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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

[雨174] 第37章 絵には真実が隠されている(4)歩きにくく豊かな脇道 

【海に落ちる雨】もいよいよ終盤。第37章その4です。ワンシーンなので切り処が無くて、今回は少し長いのですが、その分次回(37章最終回)はかなり短い(けど、濃い?)。
今回は、澤田のところに会いに行く真です。これでようやく、一通り決着がつきます。
次回が第37章最終回で、第38章がついに本編最終章。ラストスパートですね。おまけの終章がくっついていますけれど(いや、おまけというよりも結構大事?)。まさかこのまま京都に行かずに終わったら怒るよね^^; 
安心してください、行きますよ!(多分)

 登場人物などはこちらをご参照ください。
【海に落ちる雨】再開に向けてのキーポイント
【海に落ちる雨】登場人物



 井出が教えてくれた住所は田安隆三の店からいくらも離れていない、倉庫街の一角だった。表札も看板もなく、扉には呼び鈴もない。遠く汽笛の音が、湿度の高い空気の隙間を縫って鼓膜に届く。辺りには、潮の香りが熱気に煽られるように篭もっていた。まだ雨は降らないが、嵐の前の暗い空が落ちてきそうだった。
 真は扉を叩き、暫く待った。窓はなく、中の気配さえ分からないので、住人が在宅か不在かもわからない。真がもう一度扉を叩こうとしたその時、建付けの悪い引き戸が少しだけ開いた。

 澤田は最後に真が見た時から髭を剃っていないようで、いつも清潔な代議士ムードを振りまいていた男とは思えないような疲れた顔をしていた。君か、と言い、よくここが分かったな、と付け足した。
 遠くで雷の音が鳴っている。澤田は一瞬空を見て、真に入るように促した。
 中は作業所の土間のようで、何のためか分からない機械が幾つか置かれていた。どれも埃をかぶっていて、事務机の上にも、何年も使われていないかのように雑然と紙やガラクタが積み上げられ、やはり埃を被っている。その奥に流しがあり、更に奥に一段高くなった畳の間があった。

 何も出してやれなくてすまないな、と澤田は言った。真は返事をせずに澤田について畳の間に上がった。埃だけは掃除されていたが、古く擦り切れた畳には積年の汚れが染み付いていた。隅に薄くなった布団が畳まれて寄せられている。他には何もない。
 真は澤田の前に座り、紙袋に入れて抱えてきたもの、そして絵の入った筒を一揃い、澤田の前に差し出した。澤田は不思議そうに真の顔を見ていたが、やがてまず紙袋の中を検分した。
 中を見て、澤田には一瞬でそれが何か分かったようだった。

「君はこれをどこで」
「新潟の荒川の蓮生家です。恐らく村野耕治があなたのところから盗み出し、蓮生に隠していた。これは蓮生千草さんが新津圭一に頼まれて譲ったものです。新津圭一が深雪に託していた貸金庫から出てきました」
 澤田は手帳を順番にゆっくりとめくり、それから新津の手紙に目を留めた。一瞬真に詰問するような目を向けてから、澤田は徐に手紙を広げて読んだ。読み終えた後、澤田はしばらく目を閉じていたが、何も言わなかった。

「この筒は、君が言っていたフェルメールの絵なのか」
「そうです」
「真実とは?」
「恐らく、これが本物ではないかと」
「本物?」
「キリストの墓を詣でるマリア。日露戦争の後で、ロシアの姫君と一緒に日本にやって来た絵です。昔あなたが戦争の悲劇のひとつだと取材していた、青い血の物語の」

 澤田は暫く、真が広げた絵に載せられた、贋作のレースを編む女の手元を見つめていた。そして小さく息をつくと、穏やかな声で言った。
「これは、君が君の同居人に届けなさい。彼が探していた絵だろう」
「でも、蓮生千草さんはあなたにこれを、と」
「この絵の行くべき先は、彼が一番よく知っているのではないのか」
 真は長い間、澤田の目を見つめていた。それから徐に絵を筒に戻しながら、尋ねた。
「荒神組のヤクザは、これを村野耕治が持っていた絵だと。村野花は、どうしてこの絵を欲しがっていたんですか」
 澤田は息をついた。

「昔、蓮生家を取材した後、新潟から帰って花に会った時、俺は花に、村上で読んだ雑誌の話をしてね。花はその異国の皇女の悲劇の物語を怖がりながらも、随分気に入ったようだった。異国のお姫様の物語という手の届かない何かが、彼女の気に入ったんだろう。俺が手帳に写し描いてきた絵を何度も見て、どんな色だろうって、絵に水彩絵具をのせてみたりして、彼女は随分はしゃいでいた。

