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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨151] 第31章 何の矛盾もない(1)祇園の女 

いよいよ、【海に落ちる雨】第5節(最終節)の開始です。
本当は間に短編の連載を終わらせようと思ったのですが、あれこれ時間の都合がつかず、書き終えた作品に頼ることになっちゃいました。
さて、真や竹流の本音が出そろったところで、ようやく物語は本筋に戻ります。竹流を痛めつけた奴ら、しかも真の恋人(一応)・深雪や、そのかつての恋人で自殺した(ことになっている)新津圭一、そしてその一人娘の幼い千惠子までその犠牲になっていたようです。相手は「運送屋」、ほとぼりが冷めるまではどこにでも身を隠すつもりでいるようですし、なかなか尻尾を掴ませません。
ただし、何故か竹流の恋人・珠恵はその男・寺崎孝雄を捜し出す伝手を知っているようです。竹流の仲間・葛城昇は彼女がその伝手を使うことを止めますが、竹流の病状が悪化するにしたがって、真も珠恵も切羽詰って来たのかもしれません。
そして今、ひとつの真実が語られます。祇園の女たちの事情をお楽しみください。
あ、真の前世がマコトだったという事実が判明?? いやいや、あり得ない話ではないな。

登場人物などはこちらをご参照ください。
【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



 岡崎の東海林家の前でタクシーを降りると、遠くから車の音が、湿った空気が生み出す幾重もの薄い膜を通して伝わってきた。風はなく、すでに夏が来たのかと思うような重い熱が皮膚に纏わりつく。夕刻になっていたが、辺りはぼんやりと明るく、タクシーが走り去った時には、重い空気が含む湿気そのままのような、細かな雨が降り始めた。振り仰ぐと、白暗い空から色のない雫が、息をひそめるように顔に降りかかってきた。

 東海林家で待っていたのは、珠恵ではなく和枝だった。和枝は真に風呂を勧め、真が上がってくると、明らかに絹とわかる仕立てのいいスーツを用意していた。和枝が何も説明しないので、これはおそらく珠恵が用意したものだろうと思い、真は素直に袖を通した。サイズもきっちりと誂えてある。
 和枝が、お嬢はんは毎日お百度を踏んだはるんどす、と目に涙を溜めながら怒りのこもった顔で言った。和枝は、『旦那はん』を追い込んでいるものが何なのか理解できないので、身近な仮想敵として真を睨みつけているのだろう。真はそう考えて、女たちの不幸に対して、哀れみと同時に納得のできない何かを覚えた。

 だが、玄関を出ようとして、和枝が重々しい表情で石を打って見送ってくれた時、女たちもまたそれぞれが立っている場所で戦いを始めているのだと思い、不意に和枝の真に対する敵意にも正当な理由があるのだと思い至った。珠恵もまた同じだった。彼女が病院に姿を見せなくなったのは、真に手を貸してくれると言ったあの日からだった。珠恵がどれほど竹流の傍にいたいと思っているのか、それを最も理解しているのは、真自身なのかもしれない。

 東海林家の前に停まっていたタクシーに乗り込むと、運転手は何も言わずに出発した。着慣れない上質の絹のスーツは、戦いに行く人間のために珠恵が用意したものなのだろう。違和感もなく、真の身体に馴染んでいる。戦闘服というものは、普段身に付けることもないのに、身に付けたとたんに身体にしっくりと来るのはなぜだろう。男というものは、あるいは女も、闘いに対しては、その衣服さえ適切に身に付ければ、いつでも準備が整っているものなのかもしれない。
 真は目を閉じて、静かに自分自身の呼吸を数えた。

 タクシーが停まったのは、暖かな提灯が揺れる祇園町のお茶屋の前だった。運転手は勝手知ったるように呼び鈴を押し、お客さんがお着きです、と言った。真はタクシーから降り、その町の景色を懐かしく見回した。低い町並み、石畳から立ち上る穏やかな湿度、提灯に浮かび上がる紅の色、暖かなざわめきが四条通から緩やかに伝わってくる。
『藤むら』という表札には見覚えがあった。程なく玄関が開いて、顔を出したのは上品な女将だった。

 女将は沈むような藍地の単衣の着物を着て、すっと玄関に立っていた。ある程度年をとってしまうと、それ以上には老けることもなく、醜くもならず、その内面をも含めて、完全に維持をし続けることのできる女がいるが、まさにこの女将はその一人のようだった。
 女将は真を見て少し頭を下げ、えぇ男はんにならはりましたなぁ、と言った。真はどう反応すればいいのか分からなかったので、ただ緊張を隠さずに頷き、導かれるままに奥の座敷に入った。

 六畳の部屋に、舞を見せるための小さな次の間がついていた。床の間には真には読めない文字の掛軸がかかり、白祇園守木槿と大毛蓼の花が、竹の花入に、野にあるままの風情で揺れている。床の間の前には、席が二つ、用意されていた。
 女将は酒を持ってこさせると、手ずから真に注いでくれた。
「珠恵ちゃんは今仕度しとりますさかい、ちょっとうちがお相手さしてもらいますわな」
 女将は優雅に微笑んだ。そうすると二十代の娘のような口元になる。
「もう六年ほども前どすなぁ。旦那はんがおたくはんを連れてきはったんは」
 真はとりあえず頷いた。

「旦那はんは、こないなことでもなかったら、おたくはんを珠恵ちゃんに会わせるおつもりはなかったんどすやろなぁ」
 真は黙っていた。その通りなのだろうと思ったが、どう反応していいのかわからなかった。
「男はんはそういうところがずるおすな。けど、うちはおたくはんが珠恵ちゃんと会うてくらはって、良かったと思っとりますえ」
 真は勧められるままに酒を飲んだ。女将は、あまりお強うないそうどすから、一杯にしときましょ、と言って徳利を置いた。何か、深い意味があるような気配だった。
「これで、珠恵ちゃんにも、旦那はんにも覚悟ができおしたやろ。もちろん、おたくはんにも」

