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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨171] 第37章 絵には真実が隠されている(1)小さくともかけがえのない一歩 

【海に落ちる雨】第37章その(1)です。真が以前勤めていた唐沢調査事務所の先輩探偵・三上のところを訪ねる真。彼は事務所の爆発事故で下半身不随になっています。真はその事故については自分も後ろめたい気持ちを持っていて、三上の不自由に対して直視することができないでいました。でも、当の三上も妻の裕子も、そんなことは意にも介していないみたいです。本人は知らないところで、こんなふうに想ってくれている人たちがいる。本当に、今まで真はちゃんと周囲を見ていなかったのかも。
そして添島刑事から語られる澤田の事情と、潔い葉っぱかけの言葉……言葉は悪いけれど「ケツを叩かれた」?
お楽しみいただければ幸いです(^^)

 登場人物などはこちらをご参照ください。
【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



「真くん、よかった。三上がどんなに心配していたか」
 三上司朗の妻、裕子は腹の底から搾り出すような声で言った。
 昨夜、女と話している時に、不意に三上のことを思い出した。毎日のように電話をしていたのに、急に途切れてしまって、三上はきっと心配しているだろうと思ったのだ。

 裕子はどちらかというと小柄だが、痩せているわけでもなく、鍛えているという身体は筋肉質なほうで、いつもジーンズ姿だった。すごく美人、というわけでもないが、頼りになる姉貴に見える理由は、彼女が現役の看護師であり、職務に忠実に勤め続けているからなのかもしれない。裕子が身体を鍛える理由は、三上司朗、つまり夫が下半身不随で、何かの拍子に彼女の力が必要になることがあるからだった。もっとも、三上は自分でほとんどのことをこなしているし、何でも裕子に頼るという生活はしていない。

 三上は犬の散歩なの、と裕子は言い、真を連れ出した。コースは分かってるから、と歩き始める。蝉の声が折り重なり、太陽は今日も容赦なく空の彼方から熱を降り注いだ。緑が濃くなり、生命の存在を主張する。
「犬、飼い始めたんですか」
「そうなの。って言っても成犬。ほら、捨て犬が保健所で殺されちゃうってのをテレビで見てて、急に三上が出掛けようって。それで絶対誰も飼おうなんて思わない、一番情けなさそうな汚い犬をもらって来たの。その犬、飼い主に虐待されてたみたいで、最初はえらく怯えてたんだけど、三上の不自由は分かったのかな。ペットショップの人がびっくりするくらい精神的に回復するのが早くて、この間から散歩にも行けるようになったのよ。犬は犬で、必死に三上を守ろうとしてるみたいで」
 裕子はそう言って幸せそうに笑った。この夫婦は、なぜこんなにも幸福そうなのだろうと真は思った。

「あなたは、どうして三上さんと結婚したんですか」
 裕子は真の唐突な質問に、暫く不思議そうに真を見ていたが、何かに思い当たったのか優しい顔で微笑んだ。
「好みのタイプだったから」
 あまりにもあっけらかんとした答えに真は思わず裕子を見る。
「己の置かれた環境に屈せずに生きている。自分の不幸を他人のせいにしない。どんなことになっても惚れた人間を信じている。ついでに顔も好みだったからかな。ちょっと顎が張ってて、精悍な感じ。それに何だか犬っぽいでしょ。誠実な人だって思える」

 真は、裕子が三上の過去の犯罪歴に対してどう思っているのか聞かなかった。それは聞かなくても分かっているような気がした。
 世界はこうして光に満ち溢れている。それなのに、俺は一歩を踏み出すことができない。真は真っ直ぐに伸びる並木道の先を見つめ、その光の中で手を振る三上を認めた。三上は相当な勢いで車椅子をこいで、犬を伴って、真と裕子の傍に来た。
「生きてたか。お前、痩せたぞ」

 犬は三上を庇うように車椅子と真の間に立ち、まるで見知らぬ人間を敵か味方か見極めるように真を見た。柴と何かの雑種のようで、短い毛と痩せた身体で、前足の一本が幾らか不自由そうで地面に完全にはついていない。その脚は、かすかに震えている。それでも犬は必死なのだ。お前はえらいな、と真は犬を見つめた。
 犬には真の心が分かる。多分そうなのだろう。犬は真の目を見つめ、それからすっと一歩引いて、三上の車椅子の脇に座った。

「お前は無言で犬を納得させるから凄いな。俺なんか丸々一ヶ月だ。知ってるか」三上は真を示しながら、裕子に話しかける。「こいつと一緒に犬がいる家に行くと、犬は大概吠えるのをやめて黙るんだ」
「それは三上さんの誤解ですよ。なんて名前ですか」
「ジャイアン」
 真は思わずやせっぽっちの犬を見つめた。