俺はそのころ福岡のぼろアパートに住んでいて、俺が帰ったときだけ、花はそこにやって来た。俺がいない時もこの部屋にいたらいい、と言ったんだが、一人の部屋は嫌いだと言ってね。あの時は久しぶりに三日も休んで、ずっと花と一緒にいた。後にも先にも、あれが花と一番長く一緒に過ごした時間だった。村野と花が結婚した後、俺は彼らの家にこの絵の『本物』があるのを見た。村野はこれは贋作で、蓮生家から譲り受けたんだと言った。何故かこの絵のことがずっと気になっていたんだ。村野が癌になり大分の家で寝込んでいたとき、見舞いに行って、久しぶりに彼の家でこれを見た。俺はこの絵を譲ってくれないかと言ったんだが、村野に断られた」

 では、御蔵皐月はこの絵を、もうずっと以前、村野耕治の家で見知っていたのだ。この絵の前で義父に抱かれて、あるいはその最中にもこの絵をずっと見つめていたのかもしれない。だから彼女には、フェルメールの絵の奥の悲しみが見えていたのかもしれない。
「村野花にとっては、この絵があなたとの思い出に繋がっていたんですね」
 真が呟くと、澤田は曖昧に笑った。
「今となってはもう、何も分からないがね」

 そしてヤクザは、村野花の澤田への恋情を、大きな詐欺か恐喝のネタと取り違えていたかもしれない。村野花のような人間が探して欲しがるものの裏には、大きな金づるでも潜んでいると、当然のように思っていたかもしれない。そしてふと奇妙な考えが浮かんだ。
 村野花の想いを、もしかして寺崎孝雄は知っていたかもしれない。

 真は、殺して死体を砕きたいとまで思い続けていた憎い男の死に顔を思い出した。そこに何らの哀れみも覚えなかったのに、寺崎孝雄自身が、東海林珠恵の母親に抱いていた狂うほどの愛情の故に、結果はどうあれ深く重い愛の存在を知っていたが故に、村野花の心情を読み取ったのだろうと、だから花のためにヤクザを使って絵を取り戻そうとしてやろうとしたのだという考えに、違和感を覚えなかった。
 そして、人間はなんと哀れな生き物だろうと思った。犯罪者が苦しいのは、心の片隅に良心を抱えているからだ。それがどんなに小さくても、もしもそこに微かな許しの言葉が注がれたら、塩が傷に沁みるように痛むのだろう。

「この絵を蓮生家に返したのは」
「俺だよ。この絵は村野の二度目の女房が、村野の家から持ち出していて、俺に買ってくれないかと言ってきたんだ。かわいそうに、村野に家政婦のように扱われていて、ろくに財産も残されていなかった。それで買い取って、蓮生に送り届けたんだ。村野が亡くなったので返したい、と匿名でね。村野が黙って持ち出したのではないかと思っていたし、これ以上これに関ってはいけないような気がしてね」

 澤田が私ではなく俺と言っていることに気が付いて、真はふと澤田のこれまでの半生を思い、彼のこれからを思い、いくらかの不安と好感を覚えた。澤田は代議士の殻を捨てたのだろう。
 そして、千草は、この絵を送り返したのが澤田顕一郎ではないかと、ちゃんと気が付いていたのではないかと思った。だから彼女は、真が、上蓮生からも絵が見つかったのではないか、と聞いたとき、曖昧に微笑んで答えなかったのだ。その絵の行方は、澤田顕一郎が決めるのが妥当である、と考えていたからだ。

「村野耕治を恨んでいないんですか」
「どうだろうね。村野はずっと私の戦友だった。俺は深雪を守ることが自分の仕事だと思っていたが、彼女を施設に預けてしまった後は、記者としての目標も意味も失って、本当に自堕落な生活を送っていた。もう自分は社会のためにも、誰か個人のためにも役に立たない人間になったのだろうと感じていた。もしも村野が俺を探し出して、大分に連れ帰ってくれなかったら、俺はどこかで野垂れ死にしていたかもしれないんだよ」
 真は暫く澤田の顔を不可解に見つめていた。

「村野は俺を選挙に担ぎ出し、政治の世界に押し出してくれた。面倒なことは全て請け負ってくれた。たとえそれが、一旦は頂点に引き上げた後で、いつかは俺を追い落とすためだったんだとしても、個人的には、どうしても村野を恨む気持ちにはなれないんだ。彼が、社会に対して犯していた犯罪とは別の部分でね。思えば、俺が書いていた記事などは、村野にとっては偽善者の戯言に思えていたのかもしれないな。俺が、若い情熱に任せて青臭い正義をかざせばかざすほどに、村野は駆り立てられるように悪事を積み重ねていたというのなら、村野と俺はいつも裏表の関係であり、いつでも離れられないものであったのかも知れない」

