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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【死者の恋】(1)お好み焼き 

こうなったら、始めちゃいましょう。
初の章なし、計画なし(それはいつもだった)、タイトルまで仮題。

もしかして、『清明の雪』を飛ばしてこの小説を最初に開いてくださった方!
大丈夫です。
主人公二人の化けの皮はすぐにはがれます。

→ヤクザの所有するビルにある調査事務所の所長。多分26歳かな。妹が嫁に行ったら、一人でご飯を作れなかったので、パパのところに居候中。詳しくはこちら→相川真
竹流→真のパパ(大筋正しい関係性のはず)、もと家庭教師。和名だけど実はイタリア人。真が26なら35歳のはず。修復師、かつギャラリーとめっぽう美味しいイタリアンレストランのオーナー。詳しくはこちら→大和竹流

これで掴みはOK!
彼らの住む竹流のマンションは築地界隈にあります。
これは現代の築地界隈。
築地




 明日は弘前だな。
 弘前に行くなら、『山背』に寄ったほうがいいだろうか。いや、遊びに行くわけではないのだから、寄らなくても失礼にはならないだろう。
 真はそう考えながらマンションのリビングのドアを開けた。

 その途端、いきなり目に飛び込んできたものに、真は思わず固まった。

 時々、竹流はリビングのテーブルに読みかけの本を出しっぱなしにしていることはある。マンションには書斎のような部屋はあるのだが、ほとんど図書室もしくは資料室になっている。
 真と同居するまでは、竹流は仕事をプライベートの部屋に持ち込むことはなかったようだが、銀座のギャラリーや多摩の大和邸で仕事をしていたのでは、真に『飯を食わすことができない』という理由で、資料などはマンションに持ち帰るようになっていた。

 テーブルの上は広げられた本が五冊ばかり、さらに複製画らしき年季の入った紙が幾枚も散らばっている。
 そしてその絵の中には、どでかい男の一物が、あまりにもあっけらかんと描かれ、艶っぽい女性がしどけなく、というよりは堂々と足を開き、その迫力あるものを迎え入れている。
 それを覗き見る小娘の表情が何とも言えず、真はその小娘以上にどこに視線を持っていけばいいものか、狼狽えた。いや、多分小娘は喜んでいるのだろうけれど。

 何も遠回りする必要はないのだが、真は思わず部屋の隅っこを通って、ダイニングキッチンへ入った。

「お帰り。先に飯にするだろ」
「あ、うん」
 いつものことだが、まるで新婚の夫婦みたいな会話だな、と思う。
 調査事務所の共同経営者(本人は『秘書』といって譲らないが)の美和は、この手のことについてはいつも興味津々なのだ。
 帰ったら『お帰り~』『ただいま~』『お風呂にする? ご飯にする? そ・れ・と・も』なんて感じなの? ねぇねぇ、教えてくれてもいいじゃない。
 ホモのカップルじゃあるまいし、と思うものの、確かに大筋はあっている。いや、あっていないか。それとも、はないし。

 テーブルの上の本については特に説明はなし、だ。
 多分、竹流に言わせたら、これは芸術なのだ。もちろん、真も春画という絵があることくらいは知っている。これが彼の仕事の一部だということも理解できるが、幾らなんでもここでやらなくても。

「何?」
 見れば、台所にはものの見事に千切りされたキャベツに、艶やかな桃色の豚バラ肉、すりおろされた長芋、その他、天かすに紅ショウガ、篩にかけられた小麦粉、卵などが混ぜ合わされるのを待っている。
「お好み焼き。何だか、急に食いたくなったんだ」
 料理好きのこの男は、本当にこまめに真の食事の面倒を見てくれる。レストランのオーナーなのだから、食材へのこだわりは半端ないのだが、一方でこういう庶民的料理にやたらと興味を持っている節もある。
 旅先から帰ってくると、一通り作ってみなければ気が済まないらしい。

 コンロの隅に鉄板もしつらえてある特注の台所だ。いわく、普通のフライパンでは美味い肉が焼けないからだという。その鉄板で焼いたお好み焼きはさぞかし美味いのだろう。
「大阪の食い物ってのは、精力がつく感じがするなぁ」
 精力つけて春画の仕事なのか、と脈絡のないことが頭に浮かんだ。
「風呂は後にしろよ。絶対に鉄板焼き臭くなるから」
 
