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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨148] 第30章 巷に雨の降る如くに(6)泡になる 

 魚の焼き加減を相談……
「オレはもうちょっと生のほうが好みだけどなぁ」
「君はそうだろうけど、ニンゲンにはちょっときついよ。もうちょっと焼いといてもいいかな」
「うん、まぁ、今日んとこはお前も腹具合、わるそうだしさ、そこはゆずるよ」
ってな会話を交わしていたんでしょうか、魚の焼き加減を相談するトニーと真。
(今回の本文冒頭をご参照ください)

……これは、『海に落ちる雨』を友人に読んでもらったときに卓上製本器とじ太くんでA5版の本を作った時、中表紙に使った一文。
竹流から見ると、彼らはこんな会話を交わしているように見えた、のかな(^^)?

というわけで(?)、【海に落ちる雨】第4節・最終章(第30章)『巷に雨の降る如くに』 その(6)です。この物語はアンデルセンの『人魚姫』をベースにしていると、以前どこかに書かせていただきましたが、その片鱗が見えるかも? こちらでは「王子」も「人魚姫」もダメダメだけど。

感情の流れを切りたくないなぁと少し迷ったけれど、あまりにも長いのでやっぱりあと3回に切ることにしました(実は適切な切り処が無くて、無理矢理切った)。その代り、5日おき更新の予定でしたが、他の小説をちょっと後にして、4日おきにさっさと終わらせることにしました。このままだと、いつまでも竹流の独白に振り回されるし^_^; いつ第5節に入るのやら、そしていつ、この話が終わるのやら。
したがって、第4節は今回を入れてあと3回。
本当にこんな怒涛の独白ですみません……えぇ、もう笑ってやってください(開き直っている大海^^;)。

【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



 どうせ勉強などできる状態ではないだろうと、高瀬に軽トラックを用意させて、友人の声楽家が所有している山に連れて行く。車のドアを閉めかけた時、お前は何をするかわからないからついて行ってやる、とばかりにトニーが助手席に飛び乗って、真の膝の上におさまった。
 山の奥深くにある滝まで連れて行き、川で魚を採って河原で焼いた。

 真はまだ半病人のように苦しそうに見えたが、竹流の言うままに素直に、トニーと一緒に串に刺された魚を見張っていた。軽トラックに積んであった椎茸やら野菜類を持って戻ってくると、真と猫は当たり前のように並んで、魚の焼き加減について相談しているように見えた。
 トニーは本当にこいつが気に入っているんだな、と竹流は思った。真と一緒にいると、猫にも犬にも馬にも、人間と通じる確かな感情があることを理解できる。

『食べれるか?』
 朝から腹具合が悪かったのは分かっていた。それでも真はうんと頷いて、魚を串から抜いて解すと、まずトニーに分けてやった。トニーは一旦顔を近付けて、まだ熱いじゃないかと文句を言うように顔を上げたが、しばらく待ってから、ふがふが言いながら食べ始めた。

『昨日、尋ねたろう? どうして修復師になったのかって』
 ごめん、と真は言った。
『もういいよ。言いたくないことを聞いたんだろ』
 あの時、竹流が向き合っていたイコンを見て、真はどうしてそれを修復しないのかと問いかけてきた。修復師なのに、どうして修復しようともしないんだと。それで竹流が怒ってしまったと思っていたらしい。
『宇宙を見たんだ』
 竹流は炭を足して火を加減した。川のせせらぎの音に混じって、炭がパチンと爆ぜた。トニーが驚いたように顔を上げ、それから、なんだ、気をつけろよというように竹流を睨んで、顔を洗い始めた。
『宇宙?』
 ふと、真の視線が天空を仰ぐ。空は淡い青と透明を湛えて、遠くまで澄み渡っていた。

『空の上の宇宙じゃない。聖堂の中に宇宙を見たんだ。子どもの頃、打ち捨てられた廃墟のような教会にもぐり込んで、中に残された絵や彫刻を見るのが好きだった。ある時、廃墟だと思っていた教会の中に入って、目を疑った。笑うかもしれないが、本当に空から天使が降りてきたんだ。見上げると天井には星が瞬いていて、ちっぽけな俺を包み込んでいた。誰もオルガンなど弾いていなかったのに、神を讃える音楽が聞こえた。祭壇も十字架のキリストの顔も、天窓から漏れる光で黄金に照り輝やいていた。足元のタイルも磨き上げられていて、ファザードに描かれたフレスコ画が見事な色彩で蘇って、キリストの生涯を浮かび上がらせていた。あの瞬間、俺の魂の行く先が照らされたと感じた』

