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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨156] 第32章 焼ける(2)女贋作者の告白 

【海に落ちる雨】第32章その2です。
楢崎志穂に続いて、その姉である御蔵皐月が語ります。と言っても、ビデオの中のこと。これを福嶋がどうやって手に入れたかって。それはもう、なんやかやと言いくるめて寺崎孝雄から取り上げたんですね、多分。
友人Aと話していて、福嶋の裏設定があれこれとできていたんですよ。本編では出しませんが、例えば、生れは大阪の八尾で、小学校の時に京都に引っ越してきた当初は「八尾だって」とか言われて苛められて、それを姐御のように優しかった淑恵(珠恵の母親)とその腰ぎんちゃくだった寺崎孝雄に助けられていた。そのうち、持ち前の大阪人根性を発揮していじめっ子に変わったかも?
でも、その時の恩義がありますからね。あんな奴でも、これまで寺崎孝雄を見捨てられなかったんですよ、きっと。そして淑恵への恩義があるので、珠恵のことは手を握るぐらいで我慢しちゃってる。実は結構律儀な男なんです。
戦時中は部隊の副隊長って立場で、隊長さんのことをすごく尊敬していて、仲間からも結構慕われていたんじゃないかって思うんですよね。けれど、部隊は全滅。偶然一人だけ生き残ってしまって、気が付いた時、累々と横たわる仲間たちの屍の中にいた。
そんな過去を持っていて、今でも時々魘されている。だからこそ、戦後はのめり込むように仕事をして、むしろ命などどうでも良かった。のし上がって今の立場にいても、もう明日はどうなってもいいって思っている。あの時死んでいたはずなんだから、ってね。早く仲間たちのところに行かないと申し訳ないと思ってるんです。
でもこんな渋い過去があるなんて、絶対真には言わないだろうし、ここでも書かないぞ。あ、書いちゃったけれど、これは本編には出て来ない裏設定。そんなことよりも、今は存分に悪人度をお楽しみくださいませ。

登場人物などはこちらをご参照ください。
【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



 ビルの十階は住居のようになっていて、台所と洗面、手洗いの他はぶち抜きのワンフロアだった。敷かれた絨毯は分厚く、靴下を通してもその立ち上がった毛のどっしりとした厚みが伝わってくる。部屋のど真ん中に、円形に近い、大きなベッドが置かれている。一歩間違えたらラブホテルだな、と真は思い、男に促されるままに部屋の中に進んだ。
 部屋の一方の壁には、畳一畳分はありそうな巨大なスクリーンがしつらえてある。真はその白い空間を睨み付けていた。

 戦争に士気がいるというのなら、憎しみの感情こそ最も揺るぎない力だろう。今は、目の前にそれを掻き立てるものを持って来いという気持ちだった。だが、戦場で敵を撃つ恐怖を、あるいは自分が死に向かう恐怖を忘れさせてくれる麻薬なら不要だった。
 真は上着を脱ぎ、ベッドの上に放り投げた。仁の言葉を、耳だけに留まらせて、決して脳には伝えたくなかった。

 男はスクリーンへの映写機のスイッチを入れ、カーテンを全て閉めた。まだ昼にもなっていないにも拘らず、部屋の中は完全に光が遮断された。映写機から光の筋が、空気の微粒子で震えながらスクリーンに細かな塵を浮かび上がらせている。微かな機械音は真の身体の芯に響いていた。
 男が出て行った後で、スクリーンに映像が映し出された。

 始めに、映像はあのフェルメールの贋作を長い間舐めるように映していた。
 黄色い服を着た女性が、金に光る巻き毛を項に零れさせて、レースを編んでいる。光の加減で絵に浮かび上がるポワンティエ。絵の輪郭は光そのものだった。女はレースを編みながら、男の心を離すまいとしている、真にはそう見えた。男を絡み取ろうとしている手は、ひどくエロティックに見える。

 真はベッドに座り、いつまでもフェルメールの絵を見つめていた。いつの間にか身体が僅かに興奮していることを感じる。
 その後、映像は暫く真っ暗になり、ふわりと白いものが舞ったような気がした。
 映像の真ん中に白い服を着た女が立っていて、その視線は真っ直ぐに何かを見つめていた。

 意思の強い、挑むような視線は、目の前の何かを射抜くように見える。唇は厚く、少しめくれ上がったような上唇が卑猥で、幾分上を向いたような鼻も妙に妖しく見えた。女はゆっくりとした動作で椅子に座り、脚を組み、長く白い緩やかな曲線を描くドレスの裾から、裸足の足の先を出していた。マニキュアの赤が扇情的に映し出される。

『私たちを育てていた村野という男は戦時中に阿片を捌いていた男の息子で、村野自身も手伝いをしていたみたいよ。軍が戦時中に、ひとつは資金源として、もうひとつは兵士を戦場に送り出す手段として阿片を使っていたことは知られていないわけじゃないけど、今となっては確かな証拠は闇のファイルに仕舞われている。でも、村野は世界のあらゆる国が戦時中に率先して麻薬を使っていたという証拠を握っていた。タイあたりの産地を直接に仕切っていたともいうし、売却の仲介も全て自分たちの手でやっていたというから、当たり前ね。こういう話の鉄則は仲間を増やさないこと、まさに右手のしていることを左手に知らせるな、ってことらしいから。黙っていても、村野の懐には金が転がり込んだ。村野は復讐という名前がつくゲームを本当に楽しんでいた』
 女は手渡された煙草を一本抜いて、火をつけてもらうと、深く吸い込んだ。