 真は飲み干したお猪口を置いて、女将に向き直った。
「あの、色々と誤解があるのでは。多分竹流が例の雑誌のインタヴューで余計なことを言ったからですね」
 女将は穏やかに微笑んだ。珠恵にどこか似ていると思ったが、それは花街の女たちが腹の奥に持っている覚悟のようなものなのかもしれない。一方で、この女将のほうが人生にも社会にもうまく対応する、よい意味での八方美人さも持ち合わせている。女のしたたかさだ。

「何を言わはるんどす。旦那はんはいつでも、東京に愛しい恋人がいるんやゆうお顔をしてはりましたえ。珠恵ちゃんは何にも言わへんどすけど、和枝はんがよう愚痴りにきたはりましたわ。何やかんやとすぐ帰ってしまわはる、あれでは愛人の家にくる卑怯な男と変わらん、ゆうて。和枝はんは珠恵ちゃんのことが心配で、旦那はんの様子を見に東京にも行ったはりましたんや。珠恵ちゃんはそういうことはようない、ゆうてよう怒っとりましたけどなぁ」
「あの、確かに、一緒に住んではいますけど、それは僕が一人でまともに生活ができないような人間だからで、別にその」

 女将は年齢を全く感じさせない艶然とした微笑を見せた。そして、真の拙い言い訳など完全に無視して、懐かしむような暖かい表情で話し始める。
「うちが初めて旦那はんに会うたんは、もう十五年以上も前のことどしたなぁ。東寺の講堂で、仏はんの前にずっと立ちすくんだまま、声も出さんと泣いたはりましたんや。高いとこから光が差し込んで、旦那はんの横顔がそれは綺麗で、ほんまに美しい絵を見とるような心地どしたな」
 ふと言葉を切って、女将は真の顔を見た。神々しいほど嫋やかで静かで優しく、また艶美な表情だった。
「うちはその時、旦那はんに恋をしましたんや。この男はんのためにどないな無理もしよう、思いましたさかい。けど、珠恵ちゃんの事は別どした。この男はんは女を本当の意味で幸せにすることはできへんお人やと思ってましたさかい」

 女将はやっぱりもう一杯飲んでおくれやすと言って、真のお猪口にお酒を注いだ。
「女に惚れてくらはるけど、惚れ抜いてはくらはれへん、そう思いましたんや」
 真は、お猪口に注がれた酒が作り出す幾重もの輪を見つめた。かすかに乱れながらも、面には柔らかい光が踊っている。真の頭の中にもまた、揺れさざめくように幾つもの場面が踊っていた。

 竹流は少し長い間仕事に出る前は、やたらと手の込んだ料理を作った。仕事以外で彼が家を空けるのは、どうせ女のことだろうと思っていた。連絡がないまま一晩帰らないことは稀だったが、あったとしても別に真も気にしなかったし、竹流も何か言い訳をするでもなく、翌朝あたりまえのように台所で味噌汁を作っていた。だが、ほんのたまに、奇妙な違和感を覚える時があった。
 それを不意に思い出したのだ。

 あの違和感。それは竹流が心の中に抱いていた、微かな罪悪感だったのかもしれない。下世話な言い方をすれば、男にとってはどちらも捨てることができない妻と愛人がいて、愛人の元から帰って妻の顔を見たとたんに男が抱く、何ともいえない罪悪感と狡さ、何とかこの場を取り繕おうとする健気な必死さのようなものだったのかもしれない。
 竹流は一言も言わなかったが、真にも珠恵にも、何も知られたくなかったに違いない。いつかは言わなければと思いながらも、できればこのままどちらも気が付かないでいてくれることを願っていたはずだ。

 もっとも、珠恵のほうは、ずっと真の存在を知っていたのだというから、竹流が取り繕っていたのは真に対してだけだったのかもしれない。だが、珠恵は竹流と一緒にいる時に、真のことを話題に出して問い詰めるようなことはしなかっただろうから、言い訳をしないという意味では、知られたくないという気持ちの延長だったのだろう。
 思えば滑稽なことを考えていると分かっていた。いや、この際、どっちが妻で愛人かという確認は無用のものだし、考えてみれは真は妻という言葉にも、愛人という言葉にもそぐわない。

「旦那はんがおたくはんを連れてきはった時、あぁ、うちの勘は間違いやなかったと思いましたんや。けど、珠恵ちゃんは、自分が旦那はんに惚れてるさかいそれでええ、言うて、健気に一生このままでも十分やと覚悟を決めてますのや。そんならそれで、うちもえぇと思うしかありしまへん」
 いや、これはどうしても否定しておかなければならない。常識感覚なのか罪悪感なのか、そういう種類のものが咽喉の辺りで苦い味となって粘膜を刺激した。

「やっぱり誤解です。単に、今更僕に珠恵さんのことを話すのが気恥ずかしかったからではないかと思いますし、それに、あの男は女を愛しても簡単に惚れるような男じゃないと思っていました。絵や職人の仕事には直ぐに惚れ込みますけど。その彼が惚れる女は珠恵さんだけなんでしょうし、きっと惚れ抜きますよ」
 女将は静かに微笑んでいた。まるで、そんなにえぇ格好しはっても心の内は隠せませんえ、と言っているような目、そして意志の強い口元を見つめながら、真は女将が注いでくれた酒をあおり、そしてお猪口を戻した。