 それから犬の話をしながら三上の家に戻ると、裕子がレモンケーキと紅茶を出してくれた。三上の家の、正確には裕子の家なのだが、小さな庭には柑橘類の木が何本か植えられていて、レモンはそのひとつだった。裕子は時々そうやってお菓子を作る。三上が甘いものが苦手なのを変えてしまったのは裕子だった。もっとも裕子のケーキは甘さ控えめで素直に美味しかった。
 犬はべっとりと三上の傍にいる。
「大和さん、どうしてる?」
 真は首を横に振った。
「何かあったのか」
 レモンケーキが酸っぱくて、鼻につんとくるような気がした。

「何時京都から戻ったんだ?」
「三週間前」
「大和さんはまだ京都か?」
 真はただ頷いた。
「何で離れたんだ?」
 三上には全てを話さなくても、何かが通じてしまうような気がする。多分、身体が不自由な三上が、他人よりも五感、ついでに六感までも磨いているからなのだろう。

 それから暫くの間、三上は保健所に行って、ジャイアンに初めて会った時の話をしていた。やがて、紅茶が二杯目になると、三上が唐突に言った。
「人工受精って聞いたことあるか?」
 真が顔を上げると、三上が穏やかな顔をして真を見つめていた。
「俺はこうなってしまって、つまり簡単に勃起ができない。全く駄目ってわけじゃないんだけどな、色々試しても結局中途半端にしかならなくてさ。男としていささか情けない言い訳で、今は精一杯の生活だし、子どもはいらないって思ってたんだ。でも、こいつを飼い始めてから、何だか、色んなことが何とかなるんじゃないかって思えてさ。病院に相談に行ったら保険医療ではないから金もかかるし、楽なことばっかりじゃないし、不可能じゃないけど確率は微妙だって言われた。裕子は無理しなくてもいいって言うけど、やってみようかと思ってるんだ。他の男性から精子をもらうってのも含めてさ」

「何回も言ってるけど、それは最後の手段にしてね」
 裕子はぴしり、と言って、真を見ると微笑んだ。三上は穏やかに笑って、真を見つめる。
「外国には第三者の精子提供者ってのがいて精子のバンクみたいなのがあるらしいけど、日本じゃボランティアを募るしかないし、誰かに頼むとすると、お前か唐沢しかないなって話をしてたんだ」
 真はその対象者の名前のどちらにも驚いた。
「もし、俺が駄目で、唐沢が断ったら、お前、考えてくれるか」三上は犬の頭を撫でた。「どうせ唐沢は馬鹿笑いして断ると思うしな。あの人は、自分の遺伝子を残さないことだけが、彼がこの世界に対して出来る唯一の善行だと思ってるからな」

 この夫婦の間で、唐沢正顕というのはどういう存在なのだろうと思った。その真の純粋な疑問に答えるかのように、三上はゆっくりと噛み締めるように言った。
「なぁ、真、一番苦しい時に誰が助けてくれたかということだよ。その恩義を返すためだけでも、あとの一生だけでは足りないくらいだと、俺は思うんだ。それに俺は、唐沢との関係を切りたくないんだよ。俺は今でも、唐沢正顕が三上司朗を必要としてくれていることを知っているんだ」

 真を見送りながら、裕子がそっと言った。
「ごめんね、急に妙なこと言い出して。でも三上は必死なの。人工受精のことも、ジャイアンのことも、唐沢のことも。たぶん、あなたのこともよ」
 真は裕子の顔を見つめた。
「あなたはどう思ってるんですか?」
 裕子は決然と、しかし少しだけはにかんだような笑顔を見せて、言った。
「私は、その三上に人生を賭けたから」


 真は並木道のベンチに腰掛けて、煙草を一本引き抜いた。銜えてからポケットに手を突っ込んで、ライターを持っていないことに気が付いた。ライターを摑みそこなった手に触れたものは、竹流の指輪だった。吸うことを諦めた煙草をケースに戻し、真は指輪を取り出して暫くそれを見つめ、そっと左の薬指に嵌めてみた。
 銀の指輪は真の指には大きすぎて、不安定に回った。真は膝に両肘をついて、薬指に嵌めたままの指輪に口づけていた。愛してる、惚れた相手にそう言うだけだ、とあの女は言った。言葉は咽喉の奥に留まったまま出てこない。