『村野の家は、母屋筋にあたる澤田の家と百年も前からずっと仲が悪かった。もともとは分家とはいえ召使のような扱いで、澤田の家は村野家の素行が悪いといっては足蹴にしてきたのよ。特に澤田顕一郎の父親と村野耕治の父親は、土地のこと、女のことで随分揉めていたらしくて、村野耕治の父親が積年の出来事の復讐とでもいうように澤田顕一郎の母親を暴行して、村野家は大分を追い出された。村野親子は世話になった新潟の蓮生家で、主の女たちと関係を持ったり強請りたかりで生き抜いたそうよ。そうでもしなければいつか澤田に復讐してやる機会さえ持てないと思ったんでしょうね。折りしも始まった戦争で、村野耕治の父親は某かの伝で、大陸で阿片を生産させて日本に運び込む仕事を始めて、大儲けした。金の力で大手を振って大分に戻って、零落していた澤田家の土地を手に入れ、地元の名士にのし上がった。澤田顕一郎の父親は変死体で発見されたそうだけど、村野の父親が殺したんじゃないかという噂もあって、それも金の力で潰したというわ。澤田顕一郎は大分を出て行った。その後、元傭兵だったという田安隆三の世話になっていたのは知ってるでしょ』
 女は言葉と言葉の間で煙草の煙を吐き出し、紅い唇でほんのりと笑った。

『大学を卒業した澤田は九州に戻ってきた。大分には帰る家がなかったから、福岡で新聞社に勤め始めたのよ。知っての通り、優秀な記者だったというわ。でもね、その新聞社の大株主は村野耕治の父親だったのよ。父親が死んでいたから、実質新聞社は村野耕治のものだった。内容はともかく、幼馴染だった村野耕治と澤田顕一郎、そして花という女は新聞社で再会した。間抜けだったのは澤田顕一郎よ。昔のことは水に流そう、あれは古い家同士の問題で、父親同士がどう思っていたとしても、若い俺たちが憎しみまで受け継ぐ必要はないという村野耕治の言葉に、澤田はころりと引っ掛かった。

古い因習に辟易している若者が日本中にうようよいた時代ですもの。そして、正義感が強くて人を信じやすい、しかも記者としての信念を持ち、世の中の真実を追究しようという澤田に、周りの人間は引き込まれていった。花もその一人だった。馬鹿な女よね。記者として一時も休まずに仕事をしている澤田を、いつも新聞社の廊下で待っていたそうよ。澤田を追い続けて、待ち続けて、時々澤田が時間を作って花を可愛がると、花はのめりこむように澤田を愛して繋ぎとめようとした。澤田に悪気なんてなかったでしょうし、本当に花を好きだったのかもしれないけど、澤田は気になる事件があると、花のことなんてすっかり忘れてしまったんでしょうね。

女なんて哀れで愚かな生き物なのよ。村野耕治に可哀想にって言われて、花はあっさりと村野と寝た。馬鹿な女だわ。好きな男を手離すなんて。しかも村野耕治と花の結婚の報告を聞いたとき、澤田は祝福したそうよ。花はもしかして澤田が嫉妬してくれないかって思ったのかもしれないわね。澤田に祝福されたとき、花の中の何かが壊れたのよ。村野耕治の子どもを産んだら、直ぐに自分は病気で育てられないといって里子に出して、男に狂い始めた。

村野耕治だって、始めから花に執着していたわけじゃない、村野が執着していたのは澤田顕一郎よ。村野は花の身体がものすごくいいことを知っていた。だから、花を色んな男に抱かせて、ここぞと思った男の子どもを産ませた。それが私と志穂よ。村野は私たちの父親から有形無形のものを随分と手に入れたんじゃないかしら? 村野耕治は何をしたかったのかって? どうでしょうね。裏の世界に顔も名前も知られていた、世界中の奇妙な秘密結社が彼の力を欲したし、その結社の目的が復讐と聞けば、喜んで協力者になっていた。

でも彼が本当に執着していたのは澤田だって言ったでしょ。澤田に対して友情や愛情という感情を抱いていたわけじゃないわよ。執着。澤田の戦友、心を許した友になって、日陰から支える力になって、ここぞというときには澤田の首を絞めて楽しんでいた。そしてまた手を緩めて協力者になる。そういう心理はどう表現すればいいのかしらね。花だって同じ。いつもどうやって澤田を手に入れようかと考えていた。ベッドにまで引きずり込めば、自分の身体で澤田を思い通りにできると思っていたんじゃないかしら』
 女の細くしなやかな指が灰を落とす。

『ええ、その女の写真を見たわ。そうね、確かに私たちに似ていた。志穂? あの子は何も知らないのよ。村野耕治が私たちに吹き込んだ、香野深雪の妹だって話を本気で信じてたんだから。人を信じやすい馬鹿な子よ。振り回されてばっかりで、施設でだっていつも誰かを信じて、裏切られては泣かされて、そのくせ必死で食い下がってくるの。馬鹿だけど、大事な妹だわ。そうね、不幸体質なのは村野花の血のせいじゃないかしら。報われない恋をするのよ。妻子のある男を好きになって、心に秘めていたら、その男が香野深雪と付き合ってた。あの子だって村野花の血を引いているんだから、そのうち男をどうしても手に入れようっていう遺伝子に火がつくのかもね。でも、男が死んでから追い求めても遅いわ』
 女の目が哀れむような妖しさを放った。真は女が話しかけている相手の傍に立っているような気持ちになっていた。

『あなたも馬鹿よ。私は村野花っていう頭の悪い、男に執着して、手に入れるためなら何でもするような女の娘よ。女の武器が何かということもちゃんと知っている。ええ、村野耕治と寝たわ。義理の父親とね。初めて寝たのは中学を卒業する年。村野が癌だって分かってからは、村野の寿命を一瞬でも縮めてやりたくて毎日のように抱かれてやったわ。村野は笑ってた。癌の痛みを取るために自分が他人に使ってきた阿片を吸って、男を勃たせるためには奇妙な新種の麻薬を使った。お前は正真正銘、花の娘だ、身体もいいし、蛇のようにねちっこく男を狩ることを知っているって。

