、世の中、難しい事がいっぱいです。

そして、次回は、真がまた言う事をきかずに動き出してしまうのでしょうか。ヴォルテラパパ、いまのうちに早く片付けちゃいなよ! って、訳には行かないんだろうなあ。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/09/20 00:19 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

こちらにもありがとうございます!!
あ、えっと……ようやく認めたのか、始めから認めていたのにそうじゃないふりをしてきたのか、あるいはやっぱり本当は恋じゃないんだよって気持ちなのか……相変わらずどっちつかずの作者ですが、そこはもう、皆様に解釈をお任せしようと思います。人間関係って、複雑ですよね。恋も友情も、家族的な愛も、ぱしって割り切れるものじゃありませんし^^;
というわけで、相変わらず宙ぶらりんの大海なのでした。
ま、この人ら、「愛情」の表現が直情的だったり、逆にものすごく無理して理知的(というのか、隠れ蓑?)だったり。だからちょっと放っておきましょう!

美和はこの物語の清涼剤なので、あんまり複雑な感情を持っていないのかな……いや、もう主人公二人が複雑すぎるので、やっぱり複雑じゃない人物もいなくちゃね!
「男ってずるい」発言は、美和だからこそ、バシッと言ってくれました。これからもしっかり真を教育して?欲しいものです。
そして、うぅ、確かに竹流は甘やかされていますね。いや、この男、本当に甘え上手で、実はやっぱり策士で。でもそれを分かっていて、珠恵は掌の上で竹流を転がしているような気もします。そんな女だからこそ、この男の相手ができるというわけで。細かいことに拘る女だと務まらない。いや、女はそもそも細かいことにこだわるものなのですけれど。

北条の若い衆にとって仁の言うことは絶対だけれど、ある意味、美和も美和で大事なんですよね。ちゃんと彼ら自身の判断でやってくれることもあって。あ、もちろん、ビジネス?ではそういうわけにもいかないでしょうけれど。
仁とのことはあれこれ複雑ですが、今回は一応ハッピーエンドです。でも、次作ではこじれています。まだまだ彼らの先も長い……本当に、人生って七転八起ですね。いや、最後の最後は起き上がってもらわなければ。

> そして、次回は、真がまた言う事をきかずに動き出してしまうのでしょうか。ヴォルテラパパ、いまのうちに早く片付けちゃいなよ! って、訳には行かないんだろうなあ。
はい! お話ですからね! かならず主役はピンチに陥らなければなりません。ヴォルテラパパは神の視点なので、細かいチンピラのことは分かりかねるのかも。自分が動けない分はしっかり、あちこちで見張りを使っていますから(誰のことかしら)、「敵を特定したら容赦しない」つもりみたいですが、まずは「燻り出す」必要がありそうです。
飛んで火に入る真ちゃん、引き続き、よろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます!!(*^_^*)

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/09/23 02:15 [edit]

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