 真は膝を抱えるようにして、じっと燃える火を見つめていた。寒くないかと聞くと、小さく首を横に振った。
『むさ苦しい浮浪者のような男がフレスコ画を修復していた。凄まじいスピードと気迫だった。俺は毎日のように教会に通った。それが俺の師匠、エウジェニオだ。伝説ともなった修復師だが、ある時、俺の目の前で爆破事故に巻き込まれて片腕を失い、一週間後に敗血症で亡くなった。女を刺して刑務所に入っていた男で、人生を見限った目をしていたけれど、絵画や彫刻を前にしたときだけはまるで違う目になった。その手は血と絵具ですっかり色が変わっていたけれど、神は間違いなくその手に宿っていた。月並みなことを言うようだけど、その神の手を無くしても生きていてくれさえすれば良かったんだ。彼は、俺にこの右手を与えてくれた。彼の魂が、ここにまだ生きていると、そう感じる』

 トニーが毛づくろいを終え、真にぴったりとくっついた。普段はまるきりふてぶてしい猫だが、真にはまるでねだるように顔を見上げてから、その膝に乗った。真の手がトニーの背中を何度も撫でていた。
『あのイコンは、俺が死なせてしまった画家が描いたものだ。その男の描く絶望が俺を震わせ揺さぶった。もっと絶望して描いて欲しいと思った。俺の中にある絶望がそれを求めたからだ。俺は幼く、愚かで残酷だった。その男を更なる絶望へ追い込み、死なせてしまった。いや、死なせてしまったんじゃない。殺してしまったんだ。罪というものは、犯してからその愚かさに気が付く。エウジェニオは何も聞かず、俺を受け入れてくれた。彼には言葉はなかったけれど、彼の手が蘇らせた作品は俺を支え、彼が授けてくれた技術と知識が俺を救ってくれた。そのエウジェニオも、結果的には俺が死なせてしまったようなものだ』

 真は何も口を挟まなかった。トニーも黙っていた。竹流は風に煽られて赤く揺れる火を見つめていた。
『あの画家の描いたイコンのキリストは、裏切った民衆を憎んでいる。自分を見捨てた神に絶望している。だからどうしても修復することができない。その目とまともに向かい合う勇気がないのだろう』
 川面から風が吹きよせている。ふと顔を上げると、真がじっと竹流を見つめていた。その目は彼を許すとも救うとも言わなかった。ただ、そこから動かずに、ただその場所に留まっていた。

 屋敷に戻ってから、今日は早めに寝るようにと言ったが、真は何を思ったのか、竹流に抱きつくようにして求めてきた。そういうことをするとは思っていなかった竹流は、昨夜のことは完全に棚に上げて、狼狽えた。
『お前、明日試験なんだぞ。絶対に無理だ』
 真が何を考えていたのかは分からない。ただ離れることが、それは全く考えられないことに、身体が二つであること自体が不安なのだとでもいうような気配だった。
 結局、我慢できなかったのは竹流のほうだった。昨夜のようではなく、優しく扱うという理性を保とうとしながら交わった。真は自分から求めておきながら、何度か、明らかに痛みのためだけに気を失っていた。やめようか、と聞くと、やめないでと蚊の鳴くような声で答える。

 こいつの不安は何か根源的なものなのだろう。赤ん坊のときから母親というものに、ただ無償の愛情で抱き締められたことがないのだ。真の祖母の奏重から、息子という存在と同じように、あるいはそれ以上に可愛いと思う気持ちがあったにもかかわらず、何故か少し愛情を注ぐことへの照れを感じてしまっていたのだと、悔やむような言葉を聞かされた事があったが、もしも奏重が孫を手放しで可愛がったとしても、母親不在の喪失感を埋めるものにはならなかっただろうと思う。
 それは親に捨てられたという事実は、どうあっても消えないからだ。真はそのことで自分が落ち込んだり悩んだりしているとは決して認めないし、どちらかというと、世の中と上手くやっていけない理由を目と髪の色のせいにしようとしている。だが、本当は少し違うのだろう。

 竹流自身はまだ興奮していて本当ならもう一度は、と思わないでもなかったが、いくら何でももう無理だろうと思って抜こうとすると、真は締め付けて離そうとしない。
『痛いだろうに。出血している。これ以上は無理だ』
 昨夜あれほど残酷に責めたのに、竹流は、さすがにその日は理性を取り戻している自分にほっとしていた。真はそれでも彼にしがみついていた。

『泡になる』
 真がうわ言のように呟くので、何かと思って顔を見ると、真は目に涙を溜めてどこかあらぬところを見ていた。泡、と竹流が聞き返すと、しばらくして我に返ったのか、何でもない、と目を閉じる。
 結局もうそれ以上は、と嫌がる真から無理に身体を引き離し、高瀬に傷の手当をしてやる準備とシーツの交換を頼んで、バスルームに連れて行った。真は何も言わなかったが、竹流に靠れ掛かっていて、時々喘ぐようにしゃくり上げるので、ずっと泣いていたのかもしれない。傷の手当を済ませ、ナイトキャップにほんのわずかだけブランディを舐めさせると、ようやく落ち着いたのか竹流の腕に甘えるようにして目を閉じた。