私は村野に抱かれて、自分の身体の中にあのしわがれた化け物の分身みたいな男を受け入れて、身体中がどんどん穢れて腐っていくような気持ちになった。追い込まれていたのは私の方だったのかもしれないわね。そうね、それ以外の時間はずっと絵を描いていたわ。不思議でしょ、自分で言うのもなんだけど、癌のせいでしょぼくれた村野のものをこの身体に受け入れて、極限まで身体が穢れたような気がして、それから絵を描くと魂が浮き上がったみたいになるの。私はフェルメールの絵に溶け込んでいけた。

中学生のとき、初めて村野に抱かれてから、ずっとフェルメールの絵を見ていた。男が私を貪っている間、目はあの絵を見つめ続けていて、一ミリごとの光を記憶した。毎日毎日、何時間も何時間も。だから私の身体にはフェルメールの絵が染み込んでいる。穏やかな光に包まれているように見えて、その後ろに影があるの。私にはフェルメールの描いたひとつひとつのポワンティエの後ろに陰が見えた』

 女は煙草を揉み消した。そしてふと目を上げると、怖いほどに綺麗に微笑んだ。高貴で、悲しく、孤独な美しさだった。『その絵がフェルメールであることに迷いがない』と江田島は語っていた。フェルメールを追い続けた男にしても、もしも科学的な分析で顔料の幾つかがフェルメールの時代にはありえないものと判明しなかったら分からなかったというほどの迷いのない光の雫。
 この女があのフェルメールの贋作を描いたのだ。己の身体のうちの暗い影を光に変えることで、この女は何を購いたかったのだろう。

『そんなふうに穢れてしまった私の身体を抱いて、お前は綺麗だと言ってくれたのはあの男だった。私の描いたフェルメールに惚れたと言ってくれた。お前は自分のために自分の絵を描いたらいいと言ってくれた。でも、あの男が私のものにはならないことはわかっていた』
 女は無表情のままなのに、どこか哀しそうな顔で向かいにいる誰かに語り続けている。

『あなたはやっぱり馬鹿よ。知ってるんでしょ。私があなたを騙して、ただ利用してたってこと。だからこうして復讐しようとしているの? いいわよ。あなたのしたいようにしたらいいわ。あなたは私のために何でもしてくれた。あの男が私にフェルメールの贋作の贋作を描いてくれと言った時も、あの男が県庁の絵をすり替える前に、彼の所から私の絵を盗み出してくれた。彼を困らせてみたかっただけなのに。私の狂言自殺にも手を貸してくれて、あの男を呼んできてくれた。アトリエに火をつけたとき、私は興奮していたわ。全て燃えてしまって、もしかして私も死んでしまったとしても、あの男を一緒に連れて行けるのなら、と思っていた。あの時に負ったあの男の背中の火傷の瘢』
 女の唇がゆったりと笑った。

『私を救うために負ったあの傷を見るたびに、私は幸福だった。これは私のために負った傷だと思うと、あの男が愛おしくてたまらなかった。でも、一緒に死にたいと言った私の願いだけは、あなたは聞き届けてくれなくて、結局あの男と私を火事場から助け出してくれたわね。その時は余計なことをしたと恨んだけれど、今は感謝しているのよ。でもあの時から、あの男は私を慰めてくれても、抱かなくなった。あなたが私を愛していると思ったからなんでしょうね。私があなたを愛していると言ったのは嘘だったのに。あの男が、弟で親友であるあなたに女を寝取られて悔しいと思ってくれたら、と願っていた。でもあの男は、私とあなたのことを認めようとしたのよ? まるで村野耕治と花の中身のない幸福を祝福した澤田顕一郎みたいにね。

でも、あなたが佐渡の家であの男の火傷を手当てしている姿を見ながら、私は奇妙な気持ちになっていた。あなたはあの男を愛しているんじゃないかと疑ったのよ。あの男の方も、まるであなたのためなら何でもしてやろうというように見えた。でも、あの男は私に対しては距離を置くようになっていた。私があの男の背中を手当てして、たまらなくなって火傷の瘢に口づけたとき、あの男は私の手に自分の手を添えて、昂司に誤解されるわけにはいかない、と言ったの。その手がどれほど憎かったか。

あなたはいつもそんな私を憐れんでくれたわね。私が、佐渡の隠れ家からあの男が封印していた銃器類を盗み出して欲しいと言ったときも、あなたは何も聞かずに言うとおりにしてくれた。事故に見せかけて、爆弾を仕掛けてもくれた。そうよ、あの男を追い込みたかった。なのに、あの男は、君たちが無事でよかったって。銃器類は海に沈めたと言ったら、それを鵜呑みにした。私たちを信じたわけじゃないと思うのに、もっと早くにそうするべきだった、悪用されなければそれでいい、とだけ言って』
 ゆらりと影が被った。真はぼんやりと女の顔にかかる哀しげな影の揺らぎを見つめていた。その後に続いた男の声は、真が聞き知っている声よりも低く、優しく、そして悲しい声だった。

『違うんだ。俺は、君の言うままに武器庫を吹き飛ばして、警察沙汰にでもなってあいつが苦境に立つのを見たかったわけじゃない。俺はあの礼拝堂を壊したかったんだ。あいつは何時になってもあんなものに縛られて、時々あの彫刻の前で何時間も座っていた。震えてたんだよ。出てくると酷く憔悴していて、宿根木に戻る、と言ってまた何時間も婆さんの昔話を聞いて、ようやく落ち着いて東京に戻る。京都の姉さんのところに帰るわけでもなく、東京のマンションに帰っていく。