 お猪口の底に僅かに残った酒は、もう揺らぐだけの量はなかった。磁器の真っ白な面に微かに見えるのは、跳ね返した光だけだ。
 その瞬間、真は急に覚悟を決めたような気持ちになった。顔を上げて女将を見ると、ようやく本心を言う気になったのか、ならば覚悟してお聞きしましょう、という張りつめた表情にも思えたし、ただ穏やかに微笑んでいるだけのようにも見えた。
「いえ、やはり誤解ではないのかもしれません。僕はあの男に生かされている。肌を合わせるような関係ではなくても、本当はどんな女にだってあの男を渡したくないと思っています。ここに来たのは、珠恵さんに、これは僕の仕事だと言いに来たんです。あの人には傷ひとつ残すわけにはいかない」

 女将は、真がこれまで見た女性の微笑みの中でも、極上の笑みを浮かべた。己の決意や対する人への優しさ、未来を見通しても尚恐れることのない勇気、そういった全てが含まれた微笑みだった。そして、直ぐにきりりとした表情となると、ひと膝下がり、真に深々と頭を下げた。
「やっぱり旦那はんが大事にしたはるお人や。珠恵ちゃんが、お母はん、うちは初めて嫉妬したんどす、けどうちはこの人ごと旦那はんを愛おしく思うと、そう言うとりましたんや。これでうちにも覚悟ができました。今後一生涯、うちと珠恵ちゃんは、旦那はんとおたくはんのためなら、どないなことでもさせてもらいます」

 真は女将が一体何を言おうとしたのか、確かめようと思ったが、その時、次の間の襖がそっと開いて、三味線を持った年配の女性と、芸妓装束の珠恵が入ってきた。
 珠恵は扇子を前に置いて深々と頭を下げ、ようお越しやす、と言い、三味線の音にすっと立ち上がった。黒留袖の裾に描かれた波が、岩に触れ音を立てて跳ね上がったように見える。綺麗な瓜実顔で、耳の方へ形よく伸びた目じりまで緊張感が行き届き、唇は優しく、しかし強く引き結ばれていた。

 真は改めて美しい女だと思った。決して大柄ではない女性が、黒い装束に包まれて、大きく羽根を広げて舞う鶴のように見える。扇の先までも血が通うように見え、真はその立ち姿に、女の深い情を見たように思った。
 微かに麝香の匂いがした。
 竹流は何度か真夜中を過ぎてから、マンションに戻ってきたことがあった。飲んでいたようでもなく、真に言い訳をする気配もなかった。ソファで寝るな、と言って真を起こし、寝室のベッドに導く身体から微かにその香が匂ったことがあった。

 何かを本能的に感じ取ったとまで言う気はない。真はただベッドに入ってきた彼に、いつものように無意識に、わずかに身体を寄せただけだった。眠っていたと思うが、意識は覚醒していたのかもしれない。竹流が全く眠らずに自分を見つめている気配を、真はずっと感じていたような気がした。
 この男は女を抱いてきたのだと思っていた。そんなことは珍しいことでもないのに、何故か特異な気配があったのだろう。身体のどこか特別な場所で、真はこの男が自分を抱きたいと思っているのだと感じていた。

 真は自分自身の指の先までも、血が流れていくのを感じ、それと同時に今明らかに珠恵と自分の間に密やかな運命を感じた。運命という言葉が間違っているのだとすれば、それは必然だと思えた。真は遥かな未来に対して、珠恵に託していかなければならない事があるような気がした。それが何かは分からないのに、珠恵もそれを知っていると思った。
 珠恵の舞を見ながら、真はあの男が珠恵を抱いているところを垣間見ているような気がした。
 珠恵の視線の先には竹流がいて、竹流の視線の先には珠恵がいる。そして竹流は珠恵を見つめながらその先に明らかに真を感じている。そして真は、自らの身体で彼らの交わりをずっと感じていた。彼自身を珠恵の身体の奥深くへ沈めてその締め付ける襞の感覚に震えている竹流のものを、自分自身が今受け入れているような錯覚で身体の芯が痺れたようになり、そのまま絶頂に昇り詰めさせられたようだった。

 竹流は他の女を抱く時には、真の事を考えることなどないだろう。それはその時だけの愛であり、その時間に誰か他の人間の事を考える余地はないはずだった。だが、珠恵は別だった。この女は一生竹流のものであり、また竹流も一生この女のものだからこそ、竹流はこの女を抱きながら、真のことを考えたかもしれないと思った。真は疼いたままの身体の芯に竹流の身体の一部を受け入れているような感覚の余韻に、静かに、しかし激しく興奮したままでいることを感じた。

 膝の上に置いた手に、密やかに水滴が落ちた。
 神に見捨てられた箱舟だと竹流が言った小さな船は、南の国の暖かな海をあてもなく彷徨っている。昼間からずっと苦しいほど抱き合っていたクルーザーのデッキの上で、毛布に包まれたまま一緒に見上げていた宇宙は、地球には足下などないと語りかけていた。星の音が聞こえたような気がして見上げた宇宙に散りばめられた幾千億もの星々は、いつでも真に無限の物語を語り、父も母もない幼い子どもを慰め暖めてくれていた。

 だがあの時、真は身体の芯から怖い、と思った。大きな暗い宇宙の中で彷徨っている地球という天体、その天体の片隅で、神に見放され波に翻弄されながら浮かんでいる箱舟、空から降り落ちる雨は海に溶け入り、そこには何の意味もなく何の重みもないのかもしれない。だが真は、この儚い天体の片隅で、名前も与えられない小さく孤独な存在であるという事実に怯えたわけではなかった。海に落ちた雨のただ一滴は、海の最も小さな生き物にも知られることがないということに、恐怖したわけではなかった。
 真が恐ろしいと思ったのは、もしもこの男と引き離されたら、というただそれひとつの事だった。