 お好み焼きにはビールだろ、と普段ビールなど飲まない男が、キリンビールを出してきた。キャベツにその他具材をさくさくと混ぜて、特注鉄板で焼く。
 ソースは大阪でもらってきたらしい。中身は秘密の特別ソース。
 確かに美味い。キャベツ量が多いからか、あっさりとしていて、腹にもたれなくていい。

「明日から、ちょっと弘前に行ってくる」
 真が切り出すと、竹流はコテでお好み焼きを切る手を止めた。
 さっきまで、これはコテなのか、テコなのか、ヘラなのかで揉めていたが、一応大阪的にはコテが優勢ということに落ち着いた。

「ちょうど良かった」
 コテでお好み焼きを押さえかけた真の手を制して、竹流が言った。コテで押さえるなんてもってのほか、ということらしい。
「何が」
「俺も弘前に用事があるんだ」
「それって一緒に行くって意味か?」
「何が悪い?」
「まさか、あのテーブルにわざとらしく広げてある本の用事か?」
「テーブルの上?」
 竹流は一度とぼけておいて、あぁ、と頷いてから、面白そうな笑みを作った。
 その辺の男がこういう笑いをすると、かなり下品に見えるはずだか、この男にかかるとそれもまた美しく見えてしまうから困ったものだ。

「ちょっと興奮したろ」
「馬鹿言え。でかすぎてリアルさに欠けるだろうが。あれは何だ?」
「うん、まぁ、あの手のものは、大事に隠し持っている金持ちがいるわけだ。春画は江戸時代から売れ筋だったからな、歌麿、春信、北斎ら名だたる浮世絵師たちが競って描いたんだよ。で、お金持ちの蔵の中にしまわれて何世紀。驚くほど状態のいいものもあるんだ」
「で、弘前の金持ちが蔵にしまっていたってわけか」
「まぁな」
 お好み焼きが美味すぎるので、会話は一旦途切れた。

「連れがいるぞ」
 いささか困った気がしなくもない。だが、女子高生と二人きりよりはいいかもしれないと思い始める。
「別にかまわないさ」
「うるさい女子高生だぞ。絶対あんたの嫌いなタイプだ。生意気で、いっぱしのことを言う割にはガキだ」
「お前の仕事は大体そういうのが相手だろうが。しかも、俺はそういう手合いには慣れてる。お前で」
 確かに、反論の余地はない。
 結局、お好み焼きが美味かったので、あまり検討する余地のないまま、翌日、上野駅の待ち合わせ場所に竹流と一緒に出掛ける羽目になった。




こんな感じで始めて見ました。推敲は随時していきますが、何せ裸のままの文章故、読みにくいことこの上ないかもしれませんが(いつもだけど)、お許しください。
例のごとく、食事シーンから始めてしまった。好きなんです、食事シーン……

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Category: ★死者の恋(間もなく再開)

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コメント


NoTitle

タイトルの妙がすごいなあと思います。
率直に。私はタイトルをつけるのが面倒くさいので、こういうセンスあるタイトルは付けれないんですよね。。。ブログのタイトルよろしく、死者の恋も非常に面白いです。それだけで、読みたくなる感じでいいですね。

どうも、初めましてです。場末でファンタジー小説を書かせていただいているLandMです。また寄らせて頂きますね。

LandM #- | URL | 2013/04/14 07:34 [edit]


LandMさん、こんにちは!

お越しいただき、しかもコメントを頂き、ありがとうございます(*^_^*)

タイトル……実は私も最も悩み多き部分です。
面倒……というのもわかる気がします^^;
本当に何も浮かばない時もあるし、結構仮題のまま書き始めて、最後に決める、という時もあります^^;
センスなんて、ほんと、ないんですよ~
ブログタイトルは、好きなもの、つまりミステリーと珈琲をくっつけただけという^^;
私の友人は、二次小説を書いていますが、タイトルをつけるのが上手で、いつも羨ましく思っています。内容を深読みさせるようなしっとりとしたタイトルや、ユニークなもの、ウィットが感じられるもの……本当にセンスのいい人って、キャッチコピーみたいに惹きがあって、バリエーションに富んでいますよね。
【死者の恋】は実は仮題でして……^^; 思い浮かばなかったので、そういう話だよ的な仮題をつけてみたんですが……そのまま行っちゃうかも…