君だって嫉妬で狂いそうだったかもしれないが、俺はただ悔しかった。俺に心を許して何でも話してくれていたはずだった。本当に愛しそうに姉さんの名前を呼んだ。それなのに、理由も話さずあの彫刻の前で震えている。俺が聞いても、たまには昔を思い出すんだと言うだけだ。京都に帰らずに、マンションであの坊主を抱いて眠っているのかと思うと、悲しかった。そんなにいい身体なのか、と聞いたら、いや、セックスをする相手じゃないし、湯たんぽにもならないと答える。

あいつに気がある俳優の小坊主が面白そうだと言ってマンションに押しかけて、数日居座っていたけど、そいつは言ったよ。あれは本当に突っ込んでなくても、触れないままやってるのと一緒だ、同じ空間にいるだけでどきどきしたって。姉さんは騙されているんじゃないかと思ったこともあった。でも、姉さんといるときのあいつは、本当に幸せそうに見えた。君にこんなことを言うのは酷かもしれないのは分かってるよ。あいつは本当に姉さんを愛しているし、大事に思っている。今でもそれを疑っているわけじゃない。

でも、君がビッグ・ジョーをそそのかして、あの坊主をさらわせて男どもの餌にさせたときのあいつを見て、俺は本当に驚いた。あいつは平気で戦争をしかけたんだ。何の躊躇いもなかった。誰か無関係の人間が巻き込まれて傷を負うことすら構わないようだった。普段は穏やかで寛容に見える男が、怒りで我を忘れて狂った激しい鬼神になっていた。あいつの心のうちは、あいつ自身もよく分かっていないのかもしれないし、もしかして分かっていて認めたくないのかもしれないけど、あの坊主に持っていかれている。混乱したのは俺のほうだ』

 女はくすくすと笑った。
『あれは面白かったわね。ビッグ・ジョーにぜひとも撮影しておくように勧めたのよ。きっと後で役に立つからって。役に立たなくても、高く売れそうじゃない。そうよ。私、見てたの。あの坊やを抱いた男たちは、一様に興奮していた。余程いい味だったんでしょうね。あんな、セックスなんてしたこともない、したことがあったとしても興味もない、なんて顔をしながら、悶えだしたらどんな目をしていたか。あれこそ淫乱の目よ。相手を狂わす目。この身体とこの目であの男をたらしこんでいるのか、この身体に狂ってあの男は私を抱かなくなったのかって思うと、男たちが抱いた身体を試したくなった。

私、レズビアンが使うディルドをつけてあの子の身体に挿れてやったの。あの子、道具を挿入されても狂ったように悶えてた。その顔を見てるだけで興奮したわ。あの男は私や女たちに優しくしても、溺れるなんてことは一度もなかった。でもこの顔を見ながらやっているのなら、夜な夜な溺れてて当然だと思ったわ。どうしても自分の身体であの子の身体を知りたくなった。あの子の中に指を挿れたら、襞が生きているみたいに私を食い締めてくるの。自分が男でなかったことを、あの時程残念に思ったことはなかったわね。男が狂うわけが分かった。手首まであの子の身体に突っ込んで、腸ごと引きずり出してやりたかった。私はあの坊やがどこか異国の金持ちにでも売られて、麻薬漬けにされて夜な夜な変態のセックスの相手をさせられて、狂って死んだらいいって思ってた。なのに、あなたはどうして助けに行ったりなんかしたの?』

 女の影に重なる男の影は、影だけだったのに悲しく揺れている。
『竹流は、本当に狂いそうになっていた。でもそれはそういう意味じゃない。竹流はあの坊主を失うこと自体に耐えられないんだ。そのために禁欲しろと言われたら、自分がどれほど苦しくても指一本触れなかったはずだ。あいつは、一度あの坊主を失っているんだと言った。あの世から呼び戻してきたんだと信じてるんだ。今この時が、自分があの子を失いたくないために見ている長い長い夢なんじゃないかと、本当はあの子が死んでしまってるんじゃないかと怯えてる。深酒になると時々弱音を吐いて、そんな話をした。あいつは湯たんぽにもならない、いつも手足が冷たいんだって言いながら、手が震えていた。ただの低体温だろ、と言ったら、明日太陽が昇らなかったらこのまま冷たくなってしまうんじゃないかと思うって。太陽は昇るよ、当たり前だろ、と言ってやると、納得したように笑ってたけど、あいつはいつだってあの子を失うことを怖れてるんだ。抱きたくて狂っている、そういうわけじゃない』

『優しいのね、昂司。でもそんな感情は紙一重よ。あの男が本当はどんなふうに思っているのか、私にはよく分かるのよ。あの男は、あの坊やが死ぬまでその身体の中に突っ込みたい、あるいは首を絞めたいと思っているわ。苦しむくらいならいっそ殺してしまいたいって』女は不意に思い立ったような顔になった。『ねぇ、あの男はビッグ・ジョーをそそのかしたのが私だって気が付いているかしら』女は返事を待つようでもなかった。『気が付いていたら、私を殺していたわね。でも、あの男に殺されるなら本望だわ。私を刺して血まみれになりながら私を抱いて欲しい。あの男が欲しいわ』
 女はうっとりとした顔をした。
『でもいいのよ。昂司、あなたが私を殺して。いっそ早く血まみれにして、私を抱いて』