 一緒に暮らしている間、何も不安がなかったわけではないが、身体を求められないことなどは苦痛とも感じなかった。あのマンションのベッドの上は、部屋と廊下の窓を開けてしまえば、風向き次第で潮の香りがした。そのお蔭で、触れ合うことがなくても、僅かなきっかけがあればいつでもあの海の、あの小さな箱舟の上に戻ることができる。そこは厩舎の藁の中と同じにおいがした。
 あんたたちがいやらしいのは、身体が触れてなくても精神でセックスをしているからだ、と言われたことがある。突っ込めばそれだけのことだけど、触れもせず、そうやって向かい合わせのソファに座って黙って別々の事をしているだけでいやらしい、と。

 竹流はその時は、余計なお世話だというようなことを言っただけだったが、あとで二人きりになったとき、突然真の傍に座り真を抱き寄せて耳元に口付けようとした。何考えてるんだ、と真が身を引くと、やっぱり触れるほうがいやらしい気がするけどなぁ、と言って無遠慮に真を見つめた。
 あの深い海の色、青灰色の瞳の中に自分自身が存在していることだけで、確かに身体は興奮しているのだとすれば、これが身体を触れなくても交わっているということなのかもしれない。

 同居してから、竹流は不用意に真にキスをすることもなかったし、したとしても子どもを嗜めるようなキスの域を出なかった。だがその日は何を思ったのか、首の後ろに手を回して優しく引き寄せると、唇に触れて、それから唇と舌で真の唇を味わうように求めてきた。真は一瞬この男は何を考えているのだと思って、身体を緊張させた。その気配が伝わったのかどうか、竹流は真の頭を撫でて突然強く抱き締め、お前、何を処女みたいに震えてるんだ、とからかった。ベッドに入ってからも、拒否してもしつこく、こっちに来いと呼びかけてくる。妙な事言われて盛り上がるんじゃないよ、と言ってやると、どうせお前引っ付いてくるくせに、と楽しむような声が返ってきた。
 絶対にそんなことはないと思って眠ったが、ふと夜中に目が覚めるといつの間にか引っ付いていた。朝方になって、こっちが触ると怒るくせに、離れたら尻だけくっつけて寝てるって、お前、絶対に前世は猫だろ、と言いながら思い出し笑いをしている竹流を睨み付けた。

 竹流がつけているコロンの香りは本当に微かで、むしろシーツに沁み込んだ洗剤の匂いのような気もする。それはローマの屋敷のベッドの中で香っていた匂いと同じだったから、そう錯覚しているのかもしれない。そこにふわりと竹流自身の匂いと葉巻の香りが混じる。穏やかな寝息を数えながら、真は再び目を閉じた。

 もしかすると、こういう記憶全てが綺麗ごとで、真も竹流も、ただ自分たちの存在や関係性を懸命に正当化しようとしていただけなのかもしれない。本当は自分がいつでもあの男が女を抱いているところを想像しては、激しく嫉妬に悶えていたのかもしれない。小松崎りぃさと初めて会った時も、涼子の腰を愛おしげに抱いて耳元に口づけていたあの男の後ろ姿に、ただ狂ったような気持ちになっていただけなのかもしれない。
 俺は、目の前のこの女性にも、決して竹流を譲ろうと思っているわけではない。

 そう感じたとき、真はどうしたわけか、東海林珠恵という女性の存在を心から受け入れたような気がした。この女性が今目の前にいてくれて、本当によかったと思った。
 今珠恵が披露している舞は、会えない男を思って千々に乱れる女の想いを表したものだと、女将が真の耳元で囁いた。ふ、と頬に絹の感触があったと思ったら、女将が着物の袖で真の涙を拭ってくれていた。真が女将を見ると、女将は何も言わずともわかっている、というような顔で真を見つめていた。

 三味線の音が途切れて、真が珠恵のほうへ視線を移すと、珠恵は深々と礼をして、そっと立ち上がり、女将と入れ替わって真の傍に座った。女将は静かに出て行った。
 どうぞ、と言われて珠恵の酌を受けながら、真は微かに俯く女の横顔を無遠慮に見つめた。
 竹流がこの女と恋に落ちたのは、一瞬の出来事だったろう。その一瞬に彼は生涯の恋人を、伴侶を得たのだ。珠恵の白い眼瞼の上に宿る淡い光は、この女が心と身体のうちに閉じ込めている深い情を、ほんのたまさかに表に零したもののようだった。

 珠恵はゆっくりと杯に半分ほど酒をついで、真のほうへ顔を上げた。
 白粉の匂いが鼻腔を刺激する。ふと、竹流が珠恵に甘えていた声が、まだ耳の中に残っているような気がして、真は一瞬目を閉じた。
「母は寺崎孝雄の世話になっていたことがあるんどす」
 真は唐突に耳に入り込んできた言葉の意味を、しばらく考えなければならなかった。

 珠恵は竹流よりも年上だと聞いていたが、肌や唇の艶やかさはまだ女盛りであることを感じさせた。どこかで見た菩薩のような目元と、その優しい光を上手く納めている卵形の顔からは、彼女がまだ少女であった頃の姿が容易に想像できた。
 真はまさか、と思った。
「うちは酷い目には遭うとりまへん」
 真がほっとして息を吐き出すと、珠恵は穏やかに微笑んだ。