たまにタイトルが先に浮かんで、後からストーリーを作るときがあるのですが、そういう時は大概内容で行き詰るんです。
だからやたらめったら書いてから、途中でつけることのほうが多いです。でも、先に浮かんだ時のほうが、センスあるタイトルのような気はするんですが……
逆に章題は楽しんでつけている時が多いかもしれません。基本的には区切りのためにつけますが、一番楽しんだのは【清明の雪】なんです。これは、最後まで書いてから、後から章を区切って、題をつけたんですが、1章に3つのお題的つけ方をして、クライマックスだけ文章にした、という……
でも、なかなか書いている最中にはこういう作業はできないんですよね……あとから俯瞰するとわかるというかんじでしょうか。
真面目にプロットを立てたら、こういうことはないんでしょうね^^;

LandMさんはタイトルは後派なんでしょうか?

またこちらも遊びに行かせていただきます(^^)
時々読み逃げはしておりましたが……ちゃんとコメント残しますね!
ありがとうございました(*^_^*)

大海彩洋 #XbDIe7/I | URL | 2013/04/14 22:03 [edit]


面白そうなので

先にこちらに飛んできました。
真と竹流の関係ってなんだか妄想しちゃいますね。
26歳の男と35歳の男の同居。十分にその関係ありを連想させますが、実は違うのですか?
竹流さんは春画を描いているのですか?
なかなか面白い書き出しなので読みやすいでした。
そして、弘前に真は向かうのですね。
私は青森県には一度も行ったことないので、弘前の風景や食べ物など楽しみにしていますね。

さやか #QOvcH0So | URL | 2015/06/09 13:05 [edit]


さやかさん、ありがとうございます(^^)

あ。こちらに来てくださいましたか! ありがとうございます。
で、でも、こちらまだ未完なのですよ~。途中までになりますが、読みやすいと思うのでお付き合いくださいませ。というのも、こちら、全く頭の中でラストシーン(謎解き部分、に相当する。謎なんて大したものはないけれど)しか決まっていないのに書き始めたらどうなるか、という試みをしていたもの。見事に玉砕していましたが、書いているうちに大体筋立ては決まっていたのに、他のことにかまけていて放り出していたままでした。今連載中の『人喰い屋敷の少年』が終わったら、短編集に組み入れるように再編成して連載再開予定です。それまで時間が少しありますので、その間にじわ~っとご覧いただけたら幸いです。

真と竹流の関係は……ハイ。もう目一杯妄想してくださって大丈夫です!(?)
多分、その妄想を裏切らないし、一方では裏切るかもしれないという関係です(余計にわからない^^;)。登場人物紹介の断片はこちらですが→http://oomisayo.blog.fc2.com/blog-category-23.html、これだけでは多分理解できない複雑~な二人です。でもそれぞれになかなか奥深い奴らなので、お暇なときにまたお付き合いくださいませ(*^_^*)
一番わかりやすいのは、真の事務所の「秘書」の美和が言うように「友人、恋人、兄弟、親子で分けると……一番近いのは親子」という関係でしょうか。真にとっては3人目のパパ、という説も。エッチな関係は……あると言えはあるし、ないと言えばないし(ごにょごにょ)。この同棲中は全くエッチな関係にはありません(*^_^*)

竹流は春画は描きません(#^.^#) いえ、描けるかもしれませんが、彼、絵画修復師なんです(もともとルネサンス期の絵画がメイン)。メトロポリタンでお仕事をしていた時期があって、その頃から日本画を手掛けるようになって、日本に来てからはほとんど日本画をメインにお仕事をしています。ついでに仏像も。今回のシーンは春画の修復の勉強中だったのです。
弘前、青森、とてもいいところですが、機会がないとなかなか訪れないかもしれませんね~。私は三味線関係で毎年訪問するのですが、こちらの作品はその青森ラブの物語になっていく予定。
お時間のある時に、ゆっくりお付き合いくださいませ(^^)
コメントありがとうございました!!

彩洋→さやかさん #nLQskDKw | URL | 2015/06/10 07:25 [edit]

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