『子どものとき、ひいおじいちゃんの屋根裏に上るのが好きだったんだ。ひいおじいちゃんはクリスチャンで、沢山外国の本を残してた』
 こいつが子どものときの話をするのは初めてだな、と竹流は思った。
『人魚姫の話を読んで……多分ちゃんと読めてたわけがないから、絵で想像していただけなのかもしれないけど、すごく怖くて、何日も吐き戻してた』
『怖い?』

『後から読んでも、その時何を感じたのかよく分からないけど、それほど間違ったことをしたわけでもない、ただその人を愛しただけなのに、叶わないというだけで泡になるのが怖かったのかもしれない。魚なのに、人間を好きになったことが間違ってたのか、その想いを叶えるために声や命を差し出したのが間違っていたのか、その契約を交わす相手を間違えたのか、いずれにしても、声を失ったために、その人の言葉も想いも王子には届かなかったんだ。でも言葉が喋れても、想いは簡単には伝えらない。それが恋愛じゃなくても。それなら、その人は何のために生まれて、何のために王子を愛して、どうして穏やかな海の中での暮らしも何もかも、全てを捨ててしまったんだろう』

 竹流は黙ったまま真の髪を撫でていた。
『そうしたら、アイヌのおじいちゃんがおまじないの言葉を教えてくれた。カント オロワ ヤクサクノ アランケプ シネプ カ イサム』
『お前、小学生の頃だったか、時々それを呟いてたな。どういう意味なんだ』
『天から役目なしに降ろされたものはひとつもない。とても大切なアイヌの教えだって』
 竹流は不思議と穏やかな気持ちだった。

『俺は子どもの頃、俺が王子だったら人魚姫を泡になんかしない、と思ってたな』
 真は竹流の腕の中でゆっくりと顔を上げる。碧の目はベッドサイドの明りを吸い込んで静かに搖れていた。
『俺はきっと選び間違えたりしない、と思った。だけど、あの物語の本当に残酷なところは、人間のお姫様のほうも本当に王子を愛していて、心の優しい善い人だってところなんだ。でも、俺は、人魚姫を泡にしないことのほうが大事な仕事に思える、と言った。俺を育ててくれた人は、それならそれがお前の仕事だと』

 竹流は何かが身体の奥の、確かに少年の頃、その場所にずっと空洞があると感じていた場所から突き上げてくるような激しい感情を覚え、言葉を切って、そのまま真を抱き締めた。
『俺はお前を泡になんかしない。だから安心してお休み』
 一晩中愛おしさのあまり狂いそうな激情と、穏やかで優しい気持ちとに挟まれるようにして、結局眠れなかった。真は納得したのかどうか、眠っていたように思うが、例の如く馬並みの短い眠りのスパンを繰り返していただけなのかもしれない。

 それでも翌朝になると、真はまるで何事もなかったかのように淡々と起きて準備をし、受験会場に向かった。
 会場まで送ると言ったが、真はひとりでバスと電車で行くといってきかなかった。とりあえず駅までは車で送っていき、大和邸に戻ってくると、執事の高瀬が車を洗う準備をしていた。竹流が洗車を含め車の手入れだけは自分ですることを知っていて、落ち着くためにはいい仕事だと思っているようだった。確かに、真が出掛けてからも竹流はずっと落ち着かなかった。高瀬には何もかも見透かされている、と竹流はひとり苦笑いした。
 屋敷にある五台の車全てを懇切丁寧に洗った。昼を回ってから今度は古文書と格闘した。それでも時間が経つのは遅かった。

 夕方になってたまらなくなってバス停まで迎えに行ったが、乗っているはずのバスから真は降りてこなかった。そのままバス通りを辿り、幾つか先のバス停でしゃがみこんでいる真を見つけたとき、腹の底から押し上げてくる想いに焼かれて、一瞬竹流は気が遠くなった。俺はこれほどにこいつが愛おしいのかと思った。ひと時も離したくないと考えていたのかと、確かに知った。今直ぐにでも抱きたいと、そう思った。
 だが車を降りて抱き上げると、真はものすごい熱で、意識が半分飛んでいるようだった。慌てて屋敷に連れ帰り、高瀬に医師を呼ばせた。

 医師は桐野敏という名前の竹流の仲間でもあり、大きな病院を構えている開業医の息子で、父親の方もその筋では、いわゆる『弾丸傷』を治してくれる医者として密かに知られていた。桐野は上背があって、横幅もかなりあるが、しばしば戦場にボランティアに行っては、がりがりに痩せて帰ってくるような男だった。
 桐野は診察を終えると、にたりと笑って、お前、相当苛めたな、と言った。反論する気にもならず、ただ認めた。
『お前にそっちの趣味があるとは知らなかった』