「父は学者としてはほんまに立派な、優しい穏やかな人どした。けど、お金や生活のことは何も分からん人やったんどす。父が亡くなり、借金だけが残って、母は私を育てるために寺崎孝雄の世話になっとったんどす」
 真は凍りついたような顔で珠恵を見つめていたのかもしれない。珠恵はその緊張を溶かしてくれるかのように僅かに微笑んだ。
「寺崎孝雄と母は幼馴染で、寺崎は母のことがずっと好きやったそうどすけど、母は当時は羽振りも良かった大学教授と結婚したんどす。母は、父の家の財産や肩書きに惚れたんやのうて、ほんまに父を愛して結婚したんどすけど、寺崎孝雄にはそうは見えへんかったようどすな。寺崎孝雄はその後、北陸のほうで海産物の運搬で財を成したそうで、父が借金だけを残して亡くなった後で、寺崎が現れて母の世話をしたいと言ってきやはったそうどす」

 珠恵は一旦言葉を切った。
「母は借金を全て肩代わりしてやろうという寺崎の申し出は断ったようどすけど、何もかも寺崎に逆らうことはようせんかったんどす。うちを守るためやったと思います」
 真は暫くの間、無遠慮に珠恵を見つめ、それから混乱したピースを納める引き出しが見つからないまま、手元の杯に視線を移した。
「暫くして、母は身籠ったんどす。うちは子どもで、意味が理解でけへんかったかもしれまへん。母は祇園はんに夜な夜なお百度を踏みに行っとおりましたんや。雨の日も雪の日も」

 真は何かに思い当たったように珠恵を見つめた。
 雨の日、雪の日に、あるいは嵐の夜に、薄暗い神社でお百度を踏む身籠った女の幻は、鬼気迫っているような気がした。自分を身籠らせた男への憎しみ、産まれてくる子どもへの恐怖とそれに打ち勝とうとする母性、あるいは男を受け入れた己の身体への後悔と増悪、様々な感情が女を狂わせようとしたはずだ。
「子どもが流れてくれたら、と思てたようどす」

 真は身体が固まったまま、珠恵の目を見つめていた。母親に望まれなかった子どもの哀れな姿が、真と珠恵の間に漂っているような気がした。
「寺崎孝雄の子どもやったんどす。母が子どもを産みたくないと思っていたことは、寺崎に伝わったんですやろな。寺崎は母を祇園から連れ出し、寺崎の家に閉じ込めて二十四時間監視させるようになったんどす。その時、母が私をどうやって『藤むら』の女将はんのところに連れて行ってくれたんか、うちはよう覚えてまへんのや。うちが母に再会したんは、母がその子どもを産んだ後どした」
「では……」

 その時、真は寺崎昂司が『珠恵姐さん』と言った言葉に篭められた本当の意味を知った。寺崎昂司は『姐さん』ではなく『姉さん』と言っていたのだ。だから、昂司は実の姉を頼り、ここに電話をかけてきていたのだ。
「昂司はうちの弟どす。もっともうちがそのことを知ったのはずっと後になってからどすけど。その当時、うちは母が弟を産んだことも知りまへんどした。母は寺崎のところから祇園に戻ってきましたけど、病気がちになってしもうて、お座敷もままならんようになっておったんどす。それでも寺崎孝雄はしばしば客を連れては『藤むら』に現れました。女将はんはあの男には『藤むら』の敷居は跨がせへんゆうて、祇園中に響くような声で追い出さはったこともあったようどすけど、寺崎孝雄が連れてくるお客はんは、『藤むら』がどうしても断れへん筋の方々が多かったんどす。寺崎孝雄はそのことをよう知っとったようどす。それに、孝雄の手元には人質のように昂司がおりましたんや。孝雄は祇園の外へも母を呼び出したりしておったようどすけど」珠恵は微かに俯いた。「母は病気の身体を押して、祇園はんに毎日願をかけに行っとおりました。生まれて来たからには愛しい我が子、昂司を不憫に思てたんやと思います」

 真はいつの間にか自分の手が震えていることに気が付いた。
「昇さんたちはそのことを知らないのですか」珠恵は頷いた。「竹流は?」
「旦那はんはご存知どす。うちが昂司に会えるようになったんは、何より旦那はんのお蔭どすさかい」
 竹流は珠恵を引き受けたとき、東海林家に降りかかった全ての不幸についてできる限りの解決を試みてやろうとしたようだった。女将や当時を知る人たちから事情を聞いて、恐らくいつもの徹底ぶりを発揮して、珠恵だけでなく昂司を救うためのあらゆる手を尽くしたのだろう。

 大和竹流と寺崎昂司は偶然知り合ったわけではなく、竹流が昂司を探し出したのだ。寺崎昂司にとって大和竹流は、親友でもボスでもなく、本当は姉の恋人であり夫であったわけだ。そして大和竹流にとっての寺崎昂司は、やはりただの仲間のひとりではなく、愛する妻の弟であり、彼自身にとっても大事な家族だったのだろう。だから、葛城昇や添島刑事は『寺崎昂司は特別』だと感じていたのだ。もちろん、竹流は彼らに全ての事情を話すわけにはいかなかっただろうが。

「旦那はんは、昂司が寺崎孝雄から離れられるように、随分と骨を折ってくらはりました。昂司は時々、旦那はんに連れられて岡崎の家にも来てくれるようになりましたけど、うちが一人でも構わんと来てほしいゆうても、決して旦那はんと一緒のとき以外は来てくれへんかったんどす」
 珠恵はしっかりと顔を上げ、真を見つめ、これまでになく切羽詰ったような声で言った。
「昂司は、もしかしてうちを守ってくれようとしてたんやないやろか、と」

 竹流がどうしても手に入れたかったもの。
 江田島が言った言葉が真の耳の中で重く沈んだ。自らの身を犠牲にしてまでも欲しかったのは、妻とも言っていい女の弟、寺崎昂司の本当の自由だったのかもしれない。
「珠恵さん」
 その先に言葉を続けようと思ったのに、言葉は出てこなかった。真は言葉の代わりに黙って珠恵を見つめた。
 その時、廊下の軋みと太い男の声が響いてきた。
「いや、嬉しいやないか。珠恵ちゃんのほうから呼んでくれるとは」
 珠恵ははっとしたように真から少し離れた。


(つづく)





うちのむかし猫(トップ記事の猫です)、触ったら怒るのに、無視したらお尻だけくっつけてどてっと寝るんですよね。で、触ったら噛む^_^; これが真の前世だったか……え? と、それはマコト?