 澤田は一旦言葉を切り、目を閉じた。
「俺はどこかで知っていたよ。俺のこの手帳を持ち出したのは村野だろうと。俺が政治の世界に入ってから、たまに俺の昔の取材をネタにしたような小さな事件が起こっていた。新聞の三面記事の片隅にしか残らないような誰かの死亡記事、俺が無実と信じていた犯罪者の事件が掘り返されて社会的に制裁されたという記事、蓮生の呪いの話。始めは偶然だろうと思っていたが、時々背中が撫でられるような思いもした。実際に、あんたが秘密をばらしたんだろうと怒り狂った電話がかかってきたこともあった。俺は今政治家であり、記者ではない、そう言い聞かせながら俺は目も耳も塞いだ」
 澤田は真を見て、やるせないような顔をして見せた。

「俺はこの取材手帳を残して、己の足跡を確かめ、自分が何者であるかいつも確認していたかっただけだった。奮い立たせていないと潰れてしまいそうだったんだ。若い俺は、いつでも何かに対して義憤があって、自分がいっぱしの何者かであると思い続けていたかった。だが、君、この取材手帳には、取材を受けた人間が抉られたくなどなかった傷が残されているんだ。俺はこれを焼き捨てるべきだった。焼き捨てなかったのが俺の罪だ。俺は、村野があれを利用して誰かを苦しめているんじゃないかと、どこかで疑っていたのに、何もしなかった。村野が九州の小松というヤクザと関係していたらしいというのも、何となく知っていたかもしれない。政治家なんてのは哀れなものだと思ったよ。村野は表では俺を担ぎ上げて、裏では俺の首を絞めていたかもしれないのに、政治家としての俺は村野に頼らなければ資金繰りもできない、後ろ盾も持たない、ただの記者崩れだった。しかも、誇りに思っていた記者の仕事でさえ、最後にほころんでぼろぼろになっていたわけだ」

「でもあなたは、真摯に仕事をされていたと、そう思います。政治家としても、記者としても。そうでなければ、蓮生千草さんはあなたにこの絵を託さなかった」
 澤田は辛そうに笑って頷き、それから少しの間何かを考え、そしてまた微かに笑った。幾らか納得したような顔だった。
「俺は、それでも村野を信じたかったのかもしれないな。澤田家と村野家の間にあった古い因縁を、村野と俺がなかったことにして上手く浄化させてやっていけていると、確執など愚かなことだと、ご先祖様たちに言ってやりたかったのかもしれない。だが、実際には、村野が俺に与えてくれる安寧に縋っていただけかもしれない」

 澤田は取材手帳の束を静かに見つめている。真はその表情を黙って見ていた。
「それでも、さっきこの手帳を見たとき、苦しいくらいに甘美な気持ちになったよ。人には浅ましくも捨てられない情念があって、年をとっても腹の底で燻り続けているのかもしれないな」
「記憶が風化する前に、必ず犠牲になった人々を購わなければならない」
 真はゆっくりと噛み締めるように言った。澤田が顔を上げる。

「あなたがそう書いていました。苦しんでいる字だった。あなたは安寧に生きてきたわけじゃない。それに村野耕治は、例えば奇妙なネオナチのようなグループを援助していたり、武器や麻薬を流していたり、社会の片隅で生きている健気な人を強請って楽しんだり、あるいは大国を強請って大儲けしていたんです。それらの罪は、あなたや澤田一族への複雑な感情以前の問題です」
 澤田は何度かゆっくり頷き、顔を上げて真を見た。
 疲れ果ててやつれていても、翳りのない顔は、ある特別な人間だけに許されたものに思えた。真は澤田顕一郎と村野耕治の関係に、大和竹流と寺崎昂司の姿を重ねていた。

「それは村野が死んでから田安のおやじさんに聞かされたよ。おやじさん自身は、そういう生き方を決して否定はしなかったけどね。ケン、それでも奴はお前を生かしてきた、と言った。その通りなのだろう。人は必ずしも、善意と愛情だけで生かされているのではないかもしれないからね」
 そして今、澤田は代議士としての人生を、村野耕治が己の手元に継ぎとめようとしたお蔭で永らえていた澤田顕一郎の半生を、村野花の手によって無理矢理に終わらされてしまった。