 冗談はよしてくれ、と竹流は答えた。大丈夫かと患者の病状を聞くと、桐野はまた意地悪く笑った。この男は竹流をからかっては面白がるという悪い癖を持っている。勿論、普段ならからかわれても全く堪えないのだが、その日だけは勝手が違った。
『男を初めて知って、知恵熱でも出たんだろう』
『今日大学の入試だった。疲れてるんだ』
 桐野は口笛を吹いた。
『今日入試の未成年を玩んでたのか』
『緊張で潰れてしまいそうで、見ていられなかった。それに、そいつは俺が初めてというわけじゃない。それに、大体玩んだわけじゃない』
 竹流は落ち着きなく必死で言い訳をしたが、途中からは本音だった。その様子を見たからか、桐野はからかうのを辞め、分かったよ、そういう顔をするな、と言った。

 桐野は竹流を放っておけないとでも思ったようで、一晩中患者の傍をうろうろしていた。そして、何かの拍子に竹流の顔を見て不意に言った。
『お前もそんな顔をするんだな。うちのお得意さん達がよく、あの世界で愛する女を守れるようになって一人前と言ってるが、まさにその通りだ。知りあった頃のお前なんて、ガキだったからな。俺も人のこと言えた義理じゃないが、一人前に突っ張ってても、ガキの騒いでるのと変わらんと思ってたよ。まぁ、もっともお前には光るものがあったけどな、今は眩しいくらいだ。襲いたくなるな』
 竹流が睨みつけると、桐野はまた面白そうに笑った。
『しかし、昇の奴が知ったら大変だな。お前に男が抱けると知ったらややこしいことになるぞ』
 相変わらず桐野はニタニタしたままだった。とにかく揉め事になるのが嬉しくて仕方がないとでもいうようだ。

『そんなに単純じゃない。これは何かもっと別のことだ』
『欲情したわけじゃないとでも言うのか。そりゃあ、お前、言い訳だぞ。欲情しないでここまでのことができるか』
 確かに女に対してはいつも男として真っ当な形で欲情していたが、そういうものとは違うような気がしていた。いや、それでも言い訳だったかもしれない。
 桐野は、汗で額に張り付いていた真の髪を掻きあげて、そっと頭を撫でた。それは子どもに対する仕草で、竹流に、お前が犯した相手はまだ年端も行かない子どもだぞ、と意見するように見えた。
 その時突然に、自分がしたことは合意の上の行為ではなく、暴行に近いものだったかもしれないと思い至った。

『お前が本気になっているのを初めて見たよ。お前さんは誰にでも優しいが、誰も愛していないからだ。寛容に見えるのはどこかで冷たいからだ。俺はそう思っていた。むろん、お前は誰のためにでも何のためにでも命懸けで仕事をするし、誰かが不当に受けた痛みに対しては強い怒りを覚える、そういうやつだが、それは組織の長としての感覚であって、愛情という意味では冷たいやつだと思っていた』
 竹流は顔を上げ、桐野を見て言った。
『女を愛するのは簡単な事だ。だが、こんなことは初めてだ。過去にこいつを抱いたやつに対してまで嫉妬するなどとは思いもよらなかった。嫉妬という感情すら初めて味わった。こんなのは処理できない。熱を出しそうなのはこっちの方だよ』
 情けない声を出していると思った。

『ものすごく良かったってことだな』
『何が?』
『セックスがさ。そんなに感じたのは、お前の方も初めてなんだろう。惚れた腫れたどころか、完全にイカれたな』
 桐野は単純な話じゃないか、という顔をしていた。竹流は自分の腹の中心に強い痛みを覚えた。確かにそうかもしれないと思った。
 桐野は諭すように続けた。
『だがな、関係を長続きさせる方法はセックスをしないことだ。特に相手がまだ子どもの時はな、お前の方が器のでっかい人間だと相手に思わせておくことだ。相手が参っているときに抱いて慰めてやるのは大いに結構だが、下手には出るな。多分今のままお前がこいつのとのセックスに溺れちまうと、こいつを壊しちまうぞ。どう見たって、お前の方がこいつに溺れちまってるんだから、本気で手放せなくなる。冗談じゃなくて、やり殺しちまうぞ』
 帰り際に桐野はもう一度、竹流の顔をたっぷり一分は見つめて、例のごとくニタリと笑い、くれぐれも壊すなよと言った。

 忠告は守れなかった。イタリア旅行の間、竹流は勿論気を使っていたし、不安を抱えながらもひどく幸せだった。身体を合わせると一晩中、あるいは丸一日離したくなくなった。何もせずに抱き締めて眠る夜もあった。真は不思議そうに、しないのか、と聞いた。したいのか、と聞くと、真は暫く真剣な顔で考えて、小さく首を横に振ると安心したように彼の身体にしっかりとひっついて眠りに落ちた。動物の子どもと変わらないな、と竹流は思っていた。