祇園の言葉で「あなた」というのは多分「おまはん」と言うのが正しいのかもしれません。京都では、「あんたはん」、「おたくはん」など色々な言い方がありますが、方言の類って、小説中で文字にして書くと少し分かりにくかったりするので、使いにくかったりしますよね。方言をどのくらい不自然で読みにくくない範囲で使うか、いつも悩みます。
あ、祇園さんというのは八坂神社のことです。

そして、いよいよ最後の大物?登場です。この人物は結果的にレギュラー化するのですが……今のところはただの助兵衛な大物だと思っておいて頂いていいような気がします。でも腹にはあれこれ黒いものが……
この先の展開については、しばらく目を瞑っておいてくださいね(~_~;)

<次回予告>
 珠恵は真を振り返り、強い声で言った。
「うちは旦那はんの身にこれ以上こないなことが起こらへんことだけが望みどす。寺崎孝雄が旦那はんをあないな目にあわせたんどしたら、償ってもらわへんとあきまへん。相川はんのおっしゃる通り、昂司が戻ってこない限り旦那はんが納得しはれへんのどしたら、昂司を旦那はんに会わせてやりたい、思てます。相川はんの身に何かあったら、旦那はんがどないな気持ちにならはるかはよう分かってるんどす。そやけど、うちには相川はんを人身御供に差し出すしか道がありしまへん。堪忍しとおくれやす」
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Category: ☂海に落ちる雨 第5節

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コメント


そうかあ

こんばんは。

珠恵はそこまで当事者だったのですね。
これは辛いだろうなあ。
京都にいて、自分の縄張りなのに、東京から来たヤツらに看病役を譲ってでも、寺崎
への復讐を率先してやろうとする想いはわかりますね。

真は、そういう意味では、恵まれた立場なのかなあと思います。
今回の件で、竹流がどんな目に遭っても、少なくとも「自分のせい」ではないですから、純粋に「あいつら許せない」でいいんですものね。

関係ないですけれど、祇園の描写、すごいなあと思いました。
一度だけ行ったことがあるのですが、何もわかっていない高校生のころで「いつか描写するかもしれないから記憶に留めておこう」なんてことはまるっきし考えず、ほとんど何も憶えていません。こういう本当に知らない世界を書くのは怖い私です。
やっぱり彩洋さんには、そういう意味でも強みがたくさんありますよね。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/11/10 05:37 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

おはようございます(^^)
うん、実はそうなんです。だから竹流はある意味、必死だったんですよね。何しろこの男、まぁ、あれこれ気が多いとか批判はあるかもしれませんが、自分の懐に入れたものは本当に大事にするので、珠恵に連なる全てのものについては自分に責任があると思っているのです。ヴォルテラの体質ですね。だから岡崎の屋敷も取り戻してやったし、万引き常習犯だった和枝の身元も引き受けているし。これは真に対しても同じで、真を大事に思っているというよりも(いや、大事ですけれど)、竹流にとっては相川の一族みんな大事なんですよね。発端者が功だというのもあるのですけれど、多分相川一族に何かあったら絶対我が身を捨ててでも何とかするはず。全然無理をしているわけじゃなくて、心からそうなっちゃう性質なんですよ。だからこんな目に遭っている。しかもこの人、お坊ちゃんなんで、話せばわかるとか本気で思っていましたから……(分からん相手もいるんだよ……)

逆に、珠恵は当事者なんですけれど、弟と言ってもある時点までは存在すら意識していなかった相手。で、自分はあれこれあったけれど、結局は祇園の町がいつも守ってくれた(祇園の女たちの結束ですね)けれど、弟の方はとんでもない状況で生きていたことをずっと後から知った。その弟を憐れと思い、自分を責める気持ちや想いはあるけれど、実はこの先複雑な心情も見せます。もしも実の弟と、愛する男と、どちらかを選べと言われたら……。女の情念、やっぱり怖いものがあります。
真に対しては「このやろう」もあるかもしれませんが、それよりも「この状況を打破してくれる存在」という認識があったかもしれません。と言うよりも、「やっと会えた」だったのかも。この二人、複雑ですけれど、運命も感じていますし、実際、慎一は日本のお母さんとして生涯(竹流、いやジョルジョ亡き後も)彼女を大事にしましたから。

うん、真はもう、今はただ復讐するのは自分だって思っていますから、まぁ、彼の「血」に火がついちゃいましたね。そうそう、自分のせいじゃないから、純粋に「このやろう」です。しかもある時点からは理屈じゃないですから。何しろこの後、あ~見ちゃったのね、そりゃもう、この手でやってやる、って思うわ~って展開ですから。お楽しみに、って言っていいのかどうか、でもここを越えなくちゃ先に進まないので、とりあえずお楽しみに!