「これからどうされるんですか」
 澤田は、暗い、しかしその奥に絶え間なく光を放った目を真に向けた。あの時代を生き抜いてきた人間にある共通のしぶとさのようなもの、澤田もまたそれを持っているのではないかと思える。
「さぁ、今日は一晩、酒でも飲んで、天井を睨みながら考えるよ」
 真は思わずこの部屋の天井を見上げた。そこは古い木の板で、木目の波は濃くなったり薄くなったり、一部は剥がれているところまであった。

「田安隆三の店の跡も片付けないとならないからね。あそこに町工場でも建てて、仲間を集めて、宇宙に打ち上げられるロケットの一番小さな、しかしそれがなくてはどうしても飛ぶことのできない、そんな部品を作るかな。君の伯父上が憧れていたような」
「澤田さん」
 真はその先を続けることができなかった。
「幸い、田安隆三は随分多くの財産を俺に残してくれた。無形のもののほうが多いがね」

 田安隆三の死。チェザーレの言うことが本当なら、彼を殺したのはアサクラタケシだ。真は無意識に唇を噛み締めていたが、やがて静かに尋ねた。
「田安さんのお葬式をあんな形で出したのは、村野花にあなたの覚悟を示したかったからなんですね。代議士としての生命よりも、一人の男としてしなければならないことがあると、そして村野花がそのあなたの気持ちに気が付いてくれないかと」
 澤田はそれには答えなかった。
 遠くで、汽笛の低い音が震えている。やがて澤田は静かに語りかけるように話し始めた。

「なぁ、君、田安のおやじさんは好きに生きたさ。不可抗力だった戦争はともかく、その後も世界中の戦場を傭兵として渡り歩いた。これまで自分が殺してきた人間たちの生も死も、背中に全部背負ってさ。人を憎しみのためではなく、機械のようにただ職業として殺すことがどういう意味なのか分からないまま、それを強要されたあの戦争の時の答えを与えられないままで。ただ人間としてそれがどういうことかは、あの人はよく分かってたんだよ。

あの人はもしかすると、アサクラタケシの息子への愛情を確認したかったのかもしれない。それも君を庇うためでもなんでもない、ただあの人自身の人生を贖いたかったんだよ。だから君が苦しんだり、責任を感じたりする必要は全くないさ。始めから、あの人の生き方には、死が含まれていた。それは最初の戦争で戦場に立ったその瞬間からね。おやじさんはいつも言っていた。なぁ、ケン、恨みがある相手を殺すのだって簡単なことじゃない、だが俺たちの仕事は恨みも憎しみも何もない、ただ金と、そいつを殺すことが目的だからという理由のためだけに殺すんだ、一切感情もなく。あの最初の戦争だってそうだった、俺は戦場で殺した敵を憎んでなどいなかった、ただ命令だから殺しただけなんだ、あの時から俺の頭は狂ってしまったんだよってな。

おやじさんはあの戦争を生き抜いたことを誇りとも幸運とも思っていなかった。頭の中に奇妙な因果関係の回路が出来上がって、ただ殺し続けなければ生きていけないと思い続けていた。だから、あの人はいつか誰かが『打ち止め』にしてくれることを願っていたんだと思うよ。そしてそのことを、アサクラタケシに伝えたかったんだろう」

 澤田はふと、ボロボロになった自分の取材手帳を見つめた。
「あなたは、田安隆三を殺したのが、アサクラタケシだと知って……」
 澤田は顔を上げて、まさに息子を叱り、励まし、労り、未来へ導こうとする父親の威厳を示すような目で、真っ直ぐに真を見つめた。

「おやじさんはあの日、珍しく俺に電話をかけてきてね。ものすごく酔っていた。ケン、あの人は酔っ払ったときだけ昔みたいに俺をケン、って呼ぶんだけどね、ケン、俺は今からアサクラタケシに殺されに行くぞ、俺にしちゃあ、願ってもない死に方だ、俺のように生きていくことがどういうことか、坊主にも見せてやるさ、アサクラタケシはよく知ってるだろうけどな、あの男は、あの男に殺されたい俺を殺すためにやってくるのさ、自分の罪を塗り重ねて、いつか俺のように死ぬためにさ、あの男は俺と同じだ、引き返せないことはよく知っている、俺を殺さないとその先に道はないってことをさ、そしてその道の先には俺と同じ悲惨で孤独な死が待っているってことをな、だがそれは本当は歩く必要のなかった道だ、作っちまったからには通らなければならない道になってしまったってだけのことだ、坊主に俺の言葉を正確に伝えてくれよ、お前には歩いちゃいけない道があるって、そこは修羅の道だ、引き返せない一本道なんだよ、お前の親父のためにも決してその道に一歩を踏み出すな、ってな」