 昼間の明るい日の中で飛び切り美しい景色を見た夜は、竹流も真も幾らか興奮して気持ちが昂ぶっていることもあった。そういう日に限って、真のほうから竹流を求め、竹流の腕の中で泣いていた。
 女たちも泣くことはあったが、多かれ少なかれどこか芝居がかっているような気がしていた。だが、真の涙は竹流を酷く不安にさせた。どうしたのかと聞くと、真はただ首を横に振った。竹流はたまらなくなって、その身体をより強く抱き、その奥をより深く貫き、額に口づけた。真は竹流の耳元でこわい、と呟いた。何が怖いのかと聞いたが返事はなかった。嫌ならそう言え、と言うと、真は、もっと、とだけ言って強く彼を求めてきた。
 ただ愛しく、ただ幸福で、そしてただ苦しかった。

(つづく)





【雑記・小説】視点と人称~物書きブログテーマ(1)~ で、竹流視点の時は「俺は」は無くて、基本的に「彼は」だと書いたけれど、本当に竹流の感情が強い部分だけは「俺は」になっていることに気が付きました。それだけ、彼の感情がこの独白部分に籠もっているということなんですね。
さて、あくまでも神の戒律から逃れらない竹流の本質、そしてそれを覆すほどの強い想い、その狭間で苦しむイタリア旅行。あれ?「新婚旅行」じゃなかったのって? う~ん、この新婚旅行の顛末は、ある意味では「成田離婚」なんですよね(いや、そもそも例えがおかしいけど)。

<次回予告>
『大海原に浮いていて、明日をも知れない、ただ神の言葉ひとつを頼りにしている』
 竹流は、不思議そうに彼を見上げる真を見て、少しだけ笑った。
『もっとも、俺たちの行く末は地獄のほうかもしれないな。もう頼りとするべき神の言葉も聞こえない』
 真の顔は穏やかで静かだった。怖いか、と竹流が聞くと、地獄が、と問い返してきた。竹流は答えずに真を抱いた。怖いのは地獄じゃない、と真が耳元で囁いた。
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Category: ☂海に落ちる雨 第4節

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コメント


うんうん

桐野医師、なんかいいなあ。竹流の事をちゃんと分かってアドバイスしてる。
きっと竹流も、何が良くて何が行き過ぎなのかは分かってるんだと思うけど、それでも歯止めが効かないのが真実の愛なんだろうなあ。いや、愛って言うのとはまた違う・・・。愛でも恋でもなくて、なんでしょうね。欲、性?

このころは、真自身も歯止めがきかなかった時期ですね。
半分しかなかった自分が、ひとつに補われるような安心感があったのでしょうね。もともと真は、ひとつの個体じゃなかったのかも、なんて思います。
その半分をようやく見つけて、ひとつになる方法がこれしかないんだもん。辛いなあ。
傍に居るだけでいいなんて言うのは、完全体のヘテロのささやきに過ぎなくて。真、苦しかったよねえ。
人魚の話、出てきましたね。
やっぱり、完全体でない人魚姫にイメージが重なります。
ひとつにならないと、泡になって消えてしまいそうな不安。
真はそれ自体でも意味のある一人の人間だよって、諭されても、満たされなかったんだろうなあ。

カント オロワ ヤクサクノ アランケプ シネプ カ イサム
この言葉の意味は、ちょうど今更新中のNOISEの隠れテーマに近いものがあって、ドキッとしました。(まだ隠れちゃっていますが)

ああそうか、あのイタリア旅行は成田離婚。なんとなくわかります。
その辺の事も、このあと語ってくれるんでしょうか。
楽しみにしています^^

lime #GCA3nAmE | URL | 2015/10/07 08:17 [edit]


更新、お疲れ様でした。

鮎かっ、天然ものの鮎なのかっ……。
すみません、以前に福島県の田舎で所望した天然ものの焼き鮎や、すこぶる美味しかったもので、つい興奮してしまいました。トニーになりたい(笑)
真と竹流って、やはりグルメですよね。毎回、いいものを食べていらっしゃる。

桐野医師、なかなか役に立つ男ですね。仁さんとは違う意味で、漢だし。医者と弁護士と警察とヤ●●に知り合いがいれば、最強だと聞いたことがありますが、まさに竹流も真もそれですね。なぜその人脈をもっと活用しないんだろ(笑)

「人魚姫」は、ほんとうに悲しい物語ですね。でも、ああいう制約というか代償つきの恋愛物語って、ぐっときます。竹流、人魚姫を救うと言っていますが、それって難しいことだなぁと思います。それができるのなら、救われる人は多いだろうな~。
この頃の真は、ほんとうに不安定な感じですね。ほっとけない感が溢れているし。真は、完全に竹流におんぶにだっこ状態ですが、なんか竹流もそんな真との関係に依存しているような気もするし……。『天から役目なしに降ろされたものはひとつもない』 この言葉、ずしりと重いですね。

この先の展開、新婚旅行のあとは成田離婚なんですね。これは目が離せないですね。
次話も、楽しみにしています。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2015/10/07 18:57 [edit]