> 関係ないですけれど、祇園の描写、すごいなあと思いました。
え? そ、そうですか……いや、実は私も一度だけお茶屋さんに行ったことはあるのです。大学卒業前だったか、弓道の師範に連れて行ってもらって。あぁ、これが一見さんお断りの世界か~と感動した記憶はありますが、それ以上あんまり覚えていない。夕さんと同じで、いつか描写するかもとか、そんなことは思っていなかったので、いや、このあたり、ほぼ想像の域を出ません。しかも、祇園の人は京都の中でもかなり特別なんですよ。私の先輩の奥さまが祇園の出で、その先輩=普通の京都人が姑の言っていることが分からん、とこぼしていましたから(言葉も分からん時があるらしいですが、何よりも感覚的に分からんことがあるらしく)。
舞妓さんが芸妓さんになるドキュメンタリーは見たりしたので、それは多少あるかも。いや、知らない世界、堂々と描いておりますが、それっぽく読んでいただけたなら嬉しいです。
この先、またまた「え~~、真、どこへ行く?」な展開がありますが、片眼を瞑ってお付き合いくださいませ。
コメントありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/11/10 07:46 [edit]


おどろいた

更新、お疲れ様でした。

いよいよ最終節ですね。うん、なんだか読んでいるこちらも、気合が入ってきました。

珠恵さん、真に勝負服を用意したってところでしょうか。
有無を言わせない流れに、真もまた意味が分かっていて乗っていく。和枝が石を打って真を送り出すシーンは、銭形平次を送り出すところみたいで(たしかそうですよね)、ぞくっときました。かっこいいっす。
『藤むら』の女将さんの品定めに続く、珠恵のホームグラウンドでの最上級のもてなし。この二人の描写が、すごく美しかったです。お茶屋さん遊び、一回でいいから行ってみたいなぁ……もちろん人様のお財布で(笑)
そして珠恵のカミングアウト。まだここにきて衝撃の展開があったか……。ほんと、このお話の人間関係には、どれだけの仕掛けがあるのかと驚くばかりです。たしかにそれなら、竹流や仲間たちが、寺崎昂司を特別扱いする理由も納得です。

なんか盛り上がったいいところに、胡散臭そうなオッサンが乱入してきましたね。最後の大物の登場、次話を楽しみにお待ちします。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2015/11/10 19:12 [edit]


ふお~

真が勝負服に袖を通したあたりから、何だかこちらも身の引き締まる思いが・・・。
この辺の描写、特に好きです。
なにかが始まる感じ。
自分たちの戦いに挑む男も女も、美しいなあと思うんです。
味方同志(ここでは珠恵)との微妙な感情のやり取りも、ここへきて納得。
(やっぱり最初は珠恵姐さんにちょっと嫉妬してたし)

中盤で真が、これから先の未来、珠恵に何か大切な事を託すことになるかも・・・みたいなニュアンスがあったけど、それは真の死後の竹流の事なんだなあと、しんみり・・・。
でも。。。真の前世はマコトだと分かった事だし(ほんまか)きっとまたマコトに生まれ変わってくれると信じています!

そして、竹流が守ろうとしたものは・・・そうだったのですね。
遡っていろいろ照らし合わせると、改めて見えて来るものがありそうです。
珠恵の、それでもやっぱり竹流のためにあなたは人身御供に・・・と言いきる部分は潔くて好きです。
真、だけど、頑張ってね><
なんか作者が酷いけど(え?)応援してるから!

そしてここで登場してくるのは・・・?


lime #GCA3nAmE | URL | 2015/11/11 13:28 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

はい。いよいよ最終節です! ようやくここまで来ました! いつも読んでくださってありがとうございます m(__)m
そうかぁ、確かに勝負服ですね。まさか赤いパンツも置いてあったりして……(某ゴルフ選手みたいだけれど)黒いスケスケもあり?(こほん)真の方は待ってました!って気持ちだったでしょうから、うん、意味が分かっていて乗っかっていきましたね。
そして、おぉ、TOM-Fさん、まさに『銭形平次』ですね~。いや、時代劇ではそんなシーンがよくあったし、一昔前のドラマでも特別なお仕事に行く時はこんなシーンもあったかなぁと書いちゃってみました。多少の時代錯誤感も悪くなかったでしょうか。
『藤むら』の女将さんのイメージは、坂本龍馬が投宿してた寺田屋のお登勢さんです。多くの志士たちを援助していた「カッコいい系」の女性。龍馬にお龍さんを紹介しつつも、彼女も少し龍馬に惚れていたかもってイメージを託しました。もちろん、男女の恋もあるだろうし、人としての恋もあるだろうし。
最近は、ツアーなんかでもお茶屋遊びってありますよね。なんか一般人にも参加可能になった部分もあるけれど、やっぱり一見さんお断りのあのムードは興味深いですよね。うん、他人のおごりでしか行けません(^^) 昔は、ちゃんとした筋の人だけでなく、見こまれた若い学生さんなども受け入れられていた感じで、竹流の場合も金もない金持ち夫人のヒモ状態だった時から珠恵やこの女将には世話になっていましたから、ある意味出世払いだったかな~(でっかい出世払いをしたもんだ……)

いや、そしてこちらの人間関係、ちょっと驚いていただけて良かったです。実は、昂司がかけてきた電話で、そこだけ「珠恵ねえさん」って平仮名で書いてあったのですよ。わざとですが、気が付かれたかもな~とか思っていたのですが、よかった(*^_^*) いや、大したことではないのですけれど。でも竹流はお山の大将なので、自分の懐にある者に対しては我が身を犠牲にしても助けようとする……ヴォルテラの体質です。ただ「詰めが甘い」んですよね^^;
さて、胡散臭そうなオッサンの皆さんの評価が楽しみです。
この先もよろしくお願いします。コメントありがとうございました!!
(なんか、コメ返事何回も途中でぶっ飛んで、これって4回目くらい?? お返事遅くなってすみません

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2015/11/12 07:49 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