 昼過ぎの並木道を、自転車や乳母車、犬を連れた人が行き交う。背中に広がる公園からは子どもたちの勢いのある声が響いてくる。世界は明るく、空は高く、その下で人々は懸命に恋をして、人生を生き抜いている。それなのに何故、自分はこれほどに息を潜めているのだろう。
「気分でも悪いの?」
 真は目を開けた。自分の前に、ヒールの低い黒い靴がある。顔を上げると、話しかけてきた女はすっと真の隣に座った。
「朝から探してたのよ。北条家にも相川家にもいないし、念のため大和竹流のマンションにも行ったけど。あなたの行きそうなところ全て電話して、やっと三上司朗の家で見つけたの」

 添島麻子はちらりと真の左手の薬指を見たが、何も言わなかった。真はゆっくりと指輪を抜いてポケットに戻した。
「何か用ですか」
「澤田の容疑は一応は晴れたわよ」
 真は添島刑事を見た。
「昨日、香野深雪が来たの。河本が彼女に会って、話を聞いた。澤田顕一郎は古いフィルムを貸金庫に隠し持っていた。幼い香野深雪が男に犯されているフィルム」
 真は一瞬、吐きそうになったのを押し留めた。

「検察は色めき立ったけど、つまり現役の代議士が幼女への性行為を、自分がするかどうか別にして、そういうフィルムを楽しむ性癖を持っているということで、澤田を送検するつもりだった。そこへ香野深雪自身が現れて、そのフィルムを見て、確かにそれは自分だと言ったの。香野深雪はずっと澤田の世話になってたでしょ。検察は香野深雪の経歴を確認して、新潟の、香野深雪が預けられていた施設の園長だった渡邊詩乃にも問い合わせた。澤田は言い訳をしなかったけど、香野深雪も渡邊詩乃も、澤田に世話になりこそすれ、そういう辱めを受けたことはないと言った。澤田がそのフィルムを焼き捨てずに持っていた理由は」
「香野深雪の両親が自殺ではなかった証拠だから」
 添島刑事は強張った表情のままで頷いた。

「新津圭一のビデオをあなたは持っているわね」
「えぇ。寺崎昂司が竹流のマンションに送ってきた。まだ竹流のマンションにあるはずです。つまり、香野深雪は、新津千惠子と同じように」
 真はそこまで言ってから、その事実に改めて絶句した。
「香野深雪の両親は、縛り付けられて、目の前で幼い娘を犯されて、その後で自殺に見せかけられて殺されていたわ。とっくに時効だし、今更犯人は分からないでしょうけど」添島刑事は深い息をついた。「香野深雪の両親の死体の第一発見者は澤田顕一郎だったの。澤田は翡翠仏を介した収賄事件で香野深雪の両親を疑ってたから、しばしば取材に行っていたようだし」

「澤田が話したんですか?」
「えぇ。澤田の告白によると、澤田が発見したとき、香野深雪は両親の死体の下で、意識を失ってたそうよ。咄嗟に、この娘を隠さなければならない、と思ったみたい。彼女が何をされたのか、澤田には分かったでしょうから。あの時代、犯人を告発することは、香野深雪を好奇の目に晒し、香野深雪の人生自体も潰してしまうことは目に見えていたでしょう。だけど、殺人罪で犯人を起訴できるはずだと思った澤田は、香野深雪の両親は自殺じゃないって主張したそうだけど、結局警察はあっさりと自殺で片付けた。澤田の取材からも香野深雪の両親が絡んでいた収賄事件は明らかだったし、警察は、澤田こそ彼らを自殺に追いやったんだって言ったそうだし。澤田は自分の取材のせいで、香野深雪の家族が無茶苦茶になったんだと、それを随分悔いて、結局記者を辞めてしまった。香野深雪はそのあと親戚に預けられていたこともあったようだけど、でも結局そこでも性的虐待を受けて、澤田が引き取って渡邊詩乃が経営していた施設に預けたそうよ」

「その貸金庫にあったフィルムを、澤田はいつ手に入れたんですか。始めから見ていたのなら、その時にもっと強く、殺人だと主張していたでしょう」
「数年前に新津圭一が、新潟の蓮生家で見つけたのよ。新津圭一は既に時効だと分かっていたんでしょうけど、それを焼き捨てるかどうか迷って、結局澤田のところに持ってきた。香野深雪のためにどうしてあげるのが一番いいのか分からない、と言って」

「新津圭一」
 真はその名前を痛みと共に思い起こした。香野深雪を愛していた男、自殺を装って殺され、その死体の下で娘を犯された男。冷静に考えてみれば、真にとっては恋敵であったわけだ。村野耕治にしても、新津圭一にしても、既に死んでしまったものたちが、亡霊のように人の心に染みを落としている。
 そしてまた、真も、あるいは竹流も、これから先ずっと、寺崎昂司の亡霊を心に抱き続けるのだろう。