ううむ

こんばんは。

「人魚姫を泡にしないことのほうが大事な仕事」だと、「それがお前の仕事だ」と認めてくれたはずの人は、でも、その仕事をさせるための道は用意してくれなかったのか……。そして、自分もまた、人間のお姫様を囲っちゃったんだ。

その時の言葉はとても真剣で、想いが変わった訳でもないのに、なんか上手くいかないことってありますよね。しんみり。

TOM-Fさんと同じ。そのとれたてのお魚、まずはトニーが食べるんだ。まあ、食べるだろうけれど、いいなあ……。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/10/08 05:46 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

> 桐野医師、なんかいいなあ。竹流の事をちゃんと分かってアドバイスしてる。
竹流の仲間みたいな男ですが、変な奴が多いです。竹流が日本にやって来た当初、若くて(今も若いけれど)無謀で(今も結構無謀だけれど)、そんな彼と損得勘定抜きで付き合ってくれている連中が何人かいます。その一人なんです。その頃、竹流が某家の御曹司なんて、誰も知らなかったと思うし(オーラはあったと思いますけれど。腐っても鯛……あれ? 例えが変だな?)、そんな中でできた人間関係なので、言いたいことを言うんでしょうね。仲間たちはみんなそんな感じです。
本編ではなかなか出す機会がない人たちなので、たまにこうして登場。

> きっと竹流も、何が良くて何が行き過ぎなのかは分かってるんだと思うけど、それでも歯止めが効かないのが真実の愛なんだろうなあ。いや、愛って言うのとはまた違う・・・。愛でも恋でもなくて、なんでしょうね。欲、性?
うんうん。ありがとです。そう、竹流もね、分かってるんですよ。分かってて歯止めが効くならいいんですけれどね、普段が何でも抑制されているだけに、この点に関しては本当に免疫がないんでしょうね、この人……「本気になったら不器用」ってのが彼の従兄(実は実兄)の言葉です。ま、本気になったら面倒くさい男、って感じもしますが^^;

> このころは、真自身も歯止めがきかなかった時期ですね。
> 半分しかなかった自分が、ひとつに補われるような安心感があったのでしょうね。もともと真は、ひとつの個体じゃなかったのかも、なんて思います。
いっぱいくみ取っていただいてありがとうございます。うんうん、そうそう、そうなんですよ。きっとね、ずっと足りなかった自分自身のどこかが補われるように感じたんですね。だから、何でも捧げちゃった(というと、やっぱり変な感じだな?)。苦痛よりも合わさっていたい感じだったんでしょうね。けれど、それはやっぱり個体としてはそれ以上にはなれなくて。
真もね……この頃はやっぱりまだ不安定でしたから。いや、今も安定してるとは言えないけれど。
傍にいるだけでいい、って思えるようになるのは、ある程度年輪を経ないとその境地には立てないような気がしますし、傍にいるだけではだめなこともいっぱいあるし、いや、これもまた難しいですよね。想い合っているとしても、その思いが必ずしもプラスを生み出すとは限らなくて、それが分かっているだけに、自分たちの関係が「ちょっと世間ずれしている」という感覚がある場合には乗り越えるためのパワーは、時には人を壊しちゃうこともあるだろうし。
でもこの時はね、「世間ずれしていてもいいか!」ってちょっと思っていたと思うのです。じゃ、なぜこの時期なのか……それは旅の空だったからです。多分日常の世界では成り立たなかったんでしょうね……う~む。だから「成田離婚」^^;

これが普通に男女の話になっていない理由はただ、男女なら身分差があっても、結ばれたら一応ハッピーエンドじゃないですか。いや、その先が大変なんだよ、実はね、って言っても、お伽噺も「いつまでも幸せに暮らしました」の部分までしか書いていなくて(「ほんまか?」って天邪鬼な読者は思うけれど)……いや、これはもう語り始めたらあれこれありすぎて、ここでは書ききれませんが……いや、男女の恋愛物語もいいんですけれど、この二人が男女だったら、ただの「身分差のある恋愛話」になってしまっていたなぁ、とか、時々思います。いや、書きたいのは恋愛がどうこうってことじゃないので、ちょっと例えの前提が間違っているかぁ。
どこまで行ってもひとつになれない切なさってのは、『人魚姫』のお話にぎゅっと詰まっている気がしています。うん、人魚姫にお魚の王子を勧めるべきだというのは、重々分かっていますけど。

> カント オロワ ヤクサクノ アランケプ シネプ カ イサム
> この言葉の意味は、ちょうど今更新中のNOISEの隠れテーマに近いものがあって、ドキッとしました。(まだ隠れちゃっていますが)
おぉ、そうなのですね。真シリーズの全編でこの言葉は大きなキーワードになっていますが、でも、これはあくまでも表に出てくるものではなくて、作者の側からの登場人物たちへの愛?かもしれません。彼らの人生に常にあったかいスポットライトが当たっているのですよね。うん。NOISEも、この先、佳境に入っていくのが楽しみです(*^_^*)
コメントありがとうございました!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/10/08 07:52 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