 男のほうが何か答えていたが、カメラがぶれたのか、暫く画面が乱れて雑音が被っていた。
 乱れた画面の向こうで、男が女を抱いていた。男が上になって長い時間、女の脚の間に入り、激しく動いていたが、やがて女が自ら上に替わって男に跨り、狂ったように腰を回し上下に動いた。女のめくれ上がった唇は喘ぎ続けている。男は女の乳房に手を伸ばし揉みしだいている。もっと、と女が叫び、男が指に力を入れ乳首をつまみ上げる。縛ってと言われると、男は女の白い肌に赤い縄を回し、僅かの時間の間に女の身体を縛り上げた。絞めてと言われて、男は女の首を大きな手で押さえた。女の顔が上気するように鬱血した。

『あなた……本当に素敵よ。食い込んでくる縄がまるで生きて私を締め上げているみたい。私が憎いから? いいのよ、もっときつく縛って……もっと強く首を絞めて……』
 男は答えずに縄の間から零れる乳首を噛んだ。女は仰け反り、恍惚とした表情を浮かべた。
 苦痛を楽しんでいる、と真は思った。そして、女の顔に自分自身を重ねていた。恐ろしいことに、苦痛を舐めるように味わう快楽に浸っている自分に気が付いていなかった。いや、冷静にその自分を受け止めているもう一人の自分が、部屋の隅で立っている気配を感じていたが、見て見ぬふりをし通した。

『ソ連に行ったのはね、私の描いていたフェルメールの絵に秘められた物語を確かめたかったからなの。あの男はキエフの老人に騙されているって知っていたのに、それでも何かを信じたいんだと言っていた。フェルメールのマリアも、琥珀の地図も、もしも彼らが必要なら取り戻して、彼らに返してやりたいって思ってたのよ。でもあの老人はそんな生易しい男じゃなかったわ。私が日本人のムラノという男の使いだと言ったら、下にも置かない扱いだった。

そう、ムラノ、という名前は愚かなネオナチの仲間たちの間では金蔓の代名詞だったのよ。自分という個人が死んでも、必ず自分たちの組織がやがてこの世界を征服するんだって、いつかムラノは自分たちを助けに来てくれると分かっていたって、そう言っていたわ。そうしてマリアも琥珀も馬鹿な男どもの野心の犠牲になったのよ。世界中に散らばった同じような絵の下には、もっととてつもない宝の地図が書かれているんだって、夢を見るように語ったわ。もう片足を棺桶に突っ込んでいるくせに、その老人は私を厭らしい目で見た。私はやつらの儀式に呼ばれた。そう、妙な薬を盛られて、神の遣いと寝たのよ。男ってのはどうして復讐や秘密結社やら世界征服なんかにのめり込むのかしらね。この世界がゲームで成り立っていると思っているのかしら』

 呟きながら、女は男の愛撫を受け入れていた。男は何も言わずに女が溢れさせている蜜を吸っていた。
『あの男は、きっと何もかも分かっていたのよね。それでも、そんな愚かな老人を哀れだとでも思ったのかしら。もしかすると、マリアが老人を救ってくれるとでも思ったのかしらね。強くて逞しくて、何もかも持っていて、愛されている、でも心のうちには重い悪魔の錘を抱えていて、時々残酷なくらいに相手を断罪するのに、結局は優しくて馬鹿な男』
 女は呟き、喘ぎながら涙を流しているように見えた。

『ねぇ、昂司。最後にあの男と寝たいわ。あなたの父親、花と一緒に子どもをいたぶったり、相手が死ぬまで犯り続けるビデオを作ってるじゃない。花に聞いたのよ。今度はあの男がターゲットなんだって。ねぇ、最後にあの男とやらせて。何年も触れてもらえなかったの。死ぬならあの男を銜えながら死にたいわ。そう、私を撮ってよ。そしてあの男に見せて。あの男には、一緒に地獄へ行く私の姿を見ながら死んで欲しい。最後に私だけを見て欲しいのよ』

『死ぬ必要なんかないよ』
 女は何かを思い浮かべていたのか、興奮して叫ぶような喘ぎをあげ始めた。
 真はもうその時すでに、脳の中でも心でも、何も感じなくなっていた。この女に会ったという記憶はなかった。そもそも助け出された記憶さえ曖昧で、寺崎昂司の顔すらよく覚えていなかったのだから、薬漬けで犯されていた間の記憶などなくて当然だった。それでも真の身体は震えて、腸の奥がひきつったような痛みを訴えた。

 画面の中で、男の手が、女の白い皮膚に傷をつけていた。女は悲鳴を上げ、もっと、と叫んだ。男は女の肩に口づけ、女の皮膚を食い破った。女は血を流し、同時に血走った目がうっとりとし始めた。女の長い髪が汗と血液でべっとりと額に貼りつき、厚めのめくれ上がった唇から涎が零れている。男は女の望むままに、女を噛み、女を縛り、女を犯し続けていた。女の頭の中で別の男の幻が浮かんでいることは明らかだった。

(つづく)





ちょっと長かったですね。いつもと同じくらいなのですけれど、文字が多く感じるのは女がずっとしゃべっているからですね。でも謎解きのシーンでブチ切れされたら「なんだよ、もう」なので、一気に行きます。私が憑りつかれたように書いていた部分ですから、勢いがすごいのかも。
この章はあともう1回。女の告白が終わったということは……真の火に油を注ぐ究極のシーンがビデオにて登場します。えぇ、あのビデオ、見ちゃうんですよ、真。だから、燃え上がっちゃった…・・・・