「新津圭一は、香野深雪の両親のことを調べていたそうよ。記者の勘なのかもしれないけど、殺しじゃないかって。調べていくうちに、当時、澤田顕一郎が香野深雪を診察してもらった医者にぶつかった。医者は口をつぐんだそうだけど、新津圭一にはそれが幼女暴行だと分かったんでしょうね。さすがに新津は優秀な記者だった。でも、恋人の身に過去に起こったとてつもない不幸に対して、どう対処するべきかは迷ったでしょうけど。しかも、収賄事件のほうからはずるずると色んなものが引っ掛かってきた。翡翠仏を運んでいた業者、つまり寺崎孝雄の運送会社、それに絡んだ政治家や経済界の面々。それは過去で終わっている話ではなくて、現在にまで繋がっていた。大和竹流が絡んでいたフェルメールの絵は、そのひとつの符号だったのよ。新津圭一は脅迫をしていたわけではなく、フェルメールの絵のことでそうした面々に事情を確認しようとしていた。そいつらはぞっとしたでしょうね。新津にとっては収賄事件だったけれど、実際は殺人や強姦を含んだ異常性愛の連中が相手だったわけよ。そいつらにとっては贈賄で挙げられるよりももっと悪い。人間性を否定されるのだから。だから連中は新津を生かしておくわけにはいかなかった。相談を受けた悪質ビデオの制作者、寺崎孝雄と和徳は、どうせ殺すなら、いつものように楽しんで殺そうとした。ちょうど、新津には可愛らしい娘がいた」

 添島刑事はきつい口調で言った。
 だが、犯人はもう出てこない。警察の手が届く前に、怒り狂ったイタリアのマフィアに断罪された。他に逃げ延びた関係者がいたとしても、もうそいつらは普通の穏やかな顔で、日常生活に戻っているだろう。次には自分に、狂ったゼウスの手が伸びてくるかもしれない恐怖と闘いながら。

「澤田はどうなるんですか」
 添島刑事は煙草を真に差し出した。真は首を横に振った。
「疑いは晴れたけど、代議士は辞任するそうよ」
「村野花は」
「未成年に対する性的暴行、殺人教唆、猥褻ビデオの製作と販売。でも、刑法上、死刑になるほどの罪が出てくるかどうかは分からないわね。どの程度、村野花が関っていたか、証拠不十分、ってのもありそうだし」

「あの『連続殺人』の犯人は? 捕まらなかったら、ある意味大変なのでは」
「さすがにイタリアのマフィアは捕まえられないわね。証拠は全くない、しかも上の方で、もしも気が付いた人間がいたとして、握りつぶさざるを得ないでしょう。せいぜい暫くは繁華街に警官が多少多めに配置されて、暫くしたら日常に紛れて忘れられる。あとは、本庁と警察庁のお偉いさんの首がいくつか飛ぶか、あるいは減棒程度で済んじゃうのかしらね」

「河本さんは?」
「さぁ、どうかしら。河本は、ある意味では覚悟しているかもしれないけど。でもあの男のことだから、上手く立ち回るんじゃないかしら」それから添島刑事は遠くの空を見つめた。「河本の立場を思い遣ってるの? それともあんな男、地獄に堕ちろって思ってる?」
 真は添島刑事の凛とした横顔を見つめた。不思議と静かな気持ちになっていた。
「何も。あの人にはあの人なりの、やむを得ない事情ってのがあったんでしょう」
「認めるの?」
「認めるわけじゃない。できるならもう、関わりたくないと思うだけです。ただ、あの人も決して得をしたわけでも、いい気分を味わったわけでもないことだけは分かります」

「あなたの父上も同じよ」
 真はそれには反応しなかった。そして淡々とした声で尋ねた。
「あなたは、このままでいい、と?」
 添島刑事はふと息を吐き出す。
「そうね。刑事としては認められないけど、たまには仕掛人がいてくれるのも悪くないわね」
「本気で?」
「本気よ。刑の執行なんてのを法律に頼っていたら、とんでもない悪党を見逃すことがあるってことは、私たちはよく分かっているもの。大和竹流のために目を瞑ることに抵抗はないわ。でも、本当はこんなことは刑事が絶対に考えちゃいけないことだわ。悪い刑事ね」
 真は首を横に振り、視線を落とした。

「私は時々思うの。男は社会的倫理と体裁を重んじるけど、女はそうじゃない。男社会で男と同じ考え方で生きてきたと思っていたけど、今回は自分が女だと骨身に沁みて思ったわ。出世を望まないことも含めてね。女の潔さと言ってしまえばそれまでだけど、女にはもっと他に大事なものがあるからなのかもしれない。悪い刑事だと思うけど、自分がそういう人間だとわかったことは良かったと思ってる。だから辞表を出す気はもうないわ。最後までこの仕事に食らいつくことにした。仕掛人がいてくれたら、と思うのは今回が最後。犯罪は犯罪だと断じるのが私たちの仕事だから」