> 鮎かっ、天然ものの鮎なのかっ……。
えへへ。でもこの季節(3月)はまだ鮎は禁漁期ですよね。イワナかヤマメ? 何にしても新鮮獲りたてほやほや! ですから、とっても美味しいはず!
福島は水も空気もいいですからね~。酒も美味しいんですよね。そこで鮎、う~ん、最高ですね!! 月末から福島に行くので、美味しいものに期待(^^)
トニーはマコトと違ってかなり渋い猫なのです。竹流の親友を名乗っていますし、わが道を歩んでいるんですよ。いずれマコトとトニーの共演も予定しておりますので、またお楽しみに! って、ここではまずは真がお世話になっています。トニー、いい位置にいますよ。この二人の関係を相当深くまで知っている猫で、見守っているような、冷静にただ見つめているような。そして、美味しいものにありついている!(って、やっぱりそこ、大事ですよね)

> 真と竹流って、やはりグルメですよね。毎回、いいものを食べていらっしゃる。
えっと~、そうですね。基本的に竹流はレストランのオーナーですからね。日本に来てからは「食材を大事にする」日本料理にいたく感動して、その後は食材へのこだわりが半端なくなっているようです。なんでも追求しなければ気が済まない人ですから、拘っちゃったんですね。で、真は単におこぼれに預かっているだけかもしれません。彼は多分、味音痴? 竹流が美味いと言ったら美味いと思っている程度だと思います。この人の基準は「腐っているか、腐っていない」レベルなので……^^; でも、新鮮なものは分かってるかもな~。北海道人ですものね。

> 桐野医師、なかなか役に立つ男ですね。仁さんとは違う意味で、漢だし。医者と弁護士と警察とヤ●●に知り合いがいれば、最強だと聞いたことがありますが、まさに竹流も真もそれですね。なぜその人脈をもっと活用しないんだろ(笑)
う……痛いところを突かれましたが^^; えっと、まぁ、ね~。そもそも真の伯父=功は脳外科医、その親友は真の主治医、真の事務所は某弁護士事務所の下請けだし、警察と言えば麻子ちゃん(添島刑事)、や~さんは目一杯知り合っているし。あらら、ほんとだ。何でその人脈を活用しないのかしら? っても、みんな組織の中のアウトローばっかりだわ^^;

> 「人魚姫」は、ほんとうに悲しい物語ですね。でも、ああいう制約というか代償つきの恋愛物語って、ぐっときます。
うん、そうですよね。アンデルセン自身の恋愛がベースになっているんですよね。原作の最後は泡になった人魚姫が神に召される的なラストだけれど、日本にはその感覚がないから悲しいだけで終わってしまうんですね。いや、哀しいですよね。本当に、お魚の王子はおらんかったんかい、って。
竹流があの言葉を言ったのは、まだ子供の時でしたから、きっと深く考えずに直感的に、幼い子どもがみんな持っている王子精神で言ったに違いありません。でも、それはきっと心の声なんでしょうね。現実を知ると、そんなに世の中甘くないってことが分かっていくのですけれど。でも、この精神は、家系の中に受け継がれていったみたいですね(*^_^*)

> この頃の真は、ほんとうに不安定な感じですね。ほっとけない感が溢れているし。真は、完全に竹流におんぶにだっこ状態ですが、なんか竹流もそんな真との関係に依存しているような気もするし……。『天から役目なしに降ろされたものはひとつもない』 この言葉、ずしりと重いですね。
うん。ありがとうございます。ほっとけないと人に思わせておいて、でも一見は人を避けているみたい。まるきりのツンデレ小僧だったんですよね……ちょっと深く知っている人たちは嵌っちゃうような何かがあるみたいですが、表面的にはあんまり近づいてくる人はいないんですよ。竹流は嵌っちゃったので、構ってくれています。そして、そんな竹流も真も依存している……まさにその通りです。知ってしまったらヤミツキになる野生動物の魅力?
とても大切なアイヌの言葉、このテーマはずっと書きながらこの底辺を流れていました。

> この先の展開、新婚旅行のあとは成田離婚なんですね。これは目が離せないですね。
> 次話も、楽しみにしています。
はい、ありがとうございます! いやこれって、いつまでもイチャイチャしてたらなんなんだよ!って話ですよね^^; BLのようにはなりません。そこは人間関係ですから、惚れた腫れただけでは済まないんです。成田離婚の先がまた、え???って展開になっておりますが、引き続きお楽しみくださいませ。
コメントありがとうございました!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2015/10/09 01:56 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