あ、やっぱり皆さま、勝負服って思ってくださったのですね。いや、勝負服と言うとついつい、ひ〇パンとか、赤いアンダーウェアとか、要らぬ方向へ想像が行ってしまうイケナイ私です。ちょっとこの辺りイメージは、まさに時代劇感覚で書いておりました。私の中では、必殺のテーマが流れていたのですが……(^^)
ちゃらら~んv-341 思い出のいとぐるま~(←古い^^;)
でも、嵐の前感、楽しんでいただけてとても嬉しいです。そして、珠恵の事情も納得していただけて有難いです。うん、嫉妬するけれど、珠恵と真はやっぱり一蓮托生なんですよね。お互いに野生の勘で自分たちの立ち位置を嗅ぎ分けていたという感じです。この先、あ、なんてひどい(いや、実はちょっと美味しい? 多分limeさんは分かってくれるはず……かな、いや、きっと嫌いじゃないはず!)って展開もありますが、片眼を瞑って、よろしくお願いいたします。「人身御供」……すでにlimeさんは何事か想像しておられるに違いない…・・・・あ、作者、酷いんですよ(お互いにね~~。みんな、自力で逞しく生きてくれ!)

真が珠恵に託すべき未来……あ~そうかぁ、竹流のこともあったかぁ(って、ひどい作者^^;)。実はここを書いている時に持っていたイメージは、慎一のことだったんですよね。慎一、あんな子なので(ぼ~っとしてる)、協力者が必要なのですけれど、日本にはあんまり頼る場所がなくて、で、将来、彼にとって日本の家となるのは京都の珠恵のところなんですよ。まだ生まれてもいないけれど、2人は何だか感じ合っているのかも。
そうそう、真の前世はマコトだと分かったので(あはは、ほんまかな?)、そうか、輪廻転生で、次はマコトに生まれ変わるのか! 生まれ変わる度におバカ度が増していく気がするけれど、ま、いいか!

さて、竹流の事情。うん、そういうことだったのですよ。いや、実は、寺崎昂司が真を呼び出す時に「珠恵ねえさん」ってとこだけ平仮名だったのです。誰か気が付くかな~とドキドキしていたのですが、いや、ちょっとだけでも皆さんがびっくりしてくださって良かった。いや、別に隠すほどのことでもないのですけれど。
竹流は「情に溺れやすい」男なんですよね。もう、彼にとっては昂司は本当の弟みたいな気持ちで。いや、多分、昇が同じ目に遭っていても必死に守ると思うけれど……でもみんな、そんな扱いをされるからこそ、「それなのに何であいつはもっと特別なんだ??」って思っちゃうんだろうな~。八方美人、こまります。

そして、ついに現れました、最後の大物。いや、何べんも言いますが、ただのスケベのじじいです。大らかな気持ちで悪役を見守ってやってくださいませ。
コメントありがとうございました!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/11/12 19:00 [edit]


やっとコメに戻ってまいりましたあ。2か月ぶり^^
速読でさらっと読み逃げはしていたのですが、もう一度。

「藤むら」の女将とのにらみ合い(?じゃないね)から圧巻です。
この女将も全てを知ったうえで対峙しているわけで、さすがの笑みだなあと。
知らないのは自分だけか。いあ、読んでやる~となぜか意地になってしまった(-"-)

黒のスーツに黒の留袖。舞の間の真の心情、珠恵とのことが海の波の速度と同じ速度で流れて行きました。海に落ちる雨が、真の涙とオーバーラップしましたあ。女将、やるなあ。そして、真のおしりにひっついている前世も^^

球恵さんのお話には、そうだったのかあーと。
どんなつながりなのかと思ったら、ファミリーだったとはー。
ここでもみんながみんなを守ろうとして動いているわけですかね。
最後まで守り切れるのでしょうか。
次に参ります。

けい #- | URL | 2015/12/28 20:42 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

あ~、お忙しいけいさん、読んでくださって&コメント、ありがとうございます。もう本当に、このごろ皆様の物語を読むにつけ、あ~私って駄目だわ~と落ち込むことしきりで。けいさんのクリスマス企画にも「いいなぁ、こんな感じで書けたらいいのに」と思ったりしておりました。ま、もう出来上がっている作品なので、今更どうしようもないのですけれど^^;
いや、もっと推敲しろよって話もありますが、これでも何度も手を入れているのですけれど、長すぎてこれ以上どうすることもできないわ、と。きっともっとそぎ落とさなくちゃならないんですよね。これでもかなり落としたシーンがあるのですけれど。

祇園のシーンは半分以上想像ですけれど、気に入っています。こういう覚悟を決めた女と主人公との絡みって、書くのが楽しい。この後、ダークサイドの村野花との対峙シーンもあるのですけれど、これもまた結構気に入っているシーン。酸いも甘いもご経験済みの女将さんからしたら、真なんて手のひらの上……でもこの女将さんも、実は竹流のことは「恋」していて(珠恵の手前、何も言いませんが)、それも人間としての面の方が大きいけれど、女としての恋もあったりして。そんなのを呑み込んで付き合っている、この感じがとっても似合う人たちです。ま~ね、幻想ですけれど。
前にも書いたかもしれませんが、モデルがいて、寺田屋のお登勢さんなのです。

珠恵の方も、決してらくちんに生きてきたわけではないのですけれど(花街の人ですからそれなりに恋もありまして)、結局この町が彼女を生かしているのでしょう。竹流がもし東京に、あるいはローマについて来いと言っても、彼女は行けないと答えるお思います。彼女は祇園の女ですから。そして、竹流の仲間たちは彼女にとっても大事な弟分たち。これもまたひとつの大きな家族なのかもしれません。
コメント復帰? ありがとうございました!!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2015/12/30 08:17 [edit]

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