 この女は本当に大和竹流を、いや、ジョルジョ・ヴォルテラという男を愛しているのだと思った。真には想像もつかないような歴史の重みを背負った家系の後継者を、その背景も含めて愛おしいと思っている、だからその中に自分の存在を無理矢理に押し込もうとはしていない。それに、この女の本質は、出世を望まないのだとしても、一人の刑事であるということから逃れることはないのだろう。

「新津圭一のビデオはどうしたら」
「もう犯人は殺されている。普通に考えたら、新津千惠子にとって、そのビデオが残っていることがプラスになるとは思えないわね。父親が自殺ではない、脅迫なんかしていないと分かって、でもそのことで、彼女の身体や心につけられた傷が癒されるわけでもない。澤田もそう思ったからこそ、香野深雪が受けた傷を揉み消そうとしたんでしょうね」
「でもフィルムを捨てなかった」
「そうね。でも、あれから二十年以上経っている。香野深雪がこれから生きていくにあたって、真実を押し隠すことと、己の身に起こったとてつもない不幸と向き合うことの、どちらが大切なことなのか、今になって澤田は少し迷ったのかもしれないわね。もう決めるのは彼ではない、香野深雪だって思ったんでしょう」

「深雪は……そのフィルムを見たんですよね」
 真は改めてそう呟き、息をついた。深雪は、失われていた記憶を、無理矢理に思い出さされたのだ。その欠落していた彼女の記憶の部分は、まさにとてつもない負の要素を持っていた。
 だが、本当にそうだろうか。本当にただ負の要素だけだったのだろうか。
 たとえそれが辛く悲しいものであっても、いまや深雪の記憶はひとつに繋がり、彼女は一人の確かな人間となったのかもしれない。苦しみも悲しみも繋ぎ合わせて、彼女はこれから一人の人間として、今いる場所からようやく歩き始めることができるのだ。

 真自身は、もしかして永遠に埋めることのできない記憶の欠落。真がその欠落した記憶を思い出す時が来たら、その時、この長い夢は終わってしまうのかもしれない。真は、自分の忘れている記憶については、やはり思い出したくないのだと、だからこそあえて記憶の引き出しに鍵を掛けたのだと思っていた。
 だが、深雪は違う。たとえそれが負の力でも、存在を根底から覆すものにはならないはずだ。させてはいけない。
 深雪のために、負の力ばかりではない、確かな正の力を与えてやることができれば。

 その時、真は香野深雪から預かっていた貸金庫の番号と印鑑のことを思い出していた。寺崎昂司はいつか大切な『切り札』になる、と言っていた。それは犯罪者たちが断罪された後では遅いのだろうか。
「あなたは、どうするんですか?」
「どうって?」
 真は暫く、何も言葉にできなかった。地面を忙しく歩く蟻たちは、この太陽の熱に焼かれながらも懸命に重荷を背負っていた。

「ジョルジョ・ヴォルテラのこと?」添島刑事は少しの間黙っていた。「そうね、一年に一度くらいは休暇を取ってローマに会いに行こうかしら。あなたが許してくれたら、あるいはジョルジョ・ヴォルテラが誰かさんと駆け落ちして居場所が分からなくなるのでなければ」
 真は顔を上げた。
「ヴォルテラの自家用機は成田に次の主人を迎えに来たわよ。駆け落ちするんなら、さっさと決めなさい」
 真は、どうして自分の周りにはこんなに勢いのある潔い人間ばかりいるのだろう、と考えていた。あるいは真ばかりが思い切れないだけなのか。みな、何故真の煮え切らない思いを知っているのだろう。
「香野深雪が今、どこにいるか知っていますか」

(つづく)





このお話は時代が古いので、まだ人工授精に関してはあれこれややこしかった時代なんです。そんな不確実な中でも、三上は必死だったみたいですね。その当時のことですから……いや、結構唐沢が、じゃあ!って言ったりして。いえ、大丈夫、きっとうまく行きます。
次回は深雪と真が過去を少し辿って行きます。絵が見つかるかな?