 真は返事をせずに澤田を見つめていた。
「田安のおやじさんは、確かにチェザーレ・ヴォルテラの盟友だった。君に銃の扱いを教えたのもそのためだった。だが、いつか言っていたよ。あの坊主には無理だってな。才能の問題じゃない、才能なら怖いほどにある、だが的が生きてりゃ話は別だって。あの坊主は、命あるものがその生命の終わりまでは必死に生き続けるのだという必然を肌身で知っている、それを無意味でただ暴力的な力で終わらせてはいけないと、それが自然の摂理ってやつだってのをちゃんと分かっている、その相手がどんな悪魔でも、その心の重み、生命の重みに反応するんだ、どんな者であれ、遺伝子に予定された運命よりも早くに生命を断つことを、断たれることを是としない、そういう心根があると、そう言っていたよ。

おやじさんは、どっちにしても君を人を殺せるように育てるつもりはなかったさ。だがアサクラタケシが誤解していることは知っていた。そして言い訳もしなかった。だが、俺はな、アサクラタケシのほうも本当は知ってたんじゃないかと思うんだ。おやじさんの、もう打ち止めにしてくれっていうメッセージをな。おやじさんもアサクラタケシは知っていると、同じ世界を渡ってきた人間の直感みたいなものでさ、ちゃんとお互いに分かってて、だからアサクラタケシはあえておやじさんの望むとおりに、おやじさんの果てのない苦しみに終止符を打ってくれたんじゃないかってね。おやじさんは多分、生まれて初めて戦場に立って、生まれて初めて憎んでもいない敵を殺してから、安心して目を閉じた夜なんて一日さえなかったと思うよ。そこから先は、殺し続けなければ、生きている自分を確認できなかったのさ。だから、田安隆三は殺されたんじゃない、自殺したんだ」

 静かになった古い工場跡に、遠く雷の音が聞こえている。真は上がってくる温度と湿度を、冷めた身体で受け止めていた。澤田はゆっくりと目を伏せた。
「それでも、行くか」
 真は澤田の顔を見つめたまま、呟くように答えた。
「始めから、修羅の道だった。人を殺さなくても」

「そうか」澤田はそれから随分長い間黙っていた。そして、やがて真っ直ぐに真を見つめて言った。「だが、どんなに細くてもいいから、命の通る道は少しだけ残しておきなさい。老婆心だがね、君はまだ若い。手垢がついた言葉だが、生きていれば何とかなるものさ。今は一本の道しかなく、それを歩かなければそこで終わるように見えているかもしれないがね、意外に脇道があるものさ。大概、歩きにくい道だろうけどね」

 真は、十勝連峰を遥かに臨む北海道の牧場の道を思い浮かべていた。
 小さな真には背丈よりも高かった草は、獣たちが密かに通る豊饒の道を隠していたが、幻の友人たちは、真が寂しいときにはいつでも喜んでその道をこっそり通してくれた。土のにおい、動物たちの残した僅かな足跡、天から降り注いだ雨の蜜のような香り、土の内に潜む次の春への命の芽、小さな真にはそのひとつひとつが光の破片に見えていた。

 真がぼんやりとそんな光景を思い浮かべて澤田の顔を見つめていると、澤田が真剣な顔のまま言った。
「それに俺の下町宇宙ロケット製造工場に、技術者として相川真を雇う計画があるってことも忘れないでくれ」
 真は、澤田顕一郎という男にも、細いが確かな脇道があるのだと思った。だが真とは違って、澤田はその歩く道に他人を入り込ませることに抵抗がなく、またむしろそれを喜ぶ気配があった。

 この男は、多分真が見知っているよりも遥かに大きく、勇敢な人間なのだろう。それは澤田がこれまでの五十数年の人生で叩き上げてきたものだ。そんな彼の道の上には、また別の道が上手く重なっていくのかもしれない。村野耕治も村野花も、実際には澤田顕一郎のその太く大きな道に絡み取られた細い道に過ぎないのかもしれない。
 だが、そこへ思い切り電飾を施そうとする物好きもまた存在している。真は澤田と井出は結構いいパートナーかもしれないと思った。

「井出幸之助という記者から伝言が」
 澤田は顔を上げた。
「あなたと組みたいと。それに楢崎志穂という娘も」
 澤田の目に少しだけ、光が鋭く蘇った。
「ご存知かもしれませんが、彼女は村野花の娘で、雑誌記者をしていた。井出幸之助は、彼女は真実を探求したいという熱意があると、そう言っていました。本人は自分が誰の娘であるかなど、何も知りませんが。それから、深雪が」
 真はその名前を呼びながら、引き返せない想いながらも、どれほどその女が愛おしかったかと思った。