<次回予告>
『ほんまに、こうなってもまだ綺麗な身体しとるな。生まれが違うゆうんは、こういうことなんか。こんな上質の犠牲者は初めてやからな、親父も、先生方もそりゃ興奮しまくっとったで。これで足がついて仕事がやばくなってもかまへんくらいの勢いや。まあ、この男は東海林珠恵をたらしこんで、囲うて玩具にしながら、別の男と一緒に住んで、公衆の面前で愛してるなんて抜かしてるような野郎やからな、親父かて可愛い珠恵ちゃんのためにもこの男を裁かなあかん、思ってるんや。お前の姉さんのためやで』
 わずかに、横たわった男の唇が動いたような気がした。暫く沈黙が続き、やがてがさがさという風が草木を揺らすような音が聞こえ始めた。その時、影がゆらりと動いて、喋り続けていた男を押しのけ、横たわった男の唇に指で触れた。カメラは追いかけるように傷つき横たわる男を映し続けている。
『カメラ、止めてくれ』
 底から響くような声だった。
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Category: ☂海に落ちる雨 第5節

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コメント


ぐはっ

更新、お疲れ様でした。

なるほど、こういう手がありましたか。
ビデオを撮っている相手に、延々と独白を続ける御蔵皐月は、ちょっと危なくて、いわゆる「痛い子」って感じですね。その境遇は文字通り、痛々しいですし。
えっと、あの「発見」の前にこういう出来事があった、ということなんですよね?
これは酷いですね。
御蔵皐月に持っていたイメージ――もちろん私が勝手に抱いていたものですが――は、完全に間違ってました。どうやら、読み違えていたみたいですね。これはちょっと、生い立ちを考慮に入れても、同情はできないかな。寺崎昂司も、なんかねぇ。さすがに竹流が可哀想に思えてきました。
それにしても、なんでこんなに自虐的なのかなぁ、この女性。そして破滅的。どこか根っこの部分で、小松崎りぃさと重なるものを感じます。これも読み違えているかもしれませんけど。
楢崎志穂は、これを見たんですね。そりゃ、おかしくもなるか~。退場して正解だったかも。真は退場できないだけに、キツイですね。
そして、真の良心にトドメを差す次話、楽しみにしています。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2015/12/13 01:50 [edit]


うわ……

こんばんは。

来ましたね、真犯人(ある意味?)の告白。

また、皆さんと逆ベクトルな感想を書きますけれど……。

竹流、確かにかわいそうだけれど、根本的な問題として、つき合う複数の女たち(含む男)を全員幸せにできる男なんているわけないんですよね。本人に誠意があろうが、その時間は真剣だろうが、それで100%幸せだなんて相手は嘘つきだと思います。そういう意味では、この御蔵皐月はもちろん許されないことをしていますけれど、正直な人だと納得でした。(っていうか、なんでこんなひどい女まで一緒くたに竹流ガールズにしていたんだか。もしかして、竹流って底抜けにお人好し?)珠恵の優等生的振舞いとか、もちろん見えているだけが全てじゃないとはわかっていますが、「嘘つき」と思うし、それに甘えている竹流の記述は後からどつきたかったもの。もちろん、こんな酷い目に遭って然るべきとは全く思いませんけれど。

真相を知ったとき、竹流の心が壊れそうになったのはわかるように思います。真がビッグジョーにやられたのも、自分が寺崎に狙われたのも、単なる巻き込まれた善人としてではなくて、他の要因がたくさんあるにしても、一番の原因は、自分の光源氏的振舞いのせいだったってことですよね。

自分自身よりも大切なキャラクターたちのストーリーを書きながら、ここまで主役に不利な(?)いや、厳しい設定をなさるのは本当にすごいことだと思います。普通は主役たちには綺麗で美味しいところだけを演じさせたいじゃないですか。でも、彩洋さんが書きたかったのは、こういう二人だったんだなと、改めて驚かされています。

次回は、ついに核心のビデオシーンなんですね。心してお待ちします。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2015/12/13 04:51 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

はい、そうなんです。このお話の一番大きな小道具は(変な表現だな)ビデオなんですね。しかも時代的にはまだ家庭にVHSもなかった頃かもしれません。多分βテープ(あ、そんなものを見たことのない人も沢山いるだろうな~。最近はVHSのデッキを家に持っている人も減りましたしね)……
御蔵皐月の存在は、竹流の立場を明確にするために必要だったのですけれど、いったいどんな女なんだ??って感じですよね。いや、私の理解を越えた女でして……って、そんな女を書いてどうするって気もしますが、何かに執着するとこうなっていくんだろうなと思いまして。「痛い子」ってのは本当にそうだなぁ……もっと視点を変える柔軟性を持っていてくれたらよかったんですが、環境がそうさせなかったみたいで。竹流は一生懸命だったと思いますが、彼が思いやりのつもりだったあいまいな態度がまた彼女を追いこんだかも。
やっぱり同情はできませんね。うん、そうなんですよ。でも実際には、恋は盲目と言うのか、他が見えなくなっちゃったら、「ダメの連鎖」のスイッチが入っちゃって、どんどん転がっていっちゃう……冷静になれば「ダメだ」ってわかるのに。
わわ。りぃさと重なりましたか! いや、その読みは正しいです。私もそう思いながら書いておりました。りぃさも真を巻き込もうとしていましたが、結局最後は連れていけなかったんですよね。いや、本気で連れて行くつもりではなかったかもしれませんが、こっちは本気で連れていくつもりでしたから、より悪質です。
竹流は同情してもらえましたか? いや、でもこの男、酷いですよね。八方美人にもほどがある(^^) でもそれがお山の大将の性質ですから……

> えっと、あの「発見」の前にこういう出来事があった、ということなんですよね?
あ、そうです、そうです。真は今から小道具のビデオによって「何が起こっていたのか」を知らされていくので、結局彼の怒りが本当の意味で爆発することに……やっぱりね、現場を見ないと「怒りの爆発」にはつながらないんですよね。真の良心、本当に今や風前の灯?? 次回はもうどうなってもいいや!的な世界に入っていきます。あと少し、壊れた真の良心?に付き合ってやってください。
志穂はこの後でてきませんが、後日談は少し語られます。うん、彼女はちゃんと生きていってほしいですね。
というわけで、次回もよろしくお願いいたします。しかしひどい話だな。いい人が出て来ない?? 主人公たちまでひどい……
コメントありがとうございました!!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2015/12/14 01:15 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