<次回予告>
「生か死か、どちらかしかないような生き方はしたくない、してはいけないと思っていた。新津が私を愛してくれたとき、彼の奥さんが意識もなくただ病院で死ぬだけの運命だと知って、それなのに私が新津と生きていくことを、新津が私と生きていくことを選んだら、私たちはその選択の中に放り込まれてしまう、ずっとそれが怖かった。それでも新津の手を拒めなかった私が彼を殺したのかもしれないと思った。誰かの不幸を下敷きにした幸福に酔ってはいけないって、その罰を与えられたような気がしたわ。だから、もうそれ以上何も聞かなかったことにしよう、見なかったことにしよう、知らなかったことにしようと思ったの」
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Category: ☂海に落ちる雨 第5節

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コメント


こんにちは~(^0^*)ノ

実は、まだこちらのお話は読んでいないのですが
これからもちゃんと読んでいくために
今日は、始章を読ませていただきました\(^0^*)/v-238
とても面白く興味深いお話だったんですけど
いかんせん、私の読み進めるスピードが遅くて(;∀;)
始章だけで半日かかってしまったので
ここまで追いつくのは相当時間がかかっちゃうかも(^^;;)\
でも、少しずつでも読んでいきますので
(真や竹流のこと、もっと知りたいし!!!)
待っててくださいね~~~(^^*)

かじぺた #- | URL | 2016/03/28 18:22 [edit]


大丈夫ですか?

更新、お疲れ様でした。
お加減は、もうよろしいのですか? 肺炎ということもあり得ますので、ほんとうにご無理をなさらず、お大事に。

さて作品の方ですが……。
三上夫妻の登場で、久しぶりに日光浴をしたような、すっきりとした気分になりました。
ていうか、そんな貧相な犬に「ジャイアン」ですか。いや、いずれは公園で野良犬とか集めて、大将になるんですね、わかります(きっぱり)

冗談はさておき、いろんな意味で覚悟を決めている裕子の言動が、ほんとうに眩しいです。
添島刑事といい、このお話に出てくる女性は皆さんじつに強いですねぇ。
深雪もきっと、しっかりとした足取りで歩きだしていくんでしょうね。

で、真ちゃん。
ここまで背中を押しまくられて、なぜ動かないんでしょうねぇ。
あ、そうか、成田か。関空じゃないんだ……(勝手にイミフな納得)
というか、本業である探偵のお仕事が、まだ終わってないんですね。物語をひっぱってきたフェルメールの絵、どんなふうに決着するのか楽しみです。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2016/03/28 19:06 [edit]


かじぺたさん、ありがとうございます(^^)

わわわわわわわわわ~~~~~~(@_@)
え~っと、え~っと、え~っと、ま、まずはかなりびっくりしながらコメお返事しておりまする~~
え、え、え~~~、ま、まさかのことに驚いております。あのとても大変な文字ばっかりの始章を読んでくださったとは!! うわ~ん(;_:) ありがとうございまする!!
ええほんと、文字ばかりで、もう10年以上も前に書いたもので、何度か校正もしているのですが、今見るととてもとてもひどくて、ほんと、申し訳ありません!! それも半日も潰していただいて・……あぁ、ただただ申し訳ないです(;_:)
もうほんと、さりげな~く、流し読みで……あぁでも、すごく嬉しいです。ありがとうございます!!

> (真や竹流のこと、もっと知りたいし!!!)
わぁ、ほんと、嬉しいです。でもこいつら、ほんと、とんでもない奴らなので、何だよもう!ってことがいっぱいあると思いますが、そういう時は半分以上目を瞑って下さいませ。それに、ちょっと直視(直読み?)できない場面があれこれ出てきますので、あぁ、もうほんとlimeさんの比じゃないくらい「大丈夫か、この作者」って思われると思いますが、それでも見捨てないでくださいね(私を……)。
でもほんと、無理しないでくださいね!! ほんとに、ほんとに、ややこしいだけの、ものすごく複雑な迷路みたいなお話(私の頭の中では巨大ピタゴラスイッチ)ですので、すっきりしないことがいっぱい出てきますが、もう、ほんと、目を半分瞑って……(しつこい^^;)
でも、ありがとうございます。
でも、ほんと、無理なさらないでくださいね!
コメント、ありがとうございました!!!!

彩洋→かじぺたさん #nLQskDKw | URL | 2016/03/29 06:34 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

うん、ありがとうございます(..) 何となく回復途上のようです。これで2週間なのですが、初っ端で無理をし過ぎて(出張前の詰め込み仕事→無理矢理出張→ついでに少し遊び→帰ってきたらもっと忙しい)、なかなか治らないという残念なことになっています。でも遊ぼうにもパワーが無くて、結局予定の半分くらいしかこなせませんでした。しかも、満を持して?ずっと泊まりたかったお宿を予約したのに、美味しいお料理の味がよく分からなくて・……残念過ぎる(>_<) またリベンジしたいと思うのですが、結構なお値段のお宿だったので、う~む(>_<)
肺炎か気管支炎だった可能性もありそうです。まだ咳は続いているし……でも今は職場はあれこれでてんてこ舞いで忙しくて……頑張ります。