「一人で、自分の力で生きてみたいのだと、いつかあなたに会えるようになったら、きっと彼女の方からあなたに会いに来ると」
 澤田は頷いた。真に絵の入った筒を渡し、真が摑んだ手を優しく何度か叩いた。ペンだこの名残、代議士という職業にしては節くれ立った大きな手、刻まれた皺の一本一本が、澤田の道を照らしている。

 出て行き際に、真はふと振り返った。
「澤田さん」澤田が顔を上げる。「村野花に、何を言いかけたんですか。君が望むなら、と」
 澤田は答えなかった。だが澤田の幾らか俯いた顔の影に密かに漂っている、かつて恋をした男の深い情愛を、真は己の心情そのままに受け止めていた。

(つづく)





さて、37章最終回は……次回予告では何のことか分からないかな。いや、分かるかな。
まだぐるぐるのマコトは(にゃあ~)、じゃない、真は、絵を持ってうろうろ。
で、どこに行ったかというと……フェロモンまき散らして行ってはいけません。

<次回予告>
「全く、お前、危なっかしくて怖いよ。そんなフェロモン撒き散らしてこの店に来るんじゃないって。ちょっと痩せたら、凄絶な感じになって健全そうじゃなくなるんだからさ、気をつけてくれよ。実は自覚してるんだか、全く無意識で分かってないんだか。お前が入ってきた瞬間、テーブル席、固まってたぞ。後ろの席にいたいささか下品な集団は、お前がネコかタチかってんで賭けてるしさ」
「ネコ?」
「つまり、女役か男役かってことだよ。長居すると相手を探してるんだって思われて、賭けの餌食になるぞ」
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Category: ☂海に落ちる雨 第5節

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コメント


へえ〜

こんばんは。

田安って、「このブログでは珍しく転がった○体だあ」と思った(あの後あまり珍しくなくなりましたが)人だったけれど、下手人は真パパだったのですね。
真は少しそれについて後ろめたいのかしら。たとえ実父でも、それは関係ないのに。でも、この人が自分の血には……としつこいまでに思い込むのは、実父が本当にそういう人だからなのかもしれませんね。その事実がその思い込みを作っていると言うか。その論理で言ったら竹流には代々伝わった真っ黒な血(ヴァチカンを守るっていうなら真っ白なはずはないし)が流れているということになるけれど、そういう風には感じないんだろうなあ、きっと。

アサクラタケシが田安を殺したのは、息子を自分のようにさせないためとか?
それとも他にも理由があったんでしょうかね。

いずれにしても複雑に絡んだあちこちの事情が、この短い章の中で次々と畳まれていくのはすごいなあと思います。

でも、真ったら、澤田にも「それ持ってさっさと京都行け」と言われている(私の脳内変換)のに、それでもまだ行かないんですね(笑)

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2016/04/15 04:16 [edit]


ほう~

更新、お疲れ様でした。

澤田の人間としての厚みを感じるお話でした。
井出ちゃんの話を聞いて、てっきり記者に戻るのかと思いきや、「まいど1号」打ち上げですか~。こういう「脇道」を持っているというのは、じつに逞しいですね。
田安のおやじさん、真パパに引導を渡してもらって本望だったんですね。もしかしたら、真にその役をと思ったのかもしれませんが、やはり彼には無理だとわかって、あえてパパの目につくようにしたのかなぁ。
しぶとく生きて行こうという人間と、死によってしか救われない人間。二人の対比が、鮮やかでした。

京都に行く前の、真のお礼参り、次が最後なんですね。
どんな「濃い」話になるのか、楽しみです。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2016/04/16 00:54 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

しまった。そうそう、珍しく転がった〇体のはずが、あんまり珍しくなくなっていましたね。う~、このお話は仕方がないか。
田安の件では、何でしょうね……今回はあんまり解説する予定ではなかったのですが、ようするに真パパは、息子がヴォルテラの関係者と関わることにものすごく抵抗があると思うのですよ。それが竹流が日本に落ち着いている間は良かったけれど、あんなインタヴュー記事を読んだら、ヴォルテラパパが何をするか、想像がついたと思うのですよね。もちろん実力行使に出るでしょうし、そうしたら息子の運命は? 田安がヴォルテラと繋がっているのは知っていて、でもまぁ、実質上の被害がないうちはよかったのだけれど……でも多分、それまでにもあれこれやり取りもあったと思われます。澤田の言葉を借りたら、要するに自殺幇助、なのかもしれませんね。