> 「人魚姫を泡にしないことのほうが大事な仕事」だと、「それがお前の仕事だ」と認めてくれたはずの人は、でも、その仕事をさせるための道は用意してくれなかったのか……。そして、自分もまた、人間のお姫様を囲っちゃったんだ。
う~ん、ほんとにね~^_^; ま、基本的にチェザーレおじさんはスパルタ系なので、何もかもは用意してくれたりはしないでしょうね……そんなの自分で考えろって感じで。このおじちゃんはジョルジョを溺愛していたと思うけれど、ジョルジョがただのバカ息子ならやっぱり後は継がせなかったと思うし(いや、いささかバカ息子なところもあるけれど^^;)、ただ溺愛しているなら、ニューヨークにいた時もローマに引きずり戻していたと思うし。
でも、人と人との間のことだけは、やっぱりどうにもならなかったんでしょうね。竹流は十分自分で立派な人脈を作ってきていると思うけれど(サーシャや大間の漁師さんや、佐渡のおばちゃんや、福井の紙職人やら……あれ? 基本老人路線?)、ヴォルテラを継ぐのには何の関係もない人らばっかりだった……
人間の御姫様……う。そうでしたね。人間の性ってほんと、どうしようもありませんね^^;
えっと~、私が長編を書いたら爽やか系にはならないのかしら? 人物を掘り下げると、何故かドロドロになっている……

> その時の言葉はとても真剣で、想いが変わった訳でもないのに、なんか上手くいかないことってありますよね。しんみり。
うん。いつだって、嘘をついているわけじゃないんですよね。でも、その思いを成就できるかどうか、時に時の流れも残酷で、そんな中で生きているってなんなんだろな~

> TOM-Fさんと同じ。そのとれたてのお魚、まずはトニーが食べるんだ。まあ、食べるだろうけれど、いいなあ……。
うしし(#^.^#) トニーは美食ネコかもしれませんね。と言っても、美味しい猫缶とかじゃないし、食べ方は野生だけれど、何よりも贅沢な食事にありつているかもしれません。でもトニーにしたら「こいつら、放っておくと危なっかしいからよ、オレがついていてやらなきゃなんねぇんだ。おい、ちゃんと感謝して最高の魚、頼むぜ」って感じなのかも??
というわけで、あと2話で第4節も終わります。引き続きよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/10/09 02:30 [edit]


泡になる・・・象徴しています。そっと手のひらで囲むような・・・

竹流と真の会話は言葉でしているようで、言葉はないですね。
心から発信しているものを心が受け取って、心から返しているような感じ・・・
だから、言葉を持たないトニーにも理解できる。理解というよりも、感じているのではないかと。もともと言葉を持たないがゆえに表情が豊かなのでしょうね。

幸せなのに苦しい。
目の前の幸せだけに喜びを得ることが許されないのでしょうか。
人生なかなかシンプルには行かないものですね。なんちて。

けい #- | URL | 2015/10/09 17:17 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

> 泡になる・・・象徴しています。そっと手のひらで囲むような・・・
けいさん、ありがとうございます(^^) うん、真はちゃんとしている時もあるのですけれど、やっぱりこの世にはちょっと馴染めないとこもあって…・・何かの拍子にこの世からこぼれちゃいそうになるのですよね。でもこれは……やっぱり高い望みを抱いちゃって、それが満たされないからなのかなぁ。適当なところで手を打っていたら泡にならずに済んだのにね……

> 竹流と真の会話は言葉でしているようで、言葉はないですね。
> 心から発信しているものを心が受け取って、心から返しているような感じ・・・
わ。ありがとうございます! そうなんですよ。けいさんが言って下さったことは、実は以前、彼らの会話を書いている時に思っていたこと、まんまです。なんかこの二人、しゃべらんなぁ、と。ツーカーというほどの仲でもないのですけれど、何だか会話にならなくて。ちょっと熟年夫婦みたいだなぁと^^;
でも、このシーン、『泡になる』~から始まる会話はとっても気に入っているシーンのひとつです。嬉しいです。
そうそう、トニーはね、「おいらは見張り役」と思っているようです。何しろ、竹流の親友猫ですから(*^_^*)

> 幸せなのに苦しい。
> 目の前の幸せだけに喜びを得ることが許されないのでしょうか。
幸せを認識した途端に不安になる。不安になる要素は満載ですし(身分違い、住む世界の違い、そもそも神の子と野生児、ついでに性別の問題)、何を取っても丸く収まる部分がないので、仕方がないのですけれど……開き直れる人間だったらよかったのですけれどね……幸せすぎてコワイ、ってやつ?
そう言えば、以前読んだ小説のお気に入りのシーンで、女の子が「幸せで……」と言いながら泣いていて、でもシチュエーションは幸せでもあるのだけれど不安もいっぱいのシーンで、いや、むしろ別れの予感を孕んでいて。
ほんと、人間って難しいですね。
けいさん、お忙しいのにありがとうございました。あと2つで終わる第4節。気分転換にまたお越しくださいませ。コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2015/10/09 23:44 [edit]

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