はい。ここからは「真犯人たち」(複数^^;)が語り始めます。みんな身勝手なんですけれどね、想いが深くて自分でも手が付けられなくなったのかな、と。人の心って、悪いサイクルに入るとどんどん壊れていっちゃうものかもしれませんね。最後は相手をどうやって巻き込むかを考えていたのか……
いやいや、夕さんのご感想はもっともです。私も書きながら、この男なぁ、本当に困ったよ、と思いながら書いておりました。何しろ、モデルの1人が光源氏だったから^^; そう、もう紫の上一人いたらいいでしょ!って何度も言いたくなりますものね。あれが男の性なのか(そして、一番モデルになった部分は……晩年「探し求めたものが手に入らない」苦悩にあえいでいた部分。最後の最後は救われたのかな??)……竹流の場合は「自分の手の内にある者はだれでも大事にする」というお山の大将的感覚なのですけれど、ちょっと実力が追いついていませんでして。
チェザーレ親分の場合は、7を70倍するくらいまで付き合ったとしても、最後の最後に切り捨てる時は切り捨てる決断力があるけれど、この男は自分が犠牲になってもとことんまで付き合う系で、一度契ったら切り捨てられないんだろうなぁ。うん、まさに底抜けにお人好しかも……彼の仲間たちはそれを心配していましたものね。竹流と澤田顕一郎はその辺り、バカかも……どんな相手でも話せばわかるとか思っているんですから(世の中にはシナプスの結合がおかしい人がいるんだよ!)。可哀相な女にはつい手を差し伸べちゃったんでしょうね……決して手あたり次第ってわけではなかったと思いますが。

竹流は子どもの頃から本当に周囲に大事にされてきましたから(厳しかったけれど、心の部分では溺愛されていましたし)、自分にできないことはないと思っていたかも(この事件でその自信は粉々になっちゃうけれど)。困っている人を見るとつい手を差し伸べちゃって、後から噛まれても、結構気にしない人で、それがあだになっちゃった。でもそれは過信に過ぎないし、傲慢でもあったのですけれど。この辺りは後で仁がぶった切ってくれますので(多分、書きながら私も夕さんと同じく「あ~、もう、この男、しゃらくせ~」とか思っていたので、仁に乗り移っちゃって……いや、この話の中で仁と美和は貴重です)、そこですかっとしてくださいませ!
でも、竹流ガールズ^^; ボンドガールズよりたちが悪い女たちばっかりだなぁ。美人度はまぁまぁ張り合ってると思うけれど。

> 自分自身よりも大切なキャラクターたちのストーリーを書きながら、ここまで主役に不利な(?)いや、厳しい設定をなさるのは本当にすごいことだと思います。普通は主役たちには綺麗で美味しいところだけを演じさせたいじゃないですか。でも、彩洋さんが書きたかったのは、こういう二人だったんだなと、改めて驚かされています。
うぅ。そ、そうですよね。いや、私もちょっと反省しています。時々皆さんの物語を拝読すると、特に主役級に関しては基本的にプラスの要素が多く語られているのに、うちの主人公たち、作者からの扱いがひどい……こんなのだから世間的には魅力がないのね、としみじみ思うこと、しばしば。でも、これでも私にはすごく魅力的なんですね。何だろな~、ダメなところ、マイナス面に非常に興味があって(単なる弱点とかじゃなくて、どうしようもない部分を抱えている)、そしてそれがないと人間として面白くないと思っているのかなぁ?(きっと『逆襲のシャア』のマザコンぶりを見てからだ……)
でも、このお話が最後まで進んだ時に、少しだけ、また二人のことを好きになってもらえたら嬉しいです。
引き続きよろしくお願いいたします。コメントありがとうございました!!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2015/12/14 01:46 [edit]


ぐわぁ

御蔵皐月、想像以上にイカレタ女でしたね。
最初はまだ、哀れでどこか被害者的なイメージがあったんだけど。これほとんど首謀者ですね。寺崎が実は小さな男で…というくだりここで納得しました。この女か・・・。
それにしてもよくしゃべる女で!おかげで背景がずいぶん鮮明に見えてきましたが、基本的に良くしゃべる女ってやつはどこか破たんしてて、その狂気がビシビシ伝わってきます。

真、これを見ながらいったいどんな気持ちになってたんでしょうね。真を見るのが辛い。
実際のところ、竹流があんな目に遭った原因のなかに、真への嫉妬も含まれていたのですから(いや結構な割合かも)
そしてこの憎むべき女はもういないし。

この後真はついにあのシーンを見てしまうんですね。
真の怒りはどこへ向かうのか・・・。

ストーリーもきになるのですが、やっぱりここら辺の大海さんの執筆熱というのが、ビシビシ伝わってきて、憑りつかれるように描かれていたんだというのが凄くわかります。
描写力が半端ない。書き終えた後は本当に抜け殻だったんじゃないかと。
でも羨ましいです、そんな風に書きたい。
次回も、その執筆熱を感じながら、楽しませていただきます^^

lime #GCA3nAmE | URL | 2015/12/16 18:51 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

(なんか、コメタイトル遊びがどんどん高度になっている……^^;)
お忙しい中、コメントありがとうございます(@_@) 12月、あっという間に過ぎていきますね~
そんな時に、イカレタ女にお付き合いいただき、ありがとうございます!! えっと、そうですよね、やっぱりイカレタ女ですよね。いや、きっと嫉妬が極限まで行ったらこうなるんだろうなって思いながら書いていたような記憶があります。
この家系、イカレタ女が生まれてくるのかもしれません^^; 生きてきた過程も複雑だけれど、それが彼女の性格の全てを形作ったわけでもなさそうで(そのあたり、同じ姉妹でも志穂はちょっと救いがある)、やっぱり生来のものは何かあるのかなぁ? 何が何でも欲しいものを手に入れようとするその気持ちだけが突き進んで行っちゃった、んですね。