真は、基本的にオヤジを認めていませんから(自分の父親は功だと、そう言いたいみたい)、ものすごく拒否反応がある。でも拒否反応って、ある意味ではそれだけ意識しているということですよね。彼が血に拘るのは、そんなオヤジみたいになりたくない、でもどこか自分の中にその気配を感じると怖くなっちゃうというのか。今回、寺崎孝雄に対しては明らかに自分の中のヤバい血が反応したという認識、なんですよね。
あ~、そうそう、竹流には代々の真黒な血が……^^; それは気にならないみたいですね^^; ま、でも、ジョルジョの設定は「まっくろの血脈の中に生まれた青い血の美形」設定、つまり泥沼に咲く蓮の花的存在ですから、一応まっくろではない、事にしておこう! っても、時々黒いのが表に出てくるのが厄介。「ヴァチカンを守るっていうなら真っ白なはずはない」……ほんとに、パパなんか真っ黒黒すけ、だなぁ。

ようやく大筋はけりがついたと思います。あと少し、まだ最後の最後に「え~?」があるかもしれませんが……最後の最後のひとつの言葉で全てのけりがつくかしら。本編の最後の言葉(竹流)、と終章の最後の言葉(パパ)が上手く物事を畳んでくれると思うのですけれど。あと少し、よろしくお付き合いくださいませ。

> でも、真ったら、澤田にも「それ持ってさっさと京都行け」と言われている(私の脳内変換)のに、それでもまだ行かないんですね(笑)
あ、ほんとですね。いや、全然意識していませんでしたが、確かにそんなふうに読める^^; そうかぁ、澤田にまで言われているのか。ま、あと少しです。しかも大筋、他力本願^^; え~、そんなふうに行くの? 自分の意志で行けよ!って話でがっかりさせちゃいそう。
コメントありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2016/04/16 11:34 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

ロケット話は……いやいや、これは澤田の照れ隠しかもしれませんね。記者に戻ると思いますよ。でも下町でしぶとく生きる人々を応援するとか、そういう方向に行くかなぁって、思ったりしています。でもどうかな、どうなるのかはあえて書く予定はありませんが、また若者みたいに道を切り開いていく感じがいいですよね。そうそう、可能性がいくつもあって、真のこともちゃんと気にしてくれている。何しろこの人は、深雪と真がくっつかないかなぁ~と思っていたし、今でもちょっとそう思っているかも。
取りあえず、この後は飛行場でしょうかね。世界一周? で、何故か井出とかに待ち伏せされていて???

田安のおじさんもあのインタビューを見てビビったひとりだと思うのです。始めはヴォルテラパパから真の教育係の役割を与えられていたと思うのですが(つまり、才能はありそうだからいつか使えるようにしておいてくれ、みたいな)、真と付き合っているうちに、こいつはそういうのに向いていない、というのか、向けちゃダメだと思ってくれていたのでしょう。で、何となくなぁなぁで来ていたところに、竹流が爆弾発言。来るぞ!って思ったのじゃないかと思います。
実際には真パパは別の用事で来たんだけれど、田安と何かやり取り(感情のやり取りかもしれません)があったんでしょうね。二人とも、真が「その気」にならないように、あの手この手を考えていたと思うし。
生きるって、本当に、死も含めて、ひとつひとつ壮大な物語ですね。対比を楽しんでいただけて嬉しいです。
しぶとく生きる代表選手は唐沢のおっチャンかも(^^) 刑務所にいてもしぶとい。

> 京都に行く前の、真のお礼参り、次が最後なんですね。
> どんな「濃い」話になるのか、楽しみです。
あ! あはは~(^^) えっと、濃さにはあんまり期待なさらず^^; 単に、シチュエーションが濃い? 会話はあっさりしたものです。何しろ、次作ではサブメインに取り上げられる彼ですから。
コメントありがとうございました!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2016/04/16 11:52 [edit]


そうかあ~

田安という男も、ある意味時代の被害者ではあったけど、彼なりに自分の人生に自分でちゃんとケリをつけたのでしょうね。
なんか、アサクラタケシに人生を終わらせてほしいって気持ち、すごくわかる。
この男に殺されたいって言うのはある意味すごい愛でもあるんでしょうね。真にそのことを伝えてくれて、澤田には感謝。
本当にここに出て来る人間たちって、悪と善をごっそり抱きながら生きて来た人間ばかりなんだなあ~。
そしてそんな人たちは、こぞって真を守ろうとする。
もしかして、自分が持ち得なかった聖なる光を真の中に見いだしてて、自分を託してたのかなあ・・・なんてことも感じました。

真、もう壊れている場合じゃないよね。しっかり生きていかなきゃあ。
・・・でも、そんな簡単にいかないのが、この世界><
頑張れ!

lime #GCA3nAmE | URL | 2016/04/17 10:59 [edit]