三上夫妻、結構三上の経歴が大変なのに、なぜかラブラブアツアツの二人なのです。この夫婦は主役にはならない系ですが、こんな雰囲気の人たちもいてくれないと、この話、何だか救いようがない感じがしてしまいまして。日光浴していただけて良かったです。
何でジャイアン? いや、もう、あまりにも情けない犬だったので、いじめっ子に成長して欲しかったのかしら……?
女性陣はみんな逞しいですよね。私も書きながら思っておりました。あんまりうじうじした女性は出てこないのですが(涼子は別だけれど……でも、真はどうもこういう薄幸系の女にやられるようで)、きっと男がみんなうじうじ系なので(ぐるぐる系とも言う?)、女性が強くなっちゃってるのかもしれません^^;
深雪は一応、この話のヒロインだったのに、ちょっと扱いがひどかったので、ここにきて一生懸命(作者の)言い訳です。彼女のこの先を楽しんでいただけたらと思います。真と深雪の別れのシーンは、書いていてちょっと泣かせる部分でもありました(言い過ぎ?)。美和ちゃんは「男ってば、もう!」って思っていたと思いますが^^;

そして、ぐるぐる真。マイアにも負けずにうだうだしています。でも、なんかね、物事が収まるところに収まらないと、真は真で動けないってのもあると思うのです。みんなに背中を押されたら押されるほど、頑なになっているのもあるのですけれど(美和ちゃん「男って何なのよ、もう」…・・かな)、一応事件を解決しておかないとね^^; ということで、真のうだうだにもう少しお付き合いくださいませ。あと2章で、全ての後始末が終わるはずです。
そうそう、隠し事じゃありませんけれど、あのフェルメールの絵、結局、紆余曲折の結果、相川家に遺されて、最後に詩織がその絵を持ってロレンツォのところに(工房に?)嫁入りする落ちなんですよ。まだマリアは絵の下敷きのままで、修復師の血脈を受け継いだロレンツォの仕事になる、という。竹流は残念ながら手がもう、ね。でも、なんて落ちまで長いのか……
というわけで、いつもありがとうございます(*^_^*)
引き続きよろしくお願いいたします!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2016/03/29 06:58 [edit]


行く先々で色々語ってくれる皆様。
適時適材適所ですね。真は本当に上手く人を寄せている。
三上夫妻の覚悟には、こちらも襟元を正してしまいます。
あ、井戸のお方が・・・名前が出るだけでニマニマしてしまいます。
三週間ですか。実は、どんだけの時間が経っているのだろうと思っていたのですよ。
この間に、真の周りだけでなく、手の及ばないところもどんどん動いていたのですね。
あ、動いてないの、真だけ? いやみんなの思う動きをしていないという意味の。
オヤジのところに行こうとしたり、それ違うの。
次は深雪のところね。成田は待ってくれるのね?
うん。私もついて行く。見届ける。

けい #- | URL | 2016/03/29 20:30 [edit]


ジャイアン

三上さんって、まだしっかり人物像が掴めてなかったけど、此処でやっといい人だなあ~と、しみじみ。(きっと過去にはいろいろあったんだろうけど)
唐沢とは、うまく行ってないのかなあと思ってたけど、唐沢の子種でも良いとか言うし!そうなのか・・・。そこまで信頼してるのですね。でも、本当に唐沢が「よっしゃ」って言って来たらどうする>< ぜったいに真にして。
いや、大丈夫。愛は勝つ。人工授精、成功するよね!大海さんにお願いしておくから。

さあ、後半、添島刑事の淡々とした説明で、澤田やビデオの事が語られましたが、聞くに堪えない過去ですよね。
償われない罪がいっぱいで。
深雪は過去を知ってしまったようだけど、知ることは、本当に良い事なのか、悪い事なのか・・・。これは精神の強さ、弱さにもよりますよね。
真はどうなんだろう。
うーーん。書けてる部分を憂うのも、真の魅力でもあるし。

さあ、今度は深雪のところですね。
一つ一つ、後始末をして。あとは王子様の元へ!・・・って、そんなに簡単にはいかないと思いますが、こんなに応援団がいるんだもん。がんばれマコト!(にゃ~~)・・・・って、ちがう!!
久々に出た!



lime #GCA3nAmE | URL | 2016/03/30 00:53 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

この事件?にはたくさんの人が絡んでいたので、真にとっても作者にとっても、実は後始末しなければならないことは沢山あるのですよね。これで真が「じゃ、おれ、愛に生きるから!」とか言ってどこか行っちゃったら、えらいことに……(私が^^;)
マコトならやりかねないなぁ……「ま、いいか!」と例の技を用いて……
ということで、ひとつずつ後始末を拾いながら、自分がちゃんと納得してから、きっとあの人のところへ行くのでしょう……かな?