とはいえ、この責任の3分の1くらいは竹流にあるので、彼女だけを責めるわけには行きませんが、竹流の方もまさかここまで執着されるとは思っていなかっただろうし……人間関係って、いい人とか悪い人とか、積極的とか消極的とか、そういう表面のことはあまり関係なく、結局はあらゆる意味でタイミングとバランスが問題なんだなぁと思ったりします。
寺崎昂司の方も、ものすごく壊れてしまいそうな環境の中にいたけれど、光を求める性質が残ったんでしょうね。それが珠恵であり、その旦那の竹流だったわけで。でも、自分にはどうしても光がまぶしすぎて……(あ、彼の話は次章に持ち越しです。またお楽しみに)。親父の孝雄の方は、壊れています。小物だし、壊れきってるかも(一分の魂はあるかもしれませんが……でもこの男、時々limeさんちにも出てくる結構ケ●の穴の小さい小物悪人に通じるものがありますよね^^;)。
あはは、そうそう、よくしゃべる女でした! いや~、何せ事件の全貌を喋ってもらわなくちゃならなかったので、姑息な手段を使いました! 最後にやたらと喋る探偵みたいに^^; でも、きっとこの女の自己顕示欲が表れたんでしょう!(ということに)

真は……うん、今のところは「なんじゃ、それ?」の気持ちの方が強いかもしれませんが、次回はもう静かに壊れていきます。そう、怒りが爆発と言っても、彼の場合、かなり静かに怒ってしまうので、かえって怖い感じになっていきます。
竹流がああなっている大きな理由は彼自身がつくっちゃった面もあるのあるのですが、とは言え、竹流の方に悪意がないだけに(悪意がなければいいというものではないのですけれど)、事情を知った真にしたら「絶対許さん!」になっていくのですけれど……と、とりあえず、次回もぜひぜひお楽しみに!

> ストーリーもきになるのですが、やっぱりここら辺の大海さんの執筆熱というのが、ビシビシ伝わってきて、憑りつかれるように描かれていたんだというのが凄くわかります。
わ。ありがとうございます。でも、それだけに文章が暴れすぎていて、後から読みにくいったらありゃしない!って感じになっているような気がして……ご迷惑をおかけいたしますが、もう少しお付き合いくださいませ。ここを書いた時は何だか息をするのを忘れていたような?? でもまぁ、文章は冷静な頭で書くほうがいいですよね^^;
引き続きよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございました!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2015/12/16 23:53 [edit]


お"わぁ

思いは秘めたまま墓場へ、ではなく、思いを全て吐き出してからいく、みたいな。
聞いてくれる相手がいたからなおさら隅々まで語ってしまったのですかね。
お蔭で今までのあれやこれやがまた少しつながってきました。

聞く方も聞く方で、それを読む方も読む方だ(-_-;) それを見る真もいた。
その横に、息も忘れてがーと書いている大海さんがいた(?)
ストーリーだとか、告白の内容だとか、真がどうだとか、それよりも、大海さんの描かれる表現が次々と溢れていて。
楽しむというより、堪能させていただきました!

けい #- | URL | 2016/01/09 20:00 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

けいさん、「お」に点々までありがとうございます(^^)
えっと、そうなんですよ。このお話は最初から主要人物が一人だけ亡くなるはずだったのですが、実は始めの予定は別の人だったのです。それが書いている間に、フラグが立っちゃったのは昂司になっちゃって……そのほうが流れが自然かなぁと思ったのですね。うん、けいさんの仰る通り、想いは秘めていた部分もあるけれど、どちらかというと苦しかったものを吐き出して逝ったのかもしれませんね。ここでそれを聴いているのが仁だというのは、ある含みがあるのですが、それはまた先の話。

でも、ややこしいお話なのに、ある程度ちゃんと語ってくれる人がいるので、何とか繋がって頂けているようで有難いです。でもこれって、結局、ミステリーの謎解き探偵が最後にやたらと喋るシーンみたいになってて、何だか情けないかも。2時間ドラマが最後の30分見たら、そこまでの話が全部わかるという、あれですね。ま、いいか!
まだ残してある伏線も、まだこれから拾いますよ~!(って、まだあるんかい! そう、まだまだあるんですよ)

> 聞く方も聞く方で、それを読む方も読む方だ(-_-;) それを見る真もいた。
> その横に、息も忘れてがーと書いている大海さんがいた(?)
「聞く方」は仁かな。や~、仁はね、どちらかというと、ブラック側の人ですから、ここで「何があっても助けてやろう」とはしないですよね。仁義と男の矜持みたいなのは理解しているから。そして、「読む方」は……えっと、けいさん?? 真は気を失っていると思うので、多分このシーンは全く見ていないと思います^^;(結果的に根性が尽きてしまったらしい^^;)
でも、大海は頑張って書きました。うん。何てのか……とにかくもう、この辺り、私の「こうしよう」とかってあんまりなくて、書きながら流されていたかもしれませんが、うん、確かに呼吸を忘れていたのかも。
こんな展開ですが、楽しんでいただけていたら、何よりです(*^_^*)
うん、本当に、こうして読んでくださるけいさん始め、少ないのに恐ろしくパワフルな読者さんのおかげです!! ありがとうございます!! 
引き続き呆れずにお付き合いいただけたら、嬉しいです。
コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2016/01/11 01:54 [edit]

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