なるほど~

失ったはずの自分の歴史が目の前に・・・
それは一瞬でわかりますよね。
表面は物静かに見えるかもしれませんが、胸の内はいかほどのものかと。
ざっと振り返れば、この人も色々な道を通って今また原点に戻ろうとしているのですかね。
絵が巡り巡るのか、絵の周りが巡るのか、両方が巡りあうのか。
そうして残っていくこの絵は寿命も長いし、最後は大往生? いあ、生き続ける?
今また絵の役割に思いを巡らせ、あ、そういえば竹流、いまどしてるか、と。(忘れないけどね)

けい #- | URL | 2016/04/18 20:06 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

うん、田安のことを分かってくださってありがとうございます。と言っても、私にとっても想像の世界なのですけれど、きっと生死の狭間を味わってしまって、しかも自分が否応なしに外力で加害者になってしまうような経験をしてしまって、それも若い時にそんな世界を生きてしまったら、後の人生、どうしたらいいの、って感じだろうなと。まともな精神で生きるためには何か、私たちには想像もできないようなものが必要だったんだろうと。湾岸戦争に行った人たちがPTSDになっているけれど、それも越えちゃったら、本当にどうやってギリギリを生きるかってことですよね。
もうこの辺りで打ち止めにしたいって思って……武史の方ももう自分もそうだから分かっているし。
あんまり詳しくは書く予定ではなかったんですけれど、きっといろんな思いのやり取りがあったんだろうなと……いや、これ以上掘り下げたらいつまでたっても終わりませんしね^^;

> 本当にここに出て来る人間たちって、悪と善をごっそり抱きながら生きて来た人間ばかりなんだなあ~。
もっと根っから好い人を書きたいんですけれど、どうしても私がそんな人を書いたら嘘っぽくなっちゃって……そもそも主人公からして「根っから善人」ではないし、2人とも複雑で裏表があるし。こんな連中にここまでお付き合いいただいて、本当にありがとうございます(^^)
> そしてそんな人たちは、こぞって真を守ろうとする。
あ? う~む。これはきっと、みんな、真の中にどこか自分に近いアクマな部分を見出して、いや、この若者を本物の悪魔にしちゃったら、俺たち、寝覚めが悪いよな~って感じなのでしょうか? 真の中に聖なる光……あるかなぁ? あったらいいなぁ。いや、この人、無邪気に悪魔だったりするし、ある意味ではその無邪気が聖なのかも?(思い切り曲解?)
または、彼らのわずかな善意の向かう先がマコトなのかもしれませんね。にゃ~。(久しぶりに出て来ちゃった……黄身じゃないよ。いや、君じゃないよ)

> 真、もう壊れている場合じゃないよね。しっかり生きていかなきゃあ。
> ・・・でも、そんな簡単にいかないのが、この世界><
ほんとです。でもまぁ、意外に逞しいかもしれません、彼。頑張りますよ! 
いつもありがとうございます(^^) あと少し、よろしくお願いします!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2016/04/20 01:56 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

> 失ったはずの自分の歴史が目の前に・・・
写真とか映像って怖いですよね。記憶には明確ではないのに、そこに明確に映っていると、あ、こんなことが確かにあったって思い出してしまったりして。それが楽しい思い出だったらいいんですけれど、あまりにも残酷な思い出だったら……
でも、彼女はきっと逞しいはず。というよりも、その恐ろしい思い出と一緒に、自分をだれが救ってくれてここまで生かしてくれたかということもいっしょに思い出したと思うのですね。澤田の愛情(後悔ゆえの償いの気持ちでもあったと思うけれど)が初めてよく分かったというのか。
しっかりと思いだせる記憶が、決して負の要素ばかりではなかったというのが救いなんです。彼女は自分の過去のマイナスの部分を思い出したけれど、プラスの部分も大きくなった。だから生きていけると、そう思います。

真も持っている「欠けた記憶の部分」。彼の場合は……本当は知っているのかもしれません。でもその自分に鍵をかけてしまった。あまりにも強いショックで記憶に蓋をしてしまう。人間の脳は自分を守ろうと必死になりますものね。
その秘密は、次作で語られますので、よろしかったらお付き合いくださいませ(^^)

さて、絵の方ですけれど……そうそう、絵は巡りますよ(*^_^*)
何せ、この絵は結局のところ、物語の世代と世代を繋ぐキーになるので、うん、ほんとにめぐってる! 絵の周りで時代も回ってるなぁ~。最後は書く予定はないけれど、ちゃんと子孫(ロレンツォ)が贋作の表を取り除いてマリアを引き出してくれるに違いありません。二つの家系の愛の証??(言い過ぎだな~)
あ、竹流。大丈夫です(^^;
引き続きよろしくお願いいたします。コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2016/04/20 02:17 [edit]

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