三上夫妻はうちの話の中では異色のラブラブ夫婦。でも、逆境の逆境だから、せめて愛だけでもしっかり温めていただかなくては、という気持ちでおります。というのか、だからこそ、誰に何を言われても自分たちは自分たちの気持ちで幸せになろうって、思っているのだと思うけれど。いや、チェーンスモーカーの三上が煙草を辞めたのは裕子と結婚するためでしたから。
井戸の底の方もね、なんでしょうね^^; 三上にとっては、戦後の混乱期に幼い自分を助けてくれたのも、刑務所から出てきたときに助けてくれたのも、全部唐沢だったから、捨てられない親みたいなものなんだと思います。名前だけでけいさんをニマニマさせるなんて、唐沢も役者になったなぁ^^; ありがとうございます。

そう、計算したら3週間だったのです。真が何もできないでいる間にも、周囲では色んなことが動いていて、後始末に向けてただ今最後の追い込み中。真も真なりには頑張っているのですけれどね^^; そうそう、みんなはただ「京都に行けよ!」って思っているんだけれど、本人は頑として動かない。照れもあるのかもしれませんが、こんな中途半端な状態で顔を見れないと思っていて。本当に大事なものって、みたりあったりするのが怖くなることってありますよね。
そういう意味ではオヤジは、まぁ、どうでもいいので会えるのかも? でもこの先、実は微妙な関係に……^^;
さて、次は何よりも大事な深雪との後始末をしなくてはなりません。引き続きよろしくお願いします。うだうだぐるぐる、もう少しだけ……
コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2016/03/31 07:12 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

ジャイアン、好い名前でしょう(^^)
そうそう、実は三上って、逆境のくせに結お茶目だったりするのかもと思っています。どこか憎めないというのか。多分この環境下で生きていたら、擦れていたらものすごく危ない人物になるはずなのですが、多分施設でずっと一緒にいた唐沢の超絶ちゃらんぽらんと付き合ってきたので、人間って何とかなるんだなぁと思っていたのかも。唐沢って、ほんと、傍にいたら絶対迷惑だけれど、何となく気になってしまう人なんですね。で、三上は反面教師的に生きてきた、と。そうそう、実はほんとにいい人なんですよ。特に真にとっては。いや、唐沢だって、真にとってはいい人だったんですけれどね。だってあの事務所に勤めていた間、結果的には外敵(真の父親のことで真に何らかのちょっかいを出そうとする連中)から真を守っていたということになるし(いや、あくまでも結果論)。
三上と唐沢の関係は不思議だけれど、でも本当に、三上が一番しんどい時、神のように現れては助けてくれたのは唐沢だけだったので、うん、本当に「見捨てられない親と子」の関係(マコトとタケルもだけれど、いや、ちがう、真と竹流!)。
うん、きっと愛は勝つと思います!

深雪の過去は本当に大変でしたけれど、それでもこの人、結構強いのかも、と思いました。この先彼女の独白があるけれど、真といっしょで「この件を片付けなければ前に進めない」と思う気持ちがいっぱいだったみたいで。
添島刑事はこの件についてはあくまで第三者的に語っていますが、この野郎、と思いながら話していたと思います。彼女は逞しい女性ですよね。うん。こういう人を書くのは楽しいです。そして、一方で深雪のように、しんどい過去を背負いながら前に進もうとする人も。きっと彼女は乗り越えていくと思うのです。だって、守らなければならない子どもができたから……(千惠子ちゃん)それに、あの生けるマリアのような詩乃先生が助けてくれるでしょう。

一方真は……いや、次作がまさにこの「欠けた記憶」に迫る物語になっているのですが(真は結婚している。あ~、悪妻かつ毒女ですけれど^^; でも、まぁ、かわいいとこもある)、実はここでも大活躍なのは高瀬執事だったりして。真の欠けた記憶の真実を知っているのは、今やこのオッチャンだけなのです。竹流さえ知らないのに……う~む。いつ連載開始になるのか。もう1節分は出来上がっているのですけれど、大幅に改定しなくちゃ。

> 一つ一つ、後始末をして。あとは王子様の元へ!・・・って、そんなに簡単にはいかないと思いますが、こんなに応援団がいるんだもん。がんばれマコト!(にゃ~~)・・・・って、ちがう!!
> 久々に出た!
ほんとだ。マコト、いいところを狙って登場してるなぁ~。って、そこじゃないか。
王子、本当に困った王子ですよね。でもまぁ、王子の上に君臨する大王がもう、ほんと、最後まで、何をするやら……でして^^;
この先あと少し、お付き合いくださいませ。
いつもありがとうございます!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2016/03/31 07:34 [edit]

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